説明

リーン燃焼内燃機関の排ガスから窒素酸化物を除去する方法およびこのための排ガス浄化装置

本発明はアンモニアを使用する選択的接触還元(SCR)によりリーン燃焼内燃機関の排ガスから窒素酸化物を除去する方法に関する。前記排ガスはまず白金含有プレ触媒に供給され、引き続きSCR触媒に供給される。選択的接触還元に必要なアンモニアはプレ触媒の上流で250℃より低い排ガス温度で排ガスに添加し、一方プレ触媒とSCR触媒の間で250℃より高い温度で排ガスに供給する。この方法を採用することにより高い窒素変換率とともに選択的接触還元のためのきわめて広い温度範囲が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリーン燃焼内燃機関の排ガスから窒素酸化物を除去する方法および前記方法を実施するための排ガス浄化装置に関する。前記方法はアンモニアを使用する窒素酸化物の選択的接触還元(SCR)および一酸化窒素の二酸化窒素への部分的上流酸化にもとづく。
【0002】
内燃機関の運転中の汚染物の排出に関するヨーロッパでのEUVおよびアメリカでのLEVIIの範囲内で計画される制限の遵守は活性排ガス後処理および排ガス浄化により保証することができる。ガソリンエンジンでの排ガス浄化は三元触媒コンバーターの使用により大部分解決されたが、リーン燃焼内燃機関からの粒子および窒素酸化物排出は主な問題を形成する。燃料燃焼中に発生した窒素酸化物を変換するために、2つの異なる接触法が開発された。1つはNOx吸着剤技術であり、エンジンのリーン運転状態中に窒素酸化物が適当な貯蔵物質で吸着され、リッチ運転位置で脱着され、還元される。他方はSCR技術であり、窒素酸化物がアンモニアまたはアンモニアに変換できる相当する前駆化合物を使用して還元する。
【0003】
硫黄に対する反応性および必要な長時間安定性はNOx吸着技術において2つの重大な問題であるが、SCR法は多くの場合にすでに発電所排ガスから窒素酸化物を除去するための長時間の使用に適していることが示された。更に現在の状態により将来必要な部分的に90%までのNOx変換率がSCR法を使用することによってのみ実現できることが明らかである。特に400000マイルより長い作業寿命が要求される過酷な使用に耐えるトラックにおいてSCR系の使用がきわめて有望である。
【0004】
アンモニアの高い毒性および揮発性により、輸送車両に非毒性前駆化合物が使用される。この目的のために特に尿素水溶液を使用する。尿素溶液を加水分解触媒を使用してまたは直接SCR触媒上でアンモニアと二酸化炭素に加水分解する。加水分解およびSCR触媒の上流の特別な配量装置を使用して尿素溶液を排ガスの流れに注入するかまたは吹きつける。
【0005】
固体酸系V/WO/TiOおよびV/MO/TiOをベースとする典型的なSCR触媒の運転温度は300〜550℃の範囲である。この範囲で前記触媒は90〜100%の窒素変換率を達成する。同様に金属イオン交換ゼオライトをベースとするSCR触媒の運転温度は金属イオンに依存して多くの場合に300℃を上まわる。これらの触媒は300℃より低い温度で窒素酸化物の変換にあまり適していない。
【0006】
内燃機関の排ガスに含まれる窒素酸化物はエンジンの運転状態に依存して一酸化窒素60〜95容積%からなる。排ガスが一酸化窒素と二酸化窒素のほぼ等しい容積部分を有する場合に、SCR法で窒素酸化物の変換を改良できることが知られている。
【0007】
従ってSCR触媒の低温活性を高めるために、一般に排ガスラインに、尿素注入部分の上流に白金含有触媒を配置し、エンジンで発生した一酸化窒素の部分を二酸化窒素に酸化する。更にこの上流酸化触媒が適当な条件下で未処理排ガスに含まれる炭化水素をほとんど完全に酸化し、触媒の活性中心を占有することによりこれらの炭化水素がSCR触媒の活性を減少することを回避する。結果として、固体酸系V/WO/TiOおよびV/MO/TiOをベースとするおよび金属イオン交換されたゼオライトをベースとするSCR触媒の活性窓を著しく拡大することが可能である。一般にこれらの系は約250℃からすでに窒素酸化物の十分な変換を達成する。
【0008】
しかし将来の制限を守るために、乗用車の排ガスを浄化するためのSCR触媒の使用は150〜250℃の間のできるだけ低い温度範囲で高い窒素変換率を必要とする。200℃より低い選択的接触還元のための運転温度を有する触媒は予め文献に記載されている。例えば、R.M.Heck等、Operating Characteristics and Commercial Operating Experience with High Temperature SCR NOx Catalyst,Enviromental progress,13(1994)4,221−225。これらは白金含有触媒であり、高い表面積の担体に高度に分散した白金が存在する。この発明において、高い表面積の担体は一般に10m/gより大きい比表面積を有する耐熱性金属酸化物であることを意味する。これは例えば40〜400m/gの比表面積を有するいわゆる活性酸化アルミニウムを含む。
【0009】
選択的接触還元のための白金含有触媒の運転範囲は高温の方向に制限される。すなわち約300℃より高い温度で白金は著しく広い範囲でアンモニアの酸化を開始し、これにより接触還元の工程からアンモニアを除去する。
【0010】
従って約150℃から550℃をこえる広い範囲の運転温度でリーン燃焼内燃機関の排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する方法が連続して必要である。
【0011】
本発明の課題はこのような方法を提供し、前記方法を実施するための排ガス浄化装置を利用することである。前記方法は更に粒子フィルターを有する排ガス浄化装置に使用するために適しており、粒子フィルターの簡単な再生を実施できることを目的とする。
【0012】
前記課題は、排ガスをまず白金含有プレ触媒に供給し、引き続きSCR触媒に供給し、排ガスがプレ触媒の上流で排ガス温度Tを有する、アンモニアを使用する選択的接触還元(SCR)法により解決される。前記方法は、予め決定された温度Tより低い排ガス温度で、プレ触媒の上流で、アンモニアを直接またはアンモニアに加水分解可能な化合物の形で排ガスに供給し、Tより高い排ガス温度Tで、アンモニアをプレ触媒とSCR触媒の間で、排ガスに供給することを特徴とする。
【0013】
以下の方法の説明において、前記方法が1つの状態から他の状態に推移する排ガス温度の特定の値が付与される。これは前記方法の良好な理解を容易にするために行う。しかし当業者はこれらの温度値が使用されるそれぞれの触媒に依存し、従って所定の触媒の組合せに関して前記方法を使用して最適な結果を達成するために、前記方法を実施する場合に調節しなければならないことを認識している。一般にプレ触媒の上流での供給からプレ触媒とSCR触媒の間の供給への温度Tは220〜270℃の範囲にある。
【0014】
本発明において、SCR触媒は250℃より高い運転温度範囲を有する選択的接触還元のための一般的な触媒であると理解される。有利にSCR触媒のSCR成分は二酸化チタンおよびバナジウムから形成される固体酸系を含む。この物質は付加的に酸化タングステン、酸化モリブデン、二酸化珪素、硫酸塩およびゼオライトからなる群の少なくとも1種を含有することができ、ゼオライトは酸性H形で存在するかまたは金属イオンで交換することができる。しかしSCR触媒は完全にゼオライトからなることができ、その際ゼオライトは酸性H形で存在するかまたはその交換能力内で金属イオン、特に鉄および銅で交換される。
【0015】
SCR触媒の運転温度範囲は、触媒が予め決定された空間速度および予め決定された窒素酸化物とアンモニアの比で少なくとも50%の変換率を達成する温度範囲である。
【0016】
本発明の方法において、白金含有プレ触媒は排ガス温度Tに依存して2つの異なる機能を担う。約250℃未満の低い温度範囲で、この触媒は、還元剤としてアンモニアを供給する場合に、リーン排ガスに含まれる窒素酸化物を窒素と水に選択的に還元できる。この温度範囲で白金含有プレ触媒はSCR触媒の機能を果たす。結果として、エンジンのコールドスタートに続いて窒素酸化物の変換がきわめて速く開始する。しかし低い排ガス温度、すなわち250℃未満で、他のどの運転位置でもプレ触媒はSCR触媒として作用する。これはもちろん十分な量のアンモニアまたはアンモニアに分解可能な化合物が供給されるプレ触媒の上流の排ガスによる。排ガスに含まれる炭化水素はこれらの運転期間中に他の還元剤として用いられる。
【0017】
250℃より低い排ガス温度での運転期間の間に該当するSCR触媒はなお冷たいので、窒素酸化物の変換に重要な役割を果たすことができない。更にSCR触媒はプレ触媒の下流に配置される。この配置によりSCR触媒の上流の排ガスはプレ触媒の上流より冷たい。
【0018】
排ガス温度Tが250℃を上まわる場合は、プレ触媒での窒素酸化物の選択的接触還元は徐々に排ガスに含まれるアンモニアと炭化水素の酸化に変化する。約250℃より高い温度でプレ触媒はもはやSCR触媒として作用しない。従ってプレ触媒の上流のアンモニアの供給を中断する。高い排ガス温度により、SCR触媒は活性になる。その理由で還元剤アンモニアまたはアンモニアに加水分解可能な化合物をプレ触媒とSCR触媒の間で排ガスに添加しなければならない。
【0019】
アンモニアの前駆化合物の加水分解を改良するために、加水分解触媒を還元剤の注入部分の下流に、SCR触媒の上流に用意することができる。
【0020】
必要により、プレ触媒の上流およびプレ触媒とSCR触媒の間でアンモニアの供給を所定の温度範囲にわたり重複するやり方で実施することができる。この場合にプレ触媒に供給されるアンモニアがプレ触媒で燃焼し、排ガス温度の上昇に寄与し、従ってSCR触媒で選択的接触還元の速いライトオフ(light off)に寄与する。
【0021】
前記方法の他の利点は高い排ガス温度で排ガスに含まれる炭化水素がプレ触媒でほとんど完全に燃焼することである。これは燃焼しない炭化水素によるSCR触媒の汚れを防ぐ。
【0022】
起こりうる過剰配量によるアンモニアの排出またはSCR触媒からのアンモニアの脱着を避けるために、SCR触媒の下流の排ガスをいわゆるアンモニアブロック触媒に供給することができる。これはアンモニア漏出を水と窒素に酸化する酸化機能を有する触媒である。たとえば高い表面積の担体上の白金を含む。この酸化触媒はSCR触媒の出口側に被膜の形で用意することができる。
【0023】
最適な排ガス処理のために、白金含有プレ触媒を、有利に触媒活性被膜の担体として、自動車の排ガスの接触変換に広く使用されるセラミックまたは金属から形成されるハネカム担体に被膜の形で用意する。プレ触媒は有利に酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、ゼオライトまたはこれらの混合物または混合酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの大きな表面積の担体上に触媒活性貴金属として白金を含有する。プレ触媒のための適当な組成物は、例えばドイツ特許第1964560号およびドイツ特許第1975338号に記載されている。これらは主に白金活性化珪酸アルミニウムからなり、珪酸アルミニウムは珪酸アルミニウムの全質量に関して二酸化珪素0.5〜40質量%を含有することができる。更にこれらの触媒組成物は10より多いSiOとAlのモル比を有する種々の耐熱性ゼオライトを含有する。
【0024】
前記方法の1つの特別な実施態様において、白金含有プレ触媒の担体として排ガスから煤粒子を分離するための粒子フィルターを使用する。粒子フィルターに堆積する煤粒子は排ガス背圧の連続的増加を生じる。従って粒子フィルターを時々再生しなければならず、すなわち粒子フィルターに堆積した煤粒子を排ガス温度の上昇により焼き払わなければならない。
【0025】
ディーゼル煤は約600℃と同じほど高い温度から自然に燃焼する。しかし近代的なディーゼルエンジンの排ガス中のこれらの温度は完全充填範囲でのみ達成される。それにもかかわらず、煤が充填されたフィルターの再生を保証するために、特に乗用車にフィルター再生のための活性手段が採用される。従って排ガス温度を、例えばシリンダー内後注入、排ガスバーナー、またはマイクロ波ヒーターにより高めることができる。選択的にまたは付加的に煤燃焼のための活性化エネルギーを燃料添加物または触媒フィルター被膜を使用することにより低下することができる。
【0026】
同じ量の煤粒子がエンジンにより製造され、フィルターにより燃焼されるいわゆる平衡温度は被覆されないフィルターに関して約420℃である。触媒被膜の使用により、この平衡温度は明らかに300℃未満に低下することができる。
【0027】
フィルター機能を再生するために、排ガス温度を煤の発火温度に高めなければならない。技術水準で知られるように、これは、排ガス中の炭化水素含量を増加するためにエンジンに種々の手段を採用することにより行うことができる。引き続き付加的な炭化水素を白金含有プレ触媒で燃焼し、フィルター温度を煤の発火温度に高める。付加的な燃料をプレ触媒の上流で排ガスに配量することができる。選択的に前記方法の1つの特別な実施態様により、排ガス温度が250℃を上まわる場合は、アンモニアの増加する量をプレ触媒の上流に注入することができる。この温度範囲で、プレ触媒でアンモニアを燃焼し、これにより排ガス温度を更に高める。
【0028】
本発明のもう1つの対象は前記方法を実施するための排ガス浄化装置である。この排ガス浄化装置は白金含有プレ触媒およびその下流に配置されたSCR触媒を有する。還元剤アンモニアを供給するために、排ガス浄化装置はプレ触媒の上流に第1配量装置を有し、内燃機関の排ガスにアンモニアまたはアンモニアに加水分解可能な化合物を添加するために、プレ触媒とSCR触媒の間に第2配量装置を有する。
【0029】
250℃より低い温度でプレ触媒の上流で、還元剤を第1配量装置を介して排ガスラインに配量し、還元剤がすでに未処理ガス中で白金含有触媒上でこの目的のための最適な温度範囲で窒素酸化物と反応することができる。250℃より高い温度で、プレ触媒の上流で、白金含有触媒が配量されたアンモニアの酸化を開始し、アンモニアはもはやSCR反応に利用できなくなり、還元剤をSCR触媒の上流で第2配量部分により注入し、排ガス中の窒素酸化物とSCR触媒に最適な温度範囲内で反応することができる。同時にプレ触媒で炭化水素のほとんど完全な酸化および一酸化窒素の二酸化窒素への部分酸化が行われ、これにより下流に用意されたSCR触媒の低温活性が著しく高まる。
【0030】
ここに記載された装置において、白金含有フィルター被膜、更に150〜250℃の温度範囲でアンモニアを使用してSCR反応を実施するために、煤の燃焼を活性化するために、炭化水素の全酸化および一酸化窒素の部分酸化が形成されている。
【0031】
付加的に使用される還元剤、すなわちアンモニアまたはアンモニアに分解可能な前駆化合物が被覆されたフィルター上で、300℃より高い排ガス温度で、排出される酸化熱を使用して燃焼によりフィルターを活性に再生するために適していることが見出された。
【0032】
本発明を図1〜5および以下の比較例および実施例により詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明による排ガス浄化装置を示し、図2は白金含有触媒での窒素酸化物の変換を示し、図3はバナジウムをベースとするSCR触媒での窒素酸化物の変換を示し、図4はプレ触媒の上流にアンモニアを注入する本発明による排ガス浄化装置による窒素酸化物の変換を示し、図5はプレ触媒の上流で250℃までの温度でおよびプレ触媒とSCR触媒の間で250℃からの温度でアンモニアを注入する本発明による排ガス浄化装置による窒素酸化物の変換を示す。
【0034】
図1は前記方法を実施するための排ガス浄化装置1の構成を示す。排ガス管2に2つのコンバーターハウジング3および4が配置される。エンジン側コンバーターハウジング3はプレ触媒5を有し、コンバーター3の下流に配置されるコンバーターハウジング4はSCR触媒6を有する。排ガス浄化装置はアンモニアまたは尿素のようなアンモニアに分解可能な化合物を排ガスに供給する2つの供給導入部7および8を有する。排ガス温度を直接測定するために、プレ触媒の上流に、流動方向に温度センサー9が備えられている。しかし温度は選択的にエンジン制御装置に貯蔵される特性マップから取得することができる。この場合に排ガスラインの温度センサーは省略することができる。
【0035】
以下の比較例および実施例において、モデルガス装置を使用して表1に示されるガス組成に関する温度に依存して種々の触媒および触媒組合せの窒素酸化物の変換を測定した。
【0036】
【表1】

【0037】
試験のために、安定化酸化アルミニウムおよび種々のHゼオライトの混合物および直径25.4mmおよび長さ25.4mmのハネカム担体上の白金をベースとするディーゼル酸化触媒を使用した。ハネカム担体のセル密度は壁厚0.17mmで62cm−2であった。触媒はハネカム容積1リットル当たり3.18gの白金濃度を有した。被膜濃度はハネカム担体容積1リットル当たり約100gであった。
【0038】
SCR触媒としてバナジウムベース触媒を使用した。ここでSCR活性成分、酸化バナジウムおよび酸化タングステンを担体として酸化チタンに固定した。
【0039】
SCR触媒をハネカム担体にディーゼル酸化触媒の3倍の長さで被覆した。
【0040】
比較例1
白金含有ディーゼル酸化触媒の窒素酸化物の変換率を空間速度90000h−1で測定した。選択的接触還元に必要なアンモニアは酸化触媒の上流でモデルガス混合物に添加した。
【0041】
測定したプロットを図2に示す。150℃でできるだけ速く触媒は約20%の窒素酸化物変換率を有する。約200℃の温度で90%未満の最大窒素酸化物変換率が生じる。
【0042】
比較例2
次にSCR触媒の窒素酸化物変換率を空間速度30000h−1で測定した。選択的接触還元に必要なアンモニアはプレ触媒とSCR触媒の間でモデルガス混合物に添加した。
【0043】
測定結果を図3に示す。この触媒は250℃でできるだけ遅く窒素酸化物変換率20%を有する。約400℃の温度で最大93%の窒素酸化物変換率が達成される。
【0044】
比較例3
この例では酸化触媒とSCR触媒を連続に接続し、SCR触媒に関して30000h−1の空間速度で充填した。選択的接触還元に必要なアンモニアをすべての温度測定位置に関して酸化触媒の上流でモデルガス混合物に添加した。
【0045】
相当する変換プロットを図4に示す。比較例1でそれ自体に使用した酸化触媒に比べて酸化触媒とSCR触媒の組合せは窒素酸化物変換率の改良を生じないが、それは250℃より高い排ガス温度で、SCR触媒で必要なアンモニアがこの温度で酸化触媒により燃焼し、選択的接触還元にもはや利用できないからである。
【0046】
例1
この例は酸化触媒とSCR触媒の連続接続を調べた。しかしこの場合に選択的接触還元に必要なアンモニアを酸化触媒の上流で250℃より低い温度でモデルガス混合物に添加し、酸化触媒とSCR触媒の間に250℃より高い温度でモデルガス混合物に添加した。
【0047】
図5は関係する測定プロットを示す。図に示されるように、本発明による方法は200℃から500℃より高い温度までのきわめて広い温度範囲で80%より大きい窒素酸化物変換率を達成することができる。
【0048】
例2
フィルター上でアンモニアを燃焼することにより粒子フィルターの活性再生を示すために、炭化珪素から形成され、143.76×152.4mmの寸法およびセル密度31cm−2cm(5.66′′×6′′、200cpsi)を有する粒子フィルターに白金活性化セリウム/ジルコニウム酸化物を有する触媒被膜を備えた。
【0049】
フィルターの白金充填量は5.3l/g(150g/ft)であった。フィルターはディーゼル煤20.1gが予め充填され、乗用車エンジンで配量されたアンモニア添加を使用して種々の充填および温度段階で背圧を試験した。排ガス中アンモニア約750ppmに相当する濃度で尿素溶液の配量した添加で350〜400℃の排ガス温度でフィルターは15分以内で完全に再生できることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による排ガス浄化装置の図である。
【図2】白金含有触媒での窒素酸化物の変換を示す図である。
【図3】バナジウムをベースとするSCR触媒での窒素酸化物の変換を示す図である。
【図4】プレ触媒の上流にアンモニアを注入する本発明による排ガス浄化装置による窒素酸化物の変換を示す図である。
【図5】プレ触媒の上流で250℃までの温度でおよびプレ触媒とSCR触媒の間で250℃からの温度でアンモニアを注入する本発明による排ガス浄化装置による窒素酸化物の変換を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン燃焼内燃機関の排ガスからアンモニアを使用する選択的接触還元(SCR)により窒素酸化物を除去する方法において、排ガスをまず白金含有プレ触媒に供給し、引き続きSCR触媒に供給し、プレ触媒の上流の排ガスが排ガス温度Tを有し、白金含有プレ触媒が排ガスに含まれる煤粒子のためのフィルター機能を有し、予め決定された温度Tより低い排ガス温度Tで、プレ触媒の上流でアンモニアを直接またはアンモニアに加水分解可能な化合物の形で排ガスに供給し、Tより高い排ガス温度Tで、排ガスへのアンモニアの供給がプレ触媒の上流の供給からプレ触媒とSCR触媒の間の供給に変化することを特徴とするリーン燃焼内燃機関の排ガスから窒素酸化物を除去する方法。
【請求項2】
アンモニア供給を変化するための温度Tが220〜270℃である請求項1記載の方法。
【請求項3】
プレ触媒とSCR触媒の間の排ガスを付加的な加水分解触媒に供給し、アンモニアまたはアンモニアに加水分解可能な化合物を加水分解触媒の上流で排ガスに供給する請求項1記載の方法。
【請求項4】
起こりうるアンモニア漏出の酸化のために、排ガスを、SCR触媒を通過後に、酸化活性ブロック触媒に供給する請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
白金含有プレ触媒が煤発火温度を低下するための付加的な機能を有する請求項1記載の方法。
【請求項6】
必要によりプレ触媒のフィルター機能をプレ触媒で、300℃より高い排ガス温度Tで酸化されるアンモニアにより再生し、プレ触媒の温度を排出される酸化熱により煤の発火温度より高く上昇する請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
白金含有プレ触媒と下流のSCR触媒を有し、これらを排ガスが順次通過する、リーン燃焼内燃機関の排ガスを浄化する排ガス浄化装置において、プレ触媒が粒子フィルター上の被膜の形で存在し、アンモニアまたはアンモニアに加水分解可能な化合物を内燃機関の排ガスに供給するために、第1配量装置がプレ触媒の上流に、および第2配量装置がプレ触媒とSCR触媒の間に用意されていることを特徴とするリーン燃焼内燃機関の排ガスを浄化する排ガス浄化装置。
【請求項8】
白金含有プレ触媒が酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、ゼオライトまたはこれらの混合物または混合酸化物からなる群から選択される少なくとも1個の高い表面積の担体上の白金を有する請求項7記載の排ガス浄化装置。
【請求項9】
SCR触媒が酸化バナジウム、酸化タングステンおよび酸化チタン、または酸化バナジウム、酸化モリブデンおよび酸化チタンをベースとするまたは金属交換ゼオライトをベースとする固体酸系を有する、請求項8記載の排ガス浄化装置。
【請求項10】
第2配量装置とSCR触媒の間に加水分解触媒が配置されている請求項7記載の排ガス浄化装置。
【請求項11】
SCR触媒の下流に酸化触媒が配置されている請求項7記載の排ガス浄化装置。
【請求項12】
酸化触媒がSCR触媒の出口側に被膜の形で存在し、高い表面積の担体上に白金を有する請求項11記載の排ガス浄化装置。
【請求項13】
プレ触媒が酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、ゼオライトまたはこれらの混合物または混合酸化物からなる群から選択される少なくとも1個の高い表面積の担体に白金を有し、付加的に排ガス粒子の発火温度を低下する成分を含有する請求項12記載の排ガス浄化装置。
【請求項14】
排ガスの温度のための温度センサーがプレ触媒の上流に配置される請求項7記載の排ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−519331(P2006−519331A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501964(P2006−501964)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001944
【国際公開番号】WO2004/076037
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4、D−63457 Hanau、Germany
【Fターム(参考)】