説明

リアルタイム病状解析システム及び方法

【課題】装着者の病状を、遠隔に位置する基地局と通信リンクを確立することなく、心電図等からリアルタイムにしかもより的確に解析するリアルタイム病状解析システム及び方法を提供する。
【解決手段】被験者に装着された心電センサデバイス2により、心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ連続して検出し、検出した心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ無線信号化してこれを心電センサデバイス2から被験者に装着された解析装置3へ送信し、さらに解析装置が受信した無線信号に含まれている心電データと体温データと加速度データとに基づいて現時点における病状を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の病状を心電図等からリアルタイムに解析する際に好適なリアルタイム病状解析システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心機能の測定等は、被験者の体表に生じる電圧の変化を記録した心電図により行われる。心電図を取得する場合、銀、塩化銀等からなる電極を被験者の胸部等に粘着剤によって貼着したり、減圧を利用して体表に吸着させたりすることで固定し、各電極から取得される信号を増幅器を介して増幅し、記録紙上に印刷し、若しくはディスプレイ上に表示する。
【0003】
特にこの心電図を測定するための心電計は、心疾患の診断指標として幅広く用いられている。従来においては、心電波形を測定する測定機器と表示する表示機器がそれぞれ独立し、それぞれ機器がLAN(Local Area Network)等の通信手段により接続され、測定している機器とは異なる機器を介して心電波形を表示し、観察するシステムが提供されている。
【0004】
図8に心電図表示システム7の一例を示す。この心電図表示システム7では、心電波形を心電計71により測定し、測定した心電波形を端末装置72による制御の下で表示装置73に表示する。心電波形を測定する心電計71と、表示装置73に測定データを表示させるための処理を行う端末装置72とが通信ケーブル74により接続されている。このため、心電計71は、心電波形を測定するための機能と測定した測定データを通信プロトコルに基づいて送信する送信機能を備えている。また、端末装置72は、心電計71から送られてきた測定データを受信する受信部81を有する。この受信部81は測定データの受信をこの端末装置72の動作を制御する制御部85に通知する。制御部85は、この通知を受けて蓄積メモリ82のアドレス指定を行い、これに測定データを蓄積させる。制御部85は、蓄積メモリ82にある一定以上の測定データが蓄積された後に、測定データの読み出しを行い、変換部83は、測定データをグラフィック表示に対応したデータに変換して画像メモリ84へ出力する。そして、この画像メモリ84から読み出された画像データは、表示装置73において心電図波形として出力される。
【0005】
上述した従来の心電図表示システムに加え、特に近年においては、ホルター心電計等の携帯型心電計を利用した心電図の出力方法も提案されている。この携帯型心電計は、健康診断等における短時間の測定から、不整脈などの症状を呈する被験者に対する長時間の測定等に利用される。また、患者に時々生じる心臓の発作を記録したり、1日当たりの心臓の発作の回数を測定したり、或いは数時間周期で変動する生体リズムの研究や、自律神経活性から突然死の予測等にも利用される。この携帯型心電計は、昼夜を問わず24時間から数日間連続して心電図を記録する必要が有るところ、被験者の心拍を定期的に測定して、メモリに記憶させる。また、心電図を再生する際には、メモリに記憶された心電データを読み出し、専用の解析装置を介して再生し、心臓機能の診断を行う。
【0006】
特にこの携帯型心電計は、小消費電力と被験者の負担軽減を図るため、小型化、軽量化、省電力化されてきている。その結果、半導体メモリやデジタル信号処理等、デジタル技術を取り入れた超小型でしかも軽量で低消費電力の心電計も提案されている。
【特許文献1】特開2002−143097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような携帯型心電計を用いた診断システムでは、上述したように一度心電図をメモリに記憶させた後、事後的にこれを読み出して解析することを前提としている。これは、被験者の心電図を連続的にリアルタイムに監視することができないことを意味している。上述した心電図表示システム7によれば確かにリアルタイムな心電図測定を実現することができるが、心電計71と端末装置72とが通信ケーブル74により接続されており、あくまで集中治療室等で使用されることを前提としており、日常生活における心電図を測定することについて適さない。
【0008】
従って、携帯型心電計について、リアルタイムに心電図を取得してこれを解析できるシステムを提供する必要があった。特にこのリアルタイムな心電図解析は、被験者の病状を常時識別し、病院への搬送が必要な場合には、これを被験者に自動的に促すこともできることから、その実現化への要望は高まっている。特に被験者が突然の心臓発作等で倒れたときには、被験者自身が119番へ通報する代わりに、自動通報するシステムも提供する必要があった。このとき、誤って自動通報がなされないようにするために、被験者の病状をより精度よく識別する必要があるが、これについても従来において案出されるに至らなかった
【0009】
なお、従来においては、例えば特許文献1に示すように、循環器系疾病の発症の危険性を予知して利用者に疾病発症の危険性を自覚させ、適切な診療を受けることを促す疾病発症予知通報システムが提案されている。この疾病発症予知通報システムでは、図9に示すように、被験者に装着されたデータ計測部92により計測された生体データは、データ通信部93を介してヘルスケアサービスセンター94へ送信される。このヘルスケアサービスセンター94では、送信されてきた生体データを解析して所定のスコアデータを算出し、予め生体データベース95に格納された判定用スコアリングテーブルに蓄積された利用者の判定スコアデータと比較し、疾病予知レベルをデータ計測部92へと通報する。
【0010】
しかしながら、この特許文献1の開示技術では、生体データの解析をあくまでヘルスケアサービスセンター94において行うことを前提としており、このヘルスケアサービスセンター94に対しては、データ通信部93を介して携帯電話やPHS(Personal Handy-phone System)等により通信しなければならない。このため、リアルタイムな生体データの伝送を行うためには、データ通信部93により常時ヘルスケアサービスセンター94に対して通信リンクを確立する必要があり、通信コストが上昇し、システム全体の効率について改善の余地があった。また、この特許文献1では、心電データに加えて、体温や体動等のデータをいかに取り込んで解析するかについて言及がなされておらず、被験者の病状をより的確に判断することができるか否か明確化されていない。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、装着者の病状を、遠隔に位置する基地局と通信リンクを確立することなく、心電図等からリアルタイムにしかもより的確に解析することができ、必要な場合には119番へ自動通報することができるリアルタイム病状解析システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した課題を解決するために、被験者に装着された心電センサデバイスにより、心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ連続して検出し、検出した心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ無線信号化してこれを心電センサデバイスから被験者に装着された解析装置へ送信し、さらに解析装置が受信した無線信号に含まれている心電データと体温データと加速度データとに基づいて現時点における病状を識別するリアルタイム病状解析システム及び方法を発明した。
【0013】
本発明を適用したリアルタイム病状解析システムは、心電図を連続して検出する心電検出手段と、体温を連続して検出する体温検出手段と、体動を連続して検出する加速度検出手段と、上記検出された心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ無線信号化して送信する無線通信手段とを有する、被験者に装着される心電センサデバイスと、上記心電センサデバイスから送信されてきた無線信号を受信する受信手段と、上記受信手段により受信した無線信号に含まれている上記心電データと上記体温データと上記加速度データとに基づいて現時点における病状を識別する病状識別手段とを有する、被験者に装着される解析装置とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明を適用したリアルタイム病状解析方法は、被験者に装着された心電センサデバイスにより、心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ連続して検出するデータ検出ステップと、上記検出した心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ無線信号化して、これを上記心電センサデバイスから、被験者に装着された解析装置へ送信する送信ステップと、上記解析装置が受信した無線信号に含まれている上記心電データと上記体温データと上記加速度データとに基づいて現時点における病状を識別する病状識別ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述した構成からなる本発明では、単に心電データのみならず、加速度データや体温データと組み合わせて被験者の病状を判定することが可能となる。このため、被験者の病状をより的確に判断することが可能となる。
【0016】
また、本発明では、この被験者の病状の判断を、被験者の腰近傍に取り付けた解析装置4において行うこととし、解析の都度、携帯電話等により公衆通信網を介して他のデバイスにアクセスする必要もなくなることから、リアルタイムな解析により適したシステムとなっている。そして、このリアルタイムな解析の中で特に被験者に異常があったときのみ、意識がある場合には被験者自身が自ら通報すればよく、必要最小限の通信量で処理することが可能となる。また、本発明では、心電センサデバイスに対しては、各種データの検出や、QRS間隔の抽出等の極めて軽い処理を担わせ、被験者の病状の識別や通報等の負荷の重い処理を解析装置に担わせる。その結果、心電センサデバイスの小型化、軽量化を図ることができ、被験者が心臓近傍にこれを取り付ける際の負担を最小限に抑えることが可能となる。
【0017】
しかも本発明によれば被験者が無意識状態に陥った場合においても自動的に通報することができ、特に被験者が1人暮らしで、家族による発見が期待できない場合において、より大きな効果を奏することになる。
【0018】
このため、本発明では、特に被験者の心電をリアルタイムに検出するというよりも、むしろ被験者の病状で特に救急治療が必要か否かをリアルタイムに監視することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、装着者の病状を心電図等からリアルタイムに解析するリアルタイム病状解析システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
本発明を適用したリアルタイム病状解析システムは、例えば図1に示すように心電センサデバイス2と、解析装置4とを備えている。このリアルタイム病状解析システム1を構成するに心電センサデバイス2と、解析装置4は、それぞれ被験者3に装着されることを前提としている。
【0021】
心電センサデバイス2は、被験者3の心電図を初めとした各種生体データを検出するためのデバイスであり、特に被験者3の胸部近傍に装着される。解析装置4は、心電センサデバイス2との間で無線通信可能とされており、被験者3の腰部近傍に装着される。この解析装置4は、主として心電センサデバイス2から送信されてきた生体データに基づいて被験者の病状を識別し、必要な場合には医療機関等に対して自動通報する役割を担う。
【0022】
図2は、本発明を適用したリアルタイム病状解析システム1を構成する心電センサデバイス2並びに解析装置4のブロック構成図である。
【0023】
心電センサデバイス2は、不感電極21と、負電極22と、正電極23とからなる心電検出部27と、この心電検出部27に接続されている増幅回路24と、増幅回路24に接続されているフィルタ回路25と、体温を検出するための温度センサ26と、体動を検出する加速度センサ28と、フィルタ回路25、温度センサ26、加速度センサ28にそれぞれ接続されている第1の制御部29とを備え、この第1の制御部29には、第1の無線回路30、アンテナ31が順次接続されている。
【0024】
解析装置4は、心電データ受信処理部35と、情報通信部36の大きく分類して2つのユニットに分かれる。
【0025】
心電データ受信処理部35は、アンテナ41と、このアンテナ41に接続された第2の無線回路42と、第2の無線回路42に接続された第2の制御部43と、それぞれ第2の制御部43に接続されるフラッシュメモリ44並びにI/F回路45と、アラーム通知表示部46と、アラーム通知ブザー47と、アラーム通知振動モーター48とを備えている。
【0026】
また、情報通信部36は、表示部51と、GPS(Global Positioning System)機能部52と、音声記憶メモリ53と、自動ダイヤル部54とを備えている。
【0027】
心電検出部27は、負電極22と正電極23の2つを測定電極とし、不感電極21の計3個の電極によりいわゆる双極誘導に基づいて心電図を検出する。この方法では、各電極により検出された筋電位信号に重畳しているノイズを効果的に抑制することができる。これら電極21〜23を心臓付近に配置することにより、心筋の動きに応じた電位を拾い上げることが可能となる。この心電検出部27を構成する各電極21〜23により検出された電位は、増幅回路24へと出力される。
【0028】
増幅回路24は、心電検出部27から送られてきた電位を増幅する。心電検出部27により検出した心筋活動に基づく電位は非常に低い信号であるため、これを十分に抽出することができる程度の信号強度まで増幅する。
【0029】
フィルタ回路25は、増幅回路24から出力されてきた信号についてフィルタリング処理を施す。このフィルタ回路25は、かかる信号に含まれている不要な成分やノイズを除去する。このフィルタ回路25によりフィルタリング処理が施された信号は、心電データとして第1の制御部29へと送信される。
【0030】
温度センサ26は、熱電対、白金測温抵抗体、サーミスタ等のような接触式のセンサである。この温度センサ26を被験者の体に装着することにより、当該被験者の現時点における体温をリアルタイムに検出することが可能となる。温度センサ26により検出された体温データは、第1の制御部29へと送信される。
【0031】
加速度センサ28は、ばねに取り付けた重りが変位する量を測り、当該重りにかかる加速度を推定するセンサである。この加速度センサ28としては、例えば、3軸加速度センサ等を適用してもよく、加速度検知機構を半導体プロセスで作るMEMS(micro eletro mechanical systems)センサで構成するようにしてもよい。この加速度センサ28を被験者に装着することにより、当該被験者の体動を連続して検出することが可能となる。この加速度センサ28により検出された加速度データは、第1の制御部29へと送信される。
【0032】
第1の制御部29は、CPU(Central Processing Unit)であり、心電センサデバイス2内において内蔵されている全ての構成要素を制御するためのいわゆる中央演算ユニットである。この第1の制御部29には、フィルタ回路25から送られてくる心電データ、温度センサ26から送られてくる体温データ、加速度センサ28から送られてくる加速度データをそれぞれAD変換する機能も実装されているものとする。この第1の制御部29は、このAD変換した心電データ、体温データ、加速度データの全てを第1の無線回路30へと出力する。またこの第1の制御部29は、必要な場合には、心電データの波形を抽出した後、これを第1の無線回路30へと出力する。また、第1の制御部29は、第1の無線回路30を介した解析装置4間の無線通信を制御する。
【0033】
なお、この第1の制御部29を構成するCPUは、被験者の胸部近傍に取り付けられる心電センサデバイスの制約上、できるだけ負荷を軽くする必要があることから8〜16ビット以下の処理量で構成することが望ましい。
【0034】
第1の無線回路30は、第1の制御部29から送信されてきた心電データ、体温データ、加速度データのそれぞれについて所定の決められた様式に基づいて符号化し、パケットデータを生成する。このパケットデータは、ヘッダとデータからなるフレームが連続する構造とされており、データ部分に心電データ、体温データ、加速度データがそれぞれ書き込まれた構成となる。この第1の無線回路30において符号化されたデータは第1のアンテナ31を介して解析装置4へと送信されることになる。
【0035】
ちなみに、この第1の無線回路30は、解析装置4から送られてきた信号をアンテナ31を介して受信し、これを復号化して第1の制御部29へ送信することも実行する。
【0036】
解析装置4を構成する第2の無線回路42は、アンテナ41を介して心電センサデバイス2からの無線データを受信し、これを復号化する。ちなみに、この第1の無線回路30と、第2の無線回路42とは、IEEE802.15.6の方式に基づいて無線通信するようにしてもよい。IEEE802.15.6の方式は、既存の無線方式よりも低電力で動作することを目標とした物理レイヤとMACレイヤを有するものである。なお無線通信方式はこれに限定されるものではなく、BLUE TOOTH: IEEE802.15.1や ZigBee: IEEE802.15.4等を適用するようにしてもよい。
【0037】
第2の無線回路42は、復号化することで得られた心電データ、体温データ、加速度データを、それぞれ第2の制御部43へ送る。ちなみに、この第2の無線回路42は、第2の制御部43による制御の下でデータを無線パケット化して、これをアンテナ41を介して心電センサデバイス2へと送信する機能をも担うことになる。
【0038】
第2の制御部43は、CPU等で構成され、解析装置4全体を制御するためのいわゆる中央演算ユニットである。この第2の制御部43には、図示しないROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)も内蔵されている。ROMは、解析装置4全体のハードウェア資源を制御するためのプログラムが格納されている。また、RAMは、データの蓄積や展開等に使用する作業領域として使用され、解析装置4全体のハードウェア資源を制御するときの各種命令を一時的に記憶する。第2の制御部43は、第2の無線回路42を介した心電センサデバイス2との無線通信を制御する。また、この第2の制御部43では、無線回路42から送信されてきた心電データ、体温データ、加速度データのノイズ除去処理等をも行う。この第2の制御部43では、第2の無線回路42から送信されてきた心電データ、体温データ、加速度データに基づいて、被験者の現時点における病状を識別する。そして、この第2の制御部43は、この識別した被験者の病状から緊急度、即ち、救急医療が必要か否かを判別し、この緊急度に応じて後述するアラーム通知ブザー47により被験者本人に注意喚起をし、更に被験者本人の意識が無い場合には、119番等への自動通報を行うよう、後述する情報通信部36へ指示する。
【0039】
フラッシュメモリ44は、書き換え可能であり、電源を切ってもデータが消えない不揮発性半導体メモリである。フラッシュメモリ44は、この第2の制御部43による解析データを格納する。
【0040】
I/F回路45は、心電データ処理部35と、情報通信部36とを接続するための回線制御回路等により構成される。このI/F回路45は、第2の制御部43からの各種命令に変換処理を施してこれを情報通信部36へと送出するとともに、情報通信部36からデータを受信した場合にはこれに所定の変換処理を施してこれを第2の制御部43へ送信する。
【0041】
アラーム通知表示部46は、例えば液晶パネル等から構成され、第2の制御部43による制御の下、被験者に対して所定の情報を表示する。
【0042】
アラーム通知ブザー47は、被験者に対して注意喚起するための効果音を発生させるブザーであり、第2の制御部43による制御の下で効果音を発生させる。
【0043】
アラーム通知振動モーター48は、第2の制御部43による制御の下で振動する、いわゆるバイブレータ等である。
【0044】
情報通信部36は、携帯電話やPHS等のようないわゆる携帯情報端末で構成され、ネットワークを通じて情報を送受信可能なデバイスとして構成される。この情報通信部36は、心電データ受信処理部35との間で着脱自在に装着可能とされていてもよいし、或いは携帯情報端末と同一の機能が心電データ受信処理部35と着脱不能に一体化されて一つの解析装置4として構成されていてもよい。この情報通信部36は、表示部51により被験者に対して情報を表示し、また、GPS機能部52により、現時点における解析装置4の位置情報を取得して、これを送信する。さらに、この情報通信部36は、被験者の各種情報や、現時点において被験者が救急医療を必要としている旨を音声データとして音声記憶メモリ53に記憶し、また、必要な場合には、自動ダイヤル部54を介して119番等に自動的に通報できるシステムを実装している。但し、これら情報通信部36の各構成要素は、それぞれ第2の制御部43により制御されることが前提となる。
【0045】
次に、本発明を適用したリアルタイム病状解析システム1の動作について説明をする。
【0046】
図3は、本発明を適用したリアルタイム病状解析システム1の動作フローを示している。先ず、ステップS11において心電検出部27により心電図を検出する。またステップS12において、加速度センサ28により被験者の体動を検出する。ステップS13において、温度センサ26により被験者の体温を検出する。これらステップS11〜S13の各プロセスは連続して、しかも互いに並行して行われる。検出した心電データ、体温データ、加速度データは、それぞれ第1の制御部29に送られる。このとき、ステップS14において第1の制御部29は、心電データから波形抽出を行う。
【0047】
図4は、通常の心電の基本波形を示している。心拍一回ごとに心電図に現れる波形は、大きくP、Q、R、S、T波の5つの波で構成されている。中でもQ、R、S波は一括してQRS波と呼ばれる。
【0048】
ここでP波は、心房が収縮するときの波形であり、心房の電気的興奮を反映する波である。正常では右心房、左心房ともほぼ同時に収縮するため単一の波として記録される。また、QRS波は、心室が収縮するときの波形を表したものである。更にT波は、心臓が収縮し終わって元に戻るときの波形であり、興奮した心室の心筋細胞が再分極する過程を反映した波である。
【0049】
また、PQ時間は、P波からQ波までの時間を、また、QRS間隔は、Q波からS波までの時間を、またQT時間は、Q波からT波までの時間を示している。更にRR間隔は、R波のピーク位置の間隔を示しており、この値から心拍数を求めることが可能となる。一般に心電図の正常範囲としては、PQ時間が0.12〜0.22秒であり、QRS間隔が0.08〜0.11秒であり、QT時間が0.32〜0.44秒であり、RR間隔が0.75〜1.0秒である。例えば、不整脈の中でも最も緊急度の高いものは心停止及び心室細動等であり、心拍数(RR間隔)を検出することでも判定可能である。
【0050】
ステップS14において、第1の制御部29は、上述の如き波形からなる心電データをAD変換し、さらにこの心電データから、各P、Q、R、S、T波の振幅変化と振幅の時間変化を算出する。そして、この検出した各P、Q、R、S、T波の振幅に対して予め設定された閾値を超えたデータの時間間隔を抽出する。以下、このステップS14におけるデータ抽出の詳細について図5、6を用いて説明をする。
【0051】
先ず図5に示すように、予め設定した閾値Aを設定しておく。この閾値Aは、あくまで心電波形におけるR波を検出するためのものである。この閾値Aは、後述する基線を基準とした値で表される。即ち、この閾値AをR波のピーク位置よりもやや低く設定しておくことにより、この閾値A以上となる心電波形は、R波であることを識別することが可能となる。このようにして閾値A以上のR波を検出し、RR間隔を求めるとともに、そこから心拍数を導出する。
【0052】
また、第1の制御部29は、サンプリングパルスを所定間隔で発生させ、心電波形を所定間隔で取り込んでいく。そして、この波形振幅の変化ΔBを識別する。即ち、サンプリングパルスが所定間隔とされていることから、この波形振幅の変化ΔBを所定の時間毎に得ることが可能となる。例えば図5に示すように、時刻Tから時刻Tm−1に至るまでの波形の1サンプリング間隔ΔTにおける波形振幅の変化をΔBmとする。このΔBmは、B(T)−B(Tm−1)により表される。また、例えば、時刻Tから時刻Tn−1に至るまでの波形の1サンプリング間隔ΔTにおける波形振幅の変化をΔBnとする。このΔBnは、B(T)−B(Tn−1)により表される。これら算出された波形振幅の変化ΔBと予め設定した閾値Bsとを比較し、振幅変化ΔBが閾値Bsを下回る場合には、何ら振幅の無い区間であることを識別することが可能となる。これに対して、振幅変化ΔBが閾値Bsを超える場合には、各P、Q、R、S、T波の何れかを検出することができたことを意味する。
【0053】
第1の制御部29は、先ず基線のキャリブレーションを行う。この基線のキャリブレーションでは、振幅変化ΔBが閾値Bsを下回る区間を抽出する。図6(a)は、この振幅変化ΔBが閾値Bsを下回る区間を四角い枠で囲っている。このキャリブレーションにおいては、四角い枠で囲ったΔBが閾値Bsを下回る区間を抽出し、その平均値を求めることにより、基線の補正を行う。この基線を求めることにより、RR間隔を求めるための閾値Aが定まることになる。
【0054】
また図6(b)は、RR間隔を求める例を示している。閾値Aを超える区間を検出し、その間隔をRR間隔としている。また、図6(c)は、ΔBが閾値Bsを超える区間を検出した例を示している。この図6(c)における区間において、この図6(b)のデジタルデータと、図6(c)のデジタルデータとが互いにANDの関係になるパルスを識別し、その識別したパルス幅をQRS間隔として認定する。図6(d)は、認定したQRS間隔の例を示している。
【0055】
このQRS間隔を検出するためのフローチャートを図7に示す。
【0056】
先ずステップS41において、心電波形をサンプリング間隔毎に取り込み、ステップS42においてΔBを順次求める。次にステップS43へ移行し、波形振幅検出を行う。このステップS43においては、図6(c)に示すようなΔBが閾値Bsを超える区間を検出することになる。
【0057】
次にステップS44へ移行し、波形振幅の最大値が閾値A以上となるか否かを識別する。仮に波形振幅の最大値が閾値A以上であれば、図6(b)のデジタルデータと、図6(c)のデジタルデータとが互いにANDの関係になるパルスに相当することになり、QRS間隔に相当することを意味している。特に緊急医療を必要とする場合には、このQRS間隔が最も重要になるため、QRS間隔にあるものと判定した場合には、ステップS45へ移行して処理を継続する。これに対して、このステップS44においてQRS間隔にあるものと判定できなかった場合には、ステップS46に移行してデータを破棄するようにしてもよい。これにより、解析装置4との間での通信の負荷を軽減でき、処理量も低減できることからシステム全体の効率化を図ることが可能となる。これらの処理は、心電波形を連続的に取り込みながら、それぞれの波形に対して実行されることから、異常波形を取りこぼすことなく、迅速に異常を検知することが可能となる。
【0058】
図3の説明に戻る。第1の制御部29は、ステップS14において心電波形を抽出した後、これを第1の無線回路30へと送出し、この心電データは、加速度データ、体温データとともに無線通信パケット化されて解析装置4へと送信される。第2の制御部43は、心電データは、加速度データ、体温データを受信して以下のステップS15以降の処理を実行する。
【0059】
ステップS15では、ステップS14において抽出した心電データにおけるQRS間隔の判定を行う。この判定においては、QRS間隔が、予め設定した最適範囲を超えるか否かに基づいて行う。その結果、QRS間隔が、予め設定した最適範囲を超える場合には、異常であるものと判定して、ステップS23へ移行し、被験者本人に対して異常を通知する。この異常の通知は、アラーム通知表示部46を介したユーザへの視覚的な表示、アラーム通知ブザー47による音声による通知、アラーム通知振動モーター48による振動、又はこれらの組み合わせによって実行するようにしてもよい。被験者は、この異常通知を受けて、医療機関に連絡をし、或いは医療機関に直接足を運び、医師の指示を仰ぐことになる。ちなみに、このステップS15をQRSのみ独立して判断するのではなく、ステップS17と組み合わせて心電図の異常の有無を判定するようにしてもよい。
【0060】
これに対して、このステップS15においてQRS間隔が正常であるものと判定した場合には、特段処理を行うことなくステップS11からのフローを継続して実行する。
【0061】
また、ステップS16では、加速度データに基づいて心拍の閾値を設定する。この心拍の閾値の設定は、カルボーネン法に基づいて目標心拍数とするようにしてもよい。
【0062】
ステップS17においては、このステップS16において設定した閾値に基づいて心拍数の判定を行う。この心拍数の判定は、心電データにおけるRR間隔に基づいて算出した心拍数が、ステップS16において設定した閾値の上限と下限に含まれるか否かに基づいて行う。例えば、日常生活時において、心拍数が40超120未満であれば正常であるものと、また心拍数が40以下又は120以上であれば異常と判定する。
【0063】
ステップS18では、加速度データに基づいて加速度判定を行う。この加速度判定においては、加速度データに基づいて被験者が運動状態にあるか、或いは静止状態にあるかを判定する。この判定においても同様に加速度データと所定の閾値とを比較して行うことになるが、周知のいかなる方法を適用するようにしてもよい。
【0064】
ステップS19では、体温データに基づいて体温判定を行う。例えば予め決められた体温の範囲で、例えば34℃超40℃未満であれば正常であるものと判定し、またこれを逸脱する場合で、例えば34℃以下又は40℃以上であれば異常であるものと判定する。
【0065】
次にステップS20に移行し、ステップS17〜S19における判定結果を組み合わせて、被験者の病状を、より具体的には被験者が救急医療を必要としているか否かを識別する。表1において、このステップS17〜S20における判定例を示す。各ステップS17〜S19においては、それぞれ表1において規定する各範囲に属すか否かを0又は1で表示する。ステップS20は、これら各ステップS17〜S19において、判定結果として出力されてくる0又は1のフラグに基づいて、最終的な病状の識別を行う。
【0066】
表1に心拍数、体温、加速度、被験者本人の状態確認に対する判定の関係を示す。この表1は、あくまで一例であり、この表中に示す数値はいかなる値に置き換えても良い。特に心拍数、体温、加速度の異常値範囲は個人差があるため、事前測定や医師の判断等により個人毎に設定することが望ましい。
【0067】
【表1】

【0068】
このステップS20において被験者が正常であるものと判定した場合には、ステップS21へ移行する。これに対して、このステップS15においてQRS間隔が正常であるものと判定した場合には、特段処理を行うことなくステップS11からのフローを継続して実行する。
【0069】
なお、このステップS20における病状の識別では、ステップS17において判定した心拍数のみに基づいてこれを実行するようにしてもよい。
【0070】
ステップS21においては、被験者本人に対して異常を通知する。この異常の通知は、アラーム通知表示部46を介したユーザへの視覚的な表示、アラーム通知ブザー47による音声による通知、アラーム通知振動モーター48による振動、又はこれらの組み合わせによって実行するようにしてもよい。その結果、被験者に意識があればステップS22へ移行して通報解除を行う。これに対して被験者による通報解除が行われない場合には、被験者が無意識であることを判別し、ステップS27へ移行する。
【0071】
ステップS22に移行した場合には、更に被験者本人に病状について自覚症状がある場合と、心電検出部27に異常がある場合に分類することができる。被験者本人に病状について自覚症状がある場合には、ステップS24において被験者は、医療機関に連絡をし、或いは医療機関に直接足を運び、医師の指示を仰ぐことになる。これに対して心電検出部27に異常がある場合(ステップS26)には、心電検出部27を構成する各電極21〜23の再装着を行う。
【0072】
被験者本人が無意識であるため、ステップS27に移行した場合には、自動ダイヤル部54を介して119番へ自動通報する。そして通話状態に移行した後に、音声記憶メモリ53に記憶されている音声データを読み出し、音声に変換する(ステップS28)。このとき、GPS機能部52により現時点における解析装置4の位置情報を取得してこれを通知するようにしてもよく、また音声データに変換してこれを通知するようにしてもよい。
【0073】
被験者が無意識であっても、この音声データに、被験者の名前等の個人情報、現時点において救急医療を必要としている旨や、現時点における所在地等を含めておくことでこれを音声化して電話で通知することが可能となる。ちなみに、この音声データには、予め記憶させておいた音声データを読み出して再生する場合の他、ステップS17で判定した心拍数、ステップS18において判定した加速度データに基づく立臥の状態等を音声データ化して送るようにしてもよい。
【0074】
また、被験者が無意識であることを判別した場合には、ステップS29にも移行し、心電センサデバイス2に対して新たな医療データの送信を要求する。この新たな医療データの要求についても、第2の無線回路42、アンテナ41を介して心電センサデバイス2へと送信する。心電センサデバイス2は、かかる解析装置4による医療データの送信要求を受けて、ステップS11〜S13における心電データ、加速度データ、体温データの何れか1以上を新たに取得して、これらを新たな医療データとして第1の無線回路30において無線信号化し、解析装置4へと送信する(ステップS30)。また解析装置4は、かかる医療データを新たに受信する。
【0075】
次にステップS31に移行し、解析装置4は、新たに受信した医療データについてエラーチェックや、誤り訂正等の各処理を行う。またステップS32に移行し、新たに取得した医療データは送信可能か否かの判定を行う。そしてステップS33に移行して、医療機関等にあるパーソナルコンピュータ等を初めとする端末装置にこれを伝送する。これらステップS29〜S33は、何れも解析装置4における第2の制御部43による制御の下、実行していくことになる。
【0076】
上述したように、本発明を適用したリアルタイム病状解析システム1では、単に心電データのみならず、加速度データや体温データと組み合わせて被験者の病状を判定することが可能となる。このため、被験者の病状をより的確に判断することが可能となる。
【0077】
また、本発明を適用したリアルタイム病状解析システム1では、この被験者の病状の判断を、被験者の腰近傍に取り付けた解析装置4において行うこととし、特許文献1の開示技術の如く、解析の都度、携帯電話等により公衆通信網を介して他のデバイスにアクセスする必要もなくなることから、リアルタイムな解析により適したシステムとなっている。そして、このリアルタイムな解析の中で特に被験者に異常があったときのみ、意識がある場合には被験者自身が自ら通報すればよく、必要最小限の通信量で処理することが可能となる。また、本発明では、心電センサデバイス2に対しては、各種データの検出や、QRS間隔の抽出等の極めて軽い処理を担わせ、被験者の病状の識別や通報等の負荷の重い処理を解析装置4に担わせる。その結果、心電センサデバイス2の小型化、軽量化を図ることができ、被験者が心臓近傍にこれを取り付ける際の負担を最小限に抑えることが可能となる。
【0078】
しかも本発明によれば被験者が無意識状態に陥った場合においても自動的に通報することができ、特に被験者が1人暮らしで、家族による発見が期待できない場合において、より大きな効果を奏することになる。
【0079】
このため、本発明では、特に被験者の心電をリアルタイムに検出するというよりも、むしろ被験者の病状で特に救急治療が必要か否かをリアルタイムに監視することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明を適用したリアルタイム病状解析システムの全体構成について説明するための図である。
【図2】本発明を適用したリアルタイム病状解析システムを構成する心電センサデバイス並びに解析装置のブロック構成図である。
【図3】本発明を適用したリアルタイム病状解析システムの動作フローを示す図である。
【図4】通常の心電の基本波形を示す図である。
【図5】このステップS14におけるデータ抽出の詳細について説明するための図である。
【図6】このステップS14におけるデータ抽出の詳細について説明するための他の図である。
【図7】QRS間隔を検出するためのフローチャートである。
【図8】心電図表示システムの一例を示す図である。
【図9】疾病発症予知通報システムの構成図である。
【符号の説明】
【0081】
1 リアルタイム病状解析システム
2 心電センサデバイス
3 被験者
4 解析装置
21 不感電極
22 負電極
23 正電極
24 増幅回路
25 フィルタ回路
26 温度センサ
27 心電検出部
28 加速度センサ
29 第1の制御部
30 第1の無線回路
31 アンテナ
35 心電データ受信処理部
36 情報通信部
41 アンテナ
42 第2の無線回路
43 第2の制御部
44 フラッシュメモリ
45 I/F回路
46 アラーム通知表示部
47 アラーム通知ブザー
48 アラーム通知振動モーター
51 表示部
52 GPS機能部
53 音声記憶メモリ
54 自動ダイヤル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図を連続して検出する心電検出手段と、体温を連続して検出する体温検出手段と、体動を連続して検出する加速度検出手段と、上記検出された心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ無線信号化して送信する無線通信手段とを有する、被験者に装着される心電センサデバイスと、
上記心電センサデバイスから送信されてきた無線信号を受信する受信手段と、上記受信手段により受信した無線信号に含まれている上記心電データと上記体温データと上記加速度データとに基づいて現時点における病状を識別する病状識別手段とを有する、被験者に装着される解析装置とを備えること
を特徴とするリアルタイム病状解析システム。
【請求項2】
上記解析装置は、上記病状識別手段により病状が異常と識別された場合には、被験者に対してこれを通知する通知手段を更に備えること
を特徴とする請求項1記載のリアルタイム病状解析システム。
【請求項3】
上記解析装置は、上記通知手段により病状の異常が通知された後、更に被験者の意識の有無を判別する意識判別手段と、上記意識判別手段により被験者が無意識であることを判別された場合に所定の電話番号を自動的にダイヤルする自動ダイヤル手段と、所定のメッセージ音声を予め記憶する音声記憶手段と、上記自動ダイヤル手段によりダイヤルされて通話状態に移行した後に上記記憶手段に記憶されているメッセージ音声を読み出してこれを再生する音声再生手段とを更に備えること
を特徴とする請求項2記載のリアルタイム病状解析システム。
【請求項4】
上記解析装置は、現時点における上記解析装置の位置情報を取得してこれを通知する位置情報取得手段を更に備えること
を特徴とする請求項3記載のリアルタイム病状解析システム。
【請求項5】
上記解析装置は、上記意識判別手段により被験者が無意識であることを判別された場合に、上記心電センサデバイスに対して新たな医療データの送信を要求するデータ要求手段を更に備え、
上記心電センサデバイスは、上記データ要求手段による医療データの送信要求を受けて、上記検出される心電データと体温データと加速度データの何れか1以上を新たに取得し、これらを医療データとして上記無線通信手段を介して無線信号化して上記解析装置へ送信し、
上記解析装置は、更に上記受信手段を介して上記心電センサデバイスから医療データを受信し、これを端末装置へ送信する医療データ送信手段をさらに備えること
を特徴とする請求項3又は4記載のリアルタイム病状解析システム。
【請求項6】
上記心電センサデバイスは、上記心電データからQRS間隔を抽出するQRS間隔抽出手段を備え、
上記解析装置は、上記心電センサデバイスから送信されてきたQRS間隔に基づいて病状を識別すること
を特徴とする請求項1〜5のうち何れか1項記載のリアルタイム病状解析システム。
【請求項7】
上記心電センサデバイスは、上記心電データからRR間隔を抽出するRR間隔抽出手段を備え、
上記解析装置は、上記心電センサデバイスから送信されてきたRR間隔に基づいて心拍数を算出し、更にこの算出した心拍数に基づいて病状を識別すること
を特徴とする請求項1〜6のうち何れか1項記載のリアルタイム病状解析システム。
【請求項8】
被験者に装着された心電センサデバイスにより、心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ連続して検出するデータ検出ステップと、
上記検出した心電データと体温データと加速度データとをそれぞれ無線信号化して、これを上記心電センサデバイスから、被験者に装着された解析装置へ送信する送信ステップと、
上記解析装置が受信した無線信号に含まれている上記心電データと上記体温データと上記加速度データとに基づいて現時点における病状を識別する病状識別ステップとを有すること
を特徴とするリアルタイム病状解析方法。
【請求項9】
上記病状識別ステップにおいて病状が異常と識別した場合には、被験者に対してこれを通知する通知ステップを更に有すること
を特徴とする請求項8記載のリアルタイム病状解析方法。
【請求項10】
通知ステップにおいて病状の異常を通知した後、更に被験者の意識の有無を判別する意識判別ステップと、
上記意識判別ステップにより被験者が無意識であることを判別した場合に所定の電話番号を自動的にダイヤルする自動ダイヤルステップと、
上記自動ダイヤルステップによりダイヤルして通話状態に移行した後に、上記所定のメッセージ音声が予め記憶された記憶部から上記メッセージ音声を読み出してこれを再生する音声再生ステップとを更に有すること
を特徴とする請求項9記載のリアルタイム病状解析方法。
【請求項11】
現時点における上記解析装置の位置情報を取得してこれを通知する位置情報取得ステップを更に有すること
を特徴とする請求項10記載のリアルタイム病状解析方法。
【請求項12】
上記意識判別ステップにおいて被験者が無意識であることを判別した場合に、上記心電センサデバイスに対して新たな医療データの送信を要求するデータ要求ステップと、
上記データ要求ステップにおいて新たな医療データの送信要求を受けて、上記心電センサデバイスにより心電データと体温データと加速度データの何れか1以上を新たに取得し、これらを医療データとして無線信号化して上記解析装置へ送信し、上記医療データを受信した解析装置を介して端末装置へこれを送信する医療データ伝送ステップとを更に有すること
を特徴とする請求項10又は11記載のリアルタイム病状解析方法。
【請求項13】
上記心電センサデバイスにおいて上記心電データからQRS間隔を抽出するQRS間隔抽出ステップとを更に有し、
上記病状識別ステップでは、上記心電センサデバイスから送信されてきたQRS間隔に基づいて病状を識別すること
を特徴とする請求項8〜12のうち何れか1項記載のリアルタイム病状解析方法。
【請求項14】
上記心電センサデバイスにおいて、上記心電データからRR間隔を抽出するRR間隔抽出ステップを有し、
上記病状識別ステップでは、上記心電センサデバイスから送信されてきたRR間隔に基づいて心拍数を算出し、更にこの算出した心拍数に基づいて病状を識別すること
を特徴とする請求項8〜13のうち何れか1項記載のリアルタイム病状解析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−189570(P2009−189570A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33535(P2008−33535)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【出願人】(508047288)アーズ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】