説明

作業補助システム及び作業補助方法並びに該作業補助方法を記録した記録媒体

【課題】工場内の生産ラインにおいて、ロボットと一人の作業者が協調して作業を行うシステムを提供する。
【解決手段】作業者の手に装着され、当該手による作業動作を経時的に測定してその測定結果である動作情報を3次元座標データとして送信するモーションキャプチャ2と、作業者の手に装着され、部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信する圧力センサ23と、前記3次元座標データ、及び前記圧力検出データに基づき産業用ロボット4を制御する制御部31とを備える。制御部は、モーションキャプチャから得られた3次元座標データにロボットを追従させ、作業者の手が標準作業位置に到達したと判定すると、作業者が手で部品を押圧することで圧力センサから送信される圧力検出データの値に応じた圧力値で、ロボットの保持部で部品を押圧させる保持部押圧機能31bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場内の生産ラインにおいて、作業者が製品に部品を取り付ける部品取付作業を、機械的な取付装置によって補助する作業補助システム及び作業補助方法並びに該作業補助方法を記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の組立ラインにおいて、脱脂、プライマ処理及び接着剤塗布の前処理を終えたウインドガラスを予め設定された所定位置から移動して、組立ライン上を搬送されてくる車両の窓開口部に装着する際、その装着作業を行う作業者を補助して当該作業者の負担を軽減させる自動車用ガラス取付装置や車両のウインドガラス装着装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
自動車用ガラス取付装置は、車体の搬送方向に対して平行に設けられる第1のレールと、第1のレールの底面にスライド可能に設けられ当該第1のレールと直交する第2のレールと、第1のレール上を移動する係合部及び第2のレール上を移動する係合部と共に、ガラスを吸着する吸着パッドを上下動するホイストを有する搬送部とを備えている。さらに、搬送部は、吸着パッドの吸着角度を変更する吸着パッド駆動機構と、ガラス取付時に吸着パッド駆動機構を制御する操作部とを備えている。また、この自動車用ガラス取付装置は、前処理工程からガラス取付工程までのガラスの搬送や、ガラス取付工程からの退避を行うために、搬送部を自動制御する自動制御装置を備え、操作部と接続されている。
【0004】
このように構成された自動車用ガラス取付装置は、作業者が操作部で自動制御を選択すると、搬送部が自動制御装置で自動制御される。この自動制御装置で自動制御される搬送部は、前処理工程に位置する吸着パッドをホイストで下降させ、前処理を終えたウインドガラスを吸着保持する。そして、搬送部は、ウインドガラスを吸着保持した吸着パッドを、ホイストで上昇させ各係合部によって第1のレール及び第2のレール上を移動させて、ウインドガラス取付工程に位置する車体上空まで搬送する。次に、作業者は操作部で手動制御を選択し当該操作部のスイッチを操作して、吸着パッドをホイストでウインドガラスが車体に取り付けられる位置まで下降させる。この際、操作部のスイッチを操作して吸着パッド駆動機構を駆動させ、ウインドガラスが車体の窓開口部と平行になるように吸着パッドの向きを調整する。そして、作業者はウインドガラスを車体の窓開口部に固定する。ウインドガラスの取り付けが完了すると、作業者は、操作部のスイッチを操作して吸着パッドからウインドガラスを離脱させ、再び操作部で自動制御を選択すると、吸着パッドは自動制御装置の自動制御で元の位置まで戻ることができる。これにより、作業者は一人でガラスの取付作業を行うことが可能になる。
【0005】
また、車両のウインドガラス装着装置は、車体を支持するハンガーを走行させるガイドレールに走行可能に設置され当該ハンガーと係合する係合爪が設けられた移動体と、水平面内で90度旋回移動可能に移動体に取り付けられた1本の主アームと、主アームに上下方向に旋回可能に取り付けられた2本の副アームと、副アームに設けられ車体に吸着させる吸着パッドと、副アームに設けられシリンダによって進退移動して車体の窓開口部にセットされたウインドガラスの外面に接触して押圧する押付けパッドと、吸着パッド及び押付けパッドのシリンダに流体圧力の給排方向を切り換える切換弁とを備えている。
【0006】
このように構成された車両のウインドガラス装着装置は、車両がハンガーによって装着ステーションに進入すると、移動体の係合爪がハンガーと係合するので移動体はハンガーと同期移動する。この状態で、作業者が車両の窓開口部にウインドガラスをセットして車体方向に押さえたままで、主アームをガイドレールと平行した位置から90度旋回移動して車両の上方に位置させる。そして、副アームの吸着パッドを車両に対向させ切換弁を介して負圧力によって吸着パッドを車両に吸着させる。この際、吸着パッドの負圧を入力信号として切換弁を切り換え、押付けパッドのシリンダに流体圧力を供給してウインドガラスを車両の窓開口部に押圧することができる。これにより、作業者は一人でウインドガラスを窓開口部にセットし、押付けパッド及び吸着パッドでウインドガラスを窓開口部に押圧した状態で、車両内に入ってウインドガラスを窓開口部に固定することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−240474号公報
【特許文献2】特開平11−28623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、背景技術に記載した自動車用ガラス取付装置では、ガラスを吸着する吸着パッドを上下動するホイストを有する搬送部を、前処理工程からウインドガラス取付工程まで移動させるのに、車体の搬送方向に対して平行に設けられる第1のレールと、第1のレールの底面にスライド可能に設けられ当該第1のレールと直交する第2のレールとを組立ラインに設置しなければならないので、設備が大掛かりになり広範囲な設備設置スペースを確保しなければならなかった。さらに、この自動車用ガラス取付装置では、ウインドガラス取付工程で、ウインドガラスを車体の窓開口部に固定するには、作業者が操作部のスイッチを手動で操作して、ウインドガラスが車体の窓開口部と平行になるように吸着パッドの向きを目視で調整しなければならないので、このウインドガラス固定作業を作業者の勘や骨に頼らざるを得なかった。
【0009】
また、車両のウインドガラス装着装置では、作業者が一人で作業を行う場合には車両の窓開口部にウインドガラスをセットして車体方向に押さえたままで、主アームや副アームを移動させなければならないので、熟練工でなければ効率よくウインドガラス装着作業を行うのが難しかった。さらに、車両のウインドガラス装着装置では、ボンネットやトランクがない自動車では車体の側面側によけて作業しなくてもよいので、作業者は一人で作業することが可能であるが、ボンネットやトランクがある自動車では車体の側面側によけて作業しなければならないので、作業者は二人で作業しなければ効率よくウインドガラス装着作業を行うのが難しかった。
【0010】
本発明は、このような従来の難点を解消するためになされたもので、工場内の生産ラインにおいて、作業者の手に装着されたモーションキャプチャからの3次元座標データ及び圧力センサからの圧力検出データに基づき産業用ロボットを制御して、二人の作業者によって製品に部品を取り付ける部品取付作業を、作業者の勘や骨に頼ることなく一人の作業者で効率よく且つ正確に行うことができる作業補助システム及び作業補助方法並びに該作業補助方法を記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成する本発明の第1の態様である作業補助システムは、工場内の生産ラインにおいて、作業者が生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、部品の一方側を作業者が手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、部品が配置されている部品配置位置から生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付けるための部品取付位置まで部品を移動することで、製品の他方側を保持した産業用ロボットの保持部も強制移動させ、さらに、作業者の手及び産業用ロボットの保持部で部品を押圧することで当該部品を製品に取り付ける作業補助システムであって、作業者の手に装着され、当該手による作業動作を経時的に測定してその測定結果である動作情報を3次元座標データとして送信するモーションキャプチャと、作業者の手に装着され、部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信する圧力センサと、3次元座標データで、部品取付位置における作業者の手の作業位置の標準である作業者用作業位置標準データが登録されたデータ記憶部と、モーションキャプチャから送信される3次元座標データ、及び圧力センサから送信される圧力検出データに基づき産業用ロボットを制御する制御部とを備え、制御部は、モーションキャプチャから得られた3次元座標データの値と、データ記憶部に登録された作業者用作業位置標準データの値とを比較して、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には作業者の手が標準作業位置に到達したと判定する部品取付位置判定機能と、部品取付位置判定機能で作業者の手が標準作業位置に到達したと判定すると、作業者が手で部品を押圧することで圧力センサから送信される圧力検出データの値に応じた圧力値で、産業用ロボットの保持部で部品を押圧させる保持部押圧機能とを有するものである。
【0012】
また、上述の目的を達成する本発明の第2の態様である作業補助システムは、工場内の生産ラインにおいて、作業者が生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、部品の一方側を作業者が手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、部品が配置されている部品配置位置から生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付けるための部品取付位置まで部品を移動することで、製品の他方側を保持した産業用ロボットの保持部がアームを介して部品取付位置まで移動され、さらに、作業者の手及び産業用ロボットの保持部で部品を押圧することで当該部品を製品に取り付ける作業補助システムであって、作業者の手に装着され、当該手による作業動作を経時的に測定してその測定結果である動作情報を3次元座標データとして送信するモーションキャプチャと、作業者の手に装着され、部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信する圧力センサと、モーションキャプチャから送信される3次元座標データ、及び圧力センサから送信される圧力検出データに基づき産業用ロボットが動作するように制御する制御部と、3次元座標データで、部品取付位置における作業者の手の作業位置の標準である作業者用作業位置標準データが登録されたデータ記憶部とを備え、制御部は、モーションキャプチャから時系列で受信する3次元座標データに基づき産業用ロボットの保持部を作業者の手による作業動作に追従させるロボット追従機能と、作業者が部品の一方側を保持した位置と、産業用ロボットの保持部が部品の他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔で維持した状態で当該産業用ロボットをロボット追従機能で制御するロボット制御機能と、モーションキャプチャから得られた3次元座標データの値と、データ記憶部に登録された作業者用作業位置標準データの値とを比較して、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には作業者の手が標準作業位置に到達したと判定する部品取付位置判定機能と、部品取付位置判定機能で作業者の手が標準作業位置に到達したと判定すると、作業者が手で部品を押圧することで圧力センサから送信される圧力検出データの値に応じた圧力値で、産業用ロボットの保持部で部品を押圧させる保持部押圧機能とを有するものである。
【0013】
本発明の第3の態様は第1の態様である作業補助システムにおいて、制御部は、データ記憶部の作業者用作業位置標準データに基づき、作業者が製品の一方側を保持した位置と、産業用ロボットの保持部が製品の他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔にした状態で導き出される産業用ロボットの保持部の部品取付位置におけるロボット用作業位置標準データと、作業者の部品の移動作業により移動された保持部の位置情報を産業用ロボットから得ることができる位置データとを比較して、異なる場合には保持部の位置をロボット用作業位置標準データの値まで補正するロボット位置補正機能を有するものである。
【0014】
本発明の第4の態様は第2の態様である作業補助システムにおいて、制御部は、産業用ロボットの保持部が部品取付位置における予め定められた座標軸上に到達した場合には、モーションキャプチャが予め定められた座標軸上に到達するまでは保持部を当該座標軸上に固定させ、さらに、保持部が部品取付位置における予め定められた座標軸と直交する座標軸に到達すると、当該保持部を座標軸と直交する座標軸上に固定する保持部固定機能を有するものである。
【0015】
本発明の第5の態様は第1の態様乃至第4の態様のうち何れか1つの態様である作業補助システムにおいて、データ記憶部は、3次元座標データで、標準作業位置で作業者が部品を製品に取り付けるための当該部品の取付角度の標準である取付角度標準データが登録され、制御部は、産業用ロボットの保持部による部品の取付角度を取付角度標準データに基づき補正するロボット角度補正機能を有するものである。
【0016】
本発明の第6の態様は第1の態様乃至第5の態様のうち何れか1つの態様である作業補助システムにおいて、モーションキャプチャは、作業者の手指に装着される複数の磁気式3次元位置姿勢センサと、磁気式3次元位置姿勢センサ群で検出された作業者の作業動作情報を受信してデータ処理装置に送信する信号処理部とを備えているものである。
【0017】
本発明の第7の態様は第6の態様である作業補助システムにおいて、圧力センサは、作業者の前記手指に複数装着されているものである。
【0018】
また、上述の目的を達成する本発明の第8の態様である作業補助方法は、工場内の生産ラインにおいて、作業者が生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、部品の一方側を作業者がモーションキャプチャ及び圧力センサを装着した手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、部品が配置されている部品配置位置から生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付けるための部品取付位置まで部品を移動することで、製品の他方側を保持した産業用ロボットの保持部が強制移動される際、作業者の作業動作をモーションキャプチャで経時的に測定しその測定結果である3次元座標データを産業用ロボットを制御する制御部に送信すると共に、さらに、作業者の手及び産業用ロボットの保持部で部品を押圧することで当該部品を製品に取り付ける際、部品に加わる荷重を圧力センサで経時的に測定しその測定結果である圧力検出データも制御部に送信して、当該制御部で産業用ロボットを作業者の作業動作に準じて動作させる作業補助方法であって、制御部は、モーションキャプチャから得られた3次元座標データの値と、部品取付位置における作業者の手の作業位置の標準である作業者用作業位置標準データの値とを比較して、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には作業者の手が標準作業位置に到達したと判定するステップと、前のステップで作業者の手が標準作業位置に到達したと判定すると、作業者が手で部品を押圧することで圧力センサから送信される圧力検出データの値に応じた圧力値で、産業用ロボットの保持部で部品を押圧させるステップとを有するものである。
【0019】
また、上述の目的を達成する本発明の第9の態様である作業補助方法は、工場内の生産ラインにおいて、作業者が生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、部品の一方側を作業者がモーションキャプチャ及び圧力センサを装着した手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、部品が配置されている部品配置位置から生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付けるための部品取付位置まで部品を移動することで、製品の他方側を保持した産業用ロボットの保持部がアームを介して部品取付位置まで移動される際、作業者の作業動作をモーションキャプチャで経時的に測定しその測定結果である3次元座標データを産業用ロボットを制御する制御部に送信すると共に、さらに、作業者の手及び産業用ロボットの保持部で部品を押圧することで当該部品を製品に取り付ける際、部品に加わる荷重を圧力センサで経時的に測定しその測定結果である圧力検出データも制御部に送信して、当該制御部で産業用ロボットを作業者の作業動作に準じて動作させる作業補助方法であって、制御部は、モーションキャプチャから時系列で受信する3次元座標データに基づき産業用ロボットの保持部を作業者の手による作業動作に追従させるステップと、作業者が部品の一方側を保持した位置と、産業用ロボットの保持部が部品の他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔で維持した状態で、当該産業用ロボットの保持部を作業者の手による作業動作に追従させるステップと、モーションキャプチャから得られた3次元座標データの値と、部品取付位置における作業者の手の作業位置の標準である作業者用作業位置標準データの値とを比較して、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には作業者の手が標準作業位置に到達したと判定するステップと、前のステップで作業者の手が標準作業位置に到達したと判定すると、作業者が手で部品を押圧することで圧力センサから送信される圧力検出データの値に応じた圧力値で、産業用ロボットの保持部で部品を押圧させるステップとを有するものである。
【0020】
本発明の第10の態様は第8の態様である作業補助方法において、制御部は、作業者用作業位置標準データに基づき、作業者が製品の一方側を保持した位置と、産業用ロボットの保持部が製品の他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔にした状態で導き出される産業用ロボットの保持部の部品取付位置におけるロボット用作業位置標準データと、作業者の部品の移動作業により移動された保持部の位置情報を産業用ロボットから得ることができる位置データとを比較して、異なる場合には保持部の位置をロボット用作業位置標準データの値まで補正するステップを有するものである。
【0021】
本発明の第11の態様は第9の態様である作業補助方法において、制御部は、産業用ロボットの保持部が部品取付位置における予め定められた座標軸上に到達した場合には、モーションキャプチャが予め定められた座標軸上に到達するまでは保持部を当該座標軸上に固定させ、さらに、保持部が部品取付位置における予め定められた座標軸と直交する座標軸に到達すると、当該保持部を座標軸と直交する座標軸上に固定するステップを有するものである。
【0022】
本発明の第12の態様は第8の態様乃至第11の態様のうち何れか1つの態様である作業補助方法において、制御部は、産業用ロボットの保持部による部品の取付角度を、3次元座標データで、標準作業位置で作業者が部品を製品に取り付けるための当該部品の取付角度の標準である取付角度標準データに基づき補正するステップを有するものである。
【0023】
さらに、本発明の第13の態様である記録媒体は、第8の態様乃至第12の態様うち何れか1つである作業補助方法によって実現するためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能なものである。
【0024】
このような第1の態様である作業訓練システム及び第8の態様である作業訓練方法は、部品の一方側を作業者が手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、生産ラインにおいて部品配置位置から部品取付位置まで部品を移動すると、製品の他方側を保持した産業用ロボットの保持部が強制移動される。この際、制御部は、部品取付位置判定機能で作業者の手が部品取付位置に正常に移動したか否かを、当該作業者の手に装着されたモーションキャプチャから得られた3次元座標データに基づき演算処理し、作業者の手が標準作業位置に到達したと判定すると、次に、保持部押圧機能で産業用ロボットの保持部を、圧力センサから送信される圧力検出データの値に応じた圧力値で、産業用ロボットの保持部で部品を押圧することができる。したがって、部品取付位置において、作業者の手で強制移動された産業用ロボットの保持部、及び当該作業者の手により、同じ圧力値で部品を製品に押圧することができるので、二人の作業者によって製品に部品を取り付ける部品取付作業を、作業者の勘や骨に頼ることなく一人の作業者で効率よく且つ正確に行うことができるようになる。
【0025】
また、第2の態様である作業訓練システム及び第9の態様である作業訓練方法によれば、部品の一方側を作業者が手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、生産ラインにおいて部品配置位置から部品取付位置まで部品を移動すると、制御部は、ロボット制御機能で作業者が製品の一方側を保持した位置と、産業用ロボットの保持部が製品の他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔で維持した状態で、ロボット追従機能が産業用ロボットを、作業者の手に装着されたモーションキャプチャから時系列で受信する3次元座標データに基づき動作させることができるので、産業用ロボットを作業者の手の作業動作と同様の作業動作で制御することができる。即ち、作業者の手の作業動作に沿って産業用ロボットを動作させることができるので、部品を部品取付位置にほぼ正確に移動させることができる。このようにして部品取付位置にほぼ正確に移動させた部品を、さらに、制御部は、部品取付位置判定機能で作業者の手が部品取付位置に正常に移動したか否かを、当該作業者の手に装着されたモーションキャプチャから得られた3次元座標データに基づき演算処理し、作業者の手が標準作業位置に到達したと判定すると、次に、保持部押圧機能で産業用ロボットの保持部を、圧力センサから送信される圧力検出データの値に応じた圧力値で、産業用ロボットの保持部で部品を押圧することができる。したがって、作業者の手及び産業用ロボットの保持部で部品取付位置にほぼ正確に移動させた部品を、さらに、産業用ロボットの保持部、及び当該作業者の手により、同じ圧力値で部品を製品に押圧することができるので、二人の作業者によって製品に部品を取り付ける部品取付作業を、作業者の勘や骨に頼ることなく一人の作業者で効率よく且つ正確に行うことができるようになる。
【0026】
また、第3の態様である作業訓練システム及び第10の態様である作業訓練方法によれば、作業者の手が部品取付位置に正常に移動しても、その作業者の手で部品を介して強制移動された産業用ロボットの保持部がその部品取付位置に正常に移動するとは限らないので、ロボット位置補正機能により産業用ロボットの保持部の位置を最終補正させる。この最終補正により、産業用ロボットの保持部を、部品取付位置に対して精度よく位置させることができるようになる。
【0027】
また、第4の態様である作業訓練システム及び第11の態様である作業訓練方法によれば、産業用ロボットの保持部が制御部のロボット追従機能及びロボット制御機能で制御されて、部品を部品取付位置に移動させる際、保持部が部品取付位置における予め定められた座標軸上及びその座標軸と直交する座標軸上に到達すると、別々に固定していくので、産業用ロボットの保持部を、部品取付位置に対して精度よく位置させることができるようになる。
【0028】
また、第5の態様である作業訓練システム及び第12の態様である作業訓練方法によれば、作業者が必ずしも適正な角度で部品を製品に取り付けるとは限らないので、このロボット角度補正機能でロボットの保持部の角度を最終補正させる。この最終補正により、産業用ロボットの保持部を、製品に対して取り付け易い角度で部品を取り付けることができるようになる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の作業補助システム及び作業補助方法並びに該作業補助方法を記録した記録媒体によれば、工場内の生産ラインにおいて、作業者の手に装着されたモーションキャプチャからの3次元座標データ及び圧力センサからの圧力検出データに基づき産業用ロボットを制御して、二人の作業者によって製品に部品を取り付ける部品取付作業を、作業者の勘や骨に頼ることなく一人の作業者で効率よく且つ正確に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の作業補助システムにおける好ましい実施の形態例を示す図で、(A)はシステム構成のブロック図、(B)はデータ処理装置のデータ記憶部の構成図、(C)はデータ処理装置の制御部の構成図である。
【図2】図1のモーションキャプチャに使用されるセンサのキャリブレーションの例を示す説明図である。
【図3】モーションキャプチャで検出した位置情報の例を示す説明図である。
【図4】本発明の作業補助方法における好ましい実施の形態例を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の作業補助システム及び作業補助方法が適用されるウインドガラスを車両の窓開口部に圧着する状態を示す図で、(A)は作業者が手で持つ吸着盤と、産業用ロボットの保持部に装着された吸着盤とを、ウインドガラスに吸着させた状態の説明図、(B)は作業者が手で持つ吸着盤の側面図、(C)は産業用ロボットの全体斜視図である。
【図6】本発明の作業補助方法における他の好ましい実施の形態例を示すフローチャート図である。
【図7】図6の作業補助方法による作業の工程順序を示す説明図で、(A)はウインドガラスを作業者の手及び産業用ロボットの保持部でウインドガラス取付位置に移動させている状態を示す図、(B)は部品取付位置における予め定められた座標軸と、その座標軸と直交する座標軸との交点位置を回転中心にしてウインドガラスを作業者の手で回転移動させている状態を示す図、(C)はウインドガラスを部品取付位置に位置させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、作業補助システム及び作業補助方法並びに該作業補助方法を記録した記録媒体を実施するための最良の形態例について、図面を参照して説明する。
【0032】
本発明の作業補助システムは、工場内の生産ラインにおいて、作業者が生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行う際、産業用ロボットでその部品取付作業を補助させるもので、部品の一方側を作業者が手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、部品が配置されている部品配置位置から生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付けるための部品取付位置まで部品を移動することで、産業用ロボットの保持部も強制移動させ、さらに、作業者の手及び産業用ロボットの保持部で部品を押圧することで当該部品を製品に取り付けるものである。
【0033】
この作業補助システムは図1(A)に示すように、作業者の手に装着され、当該手による作業動作を経時的に測定してその測定結果である動作情報を3次元座標データとして送信するモーションキャプチャ2と、作業者の手に装着され、部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信する圧力センサ23と、モーションキャプチャ2から送信される3次元座標データ及び圧力センサ23から送信される圧力検出データに基づき産業用ロボット4を制御する制御部31を有するデータ処理装置3とから構成されている。なお、産業用ロボット4は図5(C)に示すように、複数のアーム42がそれぞれ関節部にて連結され先端のアームには保持部43が回動可能に設けられた多関節型のロボットである。
【0034】
モーションキャプチャ2は、汎用のものを用いることができ、動体に装着された光学マーカの位置情報により動体の動きを検出する光学式や、動体に装着された磁気センサの動きを検出する磁気式が一般的である。特に、経時的に測定する対象が、部品同士を嵌合させる部品組付作業を行っている作業者の作業動作の場合には、モーションキャプチャ2としては、作業者の手指に装着される位置センサ21である磁気式3次元位置姿勢センサと、磁気式3次元位置姿勢センサで検出された作業者の作業動作情報を受信してデータ処理装置3に作業動作検出データを送信する信号処理部22とを備えているものが好適である。このモーションキャプチャの場合、磁気式3次元位置姿勢センサを手指の繊細な動きを検出できるように柔軟性のあるグローブに複数配置することで、作業者の手指の繊細な動きを検出可能になることから、作業者の作業動作を精度よく再現することが可能になるので、作業者の手指による複雑な作業動作に対応可能となる。
【0035】
このモーションキャプチャ2とデータ処理装置3とは、有線、無線の何れの接続手段でもよく、設置状況に応じて選択する。このような磁気式モーションキャプチャとして、例えば、特開2007−236602号公報に開示された磁気式3次元位置姿勢センサを用いた手指用モーションキャプチャ装置が好適である。
【0036】
この手指用モーションキャプチャ装置は図2、図3に示すように、例えば親指の先端に位置するセンサ21aの中心に原点を仮定すると、信号処理部22の固定基準点から見たセンサ21aの位置座標(X軸、Y軸、Z軸)及びX軸、Y軸、Z軸の周りの回転角から求められる姿勢を示すオイラー角の情報が得られ、データ処理装置3に記録される。この場合におけるセンサ装着時の位置及び角度のズレのキャリブレーションは、特開2007−236602号公報に詳述されているので、説明は省略する。
【0037】
圧力センサ23は、例えばモーションキャプチャ2のグローブに装着することが好ましく、指先の指腹部に配置することで、指先に加わる圧力を検出することができる。この場合、圧力センサ23を各指先の指腹部に配置することにより、各指先に加わる圧力を検出することができることから、作業者の作業動作を精度よく再現することが可能になるので、作業者の手指による複雑な作業動作に対応可能となる。この圧力センサ23は、指先に加わる圧力を、ダイヤフラムを介して感圧素子で計測し、電気信号に変換して出力するもので、半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサや静電容量形圧力センサが知られている。
【0038】
データ処理装置3はコンピュータが好ましく、内部にCPU等の演算処理装置を備えると共に、ブラウン管モニタや液晶ディスプレイ等の表示画面を有する表示装置や、キーボード、マウス等の入力デバイス、さらに、ハードディスクドライブ等の記憶装置等で構成されている。
【0039】
このようなデータ処理装置3は図1(A)、(B)に示すように、制御部31と共に、3次元座標データで、部品取付位置における作業者の手の作業位置の標準(以下、「標準作業位置」と称する。)である作業者用作業位置標準データ32aが登録されたデータ記憶部32と、モーションキャプチャ2の位置センサ21から時系列で受信する3次元座標データ、及び圧力センサ23から時系列で受信する圧力検出データをデータ処理装置3用の座標データに変換するデータ形式変換部33と、モーションキャプチャ2の位置センサ21から時系列で受信する3次元座標データ、及び圧力センサ23から時系列で受信する圧力検出データがデータ形式変換部33でデータ変換されたデータ処理装置3用の座標データを、産業用ロボットを動作させるためのロボット言語に変換するロボット言語変換部34とを備えている。なお、データ形式変換部33は、モーションキャプチャ2の位置センサ21から時系列で受信する3次元座標データ及び圧力センサ23から時系列で受信する圧力検出データが、データ処理装置3用の座標データとデータ形式が同一の場合にはデータ処理装置3に備えなくともよい。
【0040】
制御部31は図1(C)に示すように、モーションキャプチャ2の位置センサ21から得られた3次元座標データの値と、データ記憶部32に登録された作業者用作業位置標準データ32aの値とを比較して、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データ32aの値に設定された誤差範囲内の場合には作業者の手が標準作業位置に到達したと判定する部品取付位置判定機能31aと、部品取付位置判定機能31aで作業者の手が標準作業位置に到達したと判定すると、作業者が手で部品を押圧することで圧力センサ23から送信される圧力検出データの値に応じた値で、産業用ロボット4の保持部43(図5(C)参照。)で部品を押圧させる保持部押圧機能31bとを有している。なお、部品取付位置判定機能31aにおける作業者用作業位置標準データ32aの値に設定された誤差範囲とは、作業者の手の作業位置がばらついても生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業に影響を及ぼすことのない範囲である。
【0041】
また、制御部31は、データ記憶部32の作業者用作業位置標準データ32aに基づき、作業者が製品の一方側を保持した位置と、産業用ロボット4の保持部43が製品の他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔にした状態で導き出される産業用ロボット4の保持部43の部品取付位置におけるロボット用作業位置標準データと、作業者の部品の移動作業により移動された保持部43の位置情報を産業用ロボット4から得ることができる位置データとを比較して、異なる場合には保持部43の位置をロボット用作業位置標準データの値まで補正するロボット位置補正機能31cを有している。なお、図1(B)に示すように、ロボット用作業位置標準データ32bはデータ記憶部32に登録されている。
【0042】
作業者の手が部品取付位置に正常に移動しても、その作業者の手で部品を介して強制移動された産業用ロボット4の保持部43がその部品取付位置に正常に移動するとは限らないので、このロボット位置補正機能31cにより産業用ロボット4の保持部43の位置を最終補正させる。この最終補正により、産業用ロボット4の保持部43を、部品取付位置に対して精度よく位置させることができるようになる。
【0043】
なお、制御部31は図1(C)において、ロボット追従機能31e、ロボット制御機能31f及び保持部固定機能31gが記載されているが、この作業補助システム1には備わってはいない。
【0044】
また、データ記憶部32は図1(B)に示すように、3次元座標データで、標準作業位置で作業者が部品を製品に取り付けるための当該部品の取付角度の標準である取付角度標準データ32cが登録され、制御部31は図1(C)に示すように、産業用ロボットの保持部による部品の取付角度を取付角度標準データ32cに基づき補正するロボット角度補正機能31dを有している。
【0045】
作業者が必ずしも適正な角度で部品を製品に取り付けるとは限らないので、このロボット角度補正機能31dでロボット4の保持部43の角度を最終補正させる。この最終補正により、産業用ロボット4の保持部43を、製品に対して取り付け易い角度で部品を取り付けることができるようになる。
【0046】
データ記憶部32は、データを更新自在に記憶できるRAMや固定データを記憶するROM等で構成されている。このデータ記憶部32に登録される作業者用作業位置標準データ及びロボット用作業位置標準データは、位置センサ21が磁気式3次元位置姿勢センサの場合には、位置座標(X軸、Y軸、Z軸)や、X軸、Y軸、Z軸の周りの回転角から求められる姿勢を示すオイラー角の情報である。また、作業者用作業位置標準データ、ロボット用作業位置標準データ及び取付角度標準データは、作業対象となる車両毎にデータ記憶部32に登録されている。
【0047】
データ記憶部32に登録されている作業者用作業位置標準データは、熟練工による部品取付作業から得られたデータであり、部品取付作業を行っている熟練工の手による作業動作をモーションキャプチャの位置センサ21で経時的に測定して、その測定結果から得られた作業者用作業位置データを作業者用作業位置標準データとしている。
【0048】
ロボット言語変換部34は、モーションキャプチャ2の位置センサ21から時系列で受信する3次元座標データ、及び圧力センサ23から時系列で受信する圧力検出データに基づき産業用ロボット4の移動経路、姿勢、先端位置等を算出して、当該産業用ロボット4を作業者の作業動作に応じて動作させるように、所定のロボット言語の文法に従ったロボット動作用データに変換させることができる。
【0049】
このような作業補助システム1で制御される産業用ロボット4は、例えば図5(C)に示すように、複数のアーム42がそれぞれ関節部にて連結された多関節型のロボットで、この複数のアーム42も台座41の回転により水平方向で回転させることができ、また、複数のアーム42の先端には保持部43が関節部で連結されている。したがって、産業用ロボット4は各関節部に設けられたサーボモータを連動させることで、保持部43を目的地まで移動させることができる。なお、この作業補助システム1が使用される産業用ロボット4は、作業者が、部品が配置されている位置から生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付けるための部品取付位置まで部品を移動することで、保持部43を強制移動させるので、作業者が手で保持部を移動させることができるような関節機構で構成されている。
【0050】
上述した作業補助システム1の各構成部は図1(A)に示すように、それぞれ電気的に接続され、モーションキャプチャ2では位置センサ21及び圧力センサがそれぞれ信号処理部22に接続されている。データ処理装置3は制御部31とデータ記憶部32が接続され、この制御部31にはデータ形式変換部33を介して信号処理部22が、また、ロボット言語変換部34を介して産業用ロボット4がそれぞれ接続されている。
【0051】
このように構成された作業補助システム1におけるデータ処理装置3の各構成は、演算処理装置によって実行されるプログラムによって実現されるものである。このプログラムによるデータ処理手順について図1(A)、(B)、(C)の図、図4のフローチャート及び図5の説明図に基づき説明する。
【0052】
また、このデータ処理手順による作業補助方法が適用される生産ラインは自動車の組立ラインで、脱脂、プライマ処理及び接着剤塗布の前処理を終えたウインドガラスWGを、作業者によってウインドガラス配置位置からウインドガラス取付位置まで移動後、産業用ロボット41をデータ処理装置3の制御部31で制御しながら当該ウインドガラスWGを、組立ライン上を搬送される車体Bのフロントあるいはリアの窓開口部に取り付けるウインドガラス取付工程である。なお、作業者は図5(A)、(B)に示すように、手で持つことができる吸着パッド5でウインドガラスWGの一方側を吸着することで保持し、産業用ロボット41は図5(A)、(C)に示すように、保持部43は吸着パッドでウインドガラスWGの他方側を吸着することで保持することができる。この吸着パッドはウインドガラスWGを吸着させるので、真空吸着パッドが好適である。また、作業者は、車体の窓開口部にウインドガラスを取り付ける取付作業を開始する際、作業対象の車両情報を、予めデータ処理装置3で設定することで、組立ライン上を搬送される車両の作業者用作業位置標準データをデータ記憶部32から呼び出すことができる。また、作業者はモーションキャプチャ2を利き手である例えば右手に装着しているものとする。
【0053】
ウインドガラス配置位置で、図5(A)に示すように、作業者がウインドガラスWGの一方側を吸着パッド5で吸着することで保持し、ウインドガラスWGの他方側を産業用ロボット4の吸着パッド43で吸着することで保持した状態で、当該作業者がウインドガラスWGをウインドガラス配置位置からウインドガラス取付位置まで移動すると(ステップ101)、作業者の手の作業動作をモーションキャプチャ2は位置センサ21で経時的に測定し、その測定結果である3次元座標データを信号処理部22からデータ処理装置3に送信する。データ処理装置3は3次元座標データを取得すると(ステップ102)、データ形式変換部33でデータ形式がデータ処理装置3用に変換された3次元座標データを制御部31に送信し、制御部31は部品取付位置判定機能31aでこのデータ形式がデータ処理装置3用に変換された3次元座標データの値と、データ記憶部32に登録された作業者用作業位置標準データの値とを比較する(ステップ103)。
【0054】
制御部31は、部品取付位置判定機能31aで、この3次元座標データの値と作業者用作業位置標準データの値とを比較した結果、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には作業者の手が標準作業位置に到達したと判定して、ロボット位置補正機能31cへと移行する。また、制御部31は、部品取付位置判定機能31aで、この3次元座標データの値と作業者用作業位置標準データの値とを比較した結果、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲から外れた場合には、ステップ102へと戻ることになる。
【0055】
制御部31は、ロボット位置補正機能31cで、データ記憶部32に登録されたロボット用作業位置標準データ32bと、産業用ロボット4から得られた吸着パッド43の位置データとを比較して、異なる場合には吸着パッド43の位置をロボット用作業位置標準データ32bの値まで補正して、ロボット角度補正機能31dへと移行する(ステップ104)。なお、比較結果が同じ場合にもロボット角度補正機能31dへと移行する。
【0056】
制御部31は、ロボット角度補正機能31dで、産業用ロボット4の吸着パッド43によるウインドガラスWGの取付角度をデータ記憶部32に登録された取付角度標準データに基づき補正する(ステップ105)。なお、産業用ロボット4の吸着パッド43によるウインドガラスWGの取付角度が、データ記憶部32に登録された取付角度標準データと同じ場合には補正は行わない。
【0057】
制御部31は、ステップ105まで処理すると、圧力センサ23から送信される圧力検出データの取得を開始する(ステップ106)。制御部31は、保持部押圧機能31bで、作業者が吸着パッド5を介して手でウインドガラスWGを車体の窓開口部に圧着することで圧力センサ23から送信される圧力検出データの値に応じた値で、産業用ロボット4の吸着パッド43で部品を圧着するように当該産業用ロボット4を制御する(ステップ107)。したがって、ウインドガラス取付位置において、作業者の手で強制移動された産業用ロボット4の吸着パッド43、及び当該作業者の手により、同じ圧力値でウインドガラスWGを車体の窓開口部に押圧することができるので、二人の作業者によって車体の窓開口部にウインドガラスWGを取り付けるウインドガラス取付作業を、作業者の勘や骨に頼ることなく一人の作業者で効率よく且つ正確に行うことができるようになる。
【0058】
このように、ステップ107が行われると、制御部31による作業補助は終了する(ステップ108)。
【0059】
なお、作業補助システムは上述した作業補助システム1に限らず、図1(A)、(B)、(C)に示すような作業補助システム10でもよい。この作業補助システム10は、工場内の生産ラインにおいて、作業者が生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、部品の一方側を作業者が手で保持し他方側を産業用ロボット4がアーム42の先端に連結された保持部43で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、部品が配置されている部品配置位置から生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付けるための部品取付位置まで部品を移動することで、製品の他方側を保持した産業用ロボット4の保持部43がアーム42を介して部品取付位置まで移動され、さらに、作業者の手及び産業用ロボット4の保持部43で部品を押圧することで当該部品を製品に取り付けるものである。
【0060】
このような作業補助システム10は、作業補助システム1の各部構成の他に図1(C)に示すように、モーションキャプチャ2の位置センサ21から時系列で受信する3次元座標データに基づき産業用ロボット4の保持部43を作業者の手による作業動作に追従させるロボット追従機能31eと、作業者が部品の一方側を保持した位置と、産業用ロボット4の保持部43が部品の他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔で維持した状態で当該産業用ロボット4をロボット追従機能31eで制御するロボット制御機能31fとを制御部31に有している。
【0061】
このロボット追従機能31e及びロボット制御機能31fを有する制御部31は、部品の一方側を作業者が手で保持し他方側を産業用ロボット4がアーム42の先端に連結された保持部43で保持して、部品の一方側を保持した作業者が、生産ラインにおいて部品配置位置から部品取付位置まで部品を移動すると、ロボット制御機能31fで作業者が製品の一方側を保持した位置と、産業用ロボット4の保持部43が製品の他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔で維持した状態で、ロボット追従機能31eが産業用ロボット4を、作業者の手に装着されたモーションキャプチャ2の位置センサ21から時系列で受信する3次元座標データに基づき動作させることができるので、産業用ロボット4を作業者の手の作業動作と同様の作業動作で制御することができる。即ち、作業者の手の作業動作に沿って産業用ロボット4を動作させることができるので、部品を部品取付位置にほぼ正確に移動させることができる。
【0062】
また、作業補助システム10は図1(C)、図7(A)、(B)、(C)に示すように、制御部31に、産業用ロボット4の保持部43が部品取付位置における予め定められた座標軸CA1上に到達した場合には、モーションキャプチャ2が座標軸CA1上に到達するまでは保持部43を当該座標軸CA1上に固定させ、さらに、保持部43が部品取付位置における座標軸CA1と直交する座標軸CA2に到達すると、当該保持部43を座標軸CA2上に固定する保持部固定機能31gを有している。なお、モーションキャプチャ2が座標軸CA1上に到達するまでは保持部43を当該座標軸CA1上に固定させているが、この場合、保持部43は座標軸CA2上では移動可能になっている。
【0063】
この保持部固定機能31gを有する制御部31は、産業用ロボット4の保持部43がロボット追従機能31e及びロボット制御機能31fで制御されて、部品を部品取付位置に移動させる際、保持部43が部品取付位置における座標軸CA1上及びその座標軸CA1と直交する座標軸CA2上に到達すると、別々に固定していくので、産業用ロボット4の保持部43を、部品取付位置に対して精度よく位置させることができるようになる。
【0064】
このように構成された作業補助システム10におけるデータ処理装置3の各構成は、作業補助システム1と同様に、演算処理装置によって実行されるプログラムによって実現されるものである。このプログラムによるデータ処理手順について図1(A)、(B)、(C)の図、図5の説明図、図6のフローチャート及び図7(A)、(B)、(C)の説明図に基づき説明する。
【0065】
このデータ処理手順による作業補助方法が適用される生産ラインは上述した実施例と同様に、自動車の組立ラインで、脱脂、プライマ処理及び接着剤塗布の前処理を終えたウインドガラスWGを、作業者による作業動作と共に、産業用ロボット4をデータ処理装置3の制御部31で制御しながらウインドガラス配置位置からウインドガラス取付位置まで移動後、さらに、産業用ロボット41をデータ処理装置3の制御部31で制御しながら当該ウインドガラスWGを、組立ライン上を搬送される車体Bのフロントあるいはリアの窓開口部に取り付けるウインドガラス取付工程である。また、上述した実施例と同様に、作業者は図5(A)、(B)に示すように、手で持つことができる吸着パッド5でウインドガラスWGの一方側を吸着することで保持し、産業用ロボット41は図5(A)、(C)に示すように、保持部43は吸着パッドでウインドガラスWGの他方側を吸着することで保持することができる。この吸着パッドはウインドガラスWGを吸着させるので、真空吸着パッドが好適である。また、作業者は、車体の窓開口部にウインドガラスを取り付ける取付作業を開始する際、作業対象の車両情報を、予めデータ処理装置3で設定することで、組立ライン上を搬送される車両の作業者用作業位置標準データをデータ記憶部32から呼び出すことができる。また、作業者はモーションキャプチャ2を利き手である例えば右手に装着しているものとする。
【0066】
ウインドガラス配置位置で、図5(A)に示すように、作業者がウインドガラスWGの一方側を吸着パッド5で吸着することで保持し、ウインドガラスWGの他方側を産業用ロボット4の吸着パッド43で吸着することで保持した状態で、図7(A)に示すように、当該作業者がウインドガラスWGをウインドガラス配置位置からウインドガラス取付位置まで移動すると(ステップ201)、作業者の手の作業動作をモーションキャプチャ2は位置センサ21で経時的に測定し、その測定結果である3次元座標データを信号処理部22からデータ処理装置3に送信する。データ処理装置3は3次元座標データを取得すると(ステップ202)、データ形式変換部33でデータ形式がデータ処理装置3用に変換された3次元座標データを制御部31に送信し、制御部31はロボット追従機能31eでモーションキャプチャ2から時系列で受信する3次元座標データに基づき産業用ロボット4の吸着パッド43を作業者の手に作業動作に追従させる(ステップ203)。この際、制御部31は、ロボット制御機能31fで作業者が、ウインドガラスWGの一方側を吸着パッド5で吸着して保持した位置と、産業用ロボット4の吸着パッド43が、ウインドガラスWGの他方側を吸着して保持した位置との間を実質的に一定間隔で維持した状態で当該産業用ロボット4をロボット追従機能31eで制御している。
【0067】
制御部31は部品取付位置判定機能31aでこのデータ形式がデータ処理装置3用に変換された3次元座標データの値と、データ記憶部32に登録された作業者用作業位置標準データの値とを比較する(ステップ204)。
【0068】
制御部31は、部品取付位置判定機能31aで、この3次元座標データの値と作業者用作業位置標準データの値とを比較した結果、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には作業者の手が標準作業位置に到達したと判定して、保持部固定機能31gへと移行する。制御部31は、保持部固定機能31gで図7(B)に示すように、産業用ロボット4の吸着パッド43が部品取付位置における座標軸CA1上に到達した場合には、モーションキャプチャ2が座標軸CA1上に到達するまでは吸着パッド43を当該座標軸CA1上に固定させ、さらに、吸着パッド43が部品取付位置における座標軸CA1と直交する座標軸CA2に到達すると、当該吸着パッド43を座標軸CA1と直交する座標軸CA2上に固定する(ステップ205)。したがって、作業者は、部品取付位置において、吸着パッド43の位置を微調整することができる。
【0069】
なお、制御部31は、部品取付位置判定機能31aで、3次元座標データの値と作業者用作業位置標準データの値とを比較した結果、3次元座標データの値が作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲から外れた場合には、ステップ202へと戻ることになる。
【0070】
制御部31は、図7(C)に示すように、吸着パッド43の位置が部品取付位置となる座標軸CA1と座標軸CA2との交点に到達すると、ロボット角度補正機能31dへと移行する(ステップ206)。なお、比較結果が同じ場合にもロボット角度補正機能31dへと移行する。
【0071】
制御部31は、ロボット角度補正機能31dで、産業用ロボット4の吸着パッド43によるウインドガラスWGの取付角度をデータ記憶部32に登録された取付角度標準データに基づき補正する(ステップ206)。なお、産業用ロボット4の吸着パッド43によるウインドガラスWGの取付角度が、データ記憶部32に登録された取付角度標準データと同じ場合には補正は行わない。
【0072】
制御部31は、ステップ206まで処理すると、圧力センサ23から送信される圧力検出データの取得を開始する(ステップ207)。制御部31は、保持部押圧機能31bで、作業者が吸着パッド5を介して手でウインドガラスWGを車体の窓開口部に圧着することで圧力センサ23から送信される圧力検出データの値に応じた値で、産業用ロボット4の吸着パッド43で部品を圧着するように当該産業用ロボット4を制御する(ステップ208)。したがって、作業者の手及び産業用ロボット4の吸着パッド43でウインドガラス取付位置にほぼ正確に移動させたウインドガラスWGを、さらに、産業用ロボット4の吸着パッド43、及び当該作業者の手により、同じ圧力値でウインドガラスWGを車体の窓開口部に押圧することができるので、二人の作業者によって車体の窓開口部にウインドガラスWGを取り付けるウインドガラス取付作業を、作業者の勘や骨に頼ることなく一人の作業者で効率よく且つ正確に行うことができるようになる。
【0073】
このように、ステップ208が行われると、制御部31による作業補助は終了する(ステップ209)。
【0074】
このようなデータ処理手順がデータ処理装置3の演算処理装置によって実行されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能なCD、DVD等の記録媒体に記録させておくことで、複数のデータ処理装置3で利用可能になる。
【0075】
なお、上述した実施例では、自動車の組立ラインに適用させていたが、これに限らず、作業者と産業用ロボットとで製品に部品を取り付けることが可能な作業ならば、どのような工場内の生産ラインにも適用させることができる。
【0076】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0077】
1、10……作業補助システム
2……モーションキャプチャ
23……圧力センサ
31……制御部
31a……部品取付位置判定機能
31b……保持部押圧機能
31c……ロボット位置補正機能
31d……ロボット角度補正機能
31e……ロボット追従機能
31f……ロボット制御機能
31g……保持部固定機能
32……データ記憶部
32a……作業者用作業位置標準データ
32b……ロボット用作業位置標準データ
32c……取付角度標準データ
4……産業用ロボット
41……アーム
43……吸着パッド(保持部)
WG……ウインドガラス(部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工場内の生産ラインにおいて、作業者が前記生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、前記部品の一方側を前記作業者が手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、前記部品の前記一方側を保持した前記作業者が、前記部品が配置されている部品配置位置から前記生産ライン上を搬送される前記製品に前記部品を取り付けるための部品取付位置まで前記部品を移動することで、前記製品の前記他方側を保持した前記産業用ロボットの前記保持部も強制移動させ、さらに、前記作業者の前記手及び前記産業用ロボットの前記保持部で前記部品を押圧することで当該部品を前記製品に取り付ける作業補助システムであって、
前記作業者の前記手に装着され、当該手による作業動作を経時的に測定してその測定結果である動作情報を3次元座標データとして送信するモーションキャプチャと、
前記作業者の前記手に装着され、前記部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信する圧力センサと、
前記3次元座標データで、前記部品取付位置における前記作業者の前記手の作業位置の標準である作業者用作業位置標準データが登録されたデータ記憶部と、
前記モーションキャプチャから送信される前記3次元座標データ、及び前記圧力センサから送信される前記圧力検出データに基づき前記産業用ロボットを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記モーションキャプチャから得られた前記3次元座標データの値と、前記データ記憶部に登録された前記作業者用作業位置標準データの値とを比較して、前記3次元座標データの値が前記作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には前記作業者の前記手が前記標準作業位置に到達したと判定する部品取付位置判定機能と、
前記部品取付位置判定機能で前記作業者の前記手が前記標準作業位置に到達したと判定すると、前記作業者が前記手で前記部品を押圧することで前記圧力センサから送信される前記圧力検出データの値に応じた圧力値で、前記産業用ロボットの前記保持部で前記部品を押圧させる保持部押圧機能とを有することを特徴とする作業補助システム。
【請求項2】
工場内の生産ラインにおいて、作業者が前記生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、前記部品の一方側を前記作業者が手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、前記部品の前記一方側を保持した前記作業者が、前記部品が配置されている部品配置位置から前記生産ライン上を搬送される前記製品に前記部品を取り付けるための部品取付位置まで前記部品を移動することで、前記製品の前記他方側を保持した前記産業用ロボットの前記保持部が前記アームを介して前記部品取付位置まで移動され、さらに、前記作業者の前記手及び前記産業用ロボットの前記保持部で前記部品を押圧することで当該部品を前記製品に取り付ける作業補助システムであって、
前記作業者の前記手に装着され、当該手による作業動作を経時的に測定してその測定結果である動作情報を3次元座標データとして送信するモーションキャプチャと、
前記作業者の前記手に装着され、前記部品に加わる荷重を経時的に測定してその測定結果である圧力検出データを送信する圧力センサと、
前記モーションキャプチャから送信される前記3次元座標データ、及び前記圧力センサから送信される前記圧力検出データに基づき前記産業用ロボットが動作するように制御する制御部と、
前記3次元座標データで、前記部品取付位置における前記作業者の前記手の作業位置の標準である作業者用作業位置標準データが登録されたデータ記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記モーションキャプチャから時系列で受信する前記3次元座標データに基づき前記産業用ロボットの前記保持部を前記作業者の前記手による前記作業動作に追従させるロボット追従機能と、
前記作業者が前記部品の前記一方側を保持した位置と、前記産業用ロボットの前記保持部が前記部品の前記他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔で維持した状態で当該産業用ロボットを前記ロボット追従機能で制御するロボット制御機能と、
前記モーションキャプチャから得られた前記3次元座標データの値と、前記データ記憶部に登録された前記作業者用作業位置標準データの値とを比較して、前記3次元座標データの値が前記作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には前記作業者の前記手が前記標準作業位置に到達したと判定する部品取付位置判定機能と、
前記部品取付位置判定機能で前記作業者の前記手が前記標準作業位置に到達したと判定すると、前記作業者が前記手で前記部品を押圧することで前記圧力センサから送信される前記圧力検出データの値に応じた圧力値で、前記産業用ロボットの前記保持部で前記部品を押圧させる保持部押圧機能とを有することを特徴とする作業補助システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記データ記憶部の前記作業者用作業位置標準データに基づき、前記作業者が前記製品の前記一方側を保持した位置と、前記産業用ロボットの前記保持部が前記製品の前記他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔にした状態で導き出される前記産業用ロボットの前記保持部の前記部品取付位置におけるロボット用作業位置標準データと、
前記作業者の前記部品の移動作業により移動された前記保持部の位置情報を前記産業用ロボットから得ることができる位置データとを比較して、
異なる場合には前記保持部の位置を前記ロボット用作業位置標準データの値まで補正するロボット位置補正機能を有することを特徴とする請求項1記載の作業補助システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記産業用ロボットの前記保持部が前記部品取付位置における予め定められた座標軸上に到達した場合には、前記モーションキャプチャが前記予め定められた座標軸上に到達するまでは前記保持部を当該座標軸上に固定させ、さらに、前記保持部が前記部品取付位置における前記予め定められた前記座標軸と直交する座標軸に到達すると、当該保持部を前記座標軸と直交する前記座標軸上に固定する保持部固定機能を有することを特徴とする請求項2記載の作業補助システム。
【請求項5】
前記データ記憶部は、前記3次元座標データで、前記標準作業位置で前記作業者が前記部品を前記製品に取り付けるための当該部品の取付角度の標準である取付角度標準データが登録され、
前記制御部は、前記産業用ロボットの前記保持部による前記部品の前記取付角度を前記取付角度標準データに基づき補正するロボット角度補正機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の作業補助システム。
【請求項6】
前記モーションキャプチャは、
前記作業者の手指に装着される複数の磁気式3次元位置姿勢センサと、
前記磁気式3次元位置姿勢センサ群で検出された前記作業者の作業動作情報を受信して前記データ処理装置に送信する信号処理部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち何れか1項に記載の作業補助訓練システム。
【請求項7】
前記圧力センサは、前記作業者の前記手指に複数装着されていることを特徴とする請求項6記載の作業補助システム。
【請求項8】
工場内の生産ラインにおいて、作業者が前記生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、前記部品の一方側を前記作業者がモーションキャプチャ及び圧力センサを装着した手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、前記部品の前記一方側を保持した前記作業者が、前記部品が配置されている部品配置位置から前記生産ライン上を搬送される前記製品に前記部品を取り付けるための部品取付位置まで前記部品を移動することで、前記製品の前記他方側を保持した前記産業用ロボットの前記保持部が強制移動される際、前記作業者の作業動作を前記モーションキャプチャで経時的に測定しその測定結果である3次元座標データを前記産業用ロボットを制御する制御部に送信すると共に、さらに、前記作業者の前記手及び前記産業用ロボットの前記保持部で前記部品を押圧することで当該部品を前記製品に取り付ける際、前記部品に加わる荷重を前記圧力センサで経時的に測定しその測定結果である圧力検出データも前記制御部に送信して、当該制御部で前記産業用ロボットを前記作業者の前記作業動作に準じて動作させる作業補助方法であって、
前記制御部は、
前記モーションキャプチャから得られた前記3次元座標データの値と、前記部品取付位置における前記作業者の前記手の作業位置の標準である作業者用作業位置標準データの値とを比較して、前記3次元座標データの値が前記作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には前記作業者の前記手が前記標準作業位置に到達したと判定するステップと、
前記ステップで前記作業者の前記手が前記標準作業位置に到達したと判定すると、前記作業者が前記手で前記部品を押圧することで前記圧力センサから送信される前記圧力検出データの値に応じた圧力値で、前記産業用ロボットの前記保持部で前記部品を押圧させるステップとを有することを特徴とする作業補助方法。
【請求項9】
工場内の生産ラインにおいて、作業者が前記生産ライン上を搬送される製品に部品を取り付ける部品取付作業を行うために、前記部品の一方側を前記作業者がモーションキャプチャ及び圧力センサを装着した手で保持し他方側を産業用ロボットがアームの先端に連結された保持部で保持して、前記部品の前記一方側を保持した前記作業者が、前記部品が配置されている部品配置位置から前記生産ライン上を搬送される前記製品に前記部品を取り付けるための部品取付位置まで前記部品を移動することで、前記製品の前記他方側を保持した前記産業用ロボットの前記保持部が前記アームを介して前記部品取付位置まで移動される際、前記作業者の作業動作を前記モーションキャプチャで経時的に測定しその測定結果である3次元座標データを前記産業用ロボットを制御する制御部に送信すると共に、さらに、前記作業者の前記手及び前記産業用ロボットの前記保持部で前記部品を押圧することで当該部品を前記製品に取り付ける際、前記部品に加わる荷重を前記圧力センサで経時的に測定しその測定結果である圧力検出データも前記制御部に送信して、当該制御部で前記産業用ロボットを前記作業者の前記作業動作に準じて動作させる作業補助方法であって、
前記制御部は、
前記モーションキャプチャから時系列で受信する前記3次元座標データに基づき前記産業用ロボットの前記保持部を前記作業者の前記手による前記作業動作に追従させるステップと、
前記作業者が前記部品の前記一方側を保持した位置と、前記産業用ロボットの前記保持部が前記部品の前記他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔で維持した状態で、当該産業用ロボットの前記保持部を前記作業者の前記手による前記作業動作に追従させるステップと、
前記モーションキャプチャから得られた前記3次元座標データの値と、前記部品取付位置における前記作業者の前記手の作業位置の標準である作業者用作業位置標準データの値とを比較して、前記3次元座標データの値が前記作業者用作業位置標準データの値に設定された誤差範囲内の場合には前記作業者の前記手が前記標準作業位置に到達したと判定するステップと、
前記ステップで前記作業者の前記手が前記標準作業位置に到達したと判定すると、前記作業者が前記手で前記部品を押圧することで前記圧力センサから送信される前記圧力検出データの値に応じた圧力値で、前記産業用ロボットの前記保持部で前記部品を押圧させるステップとを有することを特徴とする作業補助方法。
【請求項10】
前記制御部は、
前記作業者用作業位置標準データに基づき、前記作業者が前記製品の前記一方側を保持した位置と、前記産業用ロボットの前記保持部が前記製品の前記他方側を保持した位置との間を実質的に一定間隔にした状態で導き出される前記産業用ロボットの前記保持部の前記部品取付位置におけるロボット用作業位置標準データと、
前記作業者の前記部品の移動作業により移動された前記保持部の位置情報を前記産業用ロボットから得ることができる位置データとを比較して、
異なる場合には前記保持部の位置を前記ロボット用作業位置標準データの値まで補正するステップを有することを特徴とする請求項8記載の作業補助方法。
【請求項11】
前記制御部は、
前記産業用ロボットの前記保持部が前記部品取付位置における予め定められた前記座標軸上に到達した場合には、前記モーションキャプチャが前記予め定められた座標軸上に到達するまでは前記保持部を当該座標軸上に固定させ、さらに、前記保持部が前記部品取付位置における前記予め定められた前記座標軸と直交する座標軸に到達すると、当該保持部を前記座標軸と直交する前記座標軸上に固定するステップを有することを特徴とする請求項9記載の作業補助方法。
【請求項12】
前記制御部は、
前記産業用ロボットの前記保持部による前記部品の前記取付角度を、前記3次元座標データで、前記標準作業位置で前記作業者が前記部品を前記製品に取り付けるための当該部品の取付角度の標準である取付角度標準データに基づき補正するステップを有することを特徴とする請求項8乃至請求項11のうち何れか1項に記載の作業補助方法。
【請求項13】
請求項8乃至請求項12のうち何れか1項に記載の作業補助方法によって実現するためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−156641(P2011−156641A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22137(P2010−22137)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【出願人】(504409543)国立大学法人秋田大学 (210)
【Fターム(参考)】