説明

低水分伸張特性を有する不織布ジョイントテープ及びその使用方法

本発明は、水存在下にて実質的に膨張しない不織布基材を含む、板の間のジョイントを仕上げるためのジョイントテープに関する。本発明はさらに、(i)ジョイントコンパウンドの1番目のコーティングにジョイントテープを埋め込むことにより、板の間のジョイントに、本発明のジョイントテープを適用するステップ、(ii)テープ上に、ジョイントコンパウンドの2番目のコーティングを適用するステップ(ここで、ステップ(ii)は、ステップ(i)にて適用されたジョイントテープ及びジョイントコンパウンドが実質的に乾燥する前に行われる)、並びに任意で(iii)テープ上に、ジョイントコンパウンドの3番目の充填又は仕上げコーティングを適用するステップ(ここで、ステップ(iii)は、ジョイントテープ及び2番目のコーティングが実質的に乾燥する前に行われる)を含む、板の間のジョイントを仕上げる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
壁、天井、床、区切り、バスタブ周辺物などは、通常、多数の板(時に「パネル」と呼ばれる)から構成される。板は、例えば、セメント又は石膏のようなセメント資材を含む様々な資材のいずれかから成り立っていても良いが、これらに限定されるわけではない。典型的には、使用時に2枚の板が互いに隣接する場合、ジョイントと呼ばれる隙間又は合わせ目が、板の間に規定される。「ジョイントコンパウンド」と呼ばれる特別に調製された粘着剤でジョイントを充填して、コーティングすることは、周知である。2つのタイプのジョイントコンパウンドが、当業者に公知である:硬化タイプ及び乾燥タイプであり、これは調合済みの形態にて入手可能である。この工程は、でこぼこの表面、穴、くぼみ、隙間、へこみ、並びに、電気箱、パイプ及び排気装置の周囲を含む他の欠陥、並びにドライウォール板の交線によって作られる角のような欠点を修復するためにも使用される。
【背景技術】
【0002】
ジョイントテープを使用して、板の間のジョイントを仕上げるには、典型的には3つのステップが含まれることが当該分野で周知である。1番目に、ジョイントコンパウンドの薄い層が、ジョイントを覆って板に適用されて、テープがその中に埋め込まれる。このステップは、通常、埋め込みステップと呼ばれる。次に、ジョイントコンパウンドの2番目のコーティングが、埋め込んだジョイントテープ上に適用される。このステップは、通常充填ステップと呼ばれる。ジョイントコンパウンドの2番目のコーティングは、典型的には、ジョイントテープの端から約2インチ広がる。最後に、ジョイントコンパウンドの3番目のコーティングが、最初の2つのコーティングの上に適用され、3番目のコーティングは、典型的には、ジョイントテープの端からはるかに広く広がる。これは、通常仕上げステップと呼ばれる。紙製ジョイントテープは、ジョイントコンパウンド由来の水分の存在で膨張するために、2番目及び3番目のジョイントコンパウンドのコーティングは、先のジョイントコンパウンドのコーティング及びジョイントテープが完全に乾燥するまで適用することができず、これにはたいてい、24時間ほどもかかる。このことは、板のジョイントを仕上げるのに、3日ほどもの時間を要することを意味している。テープが自己粘着性のあるテープである場合には、ステップ(ii)及び(iii)のみを要し、それゆえ、ジョイントを仕上げるには、丸2日近くは必要である。
【0003】
ジョイントテープは、強度及びひび割れ耐久性、並びに平らなジョイント及びインサイドコーナーでの滑らかな隠蔽を付与する。従来、3つのタイプのジョイントテープが用いられてきた:単純なクラフト紙ストリップ;グラスファイバー織テープ;及びグラスファイバー不織テープ。クラフト紙ストリップ及びグラスファイバー不織テープは、ジョイントコンパウンドの基礎コーティングによって、ドライウォールのような板の表面に粘着するか、あるいは自己粘着性である。グラスファイバー織テープは、典型的には、自己粘着性のあるテープであるが、ステープルで壁に固定させることもできる。一度紙製ジョイントテープが適用されると、次のジョイントコンパウンドのコーティングが適用できるまで、ジョイントコンパウンド及びテープが完全に乾燥するために、1日ほども待たなければならない。
【0004】
グラスファイバーテープは、膨張不能であり、引っぱり及びしわに耐性がある。しかし、グラスファイバー不織テープは、引張強度が低いという問題があり、従来のジョイントコンパウンドと一緒に使用されると、ひび割れしやすくなる。グラスファイバー織テープは、十分な引張強度を有しているが、乾燥タイプのジョイントコンパウンドと一緒に作製される板のジョイントは、ひび割れしやすく、従って、グラスファイバー織テープは、硬化タイプの化合物と一緒に使用するのにしか、推奨されない。
【0005】
従って、高強度を有していて、水分による伸張が軽減した、改良型のジョイントテープが、業界において依然必要とされている。加えて、ジョイントコンパウンドが乾燥するまで待つ必要性が軽減されるか、又はなくなるような、板の間のジョイントを仕上げる改良方法が、依然必要とされている。本発明は、このようなジョイントテープ及び方法を提供する。本発明のこれら及び他の利点、並びにさらなる発明の特徴は、本明細書に提供される発明の記載から、明らかであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の要旨
本発明は、板(例えば、ドライウォール、セメント板など)の間のジョイントを仕上げるための、水存在下にて有意に膨張せず、かつ、適用している間の裂け及びひび割れに耐性のある十分な強度を有する不織布基材を含む、ジョイントテープを提供する。1つの実施態様において、ジョイントテープは、天然パルプ繊維、合成ポリマー繊維、グラスファイバー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維を含む不織布基材を含み、ここで、不織布基材は、好ましくは、ASTM C474−05に従って決定すると、以下を有する:
・約1.3%未満の横方向パーセント伸張;
・約0.2%未満の縦方向パーセント伸張;及び
・横方向に、1インチあたり少なくとも約15ポンドフォースの引張強度。
【0007】
本発明は、さらに、本発明のジョイントテープの使用を含む、板の間のジョイントを仕上げる方法を提供する。出願人は驚くことに、本発明のジョイントテープを使用すると、ジョイントを仕上げるのに要する時間が大きく軽減できることを見出した。特に、ジョイントコンパウンドの2番目のコーティングは、1番目のコーティング又はジョイントテープが乾燥するのを待たなければならないということなく、1番目のコーティングの上に適用できる。従って、別の実施態様において、本発明は、(i)ジョイントコンパウンドの1番目のコーティングに本発明のジョイントテープを埋め込むことにより、板の間のジョイントに、テープを適用するステップ、(ii)テープ上に、ジョイントコンパウンドの2番目の充填コーティングを適用するステップ、及び任意で(iii)テープ上に、ジョイントコンパウンドの3番目の充填又は仕上げコーティングを適用するステップを含む方法を提供し、ここで、ステップii及び/又はiiiは、先のコーティング及び/又はジョイントテープが、実質的に乾燥又は硬化する前に、行われる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、ジョイントテープ、板の間のジョイントを仕上げる方法、及び広くセメント資材の補強に関する。本明細書にて使用する場合、板のジョイントの仕上げとは、板の集合体を作りだすために、板の間のジョイントにテープ及びジョイントコンパウンドを適用することを指しており、仕上げ後に、この集合体は、塗料、壁紙、タイル、パネルなどを適用することによってさらに、処置されうる。本発明のジョイントテープは、壁、天井、床、区切り、バスタブ周辺物、縦型及び横型シャフト壁、階段吹き抜け、領域分離用壁などを形成する際に使用される板と一緒に使用されうる。例えば、本発明のジョイントテープは、United States Gypsum Companyから商業的に入手可能な、SHEETROCK(登録商標)ドライウォール製品及びDUROCK(登録商標)セメント板製品、並びに競合する製品などと一緒に使用されうる。板は、例えば、セメント又は石膏のような、セメント資材を含む、様々な資材のいずれから構成されていてもよいが、これらに限定されるわけではない。用語「ドライウォール」は、例示的に使用されているが、当業者が理解するように、壁板、繊維板、ガラス表面の石膏ボード、セメント板、などの様々な製品を含む。用語「テープ」は、例えば、巻いた形態にて提供されうる細長い資材を意味し、粘着裏地層を含んでいても含んでいなくてもよくて、並びに、望ましくは、ASTM C474−05及びC475に示されている基準を満たす。
【0009】
本発明は、水分存在下で実質的に膨張不能な繊維を含む基材を含むジョイントテープについて述べる。この局面において、本発明は、発明者にとって驚きで、予期していなかった発見であって、ASTM C474−05に従って決定したとき、約1.3%未満の横方向パーセント伸張及び約0.2%未満の縦方向パーセント伸張を有する基材を含む、ジョイントテープを、少なくとも部分的に前提としている。例えば、ある実施態様において、基材は、約1%未満の横方向パーセント伸張及び約0.15%未満の縦方向パーセント伸張を有する。好ましくは、基材は、約0.8%未満の横方向パーセント伸張及び約0.1%未満の縦方向パーセント伸張を有する。ある実施態様において、基材は、約1.3%未満の横方向パーセント伸張及び約0.15%未満の縦方向パーセント伸張、約1.3%未満の横方向パーセント伸張及び約0.1%未満の縦方向パーセント伸張、約1%未満の横方向パーセント伸張及び約0.2%未満の縦方向パーセント伸張、約1%未満の横方向パーセント伸張及び約0.1%未満の縦方向パーセント伸張、約0.8%未満の横方向パーセント伸張及び約0.2%未満の縦方向パーセント伸張、あるいは約1%未満の横方向パーセント伸張及び約0.15%未満の縦方向パーセント伸張を有する。
【0010】
ドライウォールのジョイントに適用している間の破壊を避けるために十分な強度を有するジョイントテープもまた、所望される。従って、本発明のジョイントテープは好ましくは、ASTM C474−05に従って決定したとき、横方向に1インチあたり少なくとも約15ポンドフォースの引張強度を有する基材を含む。ある実施態様においては、基材は、横方向に、1インチあたり少なくとも約18ポンドフォースの引張強度を有する。好ましくは、基材は、横方向に、1インチあたり少なくとも約20ポンドフォースの引張強度を有する。
【0011】
基材は、不織布基材である。本明細書で使用する場合、用語「不織布基材」は、個々の繊維又は糸が差し込まれている構造を有しているが、ニット生地のような同定可能な様式ではない織布を指す。不織布ウェブ又は生地は、例えば、メルトブロー工程、スパンボンド工程、及びボンドカードウェブ工程(bonded carded web processes)のような多くの工程から形成されてきた。不織布基材は、テープを通り抜けるジョイントコンパウンドの十分な浸透性を提供して、それによって、テープと、テープが適用されるドライウォール間のジョイントコンパウンドへの接着を増強する(すなわち、ASTM C 474−05に従って決定すると、少なくとも約90%がジョイントコンパウンドと接着する)ような、任意の適切な大きさの穴を有しえる。望ましくは、不織布基材の流体浸透性は、TAPPI T−460(Gurley法)に従って空気抵抗として測定すると、約6秒以下(例えば、約5秒以下、あるいは約4秒以下)である。不織布基材の浸透性の上限は、上記で議論したような、十分な引張強度の要求に拘束される。
【0012】
不織布基材は、任意の適切な繊維を含みうる。例えば、不織布基材は、天然パルプ繊維、合成ポリマー繊維、グラスファイバー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維を含み得る。天然パルプ繊維としては、軟材及び硬材パルプ繊維を含む木材パルプ繊維、藁繊維、麻、ジュート、ケナフ、及び竹パルプ繊維のような植物及び葉パルプ繊維、綿パルプ繊維などが挙げられうる。ある実施態様において、天然パルプ繊維は、紙を作製する際に使用されるような木材パルプ繊維である。合成ポリマー繊維としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセテート、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、レーヨン、ポリ塩化ビニル、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む繊維が挙げられうる。ある実施態様においては、合成ポリマー繊維は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含む。
【0013】
本発明のジョイントテープに使用される不織布基材を形成するために使用される繊維は、上記に議論したパーセント伸張及び引張強度の要件を満たすように選択される。典型的には、不織布基材は、合成ポリマー繊維、好ましくはポリエステル繊維を高い割合で含む。加えて、不織布基材は、天然パルプ繊維、好ましくは木材パルプ繊維、及び/又はグラスファイバーを含みうる。1つの実施態様において、不織布基材は、合成ポリマー繊維、木材パルプ繊維及びグラスファイバーを含む。ある実施態様においては、不織布基材は、少なくとも約30重量%以上の合成ポリマー繊維、約1重量%未満の天然パルプ繊維、及び/又は約50重量%未満のグラスファイバーを含み、ここで、重量は、不織布基材の総重量に基づいている。
【0014】
本発明のジョイントテープに使用される不織布基材は、任意でさらに、結合剤を含む。結合剤は典型的には、不織布基材を形成する間に、繊維の粘着を促進して、得られる基材の強度を改善するために、添加される。結合剤は、任意の適切な結合剤でありえ、その多くは当該分野で公知である。結合剤は、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、アクリル酸、酢酸エチルビニル、及びエチル塩化ビニルから形成されるポリマー、デンプン、並びにそれらの組み合わせのような、ポリマー結合剤でありうる。
【0015】
結合剤はまた、デンプン又はデンプン誘導体でありうる。適切なデンプンとしては、コーン、モチトウモロコシ、ミロ、ホワイトミロ、小麦、ポテト及びタピオカが挙げられる。適切なデンプン誘導体としては、ヒドロキシエチルデンプンエーテル、酢酸デンプン、リン酸デンプン、マレイン酸デンプン、デンプンプロピオンアミド、カチオン性デンプン、酸化デンプン及びシアノエチルデンプンが挙げられ、特に、ヒドロキシエチル(hydroyethylated)ポテトデンプン、カチオン性ポテトデンプン、酸で修飾されたコーンスターチ、ヒドロキシエチルコーンスターチ、酸化コーンスターチ及びそれらの混合物が挙げられる。また、デキストリン(例えば、白色デキストリン、カナリアデキストリン及びブリティッシュゴム)、マルトデキストリン、熱化学的に変換されたデンプン、及び酸化デンプンのような、架橋デンプン及びデンプン変換体が挙げられる。
【0016】
結合剤は、好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、架橋デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある実施態様において、結合剤は、望ましくは架橋デンプンである。他の実施態様においては、結合剤は、望ましくはポリビニルアルコール及び/又はポリ酢酸ビニルである。また他の実施態様において、結合剤は望ましくは、架橋デンプン及びポリビニルアルコール及び/又はポリ酢酸ビニルの混合物である。
【0017】
本発明のジョイントテープに使用される不織布基材は任意で、少なくとも部分的には、接着増強剤でコーティングされる。接着増強剤は、一旦テープが壁に適用されるとジョイントテープとジョイントコンパウンドとの間の接着を改善し、板(例えば、ドライウォール)表面への、ジョイントコンパウンドが浸透したテープの引き続く粘着を改善する、任意の薬剤である。例えば、接着増強剤は、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、アクリル酸、酢酸エチルビニル、及びエチル塩化ビニルから形成されるポリマー、デンプン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されうる。好ましくは、接着増強剤は、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0018】
ある実施態様においては、本発明のジョイントテープに使用される不織布基材は、少なくとも不織布基材の裏面上に粘着剤を任意で含む。粘着剤は、接着増強剤の代わりに、又はこれに加えて使用されうる。粘着剤は典型的には、感圧粘着剤であり、その多くが当該分野で公知である。本明細書にて使用する場合、「感圧」は、任意の剥離可能な粘着剤又は剥離可能な固着手段を指す。適切な粘着剤としては、例えば、イソオクチルアクリレート及びアクリル酸コポリマーのようなアクリル粘着剤、又は粘着付与剤と組み合わせうる酢酸ビニル−2エチルへキシルアクリレートコポリマーが挙げられる。あるいは、粘着剤は、急速に固まる熱可塑性の「ホットメルト」粘着剤を含んでいてもよい。
【0019】
他の実施態様において、適用する前に、不織布基材を軽く紙やすりにかけるのが望ましい。表面を軽く紙やすりにかけると、適用の間のテープとジョイントコンパウンドの接着と、引き続いて起こるドライウォール表面への粘着が改善しうる。紙やすりにかけることは、単独で、又は、接着増強剤及び/又は粘着剤と組み合わせて使用されうる。
【0020】
本発明のジョイントテープは、任意の適切な厚みを有し得る。ASTM C474−05に従うと、工業的使用に適切なジョイントテープは、約0.012インチ以下の厚みを有するべきである。ある実施態様においては、本発明のジョイントテープは、約0.01インチ以下、あるいは約0.008インチ以下の厚みを有する。好ましくは、本発明のジョイントテープは、約0.007インチ以下、約0.006インチ以下、約0.005インチ以下、あるいは約0.004インチ以下の厚みを有する。
【0021】
本発明の任意の実施態様のジョイントテープは、染料又は顔料、難燃剤、及びIDタグのような、任意の他の適切な添加物をさらに含みえて、これらの多くは当該分野において公知である。加えて、ジョイントテープは、内角への適用を促進するために、あらかじめ折り目をつけたり、又は刻み目をつけたりすることが可能である。
【0022】
本発明のジョイントテープは、望ましくは、板の間のジョイントを仕上げるために使用される。本発明のジョイントテープのひとつの利点は、水分存在下において、不織布基材が低いパーセント伸張を有することである。本発明のジョイントテープを適用すれば、ジョイントコンパウンドの別のコーティングが適用されうる前に、ジョイントコンパウンド及びテープが乾燥するまで、テープの適用を待つ必要がないことから、板間のジョイントを仕上げるという状況においては、この特徴は、特に望ましい。
【0023】
従って、本発明の任意の実施態様に従うジョイントテープは、望ましくは、ドライウォールジョイントを仕上げる方法において使用される。1つの実施態様において、この方法は、(i)板の間のジョイントを覆う、ジョイントコンパウンドの1番目のコーティングにジョイントテープを埋め込むステップ、(ii)ジョイントテープに、ジョイントコンパウンドの2番目の充填コーティングを適用するステップ、及び任意で(iii)テープ上に、ジョイントコンパウンドの3番目の充填又は仕上げコーティングを適用するステップを含み、ここで、ステップ(ii)及び/又は(iii)は、先のコーティングが実質的に乾燥する前に行われる。この方法は、任意でさらに、(iv)テープ上に、ジョイントコンパウンドの4番目の充填又は仕上げコーティングを適用するステップ、並びに任意で、(v)テープ上に、ジョイントコンパウンドの5番目の仕上げコーティングを適用するステップ、を含み、ここで、ステップ(iv)及び(v)は、先のコーティングが実質的に乾燥する前に行われる。本明細書で使用する場合、用語「埋め込む」は、少なくとも部分的に、ジョイントコンパウンドの上又は中にテープを設置する又は配置することを意味する。ジョイントテープは、ジョイントコンパウンドの中に完全に又は部分的に埋め込まれうる。
【0024】
別の実施態様において、この方法は、(i)感圧粘着剤のような粘着剤を使用して、板の間のジョイントに、本発明のいくつかの実施態様に従ったジョイントテープを適用するステップ、(ii)ジョイントテープに、ジョイントコンパウンドの1番目の充填コーティングを適用するステップ、並びに任意で(iii)テープ上に、ジョイントコンパウンドの2番目の充填又は仕上げコーティングを適用するステップを含み、ここで、ステップ(iii)は、1番目のコーティングが実質的に乾燥する前に行われる。この方法は、テープ上に、ジョイントコンパウンドの3番目、4番目、又さらに5番目の充填又は仕上げコーティングを適用するステップを、任意でさらに含み、ここで、各追加のコーティングは、先に適用したコーティングが実質的に乾燥する前に適用される。
【0025】
本明細書にて使用する場合、用語「実質的に乾燥した」は、紙製ジョイントテープ上に適用されたジョイントコンパウンド中に存在する水が、実質的に蒸発し、それにより、水分の存在に起因して起こるテープの膨張が実質的に又は完全に軽減された時点、を指す。本発明の方法において、ジョイントコンパウンドの引き続くコーティングは、ジョイントコンパウンド中に存在する水を除去(例えば、蒸発によって)する前に、適用されうる。典型的には、ジョイントコンパウンドの、2番目又は引き続くコーティングは、約30分以内、約1時間以内、又は約3時間以内のように、すぐに適用されうる。
【0026】
以下の実施例は、本発明についてさらに例示するが、もちろん、本発明の範囲を限定するように決して解されるべきではない。
【実施例1】
【0027】
この実施例は、本発明に従った膨張不能なジョイントテープが、従来の紙製ジョイントテープに匹敵する、引張強度及びジョイントコンパウンドへの接着性を有していることを、例示する。
【0028】
ポリエステル、ガラス、及び木材パルプ繊維(Ahlstrom 7136)の混合物を含む不織布資材は、標準的な紙製ジョイントテープの寸法に類似させて、2枚の3フィートのストリップに切断した。1つのストリップは、120グリットのサンドペーパーを使用して、片面を軽く紙やすりをかけた。紙やすりをかけていない不織布ストリップは、9.5±0.3ミル(242±7ミクロン)の厚みを有していた。紙やすりをかけた不織布ストリップは、8.2±0.2ミル(207±4ミクロン)の厚みを有していた。
【0029】
加えて、2枚の従来の紙製ジョイントテープ(SheetrockTMブランドテープ)を、比較の目的で入手した。紙製ジョイントテープのうち1枚を、120グリットのサンドペーパーを使用して、片面を軽く紙やすりをかけた。紙やすりをかけていない紙製ストリップは、8.5±0.3ミル(216±7ミクロン)の厚みを有していた。紙やすりをかけた紙製ストリップは、8.5±0.1ミル(217±2ミクロン)の厚みを有していた。
【0030】
4枚のストリップの各々の引張強度を決定した。横方向の引張強度は、紙やすりをかけた資材については、ASTM C 474(1/2インチゲージ,0.66 in/分,73°F、50% RH)によって、並びに紙やすりをかけていない資材については、TAPPI T 494om(7インチゲージ,1 in/分,73°F, 50% RH)によって決定した。流れ方向における引張強度は、紙やすりをかけた資材及び紙やすりをかけていない資材の両方について、TAPPI T 494om(7インチゲージ,1 in/分,73°F,50% RH)で決定した。引張強度は、表1に報告する。
【0031】
【表1】

【0032】
それから、不織布資材の各ストリップを、SHEETROCKTMブランドの硬化タイプのジョイントコンパウンドと一緒に、壁板(ドライウォール)パネルのジョイントに適用した。壁板ジョイントコンパウンド及びドライウォール表面への、ストリップの接着の結果は、様々な条件下にて、ASTM C474−05に従って決定した。様々な条件下における各資材に関するジョイントコンパウンドへのASTM接着は、表2に提供される。
【0033】
【表2】

【0034】
これらの結果は、本発明の膨張不能な不織布資材が、引張強度並びにジョイントコンパウンド及びドライウォール表面への接着性を犠牲にすることなく、ジョイントテープとして使用されうることを示している。
【0035】
本明細書中に引用した、刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての引用文献は、各引用文献が個々にかつ具体的に援用されていることが示され、そしてその全体が本明細書中に記載されているのと同じ程度にまで、本明細書中に援用されている。
【0036】
本発明を説明する文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)、用語「ひとつの(a)」及び「ひとつの(an)」及び「その(the)」及び同様の指示詞の使用は、本明細書中で特段の指示があるか、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含するように解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」は、特段の注釈なき限り、オープン・エンドな用語(すなわち、「が挙げられるが、これ(ら)に限定されない」という意味)として解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、特段の指示なき限り、当該範囲内の個々の異なる値に対してそれぞれ言及する便法としての役割を意図しているのみであり、各々の異なる値は、あたかもそれぞれが本明細書中に列挙されるかのように、本明細書中に援用されている。本明細書中に記載された全ての方法は、本明細書中で特段の指示があるか、又は文脈と明らかに矛盾していない限り、任意の適切な順序で、遂行されうる。本明細書中に提供された任意及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しているものであって、特段の権利主張なき限り、本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の用語は、特許請求の範囲に係らない構成要件を本発明の実施に必須なものとして示すものとして解釈すべきではない。
【0037】
本発明の好ましい実施態様(本発明を遂行するために本発明者らが知っている最良の形態を含む)が、本明細書中に記載される。それらの好ましい実施態様の変形は、前記の記載を読めば、当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてこのような変形を使用することを予期しており、本発明者らは本明細書中に具体的に記載されているものとは別のやり方で本発明が遂行されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容される限り、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙された対象の全ての改変及び均等物を包含する。さらに、本明細書中に特段の指示なき限り、又は文脈と明らかに矛盾していない限り、これら全ての可能な変形における、先に記載した構成要件の任意の組み合わせが、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然パルプ繊維、合成ポリマー繊維、グラスファイバー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維を含む不織布基材を含み、該不織布基材は、ASTM C474−05に従って決定したとき、以下を有する、ジョイントテープ:
・約1.3%未満の横方向パーセント伸張;
・約0.2%未満の縦方向パーセント伸張;及び
・横方向に、1インチあたり少なくとも約15ポンドフォースの引張強度。
【請求項2】
前記不織布基材が、ASTM C474−05に従って決定したとき、以下を有する、請求項1に記載のジョイントテープ:
・約0.8%未満の横方向パーセント伸張;
・約0.1%未満の縦方向パーセント伸張;及び
・横方向に、1インチあたり少なくとも約20ポンドフォースの引張強度。
【請求項3】
前記繊維が、天然パルプ繊維及びグラスファイバーを両方含む、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項4】
前記繊維が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセテート、ポリアクリル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、レーヨン、ポリ塩化ビニル、これらのコポリマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される合成ポリマー繊維を含む、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項5】
前記繊維がポリエステル繊維を含む、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項6】
前記繊維が天然パルプ繊維を含み、かつ、該天然パルプ繊維が、木材パルプ繊維である、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項7】
前記不織布基材が結合剤を含む、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項8】
前記結合剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、デンプン、架橋デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載のジョイントテープ。
【請求項9】
前記結合剤が、架橋デンプン、又は、架橋デンプン及びポリビニルアルコールの組み合わせである、請求項7に記載のジョイントテープ。
【請求項10】
前記不織布基材が、少なくとも部分的に、接着増強剤でコーティングされる、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項11】
前記接着増強剤が、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、アクリル酸、酢酸エチルビニル、及びエチル塩化ビニルから形成されるポリマー、デンプン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のジョイントテープ。
【請求項12】
前記接着増強剤が、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール又はそれらの組み合わせである、請求項10に記載のジョイントテープ。
【請求項13】
前記不織布基材の少なくとも裏面上に粘着剤をさらに含む、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項14】
前記不織布基材が、該不織布基材の総重量に基づいて、少なくとも約30重量%以上の合成ポリマー繊維を含む、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項15】
前記不織布基材が、約1重量%未満の天然パルプ繊維を含む、請求項1に記載のジョイントテープ。
【請求項16】
以下を含む、板の間のジョイントを仕上げる方法:
(i)天然パルプ繊維、合成ポリマー繊維、グラスファイバー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維を含む不織布基材を含むジョイントテープを、ジョイントコンパウンドの1番目のコーティングの中に、少なくとも部分的に該ジョイントテープを埋め込むことにより、板の間の該ジョイントに適用するステップ(ここで、該不織布基材は、ASTM C474−05に従って決定したとき、約1.3%未満の横方向パーセント伸張;約0.2%未満の縦方向パーセント伸張;及び、横方向に、1インチあたり少なくとも約15ポンドフォースの引張強度を有する);及び
(ii)該テープ上に、ジョイントコンパウンドの2番目のコーティングを適用するステップ(ここで、ステップ(ii)は、(i)にて適用されたジョイントコンパウンドの該1番目のコーティングが実質的に乾燥する前に行われる)。
【請求項17】
前記不織布基材が、該不織布基材の少なくとも裏面上に粘着剤をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(iii)前記テープ上に、ジョイントコンパウンドの3番目のコーティングを適用するステップ(ここで、ステップ(iii)は、前記2番目のコーティングが実質的に乾燥する前に行われる)をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記板が、ドライウォール板及びセメント板からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
以下を含む、板の間のジョイントを仕上げる方法:
(i)天然パルプ繊維、合成ポリマー繊維、グラスファイバー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される繊維を含む不織布基材、並びに該不織布基材の少なくとも裏面上の粘着剤を含むジョイントテープを、該粘着剤を使用して板の間の該ジョイントに適用するステップ(ここで、該不織布基材は、ASTM C474−05に従って決定したとき、約1.3%未満の横方向パーセント伸張;約0.2%未満の縦方向パーセント伸張;及び、横方向に、1インチあたり少なくとも約15ポンドフォースの引張強度を有する);及び
(ii)該テープ上に、ジョイントコンパウンドの1番目のコーティングを適用するステップ、及び
(iii)該テープ上に、ジョイントコンパウンドの2番目のコーティングを適用するステップ、
(ここで、ステップ(iii)は、(ii)にて適用されたジョイントコンパウンドの該1番目のコーティングが実質的に乾燥する前に行われる)。


【公表番号】特表2010−512478(P2010−512478A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541303(P2009−541303)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/023924
【国際公開番号】WO2008/073206
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】