説明

モリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法

スパッタリング対象物用の大型のMoビレットあるいはMoバーを製造する方法であって、Moを含有する二つ以上のボディは、その隣接したボディ間の隙間または結合部にMo金属粉が存する状態で、相互隣接して配置されている(例えば一方が他方に積み重なっている)。この隣接したボディは、機械加工する等して大型のスパッタリング対象物を形成可能なビレットまたはバーを提供するため、隣接ボディ間の結合部で金属−Mo粉層−金属の拡散接合すべく熱間等方加圧される。相互近接して配置されるボディの数や寸法は、スパッタリング対象物として適切な大型のビレットやバーを産出できるように要望に応じて選択される。スパッタリング対象のためのビレットまたはバーは、粒度30ミクロン未満の等軸粒子からなるミクロ構造を呈するとともに、重量比で約100ppmの低酸素含有量となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリングの対象物としてのモリブデン(Mo)を含有する大型のビレットまたはバーを製造する方法に関するものであるとともに、かかる方法によって製造されたビレットおよびスパッタリング対象物に関するものである。
【0002】
本出願においては、2004年2月27日に出願した仮出願第60/548,790号および2004年8月20日に出願した仮出願第60/603,528号に基づく利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
従来の大型のモリブデンスパッタリング対象物を製造する方法は、Mo金属粉を冷間等方加圧(CIP)し、酸素含有量を減らすべく焼結し、それから板が要望の長さ/幅/厚さになるよう熱間圧延を行うものである。それから板は最終的な許容公差に合致するよう機械加工を行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなCIP、焼結、熱間圧延によって製造されるMoスパッタリング対象物は、スパッタリング対象物の生産性や堆積薄膜のエッチング特性について欠点がある。これは、圧延工程時に形成される板のミクロ構造と関連性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
熱間等方加圧工程において、モリブデンを含有する近接ボディ間の金属−金属粉層−金属の結合部で、前記ボディを拡散接合することを含むモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法であって、前記金属粉層はモリブデンを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、実施例において、スパッタリング対象物としてのモリブデン(Mo)を含有するビレットやバーの製造方法を提供するものであって、これは、Mo含有金属粉が隣接ボディ間の結合部に存する状態でMo含有の二つ以上の焼結金属粉ボディ(例えばインゴット体)が相互近接して配置されている(例えば一方が他方に積み重なる)ものである。近接したボディは、金属−金属粉層−金属のボディ間結合部で拡散接合するように熱間等方加圧(HIP)される。これにより、機械加工する等して大型スパッタリング対象物を形成可能なビレットまたはバーが製造される。相互近接して配置されるボディの数や寸法は、スパッタリング対象物として適切な大型のビレットやバーを産出できるように要望に応じて選択される。例えば、本発明の実施によって、3000mmを越える長さで225mm×225mmの断面を有するビレットまたはバーを製造できる。
【0007】
本発明の別の実施例においては、スパッタリング対象物としてモリブデン(Mo)含有のビレットまたはバーの製造方法が提供されるのであって、これは、プリフォームを形成する第1熱間等方加圧工程において、二つ以上のMo含有の焼結金属粉ボディが、それらの一つ以上の金属−金属の結合部で拡散接合するものである。それから二つ以上のプリフォームは、Mo含有金属粉層が近接プリフォーム間の結合部に存する状態で、相互近接して配置される(例えば一方が他方に重なる)。第2熱間等方加圧工程において、この近接プリフォームは、それぞれの金属−金属粉層−金属の近接プリフォーム間結合部で拡散接合するよう熱間等方加圧し、機械加工する等して大型スパッタリング対象物を形成可能なビレットまたはバーを形成する。相互近接して配置されるプリフォームの数や寸法は、スパッタリング対象物として適切な大型のビレットやバーを産出できるように要望に応じて選択される。
【0008】
スパッタリング対象物としてのビレットまたはバーは、要望の小粒度(約30ミクロン以下)の等軸粒子を含有するミクロ構造を呈するとともに、低酸素焼結Mo金属粉ボディを使用した結果、100ppm(ppmは重量比の100万分率)未満の低酸素含有量となっている。スパッタリング対象物としてのビレットまたはバーの密度は、理論密度の99%を越えるのであって、かつて金属粉が近接ボディ間やプリフォーム間の結合部に存在したところである一つ以上の拡散接合の結合部を含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のその他の利点、特徴、および実施形態は、以下の記述により明らかになるであろう。
【実施例】
【0010】
本発明は、スパッタリング対象物としてのモリブデン(Mo)を含有する大型ビレットやバーのような長形体の製造方法を提供するものである。例示のためであって限定のためではないが、前記方法は、長さが3000mm以上で断面寸法が225mm×225mm(ミリメーター)以下のスパッタリング対象物用ビレットまたはバーの製造に使用できる。ただし、本発明の実施は、意図する目的用途に応じて適切にいかなるサイズのものも製造しうるので、特定サイズのビレットまたはバーに限定されるものではない。スパッタリング対象物用のビレットまたはバーは、要望の小粒度の等軸粒子(例えば30ミクロン以下)を含むミクロ構造を呈するのであって、以下に示すように、100ppm未満の低酸素含有量である。スパッタリング対象物用ビレットまたはバーは、理論密度の99%を越える密度を有している。
【0011】
本発明の方法の実施態様は、Moを含有し酸素含有量が100ppm未満の焼結した金属粉の板状インゴット体で開始する。このインゴット体は、加圧インゴット体を生産するために適切なラバー容器内に配置した市販のMo粉を冷間等方加圧(CIP)し、それから、その酸素含有量を重量比で100ppm未満にまで減少させるとともにその理論密度を94%以上に増加させるため、前記インゴット体を所定の環境(例えば水素)で焼結することで製造される。例示のためであって限定のためではないが、その粒度が3〜10ミクロン、純度が99.95重量%、酸素含有量が一般的に重量比で1000ppm未満の市販のMo粉を、ラバーバッグおよび鋼ダイスに充填し、Mo粉を充填したラバーバッグおよび鋼ダイスを室温、適切な圧力(15〜30ksiガス圧)で冷間等方加圧(CIP)して、ニアネットシェイプインゴット体を生産する。ただし、別のCIPパラメータを用いても良い。このニアネットシェイプインゴット体は、理論密度の60%を越える密度を有する。あるスパッタリング対象物への適用としてCIP後のインゴット体のサイズは、例えば220mm×210mmであり、厚さは約600mmである。もちろん本発明の実施は、いかなるサイズのものも意図する目的用途に適切になしうるので、この特定のサイズのCIP後のインゴット体に限定されるものではない。例えば、別の実施態様のCIP後のインゴット体のサイズは、220mm×210mm、厚さは約200mmである。それから、このCIP後のインゴット体を焼結する。例示のためであって限定するものではないが、CIP後のインゴット体は、CIP後のインゴット体の酸素含有量を重量比で100ppmまで減少させるに効果的な適切な温度、時間および環境で(例えば摂氏1800度、18〜24時間、部分的な水素雰囲気で)、誘導焼結がなされる。ただし、別の焼結パラメータを用いてもよい。例示のためであってこれに限定するものではないが、焼結したMo金属粉インゴット体は、上記寸法を基準として、理論密度の94%を越える密度を有し、99.95重量%の純度を有している。このような低酸素のインゴット体は、H.C.Starck社(ミシガン州コールドウォーター)から、要望のスパッタリング対象物を製造するに適切な種々の形状や寸法で購入可能である。
【0012】
本発明の実施例の方法における次の工程は、スパッタリング対象物用の比較的大型のビレットまたはバーを形成するための熱間等方加圧工程において、特別な結合状況下で、二つ以上のインゴット体を熱間等方加圧(HIP)することである。例えば、二つの上記インゴット体の外側上面および底面の大側面は、機械加工を行い清掃する。内寸225mm×225mm、高さ2300mmの低炭素鋼の熱間等方加圧カン(hot isostatic press can)を準備する。第1のインゴット体は、その機械加工を行った大側面が側方を向くようにして、熱間等方加圧カンに配置する。第2のインゴット体は、その機械加工を行った大側面が第1インゴット体の機械加工を行った大側面側を向くようにして、熱間等方加圧カンに配置する。インゴット体の間には、約6mmの隙間が残される。この工程は、並べられたインゴット体で熱間等方加圧カンが満たされるまで繰り返される。それから、熱間等方加圧カンに配置した第1プリフォームの機械加工を行った大側面(任意に周囲端)に、市販のMo金属粉を振りかける。例示のためであってこれに限定するものではないが、このMo金属粉は、熱間等方加圧カン内の隣接するインゴット体の隙間に層として配置される。かかる隙間を埋める市販のMo金属粉の酸素含有量は、通常、重量比で1000ppm未満である。
【0013】
熱間等方加圧カンとインゴット体との間のあらゆる隙間を埋めるため、さらにMo金属粉をインゴット体の端周囲に追加配置する。この工程は、全ての隙間が埋められるまで継続する。それから、減圧ステムを備えた熱間等方加圧カンの残りの側面は、密閉するため熱間等方加圧カンに溶接される。
【0014】
この熱間等方加圧の工程前には、溶接された側面のステムを介したヘリウムガスにより、熱間等方加圧カンの洩れ試験が行われる。冷間等方加圧および焼結を行ったインゴット体を中に有する漏れ試験済みの熱間等方加圧カンは、脱ガス炉に配置され、ステムを介して熱間等方加圧カンを減圧しながら(例えば10−5トル未満にまで)、適切な洩れ量が得られるまで(例えば100ミクロン/分未満)、適切な温度(例えば華氏600度(摂氏315度))に加熱される。それから、熱間等方加圧カンは、従来の熱間等方加圧容器に配置され、近接するインゴット体間の結合部分で金属(Mo)−金属粉(Mo)層−金属(Mo)の拡散接合がなされビレットまたはバーが形成されるよう、所定の温度、圧力、時間(例えば摂氏1236度、ガス圧1034バール、300分)で熱間等方加圧を行う。ただし、他の熱間等方加圧パラメータを用いてもよい。熱間等方加圧を行ったインゴット体の数や寸法は、スパッタリング対象物として適切な大型のビレットやバーを産出できるよう要望に応じて選択される。
【0015】
熱間等方加圧を行った最終的なスパッタリング対象物用ビレットまたはバーは、要望の小粒度(例えば約30ミクロン以下)の等軸粒子からなるミクロ構造を呈しているとともに、低酸素焼結Mo金属粉をインゴット体を使用したことや、熱間等方加圧工程によりインゴット体間の各結合部に存する市販のMo金属粉から酸素が拡散されることから、100ppm未満の低酸素含有量を呈している。例えば、熱間等方加圧工程により、酸素が市販のMo金属粉の結合部から低酸素含有量(100ppm未満)のインゴット体に拡散し、結合部における酸素含有量が重量比で100ppm未満にまで減少する。図1は、上記の工程によって、初期の金属(Mo)−金属粉(Mo)層−金属(Mo)の結合部に実現された拡散接合結合部を示す図である。従って、スパッタリング対象物用ビレットまたはバーは、かつてMo金属粉層が隣接するインゴット体の間の隙間に存したところである、一つ以上の拡散接合結合部を有している。
【0016】
本発明の別の実施態様によると、二つ以上のプリフォームを形成する第1熱間等方加圧工程において、二つ以上の上述の型の焼結Mo金属粉ブリック(インゴット体)は、それらの間の一つ以上の金属−金属の結合部で拡散接合されている。そして、これらプリフォームは、Mo金属粉層が近接プリフォーム間の結合部に存する状態で、相互に近接して配置される(例えば一方が他方に重なる)。機械加工する等して大型スパッタリング対象物を形成可能なビレットまたはバーを形成するために近接プリフォーム間の各結合部で拡散接合を行う第2熱間等方加圧工程において、これら近接プリフォームに対して熱間等方加圧を行う。相互に配置されるプリフォームの数や寸法は、スパッタリング対象物として適切な要望の大型ビレットやバーを産出できるように選択される。
【0017】
例示のためであってこれに限定されるものではないが、プリフォームを形成するため、上記のように製造された二つの板状Mo金属粉ブリックが接合する平坦な大側面(すなわち最大の面積を有する面)は、機械加工により180〜220RMS(二乗平均平方根)の表面仕上げをする。そして、それらの大側面がその間で金属−金属の結合がなされるように配置した場合に、金属−金属の結合が十分になるよう、清掃を行う。通常は、ブリックの大側面間において金属(Mo)−金属(Mo)の結合部を挟んだ状態で、焼結したブリックの一方の上に他方が積み重ねられる。積み重ねた焼結ブリックは、熱間等方加圧を行う軟鋼の熱間等方加圧カン内に配置される。例えば、積み重ねた焼結ブリックを熱間等方加圧カンの一端カバー上に配置する。それから、熱間等方加圧カンの上部カバーを、積み重ねた焼結ブリックの上に配置し、それから上部と底部との間の熱間等方加圧カンの側面壁を積み重ねた焼結ブリック周囲に配置する。それから、この側面壁を熱間等方加圧カンの上部カバー及び底部カバーに溶接する。
【0018】
熱間等方加圧を行う前には、熱間等方加圧カンは、一端カバーに溶接したステムを用いてヘリウムガスによる漏れ試験が行われる。積み重ねた板状焼結ブリックを中に配置した漏れ試験済みの熱間等方加圧カンのいくつかは、脱ガス炉に配置され、適切な洩れ量(例えば100ミクロン/分未満)になるまでステムを介して熱間等方加圧カンを減圧しつつ(例えば10−5トル未満にまで)、適切な温度(例えば華氏600度(摂氏315度))に加熱される。それから熱間等方加圧カンは、従来の熱間等方加圧カン容器内に配置され、Mo金属粉ブリックの機械加工を行った大側面間の金属(Mo)−金属(Mo)の拡散接合部を生じさせるため、所定の温度、圧力、時間(例えば摂氏1400度、ガス圧1034バール、240分)で熱間等方加圧を行う。ただし、他の熱間等方加圧の温度、圧力、時間を用いてもよい。
【0019】
例示のためでこれに限定されるものではないが、それぞれの熱間等方加圧カンは、225mm×225mm×625mmの内寸を有している。それぞれの熱間等方加圧カンは、内部的には剥離剤としてのアルミナで被覆される。熱間等方加圧処理により、それらの内接合の大側面で拡散接合した二つの板状ブリックを挟んだサンドイッチ体を有するプリフォームが製造される。図2は、上記工程を行った板状ブリックの金属−金属の結合部における拡散接合を示す図である。
【0020】
例示のためでこれに限定されるものではないが、熱間等方加圧を行ったプリフォームは、熱間等方加圧容器から取り出され、それから各プリフォームの平坦な外側大側面を180〜220RMSの表面仕上げとなるまで機械加工する。これらプリフォームの平坦な外側大側面は、サンドイッチ体が表面と平行する拡散接合内側面と水平の水平面に配置したとき、プリフォームサンドイッチ体の上部面および底部面に相当する。
【0021】
本発明の実施態様における次の工程は、比較的大型のスパッタリング対象物用ビレットまたはバーを形成するための第2熱間等方加圧工程において、特別な結合状態で、二つ以上のプリフォームの熱間等方加圧を行うことである。例えば、大上部面および大底部面に機械加工を行い清掃を行った上述の二つのプリフォームが、以下のように熱間等方加圧カンに配置される。上部カバーを有しない低炭素鋼の熱間等方加圧カンは、225mm×225mmの寸法、2300mmの高さで提供される。プリフォームは、その機械加工を行った大側面を上に向けた状態で、(上部カバーを有していない)熱間等方加圧カン内に配置される。それから、熱間等方加圧カン内の第1プリフォームの機械加工を行った上向きの大側面に(あるいは任意に周囲端にも)、市販のMo金属粉を振りまく。例示のためであってこれに限定されるものではないが、Mo金属粉は、熱間等方加圧カン内の第1プリフォーム上に約3mmの等厚の層として配置される。層を形成するMo金属粉の酸素含有量は、通常、重量比で1000ppm未満である。
【0022】
それから、第2プリフォームは、機械加工を行ったその大側面がMo金属粉層と接触するように、Mo金属粉層がその上に存する第1プリフォームの大側面に対して下向きに対面する状態で、(上部カバーなしの)熱間等方加圧カン内に配置される。追加のMo金属粉は、(上側の)第2プリフォームの縁周囲に配置される。この工程は、熱間等方加圧カンが充填されるまで、熱間等方加圧カン内にプリフォームを追加配置して継続する。それから減圧ステムを有する熱間等方加圧カンの上部カバーは、カン側面に溶接される。
【0023】
第2熱間等方加圧工程の前には、熱間等方加圧カンは、各縁カバーに溶接したステムを用いてヘリウムガスによる漏れ試験が行われる。積み重ねた板状焼結ブリックを中に配置した漏れ試験済みの熱間等方加圧カンのいくつかは、脱ガス炉に配置され、適切な洩れ量(例えば100ミクロン/分未満)になるまでステムを介して熱間等方加圧カンを減圧しつつ(例えば10−5トル未満にまで)、適切な温度(例えば華氏600度(摂氏315度))に加熱される。それから、熱間等方加圧カンは従来の熱間等方加圧容器に配置され、プリフォーム間の結合部で金属(Mo)−金属(Mo)層−金属(Mo)の拡散接合部を生じさせるため、所定の温度、圧力、時間(例えば第1熱間等方加圧工程の熱間等方加圧温度よりも低い摂氏1236度、ガス圧1034バール、300分)で熱間等方加圧を行う。ただし、他の熱間等方加圧のパラメータを用いてもよい。第2熱間等方加圧工程において熱間等方加圧を行ったプリフォームの数や寸法は、スパッタリング対象物として適切な要望の大型ビレットやバーを産出できるように選択される。
【0024】
熱間等方加圧を行った最終的なスパッタリング対象物用ビレットまたはバーは、要望の小粒度(約30ミクロン以下)の等軸粒子を含有するミクロ構造を呈するとともに、低酸素焼結Mo金属粉ボディを使用した結果、また近接インゴット体間の結合部の市販Mo金属粉から酸素を拡散させる第2熱間等方加圧工程の結果、100ppm未満の低酸素含有量となっている。例えば、第2熱間等方加圧工程により、市販のMo金属粉結合部から酸素が低酸素含有量(100ppm未満)のインゴット体に拡散し、結合部における酸素含有量が重量比で100ppm未満にまで減少する。図1は、上記に記載の工程によって初期の金属(Mo)−金属粉(Mo)層−金属粉(Mo)の結合部に生じる拡散接合結合部を示している。そこで、スパッタリング対象物用ビレットまたはバーは、かつてMo金属粉がプリフォームの結合部に存在したところである、拡散接合結合部を有している。
【0025】
本発明の特定の実施例が上記の通りに記載されたが、当業者は、本発明は上記の実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の本発明の趣旨や範囲を逸脱することなしに種々応用改変をなしうると認めるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、スパッタリング対象物用の大型のMoビレットあるいはMoバーを製造する方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】焼結Mo金属粉インゴットボディ間の金属−金属粉層−金属の拡散接合結合部の100倍の顕微鏡写真である。
【図2】板形状の焼結Mo金属粉ブリック間の金属−金属の拡散接合結合部の100倍の顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間等方加圧工程において、モリブデンを含有する近接ボディ間の金属−金属粉層−金属の結合部で、前記ボディを拡散接合することを含むモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法であって、前記金属粉層はモリブデンを含有することを特徴とするモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法。
【請求項2】
前記金属粉層の酸素含有量は、重量比で約1000ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載のモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法。
【請求項3】
前記ボディの酸素含有量は、重量比で約100ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載のモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法。
【請求項4】
スパッタリング対象物を形成するためにビレットあるいはバーに機械加工を行うことを含むことを特徴とする請求項1に記載のモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法。
【請求項5】
各プリフォームを形成する第1熱間等方加圧工程において、前記ボディは、それぞれ、焼結した近接のモリブデン金属粉ボディを金属−金属の結合部で拡散接合することで製造されたプリフォームからなることを特徴とする請求項1に記載のモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法。
【請求項6】
前記焼結モリブデン金属粉ボディの酸素含有量は、重量比で100ppm未満であることを特徴とする請求項5に記載のモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法。
【請求項7】
モリブデン含有ボディを相互近接して配置すること、モリブデン含有金属粉を前記近接ボディ間に供給すること、熱間等方加圧工程において、前記近接ボディ間に金属粉が存する状態で前記近接ボディを拡散接合することを含むことを特徴とするモリブデンを含有するビレットあるいはバーを製造する方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかの工程により製造されたスパッタリング対象物用のビレットあるいはバー。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかの工程により製造されたスパッタリング対象物。
【請求項10】
粒度30ミクロン以下の等軸粒子からなる熱間等方加圧を行ったミクロ組織を有し、その酸素含有量が重量比で100ppm未満であることを特徴とするスパッタリング対象物用のビレットあるいはバー。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−525599(P2007−525599A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501039(P2007−501039)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/006229
【国際公開番号】WO2005/084242
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506288874)ホーメット コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】