光学マイクロ分光計
マルチウェーハ構造体を有する光学分光計(10、20、30、40、50)を提供する。構造体は、MEMS技術を用いて製造可能である。分光計は、流体アナライザー(110)と統合可能である。発光点(17)及び検出器(19)と共にローランド円(15)の円周上に位置する回折格子やホログラフィー格子のような反射型格子(14)は、分光計の構成体である。いくつかの構成体は、円上の発光点(17)に光を光学的に搬送しうる場合、外部光源を使用可能である。流体アナライザーにおける光(48)とチャネル中のサンプル又は相互作用フィルム(49)との相互作用が分光計の発光点である場合、ラマン構成体が利用可能である。分光計のいくつかの構成体では、格子(14、55)及び/又はフィルムは、反射型又は透過型である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月17日出願の米国仮特許出願第60/681,776号明細書に基づく利益を主張する。本出願は、2006年3月15日出願の米国仮特許出願第60/743,486号明細書に基づく利益を主張する。
米国政府は、本発明に関する権利の一部を有する。
本発明は、分光計、特定的にはマイクロ分光計に関する。より特定的には、本発明は、流体分析用のマイクロ分光計に関する。
【背景技術】
【0002】
U.ボン(U.Bonne)らにより「流体アナライザー用の化学インピーダンス型検出器(Chemical Impedance Detectors for Fluid Analyzers)」という名称で代理人整理番号H0009333(1100.1410101)として2006年5月16日に出願された米国出願第11/383728号(特許文献1)は、参照により本明細書に援用されるものとする。U.ボン(U.Bonne)らにより「サーマルポンプ(A Thermal Pump)」という名称で代理人整理番号H0010160(1100.1412101)として2006年5月16日に出願された米国出願第11/383663号は、参照により本明細書に援用されるものとする。N.イワモト(N.Iwamoto)らにより「マイクロ流体アナライザー用の固定相(Stationary Phase for a Micro Fluid Analyzer)」という名称で代理人整理番号H0010503(1100.1411101)として2006年5月16日に出願された米国特許出願第11/383650号は、参照により本明細書に援用されるものとする。U.ボン(U.Bonne)らにより「流体アナライザー用の三ウェーハチャネル構造体(A Three−Wafer Channel Structure for a Fluid Analyser)」という名称で代理人整理番号H0012008(1100.1413101)として2006年5月16日に出願された米国特許出願第11/383738号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2005年5月17日に出願された米国仮特許出願第60/681776号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2006年3月15日に出願された米国仮特許出願第60/743486号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2004年7月30日に出願された米国特許出願第10/909071号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2002年5月28日に発行された米国特許第6393894号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2005年1月4日に発行された米国特許第6837118号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2006年2月21日に発行された米国特許第7000452号は、参照により本明細書に援用されるものとする。これらの出願及び特許は、流体アナライザーに関連する構造及び方法の態様を開示している。
【発明の開示】
【0003】
図1の(a)及び(b)は、2ウェーハの分光計のデバイスすなわち構成体10の縁部断面図及び上面図を示している。図1の(a)は、図1の(b)に示される分光計すなわちデバイス10のライン18における断面図である。ボトムウェーハ11は、その上にトップウェーハ12が配置された基板である。トップウェーハ12は、フローチャネル13を有する。分光計は、典型的なローランド円のような円15に近接して装着された凹面回折格子14又は他の類似の波長感応性反射機構に基づいている。光16は、マイクロ放電デバイス(MDD)のような光源17により放出される。光16は、フローチャネル13の一部分を通って格子14に進行する。格子14は、フローチャネル13の他の部分を通ってフォトダイオードアレイ及び/又はCCD検出器19に向かう角度で光16を反射させうる。検出器は、アレイ構造であってもよい。光源17及び検出器19は、ローランド円15に近接して配置される。したがって、光路は、光源17から格子14までと、格子14から検出器19までとに延びている。3つの部品17、14、及び19はすべて、円15の近傍又はその円上に配置される。
【0004】
格子すなわちリフレクター14は、凹面回折型格子、ホログラフィー凹面反射型格子、又は集束透過型格子である。光源17は、マイクロ放電デバイスであるか、又はその表面上に集束させたレーザーからの高輝度表面反射である。
【0005】
ローランド円上の特定波長λの位置は、式nλ=d(sinθ+sinδ)により与えられる。式中、nは、次数であり、gは、格子間隔であり、θは、格子上への光の入射角であり、そしてδは、格子からの反射角である。入射角がゼロである場合、式は、nλ=g・sinδである。図2は、一例として格子14、溝23、入射光及び反射光16、並びにいくつかの関連パラメーターを示している。
【0006】
分光計10の特徴は、そのウェーハレベル(11、12)の製造物(格子のウェーハ及び光検出器アレイ19(イメージ増倍アレイ、CCD、又は電荷注入型検出器(CID))のウェーハ)にある。この製造物は、検出向上フェーズドヒーターアレイ構造(PHASED)型マイクロガスアナライザー(MGA)のような流体アナライザーと適合しうる。分光計10は、マイクロ放電デバイス(MDD)17からの分光化学発光を処理するうえで、干渉フィルター又は市販の小型分光計を用いて得られるよりも優れたコンパクト性(1〜60mm3)、経済性、適応性、及び応答速度を提供しうる。「流体」という用語は、気体もしくは液体又はその両方を意味する。
【0007】
本発明は、Cl、F、P、Hg、Cdなどを含有する化合物の濃度をppb〜ppm範囲の特定のMDLで監視するうえで、PHASEDのμラマンMDD型NOx/O2/NH3/SO2センサー及び他の類似のセンサー並びに産業界及び政府機関におけるMDD17の他の用途に対して、明らかな分析性能上の利点を提供しうる。マイクロ放電デバイス(MDD)17の発光の現在利用可能な分析では、いくつかの離散的狭帯域光学フィルター、不十分な再現性のスライド式透過帯域フィルター、又は高コストでかつ複雑なチップレベルの(ただし、依然として比較的嵩高い)光学分光計を必要とする可能性がある。いずれも、MDDに基づくNOxセンサー又はPHASED型MGAへの容易な統合を行うのに適していないように思われる。
【0008】
本発明に係る分光計は、NOxセンサー又はウェーハ間結合MEMS(マイクロマシン化電気機械システム)構造体において、たとえば、MDD光源17と単一の反射表面(格子)14とCCDアレイに結合された光検出器(フォトダイオード又はフォトトランジスター)のアレイ19とを支持するPHASED型MGAにおいて、入手可能なサンプルガスフローチャネルを利用しうる。それにより、1/5という合理的な開口数を利用しうるようになるとともに5nm/ピクセル未満のスペクトル分解能を有する標準的なCCD出力の特徴をもたせうる。本発明によれば、0.250〜1μmの格子定数を有する一連の格子溝14の微細機械加工(すなわちエッチング)並びにMDD17の電極21及び22と同一のチップ11、12上への光検出器−CCDアレイ19の配設を含む製造が可能になる。分光計10は、燃焼排気ガス(自動車及び定置機関)を対象としたNOx−O2−NH3−CO2−SO2の機能的低コストMDD17センサー、さらにはPHASED型マイクロガスアナライザー用の検出器として利用可能である。
【0009】
研磨された光ファイバーの端部又は個々のフォトダイオード上に配置された離散干渉フィルターを介して、5〜10個の波長帯域に対する複数の検出器チャネルを提供可能である。これは、低コスト分光計の他の選択肢である。小型のポケットサイズ分光計及びチップレベル分光計が利用可能になる。しかしながら、関連技術の「統合型」分光計では、MDDから35cmの距離に配置されたCCDカメラが必要になる可能性がある。
【0010】
関連技術の格子分光計は、既知の良好な分散(nm/μm単位)ではないが3ピクセル/nmの分解能を有する。本デバイスを用いて達成される他の特徴及び要件としては、たとえば、S/Nを最大化する大きい開口度が挙げらる。スペクトル分解能はΔλ≦5nm半値幅であるので、λ/Δλ≧300/5=60となる。CCDピクセル上でスリット+MDD+光ファイバーのイメージにより与えられる分解能よりも大きいλ/Δλ≦n・Nの分解能が達成されるように、十分な数Nの格子溝(格子14中)を存在させる。式中、nは、観測される格子スペクトルの次数である。溝を偏倚させることにより、所望の観測次数に整合させることができる。検出器アレイ19における異なる次数間の干渉を最小限に抑えるように、観測次数並びにスペクトル領域及び検出領域を提供する。回折限界分解能及びPD(フォトダイオード)上への集束が可能である。全体積が全体的に小さいので、ウェーハレベルで大量にかつ低コストで製造を行いうる。分光MDD発光の検出は、200〜400nmの領域で行うことができる。
【0011】
格子分光計は、既知の良好な分散(nm/mm単位)ではないが3ピクセル/nmの分解能を有しうる(nmは、使用波長の大きさを示すために使用可能であり、一方、mmは、検出器アレイの空間的大きさを示すために使用可能である)。本デバイスを用いて達成される他の項目としては、たとえば、S/Nを最大化する大きい開口度が挙げられる。スペクトル分解能はDl*5nm半値幅であるので、l/Dl*300/5=60となる。CCDピクセル上でスリット+MDD+光ファイバーのイメージにより与えられる分解能よりも大きいl/Dl*n*N分解能(ただし、n=格子分散次数)が達成されるように、十分な数Nの格子溝(格子14中)を存在させる。式中、nは、観測される格子スペクトルの次数である。
【0012】
検出器19用のカメラ及びCCD付きPD(フォトダイオード)アレイとしては、ピクセルサイズ6.8μmを有するコダック(Kodak)KAF1401E CCDカメラ、8×9.5μmの768×494ピクセルを有するソニー(Sony)DXC−107 CCDカメラ、15.0μmのピクセルを有するマルコーニ(Marconi)CCD37カメラ、及び44μm正方形ピクセル及び456×684μmピクセルイメージ領域を有し厚さ100μmのGadox(Gd2O2S)シンチレーターを備えたE2Vテクノロジーズ(E2V Technologies)製CCDモデルCCD38−20が挙げられる。
【0013】
満足すべき動作を達成しかつ以上に列挙された要件を満たすように採用される手段は、図1の(a)及び(b)、図5の(a)及び(b)、図6、並びに図9に例示している。図1の(a)及び(b)は、PHASEDの二ウェーハ(11、12)構造体中に分光計を製造する可能性を示している。図5の(a)は、分光計であるデバイスすなわち構成体20の側面図であり、図5の(b)には、格子14及び検出器19の図を含めて、ライン24の近傍の上面図が示されている。サブミクロンの平滑かつ凹面の格子溝(DRIEにより格子ウェーハ31に組み込まれる)の製造とウェーハ32に組み込まれるPD−CCDアレイ(光検出電荷結合デバイス)19の製造とを統合したことが特徴である。MDD光源17のサイズ(≦電極(21、22)ギャップ=8μm)及びPD−CCDアレイ(11.3μm)19上のそのイメージが所望の分解能を達成するのに十分な程度に小さいと仮定すると、デバイス20の大きさは、許容しうる1×1×1mm体積以内に収まる。
【0014】
図5の(a)及び(b)は、個別ウェーハ31と32とがそれぞれ溝23及び凹面表面を有する格子14とPD−CCDアレイ19とを保持するようにすることによる統合問題の解決手段を示している。
【0015】
格子ウェーハ31及び検出器ウェーハ32と共にウェーハ33及び34をそれぞれチャネルウェーハ及びヒーターウェーハとして含むより多数のウェーハを有するスタックを結合することは、小さいサイズの分光計をMGA中に統合するための一手段である。この場合も、MDD光源のサイズ(≦電極ギャップ=8μm)及びPD−CCDアレイ(11.3μm)上のそのイメージが所望の分解能を達成するのに十分な程度に小さいと仮定すると、デバイス20の体積要件は、図1の(a)及び(b)に示されるデバイス10の体積要件に類似している。格子14と検出器すなわちレセプター19との間の焦点距離26は、約1000ミクロンである。
【0016】
図6は、図5の(a)及び(b)に示される構成を保持することが可能であり、分光計のデバイスすなわち構成体30の場合、格子14及びPD−CCD19の個別製造が可能であるとともに、さらにMDD17のサイズ制限が克服されて30μmサイズのギャップに緩和されうるので、イメージサイズは42.43μmになり、格子/PD−CCDアレイ間距離25はf≒7500μm(7.5mm)になる。全体積サイズは、本明細書中に記載の約1mm3から約18mm3に増大される。図5の(a)と図6とに示されるデバイス20とデバイス30との間の主要な幾何学的差異/製造上の差異は、図6に示される「格子」と「チャネルウェーハ」(それぞれ31と33)との間の追加の「スペーサーウェーハ」35である。図6に示される「スペーサー」35は、sw=1.5mmの厚さ37を有するMDD又は光源17を支持するウェーハ36の上に約6mmの厚さを有する。層35はまた、ヒーターウェーハ34上に存在するチャネルウェーハ33上にも位置する。ウェーハ33及び34は共に、ウェーハ36とほぼ同一の厚さを有する。
【0017】
破線の四角で囲まれた入力情報を有する図4の最初の表中の仕様により示されるように、一連の特定の特徴から、対象の低コスト分光計10、20、及び/又は30を製造するための次のような一般的な工程別ガイドラインが導出される。最初の工程は、スケール設定である。この際、分散Di(光源の有限イメージが所望のスペクトル分解能Δλを達成するのに必要とされる)と格子により生成される分散Dgとが等しくなるように、イメージ又は格子14とPD−CCDアレイ19との間の焦点距離d(25、26)を決定する(ローランド円15の直径により提供されるように)。Diは、λ領域λ2〜λ1をカバーする全長p・NpのPD−CCDアレイ19上に光源(スリット又はMDD17)を結像させる幾何光学系により支配される。
Di=(λ2−λ1)/p・Np
=(λ2−λ1)/{p・(λ2−λ1)/Δλ}
=Δλ/p
式中、Np=(λ2−λ1)/Δλ=(400−200)/3=200/3=67であり、かつp=μm単位のピクセルサイズである。一方、Dgは、格子溝幅g、スペクトル次数n、回折角δ、及び焦点距離fにより与えられる。
Dg=(λ2−λ1)/(s2−s1)
=(λ2−λ1)/{f・(sinδ2−sinδ1)}
=g/(f・n)
式中、s1、2=波長λ1、2に対応するPD−CCDアレイ19焦平面上の距離であり、かつsinδ1、2=n・λ1、2/gである。したがって、g=1342nm、p=42.4μm、n=2、及びΔλ=3.79nmの場合、
f≧g・p/n・Δλ=7500μm
を達成する。
【0018】
次の工程は、格子14である。g=850nmの間隔で配置された格子溝23の製造(図4中の最初の表を参照されたい)では、製造能力に負担がかかる可能性がある。より幅広い溝23を容易に製造すべく、図4中の第2の表は、g=1342nmに基づいており、この場合、焦点距離は、本明細書に示されるようにf=7500μmになる。
【0019】
このほかの工程は、所望の観測次数に適合する溝23の偏倚である。図1の(a)、及び(b)並びに図5の(a)及び(b)のデバイス10及び20の場合、これは、45/2=22.5°の角度を意味する。図6に示されるデバイス30の場合、ブレーズ角は、δ/2=13.3°でなければならないこともある。
【0020】
さらなる工程は、開口度である。格子14への中心入射ビーム16を対象にすると、開口度は、A=(g・N/√2)/(f/√2)=g・N/fである。図6に示されるデバイス30の場合、A=1/5を達成するために、N=A・f/g=(1/5)・7500/1=1,118個の溝が必要になる可能性がある。
【0021】
他の工程は、PD19への回折限界分解能及び集束である。図1の(a)及び(b)並びに図5の(a)及び(b)の分解能から図6の分解能までの分解能範囲をカバーするように、Ld=0.61・λ/A=915nm=0.915μmにより与えられる回折限界が本PD−CCDアレイ19の光学分解能又は解像力(ピクセルサイズ11μm≦p≦43μmにより表される)を超えないことを確実にすることにより、これを達成する。
【0022】
後続工程は、格子次数の分離である。200〜400nmのMDD発光スペクトルを2次(n=2)で観測することにより、1次の777nmのO線をもカバーしうる。ただし、2つの次数が分離されるものとする。このことは、ガラスのようなUV遮断フィルターを用いてPD−CCDピクセルで777nm線をカバーすることにより行うことが可能であり、その結果、完全分光計の検出範囲を2次の約800nmまで延長する必要がなくなる。
【0023】
所望の開口度及びMDD17位置(μm単位でPD−CCD32のウェーハの上方かつローランド円15上)を提供できるように、図6に示されるデバイス30の製造方法に変更を加えることが可能であり、これは、破線の四角で強調された入力情報を有する図4中の第2の表にまとめられている。開口度、及び格子14とPD−CCDアレイ19との間の距離25の値fを提供して、Wを計算する。MDD支持ウェーハ36の厚さ37の値swを提供して、回折角δ及びPD−CCDアレイ19上の波長位置s並びにnm/μm単位の対応する分散を計算する。MDD17のギャップサイズを提供して、MDDイメージサイズ(1ピクセルと等価であると仮定される)及びnm/ピクセル単位のスペクトル分解能を計算する。スペクトル分解能が所望の3〜5nm/ピクセルよりも大きい場合、所望の分解能が達成されるまで、f、sw、及び/又はMDDギャップを調整する。
【0024】
マイクロ分光計10、20、及び30の組立て及び動作が実行される。組立ては、図1の(a)及び(b)、図5の(a)及び(b)、並びに図6により示されるとおりである。離れた位置のMDD17からの発光を搬送する光ファイバー27の装着は、たとえば、その離れた位置で刺激の強い自動車の排気ガスのサンプルガスに暴露される場合、注意深く行うことが必要になる。そのようなファイバー27は、好ましくは格子14の中心に向く角度で、必要なウェーハ厚さを貫通して、図1の(a)及び(b)、図5の(a)及び(b)、並びに図6に示されるMDD17ギャップとほぼ正確に同一の箇所で終端するように、作製する。光ファイバー27よりも大きい孔28をエッチングした場合、追加のデッドスペースを利用すれば、そのような角度でファイバー27を固定し封止しうる。長期間のメンテナンスフリーの動作を維持するうえで、そのような光ファイバー27の使用は、サンプルガスを格子キャビティー29に導入するよりも優れている可能性がある。
【0025】
光源(MDD)17、格子14、及びPD−CCDアレイ19のような分光計の要素を位置合わせすることが必要になる。動作時、MDD光源17を最終的にPD−CCDアレイ19上に結像させる。次に、必要に応じて、アレイ19の出力のさらなる処理(すなわち、増幅、ディジタル化、統合、及び表示)を行る。
【0026】
燃焼機関の排気ガス中のNOx、O2/SO2、NH3、CO2、及びH2Oの監視及び定量を行うためのいくつかの推奨波長帯域を図3の表に列挙する。ガスクロマトグラフィー(GC)又はPHASED型MGAを、たとえば、オーシャン・オプティックス社(Ocean Optics Co.)製の分光計と併用したときのCWA(化学兵器物質)シミュラントの検出結果を、図7に示す。図7のグラフは、種々のシミュラントのGC溶出時間を分単位で示している。図7に示されるMDD出力は、12個の波長におけるCWAシミュラントを有するディーゼル燃料のクロマトグラムの出力である。
【0027】
約2×3×4インチサイズのオーシャン・オプティックス(Ocean Optics)分光計は、最新技術の市販の分光計の代表である。これは、卓上型の従来のユニットほど大きくはないが、本デバイス10、20、及び30のサイズよりはかなり大きい。
【0028】
本明細書に記載されているように、2次の波長領域を777nmまで延長することなくO(O2濃度を表す)の777nm線を観測すべく、77/2=388.5±2nmの2次の領域に対応するピクセル上にガラスのようなUV遮断フィルターを配置する。逆に、1次の400〜800nmを遮断する広帯域フィルターを用いれば、2つの次数間の干渉の可能性を低減させる。
【0029】
光散乱を最小限に抑えるべく、好適な光吸収性コーティングをチャネルすなわちカラムの壁に適用する。光遮断性ブレンドを配置することが考えられるが、カーボンナノチューブ(CNT)グラスからなるコーティングを用いれば、この必要性を回避しうる。
【0030】
本デバイスを製造する場合、本明細書に記載の仕様は、空気中で動作する100×100ミクロンのチャネル内の特殊なMDD17設計用でありかつできるかぎり、多くデューティーサイクルであるが、>15msの半値幅のGCピークを追跡可能なものである。測定は、MDDのインピーダンス、電流、又は電圧と、干渉フィルターを介して選択される3〜8個のチャネル中への光出力と、を含みうる。
【0031】
パイレックス(Pyrex)(登録商標)のようなガラスウェーハ(PHASEDチャネルの役割を担う)を使用可能である。これはまた、MDD17の電極21及び22を支持し、かつそれを介してMDD光16を伝搬する(UV領域では不十分であるが、可視光領域では許容できる)。CCDすなわちアレイ19の上に位置する小ピッチのフォトCCDアレイ又はチャネルトロンアレイを有するガラスウェーハの外表面上に小型の「干渉グラジエント」フィルターを配置する。ウェーハを取得し、その中にチャネルを配置して、光学素子を提供する。MDD17におけるガラス厚さは、薄くする。厚い誘電体コーティングを光出力側に適用して、MDDの電極21及び22をガラス中に「封入」する。その結果、プラズマは、検出器側に光を照射しなくなる。
【0032】
図8の(a)及び(b)は、凹面マイクロ格子アレイ14の製造の断面図を示す。図8の(a)は、ほぼ一定の縮尺率であるが、図8の(b)は、プレフォームドエポキシ42と格子14用のフィルムすなわちメンブレン43の造形物とを拡大して示している。硬質表面41(ステンレスボールベアリング)を軟質表面42(エポキシ)に圧入し、次に、ボールベアリング41により作製された「陥凹部」全体にわたりメンブレン43を造形し、球面形状を作製する。格子14は、フラットな状態にあるうちにメンブレン43表面上に書き込まれる。次に、メンブレン43を陥凹部の形態に形成する(空気圧を用いて行う)。この手段を用いた場合、いくらつのベント孔すなわち多孔性表面(エポキシ42中に設ける)を介して、メンブレン43の背面の空気を排除しなければならないこともある。メンブレン43は、接着剤46を用いてシリコンウェーハ45に装着される。
【0033】
「グレーテッド」フィルム43は、格子溝を押し潰すことなく変形させなければならない。たとえば、外径7.5mmのボールベアリング41を変形可能なフィルム43上に押圧する。ベアリング41をフィルム43上に押圧することにより、適正な球面曲率が確実に得られるので、これは、圧力の使用の他の選択肢になる(追加の固定具を必要とする)。材料に関して、Siウェーハ45中の内径1.5〜2mmの孔44のアレイ全体にわたりフリーのSi3N4メンブレン43を配置する。このメンブレンは、圧力により変形させる前の「フラットな」状態にあるときに、フォトレジスト上にホログラフィーによりマスキングを施してエッチングすることにより、格子溝を設けることが可能である。曲率半径3.75を有する外径約1.5mmの球形シェルの変形「深さ」は、3.75−(3.75^2−0.75^2)^.5=0.07576mm、すなわち、1500ミクロンの中央で76ミクロンである。これは、3.75*(arcsin(0.75/3.75)−0.75)/0.75=0.0067896、すなわち、0.679%の歪み、かつ破断点未満に相当する。窒化物の破壊強度=5.87±0.62GPa及びヤング率=255±5GPaであることから、降伏歪みは1.12%であることが示唆される。しかしながら、溝は、1.12%未満、さらには0.679%未満でさえも、破壊が「開始」される場合がある。
【0034】
格子14のメンブレンは、マスター格子を模倣する(ただし、反転形式で)。したがって、マスターを特定の角度にブレーズ化した場合、複製物もまた、そのように偏倚される。どのタイプのリフトオフフィルムを使用すべきか、またリフトオフが格子表面をどの程度平坦化する傾向を有するかを決定する。しかしながら、最初の処理でマスター格子と同じようにブレーズ化することも可能である。エポキシ42と共に熱変形プロセスを用いて球形状を形成し、次に、それを冷却して形状を保持することができる。
【0035】
製造プロセスの一部として、一方の側に気体又は液体の圧力を加え、他方の側にエポキシ42を置いて、薄いメンブレン43を球形状に(シャボン玉のように)変形させることもできる。所望により、それを固化させ、次に、メンブレンに結合させる(硬化時に変形を起こすことなく)。
【0036】
本デバイスすなわちマイクロ分光計10、20、30は、設計及びそのガイドラインに基づいている。デバイスは、MDD光源17と、封止光学素子(この場合、MDDは、サンプルガスストリーム中で動作し、光「ファイバー」たとえばファイバー27を介してその発光を封止光学デバイスに伝送する)と、凹面格子14と、光検出器(PD−CCD)のアレイ19と、を有する真に統合された光学素子を備えることができる。光学素子56は、デバイス30内の光の移動を促進する。デバイスは、ウェーハレベルの組立てが可能であり、かなり極限に近いコンパクト性(1〜60mm3)を有するが、それだけでなく、格子14とPD−CCDアレイ19との独立したSOA製造を統合することにより、製造コストを低くすることも可能である。デバイスは、MDD17の発光分光に必要な分解能の要件を満たすとともに、高いシグナル/ノイズ比と高速(低い積分時間要件)での検出/測定とに適合した大きい光学的開口度を提供することができる。デバイスは、格子14、MDD17、及び光検出器アレイ19のプロセスにより製造可能である。散乱光を最小限に抑えるべく、非常に有効な光反射防止材としてCNTグラスを分光計の壁上で使用可能である。
【0037】
発光分光計10、20、30は、本明細書に明示される製造特性及びサイズ特性の結果としてきわめて頑健な信頼性を有する。この分光計は、1/5という大きい開口度であることから、非常に短い応答時間(短い信号積分時間の要件)及び高いS/N比を有しうる。本分光計は、干渉フィルターに基づく手段よりも大きい信頼性及び高いS/N比を有する。なぜなら、温度及び入射角に伴うフィルターの中心波長シフト並びに入射角を制限することによる後者の解決策は、光入力及びS/N比を減少させる可能性があるからである。
【0038】
1本以上の光ファイバー27(MDD17の出力を搬送する)と封止マイクロ分光計とを容易に結合することが可能である。この場合、ファイバーの端は、「点」光源又は「スリット」光源として機能する(図6参照)。分光計は、散乱光に起因するノイズを最小限に抑えるべく内表面上でCNTグラスを使用しているため、より良好なS/N比を達成することができる。
【0039】
対処しうる問題は、関連技術のコンパクトMGA(マイクロガスアナライザー)又は流体組成アナライザーがいずれも、種濃度を出力するための高度な高速データ処理と、サンプルガスの輸送及び/又は希釈(マイクロ質量分析計及びマイクロガスクロマトグラフで必要とされる)のための、エネルギーを消費するポンプの使用と、を必要とすること、並びに/あるいはO2、N2、及びH2のような多数の対象ガスを除外すること(IRアナライザー又はNDIRアナライザーを用いる場合など)、並びに/あるいは不安定すぎてクリティカルな工業プロセス又は安全関連用途(ポリマーセンサー及びSAWセンサー並びにMOSガスセンサー及び電気化学ガスセンサー、これらのうちのいくつかは、動作のために≧300℃が必要なため、本質的に安全でない)で確実に機能させることができないことである。
【0040】
図9に示される流体組成マイクロアナライザー40は、混合物の各成分によりその分子対称性に関係なく提供されるラマン散乱シグネチャーを利用するとともに(その結果、O2、N2、及びH2のような対称ゼロ双極子ガスが除外されない)、チップレベルの低コストレーザー(VCSEL)を光源として入手する点を活かすことができる。また、小開口の背後の限られた数の個別の融通の利かない固定波長検出器及び損失のある干渉フィルターを用いるのではなく(チップレベルの)マイクロ分光計を用いることにより、光検出器の開口度ひいては全MGAの光学効率及び最小検出限界(MDL)を増大させうる可能性を活かすことができる。
【0041】
分光計40の原理は、PHASED型MGAに結合可能なμ分光計に結合されたマイクロラマン散乱流体アナライザーを伴うことができ。本分光計40の態様は、画期的なコンパクト性、大きい開口度、ひいては高いS/N及び低いMDL、短い応答時間、並びに低電力消費を有するマイクロラマン気体又は液体アナライザーを含むことができる。レージングキャビティービームは、封止μ分光計中への入射スリット光源として動作する(図9に示されるイメージを90°方向変換した後)。
【0042】
O2、CO、CO2、NO、及びNO2を同時に感知するラマン分光計40の能力とその低コスト性とがあいまって、このデバイスは、内燃機関用途及び外燃機関用途に有用であるだけでなく、医療用途、工業用途、及び政府用途でも使用可能である。
【0043】
本明細書に記載されるように、GC−MSアナライザーは、未知サンプルガス中に存在する1種以上の検体の同定及び定量のためにかなりのデータ処理を必要とする可能性がある。とくに計算量が多いのは、検体混合物であり、これは、時間と電力を消費する。そのような計算能力の要件は、とくに検体ガス混合物の場合、IR吸収アナライザーを用いてもあまり軽減されない可能性がある。
【0044】
しかしながら、検体の同定及び定量に必要とされる計算要件を克服することは、ラマン分光法を用いる場合には必ずしも必要であるとは限らない。なぜなら、ラマン散乱スペクトルは、おそらく、ごくわずかの(したがって、それほど信頼性の高くない)波長帯域チャネルを用いる単純なNDIRアナライザーを除いて、GC−MS又はIRアナライザーのシグネチャーよりもはるかに単純であると思われるからである。
【0045】
ラマン散乱スペクトルの単純さは、図10に図示されたわずかなラマン線により例示される。この図には、ホスゲン、CO2、シアン化物、及びO2のラマン線がcm−1単位で示されている。図10に示されるプロットは、入力光の振動数を基準にした散乱光出力の増大ラマン振動数シフトを材料ごとに示している。このシフトの測定は、可視領域やUV領域よりもIR領域のほうが低分解能(λ/Δλ)でより容易に達成されるように思われるが、散乱強度又は散乱効率は、短波長になるほど高くなる可能性がある。IRスペクトルさらにはMS(質量分析計)シグネチャーのマスフラグメントと比較して線の数が少ないこと以外に、他の顕著な特徴は、得られるプロットされたラマンシフトが影響を受けない入力レーザー波長を選択することにより動作波長領域を選択できる点にあると思われる。より複雑な分子は、より単純な分子よりも若干多い線を有する。さらに、図10は、O2(又はH2、N2)のような二原子分子が、近IR領域の分光測定では提供されない明瞭な観測可能な線シフトを有することを示している。
【0046】
ラマン分光計のこれらの基本的態様の用途は、現在利用可能な比較的嵩高い持ち運びのできないラマンMGA形態では制限される可能性がある。本分光計40は、いかにして超小型化を行うか、さらにはサイズの減少以外に、既知のラマン分光計の機能をいかにして数レベル増大させるか、について明らかにしている。本分光計40の一部は、関連技術分野で使用される離散光学狭帯域フィルターにより規定されるわずかの光バンドよりも汎用性の高い光検出器19を使用することを含んでいる。図9は、コンパクト性と、関連技術に対して光検出チャネル数の10〜50倍の増大と、非常に高い開口数すなわちfナンバーと、を提供しうる検出器19を備えたラマン分光計40の一形態を示している。CCDアレイ19上の光検出器は、有利な信号統合及び信号処理を可能にする。VCSEL(垂直キャビティー型面発光レーザー)光源41は、ガスレーザーよりもかなりコンパクトである。耐用寿命を最大化すべく、光源41及びそのミラー43が位置する光キャビティー42との間にウィンドウ57を存在させるので、サンプルガスは、分光計40の格子14と接触することはない(光学表面の汚染を生じる危険性が回避される)。しかしながら、サンプル58は、外部レーザーキャビティー42に進入して、最大のラマン散乱出力光16が得られるように光44と相互作用する。
【0047】
ラマンMGA分光計40の心臓部は、レーザーキャビティー42である。とくに、外部のVCSEL41/ミラー43間の多重反射ビーム44の位置決めに関しては、必ずしも図9に示されるとおりに位置決めされるわけではなく(ただし、例示を目的としてそのように位置決めされている)、ビーム44は、格子14の溝23に平行であってもよい。デバイス40をこの構成にすると、S/N比は、少なくともさらに10倍増大されるので、結果的に、MDLは、その分だけ増大される。その場合、あたかも分光計の入射スリットのように位置決めされたラインからラマン(散乱)光を発生させて、CCD光検出器アレイ19の類似の形状の素子上に結像させる(ただし、適切な円柱レンズを提供してイメージラインを「点」に、すなわち、点形状の検出器のCCDアレイ19に、集束させる場合を除く)。本ラマン分光計40は、内径約100μmのマイクロチャネルを介してPHASED型MGAにより提供される予備濃縮及び成分分離の行われた検体のサンプルガス出力に使用可能である。
【0048】
本マイクロラマン(気体又は液体)分光計40の態様は、コンパクトVCSEL光源41の技術を用いたコンパクトマイクロラマンアナライザーが得られるようにMGAと組み合わせることができる。分光計は、光検出、光統合、及びシグナル処理工程のために、CCDアレイと共に光検出器19を使用する。
【0049】
関連技術のものよりも優れた本マイクロラマン分光計40の利点としては、1/10〜1/20に低減される低減外装寸法が挙げられる(体積及び重量は1/1000〜1/8000に低減される)。それは、離散光学狭帯域フィルターにより規定されるわずかの光バンドよりも汎用性の高い光検出器を使用することができる。また、分光計40では、関連技術のものと比較して、光検出チャネルの数を10〜50倍に増大することができる。本分光計40は、非常に高い(約1/10の)開口数すなわちfナンバーを有することができる(線形状の散乱光源と組み合わされる)。これによりS/N比を増大させることができるが、狭帯域干渉フィルターを用いた場合には、その角度感度(通過波長が入射角に依存する)が原因でこれを利用することができない。本アナライザー40の開口度が大きいため、積分時間の短縮が可能になり、したがって、全体として全応答時間の高速化が可能になる。
【0050】
図11は、PHASED型検出器構造体47と関連させて、表面増強ラマン分光計、構成体、又はデバイス50の具体例を示している。VCSEL光源41は、光ビーム48を放出する。この光ビームは、PHASED型ヒーターメンブレン51上に位置するフィルム49に入射し、格子14の方向に反射される。格子14は、光48を反射する。その一部は、ノッチフィルターすなわちエッジフィルター52を透過してマイクロCCDアレイ19により検出される。フィルム49は、表面増強ラマン分光計フィルムとみなすことができる。光源は、光照射されるフィルム表面上に吸着された流体からのラマン散乱を提供するためのものである。
【0051】
図12は、PHASED型検出器構造体47と関連させて、表面増強ラマン分光計、構成体、又はデバイス60の具体例を示している。VCSEL41は、光48を放出する。この光は、適切な光学素子54を介して、ヒーターメンブレン51上に位置する表面増強ラマン分光計フィルム49に入射する。ヒーターメンブレン51は、PHASED型構造体47の一部である。光48は、フィルム49により反射されてノッチフィルターすなわちエッジフィルター53に送られる。このフィルターは、スプリッターの性質を有していてもいなくてもよい。フィルター53は、図12に示される具体例ではスプリッターの性質を有する。フィルター53は、透過型格子55を透過する方向にフィルターの仕様に従って特定の光48を反射する。いくつかの構成体では、この格子は、反射型である。格子55から、光48は、適切な光学素子を介して、引き続きマイクロCCDアレイ19まで移動する。アレイ19は、必要に応じてTEクーラーを有する。PHASED型構造体47は、必要に応じてTEクーラーを有する。
【0052】
分光計10、20、30、40、50、及び60と組み合わせて使用可能な流体アナライザーは、サンプル分析のために、ヒーター及び固定相を支持するメンブレンに沿ってサンプルを流動させるための1つもしくは複数のチャネルを含んでいる。1つもしくは複数のチャネルは、マイクロ流体アナライザーの一体化部分であってもよい。アナライザーは、1つもしくは複数のチャネルが組み込まれたプレコンセントレーター(PC)101(すなわちコンセントレーター)及びクロマトグラフセパレーター(CS)102を有している。図13は、検出向上フェーズドヒーターアレイ構造(PHASED)型マイクロガスアナライザー(MGA)110である具体例の流体アナライザーのシステム図である。それは、本明細書に記載の特別設計のチャネルを含むマイクロガス装置110の特定の細部を明示したものである。PHASED型MGA110及びその変形態様は、種々の流体クロマトグラフィー用途に使用可能である。
【0053】
サンプルストリーム111は、差動型熱伝導率型検出器(TCD)(又は他のデバイス)115の最初のレッグの入力ポート112に進入する。ポンプ116は、管117を介して装置110を貫流する流体111の流動を引き起こす。図13に示されるシステム110では、追加のポンプを存在させてもよく、さらに種々の管又は鉛管の配置又は構成が可能である。流体111は、TCD115、コンセントレーター101、フローセンサー122、セパレーター102、及びTCD118を貫流して移動する。コントローラー119は、流体の流動並びにコンセントレーター101及びセパレーター102の動作を管理する。コントローラー119は、TCD115、コンセントレーター101、フローセンサー122、セパレーター102、TCD118、及びポンプ116に接続する。検出器115及び118並びにセンサー122からのデータをコントローラー119に送ることが可能であり、続いて、コントローラー119によりデータを処理することが可能である。「流体」という用語は、気体もしくは液体又はその両方を意味している。
【0054】
図14は、図13に示されるコンセントレーター101及び/又はセパレーター102の一部分に対応するセンサー装置110の一部分の概略図である。センサー装置110のこの部分は、基板又はホルダー124及びコントローラー119を含んでいる。コントローラー119は、基板124中に組み込まれていてもいなくてもよい。基板124は、その上に位置決めされたいくつかの薄膜ヒーター素子125、126、127、及び128を有する。わずか4個のヒーター素子だけが示されているが、任意の個数のヒーター素子を提供することが可能である。たとえば、2〜1000個であるが、典型的には20〜100個の範囲内である。ヒーター素子125、126、127、及び128は、任意の好適な導電体、安定金属、合金フィルム、又は他の材料を用いて製造可能である。ヒーター素子125、126、127、及び128は、図14及び15に示されるように、薄型、低熱質量、低面内熱伝導のメンブレン又は支持部材124上に提供される。
【0055】
基板130は、図15に示されるように、サンプル流体ストリーム111を収容するためのチャネル132を有する明確に規定された単一チャネルのフェーズドヒーター機構131を有する。チャネルは、支持部材124の近傍のシリコンチャネルウェーハ基板130を選択的にエッチングすることにより製造可能である。チャネルは、入口ポート133及び排気ポート134を含んでいる。
【0056】
センサー装置110は、流動するサンプル流体111に暴露されるようにいくつかの相互作用素子をチャネル132の内部に含んでいる。各相互作用素子は、対応するヒーター素子に隣接して、すなわち、できるかぎり密着させて、位置決めされる。たとえば、図15において、相互作用素子135、136、137、及び138は、それぞれ、ヒーター素子125、126、127、及び128に隣接させて、チャネル132中の支持部材124の表面上に提供される。本具体例には示されていない追加の相互作用フィルム素子を有する他のチャネルを存在させてもよい。相互作用素子は、液体又はガスクロマトグラフィーで一般に使用される任意の数のフィルムから形成可能である。さらに、さまざまな極性度及び/又は疎水性度を達成して標的検体の最適な吸着及び/又は分離を達成すべく、以上の相互作用物質を好適なドーパントにより改変可能である。
【0057】
コントローラー119は、図14に示されるように、ヒーター素子125、126、127、及び128並びに検出器115及び118のそれぞれに電気的に接続される。コントローラー119は、ヒーター素子125、126、127、及び128にタイムフェーズ順にエネルギーを供給する(図16の下端を参照されたい)と、その結果として、対応する相互作用素子135、136、137、及び138のそれぞれは、1個以上の上流相互作用素子により生成された上流濃縮(コンセントレーション)パルスが相互作用素子に到達する時点近傍で加熱状態になり、選択された成分を流動するサンプル流体111中に脱離させる。濃縮パルス中で成分ガスの所望の濃度を達成すべく、任意の個数の相互作用素子を使用可能である。検出及び分析のために、得られた濃縮パルスを検出器118に提供する。
【0058】
図16は、各ヒーター素子で生成された対応する濃縮パルスと共に例示的な相対ヒーター温度を示したグラフである。上述したように、コントローラー119は、電圧シグナル150を用いてタイムフェーズ順にヒーター素子125、126、127、及び128にエネルギーを供給する。ヒーター素子125、126、127、及び128のタイムフェーズされたヒーター相対温度は、温度プロファイルにより、すなわち、それぞれ、線151、152、153、及び154により示される。
【0059】
示された例では、コントローラー119(図14)は、最初に第1のヒーター素子125にエネルギーを供給して、図16の線151に示されるようにその温度を上昇させる。第1のヒーター素子125が第1の相互作用素子135に熱的に結合されるので(図15)、他のヒーター素子にパルスが印加されないのであれば、第1の相互作用素子は、選択された成分を流動するサンプル流体111中に脱離させて、ヒーター素子125で第1の濃縮パルス161を生成する(図16)。流動するサンプル流体111は、矢印162により示されるように、第2のヒーター素子126に向かって下流に第1の濃縮パルス161を移送する。
【0060】
コントローラー119は、次に、素子125へのエネルギーパルスが停止された時点又はその前から始めて、第2のヒーター素子126にエネルギーを供給し、線152に示されるようにその温度を上昇させる。第2のヒーター素子126が第2の相互作用素子136に熱的に結合されるので、第2の相互作用素子もまた、選択された成分を流動するサンプル流体111中に脱離させて、第2の濃縮パルスを生成する。コントローラー119は、第2のヒーター素子126にエネルギーを供給すると、その結果として、第2の濃縮パルスは、図16に示されるように、第1の濃縮パルス161に実質的に重なり、より高い濃度のパルス163を生成する。流動するサンプル流体111は、矢印164により示されるように、第3のヒーター素子127に向かって下流に、より大きい濃縮パルス163を移送する。
【0061】
コントローラー119は、次に、第3のヒーター素子127にエネルギーを供給して、図16の線153に示されるようにその温度を上昇させる。第3のヒーター素子127が第3の相互作用素子137に熱的に結合されるので、第3の相互作用素子137は、選択された成分を流動するサンプル流体中に脱離させて、第3の濃縮パルスを生成する。コントローラー119は、第3のヒーター素子127にエネルギーを供給すると、その結果として、第3の濃縮パルスは、第1及び第2のヒーター素子125及び126により提供されたより大きい濃縮パルス163に実質的に重なり、さらに大きい濃縮パルス165を生成する。流動するサンプル流体111は、矢印166により示されるように、「第Nの」ヒーター素子128に向かって下流に、このより大きい濃縮パルス165を移送する。
【0062】
コントローラー119は、次に、「第Nの」ヒーター素子128にエネルギーを供給して、線154に示されるようにその温度を上昇させる。「第Nの」ヒーター素子128が「第Nの」相互作用素子138に熱的に結合されるので、「第Nの」相互作用素子138は、選択された成分を流動するサンプル流体111中に脱離させて、「第Nの」濃縮パルスを生成する。コントローラー119は、「第Nの」ヒーター素子128にエネルギーを供給すると、その結果として、「第Nの」濃縮パルスは、前の第N−1の相互作用素子により提供されたより大きい濃縮パルス165に実質的に重なる。流動するサンプル流体は、得られた「第Nの」濃縮パルス167をセパレーター102又は検出器118のいずれかに移送する。
【0063】
本明細書で使用される用語としては、CCD(電荷結合デバイス)、MDD(マイクロ放電デバイス)、及びPD(光検出器)が挙げられる。記号としては、A(開口度又はfナンバー、N・g/f=W/f)、d(μm単位の距離(光源と格子との間))、Di(nm(波長)/μm(長さ)単位のPD−CCDアレイ上のイメージの波長分散)、Dg(格子により生成される光の分散、Dg=(λ2−λ1)/(s2−s1)=(λ2−λ1)/{f・(sinδ2−sinδ1)}=g/(f・n))、f(格子とPD−CCDアレイとの間の距離、凹面格子の焦点距離、及びローランド円の直径)、g(nm単位の格子溝中心間間隔)、N(格子溝の数)、Np(PD−CCDアレイ中のピクセル素子の数)、p(μm単位のピクセルサイズ)、s(PD−CCD平面上の空間変数、s2−s1はλ2−λ1に対応する)、sw(PD−CCD表面の上方のMDD光源の支持体の厚さ)、W(格子の幅)、δ(格子に入射する光線と格子から出射する光線とのなす角度、すなわち、図5及び図2に定義される回折角、δ=arcsin{(sw/f)0.5})、Δλ(nm単位の各ピクセルによりカバーされる波長領域)、及びλ(nm単位の波長、λ1=使用領域の最小波長及びλ2=最大波長)が挙げられる。
【0064】
本明細書中、内容の一部は、仮定的もしくは予測的な性質を有するものであるが、他の形式又は時制で記載されていることもある。
【0065】
少なくとも1つの具体例を参照して本発明について説明してきたが、本明細書を読めば、多くの変形態様及び変更態様が当業者に自明なものとなろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような変形態様及び変更態様をすべて含めて先行技術に照らしてできるかぎり広義に解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(a)及び(b)は、マルチウェーハ分光計の具体例の縁部断面図及び上面図である。
【図2】小型分光計で使用される格子の例を示す図である。
【図3】燃焼機関の排気ガス中の特定成分の監視及び定量を行うためのIR波長域、可視波長域、及びUV波長域の波長発光帯域の表を示す図である。
【図4】分光計設計の仕様を記した表を示す図である。
【図5】(a)及び(b)は、マルチウェーハ分光計の他の具体例の側面断面図及び上面図である。
【図6】外部光源を備えた分光計の具体例の側面断面図である。
【図7】種々のシミュラントの一般的なクロマトグラフィー溶出時間のグラフを示す図である。
【図8】(a)及び(b)は、凹面格子の製造工程での断面図を示す。
【図9】マイクロラマン分光計の具体例を示す図である。
【図10】いくつかのラマンスペクトル線のグラフを示す図である。
【図11】表面増強ラマン分光計の具体例を示す図である。
【図12】表面増強ラマン分光計の具体例を示す図である。
【図13】分光計と組み合わせて使用しうる流体アナライザーの具体例を示す図である。
【図14】分光計と組み合わせて使用しうる流体アナライザーの具体例を示す図である。
【図15】分光計と組み合わせて使用しうる流体アナライザーの具体例を示す図である。
【図16】分光計と組み合わせて使用しうる流体アナライザーの具体例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月17日出願の米国仮特許出願第60/681,776号明細書に基づく利益を主張する。本出願は、2006年3月15日出願の米国仮特許出願第60/743,486号明細書に基づく利益を主張する。
米国政府は、本発明に関する権利の一部を有する。
本発明は、分光計、特定的にはマイクロ分光計に関する。より特定的には、本発明は、流体分析用のマイクロ分光計に関する。
【背景技術】
【0002】
U.ボン(U.Bonne)らにより「流体アナライザー用の化学インピーダンス型検出器(Chemical Impedance Detectors for Fluid Analyzers)」という名称で代理人整理番号H0009333(1100.1410101)として2006年5月16日に出願された米国出願第11/383728号(特許文献1)は、参照により本明細書に援用されるものとする。U.ボン(U.Bonne)らにより「サーマルポンプ(A Thermal Pump)」という名称で代理人整理番号H0010160(1100.1412101)として2006年5月16日に出願された米国出願第11/383663号は、参照により本明細書に援用されるものとする。N.イワモト(N.Iwamoto)らにより「マイクロ流体アナライザー用の固定相(Stationary Phase for a Micro Fluid Analyzer)」という名称で代理人整理番号H0010503(1100.1411101)として2006年5月16日に出願された米国特許出願第11/383650号は、参照により本明細書に援用されるものとする。U.ボン(U.Bonne)らにより「流体アナライザー用の三ウェーハチャネル構造体(A Three−Wafer Channel Structure for a Fluid Analyser)」という名称で代理人整理番号H0012008(1100.1413101)として2006年5月16日に出願された米国特許出願第11/383738号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2005年5月17日に出願された米国仮特許出願第60/681776号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2006年3月15日に出願された米国仮特許出願第60/743486号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2004年7月30日に出願された米国特許出願第10/909071号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2002年5月28日に発行された米国特許第6393894号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2005年1月4日に発行された米国特許第6837118号は、参照により本明細書に援用されるものとする。2006年2月21日に発行された米国特許第7000452号は、参照により本明細書に援用されるものとする。これらの出願及び特許は、流体アナライザーに関連する構造及び方法の態様を開示している。
【発明の開示】
【0003】
図1の(a)及び(b)は、2ウェーハの分光計のデバイスすなわち構成体10の縁部断面図及び上面図を示している。図1の(a)は、図1の(b)に示される分光計すなわちデバイス10のライン18における断面図である。ボトムウェーハ11は、その上にトップウェーハ12が配置された基板である。トップウェーハ12は、フローチャネル13を有する。分光計は、典型的なローランド円のような円15に近接して装着された凹面回折格子14又は他の類似の波長感応性反射機構に基づいている。光16は、マイクロ放電デバイス(MDD)のような光源17により放出される。光16は、フローチャネル13の一部分を通って格子14に進行する。格子14は、フローチャネル13の他の部分を通ってフォトダイオードアレイ及び/又はCCD検出器19に向かう角度で光16を反射させうる。検出器は、アレイ構造であってもよい。光源17及び検出器19は、ローランド円15に近接して配置される。したがって、光路は、光源17から格子14までと、格子14から検出器19までとに延びている。3つの部品17、14、及び19はすべて、円15の近傍又はその円上に配置される。
【0004】
格子すなわちリフレクター14は、凹面回折型格子、ホログラフィー凹面反射型格子、又は集束透過型格子である。光源17は、マイクロ放電デバイスであるか、又はその表面上に集束させたレーザーからの高輝度表面反射である。
【0005】
ローランド円上の特定波長λの位置は、式nλ=d(sinθ+sinδ)により与えられる。式中、nは、次数であり、gは、格子間隔であり、θは、格子上への光の入射角であり、そしてδは、格子からの反射角である。入射角がゼロである場合、式は、nλ=g・sinδである。図2は、一例として格子14、溝23、入射光及び反射光16、並びにいくつかの関連パラメーターを示している。
【0006】
分光計10の特徴は、そのウェーハレベル(11、12)の製造物(格子のウェーハ及び光検出器アレイ19(イメージ増倍アレイ、CCD、又は電荷注入型検出器(CID))のウェーハ)にある。この製造物は、検出向上フェーズドヒーターアレイ構造(PHASED)型マイクロガスアナライザー(MGA)のような流体アナライザーと適合しうる。分光計10は、マイクロ放電デバイス(MDD)17からの分光化学発光を処理するうえで、干渉フィルター又は市販の小型分光計を用いて得られるよりも優れたコンパクト性(1〜60mm3)、経済性、適応性、及び応答速度を提供しうる。「流体」という用語は、気体もしくは液体又はその両方を意味する。
【0007】
本発明は、Cl、F、P、Hg、Cdなどを含有する化合物の濃度をppb〜ppm範囲の特定のMDLで監視するうえで、PHASEDのμラマンMDD型NOx/O2/NH3/SO2センサー及び他の類似のセンサー並びに産業界及び政府機関におけるMDD17の他の用途に対して、明らかな分析性能上の利点を提供しうる。マイクロ放電デバイス(MDD)17の発光の現在利用可能な分析では、いくつかの離散的狭帯域光学フィルター、不十分な再現性のスライド式透過帯域フィルター、又は高コストでかつ複雑なチップレベルの(ただし、依然として比較的嵩高い)光学分光計を必要とする可能性がある。いずれも、MDDに基づくNOxセンサー又はPHASED型MGAへの容易な統合を行うのに適していないように思われる。
【0008】
本発明に係る分光計は、NOxセンサー又はウェーハ間結合MEMS(マイクロマシン化電気機械システム)構造体において、たとえば、MDD光源17と単一の反射表面(格子)14とCCDアレイに結合された光検出器(フォトダイオード又はフォトトランジスター)のアレイ19とを支持するPHASED型MGAにおいて、入手可能なサンプルガスフローチャネルを利用しうる。それにより、1/5という合理的な開口数を利用しうるようになるとともに5nm/ピクセル未満のスペクトル分解能を有する標準的なCCD出力の特徴をもたせうる。本発明によれば、0.250〜1μmの格子定数を有する一連の格子溝14の微細機械加工(すなわちエッチング)並びにMDD17の電極21及び22と同一のチップ11、12上への光検出器−CCDアレイ19の配設を含む製造が可能になる。分光計10は、燃焼排気ガス(自動車及び定置機関)を対象としたNOx−O2−NH3−CO2−SO2の機能的低コストMDD17センサー、さらにはPHASED型マイクロガスアナライザー用の検出器として利用可能である。
【0009】
研磨された光ファイバーの端部又は個々のフォトダイオード上に配置された離散干渉フィルターを介して、5〜10個の波長帯域に対する複数の検出器チャネルを提供可能である。これは、低コスト分光計の他の選択肢である。小型のポケットサイズ分光計及びチップレベル分光計が利用可能になる。しかしながら、関連技術の「統合型」分光計では、MDDから35cmの距離に配置されたCCDカメラが必要になる可能性がある。
【0010】
関連技術の格子分光計は、既知の良好な分散(nm/μm単位)ではないが3ピクセル/nmの分解能を有する。本デバイスを用いて達成される他の特徴及び要件としては、たとえば、S/Nを最大化する大きい開口度が挙げらる。スペクトル分解能はΔλ≦5nm半値幅であるので、λ/Δλ≧300/5=60となる。CCDピクセル上でスリット+MDD+光ファイバーのイメージにより与えられる分解能よりも大きいλ/Δλ≦n・Nの分解能が達成されるように、十分な数Nの格子溝(格子14中)を存在させる。式中、nは、観測される格子スペクトルの次数である。溝を偏倚させることにより、所望の観測次数に整合させることができる。検出器アレイ19における異なる次数間の干渉を最小限に抑えるように、観測次数並びにスペクトル領域及び検出領域を提供する。回折限界分解能及びPD(フォトダイオード)上への集束が可能である。全体積が全体的に小さいので、ウェーハレベルで大量にかつ低コストで製造を行いうる。分光MDD発光の検出は、200〜400nmの領域で行うことができる。
【0011】
格子分光計は、既知の良好な分散(nm/mm単位)ではないが3ピクセル/nmの分解能を有しうる(nmは、使用波長の大きさを示すために使用可能であり、一方、mmは、検出器アレイの空間的大きさを示すために使用可能である)。本デバイスを用いて達成される他の項目としては、たとえば、S/Nを最大化する大きい開口度が挙げられる。スペクトル分解能はDl*5nm半値幅であるので、l/Dl*300/5=60となる。CCDピクセル上でスリット+MDD+光ファイバーのイメージにより与えられる分解能よりも大きいl/Dl*n*N分解能(ただし、n=格子分散次数)が達成されるように、十分な数Nの格子溝(格子14中)を存在させる。式中、nは、観測される格子スペクトルの次数である。
【0012】
検出器19用のカメラ及びCCD付きPD(フォトダイオード)アレイとしては、ピクセルサイズ6.8μmを有するコダック(Kodak)KAF1401E CCDカメラ、8×9.5μmの768×494ピクセルを有するソニー(Sony)DXC−107 CCDカメラ、15.0μmのピクセルを有するマルコーニ(Marconi)CCD37カメラ、及び44μm正方形ピクセル及び456×684μmピクセルイメージ領域を有し厚さ100μmのGadox(Gd2O2S)シンチレーターを備えたE2Vテクノロジーズ(E2V Technologies)製CCDモデルCCD38−20が挙げられる。
【0013】
満足すべき動作を達成しかつ以上に列挙された要件を満たすように採用される手段は、図1の(a)及び(b)、図5の(a)及び(b)、図6、並びに図9に例示している。図1の(a)及び(b)は、PHASEDの二ウェーハ(11、12)構造体中に分光計を製造する可能性を示している。図5の(a)は、分光計であるデバイスすなわち構成体20の側面図であり、図5の(b)には、格子14及び検出器19の図を含めて、ライン24の近傍の上面図が示されている。サブミクロンの平滑かつ凹面の格子溝(DRIEにより格子ウェーハ31に組み込まれる)の製造とウェーハ32に組み込まれるPD−CCDアレイ(光検出電荷結合デバイス)19の製造とを統合したことが特徴である。MDD光源17のサイズ(≦電極(21、22)ギャップ=8μm)及びPD−CCDアレイ(11.3μm)19上のそのイメージが所望の分解能を達成するのに十分な程度に小さいと仮定すると、デバイス20の大きさは、許容しうる1×1×1mm体積以内に収まる。
【0014】
図5の(a)及び(b)は、個別ウェーハ31と32とがそれぞれ溝23及び凹面表面を有する格子14とPD−CCDアレイ19とを保持するようにすることによる統合問題の解決手段を示している。
【0015】
格子ウェーハ31及び検出器ウェーハ32と共にウェーハ33及び34をそれぞれチャネルウェーハ及びヒーターウェーハとして含むより多数のウェーハを有するスタックを結合することは、小さいサイズの分光計をMGA中に統合するための一手段である。この場合も、MDD光源のサイズ(≦電極ギャップ=8μm)及びPD−CCDアレイ(11.3μm)上のそのイメージが所望の分解能を達成するのに十分な程度に小さいと仮定すると、デバイス20の体積要件は、図1の(a)及び(b)に示されるデバイス10の体積要件に類似している。格子14と検出器すなわちレセプター19との間の焦点距離26は、約1000ミクロンである。
【0016】
図6は、図5の(a)及び(b)に示される構成を保持することが可能であり、分光計のデバイスすなわち構成体30の場合、格子14及びPD−CCD19の個別製造が可能であるとともに、さらにMDD17のサイズ制限が克服されて30μmサイズのギャップに緩和されうるので、イメージサイズは42.43μmになり、格子/PD−CCDアレイ間距離25はf≒7500μm(7.5mm)になる。全体積サイズは、本明細書中に記載の約1mm3から約18mm3に増大される。図5の(a)と図6とに示されるデバイス20とデバイス30との間の主要な幾何学的差異/製造上の差異は、図6に示される「格子」と「チャネルウェーハ」(それぞれ31と33)との間の追加の「スペーサーウェーハ」35である。図6に示される「スペーサー」35は、sw=1.5mmの厚さ37を有するMDD又は光源17を支持するウェーハ36の上に約6mmの厚さを有する。層35はまた、ヒーターウェーハ34上に存在するチャネルウェーハ33上にも位置する。ウェーハ33及び34は共に、ウェーハ36とほぼ同一の厚さを有する。
【0017】
破線の四角で囲まれた入力情報を有する図4の最初の表中の仕様により示されるように、一連の特定の特徴から、対象の低コスト分光計10、20、及び/又は30を製造するための次のような一般的な工程別ガイドラインが導出される。最初の工程は、スケール設定である。この際、分散Di(光源の有限イメージが所望のスペクトル分解能Δλを達成するのに必要とされる)と格子により生成される分散Dgとが等しくなるように、イメージ又は格子14とPD−CCDアレイ19との間の焦点距離d(25、26)を決定する(ローランド円15の直径により提供されるように)。Diは、λ領域λ2〜λ1をカバーする全長p・NpのPD−CCDアレイ19上に光源(スリット又はMDD17)を結像させる幾何光学系により支配される。
Di=(λ2−λ1)/p・Np
=(λ2−λ1)/{p・(λ2−λ1)/Δλ}
=Δλ/p
式中、Np=(λ2−λ1)/Δλ=(400−200)/3=200/3=67であり、かつp=μm単位のピクセルサイズである。一方、Dgは、格子溝幅g、スペクトル次数n、回折角δ、及び焦点距離fにより与えられる。
Dg=(λ2−λ1)/(s2−s1)
=(λ2−λ1)/{f・(sinδ2−sinδ1)}
=g/(f・n)
式中、s1、2=波長λ1、2に対応するPD−CCDアレイ19焦平面上の距離であり、かつsinδ1、2=n・λ1、2/gである。したがって、g=1342nm、p=42.4μm、n=2、及びΔλ=3.79nmの場合、
f≧g・p/n・Δλ=7500μm
を達成する。
【0018】
次の工程は、格子14である。g=850nmの間隔で配置された格子溝23の製造(図4中の最初の表を参照されたい)では、製造能力に負担がかかる可能性がある。より幅広い溝23を容易に製造すべく、図4中の第2の表は、g=1342nmに基づいており、この場合、焦点距離は、本明細書に示されるようにf=7500μmになる。
【0019】
このほかの工程は、所望の観測次数に適合する溝23の偏倚である。図1の(a)、及び(b)並びに図5の(a)及び(b)のデバイス10及び20の場合、これは、45/2=22.5°の角度を意味する。図6に示されるデバイス30の場合、ブレーズ角は、δ/2=13.3°でなければならないこともある。
【0020】
さらなる工程は、開口度である。格子14への中心入射ビーム16を対象にすると、開口度は、A=(g・N/√2)/(f/√2)=g・N/fである。図6に示されるデバイス30の場合、A=1/5を達成するために、N=A・f/g=(1/5)・7500/1=1,118個の溝が必要になる可能性がある。
【0021】
他の工程は、PD19への回折限界分解能及び集束である。図1の(a)及び(b)並びに図5の(a)及び(b)の分解能から図6の分解能までの分解能範囲をカバーするように、Ld=0.61・λ/A=915nm=0.915μmにより与えられる回折限界が本PD−CCDアレイ19の光学分解能又は解像力(ピクセルサイズ11μm≦p≦43μmにより表される)を超えないことを確実にすることにより、これを達成する。
【0022】
後続工程は、格子次数の分離である。200〜400nmのMDD発光スペクトルを2次(n=2)で観測することにより、1次の777nmのO線をもカバーしうる。ただし、2つの次数が分離されるものとする。このことは、ガラスのようなUV遮断フィルターを用いてPD−CCDピクセルで777nm線をカバーすることにより行うことが可能であり、その結果、完全分光計の検出範囲を2次の約800nmまで延長する必要がなくなる。
【0023】
所望の開口度及びMDD17位置(μm単位でPD−CCD32のウェーハの上方かつローランド円15上)を提供できるように、図6に示されるデバイス30の製造方法に変更を加えることが可能であり、これは、破線の四角で強調された入力情報を有する図4中の第2の表にまとめられている。開口度、及び格子14とPD−CCDアレイ19との間の距離25の値fを提供して、Wを計算する。MDD支持ウェーハ36の厚さ37の値swを提供して、回折角δ及びPD−CCDアレイ19上の波長位置s並びにnm/μm単位の対応する分散を計算する。MDD17のギャップサイズを提供して、MDDイメージサイズ(1ピクセルと等価であると仮定される)及びnm/ピクセル単位のスペクトル分解能を計算する。スペクトル分解能が所望の3〜5nm/ピクセルよりも大きい場合、所望の分解能が達成されるまで、f、sw、及び/又はMDDギャップを調整する。
【0024】
マイクロ分光計10、20、及び30の組立て及び動作が実行される。組立ては、図1の(a)及び(b)、図5の(a)及び(b)、並びに図6により示されるとおりである。離れた位置のMDD17からの発光を搬送する光ファイバー27の装着は、たとえば、その離れた位置で刺激の強い自動車の排気ガスのサンプルガスに暴露される場合、注意深く行うことが必要になる。そのようなファイバー27は、好ましくは格子14の中心に向く角度で、必要なウェーハ厚さを貫通して、図1の(a)及び(b)、図5の(a)及び(b)、並びに図6に示されるMDD17ギャップとほぼ正確に同一の箇所で終端するように、作製する。光ファイバー27よりも大きい孔28をエッチングした場合、追加のデッドスペースを利用すれば、そのような角度でファイバー27を固定し封止しうる。長期間のメンテナンスフリーの動作を維持するうえで、そのような光ファイバー27の使用は、サンプルガスを格子キャビティー29に導入するよりも優れている可能性がある。
【0025】
光源(MDD)17、格子14、及びPD−CCDアレイ19のような分光計の要素を位置合わせすることが必要になる。動作時、MDD光源17を最終的にPD−CCDアレイ19上に結像させる。次に、必要に応じて、アレイ19の出力のさらなる処理(すなわち、増幅、ディジタル化、統合、及び表示)を行る。
【0026】
燃焼機関の排気ガス中のNOx、O2/SO2、NH3、CO2、及びH2Oの監視及び定量を行うためのいくつかの推奨波長帯域を図3の表に列挙する。ガスクロマトグラフィー(GC)又はPHASED型MGAを、たとえば、オーシャン・オプティックス社(Ocean Optics Co.)製の分光計と併用したときのCWA(化学兵器物質)シミュラントの検出結果を、図7に示す。図7のグラフは、種々のシミュラントのGC溶出時間を分単位で示している。図7に示されるMDD出力は、12個の波長におけるCWAシミュラントを有するディーゼル燃料のクロマトグラムの出力である。
【0027】
約2×3×4インチサイズのオーシャン・オプティックス(Ocean Optics)分光計は、最新技術の市販の分光計の代表である。これは、卓上型の従来のユニットほど大きくはないが、本デバイス10、20、及び30のサイズよりはかなり大きい。
【0028】
本明細書に記載されているように、2次の波長領域を777nmまで延長することなくO(O2濃度を表す)の777nm線を観測すべく、77/2=388.5±2nmの2次の領域に対応するピクセル上にガラスのようなUV遮断フィルターを配置する。逆に、1次の400〜800nmを遮断する広帯域フィルターを用いれば、2つの次数間の干渉の可能性を低減させる。
【0029】
光散乱を最小限に抑えるべく、好適な光吸収性コーティングをチャネルすなわちカラムの壁に適用する。光遮断性ブレンドを配置することが考えられるが、カーボンナノチューブ(CNT)グラスからなるコーティングを用いれば、この必要性を回避しうる。
【0030】
本デバイスを製造する場合、本明細書に記載の仕様は、空気中で動作する100×100ミクロンのチャネル内の特殊なMDD17設計用でありかつできるかぎり、多くデューティーサイクルであるが、>15msの半値幅のGCピークを追跡可能なものである。測定は、MDDのインピーダンス、電流、又は電圧と、干渉フィルターを介して選択される3〜8個のチャネル中への光出力と、を含みうる。
【0031】
パイレックス(Pyrex)(登録商標)のようなガラスウェーハ(PHASEDチャネルの役割を担う)を使用可能である。これはまた、MDD17の電極21及び22を支持し、かつそれを介してMDD光16を伝搬する(UV領域では不十分であるが、可視光領域では許容できる)。CCDすなわちアレイ19の上に位置する小ピッチのフォトCCDアレイ又はチャネルトロンアレイを有するガラスウェーハの外表面上に小型の「干渉グラジエント」フィルターを配置する。ウェーハを取得し、その中にチャネルを配置して、光学素子を提供する。MDD17におけるガラス厚さは、薄くする。厚い誘電体コーティングを光出力側に適用して、MDDの電極21及び22をガラス中に「封入」する。その結果、プラズマは、検出器側に光を照射しなくなる。
【0032】
図8の(a)及び(b)は、凹面マイクロ格子アレイ14の製造の断面図を示す。図8の(a)は、ほぼ一定の縮尺率であるが、図8の(b)は、プレフォームドエポキシ42と格子14用のフィルムすなわちメンブレン43の造形物とを拡大して示している。硬質表面41(ステンレスボールベアリング)を軟質表面42(エポキシ)に圧入し、次に、ボールベアリング41により作製された「陥凹部」全体にわたりメンブレン43を造形し、球面形状を作製する。格子14は、フラットな状態にあるうちにメンブレン43表面上に書き込まれる。次に、メンブレン43を陥凹部の形態に形成する(空気圧を用いて行う)。この手段を用いた場合、いくらつのベント孔すなわち多孔性表面(エポキシ42中に設ける)を介して、メンブレン43の背面の空気を排除しなければならないこともある。メンブレン43は、接着剤46を用いてシリコンウェーハ45に装着される。
【0033】
「グレーテッド」フィルム43は、格子溝を押し潰すことなく変形させなければならない。たとえば、外径7.5mmのボールベアリング41を変形可能なフィルム43上に押圧する。ベアリング41をフィルム43上に押圧することにより、適正な球面曲率が確実に得られるので、これは、圧力の使用の他の選択肢になる(追加の固定具を必要とする)。材料に関して、Siウェーハ45中の内径1.5〜2mmの孔44のアレイ全体にわたりフリーのSi3N4メンブレン43を配置する。このメンブレンは、圧力により変形させる前の「フラットな」状態にあるときに、フォトレジスト上にホログラフィーによりマスキングを施してエッチングすることにより、格子溝を設けることが可能である。曲率半径3.75を有する外径約1.5mmの球形シェルの変形「深さ」は、3.75−(3.75^2−0.75^2)^.5=0.07576mm、すなわち、1500ミクロンの中央で76ミクロンである。これは、3.75*(arcsin(0.75/3.75)−0.75)/0.75=0.0067896、すなわち、0.679%の歪み、かつ破断点未満に相当する。窒化物の破壊強度=5.87±0.62GPa及びヤング率=255±5GPaであることから、降伏歪みは1.12%であることが示唆される。しかしながら、溝は、1.12%未満、さらには0.679%未満でさえも、破壊が「開始」される場合がある。
【0034】
格子14のメンブレンは、マスター格子を模倣する(ただし、反転形式で)。したがって、マスターを特定の角度にブレーズ化した場合、複製物もまた、そのように偏倚される。どのタイプのリフトオフフィルムを使用すべきか、またリフトオフが格子表面をどの程度平坦化する傾向を有するかを決定する。しかしながら、最初の処理でマスター格子と同じようにブレーズ化することも可能である。エポキシ42と共に熱変形プロセスを用いて球形状を形成し、次に、それを冷却して形状を保持することができる。
【0035】
製造プロセスの一部として、一方の側に気体又は液体の圧力を加え、他方の側にエポキシ42を置いて、薄いメンブレン43を球形状に(シャボン玉のように)変形させることもできる。所望により、それを固化させ、次に、メンブレンに結合させる(硬化時に変形を起こすことなく)。
【0036】
本デバイスすなわちマイクロ分光計10、20、30は、設計及びそのガイドラインに基づいている。デバイスは、MDD光源17と、封止光学素子(この場合、MDDは、サンプルガスストリーム中で動作し、光「ファイバー」たとえばファイバー27を介してその発光を封止光学デバイスに伝送する)と、凹面格子14と、光検出器(PD−CCD)のアレイ19と、を有する真に統合された光学素子を備えることができる。光学素子56は、デバイス30内の光の移動を促進する。デバイスは、ウェーハレベルの組立てが可能であり、かなり極限に近いコンパクト性(1〜60mm3)を有するが、それだけでなく、格子14とPD−CCDアレイ19との独立したSOA製造を統合することにより、製造コストを低くすることも可能である。デバイスは、MDD17の発光分光に必要な分解能の要件を満たすとともに、高いシグナル/ノイズ比と高速(低い積分時間要件)での検出/測定とに適合した大きい光学的開口度を提供することができる。デバイスは、格子14、MDD17、及び光検出器アレイ19のプロセスにより製造可能である。散乱光を最小限に抑えるべく、非常に有効な光反射防止材としてCNTグラスを分光計の壁上で使用可能である。
【0037】
発光分光計10、20、30は、本明細書に明示される製造特性及びサイズ特性の結果としてきわめて頑健な信頼性を有する。この分光計は、1/5という大きい開口度であることから、非常に短い応答時間(短い信号積分時間の要件)及び高いS/N比を有しうる。本分光計は、干渉フィルターに基づく手段よりも大きい信頼性及び高いS/N比を有する。なぜなら、温度及び入射角に伴うフィルターの中心波長シフト並びに入射角を制限することによる後者の解決策は、光入力及びS/N比を減少させる可能性があるからである。
【0038】
1本以上の光ファイバー27(MDD17の出力を搬送する)と封止マイクロ分光計とを容易に結合することが可能である。この場合、ファイバーの端は、「点」光源又は「スリット」光源として機能する(図6参照)。分光計は、散乱光に起因するノイズを最小限に抑えるべく内表面上でCNTグラスを使用しているため、より良好なS/N比を達成することができる。
【0039】
対処しうる問題は、関連技術のコンパクトMGA(マイクロガスアナライザー)又は流体組成アナライザーがいずれも、種濃度を出力するための高度な高速データ処理と、サンプルガスの輸送及び/又は希釈(マイクロ質量分析計及びマイクロガスクロマトグラフで必要とされる)のための、エネルギーを消費するポンプの使用と、を必要とすること、並びに/あるいはO2、N2、及びH2のような多数の対象ガスを除外すること(IRアナライザー又はNDIRアナライザーを用いる場合など)、並びに/あるいは不安定すぎてクリティカルな工業プロセス又は安全関連用途(ポリマーセンサー及びSAWセンサー並びにMOSガスセンサー及び電気化学ガスセンサー、これらのうちのいくつかは、動作のために≧300℃が必要なため、本質的に安全でない)で確実に機能させることができないことである。
【0040】
図9に示される流体組成マイクロアナライザー40は、混合物の各成分によりその分子対称性に関係なく提供されるラマン散乱シグネチャーを利用するとともに(その結果、O2、N2、及びH2のような対称ゼロ双極子ガスが除外されない)、チップレベルの低コストレーザー(VCSEL)を光源として入手する点を活かすことができる。また、小開口の背後の限られた数の個別の融通の利かない固定波長検出器及び損失のある干渉フィルターを用いるのではなく(チップレベルの)マイクロ分光計を用いることにより、光検出器の開口度ひいては全MGAの光学効率及び最小検出限界(MDL)を増大させうる可能性を活かすことができる。
【0041】
分光計40の原理は、PHASED型MGAに結合可能なμ分光計に結合されたマイクロラマン散乱流体アナライザーを伴うことができ。本分光計40の態様は、画期的なコンパクト性、大きい開口度、ひいては高いS/N及び低いMDL、短い応答時間、並びに低電力消費を有するマイクロラマン気体又は液体アナライザーを含むことができる。レージングキャビティービームは、封止μ分光計中への入射スリット光源として動作する(図9に示されるイメージを90°方向変換した後)。
【0042】
O2、CO、CO2、NO、及びNO2を同時に感知するラマン分光計40の能力とその低コスト性とがあいまって、このデバイスは、内燃機関用途及び外燃機関用途に有用であるだけでなく、医療用途、工業用途、及び政府用途でも使用可能である。
【0043】
本明細書に記載されるように、GC−MSアナライザーは、未知サンプルガス中に存在する1種以上の検体の同定及び定量のためにかなりのデータ処理を必要とする可能性がある。とくに計算量が多いのは、検体混合物であり、これは、時間と電力を消費する。そのような計算能力の要件は、とくに検体ガス混合物の場合、IR吸収アナライザーを用いてもあまり軽減されない可能性がある。
【0044】
しかしながら、検体の同定及び定量に必要とされる計算要件を克服することは、ラマン分光法を用いる場合には必ずしも必要であるとは限らない。なぜなら、ラマン散乱スペクトルは、おそらく、ごくわずかの(したがって、それほど信頼性の高くない)波長帯域チャネルを用いる単純なNDIRアナライザーを除いて、GC−MS又はIRアナライザーのシグネチャーよりもはるかに単純であると思われるからである。
【0045】
ラマン散乱スペクトルの単純さは、図10に図示されたわずかなラマン線により例示される。この図には、ホスゲン、CO2、シアン化物、及びO2のラマン線がcm−1単位で示されている。図10に示されるプロットは、入力光の振動数を基準にした散乱光出力の増大ラマン振動数シフトを材料ごとに示している。このシフトの測定は、可視領域やUV領域よりもIR領域のほうが低分解能(λ/Δλ)でより容易に達成されるように思われるが、散乱強度又は散乱効率は、短波長になるほど高くなる可能性がある。IRスペクトルさらにはMS(質量分析計)シグネチャーのマスフラグメントと比較して線の数が少ないこと以外に、他の顕著な特徴は、得られるプロットされたラマンシフトが影響を受けない入力レーザー波長を選択することにより動作波長領域を選択できる点にあると思われる。より複雑な分子は、より単純な分子よりも若干多い線を有する。さらに、図10は、O2(又はH2、N2)のような二原子分子が、近IR領域の分光測定では提供されない明瞭な観測可能な線シフトを有することを示している。
【0046】
ラマン分光計のこれらの基本的態様の用途は、現在利用可能な比較的嵩高い持ち運びのできないラマンMGA形態では制限される可能性がある。本分光計40は、いかにして超小型化を行うか、さらにはサイズの減少以外に、既知のラマン分光計の機能をいかにして数レベル増大させるか、について明らかにしている。本分光計40の一部は、関連技術分野で使用される離散光学狭帯域フィルターにより規定されるわずかの光バンドよりも汎用性の高い光検出器19を使用することを含んでいる。図9は、コンパクト性と、関連技術に対して光検出チャネル数の10〜50倍の増大と、非常に高い開口数すなわちfナンバーと、を提供しうる検出器19を備えたラマン分光計40の一形態を示している。CCDアレイ19上の光検出器は、有利な信号統合及び信号処理を可能にする。VCSEL(垂直キャビティー型面発光レーザー)光源41は、ガスレーザーよりもかなりコンパクトである。耐用寿命を最大化すべく、光源41及びそのミラー43が位置する光キャビティー42との間にウィンドウ57を存在させるので、サンプルガスは、分光計40の格子14と接触することはない(光学表面の汚染を生じる危険性が回避される)。しかしながら、サンプル58は、外部レーザーキャビティー42に進入して、最大のラマン散乱出力光16が得られるように光44と相互作用する。
【0047】
ラマンMGA分光計40の心臓部は、レーザーキャビティー42である。とくに、外部のVCSEL41/ミラー43間の多重反射ビーム44の位置決めに関しては、必ずしも図9に示されるとおりに位置決めされるわけではなく(ただし、例示を目的としてそのように位置決めされている)、ビーム44は、格子14の溝23に平行であってもよい。デバイス40をこの構成にすると、S/N比は、少なくともさらに10倍増大されるので、結果的に、MDLは、その分だけ増大される。その場合、あたかも分光計の入射スリットのように位置決めされたラインからラマン(散乱)光を発生させて、CCD光検出器アレイ19の類似の形状の素子上に結像させる(ただし、適切な円柱レンズを提供してイメージラインを「点」に、すなわち、点形状の検出器のCCDアレイ19に、集束させる場合を除く)。本ラマン分光計40は、内径約100μmのマイクロチャネルを介してPHASED型MGAにより提供される予備濃縮及び成分分離の行われた検体のサンプルガス出力に使用可能である。
【0048】
本マイクロラマン(気体又は液体)分光計40の態様は、コンパクトVCSEL光源41の技術を用いたコンパクトマイクロラマンアナライザーが得られるようにMGAと組み合わせることができる。分光計は、光検出、光統合、及びシグナル処理工程のために、CCDアレイと共に光検出器19を使用する。
【0049】
関連技術のものよりも優れた本マイクロラマン分光計40の利点としては、1/10〜1/20に低減される低減外装寸法が挙げられる(体積及び重量は1/1000〜1/8000に低減される)。それは、離散光学狭帯域フィルターにより規定されるわずかの光バンドよりも汎用性の高い光検出器を使用することができる。また、分光計40では、関連技術のものと比較して、光検出チャネルの数を10〜50倍に増大することができる。本分光計40は、非常に高い(約1/10の)開口数すなわちfナンバーを有することができる(線形状の散乱光源と組み合わされる)。これによりS/N比を増大させることができるが、狭帯域干渉フィルターを用いた場合には、その角度感度(通過波長が入射角に依存する)が原因でこれを利用することができない。本アナライザー40の開口度が大きいため、積分時間の短縮が可能になり、したがって、全体として全応答時間の高速化が可能になる。
【0050】
図11は、PHASED型検出器構造体47と関連させて、表面増強ラマン分光計、構成体、又はデバイス50の具体例を示している。VCSEL光源41は、光ビーム48を放出する。この光ビームは、PHASED型ヒーターメンブレン51上に位置するフィルム49に入射し、格子14の方向に反射される。格子14は、光48を反射する。その一部は、ノッチフィルターすなわちエッジフィルター52を透過してマイクロCCDアレイ19により検出される。フィルム49は、表面増強ラマン分光計フィルムとみなすことができる。光源は、光照射されるフィルム表面上に吸着された流体からのラマン散乱を提供するためのものである。
【0051】
図12は、PHASED型検出器構造体47と関連させて、表面増強ラマン分光計、構成体、又はデバイス60の具体例を示している。VCSEL41は、光48を放出する。この光は、適切な光学素子54を介して、ヒーターメンブレン51上に位置する表面増強ラマン分光計フィルム49に入射する。ヒーターメンブレン51は、PHASED型構造体47の一部である。光48は、フィルム49により反射されてノッチフィルターすなわちエッジフィルター53に送られる。このフィルターは、スプリッターの性質を有していてもいなくてもよい。フィルター53は、図12に示される具体例ではスプリッターの性質を有する。フィルター53は、透過型格子55を透過する方向にフィルターの仕様に従って特定の光48を反射する。いくつかの構成体では、この格子は、反射型である。格子55から、光48は、適切な光学素子を介して、引き続きマイクロCCDアレイ19まで移動する。アレイ19は、必要に応じてTEクーラーを有する。PHASED型構造体47は、必要に応じてTEクーラーを有する。
【0052】
分光計10、20、30、40、50、及び60と組み合わせて使用可能な流体アナライザーは、サンプル分析のために、ヒーター及び固定相を支持するメンブレンに沿ってサンプルを流動させるための1つもしくは複数のチャネルを含んでいる。1つもしくは複数のチャネルは、マイクロ流体アナライザーの一体化部分であってもよい。アナライザーは、1つもしくは複数のチャネルが組み込まれたプレコンセントレーター(PC)101(すなわちコンセントレーター)及びクロマトグラフセパレーター(CS)102を有している。図13は、検出向上フェーズドヒーターアレイ構造(PHASED)型マイクロガスアナライザー(MGA)110である具体例の流体アナライザーのシステム図である。それは、本明細書に記載の特別設計のチャネルを含むマイクロガス装置110の特定の細部を明示したものである。PHASED型MGA110及びその変形態様は、種々の流体クロマトグラフィー用途に使用可能である。
【0053】
サンプルストリーム111は、差動型熱伝導率型検出器(TCD)(又は他のデバイス)115の最初のレッグの入力ポート112に進入する。ポンプ116は、管117を介して装置110を貫流する流体111の流動を引き起こす。図13に示されるシステム110では、追加のポンプを存在させてもよく、さらに種々の管又は鉛管の配置又は構成が可能である。流体111は、TCD115、コンセントレーター101、フローセンサー122、セパレーター102、及びTCD118を貫流して移動する。コントローラー119は、流体の流動並びにコンセントレーター101及びセパレーター102の動作を管理する。コントローラー119は、TCD115、コンセントレーター101、フローセンサー122、セパレーター102、TCD118、及びポンプ116に接続する。検出器115及び118並びにセンサー122からのデータをコントローラー119に送ることが可能であり、続いて、コントローラー119によりデータを処理することが可能である。「流体」という用語は、気体もしくは液体又はその両方を意味している。
【0054】
図14は、図13に示されるコンセントレーター101及び/又はセパレーター102の一部分に対応するセンサー装置110の一部分の概略図である。センサー装置110のこの部分は、基板又はホルダー124及びコントローラー119を含んでいる。コントローラー119は、基板124中に組み込まれていてもいなくてもよい。基板124は、その上に位置決めされたいくつかの薄膜ヒーター素子125、126、127、及び128を有する。わずか4個のヒーター素子だけが示されているが、任意の個数のヒーター素子を提供することが可能である。たとえば、2〜1000個であるが、典型的には20〜100個の範囲内である。ヒーター素子125、126、127、及び128は、任意の好適な導電体、安定金属、合金フィルム、又は他の材料を用いて製造可能である。ヒーター素子125、126、127、及び128は、図14及び15に示されるように、薄型、低熱質量、低面内熱伝導のメンブレン又は支持部材124上に提供される。
【0055】
基板130は、図15に示されるように、サンプル流体ストリーム111を収容するためのチャネル132を有する明確に規定された単一チャネルのフェーズドヒーター機構131を有する。チャネルは、支持部材124の近傍のシリコンチャネルウェーハ基板130を選択的にエッチングすることにより製造可能である。チャネルは、入口ポート133及び排気ポート134を含んでいる。
【0056】
センサー装置110は、流動するサンプル流体111に暴露されるようにいくつかの相互作用素子をチャネル132の内部に含んでいる。各相互作用素子は、対応するヒーター素子に隣接して、すなわち、できるかぎり密着させて、位置決めされる。たとえば、図15において、相互作用素子135、136、137、及び138は、それぞれ、ヒーター素子125、126、127、及び128に隣接させて、チャネル132中の支持部材124の表面上に提供される。本具体例には示されていない追加の相互作用フィルム素子を有する他のチャネルを存在させてもよい。相互作用素子は、液体又はガスクロマトグラフィーで一般に使用される任意の数のフィルムから形成可能である。さらに、さまざまな極性度及び/又は疎水性度を達成して標的検体の最適な吸着及び/又は分離を達成すべく、以上の相互作用物質を好適なドーパントにより改変可能である。
【0057】
コントローラー119は、図14に示されるように、ヒーター素子125、126、127、及び128並びに検出器115及び118のそれぞれに電気的に接続される。コントローラー119は、ヒーター素子125、126、127、及び128にタイムフェーズ順にエネルギーを供給する(図16の下端を参照されたい)と、その結果として、対応する相互作用素子135、136、137、及び138のそれぞれは、1個以上の上流相互作用素子により生成された上流濃縮(コンセントレーション)パルスが相互作用素子に到達する時点近傍で加熱状態になり、選択された成分を流動するサンプル流体111中に脱離させる。濃縮パルス中で成分ガスの所望の濃度を達成すべく、任意の個数の相互作用素子を使用可能である。検出及び分析のために、得られた濃縮パルスを検出器118に提供する。
【0058】
図16は、各ヒーター素子で生成された対応する濃縮パルスと共に例示的な相対ヒーター温度を示したグラフである。上述したように、コントローラー119は、電圧シグナル150を用いてタイムフェーズ順にヒーター素子125、126、127、及び128にエネルギーを供給する。ヒーター素子125、126、127、及び128のタイムフェーズされたヒーター相対温度は、温度プロファイルにより、すなわち、それぞれ、線151、152、153、及び154により示される。
【0059】
示された例では、コントローラー119(図14)は、最初に第1のヒーター素子125にエネルギーを供給して、図16の線151に示されるようにその温度を上昇させる。第1のヒーター素子125が第1の相互作用素子135に熱的に結合されるので(図15)、他のヒーター素子にパルスが印加されないのであれば、第1の相互作用素子は、選択された成分を流動するサンプル流体111中に脱離させて、ヒーター素子125で第1の濃縮パルス161を生成する(図16)。流動するサンプル流体111は、矢印162により示されるように、第2のヒーター素子126に向かって下流に第1の濃縮パルス161を移送する。
【0060】
コントローラー119は、次に、素子125へのエネルギーパルスが停止された時点又はその前から始めて、第2のヒーター素子126にエネルギーを供給し、線152に示されるようにその温度を上昇させる。第2のヒーター素子126が第2の相互作用素子136に熱的に結合されるので、第2の相互作用素子もまた、選択された成分を流動するサンプル流体111中に脱離させて、第2の濃縮パルスを生成する。コントローラー119は、第2のヒーター素子126にエネルギーを供給すると、その結果として、第2の濃縮パルスは、図16に示されるように、第1の濃縮パルス161に実質的に重なり、より高い濃度のパルス163を生成する。流動するサンプル流体111は、矢印164により示されるように、第3のヒーター素子127に向かって下流に、より大きい濃縮パルス163を移送する。
【0061】
コントローラー119は、次に、第3のヒーター素子127にエネルギーを供給して、図16の線153に示されるようにその温度を上昇させる。第3のヒーター素子127が第3の相互作用素子137に熱的に結合されるので、第3の相互作用素子137は、選択された成分を流動するサンプル流体中に脱離させて、第3の濃縮パルスを生成する。コントローラー119は、第3のヒーター素子127にエネルギーを供給すると、その結果として、第3の濃縮パルスは、第1及び第2のヒーター素子125及び126により提供されたより大きい濃縮パルス163に実質的に重なり、さらに大きい濃縮パルス165を生成する。流動するサンプル流体111は、矢印166により示されるように、「第Nの」ヒーター素子128に向かって下流に、このより大きい濃縮パルス165を移送する。
【0062】
コントローラー119は、次に、「第Nの」ヒーター素子128にエネルギーを供給して、線154に示されるようにその温度を上昇させる。「第Nの」ヒーター素子128が「第Nの」相互作用素子138に熱的に結合されるので、「第Nの」相互作用素子138は、選択された成分を流動するサンプル流体111中に脱離させて、「第Nの」濃縮パルスを生成する。コントローラー119は、「第Nの」ヒーター素子128にエネルギーを供給すると、その結果として、「第Nの」濃縮パルスは、前の第N−1の相互作用素子により提供されたより大きい濃縮パルス165に実質的に重なる。流動するサンプル流体は、得られた「第Nの」濃縮パルス167をセパレーター102又は検出器118のいずれかに移送する。
【0063】
本明細書で使用される用語としては、CCD(電荷結合デバイス)、MDD(マイクロ放電デバイス)、及びPD(光検出器)が挙げられる。記号としては、A(開口度又はfナンバー、N・g/f=W/f)、d(μm単位の距離(光源と格子との間))、Di(nm(波長)/μm(長さ)単位のPD−CCDアレイ上のイメージの波長分散)、Dg(格子により生成される光の分散、Dg=(λ2−λ1)/(s2−s1)=(λ2−λ1)/{f・(sinδ2−sinδ1)}=g/(f・n))、f(格子とPD−CCDアレイとの間の距離、凹面格子の焦点距離、及びローランド円の直径)、g(nm単位の格子溝中心間間隔)、N(格子溝の数)、Np(PD−CCDアレイ中のピクセル素子の数)、p(μm単位のピクセルサイズ)、s(PD−CCD平面上の空間変数、s2−s1はλ2−λ1に対応する)、sw(PD−CCD表面の上方のMDD光源の支持体の厚さ)、W(格子の幅)、δ(格子に入射する光線と格子から出射する光線とのなす角度、すなわち、図5及び図2に定義される回折角、δ=arcsin{(sw/f)0.5})、Δλ(nm単位の各ピクセルによりカバーされる波長領域)、及びλ(nm単位の波長、λ1=使用領域の最小波長及びλ2=最大波長)が挙げられる。
【0064】
本明細書中、内容の一部は、仮定的もしくは予測的な性質を有するものであるが、他の形式又は時制で記載されていることもある。
【0065】
少なくとも1つの具体例を参照して本発明について説明してきたが、本明細書を読めば、多くの変形態様及び変更態様が当業者に自明なものとなろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような変形態様及び変更態様をすべて含めて先行技術に照らしてできるかぎり広義に解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(a)及び(b)は、マルチウェーハ分光計の具体例の縁部断面図及び上面図である。
【図2】小型分光計で使用される格子の例を示す図である。
【図3】燃焼機関の排気ガス中の特定成分の監視及び定量を行うためのIR波長域、可視波長域、及びUV波長域の波長発光帯域の表を示す図である。
【図4】分光計設計の仕様を記した表を示す図である。
【図5】(a)及び(b)は、マルチウェーハ分光計の他の具体例の側面断面図及び上面図である。
【図6】外部光源を備えた分光計の具体例の側面断面図である。
【図7】種々のシミュラントの一般的なクロマトグラフィー溶出時間のグラフを示す図である。
【図8】(a)及び(b)は、凹面格子の製造工程での断面図を示す。
【図9】マイクロラマン分光計の具体例を示す図である。
【図10】いくつかのラマンスペクトル線のグラフを示す図である。
【図11】表面増強ラマン分光計の具体例を示す図である。
【図12】表面増強ラマン分光計の具体例を示す図である。
【図13】分光計と組み合わせて使用しうる流体アナライザーの具体例を示す図である。
【図14】分光計と組み合わせて使用しうる流体アナライザーの具体例を示す図である。
【図15】分光計と組み合わせて使用しうる流体アナライザーの具体例を示す図である。
【図16】分光計と組み合わせて使用しうる流体アナライザーの具体例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウェーハ(11)と、
前記第1のウェーハ上に位置し、第1のチャネル(13)と第2のチャネル(13)とを有する第2のウェーハ(12)と、
前記第1のチャネルの第1の端に位置する光源(17)と、
前記第1のチャネルの第2の端及び前記第2のチャネルの第1の端に位置するリフレクター(14)と、
前記第2のチャネルの第2の端に位置する検出器アレイ(19)と、
を含み、
前記光源、前記リフレクター、及び前記検出器アレイが、平面内の円(15)の円周の近傍に位置する、光学分光計。
【請求項2】
前記リフレクター(14)が格子である、請求項1に記載の分光計。
【請求項3】
前記円(15)がローランド円である、請求項1に記載の分光計。
【請求項4】
第1のウェーハ(32)と、
前記第1のウェーハ上に位置する検出器(19)と、
前記第1のウェーハ上に位置し、前記検出器の近傍に第1の開口を有し、かつ光源(17)を有する第2のウェーハ(34)と、
前記第2のウェーハ上に位置し、前記第1の開口とほぼ位置合わせされた第2の開口を有し、かつ前記第1の開口及び前記第2の開口と交差するチャネルを有する第3のウェーハ(33)と、
前記第3のウェーハ上に位置し、かつ前記第2の開口に近接して位置するリフレクター格子(14)を有する第4のウェーハ(31)と、
を含む分光計。
【請求項5】
前記光源(17)が、光の供給源に結合された他端を有する光ファイバー(27)の端である、請求項4に記載の分光計。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体の第1の位置にあるウィンドウ(57)と、
前記筐体の第2の位置にあるリフレクター格子(14)と、
前記筐体の第3の位置にある検出器(19)と、
前記ウィンドウ(57)に近接して前記筐体の外部に位置する光源と、
を含み、
光路(16)が、前記光源から前記リフレクター格子(14)までと、前記リフレクター格子から前記検出器(19)までとに延在し、
前記光源、前記リフレクター格子、及び前記検出器が、円(15)の円周に近接して位置する、分光計。
【請求項7】
前記円(15)がローランド円である、請求項6に記載の分光計。
【請求項8】
光源(41)と、
支持体上に位置するフィルム(49)と、
前記フィルムに近接して位置する格子(14)と、
検出器(19)と、
前記格子と前記検出器との間に位置するフィルター(52)と、
を含み、
光路(48)が、前記光源から前記フィルムまでと、前記フィルムから前記格子までと、前記格子から前記フィルターを通って前記検出器までとに延在し、かつ
前記フィルム(49)が、前記光源(41)からの光(48)の入射時にラマン光を放出する、分光計。
【請求項9】
前記光源(41)がVCSELである、請求項8に記載の分光計。
【請求項10】
光源(41)と、
支持体上に位置するフィルム(49)と、
前記光源と前記フィルムとの間に位置するフィルター(53)と、
前記フィルターに近接して位置する格子(55)と、
前記格子に近接する検出器(19)と、
を含み、
光路(48)が、前記光源から前記フィルムまでと、前記フィルムから前記フィルターまでと、前記フィルターから前記格子までと、前記格子から前記検出器までとに延在し、かつ
ラマン光が、前記光源(41)からの光の受容時に前記フィルム(49)から放出される、分光計。
【請求項1】
第1のウェーハ(11)と、
前記第1のウェーハ上に位置し、第1のチャネル(13)と第2のチャネル(13)とを有する第2のウェーハ(12)と、
前記第1のチャネルの第1の端に位置する光源(17)と、
前記第1のチャネルの第2の端及び前記第2のチャネルの第1の端に位置するリフレクター(14)と、
前記第2のチャネルの第2の端に位置する検出器アレイ(19)と、
を含み、
前記光源、前記リフレクター、及び前記検出器アレイが、平面内の円(15)の円周の近傍に位置する、光学分光計。
【請求項2】
前記リフレクター(14)が格子である、請求項1に記載の分光計。
【請求項3】
前記円(15)がローランド円である、請求項1に記載の分光計。
【請求項4】
第1のウェーハ(32)と、
前記第1のウェーハ上に位置する検出器(19)と、
前記第1のウェーハ上に位置し、前記検出器の近傍に第1の開口を有し、かつ光源(17)を有する第2のウェーハ(34)と、
前記第2のウェーハ上に位置し、前記第1の開口とほぼ位置合わせされた第2の開口を有し、かつ前記第1の開口及び前記第2の開口と交差するチャネルを有する第3のウェーハ(33)と、
前記第3のウェーハ上に位置し、かつ前記第2の開口に近接して位置するリフレクター格子(14)を有する第4のウェーハ(31)と、
を含む分光計。
【請求項5】
前記光源(17)が、光の供給源に結合された他端を有する光ファイバー(27)の端である、請求項4に記載の分光計。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体の第1の位置にあるウィンドウ(57)と、
前記筐体の第2の位置にあるリフレクター格子(14)と、
前記筐体の第3の位置にある検出器(19)と、
前記ウィンドウ(57)に近接して前記筐体の外部に位置する光源と、
を含み、
光路(16)が、前記光源から前記リフレクター格子(14)までと、前記リフレクター格子から前記検出器(19)までとに延在し、
前記光源、前記リフレクター格子、及び前記検出器が、円(15)の円周に近接して位置する、分光計。
【請求項7】
前記円(15)がローランド円である、請求項6に記載の分光計。
【請求項8】
光源(41)と、
支持体上に位置するフィルム(49)と、
前記フィルムに近接して位置する格子(14)と、
検出器(19)と、
前記格子と前記検出器との間に位置するフィルター(52)と、
を含み、
光路(48)が、前記光源から前記フィルムまでと、前記フィルムから前記格子までと、前記格子から前記フィルターを通って前記検出器までとに延在し、かつ
前記フィルム(49)が、前記光源(41)からの光(48)の入射時にラマン光を放出する、分光計。
【請求項9】
前記光源(41)がVCSELである、請求項8に記載の分光計。
【請求項10】
光源(41)と、
支持体上に位置するフィルム(49)と、
前記光源と前記フィルムとの間に位置するフィルター(53)と、
前記フィルターに近接して位置する格子(55)と、
前記格子に近接する検出器(19)と、
を含み、
光路(48)が、前記光源から前記フィルムまでと、前記フィルムから前記フィルターまでと、前記フィルターから前記格子までと、前記格子から前記検出器までとに延在し、かつ
ラマン光が、前記光源(41)からの光の受容時に前記フィルム(49)から放出される、分光計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−541134(P2008−541134A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512491(P2008−512491)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/019161
【国際公開番号】WO2007/050123
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/019161
【国際公開番号】WO2007/050123
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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