説明

ロックドリル装置の運転制御方法およびロックドリル装置

ロックドリル装置(1)の運転制御方法およびロックドリル装置(1)。ロックドリル装置(1)のフラッシング媒体の流量(FLOW)を判定し、判定した流量(FLOW)に基づいてフラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を調整することによりロックドリル装置(1)の運転を制御する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明はロックドリル装置の運転制御方法に関するものであり、本方法では、ロックドリル装置のフラッシング媒体の流量を判定し、前記ロックドリル装置の流量に基づいてロックドリル装置の運転を制御する。
【0002】
また本発明はロックドリル装置に関するものであり、本装置は、掘削孔内にフラッシング媒体を供給して掘削中に発生するドリルの切削物を掘削孔外に除去する手段と、掘削孔内に供給されるフラッシング媒体の流量を判定する測定装置と、掘削孔内に供給されるフラッシング媒体の流量に基づいてロックドリル装置の運転を制御する少なくとも一つの制御装置とを含む。
【0003】
ロックドリル装置ならびにそれに配設されるロックドリルは、たとえば地下鉱、採石場、地中建設現場における岩盤の穿孔および掘削に使用される。典型的には、穿孔作業は四つの異なる機能または部分、すなわち掘削中の掘削孔内にあるドリルロッドを回転させること、打撃器によりその先に延びているシャンクおよびドリルロッドを介してドリルビットに打撃を加えることにより岩盤を打撃すること、同様に掘削中の掘削孔内にあるドリルを前進させること、掘削中の掘削孔外に掘削屑すなわちドリルの切削物を除去するためにフラッシング媒体を注入することを含む。翻って、いわゆる回転方式では、三つの部分だけが使用されるが、これは、打撃器によりシャンクに打撃を加えて岩盤を打撃する作業が含まれていないためである。さらに、いわゆるDTH(ダウン・ザ・ホール)方式を使用する場合、孔の底部においてドリル管内に配置された打撃ピストンが、シャンクではなく、直接ドリルビットを打撃する。このように岩盤の破壊は、主として打撃効果により生じるが、一方、回転の目的は主として、ドリルロッドの最先端に位置するドリルビットのビットボタンまたは他のドリルビットの作業部品が常に岩盤の新たな個所を確実に打撃できるようにすることである。この給送によって、ビットと岩盤の間の接触が十分になされる。
【0004】
効率的な掘削を行ううえで、効果的なフラッシング、すなわち掘削中の掘削孔外にドリルの切削物を効果的に除去することは、極めて重要である。もし掘削中にフラッシングに問題が生じれば、成功裡に掘削を行うことが即危ぶまれる。米国特許第6,637,522号には、掘削中のロックドリル装置の運転制御に関する解決策が開示されている。米国特許第6,637,522号に開示されている解決策では、フラッシング流量を測定し、測定されたフラッシング流量に基づいて供給率および/または回転速度を制御する。この公報の実施例によれば、フラッシング流量が減少すると、供給および/または回転を停止して掘削上の過負荷の発生を防ぐ。また、国際公開公報WO2005/064111号には、少なくとも部分的に掘削中の孔の深さに基づいて、掘削中の孔の深さによって必要とされる以上の動力がフラッシングに消費されないよう、フラッシング動力を制御することを狙いとする解決策が開示されている。したがってこの解決策は、掘削によって消費される、少なくとも打撃力および/または回転力ならびにフラッシング用の動力を含む全動力を制御することを目的としている。
【発明の簡単な説明】
【0005】
本発明の目的は、ロックドリル装置の運転をフラッシング媒体の流量に基づいて制御する新規の解決策を提供することである。
【0006】
本発明に係る方法は、判定した流量に基づいてフラッシング媒体の圧力を調整することによりロックドリル装置の運転を制御することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るロックドリル装置は、判定した流量に基づいてフラッシング媒体の圧力を調整することによりロックドリル装置の運転を制御する制御装置を有することを特徴とする。
【0008】
ロックドリル装置のフラッシング媒体の流量を判定し、前記フラッシング媒体の流量に基づいてロックドリル装置の運転を制御する。ロックドリル装置の運転は、前記フラッシング媒体の流量に基づいてフラッシング媒体の圧力を調整することにより制御する。本発明の実施例によれば、ロックドリル装置の運転は、フラッシング媒体の圧力を増大することにより制御する。
【0009】
フラッシング媒体の圧力を調整することでロックドリル装置の運転を制御することによって、ロックドリル装置のフラッシング流路系内に生じた詰りを、装置の他の部分に影響を与えることなく除去することを企図している。詰りがフラッシング流路系内に形成されそうな場合、フラッシング流路系内のフラッシング媒体の流量が減少することになるが、フラッシング媒体の圧力を増加することにより詰りを除去し、フラッシング媒体の流量を少なくとも設定された設定値に維持するとともに、装置の正常な運転を維持し、同時に、フラッシングが確実に機能し、またドリル設備に生じる歪みが低減することを企図している。
【0010】
本発明のいくつかの実施例の詳細を添付図面を参照して説明する。
【0011】
煩雑さを避けるため、各図面は本発明のいくつかの実施例を簡略化して示す。各図において、同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0012】
図1はロックドリル装置1の構成を概略的に示す。ロックドリル装置1は、自由端に給送ビーム4を備えたブーム3を備えた移動車両2を含む。また、給送ビーム4は給送ビーム4に対して移動可能なロックドリル5を備えている。ロックドリル装置1は、それに設置された機器類を含めて車両2に設置されたモータ6が発生する動力によって駆動され、したがってロックドリル装置1は独立して移動可能かつ運転可能な装置となっている。通常、モータ6は燃焼型エンジン、たとえばディーゼルエンジンである。ロックドリル装置1はまた、モータ6によって駆動されるコンプレッサ7を有し、このコンプレッサ7によって発生する圧搾空気がフラッシング媒体として使用され、掘削屑すなわち切削物を除去するための掘削孔8のフラッシングを行う。このような場合、フラッシング媒体として使用される圧搾空気は、コンプレッサ7からフラッシング流路系を通り、さらにロックドリルのツール10を通って掘削孔8内へ供給され、そこで圧搾空気は、岩盤から切り出された切削物を掘削孔8の外へ押し出す。フラッシング流路系は、コンプレッサ7からドリル5に至るフラッシング路9を含み、さらにフラッシング流路はドリル5内部でシャンク、ドリルロッドおよびドリルビット内を通っている。簡単のため、これらは図1に示されていないが、その基本的な構造や原理は当業者に明らかなことである。掘削孔8の口部からは、収集系に含まれるホースを通って塵埃分離器11へドリル切削物が吸引される。ロックドリル装置1およびロックドリル5の基本的構造と運転は、当業者には当然ながら明らかであるため、さらに詳細な説明はここでは行わない。
【0013】
掘削する岩盤が固い場合はフラッシングの必要性が非常に少ない。しかし、柔らかい岩の場合、とくに大径の孔を掘削する場合には、フラッシングは極めて必要であり、また岩盤から取り出される切削物も大量になる。これはフラッシング流路系に詰りを生じる危険性があることを意味する。岩質や孔のサイズに加えて、フラッシュの必要性は、たとえばドリルロッドやドリルビットの形式、そして掘削中の孔の深さにより左右される。
【0014】
図2および図3は、本解決策の実施例を体系的に示す。図2には測定装置12が示され、これは、ロックドリル装置1のフラッシング路9に接続されて、フラッシング流路系を流れるフラッシング媒体の流量FLOWを測定する、すなわち図1の場合は圧搾空気の流量を測定するように配置されている。前記測定装置は、フラッシング路9に代わって、フラッシング流路系内の別の個所に設置してもよい。測定装置12は、たとえばそれ自体公知の方法によりベンチュリ管内に生じる圧力差を測定するベンチュリ管方式による測定器を有するものでよい。しかし、測定装置12は、他の方法でも実現することができ、様々な方法で、フラッシング流路系内を流れるフラッシング媒体の流量FLOWまたはそれに比例する量を測定することができる。ベンチュリ管を用いないで、フラッシング流路系内の異なる二点で測定した圧力の差をフラッシング媒体の流量の測定に用いてもよい。このようにして、フラッシング媒体の流量は、たとえば方向制御バルブの互いに異なる端部に働く圧力間の差に基づき、あるいはフラッシング流路系の両端に働く圧力間の差に基づき、判定することができる。通常、フラッシング媒体の流量に使われる単位はm3/minである。フラッシング媒体の流量を表わす情報FLOWは、制御装置13に転送され、これはフラッシング制御専用の制御装置であっても、またはロックドリル装置1全体の運転を制御する制御装置であってもよい。さらに、フラッシング媒体の流量はロックドリル装置1のユーザインタフェース装置にグラフィックまたは数値表示としてユーザに提示することができる。
【0015】
フラッシング流路系で測定されたフラッシング媒体の流量FLOWは、フラッシング媒体の流量に対して設定されている第1の制限値FLOWLIMIT1と比較する。フラッシング流路系を通過するフラッシング媒体の流量FLOWがフラッシング媒体の流量の第1の制限値FLOWLIMIT1より低く低下した場合は、フラッシング流路系内に詰まりが形成中であると解釈される。このような場合、制御装置13は、図2に示すように、フラッシング流路系に含まれコンプレッサ7と方向制御バルブ14の間に設置されている圧力制御バルブ15に制御メッセージCNTLを送信し、バルブの制御値を増加させてフラッシング流路系を流れるフラッシング媒体の圧力p_FLOWを増加させ、これによりフラッシング媒体をより高い圧力で供給して、フラッシング流路系内に形成中の可能性のある詰りを解消させる。圧力制御バルブ15を使用して、コンプレッサ7の所定圧力を設定する。圧力制御バルブ15は、たとえば無段階制御可能な電気制御バルブでもよいし、または前もって異なる圧力値に設定された数個の制御バルブで構成してもよい。当然、フラッシング流路系に生じた詰り自体がフラッシング媒体の圧力を増加させるが、本解決策によれば、フラッシング媒体の圧力は、このような圧力増加に相当するレベルより明らかに高いレベルまで増大する。フラッシング媒体の圧力p_FLOWを増大させて、たとえばフラッシング媒体の流量FLOWが、図3に示すように、フラッシング媒体の流量の初期設定値FLOWSET に相当するレベルまたはフラッシング媒体の圧力の最大許容値p_FLOWMAX にまで増加するようにすることができる。ロックドリル装置1のユーザインタフェースは、たとえば、グラフィックまたは数値によりフラッシング媒体の流量の実際値と瞬間値ならびに前述の制限値を連続的に表示して、ユーザが掘削作業の進行状況をモニタできるようにする。さらに、ユーザインタフェースに操作要素等を設けて、ユーザが任意に前述の制限値を変更できるようにしてもよい。
【0016】
本解決策では、このようにフラッシング媒体の流れを少なくとも設定値に維持してフラッシングが確実に機能することを企図している。フラッシング流路系内で、すなわち実際にはもっとも典型的な場合、ロックドリルのフラッシング流路内で、詰りが形成されようとしているとき、フラッシング流路系内のフラッシング媒体の流量が低下するが、その場合には、フラッシング媒体の圧力を増加させることによりフラッシング流路系は開路状態に保たれる。狙いは、このようにフラッシング媒体の流量FLOWを少なくともその設定値FLOWSETに復帰させて、フラッシング流路系が閉塞状態になることを防ぐとともに、掘削作業を正常に維持することにある。本解決策による方法では、このような簡単な方法でフラッシング装置が掘削中に閉塞状態になるのを防ぐことができる。
【0017】
圧力制御バルブ15を用いないで、フラッシング媒体の圧力をコンプレッサ7の回転子の回転速度を変更することによって増大させることができる。この場合、たとえば制御装置13は、コンプレッサ7に回転子の回転速度を増大させる制御メッセージを送信し、これにより圧搾空気の流量の増加ならびに圧力の増加がもたらされる。
【0018】
さらに、フラッシング媒体の圧力は、コンプレッサの空気取入量を調整することにより制御してもよい。たとえばピストン・サーボを吸込みバルブのプレートを動かすスプールに接続し、吸込みバルブを絞ったり開いたりすることにより、コンプレッサの送出圧力を調整することができる。
【0019】
フラッシング媒体の流量FLOWが第1の制限値FLOWLIMIT1より低くなった場合にだけフラッシング媒体の圧力を増加させるよりも、むしろフラッシング媒体の流量が低下し始めた時点で直ちにフラッシング媒体の圧力を増加させてもよい。いずれの場合も、フラッシング媒体の圧力は、段階的にもしくはフラッシング媒体の流量の減少に比例して増加させることができる。
【0020】
もしフラッシング媒体のフラッシング圧力p_FLOWの増大によってもフラッシング媒体の流量FLOWを正常に回復させることができず、フラッシング媒体の流量が低下し続けるような時は、フラッシング媒体の流量FLOWの第2の制限値FLOWLIMIT2を装置に導入して、フラッシング媒体の流量FLOWがこの第2の制限値FLOWLIMIT2より低く低下すると、ロックドリル装置1の供給機能は制御装置13の制御により停止させてもよい。この場合、掘削はこれ以上進行せず、また切削物の発生もなくなる。必要に応じて、制御装置13の制御により、ドリル設備を掘削孔8内で後方に引上げてフラッシング媒体の流れを復旧させることもできる。
【0021】
フラッシング媒体の流量FLOWに代えて、またはこれに加えて、フラッシング媒体の流量FLOWの変化率dFLOWをモニタすることも可能である。これにより、現在発生しつつあるどんなフラッシングの詰り、典型的には実際はドリルビットに生じる詰りも、フラッシング媒体の流量FLOWが第1の制限値FLOWLIMIT1より低下するのを測定しないうちに、フラッシング媒体の流量FLOWの突然の変化に基づいて極めて迅速に観測することができる。フラッシング媒体の流量FLOWの変化率dFLOWは、たとえば制御装置13において、たとえばフラッシング媒体の流量FLOWの連続する2個以上の測定値間の差に基づき判定することができる。このフラッシング媒体の流量FLOWの変化率dFLOWの値は、フラッシング媒体の流量の変化率に対して設定された第1の制限値dFLOWLIMIT1 と比較する。フラッシング媒体の流量FLOWの変化率dFLOWが第1の制限値dFLOWLIMIT1 を超えた場合は、フラッシング中に詰まりが発生中であると解釈され、その場合、制御装置13はフラッシング流路系内の圧力制御バルブ15を制御して圧力p_FLOWを増加させる。
【0022】
フラッシング媒体の流量に対して適用されたのと同様な手法で、フラッシング媒体の流量の変化率に対する第2の制限値dFLOWLIMIT2を設定することもまた可能である。これにより、変化率が前記制限値を超えた場合、ロックドリル装置の供給機能は制御装置13の制御により停止するが、その場合、掘削は最早進行せず、また切削物の発生もなくなる。この場合もまた、必要に応じて、ドリル設備は掘削孔内で後方に引上げて、制御装置13の制御によりフラッシング媒体の流れを回復させることができる。
【0023】
制御装置13にはさらに、フラッシング媒体の流量FLOWをこれに対応する設定値FLOWSETと比較する手段を設けることもできる。この場合、詰りが解消された後でフラッシング媒体の流量FLOWがこれに対応する設定値FLOWSETに復帰した後に、制御装置13は、フラッシング媒体の圧力p_FLOWを正常な掘削時に働くフラッシング媒体の圧力設定値p_FLOWSETに復帰させるように構成してもよい。
【0024】
フラッシング媒体の流れの回復を早めるために、ドリルの繰出しが中断した時、あるいは同時に、掘削中の孔の中でドリル機器が後方に引上げられる際に、打撃器を使用してドリル機器に打撃を加え、ドリル機器内に振動を発生させる構成を使用することもできる。このような振動の目的はフラッシング流路系に固着した切削物の緩みを促進することである。したがって打撃器は、ロックドリルのシャンクを打撃するために使用される。ドリル機器が後方に引上げられている最中にシャンクと打撃器との間の距離が長く空くと、打撃器がシャンクを効果的に打撃することの妨げになるので、そうならないように引上げピストンなどの引張り要素をシャンクに関連して配置することができる。この引張り要素は打撃器とシャンクとの間の距離を適切な一定の距離に維持し、これにより打撃器は、シャンクを効果的に打撃し、ドリル設備内に適当な振動を発生させて、切削物の除去を促進することができる。
【0025】
このようにロックドリル装置1は、1台以上の制御装置13を備えることができるが、制御装置13は、ロックドリル装置全体の運転を制御するものであっても、または装置の各部毎にそれぞれ備えられた制御装置であってもよい。制御装置は、たとえば、内蔵のソフトウェアにより所要の計算および比較演算プログラムを実行するために、マイクロプロセッサおよび/または信号プロセッサ、ならびに場合によっては外部メモリ容量を有する機器であればよい。制御装置はまた、種々の電子回路を有し、2つ以上の量の間の差を生成し、たとえば前記フラッシング媒体の流量の変化率を判定し、判定した流量または流量の変化率をロックドリル装置1のユーザにより設定可能なこれらに対応する制限値と比較するのに必要な要素を有する機器であればよい。これらの制御装置および機器の一般的構成および動作原理は、当業者にそれ自体公知のものである。
【0026】
フラッシングの流れの流量FLOWを知ることはまた、フラッシュモニタの自動較正に適用することができる。較正の主要な目的は、ドリル機器、すなわちシャンク、ドリルロッドおよびドリルビットにより生じる損失を把握することである。つまり、掘削が行われていない時、すなわちフラッシング流路系が完全に開路状態にある時に、ドリル機器を通って流れるフラッシング媒体の流量を判定することである。較正の際、フラッシング媒体の流量を計測する測定機器12によって得られた測定結果を、実際のゼロの流れ、すなわちフラッシング流れが全くない場合と実際にフルスケールのフラッシング流れがある場合の両方について判定する。しかし、これら2つの測定点に加えて、他の測定点を較正に使用してもよい。このようにして得られた較正測定結果は、フラッシングモニタを行う装置に直接送られ、たとえばフラッシング流の流量を計測する測定装置に含まれる機器に存在する製造誤差に起因する小さな運用上の差異を織り込むことができる。このような自動較正は生産工場および掘削現場の両方で利用することができる。工場での較正では、ドリル機器の相違に起因する変動をフラッシング媒体の流量の測定結果に織り込むことが可能である。一方、掘削現場での較正は、必要の都度、行って、計測機器で経時的に発生する変動を補正し、あるいは掘削過程の掘削条件に起因して生じ得る影響やドリル機器内の、たとえばドリルビットの交換によって生じる変化に起因するフラッシング媒体の流量の測定での変化を織り込むことができる。
【0027】
各図において、ロックドリル装置に係る解決策が示され、これは、圧搾空気を発生するコンプレッサ7または他の機器により発生される圧搾空気をフラッシング媒体として使用するものである。しかし、本解決策は、たとえばフラッシング媒体として圧力流体、たとえば水、水と空気の混合物または水と化学製品の混合物を使用するロックドリル装置にも適用することができる。フラッシング媒体として圧力流体を使用する場合、コンプレッサは、ポンプ等に置き換わり、モータ6によって発生する動力により直接または間接に駆動されて、フラッシング媒体をフラッシング流路系を通ってロックドリル5、およびその先のロックドリル5のツール10を通って掘削孔8内に供給し、これによって前記フラッシング媒体は岩盤から除去された切削物を掘削孔8の外へ押し出す。その場合、ここでロックドリル装置は当然、フラッシング流体をロックドリル装置へ送る特別な貯留器または接続路を設ける必要もある。フラッシング媒体の圧力は、前述の例について説明したものと実質的に同様の手法により増大させることができるが、当業者に明らかなようにコンプレッサとポンプの運転の違いやフラッシング媒体として空気を流体に置き換えたことに起因する装置の違いを考慮に入れる。
【0028】
場合によっては、本願に開示された諸特徴を他の特徴とは関係なく使用してもよい。一方、必要ならば、本願に開示された諸特徴を組み合わせて様々な組合せを作ってもよい。
【0029】
添付図面および関連説明は本発明の思想の説明のみを企図している。本発明の細部は特許請求の範囲内で変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ロックドリル装置を示す概略的側面図である。
【図2】および
【図3】フラッシング媒体の流量の測定および圧力制御のシステムを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックドリル装置(1)のフラッシング媒体の流量(FLOW)を判定し、該フラッシング媒体の流量(FLOW)に基づいて前記ロックドリル装置(1)の運転を制御するロックドリル装置(1)の運転制御方法において、該方法は、
前記ロックドリル装置(1)のフラッシング流路系を流れるフラッシング媒体の流量(FLOW)に基づいて該ロックドリル装置(1)のフラッシング媒体の流量(FLOW)を判定し、
該フラッシング媒体の流量(FLOW)を該フラッシング媒体の流量に対して設定されている制限値(FLOWLIMIT1)と比較し、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)が前記制限値(FLOWLIMIT1)より低く低下すると、該フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を増加させることを特徴とするロックドリル装置の運転制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該方法は、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)を判定し、
該フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)を対応する第1の制限値(dFLOWLIMIT1)と比較し、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)が前記制限値(dFLOWLIMIT1)を超えると、該フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を増加させることを特徴とする運転制御方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、該方法は、
前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を増加させて、該フラッシング媒体の流量(FLOW)を該フラッシング媒体の流量の設定値(FLOWSET)に相当する値にまで増加させることを特徴とする運転制御方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)をそれに設定されている最大許容値(p_FLOWMAX)にまで増大させることを特徴とする運転制御方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)をフラッシング系に含まれる圧力制御バルブ(15)の制御値を増大させることにより増大させることを特徴とする運転制御方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)を該フラッシング媒体の流量について設定された第2の制限値(FLOWLIMIT2)と比較し、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)が第2の制限値(FLOWLIMIT2)より低く低下すると、前記ロックドリル装置(1)の供給機能を停止することを特徴とする運転制御方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)を対応する第2の制限値(dFLOWLIMIT2)と比較し、
前記フラッシング媒体の流量の変化率が第2の制限値(dFLOWLIMIT2)を超えると、前記ロックドリル装置(1)の供給機能を停止することを特徴とする運転制御方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の方法において、該方法は、前記ロックドリル装置(1)のドリル機器を掘削中の孔(8)内で後方に引き上げることを特徴とする運転制御方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記フラッシング媒体の流量(FLOW)をそれに設定された設定値(FLOWSET)と比較し、該フラッシング媒体の流量(FLOW)が対応する設定値(FLOWSET)に復帰した後、該フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を正常掘削状態で働く該フラッシング媒体の圧力設定値(p_FLOWSET)に復帰させることを特徴とする運転制御方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、前記フラッシング媒体は、圧搾空気、圧力流体またはこれらの混合であることを特徴とする運転制御方法。
【請求項11】
掘削孔(8)にフラッシング媒体を供給して切削中に発生するドリルの切削物を該掘削孔(8)外に除去する手段(7、9)と、該掘削孔(8)に供給されるフラッシング媒体の流量(FLOW)を判定する測定装置(12)と、該掘削孔(8)に供給すべきフラッシング媒体の流量(FLOW)に基づいてロックドリル装置(1)の運転を制御する、少なくとも1つの制御装置(13)を含むロックドリル装置(1)において、
前記測定装置(12)は、前記ロックドリル装置(1)のフラッシング流路系を流れるフラッシング媒体の流量(FLOW)を測定するように構成され、
前記制御装置(13)は、前記フラッシング媒体の流量(FLOW)について設定された制限値(FLOWLIMIT1)と該フラッシング媒体の流量(FLOW)を比較する手段を含み、
該フラッシング媒体の流量(FLOW)が前記制限値(FLOWLIMIT1)より低く低下すると、前記制御装置(13)は、該フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を増加させるように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項12】
請求項11に記載のロックドリル装置において、該装置は、前記制御装置(13)による制御の下に前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を変化させる手段(7、15)を含むことを特徴とするロックドリル装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載のロックドリル装置において、前記制御装置(13)は、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)を判定する手段と、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)を該フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)について設定された第1の制限値(dFLOWLIMIT1)と比較する手段とを含み、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)が前記制限値(dFLOWLIMIT1)を超えると、前記制御装置(13)は、前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を増加させるように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項14】
請求項11ないし13のいずれかに記載のロックドリル装置において、前記制御装置(13)は、前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を増大させて、該フラッシング媒体の流量を該フラッシング媒体の流量(FLOW)の設定値(FLOWSET)に相当する値にまで増大させるように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項15】
請求項11ないし14のいずれかに記載のロックドリル装置において、前記制御装置(13)は、前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)をそれに設定されている最大許容値(p_FLOWMAX)にまで増大させるように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれかに記載のロックドリル装置において、前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)は、フラッシング系内に含まれる圧力制御バルブ(15)の制御値を増大させることにより増大されるように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項17】
請求項11ないし16のいずれかに記載のロックドリル装置において、
前記制御装置(13)は、前記フラッシング媒体の流量(FLOW)をこれに対応する第2の制限値(FLOWLIMIT2)と比較する手段を含み、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)が第2の制限値(FLOWLIMIT2)より低く低下すると、前記制御装置(13)は、該ロックドリル装置(1)の供給機能を停止するように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項18】
請求項11ないし17のいずれかに記載のロックドリル装置において、前記制御装置(13)は、前記フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)をこれに対応する第2の制限値(FLOWLIMIT2)と比較する手段を含み、
前記フラッシング媒体の流量(FLOW)の変化率(dFLOW)が第2の制限値(FLOWLIMIT2)を超えると、前記制御装置(13)は、該ロックドリル装置(1)の供給機能を停止するように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項19】
請求項17または18に記載のロックドリル装置において、前記制御装置(13)は、該ロックドリル装置(1)のドリル機器を制御して掘削中の掘削孔(8)内で後方に引き上げるように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項20】
請求項11ないし19のいずれかに記載のロックドリル装置において、前記制御装置(13)は、前記フラッシング媒体の流量(FLOW)をそれに設定された設定値(FLOWSET)と比較する手段を含み、該フラッシング媒体の流量(FLOW)が対応する設定値(FLOWSET)に復帰した後、前記制御装置(13)は、前記フラッシング媒体の圧力(p_FLOW)を正常掘削状態で働く該フラッシング媒体の圧力設定値(p_FLOWSET)に復帰させるように構成されていることを特徴とするロックドリル装置。
【請求項21】
請求項11ないし20のいずれかに記載のロックドリル装置において、前記フラッシング媒体は、圧搾空気、圧力流体またはこれらの混合であることを特徴とするロックドリル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−534556(P2009−534556A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505920(P2009−505920)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050199
【国際公開番号】WO2007/122288
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】