説明

信号電力を混合する回路及び方法

本開示は信号電力を混合する手法を含む。一実施形態では、複数の電力増幅器が増幅信号を生成する。複数の第1伝送線は電力増幅器の出力に電気的に結合される。複数の第2伝送線は複数の第1伝送線に磁気的に結合され増幅信号を受信する。増幅信号は複数の第2伝送線を中央導電域内からノードへと伝播する。増幅信号はノードで加算される。ノードはアンテナ端子に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年5月19日に出願した米国仮出願第61/179,592号明細書に基づく優先権を主張するものであり、その内容の全体を参照により本出願に組み込む。
【背景技術】
【0002】
本発明は電子回路における信号の混合に関する。
【0003】
特に明記のない限り、ここに記載された手法は、本出願の請求項に対する従来技術ではなく、ここに包含されることにより従来技術であると認められるものではない。
【0004】
多くの電子回路は、さまざまな機能を実行するべく信号処理を行う。一般的に、そのような電子回路の信号は、電圧及び電流値の変更を含み、電圧及び電流の変動は、例えば情報を表す。多くの電子システムの制限の一つとして、電圧及び電流信号の送信のために電子システムが生成可能な電力の量がある。例えば、無線システムにおいては、信号の受信を確実にするために、無線周波数(RF:Radio Frequency)信号の送信を最小限の電力レベルで行う必要がある場合がある。しかしながら、システム内の電子回路の電力出力は、例えば供給電圧または供給電流等の要件によって制限される場合がある。
【0005】
例えば、トランジスタのサイズが減少すると、トランジスタを使用する電子回路は高速化し、より高い周波帯での動作が可能となる。しかしながら、トランジスタのサイズが減少すると、ブレイクダウン電圧も低下することから、デバイス動作の安全性を図るためには供給電圧を下げる必要がある。供給電圧が低いと、このようなデバイス内のトランジスタが生成可能な電力の量が減少する。例えば、無線システムでは、供給電圧が低いと、アンテナを駆動するための電力が減少する。つまり、無線システムがRF信号を送信できる距離を短縮することになる。
【発明の開示】
【0006】
本発明の実施形態は、信号電力を混合する手法を含む。一実施形態は、複数の電力増幅器と、複数の第1伝送線と、複数の第2伝送線と、中央導電域とを備える装置を含む。電力増幅器のそれぞれは入力及び出力を有する。電力増幅器の出力は、異なる第1伝送線に電気的に結合される。中央導電域は、アンテナ端子に結合されたノードを有する。第2伝送線は、対応する第1伝送線を介して、複数の電力増幅器の異なる出力に結合され、第2伝送線のそれぞれは、中央導電域に電気的に結合された端を有する。電力増幅器のそれぞれは、入力信号を受信し、出力信号を生成する。電力増幅器の出力信号は、第1伝送線から第2伝送線へ磁気的に結合され、中央導電域のノードで加算される。
【0007】
一実施形態では、第1伝送線は第1インピーダンスを有し、第2伝送線は第2インピーダンスを有する。
【0008】
一実施形態では、第1伝送線のそれぞれ及び第2伝送線のそれぞれは、細長い形状であり、各電力増幅器の出力は、第2伝送線のうちの1つと並行である、1以上の第1伝送線に電気的に結合される。
【0009】
一実施形態では、各電力増幅器の出力は、第2伝送線のうちの1つと並行である、第1伝送線のうちの1つに電気的に結合される。
【0010】
一実施形態では、各電力増幅器の出力は、差動出力を有し、各電力増幅器の差動出力は、第2伝送線のうちの1つと並行である、第1伝送線のうちの2つに電気的に結合される。
【0011】
一実施形態では、各電力増幅器の出力は、第1差動出力を有する第1電力増幅器と、第2差動出力を有する第2電力増幅器とを含む。第1差動出力の第1出力は、第2伝送線のうちの1つと並行である、第1伝送線のうちの第1の第1伝送線に電気的に結合される。第2差動出力の第1出力は、第2伝送線のうちの1つと並行である、第1伝送線のうちの第2の第1伝送線に電気的に結合される。第1差動出力の第2出力は、第3伝送線の第1端に結合され、第2差動出力の第2出力は、第3伝送線の第2端に結合される。第3伝送線は、第2伝送線の第1の側と並行である第1部分と、第2伝送線の第1の側と対向する第2の側と並行である第2部分とを有する。
【0012】
一実施形態では、中央導電域は円形であり、ノードは円形の中央導電域の中央に位置する。
【0013】
一実施形態では、第1伝送線及び第2伝送線は矩形である。
【0014】
一実施形態では、第1伝送線は第2伝送線と並行である。
【0015】
一実施形態では、第2伝送線はノードから外側へ放射状に延伸する。
【0016】
一実施形態では、複数の第2伝送線はノードを中心に等角度で離間する。
【0017】
一実施形態では、複数の電力増幅器と、複数の第1伝送線と、複数の第2伝送線と、中央導電域とが単一の集積回路上にある。
【0018】
別の実施形態は、アンテナとここに記述する装置の実施形態とを含む無線システムを備える。
【0019】
別の実施形態は、複数の電力増幅器の信号電力を増幅して複数の増幅信号を生成する段階と、複数の増幅信号を複数の第1伝送線に電気的に結合する段階と、複数の増幅信号を複数の第1伝送線から複数の第2伝送線へ磁気的に結合する段階と、複数の増幅信号を第2伝送線のそれぞれから中央導電域へ電気的に結合し、加算された増幅信号を生成する段階と、加算された増幅信号をアンテナ端子へ電気的に結合する段階とを備え、複数の増幅信号は、1以上の異なる第1伝送線に電気的に結合され、第2伝送線のそれぞれは、対応する第1伝送線から増幅信号を受信する方法を含む。
【0020】
一実施形態では、方法は、第1伝送線と第2伝送線とを用いてインピーダンスをトランスフォームする段階をさらに含む。
【0021】
一実施形態では、第1伝送線のそれぞれ及び第2伝送線のそれぞれは、細長い形状であり、各増幅信号は、第2伝送線のうちの1つと並行である、1以上の第1伝送線に電気的に結合される。
【0022】
一実施形態では、各増幅信号は、第2伝送線のうちの1つと並行である、第1伝送線のうちの1つに電気的に結合される。
【0023】
一実施形態では、各増幅信号は、差動増幅信号を有し、各増幅信号は、第2伝送線のうちの1つと並行である、第1伝送線のうちの2つに電気的に結合される。
【0024】
一実施形態では、各増幅信号は、第1差動出力信号及び第2差動出力信号を有し、第1差動出力信号の第1コンポーネントは、第2伝送線のうちの1つと並行である、第1伝送線のうちの第1の第1伝送線に電気的に接続され、第2差動出力信号の第1コンポーネントは、第2伝送線のうちの1つと並行である、第1伝送線のうちの第2の第1伝送線に電気的に結合され、第1差動出力信号の第2コンポーネント及び第2差動出力信号の第2コンポーネントは、第3伝送線の対向する端にそれぞれ結合される。第3伝送線は、第2伝送線の1つの第1の側と並行である第1部分と、第2伝送線の1つの第1の側と対向する第2の側と並行である第2部分とを有する。
【0025】
以下の詳細な説明及び添付図面は、本発明の本質及び利点についてのより良い理解を促す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態における、信号電力混合回路である。
【0027】
【図2】本発明の一実施形態における、磁気カップリングである。
【0028】
【図3】本発明の別の実施形態における、磁気カップリングである。
【0029】
【図4】本発明のさらに別の実施形態における、磁気カップリングである。
【0030】
【図5】本発明の一実施形態における、電力の混合方法である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
信号電力を混合する手法を以下に詳述する。以下では、特定の実施形態についての十分な理解を促すべく、多数の例及び具体的な詳細を示して説明する。ここに開示する回路及び方法は、多様な電子システムで用いられてよい。さらに、ここに開示する回路及び方法は、集積回路(IC:Integreted Circuit)で実装されてよい。請求項が定義する特定の実施形態は、これらの例の機能の全てまたはいくつかを、単独または以下に説明するその他の機能と組み合わせて含んでよく、さらにここに説明する機能及び概念の修正及び等価物を含んでよい。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態における、信号電力混合回路100である。無線周波数(RF:Radio Frequency)システムは、アンテナ152へ送信される、信号S1からS4を生成してよい。信号電力混合回路100は、それぞれ対応する信号S1〜S4を受信する、複数の電力増幅器101〜104を含む。例えば、電力増幅器101は、入力信号S1を受信する入力を含み、電力増幅器101の出力に出力信号を生成する。同様に、電力増幅器102は、入力信号S2を受信する入力を含み、電力増幅器102の出力に出力信号を生成する。また同様に、電力増幅器103は、入力信号S3を受信する入力を含み、電力増幅器103の出力に出力信号を生成する。この例では、4つの信号が混合される。従って、電力増幅器104は、入力信号S4を受信する入力を含み、電力増幅器104の出力に出力信号を生成する。例えば、信号S1〜S4は、4つの異なる電力増幅器101〜104及び送信電力を強める混合回路を用いてアンテナ152へ送信される、1つの信号であってよい。
【0033】
信号電力混合回路100は、伝送線111〜114を含む。一般的に、伝送線111〜114は、例えば矩形等の、第1端及び第2端を有する細長い形状である。この例では、伝送線111〜114それぞれの第1端は、電力増幅器101〜104の異なる出力に結合され、伝送線111〜114それぞれの第2端は、中央導電域110に電気的に結合される。電気的なカップリングは、例えば、金属配線等の導体素子の接続、または集積回路の導電域によって確立されてよい。以下に詳述するが、電力増幅器101〜104それぞれからの出力信号は、対応する伝送線111〜114に磁気的に結合される。磁気的なカップリングは、伝導体によって接続されていない導電素子間の信号の結合にインダクタンスを用いることで確立されてよい。例えば、第2伝送線が第1伝送線で伝播している信号の磁界内にある場合、伝送線のインダクタンスを用いて第1伝送線から第2伝送線への信号を磁気的に結合してよい。出力信号が伝送線111〜114に結合されると、出力信号のそれぞれは、信号電力がノード151で加算される中央導電域110へ向けて伝播する。中央導電域110のノード151は、例えば集積回路のパッドまたはピン等のアンテナ端子150に結合され、アンテナ端子150は、例えば無線システム等のシステムアプリケーションのアンテナ152に結合されてよい。
【0034】
この例では、伝送線111は、電力増幅器101の出力に結合された第1端111aを有してよい。伝送線111の第2端111bは、中央導電域110に電気的に結合してよい。同様に、伝送線112は、電力増幅器102の出力に結合された第1端112aを有してよい。伝送線112の第2端112bは、中央導電域110に電気的に結合してよい。また同様に、伝送線113は、電力増幅器103の出力に結合された第1端113aを有してよい。伝送線113の第2端113bは、中央導電域110に電気的に結合してよい。この例では最後に、伝送線114は、電力増幅器104の出力に結合された第1端114aを有してよい。伝送線114の第2端104bは、中央導電域110に電気的に結合してよい。
【0035】
この例では、中央導電域110は、円形であり、円形の中央導電域の中央にノード151を有する。さらに、伝送線111〜114のそれぞれは、矩形であり、ノード151から外側へ放射状に延伸する。伝送線111〜114のそれぞれは、第1端111a〜114aからノード151へのパスを形成する。この例では、矢印115、116、117及び118が示すように、伝送線111〜114は、出力信号の電力がノード151で加算されるべく、第1端111a〜114aそれぞれとノード151との間に直線のパスを形成する。従って、電力増幅器の出力信号がノード151で加算されるように、第1端111a〜114aは、それぞれノード151から等しい第1距離d1に位置し、第2端111b〜114bは、それぞれノード151から等しい第2距離d2に位置する。実施形態の一例として、伝送線111〜114及び中央導電域110は、単一の半導体集積回路上の単一のメタライゼーションパターンであってよく、ノード151は、メタライゼーション層間のビアホールを用いてアンテナに結合されてよい。
【0036】
この例では、伝送線111〜114は、ノード151を中心に角によって分割される。例えば、伝送線111と伝送線112との間隔は角度θ1である。同様に、伝送線112と伝送線113との間隔は角度θ2である。また同様に、伝送線113と伝送線114との間隔は角度θ3である。さらにこの例では、伝送線114と伝送線111との間隔は角度θ4である。ここでは、θ1、θ2、θ3及びθ4は等しい。従って、この例では中央導電域110が円形であることから、伝送線111〜114は、中央導電域110の外周の周りに、互いに等距離の間隔で配される。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態における、磁気カップリングである。図2の回路200は、トランジスタ201を含む、電力増幅器の出力段を示す。この例では、トランジスタ201は、ゲート、ソース及びドレインを有するNMOSである。トランジスタ201のゲートは、信号Sを受信する。トランジスタ201のソースは接地し、ドレインは伝送線211の1端に結合する。伝送線211の対向する端は、供給電圧Vddに結合する。伝送線211は、矩形であり、別の伝送線111と並行である。上述のように、伝送線111は、中央導電域110に電気的に結合する。伝送線211及び111は共に寄生インダクタンスを有する。伝送線211及び111は、相互に物理的に接触しないが、寄生インダクタンスによって生成された磁界によって、相互に磁気的に結合する。例えば、伝送線211及び111は、酸化物で分離された金属線であってよい。磁気カップリングの量は、伝送線211と111との間の距離に部分的に基づく。従って、伝送線211及び111は、目的量の磁気カップリングを実現するべく、十分に近い距離に配置される。トランジスタ201のゲートに信号Sが適用されると、伝送線211に電流が流れる。そして、伝送線211内の電流の変動は、伝送線111内に対応した変動を発生させる、磁界を生成する。従って、信号Sは、電流へと変えられ、伝送線211から伝送線111へと磁気的にカップリングされる。上述のように、信号は、伝送線111を中央導電域110内からノード151へと伝播する。
【0038】
一実施形態では、伝送線211及び111は伝送線のインピーダンスを変換する。インピーダンスは例えば、伝送線の長さ、幅及び厚さの関数であってよい。伝送線211は、例えば25オームのインピーダンスを有し、伝送線111は、例えば50オームの異なるインピーダンスを有してよい。
【0039】
図3は、本発明の別の実施形態における、磁気カップリングである。この例では、電力増幅器は、回路300が示す差動出力を含む。回路300は、信号S+を受信すべく結合されたゲートを有するトランジスタ301と、信号S−を受信すべく結合されたゲートを有するトランジスタ302を含む。信号S+及びS−は、差動信号のコンポーネントである。トランジスタ301及び302のソースは、バイアス電流305を介して接地する。トランジスタ301のドレインは、カスコードトランジスタ303のソースに結合し、トランジスタ302のドレインは、カスコードトランジスタ304のソースに結合する。トランジスタ303及び304のゲートは、バイアス電圧Vbに結合し、トランジスタ303及び304のドレインは、電力増幅器の差動出力に結合する。この例では、電力増幅器は、伝送線111と並行である2つの伝送線311及び312に電気的に結合する。図2で説明したように、伝送線311及び312は、伝送線111に磁気的に結合する。トランジスタ303のドレインは、伝送線311の最初の端に結合し、伝送線311の対向する端は、供給電圧Vddに結合する。同様に、トランジスタ304のドレインは、伝送線312の最初の端に結合し、伝送線312の対向する端は、供給電圧Vddに結合する。
【0040】
トランジスタ303及び304のドレインの信号は差動信号であるため、ドレインは、伝送線111に対して、伝送線311及び312の対向する端に接続される。このため、例えば電流が相殺されることなく、信号は効果的に伝送線111へ磁気的に結合される。具体的には、トランジスタ303のドレインは、伝送線111の、中央導電域110から最も遠いターミナル端に隣接する、伝送線311の第1端に結合する。伝送線311の第2端は、中央導電域110に向いた伝送線111の一方の側に隣接する。伝送線311内の電流390は、電流390と逆の極性を有する、対応する電流392を発生させる磁界を生成する。電流が相殺しないように電流392と同じ極性を有する電流393を生成するため、トランジスタ304のドレインは、中央導電域110に向いた伝送線111の他方の側に隣接する、伝送線312の端に結合される。伝送線312の第2端は、伝送線111の、中央導電域110から最も遠いターミナル端に隣接する。この例では、伝送線303及び304の長さは同じであり、伝送線111及び312から伝送線311へ等しい磁気カップリングを生成する。
【0041】
図4は、本発明のさらに別の実施形態における、磁気カップリングである。回路400が示すように、差動出力を有する2つの電力増幅器401及び402は、伝送線111及び中央導電域110は磁気的に結合する。この例では、電力増幅器401及び402は、信号Sを受信する。電力増幅器401は、伝送線403に電気的に結合した正出力(「+」)及び伝送線405に電気的に結合した負出力(「−」)を有する。同様に、電力増幅器402は、伝送線403に電気的に結合した正出力(「+」)及び伝送線404に電気的に結合した負出力(「−」)を有する。伝送線404及び405は、矩形であり、伝送線111と並行である。伝送線404の1端は、中央導電域110方向の、伝送線111の第1端に隣接する、例えば仮想接地等の接地に結合される。伝送線404の対向する端は、伝送線111のターミナル端方向で中央導電域110からより遠い、電力増幅器402の負出力に結合される。同様に、伝送線405の1端は、中央導電域110方向の、伝送線111の第1端に対向する第2端に隣接する、例えば仮想接地等の接地に結合される。伝送線405の対向する端は、伝送線111のターミナル端方向で中央導電域110からより遠い、電力増幅器401の負出力に結合される。
【0042】
電力増幅器401及び402の正出力は、伝送船403の対向する端に電気的に結合される。伝送線403は、中間点411で例えば仮想接地等の接地に結合される。伝送線403は、伝送線111の第1の側に並行である部分403aを有する。伝送線403の部分403aは、伝送線111のターミナル端方向に、伝送線111の第1の側と並走する。伝送線403は、伝送線111の第1の側と対向する第2の側に並行である別の部分403bを有する。伝送線403の部分403bは、伝送線111のターミナル端方向に、伝送線111の第2の側と並走する。この例では、第1部分403a及び第2部分403bは、伝送線111のターミナル端に垂直及びその周りの第3部分403cによって結合される。電力増幅器401及び402の出力信号は、伝送線403〜405から伝送線111に磁気的に結合され、中央導電域110のノードへ伝播する。
【0043】
上述の例では、伝送線の形状は矩形であるが、互いに隣接するその他の細長い形状で上述の磁気カップリングが実装されてよいことを理解されたい。さらに、いくつかの実装では、電力増幅器、電力増幅器の出力に電気的に結合された伝送線、中央導電域及び中央導電域に電気的に結合された伝送線は、単一の集積回路に集積されてよい。単一の集積回路は、例えば無線システムでの使用のためのアンテナに結合されたパッドまたはピンを有してよい。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態における、電力の混合方法である。501では、複数の増幅信号が生成するべく複数の電力増幅器で電力が増幅される。502では、増幅信号が第1伝送線に電気的に結合される。上述のように、各増幅信号は1以上の異なる第1伝送線に電気的に結合される。例えば、図2のように、各増幅信号が単一の伝送線211に結合されてよい。別の例としては、各増幅信号が図3の伝送線311〜312または図4の伝送線403〜405のように複数の伝送線に結合されてよい。503では、増幅信号が第1伝送線から第2伝送線に磁気的に結合される。上述の例のように、第2伝送線のそれぞれは、第1伝送線を介して異なる増幅信号を受信する。504では、各第2伝送線から中央導電域に増幅信号が電気的に結合される。505では、加算された増幅信号を生成すべく、増幅信号が中央導電域のノードで加算される。506では、加算された増幅信号が中央導電域のノードから、アンテナ端子に電気的に結合される。アンテナ端子は、例えば無線システムのアンテナに接続してよい。
【0045】
以上の説明は、本発明の特徴の実装方法の例と共に本発明の多様な実施形態を示す。上述の例及び実施形態は、唯一の実施形態であると見なされるべきではなく、以下の請求項が定義する本発明の柔軟性と利点を説明するべく示されている。例えば、上述した方法またはプロセスの1以上の段階は、異なる順序であるいは同時に実行され、所望の結果が達成されてよい。上述の開示及び以下の請求項に基づき、請求項が定義する本発明の本質から乖離することなく、その他の配置、実施形態、実装及び等価物が採用されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力増幅器と、
複数の第1伝送線と、
中央導電域と、
複数の第2伝送線と
を備え、
前記複数の電力増幅器のそれぞれは、入力及び出力を有し、
前記複数の電力増幅器のそれぞれの出力は、前記複数の第1伝送線のうちの異なる1以上に電気的に結合され、
前記中央導電域はアンテナ端子に結合されたノードを有し、
前記複数の第2伝送線のそれぞれは、対応する前記第1伝送線を介して前記複数の電力増幅器の異なる出力に結合され、
前記複数の第2伝送線のそれぞれは、前記中央導電域に電気的に結合された端を有し、
前記複数の電力増幅器のそれぞれは、入力信号を受信して出力信号を生成し、
前記複数の電力増幅器の出力は、前記複数の第1伝送線から前記複数の第2伝送線へ磁気的に結合され、前記中央導電域の前記ノードにおいて加算される
装置。
【請求項2】
前記複数の第1伝送線は第1インピーダンスを有し、前記複数の第2伝送線は第2インピーダンスを有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の第1伝送線のそれぞれ及び前記複数の第2伝送線のそれぞれは、細長い形状であり、前記複数の電力増幅器のそれぞれの出力は、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である1以上の前記第1伝送線と電気的に結合される請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の電力増幅器のそれぞれの出力は、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である、前記複数の第1伝送線のうちの1つに電気的に結合される請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の電力増幅器のそれぞれの前記出力は、差動出力を有し、前記複数の電力増幅器のそれぞれの差動出力は、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である前記第1伝送線のうちの2つに電気的に結合される請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の電力増幅器のそれぞれは、第1差動出力を有する第1電力増幅器と第2差動出力を有する第2電力増幅器とを有し、
前記第1差動出力の第1出力は、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である、前記複数の第1伝送線のうちの第1の第1伝送線に電気的に結合され、
前記第2差動出力の第1出力は、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である、前記複数の第1伝送線のうちの第2の第1伝送線に電気的に結合され、
前記第1差動出力の第2出力は、第3伝送線の第1端に結合され、
前記第2差動出力の第2出力は、前記第3伝送線の第2端に結合され、
前記第3伝送線は、前記複数の第2伝送線のうちの前記1つの第1の側と並行である第1部分と、前記複数の第2伝送線のうちの前記1つの、前記第1の側と対向する第2の側と並行である第2部分とを有する請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記中央導電域は、円形であり、前記ノードは円形の前記中央導電域の中央に位置する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の第1伝送線のそれぞれ及び前記複数の第2伝送線のそれぞれは、矩形であり、前記複数の第1伝送線は、前記複数の第2伝送線と並行であり、前記複数の第2伝送線は、前記ノードから外側へ放射状に延伸する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の第2伝送線は、前記ノードを中心に等角度で離間するように設けられている請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の電力増幅器と、前記複数の第1伝送線と、前記複数の第2伝送線と、前記中央導電域とが単一の集積回路上にある請求項1に記載の装置。
【請求項11】
アンテナと、
複数の電力増幅器と、
複数の第1伝送線と、
中央導電域と、
複数の第2伝送線と
を備え、
前記複数の電力増幅器のそれぞれは、入力及び出力を有し、
前記複数の電力増幅器のそれぞれの出力は、前記複数の第1伝送線のうちの異なる1以上に電気的に結合され、
前記中央導電域は、前記アンテナに結合されたアンテナ端子に結合されたノードを有し、
前記複数の第2伝送線のそれぞれは、対応する前記第1伝送線を介して前記複数の電力増幅器の異なる出力に結合され、
前記複数の第2伝送線のそれぞれは、前記中央導電域に電気的に結合された端を有し、
前記複数の電力増幅器のそれぞれは、入力信号を受信して出力信号を生成し、
前記複数の電力増幅器の出力は、前記複数の第1伝送線から前記複数の第2伝送線へ磁気的に結合され、前記中央導電域の前記ノードにおいて加算される
無線システム。
【請求項12】
複数の電力増幅器の信号電力を増幅して複数の増幅信号を生成する段階と、
前記複数の増幅信号を複数の第1伝送線のうちの異なる1以上に電気的に結合する段階と、
複数の第2伝送線のそれぞれが、対応する前記第1伝送線から前記増幅信号を受信するよう、前記複数の増幅信号を前記複数の第1伝送線から前記複数の第2伝送線へ磁気的に結合する段階と、
前記複数の増幅信号を前記複数の第2伝送線のそれぞれから中央導電域へと電気的に結合し、加算された増幅信号を生成する段階と、
前記加算された増幅信号をアンテナ端子へ電気的に結合する段階と
を備える方法。
【請求項13】
前記複数の第1伝送線と前記複数の第2伝送線とを用いてインピーダンスを変換する段階をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の第1伝送線のそれぞれ及び前記複数の第2伝送線のそれぞれは、細長い形状であり、前記複数の増幅信号のそれぞれは、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である1以上の前記第1伝送線に電気的に結合される請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の増幅信号のそれぞれは、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である前記複数の第1伝送線のうちの1つに電気的に結合される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の増幅信号のそれぞれは、差動増幅信号を有し、前記複数の増幅信号のそれぞれは、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である、前記複数の第1伝送線のうちの2つに電気的に結合される請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の増幅信号のそれぞれは、第1差動出力信号及び第2差動出力信号を有し、
前記第1差動出力信号の第1コンポーネントは、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である、前記複数の第1伝送線のうちの第1の第1伝送線に電気的に接続され、前記第2差動出力信号の第1コンポーネントは、前記複数の第2伝送線のうちの1つと並行である、前記複数の第1伝送線のうちの第2の第1伝送線に電気的に結合され、前記第1差動出力信号の第2コンポーネント及び前記第2差動出力信号の第2コンポーネントは、第3伝送線の対向する端にそれぞれ結合され、前記第3伝送線は、前記複数の第2伝送線の1つの第1の側と並行である第1部分と、前記複数の第2伝送線の1つの前記第1の側と対向する第2の側と並行である第2部分とを有する請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記中央導電域は、円形である請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記中央導電域は中央にノードを有し、前記複数の第1伝送線のそれぞれ及び前記複数の第2伝送線のそれぞれは矩形であり、前記複数の第2伝送線は前記ノードから外側へ放射状に延伸し、前記複数の第2伝送線は前記ノードを中心に等角度で離間して設けられ、前記複数の第1伝送線のうちの1つは前記複数の第2伝送線と並行である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の電力増幅器と、前記複数の第1伝送線と、前記複数の第2伝送線と、前記中央導電域とが単一の集積回路上にある請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−527812(P2012−527812A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511366(P2012−511366)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001374
【国際公開番号】WO2010/133969
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(502188642)マーベル ワールド トレード リミテッド (302)
【Fターム(参考)】