説明

ロボットシステム

【課題】操作が簡単で、多様な操作を行うことが可能な2足歩行ロボットシステムを提供する。
【解決手段】操作されたスイッチ操作部に割当てられた歩行動作を行わせると同時に、操作されたアナログ操作部の操作量に応じて、右足首ロール軸制御用モータ206−1、左足首ロール軸制御用モータ206−2、右股関節ロール軸制御用モータ206−9及び左股関節ロール軸制御用モータ206−10を駆動することにより、ロボット301の重心位置を移動させて、歩行の進行方向を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを遠隔制御するロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロボットを遠隔制御するロボットシステムがゲーム用等に開発されている(例えば、特許文献1参照)。
従来、人型ロボット等の多数の関節を有するロボットを遠隔操作する場合、送信機に設けられたスイッチ操作型の操作部をオン/オフ操作することにより、ロボットに、前記各操作部に予め割当てた動作を実行させるようにしている。
【0003】
前記各操作部をオン/オフ操作することにより、各操作部に予め割当てた動作を行わせるため、前記各操作部に複雑な動作を割当てておくことにより、簡単な操作でロボットに複雑な動作を行わせることが可能になる。
しかしながら、ロボットの動作は、前記各操作部に予め割当てられている動作の再生及びジャイロセンサ等のセンサを利用した自動的な姿勢制御動作しかできないため、ロボットの動作に対してリアルタイムに使用者の意志を反映させることができない。したがって、ロボットの動きが制限され、面白味に欠けるという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−51586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、操作が簡単で、多様な操作を行うことが可能なロボットシステムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、割当てられた動作を指示するスイッチ操作部と、操作量に応じた量の動作を指示するアナログ操作部と、前記スイッチ操作部及びアナログ操作部の操作に応じた制御信号を出力する制御信号出力手段と、前記制御信号を送信する送信手段とを有する送信機と、複数の関節及び前記各関節を駆動する複数のモータを有するロボットと、前記送信機からの制御信号を受信して出力する受信手段と、前記受信手段からの制御信号に応答して前記モータを駆動することによって前記ロボットの関節を制御する制御手段とを備えて成ることを特徴とするロボットシステムが提供される。
送信機の制御信号出力手段はスイッチ操作部及びアナログ操作部の操作に応じた制御信号を出力し、送信手段は前記制御信号を送信する。受信手段は前記送信機からの制御信号を受信して出力し、制御手段は前記受信手段からの制御信号に応答して、ロボットの関節を制御するためのモータを駆動することによって前記ロボットの関節を制御する。
【0007】
ここで、前記制御手段は、前記制御信号に応答して前記モータに対し、前記スイッチ操作部及びアナログ操作部が指示する各動作を加算した駆動を行うように構成してもよい。
また、前記アナログ操作部によって指示する動作は、前記ロボットの姿勢制御動作であるように構成してもよい。
また、前記姿勢制御動作は、前記ロボットの重心位置を移動する制御動作であるように構成してもよい。
【0008】
また、前記制御手段は、前記重心位置を移動するために、少なくとも前記ロボットの足首関節と股関節を動かすためのモータを駆動するように構成してもよい。
また、前記足首関節と股関節を制御するためのモータとして、前記各関節に少なくともロール軸制御用モータ及びピッチ軸制御用モータが設けられて成るように構成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作が簡単で、多様な操作を行うことが可能なロボットシステムを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係るロボットシステムについて、二足歩行型のロボットの例を挙げて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るロボットシステムに使用する送信機のブロック図である。
図1において、ロボットを遠隔制御するための送信機は、操作部101、信号処理回路102及び送受信回路103を備えている。
【0011】
操作部101は、割当てられた動作を指示する割当て動作指示部105、操作量に応じた量の動作を指示するアナログ量指示部106を備えている。
割当て動作指示部105は、スイッチによって構成され、割当てられた動作を指示するためにオン/オフ操作される複数のスイッチ操作部(例えばボタンスイッチ)107−1〜107−nを備えている。スイッチ操作部107−1〜107−nには、各々、歩行動作、立ち上がり動作等の相互に異なる動作が割当てられている。
【0012】
アナログ量指示部106は、外部操作可能な可変抵抗器を有し操作量に応じたアナログ量の動作を指示する複数のアナログ操作部(例えば、操作スティック)108−1〜108nを備えている。
詳細は後述するが、アナログ操作部108−1〜108−n中の2つのアナログ操作部108−1、108−2は、各々、ロボットの重心位置を左右方向に移動させる動作の指示、ロボットの重心位置を前後方向に移動させる動作の指示が行えると共に、各アナログ操作部108−1、108−2の操作量に応じた量の重心位置移動動作を指示することができるように構成されている。
【0013】
信号処理回路102は各スイッチ操作部107−1〜107−n及びアナログ操作部108−1〜108−nの操作に対応する制御信号を出力する。前記制御信号は、操作されたスイッチ操作部107−1〜107−nを表す情報(換言すれば、当該スイッチ操作部107−1〜107−nに割当てられた動作を指示する情報)、操作されたアナログ操作部108−1〜108−nを表す情報及び操作されたアナログ操作部108−1〜108−nの操作量を表す情報(換言すれば、操作されたアナログ操作部108−1〜108−nに対応するモータを指示する情報及び前記モータの制御量を指示する情報)が含まれている。
【0014】
送受信回路103は、信号処理回路102から受信した前記制御信号を変調して無線出力する。尚、本実施の形態では、被制御機器(本実施の形態では後述するロボット)の制御状態を表す信号のフィードバック等のために送受信回路103を使用しているが、単に前記被制御機器の制御を行うだけであれば受信機能は不要であるため、送受信回路103の代わりに送信回路を使用してもよい。
ここで、信号処理回路102は制御信号出力手段を構成し、送受信回路103は送信手段を構成している。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態に係るロボットシステムに使用する受信制御機のブロック図である。
図2において、受信制御機は、受信機201、制御回路202及び駆動部203を備えている。
ここで、受信機201は受信手段を構成し、制御回路202は制御手段を構成している。
【0016】
受信機201は、前記送信機からの制御信号を受信し復調して出力する無線送受信回路207、無線送受信回路207からの制御信号を受信して出力するSPI(Serial Peripheral Interface )インタフェースであるSPI信号送受信回路208を備えている。前記被制御機器の制御状態を表す信号のフィードバック等のために無線送受信回路207、SPI信号送受信回路208を使用しているが、単に前記被制御機器の制御を行うだけであれば受信機能は不要であるため、これらの代わりに各々、送信回路を使用してもよい。
【0017】
制御回路202は、受信機201からの前記制御信号を受信して出力するSPIインタフェースであるSPI信号送受信回路209、SPI信号送受信回路209から受信した制御信号に対応する処理を行ってモータ206、・・・、206の制御に適した形式の制御信号を出力する処理回路210、処理回路210からの制御信号を駆動部203に出力するRS485インタフェースであるRS485出力回路204を備えている。SPI信号送受信回路209は、前記同様に、送受信回路の代わりに受信回路を使用してもよい。
【0018】
処理回路210は、中央処理装置(CPU)によって構成されており、図2には、前記CPUの処理を、機能ブロックとして示している。処理回路210は、SPI信号送受信回路209から受信した前記制御信号の信号解析処理211、スイッチ操作部107−1〜107−nの操作に応じた前記被制御機器のモーション再生処理212、アナログ操作部108−1〜108−nの操作に応じた前記被制御機器の重心位置制御処理213、モーション再生処理212及び重心位置制御処理213を前記被制御機器の動作に反映させるためのモータ制御処理214を行い、スイッチ操作部107−1〜107n及びアナログ操作部108−1〜108−nが指示する各動作を加算した制御信号を出力する。
RS485出力回路204は、処理回路210からの前記制御信号を受信し、駆動部203に出力する。
【0019】
駆動部203は、複数のハブ205、・・・、205、前記いずれかのハブ205に接続された複数の直流サーボモータ206、・・・、206を備えている。各モータ206、・・・、206は、前記被制御機器の各関節を駆動するためのモータである。駆動部203では、ハブ205、・・・、205を介して、前記制御信号に対応するモータ206、・・・、206が回転駆動され、これにより、スイッチ操作部107−1〜107−n及びアナログ操作部108−1〜108−nが指示する各動作を加算した駆動動作がモータ206、・・・、206に対して行われる。尚、駆動部203は後述するロボット本体とともにロボットを構成する。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態に係るロボットシステムに使用するロボット301の構成を示す図である。図3では、図1及び図2と同一部分には同一符号を付しているが、モータ206には枝番号1〜20を付すことによって他のモータ206と区別している。
被制御機器である二足歩行型ロボット301は人型に構成されており、複数の関節を有するロボット本体302と駆動部203を備えている。各関節には、駆動部203のハブ205を介して接続されたモータ206−1〜206−20が配設されており、各モータ206−1〜206−20を駆動することによって関節が動くように構成されている。
【0021】
各ハブ205及びモータ206−1〜206−20は、ハブ205を内蔵する電源分岐基板303を介して駆動電力が供給されると共に、図2に示すように、制御回路202のRS485出力回路204に接続されている。
図4はロボット301の重心位置を横方向に移動するように制御する場合の説明図であり、図5はロボット301の重心位置を前後方向に移動するように制御する場合の説明図である。
【0022】
以下、図1〜図5を用いて、本実施の形態に係るロボットシステムの動作を詳細に説明する。
先ず、送信機のスイッチ操作部107−1〜107−nに割当てられた動作をロボット301に行わせる場合、複数のスイッチ操作部107−1〜107−n中の所望の動作が割当てられているスイッチ操作部(例えば、スイッチ操作部107−1)を操作する。
【0023】
信号処理回路102は、スイッチ操作部107−1の操作を表す制御信号を送受信回路103に出力する。送受信回路103は前記制御信号を変調をして無線送信する。
受信制御機側では、受信機201の無線送受信回路207は送信機からの前記変調された制御信号を受信し復調して、制御信号として出力する。
SPI信号送受信回路208は、無線送受信回路207からの前記復調された制御信号を出力する。
【0024】
制御回路202では、SPI信号送受信回路209が前記制御信号を受信し処理回路210に出力する。
処理回路210では、前記制御信号の信号解析処理を行うことによって、どのスイッチ操作部107−1〜107−nが操作され又、どのアナログ操作部108−1〜108−nがどれだけの量操作されたかを解析する(信号解析処理211)。
【0025】
次に、処理回路210は、信号解析処理211の結果、操作スイッチ部(例えば操作部107−1)が操作されたと判断した場合、予め制御回路202内の記憶手段に記憶されている、当該操作されたスイッチ操作部107−1に割当てられた動作を(モーション)行わせるために駆動が必要なモータの情報(モーション制御情報)を読み出す(モーション再生処理212)。前記モーション制御情報には、駆動するモータを特定する情報及び前記モータの駆動量が含まれている。
【0026】
次に、処理回路210は、信号解析処理211の結果、アナログ操作部108−1〜108nが操作されたと判断した場合には、当該操作されたアナログ操作部108−1〜108−nに対応するモータを前記アナログ操作部108−1〜108−nの操作量に応じてロボット301の重心位置を制御するための重心位置制御情報を生成する(重心位置制御処理213)。前記重心位置制御情報には、駆動するモータを特定する情報及び前記アナログ操作部108−1〜108−nの操作量に対応する前記モータの駆動量が含まれている。
ここでは、アナログ操作部108−1〜108−nは操作されていないため、重心位置制御処理213においては前記重心位置制御情報は生成されず、前記重心位置の制御は行われない。
【0027】
次に、処理回路210は、前記モーション制御情報及び重心位置制御情報に基づいて、駆動するモータ及び当該モータの駆動量を表す制御信号を生成し、RS485出力回路204に出力する(モータ制御処理214)。前記制御信号は、本来、前記モーション制御情報及び重心位置制御情報を加算した信号であるが、ここでは、前記重心位置制御情報は生成されていないため、前記制御信号は前記モーション制御情報にのみ対応する信号である。
【0028】
制御回路202は、前記制御信号をRS485出力回路204から駆動部203に出力する。
駆動部203では、前記制御信号に対応するモータ206、・・・、206(即ち、図3のモータ206−1〜206−n)が、前記制御信号に対応する量だけ駆動される。これにより、駆動されたモータ206、・・・、206によって該モータに対応する関節が制御され、ロボット301は、操作されたスイッチ操作部107−1に割当てられた動作を行うことになる。
【0029】
例えば、スイッチ操作部107−1に割当てられた動作が前進歩行の場合、前記制御信号は、右足首ロール軸制御用モータ206−1、左足首ロール軸制御用モータ206−2、右足首ピッチ軸制御用モータ206−3、左足首ピッチ軸制御用モータ206ー4、右ひざ制御用モータ206−5、左ひざ制御用モータ206−6、右股関節ピッチ軸制御用モータ106−7、左股関節ピッチ軸制御用モータ106−8、右股関節ロール軸制御用モータ106−9、左股関節ロール軸制御用モータ106−10を所定順序で所定量駆動するように指示する信号である。スイッチ操作部107−1を操作して前進歩行指示を行うことにより、前記各モータ206−1〜206−10を所定順序で所定量駆動して、ロボット301を前進歩行させる。
【0030】
次に、ロボット301の重心位置を移動する場合の動作を説明する。
この場合、横方向の重心位置移動が割当てられたアナログ操作部108−1、前後方向の重心位置移動が割当てられたアナログ操作部108−2の少なくとも一方を操作する。
例えば、横方向の重心位置移動が割当てられたアナログ操作部108−1を操作した場合、信号処理回路102は、アナログ操作部108−1の操作を表すと共にアナログ操作部108−1の操作量を表す制御信号を送受信回路103に出力する。送受信回路103は前記制御信号を変調をして無線送信する。
【0031】
受信制御機側では、受信機201によって前記変調された制御信号を復調し、SPI信号送受信回路208を介して前記復調された制御信号を出力する。
制御回路202の処理回路210では、前記制御信号の信号解析処理を行うことによって、操作されたスイッチ操作部107−1〜107−n及びアナログ操作部108−1〜108−n並びにアナログ操作部108−1〜108−nの量操作を解析する(信号解析処理211)。
【0032】
ここでは、処理回路210は、信号解析処理211の結果、操作スイッチ部107は操作されていないと判断して、モーション再生処理212においてはモーション制御情報は出力しない。
一方、処理回路210は、信号解析処理211の結果、アナログ操作部108−1が操作されたと判断して、当該操作されたアナログ操作部108−1に対応するモータを前記アナログ操作部108−1の操作量に応じてロボット301の重心位置を制御するための重心位置制御情報を生成する(重心位置制御処理213)。
【0033】
次に、処理回路210は、前記モーション制御情報及び重心位置制御情報に基づいて、駆動するモータ及び当該モータの駆動量を表す制御信号を生成し、RS485出力回路204に出力する(モータ制御処理214)。前記制御信号は、本来、前記モーション制御情報及び重心位置制御情報を加算した信号であるが、ここでは、モーション制御情報は出力されていないため、前記制御情報は前記重心位置制御情報にのみ対応する信号である。
【0034】
駆動部203では、前記制御信号に対応するモータが対応する量だけ駆動される。重心位置移動を制御するモータは、股関節駆動用モータ及び足首関節駆動用モータである。
ここでは、アナログ操作部108−1によって制御される重心位置移動は左右方向への移動制御である。前記制御信号が重心位置を左右方向に移動させる制御信号であるので、制御される股関節制御用モータは右股関節ロール軸制御用モータ206−9及び左股関節ロール軸制御用モータ206−10であり又、制御される足首制御用モータは右足首ロール軸制御用モータ206−1及び左足首ロール軸制御用モータ206−2である。
【0035】
前記制御によってロボット301は、重心位置を右方向に移動する場合、図4(a)の直立位置と同図(b)の右重心移動位置との間で、前記アナログ操作部108−1の操作量に対応する量だけ移動する。また、重心位置を左方向に移動する場合、図4(a)の直立位置と同図(c)の左重心移動位置との間で、前記アナログ操作部108−1の操作量に対応する量だけ移動する。
【0036】
ロボット301の重心位置を前後方向に移動させる場合には、操作部108−2が操作される。
重心位置を前後方向に移動させる動作の場合、制御される関節制御用モータは右股関節ピッチ軸制御用モータ206−7及び左股関節ピッチ軸制御用モータ206−8であり、制御される足首制御用モータは右足首ピッチ軸制御用モータ206−3及び左足首ピッチ軸制御用モータ206−4である。
【0037】
ロボット301は、重心位置を前後向に移動する場合、図5(a)の直立位置と同図(b)の後重心移動位置との間で、前記アナログ操作部108−2の操作量に対応する量だけ移動する。また、重心位置を前方向に移動する場合、図5(a)の直立位置と同図(c)の前重心移動位置との間で、前記アナログ操作部108−2の操作量に対応する量だけ移動する。
【0038】
次に、スイッチ操作部107−1〜107−nのいずれかとアナログ操作部108−1〜108−nのいずれかを同時に操作した場合の動作を説明する。
例えば、スイッチ操作部107−1とアナログ操作部108−1を同時に操作した場合、歩行と同時に重心位置を横方向に移動させることになるため、ロボット301を右又は左に曲がりながら歩行させることができる。
以下、前進歩行の割当て動作と横方向重心位置移動動作を同時に行う場合の動作を詳細に説明する。
【0039】
先ず、前記歩行が割当てられたスイッチ操作部107−1を操作すると同時に、横方向重心位置移動を制御するためのアナログ操作部108−1を所望の量だけ操作する。
信号処理回路102は、スイッチ操作部107−1及びアナログ操作部108−1の操作を表すと共にアナログ操作部108−1の操作量を表す制御信号を出力し、送受信回路103は前記制御信号を変調をして無線送信する。
【0040】
受信制御機側では、無線送受信回路207は送信機からの前記変調された制御信号を受信し、復調して出力する。SPI信号送受信回路208は、無線送受信回路207からの復調された制御信号を出力する。
制御回路202では、SPI信号送受信回路209が前記制御信号を受信し処理回路210に出力する。処理回路210では、前記制御信号の信号解析処理を行うことによって、操作されたスイッチ操作部107−1〜107−nの解析、操作されたアナログ操作部108−1〜108−nの解析及び該操作されたアナログ操作部108−1〜108−nの操作量の解析を行う(信号解析処理211)。
【0041】
次に、処理回路210は、信号解析処理211においてスイッチ操作部107−1が操作されたと判断した場合、予め制御回路202内の記憶手段に記憶されている、当該操作されたスイッチ操作部107−1に割当てられた動作を行わせるために駆動が必要なモータの情報(モーション制御情報)を読み出す(モーション再生処理212)。前記モーション制御情報には、駆動するモータを特定する情報、前記モータの駆動量が含まれている。
【0042】
次に、処理回路210は、信号解析処理211においてアナログ操作部108−1が操作されたと判断した場合には、当該操作されたアナログ操作部108−1に対応するモータを、前記アナログ操作部108−1の操作量に対応する量だけ制御するための重心位置制御情報を生成する(重心位置制御処理213)。前記重心位置制御情報には、駆動するモータを特定する情報、前記モータの駆動量が含まれている。
【0043】
次に、処理回路210は、前記モーション制御情報及び重心位置制御情報に基づいて、駆動するモータ及び当該モータの駆動量を表す制御信号を生成し、RS485出力回路204に出力する(モータ制御処理214)。前記制御信号は、前記モーション制御情報及び重心位置制御情報を加算した信号である。
制御回路202は、前記制御信号をRS485出力回路204から駆動部203に出力する。
【0044】
駆動部203では、前記制御信号に対応するモータ206−1〜206−nが、前記モーション制御情報及び重心位置制御情報を加算した量だけ駆動される。例えば、前記モーション制御情報に基づくモータの角度制御量がθ1、前記重心位置制御情報に基づく前記モータの角度制御量がθ2の場合、前記モーション制御情報と前記重心位置制御情報の双方によって駆動されるモータは、前記制御信号に基づいて角度制御量(θ1+θ2)だけ回転制御されることになる。
【0045】
これにより、駆動されたモータ206−1〜206−nによって該モータに対応する関節が制御され、ロボット301は、操作されたスイッチ操作部107−1〜107−nに割当てられた動作を行うと同時に、重心位置を移動させる動作を行うことになる。
例えば、操作されたスイッチ操作部107−1に割当てられた動作が前進歩行動作で、操作されたアナログ操作部108−1が右重心移動の場合、ロボット301は右に曲がりながら前進歩行を行う。また、操作されたスイッチ操作部107−1に割当てられた動作が前進歩行動作で、操作されたアナログ操作部108−2が左重心移動の場合、ロボット301は左に曲がりながら前進歩行を行う。
【0046】
このように、予め割当てられた所定の動作を指示するスイッチ操作部107−1〜107−nとアナログ的に姿勢制御の指示を行うアナログ操作部108−1〜108−nを用いてロボット301の動作を制御しているので、操作が簡単で、多様な操作を行うことが可能になる。
また、アナログ操作部108−1〜108−nの操作に応じて、リアルタイムに重心位置の移動等を所望の量だけ行わせることが可能になる。
【0047】
また、重心位置を変えるために、少なくともロボット301の股関節と足首関節を動かすためのモータを駆動するようにしているため、簡単な構成によって重心位置移動を実現することが可能になる。
また、摺り足や速歩き等の歩行による移動中に重心位置を移動させることによって、スムーズに進行方向を変えることが可能になる。
また、前記実施の形態ではアナログ的な姿勢制御動作の例として重心位置移動の例で説明したが、他の姿勢制御動作を行うようにしてもよい。
【0048】
尚、前記実施の形態では、前進歩行時に重心位置を横方向に移動させることによって進行方向を変える連で説明したが、割当て動作と共に重心位置を前後に移動させることによっても多様な動作を行わせることが可能になる。
例えば、速歩き状態で急停止させたとき、重心位置を前後に移動させることによって、転倒を防止して、安定な停止動作を行わせることができる。
また、坂道を歩行させる場合でも、重心位置を前後に移動させることにより、安定した歩行動作を行わせることが可能になる。
【0049】
また、パンチを打つ動作を行わせる場合、パンチを打つ動作にあわせて重心位置を前に移動させることにより、破壊力のあるパンチを打たせることが可能になるという効果を奏する。
また、前記実施の形態では、重心位置を移動させるために、股関節と足首関節を制御するように構成したが、股関節及び足首関節とともに腕を伸ばすことにより、重心位置を移動させるようにしてもよい。
【0050】
また、股関節及び足首関節を制御する代わりに、腕を伸ばすように制御することにより、重心位置を移動させるようにしてもよい。但し、腕によって重心位置を変えるよりも股関節と足首関節の制御によって重心位置を変えた方が、パンチ打つときに重心位置を前に出して威力のあるパンチを打つ動作をさせる等、多様な動作が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ロボット301を電波や赤外線による無線によって遠隔制御するホビー用ロボットシステムをはじめとして、屋内や屋外で使用する各種のロボットシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係るロボットシステムに使用する送信機のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るロボットシステムに使用する受信制御機のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るロボットシステムに使用するロボットの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るロボットシステムにける重心位置の横方向移動制御の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るロボットシステムにける重心位置の前後方向移動制御の説明図である。
【符号の説明】
【0053】
101・・・操作部
102・・・制御信号出力手段を構成する信号処理回路
103・・・送信手段を構成する送受信回路
105・・・割当て動作指示部105
106・・・アナログ量指示部
107−1〜107−n・・・スイッチ操作部
108−1〜108−n・・・アナログ操作部
201・・・受信手段を構成する受信機201
202・・・制御手段を構成する制御回路
203・・・駆動部
204・・・RS485出力回路
205・・・ハブ
206、206−1〜206−n・・・モータ
207・・・無線送受信回路
208、209・・・SPI信号送受信回路
210・・・処理回路
211・・・信号解析処理
212・・・モーション再生処理
213・・・重心位置調整処理
214・・・サーボモータ制御処理
301・・・ロボット
302・・・ロボット本体
303・・・電源分岐基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
割当てられた動作を指示するスイッチ操作部と、操作量に応じた量の動作を指示するアナログ操作部と、前記スイッチ操作部及びアナログ操作部の操作に応じた制御信号を出力する制御信号出力手段と、前記制御信号を送信する送信手段とを有する送信機と、
複数の関節及び前記各関節を駆動する複数のモータを有するロボットと、
前記送信機からの制御信号を受信して出力する受信手段と、前記受信手段からの制御信号に応答して前記モータを駆動することによって前記ロボットの関節を制御する制御手段とを備えて成ることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記制御信号に応答して前記モータに対し、前記スイッチ操作部及びアナログ操作部が指示する各動作を加算した駆動を行うことを特徴とする請求項1記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記アナログ操作部によって指示する動作は、前記ロボットの姿勢制御動作であることを特徴とする請求項1又は2記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記姿勢制御動作は、前記ロボットの重心位置を移動する制御動作であることを特徴とする請求項3記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記重心位置を移動するために、少なくとも前記ロボットの足首関節と股関節を動かすためのモータを駆動することを特徴とする請求項4記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記足首関節と股関節を制御するためのモータとして、前記各関節に少なくともロール軸制御用モータ及びピッチ軸制御用モータが設けられて成ることを特徴とする請求項5記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−100287(P2008−100287A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282184(P2006−282184)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】