説明

光源装置、光走査装置及び画像形成装置

【課題】光量検出精度を低下させることなく、小型化を図ることができる光源装置を提供する。
【解決手段】複数の光源からなる面発光レーザ2と、光源からの出射光束の一部を反射するハーフミラー手段と、ハーフミラー手段からの反射光束を受光する受光部10とを、有する光源装置において、ハーフミラー手段は、面発光レーザ2と受光部10とを保護するカバーガラス18上に構成され、且つ、光源の出射方向に垂直な面に対して傾けて設定され、ハーフミラーの反射率は10%以下であり、受光部10は、受光素子と、微弱電流を増幅するアンプ手段とを備え、面発光レーザ2、カバーガラス18、受光部10は1つのモジュールとして一体的に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、該光源装置を有する光走査装置、該光走査装置を具備した複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の画像記録では、レーザを光源に用いた画像形成装置が広く用いられている。この場合、画像形成装置は、光源から射出され、偏向器で偏向された光束(走査用光束)で感光体ドラムの表面を走査し、感光体ドラムの表面に潜像を形成するために光走査装置を備えている。
ところで、この種の画像形成装置では、温度変化や経時変化に伴って走査用光束の光量が変化し、最終的に出力される画像(出力画像)に濃度むらが発生する虞がある。
そこで、従来の端面発光レーザを用いた光走査装置では、端面発光レーザから後方に射出される光をモニタし、光出力の変動を抑制するAPC(Auto Power Controll)を行っていた。
【0003】
しかしながら、面発光レーザではその構造上、後方への射出光が生じないため、面発光レーザを用いた光走査装置では、従来の端面発光レーザのようにモニタ受光部を内蔵した光源装置を実現することが難しかった。
面発光レーザを用いた場合の光量制御方法としては、面発光レーザから射出された光束の一部を、ビームスプリッタやハーフミラー等の光学素子を用いて分岐させて光検出器に導き、その光検出器の出力に基づいてAPCを行うという方法が一般的である。
【0004】
特許文献1には、モニタ光束の分岐素子のハーフミラーとコリメータレンズとの間にアパーチャを設ける構成が開示されている。アパーチャを設けることにより、面発光レーザを駆動する駆動電流が変化して、レーザの広がり角度やプロファイルが変化しても、ハーフミラーを透過して感光体ドラムへ向かうレーザビームとハーフミラーで反射されて受光素子に向かう2つのレーザビームの光量比は変化せず、安定したAPC制御を狙っている。
特許文献2には、複数の発光源を主走査方向にモノリシックに配列した光源手段と、光源手段からの複数の光ビームを所定の集束状態に変換するカップリングレンズと、光源手段及びカップリングレンズを一体的に保持する支持部材とを備えるマルチビーム光源装置が開示されている。
このマルチビーム光源装置では、支持部材は、カップリングレンズを保持し、光源手段から射出される光軸を中心に回動調整可能となるようにして取り付けられた第1の部材と、光源手段を保持し、第1の部材の主走査断面における傾きが調整可能となるように取り付けられた第2の部材とを有している。
特許文献3には、VCSEL光源から射出された光束の最も光強度の大きい部分がそのほぼ中央を通る開口部を有し、該開口部の周囲に入射した光束をモニタ用光束として反射する分離光学素子と、該分離光学素子で反射されたモニタ用光束のビーム径を制限するための第2の開口部を通過したモニタ用光束を受光することにより、光束の光量を精度良く検出するモニタ装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているモニタ検出光学系では、光源から光検出手段までの光路長が長くなり、装置の小型化が困難であるという問題があった。
特許文献2に開示されているマルチビーム光源装置では、発散角の変動による影響が大きいという問題があった。
特許文献3に記載の構成では、書込に用いない光束を用いてモニタするため光利用効率が高く、且つ第2開口部により、発散角変動に対する光量検出精度劣化を抑えることができるが、光源ユニットは、光源、第1開口部(光路分岐)、第2開口、受光レンズ、受光部の多部品で構成され、光源〜受講部に到る光路長さが長くなるため、光源ユニットが大型化し、且つ高コストになるという問題があった。また、モニタ光束がPD上に良好に結像するように受光レンズ、PD位置の調整を高い精度で実施する必要があった。
【0006】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、光量検出精度を低下させることなく、小型化を図ることができる光源装置を提供することを、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の光源からなる面発光レーザと、前記光源からの出射光束の一部を反射するハーフミラー手段と、前記ハーフミラー手段からの反射光束を受光する受光部と、を有する光源装置において、前記ハーフミラー手段は、前記面発光レーザと前記受光部とを保護するカバーガラス上に構成され、且つ、前記光源の出射方向に垂直な面に対して傾けて設定され、ハーフミラーの反射率は10%以下であり、前記受光部は、受光素子と、微弱電流を増幅するアンプ手段とを備え、前記面発光レーザ、前記カバーガラス、前記受光部は、1つのモジュールとして一体的に構成されていること特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モニタ光学系を内蔵した一体構造のため、従来のように面発光レーザからの光束を分割して別光学系でモニタする方式に対し、部品点数が少なく、小型、且つ調整容易なため大幅なコストダウンが狙える。
アンプ内蔵のため、微弱光に対してもAPCに必要なモニタ信号が得られると共に、外部で増幅する方式に対してノイズ(配線の抵抗、浮遊容量による)が低減できる。
また、カバーガラスからの戻り光によるレーザ発振モードの不安定性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る光源装置に用いられる面発光レーザの概要平面図である。
【図2】上記光源装置の光学配置の概要構成を示す図である。
【図3】上記光源装置の概要断面図である。
【図4】面発光レーザから出射した光束の各段階における形状を示す模式図である。
【図5】上記光源装置を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図6】受光素子のアンプ内蔵構成を示す回路図である。
【図7】アパーチャ上での光強度分布を示す図である。
【図8】受光素子上での光強度分布を示す図である。
【図9】実施例でのモニタ光量比変動を示す特性図である。
【図10】光走査装置の概要平面図である。
【図11】画像形成装置の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態における面発光レーザ(VCSEL)2は、複数個の発光部(光源)4が1つの基板6上に形成された2次元アレイ構造を有している。
本実施形態では、40個の光源が傾斜角αをなして、2次元上に配列されている。各発光部は、780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。
すなわち、2次元アレイは、40個の発光部を有する面発光レーザアレイである。ここでは、2次元アレイの主走査方向(m方向)のサイズは、0.4mmである。
面発光レーザはその構造上、端面発光レーザのように後方への射出光が生じないため、面発光レーザをから出射した光束を分岐して、モニタ光を得る必要がある。
図1において、符号sは副走査方向を示している(他の図において同じ)。
【0011】
図2に光走査装置の一部を模式的に示す。面発光レーザ2から射出された光P0は、ハーフミラー手段8でその一部が反射され、反射光P2は受光部10に入射する。ハーフミラー手段8を透過した光P1は、カップリングレンズ12で収束され、アパーチャ14で開口を制限されて光束Paとなって図示しない光変更手段へ導かれる。
図3に示すように、光源装置16は、密封構造を有する1つのモジュールとして構成されている。光源の損傷を防止し、酸化、吸湿等から保護するためのカバーガラス18が設定されている。
カバーガラス18はハーフミラーを構成し、ここでは約10%の光量の光束を反射し、モニタ用光束P2として反射(分岐)している。カバーガラス18を透過する約90%の光量の光束P1は書き込みに用いられる。
【0012】
VCSEL(面発光レーザ)は、端面発光レーザに比べて、
・構造上、後方への射出光をモニタ光として用いることができず、一般にハーフミラーなどでモニタ光を分岐するため光量ロスが大きいことと、
・VCSEL自体、端面発光よりも、1光源当たりの光出力が小さいこと、
が課題であった。
本発明ではモニタ用光量を得るためのハーフミラーでのロスをできるだけ最小限に抑えるため、カバーガラス18の第1面(入射面)での反射率を10%以下とし、且つ、受光素子(PD)での光量不足を補うためアンプ手段(後述)を内蔵した構造を採っている。
また、カバーガラス18の第2面(射出面)は無反射コーティングを施すことで、書き込みに用いる光量を確保すると共に、カバーガラス内での多重干渉を抑えている。
【0013】
図6にアンプを備えた受光部10の構成を示す。
受光部10の受光素子20はPD(フォトダイオード)からなり、モニタ光に基づき光電変換された微弱電流が、アンプ手段としての電流増幅用オペアンプ22にて規定値まで増幅される。
一般に、アンプ無しでは約0.02mW程度を受光する必要があるが、通常、受光面積はΦ1.0mm2以上が要求される。本発明ではこれより面積の小さいPDを用いており、受光素子20に一体内蔵されたアンプにて規定値まで増幅している。
ここで、一体化することにより、PDと増幅部を結合する配線長さが最短ですむため、抵抗や浮遊容量による応答性劣化、ノイズ低減が可能となる。なお、アンプ内蔵のPDでも、暗電流ノイズの限界から、増幅倍率は20倍程度以下に抑えるのが望ましい。
【0014】
また、面発光レーザ(VCSEL)は、端面発光レーザ光源に対して、共振器長が短く、可干渉性が一般的に高いため、他の光学部品などからの戻り光が僅か(1%程度)であったとしても、発振モードが不安定になる課題がある。そのため従来の端面レーザのように光源出射方向に対してほぼ垂直に配置した場合、モニタ光を正しく検出できたとしても、発振が不安定となりAPC動作が正しく行えない課題があった。
そこで、カバーガラス18は光源からの光出射方向に垂直な面に対して、ここでは10°以上傾いて設定されているため、カバーガラスからの戻り光がVCSEL光源に到達することが避けられるため、レーザ発振モードの不安定性を低減でき、安定したAPC動作を行うことができる。
【0015】
本実施形態に係る面発光レーザ光源装置16は、図5に示すように、開口部付き、且つ反射部付きのカバーガラス18が面発光レーザ出射方向に対して傾けて配置され、受光素子20の受光平面と面発光レーザ2の配列面とが略平行に配置されている。
さらに上記のように、光源部(面発光レーザ2)、カバーガラス18、受光部10を1つのモジュールとして一体的に構成したたことを特徴としている。
本実施形態に係る光源装置は、特許文献3の構成に比べ、部品点数が少なく、光源部〜カバーガラス〜受光部に到る光路長さを短くできるため、光源装置を小型化でき、且つ低コストに実現することが可能となる。
また、光路長が短いため、各光学素子(光源、カバーガラス、PD)の位置精度は、比較的緩いアライメント精度でも、モニタ用PD上に良好に結像することができる。すなわち、高い調整精度は不要である。
【0016】
図5に示すように、樹脂製、セラミックス製の光源パッケージ24上に、面発光レーザ2、及び受光部10が設置される。この際、半導体のダイボンド技術により、通常数十ミクロン以下の高精度で配置される。次に金属製のCANパッケージ26上に、出射方向に対して傾けてカバーガラス18が設置される。
CANパッケージ26には予め一定角度の傾きをもった設置面が形成されており、カバーガラス18は該設置面に接着剤等で固定される。光源部〜カバーガラス〜受光部に到る光路長は短いため、傾き精度は1°〜2°程度の一般公差でかまわない。
【0017】
次に、カバーガラス18を取り付けたCANパッケージ26と、光源パッケージ24を溶融電着等で固定し、密封構造をとる。密封された空間は、酸化、吸湿等から保護するため、必要に応じて真空、ドライエアー、窒素封入などをしてもよい。
以上のように、光源部〜カバーガラス〜受光部までを一体化した光源ユニット(光源装置16)は、従来の端面発光レーザとほぼ同様の扱いで、2次元、多ビーム化を実現することができる。
また従来の面発光レーザからの光束を分割して別光学系でモニタする方式に対し、部品点数が少なく、小型、且つ調整容易なため大幅なコストダウンが狙える。
【0018】
図2、図3に示すように、開口部付きのカバーガラス18を透過した光束は、カップリングレンズ12にて略平行光化される。該光束は、略平行光に変換されたのち、アパーチャ14にてビーム光束幅を制限されビーム成形される。
アパーチャ14は走査光学系全系の像面上(感光体上)で所望のビームスポット径が得られるよう設定されている。
受光素子(PD)上の照射ビームは、図8に示すように、長軸Dm、短軸Dsの楕円形状でPDを照射する。この光束を、受光素子20がPm×Ps、面積Spの矩形形状でモニタ光束として受光する。
本実施形態では、受光素子20の受光面積をSp[mm2]としたとき、以下の関係を満足することを特徴とする。
0.5[mm2]>Sp[mm2]>0.1[mm2] (式1)
【0019】
受光素子の面積は大きいほど、必要なモニタ光量を高いS/Nで得ることができるが、その反面、
・受光素子面積が大きいと、1パッケージに収納できず、小型化、低コスト化を実現できない。
・特に面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動がある場合、図4において、走査光学系に設置されたアパーチャを透過した光束の光量Paと、受光素子上の光束の光量Ppとが等価でなくなり、APC動作が不正確となる。
という問題が生じる。
そこで、本実施形態では、アンプ手段内蔵の受光素子を採用し、且つ(式1)の条件を満足することにより、APCに必要な光量を確保しつつ、面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動に対しても安定したAPC動作を行うことができ、小型・低コストのモニタ付き面発光レーザ方式の光源装置を実現することができる。
【0020】
(式1)の上限の0.5[mm2]を超えると、書き込みに用いる光束の光量と、光量モニタに用いる光束の光量の比率が一定に保たれなくなり、特に面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動に対するAPC動作が不正確となる。また下限の0.1[mm2]を超えると、APC動作に必要なモニタ信号が得られず、アンプ手段で増幅したとしても暗電流ノイズなどで安定したAPC動作が行えない。
【0021】
アパーチャ14上の照射ビームは、図7に示すように、φDの円形ビーム形状でアパーチャを照射する。さらに、この光束は、アパーチャ形状がAm×As、面積Saの矩形形状で、光束幅が制限され、像面上(感光体上)で所望のビームスポット径が得られる。
また、受光素子(PD)上の照射ビームは、図8に示すように、長軸Dm、短軸Dsの楕円形状でPDを照射する。この光束は、受光素子がPm×Ps、面積Spの矩形形状でモニタ光束P2を受光する。
ここでSaは、ビーム強度分布のピーク強度の1/e強度での面積を示す。
【0022】
開口数NAは、近似的に次のように表される。
・受光素子上のNAは、光源からカバーガラスで反射し、受光素子に至る光路長をLとしたとき、
受光素子上のNA:NAa=√(Sp/2L)
・一方、アパーチャ上のNAは、カップリングレンズの焦点距離をfとしたとき、
アパーチャ上のNA:NAp=√(Sa/2f)
そこで、本実施形態では、以下の関係を満足することを特徴とする。
1.3>[(√Sp/L)/(√Sa/f)]>0.7 (式2)
特に面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動がある場合、図4において、走査光学系に設置されたアパーチャを透過した光束の光量Paと、受光素子上の光束の光量Ppとが等価でなくなり、APC動作が不正確となる。
アパーチャを透過して、書き込みに用いられる光パワー(エネルギー)Paと、受光素子でモニタされる光束のパワー(エネルギー)Ppを略等価とすることで安定したAPC動作を行うことが可能となる。
上式において、書き込みパワーとモニタパワーがほぼ等価になるのは1.0のときである。1.3〜0.7の範囲に設定することで、安定したAPC動作を行うことが可能となる。
すなわち、等価となるNA比に対し±30%程度の範囲であれば、出力画像の濃度むらが殆ど目立たない良好なAPC動作を行うことができる。
【0023】
特に面発光レーザは環境温度、経時で変動する各光源の発散角変動により、アパーチャを透過した光量Paと、受光素子(PD)上のモニタ光量Ppが変化し、電子写真プロセスで出力した画像の濃度変動を起こし、バンディングやページ内濃度むらを起こす課題がある。
そこで、APC時の書き込みパワーとモニタパワーの比率を、モニタ光量比変動|(ΔPp/ΔPa)−1|と定義したとき、モニタ光量比変動を5%以下に抑えることが可能となり、濃度変動の殆ど目立たない出力画像を得ることができる。
したがって、発散角変動Δθに対するアパーチャ通過後の光量変動をΔPa、受光素子上の光量変動をΔPpとしたとき、
以下の関係を満足するようにした。
0.05>|(ΔPp/ΔPa)−1| (式3)
図9に受光素子(PD)面積を変えた時のモニタ光量比変動を示す。
この結果、0.5[mm2]以下の面積で5%以下のモニタ光量比変動に抑えることができる。
ただし、モニタ光量は非常に微弱となるため、アンプ手段による増幅との併用が必要となる。
発散角変動に対しても安定したAPC動作を行うためには、モニタ光量比変動を5%以下に設定する必要がある。これを超えると、出力画像の濃度変動が顕著となり、良好な画像を得ることができない。
【0024】
[実施例1]
・光源素子面〜カバーガラス入射面に到る光路長L:8.3mm
・カップリングレンズの焦点距離f:45mm
・アパーチャの主走査方向に対応する方向Am:5.5mm
・アパーチャの副走査方向に対応する方向As:1.2mm
・Sa=6.6[mm2]
・受光素子の主走査方向に対応する方向Pm:0.5mm
・受光素子の副走査方向に対応する方向Ps:0.5mm
・Sp=0.25[mm2]
に設定されている。
【0025】
[実施例2]
・光源素子面〜カバーガラス入射面に到る光路長L:10.5mm
・カップリングレンズの焦点距離f:45mm
・アパーチャの主走査方向に対応する方向Am:5.0mm
・アパーチャの副走査方向に対応する方向As:0.8mm
・Sa=4.0[mm2]
・受光素子の主走査方向に対応する方向Pm:0.7mm
・受光素子の副走査方向に対応する方向Ps:0.7mm
・Sp=0.49[mm2]
に設定されている。
この場合、(式1)は、
実施例1:Sp=0.25[mm2]
実施例2:Sp=0.49[mm2]
【0026】
以上の実施例では、(式1)を満足する構成としており、これにより、1パッケージに収納できる受光素子面積とし、小型化、低コスト化を実現できるとともに、面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動に対し安定したAPC動作が行える。
(式2)は、
実施例1:[(√Sp/L)/(√Sa/f)]=(√0.25/8.3)÷(√6.6/45)=1.06
実施例2:[(√Sp/L)/(√Sa/f)]=(√0.49/10.5)÷(√4/38)=1.26
【0027】
以上の実施例では、(式2)を満足する構成としており、これにより、書き込みパワーとモニタパワーがほぼ等価に維持できるため、特に面発光レーザの環境温度、経時に伴う発散角特性の変動に対しも良好なAPC動作を行うことができる。
また、環境温度変動(特に光発散角変動)Δθ(=2°)によるアパーチャ通過後の光量の変化をΔPa、受光素子の光量の変化をΔPpとした時、モニタ光量比変動を、|(ΔPp/ΔPa)−1|(%)と定義する。
上記の実施例1の条件にて、受光素子の面積Spのみを振ったときの、モニタ光量比変動のシミュレーション結果を図9に示す。この条件ではSpが0.25mm2近傍でモニタ光量比変動は最も低く、画像濃度変動が殆ど目立たない範囲5%を実現できるのは、受光面積0.5mm2近傍までである。
以上のように、本発明によれば、書き込み光量とモニタ光量が一定で、安定したAPCを行うことができ、且つ、モニタ内蔵の小型、低コストのVCSEL光源装置を提供できる。
【0028】
図10に基づいて上述した光源装置を有する光走査装置について説明する。光走査装置30において、光源装置16から発した光線P1は、カップリングレンズ12で平行光にされ、ビーム整形手段としてのアパーチャ14を通過し所定のビーム幅に整形され、副走査方向のみ所定の曲率をもつシリンドリカルレンズ32を通り、光偏向手段としての回転多面鏡34によって偏向走査される。
偏向走査された光36は、走査光学系の一部をなすFθレンズ38を通り、同じく走査光学系の一部をなす折り返しミラー44で反射し、図示しない後述する感光体上に結像され静電潜像を作成する。
図10中、符号Xで示す矢印方向は、光の走査方向(主走査方向)を示している。なお、偏向走査された光線の一部は、ミラー40によって光センサ42へ導かれ、その信号により光源装置16から発する光線P1の変調を開始する。
【0029】
次に、図11に基づいて、光走査装置30を備えた画像形成装置の概略構成を説明する。
トナー像を形成するための像担持体としてのドラム形状の感光体64は、図示しないモータによって一定の周速度で時計回り方向に回転している。感光体64の表面は帯電装置50によって特定の極性に均一に帯電された後、光走査装置30からの光線(露光光)により露光され、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
露光位置の感光体回転方向下流側には現像装置52が配置され、現像装置52により感光体64上の前記静電潜像が顕像化されてトナー像が形成される。被記録媒体である印刷用紙54は、搬送ローラ対56で搬送される。
【0030】
その後、転写装置58で印刷用紙54の背面からトナーと反対の極性の帯電を行い、感光体64上のトナー像を印刷用紙54上に転写する。
転写後、転写されなかった感光体64上の残留トナーはクリーニング装置60によって除去され、次の画像形成プロセスに備えられる。
感光体64からトナー像が転写された印刷用紙54は定着装置62へ搬送される。定着装置62は、一定温度に加熱制御されたヒートローラ62aと、それに圧接する加圧ローラ62bとから構成されている。ヒートローラ62aと加圧ローラ62bの間を通過するとき、印刷用紙54上に保持されたトナー像は加圧溶融され印刷用紙54上に定着される。
定着処理後に印刷用紙54は、画像形成装置の外部に排出される。
【0031】
上記実施形態では、画像形成装置としてモノクロ機を例示したが、複数の感光体を並置してなるタンデム型にも同様に実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
2 面発光レーザ
8 ハーフミラー手段
10 受光部
12 カップリングレンズ
14 アパーチャ
16 光源装置
18 カバーガラス
20 受光素子
22 アンプ手段
30 光走査装置
34 光偏向手段
64 像担持体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2002−040350号公報
【特許文献2】特開2007−079295号公報
【特許文献3】特開2009−065064号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源からなる面発光レーザと、
前記光源からの出射光束の一部を反射するハーフミラー手段と、
前記ハーフミラー手段からの反射光束を受光する受光部と、
を有する光源装置において、
前記ハーフミラー手段は、前記面発光レーザと前記受光部とを保護するカバーガラス上に構成され、且つ、前記光源の出射方向に垂直な面に対して傾けて設定され、ハーフミラーの反射率は10%以下であり、
前記受光部は、受光素子と、微弱電流を増幅するアンプ手段とを備え、
前記面発光レーザ、前記カバーガラス、前記受光部は、1つのモジュールとして一体的に構成されていること特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記受光素子の受光面積をSp[mm2]としたとき、以下の関係を満足することを特徴とする光源装置。
0.5[mm2]>Sp[mm2]>0.1[mm2]
【請求項3】
光源装置と、該光源装置から出射する光を収束するカップリングレンズと、該カップリングレンズからの光束の開口を制限するアパーチャと、該アパーチャを透過後の光束を偏向走査する光偏向手段と、該光偏向手段からの光を被走査面に結像する走査光学系とを有する光走査装置において、
前記光源装置が請求項1又は2に記載のものであり、
前記アパーチャの開口面積をSa、前記受光素子の受光面積をSp、前記光源から前記受光素子に至る光路長をL、前記カップリングレンズの焦点距離をfとしたとき、以下の関係を満足することを特徴とする光走査装置。
1.3>[(√Sp/L)/(√Sa/f)]>0.7
【請求項4】
光源装置と、該光源装置から出射する光を収束するカップリングレンズと、該カップリングレンズからの光束の開口を制限するアパーチャと、該アパーチャを透過後の光束を偏向走査する光偏向手段と、該光偏向手段からの光を被走査面に結像する走査光学系とを有する光走査装置において、
前記光源装置が請求項1又は2に記載のものであり、
発散角変動Δθに対する前記アパーチャを通過後の光量変動をΔPa、受光素子上の光量変動をΔPpとしたとき、以下の関係を満足することを特徴とする光走査装置。
0.05>|(ΔPp/ΔPa)−1|
【請求項5】
像担持体に光を照射し、潜像を形成する光走査装置を備えた画像形成装置において、
前記光走査装置が、請求項3又は4に記載のものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−37025(P2013−37025A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170258(P2011−170258)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】