説明

ラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置

【課題】従来に比してより信頼性の高いラムダセンサの応答性の良否判断を可能とする。
【解決手段】車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に(S110)、エンジンの一つの気筒に対して微小噴射を行い、その際のラムダセンサ13の出力信号に対して周波数解析を施して周波数スペクトルを得(S112,S114)、その周波数スペクトルの所定周波数において、所定レベルを越えるスペクトルが生じている場合、ラムダセンサ13の極希薄領域の応答性に問題無しと判定する(S118)一方、所定レベルを超えるスペクトルが生じていない場合にはラムダセンサ13の極希薄領域の応答性に問題有りと判定する(S120)よう構成されてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス中の酸素濃度を測定するため等に用いられるラムダセンサの診断方法に係り、特に、ラムダセンサの応答性診断の信頼性向上等をを図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるラムダセンサは、O2センサ(酸素センサ)とも称され、ディーセルエンジンにおいては、その空燃費の制御に必要な排気ガス中の酸素濃度を得るセンサとして重要な構成部品であり、その良否や劣化の有無を確実、的確に把握することは極めて重要な課題である。そのため、従来から種々の診断方法、装置等が提案されている。
例えば、特許文献1には、ラムダセンサの出力値と、エンジン回転数と燃料噴射量に基づいて算出されたラムダセンサの出力予測値との偏差をしき値と比較し、その比較結果によりラムダセンサの故障の有無を判定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−212994号公報(第3−6頁、図1−図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方法は、ラムダセンサの出力値そのものを評価するものではなく、予測値との差分に対する相対評価であるため、故障の有無を比較的概略的に把握するに適したものではあるが、診断結果の信頼性等においては十分であるとは言い難いものである。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、より信頼性の高いラムダセンサの応答性診断方法、特に、極希薄領域での診断を可能としたラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法は、
車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に、エンジンの一つの気筒に対して微小噴射を行い、その際のラムダセンサの出力信号に対して周波数解析を施して周波数スペクトルを得、前記周波数スペクトルの所定周波数において、所定レベルを越えるスペクトルが生じている場合、前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題無しと判定する一方、所定レベルを超えるスペクトルが生じていない場合には前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題有りと判定するよう構成されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法は、
車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に、ラムダセンサの出力信号を無噴射時出力信号として取得する一方、エンジンの一つの気筒に対して微小噴射を行い、その際のラムダセンサの出力信号を微小噴射時出力信号として取得し、前記無噴射時出力信号及び前記微小噴射時出力信号のそれぞれに対して周波数解析を施し、それぞれ周波数スペクトルを得、前記周波数スペクトルの所定周波数において、双方のスペクトルレベルの差が、所定値を越える場合、前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題無しと判定する一方、所定値を超えていない場合には前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題有りと判定するよう構成されてなるものも好適である。
さらに、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るコモンレール式燃料噴射制御装置は、
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能として構成されてなると共に、前記高圧ポンプ及び燃料噴射弁の動作を制御する電子制御ユニットを有してなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に、前記エンジンの一つの気筒の燃料噴射弁に対して、微小噴射を実行せしめ、その際のラムダセンサの出力信号に対して周波数解析を施して周波数スペクトルを得、前記周波数スペクトルの所定周波数において、所定レベルを越えるスペクトルが生じているか否かを判定し、所定レベルを越えるスペクトルが生じていると判定された場合、前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題無しと判定する一方、所定レベルを超えるスペクトルは生じていないと判定された場合には前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題有りと判定するよう構成されてなるものである。
またさらに、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るコモンレール式燃料噴射制御装置は、
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能として構成されてなると共に、前記高圧ポンプ及び燃料噴射弁の動作を制御する電子制御ユニットを有してなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に、ラムダセンサの出力信号を無噴射時出力信号として取得する一方、前記エンジンの一つの気筒の燃料噴射弁に対して、微小噴射を実行せしめ、その際のラムダセンサの出力信号を微小噴射時出力信号として取得し、前記無噴射時出力信号及び前記微小噴射時出力信号のそれぞれに対して周波数解析を施し、それぞれ周波数スペクトルを得、前記周波数スペクトルの所定周波数において、双方のスペクトルレベルの差が、所定値を越えるか否かを判定し、所定値を越えると判定された場合、前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題無しと判定する一方、所定値を超えていないと判定された場合には前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題有りと判定するよう構成されてなるものも好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、微小噴射によりラムダセンサの応答性の良否を確実に把握することができ、従来に比してより信頼性の高い診断方法を提供することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態におけるラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法が適用される内燃機関の燃料噴射制御装置の構成例を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるラムダセンサの取付状態を模式的に示すエンジン近傍の模式図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法が適用される燃料噴射制御装置において実行されることを前提とする従来の燃料噴射量補正制御の概略を説明するための模式図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるラムダセンサの極希薄領域応答性診断処理の第1の実施例における処理手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるラムダセンサの極希薄領域応答性診断処理の第2の実施例における前半部分の処理手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態におけるラムダセンサの極希薄領域応答性診断処理の第2の実施例における後半部分の処理手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態におけるラムダセンサの出力酸素濃度の周波数解析結果を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図7を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法が適用される内燃機関の燃料噴射制御装置の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
図1に示された内燃機関の燃料噴射制御装置は、具体的には、特に、コモンレール式燃料噴射制御装置が構成されたものとなっている。
【0010】
このコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をディーゼルエンジン(以下「エンジン」と称する)3の気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁(インジェクタ)2−1〜2−nと、燃料噴射制御処理や後述する調量弁の駆動制御処理などを実行する電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)4を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
かかる構成自体は、従来から良く知られているこの種の燃料噴射制御装置の基本的な構成と同一のものである。
【0011】
高圧ポンプ装置50は、フィードポンプ5と、調量弁6と、燃料供給ポンプとしての高圧ポンプ7とを主たる構成要素として構成されてなる公知・周知の構成を有してなるものである。
かかる構成において、燃料タンク9の燃料は、フィードポンプ5により汲み上げられ、調量弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。調量弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4に制御されることで、高圧ポンプ7への供給燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
【0012】
なお、フィードポンプ5の出力側と燃料タンク9との間には、戻し弁8が設けられており、フィードポンプ5の出力側の余剰燃料を燃料タンク9へ戻すことができるようになっている。
また、フィードポンプ5は、高圧ポンプ装置50の上流側に高圧ポンプ装置50と別体に設けるようにしても、また、燃料タンク9内に設けるようにしても良いものである。
【0013】
燃料噴射弁(インジェクタ)2−1〜2−nは、ディーゼルエンジン3の気筒毎に設けられており、それぞれコモンレール1から高圧燃料の供給を受け、電子制御ユニット4による噴射制御によって燃料噴射を行うようになっている。
本発明のコモンレール1には、余剰高圧燃料をタンク9へ戻すリターン通路(図示せず)に、電磁制御式の圧力制御弁12が設けられており、調量弁6と共にレール圧の制御に用いられるようになっている。
【0014】
電子制御ユニット4は、例えば、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータ(図示せず)を中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を有すると共に、燃料噴射弁2−1〜2−nを駆動するための駆動回路(図示せず)や、調量弁6や圧力制御弁12への通電を行うための通電回路(図示せず)を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
かかる電子制御ユニット4には、コモンレール1の圧力を検出する圧力センサ11の検出信号やラムダセンサ13の出力信号、さらには、エンジン回転センサ14の出力信号が入力される他、アクセル開度、外気温度、大気圧などの各種の検出信号が、エンジン3の動作制御や燃料噴射制御などに供されるために入力されるようになっている。
【0015】
図2には、特に、ラムダセンサ13の取付状態を模式的に示すエンジン近傍の模式図が示されており、以下、同図について説明する。
本発明の実施の形態におけるエンジンシステムには、排出ガス中の窒素酸化物 (NOx) 低減や燃費向上等のため、排気ガス再循環装置101が設けられたものとなっている。
本発明の実施の形態における排気ガス再循環装置101は、公知・周知の構成を有してなるものである。すなわち、まず、排気ガス再循環装置101においては、排気ガスのエネルギーを利用して吸入空気の圧縮を可能とするターボチャージャ21が設けられている。
【0016】
また、吸気管22と排気管23の適宜な位置を連結する連結管24が設けられており、排気管23との接続部分には、排気管23から吸気管22側へ帰還させる排気ガス量を調整するためのEGRバルブ25が設けられたものとなっている。
そして、排気管23の下流側にあっては、ラムダセンサ13が設けられて、排気ガス中の酸素濃度の検出が可能となっている。
【0017】
かかる構成において、本発明の実施の形態においては、次述するような微小噴射量学習処理が電子制御ユニット4により実行されるよう構成されてなるものであることを前提としている。
本発明の実施の形態において前提とされる微小噴射量学習処理は、従来装置においても行われているもので、燃料噴射弁2−1〜2−nの劣化や故障等に起因して、特に、パイロット噴射における燃料噴射量の本来の燃料噴射量からのずれを補正するためのものである。
【0018】
すなわち、かかる微小噴射量学習処理について概説すれば、この微小噴射量学習処理においては、まず、エンジン3がオーバーラン状態(無噴射状態)にある場合に、レール圧に応じた微小噴射量が設定されて、その微小噴射量による燃料噴射、すなわち、微小噴射が数十回程度実行され、その際に生ずるエンジン回転数の変動の周波数成分が平均値として抽出される。なお、かかる処理は、各燃料噴射弁2−1〜2−n毎に行われるものとなっている。
次いで、その変動周波数成分を基に、その時に実際に噴射されたであろう燃料量の推定値(推定噴射量)が算出される。
【0019】
そして、初回に算出された推定噴射量が、レール圧毎に定められた所定の閾値を上回る場合には、推定噴射量が所定の閾値に向かって下降してゆき所定の閾値にほぼ収束するように、微小噴射における微小噴射量が減じられつつ推定噴射量の取得が繰り返される一方、初回に算出された推定噴射量が、レール圧毎に定められた所定の閾値を下回る場合には、推定噴射量が所定の閾値に向かって上昇してゆき所定の閾値にほぼ収束するように、微小噴射における微小噴射量が増加されつつ推定噴射量の取得が繰り返され、所定の閾値に収束した際の推定噴射量を得るに要した通電時間ETと、基準通電時間との差ΔETが、差分通電時間学習値として通電時間学習値マップに記憶される。
【0020】
ここで、基準通電時間は、燃料噴射弁2−1〜2−nの各々の使用開始時点における通電時間である。換言すれば、基準通電時間は、燃料噴射弁2−1〜2−nの使用開始直前に実測された通電時間であり、燃料噴射弁2−1〜2−n毎に、レール圧と燃料噴射量とに対応する通電時間がマップ化(以下、便宜的に「基準通電時間マップ」と称する)されて、電子制御ユニット4に予め記憶されているものである。
【0021】
しかして、差分通電時間学習値ΔETが取得された際の燃料噴射量での噴射の際には、基準通電時間が差分通電時間学習値ΔETによって補正された時間が通電時間として用いられ、燃料噴射量と通電時間のずれを補正可能としたものである。なお、以下、説明の便宜上、基準通電時間を差分通電時間学習値ΔETによって補正して求められた通電時間を、「通電時間学習値」と称することとする。
【0022】
図3には、上述の微小噴射量学習処理を模式的に表した模式図が示されており、以下、同図について説明する。
同図において、「オーバーラン較正」と表記されると共に符号M2−1が付された箇所は、先に説明した、微小噴射から始まり、所定の閾値に収束せしめられた推定噴射量を得るに要した通電時間ETが算出されるまでの一連の処理を模式的に表している。
【0023】
また、図3において、符号M2−2が付された部分は、基準通電時間マップを模式的に表したものである。かかる基準通電時間マップは、燃料噴射弁2−1〜2−nの使用開始直前に実測された通電時間(基準通電時間)が記憶されたものであり、燃料噴射弁2−1〜2−n毎に、レール圧と燃料噴射量とに対応する基準通電時間がマップ化されたものである。
この基準通電時間マップから読み出される基準通電時間と上述の通電時間ETは、減算処理(図3の符号M2−3が付された箇所)により差分ΔETが求められるようになっている。
【0024】
そして、上述のようにして得られた差分ΔETの内、所定の制限範囲(符号M2−4参照)にあるもののみが符号M2−5が付された通常時間学習値マップに差分通電時間学習値ΔETとして書き込まれるようになっている。
学習値が取得された以後は、該当する目標レール圧、燃料噴射量における通電時間は、基準通電時間を学習値で補正したもの、すなわち、基準通電時間と差分通電時間学習値ΔETとの加算結果とされ(図3の符号M2−6参照)、燃料噴射弁2−1〜2−nの劣化等による通電時間、燃料噴射量のずれが補正されるようになっている。
【0025】
なお、差分通電時間学習値ΔET自体は、正負双方を採り得るので、差分通電時間学習値ΔET自体が正の値の場合には、基準通電時間+差分通電時間学習値ΔETは実際に加算処理となるが、差分通電時間学習値ΔET自体が負の値の場合、基準通電時間+差分通電時間学習値ΔETは実際には減算処理となる。
【0026】
次に、電子制御ユニット4によって実行される本発明の実施の形態におけるラムダセンサ13の極希薄領域応答性診断処理の第1の実施例について、図4を参照しつつ説明する。
電子制御ユニット4による処理が開始されると、最初に、ラムダセンサ13の極希薄領域応答性診断処理の直近の実行時から所定時間(又は所定期間)が経過したか否かが判定される(図4のステップS102参照)。ここで、所定時間、又は、所定期間は、特定の値に限定される必要はなく、使用されるラムダセンサ13の具体的な電気的特性や車両の具体的な仕様等を考慮して、試験やシミュレーション結果等に基づいて設定するのが好適である。
【0027】
ステップS102において、ラムダセンサ13の極希薄領域応答性診断処理の直近の実行時から所定時間(又は所定期間)が経過したと判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS104の処理へ進む一方、未だ所定時間(又は所定期間)経過していないと判定された場合(NOの場合)には、一連の処理を実行する必要はないとして処理を終了して、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
【0028】
ステップS104においては、先に説明した微小噴射量学習処理が終了しているか否かが判定され、微小噴射量学習処理が既に終了していると判定された場合(YESの場合)には、ステップS106の処理へ進む一方、微小噴射量学習処理が未だ終了していないと判定された場合(NOの場合)には、微小噴射量学習処理が実行され(図4のステップS108参照)、次いで、ステップS106の処理へ進むこととなる。
【0029】
ステップS106においては、車両は減速状態にあるか否かが判定されることとなる。
本発明の実施の形態においては、アクセル(図示せず)がオフで、かつ、無噴射状態にある場合に、車両が減速状態であると判定されるものとなっている。
しかして、ステップS106において、車両が減速状態であると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS110の処理へ進む一方、車両は減速状態ではないと判定された場合(YESの場合)には、車両が減速状態であると判定されるまでステップS106が繰り返されることとなる。
【0030】
ステップS110においては、エンジン回転数が所定エンジン回転数範囲内にあるか否かが判定されることとなる。
すなわち、エンジン回転数Nsが、N1を越え、且つ、N2(N1<N2)を下回っているか否かが判定され、エンジン回転数Nsが、N1を越え、且つ、N2(N1<N2)を下回っている(N1<Ns<N2)と判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS112の処理へ進む一方、N1<Ns<N2が成立していないと判定された場合(NOの場合)には、先のステップS106の処理へ戻ることとなる。
なお、本発明の実施の形態において、所定エンジン回転数範囲は、1900rpm<Ns<2100rpmに設定されたものとなっている。かかる所定エンジン回転数範囲は、後述するようにラムダセンサ13の出力信号に対する周波数解析により得られるスペクトル周波数を考慮して定められるもので、勿論、本発明の実施の形態における範囲に限定される必要は無いものである。
【0031】
ステップS112においては、ラムダセンサ出力酸素濃度の計測が実行されることとなる。すなわち、具体的には、まず、エンジン1のいずれかの気筒に対して微小噴射が行われる。この微小噴射、換言すれば、この時点の目標レール圧、目標の微小燃料噴射量に基づいて定まる燃料噴射弁2−1〜2−nの通電時間は、先に述べた微小噴射量学習処理によって得られた学習値に基づいて算出されるものとなっている。
次いで、微小噴射後におけるラムダセンサ13の出力酸素濃度が電子制御ユニット4に読み込まれ、電子制御ユニット4の適宜なデータ記憶領域に記憶される。
【0032】
次いで、ステップS112で得られたラムダセンサ13の出力酸素濃度に対して周波数解析が施され、スペクトルが算出される(図4のステップS114参照)。
ここで、周波数解析は、例えば、従来から良く知られている高速フーリエ変換(FFT)などの手法を用いたものが好適である。なお、周波数解析に用いる手法は、特定の手法に限定されるものではなく、適宜選択されるべきものである。
【0033】
次いで、ステップS114において得られたスペクトルについて、所定スペクトルが得られているか否かが判定される(図4のステップS116参照)。
すなわち、ステップS114の算出結果について、所定のスペクトル周波数において基準を越えるスペクトルが得られているか否かが判定される。
ここで、図7を参照しつつ、本発明の実施の形態におけるラムダセンサ13の出力酸素濃度の周波数解析におけるスペクトルについて説明する。
【0034】
まず、本願発明者は、ラムダセンサ13のいわゆる極希薄領域応答性、すなわち、無噴射状態、又は、無噴射に近い状態におけるラムダセンサ13の応答特性の診断について鋭意試験、研究を行った結果、車両が減速状態にある場合に、上述のように微小噴射を行うと、ラムダセンサ13が正常動作している場合には、微小噴射の無い場合に比較して、その出力酸素濃度に周波数解析を施して得られるスペクトルに明らかな変化が生ずるという知見を得るに至った。
本願発明は、そのようなラムダセンサ13の特性に基づいて、ラムダセンサの応答性の診断、特に、極希薄領域における応答性の適否を診断可能としたものである。
【0035】
図7は、上述のような微小噴射の有無によるラムダセンサ13の出力酸素濃度の周波数解析結果の一例を示すものである。
まず、図7において、横軸はスペクトル周波数を、縦軸はスペクトルのレベルを、それぞれ示している。
同図において、実線の特性線は、先に述べたようにエンジン3の一つの気筒に対して微小噴射(図4のステップS112参照)を行った際に得られたラムダセンサ13の出力酸素濃度に対して周波数解析(図4のステップS114参照)を施した場合のスペクトル算出例である。
【0036】
本発明の実施の形態においては、所定スペクトル周波数16.7Hzにおいて所定レベルを超えるスペクトルが得られている。これは、先に述べたようにエンジン3の一つの気筒に対して微小噴射(図4のステップS112参照)を行った際に、ラムダセンサ13が正常である場合に得られる出力酸素濃度に対して周波数解析を施した結果として得られるスペクトルの状態であり、ラムダセンサ13が正常であることを示すものである。
【0037】
一方、図7において、点線で示された特性線は、車両が減速状態(図4のステップS106参照)にあって、エンジン回転数が所定エンジン回転数範囲内にあり(図4のステップS110参照)、かつ、微小噴射の無い状態においてラムダセンサ13の出力酸素濃度に対して周波数解析(図4のステップS114参照)を行った場合のスペクトル例を示したものである。
微小噴射を行った場合の同図の実線で表された特性線に比して、16.7Hzにおいて近傍の周波数に比して特段高いスペクトルレベルは生じていないのが確認できるものとなっている。
【0038】
なお、周波数解析を行った際に得られるスペクトル周波数は、エンジン3の回転数に依存するものとなっており、本発明の実施の形態においては、先に述べたようにラムダセンサ13の出力酸素濃度の計測条件として、エンジン回転数1900rpm〜2100rpmの範囲を選択したことに対応するものとなっている。
ラムダセンサ13の出力酸素濃度の計測を行う際のエンジン回転数範囲(図4のステップS110参照)は、上述の本発明の実施の形態における設定範囲に限定される必要はなく、ラムダセンサ13の出力酸素濃度の計測結果に対する周波数解析の容易性等を考慮して適宜定め得るものである。
【0039】
しかして、ステップS116において、図7に示されたように、所定スペクトル周波数においてスペクトルが所定レベルを超えていると判定された場合(YESの場合)には、ラムダセンサ13の極希薄領域の応答性に問題無しとして、電子制御ユニット4の適宜な診断結果の記録領域に、その旨が記憶され、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる(図4のステップS118参照)。なお、スペクトルの所定レベルは、ラムダセンサ13の具体的な個々の特性に応じて、試験やシミュレーション結果等に基づいて適切な値が設定されるべきものであり、特定の値に限定されるものではない。
【0040】
一方、ステップS116において、所定スペクトル周波数においてスペクトルが所定レベルを超えていないと判定された場合(NOの場合)には、ラムダセンサ13の極希薄領域の応答性に問題有りとして、電子制御ユニット4の適宜な診断結果の記録領域に、その旨が記憶され、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる(図4のステップS120参照)。なお、この場合、上述のように診断結果を記憶すると共に、ラムダセンサ13の動作に問題有りとする警報用の点灯素子を点灯するなどの警報動作を行うようにすると好適である。
【0041】
次に、第2の構成例について、図5及び図6を参照しつつ説明する。
この第2の構成例は、微小噴射を行った際のラムダセンサ13の出力酸素濃度の周波数解析結果と、無噴射でのラムダセンサ13の出力酸素濃度の周波数解析結果を比較することで、ラムダセンサ13の極希薄領域応答性の良否を診断するようにしたものである。
以下、図5及び図6を参照しつつ具体的に説明する。
図5において、ステップS202〜S210は、図4におけるステップS102〜S110と基本的に同一の処理内容であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
【0042】
しかして、ステップS210において、エンジン回転数Nsについて、N1<Ns<N2が成立していると判定され、ステップS212の処理へ進むと、比較用無噴射時のラムダセンサ13の出力酸素濃度の計測が既に終了しているか否かが判定される。すなわち、無噴射状態におけるラムダセンサ13の出力酸素濃度の計測が既に終了しているか否かが判定され、既に計測終了済みであると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS214の処理へ進む一方、未だ計測は終了していないと判定された場合(NOの場合)には、後述するステップS216の処理へ進むこととなる。
【0043】
ステップS214においては、微小噴射時のラムダセンサ13の出力酸素濃度が計測される。すなわち、先に、図4のステップS112で説明したと基本的に同様に、エンジン1のいずれかの気筒に対して微小噴射が行われ、次いで、微小噴射後におけるラムダセンサ13の出力酸素濃度が電子制御ユニット4に読み込まれ、電子制御ユニット4の適宜なデータ記憶領域に記憶される。
【0044】
一方、ステップS216においては、無噴射状態においてラムダセンサ13の出力酸素濃度が計測される。
上述のステップS214、又は、ステップS216のいずれかの処理が実行された後は、必要な計測データが取得されたか否かが判定される(図6のステップS218参照)。すなわち、微小噴射を行った状態におけるラムダセンサ13の出力酸素濃度と、無噴射状態におけるラムダセンサ13の出力酸素濃度が、それぞれ取得されたか否かが判定され、双方取得されたと判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS220の処理へ進む一方、双方のデータが取得された状態ではないと判定された場合(NOの場合)は、先のステップS212(図5参照)へ戻り、同ステップ以降の処理が繰り返されることとなる。
【0045】
ステップS220においては、微小噴射を行った状態において取得されたラムダセンサ13の出力酸素濃度と、無噴射状態において取得されたラムダセンサ13の出力酸素濃度のぞれぞれに対して、先に図4のステップS114で説明したと基本的に同様に、周波数解析が施されてスペクトルが求められると共に、所定スペクトル周波数におけるスペクトルのレベルが比較される。
なお、本発明の実施の形態においては、所定スペクトル周波数は16.7Hzである。
【0046】
次いで、上述の2つ周波数解析により得られたそれぞれのスペクトルについて、所定スペクトル周波数で、スペクトルに所定のレベル差が生じているか否かが判定され(図6のステップS222参照)、所定のレベル差有りと判定された場合(YESの場合)には、ラムダセンサ13の極希薄領域の応答性に問題無しとして、電子制御ユニット4の適宜な診断結果の記録領域に、その旨が記憶され、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる(図6のステップS224参照)。なお、このステップS224の処理は、図4のステップS118の処理と基本的に同一である。なお、所定のレベル差は、ラムダセンサ13の具体的な個々の特性に応じて、試験やシミュレーション結果等に基づいて適切な値が設定されるべきものであり、特定の値に限定されるものではない。
【0047】
一方、ステップS222において、スペクトルに所定のレベル差が無いと判定された場合(NOの場合)には、ラムダセンサ13の極希薄領域の応答性に問題有りとして、電子制御ユニット4の適宜な診断結果の記録領域に、その旨が記憶され、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる(図4のステップS226参照)。なお、この場合、上述のように診断結果を記憶すると共に、ラムダセンサ13の動作に問題有りとする警報用の点灯素子を点灯するなどの警報動作を行うようにすると好適である。
なお、このステップS226の処理は、図4のステップS120の処理と基本的に同一である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
ラムダセンサの応答性に対するより信頼性の高い診断が所望される燃料噴射制御装置に適する。
【符号の説明】
【0049】
1…コモンレール
2−1〜2−n…燃料噴射弁
3…エンジン
4…電子制御ユニット
13…ラムダセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に、エンジンの一つの気筒に対して微小噴射を行い、その際のラムダセンサの出力信号に対して周波数解析を施して周波数スペクトルを得、前記周波数スペクトルの所定周波数において、所定レベルを越えるスペクトルが生じている場合、前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題無しと判定する一方、所定レベルを超えるスペクトルが生じていない場合には前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題有りと判定することを特徴とするラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法。
【請求項2】
微小噴射は、目標レール圧と目標燃料噴射量から定まる基準通電時間を、微小噴射学習処理によって得られた差分通電時間学習値によって補正した値を通電時間として燃料噴射弁を通電駆動することによってなされるものであり、
前記微小噴射量学習処理は、
前記燃料噴射弁が無噴射状態において、レール圧に応じた微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたであろうと推定される推定噴射量を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を得、学習値として更新可能に記憶するものであって、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されることを特徴とする請求項1記載のラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法。
【請求項3】
車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に、ラムダセンサの出力信号を無噴射時出力信号として取得する一方、エンジンの一つの気筒に対して微小噴射を行い、その際のラムダセンサの出力信号を微小噴射時出力信号として取得し、前記無噴射時出力信号及び前記微小噴射時出力信号のそれぞれに対して周波数解析を施し、それぞれ周波数スペクトルを得、前記周波数スペクトルの所定周波数において、双方のスペクトルレベルの差が、所定値を越える場合、前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題無しと判定する一方、所定値を超えていない場合には前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題有りと判定することを特徴とするラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法。
【請求項4】
微小噴射は、目標レール圧と目標燃料噴射量から定まる基準通電時間を、微小噴射学習処理によって得られた差分通電時間学習値によって補正した値を通電時間として燃料噴射弁を通電駆動することによってなされるものであり、
前記微小噴射量学習処理は、
前記燃料噴射弁が無噴射状態において、レール圧に応じた微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたであろうと推定される推定噴射量を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を得、学習値として更新可能に記憶するものであって、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されることを特徴とする請求項3記載のラムダセンサの極希薄領域応答性診断方法。
【請求項5】
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能として構成されてなると共に、前記高圧ポンプ及び燃料噴射弁の動作を制御する電子制御ユニットを有してなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に、前記エンジンの一つの気筒の燃料噴射弁に対して、微小噴射を実行せしめ、その際のラムダセンサの出力信号に対して周波数解析を施して周波数スペクトルを得、前記周波数スペクトルの所定周波数において、所定レベルを越えるスペクトルが生じているか否かを判定し、所定レベルを越えるスペクトルが生じていると判定された場合、前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題無しと判定する一方、所定レベルを超えるスペクトルは生じていないと判定された場合には前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題有りと判定するよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。
【請求項6】
電子制御ユニットは、目標レール圧と目標燃料噴射量から定まる基準通電時間を、微小噴射学習処理によって得られた差分通電時間学習値によって補正した値を通電時間として燃料噴射弁を通電駆動することによって前記燃料噴射弁に微小噴射を実行せしめ、
前記微小噴射量学習処理は、
前記燃料噴射弁が無噴射状態において、レール圧に応じた微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたであろうと推定される推定噴射量を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を得、学習値として更新可能に記憶するものであって、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されることを特徴とする請求項5記載のコモンレール式燃料噴射制御装置。
【請求項7】
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能として構成されてなると共に、前記高圧ポンプ及び燃料噴射弁の動作を制御する電子制御ユニットを有してなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
車両が減速状態にあって、エンジン回転数が所定範囲内にある場合に、ラムダセンサの出力信号を無噴射時出力信号として取得する一方、前記エンジンの一つの気筒の燃料噴射弁に対して、微小噴射を実行せしめ、その際のラムダセンサの出力信号を微小噴射時出力信号として取得し、前記無噴射時出力信号及び前記微小噴射時出力信号のそれぞれに対して周波数解析を施し、それぞれ周波数スペクトルを得、前記周波数スペクトルの所定周波数において、双方のスペクトルレベルの差が、所定値を越えるか否かを判定し、所定値を越えると判定された場合、前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題無しと判定する一方、所定値を超えていないと判定された場合には前記ラムダセンサの極希薄領域の応答性に問題有りと判定するよう構成されてなることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。
【請求項8】
電子制御ユニットは、目標レール圧と目標燃料噴射量から定まる基準通電時間を、微小噴射学習処理によって得られた差分通電時間学習値によって補正した値を通電時間として燃料噴射弁を通電駆動することによって前記燃料噴射弁に微小噴射を実行せしめ、
前記微小噴射量学習処理は、
前記燃料噴射弁が無噴射状態において、レール圧に応じた微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を複数回行い、その際生ずるエンジン回転数の変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたであろうと推定される推定噴射量を求める一方、レール圧と燃料噴射量を入力パラメータとして、種々のレール圧及び燃料噴射量に対する燃料噴射弁の取付の際に取得された通電時間が基準通電時間として読み出し可能に構成された基準通電時間マップから得られる、前記推定噴射量及び前記微小噴射の際のレール圧に対応する基準通電時間と、前記微小噴射の際の通電時間との差分を得、学習値として更新可能に記憶するものであって、前記エンジン回転数の変動量は、エンジン回転信号の周波数成分の変動分である回転変動周波数成分を基に算出されることを特徴とする請求項7記載のコモンレール式燃料噴射制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−24199(P2013−24199A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162118(P2011−162118)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】