説明

伝導性制約コアを含む軽量回路板

【課題】熱特性が改良されたプリント配線板の構築を可能にするプリプレグ、積層品、プリント配線板構造及び材料及びプリント配線板を構築する。
【解決手段】1実施形態においては、プリプレグ124は、導電性及び熱伝導性をもつ樹脂で含浸された基材を含む。その他の実施形態では、プリプレグ124は、炭素を含む基材材料を有する。その他の実施形態では、プリプレグ124は、熱伝導性樹脂が含浸された基材を含む。その他の実施形態では、プリント配線板構造は、グラウンド及び/又はパワー面として作用できる導電性及び熱伝導性をもつ積層品120,122を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
連邦政府が後援する研究又は開発に関する供述
本発明に対する背景技術の一部は、NAS3−27743;NAS3−97040;及びF29601−94−C−0093という米国政府契約のうちの単数又は複数のものの下で作られたものである。従って米国政府が幾分かの権利を有する可能性がある。
【0002】
発明の背景
集積回路(IC)及びその他のコンポーネントを取付けるために、多層プリント回路板又はプリント配線板(PWB)が使用される。回路のサイズ及び重量を縮減させ、より高い周波数及びクロック速度で動作させたいとする要請により、より大きな熱を発生しそしてPWB上にさらに密に設置される、より小さなコンポーネントになってきている。リードレスチップキャリヤを用いることによりコンポーネントの設置場所を減少させることでも、さらなるサイズ及び速度の改善が達成されてきた。
【0003】
PWB上のコンポーネントの密度の増大及びコンポーネントの温度上昇の結果、熱管理の問題がもたらされた。PWBとコンポーネントの間の熱膨張率(「CTE」)の不整合は、より高い温度が生じた場合に、さらに重大になる。PWBとコンポーネントとの間のCTEの不整合は、電子デバイスの電源のオンオフ切換えによりひき起こされる熱サイクル中に破損又は疲労を結果としてもたらすことがある。リードレスチップキャリヤは、CTEの不整合が存在する場合に特にPWBからの脱離を受けやすい。はんだの継目及び接続部分は、CTEの不整合により生じる「タグオフウォー」においてひき離される傾向がある。
【0004】
以前のPWB設計では、銅−インバー−銅、アルミニウム又は鋼といったような金属制約層又はコアが回路板のCTEを低下させる目的で使用されてきた。しかしながら、これらの材料は、望ましくない重量を追加する。Jensenに対する米国特許第4,318,954号明細書は、回路板のCTEを低下させるべく軽量炭素ベースの制約層を使用する、熱サイクル環境内で使用するためのPWB設計の一例を提供している。Leibowitzに対する米国特許第4,591,659号明細書も同様に、炭素制約層が、回路板のCTEを低下させることに加えてPWB上に取付けられたコンポーネントから熱を運び去るための熱伝導体としても役立つことができる、ということを示している。Jensenに対する米国特許第4,318,954号明細書及びLeibowitzに対する米国特許第4,591,659号明細書を、その全体を参照により本明細書の開示に取り込む。
【0005】
表面に取付けられたコンポーネントから熱を除去することについての従来のPWBの能力は、PWBの機能層の間の導電性を防止するのに用いられるプリプレグによって制限される。プリプレグ内に用いられる材料は、低い熱伝導特性を有する。従って、回路板の表面から熱を除去する炭素制約層の能力は、それと回路板表面の間のプリプレグの量によって制限されていた。炭素制約層内で使用される炭素材料は導電性をもち、このため、短絡及びクロストークを防ぐため、従前の構造におけるPWBの機能層が炭素制約層から電気的に絶縁されていることが必要であった。以前の設計では、この必要条件は、回路板の機能層を互いから絶縁しそして炭素制約層から絶縁するのに必要とされるプリプレグの最小量と等価である、炭素制約層と回路板表面間の距離についての下限を課している。この下限は、PWBの表面から除去されうる熱の量に対する上限であると解釈されていた。従って、従来の設計において固有のものであったPWBの表面から除去されうる熱量に対する上限を上回ると共に低いCTEを伴って機械的強度を有したPWBに対するニーズが存在していた。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
1つの態様において、本発明は熱伝導性層がPWB又はその一部分の中に具備されている構造及び方法に関する。例えば、本発明は、熱伝導性をもちかつ場合によって導電性も有する樹脂が含浸された基材からなるプリプレグ層を含むことができる。かかるプリプレグ層から積層品を形成することができ、この積層品は、プリプレグの上及び下に配置された第1の金属層及び第2の金属層を有する。または、積層品はそれ自体熱伝導性及び/又は導電性を有し、高性能プリント配線板内でのその使用を可能にすることができる。
【0007】
発明の詳細な説明
ここで図面を参照すると、図1は、本発明に従った軽量多層PWBを例示している。PWB10は、金属又はその他の導電性材料の第1層16と金属又はその他の導電性材料の第2層18の間にはさまれた炭素含有層14を含む積層品12を含む。積層品は第1のプリプレグ層20及び第2のプリプレグ層22の間にはさまれている。PWBの上部層は、金属又はその他の導電性材料24の第3層から構築される。PWBの下部層は、金属又はその他の導電性材料の第4層26を用いて構築されている。以下で規定するように、導電性層16、18、24及び26及び本明細書に記述されているその他の実施形態の対応する層は、金属又は適切な電気伝導特性をもつさまざまな金属含有組成物のうちのいずれかから作ることができる。ただし、便宜上、本明細書ではこれらの層を単に「金属」層と呼ぶことが多い。
【0008】
積層品12は導電性を有し、そのためPWB内のグラウンド面、PWB内のパワー面又はPWB内のグラウンド面及びパワー面の両方としてこの積層品を使用することができ、ここで、積層品の一部を電気的に絶縁するためにルーティングが使用される。PWB内で積層品12を使用すると、結果としてPWBは、CTEを低下させるために電気絶縁された炭素含有層を利用する以前のPWB設計に比べて薄くかつ少ない重量を有するものとなる。PWB10の厚みを低減することで、電気絶縁された炭素制約層を利用するPWBよりも回路板表面に近いところに炭素含有層14を配置することも可能となる。この構成の利点は、それが以前の設計に比べその表面から熱を除去する能力が高められたPWBを得ることができるという点にある。この構成のもう1つの利点は、それが、このような半導体の利用分野といった利用分野で重要である低い表面CTEを提供するということにある。
【0009】
プリプレグは、樹脂が含浸されている繊維質材料から成る基材又は支持材料を含む複合層である。プリプレグはまた、フィルムであってもよい。フィルムは、基材を含まず、その代りに、樹脂のみを含む複合材であるプリプレグの1つのタイプである。第1のプリプレグ層20及び第2のプリプレグ層22は、第3の金属層24及び第4の金属26から導電性積層品12を電気絶縁する。1つの好ましい実施形態においては、金属又はその他の導電性材料の第3及び第4層は電気回路でのパターン化を受けている。例えば、第3の金属層、導電性積層品又は第4の金属層の間の電気的接触は、第3及び第4の金属層上にパターン化された電気回路の機能の中断を結果としてもたらす可能性がある。その他の実施形態では、第3及び第4の金属層のうちの1つのみが電気回路でのパターン化を受ける。
【0010】
本発明に従ったPWBの1つの好ましい実施形態においては、積層品12の構築において使用される炭素含有層は、カリフォルニア州サニーヴィルのMitsubishi Chemical America Inc.製で0.006インチの厚みをもつ織物K13C2Uなどの炭素繊維織物から作られている。もう1つの実施形態においては、炭素含有層は、110msiの引張弾性率、540ksiの引張り強度、610W/m・Kの熱伝導率、2.15g/ccの繊維密度及び0.5%の繊維伸び率をもち平衡化された織り方(balanced weave)で織られた炭素繊維から構築され得る。その他の実施形態においては、炭素含有層は、0.002インチを超える厚み、10W/m・Kを上回る熱伝導率、−3.0〜3.0ppm/Cの範囲内の熱膨張率、20msiを上まわる剛性、250ksiを上回る引張り強度、2.25gm/cc未満の密度をもつあらゆる炭素繊維織物から構築することができる。好ましくは、炭素含有層は、75W/m・Kを上回る熱伝導率、−1.25〜1.0ppm/Cの範囲内の熱膨張率、35msiを上回る剛性、350ksiを上回る引張り強度、2.22gm/cc未満の密度をもつ炭素繊維織物から構築されている。より好ましくは、炭素含有層は、0.0ppm/Cの熱膨張率をもつ炭素繊維織物から構築されている。その他の実施形態では、炭素含有層は、PWBのCTE必要条件を裏づけ、PWBの所望の剛性を達成するため、PWB10の表面から所要量の熱を散逸させる能力をもつどの炭素繊維織物からでも構築される。
【0011】
1つの好ましい実施形態では、炭素繊維織物は、図2Bとの関係において上述した方法に従ってエポキシ熱分解炭素樹脂といったような導電性及び熱伝導性をもつ樹脂で含浸されている。導電性というのは、1MHzで6.0より大きい誘電率をもつものとして定義される。熱伝導性というのは、1.25W/m・Kを上回る熱伝導率をもつものとして定義される。好ましくは、熱伝導性をもつ材料は、2.5W/m・Kを上回る熱伝導率をもつことになる。その他の実施形態では、炭素繊維織物には、ポリイミド(シアネートエステル)ベースの熱分解炭素樹脂、エポキシ又はポリイミドベースの酸化銀樹脂、エポキシ又はポリイミドベースの炭素粉末樹脂又は100°Fを上回るガラス転移温度、低い吸湿性、高い耐化学腐食性、高い微細割れ性、高い構造耐久性、制御された流動性、優れた接着性、0.2W/m・Kを上回る熱伝導率及び1Mhzで6.0を上回る誘電率をもつその他のあらゆる樹脂といったような樹脂が含浸されている。好ましくは、炭素繊維織物は、250°Fを上回るガラス転移温度及び2.0W/m・Kを上回る熱伝導率をもつ樹脂で含浸される。
【0012】
1つの好ましい実施形態においては、第1及び第2の金属層は、Glenside, PhiladelphiaのCircuit Foil Trading, Inc製のNT−TW−HTEといったような1/4ozの銅箔から構築される。その他の実施形態においては、厚みが0.00003インチ〜0.021インチのCu、パラジウム、Ag、Al、Au、Ni及びSn又はそれらの合金又はその他の組成物といったようなその他の導電性材料を、第1及び第2の金属層の構築において使用することができる。その他の実施形態においては、どんな厚みの導電性材料を第1及び第2の金属層の構築において使用してもよいが、但し、導電性積層品12の全体としての伝導度が積層品内で電気的負荷を伝えるのに充分なものである。
【0013】
好ましい1実施形態においては、第1のプリプレグ層及び第2のプリプレグ層は、0.0015インチの厚み、約80%の樹脂含有量、約50%の樹脂流動性及び90〜110秒の範囲内のゲル化時間をもつRancho Cucamonga, CaliforniaのArlon Materials for Electronics社製のプリプレグ44N0680といったような熱伝導性誘電性材料から構築される。その他の実施形態においては、FR−4、ポリイミド、テフロン(登録商標)、セラミクス、GIL、Gtek又は、酸化アルミニウム、ダイヤモンド粒子又は窒化ホウ素といったような添加剤を含むRogers Corporation製の高周波回路材料といったようなその他のプリプレグ、又は、1MHzで6.0未満の誘電率及び1.25W/m・Kを上回る熱伝導率をもつその他のあらゆるプリプレグを、第1及び第2のプリプレグ層の構築において使用することができる。より好ましくは、第1及び第2のプリプレグ層は、1Mhzで4.0未満の誘電率及び2.0W/m・Kより大きい熱伝導率をもつ誘電性材料から構築される。その他の実施形態においては、1.25W/m・K未満の熱伝導率をもつプリプレグを第1及び第2のプリプレグ層の構築において使用することができる。1.25W/m・K未満の熱伝導率をもつプリプレグ層の使用により、その表面から熱を除去するPWBの能力を低減させることがある。
【0014】
1つの好ましい実施形態においては、伝導性材料の上面及び底面層は、上述の通りの第1及び第2の金属層の構築において使用されるものと類似の材料から構築される。
【0015】
本発明に従ったPWBを製造する方法の1つの好ましい実施形態が図2Aに例示されている。第1の積層はステップ32で実施される。第1の積層には、上述の通りのエポキシベースの熱分解性炭素樹脂で含浸された炭素繊維織物層の片面上に1/4ozの銅箔層を設置する段階及び炭素繊維織物層のもう1方の面の上に第2の1/4ozの銅箔層を設置する段階を伴う。その後、層は、真空内に置かれ、室温から350°Fまで加熱される。温度の増加は、温度が150°Fから300°Fまで上昇するにつれて温度上昇が8〜12°F/分の範囲内に維持されるような形で制御される。温度が150°F〜165°Fの範囲内にあるとき、層上の圧力は250PSIまで増加させられる。ひとたび温度が350°Fに達した時点で、温度は70分間その温度に維持される。70分の時間が完了した後、層は室温及び大気圧を上回る圧力に30分間さらされる。第1の積層サイクルは、上述の導電性積層品12を作り出す。好ましくは、導電性積層品は可能なかぎり平坦に製造される。
【0016】
第1の積層サイクルの後には、ステップ34において第2の積層サイクルを行なう。第2の積層サイクルには、第1の積層サイクルで生成された導電性積層品の片面上に44NO680プリプレグ層を設置する段階及び導電性積層品のもう1方の面上に第2の44NO680プリプレグ層を設置する段階を伴う。さらに、1/2ozの銅箔層が、44NO680プリプレグの2層の外側表面上に設置される。その後、層は、真空下に置かれ室温から350°Fまで加熱される。温度の増加は、温度が150°Fから300°Fまで上昇するにつれて温度上昇が8〜12°F/分の範囲内に維持されるような形で制御される。温度が150°F〜165°Fの範囲内にあるとき、層上の圧力は250PSIまで増加させられる。ひとたび温度が350°Fに達した時点で、温度は90分間その温度に維持される。90分の時間が完了した後、層は室温及び大気圧を上回る圧力に30分間さらされる。第1の積層サイクルは、上述の導電性積層品12を作り出す。第2の積層サイクルは、図1に示されているPWB10を生成する。図1に示されているPWB10の第3及び第4の金属層は、次にステップ36において電気回路でのパターン化を受ける。
【0017】
炭素繊維織物で構築された炭素含有層に導電性樹脂を含浸させるための方法40の1つの好ましい実施形態が、図2Bに例示されている。この方法における第1のステップ42には、樹脂を形成する成分を合わせて添加することが関与している。大部分の樹脂は、エポキシ又はポリイミド固体状態樹脂、溶剤、アセトン、触媒及び添加剤を用いて形成される。標準的には、特定の樹脂の特性は、樹脂中に含まれるさまざまな添加剤がなにか及びこれらの添加剤の量によって決定される。樹脂の導電率又は熱特性を増大させるために添加剤を用いることができる。樹脂の導電率又は熱伝導率を増大させるのに添加剤が用いられる場合には、樹脂の熱伝導率又は導電率は、樹脂中に混合される添加剤の量と共に増大する。1つの好ましい実施形態においては、樹脂重量の10%に等しい量の粉末形状の熱分解性炭素が、樹脂の導電率及び熱特性を増大させるための成分として添加される。その他の実施形態では、樹脂の熱特性及び電気特性を改善するためにどんな量の熱分解性炭素を添加してもよい。好ましくは、樹脂に添加される熱分解性炭素の量は、樹脂の重量の5%〜50%の間である。このとき、実質的に均質の樹脂を形成するべくステップ44でさまざまな樹脂成分が混合される。
【0018】
ひとたび樹脂が形成されたならば、この樹脂は、ステップ46でプリプレグ処理装置内に入れられる。プリプレグ処理装置は、基材に樹脂を含浸させるために用いられる。次のステップ48では、含浸させるべき基材は、プリプレグ処理装置の中を通過させられる。この方法の1つの好ましい実施形態においては、基材材料は、上述の炭素繊維織物材料といったような炭素繊維織物である。炭素繊維織物基材を用いた好ましい1つの実施形態においては、基材に45重量%の樹脂が含浸させられる。その他の実施形態では、基材は、5〜80重量%の樹脂が含浸させられる。
【0019】
基材がひとたびプリプレグ処理装置を通過させられると、B段階硬化サイクルがステップ50で実施される。B段階硬化サイクルには、基材と樹脂を250°F〜300°Fの間の温度に露呈することが伴う。基材及び樹脂がこの温度に露呈される時間は、基材上に投入される樹脂の量及び必要とされる硬化の程度によって決定される。1つの好ましい実施形態においては、図2Aに関連して上述した方法で使用するのに適したものとなるように、B段階まで硬化された45%の樹脂で炭素繊維織物基材を含浸させるためには、15分の時間が必要とされる。B段階硬化サイクルが完了した時点で、樹脂は、ステップ52での使用に先立ち、制御された環境内に保管される。
【0020】
その他の実施形態では、樹脂の導電率及び熱特性を増大させるため樹脂添加剤として酸化銀粒子が使用される。1つの好ましい実施形態において、樹脂の40重量%に等しい量の酸化銀は添加される。その他の実施形態では、樹脂の熱特性を増大させるために、任意の量の酸化銀を添加することができる。好ましくは、樹脂に添加される酸化銀の量は樹脂の5〜70重量%である。
【0021】
その他の実施形態においては、樹脂の熱特性を増大させるための樹脂添加剤として、窒化ホウ素粒子が用いられる。1つの好ましい実施形態においては、樹脂の重量で40%に等しい量の窒化ホウ素が添加される。その他の実施形態においては、樹脂の熱特性を増大させるために、任意の量の窒化ホウ素を添加することができる。好ましくは、樹脂に添加される窒化ホウ素の量は、樹脂の重量で5%〜70%である。
【0022】
その他の実施形態においては、樹脂の熱特性を増大させるための樹脂添加剤としてダイヤモンド粒子が使用される。1つの好ましい実施形態においては、樹脂の重量で15%に等しい量のダイヤモンド粒子が添加される。その他の実施形態においては、樹脂の熱特性を増大させるために、任意の量のダイヤモンド粒子を添加することができる。好ましくは、樹脂に添加されるダイヤモンド粒子の量は、樹脂の重量で2%〜50%である。
【0023】
その他の実施形態においては、樹脂の熱特性を増大させるための樹脂添加剤として酸化アルミニウム粒子が使用される。1つの好ましい実施形態においては、樹脂の重量で40%に等しい量の酸化アンモニウムが添加される。その他の実施形態においては、樹脂の熱特性を増大させるために、任意の量の酸化アンモニウムを添加することができる。好ましくは、樹脂に添加される酸化アンモニウムの量は、樹脂の重量で5%〜70%である。その他の実施形態では、上述の添加剤のうちの2つ以上を添加剤として用いて、樹脂を形成することができる。
【0024】
その他の実施形態では、1MHzで6.0未満の誘電率をもつ基材材料を使用することにより、上述の方法を用いて、プリプレグを製造することができる。1つの好ましい実施形態においては、1MHzで6.0未満の誘電率をもつ熱伝導性プリプレグを生成するために、ガラス繊維基材に窒化ホウ素含有樹脂が含浸させられる。好ましくは、ガラス繊維には70重量%の樹脂が含浸させられる。その他の実施形態では、ガラス繊維には20〜80重量%の樹脂が含浸させられる。
【0025】
その他の実施形態では、ケブラー、石英、アラミド又は、又は、1MHzで6.0未満の誘電率、250°Fを上回るガラス転移温度、0.1W/m・Kを上回る熱伝導率、−4.5ppm/℃〜30ppm/℃のCTE、高い引張り強度及び高い熱耐久性をもつその他のあらゆる材料又は材料混合物を、プリプレグ層の構築において使用することができる。好ましくは、基材材料は、400°Fを上回るガラス転移温度、−4.5ppm/℃〜12ppm/℃のCTEをもち、700°Fでその強度の50%〜60%を保持し、1Mhzで3.0未満の誘電率を有する。この方法を用いて製造されたプリプレグは、図1に例示されている本発明に従ったPWB10の第1及び第2のプリプレグ層の構築において使用することができる。
【0026】
その他の実施形態においては、炭素含有層には、エポキシ又はポリイミドベースの窒化ホウ素樹脂、エポキシ又はポリイミドベースの酸化アンモニウム、エポキシ又はポリイミドベースのセラミックス樹脂、エポキシ又はポリイミドベースのダイヤモンド粒子樹脂、又は樹脂の誘電率が1Mhzで6.0未満であるという点を除いて上述の導電性及び熱伝導性をもつ樹脂に類似した特性をもつその他のあらゆる樹脂といったような熱伝導性樹脂が含浸される。
【0027】
その他の実施形態では、炭素含有層は、0.001インチの厚みをもつ、Mitsubishi Chemical America Inc.製の一方向性K13C2Uといったような一方向性炭素繊維シートから構築される。炭素含有層の構築において用いるように選択された一方向性炭素繊維材料は、好ましくは炭素含有層の構築で用いることのできる炭素繊維織物について上述したものと類似の特性を有する。
【0028】
その他の実施形態においては、一方向性炭素繊維シートには樹脂が含浸される。炭素繊維織物のシートを含む積層品の実施形態に関して上述したものと類似の特性をもつ樹脂を、本発明に従った積層品の構築において用いられる一方向性炭素繊維シートを含浸させるのにも使用することができる。
【0029】
その他の実施形態では、各層内の繊維が実質的に平行となるように整列された複数層の一方向性炭素繊維の層を、炭素含有層の構築において使用することができる。
【0030】
4つの一方向性炭素繊維層を用いて本発明に従って構築した積層品12′の1つの好ましい実施形態が、図3に例示されている。この実施形態においては、積層品は、第1の一方向性炭素繊維層60、第2の一方向性炭素繊維層62、第3の一方向性炭素繊維層64及び第4の一方向性炭素繊維層66から構築されている。各々の一方向性炭素繊維層は、同じ厚み及び繊維面積重量をもつ。第1及び第4の一方向性炭素繊維層は、各層内の炭素繊維が実質的に平行になるように整列されて構築される。第2及び第3の一方向性炭素繊維層は、一方向性炭素繊維シートから構築され、ここで繊維は、第1及び第4の層内の炭素繊維に対し実質的に垂直に整列されている。
【0031】
一方向性炭素繊維層を用いて本発明に従って構築された積層品12″のもう1つの好ましい実施形態は、図4に例示されている。この実施形態において、積層品12″は、第1の一方向性炭素繊維層70、第2の一方向性炭素繊維層72、第3の一方向性炭素繊維層74及び第4の一方向性炭素繊維層76から構築されている。各々の一方向性炭素繊維層は、同じ厚み及び繊維面積重量をもつ。第1及び第3の一方向性炭素繊維層は、実質的に同じ方向に整列された繊維を有する一方向性炭素繊維シートから構築されている。第2及び第4の一方向性炭素繊維層は、第1及び第3の一方向性炭素繊維層が整列されている方向に対し実質的に垂直な方向で整列された繊維をもつ一方向性炭素シートで構築されている。
【0032】
一方向性炭素繊維層を用いて本発明に従って構築された積層品12’’’のもう1つの好ましい実施形態は、図5に例示されている。この実施形態において、積層品12’’’ は、0.002インチの厚みをもつ第1の一方向性炭素繊維層80、0.004インチの厚みをもつ第2の一方向性炭素繊維層82、0.002インチの厚みをもつ第3の一方向性炭素繊維層84から構築されている。第1及び第3の一方向性炭素繊維層の繊維面積重量は、第2の一方向性炭素繊維層の繊維面積重量の半分である同じ繊維面積重量を有する。第1及び第3の一方向性炭素繊維層は、同じ方向に整列された繊維をもつ一方向性炭素繊維シートから構築されている。第2の一方向性炭素繊維層は、第1及び第3の一方向性炭素繊維層内の繊維が整列されている方向に対して垂直な方向に整列された繊維をもつ一方向性炭素シートから構築されている。
【0033】
その他の実施形態では、プリント回路板の構築において4層を超える数の一方向性炭素繊維層を用いることができるが、但し、炭素繊維含有層はバランスされている。
【0034】
その他の実施形態においては、本発明に従った積層品には、実質的に等方性である炭素含有層が含まれる。等方性炭素含有層を含む本発明に従った積層品の1つの実施形態が図6に例示されている。積層品12’’’’ は、第1の参照方向に整列された繊維を有する一方向性炭素繊維シートから構築された第1の一方向性炭素繊維90、第1の参照方向に対して45°の角度でその繊維が整列されて配置された一方向性炭素繊維シートから構築された第2の一方向性炭素繊維層92、第1の参照方向に対して90°の角度でその繊維が整列されて配置された一方向性炭素繊維シートから構築された第3の一方向性炭素繊維層94、及び第1の参照方向に対して135°の角度でその繊維が整列されて配置された一方向性炭素繊維シートから構築された第4の一方向性炭素繊維層96を含む。一方向性炭素繊維シートには、上述の樹脂と同様の樹脂を含浸させることができる。
【0035】
本発明に従ったPWBは図7に例示されている。PWB10′は、第1のプリプレグ層100と第2プリプレグ層102の間にある炭素含有層14′をもつ積層品構造12’’’’’を含む。第1の金属層16′が第1のプリプレグ層の上にあり、第2の金属層18′が第2のプリプレグ層の下にある。第3のプリプレグ層20′が第1の金属層の上にあり、第2のプリプレグ層22′が第2の金属層の下にある。第3の金属層24′が第3のプリプレグ層の上にあり、第4の金属層26′が第4のプリプレグ層の下にある。
【0036】
1つの好ましい実施形態においては、炭素含有層14′は、炭素繊維織物シートから構築され、金属層は、図1に10として示されたPWBの実施形態の構築に使用された金属層の構築において上述したものと類似の材料から構築されている。さらに、第3及び第4のプリプレグ層は、図1に10として示されているPWBの実施形態の第1及び第2のプリプレグ層の構築において上述したものと類似の材料から構築されている。
【0037】
好ましい1実施形態においては、図2Bに関連して上述した方法に従って製造されかつ上述の熱分解性炭素樹脂と類似の特性をもつエポキシベースの熱分解性炭素樹脂プリプレグといったような導電性及び熱伝導性をもつプリプレグ層が、第1及び第2のプリプレグ層の構築において使用される。炭素含有層と第1及び第2の導電性層の間に導電性経路が確実に存在するようにするために、第1及び第2のプリプレグ層の構築においては導電性及び熱伝導性をもつプリプレグが用いられる。その他の実施形態においては、ポリイミドベースの熱分解性炭素樹脂プリプレグ又はポリイミドベースの酸化銀樹脂プリプレグ又は100°Fを上回るガラス転移温度、低い吸湿性、高い耐化学腐食性、高い微細割れ耐性、高い構造耐久性、制御された流動性、優れた接着性、0.2W/m・Kを上回る熱伝導率及び1Mhzで6.0を上回る誘電率をもつその他のあらゆるプリプレグといったようなその他の導電性及び熱伝導性をもつプリプレグを第1及び第2のプリプレグ層の構築に使用することができる。好ましくは第1及び第2のプリプレグ層は、250°Fを上回るガラス転移温度及び2.0W/m・Kを上回る熱伝導率をもつプリプレグから構築される。
【0038】
図7に例示されているPWB10′を製造する方法は、図2Aで例示した方法と同様である。エポキシベースの熱分解性炭素樹脂プリプレグの層が炭素繊維織物層の片面上に配置され、第2のエポキシベースの熱分解性炭素樹脂プリプレグが炭素繊維織物層のもう1方の面上に配置される。その後、エポキシベースの熱分解性炭素樹脂プリプレグ層の外側表面上に1/4ozの銅箔の層が設置される。これらの層はその後、図2Aに関連して上述した第1の積層サイクルに付され、積層品12’’’’’を生成する。第2の積層サイクル及びPWB101のパターン化も同様に、図2Aに関連して上述した方法に類似している。
【0039】
その他の実施形態においては、上述のような、図1に示されたPWB10の実施形態の第1及び第2のプリプレグ層の構築で使用されたものと類似した熱伝導性プリプレグ層を、図7に示されたPWB10′の実施形態の第1及び第2のプリプレグ層の構築で使用することができる。導電性の低い熱伝導性プリプレグ層を使用するPWB10′の実施形態においては、第1及び第2の金属層と炭素含有層の間に、メッキされた貫通孔により電気的接触が作り出される。メッキされた貫通孔は、導電性材料でライニングされて第1及び第2の金属層と炭素含有層の間に電気的接触を確立する、積層品12’’’’’を通って穿孔された孔である。
【0040】
その他の実施形態においては、積層品12’’’’’は、図3〜6に例示されている本発明に従った積層品の実施形態に関連して上述した配置に類似する配置を有する一方向性炭素繊維層から作られた炭素含有層から構築されている。その他の実施形態では、一方向性炭素繊維層には、積層品12’’’’’の構築に先立って上述したものと類似の樹脂が含浸されている。
【0041】
その他の実施形態では、積層品12’’’’’は、0.001インチの厚みをもつMitsubishi Chemical America Inc.製の炭素板といったような炭素複合シート又はプレートから作られる炭素含有層から構築されている。炭素複合シート又はプレートは、圧縮粉体成形型を用いて構築することができる。その他の実施形態においては、炭素含有層は、炭素繊維織物に関連して上述したものに類似する物理的特性をもつ任意の炭素複合シート又はプレートから構築することができる。
【0042】
炭素複合シート又はプレートから作られた炭素含有層を用いて構築された積層品12’’’’’の実施形態については、第1のプリプレグ層100及び第2のプリプレグ層102を上述のものと類似の樹脂から構築することができる。
【0043】
本発明に従ったPCBが、図8に例示されている。PCB10″は、導電性及び熱伝導性をもつ層110を含む。導電性及び熱伝導性をもつ層の上に第1の金属層16″があり、導電性及び熱伝導性をもつ層の下に第2の金属層18″がある。第1のプリプレグ層20″が第1の金属層の上にあり、第2のプリプレグ層22′が第2の金属層の下にある。第3の金属層24″が第1のプリプレグ層の上にあり、第4の金属層26″が第2のプリプレグ層の下にある。導電性及び熱伝導性をもつ層及び第1及び第2の金属層は、導電性積層品112を形成する。
【0044】
1つの好ましい実施形態においては、図1に例示されている本発明に従ったPWB10の実施形態の構築において使用できるものに類似した材料を、第1及び第2のプリプレグ層及び第1、第2、第3及び第4の金属層の構築において使用することもできる。1つの好ましい実施形態では、第3及び第4の金属層は、電気回路を含むようにパターン化される。
【0045】
1つの好ましい実施形態においては、導電性及び熱伝導性をもつ層は、図2Bに関連して上述した方法に従って導電性エポキシ熱分解性炭素樹脂が含浸されたガラス繊維織物基材から構築されている。好ましくは、導電性及び熱伝導性をもつ層の構築で使用されるガラス繊維織物は、カナダのオンタリオ州South CickeringにあるJPSGlass社製のEガラスである。その他の実施形態においては、不織ガラス繊維、ケブラー、石英、アラミド又は250°Fを超えるガラス転移温度、0.1W/m・Kを上回る熱伝導率、−4.5ppm/℃〜30ppm/℃のCTE、高い引張り強度及び高い耐熱性をもつその他の材料といったような他の基材材料が使用できる。好ましくは、基材は、400°Fを上回るガラス転移温度、−4.5ppm/℃〜12ppm/℃のCTEを有し、700°Fでその強度の50%〜60%を保持する。好ましくはガラス繊維基材には、10重量%の熱分解性炭素添加剤を含有するエポキシ樹脂(樹脂の70重量%)が含浸される。その他の実施形態では、導電性及び熱伝導性をもつ層は、1MHzで6.0を上回る誘電率をもつ上述の樹脂のうちのいずれかが5%〜80%で含浸された基材を用いて形成される。その他の実施形態においては、1Mhzで6.0を上回る誘電率をもつ導電性及び熱伝導性をもつ層14′をもたらすあらゆる樹脂と基材の組合せを使用することができる。
【0046】
図8に例示されているPWB10″の実施形態は、図2A及び図2Bに例示されている方法に従って製造可能である。
【0047】
本発明に従ったPWBの1つの実施形態が、図9に例示されている。PWB10’’’は、炭素含有層が上述の基材材料のいずれかで置き換えられ、第1及び第2のプリプレグ層が1MHzで6.0を上回る誘電率を有するという点を除いて、図7に例示されているPWB10′と類似している。
【0048】
上述のPWBの実施形態では、単一の積層品が利用されていた。本発明に従ったPWBのその他の実施形態においては、複数の積層品を使用することができる。
【0049】
2枚の積層品を含む本発明に従ったPWBが、図10に例示されている。PWB10’’’’ は、第1の積層品120、第2の積層品122、複数のプリプレグ層124及び複数の金属層126を含む。1つの好ましい実施形態において、第1の積層品は、グラウンド面を形成し、第2の積層品はパワー面を形成する。その他の実施形態においては、積層品の機能を逆転することもでき、又両方の積層品が同じ機能を共有することもでき、又は、積層品をその改善された熱特性だけのために利用することもできる。複数の積層品の使用は、先行技術のPWBに比べたとき、その表面から熱を除去するPWBの能力を増大させ、PWBのCTEを改善し、PWBの厚み及び重量を減少させることができる。
【0050】
好ましい1実施形態においては、第1の積層品120及び第2の積層品122は、図1の積層品12と類似の形で構成される。その他の実施形態においては、上述の積層品構造のいずれかを用いて、第1又は第2の積層品を構築することができる。好ましくは、プリプレグ層124及び金属層は、図1に例示されているPWB10における金属層及びプリプレグ層を構築するために使用できるものと類似の材料から構築される。その他の実施形態においては、上述の積層品のいずれかを、第1及び第2の積層品の構築において使用することができる。
【0051】
図10をさらに詳しく見てみると、PWB10’’’’が一定数のメッキされた孔を含んでいることが明らかになる。PWB10’’’’は、熱伝導性材料で充てんされた孔であるチムニー128を含む。チムニーは、PWBの表面からPWBの内部の導電性及び熱伝導性をもつ積層品まで熱を輸送するために使用される。チムニーは、PWBを貫通していない。チムニーが第1及び第2の積層品の両方と接触した場合には、チムニーはPWBを短絡させることがある。PWB10’’’’はまた、PWB内の機能層の間で電気的接触を確立するのに使用される導電性材料でライニングされた貫通孔130をも含む。メッキされた貫通孔と第1及び第2の積層品の間の接続が望まれない場合には、貫通孔の導電性ライニングと積層品の間に電気的接続が確かに存在しないようにするため、1MHzで6.0未満の誘電率をもつエポキシ樹脂といったような誘電性材料132の環状部分を使用することができる。
【0052】
図10に例示されているPWB10’’’’を製造するための本発明に従った方法が、図11Aに示されている。この方法150は、ステップ152で始まり、このステップには、図2Aに関連して上述した方法を用いて形成される本発明に従った2つの積層品を構築することが伴う。その後、ステップ154で、積層品上にパワー又はグラウンド領域がパターン化される。パターン化により、積層品内部の領域を電気的に絶縁させることができ、このことにより、積層品がPWB内部でグラウンド又はパワー面として機能できるようにすることができる。
【0053】
パターン化がひとたび完了した時点で、積層品は、ステップ156で酸化物処理に付される。酸化物処理の後、クリアランスホールの穿孔がステップ158で実施される。クリアランスホールの穿孔には、第1の直径の孔を積層品に穿孔すること及び、得られた孔に1MHzで6.0未満の誘電率をもつ上述の樹脂のいずれかといったような誘電性材料を充てんすることを伴う。穿孔された孔の充てんに先立ち、これらの孔は、高圧乾燥空気を用いて、検査され清浄される。
【0054】
ひとたびクリアランスホールが穿孔された時点で、第2の積層サイクルがステップ160で実施される。第2の積層サイクルは、図2Aに関連して上述した第2の積層品サイクルと類似している。第2の積層サイクルの後、ステップ162でPWB内にチムニーホールが穿孔される。チムニーホールがひとたび穿孔されたならば、チムニーホールのライニングは、ステップ164において熱伝導性材料でライニングされる。好ましくは、熱伝導性材料は銅である。その他の実施形態では、5W/m・Kより高い熱伝導性をもつ任意の材料を使用することができる。
【0055】
チムニーホールがライニングされた後、仕上がったPWBの内部に配置されることになる金属層の上にエッチングされる回路が、ステップ166でパターン化され、その後、ステップ168で酸化物処理に付される。
【0056】
酸化物処理に続いて、第3の積層はステップ170で実施される。第3の積層は、第2の積層で生成された2つの構造を、さらなるプリプレグ層と整列させて、図10に例示されているPWB0’’’’ の層と対応させることを伴う。次に、層は、第2の積層サイクル中に遭遇するものと類似の温度及び圧力にさらされる。
【0057】
第3の積層サイクルの後、最後の貫通孔穿孔がステップ172で実施される。最後の貫通孔穿孔には、上述の第1の直径よりも小さい第2の直径をもつ全PWBを通る孔を穿孔することを伴う。貫通孔は、その後、ステップ174でライニングされる。好ましくは、貫通孔は、銅でライニングされる。その他の実施形態においては、貫通孔は、金属層の構築において使用可能であるものに類似した材料でメッキされ得る。貫通孔が、積層品内の充てんされたクリアランスホールの1つを通る場合には、貫通孔のライニングは、クリアランスホールが穿孔されている積層品から電気的に絶縁される。貫通孔が、積層品内の充てんされたクリアランスホールの1つを通過しない場合には、貫通孔のライニングは、積層品と電気的に接触している。
【0058】
PWB内でチムニーホールを穿孔する場所を選択するための方法の1実施形態が図11Bに例示されている。方法190には、PWBの構造のモデルを作ることを伴う第1のステップ192が含まれている。第2のステップ194には、銅といったような熱伝導性材料をモデル上の最も外側の金属層に付加することを伴う。熱伝導性材料が、その上に付加される金属層上にパターン化された回路といかなる電気的接触も作り出さないようにして、熱伝導性材料はモデルに付加される。
【0059】
熱伝導性材料がひとたび付加されたならば、チムニーホールの場所は、ステップ196で決定される。チムニーホールの場所は、熱伝導性材料がステップ194の間に付加された領域内にあるPWBの表面上の場所を選択することによって決定される。この場所は、PWBの内部の金属層上にパターン化された電気回路のいずれとも交差することなく、チムニーの直径に対応する特定の直径の孔をPWBを通って穿孔できる場合に、チムニーにとって適切な場所である。そうでなければ、選択された場所は、チムニーホールを穿孔する場所として不適当である。発見しなくてはならない場所の数は、回路板の表面から除去される必要のある熱の量によって左右される。
【0060】
積層品内の充てんされたクリアランスホールの場所を選択するための方法の一実施形態が、図11Cに例示されている。方法200には、PWBのモデルの構築を伴う第1のステップ202が含まれている。PWB内の貫通孔の場所は、ステップ204で、貫通孔がグラウンド面積層品又はパワー面積層品と交差する場所を決定するために使用される。これらの場所がひとたび決定されたならば、クリアランスホールの場所は、貫通孔がグラウンド又はパワー面積層品と交差しかつメッキされた貫通孔のライニングとグラウンド又はパワー面積層品の間の電気的接続が望まれない場所として、ステップ206で選択される。
【0061】
本発明に従った積層品及び追加の炭素含有層を含む本発明に従ったPWBが図12に例示されている。PWB10’’’’は、第1の積層品120′、第2の積層品122′、追加の炭素含有層210、プリプレグ層124′及び金属層126′を有する。好ましくは、第1の積層品は、グラウンド面を形成し、第2の積層品はパワー面を形成する。追加の炭素含有層210は、グラウンド又はパワー面として作用せず、積層品及び金属層から電気的に絶縁されている。追加の炭素含有層は、PWBの熱伝導率及び剛性を増大させ、PWBのCTEを改善する。図1に例示されているPWB10の積層品、プリプレグ層及び金属層の構築で使用されたものと類似の材料を図12に例示されているPWB10’’’’’の積層品、プリプレグ層及び金属層を構築するためにも使用することができる。追加の炭素含有層を、図1の12、図3の12′、図4の12″、図5の12’’’及び図6の12’’’’で例示されている積層品の炭素含有層の構築で使用することのできるものと類似した材料を用いて、追加の炭素含有層を構築することができる。
【0062】
図12のPWB10’’’’’を、図11A〜11Cに関連して上述したものと類似の方法を用いて構築することができる。唯一の差異は、第3の積層サイクルの構築において用いられる材料の配置ならびに、追加の炭素含有層がPWB内に存在するあらゆる貫通孔のライニングから電気的に絶縁されるように、充てんされたクリアランスホールが追加の炭素含有層210内にも穿孔されなくてはならないという事実にある。
【0063】
上述の実施形態は、本発明に従った単一の又は2つの積層品を含むが、当業者であれば、上述の方法を用いて3つ以上の積層品を含むPWBも構築できるということがわかるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】導電性及び熱伝導性をもつ積層品を含む、本発明に従ったPWBを示すやや概略的な断面図である。
【図2A】本発明に従ったPWBを構築するための方法を例示するフローチャートである。
【図2B】本発明に従った、基材に樹脂を含浸させるための方法を例示するフローチャートである。
【図3】一方向性炭素繊維の層を4層含む積層品を示すやや概略的な断面図である。
【図4】一方向性炭素繊維の層を4層含む積層品のもう1つの実施形態を示すやや概略的な断面図である。
【図5】一方向性炭素繊維の層を3層含む積層品を示すやや概略的な断面図である。
【図6】等方性構成で一方向性炭素繊維の層を4層含む積層品を示すやや概略的な断面図である。
【図7】プリプレグ層を含む積層品を含む、本発明に従ったPWBを示すやや概略的な断面図である。
【図8】導電性及び熱伝導性をもつ樹脂が含浸されたガラス繊維層を含む、導電性及び熱伝導性をもつ積層品を含む、本発明に従ったPWBを示すやや概略的な断面図である。
【図9】プリプレグ層内に含まれた導電性及び熱伝導性をもつ樹脂が含浸されたガラス繊維層をもつ導電性及び熱伝導性をもつ積層品を含む、本発明に従ったPWBを示すやや概略的な断面図である。
【図10】2つの導電性及び熱伝導性をもつ積層品及びある数のチムニー及びメッキされた貫通孔を含む、本発明に従ったPWBを示すやや概略的な断面図である。
【図11A】複数の導電性及び熱伝導性をもつ積層品、チムニーホール及びメッキされた貫通孔を含む、本発明に従ったPWBを製造するための方法を例示するフローチャートである。
【図11B】PWB内でチムニーホールを穿孔すべき場所を決定するための方法を例示するフローチャートである。
【図11C】本発明に従ったPWBの構築中に導電性及び熱伝導性をもつ積層品において充てんされたクリアランスホールを穿孔すべき場所を決定するための方法を例示するフローチャートである。
【図12】2つの導電性及び熱伝導性をもつ積層品及び1つの電気絶縁された炭素支持層を含む、本発明に従ったPWBを示すやや概略的な断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性樹脂が含浸された基材を含んでなる、プリプレグ。
【請求項2】
基材材料が炭素を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
基材が炭素繊維織物を含む、請求項2に記載のプリプレグ。
【請求項4】
基材が一方向性炭素繊維を含む、請求項2に記載のプリプレグ。
【請求項5】
基材がガラス繊維を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項6】
基材がケブラーを含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項7】
基材がアラミドを含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項8】
基材が石英を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項9】
熱伝導性樹脂が窒化ホウ素添加剤を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項10】
熱伝導性樹脂がダイヤモンド粉末添加剤を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項11】
熱伝導性樹脂が酸化アルミニウム添加剤を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項12】
熱伝導性樹脂が1.25W/m・Kを超える熱伝導性を有する、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項13】
熱伝導性樹脂が2.5W/m・Kを超える熱伝導性を有する、請求項12に記載のプリプレグ。
【請求項14】
熱伝導性樹脂が導電性をも有する、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項15】
プリプレグが1MHzで6.0を上回る誘電率を有する、請求項14に記載のプリプレグ。
【請求項16】
導電性及び熱伝導性をもつ前記樹脂が熱分解炭素添加剤を含む、請求項14に記載のプリプレグ。
【請求項17】
導電性及び熱伝導性をもつ前記樹脂が酸化銀添加剤を含む、請求項14に記載のプリプレグ。
【請求項18】
導電性及び熱伝導性をもつ前記樹脂が添加剤として炭素粉末を含む、請求項14に記載のプリプレグ。
【請求項19】
導電性及び熱伝導性をもつ前記樹脂が1MHzで6.0を上回る誘電率を有する、請求項14に記載のプリプレグ。
【請求項20】
熱伝導性樹脂が含浸された基材を含むプリプレグ;
前記プリプレグより上に配置された導電性材料の第1層;及び
前記プリプレグより下に配置された導電性材料の第2層、
を含んでなる、積層品。
【請求項21】
熱伝導性樹脂が1.25W/m・Kを超える熱伝導性を有する、請求項20に記載の積層品。
【請求項22】
熱伝導性樹脂が2.5W/m・Kを超える熱伝導性を有する、請求項21に記載の積層品。
【請求項23】
熱伝導性樹脂が導電性をも有している、請求項20に記載の積層品。
【請求項24】
導電性及び熱伝導性をもつ前記樹脂が1MHzで6.0を上回る誘電率を有する、請求項23に記載の積層品。
【請求項25】
基材;
前記基材より上に配置された第1のプリプレグ層;
前記基材より下に配置された第2のプリプレグ層;
前記第1のプリプレグ層の上に配置された導電性材料の第1層;及び
前記第2のプリプレグ層の下に配置された導電性材料の第2層、
を含んでなり、
1MHzで6.0を上回る誘電率をもつ積層品。
【請求項26】
前記プリプレグが導電性及び熱伝導性をもつ樹脂を含む、請求項25に記載の積層品。
【請求項27】
前記プリプレグが1MHzで6.0を上回る誘電率を有する、請求項26に記載の積層品。
【請求項28】
導電性及び熱伝導性をもつ前記樹脂が1MHzで6.0を上回る誘電率を有する、請求項26に記載の積層品。
【請求項29】
導電性及び熱伝導性をもつ積層品;
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品より上に配置された第1の誘電体層;及び
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品より下に配置された第2の誘電体層、を含んでなる、プリント配線板。
【請求項30】
導電性及び熱伝導性をもつ積層品が1MHzで6.0を上回る誘電率を有し;
前記第1及び第2のプリプレグ層が1MHzで6.0未満の誘電率を有する、請求項29に記載のプリント配線板。
【請求項31】
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品は、それがプリント配線板内でグラウンド面として作用するのに充分な電気的負荷を伝えるように構成されている請求項29に記載のプリント配線板。
【請求項32】
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品は、それがプリント配線板内でパワー面として作用するのに充分な電気的負荷を伝えるように構成されている、請求項29に記載のプリント配線板。
【請求項33】
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品は、その第1の部分がプリント配線板内でパワー面として作用するのに充分な電気的負荷を伝えるように構成され、その第2の部分がプリント配線板内でグラウンド面として作用するのに充分な電気的負荷を伝えるように構成されることになるような形で分割されている、請求項29に記載のプリント配線板。
【請求項34】
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品は、
導電性及び熱伝導性をもつ樹脂が含浸された基材を含むプリプレグ;
前記プリプレグより上に配置された導電性材料の第1層;及び
前記プリプレグより下に配置された導電性材料の第2層、
を含んでなる、請求項29に記載のプリント配線板。
【請求項35】
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品が、
基材;
前記基材より上に配置された第1のプリプレグ層;
前記基材より下に配置された第2のプリプレグ層;
前記第1のプリプレグ層の上に配置された導電性材料の第1層;及び
前記第2のプリプレグ層の下に配置された導電性材料の第2層、
を含んでなり、
1MHzで6.0を上回る誘電率をもつ、請求項29に記載の積層品。
【請求項36】
少なくとも1つのさらなるプリプレグ層;
導電性材料の少なくとも1つのさらなる層;
をも含んでなり、
導電性及び熱伝導性をもつ積層品、さらなるプリプレグ層及び導電性材料層のさらなる層が互いに隣接して配置されており、
少なくとも1つのプリプレグ層が導電性材料のさらなる層の各々の間にあり、
少なくとも1つのプリプレグ層が導電性材料のさらなる層の各々と、導電性及び熱伝導性をもつ積層品の間にある、請求項29に記載のプリント配線板。
【請求項37】
少なくとも1つの導電性及び熱伝導性をもつさらなる積層品をも含んでなり;
少なくとも1つのプリプレグ層が導電性材料層のさらなる層の各々と、付加的な導電性及び熱伝導性をもつさらなる積層品の間にあり;
少なくとも1つのプリプレグ層が導電性及び熱伝導性をもつ積層品の各々の間にある、請求項36に記載のプリント配線板。
【請求項38】
炭素を含有する少なくとも1の層を含んでなり;
少なくとも1つのプリプレグ層が、導電性材料のさらなる層の各々と、炭素含有層の間にあり;
前記少なくとも1つのプリプレグ層が、導電性及び熱伝導性をもつ積層品と、炭素含有層の間にある、請求項37に記載のプリント配線板。
【請求項39】
プリント配線板が、プリント配線板の表面から導電性及び熱伝導性をもつ積層品を通って延びる複数のライニングされた孔を含む、請求項29に記載のプリント配線板。
【請求項40】
前記ライニングされた孔のライニングが熱伝導性材料である、請求項39に記載のプリント配線板。
【請求項41】
前記ライニングされた孔のライニングが、1.25W/m・Kを上回る熱伝導性を有する、請求項40に記載のプリント配線板。
【請求項42】
前記ライニングされた孔のライニングが2.5W/m・Kを上回る熱伝導性を有する、請求項41に記載のプリント配線板。
【請求項43】
前記ライニングされた孔のライニングが、導電性及び熱伝導性をもつ材料である、請求項39に記載のプリント配線板。
【請求項44】
前記ライニングされた孔のライニングが銅である、請求項43に記載のプリント配線板。
【請求項45】
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品が、
前記層のうちの少なくとも2つ層の間に電気的接続を提供するための前記プリント配線板を通って延びる複数の貫通孔;
前記貫通孔内の導電性ライニング;及び
前記導電性ライニングと、前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品の間の予め選択された場所に配置されている誘電性材料の少なくとも1つの環状部分、
を含んでなる、請求項37に記載のプリント配線板。
【請求項46】
前記環状部分が、1MHzで6.0未満の誘電率をもつ材料で作られている、請求項45に記載のプリント配線板。
【請求項47】
前記環状部分が、1MHzで4.0未満の誘電率をもつ材料で作られている、請求項46に記載のプリント配線板。
【請求項48】
前記環状部分が、貫通孔のライニングと、前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品の間の望ましくない電気的接触を防止している、請求項45に記載のプリント配線板。
【請求項49】
外部表面上にパターン化された回路及び伝導性材料からなる内部層上にパターン化された回路を有するプリント配線板を構築する方法であって、
プリント配線板のモデルを構築する工程;
パターン化された回路を含まないプリント配線板の外部表面の部分を決定する工程;
プリント配線板の内部層上でパターン化された回路と望ましくない電気的接続をもたらさない、前記決定された部分内において穿孔場所を決定する工程;
前記決定された部分が、熱伝導性材料でメッキもしくはプレートされるようにプリント配線板を構築する工程;
前記決定された穿孔場所で、構築されたプリント配線板内に穿孔する工程;及び
前記孔を熱伝導性材料でライニングする工程、
を含んでなる方法。
【請求項50】
導電性及び熱伝導性をもつ積層品、複数の導電性材料層であって、それらの層の上にパターン化された回路を有しそしてそれらの層の上の回路どうしを接続するライニングされた貫通孔を有する複数の導電性材料層を有するプリント配線板を構築する方法であって、
プリント配線板のモデルを構築する工程;
前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品を構築する工程;
ライニングされた貫通孔が導電性及び熱伝導性をもつ積層品と交差する場所を識別する工程;
前記場所の各々においてライニングされた貫通孔のライニングと導電性及び熱伝導性をもつ積層品との間に電気的接続が望まれるか否かを決定する工程、
前記場所で電気的接続が望まれない場合には、前記導電性及び熱伝導性をもつ積層品の中の前記場所に孔を穿孔し、この孔に誘電性材料を充てんする工程、を含んでなる方法。
【請求項51】
熱伝導性樹脂を基材に含浸させる工程を含んでなる、プリプレグを構築する方法。
【請求項52】
熱伝導性樹脂が導電性をも有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
熱伝導性樹脂を基材に含浸させ、上面及び底面をもつプリプレグを作る工程;及び
プリプレグの上部表面に導電性材料の第1の層およびプリプレグの下部表面に導電性材料の第2層を積層させる工程、
を含んでなる、積層品を構築する方法。
【請求項54】
熱伝導性樹脂が導電性をも有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
上部表面及び下部表面を有する導電性及び熱伝導性をもつ積層品を構築する工程;
積層品の上部表面に第1のプリプレグ層および積層品の下部表面に第2のプリプレグ層を積層する工程、
を含んでなる、プリント配線板を構築する方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−164582(P2009−164582A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−297101(P2008−297101)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【分割の表示】特願2002−549457(P2002−549457)の分割
【原出願日】平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願人】(505456207)シー−コア テクノロジーズ インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】