三次元形状造形物の製造方法及び製造装置
【課題】三次元形状造形物の製造方法において、複数の光ビームによって効率的な造形を行う。
【解決手段】金属光造形加工機1は、金属粉末2の粉末層21が敷かれる造形用プレート3と、造形用プレート3を保持し、上下に昇降する造形用テーブル31と、粉末層21を形成する粉末層形成部4と、粉末層21に複数の光ビームを照射する照射部5と造形の進捗状況を撮影するカメラ6と、金属光造形加工機1を制御する制御部と、を備える。粉末層21の層毎の造形エリアに対し、複数の光ビームLそれぞれが造形する造形エリアを予め決めておき、照射部5に、それぞれの造形エリアに対応する走査データを同時に順次実行させ、並列動作によって三次元形状造形物を造形する。このように、複数の光ビームを並列動作によって照射するので、効率良く三次元形状造形物を造形することができる。
【解決手段】金属光造形加工機1は、金属粉末2の粉末層21が敷かれる造形用プレート3と、造形用プレート3を保持し、上下に昇降する造形用テーブル31と、粉末層21を形成する粉末層形成部4と、粉末層21に複数の光ビームを照射する照射部5と造形の進捗状況を撮影するカメラ6と、金属光造形加工機1を制御する制御部と、を備える。粉末層21の層毎の造形エリアに対し、複数の光ビームLそれぞれが造形する造形エリアを予め決めておき、照射部5に、それぞれの造形エリアに対応する走査データを同時に順次実行させ、並列動作によって三次元形状造形物を造形する。このように、複数の光ビームを並列動作によって照射するので、効率良く三次元形状造形物を造形することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機質、又は有機質の粉末材料に光ビームの照射を行なう三次元形状造形物の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無機質、又は有機質の粉末材料で形成した粉末層に光ビームを照射し、粉末層を溶融して焼結層を形成し、その焼結層の上に新たな粉末層を形成して光ビームを照射し焼結層を形成することを繰り返して、三次元形状造形物を製造する製造方法が知られている。
【0003】
また、光ビームを複数として三次元形状造形物を製造する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような製造方法においては、効率的な造形を行なうための複数の光ビームの制御方法が示されていない。
【特許文献1】特表平7−501998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解消するものであり、複数の光ビームによって効率的な造形を行うことが可能な三次元形状造形物の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、無機質又は有機質の粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層に光ビームを照射して該粉末層を溶融させ焼結硬化層を形成する照射工程とを備え、前記粉末層形成工程と照射工程とを繰り返すことにより下層の焼結硬化層と一体になった新たな焼結硬化層を積層して三次元形状造形物を造形する三次元形状造形物の製造方法において、前記光ビームを走査する複数の光ビーム走査手段を有し、前記光ビームを前記粉末層の複数の箇所に照射すると共に、一つの層の造形エリアに対し、複数の光ビームが行う造形エリアを予め決めておき、前記光ビーム走査手段に、同時に、それぞれの造形エリアに対応する異なる走査データを順次実行させ、並列動作によって三次元形状造形物を造形するものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の三次元形状造形物の製造方法において、一つの光ビームが担当する造形エリアを単位面積当たりの領域に小分割し、分割した領域毎に造形終了を検出するものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法において、一つの光ビームが担当する造形エリアの造形を終了すると、他の光ビームの造形エリアの造形を行なうものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、それぞれの光ビームが担当する各層の造形エリアの面積が等しくなるように、造形エリア全体が分割されているものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、それぞれの光ビームが担当する造形エリアが、該光ビームを走査するそれぞれの光ビーム走査手段から近くになるように造形エリア全体が分割されているものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1又は請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法において、異なる焼結密度からなる三次元形状造形物の造形において、照射する光ビームが焼結密度毎に異なるものである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、造形前及び任意の造形途中のいずれか一方又は両方において、それぞれの光ビームの照射位置の原点補正を行なうものである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、前記焼結硬化層の形成後に、それまでに積層して得られた三次元形状造形物の表面部及び不要部分のいずれか一方又は両方の切削除去を行なう切削工程を更に備え、造形前及び任意の造形途中のいずれか一方又は両方において、それぞれの光ビームの照射位置及び切削削除位置の原点補正を行なうものである。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、光ビームを分岐して複数の光ビームを形成するものである。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法において、前記光ビームの分岐はハーフミラーによって行なわれるものである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法において、光ビームの光軸上に設置され該光軸と垂直な回転軸を有し、前記回転軸によって前記光軸との角度を変化させる回転ミラーにより、光ビームを前記回転ミラーによって反射される光ビームと前記回転ミラーの端部の外側を通過する光ビームとに分けることにより前記光ビームを分岐し、前記回転ミラーによる反射光を、該反射光の照射位置に移動する移動ミラーによって受光して照射方向へ反射し、前記回転ミラーと前記光軸との角度を変えることにより、光ビームの分岐量を変えるものである。
【0017】
請求項12の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、前記光ビームは、パワーを制御されるものである。
【0018】
請求項13の発明は、請求項12に記載の三次元形状造形物の製造方法において、前記光ビームのパワー制御は、前記光ビームを該光ビームの光軸上に設けられた径の異なる穴に通過させ、該光ビームの一部を制限することにより行なうものである。
【0019】
請求項14の発明は、無機質又は有機質の粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成手段と、前記粉末層に光ビームを照射して該粉末層を溶融させ焼結硬化層を形成する照射手段と、を備え、前記粉末層の形成と前記焼結硬化層の形成とを繰り返すことにより下層の焼結硬化層と一体になった新たな焼結硬化層を積層して三次元形状造形物を造形する三次元形状造形物の製造装置において、前記照射手段は光ビームを走査する複数の光ビーム走査手段を有し、複数の光ビームを前記粉末層の複数の箇所にそれぞれ照射し、一つの層の造形エリアに対し、複数の光ビームの各々が行う造形エリアを予め決めておき、前記光ビーム走査手段に、同時に、それぞれの造形エリアに対応する異なる走査データを順次実行させて並列動作によって三次元形状造形物を造形すると共に、一つの光ビームが担当する造形エリアを単位面積当たりの領域に小分割し、分割した領域毎に造形終了を検出するものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、複数の光ビームを並列動作によって照射するので、効率良く三次元形状造形物を造形することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、造形の進捗状況が詳しく分かるので、効率良く三次元形状造形物を造形することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、それぞれの光ビームは、他の光ビームの造形エリアも造形するので効率良く造形を行なうことができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、それぞれの光ビームの造形エリア面積が等しいので、効率良く造形を行なうことができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、光ビームの照射の位置精度が良くなり、三次元形状造形物の寸法精度が良くなる。
【0025】
請求項6の発明によれば、光ビームの条件を造形中に変えないので、効率良く造形を行なうことができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、三次元形状造形物の寸法精度が良くなる。
【0027】
請求項8の発明によれば、切削工程を有する製造方法においても三次元形状造形物の寸法精度が良くなる。
【0028】
請求項9の発明によれば、製造装置の低コスト化を図ることができると共に、製造装置を小型化することができる。
【0029】
請求項10の発明によれば、容易に光ビームを分岐することができる。
【0030】
請求項11の発明によれば、光ビームの分岐量を調整し、効率良く造形を行なうことができる。
【0031】
請求項12の発明によれば、分岐した光ビーム毎にパワーを変えることができ、効率良く造形を行なうことができる。また、光ビーム毎に通過/遮断の制御を行なうことができる。
【0032】
請求項13の発明によれば、分岐した光ビーム毎のパワーを容易に制御することができ、効率良く造形を行なうことができる。
【0033】
請求項14の発明によれば、複数の光ビームを並列動作によって照射するので、効率良く三次元形状造形物を造形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法について図面を参照して説明する。図1及び図2は、同製造方法に用いられる金属光造形加工機の構成を示す。金属光造形加工機1は、金属粉末2の粉末層21が敷かれる造形用プレート3と、造形用プレート3を保持し、上下に昇降する造形用テーブル31と、粉末層21を形成する粉末層形成部4と、粉末層21に光ビームを照射する照射部5と造形の進捗状況を撮影するカメラ6と、金属光造形加工機1各部の動作を制御する制御部71と、を備える。
【0035】
粉末層形成部4は、金属粉末2を供給する供給槽41と、供給槽41の金属粉末2を上昇させる材料用テーブル42と、粉末層21を形成するスキージ43と、を有する。スキージ43は、方向Dに移動して材料用テーブル41上の金属粉末2を造形用プレート3上に供給する。照射部5は、光ビームLを発する光ビーム発振器51と、光ビームLを複数に分岐する分波器52と、光ビームLを通過/遮断するスイッチングデバイス53と、光ビームLの径を調整するスポット径変更デバイス54と、ガルバノミラーにより光ビームLを粉末層21の上に走査するスキャナ55と、光ビームLを反射して光路に進める反射ミラー59とを有する。光ビームLの分岐は3本に限られず、2本以上の複数本とすればよい。また、光ビームLを分岐する構成に代えて、複数の光ビーム発振器51を用いて、複数の光ビームを照射する構成としてもよい。金属粉末2は、例えば、平均粒径20μmの球形の鉄粉であり、光ビーム発振器51は、例えば、炭酸ガスレーザやYAGレーザの発振器である。
【0036】
次に、分波器について説明する。図3は分波器52の一構成例を示す。分波器52は、ハーフミラー52aと反射ミラー52bとを有している。分波器52は、光ビームLをハーフミラー52aにより透過光と反射光とに分け、反射光を更に反射ミラー52bによって反射することにより分岐している。光ビームLを3本以上に分岐する場合には、更にハーフミラー52aを用いて光ビームLを分岐する。このように、ハーフミラーを用いることにより、光ビームを容易に分岐することができる。
【0037】
図4(a)及び(b)は、分波器52の第1の変形例を示す。分波器52は、ポリイミド系の材料より構成され、内部にY字状に分岐した光導波路52cが形成されている。光ビームLは光導波路52cを全反射しながら進み、分岐部52dにより分岐される。分波器52をこのような構成にすることにより、光ビームを容易に分岐することができる。
【0038】
図5(a)は、分波器52の第2の変形例を示し、図5(b)は、その反射部分を拡大して示す。分波器52は、回転軸52eを有する回転ミラー52fと、回転ミラー52fによる反射光を反射する移動ミラー52gとを備えている。回転ミラー52fは、光ビームLの一部を反射するが、回転ミラー52fの端部の外側を通る光ビームLを通過させる。また、回転ミラー52fは、光ビームLの光軸との角度を変えることにより、光ビームLの反射量を変える。このとき、移動ミラー52gは矢印E方向に移動することにより、光ビームLの光軸と回転ミラー52fとの角度が変わって反射光の反射方向が変化しても、反射光を受けて照射方向へ反射する。このように、分波器52は光ビームLを分岐すると共に、回転ミラー52fと光ビームLの光軸との角度を変えることにより、光ビームLの分岐量を変えることができる。
【0039】
次に、スイッチングデバイス53について図6を参照して説明する。図6(a)及び(b)はスイッチングデバイス53の一構成例を示す。スイッチングデバイス53は、回転軸53aを有する反射ミラー53bと光ビームLを吸収するダンパー53cとを備えている。図6(a)は、スイッチングデバイス53が光ビームLを遮断している状態を示す。光ビームLを遮断するときは、反射ミラー53bを回転軸53aによって回転させ、光ビームLをダンパー53cの方へ反射させ、ダンパー53cによって吸収する。図6(b)は、光ビームLを通過させている状態を示す。光ビームLを通過させるときは、光ビームLを遮断しないように反射ミラー53bを回転させる。このような構成にすることにより、光ビームLの通過と遮断を容易に行なうことができる。
【0040】
図6(c)及び(d)は、スイッチングデバイス53の変形例を示す。このスイッチングデバイス53は、回転軸53dを有するダンパー53eを備えている。図6(c)は、スイッチングデバイス53が光ビームLを遮断している状態を示す。光ビームLを遮断するときは、ダンパー53eが光ビームLの光軸と垂直になるようにダンパー53eを回転軸53dによって回転させ、光ビームLをダンパー53dによって吸収する。図6(d)は、光ビームLを通過させている状態を示す。光ビームLを通過させるときには、ダンパー53eが光ビームLを遮断しないように、ダンパー53eを光軸と平行になるように回転させる。スイッチングデバイス53をこのような構成にすることにより、光ビームLの通過と遮断を容易に行なうことができる。
【0041】
次に、三次元形状造形物の製造方法を図7及び図8を参照して説明する。図7はそのフローを、図8は、その製造方法を実施したときの時系列状態を示す。まず、図8(a)に示すように、造形用プレート3が造形用テーブル31の上に載置される(ステップS1)。次に、制御部は造形用プレート3の上面と基準テーブル32の上面との段差が長さΔtになるように、造形用テーブル31を下降させる(ステップS2)。次に、制御部はスキージ43によって材料用テーブル42上の金属粉末2を造形用プレート3上に供給する。スキージ43は、基準テーブル32の上面と同じ高さで水平方向に移動し、造形用プレート3の上に厚みΔtの粉末層21を形成する(ステップS3)。このステップS2及びS3は粉末層形成工程を構成する。
【0042】
ステップS3の後、図8(b)に示すように、制御部は光ビームLをスキャナによって任意の位置に走査させ(ステップS4)、粉末層21を溶融し造形用プレート3と一体化した厚みΔtの焼結硬化層22を形成する(ステップS5)。このステップS4及びS5は照射工程を構成する。
【0043】
ステップS5の後、制御部は造形が終了したかを判断し(ステップS6)、終了していないときは、図8(c)、(d)に示すように、ステップS2へ戻り、ステップS3乃至S5を繰り返し実行し、焼結硬化層22を積層する。こうして、図8(e)に示すように、造形が終了するまでステップS2乃至S6を繰り返して、焼結層22を積層する。
【0044】
次に、複数の光ビームLを照射する動作について図9を参照して説明する。図9は、照射を制御するための構成を示す。光ビームLは分波器52によって3本の光ビームLA、LB、LCに分岐している。制御部71は、それぞれの光ビームLA、LB、LCの走査データを、対応するスキャナコントローラ72に送信する。スキャナコントローラ72は、走査データに基づいて、光ビームLA、LB、LCの通過/遮断をスイッチングデバイス53A、53B、53Cによって行い、走査をスキャナ55A、55B、55Cによって行う。このようにして、制御部71は光ビームLA、LB、LCの制御を行なう。
【0045】
次に、造形の感知の動作について図10を参照して説明する。図10(a)は造形エリアSを、図10(b)は造形エリアSの光ビーム毎の分担エリアを示す。造形エリアSは、2つの光ビームそれぞれが造形する分担エリアS1とS2に分割されている。図10(c)は造形の進捗を管理するために単位面積当たりの小領域S3に小分割された造形エリアを示す。制御部は、小領域S3毎にカメラによって造形が終了したかを検出する。図10(d)は、造形途中の分担エリアS1及びS2の状態を示し、終了エリアS1E及びS2Eが造形が終了した領域である。
【0046】
そして、図10(e)に示すように分担エリアS1の造形が終了した時点で分担エリアS2の造形が終了していない場合には、図10(f)に示すように分担エリアS1を造形していた光ビームは分担エリアS2の造形を行なう。このように、造形エリアを単位面積当たりの小領域S3に小分割して造形の進捗を管理するので造形の終了状況が分かり易く、一つの光ビームが予定していた分担エリアの造形を終了すると、その光ビームは他の光ビームの分担エリアの造形を行なうことができ、効率良く造形を行なうことができる。
【0047】
上記分担エリア分割方法は、各分担エリアの面積を等しくするような方法による。図11(a)は、造形する三次元形状造形物の構成を、図11(b)は三次元形状造形物の水平方向の断面位置を、図11(c)乃至(e)は、各断面において分割された2つの分担エリアS1及びS2を示す。断面Aの位置では、造形エリアを2つの分担エリアS1及びS2に分割する分割線M1は断面図中の上下の中間位置にある。断面Bの位置では、断面形状が断面Aでの形状とは異なり、断面Bでの分割線M2は分割線M1より断面図中で下の方向に移動する。そして、断面Cの位置では、分割線M3は分割線M1より断面図中で上の方向に移動する。このように、断面の位置によって分割線の位置を変えて分担エリアの面積が等しくなるようにすることにより、効率良く造形を行なうことができる。
【0048】
また、上記分担エリア分割方法は、各光ビームの分担エリアがそれぞれの光ビームを照射するスキャナ55から近くになるような方法でもよい。図12(a)は、分割された造形エリアの平面視を、図12(b)はその正面視を示す。スキャナ55Aの分担エリアS1は、スキャナ55Aの下に設定されている。同様に、分担エリアS2はスキャナ55Bの下に、分担エリアS3はスキャナ55Cの下に設定されている。分担エリアがそれぞれのスキャナ55の近くなので、光ビームLA、LB、LCの照射の位置精度がよく、造形の精度が良くなる。この分担エリアは、スキャナ55の下でなくても、近くになるように設定すればよい。
【0049】
また、上記分担エリア分割方法は、三次元形状造形物が焼結密度の異なる領域から構成されている場合、造形エリアの焼結密度毎に分割する方法でもよい。図13(a)(b)は、それぞれ分割された造形エリアの平面視及び正面視の構成を示す。三次元形状造形物は、焼結密度が異なる高密度領域S11と中密度領域S12と低密度領域S13との3領域に分かれている。そして、それぞれの領域毎に、光ビームを照射するスキャナ55が異なっており、高密度領域S11にはスキャナ55Aから高密度用の光ビームLAを照射し、同様に、中密度領域S12にはスキャナ55Bから光ビームLBを、低密度領域S13にはスキャナ55Cから光ビームLCを照射する。
【0050】
このように焼結密度を変化させるには、光ビームの出力や、走査速度や、走査ピッチを変化させることにより行うが、焼結密度毎に光ビームを設定することにより、光ビームの条件を走査中に変更しなくてよいので効率が良い。また、複数の光ビーム発振器51を用いる場合には、特定の光ビーム発振器51を高密度用に出力を高くすれば走査速度を遅くしなくてよいので効率が良い。
【0051】
次に、第1の実施形態の製造方法の変形例について図14を参照して説明する。図14は、本変形例に用いる金属光造形加工機の構成を示す。図示では、照射部についてはスキャナ55のみを示している。本変形例では、第1の製造方法に加えて、更に造形物の周囲の切削を行う。金属光造形加工機1は、第1の実施形態に係る金属光造形加工機に加えて、造形物の周囲を削るミーリングヘッド73と、ミーリングヘッド73を切削箇所に移動させるXY駆動機構74とを有している。本変形例では、粉末層形成工程と照射工程を繰り返して焼結硬化層の厚みがミーリングヘッド73の有効刃長から定めた厚み以上になると、XY駆動機構74によってミーリングヘッド73を矢印X及び矢印Y方向に移動させ、造形物の表面部及び不要部分を切削する切削工程を行う。製造される三次元形状造形物の表面粗さが細かくなり、寸法精度が向上する。
【0052】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法について図15を参照して説明する。本実施形態においては、第1の実施形態の製造方法に加えて、更に光ビームの照射位置と切削削除位置の原点補正を行う。図15(a)は、本実施形態に用いる金属光造形加工機の構成を示す。金属光造形加工機1は、ミーリングヘッド73を備え、ミーリングヘッド73の横に撮像カメラ75と照明部76を有している。原点補正は、造形前に造形用テーブル31の上にターゲット板77を設置し、ターゲット板77にミーリングヘッド73による切削や光ビームLによって印を付け、その印の位置に撮像カメラ75と照明部76をXY駆動機構74によって移動させて、その印の座標を測定することにより行う。原点補正を造形途中に行う場合には、造形を停止し、ターゲット板77を造形物の上に設置し、そのターゲット板77を用いて上述したのと同一の方法によって行う。
【0053】
原点補正の一例として、光ビームの照射位置の原点補正の方法を説明する。図15(b)は、ターゲット板77の平面視を示し、図15(c)は、ターゲット板77に印された格子パターンを拡大して示す。最初にターゲット板77を造形用テーブル31の上に設置する。ターゲット板77は、光ビームが炭酸ガスレーザの場合は、例えば感熱紙やアクリル板を用い、YAGレーザの場合は、例えば不透明アクリルの表面に白色の塗装を施した板を用いる。続いて、ターゲット板77に光ビームLによって格子パターン78を印す。
【0054】
続いて、撮像カメラ75をXY駆動機構74によって、各格子点79に移動させ、各格子点79の座標を測定し、本来のあるべき座標との誤差をX方向とY方向とについて計測する。全ての格子点79の誤差の平均ΔXとΔYとを算出し、X方向とY方向のズレを補正する。続いて、格子パターン78の4隅の点E1乃至E4の座標を測定し、点E1点E2間、点E1点E3間、点E2点E4間、点E3点E4間の距離を測定し、本来のあるべき距離との誤差を計測する。この誤差から、X方向及びY方向のゲイン(拡大率)を補正する。こうして、X、Y方向のズレとゲインの補正を繰り返すことにより、原点の補正を行う。切削削除位置の原点補正も光ビームの照射位置の原点補正と同様に行う。原点補正を行なうことにより三次元形状造形物の寸法精度が良くなる。
【0055】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法について図16を参照して説明する。本実施形態においては、第1の実施形態に更に加えて光ビームのパワーの制御を行う。
【0056】
図16(a)は、パワー可変デバイス56の構成を示す。パワー可変デバイス56は、光ビームの光軸上に設置されており、中心に軸57を有した円板状の形態であり、円板の周辺部に直径が異なる複数の穴58a乃至58cから成る穴58を備えている。パワー可変デバイス56は軸57を中心に回転して、所定の直径の穴58を光ビームLの光軸に合わせる。このとき、穴58の中心と光ビームLの光軸とが合うように穴58が開けられている。図16(b)は、光ビームLを100%透過させている状態を示す。光ビームLの光軸には、穴の直径が光ビームLの直径よりも大きい穴58aが合わせられており、光ビームLはパワーを制限されることなく、穴58aを通過している。図16(c)は、光ビームLの透過量を制限している状態を示す。光ビームLの光軸には、穴の直径が光ビームLの直径よりも小さい穴58b、又は58cが合わせられており、光ビームLは、穴の直径よりも大きい分のパワーを制限されている。
【0057】
このパワー可変デバイス56には穴58が開いていない箇所も設けられており、穴58が開いていない箇所を光ビームLの光軸に合わせることにより、光ビームLを遮断することができる。このように、パワー可変デバイス56を用いることにより、同じ光ビームから分割された光ビームでも、光ビーム毎に出力を調整し、造形物の密度を変化させることができる。また、光ビームの通過/遮断の制御を行うこともできる。
【0058】
次に、このパワー可変デバイスの変形例を説明する。図17(a)乃至(c)はパワー可変デバイスが光ビームのパワーを制限している状態を示す。パワー可変デバイス56は液晶パネルにより構成されており、液晶パネルへの電圧印加により透過度を変更することができる。この液晶パネルを光ビームの光軸上に設置し、液晶パネルの透過度を調整することにより、光ビームのパワーを調整する。図17(a)においては、光ビームLを100%透過させており、図17(b)においては、光ビームLを50%透過させており、図17(c)においては、光ビームを遮断している。液晶の透過度を細かく変えることができるので、光ビームのパワーを細かく制御することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、金属粉末の組成は、上記実施形態の構成に限られないし、また、有機質の粉末材料でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る製造方法に用いる金属光造形加工機の斜視図。
【図2】同金属光造形加工機の構成図。
【図3】同金属光造形加工機の分波器の構成図。
【図4】(a)は同金属光造形加工機の分波器の第1の変形例の斜視図、(b)は平面図。
【図5】(a)は同金属光造形加工機の分波器の第2の変形例の正面図、(b)は分波器の反射部分の拡大図。
【図6】(a)及び(b)は同金属光造形加工機のスイッチングデバイスの正面図、(c)及び(d)はスイッチングデバイスの変形例の正面図。
【図7】第1の実施形態に係る製造方法のフロー図。
【図8】同製造方法を時系列に示す図。
【図9】同製造方法における光ビームの制御方法を示す図。
【図10】同製造方法における造形の感知方法を示す図。
【図11】同製造方法における造形エリアから分割された分担エリアを示す図。
【図12】造形エリアの分割方法の第1の変形例を示す図。
【図13】造形エリアの分割方法の第2の変形例を示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る製造方法に用いる金属光造形加工機の斜視図。
【図15】(a)は同金属光造形加工機の正面図、(b)は同金属光造形加工機に用いるターゲット板の平面図、(c)はターゲット板の拡大図。
【図16】(a)は本発明の第3の実施形態に係る製造方法に用いるパワー可変デバイスの斜視図、(b)及び(c)はパワー可変デバイスが光ビームのパワーを制御している状態を示す図。
【図17】(a)乃至(c)は変形例のパワー可変デバイスが光ビームのパワーを制御している状態を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1 金属光造形加工機(三次元形状造形物の製造装置)
21 粉末層
22 焼結硬化層
4 粉末層形成部(粉末層形成手段)
5 照射部(照射手段)
52a ハーフミラー
52e 回転軸
52f 回転ミラー
52g 移動ミラー
55 スキャナ(光ビーム走査手段)
L 光ビーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機質、又は有機質の粉末材料に光ビームの照射を行なう三次元形状造形物の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無機質、又は有機質の粉末材料で形成した粉末層に光ビームを照射し、粉末層を溶融して焼結層を形成し、その焼結層の上に新たな粉末層を形成して光ビームを照射し焼結層を形成することを繰り返して、三次元形状造形物を製造する製造方法が知られている。
【0003】
また、光ビームを複数として三次元形状造形物を製造する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような製造方法においては、効率的な造形を行なうための複数の光ビームの制御方法が示されていない。
【特許文献1】特表平7−501998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解消するものであり、複数の光ビームによって効率的な造形を行うことが可能な三次元形状造形物の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、無機質又は有機質の粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層に光ビームを照射して該粉末層を溶融させ焼結硬化層を形成する照射工程とを備え、前記粉末層形成工程と照射工程とを繰り返すことにより下層の焼結硬化層と一体になった新たな焼結硬化層を積層して三次元形状造形物を造形する三次元形状造形物の製造方法において、前記光ビームを走査する複数の光ビーム走査手段を有し、前記光ビームを前記粉末層の複数の箇所に照射すると共に、一つの層の造形エリアに対し、複数の光ビームが行う造形エリアを予め決めておき、前記光ビーム走査手段に、同時に、それぞれの造形エリアに対応する異なる走査データを順次実行させ、並列動作によって三次元形状造形物を造形するものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の三次元形状造形物の製造方法において、一つの光ビームが担当する造形エリアを単位面積当たりの領域に小分割し、分割した領域毎に造形終了を検出するものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法において、一つの光ビームが担当する造形エリアの造形を終了すると、他の光ビームの造形エリアの造形を行なうものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、それぞれの光ビームが担当する各層の造形エリアの面積が等しくなるように、造形エリア全体が分割されているものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、それぞれの光ビームが担当する造形エリアが、該光ビームを走査するそれぞれの光ビーム走査手段から近くになるように造形エリア全体が分割されているものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1又は請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法において、異なる焼結密度からなる三次元形状造形物の造形において、照射する光ビームが焼結密度毎に異なるものである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、造形前及び任意の造形途中のいずれか一方又は両方において、それぞれの光ビームの照射位置の原点補正を行なうものである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、前記焼結硬化層の形成後に、それまでに積層して得られた三次元形状造形物の表面部及び不要部分のいずれか一方又は両方の切削除去を行なう切削工程を更に備え、造形前及び任意の造形途中のいずれか一方又は両方において、それぞれの光ビームの照射位置及び切削削除位置の原点補正を行なうものである。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、光ビームを分岐して複数の光ビームを形成するものである。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法において、前記光ビームの分岐はハーフミラーによって行なわれるものである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法において、光ビームの光軸上に設置され該光軸と垂直な回転軸を有し、前記回転軸によって前記光軸との角度を変化させる回転ミラーにより、光ビームを前記回転ミラーによって反射される光ビームと前記回転ミラーの端部の外側を通過する光ビームとに分けることにより前記光ビームを分岐し、前記回転ミラーによる反射光を、該反射光の照射位置に移動する移動ミラーによって受光して照射方向へ反射し、前記回転ミラーと前記光軸との角度を変えることにより、光ビームの分岐量を変えるものである。
【0017】
請求項12の発明は、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法において、前記光ビームは、パワーを制御されるものである。
【0018】
請求項13の発明は、請求項12に記載の三次元形状造形物の製造方法において、前記光ビームのパワー制御は、前記光ビームを該光ビームの光軸上に設けられた径の異なる穴に通過させ、該光ビームの一部を制限することにより行なうものである。
【0019】
請求項14の発明は、無機質又は有機質の粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成手段と、前記粉末層に光ビームを照射して該粉末層を溶融させ焼結硬化層を形成する照射手段と、を備え、前記粉末層の形成と前記焼結硬化層の形成とを繰り返すことにより下層の焼結硬化層と一体になった新たな焼結硬化層を積層して三次元形状造形物を造形する三次元形状造形物の製造装置において、前記照射手段は光ビームを走査する複数の光ビーム走査手段を有し、複数の光ビームを前記粉末層の複数の箇所にそれぞれ照射し、一つの層の造形エリアに対し、複数の光ビームの各々が行う造形エリアを予め決めておき、前記光ビーム走査手段に、同時に、それぞれの造形エリアに対応する異なる走査データを順次実行させて並列動作によって三次元形状造形物を造形すると共に、一つの光ビームが担当する造形エリアを単位面積当たりの領域に小分割し、分割した領域毎に造形終了を検出するものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、複数の光ビームを並列動作によって照射するので、効率良く三次元形状造形物を造形することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、造形の進捗状況が詳しく分かるので、効率良く三次元形状造形物を造形することができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、それぞれの光ビームは、他の光ビームの造形エリアも造形するので効率良く造形を行なうことができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、それぞれの光ビームの造形エリア面積が等しいので、効率良く造形を行なうことができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、光ビームの照射の位置精度が良くなり、三次元形状造形物の寸法精度が良くなる。
【0025】
請求項6の発明によれば、光ビームの条件を造形中に変えないので、効率良く造形を行なうことができる。
【0026】
請求項7の発明によれば、三次元形状造形物の寸法精度が良くなる。
【0027】
請求項8の発明によれば、切削工程を有する製造方法においても三次元形状造形物の寸法精度が良くなる。
【0028】
請求項9の発明によれば、製造装置の低コスト化を図ることができると共に、製造装置を小型化することができる。
【0029】
請求項10の発明によれば、容易に光ビームを分岐することができる。
【0030】
請求項11の発明によれば、光ビームの分岐量を調整し、効率良く造形を行なうことができる。
【0031】
請求項12の発明によれば、分岐した光ビーム毎にパワーを変えることができ、効率良く造形を行なうことができる。また、光ビーム毎に通過/遮断の制御を行なうことができる。
【0032】
請求項13の発明によれば、分岐した光ビーム毎のパワーを容易に制御することができ、効率良く造形を行なうことができる。
【0033】
請求項14の発明によれば、複数の光ビームを並列動作によって照射するので、効率良く三次元形状造形物を造形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法について図面を参照して説明する。図1及び図2は、同製造方法に用いられる金属光造形加工機の構成を示す。金属光造形加工機1は、金属粉末2の粉末層21が敷かれる造形用プレート3と、造形用プレート3を保持し、上下に昇降する造形用テーブル31と、粉末層21を形成する粉末層形成部4と、粉末層21に光ビームを照射する照射部5と造形の進捗状況を撮影するカメラ6と、金属光造形加工機1各部の動作を制御する制御部71と、を備える。
【0035】
粉末層形成部4は、金属粉末2を供給する供給槽41と、供給槽41の金属粉末2を上昇させる材料用テーブル42と、粉末層21を形成するスキージ43と、を有する。スキージ43は、方向Dに移動して材料用テーブル41上の金属粉末2を造形用プレート3上に供給する。照射部5は、光ビームLを発する光ビーム発振器51と、光ビームLを複数に分岐する分波器52と、光ビームLを通過/遮断するスイッチングデバイス53と、光ビームLの径を調整するスポット径変更デバイス54と、ガルバノミラーにより光ビームLを粉末層21の上に走査するスキャナ55と、光ビームLを反射して光路に進める反射ミラー59とを有する。光ビームLの分岐は3本に限られず、2本以上の複数本とすればよい。また、光ビームLを分岐する構成に代えて、複数の光ビーム発振器51を用いて、複数の光ビームを照射する構成としてもよい。金属粉末2は、例えば、平均粒径20μmの球形の鉄粉であり、光ビーム発振器51は、例えば、炭酸ガスレーザやYAGレーザの発振器である。
【0036】
次に、分波器について説明する。図3は分波器52の一構成例を示す。分波器52は、ハーフミラー52aと反射ミラー52bとを有している。分波器52は、光ビームLをハーフミラー52aにより透過光と反射光とに分け、反射光を更に反射ミラー52bによって反射することにより分岐している。光ビームLを3本以上に分岐する場合には、更にハーフミラー52aを用いて光ビームLを分岐する。このように、ハーフミラーを用いることにより、光ビームを容易に分岐することができる。
【0037】
図4(a)及び(b)は、分波器52の第1の変形例を示す。分波器52は、ポリイミド系の材料より構成され、内部にY字状に分岐した光導波路52cが形成されている。光ビームLは光導波路52cを全反射しながら進み、分岐部52dにより分岐される。分波器52をこのような構成にすることにより、光ビームを容易に分岐することができる。
【0038】
図5(a)は、分波器52の第2の変形例を示し、図5(b)は、その反射部分を拡大して示す。分波器52は、回転軸52eを有する回転ミラー52fと、回転ミラー52fによる反射光を反射する移動ミラー52gとを備えている。回転ミラー52fは、光ビームLの一部を反射するが、回転ミラー52fの端部の外側を通る光ビームLを通過させる。また、回転ミラー52fは、光ビームLの光軸との角度を変えることにより、光ビームLの反射量を変える。このとき、移動ミラー52gは矢印E方向に移動することにより、光ビームLの光軸と回転ミラー52fとの角度が変わって反射光の反射方向が変化しても、反射光を受けて照射方向へ反射する。このように、分波器52は光ビームLを分岐すると共に、回転ミラー52fと光ビームLの光軸との角度を変えることにより、光ビームLの分岐量を変えることができる。
【0039】
次に、スイッチングデバイス53について図6を参照して説明する。図6(a)及び(b)はスイッチングデバイス53の一構成例を示す。スイッチングデバイス53は、回転軸53aを有する反射ミラー53bと光ビームLを吸収するダンパー53cとを備えている。図6(a)は、スイッチングデバイス53が光ビームLを遮断している状態を示す。光ビームLを遮断するときは、反射ミラー53bを回転軸53aによって回転させ、光ビームLをダンパー53cの方へ反射させ、ダンパー53cによって吸収する。図6(b)は、光ビームLを通過させている状態を示す。光ビームLを通過させるときは、光ビームLを遮断しないように反射ミラー53bを回転させる。このような構成にすることにより、光ビームLの通過と遮断を容易に行なうことができる。
【0040】
図6(c)及び(d)は、スイッチングデバイス53の変形例を示す。このスイッチングデバイス53は、回転軸53dを有するダンパー53eを備えている。図6(c)は、スイッチングデバイス53が光ビームLを遮断している状態を示す。光ビームLを遮断するときは、ダンパー53eが光ビームLの光軸と垂直になるようにダンパー53eを回転軸53dによって回転させ、光ビームLをダンパー53dによって吸収する。図6(d)は、光ビームLを通過させている状態を示す。光ビームLを通過させるときには、ダンパー53eが光ビームLを遮断しないように、ダンパー53eを光軸と平行になるように回転させる。スイッチングデバイス53をこのような構成にすることにより、光ビームLの通過と遮断を容易に行なうことができる。
【0041】
次に、三次元形状造形物の製造方法を図7及び図8を参照して説明する。図7はそのフローを、図8は、その製造方法を実施したときの時系列状態を示す。まず、図8(a)に示すように、造形用プレート3が造形用テーブル31の上に載置される(ステップS1)。次に、制御部は造形用プレート3の上面と基準テーブル32の上面との段差が長さΔtになるように、造形用テーブル31を下降させる(ステップS2)。次に、制御部はスキージ43によって材料用テーブル42上の金属粉末2を造形用プレート3上に供給する。スキージ43は、基準テーブル32の上面と同じ高さで水平方向に移動し、造形用プレート3の上に厚みΔtの粉末層21を形成する(ステップS3)。このステップS2及びS3は粉末層形成工程を構成する。
【0042】
ステップS3の後、図8(b)に示すように、制御部は光ビームLをスキャナによって任意の位置に走査させ(ステップS4)、粉末層21を溶融し造形用プレート3と一体化した厚みΔtの焼結硬化層22を形成する(ステップS5)。このステップS4及びS5は照射工程を構成する。
【0043】
ステップS5の後、制御部は造形が終了したかを判断し(ステップS6)、終了していないときは、図8(c)、(d)に示すように、ステップS2へ戻り、ステップS3乃至S5を繰り返し実行し、焼結硬化層22を積層する。こうして、図8(e)に示すように、造形が終了するまでステップS2乃至S6を繰り返して、焼結層22を積層する。
【0044】
次に、複数の光ビームLを照射する動作について図9を参照して説明する。図9は、照射を制御するための構成を示す。光ビームLは分波器52によって3本の光ビームLA、LB、LCに分岐している。制御部71は、それぞれの光ビームLA、LB、LCの走査データを、対応するスキャナコントローラ72に送信する。スキャナコントローラ72は、走査データに基づいて、光ビームLA、LB、LCの通過/遮断をスイッチングデバイス53A、53B、53Cによって行い、走査をスキャナ55A、55B、55Cによって行う。このようにして、制御部71は光ビームLA、LB、LCの制御を行なう。
【0045】
次に、造形の感知の動作について図10を参照して説明する。図10(a)は造形エリアSを、図10(b)は造形エリアSの光ビーム毎の分担エリアを示す。造形エリアSは、2つの光ビームそれぞれが造形する分担エリアS1とS2に分割されている。図10(c)は造形の進捗を管理するために単位面積当たりの小領域S3に小分割された造形エリアを示す。制御部は、小領域S3毎にカメラによって造形が終了したかを検出する。図10(d)は、造形途中の分担エリアS1及びS2の状態を示し、終了エリアS1E及びS2Eが造形が終了した領域である。
【0046】
そして、図10(e)に示すように分担エリアS1の造形が終了した時点で分担エリアS2の造形が終了していない場合には、図10(f)に示すように分担エリアS1を造形していた光ビームは分担エリアS2の造形を行なう。このように、造形エリアを単位面積当たりの小領域S3に小分割して造形の進捗を管理するので造形の終了状況が分かり易く、一つの光ビームが予定していた分担エリアの造形を終了すると、その光ビームは他の光ビームの分担エリアの造形を行なうことができ、効率良く造形を行なうことができる。
【0047】
上記分担エリア分割方法は、各分担エリアの面積を等しくするような方法による。図11(a)は、造形する三次元形状造形物の構成を、図11(b)は三次元形状造形物の水平方向の断面位置を、図11(c)乃至(e)は、各断面において分割された2つの分担エリアS1及びS2を示す。断面Aの位置では、造形エリアを2つの分担エリアS1及びS2に分割する分割線M1は断面図中の上下の中間位置にある。断面Bの位置では、断面形状が断面Aでの形状とは異なり、断面Bでの分割線M2は分割線M1より断面図中で下の方向に移動する。そして、断面Cの位置では、分割線M3は分割線M1より断面図中で上の方向に移動する。このように、断面の位置によって分割線の位置を変えて分担エリアの面積が等しくなるようにすることにより、効率良く造形を行なうことができる。
【0048】
また、上記分担エリア分割方法は、各光ビームの分担エリアがそれぞれの光ビームを照射するスキャナ55から近くになるような方法でもよい。図12(a)は、分割された造形エリアの平面視を、図12(b)はその正面視を示す。スキャナ55Aの分担エリアS1は、スキャナ55Aの下に設定されている。同様に、分担エリアS2はスキャナ55Bの下に、分担エリアS3はスキャナ55Cの下に設定されている。分担エリアがそれぞれのスキャナ55の近くなので、光ビームLA、LB、LCの照射の位置精度がよく、造形の精度が良くなる。この分担エリアは、スキャナ55の下でなくても、近くになるように設定すればよい。
【0049】
また、上記分担エリア分割方法は、三次元形状造形物が焼結密度の異なる領域から構成されている場合、造形エリアの焼結密度毎に分割する方法でもよい。図13(a)(b)は、それぞれ分割された造形エリアの平面視及び正面視の構成を示す。三次元形状造形物は、焼結密度が異なる高密度領域S11と中密度領域S12と低密度領域S13との3領域に分かれている。そして、それぞれの領域毎に、光ビームを照射するスキャナ55が異なっており、高密度領域S11にはスキャナ55Aから高密度用の光ビームLAを照射し、同様に、中密度領域S12にはスキャナ55Bから光ビームLBを、低密度領域S13にはスキャナ55Cから光ビームLCを照射する。
【0050】
このように焼結密度を変化させるには、光ビームの出力や、走査速度や、走査ピッチを変化させることにより行うが、焼結密度毎に光ビームを設定することにより、光ビームの条件を走査中に変更しなくてよいので効率が良い。また、複数の光ビーム発振器51を用いる場合には、特定の光ビーム発振器51を高密度用に出力を高くすれば走査速度を遅くしなくてよいので効率が良い。
【0051】
次に、第1の実施形態の製造方法の変形例について図14を参照して説明する。図14は、本変形例に用いる金属光造形加工機の構成を示す。図示では、照射部についてはスキャナ55のみを示している。本変形例では、第1の製造方法に加えて、更に造形物の周囲の切削を行う。金属光造形加工機1は、第1の実施形態に係る金属光造形加工機に加えて、造形物の周囲を削るミーリングヘッド73と、ミーリングヘッド73を切削箇所に移動させるXY駆動機構74とを有している。本変形例では、粉末層形成工程と照射工程を繰り返して焼結硬化層の厚みがミーリングヘッド73の有効刃長から定めた厚み以上になると、XY駆動機構74によってミーリングヘッド73を矢印X及び矢印Y方向に移動させ、造形物の表面部及び不要部分を切削する切削工程を行う。製造される三次元形状造形物の表面粗さが細かくなり、寸法精度が向上する。
【0052】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法について図15を参照して説明する。本実施形態においては、第1の実施形態の製造方法に加えて、更に光ビームの照射位置と切削削除位置の原点補正を行う。図15(a)は、本実施形態に用いる金属光造形加工機の構成を示す。金属光造形加工機1は、ミーリングヘッド73を備え、ミーリングヘッド73の横に撮像カメラ75と照明部76を有している。原点補正は、造形前に造形用テーブル31の上にターゲット板77を設置し、ターゲット板77にミーリングヘッド73による切削や光ビームLによって印を付け、その印の位置に撮像カメラ75と照明部76をXY駆動機構74によって移動させて、その印の座標を測定することにより行う。原点補正を造形途中に行う場合には、造形を停止し、ターゲット板77を造形物の上に設置し、そのターゲット板77を用いて上述したのと同一の方法によって行う。
【0053】
原点補正の一例として、光ビームの照射位置の原点補正の方法を説明する。図15(b)は、ターゲット板77の平面視を示し、図15(c)は、ターゲット板77に印された格子パターンを拡大して示す。最初にターゲット板77を造形用テーブル31の上に設置する。ターゲット板77は、光ビームが炭酸ガスレーザの場合は、例えば感熱紙やアクリル板を用い、YAGレーザの場合は、例えば不透明アクリルの表面に白色の塗装を施した板を用いる。続いて、ターゲット板77に光ビームLによって格子パターン78を印す。
【0054】
続いて、撮像カメラ75をXY駆動機構74によって、各格子点79に移動させ、各格子点79の座標を測定し、本来のあるべき座標との誤差をX方向とY方向とについて計測する。全ての格子点79の誤差の平均ΔXとΔYとを算出し、X方向とY方向のズレを補正する。続いて、格子パターン78の4隅の点E1乃至E4の座標を測定し、点E1点E2間、点E1点E3間、点E2点E4間、点E3点E4間の距離を測定し、本来のあるべき距離との誤差を計測する。この誤差から、X方向及びY方向のゲイン(拡大率)を補正する。こうして、X、Y方向のズレとゲインの補正を繰り返すことにより、原点の補正を行う。切削削除位置の原点補正も光ビームの照射位置の原点補正と同様に行う。原点補正を行なうことにより三次元形状造形物の寸法精度が良くなる。
【0055】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る三次元形状造形物の製造方法について図16を参照して説明する。本実施形態においては、第1の実施形態に更に加えて光ビームのパワーの制御を行う。
【0056】
図16(a)は、パワー可変デバイス56の構成を示す。パワー可変デバイス56は、光ビームの光軸上に設置されており、中心に軸57を有した円板状の形態であり、円板の周辺部に直径が異なる複数の穴58a乃至58cから成る穴58を備えている。パワー可変デバイス56は軸57を中心に回転して、所定の直径の穴58を光ビームLの光軸に合わせる。このとき、穴58の中心と光ビームLの光軸とが合うように穴58が開けられている。図16(b)は、光ビームLを100%透過させている状態を示す。光ビームLの光軸には、穴の直径が光ビームLの直径よりも大きい穴58aが合わせられており、光ビームLはパワーを制限されることなく、穴58aを通過している。図16(c)は、光ビームLの透過量を制限している状態を示す。光ビームLの光軸には、穴の直径が光ビームLの直径よりも小さい穴58b、又は58cが合わせられており、光ビームLは、穴の直径よりも大きい分のパワーを制限されている。
【0057】
このパワー可変デバイス56には穴58が開いていない箇所も設けられており、穴58が開いていない箇所を光ビームLの光軸に合わせることにより、光ビームLを遮断することができる。このように、パワー可変デバイス56を用いることにより、同じ光ビームから分割された光ビームでも、光ビーム毎に出力を調整し、造形物の密度を変化させることができる。また、光ビームの通過/遮断の制御を行うこともできる。
【0058】
次に、このパワー可変デバイスの変形例を説明する。図17(a)乃至(c)はパワー可変デバイスが光ビームのパワーを制限している状態を示す。パワー可変デバイス56は液晶パネルにより構成されており、液晶パネルへの電圧印加により透過度を変更することができる。この液晶パネルを光ビームの光軸上に設置し、液晶パネルの透過度を調整することにより、光ビームのパワーを調整する。図17(a)においては、光ビームLを100%透過させており、図17(b)においては、光ビームLを50%透過させており、図17(c)においては、光ビームを遮断している。液晶の透過度を細かく変えることができるので、光ビームのパワーを細かく制御することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、金属粉末の組成は、上記実施形態の構成に限られないし、また、有機質の粉末材料でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る製造方法に用いる金属光造形加工機の斜視図。
【図2】同金属光造形加工機の構成図。
【図3】同金属光造形加工機の分波器の構成図。
【図4】(a)は同金属光造形加工機の分波器の第1の変形例の斜視図、(b)は平面図。
【図5】(a)は同金属光造形加工機の分波器の第2の変形例の正面図、(b)は分波器の反射部分の拡大図。
【図6】(a)及び(b)は同金属光造形加工機のスイッチングデバイスの正面図、(c)及び(d)はスイッチングデバイスの変形例の正面図。
【図7】第1の実施形態に係る製造方法のフロー図。
【図8】同製造方法を時系列に示す図。
【図9】同製造方法における光ビームの制御方法を示す図。
【図10】同製造方法における造形の感知方法を示す図。
【図11】同製造方法における造形エリアから分割された分担エリアを示す図。
【図12】造形エリアの分割方法の第1の変形例を示す図。
【図13】造形エリアの分割方法の第2の変形例を示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る製造方法に用いる金属光造形加工機の斜視図。
【図15】(a)は同金属光造形加工機の正面図、(b)は同金属光造形加工機に用いるターゲット板の平面図、(c)はターゲット板の拡大図。
【図16】(a)は本発明の第3の実施形態に係る製造方法に用いるパワー可変デバイスの斜視図、(b)及び(c)はパワー可変デバイスが光ビームのパワーを制御している状態を示す図。
【図17】(a)乃至(c)は変形例のパワー可変デバイスが光ビームのパワーを制御している状態を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1 金属光造形加工機(三次元形状造形物の製造装置)
21 粉末層
22 焼結硬化層
4 粉末層形成部(粉末層形成手段)
5 照射部(照射手段)
52a ハーフミラー
52e 回転軸
52f 回転ミラー
52g 移動ミラー
55 スキャナ(光ビーム走査手段)
L 光ビーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機質又は有機質の粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層に光ビームを照射して該粉末層を溶融させ焼結硬化層を形成する照射工程とを備え、前記粉末層形成工程と照射工程とを繰り返すことにより下層の焼結硬化層と一体になった新たな焼結硬化層を積層して三次元形状造形物を造形する三次元形状造形物の製造方法において、
前記光ビームを走査する複数の光ビーム走査手段を有し、
前記光ビームを前記粉末層の複数の箇所に照射すると共に、一つの層の造形エリアに対し、複数の光ビームが行う造形エリアを予め決めておき、
前記光ビーム走査手段に、同時に、それぞれの造形エリアに対応する異なる走査データを順次実行させ、並列動作によって三次元形状造形物を造形することを特徴とする三次元形状造形物の製造方法。
【請求項2】
一つの光ビームが担当する造形エリアを単位面積当たりの領域に小分割し、分割した領域毎に造形終了を検出することを特徴とする請求項1に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項3】
一つの光ビームが担当する造形エリアの造形を終了すると、他の光ビームの造形エリアの造形を行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項4】
それぞれの光ビームが担当する各層の造形エリアの面積が等しくなるように、造形エリア全体が分割されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項5】
それぞれの光ビームが担当する造形エリアが、該光ビームを走査するそれぞれの光ビーム走査手段から近くになるように造形エリア全体が分割されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項6】
異なる焼結密度からなる三次元形状造形物の造形において、照射する光ビームが焼結密度毎に異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項7】
造形前及び任意の造形途中のいずれか一方又は両方において、それぞれの光ビームの照射位置の原点補正を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項8】
前記焼結硬化層の形成後に、それまでに積層して得られた三次元形状造形物の表面部及び不要部分のいずれか一方又は両方の切削除去を行なう切削工程を更に備え、造形前及び任意の造形途中のいずれか一方又は両方において、それぞれの光ビームの照射位置及び切削削除位置の原点補正を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項9】
光ビームを分岐して複数の光ビームを形成することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項10】
前記光ビームの分岐はハーフミラーによって行なわれることを特徴とする請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項11】
光ビームの光軸上に設置され該光軸と垂直な回転軸を有し、前記回転軸によって前記光軸との角度を変化させる回転ミラーにより、光ビームを前記回転ミラーによって反射される光ビームと前記回転ミラーの端部の外側を通過する光ビームとに分けることにより前記光ビームを分岐し、前記回転ミラーによる反射光を、該反射光の照射位置に移動する移動ミラーによって受光して照射方向へ反射し、前記回転ミラーと前記光軸との角度を変えることにより、光ビームの分岐量を変えることを特徴とする請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項12】
前記光ビームは、パワーを制御されることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項13】
前記光ビームのパワー制御は、前記光ビームを該光ビームの光軸上に設けられた径の異なる穴に通過させ、該光ビームの一部を制限することにより行なうことを特徴とする請求項12に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項14】
無機質又は有機質の粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成手段と、前記粉末層に光ビームを照射して該粉末層を溶融させ焼結硬化層を形成する照射手段と、を備え、前記粉末層の形成と前記焼結硬化層の形成とを繰り返すことにより下層の焼結硬化層と一体になった新たな焼結硬化層を積層して三次元形状造形物を造形する三次元形状造形物の製造装置において、
前記照射手段は光ビームを走査する複数の光ビーム走査手段を有し、複数の光ビームを前記粉末層の複数の箇所にそれぞれ照射し、一つの層の造形エリアに対し、複数の光ビームの各々が行う造形エリアを予め決めておき、
前記光ビーム走査手段に、同時に、それぞれの造形エリアに対応する異なる走査データを順次実行させて並列動作によって三次元形状造形物を造形すると共に、
一つの光ビームが担当する造形エリアを単位面積当たりの領域に小分割し、分割した領域毎に造形終了を検出することを特徴とする三次元形状造形物の製造装置。
【請求項1】
無機質又は有機質の粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層に光ビームを照射して該粉末層を溶融させ焼結硬化層を形成する照射工程とを備え、前記粉末層形成工程と照射工程とを繰り返すことにより下層の焼結硬化層と一体になった新たな焼結硬化層を積層して三次元形状造形物を造形する三次元形状造形物の製造方法において、
前記光ビームを走査する複数の光ビーム走査手段を有し、
前記光ビームを前記粉末層の複数の箇所に照射すると共に、一つの層の造形エリアに対し、複数の光ビームが行う造形エリアを予め決めておき、
前記光ビーム走査手段に、同時に、それぞれの造形エリアに対応する異なる走査データを順次実行させ、並列動作によって三次元形状造形物を造形することを特徴とする三次元形状造形物の製造方法。
【請求項2】
一つの光ビームが担当する造形エリアを単位面積当たりの領域に小分割し、分割した領域毎に造形終了を検出することを特徴とする請求項1に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項3】
一つの光ビームが担当する造形エリアの造形を終了すると、他の光ビームの造形エリアの造形を行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項4】
それぞれの光ビームが担当する各層の造形エリアの面積が等しくなるように、造形エリア全体が分割されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項5】
それぞれの光ビームが担当する造形エリアが、該光ビームを走査するそれぞれの光ビーム走査手段から近くになるように造形エリア全体が分割されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項6】
異なる焼結密度からなる三次元形状造形物の造形において、照射する光ビームが焼結密度毎に異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項7】
造形前及び任意の造形途中のいずれか一方又は両方において、それぞれの光ビームの照射位置の原点補正を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項8】
前記焼結硬化層の形成後に、それまでに積層して得られた三次元形状造形物の表面部及び不要部分のいずれか一方又は両方の切削除去を行なう切削工程を更に備え、造形前及び任意の造形途中のいずれか一方又は両方において、それぞれの光ビームの照射位置及び切削削除位置の原点補正を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項9】
光ビームを分岐して複数の光ビームを形成することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項10】
前記光ビームの分岐はハーフミラーによって行なわれることを特徴とする請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項11】
光ビームの光軸上に設置され該光軸と垂直な回転軸を有し、前記回転軸によって前記光軸との角度を変化させる回転ミラーにより、光ビームを前記回転ミラーによって反射される光ビームと前記回転ミラーの端部の外側を通過する光ビームとに分けることにより前記光ビームを分岐し、前記回転ミラーによる反射光を、該反射光の照射位置に移動する移動ミラーによって受光して照射方向へ反射し、前記回転ミラーと前記光軸との角度を変えることにより、光ビームの分岐量を変えることを特徴とする請求項9に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項12】
前記光ビームは、パワーを制御されることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項13】
前記光ビームのパワー制御は、前記光ビームを該光ビームの光軸上に設けられた径の異なる穴に通過させ、該光ビームの一部を制限することにより行なうことを特徴とする請求項12に記載の三次元形状造形物の製造方法。
【請求項14】
無機質又は有機質の粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成手段と、前記粉末層に光ビームを照射して該粉末層を溶融させ焼結硬化層を形成する照射手段と、を備え、前記粉末層の形成と前記焼結硬化層の形成とを繰り返すことにより下層の焼結硬化層と一体になった新たな焼結硬化層を積層して三次元形状造形物を造形する三次元形状造形物の製造装置において、
前記照射手段は光ビームを走査する複数の光ビーム走査手段を有し、複数の光ビームを前記粉末層の複数の箇所にそれぞれ照射し、一つの層の造形エリアに対し、複数の光ビームの各々が行う造形エリアを予め決めておき、
前記光ビーム走査手段に、同時に、それぞれの造形エリアに対応する異なる走査データを順次実行させて並列動作によって三次元形状造形物を造形すると共に、
一つの光ビームが担当する造形エリアを単位面積当たりの領域に小分割し、分割した領域毎に造形終了を検出することを特徴とする三次元形状造形物の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−6509(P2009−6509A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167826(P2007−167826)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]