低温液化ガス貯槽及びその製造方法
【課題】輸送時の重量を軽減して公道での輸送を可能とし、製作コストの上昇も最小限に抑えることができる低温液化ガス貯槽及びその製造方法を提供する。
【解決手段】低温液化ガスを貯留する内槽12と、該内槽12の外側に断熱層を介して設けられた外槽14とを有する低温液化ガス貯槽11において、前記外槽14を外槽下部部材16と外槽上部部材15とに分割形成し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニット17を一体的に形成し、前記外槽の外槽上部部材は、貯槽設置場所で内槽ユニットの外槽下部部材上部に接合一体化させる。
【解決手段】低温液化ガスを貯留する内槽12と、該内槽12の外側に断熱層を介して設けられた外槽14とを有する低温液化ガス貯槽11において、前記外槽14を外槽下部部材16と外槽上部部材15とに分割形成し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニット17を一体的に形成し、前記外槽の外槽上部部材は、貯槽設置場所で内槽ユニットの外槽下部部材上部に接合一体化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温液化ガス貯槽及びその製造方法に関し、詳しくは、液化アルゴン、液化酸素、液化窒素、液化炭酸ガス、液化天然ガス(LNG)等の低温液化ガスを貯留し、化学工場、半導体工場、病院等の医療機関における無菌室や人工呼吸器等に各種ガスを供給するために所定の用地に配設される大型の低温液化ガス貯槽の構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低温液化ガスを貯留する大型の低温液化ガス貯槽は、一般に、貯留した低温液化ガスの蒸発を抑えるため、内槽と外槽との二重構造で形成され、内槽と外槽との間には、パーライト等の断熱材を充填するとともに真空引きした真空断熱層を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2964310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年は、低温液化ガス貯槽の大型化が望まれているが、工場で製作した低温液化ガス貯槽を設置場所へ輸送する際の様々な制限、特に公道での重量制限によって最大容量が限定されているのが実情である。また、現地で大型の低温液化ガス貯槽を製作することも考えられるが、製作に必要な多くの装置や機器を用意しなければならず、現地工事が長期化するなどの理由から、大幅なコストアップが避けられない。
【0004】
そこで本発明は、輸送時の重量を軽減して公道での輸送を可能とし、製作コストの上昇も最小限に抑えることができる低温液化ガス貯槽及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の低温液化ガス貯槽は、低温液化ガスを貯留する内槽と、該内槽の外側に断熱層を介して設けられた外槽とを有する低温液化ガス貯槽において、前記外槽を外槽下部部材と外槽上部部材とに分割し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニットを一体的に形成し、前記外槽の外槽上部部材は、貯槽設置場所で内槽ユニットの外槽下部部材の上部に接合一体化されることを特徴としている。
【0006】
さらに、本発明の低温液化ガス貯槽は、前記内槽が、該内槽の底部が前記外槽下部部材の底部内側に設けられた内槽支持脚によって前記外槽下部部材の底部上面に組み付けられ、前記内槽支持脚は、外槽下部部材の底部下面に設けられている貯槽支持脚に、外槽下部部材底板部を介して荷重を支持される位置に設けられていることを特徴とし、前記断熱層を真空引きするための真空引き用配管が前記外槽上部部材あるいは前記内槽ユニットに一体的に備えられていることを特徴としている。
【0007】
加えて、本発明の低温液化ガス貯槽は、前記外槽上部部材に該外槽上部部材の内周方向に突出して外槽上部部材の内周面と前記内槽の外周面との接触を防止するための複数のガイド部材が設けられていること、前記外槽上部部材の下端部周方向に外槽上部部材の下端開口を前記内槽の外周にガイドするための複数のガイド部材が着脱可能に設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、前記内槽及び外槽上部部材の上部鏡板に上方に突出する複数の吊り金具を備えていること、前記吊り金具に係合して前記外槽上部部材を吊り上げるための吊り具には、該吊り具と前記吊り金具との係合を貯槽下部から解除可能な操作部材が備えられていることを特徴としている。
【0009】
本発明の低温液化ガス貯槽の製造方法は、低温液化ガスを貯留する内槽と、該内槽の外側に断熱層を介して設けられた外槽とを有する低温液化ガス貯槽の製造方法において、前記外槽を外槽下部部材と外槽上部部材とに分割し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニットを一体的に形成し、前記外槽上部部材と前記内槽ユニットとを別々に貯槽設置場所に搬送し、貯槽設置場所に内槽ユニットを据え付けた後、立設状態の内槽ユニットの上方に前記外槽上部部材を吊り上げ、外槽上部部材内に内槽ユニットの内槽を収納するようにして外槽上部部材を内槽ユニットに向けて下降させ、内槽ユニットの外槽下部部材の上部に外槽上部部材を接合して一体化することを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の低温液化ガス貯槽の製造方法は、前記外槽上部部材を内槽ユニットに向けて下降させる際に外槽上部部材の下端開口を内槽の外周にガイドして外槽上部部材と内槽との接触を防止するための複数のガイド部材を外槽上部部材の下端部周方向に設け、外槽上部部材の下端が外槽下部部材の上端近傍に下降したときに前記ガイド部材を外槽上部部材の下端から取り外すことを特徴としている。
【0011】
また、本発明の低温液化ガス貯槽の製造方法は、前記内槽ユニットと前記外槽上部部材を接合して一体化した後、内槽と外槽との間の前記断熱層を真空引きするとともに、該断熱層内に断熱材を充填することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低温液化ガス貯槽を内槽ユニットと外槽の外槽上部部材とに分割形成するようにしたので、輸送時の重量制限をクリアすることができ、従来より大型の低温液化ガス貯槽を製造することができる。また、内槽支持脚を外槽下部部材底板部を介して貯槽支持脚で支持することにより、内槽を確実に支持することができる。さらに、外槽上部部材と内槽との接触を防止するためのガイド部材を設けておくことにより、貯槽設置場所で内槽ユニットに外槽上部部材を組み付ける際に、外槽上部部材や内槽、配管が損傷することを防止できる。
【0013】
さらに、外槽上部鏡板に吊り具を設けておくことにより、外槽上部部材の外周に突出する部材を無くして外槽上部部材の大径化を図ることができ、吊り具と吊り金具との係合を貯槽下部から解除可能な操作部材を設けておくことにより、地上から吊り具を外すことができ、高所作業を不要にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の低温液化ガス貯槽の一形態例を示す説明図、図2は完成した状態の低温液化ガス貯槽の一形態例を示す一部断面正面図、図3は内槽ユニットを立設した状態を示す正面図、図4は低温液化ガス貯槽の平面図、図5は低温液化ガス貯槽の要部の正面図、図6は各種配管の設置例を示す説明図である。
【0015】
低温液化ガス貯槽11は、低温液化ガスを貯留する円筒状の内槽12と、該内槽12の外側に断熱層13を介して設けられた円筒状の外槽14とを有するもので、通常、断熱層13にはパーライト等の粉末状乃至粒状の断熱材が充填されるとともに真空引きを行って所定の断熱性を得るようにしている。
【0016】
貯槽製作工場において、前記外槽14は、外槽胴部15a及び外槽上部鏡板15bからなる外槽上部部材15と、外槽下部鏡板からなる外槽下部部材16とに分割形成され、外槽下部部材16は、前記内槽12と組み付けられて内槽ユニット17の一部となる。内槽12と外槽下部部材16とは、内槽12の底部と、外槽下部部材16の底部内側とを接合する内槽支持脚18によって外槽下部部材16の底部上面に組み付けられる。内槽支持脚18は、外槽下部部材16の底部下面に設けられている貯槽支持脚19の位置を考慮して配置されており、外槽下部部材16の底板部を介して内槽支持脚18の荷重を貯槽支持脚19が支持できるようにしている。
【0017】
また、内槽12には、図6に示すように、送液用配管、下部液入口配管、上部液入口配管、ガス放出用配管、検液用配管、液面計用配管等の各種配管20が連通しており、これらの配管20は、内槽ユニット17を形成したときに、外槽下部部材16を気密に貫通した状態でそれぞれ配設される。さらに、内槽12の頂部には吊り金具12aが設けられている。
【0018】
一方、外槽上部部材15には、前記断熱層13を真空引きするための真空引き用配管21が設けられている。この真空引き用配管21は、外槽胴部15aの略全高に相当する長さを有しており、所定位置に複数の吸引口21aが設けられている。また、外槽上部鏡板15bの頂部には安全器兼断熱材投入部22が設けられ、外槽胴部15a外面の4箇所に、吊り金具23がそれぞれ設けられている。
【0019】
前記真空引き用配管21は、低温液化ガス貯槽全体を工場で一体製作する場合には、通常、外槽下部鏡板を貫通させて設けているが、この真空引き用配管21は内槽12と連通する配管ではないため、任意の位置に設けることが可能である。したがって、図6に示すように、内槽ユニット17に比べて軽量な外槽上部部材15に真空引き用配管21を取り付けることにより、輸送時等における両者の重量を平準化できるというメリットがある。
【0020】
一方、図7に示すように、真空引き用配管21を内槽ユニット17に取り付け、外槽下部部材16を貫通させて取り出す構造を採用してもよく、この場合は、従来と同様に、外槽下部鏡板の部分に配管を集中させることができるというメリットがある。
【0021】
なお、外槽上部部材15と外槽下部部材16との接合部、すなわち、外槽上部部材15の下端部と外槽下部部材16の上端部とには、両部材15,16を確実に所定の状態で接合するための治具(図示せず)が設けられており、両部材15,16を組み付けて溶接する際の溶接代14a及び外槽上部部材15の垂直度を確保できるようにしている。
【0022】
工場で製造された内槽ユニット17と、外槽上部部材15とは、別々に貯槽設置場所に輸送される。輸送車等への積み卸しの際、内槽ユニット17は吊り金具12aと内槽支持脚18とを利用して、外槽上部部材15は4箇所の吊り金具23を利用して、それぞれ横倒し状態としてクレーンで吊り上げられる。このように、内槽ユニット17と外槽上部部材15とを分割形成することにより、公道輸送時における重量制限をクリアすることができる(図1(A)参照)。
【0023】
貯槽設置場所では、まず、内槽ユニット17を所定の位置に立設して据え付けた後、外槽上部部材15を内槽ユニット17の上方にまで吊り上げ、外槽上部部材15を内槽12に上方から被せるようにして、すなわち、外槽上部部材15内に内槽ユニット17の内槽12を収納するようにして外槽上部部材15を内槽ユニット17に向けて鉛直方向に下降させ(図1(B)参照)、外槽上部部材15の下端部と外槽下部部材16の上端部とを溶接して外槽14を完成させる(図1(C)参照)。このとき、外槽上部部材15の内側又は内槽12の外側の適宜な位置にガイドローラー等を設けておくことにより、内槽ユニット17と外槽上部部材15との組付けを確実に行うことができ、内槽12や外槽上部部材15、配管20を損傷するおそれもなくなる。
【0024】
次に、外槽頂部に取り付けられている安全器兼断熱材投入部22の安全器を取り外し、安全器兼断熱材投入部22から断熱層13を構成する内槽12と外槽14との間に断熱材を投入するとともに、真空排気装置に接続した外槽胴部15aの略全高に相当する長さの真空引き用配管21により、断熱層13内の真空排気を行う。断熱材の投入が完了したら、安全器を元に戻す。
【0025】
このように、低温液化ガス貯槽11を工場で分割形成し、貯槽設置場所に別々に輸送してから現地で組み立てることにより、重量の制約を大幅に緩和でき、従来より大容量の大型低温液化ガス貯槽11を製作することが可能となる。しかも、低温液化ガスを貯留する内槽12は、配管を含めて工場で完成させるので、従来と同様の気密性能を確実に得ることができ、現地での試験、検査を省略することができる。また、外槽14は、外槽上部部材15と外槽下部部材16との溶接部における気密状態を確認するだけでよいため、現地における作業が長期化することもほとんどない。
【0026】
また、工場で完成させた低温液化ガス貯槽の総重量に比べて外槽上部部材15は大幅に軽量となるので、従来の低温液化ガス貯槽完成品の外槽外面に設けていた吊り金具に比べて吊り金具23を小型化することができる。さらに、上部の吊り金具23を胴部外周面から外槽上部鏡板15bの上面に移設し、また、下部の吊り金具23に代えて外槽上部部材15の下端部に治具を取り付けて吊り上げるように形成することにより、輸送時の横幅制限に対して吊り金具23の突出寸法分まで外槽胴部15aを大径化することができ、低温液化ガス貯槽11のより大容量化を図ることができる。
【0027】
図8乃至図13は、所定位置に据え付けた内槽ユニットに外槽上部部材を組み付ける際に、外槽上部部材が内槽や配管に接触してこれらが損傷することを防止するための対策を施した例を示している。
【0028】
まず、図8及び図9は、外槽上部部材の下端部周方向に複数のガイド部材を着脱可能に設けた一形態例を示すもので、図8は全体図、図9はガイド部材の一例を示す正面図である。本形態例に示すガイド部材31は、外槽上部部材15の周壁に着脱可能に装着するための装着部32と、該装着部32から外槽上部部材15の内周方向に突出するガイド部33とで形成されている。装着部32は、いわゆるシャコ万力の構造を利用したもので、C字状やコ字状の固定部32aと該固定部32aの一方の腕部32bに螺合したネジ部材32cとで形成され、固定部32aの他方の腕部32dとネジ部材32bの先端に設けた挟着部材32eとの間で外槽上部部材15の周壁を挟持することによって外槽上部部材15の下端に取り付けられる。ガイド部33は、装着部32に設けられた挿通孔33aにローラ33bを備えたガイド棒33cを軸方向に移動可能に挿通し、止めねじ33dによってガイド棒33cを所定位置で固定するように形成されている。
【0029】
したがって、このガイド部材31は、装着部32により外槽上部部材15の周壁下端にガイド部材31を取り付けた状態でガイド棒33cの突出量を調節することにより、外槽上部部材15の内周面からローラ33bの先端までの突出長さLを、外槽上部部材15の内周面と内槽12の外周面との間隔に応じて設定することができる。また、ガイド棒33cの全体又は先端部は、ガイド棒33cが内槽12に接触しても内槽12を傷付けたりすることがないように、柔軟性や低摩擦性を有する材料、例えば合成樹脂等で形成することが好ましい。ガイド棒33cは、先端にローラ33bを取り付けず、棒状のものを使用してもよいが、ガイド棒33cを金属製とした場合は、作業時にガイド棒33cの先端部に布やクッション材を装着して内槽12の損傷を防止することができる。
【0030】
このように形成したガイド部材31を、外槽上部部材15の下端周方向の複数箇所に配置することにより、図8に示すように、外槽上部部材15を内槽ユニット17の上方にまで吊り上げ、外槽上部部材15を内槽12に上方から被せるようにして下降させる際に、吊られた外槽上部部材15が風で多少揺れても、ローラ33bが内槽12の上部鏡板12bの球状外面に当接し、外槽上部部材15の下端開口の位置を内槽12の上部にガイドすることができる。したがって、外槽上部部材15を所定位置に確実に下降させることができ、外槽上部部材15の組み付けを容易に行うことが可能となる。また、外槽上部部材15の下端が外槽下部部材16の上端近傍に下降したときにガイド部材31を外槽上部部材15の下端から取り外すことにより、外槽上部部材15と外槽下部部材16との接合を問題なく行うことができる。
【0031】
なお、ガイド部材31の取付個数や位置は、外槽上部部材15の高さ、重量、直径、ガイド部材31の強度、緩衝効果、内槽ユニット17に設けられた各配管20の位置、作業時の風力等の条件に応じて設定すればよく、通常は、周方向等間隔に3個のガイド部材31を設ければ十分である。また、ガイド部材31に案内ロープを接続することにより、案内ロープによる外槽上部部材15のガイドをより確実に行うことができる。
【0032】
図10乃至図13は、外槽上部部材の内周面に複数のガイド部材を設けた一形態例を示すもので、図10は一部断面正面図、図11乃至図13はガイド部材の構造例を示す正面図である。
【0033】
本形態例に示すガイド部材41は、外槽上部部材15の揺れで外槽上部部材の内周面と内槽の外周面(配管を含む)との接触を防止するためのものであって、外槽上部部材15の高さ方向及び周方向のそれぞれに複数個が設けられている。各ガイド部材41の外槽上部部材15の内周面からの突出寸法は、ガイド部材41を取り付ける外槽上部部材15の内周面と内槽12の外周面との間隔に応じて設定されており、ガイド部材41の先端は、前記同様に、内槽12の外周面に接触しても内槽12を傷付けない程度の柔軟性や低摩擦性を有するものが用いられている。
【0034】
ガイド部材41には、図11に示すように、外槽上部部材15の内周面に短管42aを固着し、この短管42aに熱伝導率の小さな合成樹脂等からなる先端部材42bを取り付けたものや、図12に示すように、外槽上部部材15の内周面に固着した軸受部材43aにローラ43bを回転可能に設けたものや、図13に示すように、先端に前記同様の合成樹脂等からなる先端部材44aを有する回動部材44bを外槽上部部材15の内周面に固着される固定部材44cの先端に上方にのみ屈曲可能に設けたものなどを使用することができる。
【0035】
このようなガイド部材41を外槽上部部材15の高さ方向及び周方向の複数箇所、例えば、高さ方向に2箇所で、各高さ位置で周方向に3箇所の合計6個を設けることにより、外槽上部部材15を内槽12の外周面に沿ってスムーズに下降させることができる。このようなガイド部材41は、内槽12の振れ止めとしても利用することができる。ガイド部材41の位置は、これらの所定の目的が達成できる任意の位置に設定でき、高さ位置や周方向位置がずれていてもよい。また、このガイド部材41は、図8に示した前記ガイド部材31と併用することもでき、外槽上部部材15の下端にガイド部材31を設けた場合は、本形態例に示すガイド部材41を外槽上部部材15の高さ方向上部側の1箇所、例えば中間高さ位置の周方向に複数個を設けるだけでもよい。
【0036】
図14及び図15は、内槽と外槽との間の断熱層への断熱材の充填を貯槽下部から行えるようにした形態例を示すもので、図14は概略正面図、図15は概略平面図である。
【0037】
本形態例では、貯槽下部から断熱層13内へ断熱材を充填するための配管として、前述の真空引き用配管21に加えて、外槽下部部材15の下部を貫通して断熱層上部に至る断熱材充填管51と、外槽上部部材15の外槽上部鏡板15bに開口して断熱層の最上部にガスを流入させるためのガス流入管52とを設けている。図15に示すように、断熱材充填管51は複数本、例えば2本が設けられており、断熱層の最上部に開口する各断熱材充填管51の先端開口51aが互いに異なる方向を向くように配置されている。さらに、真空引き用配管21、断熱材充填管51及びガス流入管52の貯槽外部側には、開閉弁21V,51V,52Vがそれぞれ設けられており、各開閉弁を開閉することによって断熱層13内に所定の充填密度で断熱材を充填する。
【0038】
外槽上部部材15を内槽ユニット17に接合して一体化した後、真空引き用配管21の開閉弁21V及び断熱材充填管51の開閉弁51Vを開き、図示しない真空排気装置を作動させて真空引き用配管21により断熱層13内を排気するとともに、断熱材充填管51で断熱材を吸引して断熱層13内に断熱材を供給する。このとき、断熱材充填管51を複数本設け、各断熱材充填管51の先端開口51aを内槽12の頂部から外れた位置で、先端開口51aからの断熱材の投入方向を異なる方向、例えば2本の断熱材充填管51の先端開口51aを逆方向に開口させておくことにより、内槽12の上部に断熱材が蓄積することを防止でき、断熱層13の広範囲に断熱材を投入することができる。さらに、真空引き用配管21も複数本設けておき、真空引き用配管21と断熱材充填管51の先端開口51aとを平面視で交互に等間隔に配置しておくことにより、真空引き用配管21に吸引される断熱層13内のガスの流れを均等化することができ、断熱層13の全体に平均的に断熱材を充填することができる。
【0039】
そして、断熱材をある程度充填した後、開閉弁51Vを閉じてから開閉弁21Vを閉じた後、ガス流入管52の開閉弁52Vを開いて略真空状態となっている断熱層13内に断熱層13の頂部から空気や窒素等のガスを断熱層13内に一気に供給する。これにより、断熱層13内の断熱材は、断熱層13内に急速に流入するガスの衝撃で断熱層13の下方に向けて押圧される。このような真空引きによる断熱材の充填とガスによる断熱材の押圧とを適宜繰り返すことにより、断熱層13内に断熱材を密に充填することができる。
【0040】
また、安全器兼断熱材投入部22から断熱層13内に断熱材を投入する際には、作業員による高所作業が必要だったが、真空引き用配管21に加えて断熱材充填管51とガス流入管52とを設けることにより、断熱材の投入充填を地上乃至地上近くの作業で行うことが可能となり、高所作業が不要となる。なお、本形態例では、断熱材充填管51を内槽ユニット17側に設けたが、外槽上部部材15側に設けておくこともできる。また、ガス流入管52は外槽上部部材15の外側に設けることもできるが、外槽上部部材15の内側を通すことにより、外周側への突出物を無くすことができる。
【0041】
図16及び図17は、外槽上部部材の外槽上部鏡板に吊り金具を設けた形態例を示すもので、図16は要部の正面図、図17は吊り具と吊り金具との係合を解除する操作手順を示す説明図である。
【0042】
本形態例に示す吊り金具61は、外槽上部部材15の外槽上部鏡板15bの上方に突出した状態で、かつ、外槽上部部材15の外径の範囲内で設けられており、外槽上部鏡板15bの上面に固着されるベース部材61aと、このベース部材61aの鉛直面61bに設けられた円形の鍔付部材61cとで形成されている。貯槽設置場所における外槽上部部材15の吊り上げは、あらかじめ案内ロープ62を取り付けた輪型吊りロープ63を吊り金具61の鍔付部材61cに係合させて行われ、横倒し状態の外槽上部部材15を輪型吊りロープ63を介してクレーンで吊り上げ、鉛直方向に立った状態としてから内槽ユニット17に向けて外槽上部部材15を下降させる。
【0043】
図17(a)に示すように、内槽ユニット17と外槽上部部材15との接合作業が終了した後、地上の作業員64が案内ロープ62の下部を持った状態で、図17(b)に示すように輪型吊りロープ63を下げるとともに案内ロープ62を引くことにより、図17(c)に示すように輪型吊りロープ63を鍔付部材61cから取り外すことができる。したがって、輪型吊りロープ63を吊り金具61から取り外すための高所作業が不要となる。
【0044】
また、吊り金具61を外槽上部鏡板15bの上方に突設し、外槽上部部材15の外径の範囲内に配置することにより、外槽胴部15aに前述の吊り金具23を突設した場合に比べて外槽14を大径化することが可能となり、低温液化ガス貯槽11をより大型化することができる。さらに、内槽12に設ける吊り金具にも、前記吊り金具61と同様の形状のものを内槽12の頂部や胴部側面に設けることができ、輪型吊りロープ63の取り外しを前記同様に案内ロープ62で行うことにより、内槽ユニット17を設置する際の高所作業も不要にできる。なお、吊り具には一般的に輪型吊りロープが用いられるが、その他の吊り具を使用することも可能である。また、吊り具と吊り金具との係合を解除可能な操作部材は案内ロープが簡便であるが、吊り具と吊り金具との係合状態に応じて適当な操作部材を用いることが可能である。
【0045】
なお、各部材の材料や形状は、特に限定されるものではなく、今までの低温液化ガス貯槽と同様のものとすることができる。また、工場での製造も、外槽14を外槽上部部材15と外槽下部部材16とに分割形成する以外は同様の手順で行うことが可能であり、工場の現有設備を大幅に変更する必要はない。さらに、外槽14の分割位置は、本形態例では外槽下部鏡板と外槽胴部との境界位置としたが、外槽胴部の下方で分割するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の低温液化ガス貯槽の一形態例を示す説明図である。
【図2】完成した状態の低温液化ガス貯槽の一形態例を示す一部断面正面図である。
【図3】内槽ユニットを立設した状態を示す正面図である。
【図4】低温液化ガス貯槽の平面図である。
【図5】低温液化ガス貯槽の要部の正面図である。
【図6】各種配管の設置例を示す説明図である。
【図7】真空引き用配管を内槽ユニットに取り付けた例を示す説明図である。
【図8】外槽上部部材の下端部周方向に複数のガイド部材を着脱可能に設けた一形態例を示す全体図である。
【図9】同じくガイド部材の一例を示す正面図である。
【図10】外槽上部部材の内周面に複数のガイド部材を設けた一形態例を示す一部断面正面図である。
【図11】同じくガイド部材の構造例を示す正面図である。
【図12】同じくガイド部材の他の構造例を示す正面図である。
【図13】同じくガイド部材の更に他の構造例を示す正面図である。
【図14】内槽と外槽との間の断熱層への断熱材の充填を貯槽下部から行えるようにした形態例を示す概略正面図である。
【図15】同じく概略平面図である。
【図16】外槽上部部材の外槽上部鏡板に吊り金具を設けた形態例を示す要部の正面図である。
【図17】吊り具と吊り金具との係合を解除する操作手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
11…低温液化ガス貯槽、12…内槽、12a…吊り金具、12b…上部鏡板、13…断熱層、14…外槽、14a…溶接代、15…外槽上部部材、15a…外槽胴部、15b…外槽上部鏡板、16…外槽下部部材、17…内槽ユニット、18…内槽支持脚、19…貯槽支持脚、20…配管、21…真空引き用配管、21a…吸引口、22…安全器兼断熱材投入部、23…吊り金具、31…ガイド部材、32…装着部、32a…固定部、32b…腕部、32c…ネジ部材、32d…腕部、32e…挟着部材、33…ガイド部、33a…挿通孔、33b…ローラ、33c…ガイド棒、33d…止めねじ、41…ガイド部材、42a…短管、42b…先端部材、43a…軸受部材、43b…ローラ、44a…先端部材、44b…回動部材、44c…固定部材、51…断熱材充填管、51a…先端開口、52…ガス流入管、61…吊り金具、61a…ベース部材、61b…鉛直面、61c…鍔付部材、62…案内ロープ、63…輪型吊りロープ、64…作業員、21V,51V,52V…開閉弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温液化ガス貯槽及びその製造方法に関し、詳しくは、液化アルゴン、液化酸素、液化窒素、液化炭酸ガス、液化天然ガス(LNG)等の低温液化ガスを貯留し、化学工場、半導体工場、病院等の医療機関における無菌室や人工呼吸器等に各種ガスを供給するために所定の用地に配設される大型の低温液化ガス貯槽の構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低温液化ガスを貯留する大型の低温液化ガス貯槽は、一般に、貯留した低温液化ガスの蒸発を抑えるため、内槽と外槽との二重構造で形成され、内槽と外槽との間には、パーライト等の断熱材を充填するとともに真空引きした真空断熱層を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2964310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年は、低温液化ガス貯槽の大型化が望まれているが、工場で製作した低温液化ガス貯槽を設置場所へ輸送する際の様々な制限、特に公道での重量制限によって最大容量が限定されているのが実情である。また、現地で大型の低温液化ガス貯槽を製作することも考えられるが、製作に必要な多くの装置や機器を用意しなければならず、現地工事が長期化するなどの理由から、大幅なコストアップが避けられない。
【0004】
そこで本発明は、輸送時の重量を軽減して公道での輸送を可能とし、製作コストの上昇も最小限に抑えることができる低温液化ガス貯槽及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の低温液化ガス貯槽は、低温液化ガスを貯留する内槽と、該内槽の外側に断熱層を介して設けられた外槽とを有する低温液化ガス貯槽において、前記外槽を外槽下部部材と外槽上部部材とに分割し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニットを一体的に形成し、前記外槽の外槽上部部材は、貯槽設置場所で内槽ユニットの外槽下部部材の上部に接合一体化されることを特徴としている。
【0006】
さらに、本発明の低温液化ガス貯槽は、前記内槽が、該内槽の底部が前記外槽下部部材の底部内側に設けられた内槽支持脚によって前記外槽下部部材の底部上面に組み付けられ、前記内槽支持脚は、外槽下部部材の底部下面に設けられている貯槽支持脚に、外槽下部部材底板部を介して荷重を支持される位置に設けられていることを特徴とし、前記断熱層を真空引きするための真空引き用配管が前記外槽上部部材あるいは前記内槽ユニットに一体的に備えられていることを特徴としている。
【0007】
加えて、本発明の低温液化ガス貯槽は、前記外槽上部部材に該外槽上部部材の内周方向に突出して外槽上部部材の内周面と前記内槽の外周面との接触を防止するための複数のガイド部材が設けられていること、前記外槽上部部材の下端部周方向に外槽上部部材の下端開口を前記内槽の外周にガイドするための複数のガイド部材が着脱可能に設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、前記内槽及び外槽上部部材の上部鏡板に上方に突出する複数の吊り金具を備えていること、前記吊り金具に係合して前記外槽上部部材を吊り上げるための吊り具には、該吊り具と前記吊り金具との係合を貯槽下部から解除可能な操作部材が備えられていることを特徴としている。
【0009】
本発明の低温液化ガス貯槽の製造方法は、低温液化ガスを貯留する内槽と、該内槽の外側に断熱層を介して設けられた外槽とを有する低温液化ガス貯槽の製造方法において、前記外槽を外槽下部部材と外槽上部部材とに分割し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニットを一体的に形成し、前記外槽上部部材と前記内槽ユニットとを別々に貯槽設置場所に搬送し、貯槽設置場所に内槽ユニットを据え付けた後、立設状態の内槽ユニットの上方に前記外槽上部部材を吊り上げ、外槽上部部材内に内槽ユニットの内槽を収納するようにして外槽上部部材を内槽ユニットに向けて下降させ、内槽ユニットの外槽下部部材の上部に外槽上部部材を接合して一体化することを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の低温液化ガス貯槽の製造方法は、前記外槽上部部材を内槽ユニットに向けて下降させる際に外槽上部部材の下端開口を内槽の外周にガイドして外槽上部部材と内槽との接触を防止するための複数のガイド部材を外槽上部部材の下端部周方向に設け、外槽上部部材の下端が外槽下部部材の上端近傍に下降したときに前記ガイド部材を外槽上部部材の下端から取り外すことを特徴としている。
【0011】
また、本発明の低温液化ガス貯槽の製造方法は、前記内槽ユニットと前記外槽上部部材を接合して一体化した後、内槽と外槽との間の前記断熱層を真空引きするとともに、該断熱層内に断熱材を充填することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低温液化ガス貯槽を内槽ユニットと外槽の外槽上部部材とに分割形成するようにしたので、輸送時の重量制限をクリアすることができ、従来より大型の低温液化ガス貯槽を製造することができる。また、内槽支持脚を外槽下部部材底板部を介して貯槽支持脚で支持することにより、内槽を確実に支持することができる。さらに、外槽上部部材と内槽との接触を防止するためのガイド部材を設けておくことにより、貯槽設置場所で内槽ユニットに外槽上部部材を組み付ける際に、外槽上部部材や内槽、配管が損傷することを防止できる。
【0013】
さらに、外槽上部鏡板に吊り具を設けておくことにより、外槽上部部材の外周に突出する部材を無くして外槽上部部材の大径化を図ることができ、吊り具と吊り金具との係合を貯槽下部から解除可能な操作部材を設けておくことにより、地上から吊り具を外すことができ、高所作業を不要にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の低温液化ガス貯槽の一形態例を示す説明図、図2は完成した状態の低温液化ガス貯槽の一形態例を示す一部断面正面図、図3は内槽ユニットを立設した状態を示す正面図、図4は低温液化ガス貯槽の平面図、図5は低温液化ガス貯槽の要部の正面図、図6は各種配管の設置例を示す説明図である。
【0015】
低温液化ガス貯槽11は、低温液化ガスを貯留する円筒状の内槽12と、該内槽12の外側に断熱層13を介して設けられた円筒状の外槽14とを有するもので、通常、断熱層13にはパーライト等の粉末状乃至粒状の断熱材が充填されるとともに真空引きを行って所定の断熱性を得るようにしている。
【0016】
貯槽製作工場において、前記外槽14は、外槽胴部15a及び外槽上部鏡板15bからなる外槽上部部材15と、外槽下部鏡板からなる外槽下部部材16とに分割形成され、外槽下部部材16は、前記内槽12と組み付けられて内槽ユニット17の一部となる。内槽12と外槽下部部材16とは、内槽12の底部と、外槽下部部材16の底部内側とを接合する内槽支持脚18によって外槽下部部材16の底部上面に組み付けられる。内槽支持脚18は、外槽下部部材16の底部下面に設けられている貯槽支持脚19の位置を考慮して配置されており、外槽下部部材16の底板部を介して内槽支持脚18の荷重を貯槽支持脚19が支持できるようにしている。
【0017】
また、内槽12には、図6に示すように、送液用配管、下部液入口配管、上部液入口配管、ガス放出用配管、検液用配管、液面計用配管等の各種配管20が連通しており、これらの配管20は、内槽ユニット17を形成したときに、外槽下部部材16を気密に貫通した状態でそれぞれ配設される。さらに、内槽12の頂部には吊り金具12aが設けられている。
【0018】
一方、外槽上部部材15には、前記断熱層13を真空引きするための真空引き用配管21が設けられている。この真空引き用配管21は、外槽胴部15aの略全高に相当する長さを有しており、所定位置に複数の吸引口21aが設けられている。また、外槽上部鏡板15bの頂部には安全器兼断熱材投入部22が設けられ、外槽胴部15a外面の4箇所に、吊り金具23がそれぞれ設けられている。
【0019】
前記真空引き用配管21は、低温液化ガス貯槽全体を工場で一体製作する場合には、通常、外槽下部鏡板を貫通させて設けているが、この真空引き用配管21は内槽12と連通する配管ではないため、任意の位置に設けることが可能である。したがって、図6に示すように、内槽ユニット17に比べて軽量な外槽上部部材15に真空引き用配管21を取り付けることにより、輸送時等における両者の重量を平準化できるというメリットがある。
【0020】
一方、図7に示すように、真空引き用配管21を内槽ユニット17に取り付け、外槽下部部材16を貫通させて取り出す構造を採用してもよく、この場合は、従来と同様に、外槽下部鏡板の部分に配管を集中させることができるというメリットがある。
【0021】
なお、外槽上部部材15と外槽下部部材16との接合部、すなわち、外槽上部部材15の下端部と外槽下部部材16の上端部とには、両部材15,16を確実に所定の状態で接合するための治具(図示せず)が設けられており、両部材15,16を組み付けて溶接する際の溶接代14a及び外槽上部部材15の垂直度を確保できるようにしている。
【0022】
工場で製造された内槽ユニット17と、外槽上部部材15とは、別々に貯槽設置場所に輸送される。輸送車等への積み卸しの際、内槽ユニット17は吊り金具12aと内槽支持脚18とを利用して、外槽上部部材15は4箇所の吊り金具23を利用して、それぞれ横倒し状態としてクレーンで吊り上げられる。このように、内槽ユニット17と外槽上部部材15とを分割形成することにより、公道輸送時における重量制限をクリアすることができる(図1(A)参照)。
【0023】
貯槽設置場所では、まず、内槽ユニット17を所定の位置に立設して据え付けた後、外槽上部部材15を内槽ユニット17の上方にまで吊り上げ、外槽上部部材15を内槽12に上方から被せるようにして、すなわち、外槽上部部材15内に内槽ユニット17の内槽12を収納するようにして外槽上部部材15を内槽ユニット17に向けて鉛直方向に下降させ(図1(B)参照)、外槽上部部材15の下端部と外槽下部部材16の上端部とを溶接して外槽14を完成させる(図1(C)参照)。このとき、外槽上部部材15の内側又は内槽12の外側の適宜な位置にガイドローラー等を設けておくことにより、内槽ユニット17と外槽上部部材15との組付けを確実に行うことができ、内槽12や外槽上部部材15、配管20を損傷するおそれもなくなる。
【0024】
次に、外槽頂部に取り付けられている安全器兼断熱材投入部22の安全器を取り外し、安全器兼断熱材投入部22から断熱層13を構成する内槽12と外槽14との間に断熱材を投入するとともに、真空排気装置に接続した外槽胴部15aの略全高に相当する長さの真空引き用配管21により、断熱層13内の真空排気を行う。断熱材の投入が完了したら、安全器を元に戻す。
【0025】
このように、低温液化ガス貯槽11を工場で分割形成し、貯槽設置場所に別々に輸送してから現地で組み立てることにより、重量の制約を大幅に緩和でき、従来より大容量の大型低温液化ガス貯槽11を製作することが可能となる。しかも、低温液化ガスを貯留する内槽12は、配管を含めて工場で完成させるので、従来と同様の気密性能を確実に得ることができ、現地での試験、検査を省略することができる。また、外槽14は、外槽上部部材15と外槽下部部材16との溶接部における気密状態を確認するだけでよいため、現地における作業が長期化することもほとんどない。
【0026】
また、工場で完成させた低温液化ガス貯槽の総重量に比べて外槽上部部材15は大幅に軽量となるので、従来の低温液化ガス貯槽完成品の外槽外面に設けていた吊り金具に比べて吊り金具23を小型化することができる。さらに、上部の吊り金具23を胴部外周面から外槽上部鏡板15bの上面に移設し、また、下部の吊り金具23に代えて外槽上部部材15の下端部に治具を取り付けて吊り上げるように形成することにより、輸送時の横幅制限に対して吊り金具23の突出寸法分まで外槽胴部15aを大径化することができ、低温液化ガス貯槽11のより大容量化を図ることができる。
【0027】
図8乃至図13は、所定位置に据え付けた内槽ユニットに外槽上部部材を組み付ける際に、外槽上部部材が内槽や配管に接触してこれらが損傷することを防止するための対策を施した例を示している。
【0028】
まず、図8及び図9は、外槽上部部材の下端部周方向に複数のガイド部材を着脱可能に設けた一形態例を示すもので、図8は全体図、図9はガイド部材の一例を示す正面図である。本形態例に示すガイド部材31は、外槽上部部材15の周壁に着脱可能に装着するための装着部32と、該装着部32から外槽上部部材15の内周方向に突出するガイド部33とで形成されている。装着部32は、いわゆるシャコ万力の構造を利用したもので、C字状やコ字状の固定部32aと該固定部32aの一方の腕部32bに螺合したネジ部材32cとで形成され、固定部32aの他方の腕部32dとネジ部材32bの先端に設けた挟着部材32eとの間で外槽上部部材15の周壁を挟持することによって外槽上部部材15の下端に取り付けられる。ガイド部33は、装着部32に設けられた挿通孔33aにローラ33bを備えたガイド棒33cを軸方向に移動可能に挿通し、止めねじ33dによってガイド棒33cを所定位置で固定するように形成されている。
【0029】
したがって、このガイド部材31は、装着部32により外槽上部部材15の周壁下端にガイド部材31を取り付けた状態でガイド棒33cの突出量を調節することにより、外槽上部部材15の内周面からローラ33bの先端までの突出長さLを、外槽上部部材15の内周面と内槽12の外周面との間隔に応じて設定することができる。また、ガイド棒33cの全体又は先端部は、ガイド棒33cが内槽12に接触しても内槽12を傷付けたりすることがないように、柔軟性や低摩擦性を有する材料、例えば合成樹脂等で形成することが好ましい。ガイド棒33cは、先端にローラ33bを取り付けず、棒状のものを使用してもよいが、ガイド棒33cを金属製とした場合は、作業時にガイド棒33cの先端部に布やクッション材を装着して内槽12の損傷を防止することができる。
【0030】
このように形成したガイド部材31を、外槽上部部材15の下端周方向の複数箇所に配置することにより、図8に示すように、外槽上部部材15を内槽ユニット17の上方にまで吊り上げ、外槽上部部材15を内槽12に上方から被せるようにして下降させる際に、吊られた外槽上部部材15が風で多少揺れても、ローラ33bが内槽12の上部鏡板12bの球状外面に当接し、外槽上部部材15の下端開口の位置を内槽12の上部にガイドすることができる。したがって、外槽上部部材15を所定位置に確実に下降させることができ、外槽上部部材15の組み付けを容易に行うことが可能となる。また、外槽上部部材15の下端が外槽下部部材16の上端近傍に下降したときにガイド部材31を外槽上部部材15の下端から取り外すことにより、外槽上部部材15と外槽下部部材16との接合を問題なく行うことができる。
【0031】
なお、ガイド部材31の取付個数や位置は、外槽上部部材15の高さ、重量、直径、ガイド部材31の強度、緩衝効果、内槽ユニット17に設けられた各配管20の位置、作業時の風力等の条件に応じて設定すればよく、通常は、周方向等間隔に3個のガイド部材31を設ければ十分である。また、ガイド部材31に案内ロープを接続することにより、案内ロープによる外槽上部部材15のガイドをより確実に行うことができる。
【0032】
図10乃至図13は、外槽上部部材の内周面に複数のガイド部材を設けた一形態例を示すもので、図10は一部断面正面図、図11乃至図13はガイド部材の構造例を示す正面図である。
【0033】
本形態例に示すガイド部材41は、外槽上部部材15の揺れで外槽上部部材の内周面と内槽の外周面(配管を含む)との接触を防止するためのものであって、外槽上部部材15の高さ方向及び周方向のそれぞれに複数個が設けられている。各ガイド部材41の外槽上部部材15の内周面からの突出寸法は、ガイド部材41を取り付ける外槽上部部材15の内周面と内槽12の外周面との間隔に応じて設定されており、ガイド部材41の先端は、前記同様に、内槽12の外周面に接触しても内槽12を傷付けない程度の柔軟性や低摩擦性を有するものが用いられている。
【0034】
ガイド部材41には、図11に示すように、外槽上部部材15の内周面に短管42aを固着し、この短管42aに熱伝導率の小さな合成樹脂等からなる先端部材42bを取り付けたものや、図12に示すように、外槽上部部材15の内周面に固着した軸受部材43aにローラ43bを回転可能に設けたものや、図13に示すように、先端に前記同様の合成樹脂等からなる先端部材44aを有する回動部材44bを外槽上部部材15の内周面に固着される固定部材44cの先端に上方にのみ屈曲可能に設けたものなどを使用することができる。
【0035】
このようなガイド部材41を外槽上部部材15の高さ方向及び周方向の複数箇所、例えば、高さ方向に2箇所で、各高さ位置で周方向に3箇所の合計6個を設けることにより、外槽上部部材15を内槽12の外周面に沿ってスムーズに下降させることができる。このようなガイド部材41は、内槽12の振れ止めとしても利用することができる。ガイド部材41の位置は、これらの所定の目的が達成できる任意の位置に設定でき、高さ位置や周方向位置がずれていてもよい。また、このガイド部材41は、図8に示した前記ガイド部材31と併用することもでき、外槽上部部材15の下端にガイド部材31を設けた場合は、本形態例に示すガイド部材41を外槽上部部材15の高さ方向上部側の1箇所、例えば中間高さ位置の周方向に複数個を設けるだけでもよい。
【0036】
図14及び図15は、内槽と外槽との間の断熱層への断熱材の充填を貯槽下部から行えるようにした形態例を示すもので、図14は概略正面図、図15は概略平面図である。
【0037】
本形態例では、貯槽下部から断熱層13内へ断熱材を充填するための配管として、前述の真空引き用配管21に加えて、外槽下部部材15の下部を貫通して断熱層上部に至る断熱材充填管51と、外槽上部部材15の外槽上部鏡板15bに開口して断熱層の最上部にガスを流入させるためのガス流入管52とを設けている。図15に示すように、断熱材充填管51は複数本、例えば2本が設けられており、断熱層の最上部に開口する各断熱材充填管51の先端開口51aが互いに異なる方向を向くように配置されている。さらに、真空引き用配管21、断熱材充填管51及びガス流入管52の貯槽外部側には、開閉弁21V,51V,52Vがそれぞれ設けられており、各開閉弁を開閉することによって断熱層13内に所定の充填密度で断熱材を充填する。
【0038】
外槽上部部材15を内槽ユニット17に接合して一体化した後、真空引き用配管21の開閉弁21V及び断熱材充填管51の開閉弁51Vを開き、図示しない真空排気装置を作動させて真空引き用配管21により断熱層13内を排気するとともに、断熱材充填管51で断熱材を吸引して断熱層13内に断熱材を供給する。このとき、断熱材充填管51を複数本設け、各断熱材充填管51の先端開口51aを内槽12の頂部から外れた位置で、先端開口51aからの断熱材の投入方向を異なる方向、例えば2本の断熱材充填管51の先端開口51aを逆方向に開口させておくことにより、内槽12の上部に断熱材が蓄積することを防止でき、断熱層13の広範囲に断熱材を投入することができる。さらに、真空引き用配管21も複数本設けておき、真空引き用配管21と断熱材充填管51の先端開口51aとを平面視で交互に等間隔に配置しておくことにより、真空引き用配管21に吸引される断熱層13内のガスの流れを均等化することができ、断熱層13の全体に平均的に断熱材を充填することができる。
【0039】
そして、断熱材をある程度充填した後、開閉弁51Vを閉じてから開閉弁21Vを閉じた後、ガス流入管52の開閉弁52Vを開いて略真空状態となっている断熱層13内に断熱層13の頂部から空気や窒素等のガスを断熱層13内に一気に供給する。これにより、断熱層13内の断熱材は、断熱層13内に急速に流入するガスの衝撃で断熱層13の下方に向けて押圧される。このような真空引きによる断熱材の充填とガスによる断熱材の押圧とを適宜繰り返すことにより、断熱層13内に断熱材を密に充填することができる。
【0040】
また、安全器兼断熱材投入部22から断熱層13内に断熱材を投入する際には、作業員による高所作業が必要だったが、真空引き用配管21に加えて断熱材充填管51とガス流入管52とを設けることにより、断熱材の投入充填を地上乃至地上近くの作業で行うことが可能となり、高所作業が不要となる。なお、本形態例では、断熱材充填管51を内槽ユニット17側に設けたが、外槽上部部材15側に設けておくこともできる。また、ガス流入管52は外槽上部部材15の外側に設けることもできるが、外槽上部部材15の内側を通すことにより、外周側への突出物を無くすことができる。
【0041】
図16及び図17は、外槽上部部材の外槽上部鏡板に吊り金具を設けた形態例を示すもので、図16は要部の正面図、図17は吊り具と吊り金具との係合を解除する操作手順を示す説明図である。
【0042】
本形態例に示す吊り金具61は、外槽上部部材15の外槽上部鏡板15bの上方に突出した状態で、かつ、外槽上部部材15の外径の範囲内で設けられており、外槽上部鏡板15bの上面に固着されるベース部材61aと、このベース部材61aの鉛直面61bに設けられた円形の鍔付部材61cとで形成されている。貯槽設置場所における外槽上部部材15の吊り上げは、あらかじめ案内ロープ62を取り付けた輪型吊りロープ63を吊り金具61の鍔付部材61cに係合させて行われ、横倒し状態の外槽上部部材15を輪型吊りロープ63を介してクレーンで吊り上げ、鉛直方向に立った状態としてから内槽ユニット17に向けて外槽上部部材15を下降させる。
【0043】
図17(a)に示すように、内槽ユニット17と外槽上部部材15との接合作業が終了した後、地上の作業員64が案内ロープ62の下部を持った状態で、図17(b)に示すように輪型吊りロープ63を下げるとともに案内ロープ62を引くことにより、図17(c)に示すように輪型吊りロープ63を鍔付部材61cから取り外すことができる。したがって、輪型吊りロープ63を吊り金具61から取り外すための高所作業が不要となる。
【0044】
また、吊り金具61を外槽上部鏡板15bの上方に突設し、外槽上部部材15の外径の範囲内に配置することにより、外槽胴部15aに前述の吊り金具23を突設した場合に比べて外槽14を大径化することが可能となり、低温液化ガス貯槽11をより大型化することができる。さらに、内槽12に設ける吊り金具にも、前記吊り金具61と同様の形状のものを内槽12の頂部や胴部側面に設けることができ、輪型吊りロープ63の取り外しを前記同様に案内ロープ62で行うことにより、内槽ユニット17を設置する際の高所作業も不要にできる。なお、吊り具には一般的に輪型吊りロープが用いられるが、その他の吊り具を使用することも可能である。また、吊り具と吊り金具との係合を解除可能な操作部材は案内ロープが簡便であるが、吊り具と吊り金具との係合状態に応じて適当な操作部材を用いることが可能である。
【0045】
なお、各部材の材料や形状は、特に限定されるものではなく、今までの低温液化ガス貯槽と同様のものとすることができる。また、工場での製造も、外槽14を外槽上部部材15と外槽下部部材16とに分割形成する以外は同様の手順で行うことが可能であり、工場の現有設備を大幅に変更する必要はない。さらに、外槽14の分割位置は、本形態例では外槽下部鏡板と外槽胴部との境界位置としたが、外槽胴部の下方で分割するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の低温液化ガス貯槽の一形態例を示す説明図である。
【図2】完成した状態の低温液化ガス貯槽の一形態例を示す一部断面正面図である。
【図3】内槽ユニットを立設した状態を示す正面図である。
【図4】低温液化ガス貯槽の平面図である。
【図5】低温液化ガス貯槽の要部の正面図である。
【図6】各種配管の設置例を示す説明図である。
【図7】真空引き用配管を内槽ユニットに取り付けた例を示す説明図である。
【図8】外槽上部部材の下端部周方向に複数のガイド部材を着脱可能に設けた一形態例を示す全体図である。
【図9】同じくガイド部材の一例を示す正面図である。
【図10】外槽上部部材の内周面に複数のガイド部材を設けた一形態例を示す一部断面正面図である。
【図11】同じくガイド部材の構造例を示す正面図である。
【図12】同じくガイド部材の他の構造例を示す正面図である。
【図13】同じくガイド部材の更に他の構造例を示す正面図である。
【図14】内槽と外槽との間の断熱層への断熱材の充填を貯槽下部から行えるようにした形態例を示す概略正面図である。
【図15】同じく概略平面図である。
【図16】外槽上部部材の外槽上部鏡板に吊り金具を設けた形態例を示す要部の正面図である。
【図17】吊り具と吊り金具との係合を解除する操作手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
11…低温液化ガス貯槽、12…内槽、12a…吊り金具、12b…上部鏡板、13…断熱層、14…外槽、14a…溶接代、15…外槽上部部材、15a…外槽胴部、15b…外槽上部鏡板、16…外槽下部部材、17…内槽ユニット、18…内槽支持脚、19…貯槽支持脚、20…配管、21…真空引き用配管、21a…吸引口、22…安全器兼断熱材投入部、23…吊り金具、31…ガイド部材、32…装着部、32a…固定部、32b…腕部、32c…ネジ部材、32d…腕部、32e…挟着部材、33…ガイド部、33a…挿通孔、33b…ローラ、33c…ガイド棒、33d…止めねじ、41…ガイド部材、42a…短管、42b…先端部材、43a…軸受部材、43b…ローラ、44a…先端部材、44b…回動部材、44c…固定部材、51…断熱材充填管、51a…先端開口、52…ガス流入管、61…吊り金具、61a…ベース部材、61b…鉛直面、61c…鍔付部材、62…案内ロープ、63…輪型吊りロープ、64…作業員、21V,51V,52V…開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液化ガスを貯留する内槽と、該内槽の外側に断熱層を介して設けられた外槽とを有する低温液化ガス貯槽において、前記外槽を外槽下部部材と外槽上部部材とに分割し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニットを一体的に形成し、前記外槽の外槽上部部材は、貯槽設置場所で内槽ユニットの外槽下部部材の上部に接合一体化されることを特徴とする低温液化ガス貯槽。
【請求項2】
前記内槽は、該内槽の底部と前記外槽下部部材の底部内側とを接合する内槽支持脚によって前記外槽下部部材の底部上面に組み付けられ、前記内槽支持脚は、外槽下部部材の底部下面に設けられている貯槽支持脚に、外槽下部部材底板部を介して荷重を支持される位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項3】
前記外槽上部部材は、前記断熱層を真空引きするための真空引き用配管を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項4】
前記内槽ユニットは、前記断熱層を真空引きするための真空引き用配管を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項5】
前記外槽上部部材は、該外槽上部部材の内周方向に突出して外槽上部部材の内周面と前記内槽の外周面との接触を防止するための複数のガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項6】
前記外槽上部部材の下端部周方向には、外槽上部部材の下端開口を前記内槽の外周にガイドするための複数のガイド部材が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項7】
前記内槽及び外槽上部部材は、上部鏡板から上方に突出する複数の吊り金具を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項8】
前記吊り金具に係合して前記外槽上部部材を吊り上げるための吊り具は、該吊り具と前記吊り金具との係合を、貯槽下部から解除可能な操作部材を備えていることを特徴とする請求項7記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項9】
低温液化ガスを貯留する内槽と、該内槽の外側に断熱層を介して設けられた外槽とを有する低温液化ガス貯槽の製造方法において、前記外槽を外槽下部部材と外槽上部部材とに分割し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニットを一体的に形成し、前記外槽上部部材と前記内槽ユニットとを別々に貯槽設置場所に搬送し、貯槽設置場所に内槽ユニットを据え付けた後、立設状態の内槽ユニットの上方に前記外槽上部部材を吊り上げ、外槽上部部材内に内槽ユニットの内槽を収納するようにして外槽上部部材を内槽ユニットに向けて下降させ、内槽ユニットの外槽下部部材の上部に外槽上部部材を接合して一体化することを特徴とする低温液化ガス貯槽の製造方法。
【請求項10】
前記外槽上部部材を内槽ユニットに向けて下降させる際に外槽上部部材の下端開口を内槽の外周にガイドして外槽上部部材と内槽との接触を防止するための複数のガイド部材を外槽上部部材の下端部周方向に設け、外槽上部部材の下端が外槽下部部材の上端近傍に下降したときに前記ガイド部材を外槽上部部材の下端から取り外すことを特徴とする請求項9記載の低温液化ガス貯槽の製造方法。
【請求項11】
前記内槽ユニットと前記外槽上部部材を接合して一体化した後、内槽と外槽との間の前記断熱層を真空引きするとともに、該断熱層内に断熱材を充填することを特徴とする請求項9又は10記載の低温液化ガス貯槽の製造方法。
【請求項1】
低温液化ガスを貯留する内槽と、該内槽の外側に断熱層を介して設けられた外槽とを有する低温液化ガス貯槽において、前記外槽を外槽下部部材と外槽上部部材とに分割し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニットを一体的に形成し、前記外槽の外槽上部部材は、貯槽設置場所で内槽ユニットの外槽下部部材の上部に接合一体化されることを特徴とする低温液化ガス貯槽。
【請求項2】
前記内槽は、該内槽の底部と前記外槽下部部材の底部内側とを接合する内槽支持脚によって前記外槽下部部材の底部上面に組み付けられ、前記内槽支持脚は、外槽下部部材の底部下面に設けられている貯槽支持脚に、外槽下部部材底板部を介して荷重を支持される位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項3】
前記外槽上部部材は、前記断熱層を真空引きするための真空引き用配管を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項4】
前記内槽ユニットは、前記断熱層を真空引きするための真空引き用配管を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項5】
前記外槽上部部材は、該外槽上部部材の内周方向に突出して外槽上部部材の内周面と前記内槽の外周面との接触を防止するための複数のガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項6】
前記外槽上部部材の下端部周方向には、外槽上部部材の下端開口を前記内槽の外周にガイドするための複数のガイド部材が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項7】
前記内槽及び外槽上部部材は、上部鏡板から上方に突出する複数の吊り金具を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項8】
前記吊り金具に係合して前記外槽上部部材を吊り上げるための吊り具は、該吊り具と前記吊り金具との係合を、貯槽下部から解除可能な操作部材を備えていることを特徴とする請求項7記載の低温液化ガス貯槽。
【請求項9】
低温液化ガスを貯留する内槽と、該内槽の外側に断熱層を介して設けられた外槽とを有する低温液化ガス貯槽の製造方法において、前記外槽を外槽下部部材と外槽上部部材とに分割し、前記外槽下部部材と前記内槽とを組み付けるとともに、内槽内に連通する配管を前記外槽下部部材を貫通させて設けることにより内槽ユニットを一体的に形成し、前記外槽上部部材と前記内槽ユニットとを別々に貯槽設置場所に搬送し、貯槽設置場所に内槽ユニットを据え付けた後、立設状態の内槽ユニットの上方に前記外槽上部部材を吊り上げ、外槽上部部材内に内槽ユニットの内槽を収納するようにして外槽上部部材を内槽ユニットに向けて下降させ、内槽ユニットの外槽下部部材の上部に外槽上部部材を接合して一体化することを特徴とする低温液化ガス貯槽の製造方法。
【請求項10】
前記外槽上部部材を内槽ユニットに向けて下降させる際に外槽上部部材の下端開口を内槽の外周にガイドして外槽上部部材と内槽との接触を防止するための複数のガイド部材を外槽上部部材の下端部周方向に設け、外槽上部部材の下端が外槽下部部材の上端近傍に下降したときに前記ガイド部材を外槽上部部材の下端から取り外すことを特徴とする請求項9記載の低温液化ガス貯槽の製造方法。
【請求項11】
前記内槽ユニットと前記外槽上部部材を接合して一体化した後、内槽と外槽との間の前記断熱層を真空引きするとともに、該断熱層内に断熱材を充填することを特徴とする請求項9又は10記載の低温液化ガス貯槽の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−155137(P2007−155137A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18246(P2007−18246)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【分割の表示】特願2006−160303(P2006−160303)の分割
【原出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【分割の表示】特願2006−160303(P2006−160303)の分割
【原出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【Fターム(参考)】
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