説明

ローダ装置及び部品の搬送方法

【課題】可搬重量の低下及び動作スピードの低下を抑制しつつ小型化することができるローダ装置を提供する。
【解決手段】第1の方向に沿って延びる動力伝達軸4には、外周面に螺旋状の螺子溝及び第1の方向に沿って延びるスプライン溝が形成されている。動力伝達軸4に螺合されたボールねじナット7は、第1駆動モータ31から伝達された回転運動をねじ作用により動力伝達軸4の第1の方向の直線運動に変換する。動力伝達軸4に装着されたボールスプラインナット8は、第2駆動モータ41から伝達された回転運動を動力伝達軸4に伝達して動力伝達軸4を該動力伝達軸4の中心軸線L2回りに回転させる。チャック66が連結された動力伝達ベルト64は、第1の方向に沿って動力伝達軸4と一体移動可能であるとともに、動力伝達軸4から伝達された動力伝達軸4の中心軸線L2回りの回転運動を第2の方向の直線運動に変換してチャック66に伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を搬送して組み付けるローダ装置、及び該ローダ装置を用いた部品の搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の部品からなる製品を製造する際には、部品を保持するチャックを互いに直交する2方向に移動させて該部品の搬送・組付け(挿入、組立て等)を行うローダ装置(例えば特許文献1参照)が用いられている。
【0003】
例えば、前後方向と上下方向との互いに直交する2方向にチャックを移動させるローダ装置は、図4(b)に示すように、第1支持部材101にて支持され前後方向に延びる第1ボールねじ軸102を備えるとともに、該第1ボールねじ軸102の後端部には、該第1ボールねじ軸102を回転させる第1駆動モータ103が連結されている。また、第1ボールねじ軸102には第1ボールねじナット104が螺合されるとともに、該第1ボールねじナット104には、前記第1支持部材101に設けられた一対の第1ガイド部材105にて案内されながら該第1ボールねじナット104と一体移動する第2支持部材106が固定されている。第2支持部材106は、上下方向に延びる第2ボールねじ軸107を支持しており、該第2ボールねじ軸107には、その上端部に第2駆動モータ108が連結されるとともに、第2ボールねじナット109が螺合されている。更に、第2ボールねじナット109には、第2支持部材106に設けられた一対の第2ガイド部材110にて案内されながら該第2ボールねじナット109と一体移動する支持板111が固定されるとともに、支持板111には、部品P2を保持するチャック112が固定されている。
【0004】
そして、第1駆動モータ103により第1ボールねじ軸102が回転されると、第1ボールねじナット104が前後方向に移動されて、第2支持部材106、第2ボールねじ軸107、第2駆動モータ108、第2ボールねじナット109及び支持板111と共にチャック112が前後方向に移動される。また、第2駆動モータ108が駆動されて第2ボールねじ軸107が回転されると、第2ボールねじナット109が上下方向に移動されて、支持板111と共にチャック112が上下方向に移動される。このような従来のローダ装置は、第1駆動モータ103及び第2駆動モータ108にサーボモータを用いるとともにボールねじを利用することにより、組付け工程の高速化を図るとともに、任意の位置での部品の組付けに対応し易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−47888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図4(a)に示すように、第1ボールねじ軸102と第2ボールねじ軸107とは、ねじれの位置関係で前後方向及び上下方向と直交する方向(即ち紙面垂直方向であって左右方向)に重ねて配置されている。更に、支持板111及びチャック112も、第2ボールねじ軸107に対し左右方向に重ねて配置されている。そのため、ローダ装置における前後方向及び上下方向と直交する方向の幅w2が広くなってしまう。ローダ装置の幅w2が広いと、生産ラインが長くなり生産性が低下される虞がある。そこで、ローダ装置の幅w2を狭めるために、第1ボールねじ軸102及び第2ボールねじ軸107を細くしたり、第1駆動モータ103及び第2駆動モータ108を小型化したりすることが考えられる。しかしながら、このようにすると、可搬重量が低下したり、動作スピードが低下したりする虞がある。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、可搬重量の低下及び動作スピードの低下を抑制しつつ小型化することができるローダ装置、及び該ローダ装置を用いた部品の搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、部品を保持する保持手段を互いに直交する第1の方向及び第2の方向のそれぞれの方向に移動させるローダ装置であって、前記第1の方向に沿って延び外周面に螺旋状の螺子溝及び前記第1の方向に沿って延びるスプライン溝が形成された動力伝達軸と、前記螺子溝に螺合するように前記動力伝達軸に装着され、第1駆動モータから伝達された回転運動をねじ作用により前記動力伝達軸の前記第1の方向の直線運動に変換するボールねじナットと、前記スプライン溝に係合するように前記動力伝達軸に装着され、第2駆動モータから伝達された回転運動を前記動力伝達軸に伝達して前記動力伝達軸を前記第1の方向に延びる前記動力伝達軸の中心軸線回りに回転させるボールスプラインナットと、前記保持手段が連結され、前記第1の方向に沿って前記動力伝達軸と一体移動可能に設けられるとともに、前記動力伝達軸から伝達された前記動力伝達軸の前記中心軸線回りの回転運動を前記第2の方向の直線運動に変換して前記保持手段に伝達する伝達手段と、を備えたことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、保持手段を第1の方向に移動させる場合には、動力伝達軸に螺合されたボールねじナットに第1駆動モータの回転運動が伝達されて該ボールねじナットが回転運動される。すると、ねじ作用により動力伝達軸が第1の方向に沿って直線運動されるため、第1の方向に沿って動力伝達軸と一体移動可能な伝達手段に連結された保持手段は、動力伝達軸の第1の方向の直線運動に伴って第1の方向に移動される。また、保持手段を第2の方向に移動させる場合には、スプライン溝に係合するように動力伝達軸に装着されたボールスプラインナットに第2駆動モータの回転運動が伝達されて該ボールスプラインナットが回転運動される。すると、ボールスプラインナットから動力伝達軸に回転運動が伝達されて動力伝達軸が第1の方向に延びる該動力伝達軸の中心軸線回りに回転される。そして、動力伝達軸の回転運動は伝達手段に伝達されるとともに該伝達手段により第2の方向の直線運動に変換されて保持手段に伝達され、同伝達手段により保持手段が第2の方向に移動される。このように、第1の方向に沿って延びる1本の動力伝達軸で、第1駆動モータの回転運動を伝達手段に伝達して保持手段を第1の方向に直線移動させることができるとともに、第2駆動モータの回転運動を同伝達手段に伝達して保持手段を第2の方向に直線移動させることができる。従って、従来のように、第1の方向に延びるボールねじ軸に第2の方向に延びるボールねじ軸をねじれの位置関係で重ねて配置しなくてもよいため、第1の方向と直交し且つ第2の方向と直交する方向のローダ装置の幅を狭くすることができ、ローダ装置を小型化することができる。また、第1及び第2駆動モータの駆動力を保持手段に伝達するための軸を動力伝達軸の1本にしてローダ装置を小型化したため、第1及び第2駆動モータの駆動力を保持手段に伝達するための軸(即ち動力伝達軸)を細くしたり、第1及び第2駆動モータを小型化したりしなくてもよい。従って、可搬重量を低下させたり動作スピードを低下させたりすることなくローダ装置を小型化することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のローダ装置において、前記第2駆動モータの駆動時には、前記第1駆動モータが前記第2駆動モータの駆動方向と同期回転されて前記ボールねじナットが前記動力伝達軸と一体的に回転されることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、第2駆動モータの駆動時、即ち保持手段を第2の方向に移動させる際に、動力伝達軸とボールねじナットとが相対回転されることが防止される。従って、動力伝達軸は第1の方向に移動されず、保持手段を第2の方向のみに直線移動させるこができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、部品を保持する保持手段を第1の方向に移動させる第1搬送工程と、前記保持手段を前記第1の方向と直交する第2の方向に移動させる第2搬送工程とを備えた部品の搬送方法であって、前記第1搬送工程では、前記第1の方向に沿って延び外周面に螺旋状の螺子溝及び前記第1の方向に沿って延びるスプライン溝が形成された動力伝達軸に対して前記螺子溝に螺合するように装着されたボールねじナットに第1駆動モータにて発生された回転運動を伝達し、ねじ作用により前記動力伝達軸を前記第1の方向に沿って直線移動させて前記第1の方向に沿って前記動力伝達軸と一体移動可能に設けられた伝達手段を前記第1の方向に直線移動させることにより、前記伝達手段に連結された前記保持手段を前記第1の方向に直線移動させ、前記第2搬送工程では、前記スプライン溝に係合するように前記動力伝達軸に装着されたボールスプラインナットに第2駆動モータにて発生された回転運動を伝達し、前記ボールスプラインナットを介して前記動力伝達軸を前記第1の方向に延びる前記動力伝達軸の中心軸線回りに回転させるとともに前記動力伝達軸の回転運動を前記伝達手段に伝達し、前記伝達手段にて前記動力伝達軸の回転運動を前記第2の方向の直線運動に変換して前記保持手段に伝達することにより、前記保持手段を前記第2の方向に直線移動させることをその要旨としている。
【0013】
同方法によれば、第1搬送工程及び第2搬送工程で使用されるローダ装置は、第1の方向に沿って延びる1本の動力伝達軸で、第1駆動モータの回転運動を伝達手段に伝達して保持手段を第1の方向に直線移動させるとともに、第2駆動モータの回転運動を同伝達手段に伝達して保持手段を前記第1の方向と直交する第2の方向に直線移動させる。即ち、第1搬送工程及び第2搬送工程で用いられるローダ装置は、従来のように第1の方向に延びるボールねじ軸に第2の方向に延びるボールねじ軸をねじれの位置関係で重ねて配置していない。そして、第1搬送工程及び第2搬送工程で使用されるローダ装置は、第2の方向に延びるボールねじ軸を備えないため、第1の方向と直交し且つ第2の方向と直交する方向の幅を従来に比べて狭くすることができ、小型化が可能である。また、当該ローダ装置は、第1及び第2駆動モータの駆動力を保持手段に伝達するための軸を動力伝達軸の1本にして小型化されるため、第1及び第2駆動モータの駆動力を保持手段に伝達するための軸(即ち動力伝達軸)を細くしたり、第1及び第2駆動モータを小型化したりしなくてもよい。従って、当該ローダ装置は、可搬重量を低下させたり及び動作スピードを低下させたりすることなく小型化されるものである。このようなローダ装置を使用することにより、生産ラインの長さを短くして、生産性を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の部品の搬送方法において、前記第2搬送工程では、前記第1駆動モータを前記第2駆動モータの駆動方向と同方向に同期回転させて前記ボールねじナットを前記動力伝達軸と一体的に回転させることをその要旨としている。
【0015】
同方法によれば、第2搬送工程において、動力伝達軸とボールねじナットとが相対回転されることが防止される。従って、動力伝達軸は第1の方向に移動されず、保持手段を第2の方向のみに直線移動させるこができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、可搬重量の低下及び動作スピードの低下を抑制しつつ小型化することができるローダ装置、及び該ローダ装置を用いた部品の搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ローダ装置の斜視図。
【図2】(a)は動力伝達部の断面図、(b)は動力伝達部の断面図(図3(a)におけるA−A断面図)。
【図3】(a)は前方側から見たローダ装置の概略図、(b)は前後方向と直交する方向から見たローダ装置の概略図。
【図4】(a)は前方側から見た従来のローダ装置の概略図、(b)は前後方向と直交する方向から見た従来のローダ装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のローダ装置の斜視図を示す。図1に示すように、案内支持部材1には、第1の方向(本実施形態では前後方向)に沿って延びる長方形の板状をなす2本のガイド部材2が保持されている。案内支持部材1は、第1の方向第1の方向と直交する断面の形状が略L字状をなすとともに、該案内支持部材1には、前記各ガイド部材2を該ガイド部材2の幅方向の両側から保持する複数のガイド部1aが突出形成されている。複数のガイド部1aは、保持するガイド部材2の幅方向の端面に当接し、ガイド部材2の長手方向と第1の方向とが一致した状態で第1の方向に沿ったガイド部材2の移動を許容する一方、ガイド部材2の幅方向の移動を規制する。また、2本のガイド部材2の後端部には支持部3が固定されている。この支持部3は、ガイド部材2の上方で第1の方向に沿って延びる動力伝達軸4の後端部を回転可能に支持している。
【0019】
動力伝達軸4は、第1の方向に沿って延びる略円柱状をなすとともに、その軸方向(第1の方向に同じ)の長さはガイド部材2の長手方向の長さよりも長く形成されている。また、図2(a)に示すように、動力伝達軸4の外周面には、螺旋状の螺子溝4aが凹設されるとともに、周方向に等角度間隔(即ち120°間隔)となる3箇所に軸方向に沿って延びるスプライン溝4bが凹設されている(図2(b)参照)。
【0020】
図1に示すように、動力伝達軸4には、案内支持部材1にて保持された動力伝達部5が装着されている。動力伝達部5は、動力伝達軸4に外挿された略円筒状の保持筒6と、該保持筒6の軸方向の両端部に設けられたボールねじナット7及びボールスプラインナット8とから構成されている。
【0021】
図2(a)に示すように、ボールねじナット7は、動力伝達軸4と共にボールねじ機構を構成するものであり、保持筒6の後端部に内嵌される円筒状の外筒11と、該外筒11内に内嵌される円筒状の球体保持器12と、該球体保持器12にて保持される複数のボール13とを備えている。図1に示すように、外筒11は、その後端部に径方向外側に延びるフランジ部11aを有するとともに、該フランジ部11aには、ボビン形状をなす環状の第1回転伝達部材14が固定されている。
【0022】
図2(a)に示すように、外筒11の内周面に固定された球体保持器12の内周面には、前記動力伝達軸4の外周面に形成された螺子溝4aと同様の螺旋状のナット側螺子溝12aが形成されている。ナット側螺子溝12aは、球体保持器12の中心軸線L1に対する傾斜の具合が、螺子溝4aの動力伝達軸4の中心軸線L2に対する傾斜の具合と等しく形成されている。
【0023】
そして、外筒11及び球体保持器12は、動力伝達軸4と同軸状となるように該動力伝達軸4に外挿されるとともに、螺子溝4aとナット側螺子溝12aとが径方向に対向される。更に、互いに対向する螺子溝4aとナット側螺子溝12aとの間に、複数の前記ボール13が螺子溝4a及びナット側螺子溝12a間で転動可能に保持されている。即ち、ボールねじナット7は、ボール13が螺子溝4aに係合されることにより、螺子溝4aに螺合するように動力伝達軸4に装着されている。このようなボールねじナット7は、保持筒6にて周方向に回転可能に保持されている。
【0024】
前記ボールスプラインナット8は、動力伝達軸4に回転運動を伝達するためのものであり、保持筒6の前端部に内嵌される円筒状の外筒21と、該外筒21内に内嵌される円筒状の球体保持器22と、該球体保持器22にて保持される複数のボール23とを備えている。図1に示すように、外筒21は、その前端部に径方向外側に延びるフランジ部21aを有するとともに、該フランジ部21aには、ボビン形状をなす環状の第2回転伝達部材24が固定されている。尚、第2回転伝達部材24は、前記第1回転伝達部材14と同じ大きさ(同じ内径及び外径)に形成されている。
【0025】
図2(a)及び図2(b)に示すように、外筒21の内周面に固定された球体保持器22の内周面には、前記動力伝達軸4の外周面に形成されたスプライン溝4bと同様のナット側スプライン溝22aが形成されている。ナット側スプライン溝22aは、球体保持器22の内周面において周方向に等角度間隔(即ち120°間隔)となる3箇所に凹設されるとともに、球体保持器22の軸方向に沿って延びている。また、各ナット側スプライン溝22aは、球体保持器22を軸方向に貫通しておらず、各ナット側スプライン溝22aの軸方向の両端部は閉塞されている。
【0026】
そして、外筒21及び球体保持器22は、動力伝達軸4と同軸状となるように該動力伝達軸4に外挿されるとともに、3つのスプライン溝4bと3つのナット側スプライン溝22aとが径方向に対向される。更に、互いに対向するスプライン溝4bとナット側スプライン溝22aとの間に複数のボール23が保持されている。球体保持器22は、複数のボール23を介して動力伝達軸4と周方向に係合されている。即ち、ボールスプラインナット8は、ボール23にて動力伝達軸4と周方向に係合され、当該ボール23を介して動力伝達軸4に回転運動を伝達可能である。このようなボールスプラインナット8は、保持筒6にて回転可能に保持されている。
【0027】
図1及び図3(b)に示すように、動力伝達軸4の上方には、該動力伝達軸4と第2の方向に隣り合うように第1駆動モータ31が配置されている。この第1駆動モータ31には、サーボモータが用いられている。第1駆動モータ31は、第1ハウジング31aから突出した回転軸31bの回転軸線L3が、動力伝達軸4の中心軸線L2と平行をなすように配置されるとともに、同回転軸31bの先端部には、ボビン形状をなす第1回転駆動部材32が同軸で一体回転するように固定されている。この第1回転駆動部材32は、その第1の方向の位置が、前記ボールねじナット7に固定された第1回転伝達部材14の第1の方向の位置と等しく、第1回転伝達部材14と第2の方向に並んでいる。尚、第2の方向は、本実施形態では上下方向であり、前記第1の方向と直交する。
【0028】
第1回転駆動部材32及び第1回転伝達部材14には、環状の第1タイミングベルト33が掛け渡されている。第1タイミングベルト33の内周面には、第1回転駆動部材32の外周面に形成された凹凸部(図示略)及び第1回転伝達部材14の外周面に形成された凹凸部(図示略)に係合する凹凸部33aが形成されている。そして、該凹凸部33aが第1回転駆動部材32の外周面及び第1回転伝達部材14の外周面の凹凸部に係合することにより、第1回転駆動部材32及び第1回転伝達部材14と第1タイミングベルト33とが回転方向にずれないようになっている。そして、第1駆動モータ31が駆動されて回転軸31bが回転されると、回転軸31bの回転運動は、第1回転駆動部材32、第1タイミングベルト33及び第1回転伝達部材14を介してボールねじナット7に伝達され、該ボールねじナット7が回転される。
【0029】
また、動力伝達軸4の上方には、該動力伝達軸4と第2の方向に隣り合うように第2駆動モータ41が配置されている。この第2駆動モータ41には、第1駆動モータ31と同じサーボモータが用いられている。第2駆動モータ41は、第2ハウジング41aから突出した回転軸41bの回転軸線L4が、動力伝達軸4の中心軸線L2と平行をなすように配置されるとともに、同回転軸41bの先端部には、前記第1回転駆動部材32と同一のボビン形状をなす第2回転駆動部材42が同軸で一体回転するように固定されている。この第2回転駆動部材42は、その第1の方向の位置が、前記ボールスプラインナット8に固定された第2回転伝達部材24の第1の方向の位置と等しく、第2回転伝達部材24と第2の方向に並んでいる。
【0030】
第2回転駆動部材42及び第2回転伝達部材24には、第1タイミングベルト33と同じ環状の第2タイミングベルト43が掛け渡されている。第2タイミングベルト43の内周面には、第2回転駆動部材42の外周面に形成された凹凸部(図示略)及び第2回転伝達部材24の外周面に形成された凹凸部(図示略)に係合する凹凸部43aが形成されている。そして、該凹凸部43aが第2回転駆動部材42の外周面及び第2回転伝達部材24の外周面の凹凸部に係合することにより、第2回転駆動部材42及び第2回転伝達部材24と第2タイミングベルト43とが回転方向にずれないようになっている。そして、第2駆動モータ41が駆動されて回転軸41bが回転されると、回転軸41bの回転運動は、第2回転駆動部材42、第2タイミングベルト43及び第2回転伝達部材24を介してボールスプラインナット8に伝達され、該ボールスプラインナット8が回転される。
【0031】
尚、これらの第1駆動モータ31及び第2駆動モータ41は、図3(b)に示すように、制御装置51に電気的に接続されており、該制御装置51によって制御される。
図1に示すように、前記動力伝達軸4の前端部には、該動力伝達軸4と一体で第1の方向に沿って一体移動可能に保持板61が取り付けられている。保持板61は、第2の方向に長い長方形の板状をなすとともに、その厚さ方向が第1の方向と一致するように配置されている。そして、保持板61には、前記2本のガイド部材2の前端部が一体移動可能に固定されている。
【0032】
動力伝達軸4の前端部は、保持板61の上端部を貫通して前方側に突出するとともに、該動力伝達軸4は、保持板61に対して回転可能である。更に、保持板61から突出した動力伝達軸4の前端部には、該動力伝達軸4と一体回転するボビン形状のベルト案内部材62が固定されるとともに、保持板61の下端部には、ベルト案内部材62と対をなすボビン形状のベルト案内部材63が回転可能に取り付けられている。図3(b)に示すように、ベルト案内部材63の回転軸線L5は動力伝達軸4の中心軸線L2と平行(即ち第1の方向と平行)であるとともに、ベルト案内部材62とベルト案内部材63とは第1の方向の位置が等しく、第2の方向に並んでいる。
【0033】
図1に示すように、一対のベルト案内部材62,63には、環状の動力伝達ベルト64が掛け渡されている。動力伝達ベルト64の内周面には、ベルト案内部材62,63の外周面に形成された凹凸部(図示略)に係合する凹凸部64aが形成されおり、該凹凸部64aがベルト案内部材62,63の凹凸部に係合することにより、ベルト案内部材62,63と動力伝達ベルト64とが回転方向にずれないようになっている。また、一対のベルト案内部材62,63は、第2の方向に離間しているため、ベルト案内部材62,63間では、動力伝達ベルト64は、第2の方向と平行に延びている。そして、動力伝達軸4がその中心軸線L2回りに回転されると、ベルト案内部材62を介して動力伝達軸4の回転運動が動力伝達ベルト64に伝達され、動力伝達ベルト64がベルト案内部材62,63にて案内されながら回転される。
【0034】
また、動力伝達ベルト64には、チャック用ガイド部材65が連結されている。チャック用ガイド部材65は、動力伝達ベルト64の1箇所に固定されて該動力伝達ベルト64と一体移動可能となっている。更に、チャック用ガイド部材65には、チャック66が固定されるとともに、該チャック66は、その下端部に部品P1(図3(b)参照)を保持する保持部66aを有する。この保持部66aによる部品P1の保持及び保持の解除は前記制御装置51にて制御される。
【0035】
次に、上記のローダ装置の動作を図1乃至図3を参照して統括的に説明する。このローダ装置を用いることにより、部品P1を、第1方向、及び該第1の方向と直交する第2の方向の2方向に移動させて所定の位置に搬送することができる。
【0036】
まず、チャック66を第1の方向に沿って移動させる第1搬送工程について詳述する。第1搬送工程では、制御装置51にて第1駆動モータ31が駆動され、第1駆動モータ31にて発生された回転軸31bの回転運動が第1回転駆動部材32、第1タイミングベルト33、第1回転伝達部材14を介してボールねじナット7に伝達されて該ボールねじナット7が回転される(図2(a)中、太線の実線の矢印参照)。この時、ボールスプラインナット8は、第2駆動モータ41が停止されているために回転されないとともに、動力伝達軸4側からボールスプラインナット8を回転させようとする力よりも第2駆動モータ41の回転軸41bを回転軸41b側から回転させようとする力の方が大きいため、動力伝達軸4の中心軸線L2回りの回転を阻止する役割を果たす。従って、ボールねじナット7の回転方向に応じてねじ作用により動力伝達軸4が第1の方向に沿って直線移動される。すると、2本のガイド部材2にて案内されながら、動力伝達軸4と一体に保持板61が第1の方向に沿って移動され、動力伝達ベルト64を介して保持板61にて保持されたチャック66が該保持板61と共に第1の方向に沿って直線移動される。従って、チャック66の保持部66aに部品P1が保持されている場合には、該部品P1が第1の方向に直線移動される。
【0037】
次に、チャック66を第2の方向に沿って移動させる第2搬送工程について詳述する。第2搬送工程では、制御装置51にて第2駆動モータ41が駆動され、第2駆動モータ41にて発生された回転軸41bの回転運動が第2回転駆動部材42、第2タイミングベルト43、第2回転伝達部材24を介してボールスプラインナット8に伝達されて該ボールスプラインナット8が回転される(図2(a)中、太線の破線の矢印参照)。そして、ボールスプラインナット8の回転運動がボール23を介して動力伝達軸4に伝達され、ボールスプラインナット8と動力伝達軸4とが動力伝達軸4の中心軸線L2回りに一体回転される。動力伝達軸4の回転運動は動力伝達ベルト64に伝達され、動力伝達ベルト64が一対のベルト案内部材62,63に案内されながら回転される。そして、動力伝達ベルト64は、動力伝達軸4の回転運動を第2の方向の直線運動に変換してチャック66に伝達するため、一方のベルト案内部材62と他方のベルト案内部材63との間で動力伝達ベルト64と一体にチャック66が第2の方向に沿って直線移動される。従って、チャック66の保持部66aに部品P1が保持されている場合には、該部品P1が第2の方向に直線移動される。
【0038】
尚、この第2搬送工程において、第1駆動モータ31が停止されていると、動力伝達軸4側からボールねじナット7を回転させようとする力よりも第1駆動モータ31の回転軸31bを回転軸31b側から回転させようとする力の方が大きいため、ボールねじナット7は停止状態に維持される。すると、ボールねじナット7に対して動力伝達軸4が回転されることになるため、ねじ作用により動力伝達軸4が第1の方向に移動されてしまう。従って、第2搬送工程では、制御装置51は、第2駆動モータ41と第1駆動モータ31とを同じ方向に同じ回転数で同期回転させる同期回転制御を行う。これにより、ボールねじナット7は動力伝達軸4と同じ回転数で回転され(即ち動力伝達軸4とボールねじナット7とが一体的に回転され)、動力伝達軸4とボールねじナット7とが相対回転されることが防止される。従って、チャック66の第1の方向の位置が変更されないように維持したまま同チャック66を第2の方向に沿って直線移動させることができる。
【0039】
上記の第1搬送工程及び第2搬送工程を任意の組み合わせで行うことにより、所定の位置に部品P1を搬送して挿入や組付け等を行うことができる。
上記したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を有する。
【0040】
(1)本実施形態のローダ装置は、第1の方向に沿って延びる1本の動力伝達軸4で、第1駆動モータ31の回転運動を動力伝達ベルト64に伝達して該動力伝達ベルト64に連結されたチャック66を第1の方向に直線移動させることができるとともに、第2駆動モータ41の回転運動を動力伝達ベルト64に伝達してチャック66を第2の方向に直線移動させることができる。従って、従来のように、第1の方向に延びるボールねじ軸に第2の方向に延びるボールねじ軸をねじれの位置関係で重ねて配置しなくてもよいため、第1の方向と直交し且つ第2の方向と直交する方向のローダ装置の幅w1(図3(b)参照)を狭くすることができ、ローダ装置を小型化することができる。また、第1及び第2駆動モータ31,41の駆動力をチャック66に伝達するための軸を動力伝達軸4の1本にしてローダ装置を小型化したため、第1及び第2駆動モータ31,41の駆動力をチャック66に伝達するための軸(即ち動力伝達軸4)を細くしたり、第1及び第2駆動モータ31,41を小型化したりしなくてもよい。従って、可搬重量を低下させたり動作スピードを低下させたりすることなくローダ装置を小型化することができる。そして、生産ラインを短くして製品の生産性を向上させることができる。
【0041】
(2)第2搬送工程では、第1駆動モータ31を第2駆動モータ41の駆動方向と同じ方向に同じ回転数で同期回転させて、ボールねじナット7を動力伝達軸4と一体的に回転させる。そのため、第2搬送工程、即ち第2駆動モータ41の駆動時においては、動力伝達軸4とボールねじナット7とが相対回転されることが防止される。従って、動力伝達軸4は第1の方向に移動されず、チャック66を第2の方向のみに直線移動させるこができる。
【0042】
(3)図4(a)及び図4(b)に示す従来のローダ装置においては、第1ボールねじナット104と一体に第2ボールねじ軸107及び第2駆動モータ108が前後方向(第1の方向)に移動するため、第2ボールねじ軸107及び第2駆動モータ108の重量が第1ボールねじナット104にかかる。そのため、第1ボールねじナット104を前後方向に移動させるために第1ボールねじ軸102を回転運動させる第1駆動モータ103の容量は、第2ボールねじ軸107及び第2駆動モータ108の重量による慣性を加味して決定されることになり、該第1駆動モータ103が大型化されやすいという問題がある。一方、本実施形態のローダ装置は第2の方向(上下方向)に延びる第2ボールねじ軸107を備えないとともに、第2駆動モータ41はボールスプラインナット8の上方に配置されており動力伝達軸4と共に移動することがない。そのため、第1搬送工程において第1の方向に沿って移動される部位に第2ボールねじ軸107及び第2駆動モータ41が含まれず、従来に比べて第1の方向に沿って移動される部位を軽量化することができる。その結果、第1駆動モータ31の容量を従来の第1駆動モータ103の容量よりも小さくすることができるため、第1駆動モータ31を小型化して更にローダ装置の幅w1を狭くすることができる。また、第1の方向に沿って移動される部位が軽量化されることにより一対のガイド部材2にかかる負荷が小さくなるため、これらのガイド部材2を薄型化若しくは幅狭化することにより、ローダ装置を一層小型化することができる。その結果、生産ラインをより短くすることができ、製品の生産性をより向上させることができる。
【0043】
(4)第1駆動モータ31及び第2駆動モータ41は、動力伝達軸4の上方で該動力伝達軸4と第2の方向に隣り合って配置されている。従って、第1駆動モータ31及び第2駆動モータ41が、例えば第1の方向と直交し且つ第2の方向と直交する方向に動力伝達軸4と隣り合って配置される場合に比べて、第1の方向と直交し且つ第2の方向と直交する方向のローダ装置の幅w1を一層狭くすることができる。
【0044】
(5)動力伝達ベルト64は、動力伝達軸4の軸方向の一端側である前端側に設けられている。従って、第1の方向と直交し且つ第2の方向と直交する方向のローダ装置の幅w1をより一層狭くすることができる。
【0045】
(6)チャック66は、第2の方向に離間して配置され一方が動力伝達軸4と該動力伝達軸4の中心軸線L2回りに一体回転される一対のベルト案内部材62,63に掛け渡された動力伝達ベルト64に連結されている。このように簡易な構成で動力伝達軸4の回転運動を第2の方向の直線運動に変換してチャック66に伝達することができる。
【0046】
(7)第1搬送工程において、ボールスプラインナット8は、動力伝達軸4の中心軸線L2回りの回転を阻止する役割を果たす。従って、第1の方向に沿って動力伝達軸4を効率的に移動させることができる。また、チャック66を、第2の方向に移動させることなく第1の方向のみに直線移動させるこができる。
【0047】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1搬送工程において、ボールスプラインナット8が、動力伝達軸4の中心軸線L2回りの回転を阻止する役割を果たしている。しかしながら、第1搬送工程において動力伝達軸4の中心軸線L2回りの回転を阻止する阻止手段を別途ローダ装置に設けてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、第1駆動モータ31及び第2駆動モータ41は、動力伝達軸4の上方で該動力伝達軸4と第2の方向に隣り合って配置されている。しかしながら、第1駆動モータ31及び第2駆動モータ41は、動力伝達軸4の下方で該動力伝達軸4と第2の方向に隣り合うように配置されてもよい。このようにしても、上記実施形態の(4)と同様の作用効果を得ることができる。また、第1駆動モータ31及び第2駆動モータ41は、動力伝達軸4の周囲に配置されるのであれば、その配置位置は上記実施形態の配置位置に限らない。
【0049】
・上記実施形態では、第2搬送工程において同期回転制御を行っている。しかしながら、同期回転制御を行う代わりに、機械的に動力伝達軸4の第1の方向の移動を阻止する規制手段をローダ装置に設けてもよい。例えば、規制手段は、動力伝達軸4の中心軸線L2回りの回転を許容し且つ動力伝達軸4の第1の方向の移動を阻止するように該動力伝達軸4の後端部を把持するように構成される。そして、この規制手段は、第1搬送工程においては動力伝達軸4の後端部の把持を解除する。このようにしても、第2搬送工程において、チャック66の第1の方向の位置が変更されないように維持したまま同チャック66を第2の方向に沿って直線移動させることができる。
【0050】
・上記実施形態では、動力伝達軸4の中心軸線L2回りの回転運動を第2の方向の直線運動に変換してチャック66に伝達する伝達手段として、一対のベルト案内部材62,63に掛け渡された動力伝達ベルト64を用いた。しかしながら、伝達手段の構成はこれに限らず、動力伝達軸4の中心軸線L2回りの回転運動を第2の方向の直線運動に変換してチャック66に伝達するものであればよい。
【0051】
・上記実施形態では、第1駆動モータの31の回転運動をボールねじナット7に伝達するために第1タイミングベルト33を用いたが、第1タイミングベルト33の代わりにギヤを用いて第1駆動モータの31の回転運動をボールねじナット7に伝達してもよい。同様に、第2駆動モータ41の回転運動を、ギヤを用いてボールスプラインナット8に伝達してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、動力伝達軸4には、スプライン溝4bが3本形成されているが、スプライン溝4bは、少なくとも1本形成されていればよい。また、ボールスプラインナット8を構成する球体保持器22のナット側スプライン溝22aも少なくとも1本形成されていればよい。
【0053】
・第1駆動モータ31及び第2駆動モータ41は、必ずしもサーボモータでなくてもよく、サーボモータ以外のモータを使用してもよい。
・上記実施形態では、第1の方向は前後方向であり、第2の方向は上下方向となっている。しかしながら、第1の方向及び第2の方向は、前後方向及び上下方向に限らず、互いに直交する2方向であればよい。
【0054】
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1又は請求項2に記載のローダ装置において、前記第1駆動モータ及び前記第2駆動モータは、前記動力伝達軸と第2の方向に隣り合って配置されていることを特徴とするロータ装置。同構成によれば、第1の方向と直交し且つ第2の方向と直交する方向のローダ装置の幅を一層狭くすることができる。
【0055】
(ロ)請求項1、請求項2及び前記(イ)の何れか1項に記載のローダ装置において、前記伝達手段は、前記動力伝達軸の軸方向の一端側に設けられていることを特徴とするローダ装置。同構成によれば、第1の方向と直交し且つ第2の方向と直交する方向のローダ装置の幅をより一層狭くすることができる。
【0056】
(ハ)請求項1、請求項2、前記(イ)及び前記(ロ)の何れか1項に記載のローダ装置において、前記伝達手段は、前記第2の方向に離間して配置され何れか一方が前記動力伝達軸と前記動力伝達軸の前記中心軸線回りに一体回転される一対のベルト案内部材に掛け渡された動力伝達ベルトであることを特徴とするローダ装置。同構成によれば、簡易な構成で動力伝達軸の回転運動を第2の方向の直線運動に変換して保持手段に伝達することができる。
【0057】
(ニ)請求項1、請求項2、前記(イ)、前記(ロ)及び前記(ハ)の何れか1項に記載のローダ装置において、前記ボールスプラインナットは、前記保持手段を前記第1の方向に移動させるべく前記第1駆動モータが駆動される時に前記動力伝達軸の前記中心軸線回りの回転を阻止することを特徴とするローダ装置。同構成によれば、第1駆動モータから回転運動が伝達されてボールねじナットが回転される際、ボールスプラインナットが動力伝達軸の該動力伝達軸の中心軸線回りの回転を阻止するため、第1の方向に沿って動力伝達軸を効率的に移動させることができる。また、保持手段を、第2の方向に移動させることなく第1の方向のみに直線移動させるこができる。
【符号の説明】
【0058】
4…動力伝達軸、4a…螺子溝、4b…スプライン溝、7…ボールねじナット、8…ボールスプラインナット、31…第1駆動モータ、42…第2駆動モータ、64…伝達手段としての動力伝達ベルト、66…保持手段としてのチャック、L2…動力伝達軸の中心軸線、P1…部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持する保持手段を互いに直交する第1の方向及び第2の方向のそれぞれの方向に移動させるローダ装置であって、
前記第1の方向に沿って延び外周面に螺旋状の螺子溝及び前記第1の方向に沿って延びるスプライン溝が形成された動力伝達軸と、
前記螺子溝に螺合するように前記動力伝達軸に装着され、第1駆動モータから伝達された回転運動をねじ作用により前記動力伝達軸の前記第1の方向の直線運動に変換するボールねじナットと、
前記スプライン溝に係合するように前記動力伝達軸に装着され、第2駆動モータから伝達された回転運動を前記動力伝達軸に伝達して前記動力伝達軸を前記第1の方向に延びる前記動力伝達軸の中心軸線回りに回転させるボールスプラインナットと、
前記保持手段が連結され、前記第1の方向に沿って前記動力伝達軸と一体移動可能に設けられるとともに、前記動力伝達軸から伝達された前記動力伝達軸の前記中心軸線回りの回転運動を前記第2の方向の直線運動に変換して前記保持手段に伝達する伝達手段と、
を備えたことを特徴とするローダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のローダ装置において、
前記第2駆動モータの駆動時には、前記第1駆動モータが前記第2駆動モータの駆動方向と同期回転されて前記ボールねじナットが前記動力伝達軸と一体的に回転されることを特徴とするローダ装置。
【請求項3】
部品を保持する保持手段を第1の方向に移動させる第1搬送工程と、前記保持手段を前記第1の方向と直交する第2の方向に移動させる第2搬送工程とを備えた部品の搬送方法であって、
前記第1搬送工程では、前記第1の方向に沿って延び外周面に螺旋状の螺子溝及び前記第1の方向に沿って延びるスプライン溝が形成された動力伝達軸に対して前記螺子溝に螺合するように装着されたボールねじナットに第1駆動モータにて発生された回転運動を伝達し、ねじ作用により前記動力伝達軸を前記第1の方向に沿って直線移動させて前記第1の方向に沿って前記動力伝達軸と一体移動可能に設けられた伝達手段を前記第1の方向に直線移動させることにより、前記伝達手段に連結された前記保持手段を前記第1の方向に直線移動させ、
前記第2搬送工程では、前記スプライン溝に係合するように前記動力伝達軸に装着されたボールスプラインナットに第2駆動モータにて発生された回転運動を伝達し、前記ボールスプラインナットを介して前記動力伝達軸を前記第1の方向に延びる前記動力伝達軸の中心軸線回りに回転させるとともに前記動力伝達軸の回転運動を前記伝達手段に伝達し、前記伝達手段にて前記動力伝達軸の回転運動を前記第2の方向の直線運動に変換して前記保持手段に伝達することにより、前記保持手段を前記第2の方向に直線移動させることを特徴とする部品の搬送方法。
【請求項4】
請求項3に記載の部品の搬送方法において、
前記第2搬送工程では、前記第1駆動モータを前記第2駆動モータの駆動方向と同方向に同期回転させて前記ボールねじナットを前記動力伝達軸と一体的に回転させることを特徴とする部品の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−64271(P2011−64271A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215860(P2009−215860)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】