ワークの外観検査装置およびワークの外観検査方法
【課題】搬送テーブル上でワークを正確に位置決めすることができ、かつワークに対する静電破壊や特性劣化を生じさせることのないワークの外観検査装置を提供する。
【解決手段】ワークの外観検査装置30は、6面体形状のワークWを搬送するリニアフィーダ1と、リニアフィーダ1からのワークWが移載されて搬送される搬送テーブル2と、リニアフィーダ1からのワークWを搬送テーブル2上に移載して整列させる移載整列手段21と、搬送テーブル2の下面を帯電してワークWを保持する帯電手段6Aと、ワークWの6面を撮像する撮像手段20とを備えている。移載整列手段21は、リニアフィーダ1と搬送テーブル2との間に位置する無振動部4と、ワークWを整列させる整列ガイド7とを有している。整列ガイド7は平面からみて直線状をなすガイド面7aを含む。
【解決手段】ワークの外観検査装置30は、6面体形状のワークWを搬送するリニアフィーダ1と、リニアフィーダ1からのワークWが移載されて搬送される搬送テーブル2と、リニアフィーダ1からのワークWを搬送テーブル2上に移載して整列させる移載整列手段21と、搬送テーブル2の下面を帯電してワークWを保持する帯電手段6Aと、ワークWの6面を撮像する撮像手段20とを備えている。移載整列手段21は、リニアフィーダ1と搬送テーブル2との間に位置する無振動部4と、ワークWを整列させる整列ガイド7とを有している。整列ガイド7は平面からみて直線状をなすガイド面7aを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は6面体のワークを搬送しながら、このワークの6面体を撮像するワークの外観検査装置およびワークの外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より6面体形状の抵抗やコンデンサ等のチップ形電子部品(以下「ワーク」)の外観検査装置として、ガラス等の透明体からなる搬送テーブル上にワークを載置し、搬送テーブルを回転させてワークを搬送しながらカメラ等の撮像手段により各面を撮像して外観検査を行う装置が知られている。
【0003】
この場合、外観検査装置のワーク搬送テーブルは、静電気によりワークを静電吸着して搬送するようになっている。
【0004】
すなわち、まず振動によりワークを整列搬送するリニアフィーダ上でワークを帯電させ、そのワークを搬送テーブル上に載置して所定の作業位置まで搬送するとともに、搬送テーブルのワーク載置面をワークと逆極性に帯電させて、そこにワークを静電吸着させている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−260594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来のワークの外観検査装置には次のような問題がある。
【0007】
第1の問題は、ワークをリニアフィーダから搬送テーブルに移載する際の位置決めが困難であるということである。搬送テーブル上のワークは、搬送方向に2面、上下方向に2面、搬送方向の左右に2面の合計6面を有する。これら6面を撮像するためには、固定された撮像手段を用いてこれら6面を精度良く撮像することが必要である。ところが、リニアフィーダ上のワークを搬送テーブルに移載する際にワークが一定の向きに移載されるとは限らず、移載後は静電吸着によりワークの姿勢が固定されるため、撮像時に個々のワークの姿勢に微妙な差異が発生して撮像精度が低下する可能性がある。
【0008】
また、リニアフィーダ内でワークを搬送しながら帯電させているため、搬送中に静電気の吸着作用によりリニアフィーダにワークが吸着されて、搬送速度が低下する可能性があり、最悪の場合はワークが停止してしまう。
【0009】
第2の問題は、ワーク移載後の静電吸着力が低下することである。搬送テーブルのワーク載置面とワークが逆極性に帯電しているため、ワーク移載直前には十分な吸引力が確保されていても、ワーク移載によってワーク載置面とワークが接触すると、接触点において電荷が中和してその総量が減少する。従って、搬送テーブル上に載置されたワークに働く静電吸着力が低下する。
【0010】
また、搬送テーブルのワーク載置面を帯電させる場合、搬送テーブル上面に設置されたイオナイザからワークを帯電させる電荷と逆極性の電荷をワークに向かって噴射している。このため、搬送テーブルに移載される直前のワークの電荷の一部が中和されることがあり、この場合は搬送テーブル上に載置されたワークに働く静電吸着力が低下する。
【0011】
第3の問題は、静電気によるワークへの影響である。上述したワーク移載によってワーク載置面とワークが接触する際、電荷の移動を伴う電荷の中和が行われるため、ワークの静電破壊あるいは特性劣化等のおそれがある。
【0012】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ワークをリニアフィーダから搬送テーブルに移載する際に精度良く位置決めを行うことができ、ワーク移載後の静電吸着力が低下することがなく、ワークに対する静電気の影響がないワークの外観検査装置およびワークの外観検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、6面体形状のワークを搬送するリニアフィーダと、リニアフィーダからワークが移載点において移載され、このワークを載置した状態でワーク搬送円弧上で搬送する透明体からなる回転自在の円形搬送テーブルと、リニアフィーダと搬送テーブルとの間に配設され、リニアフィーダからのワークを搬送テーブル上に移載して整列させる移載整列手段と、搬送テーブル下方に配置され搬送テーブルに載置されたワークを保持する保持手段と、搬送テーブル上のワークの6面を撮像する撮像手段とを備え、移載整列手段はリニアフィーダと搬送テーブルとの間に設けられた無振動部と、無振動部の下流側に設けられ、ワークを整列する平面からみて直線状のガイド面を有する整列ガイドとを有し、整列ガイドのガイド面は、平面上、移載点と搬送テーブルの回転軸とを結ぶ直線に対して鋭角をなし、かつ移載点の下流においてワーク搬送円弧の接線を形成することを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0014】
本発明は、円形搬送テーブルは透明なガラス体からなることを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0015】
本発明は、保持手段は搬送テーブルの下面に向けて帯電イオンを噴出して搬送テーブル下面を帯電する帯電手段からなることを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0016】
本発明は、保持手段は搬送テーブルの下方に配置された導体からなり、この導体に直流電圧を印加して電場を発生させることを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0017】
本発明は、搬送テーブルによるワークの搬送速度は、リニアフィーダによるワークの搬送速度より大きいことを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0018】
本発明は、整列ガイドのガイド面は、平面上、移載点と搬送テーブルとを結ぶ直線に対して、75度〜88度の鋭角を形成することを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0019】
本発明は、ワークの外観検査装置を用いたワークの外観検査方法において、6面体形状のワークをリニアフィーダにより搬送する工程と、リニアフィーダからのワークを無振動部および整列ガイドを介して円形搬送テーブル上の移載点に移載するとともに、整列ガイドのガイド面によりワークを整列させる工程と、保持手段によって搬送テーブルに載置されたワークを保持した状態で、ワークを搬送テーブルのワーク搬送円弧上で搬送する工程と、搬送テーブル上のワークの6面を撮像手段により撮像する工程と、を備えたことを特徴とするワークの外観検査方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、搬送テーブル下面に配置された保持手段により上面に載置したワークを保持することにより、ワークをリニアフィーダから搬送テーブルに移載する際に、保持手段による保持と整列ガイドとを用いて、ワークの搬送テーブル上における間隔を略一定とし、併せて搬送方向に対する姿勢を一定とすることによりワークに対して精度の良い位置決めができる。このため、撮像手段による撮像精度が向上し、高精度な外観検査が可能となる。また、ワークや搬送テーブルのワーク載置面を帯電させることなく、搬送テーブル下面に配置された保持手段によりワークを保持するので、搬送テーブルへのワーク移載後に電荷の中和によって静電吸着力が低下することがない。このため、外観検査装置の処理能力が向上し、さらにワークを帯電させないためワークに対する静電破壊や特性劣化等の悪影響がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態によるワークの外観検査装置の平面図。
【図2】図2はワークを示す斜視図。
【図3】図3は図1の領域Sを示す拡大平面図。
【図4】図4は図1の領域Sを矢印Yの方向から見た透視図。
【図5】図5は本発明の第1の実施の形態におけるワークの搬送テーブルへの吸着を示す模式図。
【図6】図6(a)および図6(b)は本発明の第1の実施の形態における静電誘導の原理を示す説明図。
【図7】図7(a)および図7(b)は本発明の第1の実施の形態における誘電分極の原理を示す説明図。
【図8】図8(a)および図8(b)は本発明の第1の実施の形態における電気力線の説明図。
【図9】図9(a)および図9(b)は本発明の第1の実施の形態における整列ガイドの作用説明図。
【図10】図10は本発明の第2の実施の形態によるワークの外観検査装置の透視図であって、第1の実施の形態における図4に対応する図。
【図11】図11は本発明の第2の実施の形態によるワークの外観検査装置の拡大平面図。
【図12】図12は本発明の第2の実施の形態におけるワークの搬送テーブルへの吸着を示す模式図。
【図13】図13は本発明の第2の実施の形態における電気力線の説明図。
【図14】図14は本発明の第2の実施の形態における電気力線の説明図。
【図15】図15は本発明の第2の実施の形態における電気力線の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本発明によるワークの外観検査装置およびワークの外観検査方法の第1の実施の形態を示す図である。
【0023】
まず、ワークの外観検査装置によって検査されるワークについて、図2により説明する。
【0024】
図2において、コンデンサや抵抗等のチップ部品となるワークWは6面体形状をなし、絶縁体からなる本体Wdと、本体Wdの長手方向の両端部に形成された導電体からなる電極Wa、Wbとを有している。このワークWの外観検査を行う場合、後述する搬送テーブル2上にワークWを載置して、搬送テーブル2を図2中の矢印Zの方向に回転させてワークWを搬送させる。そして撮像手段20により矢印Aの方向から紙面反対側の側面を撮像し、矢印Bの方向から紙面手前の側面を撮像し、矢印Cの方向から上面を撮像し、矢印Dの方向から下面を撮像し、矢印Eの方向から前面を撮像し、矢印Fの方向から後面を撮像する。このとき、ガラス製の透明搬送テーブル2を使用することにより、ワークWを載置した状態で上記ワークWの6面全面を撮像することができる。
【0025】
次にワークの外観検査装置について説明する。図1および図3に示すように、ワークの外観検査装置30はワークWを搬送するリニアフィーダ1と、リニアフィーダ1からワークWが移載点4xにおいて移載され、このワークWを載置した状態でワーク搬送円弧5上で搬送する透明体からなる円形搬送テーブル2と、リニアフィーダ1からのワークWを搬送テーブル2上に移載して整列させる移載整列手段21と、搬送テーブル2の下方に配置され搬送テーブル2下面を帯電して搬送テーブル2に載置されたワークWを保持する保持手段として機能する帯電手段6Aと、搬送テーブル2上のワークWの6面を撮像する撮像手段20とを備えている。
【0026】
このうち移載整列手段21はリニアフィーダ1と搬送テーブル2との間に設けられた無振動部4と、無振動部4の下流側に設けられたワークWを整列する整列ガイド7とを有し、整列ガイド7はワークWを整列するためのガイド面7aを含む。このガイド面7aは平面からみて(上方からみて)直線状をなしている。
【0027】
また撮像手段20は、後述のように側面カメラ部8と、内面カメラ部9と、上面カメラ部10と、下面カメラ部11と、前面カメラ部12と、後面カメラ部13とを有している。
【0028】
次にワークの外観検査装置30の各構成部分について、さらに図1乃至図4により説明する。
【0029】
ここで図1は、図2に示す形状のワークWを対象としたワークの外観検査装置の平面図であり、図3は図1の破線で囲んだ領域Sの拡大平面図であり、図4は図1において領域Sを矢印Yの方向から見た透視図である。
【0030】
図1において、直線状のリニアフィーダ1は図示されない駆動源により振動し、リニアフィーダ1の上流側に位置する図示されないパーツフィーダに投入されたワークWを一列に整列させて振動により矢印Nの方向に搬送する。
【0031】
リニアフィーダ1の下方に設けられた搬送テーブル2は、透明なガラス製となって水平に設置されており、図示されない駆動源により回転軸3を中心として時計回り(図1の矢印X方向)に回転している。図4に示すように、リニアフィーダ1は搬送テーブル2に向かって僅かな傾斜を有して下降し、その下流端にはリニアフィーダ1と同等の傾斜を有するとともに振動することがない無振動部4が、搬送テーブル2と僅かな隙間を有して接続されている。これにより、ワークWはリニアフィーダ1から無振動部4を経て次第に下降して搬送テーブル2に移載される。
【0032】
搬送テーブル2の上面の外縁部近傍には、図1の一点鎖線で示すように、回転軸3を中心とした円弧としてワーク搬送円弧5が形成され、ワークWは無振動部4から搬送テーブル2に移載された後で、後述する整列ガイド7の作用によりワーク搬送円弧5上に整列する。ここで、ワーク搬送円弧5はワークWを整列させるために想定された目標位置であり、搬送テーブル2の上面にワーク搬送円弧5を目視により識別可能な何らかの印が付けられているわけではない。
【0033】
また帯電手段6Aは、搬送テーブル2に載置されたワークWを保持する保持手段として機能するものである。この帯電手段6Aは無振動部4の位置の少し手前に設置されたイオナイザ6からなり、このイオナイザ6は搬送テーブル2の直下に設けられて搬送テーブル2の下面に向けてプラスのイオン(以下「電荷」)を噴出して搬送テーブル2の下面をプラスに帯電させる。
【0034】
なお、上記各構成部分のうち、無振動部4と、ガイド面7aを有するガイド7とによって、移載整列手段21が構成される。
【0035】
また、図3において、直線状のガイド面7aを有する整列ガイド7は、搬送テーブル2の外縁部側の直上に、搬送テーブル2と僅かな隙間を有して設けられている。図3に、移載点4xと搬送テーブル2の回転軸3とを結ぶ直線を破線Kとして示す。
【0036】
図3に示すように、整列ガイド7はガイド面7aと破線Kのなす角αが75度〜88度の鋭角となるように、かつガイド面7aが移載点4xよりワークWの搬送方向下流に位置するワーク搬送円弧5の合流点7xにおいてワーク搬送円弧5の接線となるように設置されている。すなわち、合流点7xと搬送テーブル2の回転軸3とを結ぶ直線を破線Lで表したときに、破線Lとガイド面7aとのなす角βが90°となる。
【0037】
また、図1に示すように、無振動部4の下流側に搬送テーブル2の回転方向に沿って、撮像手段20を構成する側面カメラ部8、内面カメラ部9、上面カメラ部10、下面カメラ部11、前面カメラ部12、後面カメラ部13が設けられている。この撮像手段20によって、ワーク搬送円弧5上のワークWについて、それぞれ図2に矢印A〜Fで示されるワークWの各面を撮像して外観検査を行うことができる。このとき、図2に矢印Zで表すワークWの搬送方向は、図1における搬送テーブル2の回転方向Xに一致する。
【0038】
具体的には、ワークWに対し側面カメラ部8が紙面反対側の側面Aを撮像し、内面カメラ部9が紙面手前の側面Bを撮像し、上面カメラ部10が上面Cを撮像し、下面カメラ11が下面Dを撮像し、前面カメラ部12が前面Eを撮像し、後面カメラ部13が後面Fを撮像する。
【0039】
さらに、図1に示すように、撮像手段20から搬送テーブル2の回転方向の下流側には排出手段としての排出部14が設けられている。外観検査を終了したワークWは、外観検査の結果に対応して排出部14によりワーク搬送円弧上から図示されない収納箱に排出される。
【0040】
次にこのような構成からなるワークの外観検査装置を用いたワークの外観検査方法について詳しく説明する。
【0041】
図1において、ワークWがリニアフィーダ1の上流側に位置する図示されないパーツフィーダに投入され、パーツフィーダに投入されたワークWは図示されない駆動源により振動するリニアフィーダ1の作用により一列に整列し、図1の矢印Nの方向に直列搬送される。このとき、ワークWは長手方向が搬送方向に一致するように整列し、図2における矢印ZがワークWの搬送方向となる。すなわち、図2における矢印Zの方向が図1における矢印Nの方向に一致する。
【0042】
次に図4により、リニアフィーダ1の作用を詳述する。図4はリニアフィーダ1により搬送されるワークWの様子を示すものであって、図1において破線で囲んだ領域Sを矢印Yの方向から見た透視図である。図4は、搬送テーブル2上のワークWの様子を見やすくするために、整列ガイド7の位置を破線で示した透視図となっている。またワークWについては、個々の構成部分上のワークをワークW0〜W6として示し、場所を問わず一般のワークをワークWとして示す。
【0043】
図4に示すように、リニアフィーダ1はその下方に水平に位置する搬送テーブル2に向かって僅かな傾斜を有しており、リニアフィーダ1の振動により後続のワークWに押されて前進するワークWは、W0で示されるように前後方向に連続して搬送テーブル2に向かって少しずつ下降する。リニアフィーダ1が振動しているため、ワークWをリニアフィーダ1から搬送テーブル2に移載する際にリニアフィーダ1を搬送テーブル2の直上位置まで接近させると、リニアフィーダ1と搬送テーブル2とが当接するおそれがある。これを防止するために、リニアフィーダ1の下流端と搬送テーブル2との間には、振動しない無振動部4が設置されている。
【0044】
また、リニアフィーダ1の振動のばらつきに起因して、リニアフィーダ1においてワークWの搬送速度のばらつきが発生することも考えられるが、無振動部4をリニアフィーダ1と搬送テーブル2との間に介在させることによりこの搬送速度を均一化することができる。
【0045】
ところで、無振動部4はリニアフィーダ1と同等の傾斜を有し、搬送テーブル2の上面との間には僅かな隙間を有している。無振動部4上のワークWはリニアフィーダ1上と同様に後続のワークに押されて前進し、W0で示されるように前後に連続して搬送テーブル2に向かって少しずつ下降する。
【0046】
そして、無振動部4の下流端に到達したワークW1は、直後に位置するワークW0に押されて、搬送テーブル2上の移載点4xに移載され、以後搬送テーブル2の回転によって図4の矢印Xの方向に搬送される。ここで、無振動部4の長さが短過ぎると搬送速度を均一化することが困難になり、逆にこの長さが長過ぎるとワークWが途中で停止してしまうおそれがある。本発明の実施の形態においては、無振動部4の長さはワークの長手方向の寸法の8倍となっているので、ワークWを停止させることなくワークWの搬送速度の均一化を図ることができる。
【0047】
さらに、上述のように搬送テーブル2の下側にはイオナイザ6が設置され、搬送テーブル2の下面に向けてプラスの電荷を噴出して搬送テーブル2の下面をプラスに帯電させている。図4においては、このプラスの電荷を模式的に+で示している。このように搬送テーブル2の下面がプラスに帯電することにより、移載点4xに移載されたワークWは搬送テーブル2の上面に吸着される。
【0048】
次に搬送テーブル2上におけるワークWの吸着作用について図5乃至図7により説明する。
【0049】
このうち図6(a)(b)は静電誘導の原理を示す説明図である。図6(a)においてワークWの長手方向の一端部の電極Waが示されている。電極Waは導電体からなり、通常状態においては図6(a)に示すように、その内部には+で示されるプラスの電荷と−で示されるマイナスの電荷がランダムな位置に存在する。この電極Waに左方からプラスの電荷を近づけたときの様子を図6(b)に示す。
【0050】
ここでは、プラスの電荷を帯電させた帯電体Tを近づけている。このとき、電極Wa内のマイナスの電荷は帯電体T内のプラスの電荷に引き付けられて、マイナスの電荷が帯電体Tに近い電極Waの左面WaL側に集まる。また、電極Wa内のプラスの電荷は帯電体T内のプラスの電荷に反発して、帯電体Tから遠い電極Waの右面WaR側に集まる。このとき、左面WaL側にはマイナスの電荷が現れ、右面WaR側にはプラスの電荷が現れる。なお、電極Waは導電体からなるので、内部の電荷は自由に動くことができ、このため図6(b)において、電極Waの左面WaLと右面WaRとの間の部分には電荷は存在しなくなる。この現象を静電誘導と呼ぶ。
【0051】
また、静電誘導により、電極Waの左面WaL側に集まったマイナスの電荷と帯電体T内のプラスの電荷との間には、図6(b)に矢印Gで示した引力が働く。このため、電極Waは帯電体Tに引き付けられる。帯電体Tが電極Waから遠ざかると、電極Wa内の電荷は再び図6(a)の状態に戻る。電極Wbについても同様である。
【0052】
図7(a)(b)は誘電分極の原理を示す説明図である。このうち図7(a)はワークWの長手方向中央部にある本体Wdを示す。本体Wdは絶縁体であり、通常状態においては図7(a)に示すように、その内部には+で示されるプラスの電荷と−で示されるマイナスの電荷を一組とした分子(破線の楕円)がランダムな位置に存在する。
【0053】
この本体Wdに左方からプラスの電荷を近づけたときの様子を図7(b)に示す。ここでは、プラスの電荷を帯電させた帯電体Tを近づけている。このとき、本体Wd内のマイナスの電荷は帯電体T内のプラスの電荷に引き付けられるとともに、本体Wd内のプラスの電荷は帯電体T内のプラスの電荷に反発する。このため、本体Wd内の分子の向きは、帯電体Tに近い本体Wdの左面WdL側がマイナスの電荷となり、帯電体Tから遠い本体Wdの右面WdR側がプラスの電荷となるように整列する。
【0054】
図7(b)に示すように、本体Wdの左面WdL側にはマイナスの電荷が現れ、右面WdR側にはプラスの電荷が現れる。なお、本体Wdは絶縁体なので内部の電荷は自由に動くことができず、左面WdLと右面WdRの間には分子が一定方向に整列している。この現象を誘電分極と呼ぶ。また、誘電分極により、本体Wdの左面WaL側に現れたマイナスの電荷と帯電体T内のプラスの電荷との間には、図7(b)に矢印Gで示した引力が働く。このため、本体Wdは帯電体Tに引き付けられる。帯電体Tが本体Wdから遠ざかると、本体Wd内の分子は再び図7(a)の状態に戻る。
【0055】
次に図5により、移載点4xに移載されたワークWが静電誘導および誘電分極によって搬送テーブル2の上面に吸着される様子を表す。図5において、搬送テーブル2の下面はイオナイザ6の作用によりプラスに帯電している。搬送テーブル2の材質であるガラスは絶縁体なので、搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷によって上述の誘電分極が起こり、搬送テーブル2の内部のうち下面側にマイナスの電荷が現れ、上面側にプラスの電荷が現れる。また同様に、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載されたワークW2については、電極WaおよびWbには静電誘導により、また本体Wdには誘電分極により、それぞれの下面側にマイナスの電荷が現れ、上面側にプラスの電荷が現れる。
【0056】
図5において、電極Wa、Wbおよび本体Wdの下面側に現れたマイナスの電荷と搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷との間には、矢印で示した静電吸着力Gが働き、これによりワークW2は搬送テーブル2の上面に吸着される。このとき、ワークW2の下面および搬送テーブル2の上面には静電誘導あるいは誘電分極により電荷が現れているだけで、電荷の移動による帯電は起きていない。このため、吸着時に電荷の中和は発生せず、吸着後も吸着力が低下しない。このようにワークW2は搬送テーブル2の上面に吸着された状態で搬送テーブル2の回転により矢印Xの方向に搬送される。
【0057】
次に、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載されたワークWは、ワークW2として示され、搬送テーブル2に吸着された状態で搬送テーブル2の回転により矢印Xの方向に搬送される。
【0058】
この場合、搬送テーブル2の回転による搬送速度をリニアフィーダ1および無振動部4による搬送速度よりも大きくして、搬送テーブル2上のワーク間(例えばW2とW3の間)に間隔を持たせるようにしている。このように搬送テーブル2上のワーク間に間隔を持たせることにより、図1の前面カメラ部12が図2に示すワークWの前面Eを撮像し、また図1の後面カメラ部13が図2に示すワークWの後面Fを撮像する際に、面全体を確実に撮像することが可能となる。
【0059】
すなわちワークWが移載点4xから搬送テーブル2に移載されて搬送されると、図3における区間PにおいてワークWは静電吸着された状態で、W2→W3→W4のように搬送テーブル2の搬送速度まで素早く加速され、区間Qにおいてワークの間隔は例えばW4とW5の間のように広くなる。
【0060】
このとき、無振動部4と搬送テーブル2との間に僅かな隙間があり、かつ搬送テーブル2の回転による搬送速度が無振動部4による搬送速度よりも大きいため、ワークW2が搬送テーブル2に十分に吸着されない場合は、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載された時点でワークW2が微妙な跳躍を起こしてしまうことがある。この場合、ワークWに発生する跳躍はワークW毎にばらつくため、加速後の搬送テーブル2上のワークWの間隔にばらつきを生じる。これに対して本発明によれば、ワークW2が搬送テーブル2に十分に吸着されるため、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載された時点でワークW2が跳躍することはなく、搬送テーブル2上に固定される。このため加速後のワークWの間隔を略一定に保つことができる。
【0061】
ところで搬送テーブル2の外縁部の移載点4x直上には、直線状のガイド面7aを有する整列ガイド7が搬送テーブル2と僅かな隙間を有して設けられている。上述のように、図3において移載点4xと回転軸3とを結ぶ直線を破線Kとしたとき、整列ガイド7はガイド面7aと破線Kのなす角αが鋭角となるように、かつガイド面7aが移載点4xの下流方向に位置する合流点7xにおいてワーク搬送円弧5の接線となるように設置されている。すなわち、合流点7xと回転軸3とを結ぶ直線を破線Lで表したときに、破線Lとガイド面7aとのなす角βが90°となる。このため、移載点4xはワーク搬送円弧5に対して搬送テーブル2の外縁部側に位置することになる。従って、移載点4xに移載されたワークWの搬送方向(矢印X)はガイド面7aに向かう方向となり、移載点4xにおけるワークWの姿勢の微妙な差異を修正して同一にすることができる。
【0062】
次に整列ガイド7による整列作用について、図9(a)(b)により説明する。
【0063】
ここで図9(a)は、移載点4xに移載されたワークW2E1の姿勢が、正しい方向に対してやや左向きになっている場合を示す。移載点4xの位置はワーク搬送円弧5に対して搬送テーブル2の外縁部側であり、図9(a)において矢印Xで示される搬送テーブル2の回転方向はワーク搬送円弧5の軌跡と同一方向となって、ワークW2E1の搬送方向はガイド面7aに向かう方向となる。このため、ワークW2E1はワークW2E2のようにガイド面7aに当接した後、ガイド面7aに押し付けられる。この際、ワークW2E1はガイド面7aとの間に働く摩擦力よりも強い力でガラステーブル2に吸着されているため、ガイド面7aに押し付けられた状態でも減速することなくガイド面7aに沿う形で搬送される。
【0064】
図9(b)は、移載点4xに移載されたワークW2E3の姿勢が、正しい方向に対してやや右向きになっている場合を示す。この場合も、ワークW2E3の搬送方向はガイド面7aに向かう方向となり、ワークW2E3はワークW2E4のようにガイド面7aに当接した後、ガイド面7aに押し付けられ、W2にようにガイド面7aに沿う形で搬送される。このようにして搬送テーブル2の下面に存在する電荷による吸着とガイド面7aの作用とによって、ワークWの搬送テーブル2上における間隔を略一定とし、併せて搬送方向に対する姿勢を一定とするよう精度の良い位置決めができる。
【0065】
ところで上述のように、搬送テーブル2の回転による搬送速度がリニアフィーダ1および無振動部4による搬送速度よりも大きいために、位置決めされたワークWは図3における区間Pにおいて静電吸着された状態で、W2→W3→W4のように搬送テーブル2の回転による搬送速度まで素早く加速され、区間Qにおいてワークの間隔は例えばW4とW5の間のように広くなる。そしてワークW5は、区間Pと同様にガイド面7aに押し付けられながら搬送され、次第にワーク搬送円弧5に近づいていく。そして、ガイド面7aがワーク搬送円弧5に接する合流点7xに到達したワークW6の搬送方向は、区間Rにおいてワーク搬送円弧5の方向に一致し、ワークW6は、ガイド面7aから離れる方向に搬送される。すなわち、搬送テーブル2上のワークW6に対して搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷から静電吸着力が働いているため、ワークW6は搬送テーブル2に吸着されたままガイド面7aから離れ、以後ワーク搬送円弧5上に載置整列された状態で搬送される。
【0066】
その後ワークWは撮像手段20まで達し、撮像手段20の側面カメラ部8、内面カメラ部9、上面カメラ部10、下面カメラ部11、前面カメラ部12、後面カメラ部13によって、図2に矢印A〜Fで示される方向から各面が撮像されて外観検査が行われる。この場合、搬送テーブル2の下面に存在する電荷による吸着とガイド面7の作用とによりワークWの位置決めが精度良く行われているため、撮像手段20による撮像精度が向上する。外観検査を終了したワークWは排出部14に到達し、外観検査の結果に応じて図示されない収納箱に向けて排出される。
【0067】
排出部14においてワークWを排出する場合、例えば図2における紙面手前の側面Bに対して搬送テーブル2の内周側から圧縮エアを噴出して、ワークWを搬送テーブル2の外周側に飛ばして収納箱に導くことができる。収納箱内のワークWは、搬送テーブル2上ではその下面に存在するプラスの電荷のために図6(b)、図7(b)に示す状態を有していたが、プラス電荷から遠ざかることによって図6(a)、図7(a)の状態に戻る。この間、ワークW自体には静電気による帯電は生じない。
【0068】
上述のように、本実施の形態においては静電気を用いてワークWを搬送テーブル2に吸着しているが、静電気によりワークWが静電破壊を起こしたり特性劣化等を生じさせないことを、図8(a)(b)により説明する。
【0069】
図8(a)は、ワークWを搬送テーブル2の上面に載置して搬送テーブル2の下面をプラスに帯電させたときに、搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷によって生じる電気力線の様子を示す。図8(a)に示すように、電気力線はプラスの電荷から出発してマイナスの電荷で終端される。この場合にはマイナスの電荷は無限遠方に存在すると考えられるので、電気力線E1は搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷から出発して、搬送テーブル2とワークWとを貫通して上方に向かう。他に該プラスの電荷から出発して下方あるいは左右に向かう電気力線も存在するが、本発明に無関係なので図示していない。このとき、ワークWの電極WaおよびWbには静電誘導により、また本体Wdには誘電分極により、それぞれの下面にマイナスの電荷が現れ、同時にそれぞれの上面にプラスの電荷が現れる。このとき、電極WaおよびWbは導電体であるため、その上面にプラスの電荷が集まり、下面にマイナスの電荷が集まっている。よって、これらの電荷によって電極WaおよびWbの内部には電気力線E2が発生する。その向きは上面に存在するプラスの電荷から出発して下面に存在するマイナスの電荷で終端される。
【0070】
従って、電極WaおよびWb内では電気力線E1とE2が互いに逆向きに存在するので打ち消し合い、図8(b)に示すように電極WaおよびWb内には電気力線が存在しない状態になる。このように電極WaおよびWbで分断された電気力線を図8(b)においてE1’で示す。この状態では電極WaおよびWb内に電気力線が存在しないことから、電極Waと電極Wbは同電位である。すなわち、電極Waと電極Wbとの間に電圧がかかることはなく、ワークの静電破壊あるいは特性劣化等は起こらない。
【0071】
ところで、ワークWが無振動部4から搬送テーブル2に移載される過渡状態においては、搬送テーブル2の下面に存在する電荷に基づく静電誘導によってワークWの電極Wa、Wb内の電荷が各電極内を移動しながら、電極Wa、Wbが無振動部4および搬送テーブル2と接触や離間を繰り返すことも考えられる。このような電極Wa、Wbの接触や離間の際に電極Wa、Wb内の電荷が外部との間で移動すると、放電による静電破壊を起こすことも考えられる。この場合、無振動部4は搬送テーブル2と同様に絶縁体等の高抵抗値を有する材料を用いて構成されているので、電極Wa、Wbとの間に電荷の移動を生じさせることはない。
【0072】
なお、上記実施の形態において、搬送テーブル2の下面をプラスに帯電させる例を示したが、必要に応じてマイナスに帯電させても良い。また、搬送テーブル2がガラス製の材料からなる例を示したが、搬送テーブル2の材料は透明体であればガラスに限るものではない。
【0073】
第2の実施の形態
以下、図10乃至図15により、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0074】
図10乃至図15に示す本発明の第2の実施の形態は、搬送テーブル2の下方に帯電手段6Aを配置する代わりに、搬送テーブル2の下方に導電板(導体)15を配置した点が異なるのみであり、他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0075】
図10乃至図15に示す第2の実施の形態において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
ここで、図10は図1において破線で囲んだ領域Sを矢印Yの方向から見た透視図であり、図4に対応している。図10において搬送テーブル2の下側には、図4におけるイオナイザ6からなる帯電手段6Aの代わりに、導体からなる導電板15が搬送テーブル2の下面とわずかな隙間を隔てて配置されている。導電板15は平面形状をなし、図12に示すように、その表面15aは搬送テーブル2に略平行となっている。また、導電板15には直流電源16が接続されて直流電圧が印加され、電場発生手段を構成している。図11により導電板15の配置箇所を示す。図11は図1の破線で囲んだ領域Sの拡大平面図を示す、図3に対応するものである。図11において、導電板15は水平方向に細長状に延び、移載点4xからワークWの搬送テーブル2上におけるワーク搬送円弧5及び整列ガイド7のガイド面7aに対応する搬送テーブル2の下側に、長手方向がワークWのワーク搬送円弧5に沿うように配置されている。
【0077】
次に図10乃至図15により本発明の第2の実施の形態の作用について、以下に説明する。
【0078】
図11において、リニアフィーダ1の振動により一列で搬送されたワークWは、搬送テーブル2上の移載点4xに移載され、直流電源16に接続された導電板15に生じた電荷の作用による静電誘導及び誘電分極によって搬送テーブル2の上面に吸着される。
【0079】
この吸着作用の様子を図12に示す。図12において、導電板15が搬送テーブル2の下面とわずかな隙間を隔てて配置され、導電板15には直流電源16が接続されてプラスの直流電圧が印加されている。このため、導電板15にはプラスの電荷が現れる。
【0080】
このプラスの電荷の作用により図5と同様に誘電分極が起こり、導電板15に対向する搬送テーブル2の内部のうち下面側にマイナスの電荷が現れ、上面側にプラスの電荷が現れる。また同様に、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載されたワークW2において電極Wa及びWbには静電誘導により、また本体Wdには誘電分極により、それぞれ下面側にマイナスの電荷が現れ、上面側にプラスの電荷が現れる。
【0081】
そして、電極Wa、Wb及び本体Wdの下面側に現れたマイナスの電荷と導電板15のプラスの電荷との間には、矢印で示した静電吸着力Gが働き、これによりワークW2は搬送テーブル2の上面に吸着された状態で搬送テーブル2の回転により矢印Xの方向に搬送される。
【0082】
この場合、図8(a)(b)に示す第1の実施の形態と同様に、ワークW自体には静電気による帯電は生じないので、ワークWが静電破壊を起こしたり特性劣化を生じたりすることはない。
【0083】
なお、上記実施の形態の説明においては、導電板15の面が搬送テーブル2の面に略平行であるとして説明したが、導電板15の面と搬送テーブル2の面との位置関係は、これに限定されるものではない。図11におけるL方向矢視拡大図を図13に示し、図13中に導電板15のプラスの電荷から出発する電気力線の様子を示す。
【0084】
図13に示すように、電気力線が搬送テーブル2及びワークWを貫通することにより静電誘導及び誘電分極が起こり、ワークWの下面にマイナスの電荷が生じ、ワークWの上面にプラスの電荷を生じている。ここで、簡単のため、誘電分極により搬送テーブル2内に生じる電荷は図示していない。
【0085】
図13に示すように、導電板15上のプラスの電荷から出発する電気力線のうち、導電板15の端面15xの近傍に存在するプラスの電荷から出発するもの(図中のEx)は、電荷の存在しない側、すなわち導電板15の外側に向かって曲がるという性質を有する。このため、図13に示す構成に代えて、図14のように導電板15をその表面15aが搬送テーブル2と略直角になるようにして配置してもよい。この場合、導電板15は水平方向に細長状に延び、整列ガイド7のガイド面7aに対応する搬送テーブル2の下側において、長手方向がワークWのワーク搬送円弧5に略平行となるように配置される。
【0086】
図14において、導電板15のプラスの電荷から出発した電気力線のうち端面15x近傍のプラスの電荷から出発した電気力線は搬送テーブル2及びワークWを貫通する。このため、図13に示す場合と同様に、静電誘導及び誘電分極によりワークWの下面にマイナスの電荷が生じ、ワークWの上面にプラスの電荷を生じる。
【0087】
さらに、図15のように、L字形状の断面をもつ導電板15を設けてもよい。この場合、導電板15の交差する2表面15b、15cのうち、表面15bを搬送テーブル2に略直角となるよう配置し、表面15cを搬送テーブル2に略平行に配置してもよい。この場合、導電体15は水平方向に細長状に延び、整列ガイド7のガイド面7aに対応する搬送テーブル2の下側において、長手方向がワークWのワーク搬送円弧5に略平行となるように配置される。
【0088】
図15において、電気力線同士は交わらないという性質を有するため、導電板15のプラスの電荷から出発した電気力線のうち端面15xの近傍に存在するプラスの電荷から出発した電気力線は搬送テーブル2及びワークWを貫通する。このため、図13と同様に、静電誘導及び誘電分極によりワークWの下面にマイナスの電荷を生じ、ワークWの上面にプラスの電荷を生じる。
【0089】
なお上記第2の実施の形態の説明においては、導電板15をプラスに帯電させる例を示したが、必要に応じてマイナスに帯電させても良い。
【符号の説明】
【0090】
1 リニアフィーダ
2 搬送テーブル
3 搬送テーブルの中心軸
4 無振動部
4x 移載点
5 ワーク搬送円弧
6 イオナイザ
6A 帯電手段
7 整列ガイド
7a ガイド面
7x 合流点
8 側面カメラ部
9 内面カメラ部
10 上面カメラ部
11 下面カメラ部
12 前面カメラ部
13 後面カメラ部
14 排出部
15 導電板
20 撮像手段
21 移載整列手段
30 ワークの外観検査装置
W ワーク
Wa、Wb ワークの電極
Wd ワークの本体
【技術分野】
【0001】
本発明は6面体のワークを搬送しながら、このワークの6面体を撮像するワークの外観検査装置およびワークの外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より6面体形状の抵抗やコンデンサ等のチップ形電子部品(以下「ワーク」)の外観検査装置として、ガラス等の透明体からなる搬送テーブル上にワークを載置し、搬送テーブルを回転させてワークを搬送しながらカメラ等の撮像手段により各面を撮像して外観検査を行う装置が知られている。
【0003】
この場合、外観検査装置のワーク搬送テーブルは、静電気によりワークを静電吸着して搬送するようになっている。
【0004】
すなわち、まず振動によりワークを整列搬送するリニアフィーダ上でワークを帯電させ、そのワークを搬送テーブル上に載置して所定の作業位置まで搬送するとともに、搬送テーブルのワーク載置面をワークと逆極性に帯電させて、そこにワークを静電吸着させている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−260594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来のワークの外観検査装置には次のような問題がある。
【0007】
第1の問題は、ワークをリニアフィーダから搬送テーブルに移載する際の位置決めが困難であるということである。搬送テーブル上のワークは、搬送方向に2面、上下方向に2面、搬送方向の左右に2面の合計6面を有する。これら6面を撮像するためには、固定された撮像手段を用いてこれら6面を精度良く撮像することが必要である。ところが、リニアフィーダ上のワークを搬送テーブルに移載する際にワークが一定の向きに移載されるとは限らず、移載後は静電吸着によりワークの姿勢が固定されるため、撮像時に個々のワークの姿勢に微妙な差異が発生して撮像精度が低下する可能性がある。
【0008】
また、リニアフィーダ内でワークを搬送しながら帯電させているため、搬送中に静電気の吸着作用によりリニアフィーダにワークが吸着されて、搬送速度が低下する可能性があり、最悪の場合はワークが停止してしまう。
【0009】
第2の問題は、ワーク移載後の静電吸着力が低下することである。搬送テーブルのワーク載置面とワークが逆極性に帯電しているため、ワーク移載直前には十分な吸引力が確保されていても、ワーク移載によってワーク載置面とワークが接触すると、接触点において電荷が中和してその総量が減少する。従って、搬送テーブル上に載置されたワークに働く静電吸着力が低下する。
【0010】
また、搬送テーブルのワーク載置面を帯電させる場合、搬送テーブル上面に設置されたイオナイザからワークを帯電させる電荷と逆極性の電荷をワークに向かって噴射している。このため、搬送テーブルに移載される直前のワークの電荷の一部が中和されることがあり、この場合は搬送テーブル上に載置されたワークに働く静電吸着力が低下する。
【0011】
第3の問題は、静電気によるワークへの影響である。上述したワーク移載によってワーク載置面とワークが接触する際、電荷の移動を伴う電荷の中和が行われるため、ワークの静電破壊あるいは特性劣化等のおそれがある。
【0012】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ワークをリニアフィーダから搬送テーブルに移載する際に精度良く位置決めを行うことができ、ワーク移載後の静電吸着力が低下することがなく、ワークに対する静電気の影響がないワークの外観検査装置およびワークの外観検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、6面体形状のワークを搬送するリニアフィーダと、リニアフィーダからワークが移載点において移載され、このワークを載置した状態でワーク搬送円弧上で搬送する透明体からなる回転自在の円形搬送テーブルと、リニアフィーダと搬送テーブルとの間に配設され、リニアフィーダからのワークを搬送テーブル上に移載して整列させる移載整列手段と、搬送テーブル下方に配置され搬送テーブルに載置されたワークを保持する保持手段と、搬送テーブル上のワークの6面を撮像する撮像手段とを備え、移載整列手段はリニアフィーダと搬送テーブルとの間に設けられた無振動部と、無振動部の下流側に設けられ、ワークを整列する平面からみて直線状のガイド面を有する整列ガイドとを有し、整列ガイドのガイド面は、平面上、移載点と搬送テーブルの回転軸とを結ぶ直線に対して鋭角をなし、かつ移載点の下流においてワーク搬送円弧の接線を形成することを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0014】
本発明は、円形搬送テーブルは透明なガラス体からなることを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0015】
本発明は、保持手段は搬送テーブルの下面に向けて帯電イオンを噴出して搬送テーブル下面を帯電する帯電手段からなることを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0016】
本発明は、保持手段は搬送テーブルの下方に配置された導体からなり、この導体に直流電圧を印加して電場を発生させることを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0017】
本発明は、搬送テーブルによるワークの搬送速度は、リニアフィーダによるワークの搬送速度より大きいことを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0018】
本発明は、整列ガイドのガイド面は、平面上、移載点と搬送テーブルとを結ぶ直線に対して、75度〜88度の鋭角を形成することを特徴とするワークの外観検査装置である。
【0019】
本発明は、ワークの外観検査装置を用いたワークの外観検査方法において、6面体形状のワークをリニアフィーダにより搬送する工程と、リニアフィーダからのワークを無振動部および整列ガイドを介して円形搬送テーブル上の移載点に移載するとともに、整列ガイドのガイド面によりワークを整列させる工程と、保持手段によって搬送テーブルに載置されたワークを保持した状態で、ワークを搬送テーブルのワーク搬送円弧上で搬送する工程と、搬送テーブル上のワークの6面を撮像手段により撮像する工程と、を備えたことを特徴とするワークの外観検査方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、搬送テーブル下面に配置された保持手段により上面に載置したワークを保持することにより、ワークをリニアフィーダから搬送テーブルに移載する際に、保持手段による保持と整列ガイドとを用いて、ワークの搬送テーブル上における間隔を略一定とし、併せて搬送方向に対する姿勢を一定とすることによりワークに対して精度の良い位置決めができる。このため、撮像手段による撮像精度が向上し、高精度な外観検査が可能となる。また、ワークや搬送テーブルのワーク載置面を帯電させることなく、搬送テーブル下面に配置された保持手段によりワークを保持するので、搬送テーブルへのワーク移載後に電荷の中和によって静電吸着力が低下することがない。このため、外観検査装置の処理能力が向上し、さらにワークを帯電させないためワークに対する静電破壊や特性劣化等の悪影響がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態によるワークの外観検査装置の平面図。
【図2】図2はワークを示す斜視図。
【図3】図3は図1の領域Sを示す拡大平面図。
【図4】図4は図1の領域Sを矢印Yの方向から見た透視図。
【図5】図5は本発明の第1の実施の形態におけるワークの搬送テーブルへの吸着を示す模式図。
【図6】図6(a)および図6(b)は本発明の第1の実施の形態における静電誘導の原理を示す説明図。
【図7】図7(a)および図7(b)は本発明の第1の実施の形態における誘電分極の原理を示す説明図。
【図8】図8(a)および図8(b)は本発明の第1の実施の形態における電気力線の説明図。
【図9】図9(a)および図9(b)は本発明の第1の実施の形態における整列ガイドの作用説明図。
【図10】図10は本発明の第2の実施の形態によるワークの外観検査装置の透視図であって、第1の実施の形態における図4に対応する図。
【図11】図11は本発明の第2の実施の形態によるワークの外観検査装置の拡大平面図。
【図12】図12は本発明の第2の実施の形態におけるワークの搬送テーブルへの吸着を示す模式図。
【図13】図13は本発明の第2の実施の形態における電気力線の説明図。
【図14】図14は本発明の第2の実施の形態における電気力線の説明図。
【図15】図15は本発明の第2の実施の形態における電気力線の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本発明によるワークの外観検査装置およびワークの外観検査方法の第1の実施の形態を示す図である。
【0023】
まず、ワークの外観検査装置によって検査されるワークについて、図2により説明する。
【0024】
図2において、コンデンサや抵抗等のチップ部品となるワークWは6面体形状をなし、絶縁体からなる本体Wdと、本体Wdの長手方向の両端部に形成された導電体からなる電極Wa、Wbとを有している。このワークWの外観検査を行う場合、後述する搬送テーブル2上にワークWを載置して、搬送テーブル2を図2中の矢印Zの方向に回転させてワークWを搬送させる。そして撮像手段20により矢印Aの方向から紙面反対側の側面を撮像し、矢印Bの方向から紙面手前の側面を撮像し、矢印Cの方向から上面を撮像し、矢印Dの方向から下面を撮像し、矢印Eの方向から前面を撮像し、矢印Fの方向から後面を撮像する。このとき、ガラス製の透明搬送テーブル2を使用することにより、ワークWを載置した状態で上記ワークWの6面全面を撮像することができる。
【0025】
次にワークの外観検査装置について説明する。図1および図3に示すように、ワークの外観検査装置30はワークWを搬送するリニアフィーダ1と、リニアフィーダ1からワークWが移載点4xにおいて移載され、このワークWを載置した状態でワーク搬送円弧5上で搬送する透明体からなる円形搬送テーブル2と、リニアフィーダ1からのワークWを搬送テーブル2上に移載して整列させる移載整列手段21と、搬送テーブル2の下方に配置され搬送テーブル2下面を帯電して搬送テーブル2に載置されたワークWを保持する保持手段として機能する帯電手段6Aと、搬送テーブル2上のワークWの6面を撮像する撮像手段20とを備えている。
【0026】
このうち移載整列手段21はリニアフィーダ1と搬送テーブル2との間に設けられた無振動部4と、無振動部4の下流側に設けられたワークWを整列する整列ガイド7とを有し、整列ガイド7はワークWを整列するためのガイド面7aを含む。このガイド面7aは平面からみて(上方からみて)直線状をなしている。
【0027】
また撮像手段20は、後述のように側面カメラ部8と、内面カメラ部9と、上面カメラ部10と、下面カメラ部11と、前面カメラ部12と、後面カメラ部13とを有している。
【0028】
次にワークの外観検査装置30の各構成部分について、さらに図1乃至図4により説明する。
【0029】
ここで図1は、図2に示す形状のワークWを対象としたワークの外観検査装置の平面図であり、図3は図1の破線で囲んだ領域Sの拡大平面図であり、図4は図1において領域Sを矢印Yの方向から見た透視図である。
【0030】
図1において、直線状のリニアフィーダ1は図示されない駆動源により振動し、リニアフィーダ1の上流側に位置する図示されないパーツフィーダに投入されたワークWを一列に整列させて振動により矢印Nの方向に搬送する。
【0031】
リニアフィーダ1の下方に設けられた搬送テーブル2は、透明なガラス製となって水平に設置されており、図示されない駆動源により回転軸3を中心として時計回り(図1の矢印X方向)に回転している。図4に示すように、リニアフィーダ1は搬送テーブル2に向かって僅かな傾斜を有して下降し、その下流端にはリニアフィーダ1と同等の傾斜を有するとともに振動することがない無振動部4が、搬送テーブル2と僅かな隙間を有して接続されている。これにより、ワークWはリニアフィーダ1から無振動部4を経て次第に下降して搬送テーブル2に移載される。
【0032】
搬送テーブル2の上面の外縁部近傍には、図1の一点鎖線で示すように、回転軸3を中心とした円弧としてワーク搬送円弧5が形成され、ワークWは無振動部4から搬送テーブル2に移載された後で、後述する整列ガイド7の作用によりワーク搬送円弧5上に整列する。ここで、ワーク搬送円弧5はワークWを整列させるために想定された目標位置であり、搬送テーブル2の上面にワーク搬送円弧5を目視により識別可能な何らかの印が付けられているわけではない。
【0033】
また帯電手段6Aは、搬送テーブル2に載置されたワークWを保持する保持手段として機能するものである。この帯電手段6Aは無振動部4の位置の少し手前に設置されたイオナイザ6からなり、このイオナイザ6は搬送テーブル2の直下に設けられて搬送テーブル2の下面に向けてプラスのイオン(以下「電荷」)を噴出して搬送テーブル2の下面をプラスに帯電させる。
【0034】
なお、上記各構成部分のうち、無振動部4と、ガイド面7aを有するガイド7とによって、移載整列手段21が構成される。
【0035】
また、図3において、直線状のガイド面7aを有する整列ガイド7は、搬送テーブル2の外縁部側の直上に、搬送テーブル2と僅かな隙間を有して設けられている。図3に、移載点4xと搬送テーブル2の回転軸3とを結ぶ直線を破線Kとして示す。
【0036】
図3に示すように、整列ガイド7はガイド面7aと破線Kのなす角αが75度〜88度の鋭角となるように、かつガイド面7aが移載点4xよりワークWの搬送方向下流に位置するワーク搬送円弧5の合流点7xにおいてワーク搬送円弧5の接線となるように設置されている。すなわち、合流点7xと搬送テーブル2の回転軸3とを結ぶ直線を破線Lで表したときに、破線Lとガイド面7aとのなす角βが90°となる。
【0037】
また、図1に示すように、無振動部4の下流側に搬送テーブル2の回転方向に沿って、撮像手段20を構成する側面カメラ部8、内面カメラ部9、上面カメラ部10、下面カメラ部11、前面カメラ部12、後面カメラ部13が設けられている。この撮像手段20によって、ワーク搬送円弧5上のワークWについて、それぞれ図2に矢印A〜Fで示されるワークWの各面を撮像して外観検査を行うことができる。このとき、図2に矢印Zで表すワークWの搬送方向は、図1における搬送テーブル2の回転方向Xに一致する。
【0038】
具体的には、ワークWに対し側面カメラ部8が紙面反対側の側面Aを撮像し、内面カメラ部9が紙面手前の側面Bを撮像し、上面カメラ部10が上面Cを撮像し、下面カメラ11が下面Dを撮像し、前面カメラ部12が前面Eを撮像し、後面カメラ部13が後面Fを撮像する。
【0039】
さらに、図1に示すように、撮像手段20から搬送テーブル2の回転方向の下流側には排出手段としての排出部14が設けられている。外観検査を終了したワークWは、外観検査の結果に対応して排出部14によりワーク搬送円弧上から図示されない収納箱に排出される。
【0040】
次にこのような構成からなるワークの外観検査装置を用いたワークの外観検査方法について詳しく説明する。
【0041】
図1において、ワークWがリニアフィーダ1の上流側に位置する図示されないパーツフィーダに投入され、パーツフィーダに投入されたワークWは図示されない駆動源により振動するリニアフィーダ1の作用により一列に整列し、図1の矢印Nの方向に直列搬送される。このとき、ワークWは長手方向が搬送方向に一致するように整列し、図2における矢印ZがワークWの搬送方向となる。すなわち、図2における矢印Zの方向が図1における矢印Nの方向に一致する。
【0042】
次に図4により、リニアフィーダ1の作用を詳述する。図4はリニアフィーダ1により搬送されるワークWの様子を示すものであって、図1において破線で囲んだ領域Sを矢印Yの方向から見た透視図である。図4は、搬送テーブル2上のワークWの様子を見やすくするために、整列ガイド7の位置を破線で示した透視図となっている。またワークWについては、個々の構成部分上のワークをワークW0〜W6として示し、場所を問わず一般のワークをワークWとして示す。
【0043】
図4に示すように、リニアフィーダ1はその下方に水平に位置する搬送テーブル2に向かって僅かな傾斜を有しており、リニアフィーダ1の振動により後続のワークWに押されて前進するワークWは、W0で示されるように前後方向に連続して搬送テーブル2に向かって少しずつ下降する。リニアフィーダ1が振動しているため、ワークWをリニアフィーダ1から搬送テーブル2に移載する際にリニアフィーダ1を搬送テーブル2の直上位置まで接近させると、リニアフィーダ1と搬送テーブル2とが当接するおそれがある。これを防止するために、リニアフィーダ1の下流端と搬送テーブル2との間には、振動しない無振動部4が設置されている。
【0044】
また、リニアフィーダ1の振動のばらつきに起因して、リニアフィーダ1においてワークWの搬送速度のばらつきが発生することも考えられるが、無振動部4をリニアフィーダ1と搬送テーブル2との間に介在させることによりこの搬送速度を均一化することができる。
【0045】
ところで、無振動部4はリニアフィーダ1と同等の傾斜を有し、搬送テーブル2の上面との間には僅かな隙間を有している。無振動部4上のワークWはリニアフィーダ1上と同様に後続のワークに押されて前進し、W0で示されるように前後に連続して搬送テーブル2に向かって少しずつ下降する。
【0046】
そして、無振動部4の下流端に到達したワークW1は、直後に位置するワークW0に押されて、搬送テーブル2上の移載点4xに移載され、以後搬送テーブル2の回転によって図4の矢印Xの方向に搬送される。ここで、無振動部4の長さが短過ぎると搬送速度を均一化することが困難になり、逆にこの長さが長過ぎるとワークWが途中で停止してしまうおそれがある。本発明の実施の形態においては、無振動部4の長さはワークの長手方向の寸法の8倍となっているので、ワークWを停止させることなくワークWの搬送速度の均一化を図ることができる。
【0047】
さらに、上述のように搬送テーブル2の下側にはイオナイザ6が設置され、搬送テーブル2の下面に向けてプラスの電荷を噴出して搬送テーブル2の下面をプラスに帯電させている。図4においては、このプラスの電荷を模式的に+で示している。このように搬送テーブル2の下面がプラスに帯電することにより、移載点4xに移載されたワークWは搬送テーブル2の上面に吸着される。
【0048】
次に搬送テーブル2上におけるワークWの吸着作用について図5乃至図7により説明する。
【0049】
このうち図6(a)(b)は静電誘導の原理を示す説明図である。図6(a)においてワークWの長手方向の一端部の電極Waが示されている。電極Waは導電体からなり、通常状態においては図6(a)に示すように、その内部には+で示されるプラスの電荷と−で示されるマイナスの電荷がランダムな位置に存在する。この電極Waに左方からプラスの電荷を近づけたときの様子を図6(b)に示す。
【0050】
ここでは、プラスの電荷を帯電させた帯電体Tを近づけている。このとき、電極Wa内のマイナスの電荷は帯電体T内のプラスの電荷に引き付けられて、マイナスの電荷が帯電体Tに近い電極Waの左面WaL側に集まる。また、電極Wa内のプラスの電荷は帯電体T内のプラスの電荷に反発して、帯電体Tから遠い電極Waの右面WaR側に集まる。このとき、左面WaL側にはマイナスの電荷が現れ、右面WaR側にはプラスの電荷が現れる。なお、電極Waは導電体からなるので、内部の電荷は自由に動くことができ、このため図6(b)において、電極Waの左面WaLと右面WaRとの間の部分には電荷は存在しなくなる。この現象を静電誘導と呼ぶ。
【0051】
また、静電誘導により、電極Waの左面WaL側に集まったマイナスの電荷と帯電体T内のプラスの電荷との間には、図6(b)に矢印Gで示した引力が働く。このため、電極Waは帯電体Tに引き付けられる。帯電体Tが電極Waから遠ざかると、電極Wa内の電荷は再び図6(a)の状態に戻る。電極Wbについても同様である。
【0052】
図7(a)(b)は誘電分極の原理を示す説明図である。このうち図7(a)はワークWの長手方向中央部にある本体Wdを示す。本体Wdは絶縁体であり、通常状態においては図7(a)に示すように、その内部には+で示されるプラスの電荷と−で示されるマイナスの電荷を一組とした分子(破線の楕円)がランダムな位置に存在する。
【0053】
この本体Wdに左方からプラスの電荷を近づけたときの様子を図7(b)に示す。ここでは、プラスの電荷を帯電させた帯電体Tを近づけている。このとき、本体Wd内のマイナスの電荷は帯電体T内のプラスの電荷に引き付けられるとともに、本体Wd内のプラスの電荷は帯電体T内のプラスの電荷に反発する。このため、本体Wd内の分子の向きは、帯電体Tに近い本体Wdの左面WdL側がマイナスの電荷となり、帯電体Tから遠い本体Wdの右面WdR側がプラスの電荷となるように整列する。
【0054】
図7(b)に示すように、本体Wdの左面WdL側にはマイナスの電荷が現れ、右面WdR側にはプラスの電荷が現れる。なお、本体Wdは絶縁体なので内部の電荷は自由に動くことができず、左面WdLと右面WdRの間には分子が一定方向に整列している。この現象を誘電分極と呼ぶ。また、誘電分極により、本体Wdの左面WaL側に現れたマイナスの電荷と帯電体T内のプラスの電荷との間には、図7(b)に矢印Gで示した引力が働く。このため、本体Wdは帯電体Tに引き付けられる。帯電体Tが本体Wdから遠ざかると、本体Wd内の分子は再び図7(a)の状態に戻る。
【0055】
次に図5により、移載点4xに移載されたワークWが静電誘導および誘電分極によって搬送テーブル2の上面に吸着される様子を表す。図5において、搬送テーブル2の下面はイオナイザ6の作用によりプラスに帯電している。搬送テーブル2の材質であるガラスは絶縁体なので、搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷によって上述の誘電分極が起こり、搬送テーブル2の内部のうち下面側にマイナスの電荷が現れ、上面側にプラスの電荷が現れる。また同様に、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載されたワークW2については、電極WaおよびWbには静電誘導により、また本体Wdには誘電分極により、それぞれの下面側にマイナスの電荷が現れ、上面側にプラスの電荷が現れる。
【0056】
図5において、電極Wa、Wbおよび本体Wdの下面側に現れたマイナスの電荷と搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷との間には、矢印で示した静電吸着力Gが働き、これによりワークW2は搬送テーブル2の上面に吸着される。このとき、ワークW2の下面および搬送テーブル2の上面には静電誘導あるいは誘電分極により電荷が現れているだけで、電荷の移動による帯電は起きていない。このため、吸着時に電荷の中和は発生せず、吸着後も吸着力が低下しない。このようにワークW2は搬送テーブル2の上面に吸着された状態で搬送テーブル2の回転により矢印Xの方向に搬送される。
【0057】
次に、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載されたワークWは、ワークW2として示され、搬送テーブル2に吸着された状態で搬送テーブル2の回転により矢印Xの方向に搬送される。
【0058】
この場合、搬送テーブル2の回転による搬送速度をリニアフィーダ1および無振動部4による搬送速度よりも大きくして、搬送テーブル2上のワーク間(例えばW2とW3の間)に間隔を持たせるようにしている。このように搬送テーブル2上のワーク間に間隔を持たせることにより、図1の前面カメラ部12が図2に示すワークWの前面Eを撮像し、また図1の後面カメラ部13が図2に示すワークWの後面Fを撮像する際に、面全体を確実に撮像することが可能となる。
【0059】
すなわちワークWが移載点4xから搬送テーブル2に移載されて搬送されると、図3における区間PにおいてワークWは静電吸着された状態で、W2→W3→W4のように搬送テーブル2の搬送速度まで素早く加速され、区間Qにおいてワークの間隔は例えばW4とW5の間のように広くなる。
【0060】
このとき、無振動部4と搬送テーブル2との間に僅かな隙間があり、かつ搬送テーブル2の回転による搬送速度が無振動部4による搬送速度よりも大きいため、ワークW2が搬送テーブル2に十分に吸着されない場合は、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載された時点でワークW2が微妙な跳躍を起こしてしまうことがある。この場合、ワークWに発生する跳躍はワークW毎にばらつくため、加速後の搬送テーブル2上のワークWの間隔にばらつきを生じる。これに対して本発明によれば、ワークW2が搬送テーブル2に十分に吸着されるため、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載された時点でワークW2が跳躍することはなく、搬送テーブル2上に固定される。このため加速後のワークWの間隔を略一定に保つことができる。
【0061】
ところで搬送テーブル2の外縁部の移載点4x直上には、直線状のガイド面7aを有する整列ガイド7が搬送テーブル2と僅かな隙間を有して設けられている。上述のように、図3において移載点4xと回転軸3とを結ぶ直線を破線Kとしたとき、整列ガイド7はガイド面7aと破線Kのなす角αが鋭角となるように、かつガイド面7aが移載点4xの下流方向に位置する合流点7xにおいてワーク搬送円弧5の接線となるように設置されている。すなわち、合流点7xと回転軸3とを結ぶ直線を破線Lで表したときに、破線Lとガイド面7aとのなす角βが90°となる。このため、移載点4xはワーク搬送円弧5に対して搬送テーブル2の外縁部側に位置することになる。従って、移載点4xに移載されたワークWの搬送方向(矢印X)はガイド面7aに向かう方向となり、移載点4xにおけるワークWの姿勢の微妙な差異を修正して同一にすることができる。
【0062】
次に整列ガイド7による整列作用について、図9(a)(b)により説明する。
【0063】
ここで図9(a)は、移載点4xに移載されたワークW2E1の姿勢が、正しい方向に対してやや左向きになっている場合を示す。移載点4xの位置はワーク搬送円弧5に対して搬送テーブル2の外縁部側であり、図9(a)において矢印Xで示される搬送テーブル2の回転方向はワーク搬送円弧5の軌跡と同一方向となって、ワークW2E1の搬送方向はガイド面7aに向かう方向となる。このため、ワークW2E1はワークW2E2のようにガイド面7aに当接した後、ガイド面7aに押し付けられる。この際、ワークW2E1はガイド面7aとの間に働く摩擦力よりも強い力でガラステーブル2に吸着されているため、ガイド面7aに押し付けられた状態でも減速することなくガイド面7aに沿う形で搬送される。
【0064】
図9(b)は、移載点4xに移載されたワークW2E3の姿勢が、正しい方向に対してやや右向きになっている場合を示す。この場合も、ワークW2E3の搬送方向はガイド面7aに向かう方向となり、ワークW2E3はワークW2E4のようにガイド面7aに当接した後、ガイド面7aに押し付けられ、W2にようにガイド面7aに沿う形で搬送される。このようにして搬送テーブル2の下面に存在する電荷による吸着とガイド面7aの作用とによって、ワークWの搬送テーブル2上における間隔を略一定とし、併せて搬送方向に対する姿勢を一定とするよう精度の良い位置決めができる。
【0065】
ところで上述のように、搬送テーブル2の回転による搬送速度がリニアフィーダ1および無振動部4による搬送速度よりも大きいために、位置決めされたワークWは図3における区間Pにおいて静電吸着された状態で、W2→W3→W4のように搬送テーブル2の回転による搬送速度まで素早く加速され、区間Qにおいてワークの間隔は例えばW4とW5の間のように広くなる。そしてワークW5は、区間Pと同様にガイド面7aに押し付けられながら搬送され、次第にワーク搬送円弧5に近づいていく。そして、ガイド面7aがワーク搬送円弧5に接する合流点7xに到達したワークW6の搬送方向は、区間Rにおいてワーク搬送円弧5の方向に一致し、ワークW6は、ガイド面7aから離れる方向に搬送される。すなわち、搬送テーブル2上のワークW6に対して搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷から静電吸着力が働いているため、ワークW6は搬送テーブル2に吸着されたままガイド面7aから離れ、以後ワーク搬送円弧5上に載置整列された状態で搬送される。
【0066】
その後ワークWは撮像手段20まで達し、撮像手段20の側面カメラ部8、内面カメラ部9、上面カメラ部10、下面カメラ部11、前面カメラ部12、後面カメラ部13によって、図2に矢印A〜Fで示される方向から各面が撮像されて外観検査が行われる。この場合、搬送テーブル2の下面に存在する電荷による吸着とガイド面7の作用とによりワークWの位置決めが精度良く行われているため、撮像手段20による撮像精度が向上する。外観検査を終了したワークWは排出部14に到達し、外観検査の結果に応じて図示されない収納箱に向けて排出される。
【0067】
排出部14においてワークWを排出する場合、例えば図2における紙面手前の側面Bに対して搬送テーブル2の内周側から圧縮エアを噴出して、ワークWを搬送テーブル2の外周側に飛ばして収納箱に導くことができる。収納箱内のワークWは、搬送テーブル2上ではその下面に存在するプラスの電荷のために図6(b)、図7(b)に示す状態を有していたが、プラス電荷から遠ざかることによって図6(a)、図7(a)の状態に戻る。この間、ワークW自体には静電気による帯電は生じない。
【0068】
上述のように、本実施の形態においては静電気を用いてワークWを搬送テーブル2に吸着しているが、静電気によりワークWが静電破壊を起こしたり特性劣化等を生じさせないことを、図8(a)(b)により説明する。
【0069】
図8(a)は、ワークWを搬送テーブル2の上面に載置して搬送テーブル2の下面をプラスに帯電させたときに、搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷によって生じる電気力線の様子を示す。図8(a)に示すように、電気力線はプラスの電荷から出発してマイナスの電荷で終端される。この場合にはマイナスの電荷は無限遠方に存在すると考えられるので、電気力線E1は搬送テーブル2の下面に存在するプラスの電荷から出発して、搬送テーブル2とワークWとを貫通して上方に向かう。他に該プラスの電荷から出発して下方あるいは左右に向かう電気力線も存在するが、本発明に無関係なので図示していない。このとき、ワークWの電極WaおよびWbには静電誘導により、また本体Wdには誘電分極により、それぞれの下面にマイナスの電荷が現れ、同時にそれぞれの上面にプラスの電荷が現れる。このとき、電極WaおよびWbは導電体であるため、その上面にプラスの電荷が集まり、下面にマイナスの電荷が集まっている。よって、これらの電荷によって電極WaおよびWbの内部には電気力線E2が発生する。その向きは上面に存在するプラスの電荷から出発して下面に存在するマイナスの電荷で終端される。
【0070】
従って、電極WaおよびWb内では電気力線E1とE2が互いに逆向きに存在するので打ち消し合い、図8(b)に示すように電極WaおよびWb内には電気力線が存在しない状態になる。このように電極WaおよびWbで分断された電気力線を図8(b)においてE1’で示す。この状態では電極WaおよびWb内に電気力線が存在しないことから、電極Waと電極Wbは同電位である。すなわち、電極Waと電極Wbとの間に電圧がかかることはなく、ワークの静電破壊あるいは特性劣化等は起こらない。
【0071】
ところで、ワークWが無振動部4から搬送テーブル2に移載される過渡状態においては、搬送テーブル2の下面に存在する電荷に基づく静電誘導によってワークWの電極Wa、Wb内の電荷が各電極内を移動しながら、電極Wa、Wbが無振動部4および搬送テーブル2と接触や離間を繰り返すことも考えられる。このような電極Wa、Wbの接触や離間の際に電極Wa、Wb内の電荷が外部との間で移動すると、放電による静電破壊を起こすことも考えられる。この場合、無振動部4は搬送テーブル2と同様に絶縁体等の高抵抗値を有する材料を用いて構成されているので、電極Wa、Wbとの間に電荷の移動を生じさせることはない。
【0072】
なお、上記実施の形態において、搬送テーブル2の下面をプラスに帯電させる例を示したが、必要に応じてマイナスに帯電させても良い。また、搬送テーブル2がガラス製の材料からなる例を示したが、搬送テーブル2の材料は透明体であればガラスに限るものではない。
【0073】
第2の実施の形態
以下、図10乃至図15により、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0074】
図10乃至図15に示す本発明の第2の実施の形態は、搬送テーブル2の下方に帯電手段6Aを配置する代わりに、搬送テーブル2の下方に導電板(導体)15を配置した点が異なるのみであり、他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0075】
図10乃至図15に示す第2の実施の形態において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
ここで、図10は図1において破線で囲んだ領域Sを矢印Yの方向から見た透視図であり、図4に対応している。図10において搬送テーブル2の下側には、図4におけるイオナイザ6からなる帯電手段6Aの代わりに、導体からなる導電板15が搬送テーブル2の下面とわずかな隙間を隔てて配置されている。導電板15は平面形状をなし、図12に示すように、その表面15aは搬送テーブル2に略平行となっている。また、導電板15には直流電源16が接続されて直流電圧が印加され、電場発生手段を構成している。図11により導電板15の配置箇所を示す。図11は図1の破線で囲んだ領域Sの拡大平面図を示す、図3に対応するものである。図11において、導電板15は水平方向に細長状に延び、移載点4xからワークWの搬送テーブル2上におけるワーク搬送円弧5及び整列ガイド7のガイド面7aに対応する搬送テーブル2の下側に、長手方向がワークWのワーク搬送円弧5に沿うように配置されている。
【0077】
次に図10乃至図15により本発明の第2の実施の形態の作用について、以下に説明する。
【0078】
図11において、リニアフィーダ1の振動により一列で搬送されたワークWは、搬送テーブル2上の移載点4xに移載され、直流電源16に接続された導電板15に生じた電荷の作用による静電誘導及び誘電分極によって搬送テーブル2の上面に吸着される。
【0079】
この吸着作用の様子を図12に示す。図12において、導電板15が搬送テーブル2の下面とわずかな隙間を隔てて配置され、導電板15には直流電源16が接続されてプラスの直流電圧が印加されている。このため、導電板15にはプラスの電荷が現れる。
【0080】
このプラスの電荷の作用により図5と同様に誘電分極が起こり、導電板15に対向する搬送テーブル2の内部のうち下面側にマイナスの電荷が現れ、上面側にプラスの電荷が現れる。また同様に、無振動部4から搬送テーブル2上の移載点4xに移載されたワークW2において電極Wa及びWbには静電誘導により、また本体Wdには誘電分極により、それぞれ下面側にマイナスの電荷が現れ、上面側にプラスの電荷が現れる。
【0081】
そして、電極Wa、Wb及び本体Wdの下面側に現れたマイナスの電荷と導電板15のプラスの電荷との間には、矢印で示した静電吸着力Gが働き、これによりワークW2は搬送テーブル2の上面に吸着された状態で搬送テーブル2の回転により矢印Xの方向に搬送される。
【0082】
この場合、図8(a)(b)に示す第1の実施の形態と同様に、ワークW自体には静電気による帯電は生じないので、ワークWが静電破壊を起こしたり特性劣化を生じたりすることはない。
【0083】
なお、上記実施の形態の説明においては、導電板15の面が搬送テーブル2の面に略平行であるとして説明したが、導電板15の面と搬送テーブル2の面との位置関係は、これに限定されるものではない。図11におけるL方向矢視拡大図を図13に示し、図13中に導電板15のプラスの電荷から出発する電気力線の様子を示す。
【0084】
図13に示すように、電気力線が搬送テーブル2及びワークWを貫通することにより静電誘導及び誘電分極が起こり、ワークWの下面にマイナスの電荷が生じ、ワークWの上面にプラスの電荷を生じている。ここで、簡単のため、誘電分極により搬送テーブル2内に生じる電荷は図示していない。
【0085】
図13に示すように、導電板15上のプラスの電荷から出発する電気力線のうち、導電板15の端面15xの近傍に存在するプラスの電荷から出発するもの(図中のEx)は、電荷の存在しない側、すなわち導電板15の外側に向かって曲がるという性質を有する。このため、図13に示す構成に代えて、図14のように導電板15をその表面15aが搬送テーブル2と略直角になるようにして配置してもよい。この場合、導電板15は水平方向に細長状に延び、整列ガイド7のガイド面7aに対応する搬送テーブル2の下側において、長手方向がワークWのワーク搬送円弧5に略平行となるように配置される。
【0086】
図14において、導電板15のプラスの電荷から出発した電気力線のうち端面15x近傍のプラスの電荷から出発した電気力線は搬送テーブル2及びワークWを貫通する。このため、図13に示す場合と同様に、静電誘導及び誘電分極によりワークWの下面にマイナスの電荷が生じ、ワークWの上面にプラスの電荷を生じる。
【0087】
さらに、図15のように、L字形状の断面をもつ導電板15を設けてもよい。この場合、導電板15の交差する2表面15b、15cのうち、表面15bを搬送テーブル2に略直角となるよう配置し、表面15cを搬送テーブル2に略平行に配置してもよい。この場合、導電体15は水平方向に細長状に延び、整列ガイド7のガイド面7aに対応する搬送テーブル2の下側において、長手方向がワークWのワーク搬送円弧5に略平行となるように配置される。
【0088】
図15において、電気力線同士は交わらないという性質を有するため、導電板15のプラスの電荷から出発した電気力線のうち端面15xの近傍に存在するプラスの電荷から出発した電気力線は搬送テーブル2及びワークWを貫通する。このため、図13と同様に、静電誘導及び誘電分極によりワークWの下面にマイナスの電荷を生じ、ワークWの上面にプラスの電荷を生じる。
【0089】
なお上記第2の実施の形態の説明においては、導電板15をプラスに帯電させる例を示したが、必要に応じてマイナスに帯電させても良い。
【符号の説明】
【0090】
1 リニアフィーダ
2 搬送テーブル
3 搬送テーブルの中心軸
4 無振動部
4x 移載点
5 ワーク搬送円弧
6 イオナイザ
6A 帯電手段
7 整列ガイド
7a ガイド面
7x 合流点
8 側面カメラ部
9 内面カメラ部
10 上面カメラ部
11 下面カメラ部
12 前面カメラ部
13 後面カメラ部
14 排出部
15 導電板
20 撮像手段
21 移載整列手段
30 ワークの外観検査装置
W ワーク
Wa、Wb ワークの電極
Wd ワークの本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6面体形状のワークを搬送するリニアフィーダと、
リニアフィーダからワークが移載点において移載され、このワークを載置した状態でワーク搬送円弧上で搬送する透明体からなる回転自在の円形搬送テーブルと、
リニアフィーダと搬送テーブルとの間に配設され、リニアフィーダからのワークを搬送テーブル上に移載して整列させる移載整列手段と、
搬送テーブル下方に配置され、搬送テーブルに載置されたワークを保持する保持手段と、
搬送テーブル上のワークの6面を撮像する撮像手段とを備え、
移載整列手段はリニアフィーダと搬送テーブルとの間に設けられた無振動部と、無振動部の下流側に設けられ、ワークを整列する平面からみて直線状のガイド面を有する整列ガイドとを有し、
整列ガイドのガイド面は、平面上、移載点と搬送テーブルの回転軸とを結ぶ直線に対して鋭角をなし、かつ移載点の下流においてワーク搬送円弧の接線を形成することを特徴とするワークの外観検査装置。
【請求項2】
円形搬送テーブルは透明なガラス体からなることを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項3】
保持手段は搬送テーブルの下面に向けて帯電イオンを噴出して搬送テーブル下面を帯電する帯電手段からなることを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項4】
保持手段は搬送テーブルの下方に配置された導体からなり、この導体に直流電圧を印加して電場を発生させることを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項5】
搬送テーブルによるワークの搬送速度は、リニアフィーダによるワークの搬送速度より大きいことを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項6】
整列ガイドのガイド面は、平面上、移載点と搬送テーブルとを結ぶ直線に対して、75度〜88度の鋭角を形成することを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項7】
請求項1記載のワークの外観検査装置を用いたワークの外観検査方法において、
6面体形状のワークをリニアフィーダにより搬送する工程と、
リニアフィーダからのワークを無振動部および整列ガイドを介して円形搬送テーブル上の移載点に移載するとともに、整列ガイドのガイド面によりワークを整列させる工程と、
保持手段によって搬送テーブルに載置されたワークを保持した状態で、ワークを搬送テーブルのワーク搬送円弧上で搬送する工程と、
搬送テーブル上のワークの6面を撮像手段により撮像する工程と、
を備えたことを特徴とするワークの外観検査方法。
【請求項1】
6面体形状のワークを搬送するリニアフィーダと、
リニアフィーダからワークが移載点において移載され、このワークを載置した状態でワーク搬送円弧上で搬送する透明体からなる回転自在の円形搬送テーブルと、
リニアフィーダと搬送テーブルとの間に配設され、リニアフィーダからのワークを搬送テーブル上に移載して整列させる移載整列手段と、
搬送テーブル下方に配置され、搬送テーブルに載置されたワークを保持する保持手段と、
搬送テーブル上のワークの6面を撮像する撮像手段とを備え、
移載整列手段はリニアフィーダと搬送テーブルとの間に設けられた無振動部と、無振動部の下流側に設けられ、ワークを整列する平面からみて直線状のガイド面を有する整列ガイドとを有し、
整列ガイドのガイド面は、平面上、移載点と搬送テーブルの回転軸とを結ぶ直線に対して鋭角をなし、かつ移載点の下流においてワーク搬送円弧の接線を形成することを特徴とするワークの外観検査装置。
【請求項2】
円形搬送テーブルは透明なガラス体からなることを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項3】
保持手段は搬送テーブルの下面に向けて帯電イオンを噴出して搬送テーブル下面を帯電する帯電手段からなることを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項4】
保持手段は搬送テーブルの下方に配置された導体からなり、この導体に直流電圧を印加して電場を発生させることを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項5】
搬送テーブルによるワークの搬送速度は、リニアフィーダによるワークの搬送速度より大きいことを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項6】
整列ガイドのガイド面は、平面上、移載点と搬送テーブルとを結ぶ直線に対して、75度〜88度の鋭角を形成することを特徴とする請求項1記載のワークの外観検査装置。
【請求項7】
請求項1記載のワークの外観検査装置を用いたワークの外観検査方法において、
6面体形状のワークをリニアフィーダにより搬送する工程と、
リニアフィーダからのワークを無振動部および整列ガイドを介して円形搬送テーブル上の移載点に移載するとともに、整列ガイドのガイド面によりワークを整列させる工程と、
保持手段によって搬送テーブルに載置されたワークを保持した状態で、ワークを搬送テーブルのワーク搬送円弧上で搬送する工程と、
搬送テーブル上のワークの6面を撮像手段により撮像する工程と、
を備えたことを特徴とするワークの外観検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−133458(P2011−133458A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167323(P2010−167323)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】
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