説明

住宅のリフォーム工事における作業者管理方法

【課題】リフォーム工事の作業現場への作業者の出入り状況を透明化及び可視化する。
【解決手段】住宅のリフォーム工事に従事する作業者のIDカード1であってカード表面1aに作業者の顔写真の表示部1bと氏名の表示部1cとその作業者の情報の記録されたICタグとを備えたIDカード1を各作業者に交付し、IDカード1のカード表面1aを外部から視認可能な状態で個別に保持可能とするホルダー部2bを備えた表示板2を作業現場へ通じる限定された出入り口とこの作業現場との間に設置し、出入り口の人間の通過を感知する感知手段とICタグに記録された情報の読み取り手段とを備えたコンピュータのこの感知手段及び読み取り手段を前記出入り口に設置し、このコンピュータに前記通過の感知後に前記情報が読み取られないとき、及び、読み取られた情報が予め記憶された前記情報と整合しないときに警報を発しさせるようにしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リフォーム工事に従事する作業者の入退場管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リフォーム工事は、居住中の住宅の改築、改装を対象とするものであり、リフォーム対象外の範囲での施主側の生活を継続しながらかかる工事がなされる場合も少なくなく、また、家財を残したままでかかる工事がなされる場合も少なくない。したがって、かかるリフォーム工事では作業現場への工事関係者以外の第三者の入場の制限が強く求められるところである。その一方で、リフォーム工事では複数の職種の作業者(異職種の職人)が同時に作業現場に出入りする場合も少なくなく、こうした場合には作業者同士に面識がないため互いに相手が工事関係者であるかどうかを直ちに確認し難い。
【0003】
従来の技術として、仮囲いされた建設現場の入退場用の出入口に、自動施錠機能を有する開閉扉を設けると共に、この出入り口に身分証明カードの情報を読み取るカードリーダーを設け、このカードリーダーの読み取り結果に基づいて前記開閉扉の自動施錠機能による施錠を解除するようにした入退場管理システムがある。(特許文献1参照)
【0004】
かかるシステムを使えば作業現場への工事関係者以外の第三者の入場は阻止し得るが、リフォーム工事には前記のような特殊性があることから、施主側に安心感・信頼感を醸成する観点からさらなる配慮が求められるところであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−299742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、リフォーム工事の作業現場への作業者の出入り状況をできる限り透明化及び可視化する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、住宅のリフォーム工事における作業者管理方法を、
住宅のリフォーム工事に従事する作業者のIDカードであって、カード表面に、少なくとも、その作業者の顔写真の表示部と、その氏名の表示部と、その作業者の情報の記録されたICタグとを備えたIDカードを、各作業者に交付し、
少なくとも、前記IDカードのカード表面を外部から視認可能な状態で個別に保持可能とするホルダー部を複数箇所備えた表示板を、作業現場へ通じる限定された出入り口とこの作業現場との間に設置し、
少なくとも前記出入り口の人間の通過を感知する感知手段と、前記ICタグに記録された情報の読み取り手段とを備えたコンピュータのこの感知手段及び読み取り手段を前記出入り口に設置し、
このコンピュータに、少なくとも、前記通過の感知後に前記情報が読み取られないとき、及び、読み取られた情報が予め記憶された前記情報と整合しないときに警報を発しさせるようにしてなるものとした。
【0008】
かかる作業者管理方法によれば、第一に、IDカードを持たない者、及び正規のIDカードを持たない者の作業現場への出入りを、前記コンピュータの警告を通じて防止することができる。また第二に、前記表示板に保持されて掲示される前記IDカードを通じて少なくとも作業中の作業者の人数、容貌、氏名を、施主側及び各作業者に認識させることができる。作業者は前記出入り口から作業現場に入るときのみならず、出るときもIDカードを持たざるを得ないことから、前記読み取り手段を通じて特定の作業者の作業現場内に在した時間をコンピュータに計測記録させるようにすることもでき、かかる作業管理方法は作業者の勤怠管理も容易且つ適切になし得るものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、リフォーム工事の作業現場への工事関係者以外の第三者の出入りを阻止できると共に、前記表示板を通じて工事関係者、つまり作業者の出入り状況を透明化及び可視化することができ、施主に高い安心感・信頼感を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は作業者管理方法に用いられるIDカードの正面構成図である。
【図2】図2は作業者管理方法に用いられる表示板の斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1及び図2に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について説明する。この実施の形態にかかる作業者管理方法は、リフォーム工事の作業現場への作業者の出入り状況を透明且つ可視化して、施主に高い安心感・信頼感を持たせるようにすると共に、作業者の勤怠管理などの管理を適切になし得るようにするものである。
【0012】
かかる作業者管理方法は、(1)住宅のリフォーム工事に従事する作業者のIDカード1であって、カード表面1aに、少なくとも、その作業者の顔写真の表示部1bと、その氏名の表示部1cと、その作業者の情報の記録された図示しないICタグとを備えたIDカード1を、各作業者に交付し、(2)少なくとも、前記IDカード1のカード表面1aを外部から視認可能な状態で個別に保持可能とするホルダー部2bを複数箇所備えた表示板2を、作業現場へ通じる限定された出入り口とこの作業現場との間に設置し、(3)少なくとも前記出入り口の人間の通過を感知する感知手段と、前記ICタグに記録された情報の読み取り手段とを備えた図示しないコンピュータのこの感知手段及び読み取り手段を前記出入り口に設置し、(4)このコンピュータに、少なくとも、前記通過の感知後に前記情報が読み取られないとき、つまり通過した者がIDカード1を所持していないとき、及び、人間の通過の感知後に読み取られた情報が予め記憶された前記情報と整合しないとき、警報を発しさせるようにするものである。
【0013】
IDカード1は、典型的には、合成樹脂製の名刺大のカードであり、そのカード表面1aにはさらに、その作業者の職種、所属などの表示部1d、1eを必要に応じて表示して構わない。
【0014】
表示板2は、典型的には、前記出入り口と作業現場との間の通路となる箇所にある建物の壁面に目に付くように設置する。表示板2の前記ホルダー部2bは、前記IDカード1を取り外し可能に表示板2の板表面2a側に保持させ得る構造のものであれば良く、典型的には、かかるIDカード1を納めるポケットや、IDカード1を外部から視認可能に収納する収納部を備えて表示板2に開閉動作可能に組み合わされたリッド状の可動体や、このIDカード1をはめ込む凹部として構成することができる。図示の例では、ホルダー部2bを上方から内部にIDカード1を納め入れ可能なポケットとして構成させた例を示している。このようにホルダー部2bをポケットとして構成する場合は、ポケットの前面を開放させるか、透明又は透光性のある素材から構成して、ポケット内に入れ込まれ保持されたIDカード1のカード表面1aが外部から視認できるようにする。
【0015】
かかるホルダー部2bに公知のロック手段を備えさせ、図中符号2cで示す暗証番号の入力部を通じて暗証番号を入力しない限りこのロック手段によるIDカード1に対するロックが解除されないようにしておけば、そのIDカード1の作業者以外の者がこのホルダー部2bに収めたIDカード1を取り出すことがないようにすることができる。かかるロック手段としては、ホルダー部2bに保持されたIDカード1にロック手段の一部を物理的に連係させてその取り出しを阻止し前記暗証番号を入力しない限りこの連係を解かないものや、電気的あるいは電子的に連係させて前記暗証番号を入力しないでIDカード1を取り出そうとすると音や光で図示しない警報手段による警報を発するものを利用することができる。
【0016】
前記感知手段及び読み取り手段は図示しないコンピュータの入力装置を構成する。かかる感知手段としては公知のセンサやスイッチなどを、読み取り手段としては前記ICタグに対する公知のリーダーを利用する。
【0017】
かかる感知手段及び読み取り手段によって、前記出入り口の人間の通過の感知後に前記情報が読み取られないとき、又は、読み取られた情報が予め記憶された前記情報と整合しないときに、前記コンピュータは警報を発する。かかる警報はこのコンピュータを構成する出力装置を構成する警報手段によってなされる。かかる警報手段としては公知のブザーやインジケータなどを利用することができる。
【0018】
前記コンピュータを構成する記憶装置には予め各作業者の情報が記憶されており、かかるコンピュータは前記のようにICタグから情報が読み取られる度に、この読み取られた情報と記憶された情報との照合を行う。
【0019】
かかるコンピュータは、例えば、前記表示板2に内蔵させて作業現場に設置されるようにしていても、通信ネットワークを利用して作業現場と離隔された場所に設置されていても構わない。かかるコンピュータを作業現場に設置させた場合には、通信ネットワークを利用して、このコンピュータの情報を作業現場と離隔された場所に設置されたコンピュータなどを使って閲覧できるようにしておいても良い。
【0020】
この実施の形態にかかる作業者管理方法によれば、第一に、IDカード1を持たない者、及び正規のIDカード1を持たない者の作業現場への出入りを、前記コンピュータの警告を通じて防止することができる。また第二に、前記表示板2に保持されて掲示される前記IDカード1を通じて少なくとも作業中の作業者の人数、容貌、氏名を、施主側及び各作業者に認識させることができる。作業者は前記出入り口から作業現場に入るときのみならず、出るときもIDカード1を持たざるを得ないことから、前記読み取り手段を通じて特定の作業者の作業現場内に在した時間をコンピュータに計測記録させるようにすることもでき、かかる作業管理方法は作業者の勤怠管理も容易且つ適切になし得るものである。
【0021】
前記表示板2にも前記コンピュータを構成するICタグの読み取り装置を内蔵させ、出入り口の読み取り手段によりある作業者のICタグの情報が読み取られた後に、この表示板2において同一の情報が読み取られないときは前記コンピュータに警報を発しさせるようにしておくこともある。このようにしておけば、各作業者が出入り口から入場した後はそのIDカード1を表示板2に必ず保持・掲示させるようにしむけることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 IDカード
1a カード表面
1b 顔写真の表示部
1c 氏名の表示部
2 表示板
2a 板表面
2b ホルダー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅のリフォーム工事に従事する作業者のIDカードであって、カード表面に、少なくとも、その作業者の顔写真の表示部と、その氏名の表示部と、その作業者の情報の記録されたICタグとを備えたIDカードを、各作業者に交付し、
少なくとも、前記IDカードのカード表面を外部から視認可能な状態で個別に保持可能とするホルダー部を複数箇所備えた表示板を、作業現場へ通じる限定された出入り口とこの作業現場との間に設置し、
少なくとも前記出入り口の人間の通過を感知する感知手段と、前記ICタグに記録された情報の読み取り手段とを備えたコンピュータのこの感知手段及び読み取り手段を前記出入り口に設置し、
このコンピュータに、少なくとも、前記通過の感知後に前記情報が読み取られないとき、及び、読み取られた情報が予め記憶された前記情報と整合しないときに警報を発しさせるようにしてなることを特徴とする住宅のリフォーム工事における作業者管理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−204095(P2011−204095A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71894(P2010−71894)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(597007282)住友林業ホームテック株式会社 (43)
【Fターム(参考)】