説明

作業の良否判定システム及び良否判定方法

【課題】ロボット1等の機械装置においてワークの保持部近傍の大型化やケーブル数の増加を抑制するとともに、センサ等の故障を防止する。
【解決手段】ロボット1等の機械装置におけるワークの保持部(例えばチャック8)と、その支持部(例えば手首部6)との間に可動部(例えばコンプライアンス装置7)を設け、作業に伴う保持部及び支持部の位置の変化からその良否を判定する。例えば、可動部の保持部側及び支持部側の部材に夫々マーカーMを設けて、カメラ11により撮影した画像中のマーカー位置を画像処理により検出し、保持部及び支持部の間隔の変化から作業の良否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械やロボットのような機械装置によってワークを加工、組み付け等する作業の良否の判定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より生産現場においてワークを製品に組み付ける工程の自動化には産業用ロボットや自動組立機械が使用されており、ワークの位置やそれを組み付ける製品等の位置を検出するために、また、ワークが製品等に適正に組み付けられたことを判定するために、各種のセンサが用いられている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の自動ネジ締め機においては、ドライバビットの挿通されるチャックユニットの近傍に変位センサが設けられ、これにより検出される被検出体との間隔に応じてネジの締付け完了を検出するようになっている。また、特許文献2に記載の自動ネジ締め機においては、ネジ締めビットの近傍に配設された電動ドライバにトルクセンサが内蔵されており、これによりネジの締付けトルクを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−343347号公報
【特許文献2】特開2004−306161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記の従来例では、機械装置においてドライバビットやネジ等のワークを保持する部位の近傍に変位センサやトルクセンサが配設されることになるから、ワーク保持部の周辺が大型化するとともにケーブル数が増加するという難がある。また、一般的にワーク保持部の近傍には作業に伴う振動や衝撃が加わりやすいので、精密機器であるセンサの故障を誘発するおそれもある。
【0006】
かかる点に鑑みて本発明の目的は、ロボットや自動組立機械等によって行う作業の状態を検出する方法に工夫を凝らして、センサの配設に伴うワーク保持部近傍の大型化やケーブル数の増加を回避するとともに、センサの故障も防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明は、機械装置によって行う作業の良否を判定するシステムであって、前記機械装置におけるワークの保持部とこれを支持する支持部との間には、両者が前記作業の際にワークから受ける力によって相対変位するように可動部を設けてある。そして、前記保持部及び支持部の双方から離れて、該保持部及び支持部の夫々の位置を検出可能な非接触式の位置検出装置と、前記作業の際に前記位置検出装置によって検出される前記保持部及び支持部の相対的な位置関係から、当該作業の良否を判定する良否判定手段と、を備えている。
【0008】
かかる構成のシステムでは、機械装置におけるワーク保持部とこれを支持する支持部との間に可動部が設けられており、作業の際にワークから受ける力によって前記保持部と支持部とが相対変位する。一例として部品であるワークを製品の所定位置に挿入する場合、寸法のばらつきや組付け位置のずれによってワークに大きな力が加わると、これを受けて前記保持部と支持部との相対変位が大きくなる。よって、位置検出装置によって検出される保持部及び支持部の相対的な位置関係から作業の状態を検出可能であり、これに基づいて作業の良否を判定することができる。
【0009】
なお、前記のように可動部において生じる保持部と支持部との相対変位によって作業の状態を検出するために、可動部には両部の相対変位に対して適度の弾発力や減衰力を付加するようにしてもよい。例えば前記保持部と支持部との間に弾性体を介在させる場合には、作業の際に位置検出装置によって検出される保持部及び支持部の間隔から両者間に作用する力の大きさが求められるので、これに基づいて作業の良否を判定することもできる。
【0010】
そして、前記位置検出装置が前記保持部及び支持部の双方から離れているので、従来までのようにワーク保持部の近傍にセンサ等を配設したものとは異なり、機械装置のワーク保持部周辺が徒に大型化したり、ケーブル数が増加することはない。また、作業に伴う振動、衝撃によって位置検出装置が故障する心配もない。
【0011】
そのように離れた場所からワーク保持部や支持部の位置を精度よく検出するためには、公知の種々の非接触式の位置検出装置を用いることができるが、一例としてカメラ等の撮像装置と、これにより撮影した画像内で対象物の位置を検出する画像処理装置とを用いてもよい。この場合、前記可動部を画像処理によって識別しやすいよう、その形状や色、表面の状態、照明の仕方等に工夫をしてもよいが、画像処理演算のアルゴリズムに対応して好適なマーカーを可動部の保持部側及び支持部側の夫々の部材に設けてもよい。
【0012】
こうすれば、前記マーカーを撮影可能に前記撮像装置を配置し、これにより撮影して取得した画像における前記マーカーの位置を画像処理演算によって検出しやすくなる。しかも、個々のワークにマーカーを設ける必要はなく、機械装置の可動部にマーカーを設ければよいから、コストアップも少ない。
【0013】
より具体的には、作業の開始直前に検出された前記保持部側及び支持部側部材の夫々のマーカー位置から、該両部材の間隔を求めるとともに、作業の開始後に検出された前記両部材の夫々のマーカー位置から該両部材の間隔を求めて、作業に伴う両部材の間隔の変化からその良否を判定するようにしてもよい。一例としてネジ締め作業であれば、その開始直前というのはネジをネジ孔に押し付けて、可動部が或る程度、縮んだ状態としてもよく、こうすれば、作業の開始とともにネジが回転しネジ孔に進入するのに連れて、保持部側部材が下降し支持部側部材との間隔が広がってゆく。
【0014】
その場合に好ましくは、前記作業の開始直前に求めた前記両部材の間隔と、作業の開始後に求めた両部材の間隔との比率を、予め設定した閾値と比較して作業の良否を判定するようにしてもよい。こうすれば、作業の行われる場所と撮像装置の設置場所との距離に依らず、保持部側及び支持部側部材の間隔を正確に検出できる。更に、撮像装置の交換や位置変更の度に、撮影された画像の座標系を現実の空間座標に位置させるための精密なキャリブレーションを行う必要もない。
【0015】
また、画像処理演算に要する時間をできるだけ短くするために、前記のように作業の開始直前に検出した保持部側及び支持部側の夫々のマーカー位置に基づいて、作業の開始後にマーカー位置を検出するための画像処理演算の範囲を絞るようにしてもよい。すなわち、通常、撮影した画像内において作業に伴いマーカーの移動する方向は既知であるから、画像内にて最初に検出したマーカー位置から前記マーカーの移動方向に延びる細長い領域に画像処理演算の範囲を絞ればよい。
【0016】
それに代えて、或いはそれに加えて、例えばロボットのティーチング・データのような機械装置の制御データに基づいて、マーカー位置を検出するための画像処理演算の範囲を絞るようにしてもよい。こうすれば作業の開始前のマーカー位置検出の際の画像処理演算についても時間の短縮が図られる。
【0017】
更に、前記位置検出装置として撮像装置及び画像処理装置の少なくとも一方を2つ以上備えてもよい。こうすれば、前記マーカーを含む画像の取得と画像処理演算とを少なくとも一部分が同時に進行するよう並行して行うことができ、このことも処理時間の短縮に寄与する。
【0018】
ところで、一例としてネジ締め作業のようにワークであるネジやボルトを製品に締め込むときには、ワークをその保持部と一緒に回転させることになるが、この場合には、前記可動部の保持部側及び支持部側の部材を夫々、前記ワークの回転中心線に直交する円盤状部材とし、且つその外周に略全周に亘って前記マーカーを設けてもよい。こうすれば、ワーク保持部、可動部及び支持部の一部が回転しても、マーカーと撮像装置との距離が変化しないので、作業中に連続して、或いは任意のタイミングで位置の検出が行える。
【0019】
なお、回転動作を含まない作業を行うのであれば、この作業の際に撮像装置の正面に位置するようにマーカーを可動部の保持部側及び支持部側部材に夫々1つずつ設けてもよい。また、1つの撮像装置の視野範囲内の2箇所以上で作業を行う場合、夫々の作業場所に対応して撮像装置の正面にマーカーが位置するようにするために、前記保持部側及び支持部側部材の夫々に複数のマーカーを設けてもよい。
【0020】
また、前記可動部の構造について具体的には、ワークの保持部側部材と支持部側部材との間を延びるようにガイドシャフトを設けて両部材のうちの一方を貫通させ、当該一方の部材を他方の部材に対し近接/離遠するよう移動可能に支持するとともに、それら両部材に互いに離遠するような付勢力を付加するようにバネ部材を介在させてもよい。こうすると、前記保持部側及び支持部側の部材同士がガイドシャフトの延びる方向に相対移動するようになり、両部材の間隔から作業の良否を検出する上で好ましい。
【0021】
見方を変えれば本発明は、機械装置によって行う作業の良否を判定する方法であって、当該機械装置におけるワークの保持部とこれを支持する支持部との間に、両者が前記作業の際にワークから受ける力によって相対変位するように可動部を設けて、前記作業の際に前記保持部及び支持部の双方から離れた場所で、非接触式の位置検出装置により該保持部及び支持部の相対的な位置関係を検出し、作業の良否を判定するものである。
【0022】
その場合に、上述したが、前記可動部の保持部側及び支持部側の部材に夫々マーカーを設け、前記マーカーを撮影可能に撮像装置を配置するとともに、この撮像装置によって撮影した画像における前記マーカーの位置を画像処理によって検出し、この検出したマーカー位置から前記作業に伴う前記保持部側及び支持部側の部材の間隔の変化を求めて、作業の良否を判定するようにしてもよい。
【0023】
また、前記可動部の保持部側及び支持部側の部材の間に、作業の際にワークから受ける力によって弾性変形するように弾性体を介在させ、前記作業の際に検出した前記保持部側及び支持部側の部材の間隔から両者の間に作用する力の大きさを求めて、作業の良否を判定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上より、本発明では、ロボットや自動組立機械等の機械装置のワーク保持部の近傍にセンサのような精密機器を配設することなく、作業の良否を判定できるので、センサ等を設けることによるワーク保持部近傍の大型化やケーブル数の増加を回避できるとともに、そのセンサ等が故障することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る作業の良否判定システムを適用するロボットの一例を示す斜視図である。
【図2】ロボットアームに装着されるコンプライアンス装置の拡大図である。
【図3】良否判定システムの概略構成図である。
【図4】作業の良否判定の手順を示すフローチャート図である。
【図5】ピンの挿入作業の説明図であり、(a)は挿入作業の開始直前を、(b)は挿入に成功した状態を、(c)は挿入に失敗した状態を、夫々示す。
【図6】ボルトのネジ締め作業に係る図5相当図であり、(a)はネジ締め作業の開始直前を、(b)はネジ締めに成功した状態を、(c)はネジ締めに失敗した状態を、夫々示す。
【図7】ブラケットを円盤状としたコンプライアンス装置の他の実施形態に係る図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る作業の良否判定システムが適用される機械装置としてのロボットの一例を示す斜視図であり、図2は、そのロボット1のアームに装着するコンプライアンス装置を拡大して示している。ロボット1は、例えば工場の組み立てラインにおいて種々のワークを製品や製造途中の組立体(半製品)に組み付ける作業に用いられる。
【0027】
−ロボットの構成例−
図1に示すロボット1はいわゆる多関節型のもので、床などに固定される固定部2と、その上部において鉛直軸線aの周りに旋回(矢印Aで示す)可能なベース部3と、このベース部3の上部に順次、取り付けられた第1及び第2アーム部4,5とを備えている。第2アーム部5の先端部5aには手首部6が取り付けられ、この手首部6にコンプライアンス装置7を介してチャック8が取り付けられている。
【0028】
すなわち、前記ベース部3の上部には、左右一対の支持壁部3aが設けられ、それらに挟まれた状態で第1アーム部4の基端部が水平軸線bの周りに回動可能に支持されている。これにより第1アーム部4は、矢印Bで示すように上下に傾倒可能になっている。また、第1アーム部4は、基端部の左右両側から延びる一対の板状部材からなり、その間に第2アーム部5の基端部を軸線cの周りに回動可能に支持している。これにより第2アーム部5も上下方向に傾倒(矢印C)可能になっている。
【0029】
第2アーム部5の先端には、その長手方向の軸線dの周りに回動(矢印D)可能な状態で二股状の先端部5aが設けられており、その間に円柱状の手首部6が軸線eの周りに回動(矢印E)可能に支持されている。その手首部6の先端、すなわち図の左手前寄りの端部に、コンプライアンス装置7を介してチャック8が取り付けられている。チャック8はコンプライアンス装置7と共に、例えば手首部6に内蔵した電動モータの作動により軸線fの周りに回動(矢印F)可能になっている。
【0030】
なお、図1において符号9は、チャック8に把持されているワークであって、一例として、製品10の上面に開口する挿入孔10aに挿入されるピンを示している。図の例では挿入孔10aの周縁部はテーパ状に拡径されていて、挿入されるピン9をガイドするようになっている。
【0031】
−コンプライアンス装置−
本実施形態においてロボット1のチャック8(保持部)と手首部6(支持部)との間にはコンプライアンス装置7(可動部)が介設され、ピン9の挿入やボルト15(図6を参照)のネジ締めといった作業の際に、位置ずれ等に起因して加わる力を受けて圧縮され、衝撃を吸収するようになっている。また、特にネジ締め作業に際しては、後述するようにボルト15をその回転に連れて適度に押し出すという機能を発揮し、ロボット1の制御の簡易化に寄与する。
【0032】
図2に拡大して示すように、本実施形態のコンプライアンス装置7は、チャック8側の部材であるブラケット70(図では下方に位置し、以下では下ブラケットという)と、ロボットアームの手首部6側の部材であるブラケット71(図では上方に位置し、以下では上ブラケットという)とを備えている。図の例では両ブラケット70,71はいずれも概略三角形状の板部材であって、中央に丸穴70a,71aが開口している。これらの丸穴70a,71aには、チャック8のモータに電力を供給するケーブル等が挿通される。
【0033】
図示の例では、下ブラケット70の中央の丸穴70aは、上ブラケット71の丸穴71aよりも大径であり、これを囲むように複数のボルト孔70b(図の例では4つ)が形成されている。図示しないが、これらのボルト孔70bに挿入されるボルトによって、下ブラケット70の下部にチャック8が締結される。同様に上ブラケット71にも中央の丸穴71aを囲むように複数のボルト孔71bが形成されており、そのうちの幾つかには上ブラケット71をロボット1の手首部6に締結するためのボルトが挿入される。
【0034】
そして、前記のブラケット70,71同士はその間に設けられた3本のガイドシャフト72によって連結されている。これらの各ガイドシャフト72は、上端部が上ブラケット71に固定される一方、下端側は下ブラケット70を貫通して、当該下ブラケット70を上下にスライド可能に支持している。また、各ガイドシャフト72にはコイルばね73(弾性体)が外挿されていて、両ブラケット70,71に対し上下に離遠するよう押圧付勢力を付加している。このコイルばね73が作業の際に受ける力によって弾性変形し、上下のブラケット70,71の相対変位を許容する。
【0035】
上下のブラケット70,71には、中央の丸穴71a,70aを囲む円周方向に互いに等間隔で、三角形の頂部に対応するように3つの貫通孔70c,71cが形成されており、その各々にガイドシャフト72の端部が挿入されている。3本のガイドシャフト72は互いに略平行に且つ等間隔に並んでいる。なお、図2には、3本のガイドシャフト72及びコイルばね73のうち、図の手前の2本のみが示されていて、図の奥にある1本のガイドシャフト72及びコイルばね73は、上ブラケット71に隠れている。
【0036】
一例としてガイドシャフト72にはリーマボルトが用いられ、その軸部が上ブラケット71の貫通孔71cに付け根まで圧入されている。上ブラケット71の上面に位置するリーマボルトの頭部は、上方から押さえ板74によって押さえられている。この押さえ板74は、外形が上ブラケット71と同じ三角形状であり、その内部に大きな丸穴74aが開口することによって異形のリング状とされている。押さえ板74は、ガイドシャフト72の両側においてボルト75により上ブラケット71に締結されている。
【0037】
一方、下ブラケット70の貫通孔70cには、この例ではフランジ付きブッシュ76が上方から挿入され、その筒孔内に前記ガイドシャフト72が摺動自在に挿通されている。ブッシュ76は、一例として潤滑油を分散させた樹脂材により形成されており、高い摺動性を有している。ブッシュ76のフランジ部76aは、下ブラケット70の上面における貫通孔周縁部を覆って、その上面に当接するコイルばね73の下端を受け止める受け座として機能している。
【0038】
また、前記ブッシュ76を突き抜けて下方に突出するガイドシャフト72の下端部には雄ネジが形成されており、ここにナット77が螺合されている。このナット77は、下ブラケット70の下面における貫通孔70cの周縁部に下方から当接し、下ブラケット70がガイドシャフト72から脱落することを阻止するストッパとして機能している。つまり、下ブラケット70は、ガイドシャフト72によって上下に(上ブラケット71に対し近接/離遠するように)スライド(移動)可能に支持されていて、コイルばね73の押圧力により下方に付勢され、ナット77に押し当てられている。
【0039】
この状態で下ブラケット70の貫通孔70c(ブッシュ76の筒孔)内に位置しているのは、ガイドシャフト72を構成するリーマボルトの軸部であり、この軸部の直径はブッシュ76の筒径と略同じなので、両者の間にはスムーズに摺動可能な程度の隙間が形成されている。このため、下ブラケット70がガイドシャフト72に沿ってスライド移動するときには上ブラケット71に対し斜めにはなり難く、概ね平行な状態で上下方向に移動する。
【0040】
そして、そのように互いに近接/離遠する上下のブラケット70,71の双方に、画像処理によって検出し易いマーカーMが設けられている。一例としてマーカーMは真円形状のシールであり、上下のブラケット70,71の夫々の外周において、三角形の3つの辺に対応する3つの面の長手方向の概ね中央に貼り付けられている。マーカーMは、以下に述べるように作業の良否を判定する際にブラケット70,71の間隔を検出するために利用されるもので、シールの貼り付けに限らず、印刷や刻印によって設けることもできる。
【0041】
−作業の良否判定−
図3(a)には本実施形態の良否判定システムの概略構成を示す。このシステムは、ロボット1による作業の現場から側方に所定距離だけ離れて、前記コンプライアンス装置7のマーカーMを撮影可能に設置されたカメラ11(撮像装置)と、このカメラ11によって撮影された画像のデータが転送されるコンピュータ装置12と、を備えている。コンピュータ装置12は、ロボットコントローラ13との間で信号の送受を行いながら、前記の画像データに所定の画像処理演算を施して、一例を図3(b)に示す画像P中のマーカーMの位置を検出する。なお、図3(a)ではロボットコントローラ13を模式的にロボット1の固定部2内にあるかのように表しているが、実際にはロボットコントローラ13は、ロボット1の外部に設けられている。
【0042】
また、コンピュータ装置12は、そうして検出した上下ブラケット70,71の夫々のマーカー位置から上下ブラケット70,71の間隔Dを計算し、これが作業の進行に連れて変化する様子から当該作業の良否を判定する。つまり、前記カメラ11とコンピュータ装置12とが、ロボットアームに設けられたコンプライアンス装置7の上下ブラケット70,71の夫々の位置を検出可能な非接触式の位置検出装置を構成し、コンピュータ装置12は更に作業の良否判定手段も構成している。
【0043】
すなわち、図3(b)に示すように撮影された画像Pにおいて各ブラケット70,71の外周面は横長の帯状に表れ、その上にマーカーMが楕円形状に表れている。製品10の位置ずれや誤制御等によって3つのマーカーMのうちの2つがカメラ11の視野内に入ることもあり得るが、例えばパターンマッチングによって、できるだけ真円に近いものを検出するようにすれば、カメラ11の正面近くに位置するマーカーMを検出できる。
【0044】
そうして検出した上下ブラケット70,71の夫々のマーカーMの中心同士の間隔Dを上下ブラケット70,71同士の間隔とする。そして、以下に図4〜6を参照して具体的に説明するように、作業の開始直前と開始後の少なくとも2回、上下ブラケット70,71同士の間隔を計算し、それが変化する様子から作業の良否を判定する。
【0045】
図4は作業の良否判定手順を示し、図5は、一例としてロボット1のチャック8に把持したピン9を、製品10の挿入孔10aに挿入する作業の説明図である。まず、図4においてスタート後のステップS1においてロボットコントローラ13がロボットアームを動作させ、図5(a)に示すようにチャック8に把持したピン9を製品10の挿入孔10aの上方に位置づける(作業場所へ移動)。このときに上下のブラケット70,71の間隔は、コンプライアンス装置7においてガイドシャフト72上のナット77の位置により設定されている値になる。
【0046】
そして、ロボットコントローラ13からの信号を受けてコンピュータ装置12は、カメラ11から撮影した画像データを取り込んで画像処理演算を行い、前記したように2つのマーカーMの位置を検出して両者の、即ち上下のブラケット70,71の間隔D1を計算する(ステップS2:間隔D1の検出)。こうして求めた間隔D1は前記の設定値に対応するもので、これを基準とすることで、後述するようにロボット1とカメラ11との距離による影響を排除することができる。本実施形態では一例として間隔D1を約30mmとしている。
【0047】
なお、前記の画像処理演算においては、予めロボット1のティーチングデータに基づいてマーカーMの表れる位置を推定し、これを含む所定範囲L(図3(b)に破線で示す)に画像処理演算の範囲を絞り込む。こうすれば画像全体に亘って演算を行うのに比べて遙かに演算量が少なくなり、処理時間の短縮が図られる。
【0048】
それからロボットコントローラ13がロボットアームを動作させて、チャック8が下降しピン9を挿入孔10aに上方から挿入する(ステップS3:作業開始)。このとき、製品10の挿入孔10aに対してピン9の位置が概ね合致していれば、図5(b)に模式的に示すようにピン9は挿入孔10aにスムーズに挿入されてゆく。このため、コンプライアンス装置7にはあまり大きな力は加わらず、その上下ブラケット70,71の間隔D2は前記作業開始前の間隔D1からあまり変化しない。
【0049】
一方、何らかの原因により製品10の挿入孔10aに対するピン9の位置ずれが大きくなった場合、図5(c)に模式的に示すようにピン9は挿入孔10aの開口周縁部に押し当てられて、上向きの反力を受ける。これによりコンプライアンス装置7の下ブラケット70が上方に押圧され、チャック8の下降に連れて上方に変位してゆく。即ち、コンプライアンス装置7の上下ブラケット70,71の間隔D2は作業開始前の間隔D1に比べて、かなり小さくなる。
【0050】
そこで、ロボットコントローラ13は、ロボットアームを所定距離、例えばコンプライアンス装置7に許容される最大圧縮量の半分程度、下降させた後に一旦、停止させる。そして、ロボットコントローラ13から送られる信号を受けたコンピュータ装置12が、前記ステップS2と同じくカメラ11から撮影した画像データを取り込んで画像処理演算を行い、2つのマーカーMの位置を検出して両者の、即ち上下のブラケット70,71の間隔D2を計算する(ステップS4:間隔D2の検出)。なお、ロボットアームを停止させることなく、その動作と並行してリアルタイムでマーカー位置を検出してもよい。
【0051】
その際、前記ステップS2において検出した作業開始直前のマーカーMの位置に基づいて、画像処理演算の範囲を絞り込む。すなわち、ピン9を挿入するロボットアームの動作によってコンプライアンス装置7は下降するので、作業開始後のマーカーMは、作業開始前のマーカーMの下方の上下に長い領域内に表れると考えられる。そこで、この領域内に画像処理演算の範囲を絞り、処理時間の短縮を図る。
【0052】
そうして求めた作業開始後の上下ブラケット70,71の間隔D2と、作業開始直前の間隔D1との比率D2/D1を計算し(ステップS5)、この比率D2/D1が予め設定した閾値Rよりも大きいかどうか判別する(ステップS6)。閾値Rは、例えば作業開始前後の間隔の差D1−D2が1.0mmくらいになるように設定すればよく、これよりも比率D2/D1が大きい(即ち差D1−D2の絶対値が小さい)ということは、コンプライアンス装置7があまり圧縮されておらず、ピン9はスムーズに挿入されていると判定できる。
【0053】
なお、そのように作業開始前後の間隔の比率D2/D1に基づいて作業の状況を判定するのではなく、作業開始前後の間隔の差D1−D2に基づいて作業の状況を判定するようにしてもよい。しかしながら前記のように画像処理によって検出した上下ブラケット70,71の間隔D1,D2は、作業の行われる場所とカメラ11の設置場所との距離に依って変化し、それらの差D1−D2の大きさも変化してしまうので、閾値Rと比較するのであれば比率に基づいて判定する方が好ましいと言える。比率の具体的な取り方としては、例えばD1/D2としてもよいし、(D2−D1)/D1としてもよいし、更に別の形式であってもよいことは言うまでもない。
【0054】
そして、前記ステップS6でYESと判定すれば、挿入作業は順調に進行しており、これを継続すればよいので、コンピュータ装置12からの信号を受けたロボットコントローラ13が所定の作業ルーチンを最後まで実行して(ステップS7)、制御を終了する(エンド)。よって、ロボットアームは更に所定量、下降した後にチャック8を開いて、ピン9を離してから上方へと退避する。
【0055】
一方、前記のステップS5において計算した比率D2/D1が閾値R以下であれば(ステップS6でNO)、コンプライアンス装置7は或る程度以上、大きな抵抗力を受けて圧縮されており、ピン9を挿入孔10aに挿入するのは難しいと考えられる。よって、コンピュータ装置12からの信号を受けたロボットコントローラ13は、作業ルーチンを中断してチャック8を引き上げ(ステップS8)、再試行の準備をしてステップS1に戻るか、或いは作業を停止して異常を報知する。
【0056】
つまり、この例ではピン9等の寸法ないし組付け誤差、又はバリ等の異物の影響によってその挿入に対し所定以上の抵抗力が加わっていれば、作業が良好に行われていないと判定する一方、摩擦等による多少の抵抗はあっても挿入が可能であれば、作業は良好に行われていると判定する。言い換えると、コンプライアンス装置7のブラケット70,71の間隔から、ピン9の挿入に対する抵抗力の大きさを求めて、作業の良否を判定している。
【0057】
また、その判定には、作業の開始前のコンプライアンス装置7における上下ブラケット70,71の間隔D1を基準とし、これに対する作業開始後の間隔D2の比率D2/D1を用いている。このことで、ロボット1とカメラ11との距離が遠くても近くても、その影響を受けることなく上下ブラケット70,71の間隔を正確に検出し、作業の良否を正確に判定することができる。
【0058】
次に、ネジ締め作業の場合について図6を参照して説明する。これは、ロボット1のチャック8に把持したボルト15を、製品16のネジ孔16aに螺入させるものである。この場合は前記した図4のフローのステップS1において、チャック8に把持したボルト15の下端を製品16のネジ孔16aの開口に押し当てる(作業場所へ移動)。このときボルト15の受ける上向きの力によって、コンプライアンス装置7の下ブラケット70が上方に押圧され、図6(a)のように上方に変位する。
【0059】
このようにネジ締め作業の場合は作業の開始直前の状態でコイルばね73が圧縮されて上下のブラケット70,71の間隔が小さくなっており、この状態で基準となるマーカー間隔D1を検出する(ステップS2)。すなわち、前記したピン9の挿入作業と同じく、ロボットコントローラ13からの信号を受けたコンピュータ装置12がカメラ11から画像データを取り込んで画像処理演算を行い、2つのマーカーMの間隔D1を計算する。
【0060】
続いてネジ締め作業が開始され、ロボットアームの位置は変えずにその手首部6の電動モータによりコンプライアンス装置7及びチャック8が回転すると、ボルト15はその回転に連れてネジ孔16aに螺入されてゆく(ステップS3)。このときボルト15は、コンプライアンス装置7からの押圧力を受けて下方に押し出され、1回転毎にネジピッチ分だけ下降してゆくので、ボルト15の回転に同期してチャック8が下降するようにロボットアームを正確に動作させる高度な動作制御は不要である。
【0061】
そうしてボルト15を所定回数、回転させた後に一旦、停止させて、コンピュータ装置12は前記ステップS2と同様に2つのマーカーMの間隔、即ち上下のブラケット70,71の間隔D2を検出する(ステップS4)。それから作業開始前後における間隔の比率D2/D1を計算して(ステップS5)、予め設定してある閾値Rよりも大きいかどうか判別する(ステップS6)。
【0062】
なお、このネジ締め作業の場合も前記した挿入作業と同じく、作業開始前後における間隔の比率D2/D1ではなく、例えばD1/D2、(D2−D1)/D1のような別な形式の比率を用いてもよいし、その間隔の差に基づいて作業の状況を判定するようにしてもよい。この場合の間隔はD2の方が大きくなるので、間隔の差としてはD2−D1を用いればよいが、D1−D2の絶対値を用いてもよい。
【0063】
また、例えば作業箇所毎にボルトの押し当て力を異ならせる場合等、作業箇所によって間隔D1が変動する場合がある。このような場合には、前記したピン9の挿入作業と同様に、ボルト15の下端を製品16のネジ孔16aの開口に押し当てる前のマーカー間隔を検出して、これを間隔D1の代わりに基準値として用いてもよい。
【0064】
前記の閾値Rは、例えばネジピッチに所望の回転回数を掛けた値を基準として、より具体的にはネジピッチ1mm×2回転=2mmを基準として、作業開始前後の間隔の差D2−D1が2mmくらいになるように設定すればよく、これよりも比率D2/D1が大きければ(ステップS6でYES)、ボルト15のネジ孔16aへの螺入に連れて、図6(b)に模式的に示すようにコンプライアンス装置7における上下ブラケット70,71の間隔D2が広がっていると考えられる。よって、ステップS6でYESと判定すれば作業ルーチンを最後まで実行し(ステップS7)、ボルト15を更にねじ込んだ後にチャック8を開いて、ボルト15を離してからロボットアームが上方へと退避して、作業終了となる(エンド)。
【0065】
一方、前記のステップS5において計算した比率D2/D1が閾値R以下であれば(ステップS6でNO)、図6(c)に模式的に示すようにコンプライアンス装置7は作業開始前と同じように圧縮されたままであり、ボルト15は空回りしていて、十分にねじ込まれてはいないと判定される。よって、作業ルーチンを中断してチャック8を引き上げ(ステップS8)、再試行の準備をしてステップS1に戻るか、或いは作業を停止して異常を報知する。
【0066】
つまり、ネジ締め作業の場合はその開始直前にコンプライアンス装置7が圧縮されている状態を基準として、作業の進行に伴い徐々に圧縮から開放されるコンプライアンス装置7の上下ブラケット70,71の間隔の変化に基づいて、作業の良否判定を行うものである。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る作業の良否判定システムによると、ピン9やボルト15等のワークを把持するロボットアームのチャック8と手首部6との間にコンプライアンス装置7が介設されており、作業の際に受ける力によって圧縮されるようになっている。そして、そのコンプライアンス装置7のブラケット70,71に夫々設けたマーカーMをカメラ11で撮影し、画像処理によって検出したブラケット70,71同士の間隔Dの変化に基づいて、作業の良否判定を行うことができる。
【0068】
そのため、ロボット1の手先のチャック8や手首部6の近傍に変位センサやトルクセンサ等を配設する必要がなくなり、その大型化やケーブル数の増加を抑制できるとともに、作業の際に受ける振動、衝撃等によってセンサが故障する心配もなくなる。
【0069】
−その他の実施形態−
上述した実施形態の説明は例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することはない。例えば、前記の実施形態においてコンプライアンス装置7のブラケット70,71は三角形状であり、その外周の3つの面に夫々円形のマーカーMを設けているが、マーカーMはいずれか1つ或いは2つの面に設けてもよく、その形状も円形に限るものではない。
【0070】
但し、ブラケット70,71の夫々に複数のマーカーMを設けているので、前記の実施形態ではカメラ11の視野範囲内の2箇所以上でロボット1が作業を行う場合に、夫々の作業場所に対応してカメラ11の正面にマーカーMが位置するように設定する上で有利である。
【0071】
また、上述したネジ締め作業のようにボルト15を回転させる場合には、これを把持するチャック8と共にコンプライアンス装置7も回転するので、図7に一例を示すように、コンプライアンス装置7のブラケット170,171の形状を、電動モータの回転軸線f(ワークの回転中心線)に直交する円盤状として、その外周の略全周にマーカーMを設けてもよい。
【0072】
こうすれば、ボルト15のネジ締め作業に伴いコンプライアンス装置7が回転しても、ブラケット170,171の外周のマーカーMは常にカメラ11の視野内にあり、且つそのマーカーMとカメラ11との距離が変化しないので、作業中に任意のタイミングで、或いは作業中に連続して、つまりリアルタイムでマーカー位置を検出し、作業の良否を判定することができる。なお、ピン9の挿入作業の場合は前記実施形態のようなマーカーMであってもリアルタイムでマーカー位置を検出し、作業の良否判定を行える。
【0073】
更に、前記実施形態のコンプライアンス装置7では、3本のガイドシャフト72に夫々コイルばね73を外挿して、上下のブラケット70,71間に付勢力を付加するようにしているが、これに限るものではない。コイルばね73に代えて上下のブラケット70,71の間に、それらの丸穴71a,70aと同心状に大きなコイルばねを介在させてもよいし、板ばねを介在させてもよい。また、ゴム弾性体を介在させてもよい。それらの弾性体に限らず例えば粘性ダンパや摩擦ダンパのような減衰手段を設けてもよい。ガイドシャフト72の本数は1本若しくは2本としてもよいが、上下のブラケット70、71同士の不要な傾斜を抑えるという観点からは3本以上とするのが好ましい。
【0074】
また、前記の実施形態では、コンプライアンス装置7の上下ブラケット70,71の間隔を検出するためにカメラ11及びコンピュータ装置12を1台ずつ使用しているが、処理時間を短縮するためには、カメラ11及びコンピュータ装置12の少なくとも一方を2台以上、設けて撮影(画像の取得)と画像処理演算とを少なくとも一部分が同時に進行するよう並行して行うようにしてもよい。
【0075】
また、カメラ11やコンピュータ装置12を用いるのではなく、例えばレーザ変位計、レーザ測量器のような非接触式の位置検出装置を用いて、コンプライアンス装置7の上下ブラケット70,71の間隔を検出するようにしてもよい。
【0076】
更にまた、本発明に係る良否判定装置は、前記実施形態のようにロボット1によって行う作業に限定されず、それ以外の種々の自動組立機械、加工装置等の機械装置によって行う作業に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上の如く、本発明に係る作業の良否判定システムによると、ロボットや自動組立機械等においてワーク保持部の近傍にセンサを設けることによる大型化やケーブル数の増加を回避できるとともに、そのセンサ等の故障も防止できるから、例えば組立ロボットに用いて非常に有益である。
【符号の説明】
【0078】
1 ロボット(機械装置)
6 アームの手首部(支持部)
7 コンプライアンス装置(可動部)
70 下ブラケット(保持部側の部材)
71 上ブラケット(支持部側の部材)
72 ガイドシャフト
73 コイルばね(バネ部材)
8 チャック(保持部)
9 ピン(ワーク)
11 カメラ(撮像装置)
12 コンピュータ装置(画像処理装置、良否判定手段)
15 ボルト(ワーク)
M マーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械装置によって行う作業の良否を判定するシステムであって、
前記機械装置におけるワークの保持部と、該保持部を支持する支持部との間には、両者が前記作業の際にワークから受ける力によって相対変位するように可動部が設けられ、
前記保持部及び支持部の双方から離れて、該保持部及び支持部の夫々の位置を検出可能な非接触式の位置検出装置と、
前記作業の際に前記位置検出装置によって検出される前記保持部及び支持部の相対的な位置関係から、当該作業の良否を判定する良否判定手段と、を備えていることを特徴とする作業の良否判定システム。
【請求項2】
前記可動部の保持部側及び支持部側の部材に夫々マーカーが設けられ、
前記位置検出装置は、前記マーカーを撮影可能に配置された撮像装置と、
前記撮像装置によって撮影された画像における前記マーカーの位置を検出する画像処理装置とを備えている、請求項1に記載の作業の良否判定システム。
【請求項3】
前記良否判定手段は、前記作業の開始直前に検出された前記保持部側及び支持部側の部材の夫々のマーカー位置から、該両部材の間隔を求めるとともに、作業の開始後に検出された前記両部材の夫々のマーカー位置から該両部材の間隔を求め、前記作業に伴う両部材の間隔の変化から作業の良否を判定する、請求項2に記載の作業の良否判定システム。
【請求項4】
前記良否判定手段は、前記作業の開始直前に求めた前記保持部側及び支持部側の部材の間隔と、作業の開始後に求めた前記両部材の間隔との比率を、予め設定した閾値と比較して作業の良否を判定する、請求項3に記載の作業の良否判定システム。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記作業の開始直前に検出された前記保持部側及び支持部側の夫々のマーカー位置に基づいて、前記作業の開始後にマーカー位置を検出するための画像処理演算の範囲を絞る、請求項3又は4のいずれかに記載の作業の良否判定システム。
【請求項6】
前記画像処理装置は、前記機械装置の制御データに基づいて、前記マーカー位置を検出するための画像処理演算の範囲を絞る、請求項3〜5のいずれか1つに記載の作業の良否判定システム。
【請求項7】
前記位置検出装置は、撮像装置及び画像処理装置の少なくとも一方を2つ以上備えており、前記マーカーを含む画像の取得と画像処理演算とを少なくとも一部分が同時に進行するよう並行して行う、請求項2〜6のいずれか1つに記載の作業の良否判定システム。
【請求項8】
前記作業にはワークを回転させる動作が含まれており、
前記可動部の保持部側及び支持部側の部材が夫々、前記ワークの回転中心線に直交する円盤状部材であって且つその外周に略全周に亘って前記マーカーが設けられている、請求項2〜7のいずれか1つに記載の作業の良否判定システム。
【請求項9】
前記可動部の保持部側及び支持部側の部材の間に、前記作業の際にワークから受ける力によって弾性変形するように弾性体が介在されている、請求項1〜8のいずれか1つに記載の作業の良否判定システム。
【請求項10】
前記良否判定手段は、前記作業の際に前記位置検出装置によって検出された前記保持部側及び支持部側の部材の間隔から、該両部材間に作用する力の大きさを求めて作業の良否を判定する、請求項9に記載の作業の良否判定システム。
【請求項11】
前記可動部は、前記保持部側及び支持部側の部材の間に設けられ、その一方を貫通して、当該一方の部材を他方の部材に対し近接/離遠するよう移動可能に支持するガイドシャフトを備えており、
前記弾性体は、前記両部材に互いに離遠するような付勢力を付加するバネ部材である、請求項10に記載の作業の良否判定システム。
【請求項12】
機械装置によって行う作業の良否を判定する方法であって、
前記機械装置におけるワークの保持部と、該保持部を支持する支持部との間に、両者が前記作業の際にワークから受ける力によって相対変位するように可動部を設け、
前記作業の際に前記保持部及び支持部の双方から離れた場所で、非接触式の位置検出装置により該保持部及び支持部の相対的な位置関係を検出して、この検出結果から作業の良否を判定することを特徴とする作業の良否判定方法。
【請求項13】
前記可動部の保持部側及び支持部側の部材に夫々マーカーを設け、
前記マーカーを撮影可能に撮像装置を配置するとともに、この撮像装置によって撮影した画像における前記マーカーの位置を画像処理によって検出し、
前記検出したマーカーの位置から、前記作業に伴う前記保持部側及び支持部側の部材の間隔の変化を求めて作業の良否を判定する、請求項12に記載の作業の良否判定方法。
【請求項14】
前記可動部の保持部側及び支持部側の部材の間に、前記作業の際にワークから受ける力によって弾性変形するように弾性体を介在させ、
前記作業の際に検出した前記保持部側及び支持部側の部材の間隔から、両者の間に作用する力の大きさを求めて作業の良否を判定する、請求項12又は13のいずれかに記載の作業の良否判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−139776(P2012−139776A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294002(P2010−294002)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】