説明

ロック装置

【課題】係合部材の盗難を防止することのできるロック装置を提供する。
【解決手段】係合部材としての給電コネクタ1は、受電コネクタ2の突出部20に係合する係合爪17を有し、これが突出部20に係合することで受電コネクタ2に接続された状態で保持される。また、操作部18の操作に連動して、突出部20との係合が解除される位置まで係合爪17が移動すると、給電コネクタ1の抜き取りが可能となる。ロック装置4は、外力の印加に基づいて、操作部18を覆う位置、及び操作部18を覆わない位置に揺動するカバー部材6と、給電コネクタ1に装着される装着部材5とを備える。そして、カバー部材6が操作部18を覆う位置まで移動すると、その位置が保持される。また、メカニカルキー61によってキーシリンダ60が操作されると、カバー部材6の保持が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被係合部材からの係合部材の抜き取りを規制するロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気自動車やハイブリッド自動車では、動力源もしくは補助動力源として電動モータが用いられている。また、電動モータの動力源としては、複数の電池モジュールが直列に接続された構造からなる電池パック(バッテリ)が用いられることが多い。このため、電気自動車やハイブリッド自動車では、バッテリの電池残量が少なくなる度にその充電を行う必要がある。そして従来、車載バッテリを充電するためのシステムとしては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。特許文献1に記載の充電システムでは、例えば家庭の商用電源や電気スタンドなどの外部電源に接続可能な給電コネクタを車両のオーナが所持する。また、給電コネクタの接続先となる受電コネクタを車両に設けるようにしている。そして、オーナが給電コネクタの一方の端部を外部電源に接続した後に、給電コネクタの他方の端部を車両の受電コネクタに接続すると、外部電源から各コネクタを介して車載バッテリへの給電が行われ、車載バッテリが充電される。このような構成によれば、オーナは給電コネクタを車両の受電コネクタに接続するだけで車載バッテリを充電することができるため、利便性が向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような車載バッテリの充電には、外部電源からの充電の場合、数〜十数時間を要する。このため、多くの場合、オーナは車両から離れることとなるため、給電コネクタ自体が第三者によって盗難されるおそれがある。
【0005】
なお、このような課題は、車載バッテリの充電の際に用いられる給電コネクタに限らず、操作部の操作に基づき被係合部材からの抜き取りが可能となる各種係合部材において共通する課題である。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、係合部材の盗難を防止することのできるロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、被係合部材に係合される係合部を有し、該係合部と前記被係合部材との係合により前記被係合部材に接続された状態で保持される一方、操作部の操作に連動して前記係合部が前記被係合部材との係合が解除される位置に移動することにより前記被係合部材からの抜き取りが可能となる係合部材にあって、前記被係合部材からの前記係合部材の抜き取りを規制するロック装置であって、前記係合部材に設けられて、外力の印加に基づき前記操作部を覆う位置、及び前記操作部を覆わない位置に移動するカバー部材と、前記カバー部材を前記操作部を覆う位置で保持する保持手段と、認証の成立に基づいて前記保持手段による保持を解除する認証手段とを備えることを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、外力の印加に基づきカバー部材が操作部を覆う位置に移動すると、カバー部材は保持手段によりその位置が保持される。また、保持手段によってカバー部材が保持された場合には、認証手段による認証が成立するまで、その保持を解除することができない。すなわち、認証手段による認証が成立するまで操作部がカバー部材により覆われるため、操作部の操作を規制することができる。このため、ユーザは、被係合部材に係合部材を接続したとき、カバー部材に外力を印加してこれを操作部を覆う位置まで操作すれば、第三者による操作部の操作を防止することができる。これにより、第三者が操作部を操作して係合部と被係合部材との係合を解除するような不正行為を未然に防止することができるため、係合部材の盗難を防止することができるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロック装置において、前記カバー部材が取り付けられるとともに前記係合部材に脱着可能に装着される装着部材を更に備え、前記カバー部材及び前記装着部材に、前記認証手段及び前記保持手段が設けられてなることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、係合部材に装着部材を装着するだけで、上述したロック装置を既存の係合部材に後付けで取り付けることができる。このため、利便性が向上するようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のロック装置において、前記装着部材は、前記カバー部材が取り付けられる第1挟持部材と、該第1挟持部材との協働により前記係合部材を挟持する第2挟持部材と、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を互いに連結する連結部材とを備えることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、係合部材を第1挟持部材及び第2挟持部材によって挟持した後に、これら2つの部材を連結部材により連結することで、係合部材が第1挟持部材及び第2挟持部材によって挟持された状態を維持することができる。これにより、係合部材に装着部材をより確実に固定することができるため、装着部材の位置ずれを抑制することができる。このため、例えば第三者がロック装置に外力を印加するなどして装着部材の位置をずらすことにより、操作部を覆わない位置までカバー部材を移動させるような不正行為を未然に防止することができる。よって、係合部材の盗難をより確実に防止することができるようになる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のロック装置において、前記連結部材は、外力が印加される連結部操作部を含み、該連結部操作部に印加される外力に基づいて前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の連結及び連結の解除を行うものであり、前記連結部操作部は、前記カバー部材が前記操作部を覆う位置に移動したとき、同カバー部材によって覆われる位置に配置されてなることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、連結部操作部に外力を印加するだけで、第1挟持部材及び第2挟持部材を連結したり、その連結を解除することができる。これにより、連結部操作部を操作するだけで係合部材にロック装置を装着したり、係合部材からロック装置を取り外すことができるため、利便性が向上するようになる。また、カバー部材が操作部を覆う位置に移動したときに連結部操作部がカバー部材によって覆われるため、第三者による連結部操作部の操作を防止することができる。これにより、連結部操作部を操作して係合部材から装着部材を取り外した後に係合部材の操作部を操作するような不正行為を未然に防止することができる。このため、連結部操作部を設けてロック装置の脱着の利便性を高めつつも、第三者による係合部材の盗難を的確に防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるロック装置によれば、係合部材の盗難を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】車両の充電システムの概要を示す斜視図。
【図2】給電コネクタの側面構造を示す側面図。
【図3】給電コネクタの動作例を示す側面図。
【図4】本実施形態にかかるロック装置の一実施形態についてその側面構造を示す側面図。
【図5】同実施形態のロック装置についてその正面構造を示す正面図。
【図6】同実施形態のロック装置についてその斜視構造を示す斜視図。
【図7】同実施形態のロック装置についてその動作例を示す斜視図。
【図8】図5のB−B線に沿った断面構造を示す断面図。
【図9】図4のA−A線に沿った断面構造を示す断面図。
【図10】図9のC−C線に沿った断面構造を示す断面図。
【図11】(a),(b)は、同実施形態のロック装置についてその動作例をそれぞれ示す側面図及び断面図。
【図12】同実施形態のロック装置について給電コネクタに装着される様子を示す斜視図。
【図13】同実施形態のロック装置について給電コネクタに装着された状態を示す正面図。
【図14】同実施形態のロック装置についてその動作例を示す側面図。
【図15】本実施形態にかかるロック装置の他の例についてその断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるロック装置を車両の充電システムの給電コネクタに適用した一実施形態について図1〜図14を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、車両の充電システムの概要について説明する。なお、この充電システムは、例えば電気自動車やハイブリッド車両など、電動モータを動力源とする車両に利用されるものである。
【0017】
図1に示すように、この充電システムでは、給電コネクタ1にケーブル10を介してプラグ11が設けられている。そしてこの給電コネクタ1が車両のオーナによって所持される。また、車両には、給電コネクタ1の接続先となる受電コネクタ2が設けられている。そして、オーナが電気スタンドなどの外部電源3にプラグ11を差し込んだ後、給電コネクタ1を受電コネクタ2に差し込むと、外部電源3から各コネクタ1,2を介して車両に交流電力が供給される。車両に供給された交流電力は、車両に搭載されたコンバータ(図示略)により直流電力に変換され、変換された直流電力が電力モータの動力源となる車載バッテリ(図示略)に充電される。
【0018】
次に、図2及び図3を参照して、給電コネクタ1の構造について説明する。
図2に示すように、給電コネクタ1の先端面12には、受電コネクタ2の内部に挿入されるコネクタガイド13が突出形成されている。コネクタガイド13の内部には、例えば電力の電送経路となるパワー端子や、各種制御指令の通信経路となる制御端子などからなるオス端子14が導出されている。すなわち、コネクタガイド13が受電コネクタ2に挿入されると、オス端子14が受電コネクタ2側のメス端子に挿入されて、給電コネクタ1と受電コネクタ2とが電気的に接続される。
【0019】
また、給電コネクタ1の内部には、軸部15により矢印a1,a2で示す方向に回動可能に支持されたロックアーム16が設けられている。このロックアーム16の一方の端部には、先端面12から導出されて受電コネクタ2に形成された突出部20に係合する係合爪17が形成されている。これに対し、その他方の端部には、給電コネクタ1の背面から露出する態様にて操作部18が形成されている。また、ロックアーム16は、給電コネクタ1の内部に設けられたスプリング19によって矢印a2で示す方向に付勢されている。これにより、操作部18が給電コネクタ1の上壁に接触した状態で保持されて、ロックアーム16が図中の位置で保持されている。そして、ロックアーム16は、上記コネクタガイド13が受電コネクタ2に挿入されるとき、次のように動作する。まず、係合爪17が突出部20に接触すると、その傾斜面20aに沿って係合爪17が上方に変位するため、ロックアーム16はスプリング19の付勢力に抗して矢印a1で示す方向に回動する。そして、コネクタガイド13が受電コネクタ2に完挿されると、係合爪17が傾斜面20aを登り切るため、ロックアーム16はスプリング19の付勢力により図中の矢印a2で示す方向に回動する。これにより、図3に示すように、係合爪17が突出部20に引っ掛かり、給電コネクタ1が受電コネクタ2に接続された状態で保持される。このように、本実施形態では、給電コネクタ1が係合部材となるとともに、受電コネクタ2が被係合部材となっている。また、係合爪17が係合部となっている。一方、このように給電コネクタ1が受電コネクタ2に保持されている状態において、オーナが操作部18を図中の二点鎖線の位置まで押し込むと、操作部18に印加された操作力によってロックアーム16がスプリング19の付勢力に抗して矢印a1で示す方向に回動する。これにより、係合爪17と突出部20との間の係合が解除されるため、給電コネクタ1の抜き取りが可能となる。
【0020】
このように、給電コネクタ1は、受電コネクタ2に接続されたときに車両に対して一応は固定される。ただし、第三者によって操作部18が操作されると、受電コネクタ2から給電コネクタ1を簡単に抜き取ることができるため、給電コネクタ1自体が盗難されるおそれがある。
【0021】
そこで本実施形態では、図4に示すように、第三者による操作部18の操作を規制するためのロック装置4を給電コネクタ1に後付けで取り付けるようにしている。以下、ロック装置4について詳述する。
【0022】
図4に示すように、ロック装置4は、給電コネクタ1に対して操作部18の付近に装着される。このロック装置4は、大きくは、図中の軸線mに沿って筒状をなす装着部材5と、その上方を覆うようにして設けられたカバー部材6とからなる。
【0023】
ロック装置4の正面構造を図5に示すように、装着部材5は、軸線mに直交する断面がU字状をなす第1挟持部材50と、その下方の開口部分を閉塞する第2挟持部材51とからなる。そして、第1挟持部材50の一端部と、第2挟持部材51の一端部とが、ヒンジ部52によって回動可能に連結されている。また、ロック装置4の斜視構造を図6に示すように、第1挟持部材50の他端部には、第2挟持部材51の他端部を保持したり、その保持を解除するためのバックル部53が設けられている。このバックル部53は、図中に拡大して示すように、第1挟持部材50に固定された軸部55により回動可能に支持された連結部操作部53aと、同連結部操作部53aに回動可能に支持されたリング部53bとからなる。そして、図中に示すように、リング部53bが第2挟持部材51に形成された爪部54に係合して且つ、連結部操作部53aが図中の位置に位置している場合、バックル部53は図中の状態で維持される。これにより、第1挟持部材50の他端部と第2挟持部材51の他端部とが互いに当接した状態でロックされる。一方、この状態で連結部操作部53aに矢印cで示す方向の外力が印加されると、連結部操作部53aが軸部55を中心に矢印cで示す方向に回動するため、図7に示すように、爪部54とリング部53bとの係合が解除される。これにより、第2挟持部材51をヒンジ部52を中心に回動させることで、第1挟持部材50の下方部分を開口させることができる。
【0024】
一方、先の図5に示すように、カバー部材6の下端部は、第1挟持部材50に形成された2つの軸部56,57により回動可能に支持されている。すなわち、カバー部材6は、先の図4に示すように、軸部56,57を中心に矢印b1,b2で示す方向に揺動する。図5のB−B線に沿った断面構造を図8に示すように、カバー部材6の上部において、背面6aから中央部に至る部分には、第1挟持部材50の上面から間隙SCを隔ててこれを取り囲む薄肉部6cが形成されている。また、前面6bの部分には、キーシリンダ60が埋め込まれた厚肉部6dが形成されている。キーシリンダ60は、メカニカルキー61のキー溝に基づいて機械的な認証を行うものであって、キー61が挿入されるキー穴60aの開口部分がカバー部材6の上面から外部に露出している。また、先の図4のA−A線に沿った断面構造を図9に示すように、キーシリンダ60の側面には、カバー部材6の内部に形成された貫通孔64を通じて軸部56まで伸びるワイヤ62が設けられている。そして、キー穴60aに正規のメカニカルキー61が挿入されてこれが所定の方向に回動操作されると、キーシリンダ60がワイヤ62をキーシリンダ60側に引っ張るように動作する。
【0025】
ワイヤ62の先端部には、貫通孔64に摺動可能に挿入されたピン63が取り付けられている。また、ピン63は、スプリング65によって軸部56側に付勢されている。これにより、図9のC−C線に沿った断面構造を図10に示すように、ピン63は、軸部56の外周面に当接するとともに、カバー部材6が矢印b1,b2で示す方向に揺動するとき、軸部56の外周面を摺動しながらカバー部材6と一体となって移動する。
【0026】
また、図10に示すように、軸部56の外周面には、ピン63が図中の位置から矢印b1で示す方向に所定角度だけ回転したときにこれが挿入される挿入穴56aが形成されている。すなわち、図11(a)に示すように、カバー部材6が図中の実線の位置まで揺動すると、図11(b)に示すようにピン63が挿入穴56aに挿入される。これにより、カバー部材6の揺動がピン63によって規制されるため、カバー部材6が図11(a)に示す位置で保持される。なおこのとき、バックル部53の連結部操作部53aがカバー部材6によって覆われるため、連結部操作部53aの操作が防止される。一方、図11(b)に示すように挿入穴56aにピン63が挿入されている状態では、キーシリンダ60の動作に伴いワイヤ62がキーシリンダ60側に引っ張られると、挿入穴56aからピン63が抜き出される。これにより、ピン63による規制が解除されるため、カバー部材6を揺動させることができるようになる。
【0027】
次に、先の図4を含め、図12〜図14を参照して、本実施形態にかかるロック装置の動作(作用)について説明する。なお、上記メカニカルキー61は、車両のオーナによって所持されているとする。
【0028】
図12に示すように、ロック装置4を給電コネクタ1に装着する際には、はじめに、バックル部53のロックを解除して第1挟持部材50を開口させる。そして、図中に矢印で示すように、第1挟持部材50の内部に給電コネクタ1の部位Aを上方側から挿入した後、バックル部53によって第2挟持部材51をロックすると、先の図4に示すようにロック装置4が給電コネクタ1に装着される。このとき、図13に示すように、第1挟持部材50の内面に給電コネクタ1の上半分が接触するとともに、第2挟持部材51の内面に給電コネクタ1の下部が接触するため、これらの部材により給電コネクタ1が挟持される。これにより、先の図4に示すようにロック装置4が給電コネクタ1に固定される。そして、ロック装置4が給電コネクタ1に一旦固定されれば、車両のオーナは給電コネクタ1とは別にロック装置4を持ち歩く必要がなくなるため、ロック装置4を持ち歩く煩わしさが解消される。なお、同図4に示すように、給電コネクタ1は、装着部材5の装着部分から先端面12に向かう部分が拡径されている。また、装着部材5の装着部分からケーブル10に向かう部分が大きく湾曲している。本実施形態では、給電コネクタ1のこのような形状を利用することで、装着部材5の位置ずれが抑制されている。
【0029】
その後、給電コネクタ1を受電コネクタ2に接続すべく、給電コネクタ1の係合爪17を受電コネクタ2の突出部20に係合させて、車載バッテリへの給電を開始したとする。このとき、図14に示すように、カバー部材6に矢印b1で示す方向の外力を印加してこれを図中の位置まで移動させると、操作部18がカバー部材6の間隙SCに挿入されてカバー部材6により覆われるとともに、カバー部材6が図中の位置で保持される。この状態では、メカニカルキー61を用いてキーシリンダ60を操作しなければカバー部材6をそれ以上動かすことができない。すなわち、メカニカルキー61を所持していない第三者はカバー部材6を動かすことができないため、操作部18を操作することが不可能となる。これにより、第三者が操作部18を操作して係合爪17及び突出部20の係合を不正に解除するような行為を未然に防止することができるため、給電コネクタ1の盗難を防止することができる。また、バックル部53の連結部操作部53aがカバー部材6によって覆われるため、第三者がバックル部53を操作して給電コネクタ1からロック装置4を外すような不正行為を防止することができる。さらに、上述のように、装着部材5の位置ずれが抑制されているため、第三者がロック装置4に外力を印加するなどして装着部材5の位置をずらすことにより、操作部18を覆わない位置までカバー部材6を移動させるような不正行為を未然に防止することもできる。
【0030】
なお、車両のオーナは、キーシリンダ60にメカニカルキー61を挿入してこれを操作すれば、カバー部材6の保持を解除することができる。このため、操作部18が露出する位置までカバー部材6を移動させた後、操作部18を操作すれば、受電コネクタ2から給電コネクタ1を抜き取ることができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態にかかるロック装置4によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)ロック装置4には、外力の印加に基づいて、操作部18を覆う位置、及び操作部18を覆わない位置に移動するカバー部材6を設けることとした。そして、ロック装置4では、カバー部材6が操作部18を覆う位置まで移動したときにピン63と軸部56との協働によってカバー部材6を保持することとした。また、カバー部材6にキーシリンダ60を設けた上で、メカニカルキー61によるキーシリンダ60の操作に基づいてカバー部材6の保持を解除することとした。これにより、カバー部材6によって操作部18を覆えば、第三者による操作部18の操作を防止することができるため、給電コネクタ1の盗難を防止することができるようになる。
【0032】
(2)ロック装置4には、カバー部材6が取り付けられるとともに給電コネクタ1に脱着可能に装着される装着部材5を設けることとした。これにより、ロック装置4を既存の給電コネクタ1に後付けで取り付けることができる。このため、利便性が向上するようになる。
【0033】
(3)装着部材5を、カバー部材6が取り付けられた第1挟持部材50と、同第1挟持部材50との協働により給電コネクタ1を挟持する第2挟持部材51とにより構成することとした。そして、第1挟持部材50と第2挟持部材51とをヒンジ部52及びバックル部53により互いに連結することとした。これにより、バックル部53を操作するだけでロック装置4の脱着を行うことができるため、利便性が向上するようになる。また、給電コネクタ1にロック装置4を装着した際には、装着部材5が給電コネクタ1に確実に固定される。よって、第三者がロック装置4に外力を印加するなどして装着部材5の位置をずらすことにより、操作部18を覆わない位置までカバー部材6を移動させるような不正行為を未然に防止することができる。このため、給電コネクタ1の盗難をより確実に防止することができるようになる。
【0034】
(4)カバー部材6が操作部18を覆う位置まで移動したとき、カバー部材6によってバックル部53の連結部操作部53aを覆うようにした。これにより、第三者がバックル部53を操作して給電コネクタ1からロック装置4を外すような不正行為を防止することができるため、バックル部53を設けてロック装置4の脱着の利便性を高めつつも、第三者による給電コネクタ1の盗難を的確に防止することができるようになる。
【0035】
(5)カバー部材6には、一体となって移動するピン63を設けることとした。また、装着部材5の軸部56には、ピン63が挿入される挿入穴56aを形成することとした。これにより、簡素な構造でありながらも、カバー部材6の位置を保持したり、その保持を解除することができるようになる。
【0036】
(6)ユーザの認証を行う認証手段として、メカニカルキー61のキー溝に基づいて機械的な認証を行うキーシリンダ60を用いることとした。これにより、例えば認証手段としてダイヤル式の認証装置を用いる場合と比較すると、ロック装置4の小型化が図られるようになる。
【0037】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・装着部材5の形状は、各種給電コネクタの形状に合わせて適宜変更してもよい。これにより、本実施形態にかかるロック装置4を各種給電コネクタに装着することが可能となるため、汎用性が向上するようになる。
【0038】
・ロック装置4には、カバー部材6を先の図4の位置で保持する節度構造を設けてもよい。具体的には、先の図10に対応する図として図15を示すように、ピン63の先端部を丸角に形成する。また、軸部56においてピン63の当接部分には断面三角形状の溝56bを形成する。これにより、溝56bにピン63の先端部が当接することによってカバー部材6の位置が保持される。また、カバー部材6に矢印b1,b2で示す方向の外力が印加された場合には、ピン63が溝56bの傾斜面に沿って変位し、スプリング65の付勢力に抗してワイヤ62に側に移動する。これにより、ピン63が溝56bから外れるため、カバー部材6を矢印b1,b2で示す方向に移動させることが可能となる。このような節度構造を設ければ、オーナがロック装置4を持ち歩く際にカバー部材6が回転するようなことがなくなるため、ロック装置4を持ち運び易くなる。
【0039】
・上記実施形態では、装着部材5の軸部56,57によってカバー部材6を揺動可能に支持することとした。これに代えて、ロック装置4が装着される給電コネクタの形状によっては、例えば装着部材5によってカバー部材6をスライド移動可能に支持してもよい。
【0040】
・第1挟持部材50には、先の図1に例示した給電コネクタ1のねじ穴1aに挿入される突出部を形成してもよい。これにより、装着部材5の位置ずれをより確実に防止することができるようになる。
【0041】
・上記実施形態では、ユーザの認証を行う認証手段としてキーシリンダ60を用いることとしたが、これに代えて、例えばダイヤル式の認証装置などを用いてもよい。また、例えば車両のオーナが所持する携帯機の識別コード(IDコード)に基づいて電子的な認証を行う認証装置などを用いることも可能である。
【0042】
・上記実施形態では、カバー部材6の位置を保持するとともに、その解除の可能な保持手段として、ピン63及び挿入穴56aからなる構造を採用することとしたが、これについては任意の構造を採用することが可能である。
【0043】
・上記実施形態では、第1挟持部材50と第2挟持部材51とを連結したり、その連結を解除することが可能な連結部材としてバックル部53を用いることとしたが、各種の留め金を用いることができる。
【0044】
・上記軸部56,57を給電コネクタ1に形成した上で、給電コネクタ1にカバー部材6を直接取り付けてもよい。これにより、装着部材5が不要となるため、構造の簡素化が図られるようになる。
【0045】
・上記実施形態では、本発明にかかるロック装置を、車両の充電システムに用いられる給電コネクタに適用することとしたが、操作部の操作に基づき被係合部材からの抜き取りが可能となる各種係合部材に適用することが可能である。
【0046】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項1〜4のいずれか一項に記載のロック装置において、前記保持手段は、前記カバー部材と一体となって移動するピンと、前記装着部材に固定されて前記カバー部材が前記操作部を覆う位置に移動したときに前記ピンが挿入される挿入穴が形成された部材とからなり、前記カバー部材の保持が、前記挿入穴に前記ピンが挿入されることで行われるとともに、前記カバー部材の保持の解除が、前記挿入穴から前記ピンが抜き出されることで行われることを特徴とするロック装置。同構成によれば、保持手段は、ピンと、挿入穴が形成された部材とを備えるといった極めて簡素な構造からなるため、請求項1〜4に記載の発明を容易に実現することができるようになる。
【0047】
(ロ)請求項1〜4、及び付記イのいずれか一項に記載のロック装置において、前記認証手段は、メカニカルキーのキー溝に基づいて機械的な認証を行うキーシリンダからなることを特徴とするロック装置。同構成によるように、認証手段としてキーシリンダを用いることとすれば、例えばダイヤル式の認証機構を用いる場合と比較すると、小型化が図られるようになる。
【0048】
(ハ)請求項1〜4、付記イ、及び付記ロのいずれか一項に記載のロック装置において、前記被係合部材は、車両に設けられた受電コネクタであるとともに、前記係合部材は、前記受電コネクタに接続される給電コネクタであることを特徴とするロック装置。上述のように、車載バッテリの充電の際にはオーナが車両から離れることが多いため、給電コネクタの盗難のおそれがある。このため、このような給電コネクタに本発明にかかるロック装置を適用することの意義は大きい。
【符号の説明】
【0049】
SC…間隙、1…給電コネクタ、1a…ねじ穴、2…受電コネクタ、3…外部電源、4…ロック装置、5…装着部材、6…カバー部材、6a…背面、6b…前面、6c…薄肉部、6d…厚肉部、10…ケーブル、11…プラグ、12…先端面、13…コネクタガイド、14…オス端子、15…軸部、16…ロックアーム、17…係合爪、18…操作部、19…スプリング、20…突出部、20a…傾斜面、50…第1挟持部材、51…第2挟持部材、52…ヒンジ部、53…バックル部、53a…連結部操作部、53b…リング部、54…爪部、55,56,57…軸部、56a…挿入穴、56b…溝、60…キーシリンダ、60a…キー穴、61…メカニカルキー、62…ワイヤ、63…ピン、64…貫通孔、65…スプリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被係合部材に係合される係合部を有し、該係合部と前記被係合部材との係合により前記被係合部材に接続された状態で保持される一方、操作部の操作に連動して前記係合部が前記被係合部材との係合が解除される位置に移動することにより前記被係合部材からの抜き取りが可能となる係合部材にあって、前記被係合部材からの前記係合部材の抜き取りを規制するロック装置であって、
前記係合部材に設けられて、外力の印加に基づき前記操作部を覆う位置、及び前記操作部を覆わない位置に移動するカバー部材と、前記カバー部材を前記操作部を覆う位置で保持する保持手段と、認証の成立に基づいて前記保持手段による保持を解除する認証手段とを備える
ことを特徴とするロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロック装置において、
前記カバー部材が取り付けられるとともに前記係合部材に脱着可能に装着される装着部材を更に備え、前記カバー部材及び前記装着部材に、前記認証手段及び前記保持手段が設けられてなる
ことを特徴とするロック装置。
【請求項3】
前記装着部材は、前記カバー部材が取り付けられる第1挟持部材と、該第1挟持部材との協働により前記係合部材を挟持する第2挟持部材と、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を互いに連結する連結部材とを備える
請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記連結部材は、外力が印加される連結部操作部を含み、該連結部操作部に印加される外力に基づいて前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の連結及び連結の解除を行うものであり、前記連結部操作部は、前記カバー部材が前記操作部を覆う位置に移動したとき、同カバー部材によって覆われる位置に配置されてなる
請求項3に記載のロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−53470(P2013−53470A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192987(P2011−192987)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】