二輪車検出装置及びプログラム
【課題】高精度かつ短時間で二輪車を検出する。
【解決手段】二輪車検出装置は、ステレオカメラ10で検出された物体が二輪車であるかを判定する判定部31と、二輪車と判定された物体の位置等の情報を保持する物体位置保持部32と、道路勾配に応じて照合範囲を決定する照合範囲決定部33と、照合範囲決定部33で決定された照合範囲内で物体の照合を行う照合部34と、を備えている。
【解決手段】二輪車検出装置は、ステレオカメラ10で検出された物体が二輪車であるかを判定する判定部31と、二輪車と判定された物体の位置等の情報を保持する物体位置保持部32と、道路勾配に応じて照合範囲を決定する照合範囲決定部33と、照合範囲決定部33で決定された照合範囲内で物体の照合を行う照合部34と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車検出装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体を検出し、その物体の位置を追跡する技術が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1には、物体をロストしても継続的にその物体までの距離情報を算出する物体検出装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の物体検出装置は、同文献の図2に示すように、一対の画像を取得するステレオカメラ2a、2bと、一対の画像同士で輝度値が互いに対応する領域を探索して一対の画像に写しだされる物体の距離情報を演算する第1測距部6と、一対の画像のそれぞれにおける所定の画素について隣接する画素との輝度差を算出し、該輝度差が一対の画像同士で対応する領域を探索して物体の距離情報を演算する第2測距部7と、第1測距部6による物体をロストした際、第2測距部7によって演算される距離情報を選択する測距選択部9と、を備えている。
【0004】
物体のロスト判定処理では、同文献の図11に示すように、今回検出した物体の位置Xobj[k]が前回の先行車位置Xtargetに対して横方向で設定値ΔXの範囲内にあり、且つ距離方向で設定値ΔZの範囲内にある条件が成立するか否かが調べられる(ステップS23)。そして、検出されたすべての物体について上述の条件が成立しない場合は、フラグ=1の条件を満たさず(ステップS27の否定判定)、先行車である物体が消滅(ロスト)したと判定される(ステップS29)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−151659号公報(図2、図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の物体検出装置は、予め固定された設定値ΔX,ΔZの範囲内で物体の照合処理(ロスト判定処理)を行う。これらの設定値ΔX,ΔZは想定される物体の最低速度、最高速度及び最大横方向移動量に基づいて設定されているため、照合範囲が広くなっている。
【0007】
このため、特許文献1の物体検出装置は、広い範囲内で物体の照合処理を行うので、検出対象外の物体が照合範囲内に存在する場合、その物体を誤って検出対象の物体として検出するという問題(誤対応)が生じる。また、上記物体検出装置は、広い範囲内で照合処理を行うので、照合時間が長くなり、短時間で物体を検出できない問題もある。また、四輪車よりも二輪車の方が小さく認識しにくいため、二輪車を検出することが求められている。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、高精度かつ短時間で二輪車を検出できる二輪車検出装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る二輪車検出装置は、物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、前記二輪車が走行する道路の勾配を取得する道路勾配取得手段と、前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、道路勾配と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記道路勾配取得手段により取得された勾配に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、を備えている。
【0010】
上記発明によれば、道路勾配と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、取得された勾配に対応する照合範囲を決定し、二輪車であると判定された物体の予測された位置と、新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記決定された照合範囲と、に基づいて、新たに二輪車と判定された物体と位置が保持されている物体との照合を行うことで、道路勾配による二輪車の速度変化に対応しつつ照合範囲を狭めることができるので、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【0011】
また、本発明に係る二輪車検出装置は、物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、前記二輪車のバンク角を取得するバンク角取得手段と、前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、二輪車のバンク角と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記バンク角取得手段により取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、を備えている。
【0012】
上記発明によれば、二輪車のバンク角と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定し、二輪車であると判定された物体の予測された位置と、新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記決定された照合範囲と、に基づいて、新たに二輪車と判定された物体と位置が保持されている物体との照合を行うことで、二輪車の方向転換に対応しつつ照合範囲を狭めることができるので、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る二輪車検出装置及びプログラムは、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る二輪車検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】時刻tにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】時刻t+Δtにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】登り勾配の場合の照合範囲を示す図である。
【図5】下り勾配の場合の照合範囲を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る二輪車検出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】時刻tにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】時刻t+Δtにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】二輪車のバンク角θdiを示す図である。
【図10】二輪車が直立している場合の照合範囲を示す図である。
【図11】二輪車が左に傾いている場合の照合範囲を示す図である。
【図12】二輪車が右に傾いている場合の照合範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る二輪車検出装置の構成を示すブロック図である。二輪車検出装置は、例えば、四輪車両(以下「自車」という。)に搭載され、自車前方に存在する二輪車を検出する。
【0017】
二輪車検出装置は、自車の前方に存在する物体を検出するステレオカメラ10と、自車の水平方向に対する車体の傾斜角(道路勾配)を検出する車体傾斜センサ20と、ステレオカメラ10で検出された物体のうち二輪車を追跡するための演算処理を行うコンピュータ30と、を備えている。なお、コンピュータ30には、後述する二輪車検出ルーチンを実行するための制御プログラムがインストールされている。
【0018】
ステレオカメラ10は、例えば2台の車載カメラを備え、各車載カメラで得られた画像に基づいて自車の前方に存在する物体及びその位置を検出し、検出結果をコンピュータ30へ供給する。車体傾斜センサ20は、道路勾配に応じた信号をコンピュータ30へ供給する。
【0019】
コンピュータ30は、ステレオカメラ10で検出された物体が二輪車であるかを判定する判定部31と、二輪車と判定された物体の位置等の情報を保持する物体位置保持部32と、道路勾配に応じて照合範囲を決定する照合範囲決定部33と、照合範囲決定部33で決定された照合範囲内で物体の照合を行う照合部34と、を備えている。
【0020】
以上のように構成された二輪車検出装置では、時刻tにおいて、次に示す二輪車検出ルーチンが実行される。
【0021】
図2は、時刻tにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【0022】
ステップS1では、ステレオカメラ10は、時刻tにおいて、自車の前方に存在するN個の物体の位置(Xdi,Zdi)(i=1,・・・,N)を検出し、検出結果をコンピュータ30へ供給する。なお、Xは自車の横方向の座標、Zは自車の直進方向の座標を示すパラメータである。
【0023】
ステップS2では、コンピュータ30の判定部31は、ステレオカメラ10で検出された物体の画像に対して例えば公知のパターン認識処理を行って、当該物体が二輪車であるか否かを判定する。なお、物体が二輪車であるかの判定については、パターン認識処理に限らず、その他の公知の手法が用いられてもよい。そして、判定部31は、ステレオカメラ10で検出された物体のうち、二輪車ではないと判定された物体についての情報を削除する。
【0024】
ステップS3では、物体位置保持部32は、ステップS2で二輪車であると判定された各々の物体の位置及びその個数Mを記憶し、物体の速度(Vxj,Vzj)については不明である旨の情報を記憶する。そして、本ルーチンが終了する。
【0025】
つぎに、時刻tからΔt進んだ時刻t+Δtにおいては、次の二輪車検出ルーチンが実行される。
【0026】
図3は、時刻t+Δtにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【0027】
ステップS11では、図2に示すステップS1と同様に、ステレオカメラ10は、時刻t+Δtにおいて、自車の前方に存在する複数の物体の位置(Xdi,Zdi)(i=1,2,・・・)を検出する。
【0028】
ステップS12では、図2に示すステップS2と同様に、判定部31は、ステレオカメラ10で検出された物体が二輪車であるか否かを判定し、二輪車ではないと判定された物体についての情報を削除する。この結果、ステップS1で検出された複数の物体のうち、N個の物体及びその位置(Xdi,Zdi)(i=1,2,・・・N)の情報が内部メモリに記憶される。
【0029】
ステップS13では、車体傾斜センサ20は、道路勾配を取得し、この検出結果をコンピュータ30に供給する。なお、コンピュータ30は、車体傾斜センサ20から道路勾配を取得する場合に限らず、その他の手法を用いて道路勾配を取得してもよい。例えば、コンピュータ30は、ナビゲーションシステムから自車位置を取得し、道路上の各ポイントと道路勾配とが対応付けられた電子地図データから、自車位置に対応する道路勾配を取得してもよい。
【0030】
ステップS14では、照合部34は、物体位置保持部32に時刻tの位置が保持されているM個の物体のうち、物体の番号を特定するためのj(=1〜M)を1に設定する(j=1)。
【0031】
ステップS15では、照合部34は、時刻tにおいて物体位置保持部32に記憶された情報に基づいて、時刻t+Δtにおけるj番目の物体の予測位置(Xe,Ze)を算出する。照合部34は、具体的には時刻tにおいて物体位置保持部32に記憶されたj番目の物体の位置(Xdj,Zdj)及び速度(Vxj,Vzj)を用いて、次の式(1)及び式(2)を演算する。
【0032】
【数1】
【0033】
なお、ΔZsは、道路勾配に基づいて物体のZ軸方向の予測位置を補正する補正値であり、後述のテーブルから求められる。また、照合部34は、速度(Vxj,Vzj)が不明である場合は、次の式(3)及び式(4)を演算する。
【0034】
【数2】
【0035】
ここで、照合部34は、道路勾配と補正値ΔZsの関係を予めテーブルとして記憶しておき、ステップS13で道路勾配が検出された場合に、検出された道路勾配に対応する補正値ΔZsを読み出して上述した式(1)〜(4)で使用する。なお、照合部34は、道路勾配と補正値ΔZsの関係を示す数式を予め記憶しておき、ステップS13で検出された道路勾配を用いて、補正値ΔZsを算出してもよい。
【0036】
ステップS16では、照合部34は、道路勾配に基づいて、予測位置を基準にした照合範囲ΔXj,ΔZ+j,ΔZ−jを決定する。本実施形態では、照合部34は、道路勾配と照合範囲の関係を予めテーブルとして記憶しておき、ステップS13で道路勾配が検出された場合に、検出された道路勾配に対応する照合範囲を読み出して、当該照合範囲を決定すればよい。
【0037】
なお、照合部34は、道路勾配と照合範囲の関係を示す数式を予め記憶しておき、ステップS13で検出された道路勾配を用いて、照合範囲を逐次算出してもよい。また、ステップS15及びS16で使用するテーブルは、1つのテーブルであってもよい。
【0038】
ここで、自転車、原動機付き自動二輪車のような排気量の少ない自動二輪車の場合は、道路が登り勾配の場合は速度が遅くなり、道路が下り勾配の場合は速度が速くなる傾向がある。そこで、照合部34は、このような二輪車の速度の傾向を考慮して、次のように道路勾配に応じて照合範囲を可変させたテーブル又は数式を用いてもよい。
【0039】
図4は、登り勾配の場合の照合範囲を示す図である。図5は、下り勾配の場合の照合範囲を示す図である。例えば、二輪車が自車に対面している場合、二輪車が登り勾配を走行する場合では照合範囲は広く、二輪車が下り勾配を走行する場合では照合範囲は狭くするように決定される。
【0040】
ステップS17では、照合部34は、ステップS12で二輪車であると判定されたN個の物体のうち、物体の番号を特定するためのi(=1〜N)を1に設定する(i=1)。
【0041】
ステップS18では、照合部34は、時刻tにおいて物体位置保持部32で位置が保持されているj番目の物体と、時刻t+ΔtにおけるステップS12で二輪車と判定されたi番目の物体と、が同一であるか照合する。
【0042】
ここでは、照合部34は、時刻tの情報から求められたj番目の物体の予測位置(Xe,Ze)を基準として、X方向では[Xe−ΔXj,Xe+ΔXj]、Z方向では[Ze−ΔZ−j,Ze+ΔZ+j]の範囲内に、ステップS12で二輪車と判定されたi番目の物体の位置(Xdi,Zdi)が存在するかを判定し、存在する場合はこれらの物体は同一であると判定する。
【0043】
具体的には、照合部34は、次の式(5)及び式(6)を共に満たすか否かを判定する。
【0044】
【数3】
【0045】
そして、式(5)及び式(6)が共に満たされる場合は、上述した2つの物体は同一であると判定されて、ステップS22に進む。式(5)及び式(6)の少なくとも1つが満たされない場合は、上述した2つの物体は同一ではないと判定されて、ステップS19に進む。
【0046】
ステップS19では、照合部34は、iをインクリメントする(i=i+1)。
【0047】
ステップS20では、照合部34は、i=Nを満たすかを判定する。i=Nを満たす場合はステップS21に進み、i=Nを満たさない場合はステップS18に戻る。そして、物体位置保持部32に保持されているj番目の物体と、ステップS2で二輪車と判定されたN個の物体のいずれかが同一又はいずれとも同一ではないと判定されるまで、ステップS18〜S20が繰り返し実行される。
【0048】
ステップS21では、照合部34は、物体位置保持部32に保持されているj番目の物体は追跡対象の物体ではないと判定して、物体位置保持部32からj番目の物体の情報を削除して、ステップS24へ進む。
【0049】
一方、ステップS22では、照合部34は、ステップS18で同一と判定された物体の位置及び速度を更新する。ここでは、現在の速度(Vxj,Vzj)が不明の場合は、照合部34は、次の式(7)〜(10)を演算して、物体の位置(Xtj,Ztj)及び速度(Vxj,Vzj)を更新する。
【0050】
【数4】
【0051】
なお、αは追跡の強さを決定する係数であり、0より大きく1より小さい値である。また、現在の速度速度(Vxj,Vzj)が不明でない場合は、照合部34は、次の式(11)〜(16)を演算して、物体の位置(Xj,Zj)及び速度(Vxj,Vzj)を更新する。
【0052】
【数5】
【0053】
βは速度についての追跡の強さを決定する係数であり、0より大きく1より小さい値である。
【0054】
ステップS23では、照合部34は、ステップS12で二輪車であると判定されたi番目の物体の情報を削除して、ステップS24へ進む。
【0055】
ステップS24では、照合部34は、jをインクリメントして(j=j+1)、ステップS25へ進む。
【0056】
ステップS25では、照合部34は、j=Mを満たすかを判定する。満たさない場合はステップS18へ戻り、満たす場合はステップS26へ進む。そして、物体位置保持部32に保持されているM個の物体が、ステップS12で二輪車と判定されたN個の物体のいずれかと同一又はいずれとも同一ではないと判定されるまで、ステップS15〜S25が繰り返し実行される。
【0057】
ステップS26では、照合部34は、残っている物体の位置及び速度を物体位置保持部32に追加する。そして、本ルーチンが終了する。なお、本ルーチンは、Δt毎に実行される。
【0058】
以上のように、第1の実施形態に係る二輪車検出装置は、道路勾配によって二輪車の速度が変化するような場合でも、二輪車が走行する道路勾配に応じて照合範囲を決定するので、二輪車の速度変化に対応しつつ照合範囲を狭めることができ、その結果、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【0059】
[第2の実施形態]
つぎに、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0060】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る二輪車検出装置の構成を示すブロック図である。二輪車検出装置は、自車の前方に存在する物体を検出するステレオカメラ10と、二輪車のバンク角を取得するバンク角取得部20と、ステレオカメラ10で検出された物体のうち二輪車を追跡するための演算処理を行うコンピュータ30Aと、を備えている。なお、コンピュータ30Aには、後述する二輪車検出ルーチンを実行するための制御プログラムがインストールされている。
【0061】
コンピュータ30Aは、ステレオカメラ10で検出された物体が二輪車であるかを判定する判定部31と、二輪車と判定された物体の位置等の情報を保持する物体位置保持部32と、照合範囲を決定する照合範囲決定部33と、照合を行う照合部34と、バンク角を取得するバンク角取得部35と、を備えている。
【0062】
以上のように構成された二輪車検出装置では、時刻tにおいて次に示す二輪車検出ルーチンが実行される。
【0063】
図7は、時刻tにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。なお、ステップS31及びS32は、図2に示すステップS1及びS2と同様に実行される。
【0064】
ステップS33では、バンク角取得部35は、ステレオカメラ10で生成された画像を用いて、判定部31で二輪車であると判定された物体についてのバンク角θdiを取得する。バンク角は、例えば、二輪車が左右対称な形状であることを利用し、線対称軸を検出することにより検出可能である。画像からの線対称軸の検出方法は、特に限定されるものではないが、例えば「組合せHough変換を用いた線対称部品の検出手法」(精密工学会誌63巻3号p387)の技術が用いられる。
【0065】
ステップS34では、物体位置保持部32は、ステップS32で二輪車であると判定された各々の物体の位置、その個数M、及びバンク角θdiを記憶し、物体の速度(Xdi,Zdi)については不明である旨の情報を記憶する。そして、本ルーチンが終了する。
【0066】
つぎに、時刻tからΔt進んだ時刻t+Δtにおいては、次の二輪車検出ルーチンが実行される。
【0067】
図8は、時刻t+Δtにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。なお、ステップS41〜S43は、図7に示すステップS31〜S33と同様に処理される。また、ステップS44は、図3に示すステップS14と同様に処理される。
【0068】
ステップS45では、照合部34は、j番目の物体の予測位置(Xe,Ze)を算出する。照合部34は、具体的には物体位置保持部32に記憶されているj番目の物体の位置(Xdj,Zdj)を用いて、次の式(21)及び式(22)を演算する。
【0069】
【数6】
【0070】
なお、ΔXbは、バンク角に基づいて物体のX軸方向の予測位置を補正する補正値であり、後述のテーブルから求められる。また、照合部34は、速度(Vxj,Vzj)が不明である場合は、次の式(23)及び式(24)を演算する。
【0071】
【数7】
【0072】
ここで、照合部34は、バンク角と補正値ΔXbの関係を予めテーブルとして記憶しておき、ステップS43でバンク角が検出された場合に、検出されたバンク角に対応する補正値ΔXbを読み出して上述した式(21)〜(24)で使用する。なお、照合部34は、バンク角と補正値ΔXbの関係を示す数式を予め記憶しておき、ステップS43で検出されたバンク角を用いて、補正値ΔXbを算出してもよい。
【0073】
ステップS46では、照合部34は、バンク角θjに基づいて、予測位置を基準にした照合範囲ΔXlj,ΔXrj,ΔZjを決定する。本実施形態では、照合部34は、バンク角θjと照合範囲の関係を予めテーブルとして記憶しておき、ステップS43でバンク角θjが検出された場合に、検出されたバンク角θjに対応する照合範囲を読み出して、当該照合範囲を決定すればよい。
【0074】
なお、照合部34は、バンク角θjと照合範囲の関係を示す数式を予め記憶しておき、ステップS43で検出されたバンク角θjを用いて、照合範囲を逐次算出してもよい。また、ステップS45及びS46で使用するテーブルは、1つのテーブルであってもよい。
【0075】
図9は、二輪車のバンク角θdiを示す図である。二輪車の移動方向は、このバンク角によって判別可能である。そこで、照合部34は、バンク角から二輪車がどちらの方向に移動するか判別可能であることを利用して、バンク角に応じて照合範囲を可変させることができる。
【0076】
図10は二輪車が直立している場合の照合範囲を示す図である。二輪車は、直立している場合、そのまま直進すると予測される。そこで、照合部34は、二輪車の予測位置に対して照合範囲が左右対称になるように、照合範囲を決定する。
【0077】
図11は、二輪車が左に傾いている場合の照合範囲を示す図である。二輪車は、左に傾いている場合、左方向に進路を変えると予測される。そこで、照合部34は、二輪車の予測位置に対して、バンク角が大きくなるに従って二輪車の進行方向左側の照合範囲が広くなるように、当該照合範囲を決定する。
【0078】
図12は、二輪車が右に傾いている場合の照合範囲を示す図である。二輪車は、右に傾いている場合、右方向に進路を変えると予測される。そこで、照合部34は、二輪車の予測位置に対して、バンク角が大きくなるに従って二輪車の進行方向右側の照合範囲が広くなるように、当該照合範囲を決定する。
【0079】
ステップS47では、照合部34は、ステップS42で二輪車であると判定されたN個の物体のうち、いずれかであるかを特定するための番号i(=1〜N)を1に設定する(i=1)。
【0080】
ステップS48では、照合部34は、時刻tにおいて物体位置保持部32で位置が保持されているj番目の物体と、時刻t+ΔtにおけるステップS42で二輪車と判定されたi番目の物体と、が同一であるか照合する。
【0081】
ここでは、照合部34は、時刻tの情報から求められたj番目の物体の予測位置(Xe,Ze)を基準として、X方向では[Xe−ΔXlj,Xe+ΔXrj]、Z方向では[Ze−ΔZj,Ze+ΔZj]の範囲内に、ステップS12で二輪車と判定されたi番目の物体の位置(Xdi,Zdi)が存在するかを判定し、存在する場合はこれらの物体は同一であると判定する。
【0082】
具体的には、照合部34は、次の式(25)及び式(26)を共に満たすか否かを判定する。
【0083】
【数8】
【0084】
そして、式(25)及び式(26)が共に満たされる場合は、上述した2つの物体は同一であると判定されて、ステップS52に進む。式(25)及び式(26)の少なくとも1つが満たされない場合は、上述した2つの物体は同一ではないと判定されて、ステップS49に進む。
【0085】
なお、ステップS49〜S51は、図3に示すステップS19〜S21と同様に処理される。そして、ステップS51が終了すると、ステップS54へ進む。
【0086】
一方、ステップS52では、照合部34は、ステップS48で同一と判定された物体の位置、速度及びバンク角を更新する。ここでは、現在の速度(Vxj,Vzj)が不明の場合は、照合部34は、次の式(27)〜(31)を演算して、物体の位置(Xj,Zj)、速度(Vxj,Vzj)及びバンク角θtjを更新する。
【0087】
【数9】
【0088】
なお、αは追跡の強さを決定する係数であり、0より大きく1より小さい値である。また、現在の速度速度(Vxj,Vzj)が不明でない場合は、照合部34は、次の式(32)〜(38)を演算して、物体の位置(Xtj,Ztj)、速度(Vxj,Vzj)及びバンク角θtjを更新する。
【0089】
【数10】
【0090】
βは速度についての追跡の強さを決定する係数であり、0より大きく1より小さい値である。ステップS53〜S55は、図3に示すステップS23〜S25と同様に処理される。
【0091】
ステップS56では、照合部34は、残っている物体の位置、速度及びバンク角を物体位置保持部32に追加する。そして、本ルーチンが終了する。なお、本ルーチンは、Δt毎に実行される。
【0092】
以上のように、第2の実施形態に係る二輪車検出装置は、二輪車が急に方向転換するような場合でも、二輪車が進行方向を変える前に二輪車のバンク角に応じて照合範囲を決定するので、二輪車の方向転換に対応しつつ照合範囲を狭めることができ、その結果、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【0093】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能であるのは勿論である。
【0094】
また、第1及び第2の実施形態で示した二輪車検出装置を1つにしてもよい。すなわち、図6に示す構成の二輪車検出装置は、図1に示す車体傾斜センサ20を更に備えることも可能である。この場合、照合範囲決定部33は、道路勾配、バンク角及び照合範囲の関係を示すテーブル又は数式を予め用意しておき、車体傾斜センサ20で取得された道路勾配及びバンク角取得部35で取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定すればよい。
【符号の説明】
【0095】
10 ステレオカメラ
20 車体傾斜センサ
30,30A コンピュータ
31 判定部
32 物体位置保持部
33 照合範囲決定部
34 照合部
35 バンク角取得部
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車検出装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体を検出し、その物体の位置を追跡する技術が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1には、物体をロストしても継続的にその物体までの距離情報を算出する物体検出装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の物体検出装置は、同文献の図2に示すように、一対の画像を取得するステレオカメラ2a、2bと、一対の画像同士で輝度値が互いに対応する領域を探索して一対の画像に写しだされる物体の距離情報を演算する第1測距部6と、一対の画像のそれぞれにおける所定の画素について隣接する画素との輝度差を算出し、該輝度差が一対の画像同士で対応する領域を探索して物体の距離情報を演算する第2測距部7と、第1測距部6による物体をロストした際、第2測距部7によって演算される距離情報を選択する測距選択部9と、を備えている。
【0004】
物体のロスト判定処理では、同文献の図11に示すように、今回検出した物体の位置Xobj[k]が前回の先行車位置Xtargetに対して横方向で設定値ΔXの範囲内にあり、且つ距離方向で設定値ΔZの範囲内にある条件が成立するか否かが調べられる(ステップS23)。そして、検出されたすべての物体について上述の条件が成立しない場合は、フラグ=1の条件を満たさず(ステップS27の否定判定)、先行車である物体が消滅(ロスト)したと判定される(ステップS29)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−151659号公報(図2、図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の物体検出装置は、予め固定された設定値ΔX,ΔZの範囲内で物体の照合処理(ロスト判定処理)を行う。これらの設定値ΔX,ΔZは想定される物体の最低速度、最高速度及び最大横方向移動量に基づいて設定されているため、照合範囲が広くなっている。
【0007】
このため、特許文献1の物体検出装置は、広い範囲内で物体の照合処理を行うので、検出対象外の物体が照合範囲内に存在する場合、その物体を誤って検出対象の物体として検出するという問題(誤対応)が生じる。また、上記物体検出装置は、広い範囲内で照合処理を行うので、照合時間が長くなり、短時間で物体を検出できない問題もある。また、四輪車よりも二輪車の方が小さく認識しにくいため、二輪車を検出することが求められている。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、高精度かつ短時間で二輪車を検出できる二輪車検出装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る二輪車検出装置は、物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、前記二輪車が走行する道路の勾配を取得する道路勾配取得手段と、前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、道路勾配と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記道路勾配取得手段により取得された勾配に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、を備えている。
【0010】
上記発明によれば、道路勾配と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、取得された勾配に対応する照合範囲を決定し、二輪車であると判定された物体の予測された位置と、新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記決定された照合範囲と、に基づいて、新たに二輪車と判定された物体と位置が保持されている物体との照合を行うことで、道路勾配による二輪車の速度変化に対応しつつ照合範囲を狭めることができるので、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【0011】
また、本発明に係る二輪車検出装置は、物体を検出する物体検出手段と、前記物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、前記二輪車のバンク角を取得するバンク角取得手段と、前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、二輪車のバンク角と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記バンク角取得手段により取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、を備えている。
【0012】
上記発明によれば、二輪車のバンク角と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定し、二輪車であると判定された物体の予測された位置と、新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記決定された照合範囲と、に基づいて、新たに二輪車と判定された物体と位置が保持されている物体との照合を行うことで、二輪車の方向転換に対応しつつ照合範囲を狭めることができるので、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る二輪車検出装置及びプログラムは、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る二輪車検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】時刻tにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】時刻t+Δtにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】登り勾配の場合の照合範囲を示す図である。
【図5】下り勾配の場合の照合範囲を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る二輪車検出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】時刻tにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】時刻t+Δtにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】二輪車のバンク角θdiを示す図である。
【図10】二輪車が直立している場合の照合範囲を示す図である。
【図11】二輪車が左に傾いている場合の照合範囲を示す図である。
【図12】二輪車が右に傾いている場合の照合範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る二輪車検出装置の構成を示すブロック図である。二輪車検出装置は、例えば、四輪車両(以下「自車」という。)に搭載され、自車前方に存在する二輪車を検出する。
【0017】
二輪車検出装置は、自車の前方に存在する物体を検出するステレオカメラ10と、自車の水平方向に対する車体の傾斜角(道路勾配)を検出する車体傾斜センサ20と、ステレオカメラ10で検出された物体のうち二輪車を追跡するための演算処理を行うコンピュータ30と、を備えている。なお、コンピュータ30には、後述する二輪車検出ルーチンを実行するための制御プログラムがインストールされている。
【0018】
ステレオカメラ10は、例えば2台の車載カメラを備え、各車載カメラで得られた画像に基づいて自車の前方に存在する物体及びその位置を検出し、検出結果をコンピュータ30へ供給する。車体傾斜センサ20は、道路勾配に応じた信号をコンピュータ30へ供給する。
【0019】
コンピュータ30は、ステレオカメラ10で検出された物体が二輪車であるかを判定する判定部31と、二輪車と判定された物体の位置等の情報を保持する物体位置保持部32と、道路勾配に応じて照合範囲を決定する照合範囲決定部33と、照合範囲決定部33で決定された照合範囲内で物体の照合を行う照合部34と、を備えている。
【0020】
以上のように構成された二輪車検出装置では、時刻tにおいて、次に示す二輪車検出ルーチンが実行される。
【0021】
図2は、時刻tにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【0022】
ステップS1では、ステレオカメラ10は、時刻tにおいて、自車の前方に存在するN個の物体の位置(Xdi,Zdi)(i=1,・・・,N)を検出し、検出結果をコンピュータ30へ供給する。なお、Xは自車の横方向の座標、Zは自車の直進方向の座標を示すパラメータである。
【0023】
ステップS2では、コンピュータ30の判定部31は、ステレオカメラ10で検出された物体の画像に対して例えば公知のパターン認識処理を行って、当該物体が二輪車であるか否かを判定する。なお、物体が二輪車であるかの判定については、パターン認識処理に限らず、その他の公知の手法が用いられてもよい。そして、判定部31は、ステレオカメラ10で検出された物体のうち、二輪車ではないと判定された物体についての情報を削除する。
【0024】
ステップS3では、物体位置保持部32は、ステップS2で二輪車であると判定された各々の物体の位置及びその個数Mを記憶し、物体の速度(Vxj,Vzj)については不明である旨の情報を記憶する。そして、本ルーチンが終了する。
【0025】
つぎに、時刻tからΔt進んだ時刻t+Δtにおいては、次の二輪車検出ルーチンが実行される。
【0026】
図3は、時刻t+Δtにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。
【0027】
ステップS11では、図2に示すステップS1と同様に、ステレオカメラ10は、時刻t+Δtにおいて、自車の前方に存在する複数の物体の位置(Xdi,Zdi)(i=1,2,・・・)を検出する。
【0028】
ステップS12では、図2に示すステップS2と同様に、判定部31は、ステレオカメラ10で検出された物体が二輪車であるか否かを判定し、二輪車ではないと判定された物体についての情報を削除する。この結果、ステップS1で検出された複数の物体のうち、N個の物体及びその位置(Xdi,Zdi)(i=1,2,・・・N)の情報が内部メモリに記憶される。
【0029】
ステップS13では、車体傾斜センサ20は、道路勾配を取得し、この検出結果をコンピュータ30に供給する。なお、コンピュータ30は、車体傾斜センサ20から道路勾配を取得する場合に限らず、その他の手法を用いて道路勾配を取得してもよい。例えば、コンピュータ30は、ナビゲーションシステムから自車位置を取得し、道路上の各ポイントと道路勾配とが対応付けられた電子地図データから、自車位置に対応する道路勾配を取得してもよい。
【0030】
ステップS14では、照合部34は、物体位置保持部32に時刻tの位置が保持されているM個の物体のうち、物体の番号を特定するためのj(=1〜M)を1に設定する(j=1)。
【0031】
ステップS15では、照合部34は、時刻tにおいて物体位置保持部32に記憶された情報に基づいて、時刻t+Δtにおけるj番目の物体の予測位置(Xe,Ze)を算出する。照合部34は、具体的には時刻tにおいて物体位置保持部32に記憶されたj番目の物体の位置(Xdj,Zdj)及び速度(Vxj,Vzj)を用いて、次の式(1)及び式(2)を演算する。
【0032】
【数1】
【0033】
なお、ΔZsは、道路勾配に基づいて物体のZ軸方向の予測位置を補正する補正値であり、後述のテーブルから求められる。また、照合部34は、速度(Vxj,Vzj)が不明である場合は、次の式(3)及び式(4)を演算する。
【0034】
【数2】
【0035】
ここで、照合部34は、道路勾配と補正値ΔZsの関係を予めテーブルとして記憶しておき、ステップS13で道路勾配が検出された場合に、検出された道路勾配に対応する補正値ΔZsを読み出して上述した式(1)〜(4)で使用する。なお、照合部34は、道路勾配と補正値ΔZsの関係を示す数式を予め記憶しておき、ステップS13で検出された道路勾配を用いて、補正値ΔZsを算出してもよい。
【0036】
ステップS16では、照合部34は、道路勾配に基づいて、予測位置を基準にした照合範囲ΔXj,ΔZ+j,ΔZ−jを決定する。本実施形態では、照合部34は、道路勾配と照合範囲の関係を予めテーブルとして記憶しておき、ステップS13で道路勾配が検出された場合に、検出された道路勾配に対応する照合範囲を読み出して、当該照合範囲を決定すればよい。
【0037】
なお、照合部34は、道路勾配と照合範囲の関係を示す数式を予め記憶しておき、ステップS13で検出された道路勾配を用いて、照合範囲を逐次算出してもよい。また、ステップS15及びS16で使用するテーブルは、1つのテーブルであってもよい。
【0038】
ここで、自転車、原動機付き自動二輪車のような排気量の少ない自動二輪車の場合は、道路が登り勾配の場合は速度が遅くなり、道路が下り勾配の場合は速度が速くなる傾向がある。そこで、照合部34は、このような二輪車の速度の傾向を考慮して、次のように道路勾配に応じて照合範囲を可変させたテーブル又は数式を用いてもよい。
【0039】
図4は、登り勾配の場合の照合範囲を示す図である。図5は、下り勾配の場合の照合範囲を示す図である。例えば、二輪車が自車に対面している場合、二輪車が登り勾配を走行する場合では照合範囲は広く、二輪車が下り勾配を走行する場合では照合範囲は狭くするように決定される。
【0040】
ステップS17では、照合部34は、ステップS12で二輪車であると判定されたN個の物体のうち、物体の番号を特定するためのi(=1〜N)を1に設定する(i=1)。
【0041】
ステップS18では、照合部34は、時刻tにおいて物体位置保持部32で位置が保持されているj番目の物体と、時刻t+ΔtにおけるステップS12で二輪車と判定されたi番目の物体と、が同一であるか照合する。
【0042】
ここでは、照合部34は、時刻tの情報から求められたj番目の物体の予測位置(Xe,Ze)を基準として、X方向では[Xe−ΔXj,Xe+ΔXj]、Z方向では[Ze−ΔZ−j,Ze+ΔZ+j]の範囲内に、ステップS12で二輪車と判定されたi番目の物体の位置(Xdi,Zdi)が存在するかを判定し、存在する場合はこれらの物体は同一であると判定する。
【0043】
具体的には、照合部34は、次の式(5)及び式(6)を共に満たすか否かを判定する。
【0044】
【数3】
【0045】
そして、式(5)及び式(6)が共に満たされる場合は、上述した2つの物体は同一であると判定されて、ステップS22に進む。式(5)及び式(6)の少なくとも1つが満たされない場合は、上述した2つの物体は同一ではないと判定されて、ステップS19に進む。
【0046】
ステップS19では、照合部34は、iをインクリメントする(i=i+1)。
【0047】
ステップS20では、照合部34は、i=Nを満たすかを判定する。i=Nを満たす場合はステップS21に進み、i=Nを満たさない場合はステップS18に戻る。そして、物体位置保持部32に保持されているj番目の物体と、ステップS2で二輪車と判定されたN個の物体のいずれかが同一又はいずれとも同一ではないと判定されるまで、ステップS18〜S20が繰り返し実行される。
【0048】
ステップS21では、照合部34は、物体位置保持部32に保持されているj番目の物体は追跡対象の物体ではないと判定して、物体位置保持部32からj番目の物体の情報を削除して、ステップS24へ進む。
【0049】
一方、ステップS22では、照合部34は、ステップS18で同一と判定された物体の位置及び速度を更新する。ここでは、現在の速度(Vxj,Vzj)が不明の場合は、照合部34は、次の式(7)〜(10)を演算して、物体の位置(Xtj,Ztj)及び速度(Vxj,Vzj)を更新する。
【0050】
【数4】
【0051】
なお、αは追跡の強さを決定する係数であり、0より大きく1より小さい値である。また、現在の速度速度(Vxj,Vzj)が不明でない場合は、照合部34は、次の式(11)〜(16)を演算して、物体の位置(Xj,Zj)及び速度(Vxj,Vzj)を更新する。
【0052】
【数5】
【0053】
βは速度についての追跡の強さを決定する係数であり、0より大きく1より小さい値である。
【0054】
ステップS23では、照合部34は、ステップS12で二輪車であると判定されたi番目の物体の情報を削除して、ステップS24へ進む。
【0055】
ステップS24では、照合部34は、jをインクリメントして(j=j+1)、ステップS25へ進む。
【0056】
ステップS25では、照合部34は、j=Mを満たすかを判定する。満たさない場合はステップS18へ戻り、満たす場合はステップS26へ進む。そして、物体位置保持部32に保持されているM個の物体が、ステップS12で二輪車と判定されたN個の物体のいずれかと同一又はいずれとも同一ではないと判定されるまで、ステップS15〜S25が繰り返し実行される。
【0057】
ステップS26では、照合部34は、残っている物体の位置及び速度を物体位置保持部32に追加する。そして、本ルーチンが終了する。なお、本ルーチンは、Δt毎に実行される。
【0058】
以上のように、第1の実施形態に係る二輪車検出装置は、道路勾配によって二輪車の速度が変化するような場合でも、二輪車が走行する道路勾配に応じて照合範囲を決定するので、二輪車の速度変化に対応しつつ照合範囲を狭めることができ、その結果、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【0059】
[第2の実施形態]
つぎに、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0060】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る二輪車検出装置の構成を示すブロック図である。二輪車検出装置は、自車の前方に存在する物体を検出するステレオカメラ10と、二輪車のバンク角を取得するバンク角取得部20と、ステレオカメラ10で検出された物体のうち二輪車を追跡するための演算処理を行うコンピュータ30Aと、を備えている。なお、コンピュータ30Aには、後述する二輪車検出ルーチンを実行するための制御プログラムがインストールされている。
【0061】
コンピュータ30Aは、ステレオカメラ10で検出された物体が二輪車であるかを判定する判定部31と、二輪車と判定された物体の位置等の情報を保持する物体位置保持部32と、照合範囲を決定する照合範囲決定部33と、照合を行う照合部34と、バンク角を取得するバンク角取得部35と、を備えている。
【0062】
以上のように構成された二輪車検出装置では、時刻tにおいて次に示す二輪車検出ルーチンが実行される。
【0063】
図7は、時刻tにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。なお、ステップS31及びS32は、図2に示すステップS1及びS2と同様に実行される。
【0064】
ステップS33では、バンク角取得部35は、ステレオカメラ10で生成された画像を用いて、判定部31で二輪車であると判定された物体についてのバンク角θdiを取得する。バンク角は、例えば、二輪車が左右対称な形状であることを利用し、線対称軸を検出することにより検出可能である。画像からの線対称軸の検出方法は、特に限定されるものではないが、例えば「組合せHough変換を用いた線対称部品の検出手法」(精密工学会誌63巻3号p387)の技術が用いられる。
【0065】
ステップS34では、物体位置保持部32は、ステップS32で二輪車であると判定された各々の物体の位置、その個数M、及びバンク角θdiを記憶し、物体の速度(Xdi,Zdi)については不明である旨の情報を記憶する。そして、本ルーチンが終了する。
【0066】
つぎに、時刻tからΔt進んだ時刻t+Δtにおいては、次の二輪車検出ルーチンが実行される。
【0067】
図8は、時刻t+Δtにおける二輪車検出ルーチンを示すフローチャートである。なお、ステップS41〜S43は、図7に示すステップS31〜S33と同様に処理される。また、ステップS44は、図3に示すステップS14と同様に処理される。
【0068】
ステップS45では、照合部34は、j番目の物体の予測位置(Xe,Ze)を算出する。照合部34は、具体的には物体位置保持部32に記憶されているj番目の物体の位置(Xdj,Zdj)を用いて、次の式(21)及び式(22)を演算する。
【0069】
【数6】
【0070】
なお、ΔXbは、バンク角に基づいて物体のX軸方向の予測位置を補正する補正値であり、後述のテーブルから求められる。また、照合部34は、速度(Vxj,Vzj)が不明である場合は、次の式(23)及び式(24)を演算する。
【0071】
【数7】
【0072】
ここで、照合部34は、バンク角と補正値ΔXbの関係を予めテーブルとして記憶しておき、ステップS43でバンク角が検出された場合に、検出されたバンク角に対応する補正値ΔXbを読み出して上述した式(21)〜(24)で使用する。なお、照合部34は、バンク角と補正値ΔXbの関係を示す数式を予め記憶しておき、ステップS43で検出されたバンク角を用いて、補正値ΔXbを算出してもよい。
【0073】
ステップS46では、照合部34は、バンク角θjに基づいて、予測位置を基準にした照合範囲ΔXlj,ΔXrj,ΔZjを決定する。本実施形態では、照合部34は、バンク角θjと照合範囲の関係を予めテーブルとして記憶しておき、ステップS43でバンク角θjが検出された場合に、検出されたバンク角θjに対応する照合範囲を読み出して、当該照合範囲を決定すればよい。
【0074】
なお、照合部34は、バンク角θjと照合範囲の関係を示す数式を予め記憶しておき、ステップS43で検出されたバンク角θjを用いて、照合範囲を逐次算出してもよい。また、ステップS45及びS46で使用するテーブルは、1つのテーブルであってもよい。
【0075】
図9は、二輪車のバンク角θdiを示す図である。二輪車の移動方向は、このバンク角によって判別可能である。そこで、照合部34は、バンク角から二輪車がどちらの方向に移動するか判別可能であることを利用して、バンク角に応じて照合範囲を可変させることができる。
【0076】
図10は二輪車が直立している場合の照合範囲を示す図である。二輪車は、直立している場合、そのまま直進すると予測される。そこで、照合部34は、二輪車の予測位置に対して照合範囲が左右対称になるように、照合範囲を決定する。
【0077】
図11は、二輪車が左に傾いている場合の照合範囲を示す図である。二輪車は、左に傾いている場合、左方向に進路を変えると予測される。そこで、照合部34は、二輪車の予測位置に対して、バンク角が大きくなるに従って二輪車の進行方向左側の照合範囲が広くなるように、当該照合範囲を決定する。
【0078】
図12は、二輪車が右に傾いている場合の照合範囲を示す図である。二輪車は、右に傾いている場合、右方向に進路を変えると予測される。そこで、照合部34は、二輪車の予測位置に対して、バンク角が大きくなるに従って二輪車の進行方向右側の照合範囲が広くなるように、当該照合範囲を決定する。
【0079】
ステップS47では、照合部34は、ステップS42で二輪車であると判定されたN個の物体のうち、いずれかであるかを特定するための番号i(=1〜N)を1に設定する(i=1)。
【0080】
ステップS48では、照合部34は、時刻tにおいて物体位置保持部32で位置が保持されているj番目の物体と、時刻t+ΔtにおけるステップS42で二輪車と判定されたi番目の物体と、が同一であるか照合する。
【0081】
ここでは、照合部34は、時刻tの情報から求められたj番目の物体の予測位置(Xe,Ze)を基準として、X方向では[Xe−ΔXlj,Xe+ΔXrj]、Z方向では[Ze−ΔZj,Ze+ΔZj]の範囲内に、ステップS12で二輪車と判定されたi番目の物体の位置(Xdi,Zdi)が存在するかを判定し、存在する場合はこれらの物体は同一であると判定する。
【0082】
具体的には、照合部34は、次の式(25)及び式(26)を共に満たすか否かを判定する。
【0083】
【数8】
【0084】
そして、式(25)及び式(26)が共に満たされる場合は、上述した2つの物体は同一であると判定されて、ステップS52に進む。式(25)及び式(26)の少なくとも1つが満たされない場合は、上述した2つの物体は同一ではないと判定されて、ステップS49に進む。
【0085】
なお、ステップS49〜S51は、図3に示すステップS19〜S21と同様に処理される。そして、ステップS51が終了すると、ステップS54へ進む。
【0086】
一方、ステップS52では、照合部34は、ステップS48で同一と判定された物体の位置、速度及びバンク角を更新する。ここでは、現在の速度(Vxj,Vzj)が不明の場合は、照合部34は、次の式(27)〜(31)を演算して、物体の位置(Xj,Zj)、速度(Vxj,Vzj)及びバンク角θtjを更新する。
【0087】
【数9】
【0088】
なお、αは追跡の強さを決定する係数であり、0より大きく1より小さい値である。また、現在の速度速度(Vxj,Vzj)が不明でない場合は、照合部34は、次の式(32)〜(38)を演算して、物体の位置(Xtj,Ztj)、速度(Vxj,Vzj)及びバンク角θtjを更新する。
【0089】
【数10】
【0090】
βは速度についての追跡の強さを決定する係数であり、0より大きく1より小さい値である。ステップS53〜S55は、図3に示すステップS23〜S25と同様に処理される。
【0091】
ステップS56では、照合部34は、残っている物体の位置、速度及びバンク角を物体位置保持部32に追加する。そして、本ルーチンが終了する。なお、本ルーチンは、Δt毎に実行される。
【0092】
以上のように、第2の実施形態に係る二輪車検出装置は、二輪車が急に方向転換するような場合でも、二輪車が進行方向を変える前に二輪車のバンク角に応じて照合範囲を決定するので、二輪車の方向転換に対応しつつ照合範囲を狭めることができ、その結果、高精度かつ短時間で二輪車を検出することができる。
【0093】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能であるのは勿論である。
【0094】
また、第1及び第2の実施形態で示した二輪車検出装置を1つにしてもよい。すなわち、図6に示す構成の二輪車検出装置は、図1に示す車体傾斜センサ20を更に備えることも可能である。この場合、照合範囲決定部33は、道路勾配、バンク角及び照合範囲の関係を示すテーブル又は数式を予め用意しておき、車体傾斜センサ20で取得された道路勾配及びバンク角取得部35で取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定すればよい。
【符号の説明】
【0095】
10 ステレオカメラ
20 車体傾斜センサ
30,30A コンピュータ
31 判定部
32 物体位置保持部
33 照合範囲決定部
34 照合部
35 バンク角取得部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体及びその位置を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、
前記二輪車が走行する道路の勾配を取得する道路勾配取得手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、
道路勾配と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記道路勾配取得手段により取得された勾配に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、
前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、
を備えた二輪車検出装置。
【請求項2】
照合範囲決定手段は、登り勾配が大きくなるに従って前記二輪車の直進方向における照合範囲が広くなる関係に基づいて、前記取得された勾配に対応する照合範囲を決定する
請求項1に記載の二輪車検出装置。
【請求項3】
照合範囲決定手段は、下り勾配が大きくなるに従って前記二輪車の直進方向における照合範囲が狭くなる関係に基づいて、前記取得された勾配に対応する照合範囲を決定する
請求項1に記載の二輪車検出装置。
【請求項4】
物体及びその位置を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、
前記二輪車のバンク角を取得するバンク角取得手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、
二輪車のバンク角と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記バンク角取得手段により取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、
前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、
を備えた二輪車検出装置。
【請求項5】
前記照合範囲決定手段は、二輪車のバンク角が大きくなるに従って前記バンク角をなす側の照合範囲が広くなる関係に基づいて、前記取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定する
請求項4に記載の二輪車検出装置。
【請求項6】
前記照合手段は、前記予測手段により予測された位置に対する、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲内に、前記新たに二輪車と判定された物体が存在する場合に、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体とが同一であると判定する
請求項1または請求項2に記載の二輪車検出装置。
【請求項7】
前記照合手段は、前記予測手段により予測された位置と、前記新たに二輪車と判定された物体の位置と、の偏差が、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲内である場合に、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体とが同一であると判定する
請求項1または請求項2に記載の二輪車検出装置。
【請求項8】
前記照合手段は、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体とが同一であると判定された場合に、前記同一であると判定された物体の位置を更新し、前記保持手段に前記更新された位置を追加する
請求項6または請求項7に記載の二輪車検出装置。
【請求項9】
コンピュータを、
物体及びその位置を検出する物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、
前記二輪車が走行する道路の勾配を取得する道路勾配取得手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、
道路勾配と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記道路勾配取得手段により取得された勾配に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、
前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、
して機能させるための二輪車検出プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
物体及びその位置を検出する物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、
前記二輪車のバンク角を取得するバンク角取得手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、
二輪車のバンク角と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記バンク角取得手段により取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、
前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、
して機能させるための二輪車検出プログラム。
【請求項1】
物体及びその位置を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、
前記二輪車が走行する道路の勾配を取得する道路勾配取得手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、
道路勾配と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記道路勾配取得手段により取得された勾配に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、
前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、
を備えた二輪車検出装置。
【請求項2】
照合範囲決定手段は、登り勾配が大きくなるに従って前記二輪車の直進方向における照合範囲が広くなる関係に基づいて、前記取得された勾配に対応する照合範囲を決定する
請求項1に記載の二輪車検出装置。
【請求項3】
照合範囲決定手段は、下り勾配が大きくなるに従って前記二輪車の直進方向における照合範囲が狭くなる関係に基づいて、前記取得された勾配に対応する照合範囲を決定する
請求項1に記載の二輪車検出装置。
【請求項4】
物体及びその位置を検出する物体検出手段と、
前記物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、
前記二輪車のバンク角を取得するバンク角取得手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、
二輪車のバンク角と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記バンク角取得手段により取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、
前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、
を備えた二輪車検出装置。
【請求項5】
前記照合範囲決定手段は、二輪車のバンク角が大きくなるに従って前記バンク角をなす側の照合範囲が広くなる関係に基づいて、前記取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定する
請求項4に記載の二輪車検出装置。
【請求項6】
前記照合手段は、前記予測手段により予測された位置に対する、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲内に、前記新たに二輪車と判定された物体が存在する場合に、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体とが同一であると判定する
請求項1または請求項2に記載の二輪車検出装置。
【請求項7】
前記照合手段は、前記予測手段により予測された位置と、前記新たに二輪車と判定された物体の位置と、の偏差が、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲内である場合に、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体とが同一であると判定する
請求項1または請求項2に記載の二輪車検出装置。
【請求項8】
前記照合手段は、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体とが同一であると判定された場合に、前記同一であると判定された物体の位置を更新し、前記保持手段に前記更新された位置を追加する
請求項6または請求項7に記載の二輪車検出装置。
【請求項9】
コンピュータを、
物体及びその位置を検出する物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、
前記二輪車が走行する道路の勾配を取得する道路勾配取得手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、
道路勾配と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記道路勾配取得手段により取得された勾配に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、
前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、
して機能させるための二輪車検出プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
物体及びその位置を検出する物体検出手段により検出された物体が二輪車であるかを判定する二輪車判定手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の位置を保持する保持手段と、
前記二輪車のバンク角を取得するバンク角取得手段と、
前記二輪車判定手段により二輪車と判定された物体の所定時間経過後の位置を予測する予測手段と、
二輪車のバンク角と照合範囲との予め定められた関係に基づいて、前記バンク角取得手段により取得されたバンク角に対応する照合範囲を決定する照合範囲決定手段と、
前記予測手段により予測された位置と、前記二輪車判定手段により新たに二輪車であると判定された物体の位置と、前記照合範囲決定手段により決定された照合範囲と、に基づいて、前記新たに二輪車と判定された物体と前記保持手段に位置が保持されている物体との照合を行う照合手段と、
して機能させるための二輪車検出プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−257414(P2010−257414A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109803(P2009−109803)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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