説明

ミシンの糸調子装置

【課題】 回転角度区間ごとの糸張力の調整の入力の容易化を図る。
【解決手段】上軸の回転角度の変化に応じて糸張力の大きさを切り替える糸調子装置93であって、糸張力の発生源であるアクチュエータ19と、上軸の1回転中の複数の回転角度区間ごとに固有の調整比率と全回転角度区間に共通する基準糸張力量とを記憶する記憶手段54と、上軸の回転角度の変化に伴い、対応する回転角度区間の調整比率を基準糸張力量に乗じて求めた値に基づいて、アクチュエータの出力を切り替える制御を行う動作制御手段51と、基準糸張力量の変更を入力する設定入力手段81〜84とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの糸調子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のミシンにあっては、糸調子装置の糸張力を発生させる駆動源として、ソレノイドやボイスコイルモータのように出力制御可能なものを使用していた。そして、縫い糸に関わる他の構成の動作タイミングなどを考慮して、予め複数の糸張力量を設定し、各種のタイミングに応じて適正な設定糸張力量となるように駆動源の動作制御が行われていた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−220391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、各種の動作タイミングに応じて糸張力量を予め複数設定した場合、被縫製物である布地や縫い糸の材質、厚さ、太さ等の変化、その他の原因による縫製条件の変化を生じた場合には、予め設定された全ての糸張力量について調整する必要が生じるため、個別の入力作業が非常に煩雑となるという不都合があった。
本発明は、複数ある糸張力量の調整作業を容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、ミシンの縫い針の上下動を行う上軸の回転角度の変化に応じて縫製により繰り出される縫い糸に付与する糸張力の大きさを切り替える糸調子装置であって、縫い糸に対する糸張力の発生源であるアクチュエータと、ミシンモータにより回転駆動される上軸の一回転中の複数の回転角度区間ごとに固有の調整比率と全回転角度区間に共通する基準糸張力量とを記憶する記憶手段と、上軸の回転角度の変化に伴い、対応する回転角度区間の調整比率を基準糸張力量に乗じて求めた値に基づいて、アクチュエータの出力を切り替える制御を行う動作制御手段と、基準糸張力量の変更を入力する設定入力手段と、を備える、という構成を採っている。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、ミシンは、布送り方向に交差する方向に沿って往復の針振りを行う針振り機構を備え、記憶手段は、各回転角度区間ごとの調整比率を、往復の一方の方向への針振りと他方の方向への針振りとで別々に記憶可能とし、動作制御手段は、一方方向への針振りと他方方向への針振りとで、それぞれ対応する回転角度区間の調整比率を基準糸張力量に乗じて求めた値に基づいて、アクチュエータの出力を切り替える制御を行う、という構成を採っている。
【0006】
請求項3記載の発明は、ミシンの縫い針の上下動を行う上軸の回転角度の変化に応じて縫製により繰り出される縫い糸に付与する糸張力の大きさを切り替える糸調子装置であって、縫い糸に対する糸張力の発生源であるアクチュエータと、ミシンモータにより回転駆動される上軸の一回転中の複数の回転角度区間ごとに固有の糸張力量と全回転角度区間に共通する調整比率とを記憶する記憶手段と、上軸の回転角度の変化に伴い、対応する回転角度区間の糸張力量に調整比率を乗じて求めた値に基づいて、アクチュエータの出力を切り替える制御を行う動作制御手段と、調整比率の変更を入力する設定入力手段と、を備える、という構成を採っている。
【0007】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明と同様の構成を備えると共に、ミシンは、布送り方向に交差する方向に沿って往復の針振りを行う針振り機構を備え、記憶手段は、各回転角度区間ごとの糸張力量を、往復の一方の方向への針振りと往復の他方の方向への針振りとで別々に記憶可能とし、動作制御手段は、往復一方方向への針振りと他方方向への針振りとで、それぞれ対応する回転角度区間の糸張力量に調整比率を乗じて求めた値に基づいて、アクチュエータの出力を切り替える制御を行う、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明は、上軸の一回転中の回転角度が複数の回転角度区間に分割され、上軸の現在の回転角度がいずれの回転角度区間に属するかに応じて、該当回転角度区間に応じた糸張力となるようにアクチュエータの制御が行われる。
各回転角度区間で制御の目標となる糸張力は、各回転角度区間ごとに固有に設定された調整比率と全回転角度区間に共通する基準糸張力量との乗算値により求められる。
そして、被縫製物である布地や縫い糸の材質、厚さ、太さ等の変化、その他の原因による縫製条件の変化を生じた場合には、全回転角度区間を通じて糸張力を調整する必要がある。
このような場合には、設定入力手段により、基準糸張力量を変更し、各回転角度区間で縫い糸に付与される糸張力を全体的に調整する。
これにより、複数ある回転角度区間ごとにその設定糸張力を個別に変更入力する必要がなくなり、煩雑性を解消すると共に入力作業の高効率化を図ることが可能となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、往復の針振りが行われる場合に、往復の一方方向への針振りの際に各回転角度区間ごとに縫い糸に付与する糸張力と、他方方向への針振りの際に各回転角度区間ごとに縫い糸に付与する糸張力とがそれぞれ別々の値となるように制御される。
縫い針と糸調子装置の位置関係によっては、均一な抵抗力を縫い糸に付与している場合であっても、針振りを行うと、その一方方向への移動と他方方向への移動とで糸経路が変化することにより、発生する糸張力が変化する場合がある。
そのような場合であっても、往復の一方方向と他方方向のそれぞれの移動において、各回転角度区間について糸張力が設定されることで、縫い針の往復移動における一方と他方のそれぞれの場合について、適正な糸張力の付与が可能となる。
また、上記制御を行うためには、往復の双方向について複数の回転角度区間が設定されるので、回転角度区間数が増加して当該各回転角度区間ごとの糸張力の調整はより煩雑となるところだが、本発明では、基準糸張力量を変更し、各回転角度区間で縫い糸に付与される糸張力を全体的に調整することが可能である。
従って、針振りが行われるミシンにこそ、多数ある回転角度区間ごとにその設定糸張力を個別に変更入力する必要がなくなり、さらなる煩雑性を解消すると共に入力作業のさらなる高効率化を図ることが可能となる。
【0010】
請求項3記載の発明も請求項1記載の発明とほぼ同様に、上軸一回転中の回転角度を複数に区分してなる各回転角度区間に応じて固有の糸張力の付与が行われる。
そして、各回転角度区間で制御の目標となる糸張力は、各回転角度区間ごとに固有に設定された糸張力量と全回転角度区間に共通する調整比率との乗算値により求められる。
そして、全回転角度区間を通じて糸張力を調整する必要がある場合には、設定入力手段により、調整比率を変更し、各回転角度区間で縫い糸に付与される糸張力を全体的に調整する。
これにより、複数ある回転角度区間ごとにその設定糸張力を個別に変更入力する必要がなくなり、煩雑性を解消すると共に入力作業の高効率化を図ることが可能となる。
【0011】
請求項4記載の発明も請求項2記載の発明とほぼ同様に、針振りの往復の一方と他方の方向について別々に、複数回転角度区間ごとに糸張力が制御される。
従って、往復の一方方向と他方方向のそれぞれの移動において、各回転角度区間について糸張力が設定されることで、縫い針の往復移動における一方と他方のそれぞれの場合について、適正な糸張力の付与が可能となる。
また、往復による一方と他方について回転角度区間が分けられるので、回転角度区間数が増加するが、本発明では、一の調整比率を変更し、各回転角度区間で縫い糸に付与される糸張力を全体的に調整することが可能である。
従って、かかる針振りが行われるミシンにこそ、多数ある回転角度区間ごとにその設定糸張力を個別に変更入力する必要がなくなり、さらなる煩雑性を解消すると共に入力作業のさらなる高効率化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の実施形態の全体構成)
以下、本発明の実施の形態である針振りミシンたる千鳥縫いミシン100について図1乃至図11に基づいて説明する。図1は千鳥縫いミシン100の全体の概略構成を示す正面図である。
【0013】
(ミシンの全体構成)
本実施の形態に係る千鳥縫いミシン100は、図1に示すように、ミシン脚卓Z上に載置され、上面に針板が設けられたベッド部1(破線)と、ベッド部1の上方においてベッド部1と略平行に延在するアーム部2と、ベッド部1の一端部側に立設されてアーム部2の一端部を支持する胴部と、アーム部2の前端部から下方に延出して上下動自在な針棒3と、モータベルト4bを介して図示していない上軸を回転駆動するミシンモータ4と、上軸の回転駆動力により針棒3及び針棒3が保持する縫い針3aを上下動させる図示しない針駆動機構と、縫い針3aの上下動に同期して布の送り方向に直交する方向に縫い針3aを移動させる針振り行う針振り機構(図示略)と、ベッド部1上に載置された布を送る布送り装置(図示略)と、ミシン全体の動作を統合制御する動作制御手段としての制御装置5と、踏込み量によって上軸の回転速度を調節する操作ペダル7と、針振り機構が縫い針3aを移動させる針移動量や布送り装置が布を送る布送り量等の各種データを複数入力して千鳥縫い縫製に要する縫製データの設定入力を行うための各種スイッチ81〜84と、設定されたデータ等を表示する表示部8aとを有する操作パネル8と、アーム部2の正面において縫い針3aに供給される縫い糸に張力を付与する糸調子装置93とを備えて構成されている。
【0014】
なお、この千鳥縫いミシン100は、針棒3の先端に装着された縫い針3aをミシンモータ4で上下動させながら布送り装置により布を所定の方向(前後方向)に送ることで、布に縫い目を施すものである。そして、針振り機構が針棒3の先端に装着された縫い針3aを布が送られる方向に直交する方向(左右方向)に移動させることにより、千鳥縫いを施すことができるミシンである。
【0015】
(布送り装置)
布送り装置は、ミシンモータ4により上軸と同期回転する下軸の回転運動を送り歯に伝動する送り伝動機構と、送り歯の送り量を変更する送り調節機構とを備えている。
送り歯は、ベッド部1の上面に設けられた針板の下側において、長円運動を行い、長円軌跡の上の部分を移動する際に、針板に形成された送り歯出没用の貫通穴から送り方向に移動しながら上下動して針板上の被縫製物である布地を前後方向(上軸と直交する方向)に搬送する。
送り伝達機構は、下軸により同期回転を行う二つの軸を備え、一方の軸の回転駆動力を布送り方向の往復動作に替えて送り歯に付与し、もう一方の軸の回転駆動力を上下方向の往復動作に替えて送り歯に付与するように構成されている。これにより、上下と送り方向の往復動作が合成されて送り歯が長円運動を行う。
送り量調節機構は、送り伝達機構における送り方向の往復動作を伝達する所定の部材に対してその運動方向を変化させる送り調節用パルスモータ11を備えている。即ち、送り量調節機構は、送り調整用ステッピングモータ11の回転量に応じて、送り量伝達機構の送り歯に付与される布送り方向の往復運動量が増減されるように構成されており、調節用パルスモータ11の回転量の制御を行うことで布地の送り量の制御を行うことが可能となっている。
【0016】
(縫い針、針駆動機構及び針振り機構)
縫い針3aは、針棒3の下端部に装備され、針棒3は針駆動機構に支持される。
針駆動機構は、アーム部2の内部で当該アーム部2の長手方向に沿って配設され、ミシンモータ4により回転駆動される上軸と、メタル軸受けを介して針棒3を長手方向に沿って往動可能に支持する針棒支持体と、上軸の先端部に一端部が偏心して連結され、他端部が針棒に連結されたクランクロッドとを備えており、ミシンモータ4の回転駆動が上下動に変換されて針棒3に伝達されるようになっている。
さらに、針棒3を支持する針棒支持体は、アーム部2の内部において、上軸に沿った方向に往復移動可能に支持装備されており、針振り機構は、針棒支持体を上記方向に沿って移動させる針振り用パルスモータ12と、当該モータ12の回転駆動力を上軸方向に沿った進退移動力に変換して伝達するリンク体等の伝達部材を備えている。
そして、針振り用パルスモータ12の回転量の制御を行うことで針振り量の制御を行うことが可能となっている。
【0017】
(糸調子装置)
図2は、図1に開示した糸調子装置の分解斜視図である。糸調子装置93は、ミシンアーム部の先端近傍に設けられ、駆動源となるボイスコイルモータ19と、ボイスコイルモータ19により駆動する糸調子軸93aと、糸調子軸93aが挿通されてボイスコイルモータ19に対して接離方向に移動する可動皿93bと、糸調子軸93aが挿通されると共にボイスコイルモータに設けられたベース板93cと可動皿93bとの間に配置された固定皿93dと、ベース板93cとボイスコイルモータ19との間に設けられた糸調子軸ナット93e,座金93f,93g,調子バネ93hとを備えている。
上糸供給源から天秤(図示略)を介して縫い針3aに繰り出された上糸を、天秤の手前の位置で、糸調子装置93の固定皿93dと可動皿93bとの間に挟んで配し、ボイスコイルモータ19を適宜駆動させて調子バネ93hの弾性をもって挟持することで、糸調子装置93は、上糸に対して張力を付与している。また、ボイスコイルモータ19の出力を増減することで上糸に生じる張力を制御することを可能としている。そして、このボイスコイルモータ19は、制御装置5により動作制御することを可能としている。
【0018】
(千鳥縫いミシンの制御系)
図3は千鳥縫いミシン100の制御系を示すブロック図である。
制御装置5は、図3に示すように、千鳥縫いミシン100における各処理を実行するための処理プログラムが書き込まれているROM52と、処理プログラムに従って各処理を実行するCPU51と、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられ、CPU51の処理におけるワークエリアとして使用されるRAM53と、不揮発性の書き換え可能なメモリであって複数の縫製データ(千鳥縫いの縫製データ)が記憶されたEEPROM54とを備えている。
制御装置5は、図示していない入力インターフェースを介してミシンモータ4、ミシンアーム2の内部に設けられて針棒3の上下動位置としての上軸の回転位置及び回転数を検出する回転数検出手段としてのエンコーダ41、布送り装置の送り量の増減調節を行う送り調整用パルスモータ11、送り調整用パルスモータ11の回転における原点位置を検知する送り調整用パルスモータ原点センサ11a、針振りを行う針振り用パルスモータ12、針振り用パルスモータ12の回転位置を検知する針振り用パルスモータ原点センサ12a、上軸の回転数を調節する操作ペダル7、各種設定の入力を行う操作パネル8等が接続されている。
【0019】
上記操作ペダル7は、その踏量に応じた信号を出力し、制御装置5のCPU51はその信号出力に応じた回転数でミシンモータ4を回転駆動して、上軸の回転数を制御する。なお、ミシンモータ4はその電源出力回路を介して制御装置5と接続され、駆動電流値を制御することで回転数制御が行われる。
送り調整用パルスモータ11は、CPU51により、エンコーダ41の出力から認識される針落ちタイミングに対する所定のタイミングで同期を図って駆動制御され、送り歯による送り量の変更が行われるようになっている。
針振り用パルスモータ12は、CPU51により、エンコーダ41の出力から認識される針落ちタイミングに対する所定のタイミングで同期を図って駆動制御され、針振りにより縫い針3aを所定の針落ち位置に位置決めする。
ボイスコイルモータ19は、CPU51により、エンコーダ41の出力から認識される所定の上軸角度の検出により駆動制御され、糸張力の変更が行われるようになっている。
【0020】
操作パネル8は、図3に示すように、縫製データの設定入力スイッチとして、UPスイッチ81,DOWNスイッチ82,送りスイッチ83,設定スイッチ84を備えている。
また、操作パネル8は、16マスで上下二段からなる表示部8aを備えている。
【0021】
(縫製データ)
図4は千鳥縫いミシン100の縫い目を示す説明図、図5(A)は右側への針振りにおける上軸一回転中に設定された回転角度区間の一例を、図5(B)は左側への針振りにおける上軸一回転中に設定された回転角度区間の一例を、共に針棒3の上死点を0°として示す説明図である。
千鳥縫いミシン100は、布送り方向に対して左右に針振りが行われ、左側又は右側への一回の針振りにおいて設定された針数で針落ちが行われる。また、一針ごとの上軸の一回転について所定の角度範囲に分けられた複数の回転角度区間に区分されている。そして、各回転角度区間ごとに設定された糸張力が発生するようにボイスコイルモータ19の動作制御が行われる。
このため、千鳥縫いミシン100の縫製データには、縫いピッチ(一針ごとの布送り方向の送り量)、針振り量(一針ごとの左右方向の針振り量)、左右のそれぞれの針振りが何針の間で行われるかを示す針数、上軸一回転中の回転角度ごとの回転角度区間数、各回転角度区間の開始角度(上軸の回転角度)、全回転角度区間に共通する糸張力量、各回転角度区間の糸張力の調整比率が設定されている。
なお、縫製データはEEPROM54に複数記憶されているので、各データごとに識別するための縫製データ番号も設定されている。
【0022】
図4では二針間で針振りが行われる場合、即ち、一針ごとに針振り方向が切り替わる場合の縫い目が示されており、図5(A),(B)には左右それぞれの針振りにおいて、上軸の一回転が三つの回転角度区間に区分されている場合を示している。
この例では、左右に一針ずつ針落ちが行われ、各針数について三つの回転角度区間が設定されているので、合計六つの回転角度区間について糸張力が設定されることになる。
なお、針数と回転角度区間数に限定はなく、例えば、左右に三針ずつ針落ちが行われ、各針数ごとに四つの回転角度区間が設定される場合には、縫製データには合計二十四の回転角度区間について糸張力の設定が行われる。
【0023】
上述のように、上軸の一回転につき複数の回転角度区間に分けられているのは、縫い針、天秤又は針板の下方に設けられた釜機構若しくはルーパ機構により、縫い糸に張力が付与される際に、縫い糸の繰り出しにそれぞれの場合に適正な抵抗力を付与して繰り出し量の適正化を図るためである。従って、各回転角度区間の開始角度の値は、縫い針、天秤、釜若しくはルーパの動作タイミングと関連する角度に設定される場合が多い。
また、左右の針振りごとに異なる回転角度区間と異なる糸張力が設定されるのは、縫い針と糸調子装置93との位置関係によっては、左振りと右振りとで糸経路が変わることで縫い針の位置に生じる張力にも差異を生じ得ることから、これに対処するためである。
なお、千鳥縫いミシン100は、針板下方に周知の釜機構或いはルーパ機構が設けられているが、説明は省略するものとする。
【0024】
(縫製データの入力)
図6〜図9は縫製データの入力時における操作パネル8の表示部8aの表示例を示している。これらの図面を参照して、縫製データ入力時の処理について説明する。
非縫製時において操作パネル8の設定スイッチ84が入力されると、CPU51は、所定の処理プログラムに従って、表示部8aが、縫製のモードとして針振りが何針の間で行われるか、上軸一回転につきいくつの回転角度区間が設定されているか、各回転角度区間に共通する基準糸張力量、各回転角度区間に個別の調整比率、縫製データ番号を順番に表示するように制御する。
図6〜図9における表示例では、図4,5に示した例と同じように、二針間で針振りが行われ、上軸一回転につき三つの回転角度区間が設定されている縫製のモードの設定内容と、基準糸張力量が100であり、現在の縫製データは01番が選択されていることが表示されている。
上記表示状態では、CPU51は、設定値の変更の入力が可能な項目について点滅表示を行うように表示部8aの制御を行う。即ち、最初は、縫製モードの針数(図6では「2テン」)が点滅しており、送りスイッチ83の入力により回転角度区間数、基準糸張力量、縫製データ番号の順番で点滅項目が移動する。そして、点滅表示が行われている項目に対しての設定値の増減調整は、UPスイッチ81とDOWNスイッチ82の入力により行われる。つまり、これらいずれかのスイッチ81,82の入力が行われると、CPU51は、入力に応じてその項目の数値を増減するように表示切り替えを行う。また、UPスイッチ81又はDOWNスイッチ82の入力後に送りスイッチ83が入力されると、CPU51は、増減された変更数値をRAM53に一時的に記憶すると共に次の項目を点滅表示させる。
【0025】
また、縫製データ番号の点滅時にさらに送りスイッチ83が入力されると、CPU51は、表示部8aの表示を図7の表示状態に切り替える制御を行う。新たな表示画面では、上段に右振りにおける各回転角度区間の開始角度を表示し、下段に各回転角度区間ごとに設定される調整比率を表示する制御が行われる。
上記表示画面の場合も、送りスイッチ83により点滅表示項目が順番に切り替わり、点滅時にUPスイッチ81又はDOWNスイッチ82の入力によりその項目の数値の増減が表示されると共に、送りスイッチ83の入力により増減された変更数値がRAM53に一時的に記憶される。
【0026】
さらに、最終項目(図7では三番目の回転角度区間の調整比率)の点滅時にさらに送りスイッチ83が入力されると、CPU51は、表示部8aの表示を図8の表示状態に切り替える制御を行う。この表示画面では、上段に左振りにおける各回転角度区間の開始角度を表示し、下段に各回転角度区間ごとに設定される調整比率を表示する制御が行われる。
上記表示画面の場合も、送りスイッチ83により点滅表示項目が順番に切り替わり、点滅時にUPスイッチ81又はDOWNスイッチ82の入力によりその項目の数値の増減が表示されると共に、送りスイッチ83の入力により増減された変更数値がRAM53に一時的に記憶される。
【0027】
さらに、最終項目(図8では三番目の回転角度区間の調整比率)の点滅時にさらに送りスイッチ83が入力されると、一針ごとの送りピッチと一針ごとの針振り量の設定入力画面となり、上述までと同様にその設定値の変更入力が可能である。
また、上述までの各項目の設定処理の途中で設定スイッチ84が入力されると、CPU51は、表示部8aの表示を図9の表示状態に切り替える制御を行う。この表示画面では、これまでに修正されたデータに基づいてEEPROM54の書き換えを行うか、修正されたデータを新たな縫製データ番号の縫製データとして登録することを選択的に行うことが可能となっている。
つまり、現在の縫製データ番号が表示され、UPスイッチ81又はDOWNスイッチ82の入力により他の番号に選択することが可能となっている。UPスイッチ81又はDOWNスイッチ82の入力を行わずに、設定スイッチ84の入力が行われると、現在の縫製データ番号の縫製データとして、それまでの処理でRAM53に一時的に記憶されていた修正データに基づいてEEPROM54の上書き処理が行われる。
また、UPスイッチ81又はDOWNスイッチ82の入力により新たな縫製データ番号に変更すると、変更された新たな縫製データ番号の縫製データとして、それまでの処理でRAM53に一時的に記憶されていた修正データを反映した縫製データがEEPROM右54に書き加えられる処理が行われる。
【0028】
以上のようにして、縫製データの各種のパラメータが新規設定されたり、変更入力されたりする。
また、上述の記載からも明らかなように、縫製データ中には、各回転角度区間の糸張力は、当該各回転角度区間ごとに固有の調整比率と全回転角度区間に共通する基準糸張力量とにより設定されている。即ち、各回転角度区間ごとに、基準糸張力量に調整比率を乗じて求めた糸張力となるように糸調子装置93の制御が行われる。
そして、上述のように、二つの値により各回転角度区間ごとの糸張力が設定されるので、布質や糸質或いは縫い糸の太さの変更等により、およそ全回転角度区間について糸張力の設定を変更する必要性が生じた場合には、上記の操作パネル8の各種スイッチ81〜84を用いて、図6の画面表示状態において、基準糸張力量のみを変更すれば、全回転角度区間の糸張力を調整することができる。
【0029】
(縫製動作処理)
千鳥縫いミシン100の縫製時の糸調子装置93の処理について図10に基づいて説明する。図10は千鳥縫いミシン100における糸調子装置93の処理を示すフローチャートである。
なお、ここでは、CPU51により操作パネル8により予め設定されEEPROM54に記憶された針振り量に基づいて1針毎に針振り用パルスモータ12が駆動制御されて針振り機構が駆動される周知の針振り制御により針棒3の針振りが行われているものとし、図10のフローチャートにおいては、針振り用パルスモータ12の詳細の制御はその記載を省略する。
まず、縫製の前段階として、例えば、主電源投入時に、送り調整用パルスモータ原点センサ11a及び針振り用パルスモータ原点センサ12aにより、調整用パルスモータ11及び針振り用パルスモータ12の原点検索が行われる。
そして、操作ペダル7が踏まれたことを検出すると(ステップS1)、CPU51は、前述した入力処理による縫製データの読み出しを実行する。具体的には、予め選択された縫製データの基準糸張力量T、右針振り時の各回転角度区間の開始角度R1〜RN(この実施形態ではR3まで)、左針振り時の各回転角度区間の開始角度L1〜LN(この実施形態ではL3まで)、右針振り時の各回転角度区間の調整比率DR1〜DRN(この実施形態ではDR3まで)、左針振り時の各回転角度区間の調整比率DL1〜DLN(この実施形態ではDL3まで)が読み出される(ステップS2)。なお、上記各符号に添付のNは回転角度区間数を示す。
【0030】
次いで、CPU51は、ミシンモータ4の駆動を開始する制御を行う(ステップS3)。
さらに、CPU51は、現在、右針振りの実行中なのか否かを判定する(ステップS4)。縫製データ中には、上述した各設定の実行コマンドがその実行すべき順番で記憶されており、CPU51は、現在の実行コマンドから右針振りか否かを判断する。
なお、ここで右針振りの場合(ステップS4でYES)とは、縫い針3aが右から左に移動していることを示し、右針振りでない場合(ステップS4でNO)とは、縫い針3aが左から右に移動している(左針振り)ことを示しており、針振り位置とは無関係である。
【0031】
右針振りの場合には(ステップS4:YES)、ステップS5に進む。
ステップS5では、CPU51は、エンコーダ41の出力から現在の上軸角度が、右針振り時の各回転角度区間の開始角度R1〜RNのいずれであるか判定し、いずれにも該当しないときには(ステップS5:NO)、ステップS4の処理に戻り、再び針振り方向の判定を行う。
また、現在の上軸角度が、右針振り時の各回転角度区間の開始角度R1〜RNのいずれかである場合には(ステップS5:YES)、CPU51は、該当する開始角度RXの調整比率DRXに基準糸張力量Tに乗じて、糸調子装置93での出力糸張力値Pを算出する処理を実行する(ステップS6)。そして、ステップS9に進む。
【0032】
また、ステップS4で左針振りと判定された場合には(ステップS4:NO)、ステップS7に進む。
ステップS7では、CPU51は、エンコーダ41の出力から現在の上軸角度が、左針振り時の各回転角度区間の開始角度L1〜LNのいずれであるか判定し、いずれにも該当しないときには(ステップS7:NO)、ステップS4の処理に戻り、再び針振り方向の判定を行う。
また、現在の上軸角度が、左針振り時の各回転角度区間の開始角度L1〜LNのいずれかである場合には(ステップS7:YES)、CPU51は、該当する開始角度LXの調整比率DLXに基準糸張力量Tに乗じて、糸調子装置93での出力糸張力値Pを算出する処理を実行する(ステップS8)。そして、ステップS9に進む。
【0033】
ステップS9では、ステップS6又はS8で算出された出力糸張力値Pに対応する電流値でボイスコイルモータ19を駆動する動作制御を実行する。
次いで、操作ペダル7の踏み込み状態が解除されたか否かが判定され、まだ踏み込み状態が維持されているときには、ステップS4に戻り、針振り方向の判定を再び行う。かかる繰り返しにより、左右の針落ちごとに、複数の回転角度区間について個別設定された糸張力を縫い糸に付与しつつ、縫製が行われる。
【0034】
(実施形態の効果)
上述のように、千鳥縫いミシン100にあっては、左右の針振りのそれぞれについて、上軸一回転が三つの回転角度区間に分割され、上軸の現在の回転角度がいずれの回転角度区間に属するかに応じて、該当回転角度区間に応じた糸張力となるように糸調子装置93のボイスコイルモータ19の制御が行われる。
従って、上軸が一回転する間に縫い糸に対して作用する各種の構成に対して適正な糸張力の付与を行うことが可能となる。
また、糸経路の変化から右側への針振りと左側への針振りとでは糸張力の発生状態に変動を生じ得るが、右側と左側の針振りの各回転角度区間で異なる糸張力設定が可能となるため、このような場合にも適正な糸張力の付与を行うことが可能となる。
【0035】
そして、被縫製物である布地や縫い糸の材質、厚さ、太さ等の変化、その他の原因による縫製条件の変化を生じた場合には、全回転角度区間を通じて糸張力を調整する必要が生じるが、上述したように、縫製データには、各回転角度区間で制御の目標となる糸張力が、各回転角度区間ごとに固有に設定された調整比率と全回転角度区間に共通する基準糸張力量とが設定されるため、各種の設定スイッチ81〜84により、基準糸張力量のみを変更すれば、各回転角度区間で縫い糸に付与される糸張力を全体的に調整することができる。
これにより、複数ある回転角度区間ごとにその設定糸張力を個別に変更入力する必要がなくなり、煩雑性を解消すると共に入力作業の高効率化を図ることが可能となる。
【0036】
(その他)
上述した千鳥縫いミシン100では、縫製データに、全回転角度区間に共通する基準糸張力量と各回転角度区間ごとに個別の調整比率を設定したが、特にこれに限定されず、縫製データに全回転角度区間に共通する調整比率と各回転角度区間ごとに個別の糸張力量とを設定しても良い。
図11〜図13は縫製データの入力時における操作パネル8の表示部8aの表示例を示している。これらのは、前述した図6〜図8にそれぞれ対応している。
即ち、図11に示すように、最初の入力画面では、基準位置糸張力量に替えて、共通する調整比率(100パーセント)が設定されている。また、図12,13に示すように、各回転角度区間ごとに糸張力量が設定されている。これらの数値の変更調節は、前述と同様にし各スイッチ81〜84により行われる。
そして、被縫製物である布地や縫い糸の材質、厚さ、太さ等の変化、その他の原因による縫製条件の変化を生じた場合のように、全回転角度区間を通じて糸張力を調整する必要が生じると、全回転角度区間に共通する調整比率の数値変更により調整を行うことが可能である。
また、縫製時において、上軸の回転角度に応じて該当する回転角度区間に固有の糸張力量となるようにボイスコイルモータ19の動作制御を行う際には、共通する調整比率と該当区に個別に設定された糸張力量とを乗算して求める点は、前述の千鳥縫いミシン100と同様である。
つまり、縫製データに全回転角度区間に共通する調整比率と各回転角度区間ごとに個別の糸張力量とを設定しても、前述の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0037】
また、糸張力装置93の動作制御については、千鳥縫いミシンに限定されるものではないく、多種多様のミシンに応用しても良い。但し、針振りが行われないミシンにあっては、左右の各回転角度区間での個別の糸張力設定は不要である。
また、糸調子装置93の制御装置として、千鳥縫いミシン100の全体の動作制御を行う制御装置5を用いたが、糸調子装置93に固有の動作制御手段を設けても良い。
【0038】
上述した針振り機構は、制御装置5により制御が行われる針振り用パルスモータ12を備える構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、ミシンモータ4の回転駆動力を左右方向の往復移動力に変換して針棒支持体に伝達する周知の針振り機構を使用しても良い。その場合、左右への針振り方向の切り替えは、制御装置5の制御により行われるのではなく、ミシンモータ4の回転に付随して行われるので、針振り機構の構成のいずれかに現在の針振り方向を検出するセンサを設け、縫製時の処理においては当該センサ出力によりステップS4の針振り方向の判定を行うことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】発明の実施形態たる千鳥縫いミシンの全体の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1に開示した糸調子装置の分解斜視図である。
【図3】千鳥縫いミシンの制御系を示すブロック図である。
【図4】千鳥縫いミシンの縫い目を示す説明図である。
【図5】図5(A)は右側への針振りにおけるミシンモータ一回転に設定された回転角度区間の一例を示す説明図、図5(B)は左側への針振りにおけるミシンモータ一回転に設定された回転角度区間の一例を示す説明図である。
【図6】縫製データの入力時における操作パネルの表示部の最初の入力画面の表示例である。
【図7】縫製データの入力時における操作パネルの表示部の二番目の入力画面の表示例である。
【図8】縫製データの入力時における操作パネルの表示部の三番目の入力画面の表示例である。
【図9】縫製データの入力時における操作パネルの表示部の四番目の入力画面の表示例である。
【図10】千鳥縫いミシンの縫製全体の処理を示すフローチャートである。である。
【図11】調整比率の共通化を図った縫製データの入力時における操作パネルの表示部の最初の入力画面の表示例である。
【図12】調整比率の共通化を図った縫製データの入力時における操作パネルの表示部の二番目の入力画面の表示例である。
【図13】調整比率の共通化を図った縫製データの入力時における操作パネルの表示部の三番目の入力画面の表示例である。
【符号の説明】
【0040】
3a 縫い針
4 ミシンモータ(駆動モータ)
41 エンコーダ
5 制御装置
51 CPU(動作制御手段)
52 ROM
53 RAM
54 EEPROM(記憶手段)
11 送り調整用パルスモータ
12 針振り用パルスモータ
19 ボイスコイルモータ(アクチュエータ)
81 UPスイッチ(設定手段)
82 DOWNスイッチ(設定手段)
83 送りスイッチ(設定手段)
84 設定スイッチ(設定手段)
93 糸調子装置
100 千鳥縫いミシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンの縫い針の上下動を行う上軸の回転角度の変化に応じて縫製により繰り出される縫い糸に付与する糸張力の大きさを切り替える糸調子装置であって、
前記縫い糸に対する糸張力の発生源であるアクチュエータと、
前記ミシンモータにより回転駆動される前記上軸の一回転中の複数の回転角度区間ごとに固有の調整比率と全回転角度区間に共通する基準糸張力量とを記憶する記憶手段と、
前記上軸の回転角度の変化に伴い、対応する回転角度区間の調整比率を前記基準糸張力量に乗じて求めた値に基づいて、前記アクチュエータの出力を切り替える制御を行う動作制御手段と、
前記基準糸張力量の変更を入力する設定入力手段と、
を備えることを特徴とするミシンの糸調子装置。
【請求項2】
前記ミシンは、布送り方向に交差する方向に沿って往復の針振りを行う針振り機構を備え、
前記記憶手段は、前記各回転角度区間ごとの調整比率を、往復の一方の方向への針振りと往復の他方の方向への針振りとで別々に記憶可能とし、
前記動作制御手段は、前記往復の一方方向への針振りと他方方向への針振りとで、それぞれ対応する回転角度区間の調整比率を前記基準糸張力量に乗じて求めた値に基づいて、前記アクチュエータの出力を切り替える制御を行うことを特徴とする請求項1記載のミシンの糸調子装置。
【請求項3】
ミシンの縫い針の上下動を行う上軸の回転角度の変化に応じて縫製により繰り出される縫い糸に付与する糸張力の大きさを切り替える糸調子装置であって、
前記縫い糸に対する糸張力の発生源であるアクチュエータと、
前記ミシンモータにより回転駆動される前記上軸の一回転分中の回転角度区間ごとに固有の糸張力量と全回転角度区間に共通する調整比率とを記憶する記憶手段と、
前記上軸の回転角度の変化に伴い、対応する回転角度区間の糸張力量に前記調整比率を乗じて求めた値に基づいて、前記アクチュエータの出力を切り替える制御を行う動作制御手段と、
前記調整比率の変更を入力する設定入力手段と、
を備えることを特徴とするミシンの糸調子装置。
【請求項4】
前記ミシンは、布送り方向に交差する方向に沿って往復の針振りを行う針振り機構を備え、
前記記憶手段は、前記各回転角度区間ごとの糸張力量を、往復の一方の方向への針振りと往復の他方の方向への針振りとで別々に記憶可能とし、
前記動作制御手段は、前記往復の一方方向への針振りと他方方向への針振りとで、それぞれ対応する回転角度区間の糸張力量に前記調整比率を乗じて求めた値に基づいて、前記アクチュエータの出力を切り替える制御を行うことを特徴とする請求項3記載のミシンの糸調子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−263178(P2006−263178A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86148(P2005−86148)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】