説明

メール受信端末、着信報知方法、および着信報知プログラム

【課題】着信音のみでメール送信元を判別できるようにする機能は十分に活かしつつ、同時に、ユーザによるキー操作を必要とせず、その着信音を聴くだけで受信したメールのテキスト本文の内容を知ることができ、着信したメールの送信元および内容の確認を容易にすることができるようにする。
【解決手段】着信したメールテキストから感情認識エンジン(26)が感情パターン「うれしい」を取得すると、制御部(21)は感情テーブル(24)から編曲情報「高音でダイナミックに鳴音」という編曲パターンと音声合成パラメータとを取得する。音声合成部(27)は、感情パターンと編曲情報に基づいた音声合成パラメータ情報と、予め設定していた個人を判別できる着メロとを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機など、音声や振動(バイブレーション)などによりメール(電子メール)の着信を報知するメール受信端末、着信報知方法、および着信報知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機の各機能の中で、ユーザの使用頻度が高い機能は、メールの送受信である。近年の携帯電話機には、電話帳データに予め個人毎に着信音や着信画像を設定できる機能を持ち、メール着信時にメール送信元を判別できるものが多くある。
【0003】
こうした従来のメール受信端末として、着信音の素材データとスタイルデータを合成することを提案するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、メールから読み取れる送信元の情報から視覚的および聴覚的に特徴を付けて出力するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、通話音声を音声認識処理してテキストデータに変換し、そのテキストを感情に応じて色分けする変換システムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、メールタイトルにより返送メールや転送メールにはメール受信の着信音を変更し、メール本文に「至急」「緊急」の文字が含まれる場合に特別な着信音を出力するものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、着サブアドレスを用いた端末間直接文字メッセージ送信、受信機能を備えた携帯情報端末について、受信した文字メッセージに予め登録された“キンキュウ”の文字が含まれている場合は着信音を特大のブザー音に、“タノシイ”の文字が含まれている場合は着信音をメロディ1でステップトーン小から大へ、といった、予め定められた文字列が含まれる場合に着信音を変更するものがある(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2002−125067号公報
【特許文献2】特開平11−175441号公報
【特許文献3】特開2004−200985号公報
【特許文献4】特開2002−244980号公報
【特許文献5】特開2001−169014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のメール受信端末では、ユーザは着信したメールの内容を把握するために、メーラ(メール送受信ソフト)を起動してメール受信端末のキー操作によりメールを開いて読む以外に方法がなかった。
【0008】
また、上述した特許文献1のものは、メール送信者の情報に対してメロディデータを合成して作成するものであり、メール本文の情報は全く加味されることがなかった。
また、上述した特許文献2のものも、メール送信者の情報に応じて表示書体(フォント)、画像、音楽を切り替えるようにするものであり、メール本文の情報は全く加味されることがなかった。
このため、上述した特許文献1,2のものは、着信したメールの内容確認を容易にすることについてまで考慮されたものではなかった。
【0009】
また、上述した特許文献3のものは、通話音声のテキストを、音声に含まれる感情情報に応じて変換するのみで、メールテキストの内容に応じて変換する機能を備えたものではなかった。すなわち、着信したメールの内容確認を容易にすることについてまで考慮されたものではなかった。
【0010】
また、上述した特許文献4のものは、メールタイトルにより着信音を変更したり、緊急時に対応することを想定して特別な着信音を出力したりするものであり、個人毎に着信音を設定しておくことでメール着信時に送信元を判別できるようにする機能を活かすことについてまで考慮されたものではなかった。
また、上述した特許文献5のものも、“キンキュウ”など予め定められた文字列が含まれる場合に着信音を変更するものであり、個人毎に着信音を設定しておくことでメール着信時に送信元を判別できるようにする機能を活かすことについてまで考慮されたものではなかった。
すなわち、上述した特許文献4,5のものは、通常の使用状態でのメール着信時に、メール送信元とメール内容との確認を容易にすることについてまで考慮されたものではなかった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、着信音のみでメール送信元を判別できるようにする機能は十分に活かしつつ、同時に、ユーザによるキー操作を必要とせず、その着信音を聴くだけで受信したメールのテキスト本文の内容を知ることができ、着信したメールの送信元および内容の確認を容易にすることができるメール受信端末、着信報知方法、および着信報知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の態様としてのメール受信端末は、メールを送受信するメール送受信手段と、メール送信元に応じた着信音を登録する送信元登録手段と、上記メール送受信手段によるメール着信時に、上記送信元登録手段に登録された着信音でメール着信を報知する着信報知手段とを備えたメール受信端末であって、上記送信元登録手段に登録された着信音を、上記メール送受信手段により受信されたメール本文に含まれる情報に応じて編集する編集手段を備え、上記着信報知手段は、上記編集手段により編集された着信音により着信を報知することを特徴とする。
【0013】
上記メール送受信手段により受信されたメール本文に含まれる情報を解析する内容解析手段を備え、上記編集手段は、メール送信元に関連付けて登録された着信音を、上記内容解析手段により解析された解析内容に応じて編集することが好ましい。
【0014】
上記内容解析手段により解析された解析内容に、上記編集手段による編集内容を関連付けて格納する編集内容テーブルを備え、上記編集手段は、メール送信元に関連付けて登録された着信音を、上記編集内容テーブルの編集内容により編集することが好ましい。
【0015】
上記編集手段は、上記内容解析手段により解析された解析内容が複数種類である場合、メール送信元に関連付けて登録された着信音の鳴音時間を当該解析内容の数に分割し、該分割された着信音を各解析内容に応じて編集することが好ましい。
【0016】
上記編集手段は、上記送信元登録手段に登録された着信音の音圧、音程、音階、テンポの少なくとも何れかを変化させることにより編集することが好ましい。
【0017】
上記送信元登録手段に登録される着信音は、メール送信元に関連付けて登録される楽曲であることが好ましい。
【0018】
上記内容解析手段は、上記メール送受信手段により受信されたメール本文に含まれる感情を認識し、上記編集手段は、メール送信元に応じて定められた着信音を、上記内容解析手段により認識された感情に応じて編集することが好ましい。
【0019】
また、本発明の第2の態様としての着信報知方法は、メール送信元に応じた着信音を登録する送信元登録手段を備え、メール送信元に応じた着信音でメール着信を報知できるメール受信端末における着信報知方法であって、メールを受信するメール受信工程と、上記送信元登録手段に登録された着信音を、上記メール受信工程により受信されたメール本文に含まれる情報に応じて編集する編集工程と、上記編集工程により編集された着信音により着信を報知する着信報知工程と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
上記メール受信工程で受信されたメール本文に含まれる情報を解析する内容解析工程を備え、上記編集工程では、メール送信元に関連付けて上記送信元登録手段に登録された着信音を、上記内容解析工程により解析された解析内容に応じて編集することが好ましい。
【0021】
上記編集工程では、上記内容解析工程により解析された解析内容に編集内容を関連付けて格納した編集内容テーブルを用いて、メール送信元に関連付けて登録された着信音を、該編集内容テーブルの編集内容により編集することが好ましい。
【0022】
上記編集工程では、上記内容解析工程により解析された解析内容が複数種類である場合、メール送信元に関連付けて登録された着信音の鳴音時間を当該解析内容の数に分割し、該分割された着信音を各解析内容に応じて編集することが好ましい。
【0023】
上記編集工程では、上記送信元登録手段に登録された着信音の音圧、音程、音階、テンポの少なくとも何れかを変化させることにより編集することが好ましい。
【0024】
上記送信元登録手段に登録される着信音は、メール送信元に関連付けて登録される楽曲であることが好ましい。
【0025】
上記内容解析工程では、上記メール受信工程で受信されたメール本文に含まれる感情を認識し、上記編集工程では、メール送信元に応じて定められた着信音を、上記内容解析工程により認識された感情に応じて編集することが好ましい。
【0026】
また、本発明の第3の態様としての着信報知プログラムは、メール送信元に応じた着信音を登録する送信元登録手段を備え、メール送信元に応じた着信音でメール着信を報知できるメール受信端末における着信報知プログラムであって、コンピュータに、メールを受信するメール受信処理と、上記送信元登録手段に登録された着信音を、上記メール受信処理により受信されたメール本文に含まれる情報に応じて編集する編集処理と、上記編集処理により編集された着信音により着信を報知する着信報知処理と、を実行させることを特徴とする。
【0027】
上記コンピュータに、上記メール受信処理で受信されたメール本文に含まれる情報を解析する内容解析処理を実行させ、上記編集処理では、メール送信元に関連付けて上記送信元登録手段に登録された着信音を、上記内容解析処理により解析された解析内容に応じて編集することが好ましい。
【0028】
上記編集処理では、上記内容解析処理により解析された解析内容に編集内容を関連付けて格納した編集内容テーブルを用いて、メール送信元に関連付けて登録された着信音を、該編集内容テーブルの編集内容により編集することが好ましい。
【0029】
上記編集処理では、上記内容解析処理により解析された解析内容が複数種類である場合、メール送信元に関連付けて登録された着信音の鳴音時間を当該解析内容の数に分割し、該分割された着信音を各解析内容に応じて編集することが好ましい。
【0030】
上記編集処理では、上記送信元登録手段に登録された着信音の音圧、音程、音階、テンポの少なくとも何れかを変化させることにより編集することが好ましい。
【0031】
上記送信元登録手段に登録される着信音は、メール送信元に関連付けて登録される楽曲であることが好ましい。
【0032】
上記内容解析処理では、上記メール受信処理で受信されたメール本文に含まれる感情を認識し、上記編集処理では、メール送信元に応じて定められた着信音を、上記内容解析処理により認識された感情に応じて編集することが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明によれば、着信音のみでメール送信元を判別できるようにする機能は十分に活かしつつ、同時に、ユーザによるキー操作を必要とせず、その着信音を聴くだけで受信したメールのテキスト本文の内容を知ることができ、着信したメールの送信元および内容の確認を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明に係るメール受信端末、着信報知方法、および着信報知プログラムを、携帯電話機に適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
まず、本実施形態の概要について説明する。
【0035】
本実施形態は、着信メロディを個人名(登録名)に関連付けて指定できる電話帳(Phonebook)機能を備えた携帯電話機について、メール着信時にメール本文のテキスト内容を読まなくても、メール受信音の鳴り方によって、メール送信者(発信元)情報およびメール本文の感情情報を知ることができることを特徴とする。
【0036】
電話帳は、登録名毎に着信メロディを登録できる機能を持つ。予め、感情パターンと着信の編曲パターンを組み合わせた感情テーブルを作成しておくことで、メール着信時に、感情認識エンジンがメールテキストの内容から感情パターンを取得する。携帯電話機の制御部は、予め割り当てられていた感情テーブルから感情パターンと組み合わせた編曲情報を取り出す。取り出した編曲情報に基づいて、着信メロディと編曲内容を合成し、編曲された着信メロディを作成する。
【0037】
こうして完成した編曲着信メロディをメール着信時の着信音として鳴音させることにより、ユーザは、メールの着メロ(着信メロディ)を聴くだけで、メールを受信後にメールを開かなくても、送信者とメール本文の感情パターンを想定することができる。
【0038】
次に、本実施形態としてのメール着信音編集機能付き携帯電話機の構成について、図面を参照して説明する。
参照図面は、図1の本実施形態におけるシステム構成図と、図2の本実施形態における携帯電話機の構成を示す図と、図3の本実施形態における文字登録例である。
【0039】
本実施形態では、図1に示すように、メールを送受信できる携帯電話機(11)と携帯電話機(12)とが、メールサーバ(13)を介してメールの送受信を行うことができるように構成されている。
【0040】
メール送受信が可能な本実施形態に係る携帯電話機(11)の内部の構成について、図2を参照して説明する。
携帯電話機(11)は、携帯電話機(12)などとのメールを送受信する無線通信部(22)を有し、制御部(21)により各回路を制御する。
【0041】
また、不図示の記憶部に、メロディデータ(23)と、感情テーブル(24)と、Phonebook(25)とを格納する。
メロディデータ(23)の格納領域には、メール着信時に鳴らすメロディ(楽曲)を格納する。
感情テーブル(編集内容テーブル)(24)には、予め感情パターンと編曲情報をテーブル化しておく。
Phonebook(25)は、名前に、電話番号、メールアドレスなどの情報と共に、着信時の着信音を関連付けて格納し、メール送信元に応じて着信音を個別に指定できる機能を有する。
【0042】
メールを受信すると、受信したメールのテキストを読み取り、感情認識エンジン(26)にてテキスト本文からメール内容の感情パターンを読み取る。認識された感情パターンには、図3に例示するような感情テーブル(24)で関連付けられた音声合成のためのパラメータが割り当てられる。
【0043】
感情パターンに応じて割り当てられたパラメータと、メール送信元に応じて予め指定されていた着信メロディデータ(23)とを音声合成部(27)が合成し、その着信メールの着信メロディとして保持する。制御部21は、合成された着信メロディを着信したメールの着信音としてセットし、受信処理を行い、セットされたメロディをスピーカ(28)から鳴音させる。
以上のようにして、いわゆる“着メロ”といった楽曲や音声の鳴音、振動(バイブレーション)、発光表示などによる着信報知が行われる。
【0044】
感情テーブル(24)は、図3に例示するように、各感情パターンに、その感情パターンを表現するための編曲情報と、音声合成パラメータとが関連付けられて構成される。
携帯電話機(11)が着信したメールのテキスト本文を読み取った際に、感情認識エンジン(26)を起動して、テキストの内容からメール内容の感情パターンを割り出し、感情テーブル(24)を参照する。
【0045】
感情認識エンジン(26)は、メールテキストの本文からその感情を読み取るものである。「悲しい」「うれしい」という単語が記載されていなくても、前後の単語や文面から読み取る。
例えば図4に示すように、「明日は待ちに待った遠足の日です。」という文面がテキストで記載されていれば、「待ちに待った」という単語から「うれしい」という感情を読み取ることができる。感情認識エンジン(26)は、これらの感情読み取りのために予め各感情パターンに関連付けられたテキスト情報や顔文字情報などに基づいて、メール本文のテキスト情報から感情を認識するエンジンであり、公知のものを用いてもよい。
【0046】
認識される感情パターンは、例えば「悲しい」、「うれしい」、「怒り」、「楽しい」など感情を単一で表したものであり、感情テーブル(24)でそれぞれの感情パターンに関連付けられた編曲情報により、音声合成部(27)はメロディの強弱、高低、テンポなどを変えて編曲する。
【0047】
このように、感情テーブル(24)により、これら感情パターンと編曲情報とは予めテーブル化されている。感情パターンにメロディの編曲情報と音声合成パラメータとを予め関連付けておき、テーブル化してメモリに格納しておくことで、認識された感情パターンから編曲情報や音声合成パラメータを瞬時に導くことができる。
感情テーブル(24)で一致した内容には、音声合成パラメータが割り当てられる。感情パターンに応じて割り当てられたパラメータと、メール送信元に応じて予め指定されていた着信メロディデータ(23)とを音声合成部(27)が合成することで、着信したメールに応じて編曲された着信メロディを作成することができる。
【0048】
次に、本実施形態の具体的なメール着信方法と本実施形態の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
まず、携帯電話機(12)は、メーラ(メール送受信ソフト)により、作成されたメールを送信先の携帯電話機(11)に送信する。送信されたメールはメールサーバ(13)を介して携帯電話機(11)に届く(ステップS1)。
【0050】
メールサーバ(13)からメールを受信した携帯電話機(11)は、メール送信元を特定し、携帯電話機内のPhonebook(25)に登録されているかどうか確認する(ステップS2)。
Phonebookに登録されていない場合は(ステップS3;No)、通常の着メロを設定する(ステップS4)。Phonebookに登録されている場合は(ステップS3;Yes)、そのメール送信元に対して予め指定登録されてある着メロを設定する(ステップS5)。
【0051】
次にメール本文のテキストをサーチする(ステップS6)。サーチする際には、感情認識エンジン(26)を立ち上げて、本文の感情パターンをチェックする(ステップS7)。感情パターンを取得したら、予め登録しておいた感情テーブル(24)を参照し(ステップS8)、一致する感情パターンを検索する(ステップS9)。
【0052】
一致する感情パターンが見つからなかった場合は(ステップS9;No)、予め設定した着メロを編曲せずに鳴音させて、着信処理を実行する。感情パターンが一致した場合は(ステップS9;Yes)、制御部(21)は、感情テーブル(24)から割り当てられている編曲情報を取得する(ステップS10)。
【0053】
設定されている着メロに対して、音声合成部(27)は、取得した編曲情報を合成する(ステップS11)。
図4の例を用いて説明すると、着信したメールテキスト例(ステップS21)から感情認識エンジン(26)が感情パターン「うれしい」を取得すると(ステップS22)、制御部(21)は感情テーブル(24)から編曲情報「高音でダイナミックに鳴音」という編曲パターンと音声合成パラメータとを取得する(ステップS23)。
【0054】
音声合成部(27)は、感情パターンと編曲情報に基づいた音声合成パラメータ(ステップS24)情報と、予め設定していた個人(メール送信元)を判別できる着メロとを合成する。また、イコライジングパラメータのH−chとテンポ情報を既存着信メロディに付加することでダイナミックに鳴音させるよう編曲する。
【0055】
このように、本実施形態としての携帯電話機では、イコライジングパラメータでの音程コントロールなどにより、設定されている着信メロディの音圧、音程、音階を変化させたり、テンポを高速化/低速化したりすることにより、設定された着信音の編集を行う。
【0056】
制御部(21)は、編曲されたメロディデータを確定し、今回着信したメールの着信を報知する着メロとして設定し直す(ステップS12)。携帯電話機(11)は、こうして設定された着メロをスピーカ(28)から鳴音させ、メールの受信処理を完了させる(ステップS13)。
【0057】
上述した動作例により、携帯電話機(11)がメール着信動作として、編集された着メロを鳴音させるため、メール送信元である携帯電話機(12)をユーザから認識できるメロディを鳴らすことができる。また、メロディの鳴音のパターンは、感情パターンをあらわすように編集されているため、ユーザは着信時に、メール送信元と共にメール内容の感情パターンを知ることができる。
【0058】
以上のように、本実施形態の感情認識機能を用いたメール着信音作成および設定が可能な携帯電話機を用いることで、以下のような効果を得ることができる。
ユーザは、メール着信時にキー操作をしなくても、着信音を聴くだけでテキスト本文に書かれている内容について感情認識を知ることができる。
それは、感情認識機能から読み取る感情パターンと着信音の編曲情報から感情テーブルで一致する音声合成パラメータを取り出し、携帯電話機上で音声合成する。合成したメロディをそのときの着信音にすることにより、テキスト内容とメロディを組み合わせた着信音を作成することが可能となる。
【0059】
このように、本実施形態の携帯電話機は、メール着信処理前にユーザがキー操作をしなくても、ある法則に従ってメール着信音に強弱や高低をつけるなどの編曲を行なうことができる。
また、本実施形態の携帯電話機は、感情認識にてメールテキストを読み取り、感情パターンを割りだすことができる。
また、本実施形態の携帯電話機は、認識された感情パターンに、着信音を編集するための情報を関連付けて予めリスト化したデータを携帯電話機内部に持つため、端末(携帯電話機)本体だけで着信メロディの編曲ができる。
また、予め電話帳(Phonebook)にてメール送信元に関連付けて登録されている着信音に対して編曲情報を合成し、そのメール着信時の着信音設定にすることができる。
【0060】
このように、携帯電話機のユーザが頻繁に使用するメールについて、着信時の着信音のみでユーザがメール送信元を判別できると共にメール内容を把握できるため、ユーザにとって、より便利な機能を提供することができる。
【0061】
また、以上のように、上述した本実施形態によれば、送信者に応じて着信メロディに用いる曲を登録できる携帯電話機について、受信したメール本文に含まれる感情パターンに応じて登録されている楽曲を編集して出力することができる。
このため、送信者に応じて着信メロディを登録できる機能を活かしながら、同時にメール本文に含まれる感情パターンをその着信メロディだけで把握することができ、着信したメールの内容確認を容易にすることができる。
【0062】
〔他の動作例〕
次に、上述した本実施形態の動作について、メール本文から複数の感情認識を取得した場合の動作例について、図6を用いて説明する。
図6の例に示すように、メールを受信した際、メール本文から「悲しい」「怒り」「うれしい」という感情の変化を読み取った場合、メール送信元に対して予め登録されている着信音に対して、読み取った感情パターンに対応した編曲情報を付加する。
【0063】
図6の例に示すように3種類の感情パターンが取得された場合、登録されている着信音の鳴音時間を3分割し、着信音のはじめ3分の1では、メロディに対して「音圧低く小刻みに鳴音」させ、次の3分の1では「低音を響かせ激しい強弱」をつけ、最後の3分の1では「高音でダイナミックに鳴音」させる。1曲の着メロを3つのパターンで鳴音させることにより、メール送信元に対して予め登録されている着信メロディを用いながら、同時にメール本文には3つの感情パターンが存在することを、メール着信時に着信メロディだけでユーザに把握させることができる。
【0064】
このように、上述した複数の感情認識を取得した場合の動作例によれば、上述した実施形態による効果と同様の効果が得られると共に、着信音が複数の感情パターンにも対応できるため、例えばメール本文が怒りをあらわした内容のあとに楽しい話である場合など、着信音も複数感情パターンを付加して鳴音させることができる。
すなわち、送信者に応じて着信メロディを登録できる機能を活かしながら、同時に、メール本文に複数の感情パターンが含まれる場合であっても、その着信メロディだけで複数の感情パターンをユーザに把握させることができ、着信したメールの内容確認を容易にすることができる。
【0065】
〔各実施形態について〕
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、携帯電話機に適用した例について説明したが、メールを受信する機能と、そのメール着信時に着信音を出力する機能とを備えたものであればこのものに限定されず、各種の情報端末装置にも本発明は同様に適用することができる。
【0066】
また、メール着信時における着信音(着メロ)を編集することとして説明したが、いわゆるメール(電子メール)の着信時に限定されず、例えば端末間でやりとりされる文字メッセージなど、メール受信端末が受信可能な文字情報であれば各種のものであってよい。
【0067】
また、上述した各実施形態としての携帯電話機を実現するための処理手順をプログラムとして記録媒体に記録することにより、本発明の各実施形態による上述した各機能を、その記録媒体から供給されるプログラムによって、システムを構成するコンピュータのCPUに処理を行わせて実現させることができる。
この場合、上記の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
すなわち、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体および該記録媒体から読み出された信号は本発明を構成することになる。
この記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM等を用いてよい。
【0068】
この本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムによって制御されるメール受信端末に、上述した本発明に係る各実施形態における各機能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態としての携帯電話機によりメール送受信を行うためのシステム構成例を示す図である。
【図2】該携帯電話機の主要構成を概念的に示すブロック図である。
【図3】該携帯電話機の感情テーブル24の例を示す図である。
【図4】該携帯電話機による感情サーチ例を示す図である。
【図5】該携帯電話機による動作例を示すフローチャートである。
【図6】メール本文から複数の感情認識が取得された場合の動作例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
11、12 携帯電話機
21 制御部
22 無線通信部
23 メロディデータ
24 感情テーブル(編集内容テーブルの一例)
25 電話帳(Phonebook)
26 感情認識エンジン
27 音声合成部
28 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メールを送受信するメール送受信手段と、
メール送信元に応じた着信音を登録する送信元登録手段と、
前記メール送受信手段によるメール着信時に、前記送信元登録手段に登録された着信音でメール着信を報知する着信報知手段とを備えたメール受信端末であって、
前記送信元登録手段に登録された着信音を、前記メール送受信手段により受信されたメール本文に含まれる情報に応じて編集する編集手段を備え、
前記着信報知手段は、前記編集手段により編集された着信音により着信を報知することを特徴とするメール受信端末。
【請求項2】
前記メール送受信手段により受信されたメール本文に含まれる情報を解析する内容解析手段を備え、
前記編集手段は、メール送信元に関連付けて登録された着信音を、前記内容解析手段により解析された解析内容に応じて編集することを特徴とする請求項1記載のメール受信端末。
【請求項3】
前記内容解析手段により解析された解析内容に、前記編集手段による編集内容を関連付けて格納する編集内容テーブルを備え、
前記編集手段は、メール送信元に関連付けて登録された着信音を、前記編集内容テーブルの編集内容により編集することを特徴とする請求項2記載のメール受信端末。
【請求項4】
前記編集手段は、前記内容解析手段により解析された解析内容が複数種類である場合、メール送信元に関連付けて登録された着信音の鳴音時間を当該解析内容の数に分割し、該分割された着信音を各解析内容に応じて編集することを特徴とする請求項2または3記載のメール受信端末。
【請求項5】
前記編集手段は、前記送信元登録手段に登録された着信音の音圧、音程、音階、テンポの少なくとも何れかを変化させることにより編集することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のメール受信端末。
【請求項6】
前記送信元登録手段に登録される着信音は、メール送信元に関連付けて登録される楽曲であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のメール受信端末。
【請求項7】
前記内容解析手段は、前記メール送受信手段により受信されたメール本文に含まれる感情を認識し、
前記編集手段は、メール送信元に応じて定められた着信音を、前記内容解析手段により認識された感情に応じて編集することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のメール受信端末。
【請求項8】
メール送信元に応じた着信音を登録する送信元登録手段を備え、メール送信元に応じた着信音でメール着信を報知できるメール受信端末における着信報知方法であって、
メールを受信するメール受信工程と、
前記送信元登録手段に登録された着信音を、前記メール受信工程により受信されたメール本文に含まれる情報に応じて編集する編集工程と、
前記編集工程により編集された着信音により着信を報知する着信報知工程と、を備えたことを特徴とする着信報知方法。
【請求項9】
前記メール受信工程で受信されたメール本文に含まれる情報を解析する内容解析工程を備え、
前記編集工程では、メール送信元に関連付けて前記送信元登録手段に登録された着信音を、前記内容解析工程により解析された解析内容に応じて編集することを特徴とする請求項8記載の着信報知方法。
【請求項10】
前記編集工程では、前記内容解析工程により解析された解析内容に編集内容を関連付けて格納した編集内容テーブルを用いて、メール送信元に関連付けて登録された着信音を、該編集内容テーブルの編集内容により編集することを特徴とする請求項9記載の着信報知方法。
【請求項11】
前記編集工程では、前記内容解析工程により解析された解析内容が複数種類である場合、メール送信元に関連付けて登録された着信音の鳴音時間を当該解析内容の数に分割し、該分割された着信音を各解析内容に応じて編集することを特徴とする請求項9または10記載の着信報知方法。
【請求項12】
前記編集工程では、前記送信元登録手段に登録された着信音の音圧、音程、音階、テンポの少なくとも何れかを変化させることにより編集することを特徴とする請求項8から11の何れか1項に記載の着信報知方法。
【請求項13】
前記送信元登録手段に登録される着信音は、メール送信元に関連付けて登録される楽曲であることを特徴とする請求項8から12の何れか1項に記載の着信報知方法。
【請求項14】
前記内容解析工程では、前記メール受信工程で受信されたメール本文に含まれる感情を認識し、
前記編集工程では、メール送信元に応じて定められた着信音を、前記内容解析工程により認識された感情に応じて編集することを特徴とする請求項8から13の何れか1項に記載の着信報知方法。
【請求項15】
メール送信元に応じた着信音を登録する送信元登録手段を備え、メール送信元に応じた着信音でメール着信を報知できるメール受信端末における着信報知プログラムであって、
コンピュータに、
メールを受信するメール受信処理と、
前記送信元登録手段に登録された着信音を、前記メール受信処理により受信されたメール本文に含まれる情報に応じて編集する編集処理と、
前記編集処理により編集された着信音により着信を報知する着信報知処理と、を実行させることを特徴とする着信報知プログラム。
【請求項16】
前記コンピュータに、前記メール受信処理で受信されたメール本文に含まれる情報を解析する内容解析処理を実行させ、
前記編集処理では、メール送信元に関連付けて前記送信元登録手段に登録された着信音を、前記内容解析処理により解析された解析内容に応じて編集することを特徴とする請求項15記載の着信報知プログラム。
【請求項17】
前記編集処理では、前記内容解析処理により解析された解析内容に編集内容を関連付けて格納した編集内容テーブルを用いて、メール送信元に関連付けて登録された着信音を、該編集内容テーブルの編集内容により編集することを特徴とする請求項16記載の着信報知プログラム。
【請求項18】
前記編集処理では、前記内容解析処理により解析された解析内容が複数種類である場合、メール送信元に関連付けて登録された着信音の鳴音時間を当該解析内容の数に分割し、該分割された着信音を各解析内容に応じて編集することを特徴とする請求項16または17記載の着信報知プログラム。
【請求項19】
前記編集処理では、前記送信元登録手段に登録された着信音の音圧、音程、音階、テンポの少なくとも何れかを変化させることにより編集することを特徴とする請求項15から18の何れか1項に記載の着信報知プログラム。
【請求項20】
前記送信元登録手段に登録される着信音は、メール送信元に関連付けて登録される楽曲であることを特徴とする請求項15から19の何れか1項に記載の着信報知プログラム。
【請求項21】
前記内容解析処理では、前記メール受信処理で受信されたメール本文に含まれる感情を認識し、
前記編集処理では、メール送信元に応じて定められた着信音を、前記内容解析処理により認識された感情に応じて編集することを特徴とする請求項15から20の何れか1項に記載の着信報知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−207183(P2007−207183A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28743(P2006−28743)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】