説明

光学部品の欠陥検出方法および欠陥検出装置

【課題】 透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品の欠陥を、光学部品と検出用の光の入射位置とを高精度に位置決めすることなく、検出することができる光学部品の欠陥検出方法および欠陥検出装置を提供する。
【解決手段】 判定部13は、入射領域19の積層方向の寸法L1が、光学部品14の導光層22の層厚L2よりも大きくなるように入射させる。検出用の光18の入射位置の位置決め精度が低くても、導光層22に入射させることができる。また判定部13は、光学部品14の積層方向の寸法l3よりも小さくなるように検出用の光18を入射させる。光学部品14の積層方向Z両端面の散乱要因、たとえば塵、または傷などによって検出用の光18が散乱することを防ぐことができる。したがって光学部品14から出射される光を検出することによって、光学部品14の欠陥25を高精度に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品の欠陥を検出する光学部品の欠陥検出方法および欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、第1の従来の技術の透明基板の欠陥検出装置1を示す斜視図である。第1の従来の技術は、特許文献1に記載されている。レーザ2は、レーザ光2aをミラー3に向けて出射する。ミラー3は、レーザ2からのレーザ光2aを集光レンズ4に導く。集光レンズ4は、ミラー3からのレーザ光2aを透明基板5に導く。透明基板5に入射した光は、透明基板5の厚み方向両端面にて反射を繰返す。透明基板5に欠陥が有る場合、欠陥に起因して光が散乱し、透明基板5の外方に散乱した光が出射される。結像レンズ6は、外方に出射した光をCCD7に導く。CCD7は、受光した光の光量に基づいて、欠陥の有無を判定する。第2の従来の技術として、特許文献1の技術に類似の技術が、特許文献2に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−190700号公報
【特許文献2】特開2001−305072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9は、欠陥の検査の対象となる光学部品8を示す正面図である。図9に示すように、透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品8では、第1の従来の技術のようにレーザ光を入射させる場合、検査対象の層8aにより多くレーザ光が入射するように、入射位置が制御される。検査対象の層8aの層厚tが極めて薄く、たとえば10〜20μm程度であると、光学部品8の端面において、検査対象の層8aだけにレーザ光を導光するためには、検査対象の層8aとレーザ光との位置決めを層厚tとほぼ同じ精度で行う必要がある。図9に示すように、レーザ光の照射領域9を、検査対象の層8a内に位置決めする方がより多くの光が導光し欠陥検査には好ましいが、層厚tの制限によって高度な位置決め精度が必要である。
【0005】
したがって本発明の目的は、透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品の欠陥を、光学部品と検出用の光の入射位置とを高精度に位置決めすることなく、検出すすることができる光学部品の欠陥検出方法および欠陥検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品に、積層方向と交差する方向の端面から検出用の光を入射させ、光学部品から出射される光を検出して、光学部品の欠陥を検出する方法であって、
検出用の光が入射される端面における検出用の光の入射領域の積層方向の寸法が、欠陥を検出する層の層厚よりも大きく、光学部品の積層方向の寸法よりも小さくなるように検出用の光を入射させることを特徴とする光学部品の欠陥検出方法である。
【0007】
本発明に従えば、検出用の光の入射領域の積層方向の寸法が、欠陥を検出する層の層厚よりも大きくなるように検出用の光を入射させる。これによって検出用の光の入射位置の位置決め精度が低くても、欠陥を検出する層に入射させることができる。また検出用の光の入射領域の積層方向の寸法が、光学部品の積層方向の寸法よりも小さくなるように検出用の光を入射させる。これによって光学部品の積層方向両端面の散乱要因、たとえば塵または傷によって検出用の光が散乱することを防ぐことができる。したがって光学部品から出射される光を検出することによって、光学部品の欠陥を高精度に検出することができる。
【0008】
また本発明は、検出用の光の波長および検出用の光を集光する光学系の開口数を制御して、検出用の光を入射させることを特徴とする。
【0009】
本発明に従えば、検出用の光の波長および検出用の光を集光する光学系の開口数を制御する。これによって検出用の光の入射領域の積層方向の寸法を調節することができる。したがって入射領域の積層方向の寸法を好適に調節して、検出用の光を光学部品に入射させることができる。
【0010】
さらに本発明は、検出用の光を集光する光学系と光学部品との位置を制御して、検出用の光を入射させることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、検出用の光を集光する光学系と光学部品との位置を制御して、検出用の光を入射させる。これによって検出用の光の入射領域の積層方向の寸法を調節することができる。光学系と光学部品との位置を制御するので、複数の光学部品、または光学部品を構成する各層に対して、個別に入射領域を調節することができる。したがって入射領域の積層方向の寸法を好適に調節して、検出用の光を光学部品に入射させることができる。
【0012】
さらに本発明は、透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品の欠陥を検出する装置であって、
光学部品の積層方向と交差する方向の端面に向けて、検出用の光を出射する光源と、
検出用の光が入射される端面における検出用の光の入射領域の積層方向の寸法が、光学部品の欠陥を検出する層の層厚よりも大きく、光学部品の積層方向の寸法よりも小さくなるように検出用の光を入射させる入射制御手段と、
光学部品から出射される光を検出する光検出手段とを含むことを特徴とする光学部品の欠陥検出装置である。
【0013】
本発明に従えば、入力制御手段は、検出用の光が入射される端面における検出用の光の入射領域の積層方向の寸法が、光学部品の欠陥を検出する層の層厚よりも大きくなるように入射させる。これによって検出用の光の入射位置の位置決め精度が低くても、予め定める層に入射させることができる。また入力制御手段は、光学部品の積層方向の寸法よりも小さくなるように検出用の光を入射させる。これによって光学部品の積層方向両端面の散乱要因によって検出用の光が散乱することを防ぐことができる。したがって光学部品から出射される光を検出することによって、光学部品の欠陥を高精度に検出することができる。
【0014】
さらに本発明は、光学部品と光源との間に設けられ、検出用の光を集光する集光光学系をさらに含み、
入力制御手段は、検出用の光の波長および集光光学系の開口数を制御することを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、入力制御手段は、検出用の光の波長および集光光学系の開口数を制御する。これによって検出用の光の入射領域の積層方向の寸法を調節することができる。したがって入射領域の積層方向の寸法を好適に調節して、検出用の光を光学部品に入射させることができる。
【0016】
さらに本発明は、入力制御手段は、集光光学系の位置を制御することを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、入力制御手段は、集光光学系の位置を制御する。これによって検出用の光の入射領域の積層方向の寸法を調節することができる。集光光学系と光学部品との位置を制御するので、複数の光学部品、または光学部品を構成する各層に対して、個別に入射領域を調節することができる。したがって入射領域の積層方向の寸法を好適に調節して、検出用の光を光学部品に入射させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検出用の光の入射位置の位置決め精度が低くても、欠陥を検出する層に入射させることができ、光学部品の積層方向両端面の散乱要因によって検出用の光が散乱することを防ぐことができる。したがって光学部品から出射される光を検出することによって、光学部品の欠陥を高精度に検出することができる。
【0019】
また本発明によれば、入射領域の積層方向の寸法を好適に調節して、検出用の光を光学部品に入射させることができる。
【0020】
さらに本発明によれば、検出用の光の入射領域の積層方向の寸法を調節することができる。光学系と光学部品との位置を制御するので、複数の光学部品、または光学部品を構成する各層に対して、個別に入射領域を調節することができる。したがって入射領域の積層方向の寸法を好適に調節して、検出用の光を光学部品に入射させることができる。
【0021】
さらに本発明によれば、検出用の光の入射位置の位置決め精度が低くても、欠陥を検出する層に入射させることができ、光学部品の積層方向両端面の散乱要因によって検出用の光が散乱することを防ぐことができる。したがって光学部品から出射される光を検出することによって、光学部品の欠陥を高精度に検出することができる。検査装置部品に要求する精度を緩やかにすることができ装置の製造コストを低減することができる。さらに装置の保守および調整も簡単になるので、装置10のランニングコストを低減することができる。
【0022】
さらに本発明によれば、検出用の光の入射領域の積層方向の寸法を調節することができる。したがって入射領域の積層方向の寸法を好適に調節して、検出用の光を光学部品に入射させることができる。
【0023】
さらに本発明によれば、検出用の光の入射領域の積層方向の寸法を調節することができる。集光光学系と光学部品との位置を制御するので、複数の光学部品、または光学部品を構成する各層に対して、個別に入射領域を調節することができる。したがって入射領域の積層方向の寸法を好適に調節して、検出用の光を光学部品に入射させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の実施の一形態の光学部品の欠陥検出装置10の一部を示す正面図である。図2は、光学部品の欠陥検出装置10を示す側面図である。光学部品の欠陥検出装置(以下、単に「欠陥検出装置」ということがある)10は、レーザ光源11、光検出部12、判定部13および入射部15を含んで構成される。欠陥検出装置10は、透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品14の欠陥25を検出する装置である。
【0025】
光学部品14は、複数の材料で構成され、本実施の形態では複数の厚み寸法が異なるシート状の材料が厚み方向に積層されて多層構造に構成される。光学部品14は、積層方向Z両端面部を覆う保護フィルム16が設けられる。保護フィルム16は、透光性を有するシートであって、光学部品14を外力によって損傷しないように保護する。
【0026】
レーザ光源11は、光源であって、光学部品14の積層方向Zと交差する方向の端面14aに向けて、検出用の光18を出射する。検出用の光18の光軸は、光学部品の積層方向Zと略直交する長さ方向Xと略平行となるように、レーザ光源11は配置される。検出用の光18は、光学部品14の長さ方向X一端面14aに照射される。レーザ光源11は、たとえば半導体レーザ装置によって実現される。
【0027】
入射部15は、集光光学系であって、光学部品14とレーザ光源11との間に設けられ、検出用の光18を集光する。入射部15は、コリメータレンズ20および対物レンズ21を含んで構成される。コリメータレンズ20は、レーザ光源11からの発散光を平行光に変換する。対物レンズ21は、コリメータレンズ20からの平行光を光学部品14の長さ方向X一端面14aに集光し、レーザ光源11からの検出用の光18を入射させる。
【0028】
光検出部12は、光検出手段であって、光学部品14から出射される光を検出する。光検出部12は、光学部品14における積層方向Z一表面から出射される光を検出する。光検出部12は、たとえば受光素子および電荷結合素子(Charge Coupled Device:略称CCD)によって実現される。光検出部12は、検出した光に基づく情報を判定部13に与える。
【0029】
判定部13は、光検出部12から与えられる情報に基づいて、光学部品14の欠陥25の有無を判定する。判定部13は、判定した結果を示す情報を報知手段、たとえば表示装置または音発生手段に与えて、欠陥の有無に基づく情報を報知させる。
【0030】
判定部13は、入射制御手段としての機能を有し、検出用の光18が入射される端面14aにおける検出用の光18の入射領域19の積層方向Zの寸法L1が、光学部品14の予め定める層である導光層22の層厚L2よりも大きく、光学部品14の積層方向Zの寸法L3よりも小さくなるように検出用の光18を入射させる。判定部13は、検出用の光18の波長および対物レンズ21の開口数(Numerical Aperture:略称NA)を制御する。また判定部13は、入射部15の位置を制御する。
【0031】
図1に示すように、検出用の光18は、対物レンズ21によって円形状に集光されている。検出用の光18の入射領域19の積層方向Zの寸法L1は、予め定める層である導光層22の層厚L2よりも大きくなるように、判定部13によって制御されている。また入射領域19は、導光層22に検出用の光18が多く導かれるように、積層方向Zにおける位置が判定部13によって制御される。導光層22は、欠陥25を検出する層であり、最も減衰が小さく導光する層が好適である。
【0032】
導光層22に欠陥25が存在する場合、欠陥25付近では光学的に屈折率、透過率および反射率変動が生じる。検出用の光18が欠陥25を透過するとき、欠陥25付近で検出用の光18が散乱する。光検出器12によって散乱光を検出することによって、判定部13は、検出された散乱光に基づいて、欠陥25とその周囲との光量差が所定以上になった場合に欠陥25と判定する。これによって判定部13は、欠陥25を検出することができる。
【0033】
入射部15によって所定の大きさに絞られた検出用の光18は、光学部品14の長さ方向X一端面14aにおいて、導光層22に対して、ほぼ積層方向Z中央となるように位置調整される。入射部15の設計によって、検出用の光18における入射領域19の直径であるビーム径L1と導光層22の層厚L2との関係が決まる。本実施の形態では、それぞれ10〜80μmの厚さを持つ7層構造の光学部品14を用い、層厚20μmの導光層22に対して光を導光させて欠陥検出を行う。
【0034】
入射領域19の積層方向Zの寸法L1は、入射領域19が円形状であるのでビーム径L1と等しい。ビーム径L1は、たとえば使用するレーザ波長と対物レンズ21の開口数(Numerical Aperture:略称NA)によって、決定される。表1に、ビーム径L1とNAとの関係の一例を示す。レーザ光源11から出射された検出用の光18をコリメートレンズ20で平行光に変換してから、表1に示すNAを持つ対物レンズ21を用いて、集光している。検出用の光18の波長は、ここでは約650nmに設定される。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に示すように、対物レンズ20のNAによって、導光層22の層厚L2に対して、ビーム径L1が6μmで、層厚L2より小さい場合、ビーム径L1が15μmで、層厚L2とほぼ同じ場合、ビーム径L1が75μmで、層厚L2より大きい場合に分けられる。
【0037】
図3は、表1に示す3種の対物レンズ20の入射部15を用いて、検出用の光18の光軸の位置と導光層22の透過光量との関係を示すグラフである。グラフの横軸は導光層22の中心と検出用の光18の光軸が一致した位置からの光軸の積層方向Zへの変位量を表し、グラフの縦軸は導光層22の透過光量を表す。光学部品14において、入射端面14aから透過光量を測定した出射端面までの距離は、16cmとし、出射端面において光パワーメータを用いて透過光量を測定している。
【0038】
図3に示すように、透過光量は、入射端面14aでのビーム径L1と導光層22の層厚L2とがほぼ一致する場合、最も大きくなるが、導光層22の中心と検出用の光18の光軸に不一致が発生すると、透過光量は急激に低下する。ビーム径L1が大きくなり、検出用の光18の光軸と導光層22の中心とが一致した場合の透過光量は、ビーム径L1が小さい場合に比較して少ないが、導光層22の中心と検出用の光18の光軸に不一致が発生した場合の透過光量の低下は緩やかとなる。
【0039】
その結果、5μm程度のずれ以上では、ビーム径L1の大きい場合の方が、透過光量は多くなる。導光層22の中心と検出用の光18の光軸の機械的精度については、ビーム径L1が大きいほど、依存性が緩くなる事も明らかである。導光層22の層厚L2よりさらに検出用の光18を絞ると、透過光量の低下と位置ずれによる透過光量低下との両方とも大きく、欠陥25の検出に適さないことが分かる。
【0040】
ビーム径L1をさらに大きくすると、光学部品14の表面には保護フィルム16が設けられているので、保護フィルム16内、又は保護フィルム16の表面に検出用の光18が入射する。これによって保護フィルム16の表面に付着している空気中の塵、または汚れなどを光らせ、導光層22における欠陥25からの散乱光の検出の妨げとなる。したがってビーム径L1の大きさの限界は、光学部品14の積層方向Zの寸法L3となる。
【0041】
このようにビーム径L1は、導光層22の層厚L2にほぼ一致するあたりから、光学部品14の積層方向Zの寸法L3以下にする必要がある。欠陥検出装置10では、検出用の光18の光軸の位置と導光層22の中心との位置調整を行わない方が望ましいので、光学部品14の積層方向Zの寸法L3と保護フィルム16の厚み寸法と考慮して、ビーム径L1を決定すれば良い。これによって導光層22と検出用の光18の光軸の位置精度を緩やかに設定する事が可能となる。
【0042】
またビーム径L1は、たとえば光学部品14と対物レンズ21との位置によって、決定される。入射部15において、対物レンズ21と光学部品14の長さ方向X一端面14aとの距離を変化させる。光学部品14の長さ方向X一端面14aにおいて、焦点位置に対してオフセットを与えると、換言すると、対物レンズ21と光学部品14との距離を増大させると、光学部品14の長さ方向X一端面14aを焦点位置とした場合よりも、ビーム径L1を大きくする事が可能である。表2に、たとえばNAが0.25であり、検出用の光18の波長が約650nmのとき、焦点位置からのずれ量であるオフセット量とビーム径L1との関係を示す。
【0043】
【表2】

【0044】
表2に示すように、ビーム径L1は、オフセット量と比例し、オフセット量が100μmであるとビーム径L1が50μmとなる。
【0045】
図4は、オフセット量が異なる入射部15を用いて、検出用の光18の光軸の位置と導光層22の透過光量との関係を示すグラフである。グラフの横軸は導光層22の中心と検出用の光18の光軸が一致した位置からの光軸の積層方向Zへの変位量を表し、グラフの縦軸は導光層22の透過光量を表す。光学部品14において、入射端面から透過光量を測定した出射端面までの距離は、16cmとし、出射端面において光パワーメータを用いて透過光量を測定している。
【0046】
前述の図3に関連して説明したNAを変更した場合と同様に、ビーム径L1は、導光層22の層厚L2にほぼ一致するあたりから、光学部品14の積層方向Zの寸法L3以下にする必要がある。欠陥検出装置10では、検出用の光18の光軸の位置と導光層22の中心との位置調整を行わない方が望ましいので、光学部品14の積層方向Zの寸法L3と保護フィルム16の厚み寸法と考慮して、ビーム径L1を決定すれば良い。これによって導光層22と検出用の光18の光軸との位置精度を緩やかに設定する事が可能となる。
【0047】
ビーム径L1を大きくすると、ビーム径L1が小さい場合に比較して導光層22を導光する光量は小さくなるので、入射光量を増大させる事によって、欠陥検査に必要な導光する光量を確保するように構成する必要がある。したがってレーザ光源11の出射光量は、光学部品14の全体にわたって検査ができるような光量に選択する必要がある。
【0048】
図5は、光学部品14の欠陥検出方法を示すフローチャートである。ステップa0にて、光学部品14が予め定める位置に配置され、ステップa1に進む。ステップa1では、
検出用の光18が入射される端面における検出用の光18の入射領域19の積層方向Zの寸法L1が、光学部品14の導光層22の層厚L2よりも大きく、光学部品14の積層方向Zの寸法L3よりも小さくなるように、検出用の光18が入射され、ステップa2に進む。ステップa2では、光学部品14から出射される散乱光を、光検出部12が検出し、ステップa3に進む。ステップa3では、判定部13は、光検出部12が検出した散乱光強度に基づいて、欠陥25の有無を判定し、ステップa4に進む。ステップa4にて、ステップa1からの一連の検出手順を終了する。このような検出手順によって、欠陥25が検出される。
【0049】
以上説明したように本実施の形態によれば、判定部13は、検出用の光18が入射される端面14aにおける検出用の光18の入射領域19の積層方向Zの寸法L1が、光学部品14の導光層22の層厚L2よりも大きくなるように入射させる。これによって検出用の光18の入射位置の位置決め精度が低くても、導光層22に入射させることができる。また判定部13は、光学部品14の積層方向Zの寸法L3よりも小さくなるように検出用の光18を入射させる。これによって光学部品14の積層方向Z両端面の散乱要因、たとえば塵、または傷などによって検出用の光18が散乱することを防ぐことができる。したがって光学部品14から出射される光を検出することによって、光学部品14の欠陥25を高精度に検出することができる。
【0050】
光学部品14の欠陥検出において、端面14aでのビーム形状を最適にする事により、導光層22の層厚L2が極めて薄い光学部品14においても、検出用の光18の光軸と導光層22の中心との位置あわせ精度を緩和することができる。これによって装置部品に要求する精度を緩やかにすることができ欠陥検出装置10の製造コストを低減することができる。さらに欠陥検出装置10の保守および調整も簡単になるので、欠陥検出装置10のランニングコストを低減することができる。
【0051】
また本実施の形態では、判定部13は、検出用の光18の波長および対物レンズ22の開口数を制御する。これによって検出用の光18の入射領域19の積層方向の寸法L1を調節することができる。したがって入射領域19の積層方向の寸法L1を好適に調節して、検出用の光18を光学部品14に入射させることができる。
【0052】
また本実施の形態では、判定部13は、入射部15の位置を制御する。これによって検出用の光18の入射領域19の積層方向の寸法L1を調節することができる。入射部15と光学部品14との位置を制御するので、複数の光学部品14、または光学部品14を構成する各層に対して、個別に入射領域19を調節することができる。したがって入射領域19の積層方向の寸法L1を好適に調節して、検出用の光18を光学部品14に入射させることができる。
【0053】
また本実施の形態に、散乱光を積層方向Z一方側から検出するので、欠陥25に起因する散乱光の位置、数または大きさを検出することができる。これによって、欠陥25が除かれた光学部品14を加工・生産することができる。したがって欠陥25がない光学部品14の製造することができる。すなわち、光学部品14の生産性を向上することができる。また光学部品14を含む、光学装置を構成する場合、欠陥を含む光学部品14を予め除く事が出来るため、光学装置の歩留まりが向上し、光学装置の生産性を向上させる事が出来る。
【0054】
また図3および図4から、入射領域19の積層方向Zの寸法L1は、導光層22の層厚L2よりもやや大きく、たとえば1倍〜3倍程度であることが好ましく、4倍以上になるとかなり光量の減衰が大きくなる。このように入射領域19の形状を選択することによって、位置決め精度を緩和して、かつ導光層22にできるだけ多くの検出用の光18を導光することができ、欠陥25を検出する精度を向上することができる。
【0055】
またビーム径L1、装置の検出用の光18の光軸の位置決め精度x、および導光層22の層厚L2は、次式(1)の関係にあることが好ましい。
L2≦L1≦(L2+x) …(1)
【0056】
最も欠陥検出に適しているのは、図3および図4に示したように、L1=L2のときであるが、基本的に装置の位置決め精度xが存在するので、ビーム径L1を(L2+x)以下に設定することが好ましい。このようにビーム径L1を設定することによって、位置決め精度xの分、積層方向Zのどちらの方向に検出用の光18の光軸が、装置の機械的構成によって移動しても、ビームの入射領域は、導光層22全体をカバーすることができる。
【0057】
またビーム径L1は、大きくなりすぎると、導光層22に導かれる光量が低下するので、位置決め精度xは、導光層の層厚L2の2倍以下、換言するとビーム径L1が導光層の層厚L2の3倍以下に設定することが好ましい。このように設定することによって、検査のため、光学素子を取り替えて、装置の位置決め精度xがある範囲で変動したとしても、その範囲が導光層の層厚L2の2倍以下であるので、導光層22に欠陥を検出するために必要な光量を入射させることができ、欠陥を確実に検出することができる。
【0058】
図6は、本発明の実施の他の形態の光学部品の欠陥検出装置10aを示す側面図である。本実施の形態の欠陥検出装置10aは、前述の図1〜図5の欠陥検出装置10と類似しており、本実施の形態の構成には前述の欠陥検出装置10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成については説明を省略する。本実施の形態では、入射部15は、整形プリズム30をさらに含んで構成される。整形プリズム30は、コリメータレンズ20と対物レンズ21との間に設けられる。このように整形プリズム30を設けることによって入射領域19の形状を変化させることができる。
【0059】
本実施の形態では、光学部品14の端面14aにおける検出用の光18の入射領域19の形状が異なる。前述したように入射領域19は、積層方向の寸法L1にのみ制限があるので、その他の形状は特定していない。入射領域19の形状としては、たとえば楕円形であってもよい。
【0060】
図7は、光学部品の欠陥検出装置10aの一部を示す正面図である。図7(1)に示すように、整形プリズム30を用いて入射領域19を積層方向Zおよび長さ方向Xに垂直な幅方向Yに関して、集光している。また図7(2)では、整形プリズム30を用いて入射領域19を積層方向Zに関して、集光している。このような入射領域19であっても、前述の実施形態と同様に効果を達成することができる。
【0061】
また入射部15は、コリメートレンズ20をなくして、レーザ光源11からの検出用の光18を直接整形プリズム30に入射させることによっても実現することができる。またコリメータレンズ20とシリンドリカルレンズとを用いて楕円形に集光してもよい。
【0062】
また前述の実施の各形態では、欠陥検出装置は、レーザ光源11を1つ光源によって構成しているが、光学部品14の全面の欠陥検査をする場合、光学部品14を送り機構によってレーザ光源11に対して変位させるように構成する必要がある。またレーザ光源11を複数並べることによって、光学部品14の全面を一度に検査する構成にしてもよい。
【0063】
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の一形態の光学部品の欠陥検出装置10の一部を示す正面図である。
【図2】光学部品の欠陥検出装置10を示す側面図である。
【図3】表1に示す3種の対物レンズ20の入射部を用いて、検出用の光18の光軸の位置と導光層22の透過光量との関係を示すグラフである。
【図4】オフセット量が異なる入射部15を用いて、検出用の光18の光軸の位置と導光層22の透過光量との関係を示すグラフである。
【図5】光学部品14の欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の他の形態の光学部品の欠陥検出装置10aを示す側面図である。
【図7】光学部品の欠陥検出装置10aの一部を示す正面図である。
【図8】第1の従来の技術の透明基板の欠陥検出装置1を示す斜視図である。
【図9】欠陥検査の対象となる光学部品を示す正面図である。
【符号の説明】
【0065】
10,10a 光学部品の欠陥検出装置
11 レーザ光源
12 光検出部
13 判定部
14 光学部品
15 入射部
16 保護フィルム
18 検出用の光
19 入射領域
22 導光層
25 欠陥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品に、積層方向と交差する方向の端面から検出用の光を入射させ、光学部品から出射される光を検出して、光学部品の欠陥を検出する方法であって、
検出用の光が入射される端面における検出用の光の入射領域の積層方向の寸法が、欠陥を検出する層の層厚よりも大きく、光学部品の積層方向の寸法よりも小さくなるように検出用の光を入射させることを特徴とする光学部品の欠陥検出方法。
【請求項2】
検出用の光の波長および検出用の光を集光する光学系の開口数を制御して、検出用の光を入射させることを特徴とする請求項1に記載の光学部品の欠陥検出方法。
【請求項3】
検出用の光を集光する光学系と光学部品との位置を制御して、検出用の光を入射させることを特徴とする請求項1または2記載の光学部品の欠陥検出方法。
【請求項4】
透光性を有する複数の層が積層されて構成される光学部品の欠陥を検出する装置であって、
光学部品の積層方向と交差する方向の端面に向けて、検出用の光を出射する光源と、
検出用の光が入射される端面における検出用の光の入射領域の積層方向の寸法が、光学部品の欠陥を検出する層の層厚よりも大きく、光学部品の積層方向の寸法よりも小さくなるように検出用の光を入射させる入射制御手段と、
光学部品から出射される光を検出する光検出手段とを含むことを特徴とする光学部品の欠陥検出装置。
【請求項5】
光学部品と光源との間に設けられ、検出用の光を集光する集光光学系をさらに含み、
入力制御手段は、検出用の光の波長および集光光学系の開口数を制御することを特徴とする請求項4に記載の光学部品の欠陥検出装置。
【請求項6】
入力制御手段は、集光光学系の位置を制御することを特徴とする請求項5に記載の光学部品の欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−132972(P2006−132972A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319393(P2004−319393)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】