説明

作業機

【課題】冷却ファンによりミッションケースの良好な冷却を現出する構造を得る。
【解決手段】エンジンの出力軸に備えた出力プーリと、伝動ケース41の入力軸42に備えた入力プーリ43とに亘り無端ベルト44が巻回され、入力プーリ43の外端側に冷却ファン47が備えられている。入力軸42の軸芯Xを頂点する円錐状部41Tが伝動ケース41に形成され、入力プーリ43が、円錐状部41Tに添う円錐状のプーリ本体部43Aと、その外周のベルト巻回部43Bとで構成されている。これにより、入力プーリ43の外周側ほど冷却ファン47との距離が拡大する空間Sを形成し、入力プーリ43に妨げられることなく冷却風を流通できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの出力軸に備えた出力プーリと、ミッションケースの入力軸に備えた入力プーリとに亘って無端ベルトを巻回した伝動機構を備え、前記入力軸と一体回転する冷却ファンを備えている作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された作業機として特許文献1には、走行機体の前部位置にエンジンを備え、この後部位置にミッションケースを備え、このミッションケースの側部に変速装置(静油圧式無段変速装置)を連結した田植機が示されている。この特許文献1ではエンジンの出力軸のプーリ(出力プーリー)と、変速装置の入力軸のプーリ(入力プーリー)とに亘って無端ベルト(伝動ベルト)を巻回したベルト式伝動機構を備えており、入力プーリより外側に冷却ファンが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005‐350013公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように、静油圧式無段変速装置の入力軸に対して冷却ファンを備えたものでは静油圧式無段変速装置の冷却を効率的に行えるものである。また、走行機体に備えたミッションケースが静油圧式無段変速装置を備えていないものであっても、内部のクラッチ機構やギヤ伝動系の作動に伴い発熱を招くものである。このような理由から、静油圧式無段変速装置を備えていないものであってもミッションケースの冷却を積極的に行うため、特許文献1に示されるものと同様の冷却ファンを必要とする。
【0005】
また、ミッションケースの冷却を行う際には、ミッションケースに対して充分な風量の冷却風を供給する必要があるものの、特許文献1に記載されるように入力プーリの外側に冷却ファンが配置されたものでは、必要とする風量を得るために入力プーリと冷却ファンとの中間位置に冷却風が流動するために充分な空間を確保できないことが考えられる。
【0006】
田植機を例に挙げると仕様によりミッションケースの構造が異なることもあるが、エンジンの出力軸の位置は仕様に拘わらず決まっているものが多い。従って、エンジンの駆動力をベルト伝動機構を介してミッションケースに伝えるものでは、ミッションケースの入力軸の位置も略決まるものとなり、冷却風の風量を確保するため入力プーリと冷却ファンとの間に大きい空間を形成しようとすると、冷却ファンが入力軸の外側に張り出す位置に配置され大型化に繋がる点において改良の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、冷却ファンによる冷却構造の改良により大型化を招くことなく良好な冷却を現出する作業機を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、エンジンの出力軸に備えた出力プーリと、ミッションケースの入力軸に備えた入力プーリとに亘って無端ベルトを巻回した伝動機構を備え、前記入力軸と一体回転する冷却ファンを備えている作業機であって、
前記入力プーリの外側に前記冷却ファンが配置されると共に、前記入力プーリの外周側ほど前記冷却ファンとの間における前記入力軸の軸芯方向での距離が拡大する空間が形成されている点にある。
【0009】
この構成によると、入力プーリの外周側ほど入力軸の軸芯方向で冷却ファンから離間する形状となり、この離間部位に空間が形成されるので、この空間に対し入力プーリに妨げられることなく冷却風を流通させることが可能となる。
その結果、冷却ファンによる冷却構造の改良により大型化を招くことなく良好な冷却を現出する作業機が合理的に構成された。
【0010】
本発明は、前記ミッションケースが、前記入力軸の軸芯を頂点とする円錐状部を有しており、この円錐状部の外面に沿う円錐状に前記入力プーリのプーリ本体部が成形され、このプーリ本体部の外周にベルト巻回部が形成されても良い。
【0011】
これによると、ミッションケースの円錐状部の形状を利用し、この円錐状部の外面に沿う形状に入力プーリを成形することにより冷却ファンを外方に突出する位置に配置することなく、入力プーリと冷却ファンとの間に空間を形成できる。特に、この構成では、入力プーリと冷却ファンとを軸芯方向で離間させる必要がないので、走行機体の横幅方向に冷却ファンが張り出すことがなく結果として走行機体の大型化が抑制される。
【0012】
本発明は、前記入力軸に伝えられる駆動力を制御するクラッチ機構が、前記円錐状部の内部に配置されても良い。
【0013】
これによると、クラッチ機構で発生する熱を冷却風によって効率的に放熱させることが可能となる。
【0014】
本発明は、前記ミッションケースが、ミッションケース本体に対して前記入力軸を有する伝動ケースを連結した構造を有しており、この伝動ケースに対して潤滑油を供給する油路が形成されても良い。
【0015】
これによると、冷却ファンによる冷却に加えて伝動ケースに油路を介して供給される潤滑油によっても伝動ケースの冷却を行えることになる。
【0016】
本発明は、前記伝動ケースから前記ミッションケース本体に潤滑油を送り出す油路が形成されても良い。
【0017】
これによると、伝動ケースに供給された潤滑油を、油路を介してミッションケース本体に送り出すことにより、伝動ケースに対する潤滑油の供給を阻害することがなく冷却を効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】乗用型の田植機の全体側面図である。
【図2】乗用型の田植機の全体平面図である。
【図3】ベルト式伝動機構の部位を示す側面図である。
【図4】入力プーリの部位を示す平面図である。
【図5】主クラッチの操作系を示す側面図である。
【図6】ラジエータの部位を示す側面図である。
【図7】ラジエータの部位を示す縦断面図である。
【図8】油路系を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔田植機の全体構成〕
図1及び図2に示すように、左右一対の前車輪1と左右一対の後車輪2とを備えた走行機体Aの中央部に運転座席3を備えると共に、走行機体Aの後端に油圧シリンダ4の作動により昇降作動するリンク機構Lを介して昇降自在に8条植え型の苗植付装置Bを備えて作業機としての乗用型の田植機が構成されている。
【0020】
この実施形態では、作業機として乗用型の田植機を示しているが、例えば、作業機をトラクタや播種機、あるいは、薬剤散布機として構成しても良い。
【0021】
この田植機は、走行機体Aの前部位置のエンジン5からの駆動力を前部ミッションケースMfに伝えるベルト式伝動機構Dを備え、この前部ミッションケースMfからの駆動力を後部ミッションケースMrに伝える中間伝動軸6を備えている。この田植機では、前部ミッションケースMfの駆動力で左右の前車輪1を駆動し、後部ミッションケースMrの駆動力で左右の後車輪2を駆動する伝動構造を構成しており、この構成により4輪駆動型に構成されている。
【0022】
苗植付装置Bは、走行機体Aから外部出力軸7により駆動力が伝えられるフィードケース(図示せず)を有しており、走行機体Aの走行に伴って5つの整地フロート10が苗植え付け箇所の泥面を整地する一方で、フィードケースからの分配動力で8条分のマット状苗を載置する苗載台12を左右方向に一定ストロークで往復駆動し、この往復駆動時に苗載台12のマット状苗の下端から8基のロータリ式の植付機構13が苗を所定量ずつ切り出して圃場に植え付ける植え付け作動を行う。
【0023】
また、走行機体Aの後端には、肥料ホッパー15に貯留した粉粒状の肥料を走行と同期するタイミングで空気とともに繰出機構16により施肥ホース17に送り出す施肥装置を備えており、苗植付装置Bには、施肥ホース17で供給される肥料を苗植付箇所の近傍に供給する作溝器18を備えている。
【0024】
このような構成から、苗植付作業を行う際には、走行機体Aの走行に伴い苗の植え付けが行われると共に、この設定距離だけ走行する毎に苗植え付け箇所の近傍位置に施肥が行われる。
【0025】
運転座席3の前方位置にはステアリングホイール20を備え、運転座席3の下側の搭乗ステップ21の右側にブレーキペダル22を備え、ステアリングホイール20の左側には変速レバー23を備えている。また、この搭乗ステップ21の前側で前記エンジン5を収容するエンジンボンネット24の両側部には機体前方位置からの乗降を可能にする乗降ステップ25が形成されている。尚、ブレーキペダル22を踏み込み操作した場合には前車輪1及び後車輪2の伝動系に備えたブレーキ機構(図示せず)を制動操作すると同時に、後述する主クラッチ機構C(図4を参照)が切り操作される。
【0026】
図3〜図6に示すように、長手方向を前後向きにした左右一対の主フレーム27の前端位置に前部ミッションケースMfが連結されている。この前部ミッションケースMfから前方に向けて延設された前部フレーム28に、前記エンジン5がその出力軸5Aを横向き姿勢にして防振ゴム29を介して支持されている。このエンジン5は、水冷式3気筒のディーゼルエンジンであり、出力軸5Aには出力プーリ38が備えらえている。
【0027】
このエンジン5の後方には前記ステアリングホイール20の回転操作に基づいて油圧による回転力を作り出して前車輪1の操向操作系を作動させるトルクジェネレータ30が配置されている。このトルクジェネレータ30とエンジン5との中間位置に冷却用の電動ファン31を備えたラジエータ32が立設配備され、このラジエータ32の吸気側には防塵網33が備えられている。
【0028】
図7に示すように、ラジエータ32は、左右の前部フレーム28を連結する中間フレーム28Aに載置されるように支持され、この中間フレーム28Aとラジエータ32下端との間、及び、このラジエータ32の側部とエンジンボンネット24との間にはスポンジ材37が配置されている。
【0029】
このラジエータ32は電動ファン31の駆動により図6に破線の矢印で示す前方向に流れる冷却風を作り出し、この冷却風を防塵網33を介し吸引しエンジン5の方向に供給する冷却風の流れを作り出すものであり、塵埃は防塵網33に付着する。従って、電動ファン31を設定インターバルで短時間だけ逆転させて防塵網33に付着した塵埃を吹き飛ばすことが可能な逆転用の制御系を備えている。この制御系では設定インターバルで決まった時間だけ電動ファン31を逆転させるように自動的な制御形態が設定されているが、例えば、作業者が所定のボタン類を人為的に操作する毎に電動ファン31を決まった時間だけ逆転させるように制御形態を設定しても良い。
【0030】
また、ラジエータ32の吸引側(冷却風の流れの上流側)のフレーム34にはホーン35が備えられ、これと同様にラジエータ32の吸引側にリレー等の電装部品36が備えられている。このホーン35や電装部品36が冷却風の流れを阻害しないように、ホーン35がラジエータ32の吸気面(防塵網33の網面と共通する)に投影する面積を小さくする姿勢でフレーム34に支持され、リレー等の電装部品36がラジエータ32の吸気面に投影する面積を小さくする位置関係でフレーム等に支持されている。
【0031】
具体的にはホーン35は厚みがある円板状であり、この厚みを投影するように水平姿勢に設定されている。これと同様に電装部品36も投影される面積を小さくする姿勢で、複数のものが正面視でハンドルポスト20Aに重なり合うように配置されている。このようにホーン35や電装部品36等の阻害部材を適正な位置関係で備えることにより充分な量の冷却風をラジエータ32に供給してオーバーヒートを抑制している。
【0032】
〔前部ミッションケース〕
前部ミッションケースMfは、図8に示すように、ミッションケース本体40と、このミッションケース本体40の側部に連結される伝動ケース41とを備えており、ミッションケース本体40には前車輪1に駆動力を伝える前車軸ケース40Aが連結している。そして、伝動ケース41には横方向に突出する入力軸42を備え、この入力軸42に入力プーリ43が備えられている。この入力プーリ43と前述した出力プーリ38とに亘って無端ベルト44を巻回すると共に、テンションアーム45に支持されたテンションプーリ46を無端ベルト44に圧接させている。この出力プーリ38と入力プーリ43と無端ベルト44とを備えると共に、無端ベルト44に張力を作用させるテンションプーリ46を備えることで前述したベルト式伝動機構Dが構成されている。
【0033】
図4に示すように、入力プーリ43の外端位置(走行機体Aを基準にして外側)には、エンジン5や前部ミッションケースMf(ミッションケース本体40と伝動ケース41)から空気を吸引して外方に送り出す冷却ファン47が備えられている。同図に示すように冷却ファン47は、入力プーリ43にボルト連結されているが、この冷却ファン47は入力軸42と一体回転するものであれば良く、入力軸42に対して直接的に連結されるものでも良い。
【0034】
前記伝動ケース41は、入力軸42の軸芯Xを頂点とする円錐状部41Tが形成され、この伝動ケース41の内部で入力軸42と同軸に湿式多板式に構成された前記主クラッチ機構Cが備えられ、この主クラッチ機構Cにより駆動力が断続される伝動系に変速レバー23により変速されるギヤ変速機構Eが備えられている。
【0035】
前記入力プーリ43は、伝動ケース41の円錐状部41Tの外面に沿う円錐形状に成形されたプーリ本体部43Aと、このプーリ本体部43Aの外周にベルト巻回部43Bとが一体的に形成されている。プーリ本体部43Aの内側には円錐状の凹部43Cが形成され、この凹部43Cに伝動ケース41の円錐状部41Tが入り込んだ状態で入力プーリ43が入力軸42に連結されている。また、伝動ケース41の内部に配置される主クラッチ機構Cのクラッチケースにも入力軸42の軸芯Xを頂点とする円錐状部CTが形成され、この円錐状部CTを伝動ケース41の円錐状部41Tの内面に近接配置している。このような構造から、前記入力プーリ43の外周側ほど前記冷却ファン47との間における前記軸芯Xの方向での距離が拡大する空間Sが形成され、この空間Sに対し入力プーリ43に妨げられることなく同図に破線の矢印で示す如く冷却風を流通させ、大型化を招くことなく効率的な冷却を実現している。尚、冷却風の流れは矢印で示す方向に限らず逆向き(外気を前部ミッションケースMfの方向に導く方向)であっても良い。
【0036】
また、本発明では、冷却ファン47の異なる実施形態として、この冷却ファン47の外周側が、この冷却ファン47の中心側より前部ミッションケースMfから離間する形状に形成されるものでも良い。このような形状を採用することにより、冷却ファン47と入力プーリ43との間に形成される空間Sを冷却ファン47の外周側ほど拡大させ、この空間Sに流通させる冷却風の流量の増大を可能にする。特に、このような形状の冷却ファン47と前述した実施形態のように入力プーリ43のプーリ本体部43Aを円錐状に形成したものと組み合わせることも可能であり、このように組み合わせた場合には冷却効率を一層向上させるものとなる。
【0037】
図5に示すように、主クラッチ機構Cを操作する縦向き姿勢の操作軸51が伝動ケース41の上面に突設され、この操作軸51の上端に操作アーム52が備えられている。ブレーキペダル22の踏み込み操作に連動して回転作動する横向き姿勢の回転ロッド53が搭乗ステップ21の下側に回転自在に支持され、この回転ロッド53の左側端部に備えた作動アーム54と、前述した操作アーム52とが操作ロッド55により連結されている。この操作ロッド55は入力プーリ43の上方位置に配置されるものであり、ブレーキペダル22が踏み込み操作された際には、作動アーム54の揺動により操作され、操作アーム52を揺動させて主クラッチ機構Cを切り操作するように連係されている。
【0038】
このように操作ロッド55を入力プーリ43と重なり合う位置に配置することにより、入力プーリ43の上方のデッドスペースを有効に利用して主クラッチ機構Cの操作系が合理的に構成されている。尚、前述した変速レバー23を操作する場合は、ブレーキペダル22を踏み操作して主クラッチ機構Cを切り操作することになり、この変速レバー23の操作によりギヤ変速機構Eの変速操作が実現する。
【0039】
〔油路系〕
図8に示すように、エンジン5の駆動力により駆動される油圧ポンプPを備え、この油圧ポンプPは前部ミッションケースMfのミッションケース本体40に貯留される潤滑油を作動油として吸引してトルクジェネレータ30に第1油路61を介して供給し、このトルクジェネレータ30から第2油路62を介して油圧シリンダ4のコントロールバルブ60に供給する。更に、このコントロールバルブ60から第3油路63を介して伝動ケース41の内部に供給しこの伝動ケース41から第4油路64を介して前車軸ケース40Aに供給し、この前車軸ケース40Aから第5油路65を介してミッションケース本体40に潤滑油を戻す油路系が形成されている。尚、前車軸ケース40Aとミッションケース本体40とは内部空間が連通する構造を有しているため、前述した第5油路65は、内部空間で構成されることになる。
【0040】
発熱を招くことが少ないトルクジェネレータ30とコントロールバルブ60とに作動油として供給した潤滑油を、伝動ケース41に供給するように油路系を構成したことにより、この伝動ケース41の主クラッチ機構Cの冷却を良好に行えるようにしている。
【0041】
この油路系では第1油路61と、第2油路62とを配管によって形成することになるが、第3油路63はコントロールバルブ60の作動油を伝動ケース41に対して直接的に送り込む開口で構成される。第4油路64は伝動ケース41と前車軸ケース40Aとの連結面に形成された孔部で形成されるものでも、配管で構成されるものでも良い。このような油路系を形成することにより、潤滑油の循環を行いながら伝動ケース41の冷却を実現しているのである。
【0042】
この油路系では、トルクジェネレータ30に代えて、油圧シリンダ式のパワーステアリングユニットを備えても良い。また、この油路系では第3油路63と第4油路64とを配管によって形成しても良い。
【0043】
〔実施の形態の効果〕
主クラッチ機構Cは比較的強い力が作用する構造であることから、断続操作した場合には発熱を伴うものであり冷却を必要とする。また、前部ミッションケースMfの側面に備えられる伝動ケース41において入力軸42が備えられる部位が、軸芯Xを頂点とする円錐状となる円錐状部41Tとして形成されている。このような形状を利用し、この円錐状部41Tの形状に沿うように入力プーリ43のプーリ本体部43Aを成形することにより、この入力プーリ43と冷却ファン47との間に空間Sを形成している。これにより、入力プーリ43に妨げられることなく空間Sを流通するように充分な量の冷却風を流し良好な冷却を実現しているのである。
【0044】
また、伝動ケース41に対して比較的低温の潤滑油を供給し、この後に排出できるように潤滑油を循環させる油路系を形成しているので、この潤滑油の供給により伝動ケース41の冷却を実現している。
【0045】
特に、電動ファン31の回転方向の制御により防塵網33の目詰まりを抑制してラジエータ32の冷却機能を高く維持できるものにしている。また、ラジエータ32に冷却風が供給される空間における部材の姿勢や配置の設定により、ラジエータ32の全面に対して平均的に冷却風を供給してラジエータ32の冷却性能を高く維持している。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、エンジンからの駆動力がベルト式伝動機構により伝えられるミッションケースの入力軸と一体回転する冷却ファンを備えた作業機全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
5 エンジン
5A 出力軸
38 出力プーリ
40 ミッションケース本体
41 伝動ケース
41T 円錐状部
42 入力軸
43 入力プーリ
43A プーリ本体部
43B ベルト巻回部
44 無端ベルト
47 冷却ファン
63 油路(第3油路)
64 油路(第4油路)
C クラッチ機構(主クラッチ機構)
D 伝動機構(ベルト式伝動機構)
S 空間
X 軸芯
Mf ミッションケース(前部ミッションケース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力軸に備えた出力プーリと、ミッションケースの入力軸に備えた入力プーリとに亘って無端ベルトを巻回した伝動機構を備え、前記入力軸と一体回転する冷却ファンを備えている作業機であって、
前記入力プーリの外側に前記冷却ファンが配置されると共に、前記入力プーリの外周側ほど前記冷却ファンとの間における前記入力軸の軸芯方向での距離が拡大する空間が形成されている作業機。
【請求項2】
前記ミッションケースが、前記入力軸の軸芯を頂点とする円錐状部を有しており、この円錐状部の外面に沿う円錐状に前記入力プーリのプーリ本体部が成形され、このプーリ本体部の外周にベルト巻回部が形成されている請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記入力軸に伝えられる駆動力を制御するクラッチ機構が、前記円錐状部の内部に配置されている請求項2記載の作業機。
【請求項4】
前記ミッションケースが、ミッションケース本体に対して前記入力軸を有する伝動ケースを連結した構造を有しており、この伝動ケースに対して潤滑油を供給する油路が形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記伝動ケースから前記ミッションケース本体に潤滑油を送り出す油路が形成されている請求項4記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−247393(P2011−247393A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124064(P2010−124064)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】