レーザスクライブ装置
【課題】レーザスクライブ加工と同時に、欠陥検査を正確に行い、確実に欠陥修復可能なレーザスクライブ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るレーザスクライブ装置は、加工に用いる第1のレーザ光16を照射する第1のレーザ発振器12を備える。そして、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過した第1のレーザ光16を検出してパターンの欠陥の有無を判断するレーザ光検出器18と、薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する電気特性測定器23とを備える。そして、レーザ光検出器18および電気特性測定器23により欠陥があると判断された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所から異物17を除去する異物除去手段13,14,20と、異物除去手段13,14,20により異物17が除去された欠陥箇所を修復する第1のレーザ発振器12とを備える。
【解決手段】本発明に係るレーザスクライブ装置は、加工に用いる第1のレーザ光16を照射する第1のレーザ発振器12を備える。そして、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過した第1のレーザ光16を検出してパターンの欠陥の有無を判断するレーザ光検出器18と、薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する電気特性測定器23とを備える。そして、レーザ光検出器18および電気特性測定器23により欠陥があると判断された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所から異物17を除去する異物除去手段13,14,20と、異物除去手段13,14,20により異物17が除去された欠陥箇所を修復する第1のレーザ発振器12とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザスクライブ装置に関するものであって、特に太陽電池基板が備える太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜太陽電池の製造には、レーザ光を照射して被加工物の所望の箇所を飛散させることにより、薄膜太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載のレーザスクライブ装置では、被加工物のレーザ加工面側に設けられた加工用レーザ発振器と反対側に、加工形状の寸法を測定するための測定用レーザ発振器を設けている。この発明では、加工用レーザ光をパルス照射することによって被加工物に加工形状(貫通穴)を形成し、その貫通穴を通過した測定用レーザ発振器からのレーザ光の光量を上述のパルスごとに測定する。そして、測定された光量が所定の光量になった時点で加工用レーザを停止する。こうして、貫通穴の径をレーザエネルギーでコントロールするのではなく、レーザ光の照射回数でコントロールしている。
【0004】
特許文献2に記載のレーザスクライブ装置では、反射電極層を形成した後に薄膜太陽電池に逆バイアスを印加し、リークによって発熱した箇所から放射される赤外線を被測定面から検知することによりリーク箇所を判別する。そして、リーク箇所に対応する二次元座標を記録した後、リーク箇所にレーザ光を照射して欠陥箇所の修復を行う。こうして、光起電力素子の欠陥部分を検出して、欠陥箇所をマッピングし、欠陥修復する。
【0005】
特許文献3に記載のレーザスクライブ方法においても、薄膜太陽電池に逆バイアスを印加し、リークによって発熱した箇所から放射される赤外線を検知してリーク箇所を判別する。
【0006】
【特許文献1】特開昭58−006785号公報
【特許文献2】特許第3098950号公報
【特許文献3】特開2002−203978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、測定用レーザ光の光量の差異に基づく検査のみ行う。そのため、レーザ光量の差異だけでは確認できないような微小な残渣がある場合には、正確に欠陥検査を行うことができないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の発明では、欠陥検査をレーザスクライブ加工とは別の工程に組み込む必要があるため、製造工程が長くなる。また、製造工程が長くなると、薄膜太陽電池に異物が付着する可能性が大きくなるため、欠陥修復工程時に欠陥がさらに発生するという問題があった。さらに、欠陥修復において、欠陥箇所に異物が付着している場合には、仮にレーザスクライブ加工用のレーザ光を欠陥箇所に再度照射しても、欠陥箇所を修復できないという問題があった。
【0009】
また、特許文献2および特許文献3に記載の発明では、薄膜太陽電池に逆バイアスを印加し、リークによって発熱した箇所から放射される赤外線を検知する。しかしながら、欠陥が非常に小さい場合には、欠陥箇所に逆バイアス電圧を印加しても赤外線を検出できるほどには充分に発熱しないため、正確に欠陥検査を行うことができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、レーザスクライブ加工と同時に、欠陥検査を正確に行い、かつ、欠陥箇所に異物が付着していても確実に欠陥修復可能なレーザスクライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るレーザスクライブ装置は、レーザスクライブ加工により、太陽電池基板が備える太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置であって、前記レーザスクライブ加工に用いるレーザ光を照射するレーザ照射手段を備える。そして、前記太陽電池セルの前記パターンを通過した前記レーザ光を検出してパターンの欠陥の有無を判断する形状検査手段と、前記太陽電池セルのダイオード特性(電流−電圧特性)を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する電気特性検査手段とを備える。そして、前記形状検査手段および前記電気特性検査手段により欠陥があると判断された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所から異物を除去する異物除去手段と、前記異物除去手段により前記異物が除去された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所を修復する修復手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明のレーザスクライブ装置では、レーザスクライブ加工と欠陥検査と同時に行うことができるため、スループットの低下を防ぐことができる。また、欠陥検査では、形状検査に加えて電気特性検査を行うため、欠陥検査を正確に行うことができる。また、欠陥箇所に異物が付着している場合には、異物を除去した後に欠陥修復を行うため、確実に欠陥修復することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<実施の形態1>
太陽光を直接電気エネルギーに変換することが可能な太陽電池は、その変換に伴うCO2放出量が少ないことから、地球環境にやさしいクリーンな電気エネルギー製造装置として注目され、近年その需要が高まっている。現在、結晶シリコン(結晶Si)基板を半導体光変換層に用いた結晶Si太陽電池が主に供給されているが、結晶Si基板の供給不足が、太陽電池の生産や価格に影響を及ぼす状況となっている。
【0014】
そこで、結晶Si基板の供給事情に影響されずに製造でき、かつ、低コスト化が図れる太陽電池として、半導体光変換層に非晶質シリコンを用いた薄膜太陽電池が開発されている。この非晶質シリコンには、例えば、半導体光変換層にアモルファスシリコン(a−Si)、あるいは、微結晶シリコン(μc−Si)が用いられる。薄膜太陽電池は、1種類の半導体光変換層からなるシングルセル型以外に、他接合型あるいはタンデム型と呼ばれる各々別の光吸収波長を持つ複数種のセルを積層したものがある。
【0015】
図1は、シングルセル型薄膜太陽電池を示す断面図である。なお、以下、薄膜太陽電池のことを薄膜太陽電池モジュールと記述する。図1に係る薄膜太陽電池モジュール1は、薄膜太陽電池基板2と、保護膜8と、取り出し電極9と、リード線10とを備える。取り出し電極9は、薄膜太陽電池基板2端部の透明導電膜5に形成され、リード線10は、取り出し電極9に接続して形成される。保護膜8は、破損や水分などにより生じる発電性能劣化を防止する膜であり、薄膜太陽電池モジュール1の製造工程終期に形成される。
【0016】
図2は、薄膜太陽電池基板2を示す斜視図である。薄膜太陽電池基板2は、透明絶縁基板3と、透明絶縁基板3表面上に形成された薄膜太陽電池セル4とを備える。薄膜太陽電池セル4は、透明絶縁基板3表面上に順に積層された透明導電膜5、半導体光変換層6、反射電極層7を備える。半導体光変換層6には、例えば、上述したa−Si、あるいは、μc−Siが用いられる。半導体光変換層6および反射電極層7には、透明導電膜5まで達する溝状のパターン11が形成される。本実施の形態に係る薄膜太陽電池セル4のパターン11は、図2に示すライン状のパターンである。こうして、薄膜太陽電池セル4のパターン11が形成されることにより、複数の薄膜太陽電池セル4が電気的に直列に連なって形成される。
【0017】
薄膜太陽電池セル4のパターン11を、半導体光変換層6および反射電極層7に形成する方法としては、力学的に研磨する方法、化学的にエッチングする方法、レーザを照射する方法がある。中でも、レーザを照射するレーザスクライブ加工が、パターン形成に一般的に用いられている。レーザスクライブ加工は、レーザ光を照射してその光エネルギーを半導体光変換層6に吸収させ、熱エネルギーに変換させて半導体光変換層6および反射電極層7を飛散させる方法である。
【0018】
図10は、レーザスクライブ加工を行うレーザスクライブ装置のうち、本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となるレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。図10に係るレーザスクライブ装置は、第1のレーザ発振器12と、反射ミラー13と、集光レンズ14と、ステージ15とを備える。この図を用いて、レーザスクライブ加工により、薄膜太陽電池セル4のパターン11を形成する動作を説明する。
【0019】
まず、透明絶縁基板3上に予めパターニングされた透明導電膜5を形成し、その上に半導体光変換層6および反射電極層7を順に積層した薄膜太陽電池基板2を準備し、この薄膜太陽電池基板2をステージ15上に設置する。図10に係るレーザスクライブ装置は、第1のレーザ発振器12からパルス照射する第1のレーザ光16を、反射ミラー13、集光レンズ14を介して、透明絶縁基板3側から薄膜太陽電池基板2に照射する。そのパルスに同期させて、ステージ15を一方向にステップ移動させる。そして、上述のパルス照射とステップ移動を繰り返す。
【0020】
図11は、第1のレーザ光16の照射位置を示す平面図である。図11には、第1のレーザ光16のビームの形状(レーザ光形状)28、レーザ光形状28が重複するエリア29、第1のレーザ光16のビームの中心である第1のレーザ光中心30、ステージ送り幅31、ステージ移動方向32が示されている。図11に示すように、第1のレーザ光16を第1のレーザ光中心30に集光しているため、レーザ光形状28は、円形状となっている。
【0021】
ステージ送り幅31は、レーザ光形状28の直径よりも小さくする。このステージ送り幅31で、ステージ15を第1のレーザ光16のパルスに同期させてステージ移動方向32に移動させる。図11では、移動後のレーザ光形状28−1〜28−3が現在に近い順に符号を付して示されている。このようにステージ15を移動させると、レーザ光形状28とレーザ光形状28−1とはエリア29で重複する。そのため、エリア29では、第1のレーザ光16が重複して照射される。他のエリア29も同様に第1のレーザ光16が重複して照射される。
【0022】
第1のレーザ光16を照射された部位の半導体光変換層6は、第1のレーザ光16を吸収して蒸散し、反射電極層7とともに飛散する。こうして、図10の破線で囲まれた部位が飛散する。図12は、図2中のA部、つまり、レーザスクライブ加工後のライン状のパターン11(コンタクトライン)を拡大した平面図である。図11に示したように、図10に係るレーザスクライブ装置は、薄膜太陽電池基板2をステージ15によりステージ移動方向32に移動させながら、第1のレーザ光16を重ねて照射する。そのため、半導体光変換層6および反射電極層7に形成される薄膜太陽電池セル4のパターン11は、図12に示すように、弧を連ねたライン状のパターンとなる。このパターン11は、弧と弧が繋がる部分に突起部33を有する。以上により、半導体光変換層6および反射電極層7は分断され、複数の薄膜太陽電池セル4が直列に連なった薄膜太陽電池基板2を得ることができる。
【0023】
次に、レーザスクライブ加工時に、反射電極層7上に異物が付着していた場合について説明する。図13は、反射電極層7上に異物17が仮に付着している場合のレーザスクライブ加工の様子を示す模式的側面図である。この図のように、レーザスクライブ加工すべき部位の反射電極層7上に異物17が付着していると、第1のレーザ光16を吸収した半導体光変換層6の蒸散が、異物17により妨げられるため、十分に飛散することができない。
【0024】
その結果、異物17が付着している箇所では、半導体光変換層6および反射電極層7が残り、パターン11の欠陥が生じる。このパターン欠陥により、隣り合う薄膜太陽電池セル4同士が繋がると、発電時のショートやリークによる発電不良の原因となる。この不良を修復するために、再度のレーザスクライブ加工を行うことが想定されるが、異物17が付着したままでは、依然として良好なレーザスクライブ加工をすることができない。
【0025】
そこで、本発明は、上述のレーザスクライブ加工と同時に、ショートやリークパスとなりうる薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所を正確に検出し、かつ、確実に欠陥修復することが可能なレーザスクライブ装置を得ることを目的とする。以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置について説明する。
【0026】
図3は、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザスクライブ加工により、太陽電池基板である薄膜太陽電池基板2が備える太陽電池セルである薄膜太陽電池セル4のパターン11を形成する。なお、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、薄膜太陽電池モジュール1であれば、シングルセル型にもタンデム型にも適用できるが、ここでは、一例としてシングルセル型の薄膜太陽電池モジュール1を形成する場合について説明する。図3に示すように、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、第1のレーザ発振器12と、反射ミラー13と、集光レンズ14と、ステージ15と、レーザ光検出器18と、欠陥位置記憶システム19と、第2のレーザ発振器20と、電気特性測定器23と、プローブ24と、光源25と、カバー26と、ステージ位置制御システム27とを備える。
【0027】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザ照射手段である第1のレーザ発振器12を備える。この第1のレーザ発振器12は、レーザスクライブ加工に用いるレーザ光である第1のレーザ光16を照射する。第1のレーザ発振器12からの第1のレーザ光16は、反射ミラー13、集光レンズ14を介して、透明絶縁基板3側から薄膜太陽電池基板2にパルス照射される。こうして透明絶縁基板3側から薄膜太陽電池基板2に照射された第1のレーザ光16は、透明絶縁基板3および透明導電膜5を透過して、半導体光変換層6の一部に吸収されて、熱エネルギーに変換される。その熱エネルギーにより、第1のレーザ光16を吸収した部位の半導体光変換層6の温度が上昇する。温度が沸点に達すると、その部位の半導体光変換層6が蒸散する。その半導体光変換層6が蒸散する際に、反射電極層7も同時に飛散する。
【0028】
これと並行して、第1のレーザ発振器12のパルスに同期させて、ステージ15を一方向にステップ移動させる。このパルス照射とステップ移動を繰り返すことにより、薄膜太陽電池セル4のパターンを形成する。本実施の形態に係るパターンは、図2に係るライン状のパターン11である。
【0029】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、形状検査手段であるレーザ光検出器18を備える。このレーザ光検出器18は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過した第1のレーザ光16を検出して、パターンの欠陥の有無を判断する。本実施の形態では、レーザ光検出器18は、薄膜太陽電池基板2を挟んで第1のレーザ発振器12と対面側に設置される。上述のレーザスクライブ加工により、半導体光変換層6および反射電極層7が飛散すると、第1のレーザ光16は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過する。
【0030】
仮に、反射電極層7上に異物17が付着している場合には、半導体光変換層6の蒸散が異物17により妨げられるため、異物17が付着している部分の半導体光変換層6、反射電極層7は残る。ここで、半導体光変換層6、反射電極層7が残る状態としては、反射電極層7は飛散したが半導体光変換層6の一部が残る状態と、半導体光変換層6および反射電極層7のいずれも残る状態がある。
【0031】
前者の半導体光変換層6のみ残る状態では、第1のレーザ光16は、半導体光変換層6により一部吸収されるが、多くは半導体光変換層6を透過する。そのため、反射電極層7上に異物17が付着し、パターン11のうち半導体光変換層6に欠陥が生じた場合に、レーザ光検出器18が検出する受光量は、その欠陥が生じていない場合とほとんど変わらない。
【0032】
一方、後者の半導体光変換層6および反射電極層7のいずれも残る状態では、第1のレーザ光16は、反射電極層7によって反射されるため、第1のレーザ光16の光路の一部もしくは全光路を遮光される。そのため、第1のレーザ光16は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過できず、薄膜太陽電池基板2を通過できない。そのため、反射電極層7上に異物17が付着し、パターン11のうち反射電極層7に欠陥が生じた場合に、レーザ光検出器18が検出する受光量は、その欠陥が生じていない場合に比べて減少する。
【0033】
そこで、本実施の形態に係るレーザ光検出器18は、パターン11を通過した第1のレーザ光16の受光量を検出し、その受光量と予め設定した基準値と比較する。この比較により、薄膜太陽電池セル4に正常なパターン11が形成されたかどうかを判別する。本実施の形態では、レーザ光検出器18は、受光量が規定値に達さないと判別した場合には、レーザスクライブ加工が正常に成されず、パターン11に欠陥が有ると判断する。レーザ光検出器18において第1のレーザ光16を検知できなかった場合、そのときのステージ15の位置に対応する二次元座標は、後述する欠陥位置記憶システム19に記憶される。
【0034】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、電気特性検査手段である電気特性測定器23を備える。この電気特性測定器23は、薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する。上述のレーザスクライブ加工により、半導体光変換層6および反射電極層7が分断されると、図2に示したように、透明導電膜5と反射電極層7が半導体光変換層6を挟んで電気的に繋がってなる薄膜太陽電池セル4が形成される。光源25は、その薄膜太陽電池セル4に、可視光を照射する。カバー26は、光源25からの可視光を外部に漏らさないようにするために設けられている。それと並行して、薄膜太陽電池セル4の透明導電膜5に接続された取り出し電極9と電気特性測定器23とをプローブ24で繋ぎ、薄膜太陽電池セル4の反射電極層7と電気特性測定器23とをプローブ24で繋ぐ。
【0035】
こうして、薄膜太陽電池セル4に、光源25から可視光が照射されると、半導体光変換層6が可視光を吸収して発電し、透明導電膜5から反射電極層7へ電流が流れる。電気特性測定器23は、プローブ24を介して、その薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を測定して正常なダイオード特性と比較する。そして、電気特性測定器23は、その比較に基づいて、パターン11の欠陥起因によるショート・リークの欠陥があるかどうかを判断する。図4は、パターン欠陥がない正常な薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を示す図である。図5は、パターン欠陥があり、リークパスが生じている薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を示す図である。本実施の形態に係る電気特性測定器23は、図4に示すようなダイオード特性と略同一なダイオード特性が得られない場合に、リークパスがあると判断する。なお、図4のダイオード特性を規定する電圧値・電流値は、薄膜太陽電池セル4の特性に合わせて予め設定しておく。
【0036】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、ステージ15と、記憶手段である欠陥位置記憶システム19とを備える。ステージ15は、薄膜太陽電池セル4を備える薄膜太陽電池基板2を少なくとも2次元方向に移載可能である。欠陥位置記憶システム19は、レーザ光検出器18および電気特性測定器23により欠陥があると判断されたときのステージ15の位置に対応する二次元座標を、二次元座標情報として記憶する。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザ光検出器18および電気特性測定器23それぞれで欠陥があると判断されたときの二次元座標情報を、欠陥位置記憶システム19に記憶し、全てのレーザスクライブ加工の終了後にその情報を比較し、解析する。
【0037】
ここで、レーザ光検出器18および電気特性測定器23ともに欠陥があると判断された箇所には、第1のレーザ光を反射する反射電極層7のパターニング欠陥があると予測できる。また、レーザ光検出器18で欠陥がないと判断し、かつ、電気特性測定器23で欠陥があると判断された箇所には、第1のレーザ光を透過する半導体光変換層6のパターニング欠陥があると予測できる。このように、レーザ光検出器18だけでは判別できないような微小なパターニング欠陥によるショート・リークが存在していた場合でも、電気特性測定器23により判別することができる。つまり、レーザ光検出器18のみの欠陥検査よりも高感度な欠陥検査が可能となる。また、レーザ光検出器18で欠陥ありと判断し、かつ、電気特性測定器23で欠陥がないと判断された箇所には、欠陥修復が必要ないと判断できる。これにより、不必要な修復作業を低減して、スループット向上を図ることができる。
【0038】
ステージ位置制御システム27は、上述の解析結果により、半導体光変換層6または反射電極層7にパターニング欠陥があると判断された二次元座標に対応する位置に、ステージ15を移動させる。こうして、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、欠陥位置記憶システム19で記憶した二次元座標情報に基づいて、ステージ15の移動を制御する。
【0039】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は異物除去手段を備える。本実施の形態に係る異物除去手段は、薄膜太陽電池基板2を挟んで第1のレーザ発振器12と反対側に設けられた反射ミラー13と、集光レンズ14と、第2のレーザ発振器20とを備える。上述のステージ15の移動後、この異物除去手段は、透明絶縁基板3、透明導電膜5、半導体光変換層6、反射電極層7に吸収されにくく、かつ、反射電極層7上の異物17を除去可能な波長を有する第2のレーザ光21を第2のレーザ発振器20から照射する。こうして、上述異物除去手段は、薄膜太陽電池基板2の反射電極層7側から、反射ミラー13と、集光レンズ14とを介して、異物17に異物除去用のレーザ光である第2のレーザ光21を照射する。これにより、上述の異物除去手段は、レーザ光検出器18および電気特性測定器23により欠陥があると判断された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所から異物17を除去する。
【0040】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は修復手段を備える。本実施の形態に係る修復手段は、上述の異物除去手段により異物17が除去された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所に、レーザスクライブ加工に用いる第1のレーザ光16を照射する第1のレーザ発振器12である。この第1のレーザ光16により、第1のレーザ発振器12は、上述の異物除去手段により異物17が除去された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所を修復する。この欠陥修復は、上述の解析結果(欠陥が半導体光変換層6にあるのか、反射電極層7にあるのか)および、欠陥の大きさに応じて、第1のレーザ光16の照射位置、形状を選択的に変更するものであってもよい。このようにすれば、高精度な修復を行うことができる。
【0041】
欠陥修復を目的として照射された第1のレーザ光16がパターン欠陥を修復すると、第1のレーザ光16は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過する。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザ光検出器18により、通過した第1のレーザ光16を受光し、その受光量が上述の規定値に達した場合に、欠陥修復が完了したことを確認する。こうして、欠陥を修復すると、図4に示したダイオード特性が得られる。
【0042】
以上のような本実施の形態に係るレーザスクライブ装置によれば、第1のレーザ発振器12の第1のレーザ光16を、レーザスクライブ加工と欠陥検出に併用するため、レーザスクライブ加工と欠陥検査を同時に行うことができる。そのため、スループットの低下を防ぐことができるとともに、異物17が付着する可能性を低減できる。また、本実施の形態では、欠陥検査として、レーザ光検出器18による形状検査と、電気特性測定器23による電気特性検査とを行う。この電気特性検査は、形状検査では検出できなかった欠陥を検出できるため、欠陥検査を正確に行うことができる。さらに、薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥が、半導体光変換層6および反射電極層7のいずれにあるのかということも検査することができる。特に、今後、高効率化を図る上でより開発が活発化されると予想されるタンデム構造の薄膜太陽電池モジュール1の加工では、より多くの薄膜を積層してセルを構成しなければならず、欠陥要因もさらに複雑になることが予想されるため、この欠陥検出は有効である。また、本実施の形態に係る装置は、上述した異物除去手段により異物17を除去した後に欠陥修復を行うため、確実に欠陥を修復することができる。
【0043】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、欠陥位置記憶システム19で記憶した二次元座標情報に基づいて、ステージ15の移動を制御する。そのため、薄膜太陽電池基板2の位置を正確に制御することができる。
【0044】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、第2のレーザ発振器20からの異物除去用の第2のレーザ光21を照射して異物17を除去する。これにより、レーザスクライブ装置内のレーザ照射機構を活用して異物17を除去できるため、装置構造の簡略化を図ることができる。
【0045】
<実施の形態2>
図6は、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。本実施の形態では、実施の形態1の構成に加えて、第3のレーザ発振器34と、レーザ光間距離制御システム36とをさらに備える。以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成のうち、実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付すものとし、新たに説明しない構成については、実施の形態1と同じであるものとする。
【0046】
本実施の形態に係る第1のレーザ照射手段である第1のレーザ発振器12は、レーザスクライブ加工に用いるレーザ光である第1のレーザ光16を照射する。第2のレーザ照射手段である第3のレーザ発振器34は、薄膜太陽電池セル4のパターン11に、検査用のレーザ光である第3のレーザ光35を照射する。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、第1のレーザ光16と、第3のレーザ光35を略同一の方向から被加工物である薄膜太陽電池基板2に照射する。
【0047】
形状検査手段であるレーザ光検出器18は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過した第3のレーザ光35を検出してパターンの欠陥の有無を判断する。このレーザ光検出器18の動作は、第1のレーザ光16の代わりに第3のレーザ光35を検出する点以外は、実施の形態1で説明したレーザ光検出器18と同じである。
【0048】
制御システムであるレーザ光間距離制御システム36は、第1のレーザ光16のビームの中心と、第3のレーザ光35の中心との間の距離を、第1のレーザ発振器12によるレーザスクライブ加工の加工送りピッチであるステージ送り幅31のN(N:2以上の整数)倍にする制御を行う。本実施の形態では、レーザ光間距離制御システム36は、第1のレーザ光16が照射される反射ミラー13の角度と、第3のレーザ光35が照射される反射ミラー13の角度とを制御する。この制御により、レーザ光間距離制御システム36は、第1のレーザ光16および第3のレーザ光35の光路を移動させて、第1のレーザ光16のビームの中心と、第3のレーザ光35のビームの中心との間の距離を制御する。
【0049】
以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置のレーザスクライブ加工用の第1のレーザ光16と、形状検査用の第3のレーザ光35との照射位置関係について説明する。図7は、図6中のB部に相当する部位、つまり、第1のレーザ光16および第3のレーザ光35が照射される部位を拡大した斜視図である。図7には、上述の半導体光変換層6および反射電極層7からなる積層膜37、第3のレーザ光35のビームの中心である第3のレーザ光中心38、第1のレーザ光中心30と第3のレーザ光中心38との間の距離であるレーザ光間距離39が示されている。なお、第3のレーザ光35は、第3のレーザ光中心38に集光されているため、その形状は円形状となっている。
【0050】
第1のレーザ光中心30と、第3のレーザ光中心38は、ステージ移動方向32に対して平行で、かつ、第3のレーザ光中心38が第1のレーザ光中心30よりもステージ移動方向32の前方になるように配置する。第1のレーザ光中心30と、第3のレーザ光中心38とが重なり合うのを防ぐため、レーザ光間距離制御システム36は、第1のレーザ光16が照射される反射ミラー13の角度と、第3のレーザ光35が照射される反射ミラー13の角度とを制御して、レーザ光間距離39を、ステージ送り幅31のN倍と等しくなるように制御する。本実施の形態に係るレーザ光間距離制御システム36は、図7に示すように、レーザ光間距離39を、ステージ送り幅31の2倍と等しくする制御を行う。第1のレーザ発振器12の照射パルスが、第3のレーザ発振器34の照射パルスと等しくなるように制御することにより、第3のレーザ光35は、先に照射された第1のレーザ光16と全く同じ位置に追従して照射される。
【0051】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザ光間距離制御システム36により、第1のレーザ光中心30と、第3のレーザ光中心38を以上のような位置関係にする。そのため、第1のレーザ光16が重なって照射されることにより生じる加工ラインの突起部33による第3のレーザ光35の遮光を防ぐ。これにより、突起部33を欠陥として誤認することを防ぐことができる。また、このように、レーザスクライブ加工用の第1のレーザ光16と、形状検査用の第3のレーザ光35とを別々に用いるため、それぞれのレーザ光強度をそれぞれの用途に最適な強度に調整することができる。また、第1のレーザ光16によるレーザスクライブ加工と、第3のレーザ光35による形状検査とを、略同時に行うため、スループットの低下を防ぐことができるとともに、異物17が付着する可能性を低減できる。また、本実施の形態では、欠陥検査として、第3のレーザ光検出器18による形状検査と、電気特性測定器23による電気特性検査とを行う。この電気特性検査は、形状検査では検出できなかった欠陥を検出できるため、欠陥検査を正確に行うことができる。さらに、薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥が、半導体光変換層6および反射電極層7のいずれにあるのかということも検査することができる。また、本実施の形態に係る装置は、上述した異物除去手段により異物17を除去した後に欠陥修復を行うため、確実に欠陥を修復することができる。
【0052】
なお、第3のレーザ光35の形状の径を、第1のレーザ光16の形状の径よりも大きくすれば、欠陥が発生しやすい加工ラインエッジ部の検出感度を高くすることができる。
【0053】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、欠陥位置記憶システム19で記憶した二次元座標情報に基づいて、ステージ15の移動を制御する。そのため、薄膜太陽電池基板2の位置を正確に制御することができる。
【0054】
<実施の形態3>
図8は、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置が備える異物除去手段は、実施の形態1および実施の形態2と異なり、エアナイフ40と、エアナイフ制御システム41とを備える。以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成のうち、実施の形態2と同一の構成については、同一の符号を付すものとし、新たに説明しない構成については、実施の形態2と同じであるものとする。
【0055】
本実施の形態では、上述の異物除去手段は、薄膜太陽電池基板2の反射電極層7側に設置したエアナイフ40により、異物17にエア、例えば、窒素エアを吹き付ける。エアナイフ制御システム41は、異物17に対するエアナイフ40の窒素エアの吹き付けのON/OFF、および、吹き付けの強度を制御する。そして、上述の異物除去手段は、欠陥があると判断された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所に、エアナイフ制御システム41によりエアナイフ40を走査させる。そして、エアナイフ制御システム41により、エアナイフ40から窒素エアを吹き付け、風圧で異物17を除去する。
【0056】
以上のような本実施の形態に係るレーザスクライブ装置によれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。また、異物17をエアナイフ40により除去するため、薄膜太陽電池基板2に非接触で異物17を除去することができる。なお、イオナイザを通過させて防塵効果を高めた窒素エアをエアナイフ40から異物17に吹き付ける構成にすれば、薄膜太陽電池基板2の帯電も防ぐことができる。
【0057】
<実施の形態4>
図9は、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置が備える異物除去手段は、ブラシ42と、ブラシ制御システム43とを備える。以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成のうち、実施の形態2と同一の構成については、同一の符号を付すものとし、新たに説明しない構成については、実施の形態2と同じであるものとする。
【0058】
本実施の形態では、上述の異物除去手段は、異物17を、薄膜太陽電池基板2の反射電極層7側に設置したブラシ42を押し当てる。ブラシ制御システム43は、薄膜太陽電池基板2に対するブラシ42の押し当て強度、および、ブラシ回転数を制御する。そして、上述の異物除去手段は、欠陥があると判断された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所に、ブラシ制御システム43によりブラシ42を走査させる。そして、ブラシ制御システム43により、ブラシ42を棒軸を中心に回転させながら薄膜太陽電池基板2に押し当てて、異物17を除去する。
【0059】
以上のような本実施の形態に係るレーザスクライブ装置によれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。また、異物17をブラシ42により除去するため、薄膜太陽電池基板2に強固に付着した異物17も除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置で製造される薄膜太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置で加工される薄膜太陽電池基板の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。
【図4】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置で形成される薄膜太陽電池セルのダイオード特性を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置で形成される薄膜太陽電池セルの修復前のダイオード特性を示す図である。
【図6】実施の形態2に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。
【図7】実施の形態2に係るレーザスクライブ装置の構成を示す斜視図である。
【図8】実施の形態3に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。
【図9】実施の形態4に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。
【図10】本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となる装置の構成を示す模式的側面図である。
【図11】本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となる装置の動作を示す平面図である。
【図12】本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となる装置の動作を示す平面図である。
【図13】本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となる装置の動作を示す模式的側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 薄膜太陽電池モジュール、2 薄膜太陽電池基板、3 透明絶縁基板、4 薄膜太陽電池セル、5 透明導電膜、6 半導体光変換層、7 反射電極層、8 保護膜、9 取り出し電極、10 リード線、11 パターン、12 第1のレーザ発振器、13 反射ミラー、14 集光レンズ、15 ステージ、16 第1のレーザ光、17 異物、18 レーザ光検出器、19 欠陥位置記憶システム、20 第2のレーザ発振器、21 第2のレーザ光、23 電気特性測定器、24 プローブ、25 光源、26 カバー、27 ステージ位置制御システム、28,28−1〜28−3 レーザ光形状、29 エリア、30 第1のレーザ光中心、31 ステージ送り幅、32 ステージ移動方向、33 突起部、34 第3のレーザ発振器、35 第3のレーザ光、36 レーザ光間距離制御システム、37 積層膜、38 第3のレーザ光中心、39 レーザ光間距離、40 エアナイフ、41 エアナイフ制御システム、42 ブラシ、43 ブラシ制御システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザスクライブ装置に関するものであって、特に太陽電池基板が備える太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜太陽電池の製造には、レーザ光を照射して被加工物の所望の箇所を飛散させることにより、薄膜太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載のレーザスクライブ装置では、被加工物のレーザ加工面側に設けられた加工用レーザ発振器と反対側に、加工形状の寸法を測定するための測定用レーザ発振器を設けている。この発明では、加工用レーザ光をパルス照射することによって被加工物に加工形状(貫通穴)を形成し、その貫通穴を通過した測定用レーザ発振器からのレーザ光の光量を上述のパルスごとに測定する。そして、測定された光量が所定の光量になった時点で加工用レーザを停止する。こうして、貫通穴の径をレーザエネルギーでコントロールするのではなく、レーザ光の照射回数でコントロールしている。
【0004】
特許文献2に記載のレーザスクライブ装置では、反射電極層を形成した後に薄膜太陽電池に逆バイアスを印加し、リークによって発熱した箇所から放射される赤外線を被測定面から検知することによりリーク箇所を判別する。そして、リーク箇所に対応する二次元座標を記録した後、リーク箇所にレーザ光を照射して欠陥箇所の修復を行う。こうして、光起電力素子の欠陥部分を検出して、欠陥箇所をマッピングし、欠陥修復する。
【0005】
特許文献3に記載のレーザスクライブ方法においても、薄膜太陽電池に逆バイアスを印加し、リークによって発熱した箇所から放射される赤外線を検知してリーク箇所を判別する。
【0006】
【特許文献1】特開昭58−006785号公報
【特許文献2】特許第3098950号公報
【特許文献3】特開2002−203978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、測定用レーザ光の光量の差異に基づく検査のみ行う。そのため、レーザ光量の差異だけでは確認できないような微小な残渣がある場合には、正確に欠陥検査を行うことができないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の発明では、欠陥検査をレーザスクライブ加工とは別の工程に組み込む必要があるため、製造工程が長くなる。また、製造工程が長くなると、薄膜太陽電池に異物が付着する可能性が大きくなるため、欠陥修復工程時に欠陥がさらに発生するという問題があった。さらに、欠陥修復において、欠陥箇所に異物が付着している場合には、仮にレーザスクライブ加工用のレーザ光を欠陥箇所に再度照射しても、欠陥箇所を修復できないという問題があった。
【0009】
また、特許文献2および特許文献3に記載の発明では、薄膜太陽電池に逆バイアスを印加し、リークによって発熱した箇所から放射される赤外線を検知する。しかしながら、欠陥が非常に小さい場合には、欠陥箇所に逆バイアス電圧を印加しても赤外線を検出できるほどには充分に発熱しないため、正確に欠陥検査を行うことができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、レーザスクライブ加工と同時に、欠陥検査を正確に行い、かつ、欠陥箇所に異物が付着していても確実に欠陥修復可能なレーザスクライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るレーザスクライブ装置は、レーザスクライブ加工により、太陽電池基板が備える太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置であって、前記レーザスクライブ加工に用いるレーザ光を照射するレーザ照射手段を備える。そして、前記太陽電池セルの前記パターンを通過した前記レーザ光を検出してパターンの欠陥の有無を判断する形状検査手段と、前記太陽電池セルのダイオード特性(電流−電圧特性)を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する電気特性検査手段とを備える。そして、前記形状検査手段および前記電気特性検査手段により欠陥があると判断された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所から異物を除去する異物除去手段と、前記異物除去手段により前記異物が除去された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所を修復する修復手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明のレーザスクライブ装置では、レーザスクライブ加工と欠陥検査と同時に行うことができるため、スループットの低下を防ぐことができる。また、欠陥検査では、形状検査に加えて電気特性検査を行うため、欠陥検査を正確に行うことができる。また、欠陥箇所に異物が付着している場合には、異物を除去した後に欠陥修復を行うため、確実に欠陥修復することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<実施の形態1>
太陽光を直接電気エネルギーに変換することが可能な太陽電池は、その変換に伴うCO2放出量が少ないことから、地球環境にやさしいクリーンな電気エネルギー製造装置として注目され、近年その需要が高まっている。現在、結晶シリコン(結晶Si)基板を半導体光変換層に用いた結晶Si太陽電池が主に供給されているが、結晶Si基板の供給不足が、太陽電池の生産や価格に影響を及ぼす状況となっている。
【0014】
そこで、結晶Si基板の供給事情に影響されずに製造でき、かつ、低コスト化が図れる太陽電池として、半導体光変換層に非晶質シリコンを用いた薄膜太陽電池が開発されている。この非晶質シリコンには、例えば、半導体光変換層にアモルファスシリコン(a−Si)、あるいは、微結晶シリコン(μc−Si)が用いられる。薄膜太陽電池は、1種類の半導体光変換層からなるシングルセル型以外に、他接合型あるいはタンデム型と呼ばれる各々別の光吸収波長を持つ複数種のセルを積層したものがある。
【0015】
図1は、シングルセル型薄膜太陽電池を示す断面図である。なお、以下、薄膜太陽電池のことを薄膜太陽電池モジュールと記述する。図1に係る薄膜太陽電池モジュール1は、薄膜太陽電池基板2と、保護膜8と、取り出し電極9と、リード線10とを備える。取り出し電極9は、薄膜太陽電池基板2端部の透明導電膜5に形成され、リード線10は、取り出し電極9に接続して形成される。保護膜8は、破損や水分などにより生じる発電性能劣化を防止する膜であり、薄膜太陽電池モジュール1の製造工程終期に形成される。
【0016】
図2は、薄膜太陽電池基板2を示す斜視図である。薄膜太陽電池基板2は、透明絶縁基板3と、透明絶縁基板3表面上に形成された薄膜太陽電池セル4とを備える。薄膜太陽電池セル4は、透明絶縁基板3表面上に順に積層された透明導電膜5、半導体光変換層6、反射電極層7を備える。半導体光変換層6には、例えば、上述したa−Si、あるいは、μc−Siが用いられる。半導体光変換層6および反射電極層7には、透明導電膜5まで達する溝状のパターン11が形成される。本実施の形態に係る薄膜太陽電池セル4のパターン11は、図2に示すライン状のパターンである。こうして、薄膜太陽電池セル4のパターン11が形成されることにより、複数の薄膜太陽電池セル4が電気的に直列に連なって形成される。
【0017】
薄膜太陽電池セル4のパターン11を、半導体光変換層6および反射電極層7に形成する方法としては、力学的に研磨する方法、化学的にエッチングする方法、レーザを照射する方法がある。中でも、レーザを照射するレーザスクライブ加工が、パターン形成に一般的に用いられている。レーザスクライブ加工は、レーザ光を照射してその光エネルギーを半導体光変換層6に吸収させ、熱エネルギーに変換させて半導体光変換層6および反射電極層7を飛散させる方法である。
【0018】
図10は、レーザスクライブ加工を行うレーザスクライブ装置のうち、本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となるレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。図10に係るレーザスクライブ装置は、第1のレーザ発振器12と、反射ミラー13と、集光レンズ14と、ステージ15とを備える。この図を用いて、レーザスクライブ加工により、薄膜太陽電池セル4のパターン11を形成する動作を説明する。
【0019】
まず、透明絶縁基板3上に予めパターニングされた透明導電膜5を形成し、その上に半導体光変換層6および反射電極層7を順に積層した薄膜太陽電池基板2を準備し、この薄膜太陽電池基板2をステージ15上に設置する。図10に係るレーザスクライブ装置は、第1のレーザ発振器12からパルス照射する第1のレーザ光16を、反射ミラー13、集光レンズ14を介して、透明絶縁基板3側から薄膜太陽電池基板2に照射する。そのパルスに同期させて、ステージ15を一方向にステップ移動させる。そして、上述のパルス照射とステップ移動を繰り返す。
【0020】
図11は、第1のレーザ光16の照射位置を示す平面図である。図11には、第1のレーザ光16のビームの形状(レーザ光形状)28、レーザ光形状28が重複するエリア29、第1のレーザ光16のビームの中心である第1のレーザ光中心30、ステージ送り幅31、ステージ移動方向32が示されている。図11に示すように、第1のレーザ光16を第1のレーザ光中心30に集光しているため、レーザ光形状28は、円形状となっている。
【0021】
ステージ送り幅31は、レーザ光形状28の直径よりも小さくする。このステージ送り幅31で、ステージ15を第1のレーザ光16のパルスに同期させてステージ移動方向32に移動させる。図11では、移動後のレーザ光形状28−1〜28−3が現在に近い順に符号を付して示されている。このようにステージ15を移動させると、レーザ光形状28とレーザ光形状28−1とはエリア29で重複する。そのため、エリア29では、第1のレーザ光16が重複して照射される。他のエリア29も同様に第1のレーザ光16が重複して照射される。
【0022】
第1のレーザ光16を照射された部位の半導体光変換層6は、第1のレーザ光16を吸収して蒸散し、反射電極層7とともに飛散する。こうして、図10の破線で囲まれた部位が飛散する。図12は、図2中のA部、つまり、レーザスクライブ加工後のライン状のパターン11(コンタクトライン)を拡大した平面図である。図11に示したように、図10に係るレーザスクライブ装置は、薄膜太陽電池基板2をステージ15によりステージ移動方向32に移動させながら、第1のレーザ光16を重ねて照射する。そのため、半導体光変換層6および反射電極層7に形成される薄膜太陽電池セル4のパターン11は、図12に示すように、弧を連ねたライン状のパターンとなる。このパターン11は、弧と弧が繋がる部分に突起部33を有する。以上により、半導体光変換層6および反射電極層7は分断され、複数の薄膜太陽電池セル4が直列に連なった薄膜太陽電池基板2を得ることができる。
【0023】
次に、レーザスクライブ加工時に、反射電極層7上に異物が付着していた場合について説明する。図13は、反射電極層7上に異物17が仮に付着している場合のレーザスクライブ加工の様子を示す模式的側面図である。この図のように、レーザスクライブ加工すべき部位の反射電極層7上に異物17が付着していると、第1のレーザ光16を吸収した半導体光変換層6の蒸散が、異物17により妨げられるため、十分に飛散することができない。
【0024】
その結果、異物17が付着している箇所では、半導体光変換層6および反射電極層7が残り、パターン11の欠陥が生じる。このパターン欠陥により、隣り合う薄膜太陽電池セル4同士が繋がると、発電時のショートやリークによる発電不良の原因となる。この不良を修復するために、再度のレーザスクライブ加工を行うことが想定されるが、異物17が付着したままでは、依然として良好なレーザスクライブ加工をすることができない。
【0025】
そこで、本発明は、上述のレーザスクライブ加工と同時に、ショートやリークパスとなりうる薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所を正確に検出し、かつ、確実に欠陥修復することが可能なレーザスクライブ装置を得ることを目的とする。以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置について説明する。
【0026】
図3は、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザスクライブ加工により、太陽電池基板である薄膜太陽電池基板2が備える太陽電池セルである薄膜太陽電池セル4のパターン11を形成する。なお、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、薄膜太陽電池モジュール1であれば、シングルセル型にもタンデム型にも適用できるが、ここでは、一例としてシングルセル型の薄膜太陽電池モジュール1を形成する場合について説明する。図3に示すように、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、第1のレーザ発振器12と、反射ミラー13と、集光レンズ14と、ステージ15と、レーザ光検出器18と、欠陥位置記憶システム19と、第2のレーザ発振器20と、電気特性測定器23と、プローブ24と、光源25と、カバー26と、ステージ位置制御システム27とを備える。
【0027】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザ照射手段である第1のレーザ発振器12を備える。この第1のレーザ発振器12は、レーザスクライブ加工に用いるレーザ光である第1のレーザ光16を照射する。第1のレーザ発振器12からの第1のレーザ光16は、反射ミラー13、集光レンズ14を介して、透明絶縁基板3側から薄膜太陽電池基板2にパルス照射される。こうして透明絶縁基板3側から薄膜太陽電池基板2に照射された第1のレーザ光16は、透明絶縁基板3および透明導電膜5を透過して、半導体光変換層6の一部に吸収されて、熱エネルギーに変換される。その熱エネルギーにより、第1のレーザ光16を吸収した部位の半導体光変換層6の温度が上昇する。温度が沸点に達すると、その部位の半導体光変換層6が蒸散する。その半導体光変換層6が蒸散する際に、反射電極層7も同時に飛散する。
【0028】
これと並行して、第1のレーザ発振器12のパルスに同期させて、ステージ15を一方向にステップ移動させる。このパルス照射とステップ移動を繰り返すことにより、薄膜太陽電池セル4のパターンを形成する。本実施の形態に係るパターンは、図2に係るライン状のパターン11である。
【0029】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、形状検査手段であるレーザ光検出器18を備える。このレーザ光検出器18は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過した第1のレーザ光16を検出して、パターンの欠陥の有無を判断する。本実施の形態では、レーザ光検出器18は、薄膜太陽電池基板2を挟んで第1のレーザ発振器12と対面側に設置される。上述のレーザスクライブ加工により、半導体光変換層6および反射電極層7が飛散すると、第1のレーザ光16は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過する。
【0030】
仮に、反射電極層7上に異物17が付着している場合には、半導体光変換層6の蒸散が異物17により妨げられるため、異物17が付着している部分の半導体光変換層6、反射電極層7は残る。ここで、半導体光変換層6、反射電極層7が残る状態としては、反射電極層7は飛散したが半導体光変換層6の一部が残る状態と、半導体光変換層6および反射電極層7のいずれも残る状態がある。
【0031】
前者の半導体光変換層6のみ残る状態では、第1のレーザ光16は、半導体光変換層6により一部吸収されるが、多くは半導体光変換層6を透過する。そのため、反射電極層7上に異物17が付着し、パターン11のうち半導体光変換層6に欠陥が生じた場合に、レーザ光検出器18が検出する受光量は、その欠陥が生じていない場合とほとんど変わらない。
【0032】
一方、後者の半導体光変換層6および反射電極層7のいずれも残る状態では、第1のレーザ光16は、反射電極層7によって反射されるため、第1のレーザ光16の光路の一部もしくは全光路を遮光される。そのため、第1のレーザ光16は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過できず、薄膜太陽電池基板2を通過できない。そのため、反射電極層7上に異物17が付着し、パターン11のうち反射電極層7に欠陥が生じた場合に、レーザ光検出器18が検出する受光量は、その欠陥が生じていない場合に比べて減少する。
【0033】
そこで、本実施の形態に係るレーザ光検出器18は、パターン11を通過した第1のレーザ光16の受光量を検出し、その受光量と予め設定した基準値と比較する。この比較により、薄膜太陽電池セル4に正常なパターン11が形成されたかどうかを判別する。本実施の形態では、レーザ光検出器18は、受光量が規定値に達さないと判別した場合には、レーザスクライブ加工が正常に成されず、パターン11に欠陥が有ると判断する。レーザ光検出器18において第1のレーザ光16を検知できなかった場合、そのときのステージ15の位置に対応する二次元座標は、後述する欠陥位置記憶システム19に記憶される。
【0034】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、電気特性検査手段である電気特性測定器23を備える。この電気特性測定器23は、薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する。上述のレーザスクライブ加工により、半導体光変換層6および反射電極層7が分断されると、図2に示したように、透明導電膜5と反射電極層7が半導体光変換層6を挟んで電気的に繋がってなる薄膜太陽電池セル4が形成される。光源25は、その薄膜太陽電池セル4に、可視光を照射する。カバー26は、光源25からの可視光を外部に漏らさないようにするために設けられている。それと並行して、薄膜太陽電池セル4の透明導電膜5に接続された取り出し電極9と電気特性測定器23とをプローブ24で繋ぎ、薄膜太陽電池セル4の反射電極層7と電気特性測定器23とをプローブ24で繋ぐ。
【0035】
こうして、薄膜太陽電池セル4に、光源25から可視光が照射されると、半導体光変換層6が可視光を吸収して発電し、透明導電膜5から反射電極層7へ電流が流れる。電気特性測定器23は、プローブ24を介して、その薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を測定して正常なダイオード特性と比較する。そして、電気特性測定器23は、その比較に基づいて、パターン11の欠陥起因によるショート・リークの欠陥があるかどうかを判断する。図4は、パターン欠陥がない正常な薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を示す図である。図5は、パターン欠陥があり、リークパスが生じている薄膜太陽電池セル4のダイオード特性を示す図である。本実施の形態に係る電気特性測定器23は、図4に示すようなダイオード特性と略同一なダイオード特性が得られない場合に、リークパスがあると判断する。なお、図4のダイオード特性を規定する電圧値・電流値は、薄膜太陽電池セル4の特性に合わせて予め設定しておく。
【0036】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、ステージ15と、記憶手段である欠陥位置記憶システム19とを備える。ステージ15は、薄膜太陽電池セル4を備える薄膜太陽電池基板2を少なくとも2次元方向に移載可能である。欠陥位置記憶システム19は、レーザ光検出器18および電気特性測定器23により欠陥があると判断されたときのステージ15の位置に対応する二次元座標を、二次元座標情報として記憶する。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザ光検出器18および電気特性測定器23それぞれで欠陥があると判断されたときの二次元座標情報を、欠陥位置記憶システム19に記憶し、全てのレーザスクライブ加工の終了後にその情報を比較し、解析する。
【0037】
ここで、レーザ光検出器18および電気特性測定器23ともに欠陥があると判断された箇所には、第1のレーザ光を反射する反射電極層7のパターニング欠陥があると予測できる。また、レーザ光検出器18で欠陥がないと判断し、かつ、電気特性測定器23で欠陥があると判断された箇所には、第1のレーザ光を透過する半導体光変換層6のパターニング欠陥があると予測できる。このように、レーザ光検出器18だけでは判別できないような微小なパターニング欠陥によるショート・リークが存在していた場合でも、電気特性測定器23により判別することができる。つまり、レーザ光検出器18のみの欠陥検査よりも高感度な欠陥検査が可能となる。また、レーザ光検出器18で欠陥ありと判断し、かつ、電気特性測定器23で欠陥がないと判断された箇所には、欠陥修復が必要ないと判断できる。これにより、不必要な修復作業を低減して、スループット向上を図ることができる。
【0038】
ステージ位置制御システム27は、上述の解析結果により、半導体光変換層6または反射電極層7にパターニング欠陥があると判断された二次元座標に対応する位置に、ステージ15を移動させる。こうして、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、欠陥位置記憶システム19で記憶した二次元座標情報に基づいて、ステージ15の移動を制御する。
【0039】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は異物除去手段を備える。本実施の形態に係る異物除去手段は、薄膜太陽電池基板2を挟んで第1のレーザ発振器12と反対側に設けられた反射ミラー13と、集光レンズ14と、第2のレーザ発振器20とを備える。上述のステージ15の移動後、この異物除去手段は、透明絶縁基板3、透明導電膜5、半導体光変換層6、反射電極層7に吸収されにくく、かつ、反射電極層7上の異物17を除去可能な波長を有する第2のレーザ光21を第2のレーザ発振器20から照射する。こうして、上述異物除去手段は、薄膜太陽電池基板2の反射電極層7側から、反射ミラー13と、集光レンズ14とを介して、異物17に異物除去用のレーザ光である第2のレーザ光21を照射する。これにより、上述の異物除去手段は、レーザ光検出器18および電気特性測定器23により欠陥があると判断された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所から異物17を除去する。
【0040】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は修復手段を備える。本実施の形態に係る修復手段は、上述の異物除去手段により異物17が除去された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所に、レーザスクライブ加工に用いる第1のレーザ光16を照射する第1のレーザ発振器12である。この第1のレーザ光16により、第1のレーザ発振器12は、上述の異物除去手段により異物17が除去された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所を修復する。この欠陥修復は、上述の解析結果(欠陥が半導体光変換層6にあるのか、反射電極層7にあるのか)および、欠陥の大きさに応じて、第1のレーザ光16の照射位置、形状を選択的に変更するものであってもよい。このようにすれば、高精度な修復を行うことができる。
【0041】
欠陥修復を目的として照射された第1のレーザ光16がパターン欠陥を修復すると、第1のレーザ光16は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過する。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザ光検出器18により、通過した第1のレーザ光16を受光し、その受光量が上述の規定値に達した場合に、欠陥修復が完了したことを確認する。こうして、欠陥を修復すると、図4に示したダイオード特性が得られる。
【0042】
以上のような本実施の形態に係るレーザスクライブ装置によれば、第1のレーザ発振器12の第1のレーザ光16を、レーザスクライブ加工と欠陥検出に併用するため、レーザスクライブ加工と欠陥検査を同時に行うことができる。そのため、スループットの低下を防ぐことができるとともに、異物17が付着する可能性を低減できる。また、本実施の形態では、欠陥検査として、レーザ光検出器18による形状検査と、電気特性測定器23による電気特性検査とを行う。この電気特性検査は、形状検査では検出できなかった欠陥を検出できるため、欠陥検査を正確に行うことができる。さらに、薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥が、半導体光変換層6および反射電極層7のいずれにあるのかということも検査することができる。特に、今後、高効率化を図る上でより開発が活発化されると予想されるタンデム構造の薄膜太陽電池モジュール1の加工では、より多くの薄膜を積層してセルを構成しなければならず、欠陥要因もさらに複雑になることが予想されるため、この欠陥検出は有効である。また、本実施の形態に係る装置は、上述した異物除去手段により異物17を除去した後に欠陥修復を行うため、確実に欠陥を修復することができる。
【0043】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、欠陥位置記憶システム19で記憶した二次元座標情報に基づいて、ステージ15の移動を制御する。そのため、薄膜太陽電池基板2の位置を正確に制御することができる。
【0044】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、第2のレーザ発振器20からの異物除去用の第2のレーザ光21を照射して異物17を除去する。これにより、レーザスクライブ装置内のレーザ照射機構を活用して異物17を除去できるため、装置構造の簡略化を図ることができる。
【0045】
<実施の形態2>
図6は、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。本実施の形態では、実施の形態1の構成に加えて、第3のレーザ発振器34と、レーザ光間距離制御システム36とをさらに備える。以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成のうち、実施の形態1と同一の構成については、同一の符号を付すものとし、新たに説明しない構成については、実施の形態1と同じであるものとする。
【0046】
本実施の形態に係る第1のレーザ照射手段である第1のレーザ発振器12は、レーザスクライブ加工に用いるレーザ光である第1のレーザ光16を照射する。第2のレーザ照射手段である第3のレーザ発振器34は、薄膜太陽電池セル4のパターン11に、検査用のレーザ光である第3のレーザ光35を照射する。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、第1のレーザ光16と、第3のレーザ光35を略同一の方向から被加工物である薄膜太陽電池基板2に照射する。
【0047】
形状検査手段であるレーザ光検出器18は、薄膜太陽電池セル4のパターン11を通過した第3のレーザ光35を検出してパターンの欠陥の有無を判断する。このレーザ光検出器18の動作は、第1のレーザ光16の代わりに第3のレーザ光35を検出する点以外は、実施の形態1で説明したレーザ光検出器18と同じである。
【0048】
制御システムであるレーザ光間距離制御システム36は、第1のレーザ光16のビームの中心と、第3のレーザ光35の中心との間の距離を、第1のレーザ発振器12によるレーザスクライブ加工の加工送りピッチであるステージ送り幅31のN(N:2以上の整数)倍にする制御を行う。本実施の形態では、レーザ光間距離制御システム36は、第1のレーザ光16が照射される反射ミラー13の角度と、第3のレーザ光35が照射される反射ミラー13の角度とを制御する。この制御により、レーザ光間距離制御システム36は、第1のレーザ光16および第3のレーザ光35の光路を移動させて、第1のレーザ光16のビームの中心と、第3のレーザ光35のビームの中心との間の距離を制御する。
【0049】
以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置のレーザスクライブ加工用の第1のレーザ光16と、形状検査用の第3のレーザ光35との照射位置関係について説明する。図7は、図6中のB部に相当する部位、つまり、第1のレーザ光16および第3のレーザ光35が照射される部位を拡大した斜視図である。図7には、上述の半導体光変換層6および反射電極層7からなる積層膜37、第3のレーザ光35のビームの中心である第3のレーザ光中心38、第1のレーザ光中心30と第3のレーザ光中心38との間の距離であるレーザ光間距離39が示されている。なお、第3のレーザ光35は、第3のレーザ光中心38に集光されているため、その形状は円形状となっている。
【0050】
第1のレーザ光中心30と、第3のレーザ光中心38は、ステージ移動方向32に対して平行で、かつ、第3のレーザ光中心38が第1のレーザ光中心30よりもステージ移動方向32の前方になるように配置する。第1のレーザ光中心30と、第3のレーザ光中心38とが重なり合うのを防ぐため、レーザ光間距離制御システム36は、第1のレーザ光16が照射される反射ミラー13の角度と、第3のレーザ光35が照射される反射ミラー13の角度とを制御して、レーザ光間距離39を、ステージ送り幅31のN倍と等しくなるように制御する。本実施の形態に係るレーザ光間距離制御システム36は、図7に示すように、レーザ光間距離39を、ステージ送り幅31の2倍と等しくする制御を行う。第1のレーザ発振器12の照射パルスが、第3のレーザ発振器34の照射パルスと等しくなるように制御することにより、第3のレーザ光35は、先に照射された第1のレーザ光16と全く同じ位置に追従して照射される。
【0051】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、レーザ光間距離制御システム36により、第1のレーザ光中心30と、第3のレーザ光中心38を以上のような位置関係にする。そのため、第1のレーザ光16が重なって照射されることにより生じる加工ラインの突起部33による第3のレーザ光35の遮光を防ぐ。これにより、突起部33を欠陥として誤認することを防ぐことができる。また、このように、レーザスクライブ加工用の第1のレーザ光16と、形状検査用の第3のレーザ光35とを別々に用いるため、それぞれのレーザ光強度をそれぞれの用途に最適な強度に調整することができる。また、第1のレーザ光16によるレーザスクライブ加工と、第3のレーザ光35による形状検査とを、略同時に行うため、スループットの低下を防ぐことができるとともに、異物17が付着する可能性を低減できる。また、本実施の形態では、欠陥検査として、第3のレーザ光検出器18による形状検査と、電気特性測定器23による電気特性検査とを行う。この電気特性検査は、形状検査では検出できなかった欠陥を検出できるため、欠陥検査を正確に行うことができる。さらに、薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥が、半導体光変換層6および反射電極層7のいずれにあるのかということも検査することができる。また、本実施の形態に係る装置は、上述した異物除去手段により異物17を除去した後に欠陥修復を行うため、確実に欠陥を修復することができる。
【0052】
なお、第3のレーザ光35の形状の径を、第1のレーザ光16の形状の径よりも大きくすれば、欠陥が発生しやすい加工ラインエッジ部の検出感度を高くすることができる。
【0053】
本実施の形態に係るレーザスクライブ装置は、欠陥位置記憶システム19で記憶した二次元座標情報に基づいて、ステージ15の移動を制御する。そのため、薄膜太陽電池基板2の位置を正確に制御することができる。
【0054】
<実施の形態3>
図8は、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置が備える異物除去手段は、実施の形態1および実施の形態2と異なり、エアナイフ40と、エアナイフ制御システム41とを備える。以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成のうち、実施の形態2と同一の構成については、同一の符号を付すものとし、新たに説明しない構成については、実施の形態2と同じであるものとする。
【0055】
本実施の形態では、上述の異物除去手段は、薄膜太陽電池基板2の反射電極層7側に設置したエアナイフ40により、異物17にエア、例えば、窒素エアを吹き付ける。エアナイフ制御システム41は、異物17に対するエアナイフ40の窒素エアの吹き付けのON/OFF、および、吹き付けの強度を制御する。そして、上述の異物除去手段は、欠陥があると判断された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所に、エアナイフ制御システム41によりエアナイフ40を走査させる。そして、エアナイフ制御システム41により、エアナイフ40から窒素エアを吹き付け、風圧で異物17を除去する。
【0056】
以上のような本実施の形態に係るレーザスクライブ装置によれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。また、異物17をエアナイフ40により除去するため、薄膜太陽電池基板2に非接触で異物17を除去することができる。なお、イオナイザを通過させて防塵効果を高めた窒素エアをエアナイフ40から異物17に吹き付ける構成にすれば、薄膜太陽電池基板2の帯電も防ぐことができる。
【0057】
<実施の形態4>
図9は、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。本実施の形態に係るレーザスクライブ装置が備える異物除去手段は、ブラシ42と、ブラシ制御システム43とを備える。以下、本実施の形態に係るレーザスクライブ装置の構成のうち、実施の形態2と同一の構成については、同一の符号を付すものとし、新たに説明しない構成については、実施の形態2と同じであるものとする。
【0058】
本実施の形態では、上述の異物除去手段は、異物17を、薄膜太陽電池基板2の反射電極層7側に設置したブラシ42を押し当てる。ブラシ制御システム43は、薄膜太陽電池基板2に対するブラシ42の押し当て強度、および、ブラシ回転数を制御する。そして、上述の異物除去手段は、欠陥があると判断された薄膜太陽電池セル4のパターン11の欠陥箇所に、ブラシ制御システム43によりブラシ42を走査させる。そして、ブラシ制御システム43により、ブラシ42を棒軸を中心に回転させながら薄膜太陽電池基板2に押し当てて、異物17を除去する。
【0059】
以上のような本実施の形態に係るレーザスクライブ装置によれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。また、異物17をブラシ42により除去するため、薄膜太陽電池基板2に強固に付着した異物17も除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置で製造される薄膜太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置で加工される薄膜太陽電池基板の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。
【図4】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置で形成される薄膜太陽電池セルのダイオード特性を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るレーザスクライブ装置で形成される薄膜太陽電池セルの修復前のダイオード特性を示す図である。
【図6】実施の形態2に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。
【図7】実施の形態2に係るレーザスクライブ装置の構成を示す斜視図である。
【図8】実施の形態3に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。
【図9】実施の形態4に係るレーザスクライブ装置の構成を示す模式的側面図である。
【図10】本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となる装置の構成を示す模式的側面図である。
【図11】本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となる装置の動作を示す平面図である。
【図12】本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となる装置の動作を示す平面図である。
【図13】本発明に係るレーザスクライブ装置の前提となる装置の動作を示す模式的側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 薄膜太陽電池モジュール、2 薄膜太陽電池基板、3 透明絶縁基板、4 薄膜太陽電池セル、5 透明導電膜、6 半導体光変換層、7 反射電極層、8 保護膜、9 取り出し電極、10 リード線、11 パターン、12 第1のレーザ発振器、13 反射ミラー、14 集光レンズ、15 ステージ、16 第1のレーザ光、17 異物、18 レーザ光検出器、19 欠陥位置記憶システム、20 第2のレーザ発振器、21 第2のレーザ光、23 電気特性測定器、24 プローブ、25 光源、26 カバー、27 ステージ位置制御システム、28,28−1〜28−3 レーザ光形状、29 エリア、30 第1のレーザ光中心、31 ステージ送り幅、32 ステージ移動方向、33 突起部、34 第3のレーザ発振器、35 第3のレーザ光、36 レーザ光間距離制御システム、37 積層膜、38 第3のレーザ光中心、39 レーザ光間距離、40 エアナイフ、41 エアナイフ制御システム、42 ブラシ、43 ブラシ制御システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザスクライブ加工により、太陽電池基板が備える太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置であって、
前記レーザスクライブ加工に用いるレーザ光を照射するレーザ照射手段と、
前記太陽電池セルの前記パターンを通過した前記レーザ光を検出してパターンの欠陥の有無を判断する形状検査手段と、
前記太陽電池セルのダイオード特性を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する電気特性検査手段と、
前記形状検査手段および前記電気特性検査手段により欠陥があると判断された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所から異物を除去する異物除去手段と、
前記異物除去手段により前記異物が除去された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所を修復する修復手段とを備える、
レーザスクライブ装置。
【請求項2】
前記太陽電池セルを備える前記太陽電池基板を少なくとも二次元方向に移載可能なステージと、
前記形状検査手段および前記電気特性検査手段により欠陥があると判断されたときの前記ステージの位置に対応する二次元座標を、二次元座標情報として記憶する記憶手段とを備え、
前記記憶手段で記憶した前記二次元座標情報に基づいて、前記ステージの移動を制御する、
請求項1に記載のレーザスクライブ装置。
【請求項3】
レーザスクライブ加工により、太陽電池基板が備える太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置であって、
前記レーザスクライブ加工に用いるレーザ光を照射する第1のレーザ照射手段と、
前記太陽電池セルの前記パターンに、検査用のレーザ光を照射する第2のレーザ照射手段と、
前記太陽電池セルの前記パターンを通過した前記検査用のレーザ光を検出してパターンの欠陥の有無を判断する形状検査手段と、
前記太陽電池セルのダイオード特性を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する電気特性検査手段と、
前記形状検査手段および前記電気特性検査手段により欠陥があると判断された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所から異物を除去する異物除去手段と、
前記異物除去手段により前記異物が除去された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所を修復する修復手段と、
前記レーザスクライブ加工用のレーザ光のビームの中心と、前記検査用のレーザ光のビームの中心との間の距離を、前記第1のレーザ照射手段による前記レーザスクライブ加工の加工送りピッチのN(N:2以上の整数)倍にする制御を行う制御システムとを備える、
レーザスクライブ装置。
【請求項4】
前記修復手段は、
前記異物除去手段により前記異物が除去された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所に、前記レーザスクライブ加工に用いるレーザ光を照射する前記レーザ照射手段を含む、
請求項1または請求項2に記載のレーザスクライブ装置。
【請求項5】
前記異物除去手段は、
前記異物に異物除去用のレーザ光を照射する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレーザスクライブ装置。
【請求項6】
前記異物除去手段は、
前記異物にエアを吹き付ける、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレーザスクライブ装置。
【請求項7】
前記異物除去手段は、
前記異物にブラシを押し当てる、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレーザスクライブ装置。
【請求項1】
レーザスクライブ加工により、太陽電池基板が備える太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置であって、
前記レーザスクライブ加工に用いるレーザ光を照射するレーザ照射手段と、
前記太陽電池セルの前記パターンを通過した前記レーザ光を検出してパターンの欠陥の有無を判断する形状検査手段と、
前記太陽電池セルのダイオード特性を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する電気特性検査手段と、
前記形状検査手段および前記電気特性検査手段により欠陥があると判断された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所から異物を除去する異物除去手段と、
前記異物除去手段により前記異物が除去された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所を修復する修復手段とを備える、
レーザスクライブ装置。
【請求項2】
前記太陽電池セルを備える前記太陽電池基板を少なくとも二次元方向に移載可能なステージと、
前記形状検査手段および前記電気特性検査手段により欠陥があると判断されたときの前記ステージの位置に対応する二次元座標を、二次元座標情報として記憶する記憶手段とを備え、
前記記憶手段で記憶した前記二次元座標情報に基づいて、前記ステージの移動を制御する、
請求項1に記載のレーザスクライブ装置。
【請求項3】
レーザスクライブ加工により、太陽電池基板が備える太陽電池セルのパターンを形成するレーザスクライブ装置であって、
前記レーザスクライブ加工に用いるレーザ光を照射する第1のレーザ照射手段と、
前記太陽電池セルの前記パターンに、検査用のレーザ光を照射する第2のレーザ照射手段と、
前記太陽電池セルの前記パターンを通過した前記検査用のレーザ光を検出してパターンの欠陥の有無を判断する形状検査手段と、
前記太陽電池セルのダイオード特性を測定してショート・リークの欠陥の有無を判断する電気特性検査手段と、
前記形状検査手段および前記電気特性検査手段により欠陥があると判断された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所から異物を除去する異物除去手段と、
前記異物除去手段により前記異物が除去された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所を修復する修復手段と、
前記レーザスクライブ加工用のレーザ光のビームの中心と、前記検査用のレーザ光のビームの中心との間の距離を、前記第1のレーザ照射手段による前記レーザスクライブ加工の加工送りピッチのN(N:2以上の整数)倍にする制御を行う制御システムとを備える、
レーザスクライブ装置。
【請求項4】
前記修復手段は、
前記異物除去手段により前記異物が除去された前記太陽電池セルの前記パターンの欠陥箇所に、前記レーザスクライブ加工に用いるレーザ光を照射する前記レーザ照射手段を含む、
請求項1または請求項2に記載のレーザスクライブ装置。
【請求項5】
前記異物除去手段は、
前記異物に異物除去用のレーザ光を照射する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレーザスクライブ装置。
【請求項6】
前記異物除去手段は、
前記異物にエアを吹き付ける、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレーザスクライブ装置。
【請求項7】
前記異物除去手段は、
前記異物にブラシを押し当てる、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のレーザスクライブ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−195968(P2009−195968A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42773(P2008−42773)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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