説明

光学異方性パラメータ測定装置

【課題】
異方性の小さい測定対象物でも試料ステージや試料の微細パターンによる散乱光の影響を受けることなく、SMP法と同様の手法で、高精度で光学異方性パラメータを簡単に測定できる差動SMP法を提案する。
【手段】
測定対象物(2)の測定面に対してP偏光又はS偏光のいずれか一方の方向を基準方向とし、入射光と測定光の一方を基準方向に振動する直線偏光とし、入射光と測定光の他方を基準方向に対して±δ(δ≠nπ/2、nは整数)の方向に振動する一対の直線偏光とし、その一対の直線偏光に対応する二種類の測定光の光強度を測定し、得られた二つの光強度データの差分を表す差分データに基づいて光学異方性パラメータを測定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光を用いて測定対象物の光学軸の方向、傾斜角、異方性の大きさなどの光学異方性パラメータを測定する光学的異方性パラメータ測定方法及び測定装置に関し、特に、液晶配向膜の検査等に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、表面に透明電極及び配向膜を積層した裏側ガラス基板と、表面にカラーフィルタ、透明電極及び配向膜を積層形成した表側ガラス基板が、スペーサを介して配向膜同士を向かい合わせ、その配向膜の隙間に液晶を封入した状態で封止されると共に、その表裏両側に偏光フィルタが積層された構造と成っている。
【0003】
ここで、液晶ディスプレイが正常に動作するためには液晶分子が均一に同一方向に配列されている必要があり、配向膜が液晶分子の方向性を決定する。
この配向膜が液晶分子を整列させることができるのは、一軸性光学的異方性を有しているからであり、配向膜がその全面にわたって均一な一軸性光学的異方性を有していれば液晶ディスプレイに欠陥を生じにくく、光学的異方性の不均一な部分が存在すれば液晶分子の方向が乱れるため液晶ディスプレイが不良品となる。
すなわち、配向膜の品質はそのまま液晶ディスプレイの品質に影響し、配向膜に欠陥があれば液晶分子の方向性が乱れるため、液晶ディスプレイにも欠陥を生ずることになる。
【0004】
したがって、液晶ディスプレイを組み立てる際に、予め配向膜の欠陥の有無を検査して品質の安定した配向膜のみを使用するようにすれば、液晶ディスプレイの歩留りが向上し、生産効率が向上する。
このため従来よりエリプソメータなどを用いて、配向膜について、異方性パラメータとなる光学軸の方向、傾斜角(極角)、膜厚等を測定し、その配向膜の光学的異方性を評価することにより、欠陥の有無を検査する方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、エリプソメータによる測定は精度が高いものの時間と手間がかかり、製造ラインで簡単に検査することができるものではなかった。
そこで本出願人は、エリプソメータを用いるまでもなく、偏光を照射したときの反射光強度変化に基づいて、SMP法により、配向方位や傾斜角などを簡単に測定できる技術を提案した。
【特許文献1】特開2006−226995号公報
【0006】
これによれば、反射光に含まれる特定方向の偏光成分の極大値及び極小値が得られる方向に基づいて、配向方位や傾斜角を検出することができる。
しかしながら、その後の実験により、当該装置で測定を行う場合、測定の高速化は図れるものの、試料ステージや試料の微細パターンによる散乱光の影響により、特に異方性の小さい測定対象物においては精度の高い測定を行うことは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、偏光を利用して膜厚、屈折率及び屈折率異方性などの光学的パラメータを測定する際に、異方性の小さい測定対象物でも試料ステージや試料の微細パターンによる散乱光の影響を受けることなく、SMP法と同様の手法で、高精度で光学異方性パラメータを簡単に測定できる差動SMP法を提案することを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明は、直線偏光を異方性測定対象物への入射光として複数の方位から照射し、その反射光に含まれる直線偏光成分のうち特定方向の直線偏光を測定光としてその光強度を測定することにより、光学軸の方向、傾斜角、異方性の大きさなどの光学異方性パラメータを測定する光学異方性パラメータ測定方法において、
前記測定対象物の測定面に対してP偏光又はS偏光のいずれか一方の方向を基準方向とし、
前記入射光と測定光の一方を前記基準方向に振動する直線偏光とし、
前記入射光と測定光の他方を前記基準方向に対して±δ(δ≠nπ/2、nは整数)の方向に振動する一対の直線偏光とし、
前記一対の直線偏光に対応する二種類の測定光の光強度を測定し、
得られた二つの光強度データの差分を表す差分データに基づいて光学異方性パラメータを測定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、P偏光の方向を基準方向としたときに、基準方向に対して+δ(δ≠nπ/2、nは整数)の方向に振動する直線偏光(+δ偏光)を複数の方位から測定対象物に入射させ、その反射光のS偏光の光強度M+δを測定する。
次いで、基準方向に対して−δの方向に振動する直線偏光(−δ偏光)を複数の方位から測定対象物に入射させ、その反射光のS偏光の光強度M−δを測定する。
測定された反射光強度M+δ及びM−δにはノイズNが含まれており、そのノイズNは、偏光方向に関係なく一定であると考えられるから、ノイズを除いた反射光強度R+δ及びR−δは、次式で表わされる。
+δ=M+δ−N………………(1)
−δ=M−δ−N………………(2)
したがって、測定された反射光強度M+δ及びM−δの差分を取れば、次式に示すようにノイズ成分をキャンセルすることができる(差動SMP法)。
D=M+δ−M−δ=(R+δ+N)−(R−δ+N)=R+δ−R−δ
【0010】
なお、単に差を取った場合は、入射光の方位によって負の値にも成り得る。実験によればD=0の部分が、SMP法により測定した場合の極小値となり、Dの極値がSMP法により測定したときの極大値を取る。
このため、Dを二乗し、これを差分データとして用いれば、差分データはすべて正の値をとり、その波形も、SMP法により測定した波形と対応し、その結果に基づいて異方性パラメータを測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る光学異方性パラメータ測定方法は、異方性の小さい測定対象物でもノイズ影響を受けることなく高精度で測定できるようにするという目的を達成するため、
測定対象物の測定面に対してP偏光又はS偏光のいずれか一方の方向を基準方向としたときに、入射光と測定光の一方を基準方向に振動する直線偏光とし、前記入射光と測定光の他方を基準方向に対して±δ(δ≠nπ/2、nは整数)の方向に振動する一対の直線偏光とし、一対の直線偏光に対応する二種類の測定光の光強度を測定し、得られた二つの光強度データの差分を表す差分データに基づいて光学異方性パラメータを測定するようにした。
【0012】
図1は本発明方法に使用する光学異方性パラメータ測定装置を示す説明図、図2は各測定点とCCDカメラの画素の関係を示す説明図、図3はノイズを含んだ反射光強度M+δ及びM−δの測定結果を示すグラフ、図4はノイズを除去した反射光強度R+δ及びR−δの差Dの算出結果を示すグラフ、図5は差分データDの算出結果を示すグラフである。
【実施例1】
【0013】
図1に示す光学異方性パラメータ測定装置1は、ステージ2上に置かれた試料(異方性測定対象物)3に対して直線偏光を入射光として照射する照射光学系4と、その反射光に含まれる直線偏光成分のうち特定方向の直線偏光を測定光としてその光強度を測定する測定光学系5と、その測定結果に基づいて光学異方性パラメータを算出する演算処理装置6とを備え、各光学系4及び5がステージ2上に立てられた垂線を回転軸としてステージ2に対して相対的に回転可能に設置されている。
【0014】
本例では、照射光学系4及び測定光学系5は、モータ11により回転される回転テーブル7に取り付けられ、各光学系4及び5の照射光軸LIR及び測定光軸LRFがその回転軸7xに対して等角的に交差するように配されている。
回転テーブル7は、その回転軸7xがステージ2上に立てられた垂線と一致するように配され、回転軸7xの傾きを調整するあおり調整機構12、各光学系4及び5の光軸の交点の高さを試料3に一致させるZテーブル(高さ調整機構)13、各光学系4及び5の夫々の光軸の交点の位置を任意の測定点Mに一致させるXYテーブル(XY移動機構)14を備えている。
【0015】
また、回転テーブル7の中心には、回転軸7xと同軸的に光軸が配されたあおり検出用撮像装置15が配されている。
この撮像装置15には、ステージ2に向ってレーザ光を同軸落射させる光源装置(図示せず)が内蔵され、試料3で反射されたレーザ光を撮像できるようになっている。
これにより、回転テーブル7の回転軸7xが傾斜していない場合は、回転テーブル7を回転させても反射光の受光点が移動しないので、あおりがないと判断できる。また、回転テーブル7の回転軸7xが傾斜している場合は、回転テーブル7を回転させたときにあおりを生じ、反射光の受光点が一定せず閉曲線の軌跡を描くので、この軌跡からあおり量を検出することができる。
【0016】
照射光学系4は、試料2へ照射する照射光軸LIRに沿って、波長632.8nm、光強度25mWのHe−Neレーザ21と、そのレーザ光を所定のスポット形状に拡径又は拡幅して平行化するコリメータレンズ22と、その平行光束を偏光化して直線偏光を照射する偏光子23を備えている。
偏光子23は、試料2の測定面に対してP偏光の方向を基準方向としたときに、その基準方向に対して±δ(δ≠nπ/2、nは整数)の方向に振動する一対の直線偏光を出力する二つの方向に調整可能に配されたグラントムソンプリズム(消光比10―6)からなり、偏光子23の方向を調整することにより一対の直線偏光を出力できる。
【0017】
測定光学系5は、その測定光軸LRFが、前記レーザ21から照射されて試料2で反射された反射光の光軸と一致するように配され、その光軸LRFに沿って、検光子24、波長選択フィルタ25、2次元CCDカメラ26が配されている。
これにより、試料3上の測定エリアAに含まれる複数の測定点Mijからの反射光強度を同時に測定することができる。
【0018】
CCDカメラ26は、複数の測定点における反射光強度を同時に測定する。
図2(a)は回転前の測定エリアA内の測定点Mij(i,j=1〜10)を示す。
図2(b)は光学系4及び5を所定角度回転させたときの画像を示すもので,各測定点Mijを極座標Mij=(r,α)で表わせば、回転テーブル12が角度γだけ回転したときのMijの位置はMij=(r,α+γ)で表わされる。
したがって、Mij=(r,α+γ)に対応するCCDカメラ26の画素領域で反射光強度を測定すればよい。
したがって、偏光子23を+δ側に位置決めして直線偏光を試料3に照射させた状態で、テーブル12を一回転するだけで、測定エリア内の各測定点について同時に入射方位に応じた反射光強度R+δを測定することができ、次いで、偏光子23を−δ側に位置決めして、テーブル12を再度一回転するだけで、測定エリア内の各測定点について同時に入射方位に応じた反射光強度R−δを測定することができる。
【0019】
そして、このように測定された反射光強度データM+δ、M−δが演算装置27に入力される。
測定された反射光強度M+δ及びM−δにはノイズNが含まれており、そのノイズNは、偏光方向に関係なく一定であると考えられるから、ノイズを除いた反射光強度R+δ及びR−δは、次式で表わされる。
+δ=M+δ−N………………(1)
−δ=M−δ−N………………(2)
したがって、測定された反射光強度M+δ及びM−δの差Dを取れば、次式に示すようにノイズ成分をキャンセルすることができる(差動SMP法)。
D=M+δ−M−δ=(R+δ+N)−(R−δ+N)=R+δ−R−δ
【0020】
なお、単に差を取った場合、Dの値は入射光の方位によって負の値になる。実験によればD=0の部分が、SMP法により測定した場合の極小値となり、Dの極値がSMP法により測定したときの極大値を取る。
このため、Dを二乗し、これを差分データとして用いれば、差分データはすべて正の値をとり、その波形も、SMP法により測定した波形と対応する。
=(R+δ−R−δ
【0021】
以上が本発明に係る光学異方性パラメータ測定装置の一構成例であって、次に、この装置を用いた光学異方性パラメータ測定方法について説明する。
光学異方性測定対象物となる試料3をステージ2にセットし、あおり調整を行った後、反射光強度が最大となるようにZテーブル13で、高さ調整を行う。
【0022】
この状態で、偏光子23を+δ(本例では+0.2°)の位置にセットして、照射光学系4からP偏光に対して+δの方向に振動する直線偏光を照射させると、測定光学系5では、これに対応するS偏光が測定光としてCCDカメラ26に入射されて、その反射光強度M+δが測定される。
図3(a)は、測定エリアA内の一測定点における反射光強度M+δの測定結果の例を示すグラフである。
【0023】
次いで、偏光子23を−δ(本例では−0.2°)の位置にセットして、照射光学系4からP偏光に対して−δの方向に振動する直線偏光を照射させると、測定光学系5では、これに対応するS偏光が測定光としてCCDカメラ26に入射されて、その反射光強度M−δが測定される。
図3(b)は、測定エリアA内の一測定点における反射光強度M−δの測定結果の例を示すグラフである。
【0024】
測定された反射光強度M+δ及びM−δにはノイズNが含まれており、そのノイズNは、偏光方向に関係なく一定であると考えられるから、得られたデータを演算処理装置6に入力し、D=M+δ−M−δを算出すると、ノイズを除いた反射光強度R+δ及びR−δの差が算出される(差動SMP法)。
D=M+δ−M−δ=(R+δ+N)−(R−δ+N)=R+δ−R−δ
図4は、このデータDを示すグラフである。
ここで、単に差を取ったデータDは、入射光の方位によって負の値もとる。実験によればD=0の部分が、SMP法により測定した場合の極小値となり、Dの極値がSMP法により測定したときの極大値に対応する。
そこで、Dを二乗し、これを差分データとして用いれば、差分データはすべて正の値をとり、その波形も、SMP法により測定した波形と対応する。
図5は差分データDを示すグラフである。
【0025】
SMP法によれば、光学異方性を有する試料3について、入射方向を0〜360°まで変化させたときに検出される反射光強度変化は、二つの最大ピークΛ及びΛと、二つの中間ピークΛ及びΛが存在し、各ピークΛ〜Λの間に光強度が0となる極小ポイントV〜Vとなる角度が存在する(図5参照)。
二つの最大ピークΛ及びΛの間の極小ポイントVと、二つの中間ピークΛ及びΛの間の極小ポイントVは試料2上の測定点の光学軸方向を示し、その差は180°となる。
したがって、差動SMP法においても同様に、光学軸の方向は、二つの最大ピークΛ及びΛの間の極小ポイントVと、二つの中間ピークΛ及びΛの間の極小ポイントVにより決定できる。
【0026】
また、反射光強度が最大ピークΛとこれに隣接する中間ピークΛに挟まれた極小ポイントVの方向、反射光強度が最大ピークΛとこれに隣接する中間ピークΛに挟まれた極小ポイントVの方向に基づいてその測定点における光学軸の傾斜角θを既知の計算式により算出できる。
【0027】
さらに、異方性の大きさは、一つの測定点における配向分布の均一性を示す値であるが、配向方向が揃っているほど異方性が大きいということができ、異方性が大きいほど、図5に示すグラフの最大ピークの高さが高い。
したがって、最大ピークの高さに基づいて異方性の大きさを測定することができる。
【0028】
本例では、CCDカメラ26で反射光強度を測定しているので、試料3上の多数の測定点における光学軸の方向、傾斜角、異方性の大きさを同時に測定することができ、これらの分布状態も迅速に測定することができる。
【0029】
なお、上述の説明では、試料3に照射した平行光束の反射光を二次元CCDカメラ26で受光することにより複数点の反射光強度を同時に測定する場合について説明したが、一つの測定点についてのみ測定する場合は、光電子倍増管等を用いることもできる。
また、測定に用いる光は、光は可視光だけでなく、紫外光〜テラヘルツ光までのいずれの波長の光を用いても良く、また、偏光子、検光子、検出器は、使用する光の波長に適したものを使えばよい。
【0030】
基準方向は、P偏光の方向に限らず、S偏光の方向でも同様である。
また、偏光子23を±δに調整可能とし、検光子24を固定化して測定する場合について説明したが、偏光子23を固定化し、検光子24を±δに調整可能とする場合であっても良い。
すなわち、P±δ(S±δ)方向の直線偏光を入射光としS偏光を測定光とする場合に限らず、P±δ(S±δ)方向の直線偏光を入射光としP偏光を測定光とする場合、S偏光を入射光としP±δ(S±δ)方向の直線偏光を測定光とする場合、P偏光を入射光としP±δ(S±δ)方向の直線偏光を測定光とする場合のいずれであってもよい。
【0031】
偏光子23及び検光子24としては、グラントムソンプリズムのような透過型の偏光素子に限らず、反射型の偏光素子を用いても良い。
例えば、平面反射板にブリュースター角で光を入射させるとS偏光しか出力されないので、この光学系を光軸方向に回転させることにより、試料3に対してP偏光、S偏光、P±δ(S±δ)方向の直線偏光など任意の偏光を出力することができるのでこれを偏光子として使用することができ、同様に、検光子として用いることもできる。
また、反射面に金属薄膜を形成したプリズムに共鳴角で光を入射させるとS偏光しか出力されないので、平面反射板と同様に、偏光子及び検光子として使用することができる。
【0032】
複数の方位から測定するために、照射光学系4及び測定光学系5を設けたテーブル7を回転させる場合について説明したが、これらを固定してステージ2を回転させる場合であっても良い。
また、予め複数の方位から照射する複数の測定光学系とその反射光強度を測定する複数の測定光学系を、所定角度間隔で配しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、光学異方性を有する製品、特に、液晶配向膜の品質検査などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る光学的異方性パラメータ測定装置の一例を示す説明図。
【図2】各測定点とCCDカメラの画素の関係を示す説明図。
【図3】ノイズを含んだ反射光強度M+δ及びM−δの測定結果を示すグラフ。
【図4】ノイズを除去した反射光強度R+δ及びR−δの差Dの算出結果を示すグラフ。
【図5】差分データDの算出結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0035】
1 光学異方性パラメータ測定装置
2 ステージ
3 試料(異方性測定対象物)
4 照射光学系
5 測定光学系
6 演算処理装置
21 レーザ
23 偏光子
24 検光子
26 2次元CCDカメラ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏光を入射光として異方性測定対象物へ複数の方位から照射し、その反射光に含まれる直線偏光成分のうち特定方向の直線偏光を測定光としてその光強度を測定することにより、光学軸の方向、傾斜角、異方性の大きさなどの光学異方性パラメータを測定する光学異方性パラメータ測定方法において、
前記測定対象物の測定面に対してP偏光又はS偏光のいずれか一方の方向を基準方向とし、
前記入射光と測定光の一方を前記基準方向に振動する直線偏光とし、
前記入射光と測定光の他方を前記基準方向に対して±δ(δ≠nπ/2、nは整数)の方向に振動する一対の直線偏光とし、
前記一対の直線偏光に対応する二種類の測定光の光強度を測定し、
得られた二つの光強度データの差分を表す差分データに基づいて光学異方性パラメータを測定することを特徴とする光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項2】
前記差分データの極値に基づいて異方性測定対象物の配向方位及び傾斜角を測定する請求項1記載の光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項3】
前記差分データの変化の大きさに基づいて異方性の大きさを決定する請求項1記載の光学異方性パラメータ測定方法。
【請求項4】
偏光子により偏光化された直線偏光を入射光として異方性測定対象物へ複数の方位から照射する照射光学系と、その反射光に含まれる直線偏光成分のうち検光子により抽出された特定方向の直線偏光を測定光としてその光強度を測定する測定光学系と、その光強度に基づいて光学軸の方向、傾斜角、異方性の大きさなどの光学異方性パラメータを測定する演算装置を備えた光学異方性パラメータ測定装置において、
前記測定対象物の測定面に対してP偏光又はS偏光のいずれか一方の方向を基準方向としたときに、前記偏光子及び検光子の一方が基準方向に振動する直線偏光を出力する向きに配され、前記偏光子及び検光子の他方が基準方向に対して±δ(δ≠nπ/2、nは整数)の方向に振動する一対の直線偏光を出力する二つの方向に調整可能に配され、
前記演算装置は、前記一対の直線偏光に対応する二種類の測定光の光強度データの差分を表す差分データに基づき光学異方性パラメータを測定するようになされたことを特徴とする光学異方性パラメータ測定装置。
【請求項5】
前記照射光学系が、測定対象物の測定領域の形状に応じたスポット形状の平行光束を照射する光源装置を備え、測定光学系が、前記測定領域から反射された平行光束の測定光の光強度を検出する1次元又は2次元の光センサを備えた請求項4記載の光学異方性パラメータ測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−76324(P2008−76324A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258386(P2006−258386)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000138200)株式会社モリテックス (120)
【Fターム(参考)】