説明

作業機械

【課題】捕集手段の再生による燃費の悪化を抑制できる作業機械を提供する。
【解決手段】DPF3の再生処理中に増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電することに優先して、圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧するように構成した。これにより、PM除去のために増加させたエンジン出力を、油圧で各部が駆動される作業機械にとって後に有効に利用しやすい形態で回収できるので、エネルギの回収および回収したエネルギの利用の効率が高く、燃費を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの浄化装置を備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガス中に含まれる粒子状物資をフィルタで捕集する排気ガスの浄化装置が知られている。この浄化装置を搭載した作業機械では、粒子状物資を捕集するフィルタの前後の圧力差が所定値に達すると、フィルタを再生するのに必要な温度まで排気ガス温度が上昇するようにエンジン出力を増加させている。そして、排気ガス温度上昇のために増加させたエンジン出力を圧油のエネルギとしてアキュムレータで蓄圧するように構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−46998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献に記載の作業機械では、フィルタの再生の途中で、排気ガス温度上昇のために増加させたエンジン出力を圧油のエネルギとしてアキュムレータで蓄圧しきれなくなるおそれがある。そのため、フィルタの再生の途中で、アキュムレータでの蓄圧を終了せざるを得ないおそれがある。フィルタの再生を継続するためには、排気ガスの温度を上昇させるために、シリンダ内に通常の燃焼より遅いタイミングで、ポスト噴射と呼ばれる補助噴射を行う必要がある。しかし、ポスト噴射で噴射される燃料は、作業機械が行う作業のためのエネルギとして利用されない。そのため、ポスト噴射が行われると燃費が悪化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による作業機械は、エンジンによって駆動されて圧油を吐出する油圧ポンプと、エンジンによって駆動される発電機と、エンジンの排気ガスの排出経路に設けられて、排気ガスに含まれる捕集対象物を捕集する捕集手段と、捕集手段の再生の要否を判断する再生要否判断手段と、捕集手段の再生が完了したか否かを判断する再生完了判断手段と、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断されると、エンジンの負荷を増加させ、再生完了判断手段で捕集手段の再生が完了したと判断されるとエンジンの負荷の増加を中止する負荷制御手段と、エンジンの出力を油圧ポンプからの圧油のエネルギとして蓄圧する蓄圧手段と、エンジンの出力を発電機で発電された電気エネルギとして蓄電する蓄電手段とを備え、負荷制御手段は、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断されると、エンジンの出力を油圧ポンプからの圧油のエネルギとして蓄圧手段で蓄圧することでエンジンの負荷を増加させ、蓄圧手段での蓄圧の上限まで蓄圧した後、エンジンの出力を発電機で発電された電気エネルギとして蓄電手段で蓄電することでエンジンの負荷を増加させるように蓄圧手段および蓄電手段を制御することを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の作業機械において、オペレータによる捕集手段の再生の指示入力を受け付ける再生指示入力手段をさらに備え、再生要否判断手段は、再生指示入力手段で捕集手段の再生の指示入力を受け付けると、捕集手段の再生の必要があると判断することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1に記載の作業機械において、捕集手段の再生が行われた後の作業機械の累積稼働時間が所定の時間を経過したか否かを判断する累積稼働時間判断手段をさらに備え、再生要否判断手段は、累積稼働時間判断手段で累積稼働時間が所定の時間を経過したと判断されると、捕集手段の再生の必要があると判断することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1に記載の作業機械において、排出経路中の捕集手段前後の排気ガスの圧力差を検出する排ガス通過抵抗検出手段をさらに備え、再生要否判断手段は、排ガス通過抵抗検出手段で検出した排気ガスの差圧が所定の差圧以上である場合には、捕集手段の再生の必要があると判断することを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業機械において、排出経路中の捕集手段前後の排気ガスの圧力差を検出する排ガス通過抵抗検出手段をさらに備え、再生完了判断手段は、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断された後、排ガス通過抵抗検出手段で検出した排気ガスの差圧が捕集手段の再生の完了を判定する所定の差圧以下である場合には、捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする。
(6) 請求項6の発明は、請求項4に記載の作業機械において、再生完了判断手段は、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断された後、排ガス通過抵抗検出手段で検出した排気ガスの差圧が捕集手段の再生の完了を判定する所定の差圧以下である場合には、捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の作業機械において、所定時間以上負荷制御手段がエンジンの負荷を増加させているか否かを判断するエンジン負荷増加時間判断手段をさらに備え、再生完了判断手段は、エンジン負荷増加時間判断手段で所定時間以上負荷制御手段がエンジンの負荷を増加させていると判断されると、捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする。
(8) 請求項8の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業機械において、排出経路中の捕集手段前後の排気ガスの圧力差を検出する排ガス通過抵抗検出手段と、所定時間以上負荷制御手段がエンジンの負荷を増加させているか否かを判断するエンジン負荷増加時間判断手段をさらに備え、再生完了判断手段は、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断された後、排ガス通過抵抗検出手段で検出した排気ガスの差圧が捕集手段の再生の完了を判定する所定の差圧以下であり、かつ、エンジン負荷増加時間判断手段で所定時間以上負荷制御手段がエンジンの負荷を増加させていると判断されると、捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする。
(9) 請求項9の発明は、請求項4に記載の作業機械において、所定時間以上負荷制御手段がエンジンの負荷を増加させているか否かを判断するエンジン負荷増加時間判断手段をさらに備え、再生完了判断手段は、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断された後、排ガス通過抵抗検出手段で検出した排気ガスの差圧が捕集手段の再生の完了を判定する所定の差圧以下であり、かつ、エンジン負荷増加時間判断手段で所定時間以上負荷制御手段がエンジンの負荷を増加させていると判断されると、捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする。
(10) 請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の作業機械において、蓄圧手段の圧力を検出する圧力検出手段をさらに備え、負荷制御手段は、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断された後、再生完了判断手段で捕集手段の再生が完了したと判断されるまでの間で、(1)圧力検出手段で検出される蓄圧手段の圧力が上限値以下である場合にはエンジンの出力を油圧ポンプからの圧油のエネルギとして蓄圧手段で蓄圧することでエンジンの負荷を増加させ、(2)圧力検出手段で検出される蓄圧手段の圧力が上限値を超えている場合にはエンジンの出力を発電機で発電された電気エネルギとして蓄電手段で蓄電することでエンジンの負荷を増加させるように蓄圧手段および蓄電手段を制御することを特徴とする。
(11) 請求項11の発明は、請求項10に記載の作業機械において、蓄電手段の電圧を検出する電圧検出手段と、エンジンへの燃料のポスト噴射を行うポスト噴射手段とをさらに備え、負荷制御手段は、(1)電圧検出手段で検出される蓄電手段の電圧が上限電圧以下であればエンジンの出力を発電機で発電された電気エネルギとして蓄電手段で蓄電することでエンジンの負荷を増加させるように蓄電手段を制御し、(2)電圧検出手段で検出される蓄電手段の電圧が上限電を超えていれば蓄電手段での蓄電を停止するように蓄電手段を制御し、ポスト噴射手段は、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断された後、再生完了判断手段で捕集手段の再生が完了したと判断されるまでの間で、電圧検出手段で検出される蓄電手段の電圧が上限電を超えているために負荷制御手段が蓄電手段での蓄電を停止させた場合には、エンジンへの燃料のポスト噴射を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、捕集手段の再生による燃費の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】作業機械の一例としての油圧ショベルの外観を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の油圧ショベル100の油圧回路を示す図である。
【図3】第1の実施の形態のDPF3の再生処理に関する動作についての処理内容を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態の油圧ショベル100の油圧回路を示す図である。
【図5】第2の実施の形態のDPF3の再生処理に関する動作についての処理内容を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態の油圧ショベル100の油圧回路を示す図である。
【図7】第3の実施の形態のDPF3の再生処理に関する動作についての処理内容を示すフローチャートである。
【図8】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−−−第1の実施の形態−−−
図1〜3を参照して、本発明による作業機械の第1の実施の形態を説明する。図1は本発明による作業機械の一例としての油圧ショベルの外観を示す図である。この油圧ショベル100は、無限軌道式の下部走行体101上に、旋回輪110を介して上部旋回体102が旋回自由に装架されている。上部旋回体102は、構造体をなす旋回フレーム103、旋回フレーム103の前部左側には運転室104が、旋回フレーム103の前部中央にはフロント作業腕105が、旋回フレーム103の後部側には、フロント作業腕105とのバランスをとるためのカウンタウエイト106が設置されている。
【0009】
旋回フレーム103上の運転室104とカウンタウエイト106との間には、機械室を画成した建屋カバー107が設置されている。機械室にはエンジン1や、エンジン1によって駆動される油圧ポンプ(メインポンプ)6などが設置されている。
【0010】
フロント作業腕105は、ブームシリンダ114により上下方向に揺動自在に上部旋回体102に取り付けられたブーム113と、ブーム113に連結されてアームシリンダ116により上下方向に揺動自在に取り付けられたアーム115と、アーム115の先端部分に連結されてバケットシリンダ118により上下方向に回動自在に取り付けられた作業具(バケット)117とを有する。
【0011】
図2は、油圧ショベル100の油圧回路を示す図である。なお、図2では、ブームシリンダ114以外の各シリンダ116,118、および、各シリンダ116,118のコントロール弁や操作レバーの記載を省略している。この油圧回路には、メインポンプ6と、コントロール弁9と、メインリリーフ弁12と、作動油タンク8と、動力吸収装置200とが設けられている。また、この油圧回路には、コントロール弁9を制御するための不図示のパイロットポンプ、および、操作レバー10と、動力吸収装置200を制御する制御回路23とが設けられている。
【0012】
メインポンプ6を駆動するエンジン1に対して、排気管2と、Diesel Particulate Filter(以下DPF)3とが直列に接続されている。DPF3は、エンジン1の排気ガス中に含まれる捕集対象物である、粒子状物質(PM)を捕集する排ガス浄化装置である。DPF3には、排気ガスの温度が上昇すると捕集されたPMを燃焼させてDPF3から除去するように自己再生機能が備えられている。DPF3は、酸化触媒3aと、フィルタ部3bを有している。DPF3には、フィルタ部3bの前後の差圧を検出する排気圧センサ4と、フィルタ部3bへ流入する排気ガスの温度を検出する排気温度センサ5とが設けられている。エンジン回転数センサ7は、エンジン1の回転速度(回転数)を検出するセンサである。
【0013】
メインポンプ6は油圧ショベル100の各アクチュエータに圧油を供給する可変容量型のポンプであり、エンジン1により駆動されると作動油タンク8の作動油をコントロール弁9を介してブームシリンダ114に供給する。メインポンプ6から供給される圧油は、不図示の各コントロール弁を介してアームシリンダ116、バケットシリンダ118などにも供給される。メインリリーフ弁12は、この油圧回路の最高圧力を規定する。コントロール弁9は、ブームシリンダ114のボトム室またはロッド室への圧油の流れを制御する油圧パイロット式のコントロール弁であり、操作レバー10の操作量に応じたパイロット圧油の圧力によってスプールの位置が制御される。操作レバー10によって制御される、コントロール弁9に供給されるパイロット圧油の圧力は、圧力センサ13,14によって検出される。
【0014】
動力吸収装置200には、蓄圧弁15と、アキュムレータ18と、圧力センサ19と、アシスト弁20と、油圧モータ21と、発電機/電動機24と、インバータ/コンバータ25と、バッテリ26と、バッテリ電圧センサ27とが設けられている。蓄圧弁15は、油路41の途中に設けられた切替弁である。なお、油路41は、メインポンプ6から吐出されてコントロール弁9を通過した作動油が作動油タンク8へ戻るための油路である。油路41のうち、蓄圧弁15の上流の油路を油路41aとし、蓄圧弁15の下流の油路を油路41bとする。蓄圧弁15は、制御回路23からの制御信号によってメインポンプ6からの圧油をアキュムレータ18に供給するか、作動油タンク8へ戻すかを制御する。すなわち、蓄圧弁15は、制御回路23からの制御信号によって油路41aを後述するアキュムレータ18が接続されている油路43と接続するか、油路41bと接続するかを制御する。
【0015】
アキュムレータ18は、メインポンプ6からの圧油を蓄圧する蓄圧手段であり、油路43を介して蓄圧弁15と接続されている。油路43には、アキュムレータ18で蓄圧された圧油の逆流を防止する逆止弁17が配設されている。圧力センサ19は、アキュムレータ18に蓄圧される圧油の圧力を検出するための圧力センサである。
【0016】
アシスト弁20は、アキュムレータ18と後述する油圧モータ21とを接続する油路44に設けられた切替弁である。アシスト弁20は、制御回路23からの制御信号によってアキュムレータ18に蓄積された圧油を油圧モータ21に供給するか否かを切り替える。油路44のうち、アシスト弁20の上流の油路を油路44aとし、アシスト弁20の下流の油路を油路44bとする。
【0017】
油圧モータ21は、固定容量型の油圧モータであり、その出力軸がメインポンプ6の入力軸と直結されている。なお、油圧モータ21は、可変容量型の油圧モータであってもよい。油圧モータ21は、後述するように、アキュムレータ18に蓄圧された圧油によって駆動される。22は、メークアップ弁であり、アシスト弁20が閉じているときに油圧モータ21に作動油タンク8の作動油を供給する。
【0018】
発電機/電動機24は、交流発電機としても機能し、交流電動機としても機能する。入力軸でもあり出力軸でもある発電機/電動機24の回転軸は、メインポンプ6の入力軸と直結されている。発電機/電動機24は、インバータ/コンバータ25に接続されている。
【0019】
インバータ/コンバータ25は、発電機/電動機24で発電された交流電力を所定電圧の直流電力に変換してバッテリ26に供給する。また、インバータ/コンバータ25は、バッテリ26に蓄電された直流電力を所定電圧、所定周波数の交流電力に変換して発電機/電動機24に供給する。インバータ/コンバータ25は、制御回路23によって制御される。バッテリ26は、たとえば鉛蓄電池や、リチウムイオンバッテリのように、直流電力を蓄電する2次電池であるが、電気二重層コンデンサなどであってもよい。バッテリ電圧センサ27は、バッテリ26の電圧を検出するセンサである。
【0020】
制御回路23は、蓄圧弁15、アシスト弁20およびインバータ/コンバータ25などを制御する制御装置であり、圧力センサ13,14,19と、排気圧センサ4と、排気温度センサ5と、エンジン回転数センサ7と、バッテリ電圧センサ27とが接続されている。また、制御回路23は、エンジン1を制御するエンジン制御回路1aと接続されて、エンジン1についての情報を授受する。制御回路23による蓄圧弁15、アシスト弁20およびインバータ/コンバータ25の制御については後に詳述する。
【0021】
このように構成される油圧ショベル100では、各操作レバーが操作されると各油圧シリンダに対応する各コントロール弁のスプールが駆動され、各操作レバーの操作量に応じた速度で各油圧シリンダが駆動される。たとえば、ブームシリンダ114は、操作レバー10が操作されると、不図示のパイロットポンプからのパイロット圧油が操作レバー10の操作量に応じた圧力でコントロール弁9のスプールを駆動させる。その結果、ブームシリンダ114が操作レバー10の操作量に応じた速度で駆動される。
【0022】
ブームシリンダ114のボトム側油室に圧油が供給されると、ブーム113は上部旋回体102に対して上方向に揺動駆動され、ロッド側油室14bに圧油が供給されると、ブーム113は上部旋回体102に対して下方向に揺動駆動される。アームシリンダ116の図示しないボトム側油室に圧油が供給されると、アーム115はブーム113に対して下方向に揺動駆動され、図示しないロッド側油室に圧油が供給されると、アーム115はブーム113に対して上方向に揺動駆動される。
【0023】
バケットシリンダ118のボトム側油室に圧油が供給されると、バケット117はアーム115に対して下方向に揺動駆動され、ロッド側油室に圧油が供給されると、バケット117はアーム115に対して上方向に揺動駆動される。
【0024】
−−−DPF3の再生処理と動力吸収装置200による動力の回収について−−−
後述するようなDPF3の再生処理が行われていない場合には、動力吸収装置200では、蓄圧弁15は、油路41aと油路41bとを連通し、油路41aと油路43とを遮断する。したがって、メインポンプ6から吐出されてコントロール弁9を通過した作動油は、油路41a,41bを介して作動油タンク8へ戻る。アシスト弁20は、油路44aと油路44bとを遮断している。また、発電機/電動機24は発電していない。エンジン1が起動されると、排気ガスが排気管2およびDPF3を経由して外界(大気中)に排出される。排気ガスに含まれるPMは、DPF3で捕集される。
【0025】
排気ガスの温度が高い状態であれば、DPF3に捕集されたPMは、DPF3の自己再生機能によって燃焼されるのでDPF3がPMで目詰まりすることはない。しかし、排気ガスの温度が低い状態が継続すると、DPF3に捕集されたPMが燃焼されないので、DPF3はPMで次第に目詰まりする。
【0026】
そこで、本実施の形態の油圧ショベル100では、排気圧センサ4で検出したDPF3の前後差圧△Pfに基づいて、DPF3の目詰まりを検出する。そして、前後差圧△Pfが、エンジン回転数に対応してあらかじめ設定されている差圧上限値△Pfhを超え、かつ、排気温度センサ5で検出した排気ガスの温度Tfが所定温度Tfl未満であれば、制御回路23が次のように各部を制御することで、以下に述べるDPF3の再生処理を行う。なお、排気温度センサ5で検出した排気ガスの温度Tfが所定温度Tfl以上であれば、DPF3に捕集されたPMがDPF3の自己再生機能によって燃焼されるので、次に述べるDPF3の再生処理を行う必要がない。すなわち、前後差圧△Pfが差圧上限値△Pfhを超え、かつ、排気ガスの温度Tfが所定温度Tfl未満であることが、第1の実施の形態における、DPF3の再生処理の開始条件である。
【0027】
制御回路23は、排気圧センサ4で検出したDPF3の前後差圧△Pfと、エンジン回転数センサ7で検出したエンジン1の回転速度Nengとを読み込む。そして、制御回路23は、DPF3の前後差圧△Pfが、エンジン回転数Nengに対応してあらかじめ設定されている差圧上限値△Pfhを超え、かつ、排気温度センサ5で検出した排気ガスの温度Tfが所定温度Tfl未満であると判断すると、油路41aと油路43とを連通するように蓄圧弁15を制御する。これにより、メインポンプ6の圧油が、コントロール弁9を介してアキュムレータ18に供給されることになり、アキュムレータ18での蓄圧が開始される。
【0028】
なお、アキュムレータ18での蓄圧開始前に、圧力センサ19で検出されるアキュムレータ18の圧力Pacが蓄圧上限値Pachを超えていれば、制御回路23は、油路41aと油路41bとを連通するように蓄圧弁15を制御する。そして、制御回路23は、後述するように、発電機/電動機24で発電を開始するように各部を制御する。ここで、蓄圧上限値Pachは、アキュムレータ18へのエネルギの蓄積量をできるだけ多くするために、たとえば、アキュムレータ18の耐久性を損なわない範囲で最も高い圧力に設定されることが望ましい。
【0029】
コントロール弁9および蓄圧弁15を介して作動油タンク8に戻っていたメインポンプ6の圧油が、上述したように蓄圧弁15が切り替えられることでアキュムレータ18に供給されるようになると、メインポンプ6の駆動負荷が増加する。そのため、エンジン制御回路1aは、増加した駆動負荷に見合うだけのエンジントルクを増大させるように、エンジン1を制御する。すなわち、エンジン制御回路1aは、エンジン1に対する燃料噴射量を増量して、エンジン1の回転数を一定に保ったまま、出力トルクを増加させるようにエンジン1を制御する。
【0030】
エンジン1の回転数が一定であっても、出力トルクが増加すれば排気ガスの温度Tfが上昇する。そのため、DPF3の自己再生機能によって、DPF3に捕集されたPMの燃焼が促進されるので、DPF3の目詰まりが解消する。エンジン出力の増加分のエネルギは、アキュムレータ18に圧油のエネルギとして蓄積される。すなわち、排気ガスの温度Tfを上昇させるために余分に出力されたエンジン1の動力は、動力吸収装置200によって回収されることになる。
【0031】
アキュムレータ18の容量には限度があるので、圧力センサ19で検出されるアキュムレータ18の圧力Pacが蓄圧上限値Pachを超えると、制御回路23は、油路41aと油路41bとを連通するように蓄圧弁15を制御する。これにより、メインポンプ6から吐出される圧油がコントロール弁9および蓄圧弁15を介して作動油タンク8に戻るようになり、増加していたメインポンプ6の駆動負荷が減少する。そのため、このままでは、エンジントルクが減少して、排気ガスの温度Tfが下がる。
【0032】
そこで、本実施の形態では、バッテリ電圧センサ27で検出されるバッテリ26の電圧Vbが所定電圧Vbh以下であれば、発電機/電動機24での発電(バッテリ26での蓄電)を開始することで、エンジン1の負荷を増加させ、上述したように排気ガスの温度Tfを上昇させる。具体的には、制御回路23は、バッテリ電圧センサ27で検出されるバッテリ26の電圧Vbが所定電圧Vbh以下であることを条件として、発電機/電動機24で発電された電力をバッテリ26に供給するようインバータ/コンバータ25を制御する。エンジン出力の増加分のエネルギは、バッテリ26に電気エネルギとして蓄積される。すなわち、排気ガスの温度Tfを上昇させるために余分に出力されたエンジン1の動力は、動力吸収装置200によって回収されることになる。
【0033】
なお、発電機/電動機24での発電開始前に、バッテリ電圧センサ27で検出されるバッテリ26の電圧Vbが所定電圧Vbhを超えていた場合には、上述した発電機/電動機24での発電は行わず、後述するポスト噴射を行うように制御回路23は各部を制御する。
【0034】
上述したように、発電機/電動機24で発電された電力をバッテリ26に供給した結果、バッテリ電圧センサ27で検出されるバッテリ26の電圧Vbが所定電圧Vbhを超えると、バッテリ26を過充電から保護するため、制御回路23は、発電機/電動機24で発電された電力のバッテリ26への供給を停止するようインバータ/コンバータ25を制御することで、発電機/電動機24での発電を終了させる。これにより、エンジン1の負荷が減少するので、エンジントルクが減少して、排気ガスの温度Tfが下がる。
【0035】
そこで、本実施の形態では、ポスト噴射を行うことで排気ガスの温度Tfを上昇させる。具体的には、制御回路23は、ポスト噴射を行うようにエンジン制御回路1aに制御信号を出力する。エンジン制御回路1aは、エンジン1の膨張行程で燃料を噴射するようにエンジン1を制御する。
【0036】
上述したように排気ガスの温度Tfを上昇させると、DPF3に捕集されたPMの燃焼が促進されてDPF3の目詰まりが解消し、DPF3の前後差圧△Pfが低下する。そこで、DPF3の前後差圧△Pfが、エンジン回転数に対応してあらかじめ設定されている差圧下限値△Pfl以下となると、制御回路23は、DPF3の再生処理を終了する。
【0037】
すなわち、アキュムレータ18に圧油を供給している場合には、制御回路23は、DPF3の前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl以下となると、油路41aと油路41bとを連通するように蓄圧弁15を制御する。発電機/電動機24で発電された電力をバッテリ26に供給している場合には、制御回路23は、DPF3の前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl以下となると、発電機/電動機24で発電された電力のバッテリ26への供給を停止するようインバータ/コンバータ25を制御する。これにより、エンジン1の負荷が減少するので、エンジン制御回路1aは、増量していたエンジン1に対する燃料噴射量を減少させる。
【0038】
ポスト噴射が行われている場合には、制御回路23は、DPF3の前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl以下となると、ポスト噴射を終了するようにエンジン制御回路1aに制御信号を出力する。これにより、エンジン制御回路1aは、エンジン1の膨張行程での燃料噴射を中止する。
【0039】
このように、本実施の形態では、DPF3の再生処理中に増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電することに優先して、圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧するように構成している。これは、PM除去のために増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電する場合よりも、圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧するほうが効率が良いからである。すなわち、PM除去のために増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電する場合には、エンジン出力を発電機/電動機24で一旦電気エネルギ(交流電力)に変換する必要がある。そして、発電機/電動機24で発電された交流電力を、バッテリ26で蓄電するためにインバータ/コンバータ25で直流電力に変換する必要がある。また、バッテリ26に蓄電された電気エネルギを発電機/電動機24でメインポンプ6の駆動を補助する運動エネルギに変換するためには、バッテリ26で蓄電されている直流電力をインバータ/コンバータ25で発電機/電動機24を駆動する交流電力に変換する必要がある。そのため、PM除去のために増加させたエンジン出力を圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧する場合と比べてエネルギの変換ロスが増える。
【0040】
したがって、本実施の形態のように、DPF3の再生処理中に増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電することに優先して、圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧するように構成することで、上述したようなエネルギの変換ロスを抑制して燃費を向上できる。
【0041】
−−−動力吸収装置200によって回収された動力の利用について−−−
上述したようにアキュムレータ18に蓄積された圧油は、油圧モータ21の駆動に利用される。具体的には、制御回路23は、圧力センサ19で検出したアキュムレータ18の圧力Pacが所定圧力P1以上であり、かつ、上述したDPF3の再生処理が行われていないと判断すると、圧力センサ13,14の圧力から操作レバー10の操作量を算出する。そして制御回路23は、算出した操作レバー10が所定の操作量以上であると判断すると、算出した操作量に応じて、油圧モータ21の傾転量を調整するとともに、油路44aと油路44bとを連通するようにアシスト弁20を制御する。
【0042】
その結果、アキュムレータ18に蓄積されていた圧油が油圧モータ21を駆動する。上述したように油圧モータ21の出力軸がメインポンプ6の入力軸と直結されているので、油圧モータ21はエンジン1によるメインポンプ6の駆動を補助することになる。すなわち、動力吸収装置200によって回収された動力がメインポンプ6の駆動力として利用される。なお、油圧モータ21によってメインポンプ6の駆動が補助されると、エンジン1の負荷が少なくなる。これにより、エンジン1の燃料消費を低減できる。
【0043】
メインポンプ6の駆動補助を開始した後、操作レバー10の操作量が少なくなれば、メインポンプ6の駆動を補助する必要性は低くなる。そこで、制御回路23は、圧力センサ13,14の圧力から操作レバー10の操作量を算出して、操作レバー10が所定の操作量未満であると判断すると、油路44aと油路44bとを遮断するようにアシスト弁20を制御する。
【0044】
メインポンプ6の駆動補助を中止した後、操作レバー10の操作量が多くなれば、メインポンプ6の駆動を補助する必要性が高くなる。そこで、制御回路23は、圧力センサ13,14の圧力から操作レバー10の操作量を算出して、操作レバー10が所定の操作量以上であると判断すると、油路44aと油路44bとを遮断するようにアシスト弁20を制御する。
【0045】
なお、制御回路23は、圧力センサ19で検出したアキュムレータ18の圧力Pacが所定圧力P1以下となると、すなわち、アキュムレータ18に蓄積されていた圧油が十分ではなくなると、油路44aと油路44bとを遮断するようにアシスト弁20を制御する。
【0046】
上述したようにバッテリ26に蓄電された電力は、発電機/電動機24の駆動に利用される。具体的には、制御回路23は、バッテリ26の電圧Vbが所定電圧V1以上であり、かつ、上述したDPF3の再生処理が行われていないと判断すると、圧力センサ13,14の圧力から操作レバー10の操作量を算出する。そして制御回路23は、算出した操作レバー10が所定の操作量以上であると判断すると、算出した操作量に応じて発電機/電動機24を駆動するように、インバータ/コンバータ25を制御する。すなわち、制御回路23は、算出した操作量に応じて、発電機/電動機24に印加する電圧や周波数などを変更するようにインバータ/コンバータ25を制御する。
【0047】
その結果、バッテリ26に蓄電されていた電力が発電機/電動機24を駆動する。上述したように、発電機/電動機24の回転軸がメインポンプ6の入力軸と直結されているので、発電機/電動機24はエンジン1によるメインポンプ6の駆動を補助することになる。すなわち、動力吸収装置200によって回収された動力がメインポンプ6の駆動力として利用される。なお、発電機/電動機24によってメインポンプ6の駆動が補助されると、エンジン1の負荷が少なくなる。これにより、エンジン1の燃料消費を低減できる。
【0048】
メインポンプ6の駆動補助を開始した後、操作レバー10の操作量が少なくなれば、メインポンプ6の駆動を補助する必要性は低くなる。そこで、制御回路23は、圧力センサ13,14の圧力から操作レバー10の操作量を算出して、操作レバー10が所定の操作量未満であると判断すると、発電機/電動機24に対するバッテリ26からの電力供給を中止するよう、インバータ/コンバータ25を制御する。
【0049】
メインポンプ6の駆動の補助を中止した後、操作レバー10の操作量が多くなれば、メインポンプ6の駆動を補助する必要性が高くなる。そこで、制御回路23は、圧力センサ13,14の圧力から操作レバー10の操作量を算出して、操作レバー10が所定の操作量以上であると判断すると、上述した発電機/電動機24によるメインポンプ6の駆動の補助を再開する。
【0050】
なお、制御回路23は、バッテリ26の電圧Vbが所定電圧V1以下となると、すなわち、バッテリ26の残量が少なくなると、バッテリ26の過放電を防止するために、発電機/電動機24に対するバッテリ26からの電力供給を中止するよう、インバータ/コンバータ25を制御する。
【0051】
本実施の形態では、アキュムレータ18に蓄積された圧油のエネルギをバッテリ26に蓄電された電力のエネルギに優先して利用するように構成されている。これは、上述したように、PM除去のために増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電する場合よりも、圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧するほうが効率が良いからである。したがって、アキュムレータ18の圧力Pacが所定圧力P1以上であれば、バッテリ26の電圧Vbに関わらず、制御回路23は、アキュムレータ18に蓄積された圧油のエネルギを油圧モータ21の駆動に利用するよう各部を制御する。そして、アキュムレータ18の圧力Pacが低下して所定圧力P1未満となった場合、バッテリ26の電圧Vbが所定電圧V1以上である場合には、制御回路23は、バッテリ26に蓄電された電力のエネルギを油圧モータ21の駆動に利用するよう各部を制御する。
【0052】
−−−フローチャート−−−
図3は、上述したDPF3の再生処理に関する動作についての処理内容を示すフローチャートである。油圧ショベルの不図示のイグニッションスイッチがオンされると、この処理を行うプログラムが起動されて、制御回路23で実行される。ステップS1において、排気圧センサ4で検出したDPF3の前後差圧△Pf、および、エンジン回転数センサ7で検出したエンジン1の回転速度Nengを読み込んでステップS2へ進む。
【0053】
ステップS2において、ステップS1で読み込んだDPF3の前後差圧△Pfが、ステップS1で読み込んだエンジン1の回転速度Nengに対応する差圧上限値△Pfhを超えているか否かを判断する。ステップS2が否定判断されるとステップS1へ戻る。ステップS2が肯定判断されるとステップS3へ進み、排気温度センサ5で検出した排気ガスの温度Tfを読み込んでステップS4へ進む。ステップS4において、ステップS3で読み込んだ排気ガスの温度Tfが所定温度Tfl未満であるか否かを判断する。
【0054】
ステップS4が否定判断されるとステップS1へ戻る。ステップS4が肯定判断されるとステップS5へ進み、排気圧センサ4で検出したDPF3の前後差圧△Pf、および、エンジン回転数センサ7で検出したエンジン1の回転速度Nengを読み込んでステップS6へ進む。ステップS6において、ステップS5で読み込んだDPF3の前後差圧△Pfが、ステップS5で読み込んだエンジン1の回転速度Nengに対応する差圧下限値△Pflを超えているか否かを判断する。ステップS6が肯定判断されるとステップS7へ進み、圧力センサ19で検出されるアキュムレータ18の圧力Pacを読み込んでステップS8へ進む。
【0055】
ステップS8において、ステップS7で読み込んだアキュムレータ18の圧力Pacが蓄圧上限値Pachを超えているか否かを判断する。ステップS8が否定判断されるとステップS14へ進み、油路41aと油路43とを連通するように蓄圧弁15を制御して、すなわち、蓄圧弁15を開くよう制御してステップS5へ戻る。
【0056】
ステップS8が肯定判断されるとステップS9へ進み、油路41aと油路41bとを連通するように蓄圧弁15を制御して、すなわち、蓄圧弁15を閉じるよう制御してステップS10へ進む。ステップS10において、バッテリ電圧センサ27で検出されるバッテリ26の電圧Vbを読み込んでステップS11へ進む。ステップS11において、ステップS10で読み込んだバッテリ26の電圧Vbが所定電圧Vbhを超えているか否かを判断する。
【0057】
ステップS11が否定判断されるとステップS15へ進み、発電機/電動機24で発電された電力をバッテリ26に供給するようインバータ/コンバータ25を制御して、すなわち、発電機を稼働させてステップS5へ戻る。ステップS11が肯定判断されるとステップS12へ進み、発電機/電動機24で発電された電力のバッテリ26への供給を停止するようインバータ/コンバータ25を制御して、すなわち、発電機を停止させてステップS13へ進む。
【0058】
ステップS13において、ポスト噴射を行うようにエンジン制御回路1aに制御信号を出力してステップS5へ戻る。
【0059】
ステップS6が否定判断されるとステップS16へ進み、DPF3の再生処理を終了するよう各部を制御する。すなわち、上述したように、アキュムレータ18に圧油を供給している場合には、油路41aと油路41bとを連通するように蓄圧弁15を制御する。発電機/電動機24で発電された電力をバッテリ26に供給している場合には、発電機/電動機24で発電された電力のバッテリ26への供給を停止するようインバータ/コンバータ25を制御する。ポスト噴射が行われている場合には、ポスト噴射を終了するようにエンジン制御回路1aに制御信号を出力する。DPF3の再生処理を終了するとリターンする。
【0060】
上述した第1の実施の形態の油圧ショベル100では、次の作用効果を奏する。
(1) DPF3の再生処理中に増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電することに優先して、圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧するように構成した。これにより、PM除去のために増加させたエンジン出力を、油圧で各部が駆動される作業機械にとって後に有効に利用しやすい形態で回収できるので、エネルギの回収および回収したエネルギの利用の効率が高く、燃費を向上できる。
【0061】
すなわち、PM除去のために増加させたエンジン出力を圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧することにより、アキュムレータ18で蓄圧された圧油で油圧モータ21を駆動して、メインポンプ6の駆動を補助できる。これに対して、PM除去のために増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電する場合には、上述したように、PM除去のために増加させたエンジン出力を圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧する場合と比べてエネルギの変換ロスが増える。したがって、PM除去のために増加させたエンジン出力を圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧することを優先することにより、上述したようなエネルギの変換ロスを抑制して燃費を向上できる。
【0062】
(2) アキュムレータ18の容積には限度があるため、DPF3の再生処理の途中で、排気ガス温度上昇のために増加させたエンジン出力を圧油のエネルギとしてアキュムレータ18で蓄圧しきれなくなるおそれがある。しかし、アキュムレータ18の圧力Pacが蓄圧上限値Pachを超えると、アキュムレータ18での蓄圧に替えて、PM除去のために増加させたエンジン出力を電気エネルギとしてバッテリ26に蓄電するように構成したので、PM除去のために増加させたエンジン出力を無駄にすることがなく、燃費を向上できる。
【0063】
(3) バッテリ26の電圧Vbが所定電圧Vbhを超えると、バッテリ26での蓄電を終了して、ポスト噴射を行うように構成した。これにより、排気ガスの温度Tfを上昇させ続けることができるので、DPF3を確実に再生できる。
【0064】
(4) DPF3の前後差圧△Pfが差圧上限値△Pfhを超えた際に、エンジン1の出力を増加させて排気温度を上昇させることでDPF3の再生処理を行うように構成した。これにより、DPF3の目詰まりの進行を抑制できる。
【0065】
(5) DPF3の前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl以下となると、DPF3の再生処理を終了するように構成した。換言すると、DPF3の前後差圧△Pfが差圧下限値△Pflを超えていれば、DPF3の再生処理を継続するように構成した。これにより、DPF3を確実に再生できる。
【0066】
(6) PM除去のために増加させたエンジン出力の回収にアキュムレータ18を用いるように構成した。そしてアキュムレータ18で蓄圧した圧油によって油圧モータ21を駆動することで、エンジン1によるメインポンプ6の駆動を補助するように構成した。これにより、DPF3の再生のために増加させたエンジン出力を、圧油を媒体として圧力エネルギとして一時的に蓄積しておいて、後にエネルギ変換を必要とせずに圧油により油圧モータ21を効率よく駆動することができるので、DPF3の再生に伴う燃費の悪化を抑制できる。
【0067】
(7) バッテリ26で蓄電した電力によって発電機/電動機24を駆動することで、エンジン1によるメインポンプ6の駆動を補助するように構成した。これにより、DPF3の再生のために増加させたエンジン出力を電気エネルギとして一時的に貯蔵しておいて、後にメインポンプ6の駆動力として有効利用できるので、DPF3の再生に伴う燃費の悪化を抑制できる。
【0068】
(8) アキュムレータ18に蓄積された圧油のエネルギをバッテリ26に蓄電された電力のエネルギに優先して利用するように構成した。これにより、エネルギ変換に係るロスを抑制できるので、効率的であり、燃料消費量を抑制できる。
【0069】
−−−第2の実施の形態−−−
図4,5を参照して、本発明による作業機械の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、DPF3の再生処理をオペレータの指示に基づいて開始する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0070】
図4は、第2の実施の形態の油圧ショベル100の油圧回路を示す図である。なお、図4では、ブームシリンダ114以外の各シリンダ116,118、および、各シリンダ116,118のコントロール弁や操作レバーの記載を省略している。本実施の形態では、制御回路23に強制再生スイッチ28が接続されている。強制再生スイッチ28は、DPF3の再生処理の開始をオペレータが指示するための操作スイッチであり、たとえば、運転室104内に設けられている。
【0071】
オペレータの操作によって強制再生スイッチ28がオンされると、上述した第1の実施の形態において前後差圧△Pfが差圧上限値△Pfhを超え、かつ、排気ガスの温度Tfが所定温度Tfl未満であった場合と同様に、制御回路23は、DPF3の再生処理を開始する。すなわち、上述した第1の実施の形態では、前後差圧△Pfが差圧上限値△Pfhを超え、かつ、排気ガスの温度Tfが所定温度Tfl未満であることがDPF3の再生処理の開始条件であるが、第2の実施の形態では、強制再生スイッチ28がオンされることがDPF3の再生処理の開始条件である。
【0072】
具体的には、強制再生スイッチ28がオンされると、制御回路23は、油路41aと油路43とを連通するように蓄圧弁15を制御する。これにより、メインポンプ6の圧油が、コントロール弁9を介してアキュムレータ18に供給されることになり、メインポンプ6の駆動負荷が増加する。したがって、上述したように、エンジン1に対する燃料噴射量が増量されて出力トルクが増加し、排気ガスの温度Tfが上昇する。
【0073】
そのため、DPF3の自己再生機能によって、DPF3に捕集されたPMの燃焼が促進されるので、DPF3の目詰まりが解消する。エンジン出力の増加分のエネルギは、アキュムレータ18に圧油のエネルギとして蓄積される。
【0074】
なお、強制再生スイッチ28がオンされても、圧力センサ19で検出されるアキュムレータ18の圧力Pacが蓄圧上限値Pachを超えていれば、制御回路23は、油路41aと油路41bとを連通するように蓄圧弁15を制御する。そして、制御回路23は、後述するように、発電機/電動機24で発電を開始するように各部を制御する。
【0075】
圧力センサ19で検出されるアキュムレータ18の圧力Pacが蓄圧上限値Pachを超えると、制御回路23は、油路41aと油路41bとを連通するように蓄圧弁15を制御する。これにより、メインポンプ6から吐出される圧油がコントロール弁9および蓄圧弁15を介して作動油タンク8に戻るようになり、増加していたメインポンプ6の駆動負荷が減少する。
【0076】
次いで、制御回路23は、発電機/電動機24で発電された電力をバッテリ26に供給するようインバータ/コンバータ25を制御する。これにより、エンジン1の負荷が増加し、排気ガスの温度Tfが上昇したままとなる。エンジン出力の増加分のエネルギは、バッテリ26に電気エネルギとして蓄積される。
【0077】
なお、発電機/電動機24での発電開始前に、バッテリ電圧センサ27で検出されるバッテリ26の電圧Vbが所定電圧Vbhを超えていた場合には、上述した発電機/電動機24での発電は行わず、後述するポスト噴射を行うように制御回路23は各部を制御する。
【0078】
バッテリ電圧センサ27で検出されるバッテリ26の電圧Vbが所定電圧Vbhを超えると、制御回路23は、発電機/電動機24で発電された電力のバッテリ26への供給を停止するようインバータ/コンバータ25を制御することで、発電機/電動機24での発電を終了させる。これにより、エンジン1の負荷が減少する。
【0079】
次いで、制御回路23は、ポスト噴射を行うようにエンジン制御回路1aに制御信号を出力する。これにより、エンジン制御回路1aがポスト噴射するようにエンジン1を制御するので、排気ガスの温度Tfが上昇したままとなる。
【0080】
本実施の形態では、制御回路23は、強制再生スイッチ28がオンされてからあらかじめ設定された時間(設定再生時間tset)の経過後に(すなわち、再生処理の継続時間が設定再生時間tset以上となり)、DPF3の前後差圧△Pfが、エンジン回転数に対応してあらかじめ設定されている差圧下限値△Pfl未満となると、DPF3の再生処理を終了する。設定再生時間tsetは、DPF3の再生処理に必要な時間としてあらかじめ設定された時間であり、たとえば数分から数10分程度に設定されている。なお、設定再生時間tsetが経過しても、前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl以上であれば、制御回路23は、DPF3の再生処理を継続させる。
【0081】
アキュムレータ18に圧油を供給している場合には、制御回路23は、設定再生時間tsetが経過し、かつ、前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl未満であれば、油路41aと油路41bとを連通するように蓄圧弁15を制御する。発電機/電動機24で発電された電力をバッテリ26に供給している場合には、制御回路23は、設定再生時間tsetが経過し、かつ、前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl未満であれば、発電機/電動機24で発電された電力のバッテリ26への供給を停止するようインバータ/コンバータ25を制御する。これにより、エンジン1の負荷が減少するので、エンジン制御回路1aは、増量していたエンジン1に対する燃料噴射量を減少させる。
【0082】
ポスト噴射が行われている場合には、制御回路23は、設定再生時間tsetが経過し、かつ、前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl未満であれば、ポスト噴射を終了するようにエンジン制御回路1aに制御信号を出力する。これにより、エンジン制御回路1aは、ポスト噴射を中止する。
【0083】
−−−フローチャート−−−
図5は、第2の実施の形態のDPF3の再生処理に関する動作についての処理内容を示すフローチャートである。油圧ショベルの不図示のイグニッションスイッチがオンされると、この処理を行うプログラムが起動されて、制御回路23で実行される。ステップS20において、強制再生スイッチ28がオンされるまで待機する。
【0084】
ステップS20が肯定判断されるとステップS21へ進み、タイマーtをリセットした後、スタートしてステップS22へ進む。ステップS22において、ステップS21でスタートしたタイマーtの経過時間が設定再生時間tset未満であるか否かを判断する。ステップS22が肯定判断されるとステップS7へ進む。ステップS7からステップS15までは、上述した第1の実施の形態の図3のフローチャートで示したステップS7からステップS15までと同じである。なお、第2の実施の形態では、ステップS14またはステップS15が実行されるとステップS22へ戻る。
【0085】
ステップS22が否定判断されるとステップS32へ進み、排気圧センサ4で検出したDPF3の前後差圧△Pf、および、エンジン回転数センサ7で検出したエンジン1の回転速度Nengを読み込んでステップS33へ進む。ステップS33において、ステップS32で読み込んだDPF3の前後差圧△Pfが、ステップS32で読み込んだエンジン1の回転速度Nengに対応する差圧下限値△Pfl未満であるか否かを判断する。ステップS33が否定判断されるとステップS7へ進む。ステップS33が肯定判断されるとステップS16へ進む。ステップS16は、上述した第1の実施の形態の図3のフローチャートで示したステップS16と同じである。
【0086】
上述した第2の実施の形態の油圧ショベル100では、第1の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) DPF3の再生処理は、数分から数10分程度の時間を要し、その間、エンジン1を駆動したままとしなければならないため、休憩の直前や1日の作業の終了間際に自動的にDPF3の再生処理が開始されてしまうと、DPF3の再生処理が終了するまでエンジン1を停止させずにオペレータが待機するか、エンジン1を停止させてDPF3の再生処理を中止する必要があった。
【0087】
しかし、第2の実施の形態では、オペレータが強制再生スイッチ28をオンすると、DPF3の再生処理が開始されるように構成した。これにより、オペレータの判断により、たとえば、昼休みの休憩の30分程度前や1日の作業終了の30分程度前など、エンジン1をしばらくの間停止させる必要がないときに、DPF3の再生処理を開始できるので、上述したようにDPF3の再生処理が終了するまでエンジン1を停止させずにオペレータが待機するか、エンジン1を停止させてDPF3の再生処理を中止するというような不都合が生じるのを回避できる。
【0088】
(2) 強制再生スイッチ28がオンされてから設定再生時間tsetが経過し、かつ、DPF3の前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl未満であればDPF3の再生処理を終了するように構成した。これにより、一旦DPF3の再生処理が開始されると、少なくとも設定再生時間tsetが経過するまでは、DPF3の再生処理が継続されるので、DPF3を確実に再生できる。また、設定再生時間tsetが経過しても、DPF3の前後差圧△Pfが差圧下限値△Pfl以上であればDPF3の再生処理が終了しないので、DPF3を確実に再生できる。
【0089】
−−−第3の実施の形態−−−
図6,7を参照して、本発明による作業機械の第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1または第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1または第2の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、DPF3の再生処理を作業機械の累積稼働時間に基づいて開始する点で、第1および第2の実施の形態と異なる。
【0090】
図6は、第3の実施の形態の油圧ショベル100の油圧回路を示す図である。なお、図6では、ブームシリンダ114以外の各シリンダ116,118、および、各シリンダ116,118のコントロール弁や操作レバーの記載を省略している。本実施の形態では、制御回路23にアワーメータ29が接続されている。アワーメータ29は、油圧ショベル100の累積稼働時間、すなわち、エンジン1の累積稼働時間を計時するタイマである。
【0091】
前回のDPF3の再生処理が完了したときのエンジン1の累積稼働時間をTbとし、現時点におけるエンジン1の累積稼働時間をTnとする。前回のDPF3の再生処理が完了したときのエンジン1の累積稼働時間Tbは、制御回路23内の不図示のメモリで記憶されている。制御回路23は、不図示のメモリに記憶されている累積稼働時間Tbを読み込み、アワーメータ29から現時点におけるエンジン1の累積稼働時間Tnを読み込んで、両者を比較する。そして、前回のDPF3の再生処理が完了したときからあらかじめ設定された時間(再生間隔時間△T)を超えてエンジン1が稼働していると判断されると、上述した第2の実施の形態において強制再生スイッチ28がオンされた場合と同様に、制御回路23は、DPF3の再生処理を開始する。
【0092】
すなわち、上述した第2の実施の形態では、強制再生スイッチ28がオンされることがDPF3の再生処理の開始条件であるが、第3の実施の形態では、前回のDPF3の再生処理が完了してからのエンジン1の累積稼働時間が再生間隔時間△Tを超えることがDPF3の再生処理の開始条件である。DPF3の再生処理の開始後の各部の動作は、第2の実施の形態と同じであるので詳細な説明は省略する。なお、第3の実施の形態では、DPF3の再生処理が完了すると、制御回路23は、累積稼働時間Tbを現時点におけるエンジン1の累積稼働時間Tnで書き換える(更新する)。
【0093】
−−−フローチャート−−−
図7は、第3の実施の形態のDPF3の再生処理に関する動作についての処理内容を示すフローチャートである。油圧ショベルの不図示のイグニッションスイッチがオンされると、この処理を行うプログラムが起動されて、制御回路23で実行される。ステップS17において、不図示のメモリに記憶されている累積稼働時間Tbを読み込んでステップS18へ進む。ステップS18において、アワーメータ29から現時点におけるエンジン1の累積稼働時間Tnを読み込んでステップS19へ進む。
【0094】
ステップS19において、ステップS17で読み込んだ累積稼働時間Tbと、ステップS18で読み込んだ累積稼働時間Tnとを比較し、前回のDPF3の再生処理が完了したときから再生間隔時間△Tを超えてエンジン1が稼働しているか否かを判断する。ステップS19が否定判断されるとステップS18へ戻る。ステップS19が肯定判断されるとステップS21へ進む。
【0095】
ステップS21における処理、ステップS22における処理、およびステップS22が肯定判断された場合のステップS7以降の処理については、上述した第2の実施の形態の図5のフローチャートで示した、対応するステップ番号における処理と同じである。
【0096】
ステップS22が否定判断されるとステップS16へ進む。ステップS16は、上述した第1の実施の形態の図3のフローチャートで示したステップS16と同じである。ステップS16が実行されるとステップS35へ進み、不図示のメモリに記憶されている累積稼働時間Tbを、アワーメータ29から読み込んだ現時点におけるエンジン1の累積稼働時間Tnで更新してリターンする。
【0097】
上述した第3の実施の形態の油圧ショベル100では、第1および第2の実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。
(1) 前回のDPF3の再生処理が完了したときから再生間隔時間△Tを超えてエンジン1が稼働していると判断されると、DPF3の再生処理が開始されるように構成した。これにより、再生間隔時間△T毎にDPF3の再生処理が開始されるので、DPF3の再生処理が長期間行われずDPF3がPMで目詰まりしてしまうという不具合を防止できる。
【0098】
−−−変形例−−−
(1) 上述した第1の実施の形態では、再生処理が終了したか否かをDPF3の前後差圧△Pfで判断するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第2の実施の形態と同様に、再生処理の継続時間とDPF3の前後差圧△Pfの双方に基づいて、再生処理が終了したか否かを判断するように構成してもよい。また、たとえば、第3の実施の形態と同様に、再生処理の継続時間に基づいて、再生処理が終了したか否かを判断するように構成してもよい。
【0099】
(2) 上述した第2の実施の形態では、再生処理の継続時間とDPF3の前後差圧△Pfの双方に基づいて、再生処理が終了したか否かを判断するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1の実施の形態と同様に、DPF3の前後差圧△Pfに基づいて、再生処理が終了したか否かを判断するように構成してもよい。また、たとえば、図8に示すように、第3の実施の形態と同様に、再生処理の継続時間に基づいて、再生処理が終了したか否かを判断するように構成してもよい。
【0100】
(3) 上述した第3の実施の形態では、再生処理の継続時間に基づいて、再生処理が終了したか否かを判断するように構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1の実施の形態と同様に、DPF3の前後差圧△Pfに基づいて、再生処理が終了したか否かを判断するように構成してもよい。また、たとえば、第2の実施の形態と同様に、再生処理の継続時間とDPF3の前後差圧△Pfの双方に基づいて、再生処理が終了したか否かを判断するように構成してもよい。
【0101】
(4) 上述の説明では、作業機械の一例としての油圧ショベルを挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されず、ホイールローダやクレーンなど、エンジンで駆動される他の作業機械にも適用できる。
(5) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0102】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、エンジンによって駆動されて圧油を吐出する油圧ポンプと、エンジンによって駆動される発電機と、エンジンの排気ガスの排出経路に設けられて、排気ガスに含まれる捕集対象物を捕集する捕集手段と、捕集手段の再生の要否を判断する再生要否判断手段と、捕集手段の再生が完了したか否かを判断する再生完了判断手段と、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断されると、エンジンの負荷を増加させ、再生完了判断手段で捕集手段の再生が完了したと判断されるとエンジンの負荷の増加を中止する負荷制御手段と、エンジンの出力を油圧ポンプからの圧油のエネルギとして蓄圧する蓄圧手段と、エンジンの出力を発電機で発電された電気エネルギとして蓄電する蓄電手段とを備え、負荷制御手段は、再生要否判断手段で捕集手段の再生が必要であると判断されると、エンジンの出力を油圧ポンプからの圧油のエネルギとして蓄圧手段で蓄圧することでエンジンの負荷を増加させ、蓄圧手段での蓄圧の上限まで蓄圧した後、エンジンの出力を発電機で発電された電気エネルギとして蓄電手段で蓄電するように蓄圧手段および蓄電手段を制御することを特徴とする各種構造の作業機械を含むものである。
【符号の説明】
【0103】
1 エンジン 1a エンジン制御回路
3 DPF 4 排気圧センサ
5 排気温度センサ 6 メインポンプ
7 エンジン回転数センサ 15 蓄圧弁
18 アキュムレータ 19 圧力センサ
20 アシスト弁 21 油圧モータ
23 制御回路 24 発電機/電動機
25 インバータ/コンバータ 26 バッテリ
27 バッテリ電圧センサ 28 強制再生スイッチ
29 アワーメータ 100 油圧ショベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンによって駆動されて圧油を吐出する油圧ポンプと、
前記エンジンによって駆動される発電機と、
前記エンジンの排気ガスの排出経路に設けられて、前記排気ガスに含まれる捕集対象物を捕集する捕集手段と、
前記捕集手段の再生の要否を判断する再生要否判断手段と、
前記捕集手段の再生が完了したか否かを判断する再生完了判断手段と、
前記再生要否判断手段で前記捕集手段の再生が必要であると判断されると、前記エンジンの負荷を増加させ、前記再生完了判断手段で前記捕集手段の再生が完了したと判断されると前記エンジンの負荷の増加を中止する負荷制御手段と、
前記エンジンの出力を前記油圧ポンプからの圧油のエネルギとして蓄圧する蓄圧手段と、
前記エンジンの出力を前記発電機で発電された電気エネルギとして蓄電する蓄電手段とを備え、
前記負荷制御手段は、前記再生要否判断手段で前記捕集手段の再生が必要であると判断されると、前記エンジンの出力を前記油圧ポンプからの圧油のエネルギとして前記蓄圧手段で蓄圧することで前記エンジンの負荷を増加させ、前記蓄圧手段での蓄圧の上限まで蓄圧した後、前記エンジンの出力を前記発電機で発電された電気エネルギとして前記蓄電手段で蓄電することで前記エンジンの負荷を増加させるように前記蓄圧手段および前記蓄電手段を制御することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
オペレータによる前記捕集手段の再生の指示入力を受け付ける再生指示入力手段をさらに備え、
前記再生要否判断手段は、前記再生指示入力手段で前記捕集手段の再生の指示入力を受け付けると、前記捕集手段の再生の必要があると判断することを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記捕集手段の再生が行われた後の作業機械の累積稼働時間が所定の時間を経過したか否かを判断する累積稼働時間判断手段をさらに備え、
前記再生要否判断手段は、前記累積稼働時間判断手段で前記累積稼働時間が前記所定の時間を経過したと判断されると、前記捕集手段の再生の必要があると判断することを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記排出経路中の前記捕集手段前後の前記排気ガスの圧力差を検出する排ガス通過抵抗検出手段をさらに備え、
前記再生要否判断手段は、前記排ガス通過抵抗検出手段で検出した前記排気ガスの差圧が所定の差圧以上である場合には、前記捕集手段の再生の必要があると判断することを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業機械において、
前記排出経路中の前記捕集手段前後の前記排気ガスの圧力差を検出する排ガス通過抵抗検出手段をさらに備え、
前記再生完了判断手段は、前記再生要否判断手段で前記捕集手段の再生が必要であると判断された後、前記排ガス通過抵抗検出手段で検出した前記排気ガスの差圧が前記捕集手段の再生の完了を判定する所定の差圧以下である場合には、前記捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項4に記載の作業機械において、
前記再生完了判断手段は、前記再生要否判断手段で前記捕集手段の再生が必要であると判断された後、前記排ガス通過抵抗検出手段で検出した前記排気ガスの差圧が前記捕集手段の再生の完了を判定する所定の差圧以下である場合には、前記捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする作業機械。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の作業機械において、
所定時間以上前記負荷制御手段が前記エンジンの負荷を増加させているか否かを判断するエンジン負荷増加時間判断手段をさらに備え、
前記再生完了判断手段は、前記エンジン負荷増加時間判断手段で所定時間以上前記負荷制御手段が前記エンジンの負荷を増加させていると判断されると、前記捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする作業機械。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業機械において、
前記排出経路中の前記捕集手段前後の前記排気ガスの圧力差を検出する排ガス通過抵抗検出手段と、
所定時間以上前記負荷制御手段が前記エンジンの負荷を増加させているか否かを判断するエンジン負荷増加時間判断手段をさらに備え、
前記再生完了判断手段は、前記再生要否判断手段で前記捕集手段の再生が必要であると判断された後、前記排ガス通過抵抗検出手段で検出した前記排気ガスの差圧が前記捕集手段の再生の完了を判定する所定の差圧以下であり、かつ、前記エンジン負荷増加時間判断手段で所定時間以上前記負荷制御手段が前記エンジンの負荷を増加させていると判断されると、前記捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする作業機械。
【請求項9】
請求項4に記載の作業機械において、
所定時間以上前記負荷制御手段が前記エンジンの負荷を増加させているか否かを判断するエンジン負荷増加時間判断手段をさらに備え、
前記再生完了判断手段は、前記再生要否判断手段で前記捕集手段の再生が必要であると判断された後、前記排ガス通過抵抗検出手段で検出した前記排気ガスの差圧が前記捕集手段の再生の完了を判定する所定の差圧以下であり、かつ、前記エンジン負荷増加時間判断手段で所定時間以上前記負荷制御手段が前記エンジンの負荷を増加させていると判断されると、前記捕集手段の再生が完了したと判断することを特徴とする作業機械。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の作業機械において、
前記蓄圧手段の圧力を検出する圧力検出手段をさらに備え、
前記負荷制御手段は、前記再生要否判断手段で前記捕集手段の再生が必要であると判断された後、前記再生完了判断手段で前記捕集手段の再生が完了したと判断されるまでの間で、(1)前記圧力検出手段で検出される前記蓄圧手段の圧力が上限値以下である場合には前記エンジンの出力を前記油圧ポンプからの圧油のエネルギとして前記蓄圧手段で蓄圧することで前記エンジンの負荷を増加させ、(2)前記圧力検出手段で検出される前記蓄圧手段の圧力が前記上限値を超えている場合には前記エンジンの出力を前記発電機で発電された電気エネルギとして前記蓄電手段で蓄電することで前記エンジンの負荷を増加させるように前記蓄圧手段および前記蓄電手段を制御することを特徴とする作業機械。
【請求項11】
請求項10に記載の作業機械において、
前記蓄電手段の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記エンジンへの燃料のポスト噴射を行うポスト噴射手段とをさらに備え、
前記負荷制御手段は、(1)前記電圧検出手段で検出される前記蓄電手段の電圧が上限電圧以下であれば前記エンジンの出力を前記発電機で発電された電気エネルギとして前記蓄電手段で蓄電することで前記エンジンの負荷を増加させるように前記蓄電手段を制御し、(2)前記電圧検出手段で検出される前記蓄電手段の電圧が上限電を超えていれば前記蓄電手段での蓄電を停止するように前記蓄電手段を制御し、
前記ポスト噴射手段は、前記再生要否判断手段で前記捕集手段の再生が必要であると判断された後、前記再生完了判断手段で前記捕集手段の再生が完了したと判断されるまでの間で、前記電圧検出手段で検出される前記蓄電手段の電圧が上限電を超えているために前記負荷制御手段が前記蓄電手段での蓄電を停止させた場合には、前記エンジンへの燃料のポスト噴射を行うことを特徴とする作業機械。
【請求項12】
エンジンによって駆動されて圧油を吐出する油圧ポンプと、
前記エンジンによって駆動される発電機と、
前記エンジンの出力を前記油圧ポンプからの圧油のエネルギとして蓄圧する蓄圧手段と、
前記エンジンの出力を前記発電機で発電された電気エネルギとして蓄電する蓄電手段と、
前記蓄圧手段で蓄圧された圧油のエネルギによって駆動される油圧アクチュエータと、
前記蓄電手段で蓄電された電気エネルギによって駆動される電動機と、
前記蓄圧手段で蓄圧された圧油のエネルギによる前記油圧アクチュエータの駆動、および、前記蓄電手段で蓄電された電気エネルギによる前記電動機の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動制御手段は、前記蓄圧手段で蓄圧された圧油のエネルギによる前記油圧アクチュエータの駆動を前記蓄電手段で蓄電された電気エネルギによる前記電動機の駆動に優先するように前記油圧アクチュエータの駆動および前記電動機の駆動を制御することを特徴とする作業機械。
【請求項13】
請求項12に記載の作業機械において、
前記蓄圧手段の圧力を検出する圧力検出手段をさらに備え、
前記駆動制御手段は、(1)前記圧力検出手段で検出される前記蓄圧手段の圧力が下限値以上である場合には、前記電動機を駆動せずに前記蓄圧手段で蓄圧された圧油のエネルギによって前記油圧アクチュエータを駆動し、(2)前記圧力検出手段で検出される前記蓄圧手段の圧力が下限値未満である場合には、前記油圧アクチュエータを駆動せずに前記蓄電手段で蓄電された電気エネルギによって前記電動機を駆動するように前記油圧アクチュエータの駆動および前記電動機の駆動を制御することを特徴とする作業機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−97670(P2012−97670A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246578(P2010−246578)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】