説明

ワーク搬送設備

【課題】簡素な構成をなすことにより小型化及び省スペース化を図ると共にワークの移載動作を容易に行うことができるワーク搬送設備を提供する。
【解決手段】フロントサスペンションFSを搭載可能な台車6を搬送するチェーンコンベア5と、第1トロリー46を搬送方向に押圧するフロントプッシャー21と、フロントプッシャー21の搬送方向上流側で第2トロリー47を押圧するリヤプッシャー22と、チェーンコンベア5により搬送された台車6を昇降装置9に移載するシリンダーとを備え、チェーンコンベア5の搬送方向下流端において受圧部からフロントプッシャー21を離脱させると共に、リヤプッシャー22を受圧部に押圧させて搬送し、昇降装置9に侵入した受圧部に係合部を押圧させて移載するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の生産ラインにおいてワークを搬送して車体に搭載するワーク搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の生産ラインには、エンジン・ミッションアッセンブリやサスペンション等のワークを搬送して車体に搭載するワーク搬送設備が設けられている。このワーク搬送設備は、車体を搬送するオーバーヘッドコンベアと、該オーバーヘッドコンベアの下方においてワークを搭載した台車を搬送するスラットコンベアとを備えており、搬送される車体の下方に台車を侵入させた後、ワークをリフトアップさせることにより、該ワークを車体に搭載するようにしている。そして、作業者によるワークの組み付け作業が完了すると、ワークが取り外された台車は、昇降装置やリターンコンベア等を介して当初の位置に搬送された後、新たなワークが搭載されて、再びオーバーヘッドコンベアにより搬送される車体の下方へと移動される。
【0003】
このような、従来のワーク搬送設備は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−236641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のワーク搬送設備では、昇降装置の側方において、スラットコンベアから昇降装置に台車を移載させる、あるいは、昇降装置からスラットコンベアに移載させる送り込み装置や払出し装置が設けられているが、これらの装置は構造が複雑であるために設備全体の大型化を招いていた。また、ストラットコンベアと台車との間には、台車をストラットコンベアの所定位置に連結させるクランプ装置が設けられているが、これも構造が複雑であるために、スラットコンベアと昇降装置との間における台車の移載動作の複雑化を招いていた。
【0006】
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、簡素な構成をなすことにより小型化及び省スペース化を図ると共にワークの移載動作を容易に行うことができるワーク搬送設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する第1の発明に係るワーク搬送設備は、
ワークを搭載可能な台車に取り付けられる第1トロリー及び第2トロリーと、
前記台車を搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段に設けられると共に前記台車の第1トロリーを搬送方向に押圧する第1前側押圧手段と、
前記第1搬送手段に設けられると共に前記第1前側押圧手段の搬送方向上流側で前記台車の第2トロリーを搬送方向に押圧する第1後側押圧手段と、
前記第1搬送手段により搬送された前記台車を収納手段に移載する移載手段とを備え、
前記第1搬送手段の搬送方向下流端において前記第1トロリーから前記第1前側押圧手段を離脱させると共に、前記第1後側押圧手段を前記第2トロリーに搬送方向に押圧させて搬送し、前記収納手段に侵入した前記第1トロリーに前記移載手段を搬送方向に押圧させて移載する
ことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する第2の発明に係るワーク搬送設備は、
第1の発明に係るワーク搬送設備において、
前記第1トロリー及び前記第2トロリーは、搬送方向下流側への回転を規制される前爪と、前記前爪の搬送方向上流側において搬送方向上流側への回転を規制される後爪とを備え、
前記第1搬送手段の搬送方向下流端において前記第1トロリーの前記前爪から前記第1前側押圧手段を離脱させると共に、前記第1後側押圧手段を前記第2トロリーの前記前爪に搬送方向に押圧させて搬送し、前記収納手段に侵入した前記第1トロリーの前記前爪に前記移載手段を搬送方向に押圧させて移載する
ことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第3の発明に係るワーク搬送設備は、
第2の発明に係るワーク搬送設備において、
前記第1後側押圧手段は搬送方向上流側から前記第2トロリーの前記後爪を押し上げてから前記第2トロリーの前記前爪を搬送方向に押圧する
ことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第4の発明に係るワーク搬送設備は、
第2または3の発明に係るワーク搬送設備において、
前記移載手段は前記第1後側押圧手段が前記第2トロリーの前記前爪から離出したときに前記第1トロリーの前記前爪を搬送方向に押圧する
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第5の発明に係るワーク搬送設備は、
第2乃至4のいずれかの発明に係るワーク搬送設備において、
前記第1搬送手段の上方または下方に設けられると共に前記第1搬送手段の搬送方向と逆方向に搬送駆動する第2搬送手段と、
前記第2搬送手段に設けられると共に前記台車の第2トロリーを搬送方向に押圧する第2前側押圧手段と、
前記第2搬送手段に設けられると共に前記第2前側押圧手段の搬送方向上流側で前記台車の第1トロリーを搬送方向に押圧する第2後側押圧手段とを備え、
前記収納手段を前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間で前記台車を昇降させる昇降手段とし、
前記移載手段を前記第1トロリーに押圧させて排出し、前記第2搬送手段に侵入した前記第2トロリーに前記第2前側押圧手段を押圧させると共に、前記第1トロリーから前記移載手段を離脱させて移載する
ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第6の発明に係るワーク搬送設備は、
第1乃至5のいずれかの発明に係るワーク搬送設備において、
前記移載手段を前記収納手段の下部に設ける
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係るワーク搬送設備によれば、ワークを搭載可能な台車に取り付けられる第1トロリー及び第2トロリーと、前記台車を搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段に設けられると共に前記台車の第1トロリーを搬送方向に押圧する第1前側押圧手段と、前記第1搬送手段に設けられると共に前記第1前側押圧手段の搬送方向上流側で前記台車の第2トロリーを搬送方向に押圧する第1後側押圧手段と、前記第1搬送手段により搬送された前記台車を収納手段に移載する移載手段とを備え、前記第1搬送手段の搬送方向下流端において前記第1トロリーから前記第1前側押圧手段を離脱させると共に、前記第1後側押圧手段を前記第2トロリーに搬送方向に押圧させて搬送し、前記収納手段に侵入した前記第1トロリーに前記移載手段を搬送方向に押圧させて移載することにより、設備が簡素な構成をなすので小型化及び省スペース化を図ることができると共に、前記台車の移載動作を容易に行うことができる。
【0014】
第2の発明に係るワーク搬送設備によれば、第1の発明に係るワーク搬送設備において、前記第1トロリー及び前記第2トロリーは、搬送方向下流側への回転を規制される前爪と、前記前爪の搬送方向上流側において搬送方向上流側への回転を規制される後爪とを備え、前記第1搬送手段の搬送方向下流端において前記第1トロリーの前記前爪から前記第1前側押圧手段を離脱させると共に、前記第1後側押圧手段を前記第2トロリーの前記前爪に搬送方向に押圧させて搬送し、前記収納手段に侵入した前記第1トロリーの前記前爪に前記移載手段を搬送方向に押圧させて移載することにより、設備を簡素な構成にできるので小型化及び省スペース化を図ることができると共に、前記台車の移載動作を容易に行うことができる。
【0015】
第3の発明に係るワーク搬送設備によれば、第2の発明に係るワーク搬送設備において、前記第1後側押圧手段は搬送方向上流側から前記第2トロリーの前記後爪を押し上げてから前記第2トロリーの前記前爪を搬送方向に押圧することにより、前記第1トロリーの前記前爪から前記第1前側押圧手段が離脱しても、前記収納手段側へ前記台車を容易に搬送することができる。
【0016】
第4の発明に係るワーク搬送設備によれば、第2または3の発明に係るワーク搬送設備において、前記移載手段は前記第1後側押圧手段が前記第2トロリーの前記前爪から離出したときに前記第1トロリーの前記前爪を搬送方向に押圧することにより、前記台車の移載をスムーズに行うことができる。
【0017】
第5の発明に係るワーク搬送設備によれば、第2乃至4のいずれかの発明に係るワーク搬送設備において、前記第1搬送手段の上方または下方に設けられると共に前記第1搬送手段の搬送方向と逆方向に搬送駆動する第2搬送手段と、前記第2搬送手段に設けられると共に前記台車の第2トロリーを搬送方向に押圧する第2前側押圧手段と、前記第2搬送手段に設けられると共に前記第2前側押圧手段の搬送方向上流側で前記台車の第1トロリーを搬送方向に押圧する第2後側押圧手段とを備え、前記収納手段を前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間で前記台車を昇降させる昇降手段とし、前記移載手段を前記第1トロリーに押圧させて排出し、前記第2搬送手段に侵入した前記第2トロリーに前記第2前側押圧手段を押圧させると共に、前記第1トロリーから前記移載手段を離脱させて移載することにより、前記台車を省スペースで循環させて使用することができる。
【0018】
第6の発明に係るワーク搬送設備によれば、第1乃至5のいずれかの発明に係るワーク搬送設備において、前記移載手段を前記収納手段の下部に設けることにより、更に、設備の小型化及び省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るワーク搬送設備を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係るワーク搬送設備の全体側面図、図2は本発明の一実施例に係るワーク搬送設備の全体平面図、図3は台車がチェーンコンベアから昇降装置に移載される様子を示した図、図4(a)はチェーンコンベア搬送時におけるフロントプッシャーと第1トロリーとの配置を示した図、同図(b)はチェーンコンベア搬送時におけるリヤプッシャーと第2トロリーとの配置を示した図、図5は台車が昇降装置からリターンコンベアに移載される様子を示した図、図6(a)はリターンコンベア搬送時におけるリヤプッシャーと第1トロリーとの配置を示した図、同図(b)はリターンコンベア搬送時におけるフロントプッシャーと第2トロリーとの配置を示した図、図7はシリンダー収納部の収納状態を示した図である。
【0020】
先ず、図1または2を用いてワーク搬送設備の全体を説明する。
【0021】
図1または2に示すように、ワーク搬送設備1において、フロアFの上方には水平方向に延設するオーバーヘッドコンベア2が設けられており、このオーバーヘッドコンベア2には車体Bを保持する左右一対のワークハンガ3が移動可能に支持されている。つまり、車体Bは図中のh方向に搬送されている。また、フロアFには走行板4が面一に支持されており、この走行板4の下方にはオーバーヘッドコンベア2と平行になるように延設するチェーンコンベア(第1搬送手段または第2搬送手段)5が設けられている。このチェーンコンベア5は、ワークであるフロントサスペンションFSをパレットPを介して搭載した台車6を、図中のi方向に搬送するものである。更に、フロアFの下方に形成される地下フロアT1には水平に支持される走行板7が配置されており、この走行板7の下方にはチェーンコンベア5と平行になるように延設するリターンコンベア(第2搬送手段または第1搬送手段)8が設けられている。このリターンコンベア8は、パレットPを搭載した台車6を、図中のr方向に搬送するものである。
【0022】
チェーンコンベア5の下流端とリターンコンベア8の上流端との間には昇降装置(収納手段及び昇降手段)9が昇降可能に支持される一方、チェーンコンベア5の上流側(走行板4の端部)とリターンコンベア8の下流端との間には昇降装置(収納手段及び昇降手段)10が昇降可能に支持されている。昇降装置9は、台車6をチェーンコンベア5の下流端からリターンコンベア8の上流端に搬送するものであり、昇降装置10は、台車6をリターンコンベア8の下流端からチェーンコンベア5の上流側に搬送するものである。
【0023】
チェーンコンベア5の上流側には、このチェーンコンベア5と略同一線上に延設する実パレットコンベア11が設けられている。この実パレットコンベア11は、昇降装置10が最高位に達したときの台車6と略同一高さに設けられており、フロントサスペンションFSを搭載したパレットPを、図中のj方向に搬送するものである。そして、実パレットコンベア11の下流端には供給装置12が設けられている。この供給装置12は、実パレットコンベア11と略同一高さに設けられており、実パレットコンベア11から搬送されたパレットPを、最高位に達した昇降装置10に搭載された台車6に供給するものである。
【0024】
フロアFと地下フロアT1との間に形成される地下フロアT2には、実パレットコンベア11と平行になるように延設する空パレットコンベア13が設けられている。この空パレットコンベア13は、昇降装置10が中間位置に達したときの台車6と略同一高さに設けられており、空になったパレットPを、図中のk方向に搬送するものである。そして、空パレットコンベア13の上流端には排出装置14が設けられている。この排出装置14は、空パレットコンベア13と略同一高さに設けられており、中間位置に達した昇降装置10から空になったパレットPを受け取り、空パレットコンベア13に排出するものである。
【0025】
更に、フロアFには作業者Sが作業する作業台15,16が設けられている。作業台15は搬送される車体Bと略同一高さに配置される一方、作業台16はフロアF上の後述する台車6により下流方向にけん引され、上流方向へは自身の駆動により返送するスライド可動式の作業台となっている。
【0026】
次に、図3乃至7を用いてワーク搬送設備の要部を説明する。
【0027】
図3乃至7に示すように、チェーンコンベア5には、所定間隔に支持される一対のフロントプッシャー(第1前側押圧手段)21及びリヤプッシャー(第1後側押圧手段)22が設けられている。同様に、リターンコンベア8には、所定間隔に支持される一対のリヤプッシャー(第2後側押圧手段)31及びフロンとプッシャー(第2前側押圧手段)32が設けられている。
【0028】
台車6は基板41と、この基板41に回転可能に支持され走行板4,7上を回転駆動する車輪42とを備えている。そして、基板41の上面にはリフター43が設けられており、このリフター43の上部にはパレットPを保持する保持部44が設けられている。また、リフター43のi方向前方には、このリフター43を上下方向に動作させる駆動ユニット45が設けられている。一方、基板41の下面には第1トロリー46及び第2トロリー47が設けられており、このトロリー46,47は走行板4,7においてi,r方向に開口する溝4a,7aに貫通している。そして、第1トロリー46の下端には前爪48及び後爪49が揺動可能に支持されると共に、第2トロリー47の下端には前爪50及び後爪51が揺動可能に支持されている。
【0029】
前爪48と後爪49とは、互いの受圧部48a,49aが向き合うと共に背面部48b,49bが外側に配置されるように対称的に支持されている。同様に、前爪50と後爪51とは、互いの受圧部50a,51aが向き合うと共に背面部50b,51bが外側に配置されるように対称的に支持されている。なお、爪48,49,50,51の位置は外部から何ら作用を受けていない状態、即ち、自重により保たれた状態において、受圧部48a,49a,50a,51a側から力を加えても、爪48,49,50,51の揺動は規制される。つまり、背面部48b,49b,50b,51b側から力を加えた場合のみ、爪48,49,50,51は揺動される。
【0030】
昇降装置9は中空構造になっており、その内部にはシリンダー収納部9aが形成されている。一方、昇降装置9の上面には、昇降装置9が最高位または最下位に移動したときに溝4a,7aと直線的に連通する溝9bが開口されており、この溝9bはシリンダー収納部9aと連通されている。
【0031】
シリンダー収納部9a内には、溝9bと平行となるように延設するガイドレール61と、このガイドレール61の下方に配置されるシリンダー62とが設けられている。ガイドレール61とシリンダー62とは、その基端側において、固定部材63を介してシリンダー収納部9aの底面に支持されると共に、連結部材64により互いに連結されている。
【0032】
シリンダー62のロッド部62aの先端には摺動部材65が支持されており、この摺動部材65はコロ支持部材66を介してコロ67を回転可能に支持する一方、ガイドレール61はこのコロ67を摺動可能に支持している。そして、コロ支持部材66はフィーダー爪支持部材68を介してフィーダー爪69を支持しており、このフィーダー爪69の先端には押圧部69aが形成されると共に、その基端にはカムフォロア69bが形成されている。なお、フィーダー爪支持部材68によるフィーダー爪69の支持位置は、基端側がその自重により下がるように若干先端側に設定されている。
【0033】
なお、昇降装置10の構成は昇降装置9の構成と対称的になされているので、昇降装置10についての詳細な説明は省略する。
【0034】
また、ガイドレール61にはガイドプレート70が設けられており、このガイドプレート70には水平部70aと傾斜部70bとが形成されている。なお、ガイドプレート70の設置位置は、フィーダー爪69が最もガイドレール61の基端側に移動したときに、カムフォロア69bが水平部70aに載り上がるように設定されている。なお、符号61〜70の部材は移載手段を構成するものである。
【0035】
従って、上述した構成をなすことにより、ワーク搬送設備1において、車体BにフロントサスペンションFSを組み付けるには、先ず、フロントサスペンションFSを搭載したパレットPを、実パレットコンベア11から供給装置12に搬送させる。供給装置12上に配置されたパレットPは、昇降装置10が最高位に達すると、この昇降装置10に搭載された台車6上に供給される。次いで、台車6は走行板4上に移動された後、搬送されてきた車体Bと同期しながら搬送される。同時に台車6にけん引される作業台16がスライド移動し、そして、リフター43が上昇し、作業者SによりフロントサスペンションFSの車体Bへの組み付け作業が行われる。
【0036】
組み付け作業が完了されると、リフター43が下降し、台車6は空になったパレットPを搭載したままチェーンコンベア5の下流側に搬送された後、昇降装置9に移載される。次いで、昇降装置9が最下位まで下降すると、台車6はリターンコンベア8に移載され、このリターンコンベア8により搬送された後、昇降装置10に移載される。そして、昇降装置10が地下フロアT2まで上昇すると、台車6に搭載された空になったパレットPは排出装置11により空パレットコンベア13に排出される。その後、更に、昇降装置10が最高位まで上昇すると、台車6に新たなフロントサスペンションFSを搭載したパレットPが供給される。このように、台車6をチェーンコンベア5、昇降装置9、リターンコンベア8及び昇降装置10の順に循環させることにより、フロントサスペンションFSを車体Bに組み付ける作業が繰り返し行うことができる。
【0037】
ここで、図3乃至7を用いて、チェーンコンベア5及びリターンコンベア8による搬送、チェーンコンベア5から昇降装置9への移載、昇降装置9からリターンコンベア8への移載について詳細に説明する。なお、リターンコンベア8から昇降装置10への移載、昇降装置10からチェーンコンベア5への移載は、下記の説明から容易に理解できるので、説明は省略する。
【0038】
チェーンコンベア5が台車6を搬送するときには、図3,4に示すように、フロントプッシャー21は前爪48の受圧部48aに当接する(位置f1)一方、リヤプッシャー22は後爪51の背面部51bの搬送方向(i方向)後方に配置する(位置r1)。つまり、台車6は、受圧部48aがフロントプッシャー21により搬送方向に押圧されることで、チェーンコンベア5により搬送される。
【0039】
次に、台車6をチェーンコンベア5から昇降装置9に移載する場合には、図3に示すように、先ず、台車6がチェーンコンベア5の下流端に搬送されると、フロントプッシャー21が受圧部48aから下方に離脱する(位置f2)と共に、リヤプッシャー22が背面部51bを押し上げながら前方へ移動(位置r2)して受圧部50aを搬送方向に押圧する。つまり、台車6は、受圧部50aがリヤプッシャー22により搬送方向に押圧されることで、昇降装置9に移載され始める。そして、第1トロリー46が摺動部材65の後方まで移動すると、シリンダー62のロッド部62aが伸長し始める。つまり、台車6が昇降装置9に移載されると、摺動部材65は第1トロリー46よりも先行して移動される。
【0040】
このように、シリンダー62のロッド部62aを伸長させると、フィーダー爪69のカムフォロア69bが水平部70aから傾斜部70bに滑り落ちるので、押圧部69aが徐々に上がり始める。更に、シリンダー62のロッド部62aを伸長させると、押圧部69aが受圧部48aを搬送方向に押圧する(位置f3)と共に、リヤプッシャー22が受圧部50aから下方に離脱する。そして、更に、シリンダー62のロッド部62aを伸長させると、受圧部48aが押圧部69aにより搬送方向に押圧されることにより、台車6は昇降装置9の所定の位置に移載される(位置f4,位置r4)。
【0041】
次に、台車6を昇降装置9からリターンコンベア8に移載する場合には、図5に示すように、先ず、シリンダー62のロッド部62aを短縮させると、押圧部69aが後爪49の受圧部49aを搬送方向に押圧する(位置f5)。つまり、台車6は、受圧部49aが押圧部69aにより搬送方向に押圧されることで、リターンコンベア8に移載され始める。更に、シリンダー62のロッド部62aを短縮させると、フィーダー爪69のカムフォロア69bが傾斜部70bから水平部70aに載り上がるので、押圧部69aが徐々に下がり始める。つまり、押圧部69aは受圧部49aから下方に離脱する(位置f6)。また、これと同時に、フロントプッシャー32が受圧部51aに当接して搬送方向に押圧する(位置r6)。
【0042】
そして、台車6は、受圧部51aがフロントプッシャー32により搬送方向に押圧されることで、リターンコンベア8により搬送される。リターンコンベア8が台車6を搬送するときには、図5,6に示すように、リヤプッシャー31は前爪48の背面部48bの搬送方向(r方向)後方に配置する(位置f7)と共に、フロントプッシャー32は後爪51の受圧部51aに当接する(位置r7)。
【0043】
従って、本発明に係るワーク搬送設備によれば、チェーンコンベア5の搬送方向下流端において受圧部48aからフロントプッシャー21を離脱させると共に、リヤプッシャー22を受圧部50aに押圧させて搬送し、昇降装置9に侵入した受圧部48aに係合部69aを押圧させて移載することにより、設備を簡素な構成にできるので小型化及び省スペース化を図ることができると共に、台車6のチェーンコンベア5から昇降装置9への移載動作を容易に行うことができる。しかも、リヤプッシャー22は背面部51bを押し上げながら前方へ移動して受圧部50aを搬送方向に押圧するので、受圧部48aからフロントプッシャー21が離脱しても、昇降装置9側へ台車6を容易に搬送することができる。また、係合部69aはリヤプッシャー22が受圧部50aから離出したときに受圧部48aを搬送方向に押圧するので、台車6の移載をスムーズに行うことができる。更に、ガイドレール61、シリンダー62、フィーダー爪69及びガイドプレート70等からなる移載装置を昇降装置9,10の下部において収納構造としているので、更に、設備の小型化及び省スペース化を図ることができる。
【0044】
そして、チェーンコンベア5のフロントプッシャー21及びリヤプッシャー22と同様のフロントプッシャー32及びリヤプッシャー31をリターンコンベア8に設け、係合部69aを受圧部49aに押圧させて排出し、リターンコンベア8に侵入した受圧部51aにフロントプッシャー32を押圧させると共に、受圧部49aから係合部69aを離脱させて移載することにより、台車6を省スペースでワーク搬送設備1内を循環させて使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
エンジン・ミッションアッセンブリを搬送して車体に搭載するワーク搬送設備に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施例に係るワーク搬送設備の全体側面図である。
【図2】本発明の一実施例に係るワーク搬送設備の全体平面図である。
【図3】台車がチェーンコンベアから昇降装置に移載される様子を示した図である。
【図4】(a)はチェーンコンベア搬送時におけるフロントプッシャーと第1トロリーとの配置を示した図、(b)はチェーンコンベア搬送時におけるリヤプッシャーと第2トロリーとの配置を示した図である。
【図5】台車が昇降装置からリターンコンベアに移載される様子を示した図である。
【図6】(a)はリターンコンベア搬送時におけるリヤプッシャーと第1トロリーとの配置を示した図、(b)はリターンコンベア搬送時におけるフロントプッシャーと第2トロリーとの配置を示した図である。
【図7】シリンダー収納部の収納状態を示した図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ワーク搬送設備
5 チェーンコンベア
6 台車
8 リターンコンベア
9,10 昇降装置
21,32 フロントプッシャー
22,31 リヤプッシャー
46 第1トロリー
47 第2トロリー
28,30 前爪
29,31 後爪
28a,29a,30a,31a 受圧部
28b,29b,30b,31b 背面部
62 シリンダー
69 フィーダー爪
69a 押圧部
69b カムフォロア
70 ガイドプレート
70a 水平部
70b 傾斜部
B 車体
FS フロントサスペンション
P パレット
F フロア
T1,T2 地下フロア
S 作業者


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搭載可能な台車に取り付けられる第1トロリー及び第2トロリーと、
前記台車を搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段に設けられると共に前記台車の第1トロリーを搬送方向に押圧する第1前側押圧手段と、
前記第1搬送手段に設けられると共に前記第1前側押圧手段の搬送方向上流側で前記台車の第2トロリーを搬送方向に押圧する第1後側押圧手段と、
前記第1搬送手段により搬送された前記台車を収納手段に移載する移載手段とを備え、
前記第1搬送手段の搬送方向下流端において前記第1トロリーから前記第1前側押圧手段を離脱させると共に、前記第1後側押圧手段を前記第2トロリーに搬送方向に押圧させて搬送し、前記収納手段に侵入した前記第1トロリーに前記移載手段を搬送方向に押圧させて移載する
ことを特徴とするワーク搬送設備。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク搬送設備において、
前記第1トロリー及び前記第2トロリーは、搬送方向下流側への回転を規制される前爪と、前記前爪の搬送方向上流側において搬送方向上流側への回転を規制される後爪とを備え、
前記第1搬送手段の搬送方向下流端において前記第1トロリーの前記前爪から前記第1前側押圧手段を離脱させると共に、前記第1後側押圧手段を前記第2トロリーの前記前爪に搬送方向に押圧させて搬送し、前記収納手段に侵入した前記第1トロリーの前記前爪に前記移載手段を搬送方向に押圧させて移載する
ことを特徴とするワーク搬送設備。
【請求項3】
請求項2に記載のワーク搬送設備において、
前記第1後側押圧手段は搬送方向上流側から前記第2トロリーの前記後爪を押し上げてから前記第2トロリーの前記前爪を搬送方向に押圧する
ことを特徴とするワーク搬送設備。
【請求項4】
請求項2または3に記載のワーク搬送設備において、
前記移載手段は前記第1後側押圧手段が前記第2トロリーの前記前爪から離出したときに前記第1トロリーの前記前爪を搬送方向に押圧する
ことを特徴とするワーク搬送設備。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載のワーク搬送設備において、
前記第1搬送手段の上方または下方に設けられると共に前記第1搬送手段の搬送方向と逆方向に搬送駆動する第2搬送手段と、
前記第2搬送手段に設けられると共に前記台車の第2トロリーを搬送方向に押圧する第2前側押圧手段と、
前記第2搬送手段に設けられると共に前記第2前側押圧手段の搬送方向上流側で前記台車の第1トロリーを搬送方向に押圧する第2後側押圧手段とを備え、
前記収納手段を前記第1搬送手段と前記第2搬送手段との間で前記台車を昇降させる昇降手段とし、
前記移載手段を前記第1トロリーに押圧させて排出し、前記第2搬送手段に侵入した前記第2トロリーに前記第2前側押圧手段を押圧させると共に、前記第1トロリーから前記移載手段を離脱させて移載する
ことを特徴とするワーク搬送設備。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のワーク搬送設備において、
前記移載手段を前記収納手段の下部に設ける
ことを特徴とするワーク搬送設備。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−182288(P2007−182288A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1056(P2006−1056)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】