説明

低誘電率膜の製造方法

【課題】 高強度で低誘電率な膜を形成可能な低誘電率膜形成用組成物等の提供。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解生成物であるポリシロキサンと、放射線分解性化合物とを、少なくとも含有する低誘電率膜形成用組成物を塗布し塗布膜を形成する工程と、
該塗布膜に放射線を照射する工程と、
該塗布膜に熱処理を行う工程と、
を含むことを特徴とする低誘電率膜の製造方法。
【化13】


一般式(1)中、Xは、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基、及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。nは、0から3までの整数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路における多層配線に好適な低誘電率膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の集積度の増加及び素子密度の向上に伴い、特に半導体素子の多層化への要求が高まっている。この半導体集積回路の高集積化に伴い、配線間隔は更に狭くなることから、配線間の容量増大による配線遅延が問題となっている。ここで、前記配線遅延(T)は、次の式(1)、T∝CR・・・式(1)、で表され、配線抵抗(R)及び配線間の容量(C)に影響を受ける。そして、前記誘電率(ε)と前記配線間の容量(C)との関係は、次の式(2)、C=εε・S/d・・・式(2)、で表される。なお、前記式(2)において、Sは電極面積、εは真空の誘電率、εは絶縁膜の誘電率、dは配線間隔をそれぞれ表す。
【0003】
前記配線間の容量(C)は、配線厚を薄くし電極面積を小さくすることで低減できるものの、配線厚を薄くすると、更に前記配線抵抗(T)の上昇を招くために高速化を達成し得ない。したがって、前記配線遅延(T)を小さくし、高速化を図るためには、絶縁膜の低誘電率化が有効な手段となる。
【0004】
従来、前記絶縁膜としては、一般的に、二酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、燐珪酸ガラス(PSG)等の無機膜や、ポリイミド等の有機系高分子等が用いられてきた。
【0005】
しかし、半導体デバイスで多用されているCVD−SiO膜でも、その誘電率は4程度と高く、また、低誘電率CVD膜として検討されているSiOF膜では、誘電率は約3.3〜3.5であるものの、吸湿性が高く、誘電率が上昇してしまうという問題があった。
【0006】
更に、前記低誘電率膜としては、シロキサン樹脂を多孔質化した多孔質膜が提案されている。
しかし、この多孔質膜の場合、ポリシロキサンの重合を促進する工程、熱分解性樹脂を加熱・分解させて孔を形成する工程等を経て製造され、これらの工程は300〜500℃の温度で行われることから、該多孔質膜を半導体装置に適用した場合には、該半導体装置における配線が熱ストレスにより断線し、該配線の材料が該多孔質膜中へ拡散してしまう等の問題があった。このため、前記半導体装置の製造プロセスにおける配線工程において、熱ストレスを低減し、半導体装置等のデバイスの信頼性を向上させる低誘電率膜形成用組成物、該低誘電率膜の製造方法等の開発が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高強度で低誘電率な膜の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解生成物であるポリシロキサンと、放射線分解性化合物とを、少なくとも含有する低誘電率膜形成用組成物を塗布し塗布膜を形成する工程と、
該塗布膜に放射線を照射する工程と、
該塗布膜に熱処理を行う工程と、
を含むことを特徴とする低誘電率膜の製造方法である。
【化1】

前記一般式(1)において、Xは、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基、及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。nは、0から3までの整数を表す。
<2> 熱処理が250〜300℃で行われる前記<1>に記載の低誘電率膜の製造方法である。
<3> 熱処理が、塗布膜の塗布の前後乃至同時に行われる前記<1>から<2>のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法である。
<4> 放射線が、赤外光、可視光、紫外光、X線、及び電子線から選択される前記<1>から<3>のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法である。
<5> 塗布膜における、照射する放射線の波長(10−1〜10Åにおける吸光度を指す。)に対する吸光度が、1.75以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法である。
<6> 照射する放射線が2種以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法である。
<7> 低誘電率膜形成用組成物が、吸収極大波長が互いに異なる2種以上の放射線分解性化合物を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法である。
<8> 低誘電率膜形成用組成物が、分子サイズが互いに異なる2種以上の放射線分解性化合物を含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法である。
<9> 低誘電率膜形成用組成物が、骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物を含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法である。
<10> 吸収極大波長が互いに異なる2種以上の内、吸収極大波長の大きい放射線分解性化合物と、吸収波長の小さい放射線分解性化合物との低誘電率膜形成用組成物における含有比(吸収極大波長の大きい放射線分解性化合物/吸収波長の小さい放射線分解性化合物)が、1/100〜100/1である前記<7>に記載の低誘電率膜の製造方法である。
<11> 分子サイズが互いに異なる2種の放射線分解性化合物の内、分子サイズの大きい放射線分解性化合物と、分子サイズの小さい放射線分解性化合物との低誘電率膜形成用組成物における含有比(分子サイズの大きい放射線分解性化合物/分子サイズの小さい放射線分解性化合物)が、1/100〜100/1である前記<8>に記載の低誘電率膜の製造方法である。
<12> 骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物の低誘電率膜形成用組成物における含有量が、ポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜200質量部である前記<9>に記載の低誘電率膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、高強度で低誘電率な膜の効率的な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(低誘電率膜形成用組成物)
本発明における低誘電率膜形成用組成物は、ポリシロキサンと、放射線分解性化合物とを少なくとも含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0011】
−ポリシロキサン−
前記ポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解生成物である。
【化5】

前記一般式(1)において、Xは、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基、及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。nは、0から3までの整数を表す。X又はRで表される基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。なお、前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。
【0012】
前記ポリシロキサンとしては、所定の溶剤で希釈可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラアルコキシシランのゾルゲルポリマー、トリアルコキキシシランのゾルゲルポリマー、メチルトリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、テトラアルコキシシラン及びトリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、テトラアルコキシシラン及びメチルトリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、メチルトリアルコキシシラン及びトリアルコキシシランのゾルゲルポリマー、テトラアルコキシシラン及びジメチルアルコキシシランのゾルゲルポリマー、水素シルセスキオキサン、メチルシルセスキオキサン、フッ素含有水素シルセスキオキサン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
−放射線分解性化合物−
前記放射線分解性化合物としては、放射線が照射されると分解・脱離可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリプロピレン、フェノール化合物、イミダゾール化合物、及び、アダマンタン化合物、等が挙げられる。これらの中でも、下記一般式(2)表されるトリアリールスルホニウム塩、及び下記一般式(3)で表されるジアリールヨードニウム塩は、量子収率が高く、分解後に気体として膜から脱離する点で、特に好ましい。
【0014】
【化6】

【0015】
前記一般式(2)及び前記一般式(3)において、Rは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はアルコキシ基の少なくともいずれかを表す。前記アルキル基又は前記アルコキシ基の炭素数としては1〜6のが好ましい。
【0016】
前記放射線分解性化合物は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用するのが好ましい。2種以上を併用する態様としては、例えば、吸収極大波長が互いに異なる放射線分解性化合物を2種以上併用する態様、分子サイズが互いに異なる放射線分解性化合物を2種以上併用する態様、等が挙げられる。前者の態様の場合、低誘電率膜を製造する際に照射する放射線を2種以上使用可能となり、段階的に孔を形成し多孔質化させることが可能となる。また、後者の場合、低誘電率膜を製造する際に該低誘電率膜における孔のサイズを任意に変えることが可能となる。特に、吸収極大波長及び分子サイズが共に異なる2種以上の放射線分解性化合物を併用した場合、サイズの異なる孔を同一膜に効率的に混在させることができる点で好ましい。
【0017】
なお、前者の態様の場合、吸収極大波長が互いに異なる2種以上の内、吸収極大波長の大きい放射線分解性化合物と、吸収波長の小さい放射線分解性化合物との含有比(吸収極大波長の大きい放射線分解性化合物/吸収波長の小さい放射線分解性化合物)が、1/100〜100/1であるのが好ましい。
また、後者の態様の場合、分子サイズが互いに異なる2種の放射線分解性化合物の内、分子サイズの大きい放射線分解性化合物と、分子サイズの小さい放射線分解性化合物と、の含有比(分子サイズの大きい放射線分解性化合物/分子サイズの小さい放射線分解性化合物)が、1/100〜100/1であるのが好ましい。
【0018】
前記放射線分解性化合物の前記低誘電率膜形成用組成物における含有量としては、前記ポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜200質量部が好ましく、0.1〜50質量部がより好ましい。
前記含有量が、0.1質量部に満たないと、形成される低誘電率膜における誘電率の低減効果が十分でないことがあり、200質量部を超えると、得られる低誘電率膜の強度が低下することがある。
【0019】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、希釈溶剤、骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物、等が挙げられる。
【0020】
前記希釈溶剤としては、前記シロキサン樹脂を溶解可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、オクタン、デカン、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、及び、プロピレングリオールモノプロピロエーテル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物は、前記低誘電率膜形成用組成物に対し、酸やアルカリなどの耐薬品性や耐吸湿性を高める目的で使用され、例えば、ポリジメチルカルボシラン、ポリヒドロメチルカルボシラン、ポリジエチルカルボシラン、ポリヒドロエチルカルボシラン、ポリカルボシラスチレン、ポリフェニルメチルカルボシラン、ポリジフェニルカルボシラン、ポリジメチルシルフェニレンシロキサン、ポリメチルシルフェニレンシロキサン、ポリジエチルシルフェニレンシロキサン、ポリエチルシルフェニレンシロキサン、ポリジプロピルシルフェニレンシロキサン、ポリプロピルシルフェニレンシロキサン、ポリフェニルシルフェニレンシロキサン、ポリジフェニルシルフェニレンシロキサン、ポリフェニルメチルシルフェニレンシロキサン、ポリフェニルエチルシルフェニレンシロキサン、ポリフェニルプロピルシルフェニレンシロキサン、ポリエチルメチルシルフェニレンシロキサン、ポリメチルプロピルシルフェニレンシロキサン、ポリエチルプロピルシルフェニレンシロキサン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物の前記低誘電率膜形成用組成物における含有量としては、前記ポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜200質量部が好ましい。
前記含有量が、0.1質量部未満であると、得られる低誘電率膜の耐薬品性の効果が得られないことがあり、200質量部を超えると、得られる低誘電率膜の強度が低下することがある。
【0023】
本発明の低誘電率膜形成用組成物は、低誘電率膜を容易にかつ効率的に形成することができ、各種分野において好適に使用することができ、以下の本発明の低誘電率膜及びその製造方法、半導体装置に特に好適に使用することができる。
【0024】
(低誘電率膜の製造方法)
本発明の低誘電率膜の製造方法においては、基板上に本発明の低誘電率膜形成用組成物を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜に放射線を照射する。
【0025】
−塗布膜−
前記塗布膜は、本発明の低誘電率膜形成用組成物を基板上に塗布することにより形成される。該塗布の方法としては、特に制限はなく、公知の塗布方法、例えば、スピンコート、ディップコート、ニーダーコート、カーテンコート、及び、ブレードコート等が挙げられる。これらの中でも、効率性等の点で、スピンコート、ディップコート等が好ましい。
前記塗布の後、必要に応じて溶媒等を乾燥させることができ、該乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
【0026】
−放射線の照射−
前記放射線の照射は、前記塗布膜に対して行われる。該塗布膜に前記放射線が塗布されると、前記低誘電率膜形成用組成物に含有される放射線分解性化合物が分解・脱離される。該塗布膜が多孔質化する。
前記放射線の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、赤外光、可視光、紫外光、X線、などが好適に挙げられ、本発明においては電子線も前記放射線として照射することができ、同様の効果が得られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、前記放射線分解性化合物が樹脂である場合には、主鎖断裂のエネルギーを有する光源として紫外光、X線、電子線等を特に好適に使用することができる。
【0027】
前記放射線を照射した際、前記放射線分解性化合物を効率的に分解・脱離させるためには、該放射線を照射する際の、前記塗布膜の吸光度(照射する放射線の波長(10−1〜10Åにおける吸光度を指す。)が、1.75以下であるのが好ましく、1.25以下であるのがより好ましい。
【0028】
前記放射線の照射においては、例えば、前記低誘電率膜形成用組成物が、吸収極大波長が互いに異なる2種以上の前記放射線分解性化合物を含有している場合には、2種以上の放射線を前記塗布膜に対し照射することにより、前記放射線分解性化合物を種類毎に段階的に前記塗布膜から分解・脱離させることができる。その結果、前記塗布膜を段階的に多孔質化することが可能となる。特に吸収極大波長及び分子サイズが共に異なる2種以上の前記放射線分解性化合物を併用した場合には、サイズの異なる孔を前記塗布膜に効率的に形成することが可能となる。この場合において、先ず、分子サイズの小さい前記放射線分解性化合物が吸収極大を示す波長域の放射線を照射して、該分子サイズの小さい放射線分解性化合物を前記塗布膜から分解・脱離させ、次に、分子サイズの大きい放射線分解性化合物が吸収極大を示す波長域の放射線を照射し、該分子サイズの大きい放射線分解性化合物を前記塗布膜から分解・脱離させる。このとき、該分子サイズの大きな放射線分解性化合物は、前記塗布膜には既に分子サイズの小さい前記放射線分解性化合物の分解・脱離により多数の孔が形成されているため、効率良く脱離可能となり、容易に多孔質化が進む。その結果、低誘電率膜が極めて効率的に得られる。
【0029】
前記塗布膜に前記放射線の照射の前後乃至同時に、必要に応じて熱処理を行うことができる。
前記熱処理を行うと、前記ポリシロキサンの重合を促進させ、該ポリシロキサンを架橋させることができる。
前記熱処理の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250〜300℃程度が好ましい。
前記熱処理の回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
本発明の低誘電率膜の製造方法は、低誘電率膜を高温処理することなく容易に製造することができるので、高速で信頼性の高い半導体装置等に熱ストレスを与えることなく、高品質な半導体装置等の製造に適用することができ、以下の本発明の低誘電率膜、半導体装置等に特に好適である。
【0031】
(低誘電率膜)
本発明の低誘電率膜は、本発明の低誘電率膜の製造方法により製造される。
前記低誘電率膜における孔の径(平均径)としては、低誘電率特性の観点からは、100nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましい。
なお、前記孔の径(平均径)は、透過型電子顕微鏡により測定することができる。
前記低誘電率膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05〜5μm程度であるのが好ましい。
本発明の低誘電率膜は、低誘電率特性に優れることから、各種分野において好適に使用することができるが、高速で信頼性の要求される各種のデバイス、例えば、IC、LSI等の高集積度の半導体装置等における安定な層間絶縁膜として特に好適に使用することができる。
【0032】
(半導体装置)
本発明の半導体装置は、本発明の低誘電率膜を層間絶縁膜として有する以外に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した公知の部材等を有してなり、フラッシュメモリ、DRAM、FRAM、MOSトランジスタ、などが好適に挙げられる。
本発明の半導体装置は、本発明の低誘電率膜を層間絶縁膜として有するため、各層の層間の絶縁性に優れ、高速で信頼性が高く、各種分野において好適に使用することができる。
【0033】
以下に、本発明の半導体装置の一例について、図1を参照しながら説明する。本発明の半導体装置は、例えば以下のようにして得られる。即ち、図1に示すように、先ず素子間分離膜2で分離され、ソース拡散層5a、ドレイン拡散層5b、及び、サイドウォール絶縁膜3を有するゲート電極4を形成したトランンジスタ層が形成されたシリコンウエハ1上に、層間絶縁膜(リンガラス)6及びストッパー膜7を形成し、電極取り出し用のコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールに、スパッタ法でバリア膜8(TiN;50nm)を形成した後、WF及び水素を混合し還元することで導体プラグ(W)9を埋め込み、化学的機械研磨法(CMP)によりビア以外の部分を除去する。
【0034】
続いて、ストッパー膜7上に、本発明の低誘電率膜形成用組成物を前記塗布方法により塗布し、低誘電率膜10(厚み:450nm)を形成した後、TEOS−SiO(キャップ膜12)を50nm積層させる。このキャップ膜12を、1層目配線パターンを施したレジスト層をマスクとして、CF/CHFガスを原料としたFプラズマによって加工する。
【0035】
この配線溝に、Cuの絶縁層への拡散バリアとして働くバリア膜8(TiN)(50nm)と、電解メッキの際に電極として働くシード層Cu(50nm)とを、スパッタにより形成する。更に、電解メッキにより銅(600nm)を積層した後、CMPにより配線パターン部以外のメタルを除去し、銅配線14の層を形成する。
【0036】
次に、ビア層及び配線層を同時に形成するデュアルダマシン法について説明する。第1層目配線層上に、Cu拡散防止を目的として、シラン及びアンモニアガスを用い、プラズマCVDにより、拡散防止膜13としてSiN膜(50nm)を形成し、本発明の低誘電率膜形成用組成物を前記塗布方法により塗布し、低誘電率膜10(650nm)を積層する。配線層部分に、シラン及びアンモニアガスを用い、プラズマCVDにより、ストッパー膜7としてSiN膜(50nm)を成膜し、更に、本発明の低誘電率膜形成用組成物を前記塗布方法により塗布し、その上に低誘電率膜10(400nm)を形成する。キャップ膜12(50nm)として、TEOS−SiO膜を積層する。この低誘電率膜10に、ビアパターンを形成したレジスト層をマスクとして、CF/CHFガスを原料としたFプラズマにより、ガス組成を変えることでSiO/低誘電率絶縁膜/SiN/低誘電率絶縁膜/SiNの順に加工する。続いて、第2層目目配線パターンを施したレジスト層をマスクとして、CF/CHFガスを原料としたFプラズマにより加工する。このビアと配線溝に、Cuの絶縁層への拡散バリアとして働くバリア膜8(TiN;50nm)、及び、電解メッキの際に電極として働くシード層Cu(50nm)をスパッタにより形成する。更に、電解メッキにより銅(1400nm)を積層した後、CMPにより配線パターン部以外のメタルを除去し、銅配線14を形成した化学的機械研磨法(CMP)によりビア以外の部分を除去しビア層を形成する。これにより、前記工程を繰り返して、3層配線を形成することができる。このようにして、得られる多層配線において、100万個の連続ビアの歩留まりを90%以上とすることができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−低誘電率膜形成用組成物の調製−
テトラエトキシシラン20.8g(0.1mol)、メチルトリエトキシシラン17.8g(0.1mol)、及びメチルイソブチルケトン39.6gの200mlを反応容器に仕込み、ここに、400ppmの硝酸水16.2g(0.9mol)を10分間で滴下し、滴下終了後2時間の熟成反応を行った。次に、硫酸マグネシウム5gを添加し、過剰の水分を除去した後、ロータリーエバポレータにて熟成反応により生成したエタノールを、反応溶液が50mlになるまで除去した。得られた反応溶液にメチルイソブチルケトンを20ml添加し、200℃のオーブンによりメチルイソブチルケトンを除去し、固形分濃度17.4質量%の組成物を作製した。この組成物に、ポリメチルメタクリレートを1.68g(ポリシロキサン100質量部に対し、5質量部)添加し、低誘電率膜形成用組成物を作製した。
【0038】
−低誘電率膜の製造−
得られた低誘電率膜形成用組成物を、シリコンウエハ上に、スピンコート(3000回転、20秒間)して塗布膜を形成した後、200℃で乾燥させ、250℃で60分間アニールを行った。その後、該塗布膜に対し、波長172nmの紫外線照射を3分間照射して低誘電率膜を製造した。このとき、放射線(紫外線)照射前の塗布膜における吸光度を、紫外・可視分光光度計(機械名;U−3200、日立社製)を用いて公知の吸光度測定方法により測定した。また、同様に、放射線(紫外線)照射前の塗布膜に、1mmのAu電極を形成し、容量測定することにより該塗布膜の誘電率を測定・算出した。また、得られた低誘電率膜における誘電率を前述と同様にして測定した。また、該低誘電率膜における孔の径を、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した。これらの結果を表1に示す。
【0039】
(実施例2)
−低誘電率膜形成用組成物の調製−
実施例1において、ポリメチルメタクリレート1.68g(5質量部)を、トリアジン誘導体2.5g(10質量部)に代えた以外は、実施例1と同様にして低誘電率膜形成用組成物を調製した。
【0040】
−低誘電率膜の製造−
得られた低誘電率膜形成用組成物を用い、実施例1において、照射した放射線(波長172nmの紫外線)を波長400nmの可視光線に代え、照射時間を5分間とした以外は、実施例1と同様にして低誘電率膜を製造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
【0041】
(実施例3)
-低誘電率膜形成用組成物の調製−
メチルトリエトキシシラン17.8g(0.1mol)、トリエトキシシラン16.4g(0.1mol)、及びメチルイソブチルケトン37.2gの200mlを反応容器に仕込み、ここに、400ppmの硝酸水16.2g(0.9mol)を10分間で滴下し、滴下終了後2時間の熟成反応を行った。次に、硫酸マグネシウム5gを添加し、過剰の水分を除去した後、ロータリーエバポレータにて熟成反応により生成したエタノールを、反応溶液が50mlになるまで除去した。得られた反応溶液にメチルイソブチルケトンを20ml添加し、200℃のオーブンによりメチルイソブチルケトンを除去し、固形分濃度15.8質量%の組成物を得た。この組成物に、ポリメチルメタクリレート1.68g(ポリシロキサン100質量部に対し、5質量部)を添加し、低誘電率膜形成用組成物を調製した。
【0042】
−低誘電率膜の製造−
得られた低誘電率膜形成用組成物を用い、実施例1と同様にして、低誘電率膜を形成し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0043】
(実施例4)
−低誘電率膜形成用組成物の調製−
実施例3において、ポリメチルメタクリレート1.68g(5質量部)をトリアジン誘導体2.5g(10質量部)に代えた以外は、実施例3と同様にして低誘電率膜形成用組成物を調製した。
【0044】
−低誘電率膜の製造−
得られた低誘電率膜形成用組成物を用い、実施例3の「低誘電率膜の形成・吸光度、誘電率測定」において、照射した放射線(波長172nmの紫外線)を波長400nmの可視光線に代え、照射時間を5分間に代えた以外は、実施例1と同様にして低誘電率膜を製造し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
【0045】
(比較例1)
実施例1において、ポリメチルメタクリレートを添加しなかった以外は、実施例1と同様にした。その結果を表1に示した。
【0046】
(比較例2)
実施例3において、ポリメチルメタクリレートを添加しなかった以外は、実施例3と同様にした。その結果を表1に示した。
【0047】
【表1】

【0048】
(実施例5)
実施例3において、照射した放射線(波長172nmの紫外線)を波長365nmの紫外線に代え、照射時間を10分間に代えた以外は、実施例3と同様にして低誘電率膜を製造し、実施例3と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0049】
(実施例6)
−低誘電率膜形成用組成物の調製−
実施例3において、ポリメチルメタクリレート1.68gを、トリアリールスルホニウム誘導体2.1g(5質量部)に代えた以外は、実施例3と同様にして低誘電率膜形成用組成物を調製した。
【0050】
−低誘電率膜の製造−
実施例3において、照射した放射線(波長172nmの紫外線)を波長254nmの紫外線に代え、照射時間を1分間に代えた以外は、実施例3と同様にして、低誘電率膜を製造し、実施例3と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0051】
(実施例7)
−低誘電率膜形成用組成物の調製−
実施例3において、更にトリアリールスルホニウム誘導体2.1g(5質量部)を添加した以外は、実施例3と同様にして低誘電率膜形成用組成物を調製した。
【0052】
−低誘電率膜の製造−
実施例3において、波長172nmの紫外線照射を3分間照射したことを、波長254nmの紫外線を1分間照射した後、波長365nmの紫外線を10分間照射したことに代えた以外は、実施例3と同様にして低誘電率膜を製造し、実施例3と同様の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0053】
【表2】

【0054】
なお、表2の「吸光度」において、実施例7では、波長254nmの紫外線を1分間照射する前の被膜における吸光度が「(1)2.5」、波長365nmの紫外線を10分間照射する前の被膜における吸光度が「(2)2.0」であることを示している。
【0055】
(実施例8)
本発明の低誘電率膜形成用組成物を用いて製造した本発明の低誘電率膜を備えた本発明の半導体装置を以下のようにして得た。即ち、図1に示すように、先ず、素子間分離膜2で分離され、ソース拡散層5a、ドレイン拡散層5b、及び、サイドウォール絶縁膜3を有するゲート電極4を形成したトランンジスタ層が形成されたシリコンウエハ1上に、層間絶縁膜(リンガラス)6及びストッパー膜7を形成し、電極取り出し用のコンタクトホールを形成した。このコンタクトホールに、スパッタ法でバリア膜8(TiN;50nm)を形成した後、WF及び水素を混合し還元することにより導体プラグ(W)9を埋め込み、化学的機械研磨法(CMP)によりビア以外の部分を除去した。
【0056】
続いて、ストッパー膜7上に、実施例4の低誘電率膜形成用組成物を用い、実施例4と同様にして低誘電率膜10(厚み:450nm)を形成した後、TEOS−SiO(キャップ膜12)を50nm積層させた。このキャップ膜12を、1層目配線パターンを施したレジスト層をマスクとして、CF/CHFガスを原料としたFプラズマによって加工した。
【0057】
この配線溝に、Cuの絶縁層への拡散バリアとして働くバリア膜8(TiN)(50nm)と、電解メッキの際に電極として働くシード層Cu(50nm)とを、スパッタにより形成した。更に、電解メッキにより銅(600nm)を積層した後、CMPにより配線パターン部以外のメタルを除去し、銅配線14の層を形成した。
【0058】
次に、ビア層及び配線層を同時に形成するデュアルダマシン法について説明する。第1層目配線層上に、Cu拡散防止を目的として、シラン及びアンモニアガスを用い、プラズマCVDにより、拡散防止膜13としてSiN膜(50nm)を形成し、実施例4の低誘電率膜形成用組成物を用い、実施例4と同様にして低誘電率膜10(650nm)を形成し積層した。配線層部分に、シラン及びアンモニアガスを用い、プラズマCVDにより、ストッパー膜7としてSiN膜(50nm)を成膜し、更に実施例4の低誘電率膜形成用組成物を用い、実施例4と同様にしてその上に低誘電率膜10(400nm)を形成した。キャップ膜12(50nm)として、TEOS−SiO膜を積層した。この低誘電率膜10に、ビアパターンを形成したレジスト層をマスクとして、CF/CHFガスを原料としたFプラズマにより、ガス組成を変えることでSiO/低誘電率絶縁膜/SiN/低誘電率絶縁膜/SiNの順に加工した。続いて、第2層目目配線パターンを施したレジスト層をマスクとして、CF/CHFガスを原料としたFプラズマにより加工した。このビアと配線溝に、Cuの絶縁層への拡散バリアとして働くバリア膜8(TiN;50nm)、及び電解メッキの際に電極として働くシード層Cu(50nm)をスパッタにより形成した。更に、電解メッキにより銅(1400nm)を積層した後、CMPにより配線パターン部以外のメタルを除去し、銅配線14を形成した化学的機械研磨法(CMP)によりビア以外の部分を除去しビア層を形成した。これにより、前記工程を繰り返して、3層配線を形成した。以上のようにして、得た半導体装置における多層配線では、100万個の連続ビアの歩留まりを90%以上とすることができた。
【0059】
ここで、本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解生成物であるポリシロキサンと、放射線分解性化合物とを、少なくとも含有することを特徴とする低誘電率膜形成用組成物。
【化7】

前記一般式(1)において、Xは、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基、及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。nは、0から3までの整数を表す。
(付記2) 放射線分解性化合物の含有量が、ポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜200質量部である付記1に記載の低誘電率膜形成用組成物。
(付記3) 放射線分解性化合物が、下記一般式(2)表されるトリアリールスルホニウム塩、及び下記一般式(3)で表されるジアリールヨードニウム塩の少なくともいずれかから選択される付記1又は2に記載の低誘電率膜形成用組成物。
【化8】

前記一般式(2)及び前記一般式(3)において、Rは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、及び、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はアルコキシ基の少なくともいずれかを表す。
(付記4) 吸収極大波長が互いに異なる2種以上の放射線分解性化合物を含有する付記1から3のいずれかに記載の低誘電率膜形成用組成物。
(付記5) 分子サイズが互いに異なる2種以上の放射線分解性化合物を含有する付記1から4のいずれかに記載の低誘電率膜形成用組成物。
(付記6) 骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物を含有する付記1から5のいずれかに記載の低誘電率膜形成用組成物。
(付記7) 吸収極大波長が互いに異なる2種以上の内、吸収極大波長の大きい放射線分解性化合物と、吸収波長の小さい放射線分解性化合物との含有比(吸収極大波長の大きい放射線分解性化合物/吸収波長の小さい放射線分解性化合物)が、1/100〜100/1である付記4に記載の低誘電率膜形成用組成物。
(付記8) 分子サイズが互いに異なる2種の放射線分解性化合物の内、分子サイズの大きい放射線分解性化合物と、分子サイズの小さい放射線分解性化合物と、の含有比(分子サイズの大きい放射線分解性化合物/分子サイズの小さい放射線分解性化合物)が、1/100〜100/1である付記5に記載の低誘電率膜形成用組成物。
(付記9) 骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物の低誘電率膜形成用組成物における含有量が、ポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜200質量部である付記6に記載の低誘電率膜形成用組成物。
(付記10) 基板上に付記1から9のいずれかに記載の低誘電率膜形成用組成物を塗布し塗布膜を形成し、該塗布膜に放射線を照射することを特徴とする低誘電率膜の製造方法。
(付記11) 塗布膜に熱処理を行う付記10に記載の低誘電率膜の製造方法。
(付記12) 熱処理が250〜300℃で行われる付記11に記載の低誘電率膜の製造方法。
(付記13) 放射線が、赤外光、可視光、紫外光、X線、及び電子線から選択される付記10から12のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
(付記14) 塗布膜における、照射する放射線の波長(10−1〜10Åにおける吸光度を指す。)に対する吸光度が、1.75以下である付記10から13のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
(付記15) 2種以上の放射線を照射する付記10から14のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
(付記16) 付記10から15のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法により形成される低誘電率膜。
(付記17) 径100nm以下の孔を複数有する付記16に記載の低誘電率膜。
(付記18) 付記18又は19に記載の低誘電率膜を層間絶縁膜として有することを特徴とする半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明の低誘電率膜を用いた本発明の半導体装置の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1・・・シリコンウエハ
2・・・素子間分離膜
3・・・サイドウォール絶縁膜
4・・・ゲート電極
5a・・ソース拡散層
5b・・ドレイン拡散層
6・・・層間絶縁膜(リンガラス)
7・・・ストッパー膜
8・・・バリア膜
9・・・導体プラグ(W)
10・・低誘電率膜
12・・キャップ膜
13・・拡散防止膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解生成物であるポリシロキサンと、放射線分解性化合物とを、少なくとも含有する低誘電率膜形成用組成物を塗布し塗布膜を形成する工程と、
該塗布膜に放射線を照射する工程と、
該塗布膜に熱処理を行う工程と、
を含むことを特徴とする低誘電率膜の製造方法。
【化1】

前記一般式(1)において、Xは、水素原子、フッ素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、ビニル基、及び脂環族基の少なくともいずれかを表す。nは、0から3までの整数を表す。
【請求項2】
熱処理が250〜300℃で行われる請求項1に記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項3】
熱処理が、塗布膜の塗布の前後乃至同時に行われる請求項1から2のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項4】
放射線が、赤外光、可視光、紫外光、X線、及び電子線から選択される請求項1から3のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項5】
塗布膜における、照射する放射線の波長(10−1〜10Åにおける吸光度を指す。)に対する吸光度が、1.75以下である請求項1から4のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項6】
照射する放射線が2種以上である請求項1から5のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項7】
低誘電率膜形成用組成物が、吸収極大波長が互いに異なる2種以上の放射線分解性化合物を含有する請求項1から6のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項8】
低誘電率膜形成用組成物が、分子サイズが互いに異なる2種以上の放射線分解性化合物を含有する請求項1から7のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項9】
低誘電率膜形成用組成物が、骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物を含有する請求項1から8のいずれかに記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項10】
吸収極大波長が互いに異なる2種以上の内、吸収極大波長の大きい放射線分解性化合物と、吸収波長の小さい放射線分解性化合物との低誘電率膜形成用組成物における含有比(吸収極大波長の大きい放射線分解性化合物/吸収波長の小さい放射線分解性化合物)が、1/100〜100/1である請求項7に記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項11】
分子サイズが互いに異なる2種の放射線分解性化合物の内、分子サイズの大きい放射線分解性化合物と、分子サイズの小さい放射線分解性化合物との低誘電率膜形成用組成物における含有比(分子サイズの大きい放射線分解性化合物/分子サイズの小さい放射線分解性化合物)が、1/100〜100/1である請求項8に記載の低誘電率膜の製造方法。
【請求項12】
骨格に炭化水素を含むシリコーン化合物の低誘電率膜形成用組成物における含有量が、ポリシロキサン100質量部に対し、0.1〜200質量部である請求項9に記載の低誘電率膜の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−189223(P2007−189223A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258(P2007−258)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【分割の表示】特願2002−77381(P2002−77381)の分割
【原出願日】平成14年3月19日(2002.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】