説明

仕上材が設けられた基体

必要とされる柔軟性と、耐磨耗性、特に必要とされる通気性と水蒸気透過性を与えるために、スエード状の微細銀面表面を有する基体(7)、特に上側が研磨された銀面革、又は合成スエード材料の目視可能面に、硬化した合成分散物からなる銀面構造を有する仕上材が供給されるが、仕上材は、銀面構造に対応する構造化表面を有する裏材の上で別に製造され、仕上材(1)は、柔軟性と耐磨耗性、特に、通気性と水蒸気透過性を与えるために、その全域に亘って本質的に同一の厚さを貫通する毛細管(11)を有し、及び硬化した合成分散物からなる薄い結合層(12)を介して基体(7)と結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体の目視可能側に銀面構造を有する仕上材を備え、スエード状ファインファイバーの上面を有する基体、特に、上面が研磨された銀面を有する銀面皮、研磨された上面を有するローン皮、又は上面がマイクロファイバーからなる合成スエード材料である基体であって、仕上材が、安定した合成物質分散物からなり、及び銀面構造に相当する構造の表面を有する裏材上に別にされて製造されており、及び安定したポリウレタンを含む合成物質分散物が基体の上面に施されて、結合層を形成している基体に関する。仕上材の目視可能側のヌバック状態の形成も、「銀面構造」として理解される。
【背景技術】
【0002】
単に着色されただけの、その銀面側に仕上げが施されていない、全銀面革、所謂アニリン革は、所望の方法で、空気と水蒸気の特に高い通気性を示すが、しかし、これら革において、銀面側は、抗剤、抗傷剤、光に対して色あせしない処理、汚れに抗力を有する処理が施されておらず、乗り物の内装及び靴の製造に使用することができない。
【0003】
従って、革の上面に仕上材を設けることが既に提案されているが、この革は、特にその銀面側が研磨された銀面革、ローン革、及び合成スエード材料であり、仕上材は、銀面構造(grain texture)を有し、従って、目視可能側が上述の必要な同一の特性を有し、そして革類の概観を有している。
【0004】
公知の方法では、仕上材は、先ず第一に、シリコンゴムの裏材の上に別にした状態で製造され、裏材は、仕上材の銀面構造に対応する構造化表面を有する。仕上材の製造において、最初に、最大60質量%(通常40質量%)の固体部分を含む合成分散物が、スクラップ、スプレー、ローラ塗布によって裏材上に施され、又は裏材上に成形され、そして加熱処理して安定化(stabilize)される。裏材上に施した直後、濡れた状態の合成分散物は滑らかな表面を示すが、この直後、合成分散物によって製造されたフィルムの硬化において、水分が除去されて、収縮し、分散物が裏材の構造の谷間に向かう。そして構造物の頂部(先部)では非常に薄いか又はこの条件下で不連続な仕上材が形成されるが、特に、仕上材に美しい深い銀面を与え、更に裏材にも対応して非常にはっきりした構造(組織(表面の質感))を与えなければならない場合に上述のような薄く、不連続な仕上材が形成されやすい。
【0005】
この不利な点は、特に、裏材上に薄い分散層しか施されない場合、特に、裏材が非常にはっきりした構造の場合に現れる。あるいは、乾燥の間、特に、構造化した裏材の銀面の谷に泡が発生、発達し、仕上材を裂くという他の問題が発生する。
【0006】
構造化した裏材上での仕上材の製造における更なる困難性は、通常、ポリウレタンを含み、固体部分が50質量%以上である水性合成分散物は市販されていないことと、そして、市販されている分散物の固体部分の含量が少なく、乾燥において強く収縮することである。
【0007】
このような公知の方法により個別に製造された仕上剤が、シリコンゴムの裏材から分離された場合、その構造化した表面に対向する側が仕上材の目視可能側を形成し、仕上材の銀面谷は、非常に薄い厚さしか有しないことになる。従って、刻み込みにより破断形成部が仕上材内に形成され、特にそのような仕上材が設けられた革が曲げや引っ張りを受けた時に、仕上材に目視可能な損傷を受ける。通常、このような仕上材が設けられた革が、自動車量の内装、及び室内装飾、及び履物材料に使用される場合には、上記のような損傷を受け易い。
【0008】
この不利な点を避けるために、従来では、少なくとも一つの層、通常、複数の層を仕上材と革の表面との間に設け調整を行なう必要があった。従って、分散物を最初に供給した時の収縮損失を調整するために、(同時に結合層として作用する)厚い調整層(compensation layer)を設けることは、既に示唆されている。
【0009】
従って、個々の層の間で粘着の問題がしばしば発生し、層の少なくとも部分的な分離が起こり得る。
【0010】
従って、公知の仕上材が設けられた革の考慮すべき不利な点は、特に、少なくとも一枚の調整層が内部に設けられた場合に、必要とされる通気性と通水性が存在しなくなることであり、調整層が薄い仕上材に存在するであろう孔、又は他のオープンセルを閉塞するからである。このため、仕上材が設けられた革の通気活性(breathing activity)は、否定的な影響を受ける。特に、非常に粗い銀面構造の仕上材を有する皮に、結合のために厚い調整層を設けなければならない場合、革の特性は不利になる影響を受ける。
【0011】
このように、厚い調整層によって仕上材を革に結合させる技術が、例えば、特許文献1(US−A4923732)によって公知である。
【0012】
特許文献2(US−A4751116)及び特許文献3(US−A6177148)は、同様に仕上材が複数の層によって革に結合されている革を示している。このために、複数の結合層の内、一層が仕上材の孔内に浸透し、そして孔を埋め、従って水の浸透性(通水性)が大幅に低減され、そして空気の浸透性(通気性)が実質的になくなる。この理由のため、仕上処理された革に、機械的に穴をあけることが示唆されている。しかしながら、このような機械的に製造された穿孔は、革を弱め、そして表面に汚れをもたらす。
【0013】
また、仕上材が、ポリウレタン及び架橋材を含む分散材を暖められた裏材上に供給する(施す)ことによって別に製造される基体が公知である。この分散材の供給は、スクラッピング、成形又はローラを使用した公知の方法によって行なわれるが、均一な厚さのフィルム状仕上材は製造できていない。また、公知のスプレー法による供給では、このような薄いフィルムは製造不可能である。なぜならば、銀面構造を得るために、これにより、大量の分散材を供給する必要があり、そして銀面構造の先部と谷部で異なる厚さのフィルムを形成することになるからである。
【0014】
【特許文献1】US−A4923732
【特許文献2】US−A4751116
【特許文献3】US−A6177148
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上述した不利な点を回避し、そしてその柔軟性、耐摩擦性に関して必要な特性、特に快適性に必要とされる空気と水の透過性を示す仕上材が設けられた、上述した種類の基体、及び、仕上材が溶媒を使用していない水性合成分散物から製造される基体を製造することにある。更に、本発明の目的は、ポリマー溶液で形成された仕上材を有する人工革、及び凝固した仕上材を有する人工革について、仕上材を構造化した裏材上に供給するのに、常にならし具(scraper)を使用しなければならないということを回避することにあり、特に、この仕上材が、異なる厚さになるという不利がある場合に、上記目的が該当する。凝固したポリウレタンからなる仕上材が、燃えているタバコに接触した場合、この仕上材の表面は特に損傷を受ける。更に、このような仕上材は耐溶媒性ではない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を解決するために、本発明は、仕上材が、その厚さ全体に伸長する貫通した毛細管を有し、及び銀面頂部の領域と銀面谷部の領域で本質的に同じ厚さを示し、及び、その上の1層の薄い結合層を介して基体と結合していることを提示するものである。貫通毛細管を配置するために、銀面頂部部の領域と銀面谷部の領域の両方において、単一の薄い結合層のみが設けられた場合には必要とされる空気と水の透過性は相当に改善され、これと同時に、仕上材の全体が確実に実質的に同一の厚さを有し、仕上材には弱い部分がなく、そして全部位において同一の強度を有し、基体に曲げや張力がかかる場合にも仕上材には損傷が発生しない。必要とされる通気性と通水性を達成するために、仕上材が設けられた基体に機械的に穿孔することは、基体を弱くし、このため、本発明の基体の実施の形態の場合には必要とされない。
【0017】
ここで、更なる有利な点は、本発明に従う方法で、いわゆる「低吸水性革」が仕上られることであり、この「低吸水性革」では、これら革が息をしており、従って、通気性及び通水性である。一方、水分を大量に蓄積する場合、例えば、雨の場合には、機械的に穿孔された革とは対照的に、水は革を通過できない。
【0018】
毛細管は、0.005mm〜0.05mmの範囲、好ましくは0.009mm〜0.02mmの範囲で、異なる断面を有していることが適切であり、100cm2の表面上に、少なくとも100本の毛細管、好ましくは少なくとも250本の毛細管が設けられ、そして毛細管が実質的に直線状に伸びている場合に、最適の状態が結果として得られるものである。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態によれば、毛細管は、仕上材中に不規則に分散されており、仕上材の目視可能側が天然皮の孔構造を有している。
【0020】
本発明の更なる特徴に従い、結合層が、中断部位、又は厚さが薄くなった脆弱部を有する場合、最適な通気性及び通水性が保証される。このため、空気及び水蒸気は、実質的に妨害されることなく、仕上材中の毛細管によって形成された貫通孔、及び結合層内で毛細管と通じている中断部により形成された貫通孔(through-pore)を通過することが確実に可能になる。従って、例えば、履物にこの基体を使用した場合、足部の汗は、その人自身の着用着に取り込まれ、結合層と仕上材によって誘導される。本発明の基体を革張りした家具に使用した場合、発生する湿分は、仕上材と結合層によって基体に輸送され、そして基体に吸収される。本発明の実施の形態において、疎水処理された、2mm以上の厚さを有する革の場合であっても、DIN53333に準じ、1時間当たり1.5mg/cm2以上の通水性が達成された。
【0021】
着色対照剤(coloured contrast agent)を仕上材の表面に施し、そして孔中に引き込み、そして乾燥の後、仕上材が設けられた基体の断面写真を撮り、上述した通孔を認識可能にすることもできる。
【0022】
結合層内の中断部又は脆弱部は、好ましくは、結合層が基体の表面上に、単に部分的に配置され、連続層を形成しないことにより達成される。この場合、基体と仕上材の間の十分な結合が得られ、非常に高い通気性と通水性が結果として得られることが分かっている。更に、必要とされる柔軟性及び非常に高い耐摩擦性が達成され、特に、自動車工業の内装において、必要とされる限定要素(parameter)が満たされ、そして仕上材と基体の間の良好な粘着が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の好ましい実施の形態によれば、結合層は、点状、スクリーン状、又は格子状、つまり、網状構造を有し、従って中断部が存在する。そしてこの実施の形態では、全面を覆った、曲げに対して堅い、(通気性と通水性及び曲げ性にも否定的な影響を及ぼす)サンドイッチ構造が存在しない。特別な場合では、上述した特徴を改良するために、結合層が0.01mm〜0.05mmの範囲に最大厚さを有し、及び0.002mm〜0.01mmの範囲に脆弱部(weakened spot)を有し、これら薄い脆弱部により、良好な通気性と通水性が達成され、及びこれにより、革の曲げ性と革の表面吸着性が相当に改善される。
【0024】
基体の上面(上側)が繊維質、特に微細繊維状(ファインファイバー状)に形成された場合、結合層が主に繊維の尖った領域に配置され、仕上材が設けられた基体に荷重がかけられた時にポンプ効果を生じさせる空洞スペースがあけられることが有利である。この場合、基体の繊維状の表面と仕上材との間の十分な結合が達成され、そして必要とされる高い通気性と通水性が、特に上述したポンプ効果に起因して確保される。ここで、ポンプ効果は、このような仕上材が設けられた基体に負荷をかけることにより、例えば、仕上処理された基体が設けられたシートに座ることにより、仕上材が共に加圧され、そして仕上材の圧力除去時に吸引効果が形成され、水分が基体に迅速に吸収されることに起因する。この場合、基体の繊維状表面と仕上材との間の十分な結合が達成されることが分かっており、そして必要とされる通気性と通水性が確保され、特に上述したポンプ効果のために確保されることが分かっている。このポンプ効果は以下のことに起因する、すなわち、仕上材上に圧力をかけた場合、例えば、仕上げ処理された基体が設けられたシートに着席することにより、仕上材が一緒に加圧され、そして、仕上材の圧力除去時に、吸引効果が発生し、湿分が基体によって急速に吸収される。ポンプ効果と結びついて、高い通気性と、水蒸気の透過性を達成するために、基体の上面が研磨が研磨されるので、基体として上面欠損部を有する革を使用する場合、仕上処理された革の場合には、これらの欠損部はもはや目視不可能という有利な点も有している。
【0025】
結合層が、安定化(stabilized)したポリウレタン含有架橋合成分散物からなる場合、特に、安定化したポリエステル−ポリウレタン−分散物からなる場合が適切である。従って、ポリウレタン含有分散物が、少なくとも結晶質の、又は部分的に結晶質構造を有することが有利である。その安定化後(硬化後)であって、しかしその架橋の前に、そのような分散物を含む結合層は、熱可塑性であり、そして軟化点が非常に低く、特に分散物がなお、2%〜10%の範囲に水分を含んでいるが、触ってみて乾いていると感じられる場合にこの状態になっている。このような結合層は、この一方で基体の上面と仕上材との間の良好な結合を確実にするが、しかし、結合層は、基体上面において、繊維又は繊維ふさの間の中間スペースに深く浸透せず、そこで硬化する。そして、結合層は架橋すると耐熱性を得る。
【0026】
合成分散物が、粘着性に作用する添加剤、特に柔軟な樹脂又は柔軟なポリマー、特にアクリレートを含むことが、良好な結合を得るために有利であり、これにより、既に部分的に安定化分散物の粘着効果が改善される。
【0027】
本発明の更なる特徴に従えば、合成分散物は、直径が21μm以下のマイクロ中空球体を含むことができ、マイクロ中空球体は、基体の上面において、内部に気体を含む小さなドロップ(滴)を形成し、及び、このために、施された合成分散物の基体への更なる浸透を防止するものである。
【0028】
結合層の単位面積当たりの質量は、20g/m2〜90g/m2の範囲であることが好適であることが分かった。基体が、研磨されていない(non-polished)、又は微細にのみ研磨された上面を有する場合、単位面積当たりの質量は、20g/m2〜45g/m2の範囲であることが適切であり、基体が深く研磨された上側を有する場合、単位面積当たりの質量は、45g/m2〜90g/m2の範囲であることが適切である。
【0029】
従って、仕上材が実質的に同一の厚さを有するのみならず、略同一の構造及び同一の密度を全断面領域で有し、かつ、全ての部位で同一の強度を有し、そして仕上材が設けられた基体の曲げと張力による仕上材の損傷をもたらす弱い部分が存在しないならば、通気性及び水蒸気の透過性に関し、最適な品質が達成される。
【0030】
仕上材は、好ましくは、架橋剤を含む高い軟化点を有する安定化ポリウレタン分散物、及び架橋剤を含む、好ましくは結晶性、又は部分結晶性である低い軟化点を有する安定化ポリウレタン分散物の組み合わせから成り、分散物は架橋前に熱可塑性である。必要とされる特性は、架橋前に既にエラストマーの特性を有する耐熱フィルムとなる分散物と、粘着のための原料として使用される、好ましくは結晶性、又は部分的に結晶性の熱可塑性ポリウレタン分散物の組み合わせの最適な方法で達成される。
【0031】
本発明の更なる特徴に従えば、仕上材は、直径が21μm以下の閉じたセルを形成するマイクロ中空球体を含むことができる。
【0032】
この仕上材は、望ましくない方法で液体を蓄積する泡を有しない構造物であり、貫通毛細管によって空気と水蒸気の透過性を有する点で公知の仕上材と対照区別される。
【0033】
本発明の更なる特徴に従えば、仕上材の銀面頂部が、微視的に小さい滑らかな隆起部を有し得るが、これは仕上材の汚れを回避するか、又は低減するためであり、特に明るい色の場合に該当する。しかしながら、本発明では、仕上材の目視可能側に、外部に微細な毛が突き出ている、ヌバック 構造を設けることもできるが、これも隆起部を形成するこものである。隆起部は、3μm〜60μmの範囲の直径、好ましくは5μm〜15μmの範囲の直径を有することが適切であり、同様に、110μmの長さを有し、隙間なく配列されていることが適切である。微細な毛の概観を有することができるこれら隆起部は、隆起部の滑らかな表面にある、濡れた汚れを保持し、そして汚れは銀面頂部の間の微視的な中間スペース、又はヌバック構造に沈むことがなく、そして、これにより仕上げ材の上面の全表面に亘って、汚れが付着することを防止する。
【0034】
仕上材がその目視可能側にワックス及び/又はシリコンを含む場合、水に対する仕上材の表面張力が変化し、上記の優れた効果が更に改良される。
【0035】
更に、本発明に従えば、仕上材の目視可能側に、通気性と水蒸気の透過性を損なうことのない非常に薄い薄層(finish)を設けることが可能であり、薄層により、手触り及び光沢性が影響される。
【0036】
任意に、ポリマー含浸を行なっても良く、ポリマー含浸においては、基体として使用された革にポリマーが浸入し、そして研磨粉の結合(binding buffing dust)と銀面の安定化に寄与する。含浸は、通気性と水蒸気の透過性には影響がないため、考慮しなくて良い。
【0037】
本発明に従い、単位面積当たりの質量が、好ましくは250g/m2以上である、高強度の起毛合成織布又はニット織物が、基体の上面と反対の面、特に基体の肉側(未処理側)に設けられるが、これは、仕上処理された基体に質量感(volume)を与え、そしてその目視可能側を摘把みやすくするためである。この織布又はニット織物と基体との間の粘着性結合は、ここでは、繊維間でのみ粘着効果が作用するようになされる。この織布又はニット織物は、薄い被覆で覆うことが可能である。
【0038】
革の製造用の動物性ハイドは高価であり、このためこれらハイドは最適に使用する必要がある。このような動物性ハイドにより製造される革全体に仕上材の形成が、単一の作業工程で同時に行なわれるならば、更なる使用において、ハイドの個々の領域の異なる特性のために、相当量の浪費が結果として生じる。この浪費を可能な限り避けるために、及びハイド革の最適の使用を確実にするために、本発明に従い、このハイドから形成区分(shaped leather)が分離されることが有利であり、ここでフランク又はベリー領域の形成区分の場合には、仕上材は非常にはっきりとした銀面構造を示し、及びコア領域の形成区分の場合にはフラットな銀面構造を示す。
【0039】
基体の目視可能側に銀面構造を有する仕上材を製造するための本発明に従う方法であって、基体が、特に、研磨された上面を有する銀面革、ローン革(split leather)、又は、マイクロファイバーからなる上面を有するスエード材料であり、最初に、仕上げ材を形成するために、水性合成分散物が、シリコンゴムからなり、仕上材の銀面構造に従う表面構造を有する裏材上に施され、及びフィルム状に安定化(stabilize)され、更に、基体の上面に結合層を形成する合成分散物が施され、そして更に、この上面を有する基体が、フィルム上に配置され、そして、加圧処理と加熱処理に付される、本発明に従う方法では、その方法において、溶媒を有しないポリウレタン及び架橋剤を含む合成分散物が、105℃未満の温度を有する裏材上に施され、この合成分散物が、裏材への接触時に、直ちに安定化し、そして、水分蒸発後、0.04mm未満の均一な厚さのフィルムが形成され得る。この方法において、全体にわたって同様な厚さを有し、そして厚さ全体を貫通する毛細管を有する薄い仕上材が裏材上に製造される。
【0040】
この合成分散物は、高い軟化点を有する、架橋剤を含むポリウレタン分散物、及び好ましくは結晶性、又は部分結晶性構造を有する低い軟化点の、架橋剤を含むポリウレタン分散物の組み合わせから成り、分散物は架橋前に熱可塑性である。
【0041】
合成分散物の裏材上への適用は、非常に小さな直径を有するスプレーノズルによって製造される微細なスプレー噴霧によって、非常に少ない量で行なわれ、このため、加熱された裏材に供給する途中で、水分が合成分散物から抜き取られ、そして、いずれにおいても、この合成分散物が裏材に接触後、直ちに安定化(硬化:stabilise)し、合成分散物が構造化した裏材の銀面谷に沈むことができず、しかし、いずれにしても、全部分において均一な厚さの網状のフィルム(netting type film)を形成し、上述した毛細管が製造される。
【0042】
裏材の構造化表面は、好ましくは天然皮の銀面構造から型を取ることによって製造される。
【0043】
特に、仕上材の表面が、スエード効果を示す必要がある場合、レーザー処理によって裏材の構造化表面を製造することも可能であり、これにより、裏材の表面上に非常に微細な毛を有する構造物が製造される。この母型により、レーザー処理によって製造された仕上材の構造化表面が複製可能となる。
【0044】
ショアー硬さが、25ショアーAと70ショアーAの間である付加的に架橋されたシリコンゴムからなる裏材が使用されることが好ましい。このような裏材は、所望の方法によって圧力弾性(pressure elastic)であり、このため、続く加圧処理、及び加熱処理の間、銀面の概観が破壊されることがない。更に、付加的に架橋したシリコンゴムのレーザー処理の間、造型を困難にする遊離基が形成されず、従って、シリコンゴムに凹み(depression)が形成され、後に、仕上材において、非常に微細な毛又は非常に微細な繊維束の概観を有し、そしてヌバック効果をもたらすことになる。
【0045】
裏材は、密度が110g/cm2以上、好ましくは120g/cm2以上である熱伝導性シリコンゴムからなり、及び合成分散物のスプレー供給の間、均一な加熱に必要な良好な熱伝導性を有することが適切である。熱伝導性を増加させるために、無機充填剤を裏材に埋め込むことが可能である。裏材は、好ましくは、1mm〜3mmの範囲の厚さを有し、そして、熱伝導性の好ましくはアルミニウムからなる厚さが1mm〜3mmの範囲の支持体に結合されている。この熱伝導性支持体は、裏材上の均一な熱分散を確実にする。
【0046】
裏材の、熱伝導性支持体への結合は、本発明に従い、単一成分の接着剤を使用して行なわれ、単位面積当たりの質量が、150g/m2以下である合成ファイバーの薄いフリース材料が埋め込まれ得る。この埋め込みにより、熱伝導性が損なわれることはなく、しかし、シリコンゴムの熱膨張が強く制限される。
【0047】
合成分散物は、本発明に従い結合シートを形成するために基体の上面に施されるが、この合成分散物は、低い軟化点を有し、及び好ましくは結晶性又は部分的に結晶性のポリウレタン分散物と架橋剤から主になるもので、基体の上側に接触すると急速に安定化し、不連続結合層が形成される。しかしながら、このような合成分散物は、厚さが薄くなった脆弱部を有する結合層が形成されるようにも施され得る。このため、合成分散物の基体への供給は、仕上材を形成するために行なわれるシリコンゴムの裏材上への合成分散物の供給に類似して行なわれるが、この基体に供給する場合では、分散物は、基体の上面に接触すると、基体の水吸収のために水が引き抜かれ、上側において、(仕上材を形成するための分散物が暖められた裏材に接触する場合のように、)網状のフィルムが形成される。
【0048】
基体として使用された革が疎水処理されたもので、水が少量しか取り出せない場合、結合層を形成する分散物を施す前に革を加熱することが適切である。
【0049】
結合層を形成する分散物のために、接着剤の製造用の公知の組成が使用可能である。
この合成分散物が施された上面が、裏材上に配置された、実質的に水分を有しない網構造のフィルムの上に載せられる前に、基体の上側に供給される合成分散物は乾燥(gripping dry)されるべきであるが、しかし、なお残留水分を含んでいることが好ましく、そして、架橋がまだ行なわれていないことが好ましい。
【0050】
この後、本発明に従い、裏材上にあり、網構造を有する仕上材を形成するフィルムが、裏材と共に、フィルム上に配置され、結合層を形成する合成分散材が施された基体と共に、加圧弾性板の間に、60℃と105℃の間の温度で、及び最大5kg/cm2の圧力で加圧される。基体上のフィルムの軟化点は、仕上材を形成し及び裏材上にあるフィルムの軟化点よりも低いので、加熱下に行なわれるこの加圧の間、結合層を形成し及び基体上にあるフィルムは柔軟になり、仕上材中の毛細管が保持される。結合層を形成しているフィルムは、粘着性のものになるが、しかし液化することはなく、従って仕上材中の毛細管が結合層形成フィルムによって閉塞されることがない。そして、結合層を形成しているフィルムが流れることなく、従って、その構造を保持し、及び結合層中の中断部が保持される。このことにより、一方では、仕上材と基体の上面との間で十分な結合が確実に起こり、他方においては、必要とされる通気性と通水性が確実に確保される。
【0051】
仕上材が設けられた基体は、完全な乾燥と架橋とを目的として、仕上材が設けられた基体は、加圧の後、最終的に吊り下げた状態で残留乾燥(residue drying)に付される。
【0052】
以下に、図面を使用して本発明を詳細に説明する。図1は、シリコンゴムの裏材上に仕上材を製造するための公知の方法を断面図として示したものであり、及び図2は、公知の方法に従い製造された仕上材が設けられた革を断面図として示したものである。図3は、本発明に従い仕上材が設けられた革を断面図として示したものであり、図4は、本発明に従い仕上材が設けられた革の断面を実質的に拡大して説明したものである。図5は、仕上材の銀面頂部の断面を実質的に拡大したものである。図6は、本発明に従い、仕上材が設けられた革の更なる実施の形態を断面図として説明したものである。図7は、本発明に従い仕上材が設けられた革の更なる実施の形態を拡大断面図として説明したものであり、そして図8は、同様に、本発明に従い仕上材が設けられた(肉側(neat side)に合成織布又はニット織物が設けられている)革を断面図として示したものである。図9は、裏材上に仕上材を製造する装置の概略図であり、そして図10は、仕上材を革の上面に結合するための装置の概略図である。図11は、本発明に従い、革の上に設けられた仕上材の目視可能側を写真として示した図である。
【0053】
図1から明らかなように、シリコンゴムからなる裏材2上での仕上材1の公知の製造は、スクラップ、スプレー、ローラ供給により、又はこの裏材2の表面3を成形(cast)することにより合成分散物を供給して行なわれ、表面3は、製造されるべき仕上材の銀面構造に対応し、分散物は、図1の実施の形態の実施例中で、約55%の固体部分を含んでいる。図1に破線で示したように、直接的に供給した後、この合成分散物は平らな上面4を示す。裏材2を介して加熱することにより乾燥させた後、この合成分散物は水分が離脱して収縮し、このため、この方法で形成されたフィルムは、銀面谷部と銀面頂部を示す表面5を有するようになる。図に示されているように、裏材2から突出する銀面頂部6の間の中間スペースに合成分散物が沈むので、結果物であるフィルムは、裏材2から突出する銀面頂部6の領域において非常に薄く、破損(rupture)と損傷の危険性がある。
【0054】
図2は、図1の仕上材1が設けられた公知の革7を示している。図1で裏材2に対向する仕上材の面は目視可能側になり、図から明らかなように、仕上材1の銀面谷部8は、厚さが極端に薄くなる。この不利な点を補うために、数枚の調整層9及び10を革と仕上材1との間に設けなくてはならない。ここで、図2において例示した調整層9は、泡材からなり、そして調整層10は粘着層を形成している。比較的厚い調整層は、望ましくないことに全体の厚さを増加させ、そして、特に仕上材中に存在する孔又は孔と同等のものが閉塞され、通気性がもはや存在しなくなり、そして通水性が相当に低減される。
【0055】
図3及び図4において、本発明に従い仕上材1が設けられた革7は、特に、銀面が研磨された革又はローン革(split leather)を示している。図から明らかなように、仕上材1は、ここでは、銀面頂部の領域と銀面谷部の領域で、同一の厚さdを示している。従って厚さが薄くなった脆弱部(weakened position)は存在せず、仕上材1の安定性(stability)に悪影響を及ぼすことがない。
【0056】
図3及び図4から更に明らかなように、仕上材1は、全厚さにわたって伸びる貫通毛細管を有しており、貫通毛細管は、異なる断面を有し、実質的に直線状に伸び、必要とされる通気性と通水性を確保するものである。これら毛細管は、不規則な分布で互いに近接して配置され、これにより、仕上材1は、動物皮の孔であって0.009mm〜0.02mmの範囲の直径の断面を有する孔の概観を有する。
【0057】
仕上材1の革7への結合は、単一の非常に薄い結合層12を使用して行なわれ、結合層12は、実質的に通気性、及び通水性である。
【0058】
この目的のために、結合層12は、革7の上に部分的にのみ設けることができ、また、低減された厚さを有する脆弱部及び/又は中断部を有することができる。
【0059】
仕上材1は、安定化した分散物からなり、少なくとも部分的に結晶性構造を有するポリウレタンと架橋剤の部分を有し、そして全断面領域で、実質的に同一の構造及び同一の厚さを有している。
【0060】
銀面構造を有する仕上材1の表面の銀面頂部を大きく拡大した図5の右側に見られるように、仕上材1の銀面頂部は、超微細(ミクロスケール)で、密接して配置された、滑らかな隆起部13を設けることができ、隆起部13は、5μm〜15μmの範囲の直径の微細な毛の状態を取り得、又は非常に微細な繊維束の状態を有することができ、及び最大長さが110μmである。これらの隆起部は、特に濡れた状態の汚れを滑らかな表面に残し、そしてこの汚れが銀面頂部の間の空洞スペース間に沈むことがないように作用する。これにより、公知のロータス効果(lotus effect)が所定の範囲で利用され、そして汚れ(ごみ)が表面に完全に固定される。
【0061】
シリコンゴムの裏材2に隣り合う仕上材の領域、従って目視可能側を形成する領域が、ワックス又はシリコン等の、水に対する仕上材の表面張力を変化させる少量の物質を含む場合、これは同一の目的に作用する。
【0062】
図6は、革がスエード状の上側14を有する本発明の実施の形態の拡大断面を示した図であり、この実施例は、銀面革を使用した場合、研磨された銀面側が形成され、ローン革を使用した場合、微細に研磨された銀面側が形成されるものである。繊維又は繊維束15は上側14から突き出ており、繊維又は繊維束15の間で空洞スペース16が空けられている。上側14には、多孔性仕上材1が設けられている。多孔性仕上材1は、構造化表面を有する裏材上に施されており、裏材は、シリコンゴムからなり、及びこれを加熱することにより同一の安定化した合成分散物が形成されるものである。仕上材1は、貫通毛細管を有しているが、図示していない。仕上材を革7から機械的手段又は化学的薬品で取り外し、そして光源に対して軽く伸ばして保持することにより、これら毛細管により形成された孔構造は、容易に認められる。
【0063】
同図に示したように、仕上材1の革の上面14への結合は、単に部分的に配置された、及び、特に繊維又は繊維束15の尖った領域に配置された結合層12によって行なわれ、このため、繊維又は繊維束15の間の空洞スペース16が実質的に閉塞されずに維持される。このように高い通気性及び通水性が形成され、更に、仕上材5が設けられた革7に圧力を加えることによってポンプ効果が発生し、通気性及び通水性が更に改善される。
【0064】
本発明の対象物を部分的に拡大した図6から明らかなように、結合層12は、実質的にスエード状上面14の上に配置されており、スエード状上面14は、研磨されたローンスエード革(split suede leather)の特徴的概観を有し、仕上材1を施す前に、いわゆる「チョーキング効果(chalking effect)」を有するものである。結合層12は、繊維又は繊維束15上部領域に集中し、そして、部分的に側部領域に集中し、場合によっては、結合層12の少ない部分だけが、繊維又は繊維束15の間の空洞スペース16の底部に配置されているが、しかし、底部の結合層は、繊維又は繊維束15の上部領域と側部領域の結合層12がつながっておらず、従ってこの間に空気室が形成される。
【0065】
図7は、全厚さに亘って貫通毛細管11が伸びている仕上材1が設けられた、銀面が研磨された銀面革7、又は上面が研磨されたローン革7を示している。仕上材1は、ポリウレタンを含み、安定化し、架橋した合成分散物からなる。そして、仕上材1は、構造化表面が設けられたシリコンゴムで形成された(暖められた)裏材上に、水性ポリウレタン分散物をスプレー噴霧の状態で施すことによって、分離した状態で製造されており、この場合、噴霧は、裏材に接触直後直ちに安定化し、必要とされる貫通毛細管11が安定化した分散物内に形成される。
【0066】
このように分離されて製造された仕上材1は、その安定化の後に、革7の上側に施された結合層12によって、革7の上面に結合される。図7に示した実施の形態において、この結合層12は、点状、スクリーン状、又は格子状、加えて網状構造を有しており、従って、革7の上面と仕上材1との間において、個々の部位又は点でのみ結合状態が形成され、そしてその間に中断部17が形成されるが、中間部17は、仕上材1内の毛細管11と通じており、従って、必要とされる通気性と水蒸気透過性が確保される。
【0067】
網状構造を形成する中断部17は、所望の形態を取ることができ、そして、例えば、まる状、長方形状、又は線状、及び他の何れの適切な形状に形成され得る。
【0068】
図8に示した実施の形態おいては、このような中断部17が結合層12に設けられるだけでなく、結合層12の他の部分よりも相当に薄い脆弱部18も有しており、これら脆弱部18により、通気性と通水性が相当に増加し、そして、曲げ性(bendability)と、革の上面と仕上材との間の粘着性が改善される。
【0069】
ここで、結合層17(12)は、最大厚さを0.01mm〜0.05mmの範囲に有し、脆弱部18が僅か0.002mm〜0.01mmの範囲の厚さを有していることが適切である。
【0070】
図8に示した実施の形態において、革7の肉側19には、突出した繊維(起毛:projecting fiber)を有する顕著な格子状(strongly grid like)の合成織布又はニット織物(ニット製品)21が設けられており、合成織布又はニット織物21は、薄い被覆材(20)で被覆可能である。従って、仕上処理された革に更に容量(volume)が設けられる。
【0071】
未処理(fresh)側と織布又はニット織物との間の結合は、繊維間にのみ接着効果が作用するように、接着剤によって行なわれる。
【0072】
このような実施の形態は、本発明に従い革から形成された履物を製造するための形成区分に特に有利である、何故ならば、この場合、多孔性の薄い被覆が裏張り材料として作用し、そのような裏張り材料を別に調達する必要がないからである。靴に適用した場合、革の通水性が大きいため、発生した足部の汗が排出され、通気性が大きいため、靴内部が通気され、本発明の革を自動車量のシート及び革張り家具に使用した場合、発生した水分が、仕上材を経て革を通り、吸収される。
【0073】
網状構造(netting structure)を形成する、仕上材1内に設けられた貫通毛細管11は、照明法により、45倍の拡大下、及び25%の伸長下に明確に識別された。仕上材の結合層12からの機械的又は溶媒を使用した化学的除去において、仕上層は、既に16倍に拡大され、そして、結合層12は、厚肉部と脆弱部との両方を有し、脆弱部においても孔が形成された中断部が形成されていたことが認められた。分離した仕上材について、加圧力2kg/cm2において仕上フィルムは、0.06mmの最大厚さを有していた。
【0074】
全実施の形態について、仕上材1と結合材12の両方に、21μm以下の直径を有するマイクロ中空球体を設けることが可能である。
【0075】
本発明の革は、通気性及び水蒸気の透過性に関して、セミアニリン革と類似又は等しい特性を有しており、そして、機械的に穿孔された革よりも優れており、しかし、その目視可能側は、機械的に非常に良好な耐加重性があり、良好な耐光性であり、良好な耐汚れ性を有するものでもある。
【0076】
本発明は、特に、牛革に適用可能であり、しかし又、銀面側が研磨された豚、子牛、ヤギ、及び羊革に適用可能であり特にこのような革が履物の製造に使用された場合、更に基体として合成スエード材料に使用された場合適用可能である。
【0077】
仕上材1の製造を、図9を用いてより詳細に説明する。その構造化された表面3が製造されるべき仕上材の銀面構造に対応する圧力弾性裏材2が、アルミニウムシートの伝熱支持板23に結合して固定されており、そして加熱装置によって裏材2が加熱され、裏材2の表面3が約80℃になる。裏材2が矢印26の方向に動く間、直径が小さなスプレーノズル24によって、加熱表面3上に微細なスプレー噴霧25の状態のポリウレタン分散物が施される。遅くとも、裏材2の暖かい表面3に接触した時に、水分の離脱によりスプレー噴霧24の安定化が起こり、従って、毛細管11を有する薄い網状(net type)のフィルムが裏材2の上に形成される。このフィルムが手感触で乾燥状態(grip dry)とされた直後、その上面に結合層12を形成する合成分散物が施されている革7が施されるが、革7は、その上面をフィルム上に配置し、そして、図10に示した加圧器内で一緒に加圧される。これは、加熱要素29が埋め込まれている2枚の金属加圧板27、28を含んでいる。加圧板27、28は、支持部30で液圧可動状態で支持されている。
【0078】
上部加圧板27には、圧力弾性層31が設けられている。結合層12を有している革7の上面を、裏材2の上に配置された仕上材1上に位置させた状態で、革7は裏材2と共に加圧板27、28の間に配置され、この状態で、板を加圧し、3.5kg/cm2の制御可能な圧力が施され、そして同時に加圧板27、28が制御可能な約90℃の温度にまで加熱される。一方において、圧力弾性支持部31のために、そして他方において裏材2の加圧弾性構造のため、加圧を施している間、仕上材1内の毛細管11及び、結合層12内の中断部は保持され、そして更に、必要とされる通気性と通水性が確保される。
【0079】
図11は、裏材2の上に製造された、本発明に従う革が有することになる仕上材の写真を示している。右側区分Aは、写真を撮るときに、照明源を使用して照明されており、そして仕上材が網状の構造を有し、つまり貫通毛細管を有していることを明確に示しており、下面がカバーされている左側区分Bは、仕上材の銀面構造を明確に示している。
【0080】
以下に、基体として革を使用した本発明の例について説明する。しかしながら、革が設けられた位置には、基体として合成ベルベット材料も使用可能である。
【0081】
実施例1
厚さが約1.2mm、及び大きさが210m2の、クロムでなめしたグレーの低曇り性の子牛皮を、砥粒(grain)280の紙やすりを使用して軽く研磨したが、この研磨は、毛穴が実質的に保持されるように行なわれた。この革は、その後6時間たたかれた。
【0082】
ポリウレタン分散混合物は、88g/m2の量で、シリコンゴムの圧力弾性裏材上に、約2mmの厚さで施された。裏材は、接着により、その裏側で、厚さが1.5mmのアルミニウムシートの支持板に結合されており、そして裏材は天然の全銀面の子牛革にネガティブに対応する構造化表面を有しており、全域にわたり91℃の温度を有していた。分散混合物は、軟化点が195℃であり、分解温度が溶融温度よりも低いので、水分を分離後、溶解させることができない680gの熱可塑性ポリウレタン分散物と、及び軟化点が62℃、溶融点が約95℃であり、そして粘着点が、乾燥直後しかし架橋前の約55℃で開始される250gの微粒子状の熱可塑性分散物とから主になる。
【0083】
更に、この分散混合物は、分散物のポリウレタン固体材料部分に対し4質量%の80%ポリイソシアネート架橋剤、ポリマー性固体材料部分に対して8.5質量%のブラックピグメント、固体部分が約45%である2.5質量%のシリコン処理緩和剤(silicone handle modifier)、直径が21μm未満の、全質量に対して1質量%のマイクロ中空球体、0.5質量%の粘性剤(thickener) (アクリルベース)を有している。この混合物は、約35質量%のポリマー固体材料部分を有している。供給は、空気を混合することなく、65バールの圧力で、それぞれ各0.46mmの直径を有する2個のスプレーノズルで行なわれた。
【0084】
縦に並んだ状態で配列された両スプレーノズルは、移動方向に走行する裏材から80cmの間隔をおいて、同様に、互いに間隔をおいて配列されており、そして、この移動方向を横切るように動く。裏材は、子牛革よりも幾分大きい。約14秒後、裏材は、2個のスプレーノズルを有するスプレーステーションを通過し、そして、なお、約59℃の温度を有していた。85℃の乾燥した暖かい空気を2分間施した後、網状フィルムからなる仕上材は水を有しておらず、又はほとんど水を有していなかった。
【0085】
これと同時に、同様に空気を混合せずに、ノズル直径が0.52mmの2個のスプレーノズルで、ポリウレタン混合物を含む分散物が、約80°のスプレー角度で革上にスプレーされる。供給量は90g/m2湿分である。この量のスプレー供給において、微細な水滴(水分)が、多くの連続的な毛細管を有する網状構造が形成されている革の上に達し、灯心材作用(wicking effect)により、多量の水分が奪われる。また、スプレー被覆物は、熱を供給することなく、3分間、手感触で判別できる程度に乾燥され、そして熱可塑性結合層を形成し、そして革は、結合層と共に、好ましくはまだ暖かい裏材の上になお位置している仕上材の上に配置可能となり、そして加熱された加圧器内の圧力弾性支持体の間で、この仕上材と結合される。
【0086】
加圧により熱は、急速に吸収され、そしてアルミニウムで形成された支持板の良好な伝熱性のために、熱可塑性結合層を通る。加圧加熱板の温度が90℃、圧力が革において2バール、及び重ねられた革と裏材の温度が48℃において、加圧下の滞留時間は、25秒以下で良い。暖められたアルミニウム板は、熱だめ(heat sink)として作用しそして、スプレー処理の間、連続的に熱を裏材に放射するので、裏材の圧力弾性表面とアルミニウムの支持体との間の結合は、加圧の間に有利であるのみならず、スプレーの間においても有利である。
【0087】
結合層を形成する熱可塑性ポリウレタン分散混合物は、基本的に、軟化点が62℃、及び粘着開始温度が約55℃である700gの微細なポリウレタン分散物、180gの非常に柔軟なポリアクリレート、軟化点が約170℃である200gのポリウレタン、全組成に対して9質量%の架橋剤、3質量%のブラックピグメントからなる。完成した革は、研磨(polish)後、その前とほぼ同程度の柔軟性を有していた。完成した革は、3.6mg/cm2.hの水蒸気透過性を有し、そして高い通気性を有し、口で吹き抜くことができた。
【0088】
実施例2
厚さが1.10mm〜1.25mmの範囲で、大きさが5.2m2である、クロムを使用せずになめした低雲り性ブラック子牛革を、砥粒(grain)150の紙やすりを使用して、その銀面を研磨し、そして次に12時間、ミルにかけた(たたいた)。ミル処理の後、フランクは、多孔質(spongy)で、皮が二重になり(double skinned)、そして、公知の方法でのハイド全体を研磨した(仕上げ処理した)が、研磨後約50%の領域が、微細さが中程度の微細さの表面の形成には使用不可能のものとなった。
【0089】
ミル処理の後、なお、幾分かの銀面が固定されており、微細さが中位の成形物である仕上物に適当であったハイドの芯部分は、1.95m2であった。この部分をハイドから除去して製造した。
【0090】
その構造化表面が、中位の微細ナパ構造にネガティブに対応する90℃に加熱された裏材上に、実施例1に記載したスプレーノズル3個を使用して合成分散物が135g/m2の量で施され、仕上材を形成する網状フィルムが形成された。
【0091】
分散物の混合物の組成で実施例1に与えたものとは異なる点は、単に、680gの箇所に非熱可塑性ポリウレタンが580gだけ、及び250gの箇所に熱可塑性ポリウレタン350gが使用されたものである。
【0092】
アルミニウムの支持板が裏材に熱を伝えるので、全体的のスプレー処理の間、裏材の表面は、暖かであった。
【0093】
ほぼ同時に、実施例1に記載した革の芯部分は、その上に結合層を形成するために合成分散物がスプレーされる、約39℃に暖められた、実施例1に記載した裏材上の配置され、そして一緒に加圧された。加圧処理の後、革は、吊るされた状態で30分保管され、そして、パレット上に配置された。製造された表面は、漏斗状(funnel type)のつぶれた部位は見られず、多数の貫通毛細管は、存在するが観察されなかった。水蒸気透過性は2.9g/cm2.hであった。口で空気を革に吹き通すことができた。
【0094】
実施例3
乗り物のシート用に粗く形成された区分が、スポンジ質の革フランクから打ち出された。第一段階で、2個のスプレーノズルを使用して、実施例に記載されたものと同一の混合物が同一の量で、95℃に加熱されたシリコンゴムの圧力弾性裏材上にスプレーされた。この裏材の構造化表面は、非常に粗い銀面にネガティブに対応し、そして銀面頂部と銀面谷との差は、平均して0.05mmであった。これにより、銀面頂部上と銀面谷部中の両方で均一な厚さの、仕上材を形成する網状フィルムが形成された。この後、実施例2に記載した混合物が60g/m2の量で、スプレーノズルを使用して、裏材上に配置され約65℃の暖かいフィルム上にスプレーされた。このスプレー供給は、第一の暖められた層に達した特に固まり、そして銀面頂部の領域と銀面谷部の領域で均一な第一の層と共に安定化する。均一に走行するローラーを使用することにより、実施例1に従う、熱可塑性分散物で形成された結合層が、約55g/cm2の量で革の上に施されたが、主に厚い部位と薄い部位を有する、つながったフィルムが形成された。配置と加圧は、共に実施例1に記載したように行なった。
【0095】
仕上処理された革は、もはやスポンジ状ではなく、柔軟であり、及び水蒸気の透過性が1.9g/m2で、空気を吹きぬくことができた。
【0096】
実施例4
厚さが1.2mmと1.3mmであり、大きさが1.6m2の、微細に研磨した子牛革を、実施例2に記載したように製造した。その仕上処理後、革は、空気を吹きぬくことができる程の通気性を有し、そして仕上処理前とほぼ同程度の柔軟性を有していた。
【0097】
実施例5
ヌバック状の仕上材を有する革を製造するために、その粗い表面に加え、微細な窪みを有しているシリコンゴムの裏材を使用した。ヌバック型の効果を形成するための窪みは、裏材の表面をレーザー処理することによって導入された。
【0098】
固体部分が約25%の、特に微細な低粘性のポリウレタン分散物が、高圧スプレーノズルを使用して、40℃の暖かい裏材上にスプレーされたが、裏材は、アルミニウムシートの支持板に結合されていた。分散物は、80質量%以上が非熱可塑性ポリウレタン及び、5%の架橋剤、及び4%の60%シリコン乳濁液及びピグメントをからなっていた。供給量は、約60g/m2であった。この後、シリコン裏材は60℃に加熱され、そして裏材の上に、ポリウレタン分散混合物が、2個スプレーノズルを使用して、実施例1に記載したように施された。この両方の分散物供給は、微細な網状構造を有する仕上材を形成した。
【0099】
銀面が砥粒(grain)320の紙やすりを使用して研磨され、及び8時間ミル処理されたクロムなめし革(牛革)が、乗り物のシートのために形成区分に切りとられた。実施例1に記載したように、この形成区分上に結合層が供給された。一緒にしての加圧が実施例1に記載したように行なわれた。完成した革は、美しい、手触りの良いヌバック表面を有しており、そして、自動車両工業の全てのパラメータを満たしていた。完成した革は、通水性であり、及び口で空気を吹きぬくことができた。
【0100】
架橋が完了後、本発明に従う基体により、通気性と水蒸気の透過性のみならず、機械的強度特性、特に耐磨耗性と耐傷(scratch)性が相当に改善されることが分かったが、特に、特に、仕上材の形成のために、公知の非熱可塑性ポリウレタン分散物、及び粘着性開始材料として公知のポリウレタン分散物が適用される場合に、このことが該当する。100cm2の面積を有する、このような種の製造された基体では、2バールの圧力で、10l/分の空気が吹き抜けられることがわかった。
【0101】
このような分散物を混合することにより、必要とされる軟化点が変化するのみならず、他の特性も改善される。
【0102】
本発明に従う基体は、公知の基体と比較して、基体を製造するために使用される方法に関わらず、(仕上材が同等の厚さにおいて、)本質的に高い通水性と高い通気性を示すが、このことは、仕上材が同等の厚さである他の基体には見られないものである。これら基体は、US自動車工業によって規定された必要とされる、MEKと結び付いたCROCKMETERTESTも満たしている。MEKは、表面を損傷することなく、及び色を変化させることなく、基体の孔を通る。
【0103】
非常に微細な毛を有するヌバック表面を有する仕上材が設けられた基体は、実際のヌバック革とは対照的に、自動車両工業によって規定された全てのパラメーターを満たす。これらは手入れが容易である、すなわち、脂汚れせず、粒状状態(mat)を維持し、合成ヌバックとは対照的に、燃えることなく、そして耐温度性及び耐溶媒性である。
【0104】
実施例6
ヌバック効果を有する微細繊維(ファインバイバー)を有するマイクロファイバーからなる、織物の基体と微細繊維スエード状表面を有する革の両方を製造するための手順は以下の通りであった。ここで、この手順により、異なる基体を有する両材料が後に同一の表面を示すことになるが、両材料は、乗り物に関連して、又は革張り家具カバーとして加工されるものである。
【0105】
裏材は、シリコンゴムからなり、そしてヌバック構造に対してネガティブであった。すなわち、裏材は、表面が粗く、そして非常に微細な毛又は非常に微細な繊維束を形成することになる穴(孔)を有していた。これら穴は、レーザーを使用して、裏材にびっしりと施されている。シリコン表面のネガティブ構造を合成箔の上にポジティブに移すために、合成物質材料を使用して、このシリコンゴムの裏材のネガティブ表面を、箔(foil)状に被覆した。この合成箔は、順次ヌバック構造が含まれるシリコン裏材を形成するための母型として作用する。本発明に従い、レーザー処理による形状は、母型によって複製されるので、母型の作成は、シリコンゴムの各裏材をそれぞれレーザー処理する必要がないという利点を有している。
【0106】
裏材は、2mmの厚さを有し、そして、接着材によってアルミニウムシートに結合されており、長さ2m及び幅1.5mであった。裏材は、66℃の温度にまで加熱され、そして実施例1で説明した条件下であった。
【0107】
革と、空洞スペースが硬化したポリウレタンで詰められ、マイクロファイバーが突出することによりスエード状の表面を有しているマイクロファイバーのフリース材料に、実施例1に記載したように合成分散物を同時にスプレーし、約5分後、つまり手で触って乾燥状態にまで処理された後、これら基体は暖かい裏材上に配置され、そして実施例1に記載したように加圧した。
【0108】
約15秒後、材料は、加圧器から取り出された。取り出した材料は、ヌバックの特徴的な効果を示している、突出する毛を有する高品質のヌバック効果を有していた。
【0109】
ヌバック材料は、両方とも、吹き抜くことが可能であり、そして、架橋後、材料が損傷することなくタバコをその上に押し付けることができた。この材料は、表面が損傷することなく、多くの溶媒、特に、ベンゼン及びMEKと接触させることができた。
【0110】
両材料は、明確なポンプ効果を有していた、すなわち、短い期間に圧力により、負荷がかけられ、負荷が除去されて、供給された水滴が仕上材を通って基体に浸入するものである。ヌバック型の表面を有する両材料は、実際のヌバック革と比較して脂汚れしないという有利な点を有している。表面上に施された緩和状態(relieved)の水滴は、ポンプ効果なしに2分以内に表面内に侵入した。
【0111】
スプレーの前に、合成基体材料は、常にウェブから形成区分又は粗形成区分に切り取られる。
【0112】
これにより、相当に有利な点は、革と微細繊維を有する織物の基体が、同一のヌバック表面で仕上られることであり、そしてこれらが組み合わせて加工されたならば、色、手触りが最適に適合され、及び共通の成熟度(age)を示す、すなわち、長い期間の経過後に、両方の材料が同一の概観を示すことである。
【0113】
本発明に従うヌバック効果、又は銀面効果は、スエード効果よりも高品質である。本発明の範囲内において、固まった、及び研磨したマイクロファイバーフリース、例えば、スエード効果を有するAlcantaraに、最適の高品質のヌバック仕材を設け、温度に対する安定性の欠乏や、汚れ性等の不利な点を解消することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】シリコンゴムの裏材上に仕上材を製造するための公知の方法を断面図として示した図である。
【図2】公知の方法に従い製造された仕上材が設けられた革を断面図として示した図である。
【図3】本発明に従い仕上材が設けられた革を断面図として示した図である。
【図4】本発明に従い仕上材が設けられた革の断面を実質的に拡大して説明した図である。
【図5】仕上材の銀面頂部の断面を実質的に拡大した図である。
【図6】本発明に従い、仕上材が設けられた革の更なる実施の形態を断面図として説明した図である。
【図7】本発明に従い仕上材が設けられた革の更なる実施の形態を拡大断面図として説明した図である。
【図8】本発明に従い仕上材が設けられた、肉側に合成織布又はニット織物が設けられている革を断面図として示した図である。
【図9】裏材上に仕上材を製造する装置の概略図である。
【図10】仕上材を革の上面に結合するための装置の概略図である。
【図11】本発明に従い、革の上に設けられた仕上材の目視可能側を写真として示した図である。図11の右側区分Aは、仕上材の網状の構造を有し、つまり貫通毛細管を示した図であり、左側区分Bは、仕上材の銀面構造を明確に示した図である。
【符号の説明】
【0115】
1 仕上材
2 裏材
3 表面
4 上面
5 表面
6 銀面頂部
7 革
8 銀面谷部
9 調整層
10 調整層
11 貫通毛細管
12 結合層
13 隆起部
14 上側
15 繊維又は繊維束
16 空洞スペース
17 中断部
18 脆弱部
19 面
20 被覆材
21 織布、又はニット織物
23 支持体
24 スプレーノズル
25 スプレー噴霧
26 矢印
27 加圧板
28 加圧板
29 加熱要素
30 支持部
31 圧力弾性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体(7)の目視可能側に、銀面構造を有する仕上材(1)を備え、基体(7)の上面がスエード状ファインファイバーを形成し、特に、上面が研磨された銀面を有する銀面皮、又は上面がマイクロファイバーからなる合成スエード材料である基体(7)であって、
仕上材(1)が、安定した合成物質分散物からなり、及び銀面構造に対応する構造化表面(3)を有する裏材(2)上に製造され、及び基体(7)の上面に供給された、安定したポリウレタンを含む合成物質分散物からなる結合層(12)を介して、基体(7)と結合し、
仕上材(1)が、その厚さ全体に伸長する貫通した毛細管(11)を有し、及び銀面頂部(6)の領域と銀面谷部(8)の領域で本質的に同じ厚さ(d)を有し、及び、1層の薄い結合層(12)を介して基体(7)と結合していることを特徴とする基体。
【請求項2】
毛細管(11)が、異なる断面を有することを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項3】
毛細管(11)が、仕上材(1)内で不規則な分布で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項4】
毛細管(11)が、0.005mm〜0.05mmの範囲、好ましくは0.009mm〜0.02mmの範囲の直径を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の基体。
【請求項5】
仕上材(1)が、100cm2の領域上に、少なくとも100本の毛細管(11)、好ましくは少なくとも250本の毛細管(11)を有していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の基体。
【請求項6】
毛細管(11)が、実質的に直線状に延在していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の基体。
【請求項7】
結合層(12)が、中断部を有していることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項8】
結合層(12)が、薄い厚さの脆弱部(18)を有していることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項9】
結合層(12)が基体(7)の表面に、部分的にのみ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項10】
結合層(12)が、点状、スクリーン状、又は格子状、好ましくは網状構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項11】
結合層(12)が、0.01mm〜0.05mmの範囲の最大厚さを有し、及び0.002mm〜0.01mmの範囲の厚さに脆弱部(18)を有していることを特徴とする請求項8に記載の基体。
【請求項12】
その上側(14)が、繊維状、好ましくは微細繊維状に形成されており、及び結合層(12)が、主に繊維の尖った領域に配置され、これらの間で、ポンプ効果を生じさせる空洞スペース(16)が空けられることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項13】
結合層(12)が、安定化ウレタン含有架橋合成分散物からなることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項14】
結合層(12)が、安定化ポリエステルポリウレタン分散物からなることを特徴とする請求項13に記載の基体。
【請求項15】
ポリウレタン含有分散物が、少なくとも部分的に結晶構造を有するか、又は部分結晶構造を有することを特徴とする請求項13に記載の基体。
【請求項16】
合成分散物が、粘着が作用する添加剤、例えば、柔軟な樹脂、又は柔軟なポリマー、特にアクリレートを含むことを特徴とする請求項13に記載の基体。
【請求項17】
結合層(12)が、泡構造を有することを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項18】
結合層(12)が、21μm以下の直径を有するマイクロ中空球体を含むことを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項19】
結合層(12)が、20g/m2〜90g/m2の範囲に単位面積当たりの質量を有することを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項20】
仕上材(1)が、全横断面領域で、略等しい構造、及び略等しい密度を有していることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項21】
仕上材(1)が、架橋剤を含む、高い軟化点を有する安定化ポリウレタン分散物、及び架橋剤を含む、低い軟化点を有する、好ましくは結晶性又は部分結晶性の、硬化ポリウレタン分散物の組み合わせから成り、架橋前に分散物が熱可塑性であることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項22】
仕上材(1)が、21μm未満の直径を有する、閉じたセルを形成するマイクロ中空球体を含むことを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項23】
仕上材(1)の銀面頂部(6)が、微視的に小さい滑らかな隆起部(13)を有することを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項24】
仕上材(1)の目視可能側が、ヌバック構造を有し、ヌバック構造から外部に微視的な隆起部を形成する微細な毛が突き出ていることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項25】
隆起部(13)が、3μm〜60μmの範囲、好ましくは5μm〜15μmの範囲の直径、を有し、及び110μmの最大長さを有することを特徴とする請求項23又は24に記載の基体。
【請求項26】
仕上材(1)の目視可能側に、ワックス及び/又はシリコンを含むことを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項27】
仕上材の目視可能側に仕上薄層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項28】
仕上材(1)が設けられた上面に対向する側の面(19)に、突出する繊維を有する顕著な格子状の合成織布、又はニット織物(21)が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項29】
織布、又はニット織物(21)が薄い被覆材(20)によって覆われていることを特徴とする請求項28に記載の基体。
【請求項30】
形成区分からなることを特徴とする請求項1に記載の基体。
【請求項31】
ハイド皮のフランク又はベリー領域の形成区分からなり、及び強い印象的な銀面構造を有する仕上材を有することを特徴とする請求項30に記載の基体。
【請求項32】
ハイド皮のコア領域の形成区分からなり、及び平らな銀面構造を有する仕上材を有することを特徴とする請求項30に記載の基体。
【請求項33】
基体(7)の目視可能側に、銀面構造を有する仕上材(1)を備え、基体(7)の上面がスエード状ファインファイバー形成する基体(7)の製造方法であって、
第一に、仕上材(1)の形成のために、仕上材(1)の銀面構造に対応する構造を与えられた表面(3)を有する、シリコンゴムで形成された裏材(2)の上に、水性合成分散物が施され、及びフィルム状に硬化され、更に、基体(7)の上面に、結合層(12)を形成する合成物質分散物が施され、及び、更に、この上面を有する基体(7)をフィルム上に配置し、及び加圧処理と加熱処理が施される、
溶媒を有しないポリウレタン及び架橋剤を含む合成分散物が、裏材(2)で105℃未満の均一な温度を有しつつ、合成分散物が裏材(2)の上に接触した時に、直ちに安定化し、及び水の蒸発後、0.04mm未満の厚さの均一な厚さの網構造を有するフィルムが形成されるように施されることを特徴とする基体の製造方法。
【請求項34】
高い軟化点を有する架橋剤を含むポリウレタン分散物、及び低い軟化点を有する、好ましくは結晶性、又は部分結晶性架橋剤を含むポリウレタン分散物の組み合わせから成る合成分散物が使用され、架橋前に分散物が熱可塑性であることを特徴とする請求項33に記載の基体の製造方法。
【請求項35】
合成分散物が、小さな直径を有するスプレーノズル(24)によって製造される、スプレー噴霧を使用して加熱された裏材(2)上に施されることを特徴とする請求項33に記載の基体の製造方法。
【請求項36】
スプレー施与が、空気を混合することなく、直径が0.04mm未満のスプレーノズル(24)を使用して、40バール〜100バールの範囲の圧力で行なわれることを特徴とする請求項35に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項37】
裏材(20)の構造化表面(3)が、天然革の銀面構造を型に取ることによって製造されることを特徴とする請求項33に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項38】
裏材(2)の構造化表面(3)が、レーザー処理によって製造されることを特徴とする請求項33に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項39】
レーザー処理によって製造された裏材(2)の構造化表面(3)が、母型によって複製されることを特徴とする請求項38に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項40】
ショアー硬さが、25ショアーA〜70ショアーAの範囲である付加架橋されたシリコンゴムからなる裏材(2)が使用されることを特徴とする請求項33に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項41】
密度が、110g/cm3を超過、好ましくは120g/cm3を超過するである熱伝導性シリコンゴムの裏材(2)が使用されることを特徴とする請求項33に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項42】
無機充填剤が埋め込まれている裏材(2)が使用されていることを特徴とする請求項41に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項43】
アルミニウムからなることが好ましい金属支持体(23)を用いた、接着によって結合されている裏材(2)が使用されることを特徴とする請求項33に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項44】
支持体(23)が、厚さが1mm〜3mmの範囲であるアルミニウムシートからなることを特徴とする請求項43に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項45】
裏材(2)の金属支持体(23)への結合が、単一成分のシリコン接着剤を使用して行なわれ、単位面積当たりの質量が、150g/m2未満である合成ファイバーの薄いフリース材料が埋め込まれることを特徴とする請求項43に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項46】
合成分散物が基体(7)の上側に施され、前記分散物が本質的に低い軟化点を有する、好ましくは結晶性、又は部分結晶構造を有するポリウレタン分散物及び架橋剤から主になり、及び、合成分散物が基体(7)の上側に接触すると急速に安定化し、及び非連続結合層(12)が形成されることを特徴とする請求項33に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項47】
合成分散物が、基体(7)の上面に施され、前記分散物が低い軟化点を有する、好ましくは結晶性、又は部分結晶構造を有するポリウレタン分散物及び架橋剤から主になり、及び、合成分散物が基体(7)の上面に接触すると、急速に安定化し、及び薄い厚さの脆弱部(18)を有している結合層(12)が形成されることを特徴とする請求項33に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項48】
裏材(2)上に設けられた、十分な範囲で水分を有さない、架橋構造を示すフィルム上に、結合層(12)を形成する分散物が供給された基体(7)の上面が、前記分散物が所定状態に乾燥されているがなお残留湿分を有している状態とされた直後に載置されることを特徴とする請求項33に記載の気体(7)の製造方法。
【請求項49】
裏材(2)上に設けられた、網構造を有するフィルムが、該フィルム上に配置され、結合層(12)を形成する合成分散物が供給された基体(7)と共に、60℃と105℃の間の温度、及び最大5kg/cm2の圧力で、圧力弾性板の間で加圧されることを特徴とする請求項33に記載の基体(7)の製造方法。
【請求項50】
加圧後、仕上材(1)が設けられた基体(7)が、吊り下げられた状態で、残留乾燥に付されることを特徴とする請求項49に記載の基体(7)の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−511633(P2007−511633A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538997(P2006−538997)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003986
【国際公開番号】WO2005/047549
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】