説明

レーダ装置制御方法、レーダ装置、移動体および送受信装置

【課題】他の移動体の相対向きを算出することができるレーダ装置制御方法、レーダ装置、移動体および送受信装置を提供すること。
【解決手段】移動体の所定の位置に設置された複数の送受信部が、移動体番号と設置位置番号とを含む信号を送信し、他の移動体に設置された複数の送受信部から送信される信号を受信した場合に、信号を受信した受信部、信号を送信した他の移動体、信号を送信した送信部が設置されている位置を特定することにより、他の移動体の相対向きを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置制御方法、レーダ装置、移動体および送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な分野において、所定の場所に位置する対象物までの距離や、対象物の移動速度を算出するレーダ装置が用いられている。このようなレーダ装置が実装されている移動体(例えば、自動車や、船舶、航空機)の利用者は、他の移動体までの距離や、他の移動体の移動速度を認識できる。これにより、利用者は、他の移動体と衝突しないように移動体を操作することが可能になる。
【0003】
【特許文献1】特開2007−11432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のレーダ装置には、自装置が実装されている移動体(以下、「自移動体」という)が向いている方向に対する他の移動体が向いている方向(以下、「相対向き」という)を算出することができないという問題があった。他の移動体の向きは、利用者が他の移動体と衝突するおそれがあるか否かを判断する上で重要な情報となる。
【0005】
例えば、自移動体と他の移動体とが近距離に位置する場合であっても、自移動体の向きと他の移動体の向きとが互いに離れる方向である場合、利用者は、他の移動体と衝突するおそれがないと判断することができる。一方、自移動体と他の移動体とが近距離に位置し、かつ、自移動体の向きと他の移動体の向きとが正対している場合、利用者は、他の移動体と衝突するおそれがあると判断することができる。
【0006】
このようなことから、他の移動体までの距離や他の移動体の移動速度だけでなく、自移動体の向きに対する他の移動体の相対向きを算出することができるレーダ装置の実現が望まれていた。
【0007】
開示の技術は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、他の移動体の相対向きを算出することができるレーダ装置制御方法、レーダ装置、移動体および送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願に開示するレーダ装置制御方法は、所定の移動体に搭載されるレーダ装置を制御するレーダ装置制御方法であって、前記レーダ装置が、他の移動体に複数設置されている送信部から、該他の移動体に設置されている該送信部の位置を示す設置位置情報を含む信号を受信する受信工程と、前記受信工程によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が向いている方向に対する前記他の移動体が向いている方向である相対向きを算出する算出工程とを含んだことを要件とする。
【0009】
なお、本願に開示するレーダ装置制御方法の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも、他の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本願に開示したレーダ装置制御方法によれば、他の移動体の相対向きを算出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本願に開示するレーダ装置制御方法、レーダ装置、移動体および送受信装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願に開示するレーダ装置制御方法、レーダ装置、移動体および送受信装置が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
まず、実施例1に係るレーダ装置100の概要について説明する。レーダ装置100は、他の移動体との間で信号を送受する送受信部を複数有する。かかる複数の送受信部は、移動体の所定の位置に設置される。そして、レーダ装置100は、他の移動体から信号を受信した送受信部が設置されている位置と、かかる信号を送信した他の移動体の送受信部が設置されている位置とに基づいて、他の移動体の相対向きを算出する。
【0013】
図1を用いて具体的に説明する。図1は、実施例1に係るレーダ装置100による対象物情報算出処理の概要を説明するための図である。図1の例では、それぞれにレーダ装置100A〜100Dが実装されている自動車A〜Dを示している。なお、本明細書では、実施例1に係るレーダ装置100を、レーダ装置100A〜100Dのように、「レーダ装置100x」と表記する場合がある。
【0014】
自動車Aは、自車の所定の位置に、送受信部150a−A〜150h−Aが設置されている。具体的には、送受信部150a−Aが自動車Aの前方に設置され、送受信部150b−Aが自動車Aの左前方に設置され、送受信部150c−Aが自動車Aの右前方に設置され、送受信部150d−Aが自動車Aの後方に設置され、送受信部150e−Aが自動車Aの左後方に設置され、送受信部150f−Aが自動車Aの右後方に設置され、送受信部150g−Aが自動車Aの左側面に設置され、送受信部150h−Aが自動車Aの右側面に設置されている。同様に、自動車B〜Dは、それぞれ送受信部150a−B〜150h−B、送受信部150a−C〜150h−C、送受信部150a−D〜150h−Dが設置されている。
【0015】
図1に示した例において、自動車Aに設置されている送受信部150a−A〜150h−Aは、それぞれ信号A1〜A8を送信する。このとき、自動車Bに設置されている送受信部150d−B、150e−Bおよび150f−Bは、信号A1を受信する。かかる場合に、レーダ装置100Bは、自動車Bの後方、左後方、右後方に設置されている送受信部150d−B、150e−B、150f−Bが、自動車Aの前方に設置されている送受信部150a−Aから送信された信号A1を受信したことを検出する。
【0016】
続いて、レーダ装置100Bは、かかる検出結果に基づいて、自動車Bの向きに対する自動車Aの相対向きとして、「自動車Bと等しい向き」を算出する。このように算出できる理由は、自動車Aの向きが自動車Bの向きと等しい場合に、自動車Bの後方に設置されている送受信部150d−B〜150f−Bのみが、自動車Aの前方に設置されている送受信部150a−Aから信号を受信するからである。
【0017】
また、レーダ装置100Bは、自動車Bが位置する場所から自動車Aが位置する場所への方位として、「自動車Bの後方」を算出する。このように算出できる理由は、自動車Aが自動車Bの後方に位置する場合に、自動車Bの後方に設置されている送受信部150d−B〜150f−Bのみが、自動車Aから信号を受信するからである。なお、以下では、自移動体が位置する場所から他の移動体が位置する場所への方位を「相対方位」と呼ぶこととする。
【0018】
そして、レーダ装置100Bは、このように算出した相対向きおよび相対方位に基づいて、自動車AおよびBの向きや位置関係を、人間が視覚的に認識できるように所定の表示部に表示制御する。これにより、レーダ装置100Bは、自動車Bを利用する利用者に対して、自動車Aの向きが自車(自動車B)の向きと等しく、かつ、自動車Aが自車の後方に位置していることを認識させることができる。その結果、利用者は、自動車Aに追突されることを防止するために、例えば、急ブレーキをかけないように注意することができる。
【0019】
また、自動車Cに設置されている送受信部150b−Cは、信号A3を受信し、送受信部150e−Cおよび150g−Cは、信号A8を受信する。かかる場合に、レーダ装置100Cは、自動車Cの左前方に設置されている送受信部150b−Cが、自動車Aの右前方に設置されている送受信部150c−Aから送信された信号A3を受信したことを検出する。また、レーダ装置100Cは、自動車Cの左後方、左側面に設置されている送受信部150e−C、150g−Cが、自動車Aの右側面に設置されている送受信部150h−Aから送信された信号A8を受信したことを検出する。
【0020】
続いて、レーダ装置100Cは、かかる検出結果に基づいて、自動車Cの向きに対する自動車Aの相対向きとして、「自動車Cと等しい向き」を算出する。また、レーダ装置100Cは、自動車Cに対する自動車Aの相対方位として、「自動車Cの左側、かつ、やや後方」を算出する。
【0021】
そして、レーダ装置100Cは、このように算出した相対向きおよび相対方位に基づいて、自動車AおよびCの向きや位置関係を、所定の表示部に表示制御する。これにより、レーダ装置100Cは、自動車Cを利用する利用者に対して、自動車Aの向きが自車(自動車C)の向きと等しく、かつ、自動車Aが自車の左側やや後方に位置していることを認識させることができる。
【0022】
また、自動車Dに設置されている送受信部150a−Dおよび150c−Dは、信号A5を受信する。かかる場合に、レーダ装置100Dは、自動車Dの前方、右前方に設置されている送受信部150a−D、150c−Dが、自動車Aの左後方に設置されている送受信部150e−Aから送信された信号A5を受信したことを検出する。
【0023】
続いて、レーダ装置100Dは、かかる検出結果に基づいて、自動車Dの向きに対する自動車Aの相対向きとして、「自動車Dと等しい向き」を算出する。また、レーダ装置100Dは、自動車Dに対する自動車Aの相対方位として、「自動車Dの右斜め前方」を算出する。
【0024】
そして、レーダ装置100Dは、このように算出した相対向きおよび相対方位に基づいて、自動車AおよびDの向きや位置関係を、所定の表示部に表示制御する。これにより、レーダ装置100Dは、自動車Dを利用する利用者に対して、自動車Aの向きが自車(自動車D)の向きと等しく、かつ、自動車Aが自車の右斜め前方に位置していることを認識させることができる。その結果、利用者は、自動車Aに追突してしまうことを防止するために、例えば、自車を右側に移動させる操作をしないように注意することができる。
【0025】
このように、実施例1に係るレーダ装置100は、移動体の所定の位置に設置された複数の送受信部が信号を送信するとともに、他の移動体に設置された複数の送受信部から送信される信号を受信する。これにより、レーダ装置100は、受信信号に基づいて、他の移動体の相対向きを算出することができる。
【0026】
また、レーダ装置100は、算出した相対向きに基づいて、自移動体および他の移動体の向きおよび位置関係を、所定の表示部に表示制御するので、自移動体を利用する利用者に対して、他の移動体の相対向きを認識させることができる。その結果、利用者は、他の移動体の相対向きを考慮した上で他の移動体と衝突するおそれがあるか否かを判断することができる。
【0027】
なお、上記では説明を省略したが、レーダ装置100は、従来のレーダ装置と同様に、自移動体から他の移動体までの距離や、他の移動体の移動速度を算出する。そして、レーダ装置100は、他の移動体までの距離や他の移動体の移動速度に基づいて、自移動体および他の移動体の位置関係や、他の移動体の移動速度を、所定の表示部に表示制御する。
【0028】
次に、実施例1に係るレーダ装置100の構成について説明する。図2は、実施例1に係るレーダ装置100の構成を示す図である。図2に示すように、レーダ装置100は、コード生成部110と、コード生成部120a〜120hと、乗算部130a〜130hと、E/O(Electrical/Optical)140a〜140hと、送受信部150a〜150hと、O/E(Optical/Electrical)160a〜160hと、相関器(Correlator)170a〜170hと、制御部180と、表示部190とを有する。
【0029】
コード生成部110は、所定のコードを生成する。具体的には、コード生成部110は、レーダ装置100が実装される移動体を識別するための移動体番号を生成する。例えば、レーダ装置100が自動車に実装される場合、コード生成部110は、移動体番号として、自動車を識別するための自動車IDを生成する。
【0030】
図1に示した例を用いて説明する。図1に示した例では、自動車Aに実装されているレーダ装置100Aのコード生成部110は、自動車Aを識別するための自動車ID「A」を生成する。同様にして、自動車B〜Dに実装されているレーダ装置100B〜Dのコード生成部110は、それぞれ自動車B〜Dを識別するための自動車ID「B」〜「D」を生成する。
【0031】
コード生成部120a〜120hは、所定のコードを生成する。具体的には、コード生成部120a〜120hは、送受信部150a〜150hが設置されている位置を示す設置位置番号を生成する。
【0032】
図1に示した自動車Aを例に挙げて説明する。図1に示した自動車Aに設置されている送受信部150a−A〜150h−Aは、図2に示した送受信部150a〜150hに対応するものとする。かかる場合、レーダ装置100Aのコード生成部120aは、送受信部150a−Aが設置されている位置「前方」を示す設置位置番号を生成する。また、コード生成部120bは、送受信部150b−Aが設置されている位置「左前方」を示す設置位置番号を生成する。同様にして、それぞれのコード生成部120c〜120hは、対応する送受信部150c−A〜150h−Aが設置されている位置「右前方」「後方」「左後方」「右後方」「左側面」「右側面」を示す設置位置番号を生成する。
【0033】
乗算部130a〜130hは、所定の情報を他の情報により拡散変調してスペクトル拡散信号を生成する。具体的には、乗算部130aは、コード生成部110によって生成された移動体番号を、コード生成部120aによって生成された設置位置番号により拡散変調したスペクトル拡散信号を生成する。同様にして、乗算部130b〜130hは、コード生成部110によって生成された移動体番号を、それぞれ対応するコード生成部120b〜120hによって生成された設置位置番号により拡散変調したスペクトル拡散信号を生成する。
【0034】
E/O140a〜140hは、電気信号を光信号に変換する。具体的には、E/O140aは、乗算部130aから出力されたスペクトル拡散信号を光信号に変換して送受信部150aへ出力する。同様にして、E/O140b〜140hは、それぞれ対応する乗算部130b〜130hから出力されたスペクトル拡散信号を光信号に変換する。
【0035】
送受信部150a〜150hは、高指向性投受光ユニットであり、光信号を送受信する。具体的には、送受信部150aは、レンズまたは遮光板などが用いられることにより鋭い指向性を実現しており、送信部151aと受信部152aとを有する。送信部151aは、E/O140aから出力された光信号を送信する。受信部152aは、他のレーダ装置が有する送信部から送信された光信号を受信する。
【0036】
同様にして、送受信部150b〜150hは、それぞれ対応する送信部151b〜151hと、受信部152b〜152hとを有する。送信部151b〜151hは、それぞれ対応するE/O140b〜140hから出力された光信号を送信する。受信部152b〜152hは、前述した受信部152aと同様に、他のレーダ装置が有する送信部から送信された光信号を受信する。なお、本明細書では、送受信部150a〜150hが送受する「光信号」を単に「信号」と表記する場合がある。
【0037】
O/E160a〜160hは、光信号を電気信号に変換する。具体的には、O/E160aは、受信部152aによって受信された光信号を電気信号(スペクトル拡散信号)に変換する。同様にして、O/E160b〜160hは、それぞれ対応する受信部152b〜152hによって受信された光信号を電気信号に変換する。
【0038】
相関器170a〜170hは、所定の信号に含まれる各種情報を分離する。具体的には、相関器170aは、O/E160aから出力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報を、移動体番号と設置位置番号とに分離する。同様にして、相関器170b〜170hは、それぞれ対応するO/E160b〜160hから出力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報を、移動体番号と設置位置番号とに分離する。なお、相関器170a〜170hの構成については、図3を用いて後に詳述する。
【0039】
制御部180は、レーダ装置100を全体制御し、特に、相対向きおよび相対方位を算出する。具体的には、制御部180は、相関器170a〜170hによって分離された各種情報(移動体番号および設置位置番号)に基づいて、相対向きおよび相対方位を算出する。なお、制御部180の構成については、図4を用いて後に詳述する。
【0040】
表示部190は、各種情報を表示する表示デバイスであり、液晶表示装置などである。具体的には、表示部190には、制御部180によって、図1に示したような各移動体の向き、位置関係、移動速度などが表示制御される。
【0041】
次に、図2に示した相関器170a〜170hの構成について説明する。図3は、図2に示した相関器170a〜170hの構成を示す図である。なお、相関器170a〜170hは、いずれも同様の構成を有するため、ここでは、相関器170aを例にして説明する。
【0042】
図3に示すように、相関器170aは、マッチドフィルタ171−1〜171−9と、レジスタ172と、P/S(parallel/serial)変換部173とを有する。マッチドフィルタ171−1〜171−9は、O/E160aから出力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報を、各種情報が生成されたコード生成部ごとに抽出する。
【0043】
具体的には、マッチドフィルタ171−1は、入力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報のうち、他のレーダ装置が有するコード生成部120aによって生成された情報(設置位置番号)を抽出する。同様にして、マッチドフィルタ171−2〜171−8は、入力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報のうち、他のレーダ装置が有するコード生成部120b〜120hによって生成された情報(設置位置番号)を抽出する。また、マッチドフィルタ171−9は、入力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報のうち、他のレーダ装置が有するコード生成部110によって生成された情報(移動体番号)を抽出する。
【0044】
なお、図3において、マッチドフィルタ171−1〜171−9を示す矩形内に表記した括弧内の文字列は、マッチドフィルタ171−1〜171−9が抽出する情報を生成したコード生成部を示す。例えば、マッチドフィルタ(コード生成部120a用)171−1は、マッチドフィルタ171−1が、他のレーダ装置が有するコード生成部120aによって生成された情報(設置位置番号)を抽出することを示している。
【0045】
レジスタ172は、各種情報を一時的に記憶する記憶デバイスであり、例えば、シフトレジスタである。具体的には、レジスタ172は、マッチドフィルタ171−1〜171−9によって抽出された各種情報(移動体番号および設置位置番号)を一時的に記憶する。
【0046】
P/S変換部173は、パラレル信号をシリアル信号に変換する。具体的には、P/S変換部173は、レジスタ172から各種情報を取得して、取得した各種情報をシリアル信号に変換して出力する。
【0047】
次に、図2に示した制御部180の構成について説明する。図4は、図2に示した制御部180の構成を示す図である。図4に示すように、制御部180は、S/P変換部181−1〜181−8と、特定部182−1〜182−8と、算出部183とを有する。
【0048】
S/P変換部181−1〜181−8は、シリアル信号をパラレル信号に変換する。なお、図4において、信号#1〜#8は、それぞれ相関器170a〜170hから出力されるシリアル信号を示す。すなわち、S/P変換部181−1は、相関器170aから入力されるシリアル信号をパラレル信号に変換する。同様にして、S/P変換部181−2〜181−8は、それぞれ対応する相関器170b〜170hから入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換する。
【0049】
特定部182−1〜182−8は、それぞれ対応するS/P変換部181−1〜181−8から入力されたパラレル信号に基づいて、受信部152a〜152hのうち、信号を受信した受信部を特定する。また、特定部182−1〜182−8は、受信部152a〜152hが信号を受信した場合に、信号を送信した送信部が設置されている移動体と、信号を送信した送信部が設置されている位置とを特定する。
【0050】
具体的には、特定部182−1は、S/P変換部181−1からパラレル信号を入力された場合に、受信部152aが信号を受信したことを検出する。これは、受信部152aが信号を受信した場合に、かかる信号がO/E160aと、相関器170aと、S/P変換部181−1とを介して、特定部182−1へ入力されるからである。同様に、特定部182−2〜182−8は、それぞれ対応するS/P変換部181−2〜181−8からパラレル信号を入力された場合に、それぞれ対応する受信部152b〜152hが信号を受信したことを検出する。
【0051】
また、特定部182−1〜182−8は、入力されたパラレル信号に含まれる移動体番号に基づいて、それぞれ対応する受信部152a〜152hによって受信された信号がどの移動体によって送信されたかを検出する。また、特定部182−1〜182−8は、入力されたパラレル信号に含まれる設置位置番号に基づいて、かかる信号を送信した送信部が他の移動体においてどの位置に設置されているかを検出する。
【0052】
図1に示した例を用いて説明する。図1に示した例では、自動車Dに設置されている受信部152a(受信部152a−Dとする)は、自動車Aに設置されている送信部151e(送信部151e−Aとする)から送信される信号A5を受信する。かかる場合に、レーダ装置100Dの特定部182−1は、S/P変換部181−1からパラレル信号を入力されるので、受信部152a−Dが信号を受信したことを検出する。また、レーダ装置100Dの特定部182−1は、入力されたパラレル信号に含まれる移動体番号と設置位置番号とに基づいて、受信部152a−Dが、自動車Aの左後方に設置されている送信部151e−Aから送信された信号を受信したことを検出する。
【0053】
算出部183は、特定部182−1〜182−8による特定処理結果に基づいて、レーダ装置100が実装されている移動体(自移動体)の向きに対する他の移動体の相対向きと、自移動体に対する他の移動体の相対方位とを算出する。
【0054】
図1に示した例を用いて説明する。図1に示した例では、自動車Bに設置されている受信部152d〜152f(受信部152d−B〜152f−Bとする)が、レーダ装置100Aの送信部151a(送信部151a−Aとする)から送信された信号A1を受信する。このとき、レーダ装置100Bの特定部182−4は、受信部152d−Bが、自動車Aの前方に設置されている送信部151a−Aから送信された信号を受信したことを検出する。同様に、レーダ装置100Bの特定部182−5は、受信部152e−Bが、送信部151a−Aから送信された信号を受信したことを検出する。同様に、レーダ装置100Bの特定部182−6は、受信部152f−Bが、送信部151a−Aから送信された信号を受信したことを検出する。
【0055】
このように検出された場合に、レーダ装置100Bの算出部183は、自動車Bの向きに対する自動車Aの相対向きとして、「自動車Bと等しい向き」を算出する。これは、上述したように、自動車Aの向きが自動車Bの向きと等しい場合に、自動車Bの後方に設置されている送受信部150d−B〜150f−Bのみが、自動車Aの前方に設置されている送受信部150a−Aから信号を受信するからである。
【0056】
また、算出部183は、自動車Bに対する自動車Aの相対方位として、「自動車Bの後方」を算出する。これは、上述したように、自動車Aが自動車Bの後方に位置する場合に、自動車Bの後方に設置されている送受信部150d−B〜150f−Bのみが、自動車Aから信号を受信するからである。
【0057】
なお、レーダ装置100は、信号を受信した受信部152a〜152hと、かかる信号の発信元送信部との組合せに対応付けて、他の移動体の相対位置および相対向きを所定の記憶部(以下、「相対情報記憶部」という)に記憶しておいてもよい。そして、算出部183は、かかる相対情報記憶部に記憶されている各種情報に基づいて、相対向きおよび相対方位を算出してもよい。
【0058】
相対情報記憶部の一例を図5に示す。図5に示すように、相対情報記憶部は、受信部番号、送信部番号、相対向き、相対方位といった項目を有する。「受信部番号」は、レーダ装置100が有する受信部152a〜152hを識別するための情報を示す。図5に示した例では、図2に示した受信部152a〜152hに付した符号(152a〜152h)を受信部番号としている。「送信部番号」は、他のレーダ装置が有する送信部151a〜151hを識別するための情報を示す。図5に示した例では、図2に示した送信部151a〜151hに付した符号(151a〜151h)を送信部番号としている。
【0059】
すなわち、図5に示した相対情報記憶部の1行目は、受信部152d〜152fが、他のレーダ装置が有する送信部151aから信号を受け付けた場合、他の移動体の相対向きが自移動体と等しく、他の移動体の相対方位が「後方」であることを示している。なお、図5に示した相対情報記憶部の1行目は、図1に例示した自動車Aと自動車Bとの関係を示しており、相対情報記憶部の2行目は、図1に例示した自動車Aと自動車Cとの関係を示しており、相対情報記憶部の3行目は、図1に例示した自動車Aと自動車Dとの関係を示している。
【0060】
次に、実施例1に係るレーダ装置100による信号送信処理の手順について説明する。図6は、実施例1に係るレーダ装置100による信号送信処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、レーダ装置100のコード生成部110は、レーダ装置100が実装される移動体を識別するための移動体番号を生成する(ステップS101)。
【0061】
また、コード生成部120a〜120hは、それぞれ対応する送受信部150a〜150hが設置されている位置を識別するための設置位置番号を生成する(ステップS102)。続いて、乗算部130a〜130hは、コード生成部110によって生成された移動体番号を、コード生成部120a〜120hによって生成された設置位置番号により拡散変調してスペクトル拡散信号を生成する(ステップS103)。
【0062】
続いて、E/O140a〜140hは、それぞれ対応する乗算部130a〜130hによって生成されたスペクトル拡散信号を光信号に変換する(ステップS104)。そして、送信部151a〜151hは、それぞれ対応するE/O140a〜140hによって変換された光信号をレーダ装置100の外部へ送信する(ステップS105)。
【0063】
次に、実施例1に係るレーダ装置100による信号受信処理の手順について説明する。図7は、実施例1に係るレーダ装置100による信号受信処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、レーダ装置100の受信部152a〜152hによって、他のレーダ装置から送信された光信号を受信した場合(ステップS201肯定)、O/E160a〜160hは、かかる光信号を電気信号に変換する(ステップS202)。
【0064】
続いて、相関器170a〜170hは、それぞれ対応するO/E160a〜160hによって変換された電気信号(スペクトル拡散信号)に含まれる各種情報を、移動体番号と設置位置番号とに分離する(ステップS203)。
【0065】
続いて、制御部180の特定部182−1〜182−8は、それぞれ対応する相関器170a〜170hから入力された信号に基づいて、信号を受信した受信部152a〜152hを特定する(ステップS204)。
【0066】
続いて、特定部182−1〜182−8は、相関器170a〜170hによって分離された移動体番号に基づいて、信号を送信した移動体を特定する(ステップS205)。また、特定部182−1〜182−8は、相関器170a〜170hによって分離された設置位置番号に基づいて、信号を送信した送信部が設置されている位置を特定する(ステップS206)。
【0067】
そして、算出部183は、特定部182−1〜182−8によって特定された信号を受信した受信部、他の移動体、および、送信部の設置位置に基づいて、他の移動体の相対向きと相対方位とを算出する(ステップS207)。
【0068】
上述してきたように、実施例1に係るレーダ装置100は、移動体の所定の位置に設置された複数の送受信部が、移動体番号と設置位置番号とを含む信号を送信するとともに、他の移動体に設置された複数の送受信部から送信される信号を受信する。そして、レーダ装置100は、他のレーダ装置から信号を受信した場合に、信号を受信した受信部、信号を送信した他の移動体、信号を送信した送信部が設置されている位置を特定する。これにより、レーダ装置100は、自移動体の向きに対する他の移動体の相対向きを算出することができる。
【0069】
また、実施例1に係るレーダ装置100は、複数の送受信部が移動体に設置されるので、自装置に対する他の移動体の部位(前方、後方、左側面、右側面など)の位置を詳細に識別することができるので、他の移動体の相対向きおよび相対位置を正確に算出することができる。すなわち、実施例1に係るレーダ装置100は、他の移動体が近距離に位置する場合であっても相対向きおよび相対位置を正確に算出することができる。
【0070】
特に、実施例1に係るレーダ装置100は、移動体に設置する送受信部の数を大きくするほど、自移動体と他の移動体との位置関係をより詳細に識別することができ、相対向きおよび相対位置をより正確に算出することができる。
【実施例2】
【0071】
ところで、上記実施例1では、他の移動体の相対向きおよび相対位置を算出する例を示したが、レーダ装置は、他の移動体の大きさや形状を算出してもよい。そこで、実施例2では、他の移動体の大きさや形状を算出するレーダ装置200について説明する。
【0072】
実施例2に係るレーダ装置200の構成について説明する。図8は、実施例2に係るレーダ装置200の構成を示す図である。なお、以下では、既に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。図8に示すように、レーダ装置200は、図2に示したレーダ装置100と比較して、コード生成部210と、乗算部220とを新たに有する。また、レーダ装置200は、図2に示したレーダ装置100と比較して、相関器170a〜170hの代わりに相関器270a〜270hを有し、制御部180の代わりに制御部280を有する。
【0073】
コード生成部210は、自移動体の大きさや形状を示す形状情報を生成する。具体的には、コード生成部210は、移動体の縦、横および高さを示す数値や、移動体の形状を示す所定のコード値を形状情報として生成する。
【0074】
乗算部220は、コード生成部110によって生成された移動体番号と、コード生成部210によって生成された形状情報とを重畳する。これにより、レーダ装置200が送信する光信号は、実施例1に係るレーダ装置100が送信する光信号に、形状情報が重畳される信号になる。
【0075】
相関器270a〜270hは、形状情報が重畳されたスペクトル拡散信号を受信し、かかるスペクトル拡散信号に含まれる各種情報を、移動体番号と、設置位置番号と、形状情報とに分離する。なお、ここでは図示しないが、相関器270a〜270hは、図3に示した相関器170aに、マッチドフィルタ(コード生成部210用)を追加した構成になる。
【0076】
制御部280は、相関器270a〜270hによって分離された各種情報(移動体番号、設置位置番号および形状情報)に基づいて、他の移動体の相対向きおよび相対方位を算出するとともに、他の移動体の大きさや形状を算出する。
【0077】
そして、表示部190には、制御部280によって算出された他の移動体の相対向き、相対方位、大きさ、形状などに基づいて、自移動体と他の移動体の向きや、位置関係、大きさ、形状などが表示される。
【0078】
なお、レーダ装置200は、移動体の大きさや形状を識別するための識別情報(例えば、形状ID)に対応付けて、大きさや形状を示す情報を所定の記憶部に記憶させてもよい。かかる場合、レーダ装置200は、コード生成部210によって生成された形状IDを重畳した光信号を送信する。そして、レーダ装置200は、他の移動体から光信号を受信した場合に、制御部280が、所定の記憶部から形状IDに対応付けて記憶されている大きさや形状を示す情報を取得する。
【0079】
上述してきたように、実施例2に係るレーダ装置200は、自移動体の大きさや形状を示す形状情報を重畳した光信号を送信するので、他の移動体から光信号を受信した場合に、他の移動体の大きさや形状を算出することができる。これにより、レーダ装置200は、他の移動体の大きさや形状に関する情報を表示部190に表示させることができる。その結果、レーダ装置200が実装されている移動体を利用する利用者は、他の移動体の大きさや形状を考慮した上で他の移動体と衝突するおそれがあるか否かを判断することができる。
【実施例3】
【0080】
ところで、上記実施例2では、他の移動体の大きさや形状を算出する例を示したが、レーダ装置は、さらに、他の移動体の進行方向や予定進路を算出してもよい。そこで、実施例3では、他の移動体の進行方向や予定進路を算出するレーダ装置300について説明する。
【0081】
実施例3に係るレーダ装置300の構成について説明する。図9は、実施例3に係るレーダ装置300の構成を示す図である。図9に示すように、レーダ装置300は、図8に示したレーダ装置200と比較して、電子コンパス(Electronic Compass)310と、コース情報生成部320と、乗算部330および340とを新たに有する。また、レーダ装置300は、図8に示したレーダ装置200と比較して、相関器270a〜270hの代わりに相関器370a〜370hを有し、制御部280の代わりに制御部380を有する。
【0082】
電子コンパス310は、自移動体の進行方向を示す情報(以下、「進行方向情報」という)を取得する。コース情報生成部320は、カーナビゲーションシステムなどであり、自移動体の予定進路を示す情報(以下、「予定進路情報」という)を取得する。
【0083】
乗算部330は、電子コンパス310によって取得された進行方向情報と、コース情報生成部320によって取得された予定進路情報とを重畳する。乗算部340は、コード生成部110によって生成された移動体番号と、乗算部330から出力された情報(進行方向情報および予定進路情報)とを重畳する。これにより、レーダ装置300が送信する光信号は、実施例2に係るレーダ装置200が送信する光信号に、進行方向情報および予定進路情報が重畳される信号になる。
【0084】
相関器370a〜370hは、形状情報、進行方向情報および予定進路情報が重畳されたスペクトル拡散信号を受信し、かかるスペクトル拡散信号に含まれる各種情報を、移動体番号と、設置位置番号と、形状情報と、進行方向情報と、予定進路情報とに分離する。
【0085】
なお、ここでは図示しないが、相関器370a〜370hは、図3に示した相関器170aに、マッチドフィルタ(コード生成部210用)と、マッチドフィルタ(電子コンパス310用)と、マッチドフィルタ(コース情報生成部320用)とを追加した構成になる。マッチドフィルタ(電子コンパス310用)は、入力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報のうち、他の移動体が有する電子コンパス310によって取得された情報(進行方向情報)を抽出する。また、マッチドフィルタ(コース情報生成部320用)は、入力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報のうち、他の移動体が有するコース情報生成部320によって取得された情報(予定進路情報)を抽出する。
【0086】
制御部380は、相関器370a〜370hによって分離された各種情報(移動体番号、設置位置番号、形状情報、進行方向情報および予定進路情報)に基づいて、他の移動体の相対向き、相対方位、大きさ、形状を算出するとともに、他の移動体の進行方向情報および予定進路情報を算出する。
【0087】
そして、表示部190には、制御部380によって算出された他の移動体の相対向き、相対方位、大きさ、形状、進行方向情報、予定進路情報などに基づいて、自移動体と他の移動体の向きや、位置関係、大きさ、形状、進行方向、予定進路が表示される。
【0088】
上述してきたように、実施例3に係るレーダ装置300は、進行方向情報および予定進路情報を重畳した光信号を送信するので、他の移動体から光信号を受信した場合に、他の移動体の進行方向および予定進路を算出することができる。これにより、レーダ装置300は、他の移動体の進行方向および予定進路に関する情報を表示部190に表示させることができる。その結果、レーダ装置300が実装されている移動体を利用する利用者は、他の移動体の進行方向および予定進路を考慮した上で他の移動体と衝突するおそれがあるか否かを判断することができる。
【実施例4】
【0089】
ところで、上記実施例2および3では、他の移動体の大きさや、形状、進行方向、予定進路を重畳して光信号を送信する例を示したが、レーダ装置は、さらに、自装置が既に算出している他の移動体に関する各種情報を重畳して光信号を送信してもよい。そこで、実施例4では、自装置が既に算出している他の移動体に関する各種情報を重畳して光信号を送信するレーダ装置400について説明する。
【0090】
実施例4に係るレーダ装置400の構成について説明する。図10は、実施例4に係るレーダ装置400の構成を示す図である。図10に示すように、レーダ装置400は、図9に示したレーダ装置300と比較して、乗算部330の代わりに乗算部410を有する。また、レーダ装置400は、図9に示したレーダ装置300と比較して、相関器370a〜370hの代わりに相関器470a〜470hを有し、制御部380の代わりに制御部480を有する。
【0091】
制御部480は、図9に示した制御部380と同様に、他の移動体に関する各種情報(大きさや、形状、進行方向など)を算出する。さらに、制御部480は、既に算出した他の移動体に関する各種情報を乗算部410に出力する。
【0092】
乗算部410は、電子コンパス310によって取得された進行方向情報と、制御部480から出力された他の移動体に関する各種情報とを重畳する。これにより、レーダ装置400が送信する光信号は、実施例3に係るレーダ装置300が送信する光信号に、レーダ装置400が既に算出した他の移動体に関する各種情報が重畳される信号になる。
【0093】
なお、制御部480は、既に算出した他の移動体に関する各種情報を所定の記憶部に記憶させてもよい。かかる場合、乗算部410は、電子コンパス310によって取得された進行方向情報と、所定の記憶部に記憶されている各種情報とを重畳する。
【0094】
相関器470a〜470hは、他の移動体に関する各種情報が重畳されたスペクトル拡散信号を受信し、かかるスペクトル拡散信号に含まれる各種情報を、移動体番号と、設置位置番号と、形状情報と、進行方向情報と、予定進路情報と、他の移動体に関する各種情報とに分離する。
【0095】
なお、ここでは図示しないが、相関器470a〜470hは、図3に示した相関器170aに、マッチドフィルタ(コード生成部210用)と、マッチドフィルタ(電子コンパス310用)と、マッチドフィルタ(コース情報生成部320用)と、マッチドフィルタ(他の移動体に関する各種情報用)を追加した構成になる。マッチドフィルタ(他の移動体に関する各種情報用)は、入力されたスペクトル拡散信号に含まれる各種情報のうち、他の移動体が有する制御部480によって出力された情報を抽出する。
【0096】
上述してきたように、実施例4に係るレーダ装置400は、既に算出した他の移動体に関する各種情報を重畳した光信号を送信する。したがって、レーダ装置400は、他の移動体Xから光信号を受信した場合に、かかる他の移動体Xが既に算出した他の移動体Yに関する各種情報を算出することができる。つまり、レーダ装置400は、自装置が送信する光信号が届かない他の移動体に関する情報についても算出することができる。これにより、レーダ装置400は、自装置が送信する光信号が届かない他の移動体に関する情報についても表示部190に表示させることができる。その結果、レーダ装置400が実装されている移動体を利用する利用者は、自移動体から送信される光信号が届かない他の移動体を考慮した上で他の移動体と衝突するおそれがあるか否かを判断することができる。
【実施例5】
【0097】
ところで、上記実施例1〜4では、他の移動体に関する各種情報を算出する例を示したが、レーダ装置は、算出した各種情報に基づいて、自移動体と他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定してもよい。そこで、実施例5では、自移動体と他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定するレーダ装置500について説明する。
【0098】
まず、実施例5に係るレーダ装置500による衝突判定処理の概要について説明する。図11は、実施例5に係るレーダ装置500による衝突判定処理の概要を説明するための図である。図11において、移動体EおよびFは、それぞれ実施例5に係るレーダ装置500Eおよび500Fが実装されている。移動体Eは、図1に示した自動車A〜Dと同様に、送受信部150a−E〜150h−Eが設置されている。なお、図11では、図示することを省略しているが、移動体Fには、図1に示した自動車A〜Dと同様に、送受信部150a−F〜150h−Fが設置されている。
【0099】
ここでは、移動体Eに実装されているレーダ装置500Eによる衝突判定処理の概要について説明する。まず、レーダ装置500Eは、自移動体を中心とするエリアを、自移動体に設置されている送受信部の数のエリアに分割する。図11に示した例では、レーダ装置500Eは、自移動体を中心とするエリアを、エリア#1〜#8に分割している。
【0100】
続いて、レーダ装置500Eは、移動体Fから送信される光信号に基づいて、移動体Fが位置するエリアを検出する。図11に示した例では、レーダ装置500Eは、移動体Fがエリア#7に位置することを検出する。
【0101】
続いて、レーダ装置500Eは、移動体Fから送信される光信号に重畳されている予定進路情報に基づいて、移動体Fの予定進路を算出する。続いて、レーダ装置500Eは、電子コンパス310によって取得された進行方向情報に基づいて、自移動体が進行するエリアを検出する。図11に示した例では、レーダ装置500Eは、自移動体が進行するエリアとして、エリア#1を検出する。
【0102】
続いて、レーダ装置500Eは、自移動体の進行方向角度θ1と、他の移動体の予定進路角度θ2とを算出する。具体的には、レーダ装置500Eは、所定の基準方向に対する進行方向角度θ1と、所定の基準方向に対する予定進路角度θ2とを算出する。図11に示した例では、レーダ装置500Eは、所定の基準方向を自移動体の進行方向としているため、自移動体の進行方向角度θ1として、0[deg]を算出する。また、レーダ装置500Eは、他の移動体の予定進路角度θ2として、30[deg]を算出する。
【0103】
続いて、レーダ装置500Eは、移動体Eの進路方向と、移動体Fが位置するエリアと、移動体Fの予定進路とに基づいて、移動体Eが移動体Fと衝突するおそれがあるか否かを判定する。図11に示した例では、レーダ装置500Eは、移動体Eと移動体Fとがこのまま直進した場合に衝突するおそれがあると判定する。そして、レーダ装置500Eは、移動体EおよびFの位置関係や衝突判定処理の結果を所定の表示部に表示制御する。
【0104】
このように、実施例5に係るレーダ装置500は、他の移動体が位置するエリアおよび予定進路を算出し、他の移動体と自移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定する。これにより、実施例5に係るレーダ装置500は、自移動体を利用する利用者に対して、かかる移動体が他の移動体と衝突するおそれがあることを認識させることができる。その結果、利用者は、他の移動体との衝突を事前に回避する操作を行うことができるので、事故を防止することができる。
【0105】
次に、実施例5に係るレーダ装置500の構成について説明する。図12は、実施例5に係るレーダ装置500の構成を示す図である。図12に示すように、レーダ装置500は、図9に示したレーダ装置300と比較して、記憶部510を新たに有する。また、レーダ装置500は、図9に示した制御部380の代わりに制御部580を有する。
【0106】
記憶部510は、他の移動体が通過する予定のエリアを記憶する。図13は、記憶部510の一例を示す図である。図13に示すように、記憶部510は、他移動体位置、他移動体進行角度、通過予定エリアといった項目を有する。「他移動体位置」は、他の移動体が位置するエリア番号を示す。なお、図13に示した記憶部510は、エリア番号として、図11に示したエリア#1〜#8に付した参照符号(#1〜#8)を記憶する。「他移動体進行角度」は、他の移動体の予定進路角度θ2を示す。「通過予定エリア」は、他移動体が通過する予定のエリアのエリア番号を示す。
【0107】
制御部580は、図9に示した制御部380と同様に、他の移動体の相対方位、相対向き、大きさ、形状、進行方向情報および予定進路情報を算出する。さらに、制御部580は、衝突判定処理を行う。かかる衝突判定処理については後述する。
【0108】
次に、図12に示した制御部580の構成について説明する。図14は、図12に示した制御部580の構成を示す図である。図14に示すように、制御部580は、図4に示した制御部180と比較して、衝突判定部584を新たに有する。
【0109】
衝突判定部584は、自移動体が他の移動体と衝突するおそれがあるか否かを判定する。具体的には、まず、衝突判定部584は、自移動体を中心とするエリアを、自移動体に設置されている送受信部150a〜150hの数のエリアに分割する。そして、それぞれの送受信部150a〜150hに対応するエリアを設定する。
【0110】
図11に示した例では、レーダ装置500が8個の送受信部150a〜150hを有するので、衝突判定部584は、自移動体を中心とするエリアを、8個のエリアに分割する。そして、衝突判定部584は、それぞれの送受信部150a〜150hに対応するエリアを設定する。具体的には、衝突判定部584は、送受信部150aにエリア#1を設定し、送受信部150bにエリア#8を設定し、送受信部150cにエリア#2を設定し、送受信部150dにエリア#5を設定し、送受信部150eにエリア#6を設定し、送受信部150fにエリア#4を設定し、送受信部150gにエリア#7を設定し、送受信部150hにエリア#3を設定している。
【0111】
続いて、衝突判定部584は、特定部182−1〜182−8から信号が入力されたか否かを監視し、かかる監視結果に基づいて、送受信部150a〜150hに対応するエリアに他の移動体が位置するか否かを検出する。例えば、衝突判定部584は、特定部182−1から信号が入力された場合、送受信部150aに対応するエリア#1に他の移動体が位置することを検出する。これは、特定部182−1が信号を出力することは、制御部580が相関器370aから信号#1を受け付けたことを意味し、さらに、相関器370aが信号#1を出力することは、送受信部150aが光信号を受信したことを意味するからである。
【0112】
続いて、衝突判定部584は、特定部182−1〜182−8に入力された予定進路情報に基づいて、前述において検出した他の移動体の予定進路を算出する。続いて、衝突判定部584は、電子コンパス310によって取得された進行方向情報に基づいて、自移動体の進行方向を算出する。続いて、衝突判定部584は、算出した自移動体の進行方向に基づいて、自移動体が進行するエリアを検出する。
【0113】
続いて、衝突判定部584は、所定の基準方向に対する自移動体の進行方向角度θ1を算出するとともに、所定の基準方向に対する他の移動体の予定進路角度θ2を算出する。続いて、衝突判定部584は、他の移動体の予定進路角度θ2と、自移動体の進行方向角度θ1との差異Δθ(=θ2−θ1)を算出する。図11に示した例では、衝突判定部584は、Δθとして、θ2「30」−θ1「0」=30[deg]を算出する。
【0114】
続いて、衝突判定部584は、記憶部510に記憶されている各種情報に基づいて、他の移動体が通過する予定のエリアを推定する。具体的には、衝突判定部584は、記憶部510から、他の移動体が位置するエリアと「他移動体位置」とが一致し、かつ、他の移動体の予定進路角度θ2が「他移動体進行角度」の範囲内である「通過予定エリア」を取得する。
【0115】
例えば、図11に示した例のように、他の移動体が位置するエリアがエリア#7であり、他の移動体の予定進路角度θ2が30[deg]であるものとする。また、記憶部510が図13に示した状態であるものとする。かかる場合、衝突判定部584は、記憶部510から、通過予定エリア「7→8→1」を取得する。これは、図13に示した記憶部510の「他移動体位置」が「7」である8個のレコードのうち、1行目の「他移動体進行角度」が「341+Δθ〜20+Δθ」であり、予定進路角度θ2=30[deg]が、かかる他移動体進行角度の範囲内であるからである。
【0116】
続いて、衝突判定部584は、前述において取得した通過予定エリアに、自移動体が進行するエリアが含まれるか否かを判定する。そして、通過予定エリアに自移動体が進行するエリアが含まれる場合、衝突判定部584は、自移動体が他の移動体と衝突するおそれがあると判定する。一方、通過予定エリアに自移動体が進行するエリアが含まれない場合、衝突判定部584は、自移動体が他の移動体と衝突するおそれがないと判定する。図11に示した例の場合、通過予定エリア「7→8→1」に自移動体が進行するエリア#1が含まれるので、衝突判定部584は、自移動体が他の移動体と衝突するおそれがあると判定する。
【0117】
次に、図14に示した衝突判定部584による衝突判定処理の手順について説明する。図15は、図14に示した衝突判定部584による衝突判定処理手順を示すフローチャートである。図15に示すように、衝突判定部584は、それぞれの送受信部150a〜150hに対応するエリアを設定する(ステップS301)。
【0118】
続いて、衝突判定部584は、特定部182−1〜182−8から信号が入力されたか否かを監視して、送受信部150a〜150hに対応するエリアに他の移動体が位置するか否かを検出する他移動体検出処理を行う(ステップS302)。なお、かかる他移動体検出処理の手順については後述する。
【0119】
続いて、衝突判定部584は、特定部182−1〜182−8に入力された予定進路情報に基づいて、ステップS302において検出した他の移動体の予定進路を算出する(ステップS303)。続いて、衝突判定部584は、電子コンパス310によって取得された進行方向情報に基づいて、自移動体の進行方向を算出する(ステップS304)。続いて、衝突判定部584は、自移動体が進行するエリアを検出する(ステップS305)。
【0120】
続いて、衝突判定部584は、自移動体の進行方向角度θ1と、他の移動体の予定進路角度θ2とを算出する(ステップS306)。続いて、衝突判定部584は、記憶部510から、他の移動体が位置するエリアと「他移動体位置」とが一致し、かつ、他の移動体の予定進路角度θ2が「他移動体進行角度」の範囲内である「通過予定エリア」を取得する(ステップS307)。
【0121】
そして、衝突判定部584は、取得した通過予定エリアに自移動体が進行するエリアが含まれる場合(ステップS308肯定)、自移動体が他の移動体と衝突するおそれがあると判定する(ステップS309)。一方、衝突判定部584は、取得した通過予定エリアに自移動体が進行するエリアが含まれない場合(ステップS308否定)、自移動体が他の移動体と衝突するおそれがないと判定する(ステップS310)。
【0122】
次に、図14に示した衝突判定部584による他移動体検出処理の手順について説明する。図16は、図14に示した衝突判定部584による他移動体検出処理手順を示すフローチャートである。図16に示すように、衝突判定部584は、まず、所定のカウンタNを「0」に初期化する(ステップS401)。
【0123】
続いて、衝突判定部584は、特定部182−1〜182−8から信号が入力されたか否かの監視処理を開始する(ステップS402)。続いて、衝突判定部584は、カウンタNに「1」を加算する(ステップS403)。そして、衝突判定部584は、N番目の特定部(特定部182−N)から信号が入力された場合に(ステップS404肯定)、N番目の特定部に対応するエリア#Nに他の移動体が位置することを検出する(ステップS405)。
【0124】
一方、衝突判定部584は、N番目の特定部から信号が入力されない場合(ステップS404否定)、カウンタNが「8」以下である場合(ステップS406肯定)、上記ステップS403およびS404における処理手順を繰り返し行う。ここで、カウンタNが「8」よりも大きい場合(ステップS406否定)、衝突判定部584は、ステップS401における処理手順に戻って他移動体検出処理を行う。
【0125】
上述してきたように、実施例5に係るレーダ装置500は、他の移動体に関する各種情報に基づいて、自移動体と他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定する。これにより、レーダ装置500は、利用者に対して、自移動体と他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを認識させることができる。その結果、レーダ装置500が実装されている移動体を利用する利用者は、他の移動体と衝突するおそれがあるか否かを判断することなく、事故防止のための操作を行うことができる。
【0126】
なお、上記実施例5では、自移動体の移動速度と、他の移動体の移動速度とを考慮せずに衝突判定処理を行う例を示したが、レーダ装置500は、移動体の移動速度を考慮した上で衝突判定処理を行ってもよい。具体的には、レーダ装置500は、自移動体が位置する場所と、自移動体の移動速度と、自移動体の進行方向とに基づいて、自移動体が時間経過とともに移動する場所を算出する。また、レーダ装置500は、他の移動体が位置する場所と、他の移動体の移動速度と、他の移動体の予定進路とに基づいて、他の移動体が時間経過とともに移動する場所を算出する。そして、レーダ装置500は、算出した自移動体の移動経路と、他の移動体の移動経路とに基づいて、自移動体と他の移動体とが、同一の時刻かつ同一の場所に位置する可能性があるか否かを検出する。自移動体と他の移動体とが、同一の時刻かつ同一の場所に位置する可能性がある場合、レーダ装置500は、自移動体と他の移動体とが衝突するおそれがあると判定する。
【0127】
また、上記実施例1〜5では、主に、レーダ装置100〜500を自動車に適用する例を示したが、レーダ装置100〜500は、自動車以外にも、船舶や、航空機、産業用ロボットなどに適用することができる。
【0128】
また、上記実施例1〜5では、送信部151a〜151hと、受信部152a〜152hとが移動体の同一の位置に設置される例を示したが、送信部151a〜151hと、受信部152a〜152hとは、同一の位置に設置されなくてもよい。
【0129】
また、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【0130】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0131】
(付記1)所定の移動体に搭載されるレーダ装置を制御するレーダ装置制御方法であって、
前記レーダ装置が、
他の移動体に複数設置されている送信部から、該他の移動体に設置されている該送信部の位置を示す設置位置情報を含む信号を受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が向いている方向に対する前記他の移動体が向いている方向である相対向きを算出する算出工程と
を含んだことを特徴とするレーダ装置制御方法。
【0132】
(付記2)前記算出工程は、前記受信工程によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が位置する場所から前記他の移動体が位置する場所への方位である相対方位をさらに算出することを特徴とする付記1に記載のレーダ装置制御方法。
【0133】
(付記3)前記算出工程によって算出された相対向きと相対方位とに基づいて、前記所定の移動体と前記他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定する衝突判定工程をさらに含んだことを特徴とする付記2に記載のレーダ装置制御方法。
【0134】
(付記4)前記受信工程によって受信された信号に含まれる設置位置情報に基づいて、前記信号を送信した送信部の設置位置を特定する特定工程をさらに含み、
前記算出工程は、前記特定工程によって特定された送信部が設置されている位置に基づいて、前記相対向きと相対方位とを算出することを特徴とする付記2または3に記載のレーダ装置制御方法。
【0135】
(付記5)前記送信部は、前記他の移動体の大きさと形状とを示す形状情報をさらに含む信号を送信し、
前記受信工程は、前記送信部から形状情報をさらに含む信号を受信し、
前記算出工程は、前記受信工程によって受信された信号に含まれる形状情報に基づいて、前記他の移動体の大きさと形状とを算出することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載のレーダ装置制御方法。
【0136】
(付記6)前記送信部は、前記他の移動体が進行する方向である進行方向を示す進行方向情報と、前記他の移動体が進行する予定の方向である予定進路を示す予定進路情報とを含む信号を送信し、
前記受信工程は、前記送信部から進行方向情報と予定進路情報とを含む信号を受信し、
前記算出工程は、前記受信工程によって受信された信号に含まれる進行方向情報と予定進路情報とに基づいて、前記他の移動体の進行方向と予定進路とを算出することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載のレーダ装置制御方法。
【0137】
(付記7)前記衝突判定工程は、前記算出工程によって算出された相対向きと、相対方位と、大きさと、形状と、進行方向と、予定進路とに基づいて、前記所定の移動体と前記他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定することを特徴とする付記6に記載のレーダ装置制御方法。
【0138】
(付記8)所定の移動体に複数設置され、前記所定の移動体に設置されている位置を示す設置位置情報を含む信号を送信する送信部と、
他の移動体に設置されている送信部によって送信される信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が向いている方向に対する前記他の移動体が向いている方向である相対向きを算出する算出部と
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【0139】
(付記9)前記算出部は、前記受信部によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が位置する場所から前記他の移動体が位置する場所への方位である相対方位をさらに算出することを特徴とする付記8に記載のレーダ装置。
【0140】
(付記10)前記算出部によって算出された相対向きと相対方位とに基づいて、前記所定の移動体と前記他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定する衝突判定部をさらに備えたことを特徴とする付記9に記載のレーダ装置。
【0141】
(付記11)前記他の移動体から信号を受信した受信部を特定するとともに、特定した受信部によって受信された信号に含まれる設置位置情報に基づいて、前記信号を送信した送信部が設置されている位置を特定する特定部をさらに備え、
前記算出部は、前記特定部によって特定された受信部と、前記送信部が設置されている位置とに基づいて、前記相対向きと相対方位とを算出することを特徴とする付記9または10に記載のレーダ装置。
【0142】
(付記12)前記送信部は、前記所定の移動体の大きさと形状とを示す形状情報を含む信号を送信し、
前記受信部は、前記他の移動体に設置されている送信部から形状情報を含む信号を受信し、
前記算出部は、前記受信部によって受信された信号に含まれる形状情報に基づいて、前記他の移動体の大きさと形状とを算出することを特徴とする付記8〜11のいずれか一つに記載のレーダ装置。
【0143】
(付記13)前記送信部は、前記所定の移動体が進行する方向である進行方向を示す進行方向情報と、前記所定の移動体が進行する予定の方向である予定進路を示す予定進路情報とを含む信号を送信し、
前記受信部は、前記他の移動体に設置されている送信部から進行方向情報と予定進路情報とを含む信号を受信し、
前記算出部は、前記受信部によって受信された信号に含まれる進行方向情報と予定進路情報とに基づいて、前記他の移動体の進行方向と予定進路とを算出することを特徴とする付記8〜12のいずれか一つに記載のレーダ装置。
【0144】
(付記14)前記衝突判定部は、前記算出部によって算出された相対向きと、相対方位と、大きさと、形状と、進行方向と、予定進路とに基づいて、前記所定の移動体と前記他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定することを特徴とする付記13に記載のレーダ装置。
【0145】
(付記15)前記送信部は、前記算出部によって算出された相対向きと、相対方位と、大きさと、形状と、進行方向と、予定進路とを含む信号を送信し、
前記受信部は、前記他の移動体に設置されている送信部から、該他の移動体以外の移動体の相対向きと、相対方位と、大きさと、形状と、進行方向と、予定進路とを含む信号を受信し、
前記算出部は、前記受信部によって受信された信号に基づいて、前記他の移動体以外の移動体の相対向きと、相対方位と、大きさと、形状と、進行方向と、予定進路とを算出することを特徴とする付記14に記載のレーダ装置。
【0146】
(付記16)当該の移動体に設置されている位置を示す設置位置情報を含む信号を送信する複数の送信部と、
他の移動体に設置されている送信部によって送信される信号を受信する複数の受信部と、
前記受信部によって受信された信号に基づいて、当該の移動体が向いている方向に対する前記他の移動体が向いている方向である相対向きを算出する算出部と
を備えたレーダ装置を搭載する移動体。
【0147】
(付記17)所定の移動体に設置され、前記所定の移動体に設置されている位置を示す設置位置情報を含む信号を送信する送信部と、
他の移動体に設置されている送信部によって送信される信号を受信する受信部と
を備えたことを特徴とする送受信装置。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】実施例1に係るレーダ装置による対象物情報算出処理の概要を説明するための図である。
【図2】実施例1に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図3】図2に示した相関器の構成を示す図である。
【図4】図2に示した制御部の構成を示す図である。
【図5】相対情報記憶部の一例を示す図である。
【図6】実施例1に係るレーダ装置による信号送信処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例1に係るレーダ装置による信号受信処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施例2に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図9】実施例3に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図10】実施例4に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図11】実施例5に係るレーダ装置による衝突判定処理の概要を説明するための図である。
【図12】実施例5に係るレーダ装置の構成を示す図である。
【図13】記憶部の一例を示す図である。
【図14】図12に示した制御部の構成を示す図である。
【図15】図14に示した衝突判定部による衝突判定処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図14に示した衝突判定部による他移動体検出処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0149】
100〜500 レーダ装置
110、120a〜120h コード生成部
130a〜130h 乗算部
140a〜140h E/O
150a〜150h 送受信部
151a〜151h 送信部
152a〜152h 受信部
160a〜160h O/E
170a〜170h 相関器
171−1〜171−9 マッチドフィルタ
172 レジスタ
173 P/S変換部
180、280、380、480、580 制御部
181−1〜181−8 S/P変換部
182−1〜182−8 特定部
183 算出部
190 表示部
220 乗算部
270a〜270h 相関器
330、340 乗算部
370a〜370h 相関器
410 乗算部
470a〜470h 相関器
510 記憶部
584 衝突判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の移動体に搭載されるレーダ装置を制御するレーダ装置制御方法であって、
前記レーダ装置が、
他の移動体に複数設置されている送信部から、該他の移動体に設置されている該送信部の位置を示す設置位置情報を含む信号を受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が向いている方向に対する前記他の移動体が向いている方向である相対向きを算出する算出工程と
を含んだことを特徴とするレーダ装置制御方法。
【請求項2】
前記算出工程は、前記受信工程によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が位置する場所から前記他の移動体が位置する場所への方位である相対方位をさらに算出することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置制御方法。
【請求項3】
前記算出工程によって算出された相対向きと相対方位とに基づいて、前記所定の移動体と前記他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定する衝突判定工程をさらに含んだことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置制御方法。
【請求項4】
所定の移動体に複数設置され、前記所定の移動体に設置されている位置を示す設置位置情報を含む信号を送信する送信部と、
他の移動体に設置されている送信部によって送信される信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が向いている方向に対する前記他の移動体が向いている方向である相対向きを算出する算出部と
を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記受信部によって受信された信号に基づいて、前記所定の移動体が位置する場所から前記他の移動体が位置する場所への方位である相対方位をさらに算出することを特徴とする請求項4に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記算出部によって算出された相対向きと相対方位とに基づいて、前記所定の移動体と前記他の移動体とが衝突するおそれがあるか否かを判定する衝突判定部をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項7】
当該の移動体に設置されている位置を示す設置位置情報を含む信号を送信する複数の送信部と、
他の移動体に設置されている送信部によって送信される信号を受信する複数の受信部と、
前記受信部によって受信された信号に基づいて、当該の移動体が向いている方向に対する前記他の移動体が向いている方向である相対向きを算出する算出部と
を備えたレーダ装置を搭載する移動体。
【請求項8】
所定の移動体に設置され、前記所定の移動体に設置されている位置を示す設置位置情報を含む信号を送信する送信部と、
他の移動体に設置されている送信部によって送信される信号を受信する受信部と
を備えたことを特徴とする送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−43990(P2010−43990A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209025(P2008−209025)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】