説明

光半導体装置

【課題】新たに工程を追加せずに側面容量を低減することでコストパフォーマンスに優れた光半導体装置を提供する。
【解決手段】第一導電型の半導体層と、前記第一導電型の半導体層上に形成された第二導電型の半導体層とを備える半導体基板を有し、前記第二導電型の半導体層上の受光領域に入射された光を電流に変換する光半導体装置であって、前記第二導電型の半導体層の上面から当該第二導電型の半導体層を貫通して前記第一導電型の半導体層と接するよう形成された第一導電型のコンタクト層と、前記コンタクト層上に設けられた前記電流を取り出すための第一の電極と、前記第二導電型の半導体層上で、かつ前記第一の電極から離れた位置に設けられた前記電流を取り出すための第二の電極と、前記第二導電型の半導体層上で、かつ前記第一の電極と前記第二の電極との間の領域に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた第三の電極とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子を備える光半導体装置に関し、特に、pn接合部の寄生容量を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光半導体装置は、例えば、光ディスクに対し信号の読み書きを行う光ピックアップ装置に用いられるOEIC(Optical Electrical Integrated Circuit)等に利用されている。
OEICに利用されている一般的な光半導体装置の構成の一例について説明する。
図11は、光半導体装置1000の構成を示す断面図である。図11では、半導体基板としてp型の半導体基板を、受光素子としてpinフォトダイオードを例示している。
【0003】
光半導体装置1000は、高濃度のp型半導体基板1001と、p型半導体基板1001上に形成された低濃度のp型半導体層1002と、p型半導体層1002上に形成されたn型半導体層1003と、n型半導体層1003の表面からp型半導体層1002まで達するように、選択的に形成された高濃度のp型素子分離領域1004と、n型半導体層1003上に選択的に形成された高濃度のn型カソード領域1005と、n型半導体層1003上に選択的に形成されたLOCOS(Local Oxidation of Silicon)分離層1006と、n型半導体層1003及びLOCOS分離層1006上に形成されたフィールド膜1007と、n型カソード領域1005上に選択的に形成されたカソード電極1008と、p型素子分離領域1004上に形成されたアノード電極1009と、フィールド膜1007を開口することにより形成された受光面上に形成された反射防止膜1010とを備える。
【0004】
このような光半導体装置1000において、カソード電極1008−アノード電極1009間に逆バイアスが印加されると、p型半導体層1002とn型半導体層1003との接合領域に空乏層1011が形成される。ただし、図11に示すように、p型半導体層1002は、n型半導体層1003より低不純物濃度であるため、空乏層1011は、低不純物濃度であるp型半導体層1002側に広がって形成される。
【0005】
光ディスクを再生する再生装置における高倍速再生に伴い、フォトダイオードのさらなる高速化が望まれている。ここで、フォトダイオードの周波数特性は、フォトダイオードの寄生容量及び寄生抵抗の積であるCR積に反比例するため、寄生容量を低減することが重要になる。
このように高速化の阻害要因となる寄生容量としては、一般的には、pn接合部の接合容量が最も支配的である。したがって、上述の例では、pn接合部の接合容量を低減することにより、フォトダイオードの高速化を図っている。具体的には、pn接合部における寄生容量は空乏層の幅に反比例するため、光半導体装置1000では、p型半導体層1002を低濃度化(例えば、濃度は1015cm−3以下)して空乏層を拡大し完全空乏化させている。
【0006】
しかしながら、pn接合部の接合容量としては、p型半導体層1002とn型半導体層1003との接合領域の接合容量(底面容量)の他、p型素子分離領域1004とn型半導体層1003との接合領域の接合容量(側面容量)も存在する。p型素子分離領域1004は、n型半導体層1003より高不純物濃度であるため、単位面積当たりの容量値は、底面容量より大きくなる。したがって、フォトダイオードの形状が、例えば、周辺長の長い長方形等の場合には、側面容量が大きくなり、高速化の妨げとなる場合がある。
【0007】
そこで、例えば特許文献1の光半導体装置2000では、p型素子分離領域1004とn型半導体層1003との接合領域にも空乏層を形成することにより、フォトダイオードの側面容量の低減を図っている。以下、光半導体装置2000について詳細に説明する。
図12は、光半導体装置2000の構成を示す断面図である。光半導体装置2000は、図11で示した光半導体装置1000の構成に加え、n型半導体層1003とp型素子分離領域1004との間に形成された複数の高濃度のp型半導体領域2001をさらに備える。
【0008】
光半導体装置2000において、複数のp型半導体領域2001は、n型半導体層1003の面内方向に規則的に形成され、かつ、低濃度p型半導体層1002を介してp型素子分離領域と電気的に接続されている。
したがって、カソード電極1008とアノード電極1009との間に印加された逆方向電圧により、p型半導体領域2001内部及びその周辺部に空乏層が形成され、それぞれの空乏層が互いに結合して、積層面内方向に一連に繋がった空乏層1011が形成される。その結果、空乏層1011の積層面内方向の幅が広がり、側面容量を低減することができる。なお、フォトダイオードの高速化に関するその他の先行技術文献としては、以下の特許文献2乃至特許文献4に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−117952号公報
【特許文献2】特開2005−183722号公報
【特許文献3】特開2008−66446号公報
【特許文献4】特開2008−270254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、p型半導体領域2001内部を空乏化しつつその周辺部にも空乏層を形成するためには、p型半導体領域2001を形成する際、その濃度と幅とを精度よく制御する必要がある。具体的には、高濃度のp型半導体領域2001内部を空乏化するためには、p型半導体領域2001の幅を狭くする(例えば、コンマ数ミクロン)必要がある。p型半導体領域2001の幅を狭くすると、p型半導体領域2001により形成される空乏層幅も縮小されるため、一連に繋がった空乏層1011が形成されるためには、p型半導体領域114の間隔を狭くして形成数を増やす必要がある。
【0011】
したがって、光半導体装置2000を製造するにあたって、選択できるp型半導体領域2001のパラメータ(幅や隣接間隔等)の自由度が限られてしまう。レイアウトの自由度の減少に加えて、コンマ数ミクロン幅のp型半導体領域2001の形成や工程ばらつきに対するマージンが少ないという問題もあり、複数のp型半導体領域2001により積層面内方向に一連に繋がった空乏層1011を形成することができる光半導体装置2000を現実に製造するのは非常に困難である。
【0012】
一方、p型半導体領域2001の周辺部に形成される空乏層幅を拡大させるために、p型半導体領域2001を高濃度化またはp型半導体領域2001の幅を拡大すると、p型半導体領域2001内部が空乏化しないため、p型半導体領域2001とn型半導体層1003との接合領域で新たに側面容量が付加されてしまい、フォトダイオードの高速化を阻害する。
【0013】
また、アノード‐カソード間にp型半導体領域2001を複数形成し空乏層の幅を拡大するためには、アノード‐カソード間に、ある程度の距離が必要となる。その結果、フォトダイオードの面積が大きくなるため、接合容量の底面成分が大きくなり、その結果、周波数特性の低下の要因となる。
さらに、より空乏層を広げるためには、p型半導体領域2001それぞれに電位を与えることでカソード電極1008との電位差を大きくすることも考えられるが、そのためには、それぞれのp型半導体領域2001と接続する新たな拡散(コンタクト)層や電極を設ける必要がある。その結果、工程の追加が必要なだけでなく構造も複雑になり、コストアップの要因となる。
【0014】
以上は、半導体基板としてp型の半導体基板1001を有し、n型半導体層1003に高濃度のp型素子分離領域1004が複数形成された光半導体装置2000について説明したが、半導体基板としてn型の半導体基板を有し、当該n型半導体基板上に形成された低濃度のn型半導体層と、当該n型半導体層上に形成されたp型半導体層と、当該p型半導体層に形成された複数の高濃度のn型素子分離領域とを備える光半導体装置についても同様の課題が生じる。
【0015】
本発明は、別途工程を追加することなく側面容量を低減する光半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態である光半導体装置は、第一導電型の半導体層と、前記第一導電型の半導体層上に形成された第二導電型の半導体層とを備える半導体基板を有し、前記第二導電型の半導体層上の受光領域に入射された光を電流に変換する光半導体装置であって、前記第二導電型の半導体層の上面から当該第二導電型の半導体層を貫通して前記第一導電型の半導体層と接するよう形成された第一導電型のコンタクト層と、前記コンタクト層上に設けられた前記電流を取り出すための第一の電極と、前記第二導電型の半導体層上で、かつ前記第一の電極から離れた位置に設けられた前記電流を取り出すための第二の電極と、前記第二導電型の半導体層上で、かつ前記第一の電極と前記第二の電極との間の領域に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた第三の電極とを備える。
【0017】
ここで、第一導電型及び第二導電型は、一方がn型で他方がp型である。
【発明の効果】
【0018】
上記の構成により、第二導電型の半導体層と絶縁膜と第三の電極とでMOS構造が形成されるので、第三の電極に第二導電型の極性に応じた電圧を印加することで発生する第二の電極‐第三の電極間の電位差により、第三の電極下部の第二導電型の半導体層領域が空乏化する。第二導電型の半導体層と第一導電型のコンタクト層との接合領域における空乏層幅が拡大するので、受光素子のpn接合部において側面容量が低減される。ゆえに、第二導電型の半導体層に第一導電型の半導体領域を注入する工程を別途追加することなく、CR積が低減するので受光素子の高速化が可能となる。
【0019】
また、第三の電極は、第一の電極‐第二の電極間に複数設ける必要は無く、一つ設ければよいので、光半導体装置の面積を小さくでき構造も簡素化できるとともに、レイアウトの自由度を減少させることもない。
ここで、前記第二の電極がカソード電極である場合には、当該カソード電極に印加される電圧より低い電圧が前記第三の電極に印加され、前記第二の電極がアノード電極である場合には、当該アノード電極に印加される電圧より高い電圧が前記第三の電極に印加されるとしてもよい。
【0020】
これにより、第二の電極と第三の電極とに電位差を与えることができるので、前記第三の電極下部の第二導電型の半導体層の少なくとも一部を空乏化させることができる。
ここで、前記絶縁膜が酸化膜であるとしてもよい。
その際、前記絶縁膜がLOCOS(Local Oxidation of Silicon)またはSTI(Shallow Trench Isolation)により形成されているとしてもよい。
【0021】
これにより、第二導電型の半導体層と第一導電型のコンタクト層との接合領域において、第二導電型の半導体層の膜厚が狭くなる。このため、第二導電型の半導体層と第一導電型のコンタクト層との接合面積が減少するので、第三の電極下部の第二導電型の半導体層の完全空乏化が容易になる。
ここで、前記絶縁膜が少なくとも2層以上で構成されているとしてもよい。
【0022】
空乏層幅は、絶縁膜の膜厚や誘電率に依存するので、それぞれの絶縁膜の膜厚や誘電率を適宜選択することにより、空乏層幅を制御する際の自由度が大きくなる。
ここで、前記絶縁膜が窒化膜であるとしてもよい。
窒化膜は、酸化膜に比べて誘電率が大きいため、絶縁膜として窒化膜を用いることにより、より空乏層幅を拡大することができる。
【0023】
ここで、前記第一の電極と前記第三の電極の少なくとも一部が一体的に形成されているとしてもよい。
第三の電極の少なくとも一部は、第一の電極と一体的に形成されるので、工程を追加することなく側面領域に空乏層を形成することができ、新たな拡散層やコンタクトヴィアを設ける必要はない。また、このように構造を簡略化することができるのに加え、第一の電極‐第二の電極間の距離を短縮することができるので、受光素子の面積を縮小し、底面容量を低減することができる。
【0024】
ここで、前記第三の電極が、下部電極と上部電極の少なくとも2層構造で形成されているとしてもよい。
これにより、絶縁膜周辺部のレイアウトの自由度が拡大するので、同一基板上に他の電子素子が集積されることを前提とすると、光半導体装置における製造工程を当該他の電子素子の製造工程と共通化することも可能となる。
【0025】
ここで、前記第二導電型の半導体層には、前記第二の電極が接するように第二導電型のコンタクト層が形成されており、前記第二導電型のコンタクト層は、前記第二導電型の半導体層における前記第三の電極に相当する位置まで延在しているとしてもよい。
これにより、コンタクト層下部の第二導電型の半導体層領域であっても、第三の電極に相当する位置における第二導電型の半導体層領域において空乏層が形成される。したがって、デッドスペースを減少させ効率的に空乏層を拡大することが可能となり、第一の電極‐第二の電極間の距離を縮小できる。
【0026】
ここで、前記受光領域を複数の領域に分割する分割部と、前記分割部上に形成された第四の電極とをさらに備えるとしてもよい。
これにより、分割部周辺の第二導電型の半導体層の少なくとも一部が空乏化されるので、当該分割部周辺における空乏層を拡大することができ、側面容量を低減することができる。
【0027】
ここで、前記第三の電極と前記第四の電極とが電気的に接続されているとしてもよい。
これにより、光半導体装置の構造を簡略化できる。
ここで、前記第四の電極の幅は、前記分割部の幅より広く、前記第四の電極が、光に対して透過性を有し、かつ、導電性の性質を有する材料で構成されているとしてもよい。
これにより、分割部周辺の第二導電型の半導体層部分において、光の透過率が向上するため、当該第二導電型の半導体層部分において生成されるキャリアが増加し受光感度が大きくなる効果に加えて、空乏層をさらに拡大することが可能となり側面容量をさらに低減することができる。
【0028】
ここで、前記半導体基板上に形成された電子素子をさらに備えるとしてもよい。
これにより、1チップ化が可能となり小型化するのに加えて、パッケージ数の削減やボンディングワイヤの削減により、寄生容量や寄生インダクタンスを低減することが可能となり、フォトダイオードの高速化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1における光半導体装置100の構成を示す断面図である。
【図2】光半導体装置100を上から見た平面図である。
【図3】光半導体装置100の製造工程を示す図である。
【図4】実施の形態2における光半導体装置200の構成を示す断面図である。
【図5】光半導体装置200の空乏層幅とプレート酸化膜厚、及びカソード電極‐プレート電極間の電位差の関係を示す相関図である。
【図6】実施の形態2の変形例における光半導体装置200aの構成を示す断面図である。
【図7】実施の形態3における光半導体装置300の構成を示す断面図である。
【図8】実施の形態4における光半導体装置400の構成を示す断面図である。
【図9】光半導体装置400を上から見た平面図である。
【図10】実施の形態4の変形例における光半導体装置400aの構成を示す断面図である。
【図11】光半導体装置1000の構成を示す断面図である。
【図12】光半導体装置2000の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る光半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
1.(実施の形態1)
1‐1.光半導体装置の構成
図1は、光半導体装置100の構成を示す断面図である。図1では、半導体基板として低濃度p型のシリコン基板101を、受光素子としてpinフォトダイオードを例示している。
【0031】
光半導体装置100は、図1に示すように、低濃度p型のシリコン基板101と、シリコン基板101上に形成された高濃度のp型埋込層102と、p型埋込層102上に形成された低濃度のp型エピタキシャル層103と、p型エピタキシャル層103上に形成されたn型エピタキシャル層104と、p型エピタキシャル層103とn型エピタキシャル層104との界面付近に選択的に形成された高濃度p型の第一アノードコンタクト層(アノード埋込層)105と、第一アノードコンタクト層105上に形成された高濃度p型の第二アノードコンタクト層106と、n型エピタキシャル層104上に選択的に形成された高濃度n型のカソードコンタクト層107と、n型エピタキシャル層104上に選択的に形成されたLOCOS分離層108と、n型エピタキシャル層104及びLOCOS分離層108上に形成されたフィールド膜109と、カソードコンタクト層107上に選択的に形成されたカソード電極110と、第二アノードコンタクト層106上に形成されたアノード電極111と、フィールド膜109を開口することにより形成された受光面112上に形成された反射防止膜(例えば、酸化膜や窒化膜)113と、カソード電極110とアノード電極111と間のLOCOS分離層108上に形成されたプレート電極114とを備える。フォトダイオードの受光面の形状としては、一辺の長さが10μm〜数mmの正方形または長方形、あるいは直径が10μm〜数mm程度の円形等が用いられる。
【0032】
続いて、プレート電極114と、カソード電極110及びアノード電極111との位置関係について詳細に説明する。図2は、光半導体装置100を上から見た平面図である。図2に示すように、カソード電極110は、受光面112の外周を囲むように、受光面112周辺のカソードコンタクト層107上に形成されており、プレート電極114は、このカソード電極110を囲むように、第二アノードコンタクト層106とカソードコンタクト層107との間のLOCOS分離層108上に形成されている。また、このプレート電極114を囲むように、カソード周辺に形成された第二アノードコンタクト層106上にアノード電極111が形成されている。
【0033】
このような光半導体装置100において、反射防止膜113が設けられた受光面112上から光が入射されると、カソードであるn型エピタキシャル層104とアノードであるp型エピタキシャル層103で吸収され、電子‐正孔対が形成される。この時、カソード電極110‐アノード電極111間に逆バイアスが印加されると、より低不純物濃度であるp型エピタキシャル層103側に空乏層115が広がって形成される。
【0034】
第一アノードコンタクト層105及び第二アノードコンタクト層106とn型エピタキシャル層104との接合領域においては、n型エピタキシャル層104−LOCOS分離層108−プレート電極114により、MOS型(Pch型)の容量が形成される。そのため、プレート電極114に、カソード電極110の印加電圧より低い電圧が印加されると、空乏層115がn型エピタキシャル層104側に広がって形成される。カソード電極110‐プレート電圧114間の電位差を大きくすることにより、空乏層115端がp型エピタキシャル層103とn型エピタキシャル層104との界面まで到達することが可能である。
【0035】
空乏層115近傍で発生した電子‐正孔対のうち、電子はカソードコンタクト層107に、正孔は第一アノードコンタクト層105に、それぞれ拡散とドリフトにより移動し、電子はカソード電極110により、正孔はアノード電極111により、それぞれ光電流として取り出される。
p型エピタキシャル層103を低濃度化して完全空乏化させるのに加え、プレート電極114の下部領域を空乏化させることにより、光電流としては高速成分であるドリフト電流が支配的となり、低速成分である拡散電流はほとんど光電流に寄与しないため、フォトダイオードの高速化が可能となる。また、n型エピタキシャル層104と、第一アノードコンタクト層105及び第二アノードコンタクト層106との接合領域の空乏層の増加により、寄生容量が減少するので、CR積が低減し高速化させることができる。
【0036】
また、LOCOS分離層108は、n型エピタキシャル層104の上面部にも一部形成されるため、プレート電極114下部のn型エピタキシャル層104の実効的な膜厚が薄くなり、空乏化が容易になる。
また、p型埋込層102はシリコン基板101に対して高濃度であるため、ポテンシャルバリアが形成される。シリコン基板101は空乏化していないので、シリコン基板101で発生したキャリアは拡散により移動するが、p型埋込層102のポテンシャルバリアによりp型エピタキシャル層103には到達せず、p型埋込層102で再結合される。このように、シリコン基板101で発生したキャリアに起因する拡散電流は、光電流に寄与しない。したがって、光電流において拡散電流成分がさらに低減されるので、さらなるフォトダイオードの高速化が可能となる。
【0037】
さらに、n型エピタキシャル層104上にカソードコンタクト層107が形成されており、カソード電極110はカソードコンタクト層107に接続しているので、カソード抵抗を低減することができる。寄生抵抗が低減するため、さらなる高速化が可能となる。
1‐2.光半導体装置の製造方法
続いて、光半導体装置の製造方法について説明する。図3は、製造方法における各工程での光半導体装置100の構成を示す断面図である。
【0038】
まず、シリコン基板101においてp型埋込層102をイオン注入等により形成する。その後、p型エピタキシャル層103(例えば、膜厚を10μm、濃度を1×1014cm−3とする)を形成する(図3(a))。
次に、p型エピタキシャル層103に第一アノードコンタクト層105をイオン注入等により選択的に形成した後、p型エピタキシャル層103上にn型エピタキシャル層104(例えば、膜厚を1.0μm、濃度を1×1016cm−3とする)を形成する(図3(b))。
【0039】
次に、第一アノードコンタクト層105上に第二アノードコンタクト層106を、n型エピタキシャル層104にカソードコンタクト層107を、並びに第二アノードコンタクト層106及びカソードコンタクト層107の境界領域や素子分離領域にLOCOS分離層108(例えば、膜厚を400nmとする)を、それぞれ形成する(図3(c))。
更に、n型エピタキシャル層104及びLOCOS分離層108上の全面にフィールド膜109をCVD法等により形成後、フィールド膜109にコンタクトホールを選択的に開口して、スパッタ法等によりカソード電極110、アノード電極111、プレート電極114(例えば、膜厚を1.0μm、材料をTi/TiN/Alとする)を選択的に形成する(図3(d))。
【0040】
最後に、最上部に保護膜を形成後(不図示)、保護膜及びフィールド膜109を開口することで反射防止膜113を露出させて受光面112を形成し、フォトダイオードを形成する(図3(e))。
以上のように本実施の形態によれば、カソード電極110‐アノード電極111間にプレート電極114が形成されており、カソード電極110‐プレート電極114間に電位差を与えることにより、第一アノードコンタクト層105及び第二アノードコンタクト層106とn型エピタキシャル層104との接合領域に空乏層を形成することができる。電位差を大きくすることにより、接合領域で形成される空乏層幅が拡大するため、接合容量の側面成分を大幅に低減することが可能となる。その結果、CR積が低減するため、フォトダイオードの高速化が可能となる。
【0041】
また、プレート電極114は、カソード電極110とアノード電極111間に一箇所設けるだけでよく、レイアウトを複雑にすることなく、単純な構造で空乏層の形成を実現できる。
ところで、入射光の波長によってシリコンの吸収係数が異なるため、光がシリコン中に侵入する深さが異なる。
【0042】
しかしながら、波長に対しての最適構造は、p型エピタキシャル層103の膜厚及び濃度を適宜選択することにより決定できる。したがって、プレート電極周辺の構造に依存することなく、p型エピタキシャル層103を完全空乏化させ、光電流として寄与する拡散電流を低減しドリフト電流を支配的にすることでフォトダイオードの高速化が可能である。すなわち、シリコンに対して感度のある波長領域に対しては、いずれの場合も本発明は適用可能であり、側面容量低減の効果が見込まれる。
2.(実施の形態2)
図4は、光半導体装置200の構成を示す断面図である。図4に示すように、光半導体装置200は、n型エピタキシャル層104上であり、第二アノードコンタクト層106とカソードコンタクト層107との境界領域に形成されたプレート酸化膜201と、プレート酸化膜201上に形成されたプレート下部電極202とを備え、プレート電極114は、プレート下部電極202上に形成される。プレート下部電極202は、例えば、ポリシリコンやアモルファスシリコン等で構成される。その他の構成は、図1の構成と同一である。
【0043】
このように光半導体装置200は、実施の形態1で説明した光半導体装置100のLOCOS分離層108の代わりにプレート酸化膜201を用い、プレート酸化膜201上にプレート下部電極202を設けた構成である。プレート酸化膜201は、LOCOS分離層108に比べて薄く形成することができる。
また、プレート下部電極202は、薄いプレート酸化膜201上に電極を形成するためのものである。ここで、例えば、MOSトランジスタを同一基板上に集積したOEICでは、プレート酸化膜201はMOSトランジスタのゲート酸化膜と、プレート下部電極202はゲートポリシリコン電極と共通化することができる。
【0044】
続いて、空乏層幅とプレート酸化膜厚、及び空乏層幅とカソード電極110‐プレート電極114間に印加される電位差との関係について説明する。図5(a)は、空乏層幅とプレート酸化膜厚の関係を示す図であり、n型エピタキシャル層104の濃度及びカソード電極110‐プレート電極114間の電位差を変化させた時の関係を示している。図5(b)は、空乏層幅とカソード電極110‐プレート電極114間に印加される電位差との関係を示す図であり、n型エピタキシャル層104の濃度及びプレート酸化膜厚を変化させた時の関係を示している。
【0045】
図5(a)に示すように、プレート酸化膜厚が薄くなるほど空乏層が伸びる。同一のn型エピタキシャル層104濃度であれば、電位差が0Vより5Vの方が同じプレート酸化膜厚であっても空乏層が伸びる。同一の電位差であれば、n型エピタキシャル層104濃度が低い方が同じプレート酸化膜厚であっても空乏層が伸びる。
また、図5(b)に示すように、カソード電極110‐プレート電極114間の電位差が大きくなるほど空乏層幅が大きくなる。例えば、n型エピタキシャル層104の濃度が4×1015cm−3、膜厚が1.0μmの場合、n型エピタキシャル層104のアノードとカソードとの境界領域全体を空乏化するためには、プレート酸化膜厚が400nmの時は、電位差が9.5V以上必要であるのに対して、酸化膜厚が20nmの時は、電位差が2.5V程度で完全空乏化し、低い電圧で側面容量を低減することが可能となる。したがって、低電圧回路であっても空乏層の拡大を実現できるので、様々な回路に適用可能である。
【0046】
また、n型エピタキシャル層104の濃度が1×1016cm−3、膜厚が1.0μmの場合は、プレート酸化膜厚が20nmの時は、電位差が7.7V程度で完全空乏化する。すなわち、n型エピタキシャル層104の濃度が比較的高くても、電位差を大きくすれば完全空乏化は可能であり、側面容量を低減することができる。
ここで、プレート電極114の幅を5μm、カソード電極110−アノード電極111間の電位差5.0Vとする。50μmX50μmの正方形のフォトダイオードでは、プレート電極114が無い場合は、底面容量及び側面容量は、それぞれ30fF、15fF(計45fF)である。
【0047】
一方、プレート電極114が有る場合には、側面容量は4.2fFまで低減し、接合容量の合計は、34.2fFとなり、約24%低減する。
周辺長の影響が大きい100μmX20μmの長方形のフォトダイオードでは、プレート電極114が無い場合は、底面容量及び側面容量は、それぞれ24fF、18.2fF(計42.2fF)である。
【0048】
一方、プレート電極114が有る場合には、側面容量は2.9fFとなり、接合容量の合計は、26.9fFとなり、約36%とより大きく低減する。
したがって、本実施の形態において、カソード電極110‐プレート電極114間の電位差が小さい場合であってもプレート酸化膜厚を薄くすることにより、n型エピタキシャル層104の濃度が比較的高い場合であってもカソード電極110‐プレート電極114間の電位差を大きくすることにより、n型エピタキシャル層104の完全空乏化を容易に行うことができる。n型エピタキシャル層104の完全空乏化により接合容量の側面成分を低減することができるので、フォトダイオードを高速化することができる。
(変形例)
カソードコンタクト層107とプレート酸化膜201とが一部接するよう形成された一変形例について説明する。
【0049】
図6は、光半導体装置200aの構成を示す断面図である。光半導体装置200aは、図6に示すように、プレート酸化膜201がカソードコンタクト層107上部の領域まで延長された構成になっている。この構成によれば、デッドスペースを削減して、カソードコンタクト層107端まで効率的に空乏層を拡大することが可能であり、カソード電極100‐アノード電極111間の間隔を最大限縮小できる。
3.(実施の形態3)
図7は、光半導体装置300の構成を示す断面図である。
【0050】
光半導体装置300は、図7に示すように、カソードコンタクト層107上に選択的に形成されたカソード下部電極301と、第二アノードコンタクト層106上に形成されたアノード下部電極302と、LOCOS分離層108上にアノード下部電極302と一体的に形成されたプレート電極303とを備える。カソード電極110は、カソード下部電極301上に形成され、アノード電極111は、アノード下部電極302上に形成される。その他の構成は、図1の構成と同一である。その他の構成は、図1の構成と同一である。
【0051】
第一アノードコンタクト層105及び第二アノードコンタクト層106とn型エピタキシャル層104との接合領域の空乏層を拡大するためには、プレート電極303‐カソード電極110間(カソード電極110側が+)に電位差が発生すればよい。
光半導体装置300は、アノード下部電極302とプレート電極303とを一体とした構成であるので、カソード電極100‐アノード電極111間に逆バイアスが印加されることにより、側面部の空乏層を拡大することができる。
【0052】
また、フォトダイオードには通常逆方向電圧が印加されているので、使用条件及び構成によってはカソード下部電極301とプレート電極303とを一体的に構成することも可能である。
以上のように本実施の形態によれば、プレート電極303をカソード下部電極またはアノード下部電極と一体的に構成することができるので、新たに工程を追加する必要が無く、光半導体装置300の構成を簡略化できる。
【0053】
また、プレート電極が一体的に構成されることにより、例えば実施の形態1で示したように、プレート電極を別途設ける必要がないので、レイアウトの自由度が増すとともに、カソード電極−アノード電極間の距離を短くすることができる。その結果、p型エピタキシャル層103とn型エピタキシャル層104との接合領域が縮小されるので、この接合領域における寄生容量が小さくなる。
4.(実施の形態4)
図8は、光半導体装置400の構成を示す断面図である。光半導体装置400は、p型エピタキシャル層103とn型エピタキシャル層104との界面付近に選択的に形成された高濃度p型の分割埋込層401と、分割埋込層401上のn型エピタキシャル層104に選択的に形成された高濃度p型の分割拡散層402と、分割拡散層402上に形成されたLOCOS分割層403と、LOCOS分割層403上に選択的に形成された分割部プレート電極404とを備える。p型分割埋込層401、p型分割拡散層402、及びLOCOS分割層403は、それぞれ第一アノードコンタクト層105、第二アノードコンタクト層106、及びLOCOS分離層108と共通化してもよい。その他の構成は、図1の構成と同様である。
【0054】
このように光半導体装置400は、実施の形態1で説明した光半導体装置100のn型エピタキシャル層104をp型分割埋込層401、p型分割拡散層402、及びLOCOS分割層403により複数に分割した構成であり、分割されたそれぞれがフォトダイオードとして機能する。各フォトダイオードは、p型分割埋込層401、p型分割拡散層402、及びLOCOS分割層403により分割されることで電気的に独立している。
【0055】
続いて、p型分割埋込層401、p型分割拡散層402、及びLOCOS分割層403により受光面112がどのように分割されるのかについて詳細に説明する。図9は、光半導体装置400を上から見た平面図である。図9(a)は、受光面112が田の字に4分割された構成を示しており、図9(b)は、受光面112が横方向に長方形に3分割された構成を示している。
【0056】
図9(a)では、受光面112は、p型分割埋込層401、p型分割拡散層402、及びLOCOS分割層403により受光面112a、b、c、dの四つの領域に分割され、分割領域毎にカソード電極が設けられている。そのため、各々の領域が独立したフォトダイオードして機能する。LOCOS分割部403上に形成された分割プレート電極404は、立体的に配線されたプレート配線405により、カソード電極110と電気的に接続されることなく、プレート電極114と接続されている。分割プレート電極404には、カソード電極110に対して低い電圧が印加される。
【0057】
また、図9(b)では、受光面112は、p型分割埋込層401、p型分割拡散層402、及びLOCOS分割層403により受光面112e、f、gの三つの領域に分割され、図9(a)と同様、分割領域毎にカソード電極が設けられている。図9(b)に示すように、各分割領域に設けられたカソード電極は、他の分割領域のカソード電極と接することなく各々独立しており、分割プレート電極404は、カソード電極間を通ってプレート電極114と接続するよう設けられている。分割プレート電極404には、カソード電極110に対して低い電圧が印加されている。
【0058】
このような構成においては、n型エピタキシャル層104と、高濃度であるp型分割埋込層401及びp型分割拡散層402とでpn接合部が形成される(以下、「分割部」ともいう)ため、当該pn接合部の側面容量が付加される。ここで、カソード電極110に印加される電圧より低い電圧を分割部プレート電極404に印加して、分割部プレート電極404‐カソード電極110間に電位差を発生させることにより、上述のプレート電極114の作用と同様に、n型エピタキシャル層104側に空乏層が拡大して、分割部の側面容量を低減させることができる。
【0059】
以上のように本実施の形態によれば、第一アノードコンタクト層105及び第二アノードコンタクト層106とn型エピタキシャル層104との接合領域の空乏化に加え、分割部における空乏層の拡大を実現でき、当該分割部における側面容量を低減することができる。
(変形例)
分割部プレート電極404を透明分割部プレート電極405に替えた一変形例について説明する。
【0060】
図10は、光半導体装置400aの構成を示す断面図である。光半導体装置400aは、光半導体装置400の分割部プレート電極404に替えて、LOCOS分割層403上に形成された透明分割部プレート電極405を備える。光半導体装置400aの他の構成については、光半導体装置400と同様である。
透明分割部プレート電極405は、光に対して透過性を有する電極を用いており、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)や酸化スズ等で構成される。この構成では、図10に示すように、LOCOS分割層403の外側まで透明分割部プレート電極405を広げることにより、分割部の空乏層をより広げ、さらに側面容量を低減できる。
【0061】
また、透明分割部プレート電極405が受光面112に重なったとしても、光は透過するので、透明分割部プレート電極405の下部領域でも光が吸収され、受光面112を有効に利用することが可能となる。
(補足)
以上、本発明に係る光半導体装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限られないことは勿論である。
(1)上記実施の形態では、半導体基板としてシリコン基板101を用いたが、必ずしもシリコン基板に限定されるものではなく、例えば、長波長域で広く用いられているゲルマニウム基板や、化合物半導体であってもよい。
(2)上記実施の形態では、アノード部として、シリコン基板101、p型埋込層102、及びp型エピタキシャル層103の3層構成を用いたが、低濃度p型シリコン基板101のみの構成、または高濃度p型シリコン基板101及びp型エピタキシャル層103の2層構成であってもよい。
【0062】
すなわち、第一導電型の半導体層には、シリコン基板101、p型埋込層102、及びp型エピタキシャル層103の3層構成の他、高濃度p型シリコン基板101及びp型エピタキシャル層103の2層構成や低濃度p型シリコン基板101のみの構成も該当する。
(3)上記実施の形態では、電極にTi/TiN/Alを用いたが、他の金属やバリアメタルであってもよいし、それらを含む化合物やシリサイド等、またはそれらの積層構造であってもよい。
(4)上記実施の形態では、受光素子としてpinフォトダイオードを用いたが、アバランシェフォトダイオードやフォトトランジスタについても適用が可能であることは言うまでもない。
(5)上記実施の形態では、第一導電型の半導体層としてp型を、第二導電型の半導体層としてn型を用いたが、第一導電型の半導体層としてn型を、第二導電型の半導体層としてp型を用いても適用可能であることは言うまでもない。
(6)上記実施の形態では、フォトダイオードを備えた光半導体装置について説明したが、同一基板上にバイポーラトランジスタやMOSトランジスタ、抵抗素子、容量素子等の電子素子が集積化されたOEICについても適用可能であることは言うまでもない。
【0063】
ここで、NPNトランジスタを同一基板上に集積したOEICに、特許文献1の技術を適用しようとすると、n型半導体層1003はコレクタと共通化して使用される場合が多いため、NPNトランジスタを高速化するためには、コレクタ抵抗を低減する必要があり、そのために、n型半導体層1003を高濃度にする必要がある。
一方で、一つのp型素子分離領域1004にて形成される空乏層幅は、n型半導体層1003の濃度に依存し、空乏層の幅を広げるためはn型半導体層1003を低濃度にする必要がある。すなわち、両者はトレードオフの関係にある。よって、空乏層の拡大のためには、p型半導体領域2001を注入する間隔を狭くしてp型半導体領域2001の数を増やす必要があり、レイアウト上の制限が大きくなる。また、n型半導体層1003の濃度が比較的高い場合でも空乏層を形成することができる。
【0064】
カソード電極110‐アノード電極111間にプレート電極114を形成し、カソード電極110‐プレート電極114間に電位差を与えることにより、レイアウトの制限を大きくすることなく、第一アノードコンタクト層105及び第二アノードコンタクト層106とn型エピタキシャル層104との接合領域に空乏層を形成することができる。
(7)上記実施の形態では、光半導体装置において、第一アノードコンタクト層105及び第二アノードコンタクト層106の2層構造を備える構成としたが、何れか一方のみであってもよいし、また、n型カソードコンタクト層107は、抵抗を下げるために形成されるものであるので、フォトダイオードの動作に関しては、必ずしも必要ない。
(8)上記実施の形態1、4では、絶縁膜として、LOCOSを用いたが、STI(Shallow Trench Isolation)を用いてもよい。これにより、絶縁膜の幅を狭くできるため、フォトダイオードの面積を縮小し、底面容量を低減することができる。
(9)上記実施の形態2では、絶縁体としてプレート酸化膜201を用いたが、プレート酸化膜201の代わりに、より誘電率の大きい窒化膜等を用いてもよい。この場合、窒化膜の誘電率は、酸化膜の誘電率より大きいため、同一の膜厚であっても空乏層をより拡大することができる。また、プレート酸化膜201の代わりに、酸化膜と窒化膜や、LOCOS膜とフィールド膜等の積層膜であってもよい。その場合、例えば、プレート電極114はフィールド膜109を開口せずに直上に形成してもよく、構成が簡略化できる利点がある。
(10)上記実施の形態4では、光半導体装置400は、p型分割埋込層401、p型分割拡散層402、及びLOCOS分割層403により、n型エピタキシャル層104が複数に分割された構成としてが、p型分割埋込層401及びp型分割拡散層402により分割するとしてもよいし、LOCOS分割層403のみで分割するとしてもよい。
(11)上記実施の形態では、プレート電極の形状は、例えば図2に示すように、矩形であったが、これに限らず、リング状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、受光素子を備えた光半導体装置に広く適用可能であり、特に、OEICにおいて有用である。
【符号の説明】
【0066】
100 光半導体装置
101 シリコン基板
102 p型埋込層
103 p型エピタキシャル層
104 n型エピタキシャル層
105 第一アノードコンタクト層
106 第二アノードコンタクト層
107 カソードコンタクト層
108 LOCOS分離層
109 フィールド膜
110 カソード電極
111 アノード電極
112 受光面
113 反射防止膜
114 プレート電極
201 プレート酸化膜
202 プレート下部電極
301 カソード下部電極
302 アノード下部電極
401 p型分割埋込層
402 p型分割拡散層
403 LOCOS分割層
404 分割部プレート電極
405 プレート配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一導電型の半導体層と、前記第一導電型の半導体層上に形成された第二導電型の半導体層とを備える半導体基板を有し、前記第二導電型の半導体層上の受光領域に入射された光を電流に変換する光半導体装置であって、
前記第二導電型の半導体層の上面から当該第二導電型の半導体層を貫通して前記第一導電型の半導体層と接するよう形成された第一導電型のコンタクト層と、前記コンタクト層上に設けられた前記電流を取り出すための第一の電極と、前記第二導電型の半導体層上で、かつ前記第一の電極から離れた位置に設けられた前記電流を取り出すための第二の電極と、前記第二導電型の半導体層上で、かつ前記第一の電極と前記第二の電極との間の領域に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜上に設けられた第三の電極と
を備える光半導体装置。
【請求項2】
前記第二の電極がカソード電極である場合には、当該カソード電極に印加される電圧より低い電圧が前記第三の電極に印加され、前記第二の電極がアノード電極である場合には、当該アノード電極に印加される電圧より高い電圧が前記第三の電極に印加される
請求項1記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁膜が酸化膜である
請求項1記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁膜がLOCOS(Local Oxidation of Silicon)またはSTI(Shallow Trench Isolation)により形成されている
請求項3記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁膜が少なくとも2層以上で構成されている
請求項1記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁膜が窒化膜である
請求項1記載の光半導体装置。
【請求項7】
前記第一の電極と前記第三の電極の少なくとも一部が一体的に形成されている
請求項1〜6の何れかに記載の光半導体装置。
【請求項8】
前記第三の電極が、下部電極と上部電極の少なくとも2層構造で形成されている
請求項1〜7の何れかに記載の光半導体装置。
【請求項9】
前記第二導電型の半導体層には、前記第二の電極が接するように第二導電型のコンタクト層が形成されており、前記第二導電型のコンタクト層は、前記第二導電型の半導体層における前記第三の電極に相当する位置まで延在している
請求項1〜8の何れかに記載の光半導体装置。
【請求項10】
前記第二の電極は、前記受光領域の外周を囲むように形成されており、
前記第三の電極は、前記第二の電極を囲むように形成されており、
前記第一の電極が、前記第三の電極を囲むように形成されている
請求項1〜9の何れかに記載の光半導体装置。
【請求項11】
前記第三の電極が、少なくとも一種類以上の金属またはその化合物により構成されている
請求項1〜10の何れかに記載の光半導体装置。
【請求項12】
前記第三の電極が、多結晶シリコンまたは非晶質シリコンにより構成されている
請求項1〜10の何れかに記載の光半導体装置。
【請求項13】
前記第三の電極が、シリコン化合物により構成されている
請求項1〜10の何れかに記載の光半導体装置。
【請求項14】
前記受光領域を複数の領域に分割する分割部と、前記分割部上に形成された第四の電極とをさらに備える
請求項1〜13の何れかに記載の光半導体装置。
【請求項15】
前記第三の電極と前記第四の電極とが電気的に接続されている
請求項14記載の光半導体装置。
【請求項16】
前記第四の電極の幅は、前記分割部の幅より広く、
前記第四の電極が、光に対して透過性を有し、かつ、導電性の性質を有する材料で構成されている
請求項14または15記載の光半導体装置。
【請求項17】
前記第四の電極が、ITO(Indium Tin Oxide)、または酸化スズで構成されている
請求項16記載の光半導体装置。
【請求項18】
前記半導体基板上に形成された電子素子をさらに備える
請求項1〜17の何れかに記載の光半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−278045(P2010−278045A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126113(P2009−126113)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】