説明

マルチプル応答曲線を有する再生タイヤ・タイヤ・バフ研摩

【課題】タイヤカーカスからトレッド(42)をバフがけして除去する方法。
【解決手段】センサー(12)とタイヤ(40)中のベルト(44)の間の距離(37)およびタイヤ特性の関数として生じる信号応答をセンサー(12)から受け、センサー(12)とタイヤベルト(44)との間の距離およびタイヤ特性の関数を表す複数の信号応答曲線(38)から一つの信号応答曲線を選択し、上記の信号応答曲線から受信した信号応答に対するセンサー(12)とベルト(44)との間の距離(37)を決定し、センサー(12)とベルト(44)との間の距離が最終距離に達するまでトレッド(42)をタイヤからバフがけで除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ・カーカスからのポリマー物質、例えばトレッドを除去する機械および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤはゴムベースの混合物の外側層から成る所定の厚さを有するトレッドを有し、このトレッドには各種の溝とトレッドパターン、特に地面に対する車両のグリップを改善するためのトレッドパターンとが形成されている。
【0003】
タイヤトレッドの外側表面を機械加工または除去する必要、例えばリトレッディングのために磨耗タイヤを準備する必要がある場合がある。一般に、タイヤトレッドの除去は各種の研摩装置、例えばヤスリ、砥石車、ワイヤーブラシ等を用いて行なわれてきた。タイヤトレッド除去に使用されてきた他の方法は「ピーラー」とよばれる円筒形のカッターを用いた切断法である。
【0004】
このトレッド除去操作中にベルト上に残っている材料の量をモニターして、除去具がベルトと接触したり、ベルトに傷を付けてタイヤを破壊することがないようにするのが望ましい。従って、トレッド除去操作中にベルト上に残っている材料の量をモニターする各種センサーを除去装置は使用している。そうしたセンサー自体は当業者に周知で、その例は特許文献1(米国特許第6,386,024号明細書)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,386,024号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの特定実施例は、下記(1)〜(4)の段階から成るタイヤカーカスからトレッドをバフがけして除去する方法を含む。:
(1)センサーとタイヤ中のベルトの間の距離およびタイヤ特性の関数として生じる信号応答をセンサーから受け、
(2)センサーとタイヤベルトとの間の距離およびタイヤ特性の関数を表す複数の信号応答曲線から一つの信号応答曲線を選択し、
(3)上記の信号応答曲線から受信した信号応答に対するセンサーとベルトとの間の距離を決定し、
(4)センサーとベルトとの間の距離が最終距離に達するまでトレッドをタイヤからバフがけで除去する。
【0007】
本発明の他の実施例は、コンピュータで読込み可能な媒体に記録された下記(1)〜(4)の命令を含むコンピュータープログラムを含む:
(1)センサーとタイヤ中のベルトとの間の距離およびタイヤ特性を関数として発生する信号応答をセンサーから受けるための受信命令、
(2)選択された信号応答曲線はセンサーとタイヤベルトとの間の距離およびタイヤ特性の関数を表すように、複数の信号応答曲線の中から一つの信号応答曲線を選択するための選択命令、
(3)受信した信号応答に対して上記応答曲線からセンサーとベルトとの間の距離を決定するための決定命令、
(4)センサーとベルトとの間の距離が最終距離に達するまで、トレッドをタイヤからバフがけするバフがけ命令。
【0008】
本発明の他の実施例は、センサーとタイヤ中のベルトとの間の距離の関数であるセンサー出力信号を出力するセンサーと、プロセッサとこのプロセッサが読込み可能な命令を保存するメモリー記憶装置とから成る制御装置とを含み、上記命令が下記(1)〜(4)の命令から成る、タイヤカーカスからトレッドの少なくとも一部をバフがけで除去するためのタイヤバフがけ機械を含む:
(1)センサーとタイヤ中のベルトとの間の距離およびタイヤ特性の関数として発生する信号応答をセンサーから受け取るための受信命令、
(2)複数の信号応答曲線の中から、センサーとタイヤ中のベルトとの間の距離およびタイヤ特性の関数を表す一つの信号応答を選択するための選択命令、
(3)受信した信号応答に対する、センサーとタイヤベルトとの間の距離を応答曲線から決定する決定命令、
(4)センサーとベルトとの間の距離が最終距離に達するまでトレッドをタイヤからバフがけして除去するためのバフがけ命令。
【0009】
本発明の他の実施例は、下記(1)と(2)の段階を含む、センサーとタイヤベルトとの間の距離およびタイヤ特性を関数とした信号応答曲線を作る方法を含む:
(1)センサーとベルトと間の距離およびタイヤ特性の関数として発生される、ベルトから互いに異なる複数の距離で少なくとも3つの信号応答をセンサーから受け、
(2)受信した信号応答を使用して、センサーとベルトとの間の距離およびタイヤ特性を関数を表す信号応答曲線を作る。
【0010】
上記およびその他の利点は以下の発明の詳細な説明の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】は本発明の一つの実施例の重合物質除去機械の斜視図。
【図2】は[図1]の機械のセンサー部分とタイヤの斜視図。
【図3】は[図1]の機械の制御装置の斜視図。
【図4】は[図2]のセンサー部分とタイヤの断面図。
【図5】は本発明の一つの実施例の、複数の信号応答曲線を示すグラフ。
【図5A】は本発明の一つの実施例の複数の信号応答と対応距離とを示すテーブル。
【図6】は本発明の一つの実施例に従ってタイヤから材料を除去する方法を示すフローチャート。
【図7】は本発明の一つの実施例の、第2の較正センサーを有する[図1]の機械のセンサー部分とタイヤの断面図。
【図8】は本発明の一つの実施例に従って[図1]の機械のセンサーを較正する方法を示すフローチャート。
【図9】は本発明の一つの実施例の信号応答曲線を作る段階を示す[図1]の機械のセンサー部分とタイヤの断面図。
【図10】は本発明の一つの実施例の信号応答曲線を作る段階を示す[図9]の機械のセンサー部分とタイヤの断面図。
【図11】は本発明の一つの実施例の信号応答曲線を作る方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[図1]〜[図4]は各タイヤに特有な情報を用いることによって各種のタイヤ40からトレッド42を正確に除去するのに適したタイヤバフがけ機械10を示している。
バフがけ機械10は一般にトレッド除去工具11と、ベルトセンサー12と、センサーマウント15と、センサー出力14と、プログラム可能な論理制御装置16またはプログラムされた指令を実行できるプロセッサ、例えばパーソナルコンピュータまたはメインフレームコンピュータ等の他の装置と、ユーザーインタフェース26とを含んでいる。
除去工具11はタイヤ40からトレッド42を除去するもので、タイヤ40から、トレッド42を除去することができる任意のデバイス、例えばヤスリ、砥石車、ワイヤーブラシ、円筒カッターまたは「ピーラー」等にすることができ、特に限定されない。この除去工具11をトレッド42以外の材料、例えばアンダートレッドを除去するために用いることもできる。
【0013】
センサー12は一般にタイヤ40から除去(またはバフがけ)すべきトレッド42の量をモニターし、且つベルト44を損傷しないために用いられる。より正確には、センサー12はセンサー12とタイヤ40のベルト44との間の距離37を測定する。センサー12は一般に、タイヤ40のトレッド42およびベルト44の放射方向上方に位置している。本発明の一つの実施例では、トレッドがセンサー12と接触するのを防ぎ、且つトレッド除去作業中に接触に起因する全ての危険を回避するために、センサー12はトレッド42より上方にオフセットした距離32の所に位置している。センサー12はセンサー12とベルト44との間の距離を測定するための超音波、磁気、誘導近接センサーから成ることができるが、他の任意タイプのセンサーを使用でき、鉄を含まないコード材料の位置決めができるセンサーも含まれる。使用時にはセンサー12はセンサー12とタイヤベルト44との間の距離37を関数とした信号応答を出す。この信号応答は一つの値で表されることができ、この値は電流、電圧、抵抗または信号応答の他の任意の形で表すことができる。信号応答は最終的には入出力(I/O)ケーブル14を経由して価値判断およびプロセスのためのプログラム可能な論理制御装置16へ送られる。信号応答を赤外信号、高周波、一本マ複数のケーブル、光ファイバ、その他の当業者に公知の任意の方法で送ることもできる。
【0014】
プログラム可能な論理制御装置16は一般にセンサー12から信号応答を受けてタイヤ40から除去すべきトレッド42の量をモニターし、制御を助ける。特に、制御装置16は信号−距離間数またはテーブル(すなわち信号応答曲線38)を用いて、信号応答を対応する距離に変換する。また、制御装置16はセンサー位置を較正し、信号応答曲線を発生し、および/または、機械10に実行すべき操作を命令するのに用いることができる。制御装置16は論理プロセッサ18、例えばマイクロプロセッサと、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)、PROM(半固定記憶装置)等のメモリー記憶装置19と、バフがけ機械10と通信するための少なくとも一つの入出力(I/O)ケーブル14とを含んでいる。制御装置はさらに、I/Oケーブルコネクター22を有するI/Oカードを収納するためのI/Oスロット20を備えていてもよい。
【0015】
オペレータはユーザーインターフェース26を用いて、センサーの測定値をモニターし、制御装置16およびバフがけ機械10の操作をプログラムするか、制御または命令する。ユーザーインタフェース26と制御装置16とはI/Oケーブル24を経由して通信できる。制御装置16、ユーザーインタフェース26および機械10との間を無線で通信することもできる。一般に、制御装置16は公知の任意のグラフィック言語またはテキスト言語でプログラムできる。プログラムされた命令、データ、入力および出力はメモリー記憶装置19に保存できる。プロセッサ18はこのメモリー記憶装置19にはにアクセスできる。記憶装置19は商業的に公知の任意の記憶装置、例えばハードディスク装置、光学式記憶装置、フラッシュメモリ等で構成できる。プロセッサ18はプログラムされた命令を実行し、距離の計算および測定し、以下で説明する他の操作を実行する。メモリー記憶装置19も入力、出力、プロセッサ19がそのオペレーションで用いる他の情報、例えば信号応答曲線38を表す関数およびテーブル39を保存する。距離の変換と測定を実行することの他に、一般に入力信号に基づいてテーブル39を含む信号応答曲線38を作るように制御装置16をプログラムすることもできる。
【0016】
[図5]と[図5A]とを参照する。信号応答曲線38は制御装置16で用いれられて信号応答を距離に変換する。一般に、信号応答曲線38はセンサー12とベルト44との間の距離37の関数であり、信号応答を距離に関係付ける。信号応答曲線38は例えばメモリー記憶装置19に複数の信号応答および対応する距離37を与える一つまたは複数の式またはテーブル39として保存できる。この一つまたは複数の式は関数の数学的表現である。一般に、この関数は信号応答の全範囲を通じて線形でないので、センサーの所定信号応答範囲を通じて線形である一連の式を使用することができる。
【0017】
上記信号とその値を受信後、プロセッサ18を用いて信号応答曲線38から対応する距離が決定できる。より正確には、本発明の一つの実施例では、線形または非線形の信号応答曲線38を表す関数から距離が決定される。本発明の他の実施例では受信した信号応答値に最も近い2つの信号応答がテーブルから決め、それから2つの信号応答とそれらに対応する距離との間の比例関係を得ることでテーブル39から距離を決定する。この比例関係から受信した信号応答に対して距離が決定される。比例関係は線形関数にするか、テーブルから選択した2つの点の間のレンジに対する受信信号とを関係付ける百分比または比にすることができる。受信信号応答がテーブル39中の信号応答と実質的に同じ場合には、対応する距離で信号応答の距離を表すこともできる。信号応答は各タイヤで変化するので、複数の信号応答曲線38が与えられる。各応答曲線38は一つのタイヤまたはタイヤ特性(例えばタイヤ寸法、形状、構造、製造メーカ、ブランドまたはトレッドプロフィル)を共通する複数のタイヤを表す。従って、トレッドの測定値および除去をより正確に制御するために、プロセッサ18は公知のタイヤ特性に基づいて、または、オペレータから受けた所定の情報または命令に基づいて、信号応答曲線38を選択する。関数またはテーブル39としての信号応答曲線38は一般にメモリー記憶装置19に保存されており、上記の方法を反映した所定のプログラム命令に従ってプロセッサ18を使用して距離が決定される。
【0018】
運転時には、センサー12がトレッド42およびベルト44の上方(すなわちタイヤの放射方向上方)のベルト幅46全体の任意の位置に位置され、トレッド厚さ34(すなわち深さまたはゲージ)をモニターし、[図6]で説明するようにトレッド除去する。より正確には、センサー12はセンサー12とベルト44との間の距離37に対応した信号を発生する。この信号は選択した信号応答曲線38から距離に変換される。センサーがトレッドとオフセットしていない場合には、信号応答はトレッド厚さ34に等しい。センサーがトレッド42から放射方向にオフセット距離32に位置している場合、信号応答はオフセット距離32とトレッド厚さ34とに等しい。トレッド除去操作中にセンサーが破損するのを避けるために、センサー12はトレッド42から離れて位置することができる。
【0019】
ターゲットの最終トレッド厚さすなわち設定点(すなわちゲージ)36は、ベルト44が除去工具11によって不注意に損傷することから保護するように与えることができる。一般にトレッド厚さ34は分かっていないので、トレッド厚さ34はオフセット距離32をセンサー12とベルト44との間の距離37(すなわち信号応答に対応する距離)から引くことで決定される。トレッド厚さ34が決まると、トレッド厚さ34からターゲットの最終距離36を引くことで除去されるトレッドの量が決定できる。この除去される量はセンサーとベルトとの間の距離から引いて最終的なセンサー距離39が与えられ、ターゲットの最終厚さ36を有するタイヤトレッド42が提供される。センサーはトレッド除去プロセス中にトレッドの幅全体の一つまたは複数の位置で連続的にまたは間欠的にトレッド除去作業をモニターするようにすることができる。最終厚さ36に達した時にトレッド除去操作を終了する。ベルトの特性はその幅方向で変化し、特にベルト幅の最も外側部分で変化するので、センサー12の使用をベルト幅46の一定部分に制限するのが望ましい。本発明の一つの実施例では、センサー12はベルト幅46の内側最大80%でトレッド除去をモニターするのにのみ用いる。
【0020】
バフがけ機械10には振動、その他の動荷重が与えられるので、バフがけ機械10は消耗し、ミスアラインメントする可能性がある。センサー12がタイヤからオフセット距離32に維持されている場合には、上記の消耗またはミスアラインメントによってオフセット距離32が変化することがある。トレッド厚さ34、従って、除去するトレッドの量を決定するのにオフセット距離32を用いているので、その結果、トレッド除去の精度が低下する。さらに、除去工具11がトレッドをオーバートラベルし、ベルトに達した場合には、ベルトに傷が付き、タイヤを廃棄してければならなくなる。従って、バフがけ機械10を定期的に較正し、現在のオフセット距離32を求めるこで精度およびトレッド除去制御をより良く維持することができる。
【0021】
本発明の一つの実施例では、[図7]〜[図8]に示すように、第1の較正信号応答はセンサー12から現在のオフセット距離32でタイヤトレッドの外部表面48から出される。この第1の較正信号応答はセンサーとタイヤベルトとの間の距離の関数として発生される。第2の較正信号応答は第2のセンサー28からトレッド42からの距離ゼロ(すなわちトレッド外部表面48)の所から出される。この第2の較正信号応答は第2のセンサーとタイヤベルトとの間の距離の関数として発生される。第2のセンサー28は第1の較正信号および位置に対応するトレッド厚さを得るために、第1の較正信号が出されるタイヤ・トレッドの所か、それに沿った所に位置決めできる。例えば、センサー28はセンサー12に隣接させ、例えばその横([図7]に示すように)または周方向に位置させることができる。第1の較正距離および第2の較正距離の両方は、第1の較正距離および第2の較正距離に現在のタイヤに適用可能な信号応答曲線を使用することでそれぞれ変換される。次ぎに、第1の較正距離から第2の較正距離を引くことで現在のオフセット距離32が決定される。上記のプロセスの全体または一部をオペレータが手動で実行するか、機械10および/または制御装置16によって実行することができる。
【0022】
[図5]に示すように、信号応答曲線38はセンサー12とベルト44との間の距離37の関数である。また、各曲線38は個々のタイヤ特性の関数でもある。[図9]〜[図11]を参照する。各信号応答曲線38またはテーブル39はタイヤ40(このタイヤ40のタイヤ特性は分かっている)のベルト44からの分かっている複数の異なる距離、一般には少なくとも3つの距離の信号応答を得ることによって作ることができる。距離が分かっている少なくとも3つの異なる信号応答(すなわち3つのデータポイント)を得ることで非線形曲線に与えるデータポイントを仮定し、非線形関数(すなわち信号応答曲線38)を容易に作ることができる。
【0023】
本発明の一つの実施例では、トレッド42の一部を除去してベルト44の最上部を露出させ、センサー12をベルト44の上に配置し、ベルト44上(すなわちトレッド外部表面48上)のゼロ距離で信号応答を発生させる。他の信号応答はベルト44または、ベルト44が露出されていない場合にはトレッド42からの他の距離で発生させる。これらの他の距離は一定間隔、例えば1ミリメータ間隔か、独立した距離または任意の公知距離で発生できる。得られた信号応答曲線38またはテーブル39を用いて信号応答を距離範囲(予想距離範囲)に変換するので、信号応答は予想距離範囲の上限および下限またはその近くに位置する距離で測定される。例えば、タイヤから除去すべき最大トレッド厚さ42(すなわちトレッドゲージ)が10ミリメートル(mm)の場合、センサー12は5mmだけオフセットする。ベルト(すなわちトレッド)上に残る材料の予想最終厚さ36は1mmにすることができる。従って、この典型タイヤの場合の信号応答曲線38の上限は17mm(オフセット距離32+トレッド厚さ34)であり、その下限は6mm(最終厚さ36+オフセット距離32、トレッド除去操作中全体にわたってセンサー12はオフセット距離32に残ると仮定)である。ベルト44の特性はベルト46の幅で変化し、信号はベルト変動で異なる応答をするので、信号応答曲線38はベルト幅46の一定部分、例えばベルト幅50の内側80%に適用できる。ベルト44の外側限界(すなわち、ベルト幅限界に近い所)での変動は一般にタイヤデザインと硬化度、例えば、ベルトおよびキャップの特定デザインと硬化したトレッドプロフィル(すなわちトレッド幅方向のクラウンまたはアーチの量)の結果である。
【0024】
信号応答曲線38を作るために信号応答を得る方法はスペーサ30を使用することによって改良できる。このスペーサ30はベルト44またはトレッド42から離れた公知の距離により正確にセンサー12を位置決めするために、センサー12とベルト44またはトレッド42との間に置くことができる。また、本発明の方法の総合効率をマニュアル法より改善することできる。スペーサ30はベルト44またはトレッド42から所望距離にセンサーを置くための一般に任意厚さのものにすることができる。本発明の一つの実施例では、スペーサ30は厚さ1mmで、1mmを整数倍した距離を得るために積み重ねることができる。また、厚さの異なる複数のスペーサ30を使用して、所望間隔または増加分の距離を得ることもできる。スペーサ30は所定タイプのセンサー12(例えば磁気センサーまたは誘導センサー)の信号応答と干渉しないようにするために非鉄材料、例えばゴム、プラスチック/ポリマーまたは紙で作ることができる。本発明の一つの実施例では、スペーサ30はセラミック材料で作られる。スペーサ30およびマニュアル操作を使用する代わりに、ベルトまたはタイヤから一定の公知の距離だけ離れるようにプログラムされたステップセンサー12を機械10に設けて信号応答を作り、曲線38を作ることもできる。
【0025】
以上、本発明を特定実施例に関して説明したが、上記の説明は単なる例示で、本発明がそれに限定されるものではないということは理解できよう。本発明の範囲および内容は特許請求の範囲の定義によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(4)の段階から成るタイヤカーカスからトレッドをバフがけして除去する方法:
(1)センサーとタイヤ中のベルトの間の距離およびタイヤ特性の関数として生じる信号応答をセンサーから受け、
(2)センサーとタイヤベルトとの間の距離およびタイヤ特性の関数を表す複数の信号応答曲線から一つの信号応答曲線を選択し、
(3)上記の信号応答曲線から受信した信号応答に対するセンサーとベルトとの間の距離を決定し、
(4)センサーとベルトとの間の距離が最終距離に達するまでトレッドをタイヤからバフがけで除去する。
【請求項2】
タイヤ特性を識別するタイヤ特性入力値を受け、このタイヤ特性入力値を用いて複数の信号応答曲線から上記の信号応答曲線を選択する段階をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の信号応答曲線から上記信号応答曲線を選択するために指令を受ける段階をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
タイヤ特性がタイヤ製造メーカ、タイヤ構造、タイヤブランド、タイヤ寸法、タイヤ形状、トレッドプロフィルまたはこれらの組合せの中から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
信号応答曲線が対応する距離と複数の信号応答とを含むテーブルの形をしている請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記の受信した信号応答に対するセンサーとベルトとの間の距離が、受信した信号応答に対して最も近い値の上記テーブル中の複数の信号応答から選択した2つの信号応答間の直線関係から距離を決定する階段から成る請求項5に記載の方法。
【請求項7】
センサーがトレッド外部表面から外側へオフセットした距離に位置し、最終距離がタイヤベルト上に残っている材料の最終的な量とオフセット距離とにほぼ等しい請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記のセンサー信号応答と第2のセンサーの応答とを比較し、第2のセンサーの応答でセンサー信号応答を較正する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
下記(a)〜(e)の段階をさらに有する請求項7に記載の方法:
(a)タイヤトレッドの外部表面から現在のオフセット距離でセンサーから、センサーとタイヤベルトとの間の距離の関数として発生する第1の較正信号応答を受け、
(b)トレッド上のゼロ距離で第2のセンサーから、第2のセンサーとタイヤベルトとの間の距離の関数として発生する第2の較正信号応答を受け、
(c)選択された応答曲線から、第1の較正信号応答に対するセンサーとベルトとの間の第1の較正距離を決定し、
(d)選択された応答曲線から、第2の較正信号応答に対するセンサーとベルトとの間の第2の較正距離を決定し、
(e)第1の較正距離から第2の較正距離を引くことによって現在のオフセット距離を決定する。
【請求項10】
第1および第2の較正信号応答を受ける階段で、第1および第2の較正信号応答がタイヤトレッドに沿った同じ位置またはその近接で発生される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータで読込み可能な媒体に記録された下記(1)〜(4)の命令を含むコンピュータープログラム:
(1)センサーとタイヤ中のベルトとの間の距離およびタイヤ特性を関数として発生する信号応答をセンサーから受けるための受信命令、
(2)選択された信号応答曲線はセンサーとタイヤベルトとの間の距離およびタイヤ特性の関数を表すように、複数の信号応答曲線の中から一つの信号応答曲線を選択するための選択命令、
(3)受信した信号応答に対して上記応答曲線からセンサーとベルトとの間の距離を決定するための決定命令、
(4)センサーとベルトとの間の距離が最終距離に達するまで、トレッドをタイヤからバフがけするバフがけ命令。
【請求項12】
タイヤ特性がタイヤ製造メーカ、タイヤ構造、タイヤブランド、タイヤ寸法、タイヤ形状、トレッドプロフィルの中から選択される請求項11に記載のコンピュータープログラム。
【請求項13】
信号応答曲線が対応する距離と複数の信号応答とを含むテーブルの形をしている請求項11に記載のコンピュータープログラム。
【請求項14】
タイヤ特性を識別するタイヤ特性入力値を受信するための受信命令と、複数の信号応答曲線から一つの信号応答曲線を選択するためにタイヤ特性入力値を使用する使用命令とをさらに有する請求項11に記載のコンピュータープログラム。
【請求項15】
センサーとタイヤ中のベルトとの間の距離の関数であるセンサー出力信号を出力するセンサーと、プロセッサとこのプロセッサが読込み可能な命令を保存するメモリー記憶装置とから成る制御装置とを含み、上記命令が下記命令から成る、タイヤカーカスからトレッドの少なくとも一部をバフがけで除去するためのタイヤバフがけ機械:
(1)センサーとタイヤ中のベルトとの間の距離およびタイヤ特性の関数として発生する信号応答をセンサーから受け取るための受信命令、
(2)複数の信号応答曲線の中から、センサーとタイヤ中のベルトとの間の距離およびタイヤ特性の関数を表す一つの信号応答を選択するための選択命令、
(3)受信した信号応答に対する、センサーとタイヤベルトとの間の距離を応答曲線から決定する決定命令、
(4)センサーとベルトとの間の距離が最終距離に達するまでトレッドをタイヤからバフがけして除去するためのバフがけ命令。
【請求項16】
センサーが近接磁気センサーである請求項15に記載のタイヤバフがけ機械。
【請求項17】
下記(1)と(2)の段階を含む、センサーとタイヤベルトとの間の距離およびタイヤ特性を関数とした信号応答曲線を作る方法:
(1)センサーとベルトと間の距離およびタイヤ特性の関数として発生される、ベルトから互いに異なる複数の距離での信号応答をセンサーから受け、
(2)受信した信号応答を使用して、センサーとベルトとの間の距離およびタイヤ特性を関数を表す信号応答曲線を作る。
【請求項18】
タイヤトレッドの一部を除去してベルトを実質的に露出させる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
信号を受け取る階段が、上記の互いに異なる距離でセンサーとタイヤとの間に少なくとも一つのスペーサを置くことを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
異なる距離で信号を受ける階段が、ベルトに近い近接位置にある第1の距離と、センサーとタイヤとの間のオフセット距離およびベルト上の材料の初期ゲージとに等しい第2の距離から信号を受けることを含む請求項17に記載の方法。
【請求項21】
応答曲線を作る階段が、受信した信号応答を使用して対応する距離と複数の信号応答とを含むテーブルを作ることを含み、上記距離がセンサーとベルトとの間の距離を表す請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−522647(P2010−522647A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500895(P2010−500895)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/065522
【国際公開番号】WO2008/121141
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(599140471)ソシエテ ドゥ テクノロジー ミシュラン (96)
【出願人】(597011441)ミシュラン ルシェルシェ エ テクニク ソシエテ アノニム (94)
【Fターム(参考)】