説明

位置決め制御システム及びフィルタ

【課題】外乱オブザーバを用いることにより制御精度を向上させるとともに、ワインドアップ現象を防止する。
【解決手段】位置決め制御システム10は、制御対象Pのシリンダ12の進退量Yから外乱Dを推定してフィードバックを行う外乱オブザーバ46と、該外乱オブザーバ46によるフィードバックループ内に設けられた飽和要素48及び低域通過要素Qと、飽和要素48の飽和値Lを偏差εに基づいて変化させる飽和値変更部50とを有する。飽和要素48は正帰還のマイナーループ70内の前向き通路に設けられている。低域通過要素Qは正帰還のマイナーループ70内のフィードバック通路に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御対象の少なくとも1つの観測値から外乱を推定してフィードバックを行う外乱オブザーバを備える位置決め制御システム、及び該位置決め制御システム等に用いられるフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
位置決め制御システムは生産設備機器等に広汎に用いられており、特にクリーンルーム内で用いられる場合には空気圧シリンダを用いると液漏れ等の恐れがなく、しかもメンテナンスが簡便であって好適である。
【0003】
一方、空気圧シリンダでは、空気の圧縮性による挙動や利用可能な圧力の制限から必ずしも高精度、高剛性な位置決めがなされていない。特に、空気圧シリンダのピストンには空気の漏れを防止するとともに、外部からの異物の侵入を防止するためのシールが設けられており、該シールの摩擦力によっていわゆるスティックスリップ現象が発生するため高精度な位置決めが困難である。
【0004】
このような状況に鑑み、特許文献1に記載された位置決めシステムでは、ピストンに静圧軸受構造を採用し、摩擦力を低減することによって位置決め精度の向上を図っている。
【0005】
また、制御精度の向上のために、制御対象の少なくとも1つの観測値から外乱を推定してフィードバックを行う外乱オブザーバが用いられることがある。特許文献2に記載された位置決めシステムでは、ゲインを可変とした外乱オブザーバを用い、静摩擦及び動摩擦のいずれの場合でも安定して制御できるようにしている。
【0006】
一方、位置決め制御の制御精度を向上させるためには制御ゲインを大きくすることが有効であるが、アクチュエータを保護するためには指令値が過大とならないように適度な飽和要素を設ける必要がある。
【0007】
なお、空気圧シリンダにおけるシールの摩擦力による粘弾性特性と、その制御性能への影響については非特許文献1に記載されている。該文献には、シールの粘弾性は変位動作を摺動時よりも安定化する効果があり、該効果を利用して制御感度を増すことにより整定速度を増すことが可能であって、粘弾性によりピストン変位を安定化させることが可能であることが記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−144196号公報
【特許文献2】特開2000−347738号公報
【非特許文献1】小山 紀、他3名、日本油空圧学会論文集、“空気圧シリンダ変位の粘弾性特性と制御性能への影響”、1998年11月、第29巻、第7号、p.155−161
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された位置決めシステムでは、静圧軸受を用いることから構造が複雑で且つ高価である。また、静圧軸受では摩擦が小さすぎて減衰特性が劣り、位置決めの収束時間が長くなる。
【0010】
また、特許文献2に記載された位置決めシステムで用いている外乱オブザーバでは一般的に低域通過フィルタが含まれており、低周波領域では積分器の特性を有している。ところで、制御系内に積分器が設けられている場合には該積分器の前後でワインドアップ現象が発生することが知られている。
【0011】
ワインドアップ現象とは、所定のプラス偏差が定常的に加えられた結果、該プラス偏差が積分されて、図35に示すように、制御対象に対する操作量の飽和値Lを超えて過度に積分されてしまう現象である。この場合、時刻T1以降においてマイナス偏差が定常的に加えられることになると、本来であれば破線1で示すように時刻T1から即時に操作量が減少することが望ましい。しかしながら、操作量はワインドアップ現象によってその時刻T1における積分値Sから実線2で示すように減少を開始し、実際に制御対象の操作が変化するのは時刻T2以降となる。つまり、時刻T1〜T2の間は制御対象に対する操作量は飽和値Lで飽和しており、操作遅れが生じて制御性能が低下する(例えば、オーバーシュートが大きくなる)ことになる。このようなワインドアップ現象を防止するためには、積分器に飽和値L以上の積分を停止させる機能を設けるとよい。
【0012】
ところで、単純な積分器では飽和値L以上の積分を停止させる手段は比較的簡便に構成できるが、外乱オブザーバを用いる場合においては該機能の手段及び設定箇所については検討がなされてなく、ワインドアップ現象を適切に防止することができていない。
【0013】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、外乱オブザーバを用いることにより制御精度を向上させるとともに、ワインドアップ現象を防止することのできる位置決め制御システム及び該位置決め制御システム等に用いられるフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、制御対象の少なくとも1つの観測値から外乱を推定してフィードバックを行う外乱オブザーバと、前記外乱オブザーバによるフィードバックのフィードバックループ内に設けられた飽和要素とを有し、前記フィードバックは、前記制御対象の出力値に基づくメインループと、所定パラメータに基づいて正帰還をするマイナーループとを有し、前記飽和要素は前記マイナーループ内に設けられていることを特徴とする。
【0015】
このように、外乱オブザーバの正帰還のマイナーループ内に飽和要素を設けることにより、ワインドアップ現象が抑制されて制御特性が向上する。また、外乱オブザーバの作用によって高精度な位置決めが可能になる。
【0016】
また、前記飽和要素の飽和値を制御偏差に基づいて変化させる飽和値変更部を有していていると、飽和値が制御偏差に基づいて適切に設定され、制御特性が向上する。
【0017】
前記制御対象は摺動部にシールを備えるシリンダを有し、前記飽和要素の飽和値は、前記制御偏差が前記シールの粘弾性変位範囲内であるときよりも、前記制御偏差が前記シールの粘弾性変位範囲外であるときの方が絶対値で大きく設定されていてもよい。これにより、制御偏差が小さいときには、小さい飽和値が設定されてワインドアップ現象が十分に抑制され、制御偏差が大きいときには大きい飽和値が設定されて動特性が向上する。
【0018】
前記ピストンシリンダは、空気圧駆動型のものに対して適用可能である。
【0019】
前記シールは、ピストンシールと、キャップシールと、からなる場合、前記粘弾性変位範囲は、ピストンシールとキャップシールとの仮想的な合成シールに基づいて設定してもよい。
【0020】
前記飽和値変更部は、前記制御偏差に基づいて前記飽和値を段階的に変更すると、飽和値の演算が簡便となる。
【0021】
また、本発明は、フィードバックメインループを備える制御システムにおけるフィルタにおいて、前記フィードバックメインループ内で正帰還を有するマイナーループと、前記マイナーループのフィードバック通路に設けられた低域通過要素と、前記マイナーループの前向き通路に設けられた飽和要素とを有することを特徴とする。
【0022】
このように、正帰還のマイナーループにおいて、フィードバック通路に低域通過要素を、前向き通路に飽和要素を設けることにより、積分と同様の作用を奏するとともにワインドアップ現象を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る位置決め制御システムによれば、外乱オブザーバの正帰還のマイナーループ内に飽和要素を設けることにより、ワインドアップ現象が抑制されて制御特性が向上する。また、外乱オブザーバの作用によって高精度な位置決めが可能になる。
【0024】
また、本発明に係るフィルタによれば、正帰還のマイナーループにおいて、フィードバック通路に低域通過要素を、前向き通路に飽和要素を設けることにより、積分と同様の作用を奏するとともにワインドアップ現象を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る位置決め制御システム及びフィルタについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図34を参照しながら説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係る位置決め制御システム10は、制御対象Pとしての空気圧式のシリンダ12及び比例弁40と、該シリンダ12に対する制御部14とを有する。また、本実施の形態に係る飽和正帰還フィルタ(フィルタ)110は制御部14内に設けられている。
【0027】
シリンダ12は、例えば、半導体製造工場のクリーンルーム内で用いられ、ワーク20の位置決めを行う用途として用いられる。該シリンダ12は、ワーク20を把持する把持部22と、一端部に該把持部22が設けられるロッド24と、該ロッド24の他端部に設けられるピストン26と、該ピストン26が摺動移動するチューブ28と、該チューブ28の端部でロッド24を支持するキャップ30と、ピストン26の周囲に設けられたピストンシール32と、キャップ30に設けられたキャップシール34と、ロッド24の進退量Yを検出するセンサ36とを有する。ピストン26は片ロッド型である。チューブ28は、ピストン26を基準としてロッド24の側のロッド室28aと、反対側のボトム室28bとに分かれ、それぞれポート38が設けられている。各ポート38は、比例弁40によって比例的に切換制御がなされ、一方のポート38に空気圧源41からの圧縮空気を流入させ、他方のポート38からは比例弁40を介して大気開放とする。ピストン26は、チューブ28内を摺動して移動可能であって、最大変位量はYmaxである。
【0028】
図2に示すように、ピストンシール32は、ロッド室28aとボトム室28bとの間の空気の漏れを防止するものであって、内周側がピストン26の外周に設けられた環状溝26aに嵌め込まれており、外周側はやや圧縮されながらチューブ28の内周面に当接している。ピストンシール32としては種々のものが利用可能であって、設計条件により断面略O形のものや断面略X形のものが用いられる。
【0029】
ロッド24が静止しているときには、ピストンシール32の外周部は、チューブ28の内周面に対して当接しており、静止摩擦による力が働いている。したがって、仮想線で示すように、ボトム室28bが加圧されてピストン26がロッド24の方向へ僅かに移動したときにも、ピストンシール32の外周面は、静止摩擦による力によって停止し、ロッド24の変位にともなって粘弾性変形することになる。ロッド24がさらに移動してピストン26に対する加圧力がピストンシール32による静止摩擦力を超えたときには、ピストンシール32は移動を開始し、チューブ28に対しては静摩擦よりも小さい動摩擦が作用することになる。なお、ロッド室28aに対して加圧されて、ピストン26が反対方向に移動する際にも同様の現象が発生することはもちろんである。
【0030】
このように、ピストン26及びロッド24は、ピストンシール32の粘弾性による粘弾性変位範囲(つまり、ピストンシール32が弾性変形をするが、チューブ28に対して摺動しないで停止している範囲)Y0内の移動では、ピストンシール32の弾性による抗力が発生しており適度な減衰特性が得られる。なお、ピストンシール32の特性について例示して説明をしたが、キャップシール34もロッド24に対して弾性的に当接していることから同様の特性を有する。したがって、粘弾性変位範囲Y0は、ピストンシール32とキャップシール34とを合成した粘弾性特性により規定される。
【0031】
図3に示すように、制御部14は、位置フィードバックループ42と、速度フィードバックループ44と、外乱オブザーバ46と、飽和要素48(リミッタとも呼ばれる。)と、飽和値変更部50とを有する。第1減算部52では、指令値Rから進退量Yを減算して偏差(制御偏差)εを求める。進退量Yはセンサ36によって供給される。偏差εは要素Cを介してパラメータC・εとなって第2減算点54に供給される。要素Cは、増幅及び所定の補償を行うものである。
【0032】
速度フィードバックループ44には、微分要素Bが設けられており、進退量Yを微分することによって速度vが求められる。第2減算点54では、パラメータC・εから速度vを減算してパラメータUvを求め、第3減算点56に供給する。
【0033】
外乱オブザーバ46は、センサ36によって観測された進退量Y及び制御対象Pに対する操作量(所定パラメータ)Usから他のパラメータDaを推定してフィードバックを行う公知の制御手段である。外乱オブザーバ46は、進退量Yに対して処理を行う要素60と、第4減算点62と、要素Qとを有する。要素60の処理は、1/Pnと表すことができ、進退量YをPnで割ったパラメータY/Pnを求めて第4減算点62に供給する。ここで、パラメータPnは制御対象Pをn次で近時したモデルである。したがって、該モデルPnが適度な精度を有する場合で、且つ、外乱Dが存在しない場合(D=0)に、進退量Yは、Y←Us・Pと表すことができるから、パラメータY/Pnは、Y/Pn=Us(≒Us・P/Pn)となることが理解されよう。
【0034】
第4減算点62は、パラメータY/Pnから操作量Usを減算したパラメータDiを求め要素Qに供給する。要素Qは低域通過要素であり、パラメータDiに対して低域通過処理をしたパラメータDo(以下、外乱推定値Doともいう。)を求めて第3減算点56に供給する。要素Qは、低域通過要素であることから伝達関数で表す場合には、その分母次数が、Pnの分母次数以上以上に設定される。
【0035】
第3減算点56は、パラメータUvからパラメータDoを減算して基礎操作量Uを求め、飽和要素48に供給する。ここで、飽和要素48、第4減算点62、要素Q及び第3減算点56を通り、飽和要素48に戻る一巡のマイナーループ70では、操作量Usは、第4減算点62で減算値として作用するとともに、要素Qを介して第3減算点56で再び減算値として作用していることから、「−1」が2度乗算されていることになり、結局「1」を乗算しているのと同じである。したがって、マイナーループ70は正帰還となっていることに留意する。すなわち、低域通過要素Qは正帰還のマイナーループ70におけるフィードバック通路に設けられており、飽和要素48は正帰還のマイナーループ70における前向き通路に設けられている。
【0036】
飽和要素48は、基礎操作量Uがプラス値の飽和値Lを超えたときには該飽和値Lを閾値として制限を行い、マイナス値の飽和値−Lを下回ったときには、該飽和値−Lで制限を行う。したがって、制限された操作量Usは、−L<Us<Lとなる。制限が行われない場合には、U=Us(つまりゲインが1)である。飽和値L及び−Lは、飽和値変更部50の作用下に偏差εの絶対値に応じて変更される。飽和値変更部50の詳細な作用については後述する。
【0037】
操作量Usは比例弁40に供給されることから、シリンダ12では指令値R=進退量Yとなるようにピストン26が駆動されることになる。
【0038】
ここで、外乱Dが存在しない場合には、Y/Pn=Usであることから、パラメータDi及びDoは0となり、外乱オブザーバ46によるフィードバックは作用しないことになり、位置フィードバックループ42及び速度フィードバックループ44の作用によっていわゆる古典制御系と同様に位置制御がなされることになる。
【0039】
実際には、外乱Dが存在するために誤差が生じうるのであるが、この外乱Dは外乱オブザーバ46の作用によって補償される。つまり、外乱D≠0である場合には、パラメータDiは、外乱Dに応じた値を示し、要素Qで適切に低域通過処理がなされてパラメータDoが求められ、第3減算点56で減算が行わる。これにより、仮にパラメータUvが0であっても、外乱Dに応じたパラメータDoが、Us=U=−Do(飽和要素48による閾値制限がない場合)、Us=L(飽和要素48によるプラスの制限がなされる場合)、又はUs=−L(飽和要素48によるマイナスの制限がなされる場合)となって制御対象Pを操作し、外乱Dを相殺することができる。
【0040】
次に、このように構成される位置決め制御システム10の動作を確認するためのシミュレーションについて図4〜図32を参照しながら説明する。このシミュレーションは、主にマイナーループ70内に設けられた飽和要素48の効果について確認をするために本願発明者がコンピュータを用いて行ったものである。
【0041】
1)正帰還フィルタ
先ず、マイナーループ70から飽和要素48を取り除き、比例要素kaを代わり設けた正帰還フィルタ100(図4参照)について検討する。また、一般化するために、正帰還フィルタ100の入力には、比例要素kqを挿入した。
【0042】
つまり、図4に示すように、正帰還フィルタ100は、入力段の比例要素kqと、加算点102と、ループ内の比例要素ka及び要素Qとを有する。要素Qは前記のとおり低域通過フィルタである。比例要素kaはループ内の前向き通路に設けられ、要素Qはループ内のフィードバック通路に設けられ、要素Qの出力は加算点102において比例要素kqの出力と加算される。この正帰還フィルタ100の伝達関数G(s)は、
【数1】

となる。
【0043】
代表的に、要素Qを、Q=100/(s+10)2とし、ka=1、kq=0.2とすると、伝達関数G(s)は、
【数2】

となる。該(2)式から、正帰還フィルタ100は、原点に極を持つプロパーな伝達関数になるのが特徴であって、低域周波数では1/sの積分器に等しい特性となることが理解される。ka≠1の場合には、原点極がなくなり、安定でプロパーな伝達関数になり、通常の位相遅れ補償回路の特性と似た特性を示す。この場合の周波数特性を図5及び図6に示す。
【0044】
ここで、ka=1の場合は、前記の外乱オブザーバ46のマイナーループ70の1/(1−Q)の形である場合と同等である。
【0045】
2)飽和正帰還型フィルタ
図4の正帰還フィルタ100に前向き通路に対して、図7のように中立ゲインが1の飽和要素48を挿入した飽和正帰還フィルタ110について検討する。この飽和正帰還フィルタ110は、前記のマイナーループ70の構成と同等である。
【0046】
飽和要素48への入力の大きさが中立点付近の未飽和領域のときの周波数特性は図7の正帰還フィルタ100でka=1の場合と等しく、原点に極を持つ。
【0047】
飽和要素48への入力をx、出力をyとし、|x|<x0の未飽和領域では、y=x、x>x0の飽和領域ではy=x0、x<−x0の飽和領域では、y=−x0となる。x=Xsin(ωt)の入力が印加された場合の出力y=Ysin(ωt+θ)とすると、飽和要素48の記述関数は次のように表される。すなわち、
α=X/x0≦1の場合、飽和要素48のゲインはY/X=1、位相ずれθはθ=0
α=X/x0>1の場合、飽和要素48のゲインはY/X=κ(α)、位相ずれθは、θ=0
ここで、
【数3】

である。
【0048】
図8に示すように、入力振幅の増大に伴いαは増大し、α≦1の場合にはY/X=1であって、さらにαが増大すると、κ(α)は反比例的に減少する。飽和要素48への入力振幅が飽和値(x0)よりも大きくなれば、飽和要素48の等価ゲインは1より小さくなる。この場合、飽和正帰還フィルタ110(図7参照)の周波数特性は、正帰還フィルタ100(図4参照)でkaが1より小さくなった場合に似たものとなると推測される。すなわち、積分特性が抑制されたものとなる。
【0049】
飽和正帰還フィルタ110の出力をy1、正帰還フィルタ100の出力をy2、として余弦波入力に対するシミュレーションの結果を図9〜図16に示す。飽和正帰還フィルタ110の飽和要素48の中立点ゲインは1、飽和値(x0)を0.5とした。図9〜図12は低周波(0.2×π(rad/s))に対する応答で、図13〜図16は高周波(2×π(rad/s))に対する応答である。入力の最大振幅Xは、図9〜図16の順に、X=0.31、X=0.35、X=0.5、X=1.0、X=2.35、X=2.8、X=3.5、及びX=5.0である。なお、図9〜図16の左側縦軸は、出力y1及びy2の目盛りを示しており、入力Xの目盛りについては煩雑となるので省略している。
【0050】
周波数ω=0.1Hz(0.2×π(rad/s))の場合(図9〜図10)、余弦波入力振幅Xが約0.1π以下で飽和要素48の入力は飽和値0.5以下になり、出力y1と出力y2は等しくなる。
【0051】
周波数ω=0.1Hz(0.2×π(rad/s))の場合で、X=0.1πの余弦波の入力に対する正帰還フィルタ100の出力y1の最大振幅Yaは、前記の(2)式から、Ya=0.5015として求められる。
【0052】
図9及び図13から明らかなように、飽和が発生しない場合には、飽和正帰還フィルタ110の出力y1及び正帰還フィルタ100の出力y2は等しい。飽和が発生する場合、低周波入力に対して出力y1の応答は積分特性を持つ出力2より位相が進んだ形となり、振幅も飽和値(0.5)で制限される。
【0053】
高周波入力に対しては、図5及び図6の周波数特性からも明らかなように、出力y1の振幅が飽和値で制限されている以外は、出力y1及び出力y2は似た形となっている。
【0054】
これらの結果から、飽和正帰還フィルタ110は、入力の振幅が飽和値以下であれば低周波ゲインは積分要素(1/s)と同様の特性を持ち、入力の振幅が飽和値を超える領域では出力振幅が頭打ちとなって積分特性は抑制され、位相が進むということが確認された。
【0055】
3)飽和正帰還フィルタ110によるワインドアップ現象抑制効果
前述のとおり、積分器に対して飽和が発生するとワインドアップ現象が発生することがある。そこで、通常の積分器(1/s)の代わりに飽和正帰還フィルタ110を採用すれば、偏差が小さい領域では積分器として機能するとともに、ワインドアップ現象が発生するような偏差が大きいときには積分特性を抑制させることができ、結果としてワインドアップ現象が抑制される。例として、サーボ系のPID制御について飽和正帰還フィルタ110の適用について検討する。
【0056】
図17に示す第1のシステムモデル200は、PID制御器202を使用した位置決めシステムである。図18に示す第2のシステムモデル210は、第1のシステムモデル200における積分器204に替えて正帰還フィルタ100を用いた位置決めシステムである。図19に示す第3のシステムモデル220は、第1のシステムモデル200における積分器204に替えて飽和正帰還フィルタ110を用いた位置決めシステムである。制御弁150(前記の比例弁40に相当する。)には±0.2の飽和が存在するものとする。図17等における符号152は、シリンダ12のモデルである。
【0057】
指令値Rは大きさ1のステップ入力とし、外乱Dは指令値Rよりも時刻tdだけ遅れて発生する大きさ0.5のステップ入力とする。PID制御器202の比例要素206は「3」、微分要素208は、0.06s/(0.006s+1)、比例要素Kpは0.6とする。シリンダ12の伝達関数は、52000/(s3+125s2+2500s)、飽和要素48の飽和値は±0.6とする。なお、簡略化のため、位置決め制御システム10(図3参照)における速度フィードバックループ44、要素60及び飽和値変更部50は省略している。
【0058】
kq=0.2とした場合、第1〜第3のシステムモデル200、210及び220の出力をS1、S2及びS3としてシミュレーションをした結果を図20に示す。この場合、第3のシステムモデル220の飽和要素48の入力iは、図21に示すように、飽和域±0.6を超えていない。従って、出力S2及びS3は等しくなっている。
【0059】
kq=2.0としてゲインを増大した場合のシミュレーション結果を図22に示す。図22から、ステップ入力に対するワインドアップは出力S2では大きくなってしまうが、出力S3ではワインドアップが抑制されていることが観察できる。他方、時刻td後の外乱Dに対する応答には差異がない。その理由は、次のように説明できる。すなわち、第3のシステムモデル220の飽和要素48の入力iは、図23に示すように、ステップ入力に対する応答時には飽和要素48の飽和域(0.6以上の領域)に達しており、第3のシステムモデル220の機能としてのワインドアップ抑制効果が得られ、外乱Dに対しての応答時(時刻td以降)には、未だ飽和域の0.6に達していないので出力S2と出力S3は等しくなる。当然に、飽和値や外乱の大きさによって応答は異なる。
【0060】
第2のシステムモデル210におけるkqをkq=0.2、第3のシステムモデル220におけるkqをkq=2.0、飽和要素48の飽和値を±0.45とした場合のシミュレーション結果を図24に示す。この場合、ステップ入力に対する応答は、図20及び図22の場合と同様であるが、外乱Dに対する応答に差異が生じる。
【0061】
出力S1及びS2は低周波領域で積分特性によって、外乱Dに対しても定常偏差が0となるが、第3のシステムモデル220の出力S3は、定常偏差εaが残ってしまう。これは、飽和正帰還フィルタ110への入力iが図15に示すように、外乱Dに対する応答時にも飽和値(0.6)を超えていることに起因しており、飽和正帰還フィルタ110の低周波領域での積分特性の抑制によるものである。
【0062】
一般的に、定常状態で出力が一定値である場合には、積分特性のあるプラントの入力は0でなければならない。第3のシステムモデル220の微分器222の出力は0で、飽和正帰還フィルタ110の出力は0.45であるから、外乱Dのステップ量−0.5との和が0となるためには、比例要素224の出力が0.05でなければならない。
【0063】
したがって、外乱Dに対する定常偏差としてError=0.05/0.6=0.08333が残る。このようなシミュレーションの結果から、飽和正帰還フィルタ110の飽和値の設定に際しては、次のようなトレードオフを考慮する。すなわち、プラント入力の飽和と積分要素によるによるワインドアップ現象の抑制を優先するためには、飽和正帰還フィルタ110における飽和要素48の飽和値を低く設定して飽和要素48で飽和を発生させるようにする。一方、外乱Dに対する定常偏差を0又は可及的に小さくするためには飽和値を十分に大きく設定する。つまり、設計条件に応じてワインドアップの抑制と定常偏差の極小化のバランスを考慮して飽和値を設定すればよい。
【0064】
4)外乱オブザーバへの飽和正帰還フィルタ110の適用の効果
次に、飽和正帰還フィルタ110を外乱オブザーバ46に適用する場合の効果について、図26及び図27の2つのシステムを用いてシミュレーションをして検討する。図26は比較対象としてのシステムモデル300であり、図27はシステムモデル300に飽和正帰還フィルタ110を入れたシステムモデル310である。システムモデル310は、位置決め制御システム10をモデル化したものであり、飽和要素48の飽和値を±0.6、比例弁40の飽和値を±0.2、要素QをQ=1003/(s+100)3、シリンダ12の伝達関数を5200/(s3+125s2+2500s)、要素Cのゲインを1としている。また、簡略化のため、速度フィードバックループ44、ノミナルモデル(要素60)内の比例弁40のモデルの飽和特性、及び応答改善の補償回路を省略している。システムモデル300の出力をz1、システムモデル310の出力をz2とする。指令値Rは大きさ1のステップ入力とし、外乱Dは指令値Rよりも時刻tdだけ遅れて発生する大きさ0.5のステップ入力とする。なお、システムモデル310では、要素Qを図3における減算前路61に相当する部分と要素60に分けて設けているが、該要素Qに関して回路として等価であることはもちろんである。
【0065】
図28に示すように、プラントに飽和がない場合の出力z1及びz2は略等しくなる。また、図29に示すように、この場合のシステムモデル300及び310の外乱推定値Do及びDocは外乱Dと略等しく、正しい推定がなされていることが確認できる。
【0066】
図30に示すように、プラントに±0.2の飽和がある場合の出力z1と出力z2との間には明らかな差異が生じる。つまり、システムモデル300の出力z1にはプラントの飽和によるワインドアップ現象が見られ、図31に示すように、外乱推定値Docは外乱Dと対比して不正確な波形となる。
【0067】
一方、図30に示すように、システムモデル310の出力z2はワインドアップ現象が抑制されており、飽和正帰還フィルタ110の効果が発揮されていることが確認できる。また、図32に示すように、この場合の外乱推定値Doは短時間に正しい推定に収束している。
【0068】
このように、外乱オブザーバ46に飽和正帰還フィルタ110を適用したシステムモデル310においても、前記のPID制御による第3のシステムモデル220と同様に、ワインドアップ現象の抑制が認められる。また、外乱オブザーバ46を用いていることから、外乱Dを補償することができる。なお、指令値Rのステップ量が小さくなれば、ワインドアップ現象が一層抑制されることはもちろんである。
【0069】
次に、位置決め制御システム10における飽和値変更部50の作用・効果について説明する。飽和値変更部50は、偏差εの絶対値に対応して、飽和要素48の飽和値L(及び−L)を変更する。
【0070】
つまり、図33に示すように、偏差εの絶対値|ε|が、|ε|<ε1である場合には、飽和値Lを、L←L1、−L←−L1と設定する。この場合の設定値L1は、ワインドアップ現象を十分に抑制することのできる十分に小さい値である。絶対値|ε|が、ε1≦|ε|<ε2である場合には、絶対値|ε|に応じ、設定値L1を基準(マイナス側は−L1を基準)に比例的に増加(マイナス側に対しては減少)させ、|ε|=ε2であるときにL=L2、−L=−L2となるように設定する。絶対値|ε|が、|ε|>ε2である場合には、飽和値Lを、L←L2、−L←−L2と設定する。
【0071】
ここで、基準値ε1は、偏差εが比較的小さい範囲を規定する数値であって、ピストンシール32(又はピストンシール32とキャップシール34との仮想的な合成シール)による粘弾性変位範囲Y0(図2参照)、又は余裕をみてそれより僅かに小さい値に設定するとよい。これにより、ピストン26が粘弾性変位範囲Y0で微小変位するときに、ワインドアップ現象が十分に抑制され、しかもピストンシール32(又は前記合成シール)の粘弾性特性によって安定して動作することから、定常偏差を可及的に小さくすることができ、高精度、高剛性な位置決めが可能になる(換言すれば、静特性が向上する。)。
【0072】
また、基準値ε2は、偏差εが十分に大きい範囲を規定する数値であって、最大変位量はYmax(図1参照)と等しく設定する。これにより、絶対値|ε|が増大するに従って飽和値Lも大きく設定されることになり、比例弁40に対する操作量Usを大きくすることができる。つまり、偏差εの絶対値|ε|が大きいときには、比例弁40の駆動量が大きくなりピストン26を高速に動かし、進退量Yを指令値Rに対して迅速に接近させることができる(換言すれば、動特性が向上する。)。
【0073】
また、飽和値変更部50が設定する飽和値L及び−Lは、図34に示すように、基準値ε1と基準値ε2との間で段階的に変更されるようにしてもよい。つまり、絶対値|ε|の増加にともなって、飽和値Lを段階的に増加させ、飽和値−Lを段階的に減少させるようにしてもよい。このような段階的な変更をする場合には、比例的な演算等が不要で、簡便な比較演算のみで足りて好適である。この図34に示すように飽和値L及び−Lを設定する場合も、図33に示す設定の場合と同様の効果が得られる。また、飽和要素48の飽和値Lは、偏差εが粘弾性変位範囲Y0以内であるときよりも、該粘弾性変位範囲Y0を超えるときの方が絶対値で大きく設定されていれば、同様の効果が得られる。
【0074】
上述したように、本実施の形態に係る位置決め制御システム10によれば、外乱オブザーバ46の正帰還のマイナーループ70内に飽和要素48を設けることにより、ワインドアップ現象が抑制されて制御特性が向上する。また、外乱オブザーバ46の作用によって外乱Dが補償されて高精度、高剛性な位置決めが可能になる。
【0075】
さらに、本実施の形態に係る飽和正帰還フィルタ110によれば、正帰還のマイナーループ内のフィードバック通路に低域通過の要素Qを設け、前向き通路に飽和要素48を設けることにより、積分と同様の作用を奏するとともにワインドアップ現象を抑制することができる。
【0076】
本発明に係る位置決め制御システム及びフィルタは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態に係る位置決め制御システムのブロック構成図である。
【図2】ピストンの一部拡大断面側面図である。
【図3】制御部のブロック構成図である。
【図4】正帰還フィルタのブロック構成図である。
【図5】正帰還フィルタのボード線図(ゲイン特性)である。
【図6】正帰還フィルタのボード線図(位相特性)である。
【図7】飽和正帰還フィルタのブロック構成図である。
【図8】飽和正帰還フィルタのゲイン特性図である。
【図9】低周波で入力振幅Xが0.31であるときの正帰還フィルタ及び飽和正帰還フィルタの出力のシミュレーション結果である。
【図10】低周波で入力振幅Xが0.35であるときの正帰還フィルタ及び飽和正帰還フィルタの出力のシミュレーション結果である。
【図11】低周波で入力振幅Xが0.5であるときの正帰還フィルタ及び飽和正帰還フィルタの出力のシミュレーション結果である。
【図12】低周波で入力振幅Xが1.0であるときの正帰還フィルタ及び飽和正帰還フィルタの出力のシミュレーション結果である。
【図13】高周波で入力振幅Xが2.35であるときの正帰還フィルタ及び飽和正帰還フィルタの出力のシミュレーション結果である。
【図14】高周波で入力振幅Xが2.8であるときの正帰還フィルタ及び飽和正帰還フィルタの出力のシミュレーション結果である。
【図15】高周波で入力振幅Xが3.5であるときの正帰還フィルタ及び飽和正帰還フィルタの出力のシミュレーション結果である。
【図16】高周波で入力振幅Xが5.0であるときの正帰還フィルタ及び飽和正帰還フィルタの出力のシミュレーション結果である。
【図17】PID制御器を使用した位置決めシステムのブロック構成図である。
【図18】図17に示すシステムにおける積分器に替えて正帰還フィルタを用いた位置決めシステムのブロック構成図である。
【図19】図17に示すシステムにおける積分器に替えて飽和正帰還フィルタを用いた位置決めシステムのブロック構成図である。
【図20】図17〜図18の各システムで、飽和要素で飽和が発生しないときの出力のシミュレーション結果である。
【図21】図20に対応する場合で、飽和要素で飽和が発生しないときの飽和要素の入力信号のシミュレーション結果である。
【図22】図17〜図18の各システムで、飽和要素で飽和が発生するときの出力のシミュレーション結果である。
【図23】図22に対応する場合で、飽和要素で飽和が発生するときの飽和要素の入力信号のシミュレーション結果である。
【図24】図17〜図18の各システムで、飽和要素の飽和値を外乱よりも小さく設定した場合で、飽和要素が飽和するときの出力のシミュレーション結果である。
【図25】図24に対応する場合で、飽和要素で飽和が発生するときの飽和要素の入力信号のシミュレーション結果である。
【図26】外乱オブザーバに飽和正帰還フィルタが設けられていないシステムのブロック構成図である。
【図27】外乱オブザーバに飽和正帰還フィルタが設けられているシステムのブロック構成図である。
【図28】図26及び図27に示すシステムで、飽和要素で飽和が発生しないときの出力のシミュレーション結果である。
【図29】図26及び図27に示すシステムで、飽和要素で飽和が発生しないときの外乱推定値のシミュレーション結果である。
【図30】図26及び図27に示すシステムで、飽和要素で飽和が発生するときの出力のシミュレーション結果である。
【図31】図26に示すシステムで、飽和要素で飽和が発生するときの外乱推定値のシミュレーション結果である。
【図32】図27に示すシステムで、飽和要素で飽和が発生するときの外乱推定値のシミュレーション結果である。
【図33】飽和値変更部による飽和値設定値を示すグラフである。
【図34】飽和値変更部による飽和値設定値の変形例を示すグラフである。
【図35】ワインドアップ現象の説明のための積分器における積分値のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0078】
10…位置決め制御システム 12…シリンダ
14…制御部 20…ワーク
22…把持部 24…ロッド
26…ピストン 28…チューブ
30…キャップ 32…ピストンシール
34…キャップシール 36…センサ
40…比例弁 42…位置フィードバックループ
44…速度フィードバックループ 46…外乱オブザーバ
48…飽和要素 50…飽和値変更部
70…マイナーループ 100…正帰還フィルタ
110…飽和正帰還フィルタ
200、210、220、300、310…システムモデル
B…微分要素 C…要素
D…外乱 L…飽和値
P…制御対象 Q…低域通過要素
R…指令値 U…基礎操作量
Us…操作量 Y…進退量
Y0…粘弾性変位範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の少なくとも1つの観測値から外乱を推定してフィードバックを行う外乱オブザーバと、
前記外乱オブザーバによるフィードバックのフィードバックループ内に設けられた飽和要素とを有し、
前記フィードバックは、前記制御対象の出力値に基づくメインループと、所定パラメータに基づいて正帰還をするマイナーループとを有し、
前記飽和要素は前記マイナーループ内に設けられていることを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の位置決め制御システムにおいて、
前記飽和要素の飽和値を制御偏差に基づいて変化させる飽和値変更部を有することを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項3】
請求項2記載の位置決め制御システムにおいて、
前記制御対象は摺動部にシールを備えるシリンダを有し、
前記飽和要素の飽和値は、前記制御偏差が前記シールの粘弾性変位範囲内であるときよりも、前記制御偏差が前記シールの粘弾性変位範囲外であるときの方が絶対値で大きく設定されていることを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項4】
請求項3記載の位置決め制御システムにおいて、
前記ピストンシリンダは、空気圧駆動型であることを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項5】
請求項3記載の位置決め制御システムにおいて、
前記シールは、ピストンシールと、キャップシールと、からなることを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項6】
請求項2記載の位置決め制御システムにおいて、
前記飽和値変更部は、前記制御偏差に基づいて前記飽和値を段階的に変更することを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項7】
フィードバックメインループを備える制御システムにおけるフィルタにおいて、
前記フィードバックメインループ内で正帰還を有するマイナーループと、
前記マイナーループのフィードバック通路に設けられた低域通過要素と、
前記マイナーループの前向き通路に設けられた飽和要素と、
を有することを特徴とするフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−213496(P2007−213496A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35302(P2006−35302)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】