説明

レーザ加工方法、レーザ加工装置及びソーラパネル製造方法

【課題】レーザ光による加工時間を可能な限り短縮する。
【解決手段】ガラス基板上に透明電極層、半導体層又は金属層を形成する成膜装置から順次搬送されてくるガラス基板に対してレーザ加工を行なう場合、ガラス基板に対してアライメント処理を行い、その後にガラス基板を保持して移動させている。このアライメント処理とガラス基板を保持移動させるステージをレーザ加工ステージの両側2箇所に設けることによって、一方のステージでレーザ加工を行なっている間に、他方のステージでアライメント処理を行なうようにして、待ち時間を大幅に短縮化するようにした。また、いずれか一方のステージが故障等でダウンした場合でも他方のステージを用いてレーザ加工処理を維持できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて薄膜等を加工するレーザ加工方法、レーザ加工装置及びソーラパネル製造方法に係り、特にレーザ光による薄膜等の加工を効率的に行うことのできるレーザ加工方法、レーザ加工装置及びソーラパネル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソーラパネルの製造工程では、透光性基板(ガラス基板)上に透明電極層、半導体層、金属層を順次形成し、形成後の各工程で各層をレーザ光で短冊状に加工してソーラパネルモジュールを完成している。このようにしてソーラパネルモジュールを製造する場合、ガラス基板上の薄膜に例えば約10mmピッチでレーザ光でスクライブ線を形成している。このスクライブ線の線幅は約30μmで、線と線の間隔は約30μmとなるような3本の線で構成されている。レーザ光でスクライブ線を形成する場合、通常は定速度で移動するガラス基板上にレーザ光を照射していた。これによって、深さ及び線幅の安定したスクライブ線を形成することが可能であった。このようなソーラパネル(光電変換装置)の製造方法については、インライン方式が知られている。インライン方式のソーラパネル(光電変換装置)の製造方法については、特許文献1、2に記載のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−283743号公報
【特許文献2】特開2001−155999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、従来のインライン方式のソーラパネル(光電変換装置)製造装置の一例を示す図である。この製造装置は、前段の成膜装置12から搬入されるガラス基板1aを一時的に保持する搬入ロボットステーション(ローラコンベア部)14と、ガラス基板1c上の薄膜にスクライブ線を形成するレーザ加工ステーション10と、加工後のガラス基板1dを一時的に保持し、後段の成膜装置18に搬出する搬出ロボットステーション(ローラコンベア部)16とを備えている。搬入ロボットステーション(ローラコンベア部)14は、ガラス基板1bの表裏を反転する表裏反転機構を備えており、後段のレーザ加工に応じてガラス基板1bを反転してレーザ加工ステーション10に搬送する。レーザ加工ステーション10は、アライメント部10a、グリッパ部10b、グリッパ駆動部10c、加工エリア部10dを備えている。アライメント部10aは、搬入ロボットステーション(ローラコンベア部)14から搬入されたガラス基板1cを所定の位置にアライメント処理する。グリッパ部10bは、アライメント処理されたガラス基板1cを保持する。グリッパ駆動部10cは、グリッパ部10bに保持されたガラス基板1cを加工エリア部10dのレーザ光に同期させて移動処理する。加工エリア部10dは、レーザ光をガラス基板1cに照射して所定の加工を行う。搬出ロボットステーション(ローラコンベア部)16は、ガラス基板1cの表裏を反転する表裏反転機構を備えており、レーザ加工の施されたガラス基板1dを表裏反転して次段の成膜装置18にガラス基板1eとして搬出する。
【0005】
上述のような従来のインライン方式のソーラパネル製造装置では、レーザ加工ステーション10上のアライメント部10bでアライメント処理及びガラス基板の受け渡し処理を行っている。そのため、加工時間外に待ち時間などの無駄な時間が多く、アライメント部10bの機構が故障等でダウンした場合、装置全体がダウンしてしまうという問題があった。
本発明の目的は、上述の点に鑑みてなされたものであり、加工時間を可能な限り短縮することのできるレーザ加工方法、レーザ加工装置及びソーラパネル製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレーザ加工方法の第1の特徴は、前段の装置から搬送されて来る第1のガラス基板を所定の位置にアライメント処理するステップと、前記アライメント処理後の前記第1のガラス基板を保持して相対的に移動させながらレーザ光を照射することによって前記第1のガラス基板にレーザ加工を施すステップと、前記レーザ光による加工が施されている間に、前記前段の装置から搬送されて来る第2のガラス基板を所定の位置にアライメント処理するステップと、前記レーザ光による加工が終了した後に前記第1のガラス基板を搬出すると共に前記第2のガラス基板を保持して相対的に移動させながらレーザ光を照射することによって前記第2のガラス基板にレーザ加工を施すステップとを順次繰り返しながら前記前段の装置から搬送されて来るガラス基板に対してレーザ加工を行なうことにある。
基板にレーザ光を照射する加工処理としては、ガラス基板上に金属層、半導体層、透明電極層を順次形成し、形成後の各工程で各層をレーザ光を用いて短冊状に加工してソーラパネルを作成するソーラパネル製造などが該当する。前段の装置は、このガラス基板上に透明電極層、半導体層又は金属層を形成する成膜装置である。これらの成膜装置から搬送されてくるガラス基板に対してレーザ加工を行なう場合、ガラス基板に対してアライメント処理を行い、その後にガラス基板を保持して移動させている。この発明では、このアライメント処理とガラス基板を保持移動させるステージをレーザ加工ステージの両側2箇所に設けることによって、一方のステージでレーザ加工を行なっている間に、他方のステージでアライメント処理を行なうようにして、待ち時間を大幅に短縮化するようにした。また、いずれか一方のステージが故障等でダウンした場合でも他方のステージを用いてレーザ加工処理を維持できるようにした。
【0007】
本発明に係るレーザ加工方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工方法において、前記レーザ光による最初の加工処理が終了した時点で、前記最初の加工処理によって形成された前記ガラス基板の形状変化部分と前記ガラス基板の縁部との両方を含む箇所の画像を取得し、前記画像を前記ガラス基板のIDデータとして記憶しておき、2回目以降の加工処理を施す際は前記IDデータに基づいて前記アライメント処理を行なうことにある。
レーザ光による加工を行なう場合、各工程でアライメント処理が行なわれる。この発明では、レーザ光による最初の加工処理が終了した時点で、その加工処理によって形成された形状変化部分とガラス基板の縁部の両方を含む箇所の画像を取得し、その画像を次回以降の加工処理前のアライメント処理に利用するようにした。例えば、ソーラパネル製造の場合、レーザ加工によって形成されたスクライブ線と基板縁部との両方を含む箇所の画像を取得し、取得した画像に基づいてレーザ加工処理の前にアライメント処理を行なうようにした。画像の中に形状変化部分と基板縁部の両方の画像を含んでいるので、画像認識処理が容易となるという効果がある。例えば、ソーラパネル製造の場合、スクライブ線の画像と基板縁部の形状の画像の両方を含んでいるので、画像認識処理が容易となる。これによって、基板上にアライメントマークを設けることなく正確にアライメントを行なうことができる。
【0008】
本発明に係るレーザ加工方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載のレーザ加工方法において、前記ガラス基板の四隅付近の画像を取得し、その画像に基づいて前記ガラス基板の曲がり(反り)や前記ガラス基板の四隅付近の欠けを検出することにある。
レーザ光による加工は、レーザ光を基板の加工面に略垂直に照射することによって行なわれる。従って、基板に曲がり(反り)や基板の四隅が欠けたりしていると正確な加工を行なうことが困難となり、ソーラパネルモジュールの品質に問題が生じる可能性がある。そこで、この発明では、基板を加工位置に搬入する際に、基板の四隅付近の画像を取得し、その画像に基づいて基板の曲がり(反り)や基板の四隅付近の欠けを検出するようにした。基板の四隅付近の画像を取得するカメラ手段の相対的な位置関係は、予め設定された既知の値なので、四隅の各頂点の画像の中で各頂点の位置がずれていた場合、そのずれ量に基づいて基板の曲がり(反り)を検出することができ、四隅付近の画像に基づいて基板の欠けを検出することも可能となる。
【0009】
本発明に係るレーザ加工方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載のレーザ加工方法において、前記ガラス基板の外周縁の画像を取得し、その画像に基づいて前記ガラス基板の曲がり(反り)及び前記ガラス基板の前記外周縁の欠けを検出することにある。
これは、基板の外周縁の画像を取得し、その画像に基づいて基板の曲がり(反り)や基板の外周縁の欠けを検出するようにしたものである。基板の外周縁の画像を取得するためには、基板の外周縁に沿って移動する画像取得手段を設ければよい。この場合、1又は複数個の画像取得手段を基板の外周縁に沿って移動させるようにすればよい。
【0010】
本発明に係るレーザ加工装置の第1の特徴は、相対的に移動されるガラス基板にレーザ光を照射して所定の加工処理を施すレーザ光照射手段と、前段の装置から搬送されて来る第1のガラス基板を所定の位置にアライメント処理する第1のアライメント手段と、前段の装置から搬送されて来る第2のガラス基板を所定の位置にアライメント処理する第2のアライメント手段と、前記第1のアライメント手段によるアライメント処理終了後に前記第1のガラス基板を保持して前記レーザ光照射手段に対して相対的に移動させる第1の保持手段と、前記第2のアライメント手段によるアライメント処理終了後に前記第2のガラス基板を保持して前記レーザ光照射手段に対して相対的に移動させる第2の保持手段と、前記第1のアライメント手段によるアライメント処理後の前記第1のガラス手段を前記第1の保持手段で保持しながら前記レーザ光照射手段に対して相対的に移動させて前記第1のガラス基板に前記レーザ光による加工を行い、このレーザ光加工が行なわれている間に、前記第2のアライメント手段による前記第2のガラス基板に対するアライメント処理を実行させ、前記第1のガラス基板に対する前記レーザ光による加工が終了した後に前記第1のガラス基板を搬出すると共に前記第2のガラス手段を前記第2の保持手段で保持しながら前記レーザ光照射手段に対して相対的に移動させて前記第2のガラス基板に前記レーザ光による加工を行なうという一連の動作を前記前段の装置から順次搬送されて来るガラス基板に対して実行させる制御手段とを備えたことにある。これは、前記レーザ加工方法の第1の特徴に記載のものを実現するレーザ加工装置の発明である。
【0011】
本発明に係るレーザ加工装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ光による最初の加工処理が終了した時点で、前記最初の加工処理によって形成された前記ガラス基板の形状変化部分と前記ガラス基板の縁部との両方を含む箇所の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された前記画像を前記ガラス基板のIDデータとして記憶する記憶手段と、2回目以降の加工処理を施す際は、前記IDデータに基づいて前記第1及び第2のアライメント手段によるアライメント処理を制御する制御手段とを備えたことにある。これは、前記レーザ加工方法の第2の特徴に記載のものを実現するレーザ加工装置の発明である。
【0012】
本発明に係るレーザ加工装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載のレーザ加工装置において、前記ガラス基板の四隅付近の画像を取得する第1の画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された前記ガラス基板の四隅付近の画像に基づいて前記基板の曲がり(反り)や前記基板の四隅付近の欠けを検出する第1の検出手段とを備えたことにある。これは、前記レーザ加工方法の第3の特徴に記載のものを実現するレーザ加工装置の発明である。
【0013】
本発明に係るレーザ加工装置の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載のレーザ加工装置において、前記ガラス基板の外周縁の画像を取得する第2の画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された画像に基づいて前記ガラス基板の曲がり(反り)及び前記ガラス基板の前記外周縁の欠けを検出する第2の検出手段とを備えたことにある。これは、前記レーザ加工方法の第4の特徴に記載のものを実現するレーザ加工装置の発明である。
【0014】
本発明に係るソーラパネル製造方法の特徴は、前記第1の特徴から第4の特徴までのいずれか1に記載のレーザ加工方法、又は前記第1の特徴から第4の特徴までのいずれか1に記載のレーザ加工装置を用いて、ソーラパネルを製造することにある。これは、前記レーザ加工方法又は前記レーザ加工装置のいずれかを用いて、ソーラパネルを製造するようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レーザ光による加工時間を可能な限り短縮することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のインライン方式のソーラパネル(光電変換装置)製造装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す図である。
【図3】スクライブ線の加工処理を行う図2の加工エリア部の詳細構成を示す図である。
【図4】図2の光学系部材50の詳細構成を示す図である。
【図5】第1検出光学系部材及び第2検出光学系部材の構成を示す模式図である。
【図6】図2の制御装置80の処理の詳細を示すブロック図である。
【図7】図6のパルス抜け判定手段82の動作の一例を示す図である。
【図8】図4の高速フォトダイオードから出力される波形の一例を示す図である。
【図9】図3の光学系部材を下側(基板側)から見た図である。
【図10】光学系部材の回転量とスクライブ線のピッチ幅との関係を示す図である。
【図11】図2アライメント部102,104に設けられる基板検出カメラシステムの一例を示す図である。
【図12】図2のアライメント部102,104に設けられる基板検出カメラシステムの別の一例を示す図である。
【図13】図2のアライメント部102,104に設けられるアライメントカメラシステムの一例を示す図であり、最初のスクライブ処理前のアイランメト処理を示す図である。
【図14】図2のアライメント部102,104に設けられるアライメントカメラシステムの一例を示す図であり、2回目以降のスクライブ処理前のアライメント処理を示す図である。
【図15】本発明に係るソーラパネル製造装置のループ方式の実施例を示す図である。
【図16】本発明に係るソーラパネル製造装置のリターン方式の別の実施例を示す図である。
【図17】本発明に係るソーラパネル製造装置のダブルサイド方式の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す図である。このレーザ加工装置は、ソーラパネル製造装置のレーザ光加工処理(レーザスクライブ)工程を行なうものである。本発明に係るレーザ加工装置は、アライメント処理を行うアライメント部をレーザ加工ステーションの両側2箇所に設けて、レーザ加工処理中に同時にアライメント処理を行い、待ち時間を短縮するようにしたものである。
【0018】
図2は、本発明に係るソーラパネル製造装置のリターン方式の一例を示す図である。この製造装置は、搬入出ロボットステーション141とレーザ加工ステーション101とから構成される。ローラコンベア121は、成膜装置(図示せず)やレーザスクライブ加工処理を行う製造装置間でガラス基板1x〜1zを順次搬送するものである。搬入出ロボットステーション141は、ローラコンベア121上を搬送される前段の成膜装置(図示せず)にて成膜されたガラス基板1xを搬入してガラス基板1mとして一時的に保持すると共にガラス基板1mの表裏を反転する表裏反転機構部143を備えており、レーザ加工処理の内容に応じてガラス基板1mを反転してレーザ加工ステーション101に搬送する。このとき、搬入出ロボットステーション141は、表裏反転されたガラス基板1mをそのままレーザ加工ステーション101に搬送すると共に表裏反転されたガラス基板1mをレーザ加工ステーション101の右端位置までローラ搬送してからレーザ加工ステーション101に搬送するように構成されている。また、搬入出ロボットステーション141は、レーザ加工ステーション101で加工されたガラス基板を表裏反転機構部143で直接受取るか又はレーザ加工ステーション101の右端位置で受け取ったガラス基板1rを表裏反転機構部143までローラ搬送又はエア浮上搬送し、表裏反転機構部143でレーザ加工処理後のガラス基板を表裏反転してローラコンベア121に搬出する。
【0019】
レーザ加工ステーション101は、搬入出ロボットステーション141から搬入されたガラス基板上の薄膜にスクライブ線を形成するものであり、アライメント部102,104、グリッパ部106,108、グリッパ駆動部110、加工エリア部112を備えている。アライメント部102は、搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143上のガラス基板1mを受取り、受け取ったガラス基板1nを所定の位置にアライメント処理すると共に加工エリア部112でスクライブ加工処理の施されたガラス基板1nを搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143に搬出する。一方、アライメント部104は、搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143で表裏反転されたガラス基板であって右端までローラ搬送又はエア浮上搬送されたガラス基板1rを受取り、受け取ったガラス基板を所定の位置にアライメント処理すると共に加工エリア部112でスクライブ加工処理の施されたガラス基板1qを搬入出ロボットステーション141の右端の位置に搬出する。
【0020】
グリッパ部106は、アライメント部102でアライメント処理されたガラス基板1oを保持する。グリッパ部108は、アライメント部104でアライメント処理されたガラス基板1qを保持する。グリッパ駆動部110は、グリッパ部106,108に保持されたガラス基板を加工エリア部112のレーザ光に同期させてし、レーザ加工時にガラス基板1oと点線のガラス基板1pとの間を移動させる。加工エリア部112は、グリッパ部106又はグリッパ部108に保持されたガラス基板1o,1qにレーザ光を照射して所定のスクライブ線の加工処理を行う。図2では、グリッパ部106に保持されたガラス基板1oを点線で示されたガラス基板1qの位置まで移動させながら、所定のスクライブ線加工を行う状態が示してある。
【0021】
図2のリターン方式のソーラパネル製造装置の動作の一例を説明する。まず、前段の成膜装置からローラコンベア121を介して搬送されて来たガラス基板1xは、搬入出ロボットステーション141によって表裏反転機構部143上にガラス基板1mとして一時的に保持され、表裏反転される。表裏反転されたガラス基板1mは、レーザ加工ステーション101のアライメント部102に搬送され、そこでアライメント処理される。アライメント処理されたガラス基板1nは、グリッパ部106に保持され、ガラス基板1o,1pとして加工エリア部112に移動され、所定のスクライブ線の加工処理が行われる。一方、アライメント部102のアライメント処理時及び加工エリア部112の加工処理時に、ローラコンベア121を介して搬送されて来た次のガラス基板1yが搬入出ロボットステーション141によって表裏反転機構部143上にガラス基板1mとして一時的に保持され、表裏反転される。表裏反転されたガラス基板1mは、ガラス基板1rとして、レーザ加工ステーション101のアライメント部108に対応した右端位置までローラ搬送される。ガラス基板1rは、レーザ加工ステーション101のアライメント部108に搬送され、そこでアライメント処理される。アライメント処理されたガラス基板1qは、グリッパ部108に保持され、グリッパ部106に保持されたガラス基板への加工処理が終了するまで待機される。
【0022】
グッリパ部106に保持されているガラス基板に対するレーザ加工処理が終了すると、グリッパ部106に保持されているガラス基板1oは、アライメント部102を介してガラス基板1nの位置から表裏反転機構部143上のガラス基板1mとして一時的に保持され、そこで表裏反転されて次段の成膜装置へ搬送されるために、ローラコンベア121上に搬送される。一方、グリッパ部106に保持されているガラス基板1oがアライメント部102上にガラス基板1nとして移動した時点で、グリッパ部108に保持されているガラス基板1qがガラス基板1o,1pとして加工エリア部112に移動され、所定のスクライブ線の加工処理が行われる。図2のリターン方式のソーラパネル製造装置では、以上の処理を交互に繰り返すことによって、アライメント処理による待ち時間等を大幅に短縮している。また、いずれか一方のアライメント部が故障した場合でも、他方のアライメント部によって処理を続行することが可能となる。
【0023】
図3は、スクライブ線の加工処理を行う図2の加工エリア部の詳細構成を示す図である。加工エリア部は、台座10、XYテーブル20、グリッパ部106、レーザ発生装置40、光学系部材50、リニアエンコーダ70、制御装置80及び検出光学系部材等によって構成されている。台座10上には台座10のX軸方向及びY軸方向(XY平面)に沿って駆動制御されるXYテーブル20が設けられている。
【0024】
XYテーブル20は、X方向及びY方向へ移動制御される。なお、XYテーブル20の駆動手段としては、ボールネジやリニアモータ等が用いられるが、これらの図示は省略してある。XYテーブル20の上側にはレーザ加工の対象となるガラス基板1がグリッパ部106によって保持されている。また、台座10の上には光学系部材50を保持しながらY軸方向にスライド駆動するスライドフレーム30が設けられている。XYテーブル20は、Z軸を回転軸としてθ方向に回転可能に構成されている。なお、スライドフレーム30によりY軸方向の移動量が十分に確保できる場合には、XYテーブル20は、X軸方向の移動だけを行なう構成であってもよい。この場合、XYテーブル20はX軸テーブルの構成でもよい。また、図3では、アライメント部102,104については図示を省略してある。
【0025】
スライドフレーム30は、台座10上の四隅に設けられた移動台に取り付けられている。スライドフレーム30は、この移動台によってY方向へ移動制御される。ベース板31と移動台との間には除振部材(図示せず)が設けられている。スライドフレーム30のベース板31には、レーザ発生装置40、光学系部材50及び制御装置80が設置されている。光学系部材50は、ミラーやレンズの組み合わせで構成され、レーザ発生装置40で発生したレーザ光を4系列に分割してXYテーブル20上のガラス基板1上に導くものである。なお、レーザ光の分割数は4系列に限るものではなく、2系列以上であればよい。
【0026】
リニアエンコーダ70は、XYテーブル20のX軸移動テーブルの側面に設けられたスケール部材と、グリッパ部106に取り付けられた検出部で構成される。リニアエンコーダ70の検出信号は、制御装置80に出力される。制御装置80は、リニアエンコーダ70からの検出信号に基づいてグリッパ部106のX軸方向の移動速度(移動周波数)を検出し、レーザ発生装置40の出力(レーザ周波数)を制御する。
【0027】
光学系部材50は、図示のように、ベース板31の側面側に設けられており、ベース板31の側面に沿ってY軸方向に移動するように構成されている。光学系部材50は、先端部がZ軸を中心に回転可能となっている。レーザ発生装置40から出射されるレーザ光を光学系部材50に導くためのガルバノミラー33はベース板31上に設けられている。ガルバノミラー33は、2つのモーター(ロータリーエンコーダー)を使用してXZ2次元エリアにレーザー光を走査させるものである。ガルバノミラー33は、2軸式(X,Z)で構成され、2個のモーターと、このモータに取り付けられるミラーとで構成される。ガルバノ制御裝置331は、モータを動かすためのドライバおよび電源、これらを制御するマイクロコンピュータなどで構成される。
【0028】
ミラー34,35は、光学系部材50上に設けられており、光学系部材50のスライド移動に連動するようになっている。レーザ発生装置40から出射されたレーザ光は、ガルバノミラー33によってミラー34へ向かって反射され、ミラー34に向かうレーザ光はミラー34によってミラー35に向かって反射される。ミラー35は、ミラー34からの反射レーザ光をベース板31に設けられた貫通穴を介して光学系部材50内に導く。なお、レーザ光発生装置40から出射されたレーザ光は、ベース板31に設けられた貫通穴から光学系部材50に対して上側から導入されるように構成されれば、どのような構成のものであってもよい。例えば、レーザ発生装置40を貫通穴の上側に設け、貫通穴を介して光学系部材50に直接レーザ光を導くようにしてもよい。
【0029】
ビームサンプラ332は、ガルバノミラー33と反射ミラー34との間の光学系部材50上に、光学系部材50のスライド移動と共に移動するように設けられている。ビームサンプラ332はレーザ光の一部(例えば、レーザ光の約1割程度又はそれ以下の光量)をサンプリングして外部に分岐出力する素子である。4分割フォトダイオード333は、ビームサンプラ332で分岐されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置されている。4分割フォトダイオード333によって検出されたレーザ光の強度に対応した4種類の出力信号がガルバノ制御裝置331に出力される。ガルバノ制御裝置331は、4分割フォトダイオード333からの4種類の出力信号に応じてガルバノミラー33の2個のモータ33xy,33yzをリアルタイムで駆動制御する。モータ33xyは、ガルバノミラー33の反射レーザ光がベース板31の上面(XY平面)と平行な面内で回転移動するように制御し、モータ33zyは、ガルバノミラー33の反射レーザ光がベース板31の上面と直交する面(YZ平面)と平行な面内で回転移動するようにリアルタイムで制御する。
【0030】
図4は、光学系部材50の詳細構成を示す図である。実際の光学系部材50の構成は、複雑であるが、ここでは説明を簡単にするために図示を簡略化して示している。図4は、光学系部材50の内部を図3の−X軸方向から見た図である。図4に示すようにベース板31にはミラー35で反射されたレーザ光を光学系部材50内に導入するための貫通穴37を有する。この貫通穴37の直下には、ガウシアン強度分布のレーザ光をトップハット強度分布のレーザ光に変換する位相型回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)500が設けられている。
【0031】
DOE500によってトップハット強度分布のレーザ光(トップハットビーム)に変換されたレーザ光はハーフミラー511によって反射ビームと透過ビームにそれぞれ分岐され、反射ビームは右方向のハーフミラー512に向かって、透過ビームは下方向の反射ミラー524に向かって進む。ハーフミラー511で反射したビームは、ハーフミラー512によってさらに反射ビームと透過ビームに分岐され、反射ビームは下方向の反射ミラー522に向かって、透過ビームは右方向の反射ミラー521に向かって進む。ハーフミラー512を透過したビームは反射ミラー521によって反射され、下方向の集光レンズ541を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー512で反射したビームは、反射ミラー522,523によって反射され、下方向の集光レンズ542を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー511を透過したビームは、反射ミラー524によって反射され、左方向に向かって進む。反射ミラー524で反射したビームは、ハーフミラー513によって反射ビームと透過ビームに分岐され、反射ビームは下方向の反射ミラー526に向かって、透過ビームは左方向の反射ミラー528に向かって進む。ハーフミラー513で反射したビームは、反射ミラー526,527によって反射され、下方向の集光レンズ543を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー513を透過したビームは反射ミラー528によって反射され、下方向の集光レンズ544を介してガラス基板1に照射される。
【0032】
DOE500によって変換されたトップハットビームは、上述のハーフミラー511〜513及び反射ミラー521〜528によって、透過・反射されて集光レンズ541〜544に導かれる。このとき、DOE500から各集光レンズ541〜544までの光路長は等しくなるように設定されている。すなわち、ハーフミラー511で反射したビームがハーフミラ512を透過して反射ミラー521で反射して集光レンズ541に到達するまでの光路長、ハーフミラー511で反射したビームがハーフミラー512、反射ミラー522,523でそれぞれ反射して集光レンズ542に到達するまでの光路長、ハーフミラー511を透過したビームが反射ミラー523、ハーフミラー513、反射ミラー526,527でそれぞれ反射して集光レンズ543に到達するまでの光路長、ハーフミラー511を透過したビームが反射ミラー523で反射してハーフミラー513を透過して反射ミラー528で反射して集光レンズ544に到達するまでの光路長は、それぞれ等しい距離である。これによって、ビームが分岐される直前にDOE500を配置しても、トップハット強度分布のレーザ光を集光レンズ541〜544に同様に導くことが可能となる。なお、図4の実施例では、光路長が完全に一致する場合について説明したが、レーザ光のトップハット強度分布を維持することが可能な範囲で光路長を若干異ならせることは可能である。
【0033】
シャッター機構531〜534は、光学系部材50の各集光レンズ541〜544から出射されるレーザ光がガラス基板1から外れた場合にレーザ光の出射を遮蔽するものである。オートフォーカス用測長システム52,54は、図示していない検出光照射用レーザとオートフォーカス用フォトダイオードとから構成され、検出光照射用レーザから照射された光の中でガラス基板1の表面から反射した反射光を受光し、その反射光量に応じて光学系部材50内の集光レンズ541〜544を上下に駆動し、ガラス基板1に対する高さ(集光レンズ541〜544のフォーカス)を調整する。なお、フォーカス調整用駆動機構は図示していない。
【0034】
図5は、第1検出光学系部材及び第2検出光学系部材の構成を示す模式図である。第1検出光学系部材は、集光レンズ高さ測長システム26と、フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28とから構成される。図5では、集光レンズ高さ測長システム26とフォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28が重複して示されているので、符号で区別するようにしている。図4に記載のオートフォーカス用測長システム52,54によって、ガラス基板1から光学系部材50の両側下面までの高さを調整した場合、光学系部材50の下面の高さを同じにすることはできても、ガラス基板1から各集光レンズ541〜544までの高さを同じにすることができるとは限らない。そこで、この実施の形態では、XYテーブル20のX軸方向の側面のいずれか一方(図ではXYテーブル20の−X軸方向の側面)に集光レンズ高さ測長システム26を取り付け、ガラス基板1から各集光レンズ541〜544までの高さをそれぞれ測長するようにした。集光レンズ高さ測長システム26によって検出された各集光レンズ541〜544の高さに対応した信号は、制御装置80に出力される。制御装置80は、ガラス基板1から各集光レンズ541〜544までの高さが適正であるか否かの判定を行なう。集光レンズ高さ測長システム26の測長結果に応じて、各集光レンズ541〜544の配置(高さ)は調整されるようになっている。この場合、この集光レンズ541〜544の配置(高さ)の調整は、手動又は自動で行なえるように構成する。なお、集光レンズ高さ測長システム26を用いて、光学系部材50の下面の高さを測長するようにすれば、オートフォーカス用測長システム52,54を省略することが可能である。
【0035】
フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28は、XYテーブル20のX軸方向の側面のいずれか一方(図ではXYテーブル20の−X軸方向の側面)であって、集光レンズ高さ測長システム26の隣接する位置(近傍)に設けられている。フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28は、XYテーブル20と光学系部材50の各集光レンズ541〜544との位置を関連付けるものであり、XYテーブル20の上空側を視認可能に設置されている。フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28によって撮像された映像は、制御装置80に出力される。制御装置80は、各集光レンズ541〜544から出射されるレーザ光の光軸が適正であるか否かの判定を行なう。すなわち、フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28は、光学系部材50の各集光レンズ541〜544から出射するレーザ光を直接観察することができるので、これを画像化することによって、制御装置80は、各集光レンズ541〜544のフォーカス及び光軸が適正であるか否かを判断することができる。また、レーザ発生装置40、光学系部材50などのレーザ光に係わる各光学系の交換した時に、交換前と交換後の画像を取得し数値化しておくことによって、交換後のフォーカス及び光軸の調整を容易に行なうことができる。さらに、複数ヘッドの場合、各レーザ光の画像を取得して数値化することによって、バラツキを適正に調整することができる。
【0036】
第2検出光学系部材は、図3に示すように、ビームサンプラ92,93、高速フォトダイオード94及び光軸検査用CCDカメラ96から構成される。ビームサンプラ92,93は、光学系部材50内に導入されるレーザ光の光路中に設けられている。この実施の形態では、レーザ発生装置40と反射ミラー33との間に設けられている。ビームサンプラ92,93はレーザ光の一部(例えば、レーザ光の約0.4割程度又はそれ以下の光量)をサンプリングして外部に分岐出力する素子である。高速フォトダイオード94は、ビームサンプラ92で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置される。高速フォトダイオード94によって検出されたレーザ光の強度に対応した出力信号は、制御装置80に出力される。光軸検査用CCDカメラ96は、ビームサンプラ93で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置される。光軸検査用CCDカメラ96によって撮像された映像は、制御装置80に出力される。なお、光軸検査用CCDカメラ96は、高速フォトダイオード94に照射されるレーザ光の位置を示す画像を取り込み、その画像を制御装置80に出力するようにしてもよい。
【0037】
制御装置80は、リニアエンコーダ70からの検出信号に基づいてグリッパ部106のX軸方向の移動速度(移動周波数)を検出し、レーザ発生装置40の出力(レーザ周波数)を制御し、高速フォトダイオード94及び光軸検査用CCDカメラ96から出力される信号に基づいてレーザ発生装置40から出射されるレーザ光のパルス抜けを検出したり、レーザ光の光軸ずれ量に基づいてレーザ発生装置40の出射条件を制御したり、光学系部材50内のレーザ光を導入するための反射ミラー33〜35の配置等をフィードバック制御する。
【0038】
図6は、図2の制御装置80の処理の詳細を示すブロック図である。制御装置80は、分岐手段81、パルス抜け判定手段82、アラーム発生手段83、基準CCD画像記憶手段84、光軸ずれ量計測手段85、レーザコントローラ86、レンズ変位量計測手段87、レンズ高さ調整手段88、照射レーザ状態検査手段89及び照射レーザ調整手段8Aから構成される。
【0039】
分岐手段81は、リニアエンコーダ70の検出信号(クロックパルス)を分岐して後段のレーザコントローラ86に出力する。パルス抜け判定手段82は、高速フォトダイオード94からのレーザ光強度に対応した出力信号(ダイオード出力)と分岐手段81から出力される検出信号(クロックパルス)とを入力し、それに基づいてレーザ光のパルス抜けを判定する。図7は、図6のパルス抜け判定手段82の動作の一例を示す図である。図7において、図7(A)は分岐手段81から出力される検出信号(クロックパルス)の一例、図7(B)は高速フォトダイオード94から出力されるレーザ光強度に対応した出力信号(ダイオード出力)の一例、図7(C)はパルス抜け判定手段82がパルス抜け検出時に出力するアラーム信号の一例をそれぞれ示す。
【0040】
図7に示すように、パルス抜け判定手段82は、分岐手段81からのクロックパルスの立ち下がり時点をトリガ信号として、ダイオード出力値が所定のしきい値Th以上であるか否かの判定を行い、ダイオード出力値がしきい値Thよりも小さい場合には、ハイレベル信号をアラーム発生手段83に出力する。アラーム発生手段83は、パルス抜け判定手段82からの信号がローレベルからハイレベルに変化した時点でパルス抜けが発生したことを示すアラームを外部に報知する。アラームの報知は、画像表示、発音等の種々の方法で行なう。アラームの発生によって、オペレータはパルス抜けが発生したことを認識することができる。また、このアラームが頻繁に発生する場合には、レーザ発生装置の性能が劣化したか又は寿命になったことを意味する。
【0041】
基準CCD画像記憶手段84は、図6に示すような基準CCD画像84aを記憶している。この基準CCD画像84aは、光軸検査用CCDカメラ96の受光面の中央にレーザ光が受光した状態の画像を示すものである。光軸検査用CCDカメラ96からは、図6に示すような被検査画像85aが出力される。光軸ずれ量計測手段85は、光軸検査用CCDカメラ96からの被検査画像85aを取り込み、これと基準CCD画像84aとを比較し、光軸のずれ量を計測し、そのずれ量をレーザコントローラ86に出力する。例えば、図6に示す被検査画像85aのような画像が光軸検査用CCDカメラ96から出力された場合には、光軸ずれ量計測手段85は、両者を比較して、X軸及びY軸方向のずれ量を計測し、それをレーザコントローラ86に出力する。レーザコントローラ86は、被検査画像85aと基準CCD画像84aとが一致するように、レーザ光の光軸に関係する装置、すなわちレーザ発生装置40の出射条件や光学系部材50内にレーザ光を導入するための反射ミラー33〜35の配置等をフィードバックして調整する。
【0042】
レンズ変位量計測手段87は、集光レンズ高さ測長システム26によって検出された各集光レンズ541〜544の高さに対応した信号を入力し、各集光レンズ541〜544の高さが許容範囲内にあるか、この許容範囲よりも大きくずれているかを判定し、大きくずれている集光レンズ541〜544の高さをどの程度調整すればよいかを示す制御信号をレンズ高さ調整手段88に出力する。レンズ高さ調整手段88は、レンズ変位量計測手段87からの制御信号に応じて各集光レンズ541〜544の配置を調整する。なお、集光レンズ541〜544の高さ調整機構が存在しない場合には、レンズ高さ調整手段88は、レンズ変位量計測手段87からの制御信号に基づいて、集光レンズ541〜544のどれをどの程度調整すればよいのか、その調整情報をオペレータに伝達(視認表示、音声発音など)するようにしてもよい。
【0043】
照射レーザ状態検査手段89は、フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28からの画像89aを取り込み、これに基づいてフォーカス及び光軸のずれ量を計測し、そのずれ量を照射レーザ調整手段8Aに出力する。例えば、図6に示すような画像89aがフォーカス及び光軸調整用CCDカメラから出力された場合には、照射レーザ状態検査手段89は、画像89a内の円状の輪郭線89b(集光レンズ541〜544の外縁に対応した線)を基準にフォーカス円89c(画像89a内の小円)の位置を検出し、フォーカス円89cが輪郭線89bのほぼ中央に位置しているか否かに基づいて光軸のX軸及びY軸方向のずれ量を計測し、それを照射レーザ調整手段8Aに出力する。また、照射レーザ状態検査手段89は、フォーカス円89cの大きさ(面積)を計測し、それも基づいたフォーカス位置を照射レーザ調整手段8Aに出力する。照射レーザ調整手段8Aは、照射レーザ状態検査手段89からの光軸のずれ量及びフォーカス位置に対応した信号に基づいて、光学系部材50内の各ハーフミラー511〜513及び反射ミラー521〜528の配置等をフィードバックして調整する。なお、レンズ高さ調整手段88及び照射レーザ調整手段8Aを省略して、これらの機能をレーザコントローラ86に持たせるようにしてもよい。
【0044】
上述の実施の形態では、レーザ加工(スクライブ加工)時に光軸ずれ量計測手段85でレーザ光の光軸ずれを、パルス抜け判定手段82でパルス抜けをそれぞれ検査する場合について説明したが、図8に示すように高速フォトダイオード94からの出力波形に基づいてレーザ光のパルス状態を検査するようにしてもよい。例えば、図8では、レーザ光のパルス幅及びパルス高さを計測し、これらに異常が発生した場合にはアラームを発生するようにしてもよい。なお、レーザ光のパルス幅は、高速フォトダイオード94からの出力波形が所定値以上になっている期間が所定の範囲にある場合を正常とし、この範囲よりも大きかったり小さい場合にはパルス幅異常と判定し、アラームを出力する。また、レーザ光のパルス高さは、高速フォトダイオード94からの出力波形の最大値が許容範囲内に存在する場合を正常とし、この許容範囲よもも大きかったり小さい場合にはパルス高さ異常と判定し、アラームを出力する。このように、レーザ光を常時サンプリングしているので、リアルタイムでパルス幅、パルス高さ(パワー)などのレーザ光の品質を管理することができる。上述のようなパルス抜けが頻発するようになったら、レーザ発生装置40の劣化あるいは寿命と判断できる。
【0045】
図9は、図3の光学系部材を下側(基板側)から見た図である。図9は、光学系部材50とベース板31の一部を示している。図9(A)は、図3に示す光学系部材50とベース板31との位置関係を示す図であり、図に示すように、光学系部材50の端面(図の上側端部)とベース板31の端面(図の上側端部)とが一致している。図9(B)は、光学系部材50が貫通穴37の中心を回転軸としてベース板31に対して左回りに約30度回転した状態を示す図である。図9(C)は、光学系部材50が貫通穴37の中心を回転軸としてベース板31に対して左回りに約45度回転した状態を示す図である。
【0046】
この実施の形態に係るソーラパネル製造装置においては、光学系部材50がレーザ光の導入穴である貫通穴37の中心を回転軸として、自在に回転可能に構成されている。すなわち、分岐手段である光学系部材50は、図4の反射ミラー35からDOE500を通過してハーフミラー511に向かう垂直レーザ光の進行方向を中心軸として回転制御されている。これによって、レーザ光の分岐方向とレーザ光の基板に対する相対的な移動方向(図9の垂直方向)とのなす角度θを自在に可変制御することができる。なお、光学系部材50の回転駆動手段としては、ボールネジやリニアモータ等の既存の技術が用いられるが、これらの図示は省略する。
【0047】
図9に示すように、レーザ光の分岐方向とレーザ光の走査方向(図9の垂直方向)とのなす角度を可変制御した場合でも、レーザ光の相対的な移動方向に対してDOE500は回転しないように構成している。すなわち、DOE500を使用することによって、レーザ光の照射形状は、図9の集光レンズ541〜544内に示したように、点線正方形のような照射形状を示すことになる。従って、光学系部材50の回転制御と共にDOE500を回転させると、集光レンズ541〜544内の点線正方形もその回転量に応じて回転するようになる。この状態でレーザ光を走査照射すると、スクライブ線の両側稜線に正方形の角が位置するようになり、稜線が波打ち形状を示すようになる。そこで、この実施の形態のように、光学系部材50を回転制御しても、DOE500は回転させないような構成とすることで、図9(B)及び図9(C)に示すように、走査方向(図9の垂直方向)と集光レンズ541〜544内の点線正方形の左右両辺とが一致し、スクライブ線の両側稜線を極めて滑らかに形成することができ、また、光学系部材50を回転させてスクライブ線のピッチを適宜制御した場合でも滑らかな稜線のスクライブ線を形成することが可能となる。なお、上述の実施の形態では、DOEをレーザ光の光路中に1つだけ設ける場合について説明したが、DOEを分岐後の各集光レンズの直前にそれぞれ設けてもよい。この場合でも、光学系部材50を回転制御しても各DOEは回転させないように構成する必要がある。DOE500は、光学系部材50とは分離した形でベース板31に直結して設けることによって、光学系部材50の回転から独立させることが可能である。
【0048】
図10は、光学系部材の回転量とスクライブ線のピッチ幅との関係を示す図である。図10(A)は図9(A)に示すように光学系部材50が回転していない状態、図10(B)は図9(B)に示すように光学系部材50が約30度回転した状態、図10(C)は図9(C)に示すように光学系部材50が約45度回転した状態でそれぞれレーザスクライブ加工処理を行なった場合のスクライブ線の状態を示す図である。図10(A)の場合のスクライブ線のピッチをP0とすると、図10(B)の場合のピッチP30はP0×cos30°となり、図10(C)の場合のピッチP45はP0×cos45°となる。このように、この実施の形態に係るソーラパネル製造装置は、光学系部材50の回転角度を適宜調整することによって、スクライブ線のピッチ幅を所望の値に適宜可変調整することができる。
【0049】
図11は、図2のアライメント部102,104に設けられる基板検出カメラシステムの一例を示す図である。図11(A)は、ガラス基板と基板検出カメラとの関係を示す側面図であり、図11(B)はその上面図である。アライメント部102,104には、基板検出カメラシステムとアライメントカメラシステムが設けられ、ガラス基板の検出とそのアライメント処理を行っている。基板検出カメラ65〜68は、ガラス基板1がアライメント部102,104上に載置されるときに、ガラス基板1の四隅付近の画像をその上側から取得するものである。図11では、ガラス基板1がアライメント部102,104上に載置され、グリッパ部106,108に保持されてX軸方向に移動して、レーザ加工ステーション10に投入される直前の様子を示す。図11(B)に示す画像65a〜68aは、基板検出カメラ65〜68によって取得されたガラス基板1の四隅付近の画像である。基板検出カメラ65〜68の相対的な位置関係は予め設定された既知の値なので、画像65a〜68aに示すように、反りや曲がりのないガラス基板1の四隅の各頂点は、基板検出カメラ65〜68の撮像範囲のほぼ中央付近に位置するように設定されている。従って、画像65a〜68aの中で各頂点の位置がずれていた場合、そのずれ量に基づいてガラス基板1の曲がり(反り)を検出することができるようになっている。また、画像65a〜68aに基づいてガラス基板1の四隅付近の欠けを検出することができる。なお、基板検出カメラ65〜68をガラス基板1の各辺に沿って移動させることによってガラス基板1の各辺の欠けを検出することができる。
【0050】
図12は、図2のアライメント部102,104に設けられる基板検出カメラシステムの別の一例を示す図である。図11の実施の形態では、基板検出カメラ65〜68は基板1の四隅付近の上部に設けられていたが、この実施の形態では、2台の基板検出カメラ65,68がガラス基板1の対角付近の上側に位置するようになっている。図12(A)において、ガラス基板1がアライメント部102,104上に載置された状態で、点線で示すガラス基板1がその位置から矢印のように右側に移動して実線で示すガラス基板1の位置(ガラス基板1の対角の上部に基板検出カメラ65,68が位置するような位置)に移動する。このガラス基板1の移動時に、基板検出カメラ68は、移動するガラス基板1の辺1aの画像を取得する。そして、基板移動終了時には、基板検出カメラ65,68はガラス基板1の対角付近の頂点の画像(図2の画像65a,68a)を取得する。ガラス基板1が停止した状態で、今度は基板検出カメラ65,68は、図3(B)に示すように、点線矢印に沿って移動する。この基板検出カメラ65,68の移動時に、基板検出カメラ65は、ガラス基板1の辺1bの画像を取得し、基板検出カメラ68は、ガラス基板1の辺1cの画像を取得する。基板検出カメラ65,68の移動終了時には、基板検出カメラ65,68はガラス基板1の別の対角付近の頂点の画像(図2の画像66a,67a)を取得する。基板検出カメラ65,68が停止した状態で、今度はガラス基板1が図12(C)に示すように、点線で示すガラス基板1がその位置から矢印のように右側に移動して実線で示すガラス基板1の位置に移動する。このガラス基板1の移動時に、基板検出カメラ65は、移動するガラス基板1の辺1dの画像を取得する。上述の一連の動作によって、2台の基板検出カメラ65,68を用いて、図11の場合と同様に、画像65a〜68aと基板1の各辺の画像を取得することができる。これによって、画像65a〜68aの各頂点の位置のずれ量に基づいてガラス基板1の曲がり(反り)や基板1の各辺の欠けを検出することができる。なお、一連の検出動作終了後に、基板検出カメラ65,68を図12(A)の初期位置に復帰させてもよいし、復帰させずに、逆の動作を行なうようにしてもよい。
【0051】
図13は、図2のアライメント部102,104に設けられるアライメントカメラシステムの一例を示す図である。アライメントカメラシステムは、ガラス基板1の両端部(X軸方向の前後縁部)付近の画像を取得する。このアライメントカメラカステムで取得された画像は、制御装置80に出力される。制御装置80は、アライメントカメラシステムからの画像を、ガラス基板1のIDデータと共にデータベース手段に格納し、これ以降のガラス基板1のアライメント処理に利用する。図13は最初のスクライブ処理前のアライメント部の一例を示し、図14は、2回目以降のスクライブ処理前のアライメント部の一例をそれぞれ示す図である。まず、図13に示すようにガラス基板1を載置した状態でガラス基板1の左側端部の下側縁部を位置決めピン21に、ガラス基板1の下側端部の左側縁部を位置決めピン22に、ガラス基板1の下側端部の右側縁部を位置決めピン23に、それぞれ突き当て、ガラス基板1を所定位置に位置決めする。この状態でガラス基板1上の透明電極層にレーザ光を照射し、スクライブ処理を実行する。最初のスクライブ処理の結果、ガラス基板1上には、ピッチ約10mmでスクライブ線が形成される。
【0052】
図13は複数のスクライブ線のうち、基板中央付近の1本のスクライブ線25を示す。このスクライブ線25の両端部付近、すなわちスクライブ線25とガラス基板1の縁部との両方を含む箇所27,29付近の画像27a,29aを前述のアライメントカメラシステムで取得する。画像27a,29aを見ると分かるように、画像の中にスクライブ線25の画像とガラス基板1の縁部の形状の画像の両方を含んでいるので、画像認識処理が容易となる。取得された画像27a,29aは制御装置80によってガラス基板1のIDデータとしてデータベース手段75に順次記憶される。
【0053】
図13のように、レーザ加工によるスクライブ処理終了後に画像27a,29aの取得処理が終了すると、次は、次段の成膜装置でこの透明電極層の上に半導体層を形成する処理が行なわれる。半導体層形成処理が終了した後、ガラス基板1に対して前述と同様のレーザ光によるスクライブ処理が実行される。この2回目のスクライブ処理の前に図14に示すような方法でアライメント処理が行なわれる。
【0054】
図14では、最初のアライメント処理と同じようにガラス基板1を載置した状態でガラス基板1の左側端部の下側縁部を位置決めピン21に、ガラス基板1の下側端部の左側縁部を位置決めピン22に、ガラス基板1の下側端部の右側縁部を位置決めピン23に、それぞれ突き当て、ガラス基板1を所定位置に位置決めする。この状態で、スクライブ線25の両端部付近、すなわちスクライブ線25とガラス基板1の縁部との両方を含む箇所27,29付近の画像27b,29bをアライメントカメラシステムで取得する。一方、制御装置80は、データベース手段75からガラス基板1のIDデータの画像27a,29aを読み出す。制御装置80によって、読み出された画像27a,29aと、アライメントカメラシステムで取得された画像27b,29bとが比較され、両者が一致するように、X軸,Y軸及びθ軸が制御され、正確なアライメント処理が行なわれる。
【0055】
図14に示すようにして、画像27a,29aと画像27b,29bの比較処理によるアライメント処理が終了すると、前回のスクライブ線25から約30μmはなれた位置でレーザ光によるスクライブ処理が実行される。このスクライブ処理が終了すると、次段の成膜装置で半導体層の上に金属層を形成する処理が行なわれる。再び、レーザ加工装置に基板が搬入され、図14と同様のアライメント処理が行なわれ、ガラス基板1に対して同様にレーザ光によるスクライブ処理が実行される。これによって、ガラス基板1には、3本のスクライブ線が形成される。
【0056】
図15は、本発明に係るソーラパネル製造装置のループ方式の実施例を示す図である。図15において、図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。この製造装置が図2のものと異なる点は、図2の製造装置のレーザ加工ステーション101に存在したアライメント部104が省略され、搬入出ロボットステーション142が図の右側から左側への一方向の搬送を行う点である。従って、図15の製造装置では、表裏反転機構部143に搬入されたガラス基板1mは、ガラス基板1nとしてアライメント部102でアライメント処理される。その後、ガラス基板1o,1pとして加工エリア部112で所定の加工が施される。加工後のガラス基板1qはレーザ加工ステーション101から搬入出ロボットステーション142の右端へガラス基板1rとして搬送され、そこからガラス基板1mとして表裏反転機構部143に搬送されて、そこで表裏反転されてローラコンベア121に搬出される。図15の製造装置では、レーザ加工中にアライメント部102でアライメント処理を行っている。グリッパ部106はレーザ加工終了後、ガラス基板を直ちに搬入出ロボットステーション142へ搬送すると、グリッパ106をアライメント部102に移動させてガラス基板を保持して、同様のレーザ加工処理を行っている。すなわち、ガラス基板は製造装置上をループ状に移動する。従って、タクトタイムは図2の場合よりも若干大きくなるが、表裏反転機構部143を1個設けるだけでよく、装置を簡略化することができる。
【0057】
図16は、本発明に係るソーラパネル製造装置のリターン方式の別の実施例を示す図である。図15において、図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。この製造装置が図2のものと異なる点は、ローラコンベア121及び表裏反転機構部143に対するガラス基板の搬入出処理をハンドリングアーム方式の基板搬送ロボット146を用いるようにした点である。従って、図15の製造装置では、ローラコンベア121からガラス基板1xを表裏反転機構部143に搬入し、そこで表裏反転処理を行い、ガラス基板1nとしてアライメント部102に搬送するか又は基板搬送ロボット146を用いて再度搬入出ロボットステーション144の右端へガラス基板1rとして搬送する。レーザ加工ステーション101では、図2と同様に、両サイドのアライメント部102,104でアライメント処理を行いレーザ加工処理を行なう。なお、表裏反転機構部を別途ガラス基板1rの箇所に設けてもよいし、表裏反転機構部143を省略してローラコンベア121と搬入出ロボットステーション144との間に別の表裏反転機構部を設けるようにしてもよい。
【0058】
図17は、本発明に係るソーラパネル製造装置のダブルサイド方式の実施例を示す図である。この実施例は、図2のアライメント部102,104を備えたレーザ加工ステーション101の両側からガラス基板を搬入出するようにしたものである。図17において、図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。この製造装置が図2のものと異なる点は、レーザ加工ステーション101の両側にローラコンベア121,122が設けられ、ローラコンベア121,122に表裏反転機構部147,148が設けられている点である。従って、図17の製造装置では、両側のローラコンベア121,122からガラス基板1x1,1x2,1y1,1y2,1z1,1z2のように順番に表裏反転機構部147,148を経由してアライメント部102,104に搬入出される。レーザ加工ステーション101は、図2と同様に、両サイドのアライメント部102,104でアライメント処理されたガラス基板に対してレーザ加工処理を行なう。なお、表裏反転機構部が不要な場合は、表裏反転機構部147,148は省略してもよい。
【0059】
上述の実施の形態では、最初のスクライブ処理の結果、ガラス基板1上に形成されたスクライブ線を含む画像を取得する場合について説明したが、2回目のスクライブ処理の結果、ガラス基板1上に形成された2本のスクライブ線を含む画像を取得して、それを用いてアライメント処理を行なうようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、アライメントカメラシステムと基板検出カメラ65〜68を別々に設ける場合について説明したが、アライメントカメラシステムに図12に示すような移動機構を設けて、基板検出カメラ65〜68の機能を兼用させるようにしてもよい。
【0060】
上述の実施の形態では、パルス抜けの発生だけを見ているが、パルス抜けが発生した箇所の座標データ(位置データ)を取得して記憶することによって、スクライブ線のリペア処理を行なうことが可能となる。
上述の実施の形態では、光軸検査用CCDカメラ96を用いてビームサンプラ93で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を直接受光して、それを画像処理することによって、光軸ずれを検査する場合について説明したが、高速フォトダイオード94の受光面の中央にレーザ光が受光した状態を示す画像を被検査画像として光軸検査用CCDカメラ96あるいは分割型フォトダイオードで取得することによって光軸ずれを検査するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、レーザ光の光軸ずれ及びパルス抜けを検査する場合について説明したが、光軸ずれ、パルス抜け、パルス幅及びパルス高さのそれぞれを適宜組み合わせてレーザ光の状態を検査するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、薄膜の形成されたガラス基板1の表面からレーザ光を照射して薄膜にスクライブ線(溝)を形成する場合について説明したが、ガラス基板1の裏面からレーザ光を照射して、基板表面の薄膜にスクライブ線を形成するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、ソーラパネル製造装置を例に説明したが、本発明はELパネル製造装置、ELパネル修正装置、FPD修正装置などのレーザ加工を行なう装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…ガラス基板
1a〜1e,1x〜1z,1m〜1r…ガラス基板
12…成膜装置
14…搬入ロボットステーション(ローラコンベア部)
10…レーザ加工ステーション
18…成膜装置
16…搬出ロボットステーション(ローラコンベア部)
10a…アライメント部
10b…グリッパ部
10c…グリッパ駆動部
10d…加工エリア部
10…台座
101…レーザ加工ステーション
102,104…アライメント部
106,108…グリッパ部
110…グリッパ駆動部
112…加工エリア部
121…ローラコンベア
141…搬入出ロボットステーション
143…表裏反転機構部
20…XYテーブル
30…スライドフレーム
31…ベース板
33…ガルバノミラー
331…ガルバノ制御裝置
332…ビームサンプラ
333…4分割フォトダイオード
33xy,33yz…モータ
34,35…反射ミラー
37…貫通穴
40…レーザ発生装置
50…光学系部材
500…位相型回折光学素子(DOE)
511〜513…ハーフミラー
521〜528…反射ミラー
531〜534…シャッター機構
541〜544…集光レンズ
52,54…オートフォーカス用測長システム
70…リニアエンコーダ
80…制御装置
81…分岐手段
82…パルス抜け判定手段
83…アラーム発生手段
84…基準CCD画像記憶手段
85…光軸ずれ量計測手段
86…レーザコントローラ
92,93…ビームサンプラ
94…高速フォトダイオード
96…光軸検査用CCDカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前段の装置から搬送されて来る第1のガラス基板を所定の位置にアライメント処理するステップと、
前記アライメント処理後の前記第1のガラス基板を保持して相対的に移動させながらレーザ光を照射することによって前記第1のガラス基板にレーザ加工を施すステップと、
前記レーザ光による加工が施されている間に、前記前段の装置から搬送されて来る第2のガラス基板を所定の位置にアライメント処理するステップと、
前記レーザ光による加工が終了した後に前記第1のガラス基板を搬出すると共に前記第2のガラス基板を保持して相対的に移動させながらレーザ光を照射することによって前記第2のガラス基板にレーザ加工を施すステップと
を順次繰り返しながら前記前段の装置から搬送されて来るガラス基板に対してレーザ加工を行なうことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工方法において、
前記レーザ光による最初の加工処理が終了した時点で、前記最初の加工処理によって形成された前記ガラス基板の形状変化部分と前記ガラス基板の縁部との両方を含む箇所の画像を取得し、前記画像を前記ガラス基板のIDデータとして記憶しておき、2回目以降の加工処理を施す際は前記IDデータに基づいて前記アライメント処理を行なうことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ加工方法において、
前記ガラス基板の四隅付近の画像を取得し、その画像に基づいて前記ガラス基板の曲がり(反り)や前記ガラス基板の四隅付近の欠けを検出することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のレーザ加工方法において、
前記ガラス基板の外周縁の画像を取得し、その画像に基づいて前記ガラス基板の曲がり(反り)及び前記ガラス基板の前記外周縁の欠けを検出することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項5】
相対的に移動されるガラス基板にレーザ光を照射して所定の加工処理を施すレーザ光照射手段と、
前段の装置から搬送されて来る第1のガラス基板を所定の位置にアライメント処理する第1のアライメント手段と、
前段の装置から搬送されて来る第2のガラス基板を所定の位置にアライメント処理する第2のアライメント手段と、
前記第1のアライメント手段によるアライメント処理終了後に前記第1のガラス基板を保持して前記レーザ光照射手段に対して相対的に移動させる第1の保持手段と、
前記第2のアライメント手段によるアライメント処理終了後に前記第2のガラス基板を保持して前記レーザ光照射手段に対して相対的に移動させる第2の保持手段と、
前記第1のアライメント手段によるアライメント処理後の前記第1のガラス手段を前記第1の保持手段で保持しながら前記レーザ光照射手段に対して相対的に移動させて前記第1のガラス基板に前記レーザ光による加工を行い、このレーザ光加工が行なわれている間に、前記第2のアライメント手段による前記第2のガラス基板に対するアライメント処理を実行させ、前記第1のガラス基板に対する前記レーザ光による加工が終了した後に前記第1のガラス基板を搬出すると共に前記第2のガラス手段を前記第2の保持手段で保持しながら前記レーザ光照射手段に対して相対的に移動させて前記第2のガラス基板に前記レーザ光による加工を行なうという一連の動作を前記前段の装置から順次搬送されて来るガラス基板に対して実行させる制御手段と
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザ加工装置において、
前記レーザ光による最初の加工処理が終了した時点で、前記最初の加工処理によって形成された前記ガラス基板の形状変化部分と前記ガラス基板の縁部との両方を含む箇所の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記画像を前記ガラス基板のIDデータとして記憶する記憶手段と、
2回目以降の加工処理を施す際は、前記IDデータに基づいて前記第1及び第2のアライメント手段によるアライメント処理を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のレーザ加工装置において、
前記ガラス基板の四隅付近の画像を取得する第1の画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記ガラス基板の四隅付近の画像に基づいて前記基板の曲がり(反り)や前記基板の四隅付近の欠けを検出する第1の検出手段と
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置
【請求項8】
請求項5、6又は7に記載のレーザ加工装置において、
前記ガラス基板の外周縁の画像を取得する第2の画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された画像に基づいて前記ガラス基板の曲がり(反り)及び前記ガラス基板の前記外周縁の欠けを検出する第2の検出手段と
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置
【請求項9】
請求項1から4までのいずれか1に記載のレーザ加工方法又は請求項5から8までのいずれか1に記載のレーザ加工装置を用いて、ソーラパネルを製造することを特徴とするソーラパネル製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−279969(P2010−279969A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134881(P2009−134881)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】