説明

不審訪問者応対システム

【課題】 住人にとって不要な訪問者の応対を警備会社等に委託し、不審な訪問者の応対をしなくてもよいようにした不審訪問者応対システムを得る。
【解決手段】 集合住宅の各住戸の玄関外側に設置された住戸玄関機1と、各住戸玄関機と接続され、各住戸内に設置された住戸機6とから構成され、住戸玄関機は、訪問者を撮像するカメラ2と、スピ−カ4及びマイク5とを備え、住戸機は、住戸玄関機に接続されるインターホン回路8と、スピーカ9及びマイク10と、撮像した訪問者の画像を映し出すモニタ11と、撮像した訪問者の画像や録音した音声を保存するとともに過去に蓄積した不審者の画像を登録する画像・音声データベース12と、訪問者の画像や音声を再生する画像・音声再生手段13と、訪問者との応対を警備会社16に委託する場合に転送して、警備会社に通報・接続する警備会社通報手段14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばマンション等の集合住宅に適用されるセキュリティー機能として有効な不審訪問者応対システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マンション等の集合住宅においては、共通玄関の入り口をオートロックにし、マンション住人以外の者の入館制限を行っている所が増えている。しかしながら、不審訪問者は、マンション住人と一緒であるように装って入館する、所謂共連れを利用して容易にマンション内に侵入してしまうことがある。したがって、マンション内に侵入してしまった不審訪問者の応対は、各住戸にあるインターホンによりマンションの各住人が個別に行わなければならなかった。
【0003】
また、従来、赤外線センサとドアホンを用いて玄関先等の来客や不審者の存在を検知し、不審者に対しては警報を発するセキュリティシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−34856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のマンション等の集合住宅では、共連れを利用してマンション内に侵入した不審訪問者に対しては、会話をしないと誰がどのような用件で訪問してきたのか不明であるので、インターホンを通じて応対しなければならず、非常に面倒であった。また、不審訪問者によっては、居留守を留守であると勘違いして住戸内に侵入しようとする恐れがある。
【0006】
また、上記特許文献1記載のものは、不審者に対して警報を発するだけであり、この発明とは目的が異なる。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、マンションの住人にとって不要な訪問者の応対を警備会社等に委託し、不審な訪問者の応対をしなくてもよいようにした不審訪問者応対システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る不審訪問者応対システムにおいては、マンション等の集合住宅の各住戸の玄関外側にそれぞれ設置された住戸玄関機と、各住戸玄関機と接続され、各住戸内にそれぞれ設置された住戸機とから構成され、住戸玄関機は、訪問者を撮像するためのカメラと、スピ−カ及びマイクとを備え、住戸機は、住戸玄関機に接続されるインターホン回路と、スピーカ及びマイクと、カメラにより撮像した訪問者の画像を映し出すモニタと、撮像した訪問者の画像や録音した音声を保存するとともに過去に蓄積した不審者の画像を登録する画像・音声データベースと、保存した訪問者の画像や音声を再生する画像・音声再生手段と、訪問者との応対を警備会社に委託する場合に転送して、警備会社に通報・接続する警備会社通報手段とを備えたものである。
【0009】
また、上記手段に加えて、訪問者が不審者や押し売りであった場合に、訪問者の記録画像と録音した音声を各住戸に配信する各住戸配信手段とを備えたものである。
【0010】
また、警備会社通報手段は、住人が留守の場合は予め登録しておくことにより自動的に留守応対モードとなり、また住人が訪問理由を聞いて応対したくないと判断した場合は個別に操作することにより応対委託モードとなり、さらに訪問者の画像が過去に蓄積した不審者の画像と一致した場合は自動的に自動応対委託モードとなるものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、マンション等の集合住宅の各住戸の玄関外側にそれぞれ設置された住戸玄関機と、各住戸玄関機と接続され、各住戸内にそれぞれ設置された住戸機とから構成され、住戸玄関機は、訪問者を撮像するためのカメラと、スピ−カ及びマイクとを備え、住戸機は、住戸玄関機に接続されるインターホン回路と、スピーカ及びマイクと、カメラにより撮像した訪問者の画像を映し出すモニタと、撮像した訪問者の画像や録音した音声を保存するとともに過去に蓄積した不審者の画像を登録する画像・音声データベースと、保存した訪問者の画像や音声を再生する画像・音声再生手段と、訪問者との応対を警備会社に委託する場合に転送して、警備会社に通報・接続する警備会社通報手段とを備えたので、マンションの住人にとって不要な訪問者の応対を警備会社等に委託し、不審な訪問者の応対をしなくても済み、住人の心理的負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における不審訪問者応対システムの概略構成を示すブロック図、図2はこの発明の実施の形態1における不審訪問者応対システムの動作フローを示すフローチャート、図3は不審訪問者情報を各住戸に配信する動作フローを示すフローチャートである。
【0013】
図1において、1は例えばマンション等の集合住宅の各住戸の玄関外側に少なくとも1個設置される住戸玄関機である。この住戸玄関機1は、訪問者を撮像するためのカメラ2と、訪問者が来訪時に操作する押しボタン3と、スピーカ4と、マイク5とを備えている。6は各住戸内に少なくとも1個設置される住戸機である。この住戸機6は、カメラ2による撮像を実行する撮像手段7と、住戸玄関機1に接続されるインターホン回路8と、スピーカ9と、マイク10と、撮像した訪問者の映像を映し出すモニタ11と、撮像した訪問者の画像や録音した訪問理由等の音声を保存したり、過去に蓄積した不審者の画像を保存する画像・音声データベース12と、保存した訪問者の画像や訪問理由等の音声を再生する画像・音声再生手段13と、訪問者との応対を警備会社に委託する場合に転送して、警備会社に通報・接続する警備会社通報手段14と、訪問者が不審者や押し売りであった場合に、訪問者の記録画像と録音した訪問理由をマンションの全住戸に配信する各住戸配信手段15とを備えている。
なお、図1では、一つの住戸玄関機1と、一つの住戸機6しか図示されていないが、マンション等の集合住宅の各住戸には、それぞれ住戸玄関機1及び住戸機6が設置されており、各住戸の住戸機6はLAN等により互いにネットワーク接続されているものである。
16はインターネット或いは公衆電話回線網を介して各住戸機6に接続されている警備会社である。この警備会社16への接続には、次の3つの応対モードがある。すなわち、各住戸の住人が留守の場合は予め警備会社通報手段14等に登録しておくことにより留守応対モードとなり、自動的に警備会社16に通報・接続される。また住人が訪問理由を聞いた結果、住人が応対したくないと判断した場合は警備会社通報手段14を個別に手動操作することにより応対委託モードとなり、警備会社16に通報・接続される。また撮像した訪問者の画像が予め画像・音声データベース12に登録されている不審者の画像と一致した場合は警備会社通報手段14により自動応対委託モードとなり、自動的に警備会社16に通報・接続される。そして、通報・接続した後は、住人には関係なく警備会社16が直接訪問者に応対するものである。したがって、住人にとって非常に面倒な不審な訪問者に対する応対が不要となるので、住人の心理的負担を大幅に低減することができる。
【0014】
次に、不審訪問者応対システムの動作フローを図2により説明する。
マンション等の集合住宅の共通玄関のオートロック機構を共連れを利用して掻い潜り、マンション内に侵入した不審訪問者が、各住戸の玄関外側に設置された住戸玄関機1の前に来て押しボタン3を押すと、撮像手段7がカメラ2による撮像を開始するとともに、音声録音を開始する(ステップS1)。ステップS2では、住戸玄関機1のスピーカ4から訪問者に対し訪問理由を聞くメッセージが流れ、次のステップS3で訪問者が住戸玄関機1のマイク5に向かって訪問理由を述べる。ステップS4では、カメラ2で撮像した訪問者画像と画像・音声データベース12に登録してある不審者画像と一致するか判断する。ステップS4で不審者画像と一致した場合は、自動応対モードとなり、ステップS5に進み、自動的に警備会社16に通報・接続され、ステップS6で警備会社16が訪問者の応対を行う。
また、ステップS4で不審者画像と一致しない場合は、ステップS7で住人が留守かどうかを判断し、留守の場合は、留守応対モードとなり、ステップS8に進み、自動的に警備会社16に通報・接続され、ステップS9で警備会社16が訪問者の応対を行う。
また、ステップS7で住人が留守でない場合は、ステップS10で住人が訪問理由を聞き、ステップS11で住人が応対したくないと判断した場合は、住人が個別に手動操作することにより応対委託モードとなり、ステップS12に進み、訪問者画像を住戸機6の画像・音声データベース12に画像登録する。そしてステップS13に進み、警備会社16に通報・接続され、ステップS14で警備会社16が訪問者の応対を行う。
また、ステップS15で住人が応対した結果、その訪問者が不審者であったり、押し売りであったりした場合は、ステップS16で訪問者の画像、訪問理由を各住戸配信手段15により各住戸の住戸機1に配信する必要があるか否かを判断し、必要な場合は、ステップS17で配信を実行する。
【0015】
次に、不審訪問者情報を各戸に配信する動作フローを図3により説明する。
まず、ステップS21では、住戸機6が不審訪問者の画像、訪問理由を各住戸配信手段15に通知する。ステップS22では、各住戸配信手段15が自住戸機6以外の各住戸機6に対して不審訪問者の画像、訪問理由を配信する。ステップS23では、各住戸において、各住戸機6が受信データを確認し、ステップS24では、各住戸において、自住戸機6の画像・音声データベース12に不審訪問者の画像、訪問理由を登録するか否かを判断し、登録する場合はステップS25で登録する。
【0016】
以上のように、この発明の不審訪問者応対システムによれば、訪問者の訪問理由をインターホンにより一時録音することができるので、住人は訪問理由を聞いた後、応対の方法を判断することができる。また、不審訪問者の画像と音声をマンションの全戸に配信することができるので、マンション全体で不審者に対する警戒態勢を構築することができる。。また、住人が留守だった場合或いは訪問理由が住人にとって不要な場合は、応対を警備会社に委託できるので、住人を安心させることができる。また、訪問者画像と登録された不審者画像との画像判別により、一致した場合は自動的に応対を警備会社に委託できるので、住人の心理的負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態1における不審訪問者応対システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1における不審訪問者応対システムの動作フローを示すフローチャートである。
【図3】不審訪問者情報を各住戸に配信する動作フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0018】
1 住戸玄関機
2 カメラ
3 押しボタン
4、9 スピーカ
5、10 マイク
6 住戸機
7 撮像手段
8 インターホン回路
11 モニタ
12 画像・音声データベース
13 画像・音声再生手段
14 警備会社通報手段
15 各住戸配信手段
16 警備会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンション等の集合住宅の各住戸の玄関外側にそれぞれ設置された住戸玄関機と、前記各住戸玄関機と接続され、各住戸内にそれぞれ設置された住戸機とから構成され、
前記住戸玄関機は、訪問者を撮像するためのカメラと、スピ−カ及びマイクとを備え、
前記住戸機は、住戸玄関機に接続されるインターホン回路と、スピーカ及びマイクと、前記カメラにより撮像した訪問者の画像を映し出すモニタと、撮像した訪問者の画像や録音した音声を保存するとともに過去に蓄積した不審者の画像を登録する画像・音声データベースと、保存した訪問者の画像や音声を再生する画像・音声再生手段と、訪問者との応対を警備会社に委託する場合に転送して、警備会社に通報・接続する警備会社通報手段とを備えたことを特徴とする不審訪問者応対システム。
【請求項2】
マンション等の集合住宅の各住戸の玄関外側にそれぞれ設置された住戸玄関機と、前記各住戸玄関機と接続され、各住戸内にそれぞれ設置された住戸機とから構成され、
前記住戸玄関機は、訪問者を撮像するためのカメラと、スピ−カ及びマイクとを備え、
前記住戸機は、住戸玄関機に接続されるインターホン回路と、スピーカ及びマイクと、前記カメラにより撮像した訪問者の画像を映し出すモニタと、撮像した訪問者の画像や録音した音声を保存するとともに過去に蓄積した不審者の画像を登録する画像・音声データベースと、保存した訪問者の画像や音声を再生する画像・音声再生手段と、訪問者との応対を警備会社に委託する場合に転送して、警備会社に通報・接続する警備会社通報手段と、訪問者が不審者や押し売りであった場合に、訪問者の記録画像と録音した音声を各住戸に配信する各住戸配信手段とを備えたことを特徴とする不審訪問者応対システム。
【請求項3】
警備会社通報手段は、住人が留守の場合は予め登録しておくことにより自動的に留守応対モードとなり、また住人が訪問理由を聞いて応対したくないと判断した場合は個別に操作することにより応対委託モードとなり、さらに訪問者の画像が過去に蓄積した不審者の画像と一致した場合は自動的に自動応対委託モードとなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の不審訪問者応対システム。
【請求項4】
マンション等の集合住宅の共通玄関の入り口をオートロックにして住人以外の者の入館を制限している場合に用いられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の不審訪問者応対システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−155273(P2006−155273A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345544(P2004−345544)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】