説明

ワーク着座検知装置とそれを用いたロケート装置およびワーク着座検知方法

【課題】光電センサタイプのワーク着座検知装置と同等の機能を有しながらも、そのコストダウンを図ったワーク着座検知装置を提供する。
【解決手段】下端に近接センサ34のヘッド部34aを臨ませたガイドチューブ37の上端にドッグ38を上下動可能に支持させるとともに、ガイドチューブ37内に検知プレート40を上下動可能に配置し、検知プレート40の上下に互いに拮抗する圧縮コイルスプリング41,42を配置する。検知プレート40のストロークS2はドッグ38のストロークS1よりも小さく設定してある。ドッグ38にワークが当接することによりそのドッグ38の動きに検知プレート40を追従変位させて、ドッグ38に対するワークの着座を近接センサ34にて間接的に検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種生産ライン等において所定位置に対するワークの着座を検知するワーク着座検知装置とそれを用いたロケート装置およびワーク着座検知方法に関し、特にワークに当接するドッグの動きに応じてそのワークの着座を近接センサにて間接的に検知するするようにしたワーク着座検知装置とそれを用いたロケート装置およびワーク着座検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のワーク着座検知技術、例えば自動車の車体組立工程で使用されるワーク着座検知装置として、図7に示すように、ワークW1またはW2の位置決めクランプを司るロケート装置101のワーク着座面102近傍に近接センサ103を付帯させて、ワークW1またはW2の着座を近接センサ103にて直接検知するようにしたもののほか、特許文献1に記載されているように、上記ワーク着座面102そのものに出没可能なピンを配置し、ワークW1またはW2の着座に伴うピンの変位を例えばそのピンの他端に対峙させた近接センサにて検知するようにしたものがある。
【0003】
ところが、前者の近接センサ103による直接検知方式では、ワークW1とW2の形状の違いに対する自由度が少なく汎用性に欠けるほか、近接センサ103の検知面に溶接時のスパッタが付着して誤検知を招くおそれがある。また、後者のピン併用方式では、同特許文献1に記載されているようにピンによる検知可能領域が極小であるために上記と同様にワーク形状の違いに対して十分に対応することができない。
【0004】
このようなことから、例えば図7に示す近接センサ103に代えて図8に示すようなワーク着座検知装置105を設けて、ロケートピン104側のワーク着座面102に対するワークW1またはW2の着座をもって同時にワーク着座検知装置105側のドッグ106にもワークW1またはW2を当接させることで変位させて、そのドッグ106の内底面を反射面とする光電センサ107にてワークW1またはW2の着座を間接的に検知するようにしたものが一部で提案されている。
【0005】
なお、上記ワーク着座検知装置105は、下端にいわゆる投受光部一体型の光電センサ107を装着したガイドチューブ108に有底筒状のドッグ106を上下動可能に外挿するとともに、ガイドチューブ108の外周に螺合したセットカラー110とドッグ106との間にリターンスプリング109を介装したもので、光電センサ107からの照射光はドッグ106の内底面を反射面として反射するようになっている。そして、ドッグ106に対するワークW1またはW2の着座によってそのドッグ106が所定量だけ下降することにより、ドッグ106の内底面からの反射光が初めて光電センサ107にて捉えられるようになり、これによってロケートピン104側のワーク着座面102に対するワークW1またはW2の着座を光電センサ107にて間接的に検知することが可能となる。
【特許文献1】特開2002−225759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記光電センサ107を用いたタイプのものでは、先に例示した図7や特許文献1に記載の技術の持つ不具合は解消されるものの、超小型タイプの光電センサ107は例えば近接センサ103に比べて高価であり、特に自動車の車体組立設備では同時使用する多数のロケート装置104に個別に光電センサ107を付帯させる必要があるため、上記光電センサ107の採用による大幅なコストアップが余儀なくされることとなって好ましくない。
【0007】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、とりわけ上記光電センサタイプのワーク着座検知装置と同等の機能を有しながらもそのコストダウンを図ることが可能なワーク着座検知装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ドッグがワークに当接することによりそのドッグの動きに応じて当該ドッグに対するワークの着座を近接センサにて間接的に検知するようにしたワーク着座検知装置であって、近接センサの検知面の前方側に当該検知面に対し接近離間可能なドッグを配置するとともに、それらの検知面とドッグとの間に当該ドッグの動きに追従変位しつつ近接体として機能する検知部材を配置し、上記検知面に対して接近離間可能な検知部材の変位量をドッグの変位量よりも小さく設定してあることを特徴とする。
【0009】
この場合、請求項6に記載のように、ドッグがワークに当接することによりそのドッグの動きに応じて当該ドッグに対するワークの着座を近接センサにて間接的に検知するのに代えて、着座基準部材に着座することで位置決めされたワークにドッグが当接することより、そのドッグの動きに応じて着座基準部材に対するワークの着座・位置決め状態を近接センサにて間接的に検知するワーク着座検知装置とすることもできるほか、請求項7に記載のように、上記着座基準部材がワーク着座検知装置そのものと近接配置されているものとすることもできる。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載にワーク着座検知装置の使用を前提とした上で、ワークに形成されたロケート穴に挿入されてそのワークを位置決め支持しつつこれをクランプする機能を備えたロケート装置であって、根元側にワーク着座面を有し且つ位置決め基準部として機能するロケートピンと、このロケートピンに内蔵されて、上記ワーク着座面に対し接近離間する方向に進退駆動されることで上記ロケートピンによって位置決めされたワークをワーク着座面との間にクランプするクランプアームと、上記クランプアームを進退駆動するべく該クランプアームにピストンが連結された直動型アクチュエータと、請求項6または7に記載のワーク着座検知装置とを備えていて、上記ロケートピンがワーク着座検知装置の着座基準部材として機能するものであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の技術をワーク着座検知方法として捉えたものであって、ドッグがワークに当接することによりそのドッグの動きに応じて当該ドッグに対するワークの着座を近接センサにて間接的に検知するようにしたワーク着座検知方法として、近接センサの検知面の前方側に当該検知面に対し接近離間可能なドッグを配置するとともに、それらの検知面とドッグとの間に当該ドッグの動きに追従変位しつつ近接体として機能する検知部材を配置し、上記検知面に対して接近離間可能な検知部材の変位量がドッグの変位量よりも小さくなるように規制した状態でワークの着座を検知することを特徴とする。
【0012】
したがって、少なくとも請求項1,9に記載の発明では、ドッグにワークが着座すると、そのドッグの動きに追従変位する検知部材を近接体として近接センサがワークの着座を検知することになる。そして、上記検知面に対して接近離間可能な検知部材の変位量をドッグの変位量よりも小さく設定してあるため、例えばワーク形状の違い等に応じてワーク着座時のドッグの変位量が異なっても、近接センサはドッグの動きに追従変位する近接部材の変位をもって確実にワークの着座を検知することができ、複数種類のワークの着座検知に無理なく対応できることになる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,9に記載の発明によれば、ワークに当接した時のドッグの動きに追従変位する検知部材を近接体として近接センサにて間接的にワークの着座を検知するようにしたため、近接センサを採用しているにもかかわらずワーク形状の違いに影響されずに複数種類のワーク着座検知に対応することができ、従来の光電センサタイプのものに比べて大幅なコストダウンを図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明に係るワーク着座検知装置の併用を前提としたロケート装置の概略構造を示す図で、自動車の車体組立設備の一部として使用されるものの例を示している。
【0015】
図1の(A),(B)に示すように、ロケート装置1はロケータ支柱31にブラケット32を介して立設されており、そのロケート装置1の側部には補助ブラケット33を介してワーク着座検知装置(以下、単に「着座検知装置」という)30を付帯させてある。
【0016】
図2〜4はロケート装置1の詳細を示しており、このロケート装置1は大別して、パネル状のワークW1またはW2のロケート穴Rに挿入されてそのワークW1またはW2の位置決め基準部となる着座基準部材として機能することになる先端のロケートピン2と、そのロケートピン2が装着される偏平ブロック状のポスト3と、このポスト3と同様に偏平ブロック状をなす直動型アクチュエータとしての複動型のクランプシリンダ(エアシリンダ)4とから構成されている。なお、このタイプのクランプシリンダ(エアシリンダ)はその形状よりしてプレートシリンダと称されることもある。
【0017】
ロケートピン2は、先端がテーパ状のピン部2aの根元側に平面視にて略角筒状をなす着座ブロック2bが一体に形成されていて、その着座ブロック2bの上面がピン部2aと同心状をなす円環状のワーク着座面2cとして機能するようになっている。他方、ポスト3は、幅広の台座部3aから角筒状の軸部3bを一体に延長形成したものであり、ポスト3にはロケートピン2側の着座ブロック2bとともにその長手方向に円形のガイド穴3cを形成してある。そして、ロケートピン2側の着座ブロック2bをポスト3側の軸部3bの先端に凹凸嵌合させた上で、着座ブロック2bのワーク着座面2c側から螺合される4本のボルト5もってそのロケートピン2をポスト3の先端にこれと同心状に連結・固定してある。
【0018】
また、ポスト3は、その台座部3aをクランプシリンダ4のロッド側カバー9に着座させた上で、台座部3a側から螺合される2本のボルト6をもってクランプシリンダ4の先端にこれと同心状に連結・固定してある。
【0019】
ここで、上記クランプシリンダ4は、断面形状が長円形のシリンダ室が形成されたシリンダチューブ7の両端をヘッド側カバー8およびロッド側カバー9にて密閉するとともに、ボルト10にてピストンロッド11が連結された断面長円形のピストン12をシリンダ室内に収容配置したものであり、詳細については後述する。
【0020】
ロケートピン2のピン部2aにはその直径方向に貫通するすり割り溝13を形成してあり、そのすり割り溝13は着座ブロック2b側の内部空間と連通していて、これらのすり割り溝13のほか、着座ブロック2bの内部およびポスト3側の軸部3bの内部にまたがるようにして略鉤形状をなす二つで一組のクランプアーム14を挿入配置してある。これらの二つ一組のクランプアーム14はその略鉤形状の先端部14aの向きを互いに逆向きにして重ね合わせたものであり、それぞれにその略鉤形状の先端部14aをピン部2aにおけるすり割り溝13から外部に臨ませてある一方、他端部を連結ピン15にてクランプシリンダ4のピストンロッド11に連結してある。さらに、各クランプアーム14に形成した略くの字状の溝カム16をポスト側3の軸部3bの径方向に横架した固定ピン17にそれぞれ係合させてある。
【0021】
したがって、クランプシリンダ4を伸縮作動させればそれに応じて各クランプアーム14が図1に実線で示すクランプ位置P1と仮想線で示すアンクランプ位置P2との間でクランプ,アンクランプ動作して、特にクランプ状態では各クランプアーム14の先端部14aと着座ブロック2b側のワーク着座面2cとでワークW1またはW2を挟圧状態としてクランプするようになっている。なお、図1に仮想線P2で示すようにクランプアーム14がアンクランプ状態にある時には、各クランプアーム14の鉤形状の先端部14aがロケートピン2におけるピン部2aの直径内に全て納まるように設定されており、それによってロケートピン2とロケート穴Rとの相互係合あるいはロケートピン2からのロケート穴Rの離脱が無理なく行われることになる。
【0022】
すなわち、ロケートピン2を基準としてワークW1またはW2を位置決めクランプする際には、ロケートピン2に内蔵されているクランプアーム14を図1に仮想線P2で示すようにアンクランプ状態として上で(この時、クランプシリンダ4は図1に実線で示す状態と異なり伸長状態にある)、ロケートピン2のピン部2aをワークW1またはW2のロケート穴Rに挿入しつつ、ワークW1またはW2のうちロケート穴Rの周縁部をワーク着座面2cに着座させる。
【0023】
そして、ロケートピン2を基準にしてワークW1またはW2が着座・位置決めされたならば、クランプシリンダ4を収縮動作させる。このクランプシリンダ4の収縮動作に伴い、各クランプアーム14が図1に仮想線P2で示すアンクランプ状態から同図に実線P1で示すクランプ状態へと移行し、その過程で各クランプアーム14の鉤形状の先端部14aが徐々にすり割り溝13からロケートピン2におけるピン部2aの外側に突出するようになる。そして、最終的には各クランプアーム14の先端部14aと着座ブロック2b側のワーク着座面2cとで相手側パネルWのうちロケート穴Rの周縁部を挟圧状態として、そのワークW1またはW2が上記位置決め状態のままで堅固にクランプされることになる。
【0024】
ここで、図1および図2に示すように、クランクシリンダ4のピストン12にはマグネット(永久磁石)18を予め埋設してあるとともに、シリンダチューブ7の外側には上記マグネット18と対応する位置に磁力感応型の検出手段として例えばリードスイッチ等の有接点式または無線点式の二つのスイッチ19,20を並べて取り付けてある。なお、これらのスイッチ19,20はその検出基準部19aと20aとがピストン12の移動方向において所定量αだけオフセットするように配置してある。
【0025】
そして、マグネット18がピストン12とともに変位することによりそのピストン12の動作限位置、すなわちクランプシリンダ4が収縮状態にあるか伸長状態にあるかを、言い換えるならばクランプアーム14がクランプ状態にあるかアンクランプ状態にあるかを、それぞれのスイッチ19,20にて個別に検出するようになっている。なお、図2の符号21,22は各スイッチ19,20の信号取り出しのために付帯しているコネクタ21a,22a付きのリード線を示す。
【0026】
図5は上記着座検知装置30の詳細を示している。同図に示すように、着座検知装置30は近接センサ34を主要素として構成されているもので、後述するガイドチューブ37の基部37aとロックナット35との間に補助ブラケット33を挟み込むようにしてその補助ブラケット33に固定してある。
【0027】
近接センサ34は円筒状のヘッド部34aの先端面が検知面34bとなっているとともに、そのヘッド部34aの外周のおねじ部にはヘッド部34aを軸線方向に延長するようにして中空状のガイドチューブ37を螺合させてある。そして、ガイドチューブ37の上端には有底円筒状のドッグ38をあたかもキャップのような形態で外挿方式にてかぶせてあるとともに、そのドッグ38はガイドチューブ37に対しブッシュ39を介して摺動可能、すなわちドッグ38はガイドチューブ37に対し上下動可能であることで近接センサ34の検知面34bに対しても接近離間可能となっている。
【0028】
また、ガイドチューブ37内には段付き円板状の検知部材たる検知プレート40を上下動可能に内挿してあるとともに、その検知プレート40の上下には互いに拮抗することになる弾体として圧縮コイルスプリング41,42を個別に介装してある。より詳細には、ガイドチューブ37の基部37aと検知プレート40との間には比較的短めの圧縮コイルスプリング42を介装してあるとともに、検知プレート40とドッグ38の内底面との間には比較的長めの別の圧縮コイルスプリング41を介装してあり、双方の圧縮コイルスプリング41,42のばね力が互いに拮抗するようにして検知プレート40に作用している。そのため、ドッグ38にワークW1またはW2が当接していないいわゆる無負荷状態では図5に示す状態を自己保持している一方、ドッグ38に下向きの外力が加わると後述するようにドッグ38の動きに検知プレート40が追従変位するようになっている。なお、下側の圧縮コイルスプリング42のばね定数は上側の圧縮コイルスプリング41のばね定数よりも小さく設定してある。
【0029】
ここで、ガイドチューブ37に対するドッグ38の変位量たるストロークS1は、図6に示すようにドッグ38の内底面がガイドチューブ37の上端面に当接することで規制されるようになっている一方、上記ドッグ38の動きに追従変位する検知プレート40の変位量たるストロークS2は同図に示すように近接センサ34の検知面34bに当接することで規制されるようになっていて、検知プレート40の最大ストロークS2はドッグ38の最大ストロークS1に比べて大幅に小さくなるように設定してある。
【0030】
したがって、このような着座検知装置30を併用したロケート装置1によれば、図1に示すように例えばA車種のフラットなワークW1の位置決めクランプと傾斜部Qを有するB車種のワークW2の位置決めクランプとにロケート装置1を共通して使用するものと仮定すると、二種類のワークW1,W2共にそれらのワークW1,W2がロケート装置1側のロケートピン2のワーク着座面2cに対して着座する直前から着座検知装置1のドッグ38にワークW1またはW2が当接して所定量だけ下降するようにその高さ位置、ひいてはロケート装置1との相対位置関係が予め設定されている。
【0031】
なお、ロケート装置1側ではロケートピン2に対するワークW1またはW2の着座動作の開始に先立って、図2に示したクランプアーム14がアンクランプ状態となっている。
【0032】
そして、上記のように例えばワークW1がロケート装置1に対して着座位置決め動作を開始すると、図6の(A)に示すように当初は無負荷状態であった着座検知装置1のドッグ38に対しワークW1が当接することによって、同図(B)に示すようにドッグ38が下降するとともにそのドッグ38の動きに追従するかたちで検知プレート40もまた近接センサ34の検知面34bに近接するようにして下降する。この場合、近接センサ34で検知可能な距離まで検知プレート40が検知面34bに近づくと、すなわち検知面34bと検知プレート40とのなす距離が動作距離となると、この時点より近接センサ34が検知プレート40を近接体としてON作動してワークW1の着座を検知するようになる。
【0033】
この後、ワークW1はロケート装置1側のロケートピン2のワーク着座面2cに着座して静止するまでなおも下降することから、同図(C)に示すようにドッグ38およびそれに追従する検知プレート40もまたなおも所定量だけ下降し、同図(C)の状態をもってワーク着座面2cに対するワークW1の着座動作とともにドッグ38および検知プレート40の下降動作が完了して静止する。この状態では、検知プレート40は近接センサ34の検知面34bに当接してその位置に拘束されることから、近接センサ34は検知プレート40を近接体として従前からのON状態を維持し続ける。同時に、ドッグ38は同図(D)のようにガイドチューブ37に対していわゆる底突き状態となるまで下降可能であるにもかかわらず、なおも余剰ストロークS3を残している。
【0034】
そして、上記のようにワーク着座面2cに対するワークW1の着座を近接センサ34が検知したことを条件に、図2に示したロケート装置1のクランプシリンダ4の収縮動作に基づいてクランプアーム14がクランプ動作して、ワーク着座面2cに対してワークW1を堅固にクランプすることになる。
【0035】
ここで、上記のようにロケート装置1に対する例えばA車種のワークW1の着座位置決めが完了した段階では図6の(C)のようにドッグ38は余剰ストロークS3を残していて、なおもドッグ38はストロークS3だけ下降することが可能である。
【0036】
そして、図1に示すように、先のA車種のワークW1に代えて傾斜部Qを有するB車種のワークW2を共通のロケート装置1にて位置決めクランプする場合を想定すると、B車種のワークW2は傾斜部Qを有するが故に、着座検知装置30によるワークW2の着座検知に際してドッグ38をA車種のワークW1の場合よりも大きく押し下げることになる。つまり、B車種のワークW2の着座検知に際して必要なドッグ38のストロークはA車種のワークW1の場合よりも大きくなる。
【0037】
その一方、図6の(C)に示したように、A車種のワークW1の着座検知完了時点でドッグ38はなおも余剰ストロークS3を残していることは先に述べた通りである。したがって、A車種のワークW1の着座検知に際して必要なドッグ38のストロークと比較して、B車種のワークW2の着座検知に際して必要なドッグ38のストロークの増分が上記余剰ストロークS3の範囲内にさえあれば、図6の場合と全く同じ挙動をもって、B車種のワークW2はもちろんのこと、さらに他の車種のワークの着座検知にも容易に対応できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の具体的な実施の形態を示す図で、(A)はワーク着座検知装置を併用したロケート装置の概略説明図、(B)は同図(A)の右側面図。
【図2】図1に示したロケート装置の拡大断面説明図。
【図3】図2の左側面図。
【図4】図2の平面図。
【図5】図1に示すワーク着座検知装置の詳細を示す拡大断面図。
【図6】図5に示したワーク着座検知装置の作動を示す工程説明図。
【図7】従来のワーク着座検知装置の一例を示す要部説明図。
【図8】従来のワーク着座検知装置の別の例を示す断面説明図。
【符号の説明】
【0039】
1…ロケート装置
2…ロケートピン(着座基準部材)
2c…ワーク着座面
4…クランプシリンダ(直動型アクチュエータ)
14…クランプアーム
30…ワーク着座検知装置
34…近接センサ
34a…ヘッド部
34b…検知面
37…ガイドチューブ
38…ドッグ
40…検知プレート(検知部材)
41…圧縮コイルスプリング(弾性体)
42…圧縮コイルスプリング(弾性体)
R…ロケート穴
W1…パネル状のワーク
W2…パネル状のワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドッグがワークに当接することによりそのドッグの動きに応じて当該ドッグに対するワークの着座を近接センサにて間接的に検知するようにしたワーク着座検知装置であって、
近接センサの検知面の前方側に当該検知面に対し接近離間可能なドッグを配置するとともに、それらの検知面とドッグとの間に当該ドッグの動きに追従変位しつつ近接体として機能する検知部材を配置し、
上記検知面に対して接近離間可能な検知部材の変位量をドッグの変位量よりも小さく設定してあることを特徴とするワーク着座検知装置。
【請求項2】
上記近接センサと検知部材との間およびその検知部材とドッグとの間に互いに拮抗する弾性体をそれぞれに介装してあることを特徴とする請求項1に記載のワーク着座検知装置。
【請求項3】
上記近接センサと検知部材との間に介装された弾性体のばね定数をもう一方の弾性体のばね定数よりも小さく設定してあることを特徴とする請求項2に記載のワーク着座検知装置。
【請求項4】
上記検知部材の変位量がその検知部材と近接センサの検知面との当接によって規制されるようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワーク着座検知装置。
【請求項5】
先端に検知面を有する近接センサのヘッド部を臨ませたガイドチューブにドッグをスライド可能に挿入支持させるとともに、それらガイドチューブとドッグとで形成された空間に検知部材を弾性体とともに収容配置してあることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のワーク着座検知装置。
【請求項6】
ドッグがワークに当接することによりそのドッグの動きに応じて当該ドッグに対するワークの着座を近接センサにて間接的に検知するのに代えて、着座基準部材に着座することで位置決めされたワークにドッグが当接することより、そのドッグの動きに応じて着座基準部材に対するワークの着座・位置決め状態を近接センサにて間接的に検知するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のワーク着座検知装置。
【請求項7】
上記着座基準部材がワーク着座検知装置そのものと近接配置されていることを特徴とする請求項6に記載のワーク着座検知装置。
【請求項8】
ワークに形成されたロケート穴に挿入されてそのワークを位置決め支持しつつこれをクランプする機能を備えたロケート装置であって、
根元側にワーク着座面を有し且つ位置決め基準部として機能するロケートピンと、
このロケートピンに内蔵されて、上記ワーク着座面に対し接近離間する方向に進退駆動されることで上記ロケートピンによって位置決めされたワークをワーク着座面との間にクランプするクランプアームと、
上記クランプアームを進退駆動するべく該クランプアームにピストンが連結された直動型アクチュエータと、
請求項6または7に記載のワーク着座検知装置と、
を備えていて、
上記ロケートピンがワーク着座検知装置の着座基準部材として機能するものであることを特徴とするロケート装置。
【請求項9】
ドッグがワークに当接することによりそのドッグの動きに応じて当該ドッグに対するワークの着座を近接センサにて間接的に検知するようにしたワーク着座検知方法であって、
近接センサの検知面の前方側に当該検知面に対し接近離間可能なドッグを配置するとともに、それらの検知面とドッグとの間に当該ドッグの動きに追従変位しつつ近接体として機能する検知部材を配置し、
上記検知面に対して接近離間可能な検知部材の変位量がドッグの変位量よりも小さくなるように規制した状態でワークの着座を検知することを特徴とするワーク着座検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−62350(P2008−62350A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243665(P2006−243665)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】