説明

光学式検査方法

【課題】正反射度の高い立体面の照明飽和領域を減少させた第1映像を獲得し、立体面の周辺領域における格子映像がよく現れた第2映像を獲得した後、第1映像と第2映像とを合成し、この合成映像を基準映像と比較して、立体形状の形成されている検査対象の欠陥有無を判断することによって正確な映像を獲得する光学式検査方法を提供すること。
【解決手段】立体形状の形成されている検査対象物に格子縞を投影させ、該検査対象物の形状にしたがって変形された光を基準パターンと比較して検査対象物の欠陥有無を検査する光学式検査方法において、検査対象物の立体面の正反射度を下げて飽和領域が減少するように照明値を調節して第1映像を獲得する段階(S100)と、検査対象物における立体面の周辺領域に格子縞が明確に現れるように照明値を調節して第2映像を獲得する段階(S200)と、第1映像と第2映像とを合成する段階(S300)と、合成映像の分析を通じて検査対象物の不良有無を判断する段階(S400)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式検査方法に係り、より詳細には、段差の形成されている検査対象物の正反射面における映像正確度が低下する問題点を解決するために、正反射面の正反射度を下げた映像と正反射面周辺の格子面がよく現れた周辺映像をそれぞれ獲得しこれらを用いることによって測定映像の正確度、すなわち精度を向上させる光学式検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体メモリモジュールのように任意の形状を有する各種部品は、製造状態を確認するために、寸法、形状、表面照度の精密度を測定しなければならない。
そこで、最近では、3次元立体形状を測定するために、光源から発生する光を基準パターン化して測定物に投影し、この測定物の形状にしたがって変形される光を基準パターンと比較することによって測定物の形状を測定する光学式3次元立体形状測定方法が用いられている。
【0003】
このような光学式3次元立体形状検査方法は、高速、高精密、非接触の測定が要求されるが、このような条件に合う3次元立体形状測定方法の一つとしてモアレ(Moire)縞を用いた光学式3次元立体形状測定方式が提案されている。
【0004】
モアレ縞とは、二つ以上の周期的なパターンが重なる時に発生する干渉縞のことをいい、モアレ方式は、モアレ縞を形成する方法によってシャドウモアレ(Shadow Moire)と投影モアレ(Projection Moire)とに分類される。
【0005】
投影モアレは、光を照射して測定対象物に格子パターンを投影し、物体の形状にしたがって変形された格子イメージを、投影した格子と同じピッチを有する基準格子に重ね合わせることによってモアレ縞を得る方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、このような光学式立体形状測定方法では、立体面の正反射によって正反射面の映像を正確に獲得し難いという問題点があった。
【0007】
例えば、BGAパッケージを検査する場合、BGAパッケージはボール(Ball)の中央ラウンド面で反射が激しいので、中央ラウンド面における映像を正確に獲得することが困難である。
【0008】
かかる問題点を解決するために、フィルタや光量の調節を通じて正反射面の正反射度を減らして映像を獲得する方法を用いることもできるが、この場合、正反射度の高い立体面における格子縞は正確に現れるが、その周辺領域には格子縞がよく現れず、測定正確度が劣化するという問題点があった。
【0009】
よって、本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、正反射度の高い立体面の照明飽和領域を減少させた第1映像を獲得し、続いて、立体面の周辺領域における格子映像がよく現れた第2映像を獲得した後、第1映像と第2映像とを合成し、この合成映像を基準映像と比較して、立体形状の形成されている検査対象物の欠陥有無を判断することによって正確な映像を獲得する光学式検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る光学式検査方法は、立体形状の形成されている検査対象物に格子縞を投影させ、該検査対象物の形状にしたがって変形された光を基準パターンと比較して検査対象物の欠陥有無を検査する光学式検査方法であって、前記検査対象物における立体面の正反射度を下げるとともに飽和領域が減少するように照明値を調節して第1映像を獲得する段階と(S100)、前記検査対象物における立体面の周辺領域に格子縞が明確に現れるように照明値を調節して第2映像を獲得する段階と(S200)、前記第1映像および第2映像を合成する段階と(S300)、前記合成映像を分析して検査対象物の不良有無を判断する段階(S400)とを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による光学式検査方法を示すフローチャート。
【図2】本発明の実施例による光学式検査方法に用いられる光学式検査システムを示す構成図。
【図3】本発明による光学式検査方法によって立体面の飽和度を減少させた写真。
【図4】本発明による光学式検査方法によって立体面の周辺領域の飽和度を減少させた写真。
【図5】本発明による光学式検査方法によって獲得された映像の合成映像を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、添付の図面を参照して後述される好適な実施例からより明らかになる。以下では、当業者が本発明を容易に理解して具現できるように本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明による光学式検査方法を示すフローチャートである。図1に示すように、本発明は、立体形状の形成されている検査対象物に格子縞を投影させ、該検査対象物の形状によって変形された光を基準パターンと比較して検査対象物の欠陥有無を検査する光学式検査方法であって、検査対象物の立体面の正反射度が下がるように照明値を調節して第1映像を獲得する段階(S100)と、検査対象物の立体面の周辺領域に格子縞が明確に現れるように照明値を調節して第2映像を獲得する段階(S200)と、第1映像と第2映像とを合成する段階(S300)と、該合成映像を分析して検査対象物の不良有無を判断する段階(S400)とを含んでなる。
【0014】
ここで、第1映像と第2映像を獲得する際の照明値の調節は、単一照明を用いて光量を調節したり、特定のバンドパスフィルタを用いて飽和領域を減少させたりして行うことができる。
【0015】
特定のバンドパスフィルタを用いる照明値の調節では、カラーフィルタまたは偏光フィルタを用いることができる。
【0016】
これら第1映像と第2映像の獲得に当たって照明値の調節を光量調節とする場合、第1映像は、第2映像を獲得するために照射される光量よりも少ない光量を照射して獲得することが好ましい。
【0017】
図2は、本発明の実施例による光学式検査方法に用いられる光学式検査システムを示す構成図であり、同図の光学式検査システムは、照明手段1と、検査対象物2と撮影手段3と、分析手段4とからなる。
【0018】
照明手段1は、検査すべき検査対象物2に光を照射する手段で、光源11、バンドパスフィルタ12、格子手段13、光源11からの光を集光する投影光学系14、及び、反射ミラー15などで構成することができる。
【0019】
バンドパスフィルタは、カラーフィルタまたは偏光フィルタとすることができる。
【0020】
検査対象物2は、例えば、ボール(Ball)の形成されている半導体パッケージなどとすることができ、図示してはいないが、搬送手段により搬送されて検査テーブルに載置される。
【0021】
撮影手段3は、検査対象物2の表面から反射される映像を撮像する素子で、CCDカメラ32と、CCDカメラ32に光を集光させるイメージ光学系31とで構成され、CCDカメラ32に撮像された映像を分析手段4に伝送する。
【0022】
分析手段4は、撮影手段3で撮像された映像アナログ信号をフレーム取込み器(frame grabber)を用いてデジタル信号に変換して入力すると、この信号を分析し、分析された映像と既設定された基準映像とを比較し、該当の検査対象物2の不良有無を判断するコンピュータとすることができる。
【0023】
このような光学式検査システムを用いた検査方法について簡略に説明すると、下記の通りである。ここでは、検査対象物2を、ボール(Ball)の形成されている半導体パッケージとして説明する。
【0024】
まず、図3を参照すると、検査テーブルに載置されている検査対象物2の立体面、すなわち、正反射が多く起きる部分の正反射点が生じないように、(A)に示すように照明値を調節し、CCDカメラ32で撮像される映像を獲得して、(B)及び(C)に示すように、位相マップ(Phase Map)と可視マップ(Visibility Map)をそれぞれ描く。
【0025】
この場合、照明値の調節は、光源11から発生する光量の調節またはバンドパスフィルタ12の調節とすればいい。
【0026】
そして、図4を参照すると、立体面の周辺領域における格子映像がよく現れたように(A)に示すように照明値を調節し、CCDカメラ32で撮像された映像を獲得して、(B)及び(C)に示すように位相マップと可視マップをそれぞれ描く。
【0027】
その後、分析手段4を用いて、可視度の良好な立体面映像を見つけて第1映像として選択し、可視度の良好な立体面の周辺領域の映像を見つけて第2映像として選択し、各映像の位相マップを計算し、続いて、各映像の位相マップを図5に示すように合成した後、合成映像を分析して検査対象物の欠陥有無を判断する。
【0028】
この時、検査対象物2の撮影映像と基準映像を用いた欠陥有無の判断方法は公知のもので、当該技術分野における当業者には自明であるから、その具体的な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
上述の如く、本発明は、検査対象物における立体面の輝く部分による正反射点が生じないように光量またはバンドパスフィルタを用いて照明値を調節することによって照明飽和領域の低減した立体面の映像を獲得し、立体面周辺の格子映像がよく現れるように光量またはフィルタを用いて照明値を調節して周辺領域の映像を獲得した後、獲得された映像のうち、可視度の良好な映像を選択してそれらを合成した後、この合成映像と基準映像とを比較して検査対象物の欠陥有無を判断し、これにより、立体面の正反射から起因する検査正確度の低下問題を解消し、検査信頼度を向上させることができる。
【0030】
以上では添付の図面に基づいて好適な実施例に上げて本発明を説明してきたが、本発明は具体的な実施例に限定されず、本発明の範ちゅうを逸脱しない限度内で様々に変形実施可能であるということは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとっては明らかである。したがって、本発明の範ちゅうは、様々な変形例を含むように記述された特許請求の範囲によって解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0031】
1 ・・・照明手段
2 ・・・検査対象物
3 ・・・撮影手段
4 ・・・分析手段
11 ・・・光源
12 ・・・バンドパスフィルタ
13 ・・・格子手段
14 ・・・投影光学系
15 ・・・反射ミラー
31 ・・・イメージ光学系
32 ・・・CCDカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体形状の形成されている検査対象物に格子縞を投影させ、該検査対象物の形状にしたがって変形された光を基準パターンと比較して検査対象物の欠陥有無を検査する光学式検査方法であって、
前記検査対象物における立体面の正反射度を下げるとともに飽和領域が減少するように照明値を調節して第1映像を獲得する段階と(S100)、
前記検査対象物における立体面の周辺領域に格子縞が明確に現れるように照明値を調節して第2映像を獲得する段階と(S200)、
前記第1映像および第2映像を合成する段階と(S300)、
該合成映像を分析して検査対象物の不良有無を判断する段階(S400)とを含むことを特徴とする光学式検査方法。
【請求項2】
前記第1映像及び第2映像の獲得のための照明値の調節が、光量調節であることを特徴とする請求項1に記載の光学式検査方法。
【請求項3】
前記第1映像が、前記第2映像の獲得時に照射される光量よりも少ない光量を照射して獲得されることを特徴とする請求項2に記載の光学式検査方法。
【請求項4】
前記第1映像及び第2映像の獲得のための照明値の調節が、バンドパスフィルタを用いて飽和領域を減少させることによって実行されることを特徴とする請求項1に記載の光学式検査方法。
【請求項5】
前記バンドパスフィルタが、カラーフィルタまたは偏光フィルタであることを特徴とする、請求項4に記載の光学式検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−540955(P2010−540955A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527864(P2010−527864)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004807
【国際公開番号】WO2009/044944
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(509327909)インテクプラス カンパニー、リミテッド (4)
【Fターム(参考)】