説明

光偏向器、光偏向器の製造方法、及び画像形成装置

【課題】複雑な製造工程を必要とせずに、窓部の入射面と反射面とを傾かせることができる光偏向器、光偏向器の製造方法、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】光偏向器は、反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、可動板を回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、光偏向素子を収容可能な素子室に配設されており、支持枠を支持する素子支持部を有する筐体本体と、反射面に入射する入射光が透過する窓部を有し、素子室の開口を封止する蓋部材と、を備え、支持枠と素子支持部とが第一の当接位置と第二の当接位置とにおいて当接することによって、支持枠が素子支持部に支持されており、入射光が窓部に入射する入射面に垂直な方向における入射面からの距離、又は反射面に垂直な方向における反射面からの距離が、第一の当接位置と第二の当接位置とで異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光偏向素子を備える光偏向器、光偏向素子を備える光偏向器の製造方法、及び光偏向器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、反射面を回動させることによって、光源から反射面に入射する光束を偏向させて、当該偏向光によって画像形成面上を走査することで画像形成面に画像を形成する光偏向器が知られている。高解像度の画像を形成するためには、より高い周波数で反射面を回動させることが必要である。MEMS(Micro Electro Mechanical System)の技術を応用して製作されたミラーデバイスは、従来から用いられているポリゴンミラーやガルバノミラーでは実現が困難な高い周波数で駆動させることが可能である。このミラーデバイスは、反射面が形成又は取り付けられた可動板と、弾性を有する捻り梁と、駆動源とを備え、捻り梁を軸にして反射面を往復回動させることによって、光源から反射面に入射する光束を偏向させる光偏向器である。
可動板は高速かつ高精度で回動させることが必要であり、雰囲気の影響によって特性が変わる可能性がある。雰囲気の影響を抑制するために可動板が配設された空間に蓋をして、当該空間を外部と隔絶することが行われている。反射面に入射される光束及び反射面によって反射された光束は、可動板が配設された空間を構成する部材に形成された窓部を透過する。反射面に入射される光束は、窓部の入射面から窓部に入射され、反対側の射出面から射出されて反射面に入射される。入射面及び射出面においては、光束の極一部が反射されて、反射光が発生する。当該反射光を、「迷光」と表記する。
【0003】
反射面によって反射された光束が走査することで形成される画像の中に、迷光が投射されることによって、画像の品質が劣化するという課題があった。窓部の入射面及び射出面と反射面とを傾けることによって、迷光の進行方向を反射面によって反射された光束の進行方向と異ならせることで、反射面によって反射された光束によって形成される画像の中に、迷光が投射されることを抑制する方法や装置が知られている。
特許文献1には、マイクロミラー素子を覆うウィンドウ蓋を有し、ウィンドウ蓋の光透過部がマイクロミラー素子に対して傾斜していることによって、ノイズビーム(迷光)をマイクロミラー素子による反射光と分離できる、マイクロミラー素子パッケージおよびその製造方法が開示されている。
特許文献2には、MEMSミラーと、MEMSミラーに対向配置されており開口を有する不透明プレートと、を備え、不透明プレートをMEMSミラー面に対して傾けたMEMSスキャナシステム及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−34309号公報
【特許文献2】特表2009−519494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたようなウィンドウ蓋は、マイクロミラー素子の蓋としての機能を実現するためには、可視光を透過させる材料で形成し、表面を平滑に研磨する必要がある。光透過部がマイクロミラー素子に対して傾斜した状態に取り付け可能であって、可視光を透過させると共に、表面が平滑に研磨されたウィンドウ蓋を形成するためには、非常に複雑な製造工程が必要であり、製造コストが増大するという課題があった。このようなウィンドウ蓋を製造することは、実質的に不可能である可能性が高い。
特許文献2に開示された装置においては、不透明プレートを傾かせるために、不透明プレートを載置して接合する部分(載置部)を傾かせる必要がある。特許文献2には載置部の形状や接合方法は開示されていないが、傾いた載置部を形成するのであれば、傾いた載置部を適切な接合を実施することが可能な状態に形成することは、非常に複雑な製造工程が必要であり、製造コストが増大する。また、載置部が傾いていることに起因して、不透明プレートの充分な接合が困難である。あるいは、載置部に接合する部分と不透明プレートとが傾いた部材を形成するのであれば、特許文献1に開示された装置と同様に、非常に複雑な製造工程が必要であり、製造コストが増大するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる光偏向器は、光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板の端面に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室と、前記素子室に配設されており、前記支持枠を支持することで前記光偏向素子を支持する素子支持部を有する筐体本体と、前記反射面に入射する入射光及び前記反射面で反射された反射光が透過する窓部を有し、前記素子室の開口を封止する位置に配設されている蓋部材と、を備え、前記支持枠と前記素子支持部とが第一の当接位置と第二の当接位置とにおいて当接することによって、前記支持枠が前記素子支持部に支持されており、前記入射光が前記窓部に入射する入射面に垂直な方向における前記入射面からの距離、又は前記反射面に垂直な方向における前記反射面からの距離が、前記第一の当接位置と前記第二の当接位置とで互いに異なることを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる光偏向器によれば、入射面に垂直な方向における入射面からの距離、又は反射面に垂直な方向における反射面からの距離が、第一の当接位置と第二の当接位置とで互いに異なっている。これにより、第一の当接位置及び第二の当接位置を含む面と、入射面又は反射面の一方とは、互いに平行ではないことから、入射面の面方向と反射面の面方向とを互いに異ならせることができる。入射面の面方向と反射面の面方向とが互いに異なることで、同一方向からの入射光を反射した反射光の方向を、入射面による反射光と反射面による反射光とで、互いに異ならせることができる。すなわち、反射面による反射光が照射されて形成される画像などの範囲に、入射面による反射光である迷光が照射されることによって、形成される画像などの品質が損なわれることを抑制することができる。
筐体本体と蓋部材とを隙間なく接合するためには、接合を実施する際の接合面の状態や筐体本体と蓋部材との接触状態などを適切に保つことが必要である。本適用例にかかる光偏向器においては、入射面の面方向と反射面の面方向とを互いに異ならせることに起因して筐体本体の外形形状や蓋部材の形状や互いの接合面が影響を受けることはない。このため、接合のための適切な状態を損なうことなく、入射面による反射光である迷光が照射されることによって、本適用例にかかる光偏向器を用いて形成される画像などの品質が損なわれることを抑制することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の当接位置は、前記支持枠における第一の被支持面と前記素子支持部における第一の支持面とが当接する部分の位置であり、前記第二の当接位置は、前記支持枠における第二の被支持面と前記素子支持部における第二の支持面とが当接する部分の位置であり、前記第一の被支持面と前記第二の被支持面とは、前記反射面に平行な方向において、前記反射面を挟んで両側に配設されており、前記反射面に垂直な方向において、前記反射面からの距離が、前記第一の被支持面における前記第一の当接位置と前記第二の被支持面における前記第二の当接位置とで異なることが好ましい。
【0010】
この光偏向器によれば、反射面に垂直な方向において、反射面からの距離が、第一の被支持面における第一の当接位置と第二の被支持面における第二の当接位置とで異なっている。これにより、第一の当接位置及び第二の当接位置を含む面と反射面とは、互いに平行ではないことから、入射面の面方向と反射面の面方向とを互いに異ならせることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の当接位置は、前記支持枠における第一の被支持面と前記素子支持部における第一の支持面とが当接する部分の位置であり、前記第二の当接位置は、前記支持枠における第二の被支持面と前記素子支持部における第二の支持面とが当接する部分の位置であり、前記第一の支持面と前記第二の支持面とは、前記反射面に平行な方向において、前記反射面を挟んで両側に配設されており、前記入射面に垂直な方向において、前記入射面からの距離が、前記第一の支持面における前記第一の当接位置と前記第二の支持面における前記第二の当接位置とで異なることが好ましい。
【0012】
この光偏向器によれば、入射面に垂直な方向において、入射面からの距離が、第一の支持面における第一の当接位置と第二の支持面における第二の当接位置とで異なっている。これにより、第一の当接位置及び第二の当接位置を含む面と入射面とは、互いに平行ではないことから、入射面の面方向と反射面の面方向とを互いに異ならせることができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の支持面又は前記第二の支持面のいずれか一方は、前記素子室の底面であることが好ましい。
【0014】
この光偏向器によれば、第一の支持面又は第二の支持面のいずれか一方が、素子室の底面である。これにより、第一の支持面又は第二の支持面のいずれか一方を形成するだけで、第一の支持面及び第二の支持面を形成することができるため、第一の支持面及び第二の支持面を形成する工程を簡単にすることができる。第一の支持面及び第二の支持面の機能を実現するために、素子室の底面及び第一の支持面又は第二の支持面のいずれか一方のみが形成されているだけであるため、素子室内の構成を簡単にすることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の被支持面と前記第二の被支持面とは、前記反射面に平行な方向において、前記回動軸を挟んで両側にそれぞれ配設されていることが好ましい。
【0016】
この光偏向器によれば、回動軸を挟んで両側に第一の被支持面と第二の被支持面とがそれぞれ配設されている。これにより、反射面における回動軸回りの方向において、反射面と入射面とを傾かせることができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の被支持面と前記第二の被支持面とは、前記回動軸の軸方向において、前記弾性支持梁を挟んで両側にそれぞれ配設されていることが好ましい。
【0018】
この光偏向器によれば、回動軸の軸方向において、弾性支持梁を挟んで両側に第一の被支持面と第二の被支持面とがそれぞれ配設されている。これにより、反射面における回動軸の軸方向において、反射面と入射面とを傾かせることができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の支持面又は前記第二の支持面の少なくとも一方の面方向は、当接する前記第一の被支持面又は前記第二の被支持面の面方向と略平行であることが好ましい。
【0020】
この光偏向器によれば、第一の支持面又は第二の支持面の面方向が当接する第一の被支持面又は第二の被支持面の面方向と略平行である。これにより、互いに略平行な面は、面接触に近い接触状態となって広い部分において接触するため、点接触や面接触で当接する場合にくらべて、安定して当接させることができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の被支持面又は前記第二の被支持面の少なくとも一方の面方向は、当接する前記第一の支持面又は前記第二の支持面の面方向と略平行であることが好ましい。
【0022】
この光偏向器によれば、第一の被支持面又は第二の被支持面の面方向が当接する第一の支持面又は第二の支持面の面方向と略平行である。これにより、互いに略平行な面は、面接触に近い接触状態となって広い部分において接触するため、点接触や面接触で当接する場合にくらべて、安定して当接させることができる。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の被支持面又は前記第二の被支持面、又は前記第一の支持面又は前記第二の支持面の少なくとも一方に形成された凹部と、他方における前記凹部に対応する位置に形成されており、前記凹部と遊嵌可能な突起と、を備えることが好ましい。
【0024】
この光偏向器によれば、第一の被支持面又は第二の被支持面と、第一の支持面又は第二の支持面との一方に凹部が、他方に凹部と遊嵌可能な突起が形成されている。光偏向素子を筐体本体に組み込む際は、凹部と突起とを遊嵌させることによって、光偏向素子を適切な位置に容易に誘導することができる。第一の被支持面又は第二の被支持面と第一の支持面又は第二の支持面とが当接した状態では、凹部と突起とを遊嵌させることによって、第一の被支持面又は第二の被支持面と第一の支持面又は第二の支持面との相対位置を概略規定することができる。
【0025】
[適用例10]上記適用例にかかる光偏向器は、前記第一の被支持面又は前記第二の被支持面、又は前記第一の支持面又は前記第二の支持面の少なくとも一方が突起の先端であり、他方が前記突起に遊嵌可能な凹部の底面であることが好ましい。
【0026】
この光偏向器によれば、突起と凹部とが遊嵌した状態で、第一の被支持面と第一の支持面とが、又は第二の被支持面と第二の支持面とが当接している。突起と凹部とが遊嵌していることにより、第一の被支持面又は第二の被支持面と第一の支持面又は第二の支持面との相対位置を概略規定することができる。光偏向素子を筐体本体に組み込む際は、凹部と突起とを遊嵌させることによって、光偏向素子を適切な位置に容易に誘導することができる。
【0027】
[適用例11]上記適用例にかかる光偏向器は、前記蓋部材と前記筐体本体とは、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合されていることが好ましい。
【0028】
この光偏向器によれば、蓋部材と筐体本体とを、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合することで、接続面の全面を確実に接合することができる。これにより、素子室を確実に雰囲気と隔絶させることができる。例えば素子室を負圧にして、可動板が回動する際の抵抗を低減することができる。また、経時変化などによって密封状態が損なわれることを抑制することができる。
【0029】
[適用例12]本適用例にかかる光偏向器の製造方法は、光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板の端面に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室と、前記素子室に配設されており、前記支持枠を支持することで前記光偏向素子を支持する素子支持部を有する筐体本体と、前記反射面に入射する入射光及び前記反射面で反射された反射光が透過する窓部を備え、前記素子室の開口を封止する位置に配設されている蓋部材と、を備え、前記支持枠と前記素子支持部とが第一の当接位置と第二の当接位置とにおいて当接することによって、前記支持枠が前記素子支持部に支持されている光偏向器の製造方法であって、前記第一の当接位置は、前記支持枠における第一の被支持面と前記素子支持部における第一の支持面とが当接する部分の位置であり、前記第二の当接位置は、前記支持枠における第二の被支持面と前記素子支持部における第二の支持面とが当接する部分の位置であり、前記光偏向素子が前記筐体本体に組み込まれた状態において、前記第一の被支持面における前記第一の当接位置と前記第二の被支持面における前記第二の当接位置とで、前記反射面に垂直な方向における前記反射面からの距離が互いに異なる位置に、前記第一の被支持面と前記第二の被支持面とを形成して、前記光偏向素子を形成する光偏向素子形成工程と、前記筐体本体を形成する筐体本体形成工程と、前記素子室に前記光偏向素子を組み込む、光偏向素子組み込み工程と、前記蓋部材を前記筐体本体に接合する蓋部材接合工程と、を有することを特徴とする。
【0030】
本適用例にかかる光偏向器の製造方法によれば、反射面に垂直な方向において、反射面からの距離が、第一の被支持面における第一の当接位置と第二の被支持面における第二の当接位置とで異なっている。これにより、第一の当接位置及び第二の当接位置を含む面と反射面とは、互いに平行ではないことから、入射面の面方向に対して反射面の面方向を異ならせることができる。入射面の面方向と反射面の面方向とが互いに異なることで、同一方向からの入射光を反射した反射光の方向を、入射面による反射光と反射面による反射光とで、互いに異ならせることができる。すなわち、反射面による反射光が照射されて形成される画像などの範囲に、入射面による反射光である迷光が照射されることによって、形成される画像などの品質が損なわれることを抑制することができる。
筐体本体と蓋部材とを隙間なく接合するためには、接合を実施する際の接合面の状態や筐体本体と蓋部材との接触状態などを適切に保つことが必要である。本適用例にかかる光偏向器においては、入射面の面方向と反射面の面方向とを互いに異ならせることに起因して筐体本体の外形形状や蓋部材の形状や互いの接合面が影響を受けることはない。このため、接合のための適切な状態を損なうことなく、入射面による反射光である迷光が照射されることによって、本適用例にかかる光偏向器を用いて形成される画像などの品質が損なわれることを抑制することができる。
【0031】
[適用例13]本適用例にかかる光偏向器の製造方法は、光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板の端面に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室と、前記素子室に配設されており、前記支持枠を支持することで前記光偏向素子を支持する素子支持部を有する筐体本体と、前記反射面に入射する入射光及び前記反射面で反射された反射光が透過する窓部を備え、前記素子室の開口を封止する位置に配設されている蓋部材と、を備え、前記支持枠と前記素子支持部とが第一の当接位置と第二の当接位置とにおいて当接することによって、前記支持枠が前記素子支持部に支持されている光偏向器の製造方法であって、前記第一の当接位置は、前記支持枠における第一の被支持面と前記素子支持部における第一の支持面とが当接する部分の位置であり、前記第二の当接位置は、前記支持枠における第二の被支持面と前記素子支持部における第二の支持面とが当接する部分の位置であり、前記光偏向素子を形成する光偏向素子形成工程と、前記光偏向素子が前記筐体本体に組み込まれ、前記蓋部材が前記筐体本体に接合された状態で、前記第一の支持面における前記第一の当接位置と前記第二の支持面における前記第二の当接位置とで、前記窓部における前記入射光が入射する入射面に垂直な方向において、前記入射面からの距離が互いに異なる位置に、前記第一の支持面と前記第二の支持面とを配設して、前記筐体本体を形成する筐体本体形成工程と、前記素子室に前記光偏向素子を組み込む、光偏向素子組み込み工程と、前記蓋部材を前記筐体本体に接合する蓋部材接合工程と、を有することを特徴とする。
【0032】
本適用例にかかる光偏向器の製造方法によれば、入射面に垂直な方向において、入射面からの距離が、第一の支持面における第一の当接位置と第二の支持面における第二の当接位置とで異なっている。これにより、第一の当接位置及び第二の当接位置を含む面と入射面とは、互いに平行ではないことから、反射面の面方向に対して入射面の面方向を異ならせることができる。反射面の面方向と入射面の面方向とが互いに異なることで、同一方向からの入射光を反射した反射光の方向を、入射面による反射光と反射面による反射光とで、互いに異ならせることができる。すなわち、反射面による反射光が照射されて形成される画像などの範囲に、入射面による反射光である迷光が照射されることによって、形成される画像などの品質が損なわれることを抑制することができる。
筐体本体と蓋部材とを隙間なく接合するためには、接合を実施する際の接合面の状態や筐体本体と蓋部材との接触状態などを適切に保つことが必要である。本適用例にかかる光偏向器においては、入射面の面方向と反射面の面方向とを互いに異ならせることに起因して筐体本体の外形形状や蓋部材の形状や互いの接合面が影響を受けることはない。このため、接合のための適切な状態を損なうことなく、入射面による反射光である迷光が照射されることによって、本適用例にかかる光偏向器を用いて形成される画像などの品質が損なわれることを抑制することができる。
【0033】
[適用例14]上記適用例にかかる光偏向器の製造方法は、前記蓋部材接合工程では、前記蓋部材と前記筐体本体とを、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合することが好ましい。
【0034】
この光偏向器の製造方法によれば、蓋部材と筐体本体とを、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合することで、接続面の全面を確実に接合することができる。これにより、素子室を確実に雰囲気と隔絶させることができる。例えば素子室を負圧にして、可動板が回動する際の抵抗を低減することができる。また、経時変化などによって密封状態が損なわれることを抑制することができる。
【0035】
[適用例15]本適用例にかかる画像形成装置は、光源と、上記適用例のいずれかに記載の光偏向器と、を備え、前記光源から射出された光束を前記光偏向器によって偏向させることで画像を形成することを特徴とする。
【0036】
本適用例にかかる画像形成装置によれば、反射面による反射光が照射されて形成される画像などの範囲に、入射面による反射光が照射されることによって、形成される画像などの品質が損なわれることを抑制することができる光偏向器を備えることによって、品質の高い画像を安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】投射型画像表示装置の主要な構成要素を示す説明図。
【図2】(a)は、光偏向素子の形状を示す平面図。(b)は、(a)に矢印Bで示した方向から見た側面図。(c)は、(a)の図の裏面側の形状を示す平面図。(d)は、(a)に矢印Cで示した方向から見た側面図。(e)は、(a)にA−Aで示した断面における断面図。
【図3】(a)は、素子筐体の筐体本体の外形形状を示す平面図。(b)は、(a)にD−Dで示した断面における素子筐体の筐体本体及び封止蓋の断面形状を示す断面図。(c)は、(a)にE−Eで示した断面における素子筐体の筐体本体及び封止蓋の断面形状を示す断面図。
【図4】(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図。(b)は、主走査偏向器の断面図。(c)は、可動板が回動した状態を示す断面図。
【図5】(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図。(b)は、素子筐体の筐体本体及び封止蓋の断面形状を示す断面図。(c)は、筐体本体の、回動軸の軸方向に平行な断面における断面図。(d)は、主走査偏向器の回動軸の軸方向に平行な断面における断面図。
【図6】(a)は、光偏向素子の平面図。(b)は、(a)にG−Gで示した断面における光偏向素子の断面形状を示す断面図。(c)は、筐体本体の平面図。(d)は、(c)にH−Hで示した断面における、筐体本体の断面図。(e)は、主走査偏向器の回動軸に略直交する断面における断面図。(f)は、可動板が回動した状態を示す断面図。
【図7】(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図。(b)は、素子筐体の筐体本体及び封止蓋の断面形状を示す断面図。(c)は、筐体本体の、回動軸の軸方向に平行な断面における断面図。(d)は、主走査偏向器の回動軸の軸方向に平行な断面における断面図。
【図8】主走査偏向器の構成を示す回動軸の軸方向に平行な断面における断面図。
【図9】(a)は、光偏向素子を反射鏡が形成された側の反対側から見た平面図。(b)は、筐体本体の平面図。(c)は、主走査偏向器の回動軸の軸方向に平行な断面における断面図。
【図10】印刷装置の全体構成を模式的に示す断面図。
【図11】印刷装置が備える露光ユニットの概略構成を示す説明図。
【図12】支持枠の形状例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、光偏向器、光偏向器の製造方法、及び画像形成装置の一実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態は、光偏向器を備える画像形成装置としての投射型画像表示装置を例にして説明する。なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0039】
<投射型画像表示装置>
最初に、投射型画像表示装置1について、図1を参照して説明する。図1は、投射型画像表示装置の主要な構成要素を示す説明図である。
図1に示すように、投射型画像表示装置1は、光束LをスクリーンSの横方向(主走査方向)及び縦方向(副走査方向)に2次元的に走査することにより、スクリーンS上に画像を形成(描画)する装置である。
【0040】
投射型画像表示装置1は、光源ユニット2と、光走査ユニット3と、図示省略した表示装置制御部と、を備えている。光源ユニット2から光束Lが射出され、当該光束Lが光走査ユニット3によって2次元的に走査されてスクリーンSに投射されて、スクリーンS上に画像が形成される。
なお、スクリーンSは、投射型画像表示装置1に一体に備えられたものであっても別体であってもよい。また、スクリーンSの表面側(光Lの照射側)で画像を視認するように構成してもよいし、スクリーンSの裏面側(光Lの照射側とは反対側)から画像を視認するように構成してもよい。
【0041】
光源ユニット2は、レーザー光源21と、ダイクロイックプリズム22とを備えている。レーザー光源21は、3色の光のいずれかを射出する、レーザー光源21R、レーザー光源21G、又はレーザー光源21Bである。レーザー光源21Rは赤色の光束LRを射出し、レーザー光源21Gは緑色の光束LGを射出し、レーザー光源21Bは青色の光束LBを射出する。
【0042】
ダイクロイックプリズム22は、3色の光のいずれかを選択的に反射する、ダイクロイックプリズム22R、ダイクロイックプリズム22G、又はダイクロイックプリズム22Bである。ダイクロイックプリズム22Rは、赤色光を選択的に反射させる反射部を備えている。レーザー光源21Rから射出された赤色の光束LRは、ダイクロイックプリズム22Rに入射し、反射部で反射されてダイクロイックプリズム22Gに向けて射出される。当該光束を、光束L1と表記する。
【0043】
ダイクロイックプリズム22Gは、緑色光を選択的に反射させる反射部を備えている。レーザー光源21Gから射出された緑色の光束LGは、ダイクロイックプリズム22Gに入射し、反射部で反射されてダイクロイックプリズム22Bに向けて射出される。ダイクロイックプリズム22Rからダイクロイックプリズム22Gに向けて射出された光束L1は、ダイクロイックプリズム22Gの反射部を透過して、ダイクロイックプリズム22Bに向けて射出される。ダイクロイックプリズム22Gが、光束LGを反射し、光束L1を透過させることで、光束LGと光束L1とが合成された光束L2が、ダイクロイックプリズム22Bに向けて射出される。
【0044】
ダイクロイックプリズム22Bは、青色光を選択的に反射させる反射部を備えている。レーザー光源21Bから射出された青色の光束LBは、ダイクロイックプリズム22Bに入射し、反射部で反射されて射出される。ダイクロイックプリズム22Gからダイクロイックプリズム22Bに向けて射出された光束L2は、ダイクロイックプリズム22Bの反射部を透過して、射出される。ダイクロイックプリズム22Bが、光束LBを反射し、光束L2を透過させることで、光束LBと光束L2とが合成された光束Lが、射出される。光束Lは、3色の光束LRと、光束LGと、光束LBとが合成された光束である。
【0045】
光走査ユニット3は、主走査偏向器31と、副走査偏向器32と、固定反射鏡34とを備えている。
主走査偏向器31は、光偏向素子40を備えており、光偏向素子40は、回動軸Xを回動軸として回動する可動板41に固定された反射鏡42を備えている。
光源ユニット2のダイクロイックプリズム22Bから射出された光束Lは、反射鏡42によって反射されて、回動軸Xの軸方向に略直角な主走査方向に走査される。主走査偏向器31が、光偏向器に相当する。
【0046】
副走査偏向器32は、例えば、ガルバノミラーにより構成されており、主走査方向に略平行な回動軸Yを回動軸として回動する副走査反射鏡48を備えている。
主走査偏向器31の反射鏡42によって反射された光束Lは、副走査反射鏡48によって反射されて、主走査方向に略直角な副走査方向に走査される。
副走査反射鏡48によって反射された光束Lは、固定反射鏡34で反射されて、スクリーンSに照射される。主走査偏向器31による主走査方向の走査と、副走査偏向器32による副走査方向の走査とによって、スクリーンS上に、2次元の画像が形成される。
【0047】
<光偏向素子>
次に、主走査偏向器31が備える光偏向素子40について、図2を参照して説明する。図2は、光偏向素子の形状を示す図である。図2(a)は、光偏向素子の形状を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)に矢印Bで示した方向から見た側面図であり、図2(c)は、図2(a)の図の裏面側の形状を示す平面図であり、図2(d)は、図2(a)に矢印Cで示した方向から見た側面図であり、図2(e)は、図2(a)にA−Aで示した断面における断面図である。
図2に示すように、光偏向素子40は、可動板41と、反射鏡42と、一対の弾性支持梁43,43と、支持枠44と、を備えている。可動板41と弾性支持梁43と支持枠44とは、例えばシリコン基板をエッチングして形成され、一体に形成されている。
可動板41の形状は、円形の平板である。反射鏡42は、平板形状の可動板41の一面に、配設されている。反射鏡42は、例えばアルミニウムの薄膜であり、平滑に仕上げられたシリコンの面に、例えばスパッタリングによって形成される。
【0048】
弾性支持梁43は、略四角柱の形状を有している。一対の弾性支持梁43,43は、それぞれの弾性支持梁43の一端が、可動板41の側面における円形平板形状の中心に関して略対称の位置において接続されており、それぞれの中心軸が一直線となる方向に延在している。中心軸は、四角柱形状の長手方向に延在し、幅方向及び厚さ方向の中心位置に位置しており、図2(a)に示した回動軸Xと一致している。
支持枠44は、略方形の板の内側に支持枠開口45が形成された額縁状の形状を有している。可動板41(反射鏡42)と一対の弾性支持梁43,43とは、支持枠開口45に配設されている。支持枠44を構成する額縁形状の4辺のそれぞれを、長辺の2辺を支持枠長辺44a、支持枠長辺44bと表記し、短辺の2辺を支持枠短辺44c、支持枠短辺44dと表記する。弾性支持梁43の可動板41と接続された一端の反対側の一端が、額縁形状の対向する2辺である支持枠短辺44c又は支持枠短辺44dの略中央にそれぞれ接続されている。
【0049】
支持枠長辺44aと、支持枠短辺44c及び支持枠短辺44dの大部分とは、厚さが、可動板41及び弾性支持梁43と略同一である。支持枠長辺44aと、支持枠短辺44c及び支持枠短辺44dの大部分における反射鏡42が形成された側の面を表側面44Aと表記し、反対側の面を裏側面44Bと表記する。支持枠長辺44b及び支持枠長辺44bの回動軸Xの軸方向の両側は、厚さが支持枠長辺44aより薄くなっている。この部分における反射鏡42が形成された側の面は表側面44Aと連続した面であり、当該面も表側面44Aと表記する。薄くなっている部分における反射鏡42が形成された側の反対側の面は、裏側面44Bと略平行であって裏側面44Bより表側面44Aに近い位置に在る面である。当該面を裏側面44Cと表記する。
一対の弾性支持梁43,43が回動軸Xを中心にして捩れることによって、可動板41(反射鏡42)は、回動軸Xを中心にして回動する。主走査偏向器31が投射型画像表示装置1に組み込まれた状態で、図2(a)に示した回動軸Xは、図1に示した回動軸Xと同じものである。反射鏡42が、反射手段に相当する。
【0050】
<素子筐体>
次に、主走査偏向器31が備える素子筐体50について、図3を参照して説明する。図3は、素子筐体の筐体本体及び封止蓋の外形形状を示す図である。図3(a)は、素子筐体の筐体本体の外形形状を示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)にD−Dで示した断面における素子筐体の筐体本体及び封止蓋の断面形状を示す断面図であり、図3(c)は、図3(a)にE−Eで示した断面における素子筐体の筐体本体及び封止蓋の断面形状を示す断面図である。
【0051】
図3に示すように、素子筐体50は、筐体本体52及び封止蓋51を備えている。筐体本体52は、略直方体を有し、上面53において外面に開口する素子室54が形成されている。筐体本体52の外面における上面53の反対側の外面を外底面57と表記する。本実施形態の主走査偏向器31では、上面53側を上側と表記し、外底面57側を下側と表記する。外底面57には、駆動装置36(図4参照)の駆動コイル38(図4参照)を配設するための外底面凹部57aが形成されている。
【0052】
筐体本体52の素子室54を囲む部分を、側壁52aと表記する。素子室54における底面(上面53側から見て奥の面)を、素子室底面54aと表記する。素子室54において、素子室底面54aと、平面視略長方形の長辺に沿う側壁52aと、の角部には、素子室54側に膨出した支持部56が形成されている。素子室底面54aと支持部56とに囲まれた素子室54の部分を、素子室凹部54bと表記する。素子室凹部54bは、略直方体形状の空間である。
支持部56の上側の支持部面56Aは、素子室底面54aと略平行であって、2個の支持部面56Aの素子室底面54aからの高さは略同一である。
素子室54の平面形状は、支持枠44の外形形状と相似形であって、支持枠44の外形形状より僅かに大きくなっており、光偏向素子40を素子室54内に配置することができる。素子室54内に配置された光偏向素子40は、支持枠44の支持枠長辺44a及び支持枠長辺44bが支持部56に当接して支持される(図4参照)。素子室凹部54bにおける支持部56間の距離は、光偏向素子40の支持枠開口45の短辺方向の幅よりわずかに大きくなっており、支持部56は、可動板41や弾性支持梁43に接触することなく、支持枠44を支持する。支持部56が、素子支持部に相当する。
【0053】
封止蓋51は、可視光が透過する、平面視形状が筐体本体52の平面視形状と略同一の平板形状の部材であって、蓋入射面51aと、蓋裏面51bとを有している。蓋裏面51bの周辺部を蓋裏接続面51cと表記する。封止蓋51を上面53に載せて、蓋裏接続面51cと上面53とを接合することによって、素子室54は封止される。
蓋入射面51aと蓋裏面51bとは実質的に平行であって、封止蓋51が筐体本体52と接合された状態で、蓋入射面51aと蓋裏面51bとは、上面53と実質的に平行であり、素子室底面54aと実質的に平行であり、2個の支持部面56Aのそれぞれ及び2個の支持部面56Aが形成する平面と実質的に平行である。
反射鏡42に入射する光束は、蓋入射面51aから封止蓋51に入射し、封止蓋51を透過して蓋裏面51bから射出されて、反射鏡42に入射して反射される。反射鏡42によって反射された光束は、蓋裏面51bから封止蓋51に入射し、封止蓋51を透過して蓋入射面51aから射出されることで、主走査偏向器31から射出される。封止蓋51が、蓋部材に相当する。封止蓋51には遮光部分は特に設けてないため、封止蓋51の全面を可視光が透過可能であり、封止蓋51の素子室54に臨む部分が、窓部に相当する。
【0054】
筐体本体52は、例えば低温焼成のセラミックスで形成する。セラミックス材料の膜を形成し、焼結することを繰り返し、積層させることによって、筐体本体52を形成する。
【0055】
<主走査偏向器>
次に、主走査偏向器31について、図4を参照して説明する。図4は、主走査偏向器の構成を示す図である。図4(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図であり、図4(b)は、主走査偏向器の断面図であり、図4(c)は、可動板が回動した状態を示す断面図である。
図4に示すように、主走査偏向器31は、光偏向素子40と、素子筐体50と、駆動装置36とを備えている。
【0056】
光偏向素子40は、支持枠44が素子筐体50の筐体本体52における支持部56に固定されることによって、筐体本体52に固定されている。光偏向素子40の可動板41と反射鏡42と一対の弾性支持梁43,43とは、筐体本体52における素子室凹部54bの部分に位置しており、可動板41及び可動板41と一体に形成された反射鏡42は回動可能である。
可動板41における反射鏡42が配設された反対側の面には、駆動装置36の磁石37が固定されている。筐体本体52の外底面凹部57aには、駆動装置36の駆動コイル38が固定されている。駆動コイル38は、筐体本体52の底部を介して可動板41と略対向する位置に配設されている。
【0057】
周期的に変化する電流(交流)が駆動コイル38に供給されることにより、駆動コイル38は上方(可動板41側)に向く磁界と、下方に向く磁界とを交互に発生させる。この磁界により、駆動コイル38に対し磁石37の両端(主走査偏向器31においては、回動軸Xから遠い位置に位置する両端)に位置する一対の磁極のうち一方の磁極が接近し他方の磁極が離間するような力が磁石37に作用する。磁石37が固定された可動板41は一対の弾性支持梁43,43が捩れ変形することによって回動可能であって、図4(c)に示すように、回動軸X回りに回動させられる。
【0058】
上記したように、光偏向素子40は、支持枠44が筐体本体52における支持部56に固定されることによって、筐体本体52に固定されている。封止蓋51は、蓋裏接続面51cと上面53とを接合することによって筐体本体52に固定されており、素子室54は封止蓋51によって封止されている。
封止蓋51の筐体本体52への接合は、封止蓋51及び筐体本体52を構成する材料によって適切な方法を選択するが、金属接合、共晶結合、又は陽極接合などの接合方法を用いて接合する。
【0059】
図2を参照して説明したように、支持枠44は、支持枠長辺44aと、支持枠長辺44bと、支持枠短辺44cと、支持枠短辺44dとを有している。支持枠44の反射鏡42が形成された側の面が表側面44Aであり、支持枠長辺44aなどにおける反対側の面が裏側面44Bであり、支持枠長辺44bなどにおける反対側の面が裏側面44Cである。
支持部56には、裏側面44Bにおける支持枠長辺44a側の端部近くと、裏側面44Cにおける支持枠長辺44bの外側の端部とが当接している。支持枠長辺44bなどの一面が裏側面44Cである部分は、支持枠44における他の(一面が裏側面44Bである)部分より薄くなっているため、支持枠44は、支持部56に対して、支持枠長辺44b側が近づいた状態で傾いて固定されている。
【0060】
図3を参照して説明したように、封止蓋51において蓋入射面51aと蓋裏面51bとは実質的に平行であって、封止蓋51が筐体本体52と接合された状態で、蓋入射面51aと蓋裏面51bとは、上面53と実質的に平行である。すなわち、上面53と実質的に平行な素子室底面54aと実質的に平行であり、2個の支持部面56Aのそれぞれ及び2個の支持部面56Aが形成する平面と実質的に平行である。
支持部56に対して傾いて固定されている支持枠44の表側面44Aは、図4(b)に示したように、封止蓋51の蓋入射面51aに対して傾いて固定されている。反射鏡42は可動板41の表側面44Aと連続する面上に形成されており、反射鏡42の反射面は、蓋入射面51aに対して、支持枠長辺44b側に傾いている。
2個の支持部面56Aのそれぞれが、第一の支持面又は第二の支持面に相当する。裏側面44Bと裏側面44Cとのそれぞれが、第一の被支持面又は第二の被支持面に相当する。支持部面56Aと裏側面44Bとの当接位置と、支持部面56Aと裏側面44Cとの当接位置のそれぞれが、第一の当接位置又は第二の当接位置に相当する。
【0061】
反射鏡42に向けて射出された光束Lは、そのほとんどが封止蓋51を透過して、透過した光束L11が、反射鏡42に入射する。蓋入射面51aによってわずかではあるが反射された光束L12が、迷光である。なお、光束L11が蓋裏面51bから射出される際に、蓋裏面51bによって反射される光束が存在するが、当該光束は光束L12の近くを光束L12と略平行に進む光束であるため、説明を省略する。
反射鏡42に入射した光束L11が反射鏡42によって反射されて、光束L22が射出される。大気と、封止蓋51と、負圧状態の素子室54とで屈折率が異なることによって、それぞれの境界において屈折が生ずるが、本実施形態では当該屈折は省略して説明する。したがって、光束L11の方向は、光束Lの方向と同一である。反射鏡42の反射面は、蓋入射面51aに対して、支持枠長辺44b側に傾いているため、光束L22の進行方向は、光束L12の進行方向より支持枠長辺44b側に傾いている。光束Lは、蓋入射面51aに垂直な方向に対して、支持枠長辺44a側から入射しており、光束L12が反射される位置に対して、光束L22が反射される位置の方が支持枠長辺44b側に在るため、光束L22の方向は、光束L12から遠ざかる方向である。
【0062】
図4(c)に示したように、可動板41は回動させられて、可動板41aから可動板41bの範囲で回動する。反射された光束は、光束L24から光束L25の範囲で走査される。光束L12が光束L24から光束L25の範囲に進入しない位置に副走査偏向器32を配置することによって、光束L24から光束L25の範囲で形成される画像内に光束L12が入射することを防止することができる。あるいは、光束L12が光束L24から光束L25の範囲に進入しない位置に反射鏡を設けて、光束L24から光束L25の範囲の光束の方向を変えることもできる。
【0063】
<主走査偏向器の製造>
主走査偏向器31は、光偏向素子40と、素子筐体50の筐体本体52及び封止蓋51と、駆動装置36と、を個別に製造し、それらを組み立てることによって製造する。
光偏向素子40は、上述したように、例えばシリコン基板をエッチングして可動板41などを一体に形成し、スパッタリングによって反射鏡42を形成する。筐体本体52は、上述したように、例えば、セラミックス材料の膜を積層させることによって形成する。封止蓋51は、例えば、ガラス基板を切断して形成する。駆動装置36の駆動コイル38及び磁石37は、適切な大きさであれば、一般的なコイルや磁石を用いることができる。
光偏向素子40の筐体本体52への組み込みは、筐体本体52の素子室54に光偏向素子40を投入することで、裏側面44Bと裏側面44Cとに段差があることによって、光偏向素子40は傾いて筐体本体52にセットされる。光偏向素子40の筐体本体52への固定は、公知の固定方法を用いる。
封止蓋51の筐体本体52への接合は、上述したように、金属接合、共晶結合、又は陽極接合などの接合方法を用いて接合する。例えば、シリコンから成る筐体本体52にガラスから成る封止蓋51を接合する場合には、陽極接合を用いて接合することで、好適な接合を実現することができる。
【0064】
<他の主走査偏向器の例1>
次に、主走査偏向器31とは一部の構成が異なる主走査偏向器231について、図5を参照して説明する。図5は、主走査偏向器の構成及び主走査偏向器を構成する各要素を示す図である。図5(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図であり、図5(b)は、素子筐体の筐体本体及び封止蓋の断面形状を示す断面図であり、図5(c)は、筐体本体の、回動軸の軸方向に平行な断面における断面図であり、図5(d)は、主走査偏向器の回動軸の軸方向に平行な断面における断面図である。
図5に示すように、主走査偏向器231は、光偏向素子240と、素子筐体250と、駆動装置36と、を備えている。駆動装置36は、図4を参照して説明した駆動装置36である。主走査偏向器231が、光偏向器に相当する。
【0065】
素子筐体250は、筐体本体252と封止蓋51とを備えている。筐体本体252は、素子筐体50が備える筐体本体52とほとんど同様の構成であり、一部のみ異なっている。筐体本体252は、筐体本体52において平面視略長方形の長辺に沿う側壁52aに沿って素子室54側に膨出した支持部56に代えて、平面視略長方形の短辺に沿う側壁252aに沿って素子室254側に膨出した支持部256を備えている。
素子室254が開口する上面53は、素子室254の素子室底面254aと略平行である。支持部256の上面(上面53側の面)は、素子室底面254aと略平行であり、上面53と略平行である。素子筐体250が備える封止蓋51は、素子筐体50が備える封止蓋51と同じである。2個所の支持部256の上面は、封止蓋51の蓋入射面51aと略平行であり、蓋入射面51aからの距離は、略同一である。
【0066】
光偏向素子240は、主走査偏向器31が備える光偏向素子40とほとんど同様の構成であり、一部のみ異なっている。
図5(a)及び図5(c)に示すように、光偏向素子240は、可動板41と、反射鏡42と、一対の弾性支持梁43,43と、支持枠244と、を備えている。可動板41と、反射鏡42と、一対の弾性支持梁43,43とは、光偏向素子40が備える可動板41、反射鏡42、及び一対の弾性支持梁43,43と、同様のものである。
支持枠244は、支持枠44と同様の額縁形状を有している。支持枠244を構成する額縁形状の4辺のそれぞれを、長辺の2辺を支持枠長辺244a、支持枠長辺244bと表記し、短辺の2辺を支持枠短辺244c、支持枠短辺244dと表記する。支持枠244は、支持枠長辺44bに相当する支持枠長辺244bの厚さが支持枠長辺244aなどと同一であることと、支持枠短辺44dに相当する支持枠短辺244dの厚さが一部で薄くなっていることが、支持枠44と異なっている。可動板41と弾性支持梁43と支持枠244とは、光偏向素子40と同様に、例えばシリコン基板をエッチングして形成され、一体に形成されている。
支持枠短辺244dは、弾性支持梁43の一端が接続されている側は、支持枠長辺244aなどと同一の厚さである。支持枠短辺244dにおける、光偏向素子240が筐体本体252に組み込まれた状態で、支持部256に当接する部分が、薄くなっている。薄くなっている部分は、反射鏡42が形成されている側の面は、光偏向素子240の他の部分と同じ表側面244Aである。支持部256に当接する側の裏側面244Cが、光偏向素子240の他の部分の裏側面244Bより、表側面244Aに近い位置に位置している。光偏向素子40と同様に、表側面244Aと、裏側面244Bと、裏側面244Cとは、反射鏡42の反射面と略平行であり、互いに略平行である。したがって、裏側面244Cは、反射鏡42の反射面に垂直な方向において、裏側面244Bより反射面に近い位置に位置している。
【0067】
図5(d)に示すように、筐体本体252に組み込まれた光偏向素子240は、裏側面244Bと裏側面244Cとが支持部256に当接して支持されている。2個所の支持部256の蓋入射面51aからの距離は略同一であり、裏側面244Cが裏側面244Bより反射鏡42の反射面に近い位置に位置しているため、蓋入射面51aと反射鏡42の反射面とは傾いている。裏側面244Bと裏側面244Cとにおける支持部256との当接部は、回動軸X1の軸方向において、弾性支持梁43を挟んで両側に位置しているため、蓋入射面51aと反射鏡42の反射面とは、回動軸X1の軸方向において傾いている。
支持部256が、素子支持部に相当し、2個の支持部256の上面のそれぞれが、第一の支持面又は第二の支持面に相当する。裏側面244Bと裏側面244Cとのそれぞれが、第一の被支持面又は第二の被支持面に相当する。支持部256の上面と裏側面244Bとの当接位置と、支持部256の上面と裏側面244Cとの当接位置のそれぞれが、第一の当接位置又は第二の当接位置に相当する。
【0068】
反射鏡42に向けて射出された光束L30は、そのほとんどが封止蓋51を透過して、透過した光束L31が、反射鏡42に入射する。蓋入射面51aによってわずかではあるが反射された光束L32が、迷光である。上述した例と同様に、蓋裏面51bによって反射される光束については、説明を省略する。
反射鏡42に入射した光束L31が反射鏡42によって反射されて、光束L34が射出される。反射鏡42の反射面は、蓋入射面51aに対して、支持枠短辺244d側に傾いているため、光束L34の進行方向は、光束L32の進行方向より支持枠短辺244d側に傾いている。光束L30は、蓋入射面51aに垂直な方向に対して、支持枠短辺244c側から入射しており、光束L32が反射される位置に対して、光束L34が反射される位置の方が支持枠短辺244d側に在るため、光束L34の方向は、光束L32から遠ざかる方向である。
【0069】
<他の主走査偏向器の例2>
次に、主走査偏向器31及び主走査偏向器231とは一部の構成が異なる主走査偏向器331について、図6を参照して説明する。図6は、主走査偏向器の構成及び主走査偏向器を構成する各要素を示す図である。図6(a)は、光偏向素子の平面図であり、図6(b)は、図6(a)にG−Gで示した断面における光偏向素子の断面形状を示す断面図であり、図6(c)は、筐体本体の平面図であり、図6(d)は、図6(c)にH−Hで示した断面における、筐体本体の断面図であり、図6(e)は、主走査偏向器の回動軸に略直交する断面における断面図であり、図6(f)は、可動板が回動した状態を示す断面図である。
図6に示した主走査偏向器331は、光偏向素子340と、素子筐体350と、駆動装置36と、を備えている。駆動装置36は、図4を参照して説明した駆動装置36である。
【0070】
光偏向素子340は、主走査偏向器31が備える光偏向素子40とほとんど同様の構成であり、一部のみ異なっている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、光偏向素子340は、可動板41と、反射鏡42と、一対の弾性支持梁43,43と、支持枠344と、を備えている。可動板41と、反射鏡42と、一対の弾性支持梁43,43とは、光偏向素子40が備える可動板41、反射鏡42、及び一対の弾性支持梁43,43と、同様のものである。
支持枠344は、支持枠44と同様の額縁形状を有している。支持枠344を構成する額縁形状の4辺のそれぞれを、長辺の2辺を支持枠長辺344a、支持枠長辺344bと表記し、短辺の2辺を支持枠短辺344c、支持枠短辺344dと表記する。支持枠344は、厚さが可動板41及び弾性支持梁43と同一であり、全体が均一な厚さであることが、一部の厚さが薄くなっている支持枠44や支持枠244と異なっている。可動板41と弾性支持梁43と支持枠344とは、光偏向素子40と同様に、例えばシリコン基板をエッチングして形成され、一体に形成されている。
反射鏡42が形成されている側の面を表側面344Aと表記し、反対側の面を裏側面344Bと表記する。表側面344Aと裏側面344Bとは、平坦な面であって、反射鏡42の反射面と略平行であり、互いに略平行である。したがって、裏側面344Bの各位置は、反射鏡42の反射面に垂直な方向において、反射面から略等距離の位置に位置している。
【0071】
素子筐体350は、筐体本体352と封止蓋51とを備えている。筐体本体352は、素子筐体50が備える筐体本体52とほとんど同様の構成であり、一部のみ異なっている。筐体本体352は、筐体本体52において平面視略長方形の長辺に沿う側壁52aに沿って素子室54側に膨出した支持部56と同様の位置に形成されており、素子室354側に膨出した支持部356を備えている。2個の支持部356を、それぞれ支持部356a、支持部356bと表記する。支持部356aと支持部356bとは、それぞれの上面である支持部面356Aと支持部面356Bとが、素子室354の素子室底面354aと略平行である。支持部面356Aと支持部面356Bとは、素子室底面354aからの距離(高さ)が互いに異なっていることが、筐体本体52の支持部56とは異なっている。素子室354が開口する上面53は素子室底面354aと略平行であり、支持部面356Aと支持部面356Bとは、上面53と略平行であり、上面53からの距離が互いに異なっている。
素子筐体350が備える封止蓋51は、素子筐体50が備える封止蓋51と同じである。支持部面356Aと支持部面356Bとは、封止蓋51の蓋入射面51aと略平行であり、蓋入射面51aからの距離が互いに異なっている。
【0072】
図6(e)に示すように、筐体本体352に組み込まれた光偏向素子340は、裏側面344Bが支持部面356A及び支持部面356Bに当接して支持されている。
支持部面356Aと支持部面356Bとは、蓋入射面51aからの距離が互いに異なっており、裏側面344Bは、反射鏡42の反射面と略平行な平坦な面であるため、蓋入射面51aと反射鏡42の反射面とは傾いている。本実施形態では、封止蓋51が素子筐体350に載っており、封止蓋51が素子筐体350の上側に位置すると表記すると、支持部面356Aは支持部面356Bより高い位置に在り、反射鏡42の反射面は、蓋入射面51aに対して、支持部面356Bの方に傾いている。
主走査偏向器331が、光偏向器に相当する。支持部356aと支持部356bとが、素子支持部に相当し、支持部面356A及び支持部面356Bが、第一の支持面又は第二の支持面に相当する。裏側面344Bにおける支持部面356A又は支持部面356Bと当接する部分のそれぞれが、第一の被支持面又は第二の被支持面に相当する。裏側面344Bにおける支持部面356Aとの当接位置又は支持部面356Bとの当接位置のそれぞれが、第一の当接位置又は第二の当接位置に相当する。
【0073】
反射鏡42に向けて射出された光束L40は、そのほとんどが封止蓋51を透過して、透過した光束L41が、反射鏡42に入射する。蓋入射面51aによってわずかではあるが反射された光束L42が、迷光である。上述した例と同様に、蓋裏面51bによって反射される光束については、説明を省略する。
反射鏡42に入射した光束L41が反射鏡42によって反射されて、光束L43が射出される。大気と、封止蓋51と、負圧状態の素子室354とで屈折率が異なることによって、それぞれの境界において屈折が生ずるが、本実施形態では当該屈折は省略して説明する。したがって、光束L41の方向は、光束L40の方向と同一である。反射鏡42の反射面は、蓋入射面51aに対して、支持部面356B側に傾いているため、光束L43の進行方向は、光束L42の進行方向より支持部面356B側に傾いている。光束L40は、蓋入射面51aに垂直な方向に対して、支持部面356A側から入射しており、光束L42が反射される位置に対して、光束L43が反射される位置の方が支持部面356B側に在るため、光束L43の方向は、光束L42から遠ざかる方向である。
【0074】
図6(f)に示したように、可動板41は回動軸X2まわりに回動させられて、可動板41aから可動板41bの範囲で回動する。反射された光束は、光束L44から光束L45の範囲で走査される。光束L42が光束L44から光束L45の範囲に進入しない位置に副走査偏向器32を配置することによって、光束L44から光束L45の範囲で形成される画像内に光束L42が入射することを防止することができる。あるいは、光束L42が光束L44から光束L45の範囲に進入しない位置に反射鏡を設けて、光束L44から光束L45の範囲の光束の方向を変えることもできる。
【0075】
<他の主走査偏向器の例3>
次に、主走査偏向器31などとは一部の構成が異なる主走査偏向器431について、図7を参照して説明する。図7は、主走査偏向器の構成及び主走査偏向器を構成する各要素を示す図である。図7(a)は、主走査偏向器を封止蓋側から見た平面図であり、図7(b)は、素子筐体の筐体本体及び封止蓋の断面形状を示す断面図であり、図7(c)は、筐体本体の、回動軸の軸方向に平行な断面における断面図であり、図7(d)は、主走査偏向器の回動軸の軸方向に平行な断面における断面図である。
【0076】
図7に示すように、主走査偏向器431は、光偏向素子340と、素子筐体450と、駆動装置36と、を備えている。
光偏向素子340は、図6を参照して説明した光偏向素子340である。駆動装置36は、図4を参照して説明した駆動装置36である。
【0077】
図7(b)に示すように、素子筐体450は、筐体本体452と封止蓋51とを備えている。筐体本体452は、素子筐体250が備える筐体本体252とほとんど同様の構成であり、一部のみ異なっている。筐体本体452は、筐体本体252において平面視略長方形の短辺に沿う側壁252aに沿って素子室254側に膨出した支持部256と同様の位置に形成されており、素子室454側に膨出した支持部456を備えている。2個の支持部456を、それぞれ支持部456c、支持部456dと表記する。支持部456cと支持部456dとは、それぞれの上面である支持部面456Cと支持部面456Dとが、素子室454の素子室底面454aと略平行である。支持部面456Cと支持部面456Dとは、素子室底面454aからの距離(高さ)が互いに異なっていることが、筐体本体252の支持部256とは異なっている。素子室454が開口する上面53は素子室底面454aと略平行であり、支持部面456Cと支持部面456Dとは、上面53と略平行であり、上面53からの距離が互いに異なっている。
素子筐体450が備える封止蓋51は、素子筐体50などが備える封止蓋51と同じである。支持部面456Cと支持部面456Dとは、封止蓋51の蓋入射面51aと略平行であり、蓋入射面51aからの距離が互いに異なっている。
【0078】
図7(d)に示すように、筐体本体452に組み込まれた光偏向素子340は、裏側面344Bが支持部面456C及び支持部面456Dに当接して支持されている。
支持部面456Cと支持部面456Dとは、蓋入射面51aからの距離が互いに異なっており、裏側面344Bは、反射鏡42の反射面と略平行な平坦な面であるため、蓋入射面51aと反射鏡42の反射面とは傾いている。封止蓋51が素子筐体450に載っており、封止蓋51が素子筐体450の上側に位置すると表記すると、支持部面456Cは支持部面456Dより高い位置に在り、反射鏡42の反射面は、蓋入射面51aに対して、支持部面456Dの方に傾いている。裏側面344Bにおける支持部面456Cとの当接部と支持部面456Dとの当接部とは、回動軸X3の軸方向において、弾性支持梁43を挟んで両側に位置しているため、蓋入射面51aと反射鏡42の反射面とは、回動軸X3の軸方向において傾いている。
主走査偏向器431が、光偏向器に相当する。支持部456cと支持部456dとが、素子支持部に相当し、支持部面456C及び支持部面456Dが、第一の支持面又は第二の支持面に相当する。裏側面344Bにおける支持部面456C又は支持部面456Dと当接する部分のそれぞれが、第一の被支持面又は第二の被支持面に相当する。裏側面344Bにおける支持部面456Cとの当接位置又は支持部面456Dとの当接位置のそれぞれが、第一の当接位置又は第二の当接位置に相当する。
【0079】
反射鏡42に向けて射出された光束L50は、そのほとんどが封止蓋51を透過して、透過した光束L51が、反射鏡42に入射する。蓋入射面51aによってわずかではあるが反射された光束L52が、迷光である。上述した例と同様に、蓋裏面51bによって反射される光束については、説明を省略する。
反射鏡42に入射した光束L51が反射鏡42によって反射されて、光束L54が射出される。反射鏡42の反射面は、蓋入射面51aに対して、支持部面456D側に傾いているため、光束L54の進行方向は、光束L52の進行方向より支持部面456D側に傾いている。光束L50は、蓋入射面51aに垂直な方向に対して、支持部面456C側から入射しており、光束L52が反射される位置に対して、光束L54が反射される位置の方が支持部面456D側に在るため、光束L54の方向は、光束L52から遠ざかる方向である。
【0080】
<他の主走査偏向器の例4>
次に、主走査偏向器431と一部の構成が異なる主走査偏向器432について、図8を参照して説明する。図8は、主走査偏向器の構成を示す回動軸の軸方向に平行な断面における断面図である。
【0081】
図8に示すように、主走査偏向器432は、光偏向素子340と、素子筐体470と、駆動装置36と、を備えている。
光偏向素子340は、図6を参照して説明した光偏向素子340である。駆動装置36は、図4を参照して説明した駆動装置36である。
【0082】
図8に示すように、素子筐体470は、筐体本体472と封止蓋51とを備えている。筐体本体472は、素子筐体450が備える筐体本体452とほとんど同様の構成であり、一部のみ異なっている。筐体本体472は、筐体本体452における支持部456cに相当する支持部476cを備えており、支持部476cが光偏向素子340の一方の端部を支持している。光偏向素子340のもう一方の端部は、素子室474の素子室底面474aに支持されている。主走査偏向器432における光偏向素子340は、主走査偏向器431における光偏向素子340と同様に傾いて、筐体本体472に固定されている。
主走査偏向器432が、光偏向器に相当する。支持部476cと素子室474を構成する素子筐体470の底部とが、素子支持部に相当し、支持部476cの上面及び素子室底面474aが、第一の支持面又は第二の支持面に相当する。裏側面344Bにおける支持部476cの上面又は素子室底面474aと当接する部分のそれぞれが、第一の被支持面又は第二の被支持面に相当する。裏側面344Bにおける支持部476cの上面との当接位置又は素子室底面474aとの当接位置のそれぞれが、第一の当接位置又は第二の当接位置に相当する。
主走査偏向器432における反射鏡42の反射面は、主走査偏向器431における反射鏡42の反射面と同様に、蓋入射面51aに対して傾いている。主走査偏向器431と同様に、反射鏡42に向けて射出された光束L50の一部が蓋入射面51aで反射された光束L52の方向に対して、封止蓋51を透過した光束L51が反射鏡42に反射された光束L54の方向は、光束L52から遠ざかる方向である。
【0083】
<他の主走査偏向器の例5>
次に、主走査偏向器31などと一部の構成が異なる主走査偏向器531について、図9を参照して説明する。図9は、主走査偏向器の構成及び主走査偏向器を構成する各要素を示す図である。図9(a)は、光偏向素子を反射鏡が形成された側の反対側から見た平面図であり、図9(b)は、筐体本体の平面図であり、図9(c)は、主走査偏向器の回動軸の軸方向に平行な断面における断面図である。
図9に示すように、主走査偏向器531は、光偏向素子540と、素子筐体550と、駆動装置36と、を備えている。駆動装置36は、図4を参照して説明した駆動装置36である。
【0084】
光偏向素子540は、図6を参照して説明した光偏向素子340とほとんど同じ構成であり、被支持溝547が形成されていることが、光偏向素子340と異なっている。詳細には、図9(a)に示すように、支持枠544における光偏向素子340の支持枠短辺344cに相当する部分に、被支持溝547が形成されている。被支持溝547は、反射鏡42が形成された面と反対側の面に形成されており、回動軸X5と略直交する方向に延在している。被支持溝547の断面形状は、口元側が広くなった台形形状である。被支持溝547の底面を被支持溝面548と表記する。
【0085】
素子筐体550は、筐体本体552と封止蓋51とを備えている。筐体本体552は、素子筐体450が備える筐体本体452とほとんど同様の構成であり、一部のみ異なっている。図9(b)に示すように、筐体本体552は、筐体本体452における支持部456cが形成されている部分に支持突起557が形成されている。支持突起557は、素子室574の素子室底面574aに、壁状に立設されており、壁が、平面視略長方形形状の素子室底面574aの短辺方向に延在している。支持突起557の延在方向に直交する方向の断面形状は、途中から徐々に狭くなって、先端面558の幅が根元より小さくなっている。
【0086】
図9(c)に示すように、被支持溝547が支持突起557に遊嵌し、被支持溝面548が先端面558に当接して支持されることで、光偏向素子540の一方の端部が支持突起557によって支持されている。光偏向素子540のもう一方の端部は、筐体本体452における支持部456dと同様の支持部556に支持されている。主走査偏向器531における光偏向素子540は、主走査偏向器431における光偏向素子340と同様に傾いて、筐体本体552に固定されている。
主走査偏向器531が、光偏向器に相当する。支持突起557と支持部556とが、素子支持部に相当し、先端面558及び支持部556の上面が、第一の支持面又は第二の支持面に相当する。被支持溝面548又は光偏向素子540における支持部556の上面と当接する部分のそれぞれが、第一の被支持面又は第二の被支持面に相当する。被支持溝面548における先端面558との当接位置又は光偏向素子540における支持部556の上面と当接する当接位置のそれぞれが、第一の当接位置又は第二の当接位置に相当する。
主走査偏向器531における反射鏡42の反射面は、主走査偏向器431における反射鏡42の反射面と同様に、蓋入射面51aに対して傾いている。主走査偏向器431と同様に、反射鏡42に向けて射出された光束L50の一部が蓋入射面51aで反射された光束L52の方向に対して、封止蓋51を透過した光束L51が反射鏡42に反射された光束L54の方向は、光束L52から遠ざかる方向である。
【0087】
主走査偏向器231、主走査偏向器331、主走査偏向器431、主走査偏向器432、及び主走査偏向器531は、上述した主走査偏向器31の製造と同様にして、製造することができる。
【0088】
<印刷装置>
次に、投射型画像表示装置とは異なる、光偏向器を備える画像形成装置としての印刷装置について、図10及び図11を参照して説明する。本実施形態で説明する印刷装置101は、電子写真方式を採用する印刷装置である。図10は、印刷装置の全体構成を模式的に示す断面図である。図11は、印刷装置が備える露光ユニットの概略構成を示す説明図である。
【0089】
印刷装置101は、露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスによって、トナーからなる画像を紙やOHPシートなどの記録媒体に記録するものである。
図10に示すように、印刷装置101は、感光体111と、帯電ユニット112と、露光ユニット110と、現像ユニット114と、転写ユニット115と、クリーニングユニット116と、からなる画像形成ユニットを備えている。印刷を実施する際には、図10に矢印aで示した方向に感光体111が回転する。帯電ユニット112と、露光ユニット110と、現像ユニット114と、転写ユニット115と、クリーニングユニット116とは、感光体111の回転方向に沿ってこの順番で、感光体111の周囲に配設されている。
印刷装置101は、また、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ117と、定着装置118とを備えている。給紙トレイ117は画像形成ユニットの一方の側(図10では、画像形成ユニットの図における下側)に配設されており、定着装置118は画像形成ユニットを挟んで給紙トレイ117の略反対側(図10では、画像形成ユニットの図における上側)に配設されている。
【0090】
画像形成ユニットでは、帯電ユニット112によって、感光体111が帯電され、露光ユニット110によって潜像が形成され、現像ユニット114によってトナーで現像され、現像された画像が転写ユニット115に転写される。
より詳細には、まず、図示しないホストコンピューターからの指令により、感光体111、現像ユニット114に設けられた現像ローラー(図示省略)、及び転写ユニット115の中間転写ベルト151が回転を開始する。感光体111は、回転しながら、帯電ユニット112に対向する部分が帯電ユニット112により順次帯電される。
感光体111の帯電された領域は、感光体111の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット110によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
【0091】
感光体111上に形成された潜像は、感光体111の回転に伴って、現像ユニット114に対向する現像位置に至り、イエロー現像のための現像装置、例えば現像装置144によってイエロートナーで現像される。イエロートナーで現像されることによって、感光体111上にイエロートナー像が形成される。
現像ユニット114は、軸146を軸に回転する保持体145と、現像装置141、現像装置142、現像装置143、及び現像装置144と、を備えている。現像装置141、現像装置142、現像装置143、及び現像装置144は、保持体145に保持されており、軸146のまわりに回転可能である。保持体145が回転して、例えばイエロートナーで現像する場合の現像装置144のように、現像する色に対応した現像装置141、現像装置142、現像装置143、又は現像装置144が、感光体111と対向する位置に位置される。
【0092】
感光体111上に形成されたイエロートナー像などの像は、感光体111の回転に伴って、感光体111が転写ユニット115の一次転写ローラー152と対向している一次転写位置に至る。このとき、一次転写ローラー152には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。一次転写電圧が印加された一次転写ローラー152によって、感光体111上に形成されたイエロートナー像などの像が中間転写ベルト151に転写(一次転写)される。中間転写ベルト151は、駆動ローラー154を回転させることで一次転写ローラー152および従動ローラー153を従動回転させながら回転する。なお、この間、二次転写ローラー155は、中間転写ベルト151から離間している。
【0093】
潜像の形成、現像、及び一次転写と同様の処理が、他の色(本実施形態では、第2色目、第3色目、及び第4色目)について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト151に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト151上にはフルカラートナー像が形成される。
記録媒体Pは、給紙トレイ117から、給紙ローラー171及びレジローラー172によって、二次転写ローラー155と駆動ローラー154とが、中間転写ベルト151を間に挟んで対向している二次転写位置へ搬送される。
【0094】
中間転写ベルト151上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト151の回転に伴って二次転写位置に至る。このとき、二次転写ローラー155は中間転写ベルト151に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加されている。二次転写位置に至った記録媒体P及び中間転写ベルト151におけるフルカラートナー像が形成された部分は、二次転写ローラー155と駆動ローラー154とに挟まれて互いに凹圧され、二次転写電圧が印加された二次転写ローラー155によって、フルカラートナー像が記録媒体Pに転写(二次転写)される。
【0095】
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置118によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される。その後、片面プリントの場合には、記録媒体Pは、排紙ローラー対173によって露光ユニット110の外部へ排出される。
一方、感光体111は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット116のクリーニングブレード161によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット116内の残存トナー回収部に回収される。
【0096】
両面プリントの場合には、定着装置118によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦排紙ローラー対173により挟持した後に、排紙ローラー対173を反転駆動するとともに、搬送ローラー174及び搬送ローラー176からなる搬送ローラー対を駆動して、当該記録媒体Pを搬送路175を通じて表裏反転して二次転写位置へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
【0097】
印刷装置101が備える露光ユニット110は、図示省略したパーソナルコンピューターなどのホストコンピューターから画像情報及び画像形成指令を受け、一様に帯電された感光体111上に、レーザー光を選択的に照射することによって、画像情報に対応する静電的な潜像を形成する装置である。
図11に示すように、露光ユニット110は、光偏向器であるアクチュエーター103と、レーザー光源121と、コリメータレンズ122と、fθレンズ123とを備えている。アクチュエーター103は、回動軸X0まわりに回動可能な可動板241と、可動板241上に形成された反射鏡242とを有している。
【0098】
露光ユニット110にあっては、レーザー光源121からコリメータレンズ122を介してアクチュエーター103の反射鏡242にレーザー光Lが照射される。照射されたレーザー光Lは、反射鏡242で反射されて、fθレンズ123を介して感光体111上に照射される。
その際、アクチュエーター103が駆動されて、可動板241が回動軸X0まわりに回動することにより、可動板241上に形成された反射鏡242で反射されたレーザー光Lは、感光体111の軸線方向に走査(主走査)される。同時に、感光体111が回転することにより、反射鏡242で反射されたレーザー光Lは、感光体111の周方向に走査(副走査)される。レーザー光Lが感光体111上を主走査方向及び副走査方向に走査されることによって、感光体111上に面状の画像が形成される。反射鏡242が、反射手段に相当する。
レーザー光源121から射出されるレーザー光Lの強度は、図示しないホストコンピューターから受けた画像情報に応じて変化する。感光体111に照射されるレーザー光Lの強度によって、照射された部分におけるトナー像の濃度が定まり、同じ部分における各色の濃度の組み合わせによって、当該部分の色調や濃度が定まる。
このようにして露光ユニット110は、感光体111上を選択的に露光して画像形成(描画)を行う。
【0099】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)反射鏡42からの距離が、裏側面44Bと裏側面44Cとで段差があり、2個の支持部面56Aの蓋入射面51aからの距離は同一である。これにより、筐体本体52に組み込まれた光偏向素子40の反射鏡42を、筐体本体52に固定された封止蓋51の蓋入射面51aに対して傾かせることができる。
【0100】
(2)光偏向素子40において裏側面44Bと裏側面44Cとで段差を形成するだけで反射鏡42を蓋入射面51aに対して傾かせることができる。光偏向素子40を製造する際に裏側面44Bと裏側面44Cとで段差を形成することは、特別な工程は不要であり、段差を形成するための工程の増加はほとんどない。これにより、光偏向素子40の製造にほとんど影響を与えることなく、反射鏡42を蓋入射面51aに対して傾かせることができる。
【0101】
(3)光偏向素子40において裏側面44Bと裏側面44Cとで段差を形成するだけで反射鏡42を蓋入射面51aに対して傾かせることができる。これにより、筐体本体52と封止蓋51とは、特別な形状にすることは不要であり、筐体本体52や封止蓋51に相当する公知の部材と同様に製造することができる。筐体本体52と封止蓋51との接合方法は、反射鏡42を蓋入射面51aに対して傾かせるために制限を受けることなく、適切な接合方法を用いることができる。
【0102】
(4)光偏向素子340において裏側面344Bは反射鏡42に平行な平面であり、支持部面356Aと支持部面356Bとで段差がある。これにより、筐体本体352に組み込まれた光偏向素子340の反射鏡42を、筐体本体352に固定された封止蓋51の蓋入射面51aに対して傾かせることができる。
【0103】
(5)筐体本体352において支持部面356Aと支持部面356Bとで段差を形成するだけで反射鏡42を蓋入射面51aに対して傾かせることができる。これにより、光偏向素子340の製造に影響を与えることなく、反射鏡42を蓋入射面51aに対して傾かせることができる。
【0104】
(6)筐体本体352において支持部面356Aと支持部面356Bとで段差を形成するだけで反射鏡42を蓋入射面51aに対して傾かせることができる。これにより、封止蓋51は、特別な形状にすることは不要であり、封止蓋51に相当する公知の部材と同様に製造することができる。筐体本体352を製造する際に筐体本体352において支持部面356Aと支持部面356Bとで段差を形成することは、特別な工程は不要であり、段差を形成するための工程の増加はほとんどない。筐体本体352と封止蓋51との接合方法は、反射鏡42を蓋入射面51aに対して傾かせるために制限を受けることなく、適切な接合方法を用いることができる。
【0105】
(7)筐体本体52や筐体本体352などと封止蓋51との接合は、金属接合、共晶結合、又は陽極接合などによって接合されている。これらの接合方法を用いることで、接合部を確実に接合して、素子室54や素子室354などを、実質的に完全に雰囲気と隔絶させることができる。これにより、素子室54や素子室354などを、負圧状態にして、負圧状態を維持することができる。
【0106】
(8)主走査偏向器432では、筐体本体472の素子室底面474aが光偏向素子340の一方の端部を支持している。一方の支持部を形成することが不要であり、筐体本体472の形状を簡単にすることができる。
【0107】
(9)主走査偏向器531では、被支持溝547が支持突起557に遊嵌し、被支持溝面548が先端面558に当接して支持されることで、光偏向素子540の一方の端部が支持突起557によって支持されている。被支持溝547が支持突起557に遊嵌することで、光偏向素子540の筐体本体552に対する位置を概略規定することができる。被支持溝547と支持突起557との隙間を小さくすることで、正確に位置を規定することも可能である。
【0108】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0109】
(変形例1)前記実施形態においては、裏側面44Bや裏側面44Cなどの第一又は第二の被支持面は、反射手段としての反射鏡42の反射面に略平行であって、第一の支持面又は第二の支持面としての支持部面56Aなどに対して傾いた面であった。しかし、第一の被支持面及び第二の被支持面が第一の支持面又は第二の支持面に対して傾いた面であることは必須ではない。第一の被支持面及び第二の被支持面の両方又は一方は、反射面に対して傾いており、当接する第一の支持面及び第二の支持面と略平行な面であってもよい。互いに略平行な面は、面接触に近い接触状態となって広い部分において接触するため、点接触や面接触で当接する場合にくらべて、安定して当接させることができる。
【0110】
(変形例2)前記実施形態においては、第一の支持面又は第二の支持面としての支持部面56Aは、蓋入射面51aと略平行であって、蓋入射面51aに対して傾いている反射鏡42の反射面に略平行な、第一又は第二の被支持面としての裏側面44Bや裏側面44Cに対しては傾いた面であった。しかし、第一の支持面及び第二の支持面が第一の被支持面又は第二の被支持面に対して傾いた面であることは必須ではない。第一の支持面及び第二の支持面の両方又は一方は、蓋部材の表面に対して傾いており、当接する第一の被支持面及び第二の被支持面と略平行な面であってもよい。互いに略平行な面は、面接触に近い接触状態となって広い部分において接触するため、点接触や線接触で当接する場合にくらべて、安定して当接させることができる。
【0111】
(変形例3)前記実施形態においては、裏側面44Bや裏側面44Cなどの第一又は第二の被支持面、及び支持部面56Aなどの第一又は第二の支持面は平坦な面であったが、第一又は第二の被支持面、及び第一又は第二の支持面が平坦な面であることは必須ではない。第一又は第二の被支持面、又は第一又は第二の支持面の一方に突起を設け、他方に当該突起と遊嵌可能な凹部を設ける構成であってもよい。光偏向素子を筐体本体に組み込む際は、凹部と突起とを遊嵌させることによって、光偏向素子を適切な位置に容易に誘導することができる。第一の被支持面又は第二の被支持面と第一の支持面又は第二の支持面とが当接した状態では、凹部と突起とを遊嵌させることによって、第一の被支持面又は第二の被支持面と第一の支持面又は第二の支持面との相対位置を概略規定することができる。
【0112】
(変形例4)前記実施形態においては、素子室底面474aが光偏向素子340の一方の端部を支持する構成である主走査偏向器432は、光偏向素子340の被支持面に相当する部分が、回動軸の軸方向において反射鏡42及び弾性支持梁43を挟む位置に配設されていた。しかし、支持面の一方が素子室の底面である場合に、第一の被支持面及び第二の被支持面が回動軸の軸方向において弾性支持梁を挟む位置に配設されていることは必須ではない。主走査偏向器331のように、回動軸の軸方向に交差する方向において回動軸を挟む位置に第一の被支持面及び第二の被支持面が配設された光偏向器において、支持面の一方が素子室の底面である構成であってもよい。
【0113】
(変形例5)前記実施形態においては、主走査偏向器531では、支持突起557と被支持溝547との組み合わせを一組備えていたが、光偏向器において光偏向素子を支持するための突起の先端と凹部の底面との組が一組であることは必須ではない。光偏向器は、支持面と被支持面との組としての突起の先端と凹部の底面との組を何組備える構成であってもよい。光偏向器における支持面と被支持面との組が、全て突起の先端と凹部の底面との組である構成であってもよい。
【0114】
(変形例6)前記実施形態においては、主走査偏向器531では、光偏向素子540の被支持面に相当する部分が、回動軸の軸方向において反射鏡42及び弾性支持梁43を挟む位置に配設されていた。しかし、支持面と被支持面との組としての突起の先端と凹部の底面との組を備える光偏向器において、第一の被支持面及び第二の被支持面が回動軸の軸方向において弾性支持梁を挟む位置に配設されていることは必須ではない。主走査偏向器331のように、回動軸の軸方向に交差する方向において回動軸を挟む位置に第一の被支持面及び第二の被支持面が配設された光偏向器において、支持面と被支持面との組としての突起の先端と凹部の底面との組を備える構成であってもよい。
【0115】
(変形例7)前記実施形態においては、反射鏡42で反射された光束が、蓋入射面51aによって反射された迷光から離れる方向に光偏向素子40などを傾けていたが、反射する方向が反射する位置において迷光から離れる方向となるように傾けることは必須ではない。反射する方向は、迷光と反射光とがいったん交差した後離れる方向などであってもよい。
【0116】
(変形例8)前記実施形態においては、副走査偏向器32は、ガルバノミラーにより構成されていたが、副走査偏向器32のように使用される光偏向器にも、主走査偏向器31のような光偏向素子を用いた光偏向器を採用できる。
【0117】
(変形例9)前記実施形態においては、筐体本体52又は筐体本体252と封止蓋51との接合は、金属接合、共晶結合、又は陽極接合などの接合方法によって接合されていた。しかし、蓋部材と筐体本体とをこれらの接合方法によって接合することは必須ではない。半田を用いる接合や、接着剤を用いた接着などの接合方法を用いた接合であってもよい。
【0118】
(変形例10)前記実施形態においては、支持枠44は、略方形の板の内側に支持枠開口45が形成された額縁状の形状を有していたが、支持枠44などの支持枠が額縁状の形状であることは必須ではない。弾性支持梁を支持することができる充分な強度を実現できれば、支持枠の形状はどのような形状であってもよい。例えば、図12に示したような平面形状であってもよい。図12は、支持枠の形状例を示す平面図である。
【0119】
図12(a)に示した光偏向素子640は、図6を参照して説明した光偏向素子340において、支持枠344における支持枠長辺344aの部分が欠けたような形状を有している。光偏向素子640の支持枠644は、支持枠長辺644bと、支持枠短辺644cと、支持枠短辺644dとを有し、略長方形の額縁形状における長辺の一方が欠けた形状を有している。
光偏向素子640は、素子筐体350や素子筐体450と組み合わせることで、主走査偏向器331や主走査偏向器431と同様の主走査偏向器を構成することができる。素子筐体470と組み合わせることで、主走査偏向器432と同様の主走査偏向器を構成することができる。
光偏向素子640の支持枠644における裏面(反射鏡42が形成された側の反対側の面)に段差を形成し、素子筐体50や素子筐体250と組み合わせることで、主走査偏向器31や主走査偏向器231と同様の主走査偏向器を構成することができる。支持枠644における裏面に被支持溝547と同様の被支持溝を形成し、素子筐体550と組み合わせることで、主走査偏向器531と同様の主走査偏向器を構成することができる。
【0120】
図12(b)に示した光偏向素子650は、光偏向素子640における支持枠長辺644bの部分が欠けたような形状を有している。
光偏向素子650の支持枠654は、支持枠短辺654cと、支持枠短辺654dとを有している。支持枠短辺654cと、支持枠短辺654dとは、弾性支持梁43と可動板41と弾性支持梁43とが連なった両側に配設されており、可動板41と一端が接続された弾性支持梁43のもう一端に、それぞれの中央部が接続されて、弾性支持梁43の延在方向と略直交する方向に延在している。
光偏向素子650は、光偏向素子640と同様に、素子筐体350や素子筐体450と組み合わせることで、主走査偏向器331や主走査偏向器431と同様の主走査偏向器を構成することができる。素子筐体470と組み合わせることで、主走査偏向器432と同様の主走査偏向器を構成することができる。
光偏向素子650の支持枠654における裏面(反射鏡42が形成された側の反対側の面)に段差を形成し、素子筐体50や素子筐体250と組み合わせることで、主走査偏向器31や主走査偏向器231と同様の主走査偏向器を構成することができる。支持枠654における裏面に被支持溝547と同様の被支持溝を形成し、素子筐体550と組み合わせることで、主走査偏向器531と同様の主走査偏向器を構成することができる。
【0121】
図12(c)に示した光偏向素子660は、光偏向素子650における支持枠短辺654cと支持枠短辺654dとが短くなった形状を有している。
光偏向素子660の支持枠664は、支持枠短辺664cと、支持枠短辺664dとを有している。支持枠短辺664cと、支持枠短辺664dとは、弾性支持梁43と可動板41と弾性支持梁43とが連なった両側に配設されており、可動板41と一端が接続された弾性支持梁43のもう一端に、それぞれの中央部が接続されて、弾性支持梁43の延在方向と略直交する方向に延在している。
光偏向素子660は、光偏向素子640などと同様に、素子筐体450と組み合わせることで、主走査偏向器431と同様の主走査偏向器を構成することができる。素子筐体470と組み合わせることで、主走査偏向器432と同様の主走査偏向器を構成することができる。
光偏向素子660の支持枠664における裏面(反射鏡42が形成された側の反対側の面)に段差を形成し、素子筐体250と組み合わせることで、主走査偏向器231と同様の主走査偏向器を構成することができる。支持枠664における裏面に被支持溝547と同様の被支持溝を形成し、素子筐体550と組み合わせることで、主走査偏向器531と同様の主走査偏向器を構成することができる。
【0122】
(変形例11)前記実施形態においては、光偏向素子40や光偏向素子240においては、支持枠44や支持枠244の一部を薄くすることで、裏側面44Bと裏側面44Cと、又は裏側面244Bと裏側面244Cとの段差を形成していた。しかし、被支持面の反射面からの高さを変えるために支持枠を部分的に切り欠くことは必須ではない。支持枠に突出した部分を形成し、当該突出した部分を素子支持部に当接させることで光偏向素子を支持することにより、被支持面の反射面からの高さを変える構成であってもよい。
【0123】
(変形例12)前記実施形態においては、主走査偏向器531では、筐体本体552に支持突起557が形成されており、光偏向素子540に被支持溝547が形成されていたが、筐体本体に突起を形成し、支持枠に凹部を形成することは必須ではない。支持枠に突起を形成し、筐体本体に凹部を形成する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…投射型画像表示装置、3…光走査ユニット、21…レーザー光源、22…ダイクロイックプリズム、31…主走査偏向器、36…駆動装置、40…光偏向素子、41…可動板、43…弾性支持梁、44…支持枠、44B…裏側面、44C…裏側面、51…封止蓋、51a…蓋入射面、53…上面、54a…素子室底面、56…支持部、56A…支持部面、101…印刷装置、103…アクチュエーター、231…主走査偏向器、240…光偏向素子、241…可動板、242…反射鏡、244…支持枠、244B…裏側面、244C…裏側面、250…素子筐体、252…筐体本体、254…素子室、254a…素子室底面、256…支持部、331…主走査偏向器、340…光偏向素子、344…支持枠、344B…裏側面、350…素子筐体、352…筐体本体、354…素子室、354a…素子室底面、356…支持部、356A…支持部面、356B…支持部面、356a,356b…支持部、431…主走査偏向器、432…主走査偏向器、450…素子筐体、452…筐体本体、454…素子室、454a…素子室底面、456…支持部、456C,456D…支持部面、456c,456d…支持部、470…素子筐体、472…筐体本体、474…素子室、474a…素子室底面、476c…支持部、531…主走査偏向器、540…光偏向素子、544…支持枠、547…被支持溝、548…被支持溝面、550…素子筐体、552…筐体本体、556…支持部、557…支持突起、558…先端面、574…素子室、574a…素子室底面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板の端面に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、
前記光偏向素子を収容可能な素子室と、前記素子室に配設されており、前記支持枠を支持することで前記光偏向素子を支持する素子支持部を有する筐体本体と、
前記反射面に入射する入射光及び前記反射面で反射された反射光が透過する窓部を有し、前記素子室の開口を封止する位置に配設されている蓋部材と、を備え、
前記支持枠と前記素子支持部とが第一の当接位置と第二の当接位置とにおいて当接することによって、前記支持枠が前記素子支持部に支持されており、
前記入射光が前記窓部に入射する入射面に垂直な方向における前記入射面からの距離、又は前記反射面に垂直な方向における前記反射面からの距離が、前記第一の当接位置と前記第二の当接位置とで互いに異なることを特徴とする光偏向器。
【請求項2】
前記第一の当接位置は、前記支持枠における第一の被支持面と前記素子支持部における第一の支持面とが当接する部分の位置であり、
前記第二の当接位置は、前記支持枠における第二の被支持面と前記素子支持部における第二の支持面とが当接する部分の位置であり、
前記第一の被支持面と前記第二の被支持面とは、前記反射面に平行な方向において、前記反射面を挟んで両側に配設されており、
前記反射面に垂直な方向において、前記反射面からの距離が、前記第一の被支持面における前記第一の当接位置と前記第二の被支持面における前記第二の当接位置とで異なることを特徴とする、請求項1に記載の光偏向器。
【請求項3】
前記第一の当接位置は、前記支持枠における第一の被支持面と前記素子支持部における第一の支持面とが当接する部分の位置であり、
前記第二の当接位置は、前記支持枠における第二の被支持面と前記素子支持部における第二の支持面とが当接する部分の位置であり、
前記第一の支持面と前記第二の支持面とは、前記反射面に平行な方向において、前記反射面を挟んで両側に配設されており、
前記入射面に垂直な方向において、前記入射面からの距離が、前記第一の支持面における前記第一の当接位置と前記第二の支持面における前記第二の当接位置とで異なることを特徴とする、請求項1に記載の光偏向器。
【請求項4】
前記第一の支持面又は前記第二の支持面のいずれか一方は、前記素子室の底面であることを特徴とする、請求項3に記載の光偏向器。
【請求項5】
前記第一の被支持面と前記第二の被支持面とは、前記反射面に平行な方向において、前記回動軸を挟んで両側にそれぞれ配設されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項6】
前記第一の被支持面と前記第二の被支持面とは、前記回動軸の軸方向において、前記弾性支持梁を挟んで両側にそれぞれ配設されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項7】
前記第一の支持面又は前記第二の支持面の少なくとも一方の面方向は、当接する前記第一の被支持面又は前記第二の被支持面の面方向と略平行であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項8】
前記第一の被支持面又は前記第二の被支持面の少なくとも一方の面方向は、当接する前記第一の支持面又は前記第二の支持面の面方向と略平行であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項9】
前記第一の被支持面又は前記第二の被支持面、又は前記第一の支持面又は前記第二の支持面の少なくとも一方に形成された凹部と、他方における前記凹部に対応する位置に形成されており、前記凹部と遊嵌可能な突起と、を備えることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項10】
前記第一の被支持面又は前記第二の被支持面、又は前記第一の支持面又は前記第二の支持面の少なくとも一方が突起の先端であり、他方が前記突起に遊嵌可能な凹部の底面であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項11】
前記蓋部材と前記筐体本体とは、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合されていることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光偏向器。
【請求項12】
光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板の端面に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室と、前記素子室に配設されており、前記支持枠を支持することで前記光偏向素子を支持する素子支持部を有する筐体本体と、前記反射面に入射する入射光及び前記反射面で反射された反射光が透過する窓部を備え、前記素子室の開口を封止する位置に配設されている蓋部材と、を備え、前記支持枠と前記素子支持部とが第一の当接位置と第二の当接位置とにおいて当接することによって、前記支持枠が前記素子支持部に支持されている光偏向器の製造方法であって、
前記第一の当接位置は、前記支持枠における第一の被支持面と前記素子支持部における第一の支持面とが当接する部分の位置であり、
前記第二の当接位置は、前記支持枠における第二の被支持面と前記素子支持部における第二の支持面とが当接する部分の位置であり、
前記光偏向素子が前記筐体本体に組み込まれた状態において、前記第一の被支持面における前記第一の当接位置と前記第二の被支持面における前記第二の当接位置とで、前記反射面に垂直な方向における前記反射面からの距離が互いに異なる位置に、前記第一の被支持面と前記第二の被支持面とを形成して、前記光偏向素子を形成する光偏向素子形成工程と、
前記筐体本体を形成する筐体本体形成工程と、
前記素子室に前記光偏向素子を組み込む、光偏向素子組み込み工程と、
前記蓋部材を前記筐体本体に接合する蓋部材接合工程と、を有することを特徴とする光偏向器の製造方法。
【請求項13】
光束が反射される反射面が形成された反射手段が固定されており板状の形状を有する可動板と、一端が前記可動板の端面に接続されており、前記可動板を前記反射面に平行な回動軸回りに回動可能に支持する弾性支持梁と、前記弾性支持梁の前記一端の反対側の一端が接続されており、前記弾性支持梁を支持する支持枠と、を備える光偏向素子と、前記光偏向素子を収容可能な素子室と、前記素子室に配設されており、前記支持枠を支持することで前記光偏向素子を支持する素子支持部を有する筐体本体と、前記反射面に入射する入射光及び前記反射面で反射された反射光が透過する窓部を備え、前記素子室の開口を封止する位置に配設されている蓋部材と、を備え、前記支持枠と前記素子支持部とが第一の当接位置と第二の当接位置とにおいて当接することによって、前記支持枠が前記素子支持部に支持されている光偏向器の製造方法であって、
前記第一の当接位置は、前記支持枠における第一の被支持面と前記素子支持部における第一の支持面とが当接する部分の位置であり、
前記第二の当接位置は、前記支持枠における第二の被支持面と前記素子支持部における第二の支持面とが当接する部分の位置であり、
前記光偏向素子を形成する光偏向素子形成工程と、
前記光偏向素子が前記筐体本体に組み込まれ、前記蓋部材が前記筐体本体に接合された状態で、前記第一の支持面における前記第一の当接位置と前記第二の支持面における前記第二の当接位置とで、前記窓部における前記入射光が入射する入射面に垂直な方向において、前記入射面からの距離が互いに異なる位置に、前記第一の支持面と前記第二の支持面とを配設して、前記筐体本体を形成する筐体本体形成工程と、
前記素子室に前記光偏向素子を組み込む、光偏向素子組み込み工程と、
前記蓋部材を前記筐体本体に接合する蓋部材接合工程と、を有することを特徴とする光偏向器の製造方法。
【請求項14】
前記蓋部材接合工程では、前記蓋部材と前記筐体本体とを、金属接合、共晶結合、又は陽極接合によって接合することを特徴とする、請求項12又は13に記載の光偏向器の製造方法。
【請求項15】
光源と、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光偏向器と、を備え、
前記光源から射出された光束を前記光偏向器によって偏向させることで画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−70056(P2011−70056A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222102(P2009−222102)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】