説明

リードを有する薄膜基板及び薄膜基板の接続方法

【課題】他の薄膜基板との接続の操作性を向上させたリードを有する薄膜基板及び薄膜基板の接続方法を提供する。
【解決手段】薄膜基板10は、金属プレート11と、はんだ層と、回路を有するセラミック基板12と、高融点はんだによって接続されたリード14と、を備える。また、薄膜基板10の接続方法は、金属プレートと、はんだ層と、回路を有するセラミック基板12と、高融点はんだによって第1の接続部が回路に接続されたリード14と、を備える薄膜基板のリード14の第2の接続部を低融点はんだ又は高融点はんだを用いて隣接する基板と接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードを有する薄膜基板及び薄膜基板の接続方法に係り、特に他の薄膜基板との接続の操作性を向上させた薄膜基板及び薄膜基板の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板同士の接続には、従来金錫はんだを用いてリードを接続していた。すなわち、セラミック層の上にNi−Auメッキを行い、このメッキ層の上に薄膜導体により回路を形成する。隣接する薄膜基板の回路との接続は、金ワイヤをボンディングするか、金箔をウェルディングして接続していた。
【0003】
しかし、ボンディング及びウェルディングには高価な装置が必要であり、操作者の熟練も必要であった。
【0004】
そこで、予めリードを基板に接続しておく技術が開発された。この技術は、リードを銀ろう等によって接続する(例えば、特許文献1)。
【0005】
しかし、例えば銀ろうの融点は600℃〜950℃と高く、薄膜基板の接続に使用すると銀ろうが溶ける温度では薄膜が破壊されてしまうという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−206655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、他の薄膜基板との接続の操作性を向上させた薄膜基板及び薄膜基板の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、金属によって形成される金属プレートと、薄膜導体によって形成された回路を有するセラミック基板と、金属プレートとセラミック基板を接続するはんだ層と、回路の薄膜導体に、融点が250℃以上400℃未満の導体である高融点はんだによって接続されるリードと、を備える薄膜基板を提供する。
【発明の効果】
【0009】
薄膜を損傷することなく、またはんだごてという廉価な装置を用いて容易に隣接する基板と接続することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】薄膜基板の平面図である。
【図2】薄膜基板を図1の矢印Bの方向から見た図である。
【図3】薄膜基板を図1の矢印Aの方向から見た図である。
【図4】薄膜基板の接続方法を示す図である。
【図5】薄膜基板を図4の矢印Cの方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る薄膜基板及び薄膜基板の接続方法を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の薄膜基板10の平面図である。図2は、薄膜基板10を図1の矢印Bの方向から見た図である。図3は、薄膜基板10を図1の矢印Aの方向から見た図である。
【0012】
図1乃至図3に示すように、金属によって形成される板状の金属プレート11に、薄膜導体によって回路17を形成したセラミック基板12を金錫はんだによってマウントする。すなわち、セラミック基板12の回路を有する面と対向する面を金錫はんだなどのはんだによって金属プレート11に接続する。
【0013】
次に、リード14を高融点はんだ15によって接続する。ここで、リード14は、銅にNi−Auをメッキしたものが好適である。例えば、194ALLOYなどの柔軟性のある合金を用いることもできる。194ALLOYを用いる場合にはリード14の厚さを1mm以下にすることが好適である。
【0014】
ここで、薄膜基板とは薄膜導体の厚みが0.5μm以上10μm以下である回路基板を指すものとする。
【0015】
リード14は直線状の第1の接続部14Aと、ループ状の弾性部14Bと、直線状の第2の接続部14Cと、を有する。弾性部14Bはコイル状であってもよい。弾性部14Bは基板の膨張・収縮を吸収する。
【0016】
また、高融点はんだ15は、融点が250℃以上400℃未満の導体を用いる。高融点はんだ15は、例えば金錫はんだ、金ゲルマニウムはんだを用いることができる。
【0017】
金属プレート11は、Cu−W(10−90)などの垂直方向のそりが小さい材質を用いることが好適である。
【0018】
以上のように構成すると、本実施形態の薄膜基板10は、下方から金属プレート11と、はんだ層18と、回路17を有するセラミック基板12と、高融点はんだ15によって接続されたリード14と、を備える。
【0019】
図4は、薄膜基板10の接続方法を示す図である。図5は、薄膜基板10を図4の矢印Cの方向から見た図である。図4及び図5に示すように、薄膜基板10はリード14によって隣接する基板20とマイクロストリップライン31を介して接続される。
【0020】
薄膜基板10の回路17とリード14は、第1の接続部14Aを高融点はんだ15によって回路17とを接続することによって接続される。
【0021】
リード14と隣接する基板20との接続は、低融点はんだ30又は高融点はんだ15を用いる。第2の接続部14Cを低融点はんだ30又は高融点はんだ15を用いて隣接する基板とマイクロストリップライン31を介して接続する。
【0022】
低融点はんだ30又は高融点はんだ15を用いると、はんだ付けの際にリード14と薄膜基板10とを接続する高融点はんだ15が溶けずに済む。すなわち、はんだごての熱はリード14の弾性部14Bにて放熱されるため、リード14と薄膜基板10とを接続する高融点はんだ15に伝わらない。
【0023】
ここで、低融点はんだ30は、融点が高融点はんだの融点以下の導体である。低融点はんだ30は、望ましくは融点が150℃以上200℃以下の導体を使用する。低融点はんだ30は融点が190℃の錫を用いることが最も好ましい。
【0024】
以上述べたように、本実施形態の薄膜基板10は、金属プレート11と、はんだ層18と、回路17を有するセラミック基板12と、高融点はんだ15によって接続されたリード14と、を備える。また、本実施形態の薄膜基板10の接続方法は、金属プレート11と、はんだ層と、回路17を有するセラミック基板12と、高融点はんだ15によって第1の接続部14Aが回路17に接続されたリード14と、を備える薄膜基板10のリード14の第2の接続部14Cを低融点はんだ30又は高融点はんだ15を用いて隣接する基板20とマイクロストリップライン31を介して接続する。
【0025】
従って、薄膜を損傷することなく、またはんだごてという廉価な装置を用いて容易に隣接する基板と接続することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0026】
10:薄膜基板、
11:金属プレート、
12:セラミック基板、
14:リード、
15:高融点はんだ、
30:低融点はんだ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属によって形成される金属プレートと、
薄膜導体によって形成された回路を有するセラミック基板と、
前記金属プレートと前記セラミック基板を接続するはんだ層と、
前記回路の前記薄膜導体に、融点が250℃以上400℃未満の導体である高融点はんだによって接続されるリードと、
を備える薄膜基板。
【請求項2】
前記高融点はんだは、
金錫はんだ、金ゲルマニウムはんだ、
のうちから1種類以上選ばれることを特徴とする請求項1記載の薄膜基板。
【請求項3】
前記リードは、
直線状の第1の接続部と、
ループ状の弾性部と、
直線状の第2の接続部と、を有することを特徴とする請求項1記載の薄膜基板。
【請求項4】
前記リードは、
銅にNi−Auをメッキして形成されることを特徴とする請求項1記載の薄膜基板。
【請求項5】
前記リードは、
柔軟性のある合金により形成されることを特徴とする請求項1記載の薄膜基板。
【請求項6】
前記リードは、
隣接する薄膜基板と前記高融点はんだ又は融点が高融点はんだの融点以下の導体である低融点はんだによって接続されることを特徴とする請求項1記載の薄膜基板。
【請求項7】
金属によって形成される金属プレートと、薄膜導体によって形成された回路を有するセラミック基板と、前記金属プレートと前記セラミック基板を接続するはんだ層と、前記回路の前記薄膜導体に、融点が250℃以上400℃未満の導体である高融点はんだによって接続されるリードと、を備える薄膜基板の前記リードを、融点が高融点はんだの融点以下の導体である低融点はんだ又は前記高融点はんだを用いて隣接する基板と接続することを特徴とする薄膜基板の接続方法。
【請求項8】
前記高融点はんだは、
金錫はんだ、金ゲルマニウムはんだ、
のうちから1種類以上選ばれることを特徴とする請求項7記載の薄膜基板の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−100866(P2011−100866A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254862(P2009−254862)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】