説明

光偏向装置、光偏向アレー、画像投影表示装置

【課題】透過光により発熱することなく、画素に応じて第1の偏光光又は第2の偏光光を目的の方向へ導くことができる光偏向装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板の複数の端部にそれぞれ設けられ、各上部にストッパを有する複数の規制部材と、頂部を有して基板の上面に設けられる支点部材と、光反射領域を有し、かつ固定端を持たず、かつ少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、かつ基板と支点部材とストッパの間の空間内で可動的に配置される板状部材と、基板上にそれぞれ設けられ、板状部材の導電体層とほぼ対向している複数の電極と、を備えており、板状部材が支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、光反射領域に入射する光が反射方向を変えて光偏向する光偏向装置において、ストッパ上に直接又はストッパ上部に立体的に接続して偏光素子を具備し、偏光素子がワイヤグリッド型偏光素子であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光に対する出射光の方向を変える光偏向装置、光偏向アレー、画像投影表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
始めに、本明細書において頻繁に用いられる「光偏向」と「偏光」という用語について、以下のように定義することとする。「光偏向」は、光の向きを変えることを意味し、具体的には、光偏向装置を構成する板状部材などのミラーが傾斜方向を変えたことにより反射光の向きが変わることなどが該当する。一方、「偏光」は、光を電磁波として捉えたときの波としての性質の変化を意味し、例えば振動方向がランダムな状態である自然光に対し、特定方向に振動が偏った光を意味する。具体的には、ワイヤグリッド型偏光素子により、振動方向がワイヤと平行な光が反射され、ワイヤと垂直な光が透過されるなどが該当する。
【0003】
一般に、投影プロジェクタやデジタルシアターシステム、リアプロジェクションテレビ等の画像投影表示装置に用いられる表示デバイス(本発明における光偏向装置に相当する)としては、透過型液晶デバイスや反射型液晶デバイス、デジタルマイクロミラーデバイスがあり、その光利用効率の高さや開口率の大きさから、テキサスインスツルメンツのデジタルマイクロミラーデバイス(一般的にDMDと呼ばれている)を用いたプロジェクタが市場で広く使われている。このDMDは、捻り梁上部に反射ミラーを有する光スイッチの2次元アレーであり、このDMDを用いたプロジェクタの光学システムでは、テキサスインスツルメンツで発明されたデジタルライトプロセッシング方式(一般的にDLP方式と呼ばれている)が採用されている。このDLP方式には、DMDを1個用いる単板式と、DMDを3個用いる3板式があり、この単板式の光学システムについては、公知文献である、「A MEMS-Based Projction Display」PROCEEDINGS OF THE IEEE. VOL.86,NO.8,AUGUST 1998 ,page 1687-1704において、L. J. Hornbeckらが紹介している。又、3板式の光学システムについては、公知文献である、「Using ZEMAX Image Analysis and user-defined surfaces for projection lens design and evaluation for Digital Light ProcessingTM projection systems」 Optical Engineering, Vol. 39 No. 7, July 2000, page 1802-1807に紹介されている。
【0004】
上記いくつかの方式があるプロジェクタであるが、近年、それらのプロジェクタを応用した立体画像を投影表示するプロジェクタやデジタルシアターシステムが製品化されている。立体画像を投影表示するシステムとしては、主に、時分割式DLPプロジェクタと液晶シャッタメガネを用いる時分割方式と、DLP方式に限らず液晶方式を含めたプロジェクタ2台と偏光メガネを用いる偏光方式とがある。特許文献1(特開平10−153755号公報)において、従来例として両方式が開示されており、時分割方式は、左右の眼に独立した液晶シャッタを設けたメガネを装着し、スクリーン上に時分割式に右目用の画像と左目用の画像を交互に表示し、シャッタ制御装置に画像タイミングに合わせて右目と左目のシャッタを作動し、右目には、右目用の画像を、左目には左目用の画像を見ることができるようにしたものであり、偏光方式は、右目用の画像と左目用の画像を投影する2台のプロジェクタを用い、それぞれの投射光を偏光フィルタにより一方のプロジェクタは横方向、もう一方のプロジェクタは縦方向に偏光してスクリ−ンに投影し、これを右目は縦方向、左目は横方向の偏光メガネで、右目には右目用の画像を、左目には左目用の画像を見ることができるようにしたものである。
【0005】
しかしながら、時分割方式の場合は、シャッタ制御装置にて画像タイミングに合わせて眼鏡の右目と左目の液晶シャッタを作動するため接続コ−ドが必要で煩わしく、かつ接続コードが無い液晶シャッタを設けたメガネは高価で、このために多人数で立体画像を同時に楽しむことは困難であった。又、偏光方式の場合は、右目用の画像と左目用の画像を投影する2台のプロジェクタが必要で価格を低く抑えることが出来ない、かつ2台のプロジェクタの投影画像を一致しないといけないので調整が難しくだれでも設定ができるほど手軽ではない等の問題点があった。
【0006】
そこで、安価な偏光メガネを用いることができ、かつ1台のプロジェクタにて立体画像を投影表示できる装置として、ホログラフィック偏光ビームスプリッタによって光源から放射された光をS波とP波に分離し、分離されたS波とP波をDMDのそれぞれ異なる画素に導いて、S波によって構成される画像と、P波によって構成される画像とを同時に投影するように構成した立体画像投影表示装置が、特許文献2(特許第2999953号公報)に開示されている。又、回転する偏光カラーホイールを用いることにより、相互に直交する偏光ベクトルを備えた直線偏光をRGBの各色毎に時分割でDMDに導くように構成し、このDMDを偏光カラーホイールの時分割動作と連動させて制御することで、偏光メガネによって立体的な表示を視認できるように構成した立体画像表示装置が、上記特許文献1に開示されている。
【0007】
しかしながら、ホログラフィック偏光ビームスプリッタを用いる装置では、DMDが単板式で済みかつ駆動周波数も比較的低くて済むといった利点があるものの、ホログラフィック偏光ビームスプリッタによる偏光の出射方向をDMDの各画素に正確に対応させる必要があるために厳密な光学調整が必要になるとともに、このようなホログラフィック偏光ビームスプリッタは非常に高価であるため装置の価格を安価にすることができないという問題点があった。さらに、カラー化を図る場合にはホログラムの特性により異なる色相の光を同等に導くことはできないことから、ホログラフィック偏光ビームスリッタにRGBの各色に対応する画素構造を設ける必要があり、これによりさらに製造コストが増大するという問題点があった。一方、偏光カラーホイールを用いる装置では、カラーホイールに偏光選択機能を持たせ、DMDを光の色別及び偏光別に時分割駆動させる必要があるため、駆動周波数が高くなってしまうという問題点があった。また、偏光カラーホイールを回転させながら光を透過させる必要があるために、カラー偏光フィルタの偏光軸が偏光カラーホイールの回転に伴って傾動するので直線偏光の偏光軸が一定にならず振れてしまうため、立体画像を見るときに左右の視差画像が相互に混ざって視認されるといった2重映りを生ずる恐れがあった。
【0008】
そこで、上記問題点に鑑み、単板式のDMDを使って、かつホログラフィック偏光ビームスプリッタや偏光カラーホイールを使わずに1台のプロジェクタにて立体画像を投影表示する装置が、特許文献3(特開2006−58339号公報)に開示されている。特許文献3においては、表示デバイスであるDMDの画素に相当する個々のミラーを、第1の偏光が可能なミラー又は第2の偏光が可能なミラーで構成し、第1の偏光が可能なミラーと第2の偏光が可能なミラーをストライプライン状に交互に、又は縦横の隣接位置に交互に配置していることを特徴としている。特許文献3の立体画像投影表示装置は、光源からの光を、無偏光のカラーホイールを通過させて時系列的に各色に分割し、それを表示デバイスである単板のDMDに時間順次に入射させる。DMDは立体画素情報に応じて第1の偏光光と第2の偏光光を投影レンズに向けて反射させることが出来、投影レンズを通してスクリーン上に第1の偏光による画像と第2の偏光による画像を同時に表示することが出来る。左右の眼に対応する部分に異なる偏光フィルタを取り付けた偏光メガネを用いてこの画像を鑑賞すると、特に視差画像を構成する第1の偏光光による画像と第2の偏光光による画像の場合は、立体画像として視ることが出来る。
【0009】
上記特許文献3の立体画像投影表示装置は、特許文献2の発明と異なり、表示デバイスの手前で偏光分離を行う必要がないので、偏光の投射位置の調整などが不要になり、装置の調整作業が容易になる。また、第1の偏光光による画像と第2の偏光光による画像とを時分割で投射する必要もないので、DMDの駆動周波数を低減することができる。さらに、単板式のDMDで第1の偏光光による画像と第2の偏光光による画像を同時に形成できるので、小型・軽量化を図ることができる等の利点がある。
【0010】
しかしながら、上記特許文献3においては、無偏光な入射光がDMDを構成する個々のミラーに入射し、個々のミラー部に構成されたワイヤグリッド等の偏光機能により、ある振動方向を有する光が反射され、他の振動方向の光は透過することとなる。この反射光は、表示デバイスであるDMDの各素子のスイッチ動作(本発明でいうところの光偏向動作)により反射方向を変えて画像の投影表示に使われるが、透過光はグリッドを通過しミラー下で散乱しコントラストの低下や画質の低下となるため、偏光機能の下に黒色の樹脂層などの光吸収層や無反射多層膜を構成してミラー部で吸収させることが必要となる。概して記すと、光源からの照明光の半分がDMDのミラーアレーで吸収されるため、その発熱は甚大であり、強力なファンなどによる急冷機構が必要となり、小型で安価な立体画像投影表示装置を構成することは困難となる。又、ミラーを構成する光吸収層や無反射多層膜の劣化は激しく、長時間の鑑賞が困難であり、画像投影表示装置の長期間使用も困難となる。さらに、ミラー部にワイヤグリッドを構成するため、その金属ワイヤの配列に依存してワイヤの応力によりミラーが反りすなわち平滑でなくなり、表示された画像の画素の分離が均一でなく、画質が低下する問題点がある。さらに、光吸収層として黒色の樹脂層を用いた場合は数μmの膜厚が必要であり、ミラーの±20°程度の傾斜を考えると隣接するミラーがぶつからないように画素と画素の間隔を広げる必要があり、微細なミラーを狭ピッチで集積することが困難である。又、光吸収層として無反射多層膜を用いた場合は、その膜応力分布の制御が困難でやはり平滑なミラーが得られず、画質の低下を招く恐れがある。さらに、ミラーとして上記構成をとる場合、ミラー部の重量が大きくなり、ミラーを固定している支持部又はミラーを支えているヒンジへの負荷が大きく、連続使用による支持部又はヒンジの破壊が起きやすいため、頻繁に表示デバイスを交換する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以下に、特許文献4(特許第4307813号公報)を参照して、本発明者らが先に発明した光偏向方法及び光偏向装置及びその製造方法及びその応用製品を説明する。特許文献4を従来例とすると、従来例の光偏向装置は、固定部を持たない板状部材すなわちミラーを空間に閉じ込めて静電引力により支点部位を中心に傾斜変位させ光偏向することを特徴としており、この特許文献4の中で1軸又は2軸方向に光偏向する光偏向装置が開示されている。特許文献4において、ミラーである板状部材に接触電位を付与する場合と電気的に浮いている場合の、それぞれの構造の光偏向装置及び光偏向方法(すなわち駆動方法)が開示されている。
【0012】
以下に、その代表的な構造及び駆動方法を記載する。図9に、特許文献4に開示した光偏向装置の例を模式的に図示した。この光偏向装置は、ミラーである板状部材に接触電位を付与する場合の光偏向装置であり、2軸4方向に光偏向する構造を有している。図9(a)は光偏向装置の上面図であり、図9(b)はA-A'線上の断面図、図9(c)はB-B'線上の断面図、図9(d)はC-C'線上の断面図である。なお図9においては、光偏向装置が複数2次元に配置された光偏向アレーの一つの光偏向装置として抽出して記載してある。図9において、基板101と、複数の規制部材102と、支点部材103と、板状部材104と、複数の電極105a、105b、105c、105dを有している。複数の規制部材102はそれぞれ上部にストッパを有し、基板101の複数の端部にそれぞれ設けられている。支点部材103は導電性を有する部材で構成される頂部を有して基板101の上面に設けられている。板状部材104は固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、裏面の少なくとも頂部と接する接触点が導電性を有する部材からなり、基板101と支点部材103とストッパの間の空間内で可動的に配置され、板状部材の電位を前記支点部材との接触により付与している。複数の電極105a、105b、105c、105dは基板上にそれぞれ設けられ、板状部材104の導電体層とほぼ対向している構成を有している。106は板状部材104が傾斜変位により基板101と接触する時に接触面積を低減する目的で配置された接触部位であり、特許文献4には開示されていない。106の接触部位に関しては特許文献5(特開2005−202257号公報)に詳細が記載されている。
【0013】
上記光偏向装置は、電極105a、105b、105c、105d及び支点部材103に印加される電位の組み合わせにより、図9(c)、図9(d)に記載のように方向1〜方向4へ傾斜変位し、それに応じて例えば基板面と垂直方向から入射した入射光を方向1〜方向4の4方向へ反射させることが出来る。又、逆に最大同4方向から入射した入射光を基板と垂直方向へ反射させることが出来る。図10に、特許文献4に開示されている電圧印加の組み合わせと板状部材の傾斜方向の関係を表としてまとめて記載する。図10に記載したように、X(V)と0(V)の2種類の電位を計5電極に組合せることにより、上記4方向への光偏向が可能であるが、詳細な説明は特許文献4を参照されたい。
【0014】
上記従来例の光偏向装置は、以下の利点を有している。すなわち、
・支点部材と基板と板状部材の接触で傾斜角が決定されるので、ミラーの偏向角の制御が容易かつ安定である。
・支点部材を中心として対向する電極に異なる電位を印加することにより高速に薄膜の板状部材を反転するので、応答速度が速くできる。
・板状部材が固定端を有していないので捻り変形などの変形を伴わず長期的な劣化が少なく低電圧で駆動できる。
・半導体プロセスにより微細で軽量な板状部材を形成できるので、ストッパとの衝突による衝撃が少なく、長期的な劣化が少ない。
・規制部材や板状部材や光反射領域の構成を任意に決めることにより、反射光のON/OFF比(画像機器におけるS/N比、映像機器におけるコントラスト比)を向上できる。
・半導体プロセス及び装置を使用できるので、低コストにて微細化と集積化が可能である。
・支点部材を中心として複数の電極を配置することにより、1軸2次元の光偏向及び2軸3次元の光偏向が可能である。
【0015】
次に、特許文献6(特開2005−202257号公報)に開示されている従来例の光偏向装置のもう一つの形態を図11に記載する。図11(a)は従来例の光偏向装置のもう一つの形態の上面図であり、図11(b)はD-D'線上の断面図である。図11においては、光偏向装置が複数2次元に配置された光偏向アレーの一つの光偏向装置として抽出して記載してある。図11において、基板101と、複数の規制部材102と、支点部材103と、板状部材104と、複数の電極105a、105bを有している。複数の規制部材102はそれぞれ上部にストッパを有し、基板101の複数の端部にそれぞれ設けられている。支点部材103は導電性を有する部材で構成される頂部を有して基板101の上面に設けられている。板状部材104は固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、裏面の少なくとも頂部と接する接触点が導電性を有する部材からなり、基板101と支点部材103とストッパの間の空間内で可動的に配置され、板状部材の電位を支点部材との接触により付与している。複数の電極105a、105bは基板上にそれぞれ設けられ、板状部材104の導電体層とほぼ対向している構成を有している。特に図11の光偏向装置は、支点部材103が尾根状の頂部を有し、光偏向方向を方向1及び方向2に限定する1軸2次元の光偏向動作する光偏向装置である。なお図11(b)のD-D'断面図において、規制部材102上に構成されたストッパは分割された規制部材間にブリッジする形で配置されている。又、図9の従来例で記載した接触部位106は記載を省略しているだけで、実際には図9と同様に構成されている。
上記光偏向装置は、電極105a、105b及び支点部材103に印加される電位の組み合わせにより、方向1及び方向2へ傾斜変位し、それに応じて例えば基板面と垂直方向から入射した入射光を方向1及び方向2へ反射させることが出来る。
【0016】
次に、図11に記載した光偏向装置を複数2次元アレー状に配置した光偏向アレーの従来例について、図12を用いて説明する。図12(a)は従来の光偏向アレーの上面図であり、図12(b)はD−D'断面図である。図12(a)において、従来の光偏向装置がm行n列配置されており、個々の光偏向装置は画像情報に応じて個別に供給される駆動信号に応じて光偏向動作する。このとき、光偏向装置はその特徴により低電圧駆動が可能となので、供給される駆動信号も低電圧な電圧を用いることが出来る。駆動信号は光偏向装置直下に構成された半導体メモリ回路に記憶され、全光偏向装置を同時に光偏向動作させる。光偏向アレーの駆動方法や半導体メモリ回路の構成に関しては、特許文献7(特開2006−133394号公報)を参照されたい。
【0017】
次に、上記従来の光偏向アレーを用いた画像投影表示装置の従来例を、図13に記載する。図13において、1201はハロゲンランプやキセノンランプなどの白色光源である。1202は光源光の整形のためのロッドレンズである。1103が少なくとも3原色のカラーフィルターを有するカラーホイールであり、1104が従来の光偏向アレーである。1105は光偏向アレーを構成する個々の光偏向装置の光偏向方向を制御する制御チップである。1107は投影レンズであり、1106は光吸収板である。この従来の光偏向装置は、1軸2次元の光偏向動作を行う光偏向装置であり、1方向から入射した入射光を目的の方向(ON方向)と目的以外の方向(OFF方向)へ色情報に応じて光偏向する。この光学システムを簡単に説明すると、白色光源1201からの白色光がロッドレンズ1202を通過して整形され、カラーホイール1103に入射する。カラーホイールを通過する光源光は時間順次に赤青緑の色を有する光Lとなる。光Lが光偏向アレー1104を照明する。光偏向アレー1104を構成する個々の光偏向装置は、画像情報すなわち色情報に応じて光偏向動作を行い、目的方向、例えばアレー面と垂直方向に反射光Lonを反射させ、投影レンズ1107に導く。投影レンズを通過してスクリーン1302上に色情報が投影表示される。時間順次に投影される色情報は観察者の目の残像現象により色合成され、多彩な色を有する画像となる。目的以外の方向へ反射された光Loffは光吸収板で吸収される。
【0018】
上記従来例の光偏向装置では、固定部を持たない板状部材104をミラーとして用いることにより上記多くの利点を有しており、光偏向装置を用いた光偏向アレーや画像投影表示装置もそれにより多くの利点を有している。しかし一方で、光偏向装置の板状部材104に入射する光は無偏光光又は光偏向装置以前に偏光された単一の偏光光であり、かつ光偏向装置に偏光素子を具備していないので、板状部材からの反射光も無偏光光又は単一の偏光光である。そのため、特許文献1に開示されている偏光カラーホイールや特許文献2に開示されているホログラフィック偏光ビームスプリッタを具備しなければ、1台のプロジェクタ(本発明における画像投影表示装置)で安価な偏光メガネを使って、立体画像の投影表示と鑑賞をすることは出来ない。
【0019】
本発明は、特許文献1〜6にみられる問題点を解決するものであり、特許文献3でみられる透過光により発熱することなく、画素に応じて第1の偏光光又は第2の偏光光を目的の方向へ導くことができる光偏向装置を提供することにある。また、その光偏向装置で画素を構成することで、1個の光偏向アレーで第1の偏光光による画像と第2の偏光光による画像を1個の投影レンズに導くことができる光偏向アレーを提供することにある。また、その光偏向アレーを表示デバイスとすることで、小型でかつ安価であり、高精細な立体画像を1台の画像投影表示装置で表示でき、かつ安価な偏光メガネを用いることのできる画像投影表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
かかる目的を達成するために、本発明の光偏向装置は、基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極とを有しており、複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、基板の複数の端部にそれぞれ設けられており、支点部材は頂部を有して基板の上面に設けられており、板状部材は光反射領域を有し、かつ固定端を持たず、かつ少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、かつ基板と支点部材とストッパの間の空間内で可動的に配置されており、複数の電極は基板上にそれぞれ設けられ、板状部材の導電体層とほぼ対向している構成を有しており、板状部材が支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、光反射領域に入射する光が反射方向を変えて光偏向する光偏向装置において、ストッパ上に直接又はストッパ上部に立体的に接続して偏光素子を具備し、かつ偏光素子がワイヤグリッド型偏光素子であることを特徴とする。
【0021】
本発明の光偏光装置において、ワイヤグリッド型偏光素子は、帯状の金属層を複数平行に配列させたグリッド構造を有しており、グリッド構造により、入射光において、電磁波としての振動方向が帯の伸長方向と平行な光は反射し、入射光の電磁波としての振動方向が帯の伸長方向と垂直な光は透過することを特徴とする。
【0022】
本発明の光偏光装置において、帯状の金属層の幅は、入射光の波長に依存して良好に偏光ができる幅で決定され、入射光が300〜800nmの可視光の場合は100nm以下とすることを特徴とする。
【0023】
本発明の光偏光装置において、ストッパは、光偏向装置全面をほぼ覆う形で平板状に構成されており、光偏向装置の角部には開口部が形成されており、開口部は、板状部材の上下面に構成されていた犠牲層をエッチング除去するときのエッチング種を導入するための窓として機能することを特徴とする。
【0024】
本発明の光偏光装置において、ストッパは、ブリッジ状に構成されており、ストッパには柱状の接続ポストを介して透明平板が接続されており、透明平板は、光偏向装置全面をほぼ覆う形で平板状に構成されており、光偏向装置の角部には開口部が形成されており、開口部は、板状部材の上下面及びストッパ上部に構成されていた犠牲層をエッチング除去するときのエッチング種を導入するための窓として機能することを特徴とする。
【0025】
本発明の光偏光アレーは、本発明の光偏向装置を複数1次元又は2次元アレー状に配置した光偏向アレーであり、かつ、第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置と、第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置とが交互に配置されていることを特徴とする。
【0026】
本発明の画像投影表示装置は、本発明の光偏向アレーを有し、かつ、少なくとも光偏向アレーを照明する光源及び光偏向アレーからの反射光を投影する投影レンズを有し、光偏向アレーからの反射光による第1の偏光光から成る画像と第2の偏光光から成る画像を同時に単一の投影レンズに導き、スクリーン上に投影表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、透過光により発熱することなく、画素に応じて第1の偏光光又は第2の偏光光を目的の方向へ導くことができる光偏向装置を提供できる。また、その光偏向装置で画素を構成することで、1個の光偏向アレーで第1の偏光光による画像と第2の偏光光による画像を1個の投影レンズに導くことができる光偏向アレーを提供できる。また、その光偏向アレーを表示デバイスとすることで、小型でかつ安価であり、高精細な立体画像を1台の画像投影表示装置で表示でき、かつ安価な偏光メガネを用いることのできる画像投影表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態1に係る光偏向装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る光偏向装置のワイヤグリッド型偏光素子の例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る光偏向装置の製造方法の各工程を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る光偏向装置の構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る光偏向装置の製造方法の各工程を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る光偏向アレーの構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態4に係る光偏向アレーの構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態5に係る画像投影表示装置の構成例を示す斜視図である。
【図9】特許文献4に開示されている光偏向装置の例を模式的に示す図である。
【図10】特許文献4に開示されている電圧印加の組み合わせと板状部材の傾斜方向の関係を示す表である。
【図11】特許文献6に開示されている光偏向装置の例を示す図である。
【図12】図11に示す光偏向装置を複数2次元アレー状に配置した光偏向アレーの例を示す図である。
【図13】従来の光偏向アレーを用いた画像投影表示装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の一実施形態としての光偏向装置(実施形態1,2)、光偏向アレー(実施形態3,4)、画像投影表示装置(実施形態5)についてそれぞれ説明する。
【0030】
まず、本発明の一実施形態の光偏向装置について説明する。本発明の一実施形態の光偏向装置を構成する板状部材は、電気的に浮いている場合と、支点部材を経由して接触的に電位を付与する場合と、どちらであっても構わない。又、1軸2次元の光偏向動作する光偏向装置、及び2軸3次元の光偏向動作する光偏向装置どちらであっても構わないが、以下の説明においては、便宜上、支点部材を経由して接触的に電位を付与する場合の1軸2次元の光偏向動作する光偏向装置にて説明する。
【0031】
本発明の一実施形態の光偏向装置は、基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極を有している。複数の規制部材は、それぞれ上部にストッパを有し、基板の複数の端部にそれぞれ設けられている。支点部材は、頂部を有し、基板の上面に設けられている。板状部材は、光反射領域を有し、かつ固定端を持たず、かつ少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、かつ基板と支点部材とストッパの間の空間内で可動的に配置されている。複数の電極は、基板上にそれぞれ設けられ、板状部材の導電体層とほぼ対向している構成を有している。本発明の一実施形態の光偏向装置は、このような構成において、板状部材が支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、光反射領域に入射する光が反射方向を変えて光偏向する光偏向装置であり、ストッパ上に直接又はストッパ上部に立体的に接続して偏光素子を具備し、かつ偏光素子がワイヤグリッド型偏光素子であることを特徴としている。以下、本発明の一実施形態の光偏向装置について、実施形態1及び2を用いてそれぞれ順に説明する。
【0032】
〔実施形態1〕
図1に本発明の実施形態1を示す。図1(a)は、本実施形態の光偏向装置の上面図であり、図1(b)は、理解を容易にするためにストッパ部材602とワイヤグリッド型偏光素子601を除いた本実施形態の光偏向装置の上面図であり、図1(c)は、D-D'線上の断面図である。図1においても、光偏向装置が複数2次元に配置された光偏向アレーの一つの光偏向装置として抽出して記載してある。
【0033】
図1において、本実施形態の光偏向装置は、基板101と、複数の規制部材102と、支点部材103と、板状部材104と、複数の電極105a、105bを有している。
【0034】
複数の規制部材102は、基板101の複数の端部にそれぞれ設けられ、かつ上部にストッパ602を有している。
【0035】
支点部材103は、導電性を有する部材で構成される頂部を有し、基板101の上面に設けられる。
【0036】
板状部材104は、固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有している。また、板状部材104は、裏面の少なくとも上記頂部と接する接触点が導電性を有する部材からなり、基板101と支点部材103とストッパ602の間の空間内で可動的に配置され、板状部材104の電位を支点部材103との接触により付与している。
【0037】
複数の電極105a、105bは、基板101上にそれぞれ設けられ、板状部材104の導電体層とほぼ対向している構成を有している。又、図11の従来例と同様に、図1の光偏向装置も、支点部材103が尾根状の頂部を有している。さらに本実施形態においては、板状部材104の一辺長と支点部材103の高さを設計し、板状部材104が支点部材103を中心に最大で±15度の傾斜変位が可能な構造としている。なお、規制部材102は中空構造であっても良い。
【0038】
又、図1において、図9の従来例で記載した接触部位106は記載を省略しているだけで、実際には図9と同様に構成されている。本実施形態において、図11の従来例と異なり、ストッパ602は、後述する実施形態2のようにブリッジ状に構成されているのではなく、光偏向装置全面をほぼ覆う形で平板状に構成され、光偏向装置の角部に開口部603を有している。開口部603は板状部材104上下面に構成されていた犠牲層をエッチング除去するときのエッチング種を導入するための窓である。
【0039】
平板状に構成されたストッパ602上には、本実施形態の特徴であるワイヤグリッド型偏光素子601が構成されている。ワイヤグリッド型偏光素子601は、帯状の金属層(すなわちワイヤ)を複数平行に配列させたグリッド構造を有している。このグリッド構造により、入射光において、電磁波としての振動方向が帯の伸長方向と平行な光は反射し、入射光の電磁波としての振動方向が帯の伸長方向と垂直な光は透過する。この帯状の金属層の幅は、入射光の波長に依存して良好に偏光ができる幅で決まり、入射光が300〜800nmの可視光の場合は100nm以下が望ましい。又、その場合の金属層間のピッチは200nm以下が望ましい。なお、ワイヤグリッド型偏光素子における偏光について、図2に簡単に模式化して示した。701は透明な基材であり、702が帯状の金属層でありグリッド状に構成されている。ワイヤグリッド型偏光素子に対しグリッド状に構成された金属層702の上方より、ある角度で無偏光な光703が入射すると、帯状の金属層の伸長方向と平行な振動方向を有する光704は反射される。一方、帯状の金属層の伸長方向と垂直な振動方向を有する光705は基材701を透過する。上記ワイヤグリッド型偏向素子が、図1に示す本実施形態の光偏向装置に具備されているので、偏光された入射光をミラーである板状部材に入射させることが出来る。
【0040】
具体的にその過程を記載し、本実施形態の効果を明らかにする。図1(c)において、無偏光な入射光703が光偏向装置上方より入射する。すると、ワイヤグリッド型偏光素子601が構成されたストッパ602において、帯状の金属層の伸長方向と平行な偏光光704は反射し、不要光として処理される(具体的には画像投影表示装置内に設置された光吸収板に吸収される)。一方、帯状の金属層の伸長方向と垂直な偏光光705は、透明なストッパ602を透過して、板状部材104に入射する。光反射領域が構成されている板状部材104がその表面を方向2に向けて傾斜すると、光偏向装置基板面と法線方向に偏光光705が反射される。この反射光が図中のON光である。逆に、光反射領域が構成されている板状部材104がその表面を方向1に向けて傾斜すると、偏光光705はON光から大きく傾斜した方向である図中OFF方向に反射される。このOFF光は上記帯状の金属層の伸長方向と平行な偏光光704と同様に不要光として処理される。なお、板状部材を目的の方向に傾斜させる駆動方法などは従来例と同じである。又、本実施形態において、板状部材104の傾斜方向(方向1及び方向2)と帯状の金属層の伸長方向との相対的な位置関係、すなわち、帯状の金属層の伸長方向と板状部材104の傾斜方向(方向1及び方向2)が垂直であるなど、は特に規定されるものではない。
【0041】
本実施形態では、上述した構成とすることにより、帯状の金属層と平行な入射光をワイヤグリッド型偏光素子で反射させ、帯状の金属層と垂直な入射光のみを板状部材に入射させることができる。これにより、特許文献1や特許文献2に開示されているような光源光の偏光を、ホログラフィック偏光ビームスプリッタや偏光カラーホイールなどを具備することなくミラーである板状部材に入射する直前で行うことが出来、かつ特許文献2にみられるような位置調整を行うことなく、かつ光偏向装置ごとに任意に行うことが出来る。さらに、入射光は光偏向装置内で吸収されずに不要光として反射されるかON方向(投影レンズに導かれる画像表示のための目的の方向)又はOFF方向に反射されるので、特許文献3にみられるような発熱によるミラー品質の劣化もなくすことが出来る。
【0042】
次に、本実施形態の光偏向装置の製造方法について、図3を用いて説明する。なお、図3の説明で省略している工程に関しては、特許文献4(特許第4307813号公報)に開示されている前述の従来例と同様である。また、図3は、本実施形態の光偏向装置のD−D‘断面図(図1(c))を示している。
【0043】
図3(a)において、基板101上に支点部材103、複数の電極105a,105bが構成されている。又、図3(a)において、図9の従来例で記載した接触部位106は記載を省略しているだけで、実際には図9と同様に構成されている。
【0044】
次に、図3(b)において、基板101上に第一の犠牲層801、板状部材104、第二の犠牲層802が順次構成される。第一の犠牲層801と第二の犠牲層802は、本実施形態においてはノボラック系樹脂がスピンコート法により形成され、熱処理などにより平坦化されている。板状部材104は、スパッタリング法等により高反射膜としてアルミニウム系金属膜、高弾性率膜として窒化チタン膜が積層され、さらに画素に対応するようにパターン化されている。なお、本実施形態では犠牲層の膜種として有機膜を用いているが、シリコン膜やシリコン酸化膜であっても構わない。また、各膜の堆積方法は必ずしも限定されない。
【0045】
次に、図3(c)において、第一の犠牲層801、第二の犠牲層802が同一フォトマスクを用いてパターン化される。このパターン化は、規制部材102を構成するための開口部803であり、酸素系ガスを用いたプラズマエッチングにより行われる。
【0046】
次に、図3(d)において、シリコン酸化膜などの透明な絶縁膜を堆積する。
【0047】
次に、図3(e)において、本実施形態の特徴であるワイヤグリッド型偏光素子601を構成するための金属膜を堆積しフォトマスクを用いてパターン化される。この金属膜としてはアルミニウム系金属膜を用いた。次に、図ではパターン化の様子が明確でないが、フォトマスクを用いて図3(d)において堆積したシリコン酸化膜をパターン化し、規制部材102とストッパ602が構成される。なお、前述のように、ストッパ602は、光偏向装置全面をほぼ覆う形で平板状に構成され、光偏向装置の角部に開口部603を有している。
【0048】
最後に、図3(f)において、開口部603を通して酸素系ガスを用いたプラズマエッチングにより、板状部材104上下面に構成されていた犠牲層801と802をエッチング除去し、本実施形態の光偏向装置が完成する。
【0049】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2を図4に示す。図4(a)は実施形態の光偏向装置の上面図であり、図4(b)は、理解を容易にするために透明基材902とワイヤグリッド型偏光素子901を除いた本実施形態の光偏向装置の上面図であり、図4(c)はD-D'線上の断面図である。図4においても、光偏向装置が複数2次元に配置された光偏向アレーの一つの光偏向装置として抽出して記載してある。
【0050】
図9において、基板101と、複数の規制部材102と、支点部材103と、板状部材104と、複数の電極105a、105bを有している。
【0051】
複数の規制部材102は、基板101の複数の端部にそれぞれ設けられ、かつ上部にストッパ905を有している。
【0052】
支点部材103は、導電性を有する部材で構成される頂部を有し、基板101の上面に設けられる。
【0053】
板状部材104は、固定端を持たず、上面に光反射領域を有し、少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有している。また、板状部材104は、裏面の少なくとも上記頂部と接する接触点が導電性を有する部材からなり、基板101と支点部材103とストッパ905の間の空間内で可動的に配置され、板状部材14の電位を支点部材103との接触により付与している。
【0054】
複数の電極105a、105bは、基板101上にそれぞれ設けられ、板状部材104の導電体層とほぼ対向している構成を有している。又、図11の従来例同様、図4の光偏向装置も、支点部材103が尾根状の頂部を有している。さらに本実施形態においては、板状部材104の一辺長と支点部材103の高さを設計し、板状部材104が支点部材103を中心に最大で±15度の傾斜変位が可能な構造としている。なお、規制部材102は中空構造であっても良い。
【0055】
又、図4において、図9の従来例で記載した接触部位106は記載を省略しているだけで、実際には図9と同様に構成されている。本実施形態において、図11の従来例と同様、ストッパ905はブリッジ状に構成されている。さらに、ストッパ905に接続ポスト904を介して透明平板902が接続されている。透明平板902は、光偏向装置全面をほぼ覆う形で平板状に構成され、光偏向装置の角部に開口部903を有している。開口部903は、板状部材104上下面及びストッパ905上部に構成されていた犠牲層をエッチング除去するときのエッチング種を導入するための窓である。
【0056】
平板状に構成された透明平板902上には、本実施形態の特徴であるワイヤグリッド型偏光素子901が構成されている。このワイヤグリッド型偏光素子901は、帯状の金属層(すなわちワイヤ)を複数平行に配列させたグリッド構造を有している。このグリッド構造により、入射光において、電磁波としての振動方向が帯の伸長方向と平行な光は反射し、入射光の電磁波としての振動方向が帯の伸長方向と垂直な光は透過する。この帯状の金属層の幅は、上記実施形態1と同様、入射光の波長に依存して良好に偏光ができる幅で決まり、入射光が300〜800nmの可視光の場合は100nm以下が望ましい。本実施形態の光偏向装置においては、ストッパ905がブリッジ状に構成されているので、固定されていない板状部材104が製造過程又は光偏向動作中にストッパ905と接触する際の接触面積を実施形態1に比べて低減し、ミラーである板状部材104の固着による歩留の低下を抑制できる。
【0057】
次に、本実施形態の光偏向装置の製造方法について、図5を用いて説明する。なお、図5の説明で省略している工程に関しては、特許文献4(特許第4307813号公報)に開示されている前述の従来例と同様である。また、図5は本実施形態の光偏向装置のD−D‘断面図(図4(c))を示している。
【0058】
図5(a)において、実施形態1と同様、基板101上に支点部材103、複数の電極105a,105b、第一の犠牲層801と第二の犠牲層802、板状部材104が構成されており、規制部材102を構成するための開口803が形成されている。又、図5(a)において、図9の従来例で記載した接触部位106は記載を省略しているだけで、実際には図9と同様に構成されている。
【0059】
次に、図5(b)において、プラズマCVD法によるシリコン酸化膜を堆積し、フォトマスクを用いてパターン化され、規制部材102及びストッパ905が構成される。
【0060】
次に、図5(c)において、基板101上に第三の犠牲層1001が構成され、フォトマスクを用いてパターン化されて接続ポスト904のための開口部1002が形成される。第三の犠牲層1001は、本実施形態においてはノボラック系樹脂がスピンコート法により形成され、熱処理などにより平坦化されている。このパターン化は、酸素系ガスを用いたプラズマエッチングにより行われる。なお、本実施形態では犠牲層の膜種として有機膜を用いているが、シリコン膜やシリコン酸化膜であっても構わない。また、各膜の堆積方法は必ずしも限定されない。
【0061】
次に、図5(d)において、シリコン酸化膜などの透明な絶縁膜を堆積し、さらに本実施形態の特徴であるワイヤグリッド型偏光素子601を構成するための金属膜を堆積しフォトマスクを用いてパターン化される。この金属膜としてはアルミニウム系金属膜を用いた。次に、図ではパターン化の様子が明確でないが、フォトマスクを用いてシリコン酸化膜をパターン化し、接続ポスト904と透明平板902が構成される。なお、前述のように、透明平板902は、光偏向装置全面をほぼ覆う形で平板状に構成され、光偏向装置の角部に開口部903を有している。
【0062】
最後に、図5(e)において、開口部903を通して酸素系ガスを用いたプラズマエッチングにより、板状部材104上下面に構成されていた犠牲層801と802及びストッパ上部に構成された第三の犠牲層1001をエッチング除去し、本実施形態の光偏向装置が完成する。
【0063】
次に、本発明の一実施形態の光偏向アレーについて説明する。本発明の一実施形態の光偏向アレーは、上述した本発明の一実施形態の光偏向装置を複数1次元又は2次元アレー状に配置した光偏向アレーであり、かつ第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置と、第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置とが交互に配置されていることを特徴とする。以下、本発明の一実施形態の光偏向アレーについて、実施形態3及び4を用いてそれぞれ順に説明する。
【0064】
〔実施形態3〕
本実施形態の光偏向アレーの構成について、図6を用いて説明する。図6においては、例として、前述の実施形態1の光偏向装置を複数2次元アレー状に配置した光偏向アレーを記載した。図6(a)は、本実施形態の光偏向アレーの上面図であり、図6(b)は、理解を容易にするためにストッパ部材602とワイヤグリッド型偏光素子601を除いた本実施形態の光偏向アレーの上面図であり、図6(c)は、1個の光偏向装置を抽出したD-D'線上の断面図である。
【0065】
本実施形態3では、実施形態1の光偏向装置がm行n列配置されており、個々の光偏向装置は、個別に供給される駆動信号に応じて光偏向動作する。このとき、実施形態1の光偏向装置は、上述した従来例(図12の構成)と同様の特徴により低電圧駆動が可能なので、供給される駆動信号も低電圧な電圧を用いることが出来る。この駆動信号は、光偏向装置直下に構成された半導体メモリ回路に記憶され、全光偏向装置を同時に光偏向動作させる。光偏向アレーの駆動方法や半導体メモリ回路の構成に関しては、特許文献7(特開2006−133394号公報)を参照されたい。
【0066】
本実施形態の光偏向アレーにおいて、第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1101と、第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1102とは交互に配置されており、特にストライプライン状に交互に配置されている。なお、第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子と第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子は、ともに帯状の金属層(すなわちワイヤ)が複数平行に配列させた前述の構造であるが、602のストッパ平面上でその伸長方向が互いに直交する配置となっており、それぞれの透過光705の偏光ベクトルが互いに直交する関係となっている。この構造を構成することにより、互いに異なる偏光状態にある透過光(相互に直交する偏光ベクトルを有する偏光光)を同時に生じさせることができ、互いに異なる偏光状態にある光偏向装置への入射光ひいては投影レンズに導かれるON光とすることができる。本実施形態の光偏向アレーにおいては、複数のライン状に配置された第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1101群による第1の画像と、複数のライン状に配置された第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1102群による第2の画像を同時に形成し、投影することが可能になる。
【0067】
〔実施形態4〕
本実施形態の光偏向アレーについて、図7を用いて説明する。図7においては、例として、前述の実施形態1の光偏向装置を複数2次元アレー状に配置した光偏向アレーを記載した。図7(a)は、本実施形態の光偏向アレーの上面図であり、図7(b)は、理解を容易にするためにストッパ部材602とワイヤグリッド型偏光素子601を除いた本実施形態の光偏向アレーの上面図であり、図7(c)は、1個の光偏向装置を抽出したD-D'線上の断面図である。
【0068】
本実施形態4においても、上記実施形態3と同様に、実施形態1の光偏向装置がm行n列配置されており、個々の光偏向装置は、個別に供給される駆動信号に応じて光偏向動作する。このとき、実施形態1の光偏向装置は、上述した従来例(図12の構成)と同様の特徴により低電圧駆動が可能なので、供給される駆動信号も低電圧な電圧を用いることが出来る。この駆動信号は、光偏向装置直下に構成された半導体メモリ回路に記憶され、全光偏向装置を同時に光偏向動作させる。やはり、光偏向アレーの駆動方法や半導体メモリ回路の構成に関しては、特許文献7(特開2006−133394号公報)を参照されたい。
【0069】
本実施形態の光偏向アレーにおいて、第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1101と第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1102は交互に配置されており、特に、縦横の隣接位置に交互に配置している。なお、第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子と第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子は、ともに帯状の金属層(すなわちワイヤ)が複数平行に配列させた前述の構造であるが、602のストッパ平面上でその伸長方向が互いに直交する配置となっており、それぞれの透過光705の偏光ベクトルが互いに直交する関係となっている。この構造を構成することにより、互いに異なる偏光状態にある透過光(相互に直交する偏光ベクトルを有する偏光光)を同時に生じさせることができ、互いに異なる偏光状態にある光偏向装置への入射光ひいては投影レンズに導かれるON光とすることができる。本実施形態の光偏向アレーにおいては、縦横に千鳥状に配置された第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1101群による第1の画像と、縦横に千鳥状に配置された第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1102群による第2の画像を同時に形成し、投影することが可能になる。
【0070】
なお、実施形態3及び実施形態4の光偏向アレーにおいて、図6(b)及び図7(b)にみられるように、支点部材103は基板平面上、第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1101と第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置1102によらず、同一方向に伸長した尾根形状の支点部材103で構成されている。すなわち、板状部材104の傾斜方向(方向1及び方向2)と、ワイヤグリッド型偏向素子の帯状の金属層の伸長方向との相対的な位置関係は、特に規定されるものではない。
【0071】
次に、本発明の一実施形態の画像投影表示装置について説明する。本発明の一実施形態の画像投影表示装置は、本発明の一実施形態の光偏向アレーを有し、かつ少なくとも光偏向アレーを照明する光源及び光偏向アレーからの反射光を投影する投影レンズを有し、光偏向アレーからの反射光による第1の偏光光から成る画像と第2の偏光光から成る画像を同時に単一の投影レンズに導き、スクリーン上に投影表示させることを特徴としている。以下、本発明の一実施形態の画像投影表示装置について、実施形態5を用いて説明する。
【0072】
〔実施形態5〕
本実施形態の画像投影表示装置を図8に示す。1300は、本実施形態の画像投影表示装置である。1301は、ハロゲンランプやキセノンランプなどの白色光源である。1302は、光源光の整形のためのロッドレンズである。1303は、少なくとも3原色のカラーフィルターを有するカラーホイールである。1304は、上記本発明の一実施形態の光偏向アレーである。1305は、その光偏向アレーを構成する個々の光偏向装置の光偏向方向を制御する制御チップである。1306は、光吸収板である。1307は、投影レンズである。1308は、スクリーンである。
【0073】
本実施形態の画像投影表示装置1300に用いられる光偏向アレー1304は、例として、実施形態4に記載の光偏向アレーであるとする。この光偏向アレーを構成する光偏向装置は、ワイヤグリッド型偏光素子を具備する1軸2次元の光偏向動作を行う光偏向装置である。すなわち、1方向から入射した入射光は、ワイヤグリッド型偏光素子において、第1の偏光光(又は第2の偏光光)と反射光Lrに分離される。なお、反射光Lrは光吸収板1306に吸収されるように、光吸収板1306が配置されている。第1の偏光光又は第2の偏光光は、光偏向アレー1304を構成する個々の光偏向装置の板状部材104に向けて入射される。
【0074】
本実施形態の画像投影表示装置の光学システムを簡単に説明すると、光源1301からの白色光がロッドレンズ1302を通過して整形され、カラーホイール1303に入射する。カラーホイールを通過する光源光は、時間順次に赤青緑の色を有する光Lとなる。該光Lが光偏向アレー1304を照明する。光Lは、ワイヤグリッド型偏光素子において不要な反射光Lrと第1の偏光光(又は第2の偏光光)に分離され、第1の偏光光及び第2の偏光光が板状部材104への入射光となる。光偏向アレー1304を構成する個々の光偏向装置は、第1の偏光光により形成される画像情報及び第2の偏光光により形成される画像情報に応じて、板状部材104が方向を変えることにより、入射光を目的の方向(ON方向)と目的以外の方向(OFF方向)へ光偏向する。目的方向、例えばアレー面と垂直方向に反射された反射光Lonは投影レンズ1307に導かれ、投影レンズを通過してスクリーン1308上に投影される。目的以外の方向へ反射された光Loffは、ワイヤグリッド型偏光素子における反射光同様に、光吸収板で吸収される。
【0075】
以上のような構成とすることにより、光偏向アレー1304からの反射光による第1の偏光光から成る画像と第2の偏光光から成る画像を同時に単一の投影レンズ1307に導き、スクリーン1308上に時間順次に投影表示させることができる。例えば、左右の眼に対応する部分に異なる偏光フィルタを取り付けた偏光メガネを用いて画像を鑑賞すると、特に視差画像を構成する第1の偏光光から成る画像と第2の偏光光から成る画像の場合は、立体画像として視ることが出来る。なお、スクリーン1308としては、投影された偏光状態を維持して上記第1の偏光光から成る画像と第2の偏光光から成る画像を表示可能なスクリーンであることが好ましい。これにより、投影した偏光状態が維持され、当該偏光状態に応じた画像を視認できる。例えば、金属面反射スクリーン(金属面に微細な凹凸を形成したもの)を用いるなどがこれに当たる。
【0076】
以上本発明の各実施形態について説明してきたが、以下に、本発明の各実施形態によって得られる効果について説明する。
【0077】
本実施形態の光偏向装置においては、ストッパと同一部材で又はストッパ上部に接続してワイヤグリッド型の偏光素子を具備しているので、ワイヤと平行な入射光をワイヤグリッド型偏光素子で反射させ、ワイヤと垂直な入射光のみを板状部材に入射させることができるので、特許文献1や特許文献2に開示されているような光源光の偏光を、ミラーである板状部材に入射する直前で行うことが出来、かつ特許文献2にみられるような位置調整を行うことなく、かつ光偏向装置ごとに任意に行うことが出来る。さらに、入射光は光偏向装置内で吸収されずに不要光として反射されるかON方向(投影レンズに導かれる画像表示のための目的の方向)又はOFF方向に反射されるので、特許文献3にみられるような発熱によるミラー品質の劣化もなくすことが出来る。すなわち、本実施形態の光偏向装置においては、特許文献3でみられる透過光により発熱することなく、画素に応じて第1の偏光光又は第2の偏光光を投影レンズへ導くことができる。
【0078】
本実施形態の光偏向アレーにおいては、第1の偏光光にて構成された反射光による画像と、第2の偏光光にて構成された反射光による画像を単一の光偏向アレーにて時間にずれなく同時に生成することができる。このため、第1の偏光光にて構成された反射光による画像と、第2の偏光光にて構成された反射光による画像は容易に1個の投影レンズに導くことができる。又、第1の偏光光による画像と第2の偏光光による画像を時系列的に投影する必要がないので、光偏向アレーの駆動周波数を低減することができる。すなわち、本実施形態の光偏向アレーにおいては、1個の光偏向アレーで第1の偏光光による画像と第2の偏光光による画像を同時に1個の投影レンズに導くことができる。
【0079】
本実施形態の画像投影表示装置においては、偏光光のスクリーン投射位置の調整などが不要になり、装置の調整作業が容易になる。また、装置内に、別途偏光カラーホイールなどの偏光機構を設けることなく、1個の光偏向アレーと1個の投影レンズで第1の偏光光による画像と第2の偏光光による画像を同時に投影表示できるので、小型で軽量かつ安価な立体画像投影表示装置を提供することができる。すなわち、本実施形態の画像投影表示装置においては、偏向カラーホイールやホログラフィック偏光ビームスプリッタ等の偏向機構を別途設ける必要なく、1個の投影レンズで立体画像を投影表示できるので、安価な偏向メガネを用いた、小型でかつ安価な立体画像の画像投影表示装置を提供できる。
【0080】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、投影プロジェクタやデジタルシアターシステム、リアプロジェクションテレビ等の画像投影表示装置に関し、特に偏光メガネを用いて立体画像を投影表示させる立体画像投影表示装置に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
101 基板
102、501 規制部材
103 支点部材
104 板状部材
105 電極
106 接触部位
601、901 ワイヤグリッド型偏光素子
602、905 ストッパ
603、903 開口部
701 透明な基材
702 帯状の金属層
703 無偏光な光
703、704、705 光
801 第一の犠牲層
802 第二の犠牲層
803、1002 開口部
902 透明平板
904 接続ポスト
1001 第三の犠牲層
1101、1102 光偏光装置群
1103、1303 カラーホイール
1104、1304 光偏向アレー
1105、1305 制御チップ
1106、1306 光吸収板
1107、1307 投影レンズ
1201、1301 白色光源
1202、1302 ロッドレンズ
1308 スクリーン
1300、1401 画像投影表示装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開平10−153755号公報
【特許文献2】特許第2999953号公報
【特許文献3】特開2006−58339号公報
【特許文献4】特許第4307813号公報
【特許文献5】特開2005−202257号公報
【特許文献6】特開2006−133394号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、複数の規制部材と、支点部材と、板状部材と、複数の電極とを有しており、前記複数の規制部材はそれぞれ上部にストッパを有し、前記基板の複数の端部にそれぞれ設けられており、前記支点部材は頂部を有して前記基板の上面に設けられており、前記板状部材は光反射領域を有し、かつ固定端を持たず、かつ少なくとも一部に導電性を有する部材からなる導電体層を有し、かつ前記基板と前記支点部材と前記ストッパの間の空間内で可動的に配置されており、前記複数の電極は前記基板上にそれぞれ設けられ、前記板状部材の前記導電体層とほぼ対向している構成を有しており、前記板状部材が前記支点部材を中心として静電引力により傾斜変位することにより、前記光反射領域に入射する光が反射方向を変えて光偏向する光偏向装置において、
前記ストッパ上に直接又は前記ストッパ上部に立体的に接続して偏光素子を具備し、かつ前記偏光素子がワイヤグリッド型偏光素子であることを特徴とする光偏向装置。
【請求項2】
前記ワイヤグリッド型偏光素子は、帯状の金属層を複数平行に配列させたグリッド構造を有しており、
前記グリッド構造により、入射光において、電磁波としての振動方向が帯の伸長方向と平行な光は反射し、入射光の電磁波としての振動方向が帯の伸長方向と垂直な光は透過することを特徴とする請求項1記載の光偏向装置。
【請求項3】
前記帯状の金属層の幅は、入射光の波長に依存して良好に偏光ができる幅で決定され、入射光が300〜800nmの可視光の場合は100nm以下とすることを特徴とする請求項2記載の光偏向装置。
【請求項4】
前記ストッパは、前記光偏向装置全面をほぼ覆う形で平板状に構成されており、
前記光偏向装置の角部には開口部が形成されており、前記開口部は、前記板状部材の上下面に構成されていた犠牲層をエッチング除去するときのエッチング種を導入するための窓として機能することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光偏向装置。
【請求項5】
前記ストッパは、ブリッジ状に構成されており、
前記ストッパには柱状の接続ポストを介して透明平板が接続されており、
前記透明平板は、前記光偏向装置全面をほぼ覆う形で平板状に構成されており、
前記光偏向装置の角部には開口部が形成されており、前記開口部は、前記板状部材の上下面及び前記ストッパ上部に構成されていた犠牲層をエッチング除去するときのエッチング種を導入するための窓として機能することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光偏向装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の光偏向装置を複数1次元又は2次元アレー状に配置した光偏向アレーであり、かつ、第1の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置と、第2の偏光が可能なワイヤグリッド型偏光素子を具備する光偏向装置とが交互に配置されていることを特徴とする光偏向アレー。
【請求項7】
請求項6記載の光偏向アレーを有し、かつ、少なくとも前記光偏向アレーを照明する光源及び前記光偏向アレーからの反射光を投影する投影レンズを有し、前記光偏向アレーからの反射光による第1の偏光光から成る画像と第2の偏光光から成る画像を同時に単一の投影レンズに導き、スクリーン上に投影表示させることを特徴とする画像投影表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−133530(P2011−133530A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290326(P2009−290326)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】