ワイヤーハーネス用ファスナー
【課題】ワイヤーハーネスを長期にわたり確実かつ強固に止め付けることができると共に、該ワイヤーハーネスの止め付け作業能率を大幅に向上させることのできるワイヤーハーネス用ファスナーを提供する。
【解決手段】このワイヤーハーネス用ファスナーは、基部4の両側に設けられて互いに内外方へ拡縮変形することによって各先端部5b,5b間の開口部10を開閉する一対の支持体5,5の内部に、該両支持体5,5の縮径方向への弾性変形に伴いループ状に画成されて、開口部10から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスHを保持する保持部7と、該保持部7内に嵌挿されたワイヤーハーネスHを保持部7を介して挟圧状態に支持する一対の支持アーム8と、を備えたファスナー本体1と、基部4の下部にいわゆるワンタッチで固定用孔3aに固定可能な固定部2と、を有している。
【解決手段】このワイヤーハーネス用ファスナーは、基部4の両側に設けられて互いに内外方へ拡縮変形することによって各先端部5b,5b間の開口部10を開閉する一対の支持体5,5の内部に、該両支持体5,5の縮径方向への弾性変形に伴いループ状に画成されて、開口部10から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスHを保持する保持部7と、該保持部7内に嵌挿されたワイヤーハーネスHを保持部7を介して挟圧状態に支持する一対の支持アーム8と、を備えたファスナー本体1と、基部4の下部にいわゆるワンタッチで固定用孔3aに固定可能な固定部2と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の電気機器に接続される複数のワイヤーハーネスを結束して車体の所定箇所に止め付けられるワイヤーハーネス用ファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のワイヤーハーネス用ファスナーとしては従来から数多く提供されており、その一つとして、例えば、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
概略を説明すれば、このワイヤーハーネス用ファスナーは、例えば車両に用いられるもので、車体への固定用クリップと共に合成樹脂材によって一体に形成され、硬質な矩形状のベース部と、車体パネルなどのクリップ孔に差し込んで係止するクリップを有するステム部と、一端部が前記ベース部の一端部に一体的に結合されて、例えば複数のワイヤーハーネスを結束する可撓性の結束バンドと、から主として構成されている。
【0004】
前記ベース部の他端部には、前記結束バンドを挿通係止させるバックル部が形成されている一方、前記結束バンドの帯状本体の表面には、前記バックル部の開口縁に形成された係止突起に係止する波形状の係止溝が連続して形成されている。
【0005】
そして、ワイヤーハーネス用ファスナーが、前記クリップを介して車体パネルに固定された後に、複数のワイヤーハーネスを前記ベース部の内側面に当てがいつつ前記結束バンドの先端部を前記バックル部の開口孔に挿通してこの開口孔の反対側から飛び出した先端部を指で摘んで引っ張れば、前記所定箇所の係止溝が係止突起に係止して、各ワイヤーハーネスを結束しつつベース部に保持することが可能になる。
【特許文献1】特開平8−210321号公報など
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のワイヤーハーネス用ファスナーにあっては、単にベース部のバックル部の開口孔の係止突起と結束バンドの係止溝との係止状態を得ていることから、車体温度の変化によって前記係止突起と係止溝との係止力が低下して、結束バンドの先端部がバックル部から不用意に抜け出てしまい、この結果、各ワイヤーハーネスがファスナーからばらばらに外れてしまうおそれがある。
【0007】
しかも、各ワイヤーハーネスを結束バンドによって止めるに際しては、例えば、一人の作業者が一方の手で各ワイヤーハーネスをベース部に押し当てた状態で他方の手で結束バンドの先端部をバックル部の開口孔に挿通しなければならず、また、その後、手を持ち替えて結束バンドの先端部を引っ張らなければならないなど、かかるワイヤーハーネスの止め付け作業がきわめて繁雑になり、該止め付け作業能率の低下を招いている。
【0008】
本発明は、前記従来技術の実情に鑑みて案出されたもので、ワイヤーハーネスを長期に渡り確実かつ強固に止め付けることができると共に、止め付け作業能率を大幅に向上させることのできるワイヤーハーネス用ファスナーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して自由状態において両先端部間に形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、両端縁が前記両支持体の対向する内側面に結合され、前記一方の支持体が縮径方向へ変形した際に撓み変形可能なループ状を成して、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを抱持状態に保持する保持部と、対向する端縁が前記保持部の底部側の両側に結合されて、前記一方の支持体の縮径方向の変形に伴って前記保持部内に嵌挿されたワイヤーハーネスを前記保持部を介して挟圧状態に支持する一対の支持アームと、を備えたことを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、例えば両支持体が互いに拡縮方向へ弾性変形可能な構造である場合に、該両支持体を予め拡径方向に変形させて開口部を開口させた状態で、複数のワイヤーハーネスを手で束ねて前記開口部から保持部の底部側に嵌挿する。それから、前記両支持体の外側部を例えば指で摘んで内方(縮径方向)へ強制的に変形させると、該両支持体がロック機構によってロックされると共に、前記保持部が開口部側を閉じるように撓み変形する。これにより、各ワイヤーハーネスは、全体が保持部によって包み込まれるように保持されることとなり、この結果、ワイヤーハーネス全体に適度な保持力を付与しながら、該各ワイヤーハーネスを確実に保持することが可能となっている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、基部の上面のほぼ中央位置に溝部を形成すると共に、該溝部に対峙する保持部の下端部に突起を設けたことを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、両支持体が縮径方向へ回動するように変形することに伴い保持部の位置が下方へと偏倚する際に、この保持部に設けられた突起が基部の上面に形成されたテーパ面に沿って溝部に嵌合することになるため、ロック状態において常に保持部を中央に配置することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、とりわけ、保持部を、両支持体が縮径方向へ変形した際に、該両支持体の内側面に撓み変形可能に対向配置された一対の保持部構成体が有するほぼ円弧凹状の保持部位を突き合わせることにより画成されるループによって構成したことを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、保持部を撓み変形可能な二つの保持部構成体を突き合わせてなる拡縮変形容易なループによって構成したことにより、異なる線径を有するワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはワイヤーハーネスよりも大きな外径を有するケーブルなど、これらに対して所定の大きさの範囲内で共通して用いることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、とりわけ、前記請求項3の発明に係る保持部と同じように構成される保持部を二つ設けたことを特徴としており、本発明によれば、一つのファスナーをもって二つの異なる線径を有するワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはワイヤーハーネスより大きな線径を有するケーブルなどを保持することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、とりわけ、保持部を、両支持体の対向する内側面に中空部を介在させて径方向に撓み変形可能に形成されたほぼ円弧凹状の保持部位を突き合わせることにより画成されるループによって構成したことを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、両保持部位の外周域に中空部を介在させて該両保持部位によって画成される保持部を径方向に撓み変形可能に構成したことにより、ワイヤーハーネスやケーブル等の外径寸法にばらつきが生じていても、これらの寸法のばらつきを前記撓み変形可能な保持部によって吸収することができ、ハーネス等を確実に保持することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、ロック機構を、両支持体の開閉ロック時において、該両支持体の開閉方向のみならず、ワイヤーハーネスの延出方向においても係合するように構成したことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、ロック機構のロック状態における両支持体の自由度がより制限されることとなり、ワイヤーハーネスについてその径方向及び軸方向(延出方向)に力が作用した場合でも、当該ロック機構による両支持体のロック状態が解除されてしまうおそれがない。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記基部の下部から外方へほぼ左右対称となるように二股状に分岐形成されると共に、それぞれが外側へと膨出するように湾曲形成されることによって鉛直方向に可撓性を有する一対の支持脚と、該各支持脚の先端側から下方に向かって窄まるように延設されて、先端部に外方へ突設された爪部を有する脚片と、前記両支持脚の内側に収容配置されて、該両支持脚の分岐位置からこの支持脚の対称軸を成すようにほぼ鉛直方向に突設された押し出し部と、を備え、前記所定部材に貫通形成された固定用孔に一方側から前記両脚片を挿通させ、前記支持脚の下面を前記所定部材の一側面に当接させた状態で該両支持脚を撓み変形させつつ前記押し出し部を前記両脚片間に挿入することによって該両脚片を外方へと押し開いて前記爪部を前記固定用孔の他方側の孔縁に係止させることを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、所定部材の固定用孔に対し固定部を先端側から挿入すると、支持脚の下面が所定部材の一側面に当接することとなるが、そこからさらに押し込むことによって支持脚が撓み変形すると共に押し出し部が両脚片間に割り込むようにして挿入される。すると、当該押し出し部の挿入に伴い両脚片がそれぞれ外方へ拡開されることとなり、これによって両脚片の爪部が固定用孔の他側面側の孔縁に係止して、固定部が所定部材に固定される。このように、本発明に係る固定部によれば、固定用孔に対し一方側から押し込むのみのいわゆるワンタッチによって当該固定部を所定部材に容易かつ確実に固定させることができる。
【0022】
一方、固定部が固定用孔に係止した状態で基部を摘むなどして強く引っ張ると、両脚片は爪部を介して固定用孔の孔縁に係止した状態で支持脚が伸張するように弾性変形することによって押し出し部が両脚片の間から抜け出ると共に、該押し出し部の後退に伴い爪部が内方へ弾性変形することになる。この結果、両爪部による固定用孔との係止状態を解除させることができ、これによって固定部を所定部材から取り外すこともできる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、固定部を、支持脚の弾発力に基づき該支持脚と爪部により所定部材を厚さ方向において挟持することによって該所定部材に固定するように構成したことを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、支持脚が所定部材の一側面において自己の弾発力に基づき突っ張ることから、爪部が前記固定用孔の他方側の孔縁に対して圧接状態に係止することになる。これによって、固定部を所定部材に対してより強固に固定することが可能となる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、押し出し部の先端側における支持脚の内側面と対向する位置に係合突部を突設すると共に、各脚片の内側面に前記各係合突部に係合する係合溝を設けて、固定用孔に挿通した両脚片間に押し出し部を挿入した際に、各係合突部を各係合溝にそれぞれ係合させることによって押し出し部と両脚片を連結させるように構成したことを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、押し出し部と両脚片とを連結させたことにより、押し出し部が両脚片の間に確実に保持されることとなり、該両脚片は押し出し部によって常時外方へ開かれた状態が維持される。これにより、前記爪部の先端縁間距離が前記固定用孔の孔径よりも小さくなることがないので、固定部を所定部材により確実にかつ強固に固定することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、各係合突部を、押し出し部からそれぞれ斜め上方へ向かって突出するほぼフック状に構成したことを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、各係合突部を斜め上方に突出させて該各係合突部を係止溝にほぼフック状に係止させる構造を採用したことにより、押し出し部を下方へ進出させる、つまり押し出し部を両脚片間に挿入する際に、各係合突部によって両脚片を効果的に押し開くことができる。一方、連結後は、各係合突部が係止溝に対して斜め上方に入り込んだ状態となっているため、押し出し部を上方へと後退させる、つまり押し出し部を両脚片間から引き抜く場合に、前記係合構造がより一層の抵抗として作用することになり、不用意な脱落を効果的に防止することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、支持脚の外周側に、固定部が固定用孔を介して所定部材に固定された状態において固定用孔を一方側から覆うほぼ傘状のシール部を設けたことを特徴としており、この発明によれば、シール部によって固定用孔を介しての所定部材内への粉塵等の侵入が防止される。
【0030】
請求項12に記載の発明は、固定部を、基部の下部に平板状に構成し、下面に接着媒体を介して所定部材に固定させるように構成したことを特徴としており、この発明によれば、固定用孔のない部分にも容易に取り付けることができる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、基部に、側方に延出する一対の指掛け部を設けたことを特徴としており、この発明によれば、両指掛け部を設けたことによって両脚片を固定用孔に容易かつ的確に押し込むことができる。
【発明の効果】
【0032】
請求項1に記載の発明によれば、両支持体をロック機構によってロックすると、支持体の縮径に伴い保持部がワイヤーハーネスの全体を包み込むように保持することから、該ワイヤーハーネスを確実かつ強固に保持することが可能になる。
【0033】
しかも、両支持体をワンタッチでロックしてワイヤーハーネスを保持することができるので、かかるワイヤーハーネスの止め付け作業がきわめて容易になり、該止め付け作業の作業能率の向上が図れる。
【0034】
請求項2に記載の発明によれば、ロック状態において保持部を常に中央に配置することが可能となるため、ワイヤーハーネスを直線状に整然と止め付けることができる。これによって、当該ワイヤーハーネスの止め付け時における外観品質の向上が図れる。
【0035】
請求項3に記載の発明によれば、撓み変形可能な一対の保持部構成体によって構成されるループ状の保持部をもってワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはケーブル等を保持する構成を採用したことから、異なる線径を有するハーネス等対しても所定の外径の範囲内で本ファスナーを共通して用いることができる。これにより、ハーネス等の線径に応じてファスナーを選択する必要がなくなり、当該ハーネス等の止め付け作業性の向上が図れる。
【0036】
請求項4に記載の発明によれば、一つのファスナーによって二つの同径ないし異径のワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはケーブルなどを保持固定することができるため、該ハーネス等の止め付けに用いるファスナーの数を削減することができる。これにより、ハーネス等の止め付け作業性の向上が図れる。
【0037】
請求項5に記載の発明によれば、撓み変形可能な両保持部位によってワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはケーブル等の外径寸法にばらつき(誤差)が生じていても、かかる寸法誤差に関係なくハーネス等に対し適切な保持力を付与することが可能となり、該ハーネス等を常時確実に止め付けることができる。
【0038】
請求項6に記載の発明によれば、ロック機構を支持体の開閉方向及びワイヤーハーネスの延出方向の両方向において係合するように構成したことから、ロック機構のロック状態における両支持体の自由度がより制限される。これによって、より強固なロック状態を得ることができ、長期に亘ってワイヤーハーネスを保持することに供される。
【0039】
請求項7に記載の発明によれば、固定用孔に対し一方側から押し込むのみで、いわゆるワンタッチで容易かつ確実に所定部材に本ファスナーを固定することができる。一方で、本発明の場合、押し出し部を両脚片間から引き抜くことにより、該両脚片の拡開作用に基づく固定状態を解除することが可能となっており、当該ファスナーを所定部材から取り外すこともできる。
【0040】
請求項8に記載の発明によれば、支持脚の弾発力に基づいて該支持脚と爪部によって所定部材をその厚さ方向において挟持するように構成したことにより、該所定部材に対し固定部を強固に固定することが可能となる。このため、固定部に抜き差し可能な構造を採用しつつも、該固定部の所定部材からの不用意な脱落を防止することができる。
【0041】
請求項9に記載の発明によれば、固定部について押し出し部と両脚片を相互に連結する構造を採用したことにより、所定部材に対して固定部をより強固に固定することが可能となる。このため、固定部に抜き差し可能な構造を採用しつつも、所定以上の力を作用させなければ押し出し部と両脚片の連結が解除されないことから、当該固定部が不用意に脱落してしまうおそれがなくなる。
【0042】
請求項10に記載の発明によれば、押し出し部の係合突部と両脚片の係合溝とをいわゆるフック状態に係合させるようにしたことで、両脚片間に押し出し部を挿入する際には当該挿入が容易となり、本ファスナーの止め付け作業性の向上が図れると共に、押し出し部と両脚片の連結を解除する際には当該連結が解除されにくくなるため、本ファスナーの不用意な脱落も防止できる。
【0043】
請求項11に記載の発明によれば、固定部にシール機能をもたせることができ、これによって固定用孔を介しての所定部材内への粉塵等の侵入を防止することができる。換言すれば、別途シール部材等を設ける必要がないことから、部品点数の削減にも供される。
【0044】
請求項12に記載の発明によれば、固定部を、基部の下部に平板状に構成し、所定部材に対し接着媒体を介して接着固定させるようにしたことから、固定用孔を有しない部分であっても容易かつ確実に取り付けることが可能となる。これにより、特に家電製品や事務機器など、自動車のように多数のプレス孔を有しないものにも適用することができる。
【0045】
請求項13に記載の発明によれば、基部の側部に一対の指掛け部を設けたことにより、該指掛け部に指を掛けることで固定部を固定用孔に容易かつ的確に押し込むことが可能となる。これにより、ワイヤーハーネスの止め付け作業性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明に係るワイヤーハーネス用ファスナーの各実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0047】
図1〜図16は請求項1に記載の発明に対応するワイヤーハーネス用ファスナーの実施の形態を示し、このワイヤーハーネス用ファスナーは、車両に適用されたもので、ファスナー本体1と、該ファスナー本体1の図中下端部に一体に形成された固定部2とを合成樹脂材によって一体に形成され、この固定部2は、車体パネル3の所定箇所に穿設された円形状の固定用孔3aに挿通固定されるようになっている。
【0048】
前記ファスナー本体1は、全体が矩形薄型形状に形成されていると共に、ほぼ左右対称形状に形成されており、下部中央に前記固定部2が一体に固定された硬質な基部4と、該基部4の両端部から立ち上がり状に設けられて、拡縮径方向へ弾性変形可能な円弧形状を成す一対の支持体5,5と、該両支持体5,5の縮径方向の変形時にこれら支持体5,5をロックするロック機構6と、前記両支持体5,5内に設けられて、内部に単数ないし複数のワイヤーハーネスHを保持する撓み変形可能なループ状の保持部7と、各一端部8a、8aが前記保持部7の底部7a側の両側に結合された一対の支持アーム8,8と、前記支持体5,5の対向内面から内方へほぼ水平方向へ対峙状態に設けられて、前記保持部7の両外側面7b,7bを突き合わせ状態に押圧する一対の突起部9,9と、を備えている。
【0049】
前記基部4は、両端側に向かってそれぞれ上り傾斜状となるように形成され、中央位置には、保持されたワイヤーハーネスHが延出する方向に沿って連続する溝部4aが形成されている。さらに、この基部4の両側部には、前記溝部4aの形成方向に沿って指掛け部4b,4bが延設されており、該指掛け部4b,4bに指を掛けられるようにすることで、前記固定部2を車体パネル3の固定用孔3aに挿通固定する際の作業の容易化が図られている。
【0050】
前記一対の支持体5,5は、基端部5a,5aが前記基部4の両端部に一体に結合されていると共に、上端部の各先端部5b,5bの間には、両支持体5,5が拡径方向へ変形した状態、つまり自由状態(以下、同じ。)において開口部10が形成されている。
【0051】
また、支持体5,5は、基端部5a,5a付近に該支持体5,5の拡縮径方向へ弾性変形を容易にする薄肉部5c、5cが形成されていると共に、両外側部には、支持体5,5を指で摘んで互いにロック方向へ、つまり内方(縮径方向)へ変形させるための、指掛け部5d,5dが一体に形成されている。
【0052】
さらに、一方側の支持体5の先端部5b内面に支持突起12が他方側の支持体5の内面方向へ向かって突設されている一方、他方側の支持体5の先端部5bの内面に両支持体5,5が最も大きく縮径方向へ弾性変形した際に前記支持突起12の先端が弾接する当接面13が形成されており、この支持突起12と当接面13によって係止力付与機構が構成されている。
【0053】
前記ロック機構6は、一方側の支持体5の先端部5b内側に形成されたほぼ嘴形状のロック用溝6aと、他方側の支持体5の先端部5b背面に形成されて、両支持体5,5が互いに縮径方向へ変形して各先端部5b,5bが重合状態に移動した際に前記ロック用溝6aに係止する嘴形状のロック爪6bと、を備えている。
【0054】
前記ロック用溝6aは、先端縁6cが僅かに凹状に形成されて、両支持体5,5の互いに外方への引っ張り方向の力が作用すると、前記ロック爪6bの突起状の後端縁6dが食い込み状態に係止するようになっている。
【0055】
また、一方側の先端部5bの前記ロック用溝6aより先端側には、前記ロック用溝6aにロック爪6bが係止したロック状態時に先端縁をマイナスドライバー等の所定の工具で引っかけて持ち上げることによってロック状態を解除する解除用突起11が一体に設けられている。
【0056】
前記保持部7は、ほぼ全体が薄肉に形成されていて比較的自由に弾性変形可能になっており、一端部7bが前記支持突起12の先端に一体に結合されていると共に、他端部7bが前記当接面13の下端に一体に結合されている。また、この保持部7は、自由状態において前記底部7aが下方へ膨出形成されていると共に、両側部は対向する屈曲部7c,7cによって開かれて内部と前記開口部10とが連続した開放状態になっている。
【0057】
さらに、前記保持部7の下端部には、前記溝部4aと対峙するように下方へ突出する先端ほぼ円弧状の突起7dが設けられていて、該突起7dは、両支持体5,5の縮径方向への変形に伴って保持部7が両支持体5,5の先端部によって押し込まれるようにして下方へ移動した際に、つまり前記ロック状態時において前記溝部4aに係合するようになっている。
【0058】
前記一対の支持アーム8,8は、ほぼL字形状にそれぞれ形成されて対向配置され、各他端部8b,8bが前記突起部9,9の図中下面に下方向から結合されていると共に、前記保持部7の両側部に結合された前記各一端部8a,8aの近傍と他端部8b,8b自体には、前記支持体5,5の拡縮方向の変形作用に追従して容易な変形を得るための薄肉部8c,8cがそれぞれ形成されている。
【0059】
前記一対の突起部9,9は、各基端部が前記支持体5,5の対向内面の前記各指掛け部5d,5dがほぼ対応する位置に結合されていると共に、ほぼ円弧状の各先端縁9a,9aが自由状態において前記保持部7の両外側面に一定の隙間を介して対峙している。
【0060】
前記固定部2は、図1及び図2に示すように、前記ファスナー本体1の基部4に首部14を介して結合された中空状のステム部15と、前記首部14の直下にほぼ同軸上に突設された押し出し部16と、から主として構成されている。
【0061】
前記ステム部15は、全体が弾性変形可能に形成され、前記首部14から左右へ二股状に分岐形成されて下方へ延出した一対の支持脚17,17と、該各支持脚17,17の下端縁から一対の連結片18,18を介して互いに内方へ連続して設けられて、前記固定用孔3a内に挿通される一対の脚片19,19と、を備えている。
【0062】
前記一対の支持脚17,17は、それぞれ外側へと膨出するように湾曲形成されることによって鉛直方向に撓み変形可能に構成されていて、首部14の付根部から両肩部に亘る範囲には容易な撓み変形を確保するための薄肉部17a,17aが設けられている。
【0063】
前記一対の連結片18,18は、容易な撓み変形を確保すべく、前記各支持脚17,17の下端縁にそれぞれ結合された外端縁近傍に薄肉部18aが形成されていると共に、自由状態おいて、図1に示すように、当該薄肉部18aから内方へ向かって僅かに上方へ立ち上がり状に形成されている。
【0064】
前記一対の脚片19,19は、前記各連結片18,18の内端縁に結合されて、下方に向かって窄まるように形成された弾性変形可能な蛇腹部19a,19aと、該蛇腹部19a,19aの下端に外方へ突出するようにそれぞれ一体に設けられて、前記固定用孔3aの孔縁に係止可能なほぼ錨状に形成された爪部である係止爪19b,19bと、から構成されていて、自由状態において前記両蛇腹部19a,19aが図2に示すように逆ハ字形状に拡開変形することで、両係止爪19b,19bを互いに近接させるように保持している。
【0065】
なお、前記蛇腹部19a,19aと係止爪19b,19bとの結合部の外側面には、該係止爪19b,19bを内方へと比較的容易に弾性変形可能とする蟻溝19c,19cがそれぞれ形成されている。
【0066】
一方、前記押し出し部16は、ほぼ矩形板状を呈し、前記両支持脚17,17の分岐位置からこの支持脚17,17の対称軸を成すようにほぼ鉛直方向に突設されていて、自由状態において当該両支持脚17,17の内側に収容されるようになっている。
【0067】
また、この押し出し部16の両外側面には、前記両脚片19,19を固定用孔3aに挿通した際に前記蛇腹部19a,19aの先端部内側にそれぞれ切欠形成された係合溝19d,19dに係合する係合突部16a,16aが一体に設けられている。これらの係合突部16a,16aは、斜め上方(本実施の形態では、ほぼ45°)に向かって突出するほぼフック状に形成されていると共に、先端がほぼ円弧状に形成されている。
【0068】
さらに、前記押し出し部16の下端部両側には、前記両脚片19,19を固定用孔3aに挿通した際に前記両係止爪19b,19bを外方へ押し開く断面ほぼ三角形状の凸部16b,16bが外方に突設されている。なお、この三角形の各斜面の傾斜角は、ほぼ45°に設定されている。
【0069】
以下、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーの作用について図2〜10に基づいて説明する。
【0070】
まず、車体パネル3の固定用孔3aにワイヤーハーネス用ファスナーを取り付けるには、図2に示すように、ファスナー本体1を持って両脚片19,19の係止爪19b,19bを固定用孔3aの外側(一側面側)の孔縁にあてがう。
【0071】
そして、前記両指掛け部4b,4bに指を掛けてそのままファスナー本体1を押し下げると、両脚片19,19が固定用孔3aに所定量だけ挿通したところで両蛇腹部19a,19aが固定用孔3aの外側孔縁に引っかかることとなり、両脚片19,19の進出が停止する。すると、この引っかかりが抵抗となって図3に示すように前記連結片18,18及び蛇腹部19a,19aが上方へ持ち上げられるように山なりに屈曲変形することとなり、前記両支持脚17,17の下端が車体パネル3の上面(一側面)に当接する。
【0072】
ここで、車体パネル3によってステム部15の進出が規制され、両支持脚17,17が鉛直方向に屈曲変形しつつ押し出し部16が下方へ進出することとなり、やがて図4に示すように該押し出し部16の先端部が前記凸部16b,16bを介して両脚片19,19間を押し開くように該両脚片19,19の間に入り込む。
【0073】
このようにして、前記押し出し部16の進出に伴い両脚片19,19の先端側が図5に示すように前記凸部16b,16bによって外側へ押し開かれ、これに伴い前記蛇腹部19a,19aが固定用孔3a内に引き込まれることで、最終的には、図6に示すように両脚片19,19全体が固定用孔3aに入り込む。
【0074】
そして、両脚片19,19全体が固定用孔3aに入り込むと共に、前記支持脚17,17が最も大きく撓み変形することとなり、図7に示すように、前記首部14の底部が前記両連結片18,18に当接する。このとき、ちょうど係合突部16a,16aが蛇腹部19a,19aの先端側に設けられている前記係合溝19d,19dに係合して、押し出し部16と両脚片19,19が連結される。
【0075】
ここで、両支持脚17,17は前述までの押し込み力によって大きく変形していることから、該押し込み力を解放すると、図8に示すように支持脚17,17の弾発力(反力)によってファスナー本体1が上方へ持ち上げられると共に、該ファスナー本体1と一体に移動する押し出し部16も上方へと引っ張られることから、これに伴って押し出し部16に連結された両脚片19,19も該押し出し部16の移動に従って引っ張られることとなる。
【0076】
こうして、前記支持脚17,17や連結片18,18が原形状に復帰することにより、前記係止爪19b,19bが、前記凸部16b,16bの上端側の斜面(テーパ面)によって押し開かれた状態で、固定用孔3aの下側(他側面側)の孔縁に係止することになる。
【0077】
続いて、前述のように車体パネル3に固定したワイヤーハーネス用ファスナーにワイヤーハーネスHを保持させるには、図9に示すように、両支持体5,5が拡径方向に弾性変形して前記開口部10が開成され、かつ、保持部7の前記両屈曲部7c,7c間も開成されているファスナー本体1に、複数(本実施の形態では8本)のワイヤーハーネスHを束ねて前記開口部10から保持部7内にまとめて嵌挿させる。
【0078】
そして、前記両支持体5,5の指掛け部5d,5dを片手の2本指で摘んで該両支持体5,5を縮径方向へ変形させると、図10に示すように、これら両支持体5,5の内方への変形に伴い前記両屈曲部7c,7cが互いに突き合わされて前記開口部10との連通が遮断されると共に、前記底部7a側に菱形形状をなすループ状の保持部7が構成され、ワイヤーハーネスHの束全体がこの保持部7内で包囲状態に保持される。
【0079】
このとき、同時に、前記両屈曲部7c,7cを圧接させながら両支持体5,5をさらに内方へと縮径方向へ弾性変形させることにより、各先端部5b,5bが互いに重合状態になってロック爪6bがロック用溝6a内に係入すると共に弾発状態に係止されて、かかるロック機構6を介して当該両支持体5,5の開閉がロックされる。
【0080】
また、本ファスナーに係る固定部2にあっては、破損や破壊を伴うことなく車体パネル3から分離することが可能となっている。すなわち、図11に示すように、ファスナー本体1を上方(図中矢印の方向)へ強く引っ張ると、支持脚17,17が伸張するように弾性変形すると共に、当該引っ張り力が押し出し部16について前記凸部16b,16bを介して両脚片19,19間を押し開くように作用して、該両脚片19,19間から押し出し部16が抜け出ることとなる。
【0081】
このとき、同時に、前記押し出し部16の後退に伴い両脚片19,19が前記凸部16b,16bによって持ち上げられることから、これによって固定部2の前記各係止爪19b,19bが固定用孔3aの下側孔縁に引っ掛かって蛇腹部19a,19aとの間の前記各蟻溝19c,19cを介して互いに内方へ弾性変形することとなる。この結果、両脚片19,19による係止状態が解除され、当該ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネル3から分離される。
【0082】
以上のことから、本実施の形態では、両支持体5,5をロック機構6によって連結ロックすることで、保持部7の前記両屈曲部7c,7cが十分に圧接されて両者間を隙間なく確実に閉塞しつつ前記両支持アーム8,8によって保持部7がワイヤーハーネスHの全体を挟圧状態に包み込んで結束状態に保持することから、該ワイヤーハーネスHを確実かつ強固に保持することが可能になる。このため、前記各ワイヤーハーネスHを長期にわたり安定して保持することができる。
【0083】
しかも、両支持体7,7に関しては、いわゆるワンタッチでロックすることが可能であるため、ワイヤーハーネスHの止め付け作業が極めて容易になり、当該作業能率の向上が図れる。なお、本実施の形態では、前記両指掛け部5d、5dによって両支持体5,5の縮径方向へ弾性変形作業を行うため、かかる作業を容易に行うことが可能になる。
【0084】
そして、本ファスナーに係る固定部2の場合には、固定用孔3aに対して外側から押し込むのみのいわゆるワンタッチによって当該固定部12を車体パネル3に容易に固定させることができるため、ワイヤーハーネスHの止め付け作業性が良好となる。
【0085】
これに加えて、支持脚17,17が車体パネル3の上面において自己の弾発力に基づいて突っ張ることから、各係止爪19b,19bが固定用孔3aの下側孔縁に圧接状態に係止することになる。これによって、固定部2を車体パネル3により強固に固定することが可能となる。このため、前述のような抜き差し可能な構造を採用しつつも、車体パネル3からの不用意な脱落を防止することができる。
【0086】
しかも、押し出し部16と両脚片19,19を前記係合構造をもって相互に連結させたことにより、押し出し部16が両脚片19,19の間に確実に保持されることとなり、該両脚片19,19は押し出し部16によって常時外方へ開かれた状態が維持される。これによって、前記両係止爪19b,19bの先端縁間距離が固定用孔3aの孔径よりも小さくなることがないので、車体パネル3に固定部2をより確実かつ強固に固定することができる。このため、前述のような抜き差し可能な構造を採用しつつも、所定以上の強い力を作用させなければ押し出し部16と両脚片19,19の連結が解除されないことから、車体パネル3からの固定部2の不用意な脱落をより確実に防止できる。
【0087】
さらに、このとき、前記各係合突部16a,16aを斜め上方に突出させて該各係合突部16a,16aを係合溝19d,19dにほぼフック状に係止させる構造を採用したことにより、押し出し部16を下方へ進出させる、つまり該押し出し部16を両脚片19,19間に挿入する際には、進出方向に向かって先細る各係合突部16a,16aによって両脚片19,19を効果的に押し開くことができる。これにより、本ファスナーの止め付け作業性の向上が図れる
また、一方で、押し出し部16と両脚片19,19を連結した後においては、各係合突部16a,16aが係合溝19d,19dに対して斜め上方に入り込んだいわゆるほぼフック状態となっているため、押し出し部16を上方へと後退させる、つまり押し出し部16を両脚片間19,19から引き抜く場合には、前記フック状の係合構造がより一層の抵抗として作用することになり、上記連結が解除されにくくなる。このため、本ファスナーの車体パネル3からの脱落の効果的な防止が図れる。
【0088】
また、本ファスナーを車体パネル3から分離可能としたことから、車体の解体などに際し、リサイクルの用に供されると共に、該リサイクルのための分離作業を容易に行うことができる。
【0089】
さらには、前記ステム部15の支持脚17、17及び連結片18,18の弾性変形作用によって、図12に示すように、板厚t、t1が種々異なる車体パネル3にも十分に対応することが可能である。
【0090】
なお、本ファスナーは、ワイヤーハーネスHの本数に関わりなく保持することが可能であり、例えば、図13に示すようにワイヤーハーネスHが1本の場合、図14に示すように2本の場合、図15に示すように4本の場合、図16に示すように6本の場合など、いずれの本数の場合でも、各支持アーム8,8や各突起部9,9を介して保持部7によってこれらの各ワイヤーハーネスHを包囲状態に支持することから、常に強固かつ確実に保持することが可能になる。
【0091】
このように、前記保持部7は、ワイヤーハーネスHの本数によってその菱形の基本形状が内角を変化させつつ各ワイヤーハーネスHを常に包囲状態で保持するため、その保持力が高くなり、たとえ各ワイヤーハーネスHに上方向への強い力が加わっても前記各屈曲部7c,7c間から抜け出てしまうおそれがない。
【0092】
図17〜図19は請求項3に記載した発明に対応する実施の形態を示し、前記ファスナー本体1の基部4や両支持体5,5、並びに固定部2などの基本構成は先の請求項1に係る実施の形態と同様であることから、これらの具体的な説明については省略する。なお、先の請求項1に係る実施の形態と同様の構成については、当該実施の形態と同じ符号を付して説明する。
【0093】
すなわち、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーは、ファスナー本体1において、前記基部4の両支持体5,5側の内側上面に一対の係止溝20,20が形成されていると共に、両支持体5,5の対向する内側面には、それぞれ断面ほぼ半円状の円弧面21,21が形成されている。
【0094】
前記一対の係止溝20,20は、相互に連続して形成され、全体がほぼ矩形長溝状に形成されていると共に、各内端縁に折り返し状の突部20a,20aが一体に形成されている。
【0095】
前記各円弧面21,21は、ほぼ半円弧状の内径が前記ケーブルKの外径よりも十分に大きく形成されていると共に、両支持体5,5における前記基部4側の対向内面に、互いにほぼ突き合わせ状態に突設された突起部24,24を一体に有している。
【0096】
そして、前記両円弧面21,21には、それぞれ内部が中空状に構成され、両支持体5,5が縮径方向へ弾性変形した際に互いに突き合わされることによって内部にワイヤーハーネスであるケーブルKを嵌挿保持するループ状の保持部22を構成する撓み変形可能な一対の保持部構成体23,23が設けられている。
【0097】
前記一対の保持部構成体23,23は、全体が撓み変形可能な薄肉状に形成されていて、対向する部位にほぼ円弧凹状の保持部位23a,23aを有し、該両保持部位23a,23aを互いに突き合わせることによって内部に前記ループ状の保持部22を構成するようになっている。
【0098】
また、前記各保持部構成体23,23は、前記保持されたケーブルKの延出方向(以下、ファスナー前後方向という。)の幅厚さが各支持体5,5のファスナー前後方向の幅厚さよりも若干小さく設定されていて、該各支持体5,5のファスナー前後方向の両端から内側へオフセットして設けられている。
【0099】
前記各突起部24,24の先端下部には、両支持体5,5がそれぞれ縮径方向へ弾性変形した際に前記各係止溝20,20に係止する一対の係止突起24a,24aが一体に設けられている。そして、前記各係止突起24a,24aと前記各突部20a,20aは、両支持体5,5のロック時に互い違いに係合するように構成され、該ロック状態においてファスナー前後方向に一部が重合するようになっている。
【0100】
また、前記両突起部24,24の先端部には、外側部分がそれぞれ互い違いに突出する係止突部24b,24bが設けられていて、該各係止突部24b,24bは、両支持体5,5がロックされた際に、ファスナー前後方向において、対向する相手側の各突起部24,24の一部と重合するように構成されている。
【0101】
さらには、前記各係止突部24b,24bについては、これら係止突部24b,24bの先端面が、対向する相手側の各突起部24,24の外側部に設けられた該各係止突部24b,24bに係合する係止用溝24c,24cの内端面に圧接するようになっている。
【0102】
すなわち、前記両突起部24,24は、両支持体5,5がロックされた際に、前記各係止突部24b,24bを介してファスナー前後方向において係止状態を得るように構成されていると共に、該各係止突部24b,24bの先端面が対向する前記各係止用溝24c,24cの内端面に圧接し、かつ、該圧接に伴う両支持体5,5の拡径方向への反力に基づいて当該各係止突部24b,24bの後端面が前記各突部20a,20aの内側部に圧接して両支持体5,5の拡縮方向においても係止するように構成されている。かかる構成によって、両突起部24,24は、両支持体5,5の拡縮方向及びファスナー前後方向の双方向に係止するようになっている。
【0103】
また、前記各係止突部24b,24bは、厚さ幅が前記各保持部構成体23,23のオフセット量よりも僅かに小さい程度に設定され、かつ、各円弧面21,21よりも径方向内側の領域まで延出するように構成されていて、両支持体5,5の縮径方向への弾性変形時において各保持部構成体23,23の下端部をそれぞれ内側に収容するようになっている。
【0104】
なお、前記両支持体5,5の縮径方向へ互い違いに突出させてファスナー前後方向へ相互に係止させる構造及び当該両支持体5,5のロック時において前記各保持部構成体23,23の一部を内側に収容する構造は、両支持体5,5の前記各突起部24,24の他端側に突き合わせ状態に設けられた支持突起25,25についても同じように適用されている。
【0105】
すなわち、前記両支持突起25,25は、ファスナー前後方向の一端側と他端側でそれぞれ互い違いに突設されて、両支持体5,5の縮径方向への弾性変形時にファスナー前後方向において互いに重合するように構成されていると共に、前記突設された部分の内側の所定範囲が周方向に沿って切り欠かれていて、前記各保持部構成体23,23の下端部の場合と同様に、両支持体5,5のロック時に各保持部構成体23,23の上端部を内側に収容するように構成されている。
【0106】
また、前記ロック機構6についても、両支持体5,5の拡縮径方向へ相互に係止させる先の請求項1に係る実施の形態の構成に加えて、前記各支持突起25,25と同様に、ファスナー前後方向において互いに係止する構成を有している。
【0107】
具体的には、前記ロック用溝6aの先端縁6cにおけるファスナー前後方向の一端側の所定範囲に係止凹部6eが設けられている一方、前記ロック爪6bの後端縁における前記係止凹部6eに対応する位置に、該係止凹部6eに係合する係止凸部6fがそれぞれ形成されていて、これら係止凹部6eと係止凸部6fとを係合させることによってロック用溝6aとロック爪6bとがファスナー前後方向において重合状態に係止するようになっている。
【0108】
また、前記保持部22の外側部となる各保持部構成体23,23の内部には、一対の突起26,26がそれぞれ突設されている。これらの突起26,26は、所定の外径よりも大きな外径を有するケーブルKを内部に嵌挿保持した際に各円弧面21,21に当接するようになっており、これによって保持部22(各保持部構成体23,23)の所定量以上の拡径変形を規制し、かかる過度な拡径変形によるファスナー本体1の破損を防止する役割を果たしている。
【0109】
前記固定部2の構成は、先の請求項1に係る実施の形態に係る固定部2のものと基本的には同じであるが、本実施の形態に係る固定部2については、先の請求項1に係る実施の形態に係る固定部2の両支持脚17,17の外周部に半球面状の傘部27が一体形成されていると共に、該傘部27の先端には撓み変形容易なリップ27aが周方向に沿って連続的に設けられている。このリップ27aは、固定部2が車体パネル3に固定された際に、車体パネル3の一側面における前記固定用孔3aの外周域に弾接するような延出量に設定されている。
【0110】
以下、本実施の形態の作用について説明すると、まずは、先の請求項1に係る実施の形態と同様に、前記基部4を固定部2によって車体パネル3に固定用孔3aを介して固定し、その後、自由状態において予め拡径方向へ弾性変形した両支持体5,5の内部に前記開口部10を介してケーブルKを嵌挿して、両保持部構成体23,23の一方側の保持部位23aにケーブルKを保持させる。
【0111】
続いて、両支持体5,5の指掛け部5d,5dを指で摘んで該支持体5,5を縮径方向へ強制的に弾性変形させると、両保持部構成体23,23の下端部同士が突き合わされた後、両保持部位23a,23aが下端側からケーブルKの外径に合わせて漸次弾性変形しながら該ケーブルKの外周面に密着していく。そして、図19に示すように、両保持部構成体23,23の上端部同士が当接することによって該両保持部構成体23,23間にループ状の保持部22が画成され、この保持部22によってケーブルKが抱持されることから、最終的に、両支持体5,5が前記ロック機構6によってロックされることにより、ケーブルKが前記保持部22によって狭圧状態に弾性保持されることとなる。
【0112】
このように、前記両保持部構成体23,23がケーブルKの外径に応じて自在に撓み変形することから、ケーブルKの外径にかかわらず保持部22がケーブルKに対して常に抱持状態に密着することになる。これにより、ケーブルKの外径に応じてファスナーを選択する必要がなくなり、当該ファスナーを外径の異なるケーブルに対し共通化することができる。この結果、ケーブルKの止め付け作業性を向上させることができる。
【0113】
しかも、この両保持部構成体23,23は、全体が薄肉な樹脂材によって形成されていることから、弾性変形が容易で良好な振動吸収性を確保しつつも、従来のようにファスナーとケーブルとの間にスポンジを介在させて振動吸収性を担保する場合と比べて耐久性にも優れているため、特に前記ケーブルKが振動や衝撃に弱い光ケーブル等であっても、該ケーブルを長期に亘って適切に保持することが可能となっている。
【0114】
また、前記ケーブルKを両保持部構成体23,23を介して保持する際には、前記各係止溝20,20に各突起部24,24の前記係止突起24a,24aが係入することによって係合状態を得ると同時に、前記各係止突部24b,24bの先端面と対向する前記各係止用溝24c,24cの内端面とが互いに弾接状態に突き合わされることになる。これにより、当該各突起部24,24には、それぞれほぼ軸線外方(図19中の矢印方向)への反力が作用し、これらの反力が各係止突起24a,24aに伝達されることから、前記各係止突起24a、24aは、各係止溝20,20に対する前記各反力方向への係止力が増加されて、各係止突起24a,24aに強く係止することとなる。
【0115】
このようにして、前記保持部22内のケーブルKは、前述した両支持突起25,25同士の弾接に基づく前記ロック機構6の強い係止力と相俟ってより強固に保持されることとなる。
【0116】
しかも、これら両支持体5,5を単に互いに縮径方向へと弾性変形させる操作のみによってケーブルKを強固に保持できることから、その止め付け作業がきわめて容易になる。このように、他の構成は、先の実施の形態と同様であるから、本実施の形態においても先の請求項1に係る実施の形態と同じ作用効果が奏せられることは勿論である。
【0117】
また、本実施の形態に係るファスナー本体1では、前記ロック機構6、前記各突起部24,24及び各支持突起25,25の各部においてそれぞれファスナー前後方向への相対移動を規制する前記係止構造を採用したことにより、ファスナー本体1自体或いは保持状態にあるケーブルKにファスナー前後方向へ不用意な力が作用してしまった場合におけるファスナー本体1のファスナー前後方向へのいわゆる倒れ(捩れ)変形を防止することができる。これによって、前記変形に伴って前記ロック機構6のロック状態が不用意に解除されてしまうおそれがない。
【0118】
換言すれば、前記ロック機構6により支持体5,5の拡縮径方向に作用する力に対してケーブルKの保持状態が十分に維持されるのは勿論のこと、ファスナー前後方向に作用する力に対しても十分に対抗することが可能となり、ケーブルKをより確実かつ強固に保持することができる。
【0119】
なお、かかる係止構造は、必ずしも前述した三箇所のすべてに設けられている必要はなく、少なくともいずれか一箇所に設けられていれば、ファスナー本体1のファスナー前後方向への倒れなどが防止されて、ケーブルKの強固な保持状態を確保することができる。
【0120】
また、本実施の形態に係る固定部2にあっては、車体パネル3に固定された際に前記傘部27のリップ27aが車体パネル3の上面(一側面)に弾接することから、この車体パネル3に密着するリップ27aによっていわゆるシール作用を得ることができる。すなわち、外部から固定用孔3a内に侵入しようとする異物を前記リップ27aによって遮断することができる。
【0121】
図20〜図22は請求項4に記載した発明に対応する実施の形態を示し、基本的な構成は先の請求項3に係る実施の形態と同様であり、異なるところは、前記ファスナー本体1を両支持体5,5の拡縮径方向へ幅広に形成すると共に、前記基部4の上部ほぼ中央位置であって両支持体5,5間に支柱部28を立設し、該支柱部28と両支持体5,5の対向面に各一対の前記保持部構成体23を設けることとして、前記支柱部28を挟んで両側に二つの前記保持部22,22が構成されるようになっている。これに伴い、両支持体5,5は左右対称に形成され、双方の先端部内側に前記ロック用溝6a,6aを有している一方、支柱部28の上部両側には、各支持体5,5のロック用溝6a,6aが係合する一対のロック爪6b,6bが設けられている。
【0122】
このように、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーについては、ファスナー本体1に二つの前記保持部22,22がそれぞれ独立して設けられるように構成されており、該両保持部22,22を介して一つのファスナーにつき二本のケーブルK,Kを保持することが可能となっている。
【0123】
なお、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーを用いてケーブルK,Kを車体パネル3に止め付ける方法については先の請求項3に係る実施の形態と同様であるから、具体的な説明については省略する。
【0124】
以上のことから、この実施の形態によれば、基本的な構造については先の請求項3に係る実施の形態と同様であるから、当該先の請求項3に係る実施の形態と同様の作用効果が得られるのは勿論のこと、一つのファスナーに前記二つの保持部22,22を設けたことから、二種類のケーブルK,Kを、特に両ケーブルK,Kが相互に異なる線径を有するものであっても、一つのファスナーで止め付けることができる。このため、ケーブルKの止め付けに用いるファスナーの数を削減することができる。また、これに伴い、ファスナーを車体パネル3に取り付ける際の作業工数も低減できると共に、外観上も繁雑でなく良好となる。
【0125】
図23〜図25は請求項5に記載した発明に対応する第1の実施の形態を示し、基本的な構成は先の請求項3に係る実施の形態と同様であり、異なるところは、前記各保持部構成体23,23を廃止して、その代わりに、前記各支持体5,5の円弧面21,21を前記各保持部位23a,23aとして構成したものである。
【0126】
すなわち、各支持体5,5において、前記各保持部位23a,23aを構成する円弧の曲率を保持対象となるケーブルKの線径よりも若干小さく設定すると共に、これら保持部位23a,23aが形成される部分を厚肉に形成し、該厚肉部分の内部であって各保持部位23a,23aの外周域に、該各保持部位23a,23aに対して同心となるほぼ三日月状の中空部29,29を設けたものである。
【0127】
なお、前記各保持部構成体23,23の廃止に伴い、前記各係止突部24b,24bについては、前記各支持突起25,25と同様に、ファスナー前後方向の一端側と他端側でそれぞれ互い違いに突設され、両支持体5,5がロックされた際に互いに弾接状態に突き合わされると共にファスナー前後方向において相互に重合するように構成されている。
【0128】
以下、本実施の形態の作用について説明すると、まず、前記基部4を、先の請求項1に係る実施の形態と同様に、前記固定部2を介して車体パネル3に固定し、その後、自由状態において予め拡径方向へ弾性変形した両支持体5,5に対して前記開口部10を介してケーブルKを嵌挿して、一方側の保持部位23aにケーブルKを保持させる。続いて、前記両指掛け部5d,5dを指で摘んで両支持体5,5を縮径方向へと強制的に弾性変形させると、まず前記両係止突部24b,24bの先端部同士が当接しつつ、他方側の保持部位23aがケーブルKに当接することとなる。
【0129】
そして、前記開口部10が閉塞されると、これによってループ状の保持部22が画成されると共に両保持部位23a,23aがケーブルKにより押し開かれることから、該両保持部位23a,23aがケーブルKの外周面に密着することとなる。最終的に、図25に示すように、両支持体5,5の先端部が前記ロック機構6によってロックされると、両支持突起25,25の先端部同士が圧接しつつ保持部22によってケーブルKが挟圧状態に保持されることとなる。
【0130】
このように、本実施の形態によれば、特に、前記両保持部位23a,23aの外周側にファスナー前後方向に連続する中空部29,29をそれぞれ介在させて両保持部位23a,23aをケーブルKの外径に応じて撓み変形可能としたことから、たとえケーブルKの外径に寸法誤差が生じていても、保持部22によってケーブルKを確実に、かつ、適正な保持力をもって保持することが可能となる。すなわち、外径寸法誤差を有するケーブルKに対しても、ケーブルKを必要以上に圧迫したりケーブルKに対しての保持力が不足してしまうなどの問題を生じるおそれがなく、ケーブルKの歩留まりの向上が図れると共に、ケーブルKを最適な保持力をもって長期に亘り保持することができる。
【0131】
また、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーにあっては、両支持体5,5の内部に前記各中空部29,29を設けるだけの簡素な構造としたことにより、先の各実施の形態に係るファスナーと比較して、ファスナー自体の製造が容易となり、この結果、製造コストの高騰化も抑制することができる。
【0132】
図26〜図28は請求項5に記載した発明に対応する第2の実施の形態を示し、基本的な構成は前記第1の実施の形態と同様であり、異なるところは、前記各支持体5,5において、前記各保持部位23a,23aが形成される部分をさらに厚肉に形成し、両保持部位23a,23aをもって隣接する二本のケーブルK,Kが一体的に構成されたほぼ板状の外形を有するいわゆるフラットケーブルFKを保持可能としたものである。
【0133】
なお、このフラットケーブルFKの止め付けについては、前記第1の実施の形態と同様であるため、具体的な説明については省略する。
【0134】
以上のことから、この実施の形態によれば、断面非円形状のフラットケーブルFKであっても、前記第1の実施の形態と同様に、適正な保持力をもって確実に保持することができる。
【0135】
本発明は、前記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、前記ファスナー本体1にあっては、前記構成を有する固定部2だけではなく、種々のクリップに適用することができる。一例としては、図29に示すように、基部4の下部に平板状の固定部2を形成し、該固定部2の下面に両面接着テープを接着することにより、対象部材に該両面テープによる接着をもって固定することも可能である。これにより、対象部材を、車体などの多数のプレス孔を有するものに限らず、例えば家電製品や事務機器などの種々の装置や機器類に適用すること可能となり、汎用性が向上する。
【0136】
また、ワイヤーハーネスとしては、何れの種類のものでもよく、またその外径の大きさ如何に拘わらず各種のものに適用することが可能である。
【0137】
さらに、両支持体5,5を縮径方向へ弾性変形させる手段としては、前記各実施の形態のように、両指掛け部5d、5dを摘んで内方へ弾性変形させる以外に、ワイヤーハーネスHやケーブルKを開口部10からそれぞれの保持部7、21、31内に上から押し込む力を利用して両支持体5,5を互いに縮径方向へ変形させることも可能である。
【0138】
また、前記各支持体5,5は、両方とも弾性変形可能とするのではなく、一方側の支持体5を固定状態にしておいて、他方側の支持体5のみを内方へ弾性変形させることによって一方側の支持体5にロックさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】請求項1に記載の発明に対応した実施形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図2】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図3】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図4】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図5】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図6】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図7】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図8】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付けた状態を示す正面図である。
【図9】同ワイヤーハーネス用ファスナーにワイヤーハーネスを保持させる初期の状態を示す正面図である。
【図10】同ワイヤーハーネス用ファスナーにワイヤーハーネスを保持させた状態を示す正面図である。
【図11】同ワイヤーハーネス用ファスナーを固定用孔から引き抜く状態を示す正面図である。
【図12】同ワイヤーハーネス用ファスナーを板厚の異なる部材に取り付けた状態を示す正面図である。
【図13】同ワイヤーハーネス用ファスナーに1本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図14】同ワイヤーハーネス用ファスナーに2本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図15】同ワイヤーハーネス用ファスナーに4本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図16】同ワイヤーハーネス用ファスナーに6本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図17】請求項3に記載した発明に対応する実施の形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図18】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図19】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられ、該ファスナーにケーブルが保持された状態を示す正面図である。
【図20】請求項4に記載した発明に対応する実施の形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図21】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図22】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられ、該ファスナーにケーブルが保持された状態を示す正面図である。
【図23】請求項5に記載した発明に対応する第1の実施形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図24】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図25】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられ、該ファスナーにケーブルが保持された状態を示す正面図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図27】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図28】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられ、該ファスナーにケーブルが保持された状態を示す正面図である。
【図29】固定部の他の実施の形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0140】
1…ファスナー本体
2…固定部
3…車体パネル(所定部材)
3a…固定用孔
4…基部
5,5…支持体
5b,5b…先端部
6…ロック機構
7…保持部
8,8…支持アーム
9,9…突起部
10…開口部
H…ワイヤーハーネス
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両の電気機器に接続される複数のワイヤーハーネスを結束して車体の所定箇所に止め付けられるワイヤーハーネス用ファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のワイヤーハーネス用ファスナーとしては従来から数多く提供されており、その一つとして、例えば、以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
概略を説明すれば、このワイヤーハーネス用ファスナーは、例えば車両に用いられるもので、車体への固定用クリップと共に合成樹脂材によって一体に形成され、硬質な矩形状のベース部と、車体パネルなどのクリップ孔に差し込んで係止するクリップを有するステム部と、一端部が前記ベース部の一端部に一体的に結合されて、例えば複数のワイヤーハーネスを結束する可撓性の結束バンドと、から主として構成されている。
【0004】
前記ベース部の他端部には、前記結束バンドを挿通係止させるバックル部が形成されている一方、前記結束バンドの帯状本体の表面には、前記バックル部の開口縁に形成された係止突起に係止する波形状の係止溝が連続して形成されている。
【0005】
そして、ワイヤーハーネス用ファスナーが、前記クリップを介して車体パネルに固定された後に、複数のワイヤーハーネスを前記ベース部の内側面に当てがいつつ前記結束バンドの先端部を前記バックル部の開口孔に挿通してこの開口孔の反対側から飛び出した先端部を指で摘んで引っ張れば、前記所定箇所の係止溝が係止突起に係止して、各ワイヤーハーネスを結束しつつベース部に保持することが可能になる。
【特許文献1】特開平8−210321号公報など
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のワイヤーハーネス用ファスナーにあっては、単にベース部のバックル部の開口孔の係止突起と結束バンドの係止溝との係止状態を得ていることから、車体温度の変化によって前記係止突起と係止溝との係止力が低下して、結束バンドの先端部がバックル部から不用意に抜け出てしまい、この結果、各ワイヤーハーネスがファスナーからばらばらに外れてしまうおそれがある。
【0007】
しかも、各ワイヤーハーネスを結束バンドによって止めるに際しては、例えば、一人の作業者が一方の手で各ワイヤーハーネスをベース部に押し当てた状態で他方の手で結束バンドの先端部をバックル部の開口孔に挿通しなければならず、また、その後、手を持ち替えて結束バンドの先端部を引っ張らなければならないなど、かかるワイヤーハーネスの止め付け作業がきわめて繁雑になり、該止め付け作業能率の低下を招いている。
【0008】
本発明は、前記従来技術の実情に鑑みて案出されたもので、ワイヤーハーネスを長期に渡り確実かつ強固に止め付けることができると共に、止め付け作業能率を大幅に向上させることのできるワイヤーハーネス用ファスナーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して自由状態において両先端部間に形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、両端縁が前記両支持体の対向する内側面に結合され、前記一方の支持体が縮径方向へ変形した際に撓み変形可能なループ状を成して、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを抱持状態に保持する保持部と、対向する端縁が前記保持部の底部側の両側に結合されて、前記一方の支持体の縮径方向の変形に伴って前記保持部内に嵌挿されたワイヤーハーネスを前記保持部を介して挟圧状態に支持する一対の支持アームと、を備えたことを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、例えば両支持体が互いに拡縮方向へ弾性変形可能な構造である場合に、該両支持体を予め拡径方向に変形させて開口部を開口させた状態で、複数のワイヤーハーネスを手で束ねて前記開口部から保持部の底部側に嵌挿する。それから、前記両支持体の外側部を例えば指で摘んで内方(縮径方向)へ強制的に変形させると、該両支持体がロック機構によってロックされると共に、前記保持部が開口部側を閉じるように撓み変形する。これにより、各ワイヤーハーネスは、全体が保持部によって包み込まれるように保持されることとなり、この結果、ワイヤーハーネス全体に適度な保持力を付与しながら、該各ワイヤーハーネスを確実に保持することが可能となっている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、基部の上面のほぼ中央位置に溝部を形成すると共に、該溝部に対峙する保持部の下端部に突起を設けたことを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、両支持体が縮径方向へ回動するように変形することに伴い保持部の位置が下方へと偏倚する際に、この保持部に設けられた突起が基部の上面に形成されたテーパ面に沿って溝部に嵌合することになるため、ロック状態において常に保持部を中央に配置することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、とりわけ、保持部を、両支持体が縮径方向へ変形した際に、該両支持体の内側面に撓み変形可能に対向配置された一対の保持部構成体が有するほぼ円弧凹状の保持部位を突き合わせることにより画成されるループによって構成したことを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、保持部を撓み変形可能な二つの保持部構成体を突き合わせてなる拡縮変形容易なループによって構成したことにより、異なる線径を有するワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはワイヤーハーネスよりも大きな外径を有するケーブルなど、これらに対して所定の大きさの範囲内で共通して用いることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、とりわけ、前記請求項3の発明に係る保持部と同じように構成される保持部を二つ設けたことを特徴としており、本発明によれば、一つのファスナーをもって二つの異なる線径を有するワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはワイヤーハーネスより大きな線径を有するケーブルなどを保持することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、とりわけ、保持部を、両支持体の対向する内側面に中空部を介在させて径方向に撓み変形可能に形成されたほぼ円弧凹状の保持部位を突き合わせることにより画成されるループによって構成したことを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、両保持部位の外周域に中空部を介在させて該両保持部位によって画成される保持部を径方向に撓み変形可能に構成したことにより、ワイヤーハーネスやケーブル等の外径寸法にばらつきが生じていても、これらの寸法のばらつきを前記撓み変形可能な保持部によって吸収することができ、ハーネス等を確実に保持することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、ロック機構を、両支持体の開閉ロック時において、該両支持体の開閉方向のみならず、ワイヤーハーネスの延出方向においても係合するように構成したことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、ロック機構のロック状態における両支持体の自由度がより制限されることとなり、ワイヤーハーネスについてその径方向及び軸方向(延出方向)に力が作用した場合でも、当該ロック機構による両支持体のロック状態が解除されてしまうおそれがない。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記基部の下部から外方へほぼ左右対称となるように二股状に分岐形成されると共に、それぞれが外側へと膨出するように湾曲形成されることによって鉛直方向に可撓性を有する一対の支持脚と、該各支持脚の先端側から下方に向かって窄まるように延設されて、先端部に外方へ突設された爪部を有する脚片と、前記両支持脚の内側に収容配置されて、該両支持脚の分岐位置からこの支持脚の対称軸を成すようにほぼ鉛直方向に突設された押し出し部と、を備え、前記所定部材に貫通形成された固定用孔に一方側から前記両脚片を挿通させ、前記支持脚の下面を前記所定部材の一側面に当接させた状態で該両支持脚を撓み変形させつつ前記押し出し部を前記両脚片間に挿入することによって該両脚片を外方へと押し開いて前記爪部を前記固定用孔の他方側の孔縁に係止させることを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、所定部材の固定用孔に対し固定部を先端側から挿入すると、支持脚の下面が所定部材の一側面に当接することとなるが、そこからさらに押し込むことによって支持脚が撓み変形すると共に押し出し部が両脚片間に割り込むようにして挿入される。すると、当該押し出し部の挿入に伴い両脚片がそれぞれ外方へ拡開されることとなり、これによって両脚片の爪部が固定用孔の他側面側の孔縁に係止して、固定部が所定部材に固定される。このように、本発明に係る固定部によれば、固定用孔に対し一方側から押し込むのみのいわゆるワンタッチによって当該固定部を所定部材に容易かつ確実に固定させることができる。
【0022】
一方、固定部が固定用孔に係止した状態で基部を摘むなどして強く引っ張ると、両脚片は爪部を介して固定用孔の孔縁に係止した状態で支持脚が伸張するように弾性変形することによって押し出し部が両脚片の間から抜け出ると共に、該押し出し部の後退に伴い爪部が内方へ弾性変形することになる。この結果、両爪部による固定用孔との係止状態を解除させることができ、これによって固定部を所定部材から取り外すこともできる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、固定部を、支持脚の弾発力に基づき該支持脚と爪部により所定部材を厚さ方向において挟持することによって該所定部材に固定するように構成したことを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、支持脚が所定部材の一側面において自己の弾発力に基づき突っ張ることから、爪部が前記固定用孔の他方側の孔縁に対して圧接状態に係止することになる。これによって、固定部を所定部材に対してより強固に固定することが可能となる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、押し出し部の先端側における支持脚の内側面と対向する位置に係合突部を突設すると共に、各脚片の内側面に前記各係合突部に係合する係合溝を設けて、固定用孔に挿通した両脚片間に押し出し部を挿入した際に、各係合突部を各係合溝にそれぞれ係合させることによって押し出し部と両脚片を連結させるように構成したことを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、押し出し部と両脚片とを連結させたことにより、押し出し部が両脚片の間に確実に保持されることとなり、該両脚片は押し出し部によって常時外方へ開かれた状態が維持される。これにより、前記爪部の先端縁間距離が前記固定用孔の孔径よりも小さくなることがないので、固定部を所定部材により確実にかつ強固に固定することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、各係合突部を、押し出し部からそれぞれ斜め上方へ向かって突出するほぼフック状に構成したことを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、各係合突部を斜め上方に突出させて該各係合突部を係止溝にほぼフック状に係止させる構造を採用したことにより、押し出し部を下方へ進出させる、つまり押し出し部を両脚片間に挿入する際に、各係合突部によって両脚片を効果的に押し開くことができる。一方、連結後は、各係合突部が係止溝に対して斜め上方に入り込んだ状態となっているため、押し出し部を上方へと後退させる、つまり押し出し部を両脚片間から引き抜く場合に、前記係合構造がより一層の抵抗として作用することになり、不用意な脱落を効果的に防止することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、支持脚の外周側に、固定部が固定用孔を介して所定部材に固定された状態において固定用孔を一方側から覆うほぼ傘状のシール部を設けたことを特徴としており、この発明によれば、シール部によって固定用孔を介しての所定部材内への粉塵等の侵入が防止される。
【0030】
請求項12に記載の発明は、固定部を、基部の下部に平板状に構成し、下面に接着媒体を介して所定部材に固定させるように構成したことを特徴としており、この発明によれば、固定用孔のない部分にも容易に取り付けることができる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、基部に、側方に延出する一対の指掛け部を設けたことを特徴としており、この発明によれば、両指掛け部を設けたことによって両脚片を固定用孔に容易かつ的確に押し込むことができる。
【発明の効果】
【0032】
請求項1に記載の発明によれば、両支持体をロック機構によってロックすると、支持体の縮径に伴い保持部がワイヤーハーネスの全体を包み込むように保持することから、該ワイヤーハーネスを確実かつ強固に保持することが可能になる。
【0033】
しかも、両支持体をワンタッチでロックしてワイヤーハーネスを保持することができるので、かかるワイヤーハーネスの止め付け作業がきわめて容易になり、該止め付け作業の作業能率の向上が図れる。
【0034】
請求項2に記載の発明によれば、ロック状態において保持部を常に中央に配置することが可能となるため、ワイヤーハーネスを直線状に整然と止め付けることができる。これによって、当該ワイヤーハーネスの止め付け時における外観品質の向上が図れる。
【0035】
請求項3に記載の発明によれば、撓み変形可能な一対の保持部構成体によって構成されるループ状の保持部をもってワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはケーブル等を保持する構成を採用したことから、異なる線径を有するハーネス等対しても所定の外径の範囲内で本ファスナーを共通して用いることができる。これにより、ハーネス等の線径に応じてファスナーを選択する必要がなくなり、当該ハーネス等の止め付け作業性の向上が図れる。
【0036】
請求項4に記載の発明によれば、一つのファスナーによって二つの同径ないし異径のワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはケーブルなどを保持固定することができるため、該ハーネス等の止め付けに用いるファスナーの数を削減することができる。これにより、ハーネス等の止め付け作業性の向上が図れる。
【0037】
請求項5に記載の発明によれば、撓み変形可能な両保持部位によってワイヤーハーネスやこれらの一束、さらにはケーブル等の外径寸法にばらつき(誤差)が生じていても、かかる寸法誤差に関係なくハーネス等に対し適切な保持力を付与することが可能となり、該ハーネス等を常時確実に止め付けることができる。
【0038】
請求項6に記載の発明によれば、ロック機構を支持体の開閉方向及びワイヤーハーネスの延出方向の両方向において係合するように構成したことから、ロック機構のロック状態における両支持体の自由度がより制限される。これによって、より強固なロック状態を得ることができ、長期に亘ってワイヤーハーネスを保持することに供される。
【0039】
請求項7に記載の発明によれば、固定用孔に対し一方側から押し込むのみで、いわゆるワンタッチで容易かつ確実に所定部材に本ファスナーを固定することができる。一方で、本発明の場合、押し出し部を両脚片間から引き抜くことにより、該両脚片の拡開作用に基づく固定状態を解除することが可能となっており、当該ファスナーを所定部材から取り外すこともできる。
【0040】
請求項8に記載の発明によれば、支持脚の弾発力に基づいて該支持脚と爪部によって所定部材をその厚さ方向において挟持するように構成したことにより、該所定部材に対し固定部を強固に固定することが可能となる。このため、固定部に抜き差し可能な構造を採用しつつも、該固定部の所定部材からの不用意な脱落を防止することができる。
【0041】
請求項9に記載の発明によれば、固定部について押し出し部と両脚片を相互に連結する構造を採用したことにより、所定部材に対して固定部をより強固に固定することが可能となる。このため、固定部に抜き差し可能な構造を採用しつつも、所定以上の力を作用させなければ押し出し部と両脚片の連結が解除されないことから、当該固定部が不用意に脱落してしまうおそれがなくなる。
【0042】
請求項10に記載の発明によれば、押し出し部の係合突部と両脚片の係合溝とをいわゆるフック状態に係合させるようにしたことで、両脚片間に押し出し部を挿入する際には当該挿入が容易となり、本ファスナーの止め付け作業性の向上が図れると共に、押し出し部と両脚片の連結を解除する際には当該連結が解除されにくくなるため、本ファスナーの不用意な脱落も防止できる。
【0043】
請求項11に記載の発明によれば、固定部にシール機能をもたせることができ、これによって固定用孔を介しての所定部材内への粉塵等の侵入を防止することができる。換言すれば、別途シール部材等を設ける必要がないことから、部品点数の削減にも供される。
【0044】
請求項12に記載の発明によれば、固定部を、基部の下部に平板状に構成し、所定部材に対し接着媒体を介して接着固定させるようにしたことから、固定用孔を有しない部分であっても容易かつ確実に取り付けることが可能となる。これにより、特に家電製品や事務機器など、自動車のように多数のプレス孔を有しないものにも適用することができる。
【0045】
請求項13に記載の発明によれば、基部の側部に一対の指掛け部を設けたことにより、該指掛け部に指を掛けることで固定部を固定用孔に容易かつ的確に押し込むことが可能となる。これにより、ワイヤーハーネスの止め付け作業性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明に係るワイヤーハーネス用ファスナーの各実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0047】
図1〜図16は請求項1に記載の発明に対応するワイヤーハーネス用ファスナーの実施の形態を示し、このワイヤーハーネス用ファスナーは、車両に適用されたもので、ファスナー本体1と、該ファスナー本体1の図中下端部に一体に形成された固定部2とを合成樹脂材によって一体に形成され、この固定部2は、車体パネル3の所定箇所に穿設された円形状の固定用孔3aに挿通固定されるようになっている。
【0048】
前記ファスナー本体1は、全体が矩形薄型形状に形成されていると共に、ほぼ左右対称形状に形成されており、下部中央に前記固定部2が一体に固定された硬質な基部4と、該基部4の両端部から立ち上がり状に設けられて、拡縮径方向へ弾性変形可能な円弧形状を成す一対の支持体5,5と、該両支持体5,5の縮径方向の変形時にこれら支持体5,5をロックするロック機構6と、前記両支持体5,5内に設けられて、内部に単数ないし複数のワイヤーハーネスHを保持する撓み変形可能なループ状の保持部7と、各一端部8a、8aが前記保持部7の底部7a側の両側に結合された一対の支持アーム8,8と、前記支持体5,5の対向内面から内方へほぼ水平方向へ対峙状態に設けられて、前記保持部7の両外側面7b,7bを突き合わせ状態に押圧する一対の突起部9,9と、を備えている。
【0049】
前記基部4は、両端側に向かってそれぞれ上り傾斜状となるように形成され、中央位置には、保持されたワイヤーハーネスHが延出する方向に沿って連続する溝部4aが形成されている。さらに、この基部4の両側部には、前記溝部4aの形成方向に沿って指掛け部4b,4bが延設されており、該指掛け部4b,4bに指を掛けられるようにすることで、前記固定部2を車体パネル3の固定用孔3aに挿通固定する際の作業の容易化が図られている。
【0050】
前記一対の支持体5,5は、基端部5a,5aが前記基部4の両端部に一体に結合されていると共に、上端部の各先端部5b,5bの間には、両支持体5,5が拡径方向へ変形した状態、つまり自由状態(以下、同じ。)において開口部10が形成されている。
【0051】
また、支持体5,5は、基端部5a,5a付近に該支持体5,5の拡縮径方向へ弾性変形を容易にする薄肉部5c、5cが形成されていると共に、両外側部には、支持体5,5を指で摘んで互いにロック方向へ、つまり内方(縮径方向)へ変形させるための、指掛け部5d,5dが一体に形成されている。
【0052】
さらに、一方側の支持体5の先端部5b内面に支持突起12が他方側の支持体5の内面方向へ向かって突設されている一方、他方側の支持体5の先端部5bの内面に両支持体5,5が最も大きく縮径方向へ弾性変形した際に前記支持突起12の先端が弾接する当接面13が形成されており、この支持突起12と当接面13によって係止力付与機構が構成されている。
【0053】
前記ロック機構6は、一方側の支持体5の先端部5b内側に形成されたほぼ嘴形状のロック用溝6aと、他方側の支持体5の先端部5b背面に形成されて、両支持体5,5が互いに縮径方向へ変形して各先端部5b,5bが重合状態に移動した際に前記ロック用溝6aに係止する嘴形状のロック爪6bと、を備えている。
【0054】
前記ロック用溝6aは、先端縁6cが僅かに凹状に形成されて、両支持体5,5の互いに外方への引っ張り方向の力が作用すると、前記ロック爪6bの突起状の後端縁6dが食い込み状態に係止するようになっている。
【0055】
また、一方側の先端部5bの前記ロック用溝6aより先端側には、前記ロック用溝6aにロック爪6bが係止したロック状態時に先端縁をマイナスドライバー等の所定の工具で引っかけて持ち上げることによってロック状態を解除する解除用突起11が一体に設けられている。
【0056】
前記保持部7は、ほぼ全体が薄肉に形成されていて比較的自由に弾性変形可能になっており、一端部7bが前記支持突起12の先端に一体に結合されていると共に、他端部7bが前記当接面13の下端に一体に結合されている。また、この保持部7は、自由状態において前記底部7aが下方へ膨出形成されていると共に、両側部は対向する屈曲部7c,7cによって開かれて内部と前記開口部10とが連続した開放状態になっている。
【0057】
さらに、前記保持部7の下端部には、前記溝部4aと対峙するように下方へ突出する先端ほぼ円弧状の突起7dが設けられていて、該突起7dは、両支持体5,5の縮径方向への変形に伴って保持部7が両支持体5,5の先端部によって押し込まれるようにして下方へ移動した際に、つまり前記ロック状態時において前記溝部4aに係合するようになっている。
【0058】
前記一対の支持アーム8,8は、ほぼL字形状にそれぞれ形成されて対向配置され、各他端部8b,8bが前記突起部9,9の図中下面に下方向から結合されていると共に、前記保持部7の両側部に結合された前記各一端部8a,8aの近傍と他端部8b,8b自体には、前記支持体5,5の拡縮方向の変形作用に追従して容易な変形を得るための薄肉部8c,8cがそれぞれ形成されている。
【0059】
前記一対の突起部9,9は、各基端部が前記支持体5,5の対向内面の前記各指掛け部5d,5dがほぼ対応する位置に結合されていると共に、ほぼ円弧状の各先端縁9a,9aが自由状態において前記保持部7の両外側面に一定の隙間を介して対峙している。
【0060】
前記固定部2は、図1及び図2に示すように、前記ファスナー本体1の基部4に首部14を介して結合された中空状のステム部15と、前記首部14の直下にほぼ同軸上に突設された押し出し部16と、から主として構成されている。
【0061】
前記ステム部15は、全体が弾性変形可能に形成され、前記首部14から左右へ二股状に分岐形成されて下方へ延出した一対の支持脚17,17と、該各支持脚17,17の下端縁から一対の連結片18,18を介して互いに内方へ連続して設けられて、前記固定用孔3a内に挿通される一対の脚片19,19と、を備えている。
【0062】
前記一対の支持脚17,17は、それぞれ外側へと膨出するように湾曲形成されることによって鉛直方向に撓み変形可能に構成されていて、首部14の付根部から両肩部に亘る範囲には容易な撓み変形を確保するための薄肉部17a,17aが設けられている。
【0063】
前記一対の連結片18,18は、容易な撓み変形を確保すべく、前記各支持脚17,17の下端縁にそれぞれ結合された外端縁近傍に薄肉部18aが形成されていると共に、自由状態おいて、図1に示すように、当該薄肉部18aから内方へ向かって僅かに上方へ立ち上がり状に形成されている。
【0064】
前記一対の脚片19,19は、前記各連結片18,18の内端縁に結合されて、下方に向かって窄まるように形成された弾性変形可能な蛇腹部19a,19aと、該蛇腹部19a,19aの下端に外方へ突出するようにそれぞれ一体に設けられて、前記固定用孔3aの孔縁に係止可能なほぼ錨状に形成された爪部である係止爪19b,19bと、から構成されていて、自由状態において前記両蛇腹部19a,19aが図2に示すように逆ハ字形状に拡開変形することで、両係止爪19b,19bを互いに近接させるように保持している。
【0065】
なお、前記蛇腹部19a,19aと係止爪19b,19bとの結合部の外側面には、該係止爪19b,19bを内方へと比較的容易に弾性変形可能とする蟻溝19c,19cがそれぞれ形成されている。
【0066】
一方、前記押し出し部16は、ほぼ矩形板状を呈し、前記両支持脚17,17の分岐位置からこの支持脚17,17の対称軸を成すようにほぼ鉛直方向に突設されていて、自由状態において当該両支持脚17,17の内側に収容されるようになっている。
【0067】
また、この押し出し部16の両外側面には、前記両脚片19,19を固定用孔3aに挿通した際に前記蛇腹部19a,19aの先端部内側にそれぞれ切欠形成された係合溝19d,19dに係合する係合突部16a,16aが一体に設けられている。これらの係合突部16a,16aは、斜め上方(本実施の形態では、ほぼ45°)に向かって突出するほぼフック状に形成されていると共に、先端がほぼ円弧状に形成されている。
【0068】
さらに、前記押し出し部16の下端部両側には、前記両脚片19,19を固定用孔3aに挿通した際に前記両係止爪19b,19bを外方へ押し開く断面ほぼ三角形状の凸部16b,16bが外方に突設されている。なお、この三角形の各斜面の傾斜角は、ほぼ45°に設定されている。
【0069】
以下、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーの作用について図2〜10に基づいて説明する。
【0070】
まず、車体パネル3の固定用孔3aにワイヤーハーネス用ファスナーを取り付けるには、図2に示すように、ファスナー本体1を持って両脚片19,19の係止爪19b,19bを固定用孔3aの外側(一側面側)の孔縁にあてがう。
【0071】
そして、前記両指掛け部4b,4bに指を掛けてそのままファスナー本体1を押し下げると、両脚片19,19が固定用孔3aに所定量だけ挿通したところで両蛇腹部19a,19aが固定用孔3aの外側孔縁に引っかかることとなり、両脚片19,19の進出が停止する。すると、この引っかかりが抵抗となって図3に示すように前記連結片18,18及び蛇腹部19a,19aが上方へ持ち上げられるように山なりに屈曲変形することとなり、前記両支持脚17,17の下端が車体パネル3の上面(一側面)に当接する。
【0072】
ここで、車体パネル3によってステム部15の進出が規制され、両支持脚17,17が鉛直方向に屈曲変形しつつ押し出し部16が下方へ進出することとなり、やがて図4に示すように該押し出し部16の先端部が前記凸部16b,16bを介して両脚片19,19間を押し開くように該両脚片19,19の間に入り込む。
【0073】
このようにして、前記押し出し部16の進出に伴い両脚片19,19の先端側が図5に示すように前記凸部16b,16bによって外側へ押し開かれ、これに伴い前記蛇腹部19a,19aが固定用孔3a内に引き込まれることで、最終的には、図6に示すように両脚片19,19全体が固定用孔3aに入り込む。
【0074】
そして、両脚片19,19全体が固定用孔3aに入り込むと共に、前記支持脚17,17が最も大きく撓み変形することとなり、図7に示すように、前記首部14の底部が前記両連結片18,18に当接する。このとき、ちょうど係合突部16a,16aが蛇腹部19a,19aの先端側に設けられている前記係合溝19d,19dに係合して、押し出し部16と両脚片19,19が連結される。
【0075】
ここで、両支持脚17,17は前述までの押し込み力によって大きく変形していることから、該押し込み力を解放すると、図8に示すように支持脚17,17の弾発力(反力)によってファスナー本体1が上方へ持ち上げられると共に、該ファスナー本体1と一体に移動する押し出し部16も上方へと引っ張られることから、これに伴って押し出し部16に連結された両脚片19,19も該押し出し部16の移動に従って引っ張られることとなる。
【0076】
こうして、前記支持脚17,17や連結片18,18が原形状に復帰することにより、前記係止爪19b,19bが、前記凸部16b,16bの上端側の斜面(テーパ面)によって押し開かれた状態で、固定用孔3aの下側(他側面側)の孔縁に係止することになる。
【0077】
続いて、前述のように車体パネル3に固定したワイヤーハーネス用ファスナーにワイヤーハーネスHを保持させるには、図9に示すように、両支持体5,5が拡径方向に弾性変形して前記開口部10が開成され、かつ、保持部7の前記両屈曲部7c,7c間も開成されているファスナー本体1に、複数(本実施の形態では8本)のワイヤーハーネスHを束ねて前記開口部10から保持部7内にまとめて嵌挿させる。
【0078】
そして、前記両支持体5,5の指掛け部5d,5dを片手の2本指で摘んで該両支持体5,5を縮径方向へ変形させると、図10に示すように、これら両支持体5,5の内方への変形に伴い前記両屈曲部7c,7cが互いに突き合わされて前記開口部10との連通が遮断されると共に、前記底部7a側に菱形形状をなすループ状の保持部7が構成され、ワイヤーハーネスHの束全体がこの保持部7内で包囲状態に保持される。
【0079】
このとき、同時に、前記両屈曲部7c,7cを圧接させながら両支持体5,5をさらに内方へと縮径方向へ弾性変形させることにより、各先端部5b,5bが互いに重合状態になってロック爪6bがロック用溝6a内に係入すると共に弾発状態に係止されて、かかるロック機構6を介して当該両支持体5,5の開閉がロックされる。
【0080】
また、本ファスナーに係る固定部2にあっては、破損や破壊を伴うことなく車体パネル3から分離することが可能となっている。すなわち、図11に示すように、ファスナー本体1を上方(図中矢印の方向)へ強く引っ張ると、支持脚17,17が伸張するように弾性変形すると共に、当該引っ張り力が押し出し部16について前記凸部16b,16bを介して両脚片19,19間を押し開くように作用して、該両脚片19,19間から押し出し部16が抜け出ることとなる。
【0081】
このとき、同時に、前記押し出し部16の後退に伴い両脚片19,19が前記凸部16b,16bによって持ち上げられることから、これによって固定部2の前記各係止爪19b,19bが固定用孔3aの下側孔縁に引っ掛かって蛇腹部19a,19aとの間の前記各蟻溝19c,19cを介して互いに内方へ弾性変形することとなる。この結果、両脚片19,19による係止状態が解除され、当該ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネル3から分離される。
【0082】
以上のことから、本実施の形態では、両支持体5,5をロック機構6によって連結ロックすることで、保持部7の前記両屈曲部7c,7cが十分に圧接されて両者間を隙間なく確実に閉塞しつつ前記両支持アーム8,8によって保持部7がワイヤーハーネスHの全体を挟圧状態に包み込んで結束状態に保持することから、該ワイヤーハーネスHを確実かつ強固に保持することが可能になる。このため、前記各ワイヤーハーネスHを長期にわたり安定して保持することができる。
【0083】
しかも、両支持体7,7に関しては、いわゆるワンタッチでロックすることが可能であるため、ワイヤーハーネスHの止め付け作業が極めて容易になり、当該作業能率の向上が図れる。なお、本実施の形態では、前記両指掛け部5d、5dによって両支持体5,5の縮径方向へ弾性変形作業を行うため、かかる作業を容易に行うことが可能になる。
【0084】
そして、本ファスナーに係る固定部2の場合には、固定用孔3aに対して外側から押し込むのみのいわゆるワンタッチによって当該固定部12を車体パネル3に容易に固定させることができるため、ワイヤーハーネスHの止め付け作業性が良好となる。
【0085】
これに加えて、支持脚17,17が車体パネル3の上面において自己の弾発力に基づいて突っ張ることから、各係止爪19b,19bが固定用孔3aの下側孔縁に圧接状態に係止することになる。これによって、固定部2を車体パネル3により強固に固定することが可能となる。このため、前述のような抜き差し可能な構造を採用しつつも、車体パネル3からの不用意な脱落を防止することができる。
【0086】
しかも、押し出し部16と両脚片19,19を前記係合構造をもって相互に連結させたことにより、押し出し部16が両脚片19,19の間に確実に保持されることとなり、該両脚片19,19は押し出し部16によって常時外方へ開かれた状態が維持される。これによって、前記両係止爪19b,19bの先端縁間距離が固定用孔3aの孔径よりも小さくなることがないので、車体パネル3に固定部2をより確実かつ強固に固定することができる。このため、前述のような抜き差し可能な構造を採用しつつも、所定以上の強い力を作用させなければ押し出し部16と両脚片19,19の連結が解除されないことから、車体パネル3からの固定部2の不用意な脱落をより確実に防止できる。
【0087】
さらに、このとき、前記各係合突部16a,16aを斜め上方に突出させて該各係合突部16a,16aを係合溝19d,19dにほぼフック状に係止させる構造を採用したことにより、押し出し部16を下方へ進出させる、つまり該押し出し部16を両脚片19,19間に挿入する際には、進出方向に向かって先細る各係合突部16a,16aによって両脚片19,19を効果的に押し開くことができる。これにより、本ファスナーの止め付け作業性の向上が図れる
また、一方で、押し出し部16と両脚片19,19を連結した後においては、各係合突部16a,16aが係合溝19d,19dに対して斜め上方に入り込んだいわゆるほぼフック状態となっているため、押し出し部16を上方へと後退させる、つまり押し出し部16を両脚片間19,19から引き抜く場合には、前記フック状の係合構造がより一層の抵抗として作用することになり、上記連結が解除されにくくなる。このため、本ファスナーの車体パネル3からの脱落の効果的な防止が図れる。
【0088】
また、本ファスナーを車体パネル3から分離可能としたことから、車体の解体などに際し、リサイクルの用に供されると共に、該リサイクルのための分離作業を容易に行うことができる。
【0089】
さらには、前記ステム部15の支持脚17、17及び連結片18,18の弾性変形作用によって、図12に示すように、板厚t、t1が種々異なる車体パネル3にも十分に対応することが可能である。
【0090】
なお、本ファスナーは、ワイヤーハーネスHの本数に関わりなく保持することが可能であり、例えば、図13に示すようにワイヤーハーネスHが1本の場合、図14に示すように2本の場合、図15に示すように4本の場合、図16に示すように6本の場合など、いずれの本数の場合でも、各支持アーム8,8や各突起部9,9を介して保持部7によってこれらの各ワイヤーハーネスHを包囲状態に支持することから、常に強固かつ確実に保持することが可能になる。
【0091】
このように、前記保持部7は、ワイヤーハーネスHの本数によってその菱形の基本形状が内角を変化させつつ各ワイヤーハーネスHを常に包囲状態で保持するため、その保持力が高くなり、たとえ各ワイヤーハーネスHに上方向への強い力が加わっても前記各屈曲部7c,7c間から抜け出てしまうおそれがない。
【0092】
図17〜図19は請求項3に記載した発明に対応する実施の形態を示し、前記ファスナー本体1の基部4や両支持体5,5、並びに固定部2などの基本構成は先の請求項1に係る実施の形態と同様であることから、これらの具体的な説明については省略する。なお、先の請求項1に係る実施の形態と同様の構成については、当該実施の形態と同じ符号を付して説明する。
【0093】
すなわち、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーは、ファスナー本体1において、前記基部4の両支持体5,5側の内側上面に一対の係止溝20,20が形成されていると共に、両支持体5,5の対向する内側面には、それぞれ断面ほぼ半円状の円弧面21,21が形成されている。
【0094】
前記一対の係止溝20,20は、相互に連続して形成され、全体がほぼ矩形長溝状に形成されていると共に、各内端縁に折り返し状の突部20a,20aが一体に形成されている。
【0095】
前記各円弧面21,21は、ほぼ半円弧状の内径が前記ケーブルKの外径よりも十分に大きく形成されていると共に、両支持体5,5における前記基部4側の対向内面に、互いにほぼ突き合わせ状態に突設された突起部24,24を一体に有している。
【0096】
そして、前記両円弧面21,21には、それぞれ内部が中空状に構成され、両支持体5,5が縮径方向へ弾性変形した際に互いに突き合わされることによって内部にワイヤーハーネスであるケーブルKを嵌挿保持するループ状の保持部22を構成する撓み変形可能な一対の保持部構成体23,23が設けられている。
【0097】
前記一対の保持部構成体23,23は、全体が撓み変形可能な薄肉状に形成されていて、対向する部位にほぼ円弧凹状の保持部位23a,23aを有し、該両保持部位23a,23aを互いに突き合わせることによって内部に前記ループ状の保持部22を構成するようになっている。
【0098】
また、前記各保持部構成体23,23は、前記保持されたケーブルKの延出方向(以下、ファスナー前後方向という。)の幅厚さが各支持体5,5のファスナー前後方向の幅厚さよりも若干小さく設定されていて、該各支持体5,5のファスナー前後方向の両端から内側へオフセットして設けられている。
【0099】
前記各突起部24,24の先端下部には、両支持体5,5がそれぞれ縮径方向へ弾性変形した際に前記各係止溝20,20に係止する一対の係止突起24a,24aが一体に設けられている。そして、前記各係止突起24a,24aと前記各突部20a,20aは、両支持体5,5のロック時に互い違いに係合するように構成され、該ロック状態においてファスナー前後方向に一部が重合するようになっている。
【0100】
また、前記両突起部24,24の先端部には、外側部分がそれぞれ互い違いに突出する係止突部24b,24bが設けられていて、該各係止突部24b,24bは、両支持体5,5がロックされた際に、ファスナー前後方向において、対向する相手側の各突起部24,24の一部と重合するように構成されている。
【0101】
さらには、前記各係止突部24b,24bについては、これら係止突部24b,24bの先端面が、対向する相手側の各突起部24,24の外側部に設けられた該各係止突部24b,24bに係合する係止用溝24c,24cの内端面に圧接するようになっている。
【0102】
すなわち、前記両突起部24,24は、両支持体5,5がロックされた際に、前記各係止突部24b,24bを介してファスナー前後方向において係止状態を得るように構成されていると共に、該各係止突部24b,24bの先端面が対向する前記各係止用溝24c,24cの内端面に圧接し、かつ、該圧接に伴う両支持体5,5の拡径方向への反力に基づいて当該各係止突部24b,24bの後端面が前記各突部20a,20aの内側部に圧接して両支持体5,5の拡縮方向においても係止するように構成されている。かかる構成によって、両突起部24,24は、両支持体5,5の拡縮方向及びファスナー前後方向の双方向に係止するようになっている。
【0103】
また、前記各係止突部24b,24bは、厚さ幅が前記各保持部構成体23,23のオフセット量よりも僅かに小さい程度に設定され、かつ、各円弧面21,21よりも径方向内側の領域まで延出するように構成されていて、両支持体5,5の縮径方向への弾性変形時において各保持部構成体23,23の下端部をそれぞれ内側に収容するようになっている。
【0104】
なお、前記両支持体5,5の縮径方向へ互い違いに突出させてファスナー前後方向へ相互に係止させる構造及び当該両支持体5,5のロック時において前記各保持部構成体23,23の一部を内側に収容する構造は、両支持体5,5の前記各突起部24,24の他端側に突き合わせ状態に設けられた支持突起25,25についても同じように適用されている。
【0105】
すなわち、前記両支持突起25,25は、ファスナー前後方向の一端側と他端側でそれぞれ互い違いに突設されて、両支持体5,5の縮径方向への弾性変形時にファスナー前後方向において互いに重合するように構成されていると共に、前記突設された部分の内側の所定範囲が周方向に沿って切り欠かれていて、前記各保持部構成体23,23の下端部の場合と同様に、両支持体5,5のロック時に各保持部構成体23,23の上端部を内側に収容するように構成されている。
【0106】
また、前記ロック機構6についても、両支持体5,5の拡縮径方向へ相互に係止させる先の請求項1に係る実施の形態の構成に加えて、前記各支持突起25,25と同様に、ファスナー前後方向において互いに係止する構成を有している。
【0107】
具体的には、前記ロック用溝6aの先端縁6cにおけるファスナー前後方向の一端側の所定範囲に係止凹部6eが設けられている一方、前記ロック爪6bの後端縁における前記係止凹部6eに対応する位置に、該係止凹部6eに係合する係止凸部6fがそれぞれ形成されていて、これら係止凹部6eと係止凸部6fとを係合させることによってロック用溝6aとロック爪6bとがファスナー前後方向において重合状態に係止するようになっている。
【0108】
また、前記保持部22の外側部となる各保持部構成体23,23の内部には、一対の突起26,26がそれぞれ突設されている。これらの突起26,26は、所定の外径よりも大きな外径を有するケーブルKを内部に嵌挿保持した際に各円弧面21,21に当接するようになっており、これによって保持部22(各保持部構成体23,23)の所定量以上の拡径変形を規制し、かかる過度な拡径変形によるファスナー本体1の破損を防止する役割を果たしている。
【0109】
前記固定部2の構成は、先の請求項1に係る実施の形態に係る固定部2のものと基本的には同じであるが、本実施の形態に係る固定部2については、先の請求項1に係る実施の形態に係る固定部2の両支持脚17,17の外周部に半球面状の傘部27が一体形成されていると共に、該傘部27の先端には撓み変形容易なリップ27aが周方向に沿って連続的に設けられている。このリップ27aは、固定部2が車体パネル3に固定された際に、車体パネル3の一側面における前記固定用孔3aの外周域に弾接するような延出量に設定されている。
【0110】
以下、本実施の形態の作用について説明すると、まずは、先の請求項1に係る実施の形態と同様に、前記基部4を固定部2によって車体パネル3に固定用孔3aを介して固定し、その後、自由状態において予め拡径方向へ弾性変形した両支持体5,5の内部に前記開口部10を介してケーブルKを嵌挿して、両保持部構成体23,23の一方側の保持部位23aにケーブルKを保持させる。
【0111】
続いて、両支持体5,5の指掛け部5d,5dを指で摘んで該支持体5,5を縮径方向へ強制的に弾性変形させると、両保持部構成体23,23の下端部同士が突き合わされた後、両保持部位23a,23aが下端側からケーブルKの外径に合わせて漸次弾性変形しながら該ケーブルKの外周面に密着していく。そして、図19に示すように、両保持部構成体23,23の上端部同士が当接することによって該両保持部構成体23,23間にループ状の保持部22が画成され、この保持部22によってケーブルKが抱持されることから、最終的に、両支持体5,5が前記ロック機構6によってロックされることにより、ケーブルKが前記保持部22によって狭圧状態に弾性保持されることとなる。
【0112】
このように、前記両保持部構成体23,23がケーブルKの外径に応じて自在に撓み変形することから、ケーブルKの外径にかかわらず保持部22がケーブルKに対して常に抱持状態に密着することになる。これにより、ケーブルKの外径に応じてファスナーを選択する必要がなくなり、当該ファスナーを外径の異なるケーブルに対し共通化することができる。この結果、ケーブルKの止め付け作業性を向上させることができる。
【0113】
しかも、この両保持部構成体23,23は、全体が薄肉な樹脂材によって形成されていることから、弾性変形が容易で良好な振動吸収性を確保しつつも、従来のようにファスナーとケーブルとの間にスポンジを介在させて振動吸収性を担保する場合と比べて耐久性にも優れているため、特に前記ケーブルKが振動や衝撃に弱い光ケーブル等であっても、該ケーブルを長期に亘って適切に保持することが可能となっている。
【0114】
また、前記ケーブルKを両保持部構成体23,23を介して保持する際には、前記各係止溝20,20に各突起部24,24の前記係止突起24a,24aが係入することによって係合状態を得ると同時に、前記各係止突部24b,24bの先端面と対向する前記各係止用溝24c,24cの内端面とが互いに弾接状態に突き合わされることになる。これにより、当該各突起部24,24には、それぞれほぼ軸線外方(図19中の矢印方向)への反力が作用し、これらの反力が各係止突起24a,24aに伝達されることから、前記各係止突起24a、24aは、各係止溝20,20に対する前記各反力方向への係止力が増加されて、各係止突起24a,24aに強く係止することとなる。
【0115】
このようにして、前記保持部22内のケーブルKは、前述した両支持突起25,25同士の弾接に基づく前記ロック機構6の強い係止力と相俟ってより強固に保持されることとなる。
【0116】
しかも、これら両支持体5,5を単に互いに縮径方向へと弾性変形させる操作のみによってケーブルKを強固に保持できることから、その止め付け作業がきわめて容易になる。このように、他の構成は、先の実施の形態と同様であるから、本実施の形態においても先の請求項1に係る実施の形態と同じ作用効果が奏せられることは勿論である。
【0117】
また、本実施の形態に係るファスナー本体1では、前記ロック機構6、前記各突起部24,24及び各支持突起25,25の各部においてそれぞれファスナー前後方向への相対移動を規制する前記係止構造を採用したことにより、ファスナー本体1自体或いは保持状態にあるケーブルKにファスナー前後方向へ不用意な力が作用してしまった場合におけるファスナー本体1のファスナー前後方向へのいわゆる倒れ(捩れ)変形を防止することができる。これによって、前記変形に伴って前記ロック機構6のロック状態が不用意に解除されてしまうおそれがない。
【0118】
換言すれば、前記ロック機構6により支持体5,5の拡縮径方向に作用する力に対してケーブルKの保持状態が十分に維持されるのは勿論のこと、ファスナー前後方向に作用する力に対しても十分に対抗することが可能となり、ケーブルKをより確実かつ強固に保持することができる。
【0119】
なお、かかる係止構造は、必ずしも前述した三箇所のすべてに設けられている必要はなく、少なくともいずれか一箇所に設けられていれば、ファスナー本体1のファスナー前後方向への倒れなどが防止されて、ケーブルKの強固な保持状態を確保することができる。
【0120】
また、本実施の形態に係る固定部2にあっては、車体パネル3に固定された際に前記傘部27のリップ27aが車体パネル3の上面(一側面)に弾接することから、この車体パネル3に密着するリップ27aによっていわゆるシール作用を得ることができる。すなわち、外部から固定用孔3a内に侵入しようとする異物を前記リップ27aによって遮断することができる。
【0121】
図20〜図22は請求項4に記載した発明に対応する実施の形態を示し、基本的な構成は先の請求項3に係る実施の形態と同様であり、異なるところは、前記ファスナー本体1を両支持体5,5の拡縮径方向へ幅広に形成すると共に、前記基部4の上部ほぼ中央位置であって両支持体5,5間に支柱部28を立設し、該支柱部28と両支持体5,5の対向面に各一対の前記保持部構成体23を設けることとして、前記支柱部28を挟んで両側に二つの前記保持部22,22が構成されるようになっている。これに伴い、両支持体5,5は左右対称に形成され、双方の先端部内側に前記ロック用溝6a,6aを有している一方、支柱部28の上部両側には、各支持体5,5のロック用溝6a,6aが係合する一対のロック爪6b,6bが設けられている。
【0122】
このように、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーについては、ファスナー本体1に二つの前記保持部22,22がそれぞれ独立して設けられるように構成されており、該両保持部22,22を介して一つのファスナーにつき二本のケーブルK,Kを保持することが可能となっている。
【0123】
なお、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーを用いてケーブルK,Kを車体パネル3に止め付ける方法については先の請求項3に係る実施の形態と同様であるから、具体的な説明については省略する。
【0124】
以上のことから、この実施の形態によれば、基本的な構造については先の請求項3に係る実施の形態と同様であるから、当該先の請求項3に係る実施の形態と同様の作用効果が得られるのは勿論のこと、一つのファスナーに前記二つの保持部22,22を設けたことから、二種類のケーブルK,Kを、特に両ケーブルK,Kが相互に異なる線径を有するものであっても、一つのファスナーで止め付けることができる。このため、ケーブルKの止め付けに用いるファスナーの数を削減することができる。また、これに伴い、ファスナーを車体パネル3に取り付ける際の作業工数も低減できると共に、外観上も繁雑でなく良好となる。
【0125】
図23〜図25は請求項5に記載した発明に対応する第1の実施の形態を示し、基本的な構成は先の請求項3に係る実施の形態と同様であり、異なるところは、前記各保持部構成体23,23を廃止して、その代わりに、前記各支持体5,5の円弧面21,21を前記各保持部位23a,23aとして構成したものである。
【0126】
すなわち、各支持体5,5において、前記各保持部位23a,23aを構成する円弧の曲率を保持対象となるケーブルKの線径よりも若干小さく設定すると共に、これら保持部位23a,23aが形成される部分を厚肉に形成し、該厚肉部分の内部であって各保持部位23a,23aの外周域に、該各保持部位23a,23aに対して同心となるほぼ三日月状の中空部29,29を設けたものである。
【0127】
なお、前記各保持部構成体23,23の廃止に伴い、前記各係止突部24b,24bについては、前記各支持突起25,25と同様に、ファスナー前後方向の一端側と他端側でそれぞれ互い違いに突設され、両支持体5,5がロックされた際に互いに弾接状態に突き合わされると共にファスナー前後方向において相互に重合するように構成されている。
【0128】
以下、本実施の形態の作用について説明すると、まず、前記基部4を、先の請求項1に係る実施の形態と同様に、前記固定部2を介して車体パネル3に固定し、その後、自由状態において予め拡径方向へ弾性変形した両支持体5,5に対して前記開口部10を介してケーブルKを嵌挿して、一方側の保持部位23aにケーブルKを保持させる。続いて、前記両指掛け部5d,5dを指で摘んで両支持体5,5を縮径方向へと強制的に弾性変形させると、まず前記両係止突部24b,24bの先端部同士が当接しつつ、他方側の保持部位23aがケーブルKに当接することとなる。
【0129】
そして、前記開口部10が閉塞されると、これによってループ状の保持部22が画成されると共に両保持部位23a,23aがケーブルKにより押し開かれることから、該両保持部位23a,23aがケーブルKの外周面に密着することとなる。最終的に、図25に示すように、両支持体5,5の先端部が前記ロック機構6によってロックされると、両支持突起25,25の先端部同士が圧接しつつ保持部22によってケーブルKが挟圧状態に保持されることとなる。
【0130】
このように、本実施の形態によれば、特に、前記両保持部位23a,23aの外周側にファスナー前後方向に連続する中空部29,29をそれぞれ介在させて両保持部位23a,23aをケーブルKの外径に応じて撓み変形可能としたことから、たとえケーブルKの外径に寸法誤差が生じていても、保持部22によってケーブルKを確実に、かつ、適正な保持力をもって保持することが可能となる。すなわち、外径寸法誤差を有するケーブルKに対しても、ケーブルKを必要以上に圧迫したりケーブルKに対しての保持力が不足してしまうなどの問題を生じるおそれがなく、ケーブルKの歩留まりの向上が図れると共に、ケーブルKを最適な保持力をもって長期に亘り保持することができる。
【0131】
また、本実施の形態に係るワイヤーハーネス用ファスナーにあっては、両支持体5,5の内部に前記各中空部29,29を設けるだけの簡素な構造としたことにより、先の各実施の形態に係るファスナーと比較して、ファスナー自体の製造が容易となり、この結果、製造コストの高騰化も抑制することができる。
【0132】
図26〜図28は請求項5に記載した発明に対応する第2の実施の形態を示し、基本的な構成は前記第1の実施の形態と同様であり、異なるところは、前記各支持体5,5において、前記各保持部位23a,23aが形成される部分をさらに厚肉に形成し、両保持部位23a,23aをもって隣接する二本のケーブルK,Kが一体的に構成されたほぼ板状の外形を有するいわゆるフラットケーブルFKを保持可能としたものである。
【0133】
なお、このフラットケーブルFKの止め付けについては、前記第1の実施の形態と同様であるため、具体的な説明については省略する。
【0134】
以上のことから、この実施の形態によれば、断面非円形状のフラットケーブルFKであっても、前記第1の実施の形態と同様に、適正な保持力をもって確実に保持することができる。
【0135】
本発明は、前記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、前記ファスナー本体1にあっては、前記構成を有する固定部2だけではなく、種々のクリップに適用することができる。一例としては、図29に示すように、基部4の下部に平板状の固定部2を形成し、該固定部2の下面に両面接着テープを接着することにより、対象部材に該両面テープによる接着をもって固定することも可能である。これにより、対象部材を、車体などの多数のプレス孔を有するものに限らず、例えば家電製品や事務機器などの種々の装置や機器類に適用すること可能となり、汎用性が向上する。
【0136】
また、ワイヤーハーネスとしては、何れの種類のものでもよく、またその外径の大きさ如何に拘わらず各種のものに適用することが可能である。
【0137】
さらに、両支持体5,5を縮径方向へ弾性変形させる手段としては、前記各実施の形態のように、両指掛け部5d、5dを摘んで内方へ弾性変形させる以外に、ワイヤーハーネスHやケーブルKを開口部10からそれぞれの保持部7、21、31内に上から押し込む力を利用して両支持体5,5を互いに縮径方向へ変形させることも可能である。
【0138】
また、前記各支持体5,5は、両方とも弾性変形可能とするのではなく、一方側の支持体5を固定状態にしておいて、他方側の支持体5のみを内方へ弾性変形させることによって一方側の支持体5にロックさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】請求項1に記載の発明に対応した実施形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図2】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図3】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図4】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図5】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図6】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図7】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける過程を示す正面図である。
【図8】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付けた状態を示す正面図である。
【図9】同ワイヤーハーネス用ファスナーにワイヤーハーネスを保持させる初期の状態を示す正面図である。
【図10】同ワイヤーハーネス用ファスナーにワイヤーハーネスを保持させた状態を示す正面図である。
【図11】同ワイヤーハーネス用ファスナーを固定用孔から引き抜く状態を示す正面図である。
【図12】同ワイヤーハーネス用ファスナーを板厚の異なる部材に取り付けた状態を示す正面図である。
【図13】同ワイヤーハーネス用ファスナーに1本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図14】同ワイヤーハーネス用ファスナーに2本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図15】同ワイヤーハーネス用ファスナーに4本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図16】同ワイヤーハーネス用ファスナーに6本のワイヤーハーネスを保持した状態を示す正面図である。
【図17】請求項3に記載した発明に対応する実施の形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図18】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図19】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられ、該ファスナーにケーブルが保持された状態を示す正面図である。
【図20】請求項4に記載した発明に対応する実施の形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図21】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図22】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられ、該ファスナーにケーブルが保持された状態を示す正面図である。
【図23】請求項5に記載した発明に対応する第1の実施形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図24】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図25】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられ、該ファスナーにケーブルが保持された状態を示す正面図である。
【図26】本発明の第2の実施形態に供されるワイヤーハーネス用ファスナーを示す斜視図である。
【図27】同ワイヤーハーネス用ファスナーを車体パネルに取り付ける初期の状態を示す正面図である。
【図28】同ワイヤーハーネス用ファスナーが車体パネルに取り付けられ、該ファスナーにケーブルが保持された状態を示す正面図である。
【図29】固定部の他の実施の形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0140】
1…ファスナー本体
2…固定部
3…車体パネル(所定部材)
3a…固定用孔
4…基部
5,5…支持体
5b,5b…先端部
6…ロック機構
7…保持部
8,8…支持アーム
9,9…突起部
10…開口部
H…ワイヤーハーネス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、
該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して自由状態において両先端部間に形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、
両端縁が前記両支持体の対向する内側面に結合され、前記一方の支持体が縮径方向へ変形した際に撓み変形可能なループ状を成して、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを抱持状態に保持する保持部と、
対向する端縁が前記保持部の底部側の両側に結合されて、前記一方の支持体の縮径方向の変形に伴って前記保持部内に嵌挿されたワイヤーハーネスを前記保持部を介して挟圧状態に支持する一対の支持アームと、を備えたことを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項2】
前記基部は中央位置から各端部側へ向かって上り傾斜状に形成され、該基部の上面には溝部が形成されている一方、前記保持部には前記溝部に対峙する突起が設けられ、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形することに伴い、前記保持部の位置が下方へと偏倚して、前記突起が前記溝部に嵌合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項3】
下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、
該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して自由状態において両先端部間に形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、
前記両支持体の対向する内側面に設けられた撓み変形可能な一対の保持部構成体によって構成され、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを保持する保持部と、を備え、
前記各保持部構成体は、前記一方の支持体が縮径方向へ変形した際に互いに対峙するように設けられたほぼ円弧凹状の保持部位を有し、
前記保持部は、前記一方の支持体の縮径方向への変形に伴い前記一対の保持部構成体同士が互いに突き合わされることにより、前記両保持部位により画成される一つのループをもって前記ワイヤーハーネスを抱持状態に保持することを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項4】
下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、
前記基部の上部の中央位置に立設された支柱部と、
該基部の両側にそれぞれ内外方へ拡縮変形可能に設けられ、自由状態において各先端部と前記支柱部との間にそれぞれ形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記各支持体が縮径方向へ変形して前記各先端部によって前記各開口部を閉じた際に前記各支持体の開閉をロックするロック機構と、
前記両支持体と前記支柱部の対向する各内側面にそれぞれ設けられた撓み変形可能な二対の保持部構成体によって構成され、前記各開口部から内部にそれぞれ嵌挿されたワイヤーハーネスを保持する一対の保持部と、を備え、
前記各保持部構成体は、前記各支持体が縮径方向へ変形した際にそれぞれ隣接する保持部構成体間で対峙するように設けられたほぼ円弧凹状の保持部位を有し、
前記各保持部は、前記各支持体の縮径方向への変形に伴い前記各対の保持部構成体同士が互いに突き合わされることにより、前記各保持部位により画成される一対のループをもって前記ワイヤーハーネスをそれぞれ抱持状態に保持することを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項5】
下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、
該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して自由状態において両先端部間に形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、
前記両支持体の対向する内側面にそれぞれ中空部を介在させることによって径方向に撓み変形可能に設けられたほぼ円弧凹状の保持部位によって構成されて、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを保持する保持部を備え、
前記各保持部位は、前記一方の支持体が縮径方向へ変形した際に互いに対峙するように構成され、
前記保持部は、前記一方の支持体の縮径方向への変形に伴い前記両保持部位により画成されるループをもって前記ワイヤーハーネスを抱持状態に保持することを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記各支持体の開閉をロックする際に、該各支持体の先端部がこれら支持体の開閉方向及びワイヤーハーネスの延出方向の両方向において係合する構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項7】
前記固定部は、前記基部の下部から外方へほぼ左右対称となるように二股状に分岐形成されると共に、それぞれが外側へと膨出するように湾曲形成されることによって鉛直方向に可撓性を有する一対の支持脚と、
該各支持脚の先端側から下方に向かって窄まるように延設されて、先端部に外方へ突設された爪部を有する脚片と、
前記両支持脚の内側に収容配置されて、該両支持脚の分岐位置からこの支持脚の対称軸を成すようにほぼ鉛直方向に突設された押し出し部と、を備え、
前記所定部材に貫通形成された固定用孔に一方側から前記両脚片を挿通させ、前記支持脚の下面を前記所定部材の一側面に当接させた状態で該両支持脚を撓み変形させつつ前記押し出し部を前記両脚片間に挿入することによって該両脚片を外方へと押し開いて前記爪部を前記固定用孔の他方側の孔縁に係止させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項8】
前記固定部は、前記支持脚の弾発力に基づき該支持脚と前記爪部によって前記所定部材を挟持するようにして該所定部材に固定されることを特徴とする請求項7のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項9】
前記押し出し部は先端側の所定の軸方向位置であって前記支持脚の内側面と対向する位置にそれぞれ係合突部が突設されている一方、
前記両脚片は内側面における延出方向所定の位置に前記各係合突部に係合する係合溝を有し、
前記固定用孔に挿通した前記両脚片間に前記押し出し部を挿入した際に、前記押し出し部の係合突部を前記両脚片の係合溝にそれぞれ係合させることによって前記押し出し部と両脚片が連結されることを特徴とする請求項7又は8に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項10】
前記各係合突部は、前記押し出し部からそれぞれ斜め上方へ向かって突出するほぼフック状に構成されていることを特徴とする請求項9に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項11】
前記支持脚の外周側に、前記固定部が前記固定用孔を介して前記所定部材に固定された状態において前記固定用孔を一方側から覆うほぼ傘状のシール部が設けられていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項12】
前記固定部は、前記基部の下部に平板状に構成されて、下面に接着媒体を介して前記所定部材に固定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項13】
前記基部には、側方に延出する一対の指掛け部が設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項1】
下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、
該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して自由状態において両先端部間に形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、
両端縁が前記両支持体の対向する内側面に結合され、前記一方の支持体が縮径方向へ変形した際に撓み変形可能なループ状を成して、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを抱持状態に保持する保持部と、
対向する端縁が前記保持部の底部側の両側に結合されて、前記一方の支持体の縮径方向の変形に伴って前記保持部内に嵌挿されたワイヤーハーネスを前記保持部を介して挟圧状態に支持する一対の支持アームと、を備えたことを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項2】
前記基部は中央位置から各端部側へ向かって上り傾斜状に形成され、該基部の上面には溝部が形成されている一方、前記保持部には前記溝部に対峙する突起が設けられ、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形することに伴い、前記保持部の位置が下方へと偏倚して、前記突起が前記溝部に嵌合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項3】
下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、
該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して自由状態において両先端部間に形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、
前記両支持体の対向する内側面に設けられた撓み変形可能な一対の保持部構成体によって構成され、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを保持する保持部と、を備え、
前記各保持部構成体は、前記一方の支持体が縮径方向へ変形した際に互いに対峙するように設けられたほぼ円弧凹状の保持部位を有し、
前記保持部は、前記一方の支持体の縮径方向への変形に伴い前記一対の保持部構成体同士が互いに突き合わされることにより、前記両保持部位により画成される一つのループをもって前記ワイヤーハーネスを抱持状態に保持することを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項4】
下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、
前記基部の上部の中央位置に立設された支柱部と、
該基部の両側にそれぞれ内外方へ拡縮変形可能に設けられ、自由状態において各先端部と前記支柱部との間にそれぞれ形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記各支持体が縮径方向へ変形して前記各先端部によって前記各開口部を閉じた際に前記各支持体の開閉をロックするロック機構と、
前記両支持体と前記支柱部の対向する各内側面にそれぞれ設けられた撓み変形可能な二対の保持部構成体によって構成され、前記各開口部から内部にそれぞれ嵌挿されたワイヤーハーネスを保持する一対の保持部と、を備え、
前記各保持部構成体は、前記各支持体が縮径方向へ変形した際にそれぞれ隣接する保持部構成体間で対峙するように設けられたほぼ円弧凹状の保持部位を有し、
前記各保持部は、前記各支持体の縮径方向への変形に伴い前記各対の保持部構成体同士が互いに突き合わされることにより、前記各保持部位により画成される一対のループをもって前記ワイヤーハーネスをそれぞれ抱持状態に保持することを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項5】
下部に設けられた固定部を介して所定の部材に固定される基部と、
該基部の両側に設けられて、少なくとも一方が内外方へ拡縮変形して自由状態において両先端部間に形成される開口部を開閉可能に設けられた一対の支持体と、
前記一方の支持体が縮径方向へ変形して前記両先端部によって開口部を閉じた際に前記両支持体の開閉をロックするロック機構と、
前記両支持体の対向する内側面にそれぞれ中空部を介在させることによって径方向に撓み変形可能に設けられたほぼ円弧凹状の保持部位によって構成されて、前記開口部から内部に嵌挿されたワイヤーハーネスを保持する保持部を備え、
前記各保持部位は、前記一方の支持体が縮径方向へ変形した際に互いに対峙するように構成され、
前記保持部は、前記一方の支持体の縮径方向への変形に伴い前記両保持部位により画成されるループをもって前記ワイヤーハーネスを抱持状態に保持することを特徴とするワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記各支持体の開閉をロックする際に、該各支持体の先端部がこれら支持体の開閉方向及びワイヤーハーネスの延出方向の両方向において係合する構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項7】
前記固定部は、前記基部の下部から外方へほぼ左右対称となるように二股状に分岐形成されると共に、それぞれが外側へと膨出するように湾曲形成されることによって鉛直方向に可撓性を有する一対の支持脚と、
該各支持脚の先端側から下方に向かって窄まるように延設されて、先端部に外方へ突設された爪部を有する脚片と、
前記両支持脚の内側に収容配置されて、該両支持脚の分岐位置からこの支持脚の対称軸を成すようにほぼ鉛直方向に突設された押し出し部と、を備え、
前記所定部材に貫通形成された固定用孔に一方側から前記両脚片を挿通させ、前記支持脚の下面を前記所定部材の一側面に当接させた状態で該両支持脚を撓み変形させつつ前記押し出し部を前記両脚片間に挿入することによって該両脚片を外方へと押し開いて前記爪部を前記固定用孔の他方側の孔縁に係止させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項8】
前記固定部は、前記支持脚の弾発力に基づき該支持脚と前記爪部によって前記所定部材を挟持するようにして該所定部材に固定されることを特徴とする請求項7のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項9】
前記押し出し部は先端側の所定の軸方向位置であって前記支持脚の内側面と対向する位置にそれぞれ係合突部が突設されている一方、
前記両脚片は内側面における延出方向所定の位置に前記各係合突部に係合する係合溝を有し、
前記固定用孔に挿通した前記両脚片間に前記押し出し部を挿入した際に、前記押し出し部の係合突部を前記両脚片の係合溝にそれぞれ係合させることによって前記押し出し部と両脚片が連結されることを特徴とする請求項7又は8に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項10】
前記各係合突部は、前記押し出し部からそれぞれ斜め上方へ向かって突出するほぼフック状に構成されていることを特徴とする請求項9に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項11】
前記支持脚の外周側に、前記固定部が前記固定用孔を介して前記所定部材に固定された状態において前記固定用孔を一方側から覆うほぼ傘状のシール部が設けられていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項12】
前記固定部は、前記基部の下部に平板状に構成されて、下面に接着媒体を介して前記所定部材に固定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【請求項13】
前記基部には、側方に延出する一対の指掛け部が設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のワイヤーハーネス用ファスナー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−273209(P2009−273209A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120244(P2008−120244)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(599101564)株式会社 善建築設計事務所 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(599101564)株式会社 善建築設計事務所 (3)
【Fターム(参考)】
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