説明

モノマー充填シリンジの製造方法

【課題】プランジャ治具とプランジャロッドとを連結する際、プランジャ治具が動いても、シリンジ内に充填されたモノマーの脱気状態が損なわれることなく、良好なモノマーの注入処理を行うことができるモノマー充填シリンジの製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】
ノズル12をノズルキャップ16で封止したシリンジ10に対して、ノズル12とは反対側の端部から液状のモノマーMを充填する。次に、モノマーMが充填されたシリンジ10の内部を減圧した状態で、シリンジ10の内部に対して、プランジャロッドに接続されるプランジャ治具30と同プランジャ治具30と分離して同プランジャ治具30の周囲を囲むように配置されたガスケット20とをノズル12とは反対側の端部から押し込みする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンタクトレンズ等の製造に使用される液状のモノマーを充填したモノマー充填シリンジの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状の重合性モノマーをシリンジに充填し、同シリンジから成形型のキャビティにこの充填されたモノマーを吐出した後、キャビティ内で重合して目的とするコンタクトレンズ等を製造することが行われている。この製造方法では、重合性のモノマーを少量で使用することができるとともに、少量多品種の製品を製造する場合、切換え作業(例えば、使用されるシリンジの洗浄)に手間が掛からずコスト的に有利である。
【0003】
この液状のモノマーをシリンジに充填する場合、シリンジの先端のノズルをノズルキャップにて封止した後、モノマーをシリンジに充填し、その後、減圧することにより前記モノマーを脱気した状態でシリンジ内にプランジャに連結されるプランジャ治具を押し込みすることにより、栓体として機能するようにしている。このプランジャ治具は、脱気状態を良好に保持するために充填されたモノマーが減圧状態に維持できるように高いシール性をもつものが要求される。なお、脱気状態が破れると、空気(特に酸素)により、シリンジ内で前記モノマーのラジカル重合性が阻害されてしまい好ましくない。又、水分等がシリンジ内に混入する虞がある。
【0004】
上記のようにシリンジ内に充填されたモノマーを成形型のキャビティに注入する際には、前記プランジャ治具に対して外部からプランジャロッドを連結してこのプランジャロッドを操作することにより、前記ノズルキャップを取り外したノズルから前記キャビティに注入する。
【0005】
なお、特許文献1には、真空状態で液状樹脂を注入ノズル内に注入する液状樹脂の充填装置及び充填方法が開示されている。
【特許文献1】特開2001−2190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来はプランジャロッドを連結する際にプランジャ治具が動いてしまい、プランジャ治具とシリンジとのシール性が破れてしまう虞がある。この場合、シール性が破れると、シリンジ内のモノマーが成形型のキャビティに注入される前にラジカル重合性が阻害されてしまい良好な注入処理ができなくなる虞がある。又、水分等がシリンジ内に混入する虞がある。
【0007】
なお、特許文献1には、シリンジ内に液状樹脂の充填については開示されているが、シリンジ内に充填された液状樹脂の脱気状態を保持するための構成は記載されていない。
本発明の目的は、プランジャ治具とプランジャロッドとを連結する際、プランジャ治具が動いても、シリンジ内に充填されたモノマーの脱気状態が損なわれることなく、良好なモノマーの注入処理を行うことができるモノマー充填シリンジの製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、先端のノズルをノズルキャップで封止したシリンジに対して、前記ノズルとは反対側の端部から液状のモノマーを充填し、前記モノマーが充填されたシリンジの内部を減圧した状態で、同シリンジの内部に対して、プランジャロッドに接続されるプランジャ治具と同プランジャ治具と分離して同プランジャ治具の周囲を囲むように配置されたガスケットとを前記ノズルとは反対側の端部から押し込みすることを特徴とするモノマー充填シリンジの製造方法を要旨とするものである。
【0009】
請求項1の発明によれば、上記の製造方法により製造されたモノマー充填シリンジは、押し込まれたガスケットが、良好にシリンジの内周面に対して気密を保持する。そして、プランジャロッドとプランジャ治具とが連結されるときに、プランジャ治具が動いてもガスケットが分離しているため、ガスケットが動くことはなく、ガスケットのシリンジに対するシール性が失われることがない。すなわち、ガスケットのシール性を保持した状態でプランジャロッドとプランジャ治具とが連結できる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、前記プランジャ治具には、プランジャロッドと連結するための連結手段を有することを特徴とする。請求項2の発明によれば、前記連結手段により、プランジャ治具がプランジャロッドと連結することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2において前記連結手段が雄ねじ、又は雌ねじであることを特徴とする。請求項3の発明によれば、雄ねじ、又は雌ねじによりプランジャ治具がプランジャロッドと連結することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3において、前記プランジャ治具が、前記ガスケットに対して相対回動自在に配置されていることを特徴とする。請求項4の発明によれば、プランジャ治具が前記ガスケットに対して相対回動自在に配置されていることにより、プランジャロッドがプランジャ治具の雄ねじ、又は雌ねじに対し螺合する際に、プランジャ治具が、ガスケットに拘束されることなく自由に回動でき、従って、ガスケットのシール性が失われることがない。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記ノズルキャップはスクリューキャップ構造を有することを特徴とする。請求項5の発明によれば、シリンジ内からの圧力で外れることがなく、モノマーの確実な充填作業を行うことができるとともに、外側からの衝撃等により外れることがなくシリンジの搬送時にシリンジ先端の保護が別途必要でない。
【発明の効果】
【0014】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、プランジャ治具とプランジャロッドとを連結する際、プランジャ治具が動いても、シリンジ内に充填されたモノマーの脱気状態が損なわれることなく、良好なモノマーの注入処理を行うことができるモノマー充填シリンジの製造方法を提供できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、前記連結手段により、プランジャ治具がプランジャロッドと連結することができるモノマー充填シリンジの製造方法を提供できる。
請求項3の発明によれば、雄ねじ、又は雌ねじによりプランジャ治具がプランジャロッドと連結することができるモノマー充填シリンジの製造方法を提供できる。
【0016】
請求項4の発明によれば、請求項3の効果を奏するモノマー充填シリンジを容易に得ることができる効果を奏する。
請求項5の発明によれば、シリンジ内からの圧力で外れることがなく、モノマーの確実な充填作業を行うことができるとともに、外側からの衝撃等により外れることがなくシリンジの搬送時にシリンジ先端の保護が別途必要でない効果を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、具体化した実施形態を図1〜図3を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態により製造されるモノマー充填シリンジシリンジの完成状態の一例を示すものである。図2に示すように、シリンジ10は、略円筒状に形成され、シリンジ10内は合成樹脂製のガスケット20により、上下2つの室A,Bに区画されている。下方の室Aには重合性のモノマーMが充填され、上方の室Bは、空気室となっている。室Aの下部は、図2に示すように下方が逆円錐台形状に形成されている。シリンジ10は、UV(紫外線)を遮蔽するUV遮光性を有する合成樹脂からなる。本実施形態では、シリンジ10はポリプロピレン製から形成されているが、材質を限定するものではない。なお、シリンジ10は重合性のモノマーを充填することから、UV遮光性を有することが好ましいが、後述するモノマーMが充填される室Aに対応する部分のみをUV遮光性を有するようにしてもよい。前記モノマーMは、例えば、コンタクトレンズや、眼内レンズを合成樹脂により型形成するための重合性のモノマーである。このモノマーMは、紫外線や、或いは、熱によるラジカル重合により重合が開始される不安定なものである。
【0018】
ガスケット20はシリンジ10の合成樹脂よりも軟質の合成樹脂(例えば、PTFE)から薄肉で有底円筒状に形成され、底部は下方に延出されて前記室Aの下部の逆円錐台形状の部分に挿入可能に逆円錐状に形成されている。ガスケット20は軟質材である合成樹脂にて形成されているため、柔軟性を有し、シリンジ10の内面に対して気密性(すなわち、シール性)を保持可能である。ガスケット20の材質はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に限定されるものではない。ガスケット20の外周面には図2において上部及び下部がシリンジ10の内周面に摺接するように外径が、上下方向の中央部の外径よりも長くされたシール部22,24が設けられている。そして、合成樹脂製からなるガスケット20はシール部22,24により、室Aを減圧した状態で維持可能である。
【0019】
ガスケット20には、同ガスケット20によりプランジャ治具30がその周囲が囲まれるように収納されている。プランジャ治具30は、本実施形態では、ステンレス等の金属製であって円柱状に形成されている。プランジャ治具30の外径は、ガスケット20の内径よりも若干短くされて、ガスケット20に対して相対回動自在に、すなわち、自身の軸心を中心に回動自在に配置されている。なお、プランジャ治具30の材質は、金属に限定されるものではなく、例えば合成樹脂製、木製、セラミックス、ガラス等であってもよいが、図示しないプランジャロッドと連結する必要があるため、剛性を有して、ガスケット20の材質よりも硬質の材質が好ましい。プランジャ治具30の一方の端面(図2においては上端面)の中心部には、連結手段としての雄ねじ32が突出されている。雄ねじ32は、図示しないプランジャロッドの端面に設けられた雌ねじ孔(図示しない)と螺合可能にされている。
【0020】
シリンジ10の先端面(図2においては下端面)には、ノズル12のノズル口13の周囲を囲むようにリング状の嵌合孔14が凹設されている。嵌合孔14の内周面には、雌ねじが形成されている。そして、嵌合孔14の雌ねじにノズルキャップ16が着脱自在に螺合されることによりノズル12のノズル口13が閉塞され、充填されたモノマーMが外部に漏出されないようにされている。このようにノズルキャップ16は、スクリューキャップ構造を有する。なお、嵌合孔14の雌ねじに螺合されるノズルキャップ16の雄ねじは、一条又は三条ねじにより構成されている。
【0021】
シリンジ10において、前記ノズル12とは反対側の端部(図2において、上端部)には、フランジ18が突出されている。そして、ノズル12とは反対側の端部の開口部10aには、図2に示すように有底円筒状のヘッドキャップ40が着脱自在にかつ密接に嵌合されている。ヘッドキャップ40は、例えば、シリンジ10と同材質の合成樹脂から形成され、上部のフランジ42がシリンジ10のフランジ18に係止されて、位置決めされている。
【0022】
モノマーMが充填されたシリンジ10を使用する際には、ヘッドキャップ40を取り外した状態にし、この状態で図示しないプランジャロッドを雄ねじ32に螺合してプランジャ治具30に連結し、この後、ノズルキャップ16を取り外した状態でプランジャロッドを介してプランジャ治具30を押圧する。この押圧により、プランジャ治具30を介してガスケット20が下動されることにより、モノマーMがノズル12から吐出される。
【0023】
(製造方法)
次に、モノマーMをシリンジ10に充填したシリンジの製造方法を図3(a)〜(e)を参照して説明する。
【0024】
まず、図3(a)に示すように、ノズルキャップ16、ガスケット20、プランジャ治具30、ヘッドキャップ40及びモノマーMを有しない空のシリンジ10を用意する。なお、図3(a)〜(e)に示されているCは、後述するモノマー充填システムの搬送装置110(図1参照)に設けられた把持装置(図示しない)の把持部である。
【0025】
次に、図3(b)に示すように、ノズル12の嵌合孔14に対してノズルキャップ16を螺合させ、ノズル12のノズル口13を閉塞する(図2参照)。
続いて、図3(c)に示すように液状の重合性のモノマーMを開口部10aを介してシリンジ10内に充填する。この後、シリンジ10内を減圧して溶け込んでいる空気(特に酸素)を脱気させた後、或いは、脱気しながら、図3(d)に示すように、プランジャ治具30を収納したガスケット20をシリンジ10内に押し込みしてモノマーMの液面にガスケット20の下面全体が浸るようにし、前記液面とガスケット20間に空間が存在しないようにする。
【0026】
この後、図3(e)に示すようにシリンジ10の開口部10aをヘッドキャップ40にて閉塞する。上記のようにして、モノマーMをシリンジ10に充填したシリンジ10を得ることができる。
【0027】
上記のシリンジ10内にモノマーMを充填するシステムは、例えば、図1に示すモノマー充填システムにより行うことができる。図1はモノマー充填システムの概略図である。
モノマー充填システムは、シリンジ供給部100を備え、シリンジ供給部100から供給された各シリンジ10が搬送装置110の把持装置の把持部Cにより把持された状態(図3(a)参照)で、ノズルキャップ装着部130に搬送される。ノズルキャップ装着部130では、シリンジ10が自身の軸心の回りで回転しないように把持部Cにより保持された状態で、ノズルキャップ供給部120から供給されたノズルキャップ16を、シリンジ10の嵌合孔14に対して螺合してノズル12のノズル口13を閉塞する(図3(b)参照)。
【0028】
次に、搬送装置110は、ノズルキャップ装着部130からシリンジ10をモノマー充填部140まで搬送する。モノマー充填部140は搬送されたシリンジ10内に開口部10aを介してモノマーMを充填する(図3(c)参照)。
【0029】
この後、搬送装置110はシリンジ10をプランジャ治具及びガスケット打栓部160まで搬送する。プランジャ治具及びガスケット打栓部160では、プランジャ治具及びガスケット供給部150から、プランジャ治具30がガスケット20内に収納されて組み付けられた状態で、すなわち、組付体として供給され、この組付体がシリンジ10内に図3(d)に示すように押し込まれる。
【0030】
このプランジャ治具30とガスケット20との組付体がシリンジ10内に押し込まれる際に、シリンジ10内を脱気する。
この脱気して押し込みする方法は、シリンジ10自体を真空室内においた状態で、前記組付体を押し込みする方法がある。又、他の方法としては、プランジャ治具及びガスケット打栓部160が、シリンジ10のモノマーM上面上の空間域に組付体を配置した状態で開口部10aの上端を閉塞部材(図示しない)で閉塞し、この状態で同空間域を吸引減圧した状態とする。そして、前記閉塞部材を気密状態を保持して貫通した図示しない押し込み棒をプランジャ治具及びガスケット打栓部160が作動させることにより、前記組付体を押し込みする。
【0031】
この組付体がシリンジ10内に図3(d)に示すように押し込まれた状態となった後、前記閉塞部材(図示しない)の閉塞が解除されるとともに押し込み棒が除去される。
この後、搬送装置110は、シリンジ10をヘッドキャップ打栓部180まで搬送する。ヘッドキャップ打栓部180では、ヘッドキャップ供給部170から供給されたヘッドキャップ40をシリンジ10の開口部10aに打栓する(図3(e)参照)。そして、ヘッドキャップ40が打栓された状態で、シリンジ10は、搬送装置110により排出部190まで搬送される。
【0032】
さて、上記のように構成された実施形態においては下記の特徴がある。
(1) 本実施形態では、ノズル12をノズルキャップ16で封止したシリンジ10に対して、ノズル12とは反対側の端部から液状のモノマーMを充填した。次に、モノマーMが充填されたシリンジ10の内部を減圧した状態で、シリンジ10の内部に対して、図示しないプランジャロッドに接続されるプランジャ治具30と同プランジャ治具30と分離して同プランジャ治具30の周囲を囲むように配置されたガスケット20とをノズル12とは反対側の端部から押し込みするようにした。
【0033】
この結果、図示しないプランジャロッドとプランジャ治具30とが連結されるときに、プランジャ治具30が動いてもガスケット20が別体で分離しているため、ガスケット20が動くことはなく、ガスケット20のシリンジ10に対するシール性が失われることがない。すなわち、ガスケット20のシール性を保持した状態で図示しないプランジャロッドとプランジャ治具30とを連結できる効果がある。
【0034】
(2) 又、本実施形態では、プランジャ治具30には、図示しないプランジャロッドと連結するための連結手段としての雄ねじ32を有する。この結果、雄ねじ32により、プランジャ治具30が図示しないプランジャロッドと連結することができる。
【0035】
(3) 又、本実施形態では、プランジャ治具30が、ガスケット20に対して相対回動自在に配置されている。この結果、プランジャ治具30がガスケット20に対して相対回動自在に配置されていることにより、図示しないプランジャロッドがプランジャ治具30の雄ねじ32に対し螺合する際に、プランジャ治具30が、ガスケット20に拘束されることなく自由に回動でき、従って、ガスケット20のシール性が失われることがない。
【0036】
(4) 又、本実施形態では、ガスケット20が、軟質材からなる合成樹脂製であるため、ガスケット20が柔軟性を有する。このため、シリンジ10の内周面に対して気密性を良好に保持する。
【0037】
(5) 又、本実施形態では、ノズルキャップ16はスクリューキャップ構造を有するため、シリンジ10内からの圧力で外れることがなく、モノマーMの確実な充填作業を行うことができるとともに、外側からの衝撃等により外れることがなくシリンジ10の搬送時にシリンジ先端の保護が別途必要でない効果がある。
【0038】
(6) 本実施形態では、プランジャ治具30は金属製であることから、より確実に図示しないプランジャロッドと接続でき、このため、シリンジ10内のモノマーMを使用する際に精密な吐出が可能となる。
【0039】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、下記の通りに構成してもよい。
○ 前記実施形態において、ガスケット20の底部は逆円錐状に形成したが、形状は限定されるものではなく、シリンジ10の室A全体が同径の内周面を備えるのであれば、例えば、平板状に形成したり、或いは、底面に凹面を有するように形成してもよい。
【0040】
○ 前記実施形態では、ガスケット20の材質は、合成樹脂にて構成したが、合成樹脂に限定されるものではなく、合成ゴムであってもよく、シール性が確保できる材質であれぱよい。
【0041】
○ 前記実施形態では、シリンジ10はUV遮光性を有するようにしたが、シリンジ10自体にUV遮光性を持たせるのではなく、シリンジ全体或いは、少なくとモノマーMが充填される室Aに対応する部分のみ(例えば、室Aに対応するシリンジ内面又は外面)をUV遮光性のコーティング剤でコーティング層を形成してもよい。又、シリンジ全体或いは、少なくとモノマーMが充填される室Aに対応する部分のみをUV遮光性を有するカバーで覆うようにしてもよい。このようにすれば、シリンジ10自体にUV遮光性を持たせる必要はなくなる。
【0042】
○ 前記実施形態では、ガスケット20にシール部22,24が2個設けられたが、数は限定されるものではなく、シール部を1個或いは3個以上にしてもよいことは勿論のことである。
【0043】
○ ガスケット20のシール部の代わりに、ガスケット20の外周面にOリングを配置してもよい。
○ 前記実施形態では、連結手段としての雄ねじ32をプランジャ治具30に設けたが、雄ねじ32の代わりに、プランジャ治具30の一方の端面(図2において、上端面)に雌ねじを形成してもよい。
【0044】
○ 前記実施形態では、連結手段としての雄ねじ32をプランジャ治具30に設けたが、雄ねじ32を省略する代わりに連結手段としてプランジャ治具30を例えば鉄製の磁性体にしてもよい。そして、プランジャロッド(図示しない)の先端に電磁石を設けて、同電磁石の磁力の発生の有無によりプランジャロッドとプランジャ治具30とを接続したり、或いは分離したりするようにしてもよい。
【0045】
○ 前記実施形態では、プランジャ治具30の形状を円柱状にしたが、プランジャ治具30の形状は限定されるものではなく、要はガスケット20に対して相対回動自在の形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】モノマー充填システムの概略図。
【図2】モノマー充填シリンジの全体断面図。
【図3】(a)〜(e)は、モノマー充填シリンジの製造工程を示す説明図。
【符号の説明】
【0047】
10…シリンジ、10a…開口部、12…ノズル、16…ノズルキャップ、
20…ガスケット、22,24…シール部、30…プランジャ治具、
32…雄ねじ(連結手段)、40…ヘッドキャップ、A,B…室、M…モノマー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端のノズルをノズルキャップで封止したシリンジに対して、前記ノズルとは反対側の端部から液状のモノマーを充填し、
前記モノマーが充填されたシリンジの内部を減圧した状態で、同シリンジの内部に対して、プランジャロッドに接続されるプランジャ治具と同プランジャ治具と分離して同プランジャ治具の周囲を囲むように配置されたガスケットとを前記ノズルとは反対側の端部から押し込みすることを特徴とするモノマー充填シリンジの製造方法。
【請求項2】
前記プランジャ治具には、プランジャロッドと連結するための連結手段を有することを特徴とする請求項1に記載のモノマー充填シリンジの製造方法。
【請求項3】
前記連結手段が雄ねじ、又は雌ねじであることを特徴とする請求項2に記載のモノマー充填シリンジの製造方法。
【請求項4】
前記プランジャ治具が、前記ガスケットに対して相対回動自在に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のモノマー充填シリンジの製造方法。
【請求項5】
前記ノズルキャップはスクリューキャップ構造を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のモノマー充填シリンジの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−188939(P2008−188939A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28084(P2007−28084)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】