説明

ロボット機構

【課題】
外部から手動で動かすことができる受動状態と、動力でロボットを動かす能動状態とに切り換えられるようにする。
【解決手段】
第1クラッチ65によって、第1駆動系D1の駆動伝達経路を開放して、スライダ24のスライド移動及び第1リンク材42の回動運動が自由となる受動状態とすれば、人間の腕力等の外力よって、スライダ24、第1リンク材42及び第2リンク材46を動かすことができる。第1クラッチ65によって、第1駆動系D1の動力がスライダ24及び第1リンク材42に伝達される能動状態とすれば、第1モータ72によって、スライダ24、第1リンク材42及び第2リンク材46を動かし、作業を進めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医療遠隔診断等に用いられるロボットのロボット機構に関する。
【背景技術】
【0002】
医療遠隔診断等に用いられるロボットとしては、いわゆる産業ロボットマニピュレータを利用するものがある。従来の産業ロボットマニピュレータでは、各ロボット関節に駆動モータが配置されているため、ロボット自体の形状及び重量が大きく、特に受診者に接触して作業するような場合には、受診者へ圧迫感や恐怖心を抱かせて実用的ではない。
【0003】
この問題を解決するため、駆動モータを装置基部に配置し、各ロボット関節をワイヤで駆動させ、装置の軽量化を図ったものが開示されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−96485
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワイヤで駆動させて、ロボットの形状及び重量を小さくしたとしても、ロボットで作業する場合、その操作主体である医者と、作業客体である受診者は別人であるため、受診者はロボットの動作を予測できず、特にロボットが大きく動作をする場合は、受診者に圧迫感や恐怖心を与えてしまう。従って、受診者自らが、一定の範囲でロボットを動かせることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、外部から手動で動かすことができる受動状態と、動力でロボットを動かす能動状態とに切り換えられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るロボット機構は、作業エリアに設置される架台と、前記架台に沿って直動する直動体と、前記直動体に回動可能に設けられたアームと、を備えたロボット機構において、前記直動体を直動させる第1駆動系と、前記第1駆動系から動力を伝達され、前記アームを回動させる第1関節駆動系と、前記第1駆動系の駆動伝達経路を開放して、前記直動体の直動及び前記アームの回動運動を自由とする受動能動切換手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、第1駆動系を、受動能動切換手段によって、第1駆動系の駆動伝達経路を開放して直動体の直動運動及びアームの回動運動が自由となる受動状態とすれば、人間の腕力等の外力よって、直動体を直動させ、アームを回動させることができる。
【0008】
従って、ロボットの作業客体が人間である場合に、その人間が、直動体及びアームを手で持って、直動体及びアームを動かすことができる。
【0009】
このため、精度を要しない大きな動作を伴う粗位置決めの段階では、作業客体である人間が、自ら、自分の体の傍に又は自分の体に接触する位置に、アームを持ってくることができ、直動体及びアームが、作業客体である人間の予測外の動作をすることがなく、作業客体である人間に恐怖心を与えることがない。
【0010】
そして、アームの粗位置決めをした後は、第1駆動系を、受動能動切換手段によって、第1駆動系の動力が直動体及び第1関節駆動系へ伝達される能動状態とすれば、第1駆動系によって直動体を架台に沿って直動させ、直動体に設けられたアームを、第1関節駆動系によって回動させ、作業を進めることができる。
【0011】
本発明の請求項2に係るロボット機構は、請求項1の構成において、前記直動体に重力と反対方向の力を作用させ静止均衡させる重力均衡装置と、前記アームに重力による回転モーメントと反対方向のモーメントを作用させ静止均衡させるモーメント均衡装置と、を有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、重力均衡装置よって、直動体に重力と反対方向の力を作用させ静止均衡させることができる。また、モーメント均衡装置よって、アームに重力による回転モーメントと反対方向のモーメントを作用させ静止均衡させることができる。
【0013】
従って、ロボットの作業客体である人間が直動体及びアームを動かす際に、その直動体及びアームの重量を軽減でき、軽い力でも直動体及びアームを動かすことができる。
【0014】
また、ロボットの作業客体である人間が、直動体及びアームを手で持って、直動体及びアームを動かし、自ら自分の体の傍に、アームを持ってきた後、その外力が除かれても、直動体及びアームは、その位置で静止均衡する。
【0015】
このため、ロボットの作業客体である人間が、受動状態における直動体及びアームの操作を容易にできる。
【0016】
また、第1駆動系を能動状態とした場合も、直動体及びアームの重量を軽減できるため、直動体及びアームを動かす動力を抑えることができる。さらに、重力均衡装置及びモーメント均衡装置の静止均衡作用によって、直動体及びアームの駆動制御が容易となる。
【0017】
請求項2に記載のモーメント均衡装置の具体的な構成としては、本発明の請求項3に記載のように、バネの引張力によってアームに重力による回転モーメントと反対方向のモーメントを作用させるバネ式定荷重装置であって、前記バネは、前記アームの回転角度に依存して巻き取り半径が変わるプーリを介して、前記アームに接続される構成とすることができる。
【0018】
本発明の請求項4に係るロボット機構は、請求項1〜3の何れか1項の構成において、前記アームの端部に回動可能に設けられた回動体と、前記回動体を回動させる第2関節駆動系と、を有することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、アームの端部に設けられた回動体は、第1駆動系と別に設けられた第2関節駆動系によって回動することができる。このため、ロボットの作業範囲及び作業自由度を拡大することができる。
【0020】
なお、この回動体の先に、さらに、別駆動系によって駆動されるリンクを増設してもよい。このように構成すれば、さらに、ロボットの運動の自由度が拡大できる。
【0021】
本発明の請求項5に係るロボット機構は、請求項1〜4の何れか1項の構成において、前記第1関節駆動系と前記アームとの間に設けられ、前記第1駆動系からワイヤを介して伝達される動力を減速して前記アームに伝達する減速機を有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、第1駆動系からの動力は、ワイヤを介して、第1関節駆動系とアームとの間に設けられた減速機に伝達される。減速機は、伝達された動力を減速してアームに伝達する。すなわち、第1関節駆動系からの動力を減速機内で低速、高トルクの回動エネルギーに変換して取り出されて、アームに伝達され、アームが回動する。
【0023】
また、本発明の請求項6に係るロボット機構は、請求項1〜5の何れか1項の構成において、前記第2駆動系と前記回動体との間に設けられ、前記第2駆動系からワイヤを介して伝達される動力を減速して前記回動体に伝達する減速機を有することを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、第2駆動系からの動力は、ワイヤを介して、第2関節駆動系と回動体との間に設けられた減速機に伝達される。減速機は、伝達された動力を減速して回動体に伝達する。すなわち、第1関節駆動系からの動力を減速機内で低速、高トルクの回動エネルギーに変換して取り出されて、回動体に伝達され、回動体が回動する。
【0025】
請求項5、6のように、駆動系と、回動するアーム又は回動体との間に減速機を設けることにより、減速機が駆動源(例えば、モータ)に直接、接続されている場合に比べ、動力を伝達するワイヤの張力が小さくなるため、ワイヤの伸び及び摩擦が低減され、駆動系から伝達される回動力の回動方向を転換させたときに起きるバックラッシを抑えることができ、ロボットの滑らかな動きを実現できる。
【0026】
また、コイル状の蛇管にインナーワイヤを通して動力を伝達する蛇管式ワイヤを介して、動力の伝達が行われる場合は、蛇管とインナーワイヤとの間の摩擦が軽減し、蛇管とインナーワイヤとの間の摩擦に起因するヒステリシス特性が低減され、滑らかな制御が可能となる。
【0027】
本発明の請求項7に係るロボット機構は、請求項1〜6の何れか1項の構成において、前記架台に前記直動体の直動方向へ延設されたリニアガイドと、前記リニアガイドに沿って設けられたラックと、前記直動体に設けられ、前記リニアガイドにガイドされるガイドブロックと、前記直動体に設けられ、前記直動体の直動に伴なって前記ラックと噛合い回転するピニオンと、前記ピニオンの回転をロック可能な第1ブレーキと、を有することを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、第1駆動系によって直動体が直動する際に、直動体に設けられガイドブロックが、直動体の直動方向へ延設されたリニアガイドにガイドされる。また、直動体の直動に伴なって、リニアガイドに沿って設けられたラックに、直動体に設けられたピニオンが噛み合って回転する。
【0029】
そして、第1ブレーキによって、ピニオンの回転をロックすれば、直動体の直動を阻止することができる。
【0030】
従って、直動体の直動を阻止した状態で、アーム及び回動体の回動が可能となるため、ロボットの目的作業を狭い領域で実施することができる。
【0031】
本発明の請求項8に係るロボット機構は、請求項1〜7の何れか1項の構成において、前記第1駆動系は、前記架台の一端部に設けられた回動自在の第1アイドルプーリと、前記架台の他端部に設けられ第1モータで回転する第1駆動プーリと、前記第1駆動プーリと第1モータとの間に設けられた第1クラッチと、を備え、前記第1関節駆動系は、前記直動体に設けられた第1直動体プーリと、前記アームに設けられた第1関節プーリを備え、前記第1関節プーリから第1直動体プーリ、第1アイドルプーリ、第1駆動プーリ、該第1直動体プーリ、該第1関節プーリへと第1ワイヤがループ状に巻き掛けられていることを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、重量の重い第1モータを架台の端部に設け、ワイヤを介して第1駆動系及び第1関節駆動系に動力が伝達している。また、単一のモータで、第1関節駆動系及び第1駆動系に動力が伝達し、直動体を直動させ、アームを回動できる。このため、ロボットの軽量化、小型化を図ることができ、作業客体である人間に恐怖心を軽減できる。また、第1クラッチを受動能動切換手段として使用することができる。
【0033】
本発明の請求項9に係るロボット機構は、請求項8の構成において、前記第1直動体プーリの回転をロック可能な第2ブレーキを設けたことを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、第2ブレーキによって、第1直動体プーリの回転をロックし、アームの回動運動を阻止することができるため、アームの回動運動を阻止した状態で、直動体の直動及び回動体の回動が可能となる。
【0035】
また、第1ブレーキと共に第2ブレーキよって、直動体の直動運動及びアームの回動運動を阻止すれば、直動体の直動運動及びアームの回動運動を阻止した状態で、回動体の回動が可能となる。従って、ロボットの目的作業を狭い領域で実施することができる。
【0036】
また、第2関節駆動系は、本発明の請求項10に記載のように、前記架台の一端部に設けられた回動自在の第2アイドルプーリと、前記架台の他端部に設けられ第2モータで回転する第2駆動プーリと、前記第2駆動プーリと第2モータとの間に設けられた第2クラッチと、前記直動体に設けられた第2直動体プーリと、前記アームの一端に設けられた第2関節プーリと、前記第2関節プーリの同軸上に設けられた第3関節プーリと、前記アームと前記回動体とを連結する連結体に設けられた第4関節プーリと、前記回動体に設けられた第5関節プーリと、を備え、前記第2関節プーリから第2直動体プーリ、第2アイドルプーリ、第2駆動プーリ、該第2直動体プーリ、該第2関節プーリへと第2ワイヤがループ状に巻き掛けられ、第3関節プーリから第4関節プーリへと第3ワイヤがループ状に巻き掛けられ、第4関節プーリから第5関節プーリへと第4ワイヤがループ状に巻き掛けられているようにすることもできる。
【0037】
本発明の請求項11に係るロボット機構は、請求項10の構成において、前記アームは、一端が直動体に軸支され第1関節プーリが取り付けられた第1シャフトへ連結され、他端が連結体を支持する第1支持シャフトに連結された第1リンク材と、一端が直動体に軸支され第2関節プーリが取り付けられた第2シャフトへ連結され、他端が連結体を支持する第2支持シャフトに連結されると共に第1リンク材と平行な第2リンク材とで構成されることを特徴とする。
【0038】
この構成によれば、アームは、第1リンク材とこの第1リンク材と平行な第2リンク材とで、構成されている。すなわち、アームは、いわゆる平行リンクを構成している。この平行リンク機構においては、リンクの出力側に作用する外力に抗して平行リンクを静止させるのに必要なリンク駆動トルクは外力の作用点に依存せず、リンクの回転角度のみに依存する。このため平行リンクの出力側に取り付けられるロボット機構部の姿勢変化による重心移動(外力作用点の移動)に影響されない平行リンクの平衡(静止)装置が容易に設計でき、平行リンクの非駆動状態におけるロボットの任意姿勢での静止平衡の機能が実現できる。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、上記構成としたので、外部から手動で動かすことができる受動状態と、動力でロボットを動かす能動状態とに切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明のロボット機構に係る一の実施の形態を図1〜図10に基づき説明する。
【0041】
まず、ロボット機構の全体の構成について図1〜図3に基づき説明する。
【0042】
図1には、ロボット機構の正面図が示され、図2には、ロボット機構の右側面図が示されている。図3には、ロボット機構において動作する各部(スライダ、アーム、連結体、回動体)が簡略に示されている。
【0043】
図1、図2に示すように、ロボット機構10は、遠隔医療診断等が行われる作業エリアに設置される架台12を備えている。架台12は、対面して配置された一対のフレーム14を備えている。フレーム14の上下端部は、横板13で連結され、架台12は、ボックス状を形成している。
【0044】
この架台12内には、上下方向に延びるリニアガイド16が設けられている。このリニアガイド16の上下方向両端部は、フレーム14に掛け渡されたガイド固定部材18に、ボルト20で固定されている。このリニアガイド16にガイドされ、架台12の長手方向(A方向)に沿って、スライド移動(直動)するスライダ(直動体)24が、架台12に設けられている。
【0045】
図3に示すように、スライダ24は、その中央部に固定されたガイドブロック26がリニアガイド16にガイドされ、後述する第1駆動系D1の動力によって、スライド移動する。
【0046】
このリニアガイド16には、リニアガイド16に沿って上下方向に延びるラック17が設けられている。このラック17と噛み合って回転するピニオン22が、ピニオン軸23に固定され、ピニオン軸23はスライダ24の基端部(左端部)24Aに回転可能に軸支されている。すなわち、スライダ24が上下にスライド移動すると、それに伴って、ピニオン22がラック17と噛み合いながら回転するようになっている。このピニオン22の回転をロックする第1ブレーキB1がスライダ24に取り付けられている。第1ブレーキB1は、ピニオン軸23の回転を阻止することによって、ピニオン22の回転をロックするようになっている。ピニオン22の回転がロックされると、スライダ24の位置は固定され、上下方向のスライド移動が阻止されることになる。
【0047】
なお、このピニオン軸23の下側には、回動シャフト25が回動可能に軸支されている。また、ガイドブロック26には、後述する第1バネ式定荷重装置(重力均衡装置)G1から巻き出された巻きバネ30が取り付けられている。
【0048】
図3に示すように、スライダ24は、対向する前面板32と後面板34とで構成されている。スライダ24の基端部(左端部)24Aが架台12の中央部に位置し(図1参照)、スライダ24の先端部(右端部)24Bは、上方へ屈曲する屈曲部24Cを介して、架台12の右方向へ延びている。
【0049】
また、後面板34には、後述する第1波動歯車装置(減速機)H1が取り付けられており、第1波動歯車装置H1を介して、前面板32と後面板34とに第1シャフト40が回動可能に軸支されている。この第1シャフト40には、第1リンク材(アーム)42の後端部が固定されている。この第1リンク材42は、後述する第1関節駆動系D2によってB方向に回動する。また、前面板32には、後述する第2バネ式定荷重装置G2が設けられ、この第2バネ式定荷重装置G2から巻き出された巻きバネ35は、連結ワイヤ37を介して、第1シャフト40に取り付けられている巻付プーリ39の巻掛け部39Aに取り付けられている。
【0050】
また、スライダ24の先端部24Bには、前面板32及び後面板34に回動可能に第2シャフト44が軸支されている。この第2シャフト44には、第2シャフト44に対して回動可能に、第1リンク材42に対して平行に第2リンク材(アーム)46の後端部が取り付けられ、第1リンク材42及び第2リンク材46で平行リンク機構を構成する。
【0051】
第1リンク材42及び第2リンク材46の先端部は、連結体48としての前面フレーム52と後面フレーム54とを支持する第1支持シャフト56及び第2支持シャフト58が、取り付けられている。
【0052】
連結体48には、架台12の長手方向に直交する方向(前後方向)を回動軸にして回動可能に回動体50が取り付けられている。回動体50は、右側面から見ると、凹の字形状をしており(図2参照)、回動体50の一端部は前面フレーム52の外側面に、回動体50の他端部は後面フレーム54の外側面に位置しており、それぞれ、後述する第2波動歯車装置(減速機)H2(図3では、前面側のみ図示)に取り付けられている。なお、回動体50は、後述する第2関節駆動系D3によってC方向に回動する。
【0053】
次に、スライダ24をスライド移動させる第1駆動系、アームを回動させる第1関節駆動系及び回動体50を回動させる第2関節駆動系について説明する。
【0054】
図4には、各駆動系の全体概略が示されている。
【0055】
図4に示すように、第1駆動系D1は、第1駆動プーリ62及び第1アイドルプーリ64の2つのプーリで構成されている。第1駆動系D1から動力を伝達される第1関節駆動系D2は、第1直動体プーリ66及び第1関節プーリ68の2つのプーリで構成されている。この4つのプーリには、第1ワイヤ70がループ状に巻き掛けられ、単一の第1モータ72から第1駆動プーリ62に動力が付与されて、第1駆動系D1及び第1関節駆動系D2は駆動する。
【0056】
なお、第1直動体プーリ66は、前面板32に取り付けられた第2ブレーキB2で制動される回動シャフト25に固定されており、第1関節プーリ68は、第1シャフト40に設けられた第1波動歯車装置(減速機)H1に取り付けられている。また、第1モータ72の駆動軸には、第1クラッチ65が設けられている。
【0057】
第2関節駆動系D3は、第2駆動プーリ82、第2アイドルプーリ84、第2直動体プーリ86、第2関節プーリ88、第3関節プーリ94、第4関節プーリ96及び第5関節プーリ98の7つのプーリで構成されている。
【0058】
第2直動体プーリ86、第2アイドルプーリ84、第2駆動プーリ82、第2関節プーリ88の4つのプーリには、第1駆動系D1及び第1関節駆動系D2の場合と同様に、第2ワイヤ90がループ状に巻き掛けられ、第2関節プーリ88と同軸上ある第3関節プーリ94から第4関節プーリ96に第3ワイヤ91がループ状に巻き掛けられ、第4関節プーリ96から第5関節プーリ98に丸ベルト(第4ワイヤ)93がループ状に巻き掛けられている。上記構成により、単一の第2モータ92から第2駆動プーリ82に動力が付与されて、第2関節駆動系D3は駆動する。
【0059】
なお、第2直動体プーリ86は、ピニオン軸23に対して回動可能に取り付けられ、第2関節プーリ88及び第3関節プーリ94は、第2リンク材46の後端部が回動可能に取り付けられた第2シャフト44に固定されている。また、第4関節プーリ96は、第2リンク材46の先端部が取り付けられた第2支持シャフト58に対して回動可能に取り付けられている。また、第2モータ92の駆動軸には、第2クラッチ85が設けられている。
【0060】
図5(図1における5−5線断面図)には、架台12の下部が示されている。
【0061】
図5に示すように、第1駆動系D1に動力を付与する第1モータ72は、架台12の横板13から立設する取付板73に取り付けられている。第1モータ72の駆動軸は、第1クラッチ(受動能動切換手段)65を介して、第1駆動プーリ62が固定された駆動プーリ軸63に接続されている。駆動プーリ軸63は、フレーム14とフレーム14の内側にある内側フレーム15Aとに回動可能に軸支されている。
【0062】
第1クラッチ65により、第1モータ72の駆動軸と駆動プーリ軸63との接続を断絶し、スライダ24のスライド移動及び第1リンク材42の回動を自由とする状態(受動状態)と、第1モータ72の駆動軸と駆動プーリ軸63とを接続し、第1モータ72の動力を第1駆動プーリ62に伝達する状態(能動状態)との切り換えが可能となる。
【0063】
第1駆動プーリ62に巻き掛けられた第1ワイヤ70の一端(左側)は、第1アイドルプーリ64のある架台12の上端部へ延び、第1ワイヤ70の他端(右側)は、第1直動体プーリ66のあるスライダ24へ延びている。
【0064】
一方、第2関節駆動系D3の第2モータ92は、架台12の横板13から立設する取付板93に取り付けられている。第2モータ92の駆動軸は、第2クラッチ85を介して、第2駆動プーリ82が固定された駆動プーリ軸83に接続されている。駆動プーリ軸83は、フレーム14とフレーム14の内側にある内側フレーム15Bとに回動可能に軸支されている。
【0065】
第2クラッチ85により、第2モータ92の駆動軸と駆動プーリ軸83との接続を断絶し、第2モータ92の動力を第2駆動プーリ82に伝達しない状態と、第2モータ92の駆動軸と駆動プーリ軸83とを接続し、第2モータ92の動力を第2駆動プーリ82に伝達する状態との切り換えが可能となる。
【0066】
第2駆動プーリ82に巻き掛けられた第2ワイヤ90の一端(左側)は、第2アイドルプーリ84のある架台12の上端部へ延び、第2ワイヤ90の他端(右側)は、第2直動体プーリ86のあるスライダ24へ延びている。
【0067】
図6(図1における6−6線断面図)には、架台12の上部が示されている。
【0068】
図6に示すように、架台12の上端部のフレーム14には、前後方向に固定軸69がボルト67で固定されている。この固定軸69の奥側には、第1駆動系D1の第1アイドルプーリ64が、固定軸69対して回動可能に取り付けられている。第1駆動プーリ62から上ってきた第1ワイヤの70一端が、この第1アイドルプーリ64の一端側(左側)から巻き掛けられ、巻き掛けられた第1ワイヤ70は、他端側(右側)から第1直動体プーリ66のあるスライダ24へ延びている。
【0069】
一方、第2関節駆動系D3の第2アイドルプーリ84は、この固定軸69の手前側に、固定軸69対して回動可能に取り付けられている。第2駆動プーリ82から上ってきた第2ワイヤ90の一端が、この第2アイドルプーリ84の一端側(左側)から巻き掛けられ、巻き掛けられた第2ワイヤ90は、他端側(右側)から第2直動体プーリ86のあるスライダ24へ延びている。
【0070】
図7(図1における7−7線断面図)には、スライダの上面図が示され、図8(図1における8−8線断面図)には、スライダの左側面図が示されている。
【0071】
図7、8に示すように、第1関節駆動系D2の第1直動体プーリ66は、後面板34の後方で、回動シャフト25に固定されている。回動シャフト25は、スライダ24の基端部(左端部)の下部側で(図8参照)、前面板32及び後面板34に軸支され、第1直動体プーリ66は、回動可能とされている。この第1直動体プーリ66の回動をロックする第2ブレーキB2が前面板32に取り付けられている。第2ブレーキB2は、回動シャフト25の回動を阻止することによって、第1直動体プーリ66の回動をロックするようになっている。
【0072】
また、第1直動体プーリ66には、ワイヤを巻き掛ける手前側巻掛け部66A及び奥側巻掛け部66Bが設けられている。第1アイドルプーリ64から下ってきた第1ワイヤ70は、手前側巻掛け部66Aに巻き掛けられると共に、第1関節プーリ68にのある右方向へ延びている。第1駆動プーリ62から上ってきた第1ワイヤ70は、奥側巻掛け部66Bに巻き掛けられると共に、第1関節プーリ68にのある右方向へ延びている。
【0073】
また、スライダ24の屈曲部24Cには(図3参照)、第1関節プーリ68が、第1波動歯車装置H1を介して前後方向を回動軸にして回動可能に後面板34に取り付けられている。この第1関節プーリ68に、手前側巻掛け部66A及び奥側巻掛け部66Bから延びる第1ワイヤ70が巻き掛けられ、第1ワイヤ70は一続きのループ状となっている。
【0074】
すなわち、第1モータ72によって第1駆動プーリ62を回動させると、ループ状の第1ワイヤ70が動作し、第1アイドルプーリ64、第1直動体プーリ66及び第1関節プーリ68が回動する。第1関節プーリ68が回動すると、第1波動歯車装置H1を介して第1シャフト40と一体に第1リンク材42が回動する。
【0075】
第1関節プーリ68の回動力は、第1波動歯車装置(例えば、ハーモニックドライブ「ハ−モニツク・ドライブ・システムズ社の登録商標」)H1を構成するウェーブジェネレータh1から入力され、この回動力を減速して(低速、高トルクの回動エネルギーに変換して)、第1波動歯車装置H1を構成するフレクスプラインh2から出力され、第1リンク材42に回動力が伝達される。
【0076】
また、第2ブレーキB2によって、第1直動体プーリ66の回動をロックすれば、第1リンク材42の回動も阻止されることになる。
【0077】
一方、第2関節駆動系D3の第2直動体プーリ86は、前面板32の前方で、ピニオン22が固定されたピニオン軸23に対して回動可能に取り付けられている。
【0078】
ピニオン軸23は、スライダ24の基端部(左端部)の上部側で(図8参照)、前面板32及び後面板34に軸支され、第2直動体プーリ86は、前後方向を回動軸にして回動可能とされている。なお、このピニオン軸23の回転は、後面板34に取り付けられた第1ブレーキB1によってロックできるが、ピニオン軸23の回転がロックされても、第2直動体プーリ86は、ピニオン軸23に対して回動可能とされているので、第2直動体プーリ86の回動はロックされることはない。
【0079】
第2直動体プーリ86には、ワイヤを巻き掛ける手前側巻掛け部86A及び奥側巻掛け部86Bが設けられている。第2アイドルプーリ84から降りてきた第2ワイヤ90は、手前側巻掛け部86Aに巻き掛けられると共に、第2関節プーリ88のある右方向へ延びている。第2駆動プーリ82から上ってきた第2ワイヤ90は、奥側巻掛け部86Bに巻き掛けられると共に、第2関節プーリ88のある右方向へ延びている。
【0080】
また、スライダ24の先端部24Bで、前後方向を回動軸にして回動可能に軸支された第2シャフト44には、前面板32の前方で第2関節プーリ88が固定されている。この第2関節プーリ88に、第2直動体プーリ86から延びる第2ワイヤ90が巻き掛けられ、第2ワイヤ90は、一続きのループ状となっている。
【0081】
第2シャフト44には、前面板32及び後面板34の間で、第3関節プーリ94が固定されている。この第3関節プーリ94には、第3ワイヤ91が巻きつけられ、この第3ワイヤ91は、連結体48に設けられた第4関節プーリ96のある右下方へ延びている。
【0082】
なお、第2リンク材46は第2シャフト44に対して、回動可能に取り付けられているので、第2シャフト44が回動しても、その回動力は第2リンク材46に伝達しない。
【0083】
図9(図1における9−9線断面図)には、連結体48及び回動体50が示されている。
【0084】
第2関節駆動系D3の第4関節プーリ96は、第2リンク材46が取り付けられた第2支持シャフト58に対して、回動可能に取り付けられている。
【0085】
第4関節プーリ96には、ワイヤを巻き掛ける手前側巻掛け部96A及び奥側巻掛け部96Bが設けられている。第3関節プーリ94から降りてきた第3ワイヤ91は、奥側巻掛け部96Bに巻き掛けられ、ループ状となっている。
【0086】
さらに、手前側巻掛け部96A及びその下方にある第5関節プーリ98には、丸ベルト95が巻き掛けられ、ループ状となっている。
【0087】
第5関節プーリ98は、連結体48の前面フレーム52及び後面フレーム54にそれぞれ取り付けられた第2波動歯車装置H2に支持されている。
【0088】
すなわち、第2モータ92によって第2駆動プーリ82を回動させると、ループ状の第2ワイヤ90が動作し、第2アイドルプーリ84、第2直動体プーリ86及び第2関節プーリ88が回動する。第2関節プーリ88が回動すると、同軸上に固定された第3関節プーリ94回動が回動し、ループ状の第3ワイヤ91が動作し、第4関節プーリ96が回動する。第4関節プーリ96が回動すると、ループ状の丸ベルト95が動作し、第5関節プーリ98が回動し、第2波動歯車装置H2を介して回動体50が回動する。
【0089】
第5関節プーリ98の回動力は、第1波動歯車装置H1の場合と同様に、ウェーブジェネレータh1から入力され、この回動力を減速して(低速、高トルクの回動エネルギーに変換して)フレクスプラインh2から出力され、回動体50に回動力が伝達される。
【0090】
次に、スライダ24に重力と反対方向の力を作用させ静止均衡させる第1バネ式定荷重装置(重力均衡装置)G1及び、アームに重力による回転モーメントと反対方向のモーメントを作用させ静止均衡させるモーメント均衡装置について説明する。
【0091】
図1、図2、図3、図6に示すように、スライド移動するスライダ24に重力と反対方向の力を作用させ静止均衡させる第1バネ式定荷重装置G1が、架台12の上端部に設けられている。第1バネ式定荷重装置G1は、フレーム14に回動可能に軸支された取付軸28に取り付けられている。この第1バネ式定荷重装置G1から巻き出された巻きバネ30が、スライダ24のガイドブロック26に固定されている。この巻きバネ30は、その巻き出し量に関係なく、スライダ24に対して一定の上方への引張力を発生させる。この引張力は、スライダ24の重力と等しくされ、スライダ24を静止均衡させるようになっている。
【0092】
一方、図7に示すように、アームの自重による回転モーメントと反対方向のモーメントをアームに作用させ静止均衡させるモーメント均衡装置は、第1リンク材42の回動中心である第1シャフト40に同軸上に取り付けられ、第1リンク材42と一体に回動する巻付プーリ39を備えている。この巻付プーリ39の回動中心から半径方向へ延出し、第1リンク材42が回動して、第1リンク材42と第2リンク材46との重心が巻付プーリ39の回動中心から離れるに従い、先端に一端が連結される連結ワイヤ37をプーリの回動中心から遠ざける巻掛け部39Aが設けられている。
【0093】
前面板32の前方側に固定されている第2バネ式定荷重装置G2から巻き出された巻きバネ35は、連結ワイヤ37に接続され、この連結ワイヤ37の先端部は、この巻掛け部39Aの曲線部分に巻き掛けられ、連結ワイヤ37の先端は、巻掛け部39Aの外縁に固着されている。このため、第2バネ式定荷重装置G2から巻き出された巻きバネ35の引張力が、巻付プーリ39の巻掛け部39Aから第1シャフト40を通じて、第1シャフト40に固定された第1リンク材42に反対方向のモーメントを作用させる。
【0094】
図10には、アーム(第1リンク材42及び第2リンク材46)に重力による回転モーメントと反対方向のモーメントを作用させて静止均衡させる原理が簡略に示されている。
【0095】
アームの重力による回転モーメントに抗して平行リンクを静止させ得る理由は次のようである。図10に示すように、第1リンク材42と第2リンク材46は平行リンクを構成し、第1関節プーリ68によって駆動される。この機構では荷重Wが第1リンク材42を回転させようとするトルクと釣合う反対方向の第1関節プーリ68の必要モーメントは、τ=W・Lsinφとなる(ここにLは平行リンク(第1リンク材42及び第2リンク材46)の長さ、φはリンク角である)。この釣合わせモーメントτを第2バネ式定荷重装置G2から繰り出される連結ワイヤ37の一定引張力Fを利用して得るために、巻付プーリ39から巻き出される連結ワイヤ37の巻き取り半径rをリンク角φに依存して、r(φ)=(W・L/F)sinφ(Kはある定数)のごとく変化させる曲線に巻掛け部39Aを形成しているためである。
【0096】
次に、上記の実施の形態について作用を説明する。
【0097】
まず、精度を要しない大きな動作を伴う粗位置決めの段階では、第1クラッチ65によって、第1モータ72の駆動軸と駆動プーリ軸63の接続を断絶し、スライダ24のスライド移動及び第1リンク材42の回動運動が自由となる受動状態とする。
【0098】
受動状態とすれば、作業客体である人間が、スライダ24、第1リンク材42及び第2リンク材46を動かし、自ら、自分の体の傍に又は自分の体に接触する位置に、連結体48及び回動体50を持ってくることができる。作業客体である人間自身がロボットを動作させることにより、作業客体である人間は圧迫感、恐怖心等を感じることが無くなる。
【0099】
この際、スライダ24は、第1バネ式定荷重装置G1によって、重力と反対方向の力が作用し、静止均衡する。また、第1リンク材42も、第2バネ式定荷重装置G2によって、重力による回転モーメントと反対方向のモーメントが作用し、静止均衡する。このため、スライダ24、第1リンク材42及び第2リンク材46を、軽い力で動かすことができる。
【0100】
また、作業客体である人間が、自ら自分の体の傍に又は自分の体に接触する位置に、連結体48及び回動体50を持ってきた後、その外力が除かれても、連結体48及び回動体50は、その位置で静止均衡する。このため、作業客体である人間が、受動状態におけるスライダ24、第1リンク材42及び第2リンク材46の操作を容易にできる。
【0101】
連結体48及び回動体50の粗位置決めをした後は、第1クラッチ65によって、第1モータ72の駆動軸と駆動プーリ軸63とを接続し、スライダ24及び第1リンク材42に第1モータ72の動力が伝達される能動状態とする。これにより、第1モータ72によって、スライダ24及び第1リンク材42を動かすことが可能となる。
【0102】
スライダ24及び第1リンク材42を動かす際にも、第1バネ式定荷重装置G1及び第2バネ式定荷重装置G2によって、スライダ24及び第1リンク材42にかかる重量を軽減できるため、スライダ24及び第1リンク材42を動かす動力を抑えることができる。また、第1バネ式定荷重装置G1及び第2バネ式定荷重装置G2の静止均衡作用によって、スライダ24及び第1リンク材42の駆動制御が容易となる。
【0103】
次に、第1ブレーキB1によって、スライダ24のスライド移動を阻止すると共に、第2ブレーキB2によって、第1リンク材42の回動を阻止する、又はスライド移動及び回動のどちらか一方を阻止する。
【0104】
そして、スライダ24のスライド移動、第1リンク材42及び第2リンク材46の回動のうち、少なくともどちらか一方を阻止した状態で、第2モータ92の動力により回動体50を回動する。これにより、ロボットの目的作業を狭い領域で実施することができる。
【0105】
スライダ24、第1リンク材42及び回動体50は、架台12の基部に取り付けられたモータから、複数のプーリと複数のワイヤを介して動力が付与されるので、ロボットの軽量化、小型化が図ることができる。
【0106】
また、第1リンク材42及び回動体50は、波動歯車装置から動力を伝達されるので、波動歯車装置がモータの駆動軸に設けられている場合に比べ、動力を伝達するワイヤの張力が小さくなるため、ワイヤの伸び及び摩擦が低減され、第1リンク材42及び回動体50の回動方向を転換させたときに起きるバックラッシが抑えることができ、ロボットの滑らかな動きを実現できる。
【0107】
さらに、コイル状の蛇管にインナーワイヤを通して動力を伝達する蛇管式ワイヤを介して、動力の伝達が行われる場合は、蛇管とインナーワイヤとの間の摩擦が軽減し、蛇管とインナーワイヤとの間の摩擦に起因するヒステリシス特性が低減され、滑らかな制御が可能となる。
【0108】
また、第1リンク材42と第2リンク材46とで、平行リンクを構成しているため、第1リンク材42と第2リンク材46との回動中心から平行リンク出力側に取り付けられる機構部全体の重心位置に関係なく、第2バネ式定荷重装置G2と巻掛け部39Aを有する巻付プーリ39を用いた機構(図10参照)によって、第1関節プーリ68軸回りの重力による回転モーメントの補償が可能であり、これによって、第1関節プーリ68の回転軸である第1シャフト40の回転方向に依存しない滑らかなロボットの動作が可能となる。
【0109】
本発明は、上記の実施の形態に限るものではなく、種々の形態が可能である。
【0110】
本実施の形態では、架台12は移動可能とされていないが、架台12にさらに駆動モータを設け、架台12自体を前後方向又は左右方向へ移動可能にしてもよい。このようにすれば、運動の自由度を拡大することができる。
【0111】
また、本実施の形態では、回動体50の先端には、リンク材が取り付けられていないが、回動体50の先端部に、さらに別駆動系によって駆動されるリンク材を増設してもよい。このようにすれば、さらに運動の自由度を拡大することができる。
【0112】
また、説明の便宜上、図1の方向から見たものを正面として、上下、前後、左右方向を特定して説明したが、上下、前後、左右の方向性は、これに限られず、例えば、左右、前後方向が逆であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態に係るロボット機構を示す正面図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るロボット機構を示す右側面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るロボット機構において動作する各部を簡略に示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るロボット機構の各駆動系を示す図である。
【図5】図5は、図1における5−5線断面図である。
【図6】図6は、図1における6−6線断面図である。
【図7】図7は、図1における7−7線断面図である。
【図8】図8は、図1における8−8線断面図である。
【図9】図9は、図1における9−9線断面図である。
【図10】図10は、アームに重力による回転モーメントと反対方向のモーメントを作用させるバネ式定荷重装置の原理を簡略に示す図である。
【符号の説明】
【0114】
10 ロボット機構
12 架台
16 リニアガイド
17 ラック
22 ピニオン
24 スライダ(直動体)
26 ガイドブロック
42 第1リンク材(アーム)
46 第2リンク材(アーム)
48 連結体
50 回動体
62 第1駆動プーリ
64 第1アイドルプーリ
65 第1クラッチ
66 第1直動体プーリ
68 第1関節プーリ
70 第1ワイヤ
72 第1モータ
82 第2駆動プーリ
84 第2アイドルプーリ
85 第2クラッチ
86 第2直動体プーリ
88 第2関節プーリ
90 第2ワイヤ
91 第3ワイヤ
92 第2モータ
94 第3関節プーリ
95 丸ベルト(第4ワイヤ)
96 第4関節プーリ
98 第5関節プーリ
B1 第1ブレーキ
B2 第2ブレーキ
D1 第1駆動系
D2 第1関節駆動系
D3 第2関節駆動系
G1 第1バネ式定荷重装置(重力均衡装置)
G2 第2バネ式定荷重装置(モーメント均衡装置)
H2 波動歯車装置(減速機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業エリアに設置される架台と、前記架台に沿って直動する直動体と、前記直動体に回動可能に設けられたアームと、を備えたロボット機構において、
前記直動体を直動させる第1駆動系と、
前記第1駆動系から動力を伝達され、前記アームを回動させる第1関節駆動系と、
前記第1駆動系の駆動伝達経路を開放して、前記直動体の直動及び前記アームの回動運動を自由とする受動能動切換手段と、
を有することを特徴とするロボット機構。
【請求項2】
前記直動体に重力と反対方向の力を作用させ静止均衡させる重力均衡装置と、
前記アームに重力による回転モーメントと反対方向のモーメントを作用させ静止均衡させるモーメント均衡装置と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のロボット機構。
【請求項3】
前記モーメント均衡装置は、前記アームの回動中心と同軸上に設けられ、前記アームと一体に回動する巻付プーリと、
前記プーリの回動中心から半径方向へ延出し、前記アームが回動して前記アームの重心がプーリの回動中心から離れるに従い、先端に一端が連結される連結ワイヤをプーリの回動中心から遠ざける巻掛け部と、
前記連結ワイヤの他端に連結され、バネの引張力によって、前記アームの自重による回転モーメントと反対方向のモーメントを巻掛け部に作用させるバネ式定荷重装置と、
で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のロボット機構。
【請求項4】
前記アームの端部に回動可能に設けられた回動体と、
前記回動体を回動させる第2関節駆動系と、
を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のロボット機構。
【請求項5】
前記第1関節駆動系と前記アームとの間に設けられ、前記第1駆動系からワイヤを介して伝達される動力を減速して前記アームに伝達する減速機を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のロボット機構。
【請求項6】
前記第2駆動系と前記回動体との間に設けられ、前記第2駆動系からワイヤを介して伝達される動力を減速して前記回動体に伝達する減速機を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のロボット機構。
【請求項7】
前記架台に前記直動体の直動方向へ延設されたリニアガイドと、
前記リニアガイドに沿って設けられたラックと、
前記直動体に設けられ、前記リニアガイドにガイドされるガイドブロックと、
前記直動体に設けられ、前記直動体の直動に伴なって前記ラックと噛合い回転するピニオンと、
前記ピニオンの回転をロック可能な第1ブレーキと、
を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のロボット機構。
【請求項8】
前記第1駆動系は、前記架台の一端部に設けられた回動自在の第1アイドルプーリと、前記架台の他端部に設けられ第1モータで回転する第1駆動プーリと、前記第1駆動プーリと第1モータとの間に設けられた第1クラッチと、を備え、
前記第1関節駆動系は、前記直動体に設けられた第1直動体プーリと、前記アームに設けられた第1関節プーリを備え、
前記第1関節プーリから第1直動体プーリ、第1アイドルプーリ、第1駆動プーリ、該第1直動体プーリ、該第1関節プーリへと第1ワイヤがループ状に巻き掛けられていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のロボット機構。
【請求項9】
前記第1直動体プーリの回転をロック可能な第2ブレーキを設けたことを特徴とする請求項8に記載のロボット機構。
【請求項10】
前記第2関節駆動系は、前記架台の一端部に設けられた回動自在の第2アイドルプーリと、前記架台の他端部に設けられ第2モータで回転する第2駆動プーリと、前記第2駆動プーリと第2モータとの間に設けられた第2クラッチと、前記直動体に設けられた第2直動体プーリと、前記アームの一端に設けられた第2関節プーリと、前記第2関節プーリの同軸上に設けられた第3関節プーリと、前記アームと前記回動体とを連結する連結体に設けられた第4関節プーリと、前記回動体に設けられた第5関節プーリと、を備え、
前記第2関節プーリから第2直動体プーリ、第2アイドルプーリ、第2駆動プーリ、該第2直動体プーリ、該第2関節プーリへと第2ワイヤがループ状に巻き掛けられ、第3関節プーリから第4関節プーリへと第3ワイヤがループ状に巻き掛けられ、第4関節プーリから第5関節プーリへと第4ワイヤがループ状に巻き掛けられていることを特徴とする請求項4〜9の何れか1項に記載のロボット機構。
【請求項11】
前記アームは、一端が直動体に軸支され第1関節プーリが取り付けられた第1シャフトへ連結され、他端が連結体を支持する第1支持シャフトに連結された第1リンク材と、一端が直動体に軸支され第2関節プーリが取り付けられた第2シャフトへ連結され、他端が連結体を支持する第2支持シャフトに連結されると共に第1リンク材と平行な第2リンク材とで構成されることを特徴とする請求項10に記載のロボット機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−218563(P2006−218563A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33367(P2005−33367)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(304023318)国立大学法人静岡大学 (416)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【Fターム(参考)】