光センサ機能付き表示素子及びそれを用いた表示装置
【課題】光センサ機能をフラットパネルディスプレイ面内に配置する。
【解決手段】隣接する液晶セル部600としては、第1の基板1と第2の基板2との間に光散乱型液晶分子30が挟持され、第1の基板1の内面と第2の基板2の内面に、対向電極26、27が形成された一般的な液晶セル構造が形成されている。第2の基板側の対向電極27は、TFT100のソース電極6とオーミック接触されている。また、第2の基板2の外側から第1の基板1側に向けてバックライト300が照射されるようになっている。このように、TFT100は、光センサ部500のセンサ機能と、液晶セル部600のスイッチング機能とを兼用させることができる。また、スイッチ機構を設けることで、1セル内に形成された光センサ部500と液晶セル部600とを切り替えて利用することも可能である。
【解決手段】隣接する液晶セル部600としては、第1の基板1と第2の基板2との間に光散乱型液晶分子30が挟持され、第1の基板1の内面と第2の基板2の内面に、対向電極26、27が形成された一般的な液晶セル構造が形成されている。第2の基板側の対向電極27は、TFT100のソース電極6とオーミック接触されている。また、第2の基板2の外側から第1の基板1側に向けてバックライト300が照射されるようになっている。このように、TFT100は、光センサ部500のセンサ機能と、液晶セル部600のスイッチング機能とを兼用させることができる。また、スイッチ機構を設けることで、1セル内に形成された光センサ部500と液晶セル部600とを切り替えて利用することも可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサ機能付き表示素子に関し、特に、光散乱型液晶を利用した光センサ機能付きフラットパネルディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の光センサ技術は、絶縁表面を有する基板上にアモルファスシリコン膜を用いた光センサ素子と、薄膜トランジスタからなる出力増幅回路とを集積する。また、光センサ素子の光電変換層のパターニングの際に、露出されている配線を保護するための金属層を光電変換層と薄膜トランジスタと接続する配線との間に設けるものである。さらに、表示装置に関しても多くの文献が存在する。
【0003】
また、一般的な光センサ機能付き表示装置としては、図17に示すように、フラットパネルディスプレイ501の上部又は外縁に光学カメラ等503を画像センサとして配置し、フラットパネルディスプレイ501前面の視聴者505の位置検出に活用しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−108307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図17に示すように、従来の光センサ付き表示システムYのカメラ(光センサ部)503には、光学式カメラが用いられていて、基本的には、フラットパネルディスプレイ501の上部または近傍に配置されている。この構成が簡便・安価であり、多用されている。装置の動作原理は、フラットパネルディスプレイ501の前面の視聴者の位置を光学的に検知し、カメラヘッド503が同期して追随する構成になっている。
【0006】
しかしながら、この構成は、視聴者からは「如何にも監視されている様で“気持ち悪い・不気味”」と言う声が多く出されていた。さらに、カメラ部503が人物を追随するため、ずっと見られているようで“気持ち悪い”と言う意見もあった。
【0007】
近年、最先端技術を用いることにより、カメラの超小型化が急速に進んでいる。これにより、構成が簡便であり、価格が安価になり、フラットパネルディスプレイの上部または外縁部に組み込みやくなってきたが、“形”として厳然として存在するため、視聴者にとって如何にも監視されているようであり“気持ち悪い・不気味である”と言う状況に変わりはない。
【0008】
また、人によっては、カメラのレンズが小さくなるほど、ピストルの銃口の様にも見え、恐怖心すら覚える等と、極めて評判が良くないことがよく知られている。本発明は、光センサ機能をフラットパネルディスプレイ面内に目立たないように配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の様な状況に鑑み、観視者が光センサ部を直視することなく、位置センスされる光センサ付き表示装置を提案するものである。
【0010】
本発明は、第1の基板と、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止した光透過散乱型液晶と、バックライトと、を有するフラットパネルディスプレイである。前記第1の基板の液晶面には、液晶をアクティブレンズとして機能させる対向電極対が配置されている。前記第2の基板の液晶面には、光センサ機能を有する例えばトップゲート型TFTを配置し、反対面にはバックライトを配置することにより光センサ付きフラットパネルディスプレイを構成する。
【0011】
本発明の一観点によれば、透明な第1の基板と、前記第1の基板と対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された光透過散乱型液晶材と、前記第2の基板の前記第1の基板側の面に形成され基板の面内方向に離れて配置された駆動電極対と、該駆動電極対と基板の法線方向に対向する位置に設けられた薄膜トランジスタ(以下「TFT」と称する。)と、前記第1の基板の内面に形成される透明な共通電極及び前記第2の基板の内面に形成され前記薄膜トランジスタの電流端子と接続される信号電極と、信号線と前記信号電極に接続させるとともに前記薄膜トランジスタの電流端子間に駆動電圧を印加する第1の状態と、信号線と前記薄膜トランジスタの電流端子とを接続するとともに前記信号線と前記信号電極との接続を切断する第2の状態と、の2つの状態を切り替える切り替え制御部と、を有する光センサ機能付き表示素子が提供される。前記第1の状態は表示素子、前記第2の状態は光センサ素子として機能するものである。前記TFTと前記共通電極及び前記信号電極とを、前記基板面内における近接領域に設けることが好ましい。これにより、表示素子と光センサ素子とのセットを小さい専有面積で実現できる。尚、表示素子と光センサ素子とのセットでは、いずれかの素子を複数設けても良いし、両方とも複数設けても良い。
【0012】
前記第2の状態において、前記TFTのしきい値電圧以下のゲート電圧においてもドレイン電流が流れる程度の電圧を、前記TFTのソース−ゲート間に印加して用いることが好ましい。基板内に配置したTFTの暗電流特性を積極的に活用することにより、光センサにおけるS/Nを良好にすることができる。また、前記駆動電極対と前記TFTのゲート部とが対向配置されていることが好ましい。また、前記駆動電極対間に所定の電圧を印加する電圧印加部を有し、前記電圧印加部により、前記第1の基板と前記第2の基板との間の前記光透過散乱型液晶材により可変焦点機能を有するアクティブレンズを形成することが好ましい。前記第2の基板の外側に前記基板内を照射する光源を備えているのが好ましい。前記第1の基板に配置された前記光透過散乱型液晶用駆動用の対向電極対と前記第2の基板に配置したTFTのゲート部とを対向した配置にしたことが好ましい。前記第1の基板から光が入射可能な構成において、前記TFTのゲート電極を負極性の電源に接続し、ソース電極を正極性の電源に接続し、前記TFTのドレイン電極とアースとの間にはコンデンサと抵抗の並列回路がそれぞれ接続されていても良い。前記駆動電極対間に所定の電圧を印加することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との間に可変焦点機能を有するアクティブレンズを形成するようにすると良い。また、前記第1の基板から光が入射可能な構成において、前記TFTのゲート電極を負極性の電源に接続し、前記TFTのソース電極を正極性の電源に接続し、前記TFTのドレイン電極とアース間にはコンデンサと抵抗との並列回路がそれぞれ接続されていることが好ましい。また、一方の面に所定の間隔で配置した複数電極対と集光レンズまたはレンズアレーを配置しても良い。
【0013】
さらに、前記第1の状態において、前記薄膜トランジスタからの出力を増幅する増幅器であって、前記第2の状態において、入力する映像信号を増幅し、増幅した出力を前記信号電極に印加する増幅器を備えた出力回路を有するようにしても良く、前記出力回路は、第1から第3までのスイッチを有しており、前記第3のスイッチは、前記第1の状態において前記第1のスイッチの一方の端子と接続され、前記第2の状態において映像信号入力端子と前記増幅器の入力端子とを接続し、前記第2のスイッチは、前記第1の状態において撮像信号の出力側と接続され、前記第2の状態において前記第1のスイッチの他方の端子と接続されるように前記切替制御部の切り替え制御と同期してスイッチが制御されることが好ましい。
【0014】
本発明は、上記のいずれかに記載の多数のセンサ機能付き表示素子がマトリックス状に配置されていることを特徴とする光センサ機能付き表示装置である。前記第2の基板の外側に前記基板内を照射するバックライトを備えたことが好ましい。前記複数電極対と前記複数のTFTアレーを線順次で走査する駆動回路を有することが好ましい。前記表示素子による表示おける画像信号の垂直ブランキング期間内に、前記光センサ部が動作をするように構成した制御回路を有することが好ましい。前記TFTの出力電圧を入力として、所定の光束以上の入射光束が得られるように前記駆動電極対に印加する電圧を出力する電圧制御部を有するようにすると良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光センサ機能をフラットパネルディスプレイ面内に目立たない配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態による光センサ機能付き表示システムの一構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態による光センサ機能付き表示システムにおける光センサと表示素子との構成例を示す図である。
【図3】図2に対応する表示動作時の構成を示す図である。
【図4】光センサ/表示素子切り替え回路を含む構成例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による光センサの一構成例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による光センサの一構成例を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態による光センサにおける液晶駆動電極及びTFT各電極のバイアスについて示す図である。
【図8】本実施の形態によるTFTの光電流特性例を示す図である。
【図9】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の原理を説明するための図である。
【図10】本実施の形態によるアクティブレンズ機能を持たせた際の光透過散乱型液晶分子の配向の様子を示す図である。
【図11】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。
【図12】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。
【図13】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。
【図14】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。
【図15】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧例を示す図である。
【図16A】図4に示す光センサ/表示素子切り替え回路と出力回路とを含む光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図であり、光センサ機能を選択した場合の回路図である。
【図16B】図4に示す光センサ/表示素子切り替え回路と出力回路とを含む光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図であり、表示機能を選択した場合の回路図である。
【図17】従来の光センサ付き表示システムの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施の形態による光センサ機能付き表示装置について図面を参照しながら説明を行う。図1は、本実施の形態による光センサ付き表示システムの概略的な構成例を示す図である。図1に示すように、観視者Uが光センサ付き表示装置Xの前面に立ち、図中の(白抜きの矢印)点線のように面方向に沿って移動した場合に、表示装置Xの所定の位置から放射される液晶バックライトの光が観視者に反射して戻ってくることにより、パネルP内に組み込まれた光センサ部Oにより反射光が検知され、観視者Uは、表示画像を観ながら、その移動位置が検知されている。
【0018】
本発明の実施の形態による特徴的なポイントは、光透過散乱型液晶のアクティブレンズ機能と基板内に配置したトップゲート型TFTとからなる光センサ機能を、トップゲート型TFTをアクティブ素子とした光透過散乱型液晶表示素子と同じパネル内に組み込んだことにある(光センサ組み込み型表示パネルと言うことができる)。かかる構成により、例えば、液晶表示装置用のバックライトからの光は、本実施の形態による表示装置の前面にいるユーザに反射し、再び本表示装置に入射する。この入射光が第2の基板面に配置したTFTのゲート周辺を照射することで、TFTは表示用のバッファトランジスタ機能と切り替わって、光センサ機能を発揮することができる。尚、表示素子数は、一般的には多数であり、ハイビジョン表示も可能な程度の素子数(集積度)にすることも可能である。
【0019】
以下、本発明の一実施の形態による光センサ機能付き表示装置の光センサ部について図面を参照しながら説明を行う。本実施の形態による光センサ部のレンズの原理は、光の散乱を利用した光透過散乱型液晶の配向によるアクティブレンズ機能を活用し、入射光束をできるだけ多く(好ましくは最大入射光束を)取り込むように構成することで、光電変換レベル(S)が向上し、また、フォトダイオードを使用しないことから、暗ノイズ(N)を激減でき、S/Nの良好な光センサが構成することができる。
【0020】
まず初めに、光透過散乱型液晶のアクティブレンズ機能と、基板内に配置したTFTとの組み合わせとからなる、本発明の第1の実施の形態による光センサについて詳細に説明する。
【0021】
図5は、図4に示す素子を光センサとして機能させた場合の構成例を示す図である。図5に示すように、本実施の形態(第1の実施の形態)による光センサAは、例えばガラスなどによる透明な第1の基板1と、例えば、ガラス又はシリコンなどの第2の基板2との間に、ポリマ分散型液晶等の光透過散乱型液晶3が封入されている。第1の基板1には、光透過散乱型液晶3を駆動するための駆動電極4を基板面内において対向に配置している(駆動電極対)。光透過散乱型液晶3は、駆動電極4間の印加電圧がゼロの時は散乱状態となり光を透過しない。第2の基板2は裏面からTFT100のゲート9への光漏れを防ぐために、遮光材または遮光処理(図5では、遮光膜13が形成されている例を示している。)が望ましい。光透過散乱型液晶パネル厚は、例えば、約2〜3mm程度であり、殆ど2枚の基板の厚さになる。
【0022】
第2の基板2には、例えばポリシリコンにより形成されるソース電極5とドレイン電極6と例えばシリコン半導体層7と酸化膜などにより形成されるゲート誘電体層8とゲート電極9とにより構成されるTFT100を配置する。TFT100は、一般的なアクティブマトリクス液晶と同様の工程で製造することができ、第2の基板2上に形成された活性層(チャンネル層)7と、ゲート誘電体層8と、その上に形成されたゲート電極9と、チャンネル層7に形成されたソース、ドレイン電極5・6と、を有している。ゲート電極9は、入射光束を効率的に取り込むため、光透過散乱型液晶3の駆動電極4と基板面の法線方向に対向している。駆動電極4の対の間隔は、TFT100のゲート誘電体層8の領域を光学的に遮光しない間隔にするのが好ましい。これにより、TFT100のゲート誘電体層8に直接光束を入射させる導光部を形成することができる。
【0023】
次に、本実施の形態による光センサの動作について説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態による光センサにおける液晶駆動電極及びTFT各電極のバイアスについて示す図である。第1の基板1側から入射する入射光10に対して敏感に反応させるため、図7に示すように、TFT100のゲート電極9には、抵抗15を介して負方向の深いバイアス電圧(−Vg)14を印加しておくと、白抜きの矢印で示す電流21の静特性曲線は図8に示す符号500のようになる。+Vccは例えば4V程度である。
【0024】
ソース電極5とドレイン電極6との間に電流21が流れ、コンデンサ16と抵抗17との並列回路の両端に出力電圧18として誘起される。この出力電圧18を入力として、所定の光束以上の入射光束が得られるような制御システム19から出力される出力電圧20により、光透過散乱型液晶3の駆動電極4に対して所定の電圧11が印加される。その際の後述するアクティブレンズ機能により、入射光10は第2の基板2に配置されているTFT100のゲート誘電体層8に集光するようになっている。
【0025】
図8は、図5に示すような本実施の形態による光センサに用いられるTFT100における光電流特性例を示す図である。図8に示すように、TFT100に印加するゲート電圧Vgが閾値電圧以下の場合には、ソース-ドレイン電流IDSは基本的には流れないが、実際にはわずかながら、例えば3×10−11(A)程度の光電流(暗電流)400(破線で示す)が漏れ電流として流れるため、光センサとしてのS/Nを悪くしているという問題がある。本実施の形態では、本来であれば問題となるこの現象を逆に活用することを考えたものである。すなわち、図8に示すように、負方向の深いバイアス電圧(−Vg)14(図7)を印加し、かつ、ゲート誘電体層8に光を積極的に入力すると、図8中の電流特性曲線500に示すように、ゲート電圧Vgがしきい値電圧Vth以下でも、ドレイン電流が流れるようになる。一般的には、ゲート電圧Vgがしきい値電圧Vth以上でないとドレイン電流は流れないが、負方向の深いバイアス電圧(−Vg)14(図7)を印加することで、ゲート電圧Vgがしきい値電圧Vth以下でもドレイン電流が流れるため、光センサとして利用できるようになる。
【0026】
以下に、光透過散乱型液晶3の配向特性を活用したアクティブレンズ機能について説明する。図9は、本実施の形態によるアクティブレンズ機能の原理を説明するための図である。図9に示すように、駆動電極4の近傍の光透過散乱型液晶3の分子12は、基板1にほぼ平行に配向する。駆動電極4から少し離れた位置の光透過散乱型液晶3の分子は、基板1に対し下方に若干湾曲に配向する。このように、電極4から徐々に離れるにつれ、より下方に湾曲した配向となり、下に凸の凸型シリンドリカルレンズを形成する。この様に、駆動電圧11を調整することにより、凸型シリンドリカルレンズの曲率を可変にすることができるため、適応的に焦点距離を調整することができる(可変焦点機能)。このアクティブレンズ機能により、入射光10をTFT100のゲート誘電体層8に集光させることができる。この光により、ドレイン6−ソース5間に電流が流れ、コンデンサ16を充電する。コンデンサ16に充電された電荷は、順次取り出されて、電気信号に変換される。
【0027】
図10は、本実施の形態によるアクティブレンズ機能における焦点距離と印加電圧との関係を示す概念図である。図10において、電極対4に矩形波または正弦波等の交流電圧が印加されると、電極4を中心に等電位面21が形成され、この等電位面21に垂直に交差するように電気力線22が形成される。従って、電極4近傍の光透過散乱型液晶分子は、電気力線22に沿って図9に示したように配向することになる。すなわち、光透過散乱型液晶3の分子は基板1にほぼ平行に配向するが、電極4から少し離れた位置の光透過散乱型液晶3の分子は、基板1に対し下方に若干湾曲に配向する。液晶分子列で形成される湾曲面は、印加電圧の大きさに比例して滑らかになる。このように、電極対4の印加電圧により、凸型シリンドリカルレンズの曲率を任意に調整することができる。
【0028】
図11から図14までは、本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。図15は、本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧例を示す図である。
【0029】
図15に示すように、電極4に印加する電圧パルスは、(a)に示す低い電圧V1、(b)に示すそれよりはやや高い電圧V2、(c)に示す電圧V3、(d)に示す高い電圧V4とすると、印加電圧が低いV1の時は、図11に示すように、液晶により形成されるアクティブレンズ機能による凸レンズ23の曲率が大きいため、入射光23に対して、焦点距離f1の長いレンズが形成される。更に、印加電圧をV2→V3と高くしていくと、図12、13に示す様に、凸レンズ23の曲率が小さくなり、焦点距離f2、f3のように短くなっていく。図13に示すように、ゲート電極9の下面に位置する焦点距離が、TFT100が光を最も効率良く受ける状態を示す図であり、さらに焦点距離が長くなると図14に示すように、TFT100よりも第1の基板1側に焦点が結ばれ、TFT100に照射される光が弱まる。このように、電極4に印加する電圧により焦点距離を調整することができ、基板面に垂直に入射する入射光を最も効率良く集光させることができる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施の形態による光センサについて説明する。本実施の形態は、図5を参照して説明した第1の実施の形態と同様に光センサBにおいて、入射光10の中のゲート誘電体層8から外れる斜め方向の成分を集光させる機能を備えたものであり、図2に示されている。図5と同様に遮光膜を設けても良い。図6に示すように、第1の基板1面にフィールドレンズ51を配置している。フィールドレンズ51は、フォトレジストなどにより、一般的な半導体製造プロセスで形成することが可能である。これにより、斜め方向の入射光23(図5)を図6の符号24に示すように補正し、ゲート誘電体層8に集光することができる。このような構成により、第1の実施の形態に比べて更にS/Nを向上させることができる。尚、フィールドレンズ51は、視野レンズとも言い、、前方の対物レンズの口径を映し、もしくは次に来るレンズの口径上に、先の対物レンズや正立系の口径を映すため、内部の像面、あるいはその近くに置くレンズのことである。
【0031】
第1の基板1面に所定の間隔で配置した複数電極4の対とフィールドレンズ(集光レンズ)51またはレンズアレーを配置し、薄膜トランジスタ100を配置した第2の基板2とが対向しており、かつ、第1の基板1と第2の基板2との間に光透過散乱型液晶3を封入し、複数電極4対と複数のTFT100のアレーを線順次で走査する公知の駆動回路を設ければ、光センサ機能付き表示装置を形成することができる。
【0032】
図6においては、フィールドレンズ51を薄肉の凸レンズで構成させた例を示したが、アクティブレンズ200との組み合わせにより、集光特性を任意に設定することがきるように光学素子(レンズ等)を選択・設計することができる。
【0033】
尚、本発明の第1及び第2の実施の形態による光センサとしては、1素子のみについて説明したが、実際には、多数の光センサをアレー化し、イメージセンサ等の光集積回路として構成することも可能である。また、本発明の光センサを表示素子と兼用する等の応用も可能である。
【0034】
次に、図2から図4までを参照しながら、表示部と光センサ部との兼用技術について説明を行う。図2及び図3は、本実施の形態による光センサ部500と液晶表示部600とが1つのセル内に形成されている様子を示す図である。尚、ここでは、1セル内に光センサ部500と液晶表示部600とが形成されている例について説明するが、実際には、フラットパネル内の多数のセルのうちの任意のセルを図2及び図3のように形成し、他の多くのセルは液晶表示部600のみを設けるのが一般的である。図2は、光センサ部500として図5に示す構成を適用し、隣接する液晶セル部600としては、第1の基板1と第2の基板2との間に光散乱型液晶分子30が挟持され、第1の基板1の内面と第2の基板2の内面に、対向電極26、27が形成された一般的な液晶セル構造が形成されている。尚、第2の基板側の対向電極26は、TFT100のドレイン電極6とオーミック接触されている。また、第2の基板2の外側に配置され、このバックライト300から第1の基板1側に向けて光が照射されるようになっている。このように、TFT100は、光センサ部500のセンサ機能と、液晶セル部600のスイッチング機能とを兼用させることができる。尚、バックライトに代えて、サイドライトなどの公知の照射手段を適切な位置に設けても良い。
【0035】
また、図2に示すように、スイッチ機構を設けることで、1セル内に形成された光センサ部500と液晶セル部600とを切り替えて利用することも可能である。TFT100のソース電極5は、DC電源と信号バスとの接続を切り替える第1のスイッチ28により接続を切り替えられるように構成されており、TFT100のドレイン電極6は、液晶セル部600の第2の基板側の対向電極26と接続されている。第2のスイッチ29は、ドレイン電極6及び対向電極26を、信号バスと、信号電極26とで切り替えるように構成されており、第1のスイッチ28におけるDC電源と信号バスとの接続の切り替えと、第2のスイッチ29におけるドレイン電極6及び対向電極26を、信号バスと、信号電極26とで接続を切り替える動作とが同期するように動作する。TFT100と、信号電極26、が近接して配置されているのが好ましい。
【0036】
図2は、光センサ部500が動作し、液晶セル部600が表示動作をしない場合の構造を示す図であり、光センサ部500は前記アクティブレンズ機能によりTFT100のゲート誘電体層8に集光して光の有無を検出する。一方、液晶セル部には対向電極26・27間に電圧が印加されていないため、液晶はランダムに配向し、バックライトの光300はこの領域(600)を透過しない。
【0037】
一方、図3は、光センサ部500を動作させず、液晶セル部600が表示動作する場合の構造を示す図であり、光センサ部500はTFT100のソース−ドレイン電極に電圧が印加されないため、アクティブレンズ機能が生じない。液晶セル部600において、TFT100の信号電極26と対向電極27間には対応する電圧が印加されるため、符号31に示すように液晶が配向して“0”、“1”の表示(透過)を行うことができる。すなわち、表示時は、信号バスライン、TFT100を経由して対向電極26、27に電圧が印加され、光透過散乱型液晶31は図3に示すように、対向電極26、27間を基板面に垂直に配向するため、バックライトの光は第1の基板1の面から放射される。この光をユーザは表示光として認知することができる。
【0038】
図4は、本実施の形態による光センサ部/表示部の切り替え回路の一構成例を示す図である。図4に示す光センサ部/表示部の切り替え回路は、TFT100をスイッチング素子として用い、光散乱型液晶を表示に用いる表示セル600と、TFT100によるアクティブレンズ機能を利用した光センサ部500とを構成する。符号13は電源であり、符号30はバイアス電圧発生器(図15に示すようなパルス電圧を印加する)であり、符号28、29はスイッチであり、符号26は信号電極、符号27は液晶共通(コモン)電極であり、符号16は液晶の付加容量兼用のキャパシタであり、信号バスからの信号が信号電極26に印加されるようになっている。スイッチ28及びスイッチ29は、図2に示すスイッチ28、29と同じものである。第1スイッチ28が端子a、第2スイッチ29が端子aに接続した状態では光センサとして機能し、第1スイッチ28が端子b、第2スイッチ29が端子bに接続した状態では液晶表示セルとして機能する。
【0039】
図16は、図4に示す光センサ部/表示部の切り替え回路に加えて出力回路を設けた光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図である。図16Aは、図4に示す光センサ/表示素子切り替え回路と出力回路とを含む光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図であり、光センサ機能を選択した場合の回路図である。図16Bは、図4に示す光センサ/表示素子切り替え回路と出力回路とを含む光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図であり、表示機能を選択した場合の回路図である。
【0040】
この回路では、図4に示す信号バスに、符号Zで示される破線内の出力回路が接続されている。図16A・Bに示す出力回路Zは、オペアンプ121を有している。オペアンプ121に関して、出力回路Zには、3つのスイッチ131、141、151が設けられ、これらは、例えばユーザの指示(入力)により、aとbとに、同期して切り替えられるように構成されている。スイッチ131は、端子aがスイッチ151の端子aと結線されている。スイッチ131の端子bは、スイッチ141の端子bに結線されている。スイッチ141の端子aは撮像信号の出力側となっており、端子bは、オペアンプ121の出力端子に結線されている。スイッチ151の端子bは、オペアンプの正の入力端子と映像信号の入力端子とを結線することができる。オペアンプの負の入力端子121bは、抵抗163を介して接地(GND)されている。また、オペアンプの負の入力端子121bは、オペアンプの出力端子121cと抵抗161を介して結線されている。
【0041】
スイッチスイッチ28,29及び131、141、151は、同期して切り替わり、全てがbの場合(図16A)又は全てがaの場合(図16B)のいずれかになるように制御される。
【0042】
図16Aに示すスイッチの切り替え状態(スイッチが全てb端子に接続されている)は、入力映像信号が、オペアンプに121の端子121aに入力して増幅され、端子121cから出力されることで、信号バスを介してTFT100を通り、表示装置(信号電極26)に入り、表示を行う(表示モード)。
【0043】
一方、図16Bに示すスイッチの切り替え状態とは逆の状態(スイッチが全てa端子に接続されている)は、TFT100の光センサによりセンシングされた光により、TFT100に電流が流れ、液晶の付加容量兼用の容量16に電荷は蓄積される。
【0044】
充電された電荷に基づく電流は、スイッチ29、信号バスを通ってオペアンプ121の第1の入力端子121aに入り、ここで増幅された信号は、オペアンプ121の出力端子121cから撮像信号として出力される。これにより、S/Nが良好になる。
【0045】
以上にように、光センサ機能と表示機能と両方にオペアンプを兼用することができるため、占有面積を少なくすることができ、より高機能な装置を実現することができる。
【0046】
尚、上記の構成は一例であり、オペアンプ(増幅器)を2つ有して、センサ用、表示用にそれぞれアンプを使い分けるようにしても良い。スイッチの構成も一例であり、本発明は、同様な動作を行う周知の回路構成を含んでいる。
【0047】
すなわち、信号線(信号バス)と信号電極26に接続させるとともにTFT100の電流端子5・6間に駆動電圧を印加する第1の状態と、信号線とTFT100の電流端子を接続させるとともに信号線と信号電極との接続を切断される第2の状態と、の2つの状態を切り替える後述する表示切り替え回路(切り替え制御部)が設けられ、第1の状態では光センサ素子として機能し、前記第2の状態では表示素子として機能するようになっている。
【0048】
尚、限定的な動作ではないが、表示部による表示おける画像信号の垂直ブランキング期間内に、光センサ部が動作するように動作のタイミングを制御する制御回路を設けることで、効率良く光センサ機能と表示機能とを発揮させることも可能である。垂直ブランキング期間は、msオーダーであるため、光センシングの処理を行う期間として十分に利用可能である。
【0049】
本発明の光センサへのTFTのゲート誘電体層への入射光束を最大にする制御システムを構成することも可能である。ある領域内の素子を、一律に光センサ又は表示素子にするように制御して、専用の機能を有する領域を設けるようにしても良い。また、当初の設計に基づいて、光センサ部と表示素子とを固定させるように装置を製造しても良い。この場合でも、装置をカスタマイズすることができる。
【0050】
この様にして、光センサ機能を、フラットパネルディスプレイと兼用させて切り替えて使用することもできるため、素子領域の有効利用が可能である。この際、表示素子群内に光センサ素子を隠蔽することができるため、外部から見えにくい構成とすることができる。従って、視聴者に不快感を与えることなく、フラットパネルディスプレイ前面の視聴者の位置のセンシングを行うことができる。視聴者にとって如何にも監視されている様で“気持ち悪い・不気味”と言う状況が解消できる。
【0051】
また、センサカメラ部がピストルの銃口の様にも見えるなどの恐怖心も解消される。また、本センサ技術を顔認識技術や年齢認識技術との組み合わせによる応用商品への可能性がある。光センサ機能をフラットパネルディスプレイ面内に配置するため、視聴者に不快感を与えることなく、フラットパネルディスプレイ前面の視聴者の位置センスを行うことができる。例えば、ユーザが表示システムの前に立った時に、本実施の形態によるセンサ技術を、顔認識技術や年齢認識技術との組み合わせによる応用等が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、光センサを備えたディスプレイ装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
A…光センサ、1…第1の基板、2…第2の基板、3…光透過散乱型液晶、4…駆動電極、5…ソース電極、6…ドレイン電極、7…シリコン半導体層、8…ゲート誘電体層、9…ゲート電極、10…入射光、14…バイアス電圧(−VCC)、15…抵抗、18…出力電圧、21…電流、100…TFT、500…光センサ部、600…表示素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサ機能付き表示素子に関し、特に、光散乱型液晶を利用した光センサ機能付きフラットパネルディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の光センサ技術は、絶縁表面を有する基板上にアモルファスシリコン膜を用いた光センサ素子と、薄膜トランジスタからなる出力増幅回路とを集積する。また、光センサ素子の光電変換層のパターニングの際に、露出されている配線を保護するための金属層を光電変換層と薄膜トランジスタと接続する配線との間に設けるものである。さらに、表示装置に関しても多くの文献が存在する。
【0003】
また、一般的な光センサ機能付き表示装置としては、図17に示すように、フラットパネルディスプレイ501の上部又は外縁に光学カメラ等503を画像センサとして配置し、フラットパネルディスプレイ501前面の視聴者505の位置検出に活用しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−108307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図17に示すように、従来の光センサ付き表示システムYのカメラ(光センサ部)503には、光学式カメラが用いられていて、基本的には、フラットパネルディスプレイ501の上部または近傍に配置されている。この構成が簡便・安価であり、多用されている。装置の動作原理は、フラットパネルディスプレイ501の前面の視聴者の位置を光学的に検知し、カメラヘッド503が同期して追随する構成になっている。
【0006】
しかしながら、この構成は、視聴者からは「如何にも監視されている様で“気持ち悪い・不気味”」と言う声が多く出されていた。さらに、カメラ部503が人物を追随するため、ずっと見られているようで“気持ち悪い”と言う意見もあった。
【0007】
近年、最先端技術を用いることにより、カメラの超小型化が急速に進んでいる。これにより、構成が簡便であり、価格が安価になり、フラットパネルディスプレイの上部または外縁部に組み込みやくなってきたが、“形”として厳然として存在するため、視聴者にとって如何にも監視されているようであり“気持ち悪い・不気味である”と言う状況に変わりはない。
【0008】
また、人によっては、カメラのレンズが小さくなるほど、ピストルの銃口の様にも見え、恐怖心すら覚える等と、極めて評判が良くないことがよく知られている。本発明は、光センサ機能をフラットパネルディスプレイ面内に目立たないように配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の様な状況に鑑み、観視者が光センサ部を直視することなく、位置センスされる光センサ付き表示装置を提案するものである。
【0010】
本発明は、第1の基板と、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止した光透過散乱型液晶と、バックライトと、を有するフラットパネルディスプレイである。前記第1の基板の液晶面には、液晶をアクティブレンズとして機能させる対向電極対が配置されている。前記第2の基板の液晶面には、光センサ機能を有する例えばトップゲート型TFTを配置し、反対面にはバックライトを配置することにより光センサ付きフラットパネルディスプレイを構成する。
【0011】
本発明の一観点によれば、透明な第1の基板と、前記第1の基板と対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された光透過散乱型液晶材と、前記第2の基板の前記第1の基板側の面に形成され基板の面内方向に離れて配置された駆動電極対と、該駆動電極対と基板の法線方向に対向する位置に設けられた薄膜トランジスタ(以下「TFT」と称する。)と、前記第1の基板の内面に形成される透明な共通電極及び前記第2の基板の内面に形成され前記薄膜トランジスタの電流端子と接続される信号電極と、信号線と前記信号電極に接続させるとともに前記薄膜トランジスタの電流端子間に駆動電圧を印加する第1の状態と、信号線と前記薄膜トランジスタの電流端子とを接続するとともに前記信号線と前記信号電極との接続を切断する第2の状態と、の2つの状態を切り替える切り替え制御部と、を有する光センサ機能付き表示素子が提供される。前記第1の状態は表示素子、前記第2の状態は光センサ素子として機能するものである。前記TFTと前記共通電極及び前記信号電極とを、前記基板面内における近接領域に設けることが好ましい。これにより、表示素子と光センサ素子とのセットを小さい専有面積で実現できる。尚、表示素子と光センサ素子とのセットでは、いずれかの素子を複数設けても良いし、両方とも複数設けても良い。
【0012】
前記第2の状態において、前記TFTのしきい値電圧以下のゲート電圧においてもドレイン電流が流れる程度の電圧を、前記TFTのソース−ゲート間に印加して用いることが好ましい。基板内に配置したTFTの暗電流特性を積極的に活用することにより、光センサにおけるS/Nを良好にすることができる。また、前記駆動電極対と前記TFTのゲート部とが対向配置されていることが好ましい。また、前記駆動電極対間に所定の電圧を印加する電圧印加部を有し、前記電圧印加部により、前記第1の基板と前記第2の基板との間の前記光透過散乱型液晶材により可変焦点機能を有するアクティブレンズを形成することが好ましい。前記第2の基板の外側に前記基板内を照射する光源を備えているのが好ましい。前記第1の基板に配置された前記光透過散乱型液晶用駆動用の対向電極対と前記第2の基板に配置したTFTのゲート部とを対向した配置にしたことが好ましい。前記第1の基板から光が入射可能な構成において、前記TFTのゲート電極を負極性の電源に接続し、ソース電極を正極性の電源に接続し、前記TFTのドレイン電極とアースとの間にはコンデンサと抵抗の並列回路がそれぞれ接続されていても良い。前記駆動電極対間に所定の電圧を印加することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との間に可変焦点機能を有するアクティブレンズを形成するようにすると良い。また、前記第1の基板から光が入射可能な構成において、前記TFTのゲート電極を負極性の電源に接続し、前記TFTのソース電極を正極性の電源に接続し、前記TFTのドレイン電極とアース間にはコンデンサと抵抗との並列回路がそれぞれ接続されていることが好ましい。また、一方の面に所定の間隔で配置した複数電極対と集光レンズまたはレンズアレーを配置しても良い。
【0013】
さらに、前記第1の状態において、前記薄膜トランジスタからの出力を増幅する増幅器であって、前記第2の状態において、入力する映像信号を増幅し、増幅した出力を前記信号電極に印加する増幅器を備えた出力回路を有するようにしても良く、前記出力回路は、第1から第3までのスイッチを有しており、前記第3のスイッチは、前記第1の状態において前記第1のスイッチの一方の端子と接続され、前記第2の状態において映像信号入力端子と前記増幅器の入力端子とを接続し、前記第2のスイッチは、前記第1の状態において撮像信号の出力側と接続され、前記第2の状態において前記第1のスイッチの他方の端子と接続されるように前記切替制御部の切り替え制御と同期してスイッチが制御されることが好ましい。
【0014】
本発明は、上記のいずれかに記載の多数のセンサ機能付き表示素子がマトリックス状に配置されていることを特徴とする光センサ機能付き表示装置である。前記第2の基板の外側に前記基板内を照射するバックライトを備えたことが好ましい。前記複数電極対と前記複数のTFTアレーを線順次で走査する駆動回路を有することが好ましい。前記表示素子による表示おける画像信号の垂直ブランキング期間内に、前記光センサ部が動作をするように構成した制御回路を有することが好ましい。前記TFTの出力電圧を入力として、所定の光束以上の入射光束が得られるように前記駆動電極対に印加する電圧を出力する電圧制御部を有するようにすると良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光センサ機能をフラットパネルディスプレイ面内に目立たない配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態による光センサ機能付き表示システムの一構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態による光センサ機能付き表示システムにおける光センサと表示素子との構成例を示す図である。
【図3】図2に対応する表示動作時の構成を示す図である。
【図4】光センサ/表示素子切り替え回路を含む構成例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による光センサの一構成例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による光センサの一構成例を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態による光センサにおける液晶駆動電極及びTFT各電極のバイアスについて示す図である。
【図8】本実施の形態によるTFTの光電流特性例を示す図である。
【図9】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の原理を説明するための図である。
【図10】本実施の形態によるアクティブレンズ機能を持たせた際の光透過散乱型液晶分子の配向の様子を示す図である。
【図11】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。
【図12】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。
【図13】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。
【図14】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。
【図15】本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧例を示す図である。
【図16A】図4に示す光センサ/表示素子切り替え回路と出力回路とを含む光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図であり、光センサ機能を選択した場合の回路図である。
【図16B】図4に示す光センサ/表示素子切り替え回路と出力回路とを含む光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図であり、表示機能を選択した場合の回路図である。
【図17】従来の光センサ付き表示システムの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施の形態による光センサ機能付き表示装置について図面を参照しながら説明を行う。図1は、本実施の形態による光センサ付き表示システムの概略的な構成例を示す図である。図1に示すように、観視者Uが光センサ付き表示装置Xの前面に立ち、図中の(白抜きの矢印)点線のように面方向に沿って移動した場合に、表示装置Xの所定の位置から放射される液晶バックライトの光が観視者に反射して戻ってくることにより、パネルP内に組み込まれた光センサ部Oにより反射光が検知され、観視者Uは、表示画像を観ながら、その移動位置が検知されている。
【0018】
本発明の実施の形態による特徴的なポイントは、光透過散乱型液晶のアクティブレンズ機能と基板内に配置したトップゲート型TFTとからなる光センサ機能を、トップゲート型TFTをアクティブ素子とした光透過散乱型液晶表示素子と同じパネル内に組み込んだことにある(光センサ組み込み型表示パネルと言うことができる)。かかる構成により、例えば、液晶表示装置用のバックライトからの光は、本実施の形態による表示装置の前面にいるユーザに反射し、再び本表示装置に入射する。この入射光が第2の基板面に配置したTFTのゲート周辺を照射することで、TFTは表示用のバッファトランジスタ機能と切り替わって、光センサ機能を発揮することができる。尚、表示素子数は、一般的には多数であり、ハイビジョン表示も可能な程度の素子数(集積度)にすることも可能である。
【0019】
以下、本発明の一実施の形態による光センサ機能付き表示装置の光センサ部について図面を参照しながら説明を行う。本実施の形態による光センサ部のレンズの原理は、光の散乱を利用した光透過散乱型液晶の配向によるアクティブレンズ機能を活用し、入射光束をできるだけ多く(好ましくは最大入射光束を)取り込むように構成することで、光電変換レベル(S)が向上し、また、フォトダイオードを使用しないことから、暗ノイズ(N)を激減でき、S/Nの良好な光センサが構成することができる。
【0020】
まず初めに、光透過散乱型液晶のアクティブレンズ機能と、基板内に配置したTFTとの組み合わせとからなる、本発明の第1の実施の形態による光センサについて詳細に説明する。
【0021】
図5は、図4に示す素子を光センサとして機能させた場合の構成例を示す図である。図5に示すように、本実施の形態(第1の実施の形態)による光センサAは、例えばガラスなどによる透明な第1の基板1と、例えば、ガラス又はシリコンなどの第2の基板2との間に、ポリマ分散型液晶等の光透過散乱型液晶3が封入されている。第1の基板1には、光透過散乱型液晶3を駆動するための駆動電極4を基板面内において対向に配置している(駆動電極対)。光透過散乱型液晶3は、駆動電極4間の印加電圧がゼロの時は散乱状態となり光を透過しない。第2の基板2は裏面からTFT100のゲート9への光漏れを防ぐために、遮光材または遮光処理(図5では、遮光膜13が形成されている例を示している。)が望ましい。光透過散乱型液晶パネル厚は、例えば、約2〜3mm程度であり、殆ど2枚の基板の厚さになる。
【0022】
第2の基板2には、例えばポリシリコンにより形成されるソース電極5とドレイン電極6と例えばシリコン半導体層7と酸化膜などにより形成されるゲート誘電体層8とゲート電極9とにより構成されるTFT100を配置する。TFT100は、一般的なアクティブマトリクス液晶と同様の工程で製造することができ、第2の基板2上に形成された活性層(チャンネル層)7と、ゲート誘電体層8と、その上に形成されたゲート電極9と、チャンネル層7に形成されたソース、ドレイン電極5・6と、を有している。ゲート電極9は、入射光束を効率的に取り込むため、光透過散乱型液晶3の駆動電極4と基板面の法線方向に対向している。駆動電極4の対の間隔は、TFT100のゲート誘電体層8の領域を光学的に遮光しない間隔にするのが好ましい。これにより、TFT100のゲート誘電体層8に直接光束を入射させる導光部を形成することができる。
【0023】
次に、本実施の形態による光センサの動作について説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態による光センサにおける液晶駆動電極及びTFT各電極のバイアスについて示す図である。第1の基板1側から入射する入射光10に対して敏感に反応させるため、図7に示すように、TFT100のゲート電極9には、抵抗15を介して負方向の深いバイアス電圧(−Vg)14を印加しておくと、白抜きの矢印で示す電流21の静特性曲線は図8に示す符号500のようになる。+Vccは例えば4V程度である。
【0024】
ソース電極5とドレイン電極6との間に電流21が流れ、コンデンサ16と抵抗17との並列回路の両端に出力電圧18として誘起される。この出力電圧18を入力として、所定の光束以上の入射光束が得られるような制御システム19から出力される出力電圧20により、光透過散乱型液晶3の駆動電極4に対して所定の電圧11が印加される。その際の後述するアクティブレンズ機能により、入射光10は第2の基板2に配置されているTFT100のゲート誘電体層8に集光するようになっている。
【0025】
図8は、図5に示すような本実施の形態による光センサに用いられるTFT100における光電流特性例を示す図である。図8に示すように、TFT100に印加するゲート電圧Vgが閾値電圧以下の場合には、ソース-ドレイン電流IDSは基本的には流れないが、実際にはわずかながら、例えば3×10−11(A)程度の光電流(暗電流)400(破線で示す)が漏れ電流として流れるため、光センサとしてのS/Nを悪くしているという問題がある。本実施の形態では、本来であれば問題となるこの現象を逆に活用することを考えたものである。すなわち、図8に示すように、負方向の深いバイアス電圧(−Vg)14(図7)を印加し、かつ、ゲート誘電体層8に光を積極的に入力すると、図8中の電流特性曲線500に示すように、ゲート電圧Vgがしきい値電圧Vth以下でも、ドレイン電流が流れるようになる。一般的には、ゲート電圧Vgがしきい値電圧Vth以上でないとドレイン電流は流れないが、負方向の深いバイアス電圧(−Vg)14(図7)を印加することで、ゲート電圧Vgがしきい値電圧Vth以下でもドレイン電流が流れるため、光センサとして利用できるようになる。
【0026】
以下に、光透過散乱型液晶3の配向特性を活用したアクティブレンズ機能について説明する。図9は、本実施の形態によるアクティブレンズ機能の原理を説明するための図である。図9に示すように、駆動電極4の近傍の光透過散乱型液晶3の分子12は、基板1にほぼ平行に配向する。駆動電極4から少し離れた位置の光透過散乱型液晶3の分子は、基板1に対し下方に若干湾曲に配向する。このように、電極4から徐々に離れるにつれ、より下方に湾曲した配向となり、下に凸の凸型シリンドリカルレンズを形成する。この様に、駆動電圧11を調整することにより、凸型シリンドリカルレンズの曲率を可変にすることができるため、適応的に焦点距離を調整することができる(可変焦点機能)。このアクティブレンズ機能により、入射光10をTFT100のゲート誘電体層8に集光させることができる。この光により、ドレイン6−ソース5間に電流が流れ、コンデンサ16を充電する。コンデンサ16に充電された電荷は、順次取り出されて、電気信号に変換される。
【0027】
図10は、本実施の形態によるアクティブレンズ機能における焦点距離と印加電圧との関係を示す概念図である。図10において、電極対4に矩形波または正弦波等の交流電圧が印加されると、電極4を中心に等電位面21が形成され、この等電位面21に垂直に交差するように電気力線22が形成される。従って、電極4近傍の光透過散乱型液晶分子は、電気力線22に沿って図9に示したように配向することになる。すなわち、光透過散乱型液晶3の分子は基板1にほぼ平行に配向するが、電極4から少し離れた位置の光透過散乱型液晶3の分子は、基板1に対し下方に若干湾曲に配向する。液晶分子列で形成される湾曲面は、印加電圧の大きさに比例して滑らかになる。このように、電極対4の印加電圧により、凸型シリンドリカルレンズの曲率を任意に調整することができる。
【0028】
図11から図14までは、本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧依存性を示す図である。図15は、本実施の形態によるアクティブレンズ機能の印加電圧例を示す図である。
【0029】
図15に示すように、電極4に印加する電圧パルスは、(a)に示す低い電圧V1、(b)に示すそれよりはやや高い電圧V2、(c)に示す電圧V3、(d)に示す高い電圧V4とすると、印加電圧が低いV1の時は、図11に示すように、液晶により形成されるアクティブレンズ機能による凸レンズ23の曲率が大きいため、入射光23に対して、焦点距離f1の長いレンズが形成される。更に、印加電圧をV2→V3と高くしていくと、図12、13に示す様に、凸レンズ23の曲率が小さくなり、焦点距離f2、f3のように短くなっていく。図13に示すように、ゲート電極9の下面に位置する焦点距離が、TFT100が光を最も効率良く受ける状態を示す図であり、さらに焦点距離が長くなると図14に示すように、TFT100よりも第1の基板1側に焦点が結ばれ、TFT100に照射される光が弱まる。このように、電極4に印加する電圧により焦点距離を調整することができ、基板面に垂直に入射する入射光を最も効率良く集光させることができる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施の形態による光センサについて説明する。本実施の形態は、図5を参照して説明した第1の実施の形態と同様に光センサBにおいて、入射光10の中のゲート誘電体層8から外れる斜め方向の成分を集光させる機能を備えたものであり、図2に示されている。図5と同様に遮光膜を設けても良い。図6に示すように、第1の基板1面にフィールドレンズ51を配置している。フィールドレンズ51は、フォトレジストなどにより、一般的な半導体製造プロセスで形成することが可能である。これにより、斜め方向の入射光23(図5)を図6の符号24に示すように補正し、ゲート誘電体層8に集光することができる。このような構成により、第1の実施の形態に比べて更にS/Nを向上させることができる。尚、フィールドレンズ51は、視野レンズとも言い、、前方の対物レンズの口径を映し、もしくは次に来るレンズの口径上に、先の対物レンズや正立系の口径を映すため、内部の像面、あるいはその近くに置くレンズのことである。
【0031】
第1の基板1面に所定の間隔で配置した複数電極4の対とフィールドレンズ(集光レンズ)51またはレンズアレーを配置し、薄膜トランジスタ100を配置した第2の基板2とが対向しており、かつ、第1の基板1と第2の基板2との間に光透過散乱型液晶3を封入し、複数電極4対と複数のTFT100のアレーを線順次で走査する公知の駆動回路を設ければ、光センサ機能付き表示装置を形成することができる。
【0032】
図6においては、フィールドレンズ51を薄肉の凸レンズで構成させた例を示したが、アクティブレンズ200との組み合わせにより、集光特性を任意に設定することがきるように光学素子(レンズ等)を選択・設計することができる。
【0033】
尚、本発明の第1及び第2の実施の形態による光センサとしては、1素子のみについて説明したが、実際には、多数の光センサをアレー化し、イメージセンサ等の光集積回路として構成することも可能である。また、本発明の光センサを表示素子と兼用する等の応用も可能である。
【0034】
次に、図2から図4までを参照しながら、表示部と光センサ部との兼用技術について説明を行う。図2及び図3は、本実施の形態による光センサ部500と液晶表示部600とが1つのセル内に形成されている様子を示す図である。尚、ここでは、1セル内に光センサ部500と液晶表示部600とが形成されている例について説明するが、実際には、フラットパネル内の多数のセルのうちの任意のセルを図2及び図3のように形成し、他の多くのセルは液晶表示部600のみを設けるのが一般的である。図2は、光センサ部500として図5に示す構成を適用し、隣接する液晶セル部600としては、第1の基板1と第2の基板2との間に光散乱型液晶分子30が挟持され、第1の基板1の内面と第2の基板2の内面に、対向電極26、27が形成された一般的な液晶セル構造が形成されている。尚、第2の基板側の対向電極26は、TFT100のドレイン電極6とオーミック接触されている。また、第2の基板2の外側に配置され、このバックライト300から第1の基板1側に向けて光が照射されるようになっている。このように、TFT100は、光センサ部500のセンサ機能と、液晶セル部600のスイッチング機能とを兼用させることができる。尚、バックライトに代えて、サイドライトなどの公知の照射手段を適切な位置に設けても良い。
【0035】
また、図2に示すように、スイッチ機構を設けることで、1セル内に形成された光センサ部500と液晶セル部600とを切り替えて利用することも可能である。TFT100のソース電極5は、DC電源と信号バスとの接続を切り替える第1のスイッチ28により接続を切り替えられるように構成されており、TFT100のドレイン電極6は、液晶セル部600の第2の基板側の対向電極26と接続されている。第2のスイッチ29は、ドレイン電極6及び対向電極26を、信号バスと、信号電極26とで切り替えるように構成されており、第1のスイッチ28におけるDC電源と信号バスとの接続の切り替えと、第2のスイッチ29におけるドレイン電極6及び対向電極26を、信号バスと、信号電極26とで接続を切り替える動作とが同期するように動作する。TFT100と、信号電極26、が近接して配置されているのが好ましい。
【0036】
図2は、光センサ部500が動作し、液晶セル部600が表示動作をしない場合の構造を示す図であり、光センサ部500は前記アクティブレンズ機能によりTFT100のゲート誘電体層8に集光して光の有無を検出する。一方、液晶セル部には対向電極26・27間に電圧が印加されていないため、液晶はランダムに配向し、バックライトの光300はこの領域(600)を透過しない。
【0037】
一方、図3は、光センサ部500を動作させず、液晶セル部600が表示動作する場合の構造を示す図であり、光センサ部500はTFT100のソース−ドレイン電極に電圧が印加されないため、アクティブレンズ機能が生じない。液晶セル部600において、TFT100の信号電極26と対向電極27間には対応する電圧が印加されるため、符号31に示すように液晶が配向して“0”、“1”の表示(透過)を行うことができる。すなわち、表示時は、信号バスライン、TFT100を経由して対向電極26、27に電圧が印加され、光透過散乱型液晶31は図3に示すように、対向電極26、27間を基板面に垂直に配向するため、バックライトの光は第1の基板1の面から放射される。この光をユーザは表示光として認知することができる。
【0038】
図4は、本実施の形態による光センサ部/表示部の切り替え回路の一構成例を示す図である。図4に示す光センサ部/表示部の切り替え回路は、TFT100をスイッチング素子として用い、光散乱型液晶を表示に用いる表示セル600と、TFT100によるアクティブレンズ機能を利用した光センサ部500とを構成する。符号13は電源であり、符号30はバイアス電圧発生器(図15に示すようなパルス電圧を印加する)であり、符号28、29はスイッチであり、符号26は信号電極、符号27は液晶共通(コモン)電極であり、符号16は液晶の付加容量兼用のキャパシタであり、信号バスからの信号が信号電極26に印加されるようになっている。スイッチ28及びスイッチ29は、図2に示すスイッチ28、29と同じものである。第1スイッチ28が端子a、第2スイッチ29が端子aに接続した状態では光センサとして機能し、第1スイッチ28が端子b、第2スイッチ29が端子bに接続した状態では液晶表示セルとして機能する。
【0039】
図16は、図4に示す光センサ部/表示部の切り替え回路に加えて出力回路を設けた光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図である。図16Aは、図4に示す光センサ/表示素子切り替え回路と出力回路とを含む光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図であり、光センサ機能を選択した場合の回路図である。図16Bは、図4に示す光センサ/表示素子切り替え回路と出力回路とを含む光センサ機能付き表示回路の一構成例を示す回路図であり、表示機能を選択した場合の回路図である。
【0040】
この回路では、図4に示す信号バスに、符号Zで示される破線内の出力回路が接続されている。図16A・Bに示す出力回路Zは、オペアンプ121を有している。オペアンプ121に関して、出力回路Zには、3つのスイッチ131、141、151が設けられ、これらは、例えばユーザの指示(入力)により、aとbとに、同期して切り替えられるように構成されている。スイッチ131は、端子aがスイッチ151の端子aと結線されている。スイッチ131の端子bは、スイッチ141の端子bに結線されている。スイッチ141の端子aは撮像信号の出力側となっており、端子bは、オペアンプ121の出力端子に結線されている。スイッチ151の端子bは、オペアンプの正の入力端子と映像信号の入力端子とを結線することができる。オペアンプの負の入力端子121bは、抵抗163を介して接地(GND)されている。また、オペアンプの負の入力端子121bは、オペアンプの出力端子121cと抵抗161を介して結線されている。
【0041】
スイッチスイッチ28,29及び131、141、151は、同期して切り替わり、全てがbの場合(図16A)又は全てがaの場合(図16B)のいずれかになるように制御される。
【0042】
図16Aに示すスイッチの切り替え状態(スイッチが全てb端子に接続されている)は、入力映像信号が、オペアンプに121の端子121aに入力して増幅され、端子121cから出力されることで、信号バスを介してTFT100を通り、表示装置(信号電極26)に入り、表示を行う(表示モード)。
【0043】
一方、図16Bに示すスイッチの切り替え状態とは逆の状態(スイッチが全てa端子に接続されている)は、TFT100の光センサによりセンシングされた光により、TFT100に電流が流れ、液晶の付加容量兼用の容量16に電荷は蓄積される。
【0044】
充電された電荷に基づく電流は、スイッチ29、信号バスを通ってオペアンプ121の第1の入力端子121aに入り、ここで増幅された信号は、オペアンプ121の出力端子121cから撮像信号として出力される。これにより、S/Nが良好になる。
【0045】
以上にように、光センサ機能と表示機能と両方にオペアンプを兼用することができるため、占有面積を少なくすることができ、より高機能な装置を実現することができる。
【0046】
尚、上記の構成は一例であり、オペアンプ(増幅器)を2つ有して、センサ用、表示用にそれぞれアンプを使い分けるようにしても良い。スイッチの構成も一例であり、本発明は、同様な動作を行う周知の回路構成を含んでいる。
【0047】
すなわち、信号線(信号バス)と信号電極26に接続させるとともにTFT100の電流端子5・6間に駆動電圧を印加する第1の状態と、信号線とTFT100の電流端子を接続させるとともに信号線と信号電極との接続を切断される第2の状態と、の2つの状態を切り替える後述する表示切り替え回路(切り替え制御部)が設けられ、第1の状態では光センサ素子として機能し、前記第2の状態では表示素子として機能するようになっている。
【0048】
尚、限定的な動作ではないが、表示部による表示おける画像信号の垂直ブランキング期間内に、光センサ部が動作するように動作のタイミングを制御する制御回路を設けることで、効率良く光センサ機能と表示機能とを発揮させることも可能である。垂直ブランキング期間は、msオーダーであるため、光センシングの処理を行う期間として十分に利用可能である。
【0049】
本発明の光センサへのTFTのゲート誘電体層への入射光束を最大にする制御システムを構成することも可能である。ある領域内の素子を、一律に光センサ又は表示素子にするように制御して、専用の機能を有する領域を設けるようにしても良い。また、当初の設計に基づいて、光センサ部と表示素子とを固定させるように装置を製造しても良い。この場合でも、装置をカスタマイズすることができる。
【0050】
この様にして、光センサ機能を、フラットパネルディスプレイと兼用させて切り替えて使用することもできるため、素子領域の有効利用が可能である。この際、表示素子群内に光センサ素子を隠蔽することができるため、外部から見えにくい構成とすることができる。従って、視聴者に不快感を与えることなく、フラットパネルディスプレイ前面の視聴者の位置のセンシングを行うことができる。視聴者にとって如何にも監視されている様で“気持ち悪い・不気味”と言う状況が解消できる。
【0051】
また、センサカメラ部がピストルの銃口の様にも見えるなどの恐怖心も解消される。また、本センサ技術を顔認識技術や年齢認識技術との組み合わせによる応用商品への可能性がある。光センサ機能をフラットパネルディスプレイ面内に配置するため、視聴者に不快感を与えることなく、フラットパネルディスプレイ前面の視聴者の位置センスを行うことができる。例えば、ユーザが表示システムの前に立った時に、本実施の形態によるセンサ技術を、顔認識技術や年齢認識技術との組み合わせによる応用等が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、光センサを備えたディスプレイ装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
A…光センサ、1…第1の基板、2…第2の基板、3…光透過散乱型液晶、4…駆動電極、5…ソース電極、6…ドレイン電極、7…シリコン半導体層、8…ゲート誘電体層、9…ゲート電極、10…入射光、14…バイアス電圧(−VCC)、15…抵抗、18…出力電圧、21…電流、100…TFT、500…光センサ部、600…表示素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な第1の基板と、
前記第1の基板と対向して配置される第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された光透過散乱型液晶材と、
前記第2の基板の前記第1の基板側の面に形成され基板の面内方向に離れて配置された駆動電極対と、該駆動電極対と基板の法線方向に対向する位置に設けられた薄膜トランジスタ(以下「TFT」と称する。)と、
前記第1の基板の内面に形成される透明な共通電極及び前記第2の基板の内面に形成され前記薄膜トランジスタの電流端子と接続される信号電極と、
信号線と前記信号電極に接続させるとともに前記薄膜トランジスタの電流端子間に駆動電圧を印加する第1の状態と、信号線と前記薄膜トランジスタの電流端子とを接続するとともに前記信号線と前記信号電極との接続を切断する第2の状態と、の2つの状態を切り替える切り替え制御部と、を有する光センサ機能付き表示素子。
【請求項2】
前記第1の状態では光センサ素子として機能し、前記第2の状態では表示素子として機能することを特徴とする請求項1に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項3】
前記TFTと前記共通電極及び前記信号電極とを、前記基板面内における近接領域に設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項4】
前記第2の状態において、前記TFTのしきい値電圧以下のゲート電圧においてもドレイン電流が流れる程度の電圧を、前記TFTのソース−ゲート間に印加して用いることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項5】
前記駆動電極対と前記TFTのゲート部とが対向配置されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項6】
前記駆動電極対間に所定の電圧を印加する電圧印加部を有し、前記電圧印加部により、前記第1の基板と前記第2の基板との間の前記光透過散乱型液晶材により可変焦点機能を有するアクティブレンズを形成することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項7】
前記第2の基板の外側に前記基板内を照射する光源を備えたことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項8】
前記第1の基板に配置された前記光透過散乱型液晶用駆動用の対向電極対と前記第2の基板に配置したTFTのゲート部とを対向した配置にしたことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項9】
前記第1の基板から光が入射可能な構成において、前記TFTのゲート電極を負極性の電源に接続し、ソース電極を正極性の電源に接続し、前記TFTのドレイン電極とアースとの間にはコンデンサと抵抗の並列回路がそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項10】
前記駆動電極対間に所定の電圧を印加することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との間に可変焦点機能を有するアクティブレンズを形成することを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項11】
前記第1の基板から光が入射可能な構成において、前記TFTのゲート電極を負極性の電源に接続し、前記TFTのソース電極を正極性の電源に接続し、前記TFTのドレイン電極とアース間にはコンデンサと抵抗との並列回路がそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項12】
一方の面に所定の間隔で配置した複数電極対と集光レンズまたはレンズアレーを配置したことを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項13】
さらに、前記第1の状態において前記薄膜トランジスタからの出力を増幅し、前記第2の状態において、入力する映像信号を増幅し増幅した出力を前記信号電極に印加する増幅器を備えた出力回路を有することを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項14】
前記出力回路は、第1から第3までのスイッチを有しており、
前記第3のスイッチは、前記第1の状態において前記第1のスイッチの一方の端子と接続され、前記第2の状態において映像信号入力端子と前記増幅器の入力端子とを接続し、
前記第2のスイッチは、前記第1の状態において撮像信号の出力側と接続され、前記第2の状態において前記第1のスイッチの他方の端子と接続されるように前記切替制御部の切り替え制御と同期してスイッチが制御されることを特徴とする請求項13に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項15】
前記第1の状態用の第1の増幅器と、前記第2の状態用の第2の増幅器と、を有することを特徴とする請求項13に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の多数のセンサ機能付き表示素子がマトリックス状に配置されていることを特徴とする光センサ機能付き表示素子。
【請求項17】
前記第2の基板の外側に前記基板内を照射するバックライトを備えたことを特徴とする請求項16に記載の光センサ機能付き表示装置。
【請求項18】
前記複数電極対と前記複数のTFTアレーを線順次で走査する駆動回路を有することを特徴とする請求項16又は17に記載の光センサ機能付き表示装置。
【請求項19】
前記表示素子による表示おける画像信号の垂直ブランキング期間内に、前記光センサ部が動作をするように構成した制御回路を有することを特徴とする請求項16から18までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示装置。
【請求項20】
前記TFTの出力電圧を入力として、所定の光束以上の入射光束が得られるように前記駆動電極対に印加する電圧を出力する電圧制御部を有することを特徴とする請求項16から19までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示装置。
【請求項1】
透明な第1の基板と、
前記第1の基板と対向して配置される第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持された光透過散乱型液晶材と、
前記第2の基板の前記第1の基板側の面に形成され基板の面内方向に離れて配置された駆動電極対と、該駆動電極対と基板の法線方向に対向する位置に設けられた薄膜トランジスタ(以下「TFT」と称する。)と、
前記第1の基板の内面に形成される透明な共通電極及び前記第2の基板の内面に形成され前記薄膜トランジスタの電流端子と接続される信号電極と、
信号線と前記信号電極に接続させるとともに前記薄膜トランジスタの電流端子間に駆動電圧を印加する第1の状態と、信号線と前記薄膜トランジスタの電流端子とを接続するとともに前記信号線と前記信号電極との接続を切断する第2の状態と、の2つの状態を切り替える切り替え制御部と、を有する光センサ機能付き表示素子。
【請求項2】
前記第1の状態では光センサ素子として機能し、前記第2の状態では表示素子として機能することを特徴とする請求項1に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項3】
前記TFTと前記共通電極及び前記信号電極とを、前記基板面内における近接領域に設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項4】
前記第2の状態において、前記TFTのしきい値電圧以下のゲート電圧においてもドレイン電流が流れる程度の電圧を、前記TFTのソース−ゲート間に印加して用いることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項5】
前記駆動電極対と前記TFTのゲート部とが対向配置されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項6】
前記駆動電極対間に所定の電圧を印加する電圧印加部を有し、前記電圧印加部により、前記第1の基板と前記第2の基板との間の前記光透過散乱型液晶材により可変焦点機能を有するアクティブレンズを形成することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項7】
前記第2の基板の外側に前記基板内を照射する光源を備えたことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項8】
前記第1の基板に配置された前記光透過散乱型液晶用駆動用の対向電極対と前記第2の基板に配置したTFTのゲート部とを対向した配置にしたことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項9】
前記第1の基板から光が入射可能な構成において、前記TFTのゲート電極を負極性の電源に接続し、ソース電極を正極性の電源に接続し、前記TFTのドレイン電極とアースとの間にはコンデンサと抵抗の並列回路がそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項10】
前記駆動電極対間に所定の電圧を印加することにより、前記第1の基板と前記第2の基板との間に可変焦点機能を有するアクティブレンズを形成することを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項11】
前記第1の基板から光が入射可能な構成において、前記TFTのゲート電極を負極性の電源に接続し、前記TFTのソース電極を正極性の電源に接続し、前記TFTのドレイン電極とアース間にはコンデンサと抵抗との並列回路がそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項12】
一方の面に所定の間隔で配置した複数電極対と集光レンズまたはレンズアレーを配置したことを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項13】
さらに、前記第1の状態において前記薄膜トランジスタからの出力を増幅し、前記第2の状態において、入力する映像信号を増幅し増幅した出力を前記信号電極に印加する増幅器を備えた出力回路を有することを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項14】
前記出力回路は、第1から第3までのスイッチを有しており、
前記第3のスイッチは、前記第1の状態において前記第1のスイッチの一方の端子と接続され、前記第2の状態において映像信号入力端子と前記増幅器の入力端子とを接続し、
前記第2のスイッチは、前記第1の状態において撮像信号の出力側と接続され、前記第2の状態において前記第1のスイッチの他方の端子と接続されるように前記切替制御部の切り替え制御と同期してスイッチが制御されることを特徴とする請求項13に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項15】
前記第1の状態用の第1の増幅器と、前記第2の状態用の第2の増幅器と、を有することを特徴とする請求項13に記載の光センサ機能付き表示素子。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の多数のセンサ機能付き表示素子がマトリックス状に配置されていることを特徴とする光センサ機能付き表示素子。
【請求項17】
前記第2の基板の外側に前記基板内を照射するバックライトを備えたことを特徴とする請求項16に記載の光センサ機能付き表示装置。
【請求項18】
前記複数電極対と前記複数のTFTアレーを線順次で走査する駆動回路を有することを特徴とする請求項16又は17に記載の光センサ機能付き表示装置。
【請求項19】
前記表示素子による表示おける画像信号の垂直ブランキング期間内に、前記光センサ部が動作をするように構成した制御回路を有することを特徴とする請求項16から18までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示装置。
【請求項20】
前記TFTの出力電圧を入力として、所定の光束以上の入射光束が得られるように前記駆動電極対に印加する電圧を出力する電圧制御部を有することを特徴とする請求項16から19までのいずれか1項に記載の光センサ機能付き表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【公開番号】特開2011−13653(P2011−13653A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182258(P2009−182258)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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