光源装置及びこれを用いた基板の貼り合わせ方法
【課題】光硬化材料を硬化させるための光照射の際に照射対象物の温度上昇を抑えることが可能で、発光時の投入電力の小さい小型の光源装置を提供する。
【解決手段】本発明の光源装置は、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する発光ダイオード3を複数備え、これら複数の発光ダイオード3により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、複数の発光ダイオード3が、照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域7に応じて配置されるように構成されている。本発明では、複数の発光ダイオード3が、照射対象物の照射対象領域7に沿って枠状に配列されている。収容容器2の内面2aに、450nm以下の光に対する高反射率被膜が施されている。冷却した空気を収容容器2の収容部4内に流すように構成されている。
【解決手段】本発明の光源装置は、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する発光ダイオード3を複数備え、これら複数の発光ダイオード3により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、複数の発光ダイオード3が、照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域7に応じて配置されるように構成されている。本発明では、複数の発光ダイオード3が、照射対象物の照射対象領域7に沿って枠状に配列されている。収容容器2の内面2aに、450nm以下の光に対する高反射率被膜が施されている。冷却した空気を収容容器2の収容部4内に流すように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶表示装置(LCD)、有機EL装置(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の作製過程においてパネル内の環境管理のための封止に適用可能な光源装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばPDPパネルの封着に際しては低融点(450℃以下)ガラスを用いているが、LCDやOLEDを作製する場合には、使用する光学材料の関係で温度を上げる工程は使用することができないため、紫外線硬化型の塗料もしくは樹脂を用いてパネル同士を封止するようにしている。
【0003】
このような塗料もしくは樹脂(光硬化性材料)を硬化させるためには、一般的に放電現象を用いた光源を用い全面照射により材料を硬化させるようにしているが、このような放電現象による光源を用いた場合、光源からの熱照射により例えば有機EL材料や液晶材料の劣化を招きやすく、さらに従来の光源ではかなりの短波長の紫外線も同時に照射されるためパネル材料への紫外線劣化も引き起こすという問題がある。
【0004】
その一方、PDPの封止においても低融点ガラスを用いずに、樹脂封止ができれば、温度上昇における時間が省け生産性が向上するとともにパネル加熱のプロセスが省け省エネ化にもつながると期待される。
【0005】
従来、紫外線硬化型の塗料および樹脂用の光源としては、放電ランプが一般的に用いられている。
例えば、現在のLCD製造ラインでは、光源としてキセノンランプを用い、封止材及び液晶材料を配置した一対のフラットパネルに対しマスクを介して全面照射を行い封止を行っている。
【0006】
しかし、放電現象による光源を用いているためこれが熱源となり、照射対象物の温度上昇を招きパネルの発光構成材料へのダメージが問題となる。したがって、フラットパネルへの照射による温度上昇を抑える必要がある。
【0007】
また放電現象による光源は、硬化に必要な発光波長の光以外にも、より短波長の紫外線が発生しており、この紫外線によりディスプレイ材料に対してダメージを与えることになる。また、このような短波長の光は、作業者の身体に対しても有害なものとなる。
【0008】
さらに、このような放電現象を用いる紫外線硬化用の光源は、光源装置の小型化が困難である。
現状では比較的に細い放電管を用い小型化が図られているが(例えば、特許文献1参照。)、このような従来技術では、光源装置としての小型化が困難であり、また上述した必要波長光以外の短波長光の発生も不可避である。
【特許文献1】特開2001−15064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、光硬化材料を硬化させるための光照射の際に照射対象物の温度上昇を抑えることが可能な光源装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、光硬化材料の硬化に必要のない短波長の紫外線の発生がなく、照射対象物に対してダメージを与えず、また作業者の身体に対しても害とならない光源装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、発光時の投入電力の小さい小型の光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する発光素子を複数備え、当該複数の発光素子により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、前記複数の発光素子が、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置されるように構成されている光源装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記複数の発光素子が、前記照射対象物の照射対象領域に沿って列状に配置されているものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記複数の発光素子が、前記照射対象物の照射対象領域に沿って枠状に配列されているものである。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の発明において、前記複数の発光素子が、前記照射対象物に対し、前記照射対象物の照射対象領域に応じて移動するように構成されているものである。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の発明において、前記複数の発光素子が、それぞれ独立して動作可能に構成されているものである。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の発明において、前記複数の発光素子が、発光ダイオードから構成されているものである。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の光源装置を用いた基板の貼り合わせ方法であって、一対の基板間の照射対象領域に光硬化性材料を配置した照射対象物を用意し、前記光源装置の複数の発光素子を、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の前記照射対象領域に応じて配置し、前記照射対象物を介して前記光硬化性材料に対して光の照射を行う工程を有する基板の貼り合わせ方法である。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記光硬化性材料の特定の部分の光の照射量が例の部分に比べて相対的に多くなるように光を照射する工程を有するものである。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8のいずれか1項記載の発明において、前記光硬化性材料の特定の部分にのみ光を照射する工程を有するものである。
請求項10記載の発明は、請求項7乃至9のいずれか1項記載の発明において、前記光硬化性材料の特定の部分を始点として当該光硬化性材料の隣接する領域に対して順次光を照射する工程を有するものである。
請求項11記載の発明は、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する複数の発光素子が収容容器の収容部内に配列され、当該複数の発光素子により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、前記収容容器の内面に、450nm以下の光に対する高反射率被膜が施されるとともに、前記複数の発光素子が、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置され、冷却した空気を前記収容容器の収容部内に流すように構成されているものである。
【0012】
本発明装置の場合、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する複数の発光素子が、照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置されるように構成されていることから、目的とする照射対象領域に対して効率良く光を照射して光硬化性材料を硬化させることができる。
【0013】
また、従来の硬化用光源は放電現象を用いていたため光源そのものが大きく、限られた部位への照射が困難なためこの光を照射すると対象試料の温度上昇を招くが、本発明では、例えば発光ダイオードのような発光素子を用いており光源が小さいため限られた領域のみの照射が可能であり、照射領域を規制するためのマスクも不要になる。
【0014】
さらに、このような発光素子は冷光源であるためパネル等の照射対象物の温度上昇が発生せずこれを劣化させることもなく、しかも、収容容器の内面に、450nm以下の光に対する高反射率被膜が施されていることから、発光時の投入電力の小さい光源装置を提供することができる。
【0015】
さらに、本発明においては、目的とする照射対象領域にのみ、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する光を集中して照射することができるので、短波長の光による問題が生ずることがない。したがって、パネル材料への紫外線によるダメージを回避することができ、また、人体への有害紫外線を考慮する必要も無い。
【0016】
本発明において、複数の発光素子が、列状に配置されている場合には、照射対象物上に列状に配置された光硬化性材料に対して幅狭の光を効率良く照射して硬化させることができる。
【0017】
本発明において、複数の発光素子が、枠状に配列されている場合には、照射対象物上に枠状に配置された光硬化性材料に対して効率良く光を照射して硬化させることができ、特に、一対のフラットパネルの貼り合わせ(封止)を容易に行うことができる。
【0018】
本発明において、複数の発光素子が、照射対象物に対し、照射対象物の照射対象領域に応じて移動するように構成されている場合には、照射対象物上の種々のパターンの光硬化性材料に対して最適の効率で光を照射して硬化させることができる。
【0019】
本発明において、複数の発光素子が、それぞれ独立して動作可能に構成されている場合には、任意の発光素子を点灯させることによって照射対象物上の光硬化性材料の任意の部分を硬化させることができる。
【0020】
本発明方法の場合、上述した光源装置を用い、一対の基板間の照射対象領域に光硬化性材料を配置した照射対象物を用意し、光源装置の複数の発光素子を、照射対象物の近傍において当該照射対象物の前記照射対象領域に応じて配置し、照射対象物を介して光硬化性材料に対して光の照射を行うことから、一対の基板の貼り合わせ(封止)を容易に効率良く行うことができる。
【0021】
本発明において、光硬化性材料の特定の部分の光の照射量が例の部分に比べて相対的に多くなるように光を照射すれば、光硬化性材料の硬化しにくい部分を他の部分と同様に均一に硬化させることができる。
本発明において、光硬化性材料の特定の部分にのみ光を照射すれば、光硬化性材料を部分的に硬化させて例えば基板の仮止め等を行うことができる。
【0022】
本発明において、光硬化性材料の特定の部分を始点として、隣接する領域に対して順次光を照射するようにすれば、貼り合わせ工程の種々の条件に応じて光硬化性材料を硬化させることができるとともに、光硬化性材料硬化時の応力の集中を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光硬化材料を硬化させるための光照射の際に照射対象物の温度上昇を抑えることが可能な光源装置を提供することができる。
また、本発明によれば、光硬化材料の硬化に必要のない短波長の紫外線の発生がなく、照射対象物に対してダメージを与えず、また作業者の身体に対しても害とならない光源装置を提供することができる。
また、本発明によれば、発光時の投入電力の小さい小型の光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る光源装置の実施の形態の全体を示す概略平面構成図
【図2】同光源装置の要部を示す断面図
【図3】(a)(b):本発明に用いる発光ダイオードの発光特性を示すグラフ
【図4】(a):本発明の実施の形態を用いた封止方法の例を示す説明図 (b):図4(a)のA−A線断面図
【図5】(a):同実施の形態を用いた封止方法の他の例を示す説明図 (b):図5(a)のB−B線断面図
【図6】本発明に係る光源装置の他の実施の形態の平面構成図
【図7】図6に示す実施の形態の変形例を示す図
【図8】本発明に係る光源装置の使用方法の他の例を示す説明図
【図9】本発明に係る光源装置の使用方法の他の例を示す説明図
【図10】本発明における発光素子の他の配置例を示す断面構成図
【図11】(a)〜(c):本発明における発光素子の他の配置例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る光源装置の全体を示す概略平面構成図、図2は、同光源装置の要部を示す断面図である。
図3(a)(b)は、本発明に用いることができる発光ダイオードの発光特性を示すグラフである。
また、図4(a)は、本実施の形態を用いた封止方法の例を示す説明図、図4(b)は、図4(a)のA−A線断面図、図5(a)は、本実施の形態を用いた封止方法の他の例を示す説明図、図5(b)は、図5(a)のB−B線断面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の光源装置1は、例えば断面U字で、全体が矩形枠形状の収容容器2を有し、この収容容器2内に、複数の発光素子として発光ダイオード3が、例えば一定の間隔をおいて列状に配列されている。なお、各発光ダイオード3は、図示しない制御回路に接続されオン・オフ等が制御される。この場合、各発光ダイオード3について、独立してオン・オフ等を制御するように構成することもできる。
【0027】
本発明の場合、発光素子としては、光硬化性材料(紫外線硬化塗料又は樹脂)の有効硬化波長に応じた発光ピークを有するもの、例えば、次のようなものを用いることができる。
一般に、信号機等で用いられているGaN発光ダイオード(GaN−LED)は、視認性をよくするため、発光センターとして金属不純物をドーピングしており、その発光スペクトルは、図3(a)に示すように、420nm近傍と475nm近傍にピークを持つ発光特性を示す。
【0028】
この素子の場合、発光は420nmに最大ピークを示し、発光スペクトルは鋭く、紫外域の発光は観察されない。
なお、これらの発光特性は、発光中心ドーピング不純物の種類やドーピング量によっても若干異なるものである。
【0029】
一方、発光センター不純物をドーピングしないGaN発光ダイオードの発光スペクトルは、図3(b)に示すように、360nmにピークを持つ発光となり、この場合も鋭い発光スペクトルとなる。そして、これより短波長の紫外域の発光は観察されない。
【0030】
本発明においては、発光素子として、360nm〜420nmに発光ピークを持つ発光ダイオードを好適に用いることができる。この場合、発光ピークは複数存在していてもよく、また、420nmより大きな波長のピークを併せ持つ発光ダイオードを用いることもできる。したがって、上述したいずれのGaN発光ダイオードを発光素子として用いることができる。
【0031】
さらに、本発明の場合、発光素子として、400nm近傍にピークを有するSiC発光ダイオード(SiC−LED)や、ZnOを主体とする発光ダイオードを用いることもできる。
本発明の場合、特に限定されることはないが、発光効率及びコスト抑制の観点からは、420nmに発光のピークを有するGaN発光ダイオードを用いることが好ましい。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態の場合、光源装置1の収容容器2は、照射対象領域7(封止材11)とほぼ同等の大きさに形成され、これにより複数の発光ダイオード3が、照射対象領域7に対応して配列されるように構成されている。
【0033】
図2に示すように、この収容容器2は、断面凹部曲面状の空間状の収容部4が形成され、その曲面の奥まったほぼ焦点(頂点)の位置に、各発光ダイオード3が取り付けられている。
【0034】
本発明の場合、収容容器2としては、例えば、450nm以下の光に対して反射率が高い材料である、アルミニウム(Al)合金もしくはチタン(Ti)合金からなり収容容器2の内面2aが鏡面研磨されたものを用いることができる。
【0035】
また、発光ダイオード3の総使用量の重量は多くなくさほど強度も要求されないので、収容容器2としては金型成型が容易なプラスチック(ポリカーボネート等)からなるものを用いることもできる。
【0036】
この場合には、収容容器2の内面2aに、上記アルミニウム等による450nm以下の光に対する高反射率被膜を施すとよい。
また、収容容器2の収容部4の発光ダイオード3の近傍には、集光用のレンズ5が配設されている。
【0037】
本発明の場合、特に限定されることはないが、収容部4内の温度上昇を効率良く下げる観点からは、冷却した空気を収容部4内に流すように構成することが好ましく、また、収容容器2の開口部分に、照射する光を透過する材料(プラスチックやガラス)からなるの蓋6を設けるとより効果的である。
なお、具体的には、例えば、直径5mmφの発光ダイオード3を用いた場合に収容容器2の開口部分は10mm程度に設定することができる。
【0038】
本実施の形態の光源装置は、例えば、液晶表示装置の封止材を硬化させる場合に用いられる。
この場合、例えば、図4(a)(b)に示すように、第1基板10上に塗布した矩形枠状の複数の封止材(光硬化材料)11の内側の領域に液晶材料12を塗布し第1基板10に対して対応する第2基板20を貼り合わせた後封止材11の仮止めを行った照射対象物8を用意する。
【0039】
そして、封止材11の形状に対応するスリット部31を有するマスク30を、照射対象物8の近傍に位置決め配置し、さらにこのマスク30の近傍に本発明に係る光源装置1を配置する。
この場合、光源装置1としては、マスク30の各スリット部31、すなわち、第1及び第2基板10間の封止材11の上方に発光ダイオード3を配列するように構成されたものを用い、各発光ダイオード3を点灯させることによって封止材11の硬化を行う。
【0040】
以上述べたように本実施の形態の光源装置1によれば、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する複数の発光ダイオード3が、照射対象物8の近傍において当該照射対象物8の照射対象領域7に応じて配置されるように構成されていることから、目的とする照射対象領域7に対して効率良く光を照射して光硬化性材料を硬化させることができる。
【0041】
また、従来の硬化用光源は放電現象を用いていたため光源そのものが大きく、限られた部位への照射が困難なためこの光を照射すると照射対象物の温度上昇を招くが、本実施の形態では、発光ダイオード3を用いており光源が小さいため限られた幅狭の封止材11領域のみの照射が可能である。
【0042】
特に本実施の形態においては、複数の発光ダイオード3が、封止材11に対応して枠状に配列されており、第1及び第2基板10、20間に配置された枠状の封止材11に対して効率良く光を照射して硬化させることができ、これにより第1及び第2基板10、20の貼り合わせ(封止)を確実に行うことができる。
そして、このような本実施の形態によれば、図5(a)(b)に示すように、マスクを用いることなく封止材11領域のみの照射が可能になる。
【0043】
さらに、本実施の形態によれば、発光のための投入電力が小さく、かつ、寿命の長い小型の光源装置1を提供することができる。
具体的には、例えば、40cm角のパネルの周辺の封止材を硬化させる場合、従来の放電を用いたランプでは1,000W程度が必要となるが、本発明に係る発光素子を用いた光源装置の場合、例えば、1cm間隔で上述したように発光ダイオードを矩形枠状に並べた光源装置を例にとると、発光ダイオードの1個当たりの駆動電圧と4Vとすれば6.5W程度となり、放電光源に比べ投入電力が低く、照射対象物に対して熱的なダメージを与えない冷光源となる。
【0044】
また、光源としての寿命も放電ランプに比べて長く、投入電力量が少なくて済み、省エネルギー効果も大きい。ここで用いる発光ダイオードの光度の例としては、ピーク波長360nm用が2,000mcd/個、同420nm用が4,000mcdである。
【0045】
さらに、上記図2に示したように、収容容器2の開口部分に蓋6を設け、冷却した空気を収容部4内に流すように構成すれば、光源装置1による温度上昇の影響をより低減することができる。
さらに、本実施の形態においては、目的とする照射対象領域7にのみ、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する光を集中して照射することができるので、短波長の光(紫外線)による問題が生ずることがない。したがって、パネル材料への紫外線によるダメージを回避することができ、また、人体への有害紫外線を考慮する必要も無い。
【0046】
図6は、本発明に係る光源装置の他の実施の形態の平面構成図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施の形態の場合は、長尺の直線状の複数の光源装置を組み合わせて構成されたもので、例えば、X軸方向に延びるように並べられた複数(本実施の形態の場合は4本)の第1光源装置1xと、Y軸方向に延びるように並べられた複数(本実施の形態の場合は4本)の第2光源装置1yとが、交差するように配置されている。
【0048】
ここで、第1及び第2光源装置1x、1yは、ともに上述した収容容器2内に複数の発光ダイオード3を直線状に配列してなるものである。
そして、第1光源装置1xは、Y軸方向に移動可能に構成され、第2光源装置1yは、X軸方向に移動可能に構成されている。
【0049】
本実施の形態において、上述した矩形枠状の封止材11を硬化させる場合には、第1光源装置1xを封止材11のY軸方向部分上に配置するとともに、第2光源装置1yを封止材11のX軸方向部分上に配置する。
そして、第1及び第2光源装置1x、1yの各発光ダイオード3を点灯させることによって封止材11の硬化を行う。
【0050】
このような構成を有する本実施の形態によれば、上記実施の形態と同様の効果に加えて、封止材11の位置、大きさ、形状等に応じて最適の効率で光を照射して硬化させることができる。その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0051】
図7は、図6に示す実施の形態の変形例を示すものである。
本例においては、第1及び第2光源装置1x、1yの各発光ダイオード3が、独立してオン・オフ等を制御するように構成されているものである。
本例では、封止材11の硬化の際に、第1及び第2光源装置1x、1yの発光ダイオード3のうち、封止材11に対応する領域の発光ダイオード3aのみを点灯させるように制御する。
【0052】
このような構成を有する本例によれば、投入電力を減少させることができるとともにより発熱を抑えることが可能になる。その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0053】
図8及び図9は、本発明に係る光源装置の使用方法の他の例を示す説明図である。
例えば、照射対象領域7の光硬化材料の角部のような他の部分に比べて硬化しにくい部分に対しては、図8に示すように、照射対象領域7の外側に位置する発光ダイオード3bを併せて点灯させるように制御するとよい。
このような制御を行い光の照射量を増加させることにより、光硬化性材料の硬化しにくい部分を他の部分と同様に均一に硬化させることができる。
【0054】
また、各発光ダイオード3を独立してオン・オフ等を制御するように構成しておく場合には、各発光ダイオード3の点灯のタイミングをずらすことも可能である。
例えば、図9の符号40、41で示すように、照射対象領域7の辺の中央部から角部に向って順次発光ダイオード3を点灯させたり、逆に、図9の符号42、43で示すように、照射対象領域7の角部から中央部に向って順次発光ダイオード3を点灯させることも可能である。
【0055】
さらに、図9の符号44で示すように、例えば、照射対象領域7に沿って時計回り方向(又は反時計回り方向)に順次発光ダイオード3を点灯させることも可能である。
【0056】
このような本実施の形態によれば、貼り合わせ工程の種々の条件に応じて光硬化性材料を硬化させることができるとともに、光硬化性材料硬化時の応力の集中を低減することが可能になる。
【0057】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述した実施の形態では、発光ダイオードを収容容器の収容部内において、1列に配列した例を説明したが、本発明はこれに限られず、同収容部内において発光ダイオードを複数配列することもできる。
【0058】
図10は、発光ダイオードを2列に並べた例を示すものであり、この場合、図11(a)(b)に示すように、発光ダイオード3同士を横方向に整列させて並べることもでき、千鳥足状に並べることもできる。
また、図11(c)に示すように、収容容器2の収容部4内において、発光ダイオード3を3列に並べることもできる。
【0059】
このような発光ダイオードの複数配列は、照射対象領域の全域にわたっていてもよいし、例えば、光硬化材料の硬化しにくい部分のみ発光ダイオードを複数列配列することもできる。
さらに、発光素子としては、発光ピークが同一の発光ダイオードを用いることもできるし、異なる発光ピークを有する発光ダイオードを混在させることもできる。
【0060】
さらにまた、収容容器の形状及び発光素子の配列は照射対象領域に応じて適宜変更することができる。
加えて、本発明は、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイパネル等の種々のフラットパネルディスプレイに好適であるが、それ以外の光硬化性材料を硬化させるための光源装置としても利用することができるものである。
【符号の説明】
【0061】
1…光源装置 2…収容容器 3…発光ダイオード(発光素子) 4…収容部 7…照射対象領域 11…封止材(光硬化材料)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶表示装置(LCD)、有機EL装置(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の作製過程においてパネル内の環境管理のための封止に適用可能な光源装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばPDPパネルの封着に際しては低融点(450℃以下)ガラスを用いているが、LCDやOLEDを作製する場合には、使用する光学材料の関係で温度を上げる工程は使用することができないため、紫外線硬化型の塗料もしくは樹脂を用いてパネル同士を封止するようにしている。
【0003】
このような塗料もしくは樹脂(光硬化性材料)を硬化させるためには、一般的に放電現象を用いた光源を用い全面照射により材料を硬化させるようにしているが、このような放電現象による光源を用いた場合、光源からの熱照射により例えば有機EL材料や液晶材料の劣化を招きやすく、さらに従来の光源ではかなりの短波長の紫外線も同時に照射されるためパネル材料への紫外線劣化も引き起こすという問題がある。
【0004】
その一方、PDPの封止においても低融点ガラスを用いずに、樹脂封止ができれば、温度上昇における時間が省け生産性が向上するとともにパネル加熱のプロセスが省け省エネ化にもつながると期待される。
【0005】
従来、紫外線硬化型の塗料および樹脂用の光源としては、放電ランプが一般的に用いられている。
例えば、現在のLCD製造ラインでは、光源としてキセノンランプを用い、封止材及び液晶材料を配置した一対のフラットパネルに対しマスクを介して全面照射を行い封止を行っている。
【0006】
しかし、放電現象による光源を用いているためこれが熱源となり、照射対象物の温度上昇を招きパネルの発光構成材料へのダメージが問題となる。したがって、フラットパネルへの照射による温度上昇を抑える必要がある。
【0007】
また放電現象による光源は、硬化に必要な発光波長の光以外にも、より短波長の紫外線が発生しており、この紫外線によりディスプレイ材料に対してダメージを与えることになる。また、このような短波長の光は、作業者の身体に対しても有害なものとなる。
【0008】
さらに、このような放電現象を用いる紫外線硬化用の光源は、光源装置の小型化が困難である。
現状では比較的に細い放電管を用い小型化が図られているが(例えば、特許文献1参照。)、このような従来技術では、光源装置としての小型化が困難であり、また上述した必要波長光以外の短波長光の発生も不可避である。
【特許文献1】特開2001−15064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の技術の課題を考慮してなされたもので、その目的とするところは、光硬化材料を硬化させるための光照射の際に照射対象物の温度上昇を抑えることが可能な光源装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、光硬化材料の硬化に必要のない短波長の紫外線の発生がなく、照射対象物に対してダメージを与えず、また作業者の身体に対しても害とならない光源装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、発光時の投入電力の小さい小型の光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する発光素子を複数備え、当該複数の発光素子により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、前記複数の発光素子が、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置されるように構成されている光源装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記複数の発光素子が、前記照射対象物の照射対象領域に沿って列状に配置されているものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記複数の発光素子が、前記照射対象物の照射対象領域に沿って枠状に配列されているものである。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の発明において、前記複数の発光素子が、前記照射対象物に対し、前記照射対象物の照射対象領域に応じて移動するように構成されているものである。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の発明において、前記複数の発光素子が、それぞれ独立して動作可能に構成されているものである。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の発明において、前記複数の発光素子が、発光ダイオードから構成されているものである。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の光源装置を用いた基板の貼り合わせ方法であって、一対の基板間の照射対象領域に光硬化性材料を配置した照射対象物を用意し、前記光源装置の複数の発光素子を、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の前記照射対象領域に応じて配置し、前記照射対象物を介して前記光硬化性材料に対して光の照射を行う工程を有する基板の貼り合わせ方法である。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記光硬化性材料の特定の部分の光の照射量が例の部分に比べて相対的に多くなるように光を照射する工程を有するものである。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8のいずれか1項記載の発明において、前記光硬化性材料の特定の部分にのみ光を照射する工程を有するものである。
請求項10記載の発明は、請求項7乃至9のいずれか1項記載の発明において、前記光硬化性材料の特定の部分を始点として当該光硬化性材料の隣接する領域に対して順次光を照射する工程を有するものである。
請求項11記載の発明は、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する複数の発光素子が収容容器の収容部内に配列され、当該複数の発光素子により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、前記収容容器の内面に、450nm以下の光に対する高反射率被膜が施されるとともに、前記複数の発光素子が、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置され、冷却した空気を前記収容容器の収容部内に流すように構成されているものである。
【0012】
本発明装置の場合、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する複数の発光素子が、照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置されるように構成されていることから、目的とする照射対象領域に対して効率良く光を照射して光硬化性材料を硬化させることができる。
【0013】
また、従来の硬化用光源は放電現象を用いていたため光源そのものが大きく、限られた部位への照射が困難なためこの光を照射すると対象試料の温度上昇を招くが、本発明では、例えば発光ダイオードのような発光素子を用いており光源が小さいため限られた領域のみの照射が可能であり、照射領域を規制するためのマスクも不要になる。
【0014】
さらに、このような発光素子は冷光源であるためパネル等の照射対象物の温度上昇が発生せずこれを劣化させることもなく、しかも、収容容器の内面に、450nm以下の光に対する高反射率被膜が施されていることから、発光時の投入電力の小さい光源装置を提供することができる。
【0015】
さらに、本発明においては、目的とする照射対象領域にのみ、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する光を集中して照射することができるので、短波長の光による問題が生ずることがない。したがって、パネル材料への紫外線によるダメージを回避することができ、また、人体への有害紫外線を考慮する必要も無い。
【0016】
本発明において、複数の発光素子が、列状に配置されている場合には、照射対象物上に列状に配置された光硬化性材料に対して幅狭の光を効率良く照射して硬化させることができる。
【0017】
本発明において、複数の発光素子が、枠状に配列されている場合には、照射対象物上に枠状に配置された光硬化性材料に対して効率良く光を照射して硬化させることができ、特に、一対のフラットパネルの貼り合わせ(封止)を容易に行うことができる。
【0018】
本発明において、複数の発光素子が、照射対象物に対し、照射対象物の照射対象領域に応じて移動するように構成されている場合には、照射対象物上の種々のパターンの光硬化性材料に対して最適の効率で光を照射して硬化させることができる。
【0019】
本発明において、複数の発光素子が、それぞれ独立して動作可能に構成されている場合には、任意の発光素子を点灯させることによって照射対象物上の光硬化性材料の任意の部分を硬化させることができる。
【0020】
本発明方法の場合、上述した光源装置を用い、一対の基板間の照射対象領域に光硬化性材料を配置した照射対象物を用意し、光源装置の複数の発光素子を、照射対象物の近傍において当該照射対象物の前記照射対象領域に応じて配置し、照射対象物を介して光硬化性材料に対して光の照射を行うことから、一対の基板の貼り合わせ(封止)を容易に効率良く行うことができる。
【0021】
本発明において、光硬化性材料の特定の部分の光の照射量が例の部分に比べて相対的に多くなるように光を照射すれば、光硬化性材料の硬化しにくい部分を他の部分と同様に均一に硬化させることができる。
本発明において、光硬化性材料の特定の部分にのみ光を照射すれば、光硬化性材料を部分的に硬化させて例えば基板の仮止め等を行うことができる。
【0022】
本発明において、光硬化性材料の特定の部分を始点として、隣接する領域に対して順次光を照射するようにすれば、貼り合わせ工程の種々の条件に応じて光硬化性材料を硬化させることができるとともに、光硬化性材料硬化時の応力の集中を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光硬化材料を硬化させるための光照射の際に照射対象物の温度上昇を抑えることが可能な光源装置を提供することができる。
また、本発明によれば、光硬化材料の硬化に必要のない短波長の紫外線の発生がなく、照射対象物に対してダメージを与えず、また作業者の身体に対しても害とならない光源装置を提供することができる。
また、本発明によれば、発光時の投入電力の小さい小型の光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る光源装置の実施の形態の全体を示す概略平面構成図
【図2】同光源装置の要部を示す断面図
【図3】(a)(b):本発明に用いる発光ダイオードの発光特性を示すグラフ
【図4】(a):本発明の実施の形態を用いた封止方法の例を示す説明図 (b):図4(a)のA−A線断面図
【図5】(a):同実施の形態を用いた封止方法の他の例を示す説明図 (b):図5(a)のB−B線断面図
【図6】本発明に係る光源装置の他の実施の形態の平面構成図
【図7】図6に示す実施の形態の変形例を示す図
【図8】本発明に係る光源装置の使用方法の他の例を示す説明図
【図9】本発明に係る光源装置の使用方法の他の例を示す説明図
【図10】本発明における発光素子の他の配置例を示す断面構成図
【図11】(a)〜(c):本発明における発光素子の他の配置例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る光源装置の全体を示す概略平面構成図、図2は、同光源装置の要部を示す断面図である。
図3(a)(b)は、本発明に用いることができる発光ダイオードの発光特性を示すグラフである。
また、図4(a)は、本実施の形態を用いた封止方法の例を示す説明図、図4(b)は、図4(a)のA−A線断面図、図5(a)は、本実施の形態を用いた封止方法の他の例を示す説明図、図5(b)は、図5(a)のB−B線断面図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の光源装置1は、例えば断面U字で、全体が矩形枠形状の収容容器2を有し、この収容容器2内に、複数の発光素子として発光ダイオード3が、例えば一定の間隔をおいて列状に配列されている。なお、各発光ダイオード3は、図示しない制御回路に接続されオン・オフ等が制御される。この場合、各発光ダイオード3について、独立してオン・オフ等を制御するように構成することもできる。
【0027】
本発明の場合、発光素子としては、光硬化性材料(紫外線硬化塗料又は樹脂)の有効硬化波長に応じた発光ピークを有するもの、例えば、次のようなものを用いることができる。
一般に、信号機等で用いられているGaN発光ダイオード(GaN−LED)は、視認性をよくするため、発光センターとして金属不純物をドーピングしており、その発光スペクトルは、図3(a)に示すように、420nm近傍と475nm近傍にピークを持つ発光特性を示す。
【0028】
この素子の場合、発光は420nmに最大ピークを示し、発光スペクトルは鋭く、紫外域の発光は観察されない。
なお、これらの発光特性は、発光中心ドーピング不純物の種類やドーピング量によっても若干異なるものである。
【0029】
一方、発光センター不純物をドーピングしないGaN発光ダイオードの発光スペクトルは、図3(b)に示すように、360nmにピークを持つ発光となり、この場合も鋭い発光スペクトルとなる。そして、これより短波長の紫外域の発光は観察されない。
【0030】
本発明においては、発光素子として、360nm〜420nmに発光ピークを持つ発光ダイオードを好適に用いることができる。この場合、発光ピークは複数存在していてもよく、また、420nmより大きな波長のピークを併せ持つ発光ダイオードを用いることもできる。したがって、上述したいずれのGaN発光ダイオードを発光素子として用いることができる。
【0031】
さらに、本発明の場合、発光素子として、400nm近傍にピークを有するSiC発光ダイオード(SiC−LED)や、ZnOを主体とする発光ダイオードを用いることもできる。
本発明の場合、特に限定されることはないが、発光効率及びコスト抑制の観点からは、420nmに発光のピークを有するGaN発光ダイオードを用いることが好ましい。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態の場合、光源装置1の収容容器2は、照射対象領域7(封止材11)とほぼ同等の大きさに形成され、これにより複数の発光ダイオード3が、照射対象領域7に対応して配列されるように構成されている。
【0033】
図2に示すように、この収容容器2は、断面凹部曲面状の空間状の収容部4が形成され、その曲面の奥まったほぼ焦点(頂点)の位置に、各発光ダイオード3が取り付けられている。
【0034】
本発明の場合、収容容器2としては、例えば、450nm以下の光に対して反射率が高い材料である、アルミニウム(Al)合金もしくはチタン(Ti)合金からなり収容容器2の内面2aが鏡面研磨されたものを用いることができる。
【0035】
また、発光ダイオード3の総使用量の重量は多くなくさほど強度も要求されないので、収容容器2としては金型成型が容易なプラスチック(ポリカーボネート等)からなるものを用いることもできる。
【0036】
この場合には、収容容器2の内面2aに、上記アルミニウム等による450nm以下の光に対する高反射率被膜を施すとよい。
また、収容容器2の収容部4の発光ダイオード3の近傍には、集光用のレンズ5が配設されている。
【0037】
本発明の場合、特に限定されることはないが、収容部4内の温度上昇を効率良く下げる観点からは、冷却した空気を収容部4内に流すように構成することが好ましく、また、収容容器2の開口部分に、照射する光を透過する材料(プラスチックやガラス)からなるの蓋6を設けるとより効果的である。
なお、具体的には、例えば、直径5mmφの発光ダイオード3を用いた場合に収容容器2の開口部分は10mm程度に設定することができる。
【0038】
本実施の形態の光源装置は、例えば、液晶表示装置の封止材を硬化させる場合に用いられる。
この場合、例えば、図4(a)(b)に示すように、第1基板10上に塗布した矩形枠状の複数の封止材(光硬化材料)11の内側の領域に液晶材料12を塗布し第1基板10に対して対応する第2基板20を貼り合わせた後封止材11の仮止めを行った照射対象物8を用意する。
【0039】
そして、封止材11の形状に対応するスリット部31を有するマスク30を、照射対象物8の近傍に位置決め配置し、さらにこのマスク30の近傍に本発明に係る光源装置1を配置する。
この場合、光源装置1としては、マスク30の各スリット部31、すなわち、第1及び第2基板10間の封止材11の上方に発光ダイオード3を配列するように構成されたものを用い、各発光ダイオード3を点灯させることによって封止材11の硬化を行う。
【0040】
以上述べたように本実施の形態の光源装置1によれば、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する複数の発光ダイオード3が、照射対象物8の近傍において当該照射対象物8の照射対象領域7に応じて配置されるように構成されていることから、目的とする照射対象領域7に対して効率良く光を照射して光硬化性材料を硬化させることができる。
【0041】
また、従来の硬化用光源は放電現象を用いていたため光源そのものが大きく、限られた部位への照射が困難なためこの光を照射すると照射対象物の温度上昇を招くが、本実施の形態では、発光ダイオード3を用いており光源が小さいため限られた幅狭の封止材11領域のみの照射が可能である。
【0042】
特に本実施の形態においては、複数の発光ダイオード3が、封止材11に対応して枠状に配列されており、第1及び第2基板10、20間に配置された枠状の封止材11に対して効率良く光を照射して硬化させることができ、これにより第1及び第2基板10、20の貼り合わせ(封止)を確実に行うことができる。
そして、このような本実施の形態によれば、図5(a)(b)に示すように、マスクを用いることなく封止材11領域のみの照射が可能になる。
【0043】
さらに、本実施の形態によれば、発光のための投入電力が小さく、かつ、寿命の長い小型の光源装置1を提供することができる。
具体的には、例えば、40cm角のパネルの周辺の封止材を硬化させる場合、従来の放電を用いたランプでは1,000W程度が必要となるが、本発明に係る発光素子を用いた光源装置の場合、例えば、1cm間隔で上述したように発光ダイオードを矩形枠状に並べた光源装置を例にとると、発光ダイオードの1個当たりの駆動電圧と4Vとすれば6.5W程度となり、放電光源に比べ投入電力が低く、照射対象物に対して熱的なダメージを与えない冷光源となる。
【0044】
また、光源としての寿命も放電ランプに比べて長く、投入電力量が少なくて済み、省エネルギー効果も大きい。ここで用いる発光ダイオードの光度の例としては、ピーク波長360nm用が2,000mcd/個、同420nm用が4,000mcdである。
【0045】
さらに、上記図2に示したように、収容容器2の開口部分に蓋6を設け、冷却した空気を収容部4内に流すように構成すれば、光源装置1による温度上昇の影響をより低減することができる。
さらに、本実施の形態においては、目的とする照射対象領域7にのみ、光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する光を集中して照射することができるので、短波長の光(紫外線)による問題が生ずることがない。したがって、パネル材料への紫外線によるダメージを回避することができ、また、人体への有害紫外線を考慮する必要も無い。
【0046】
図6は、本発明に係る光源装置の他の実施の形態の平面構成図であり、以下、上記実施の形態と対応する部分には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施の形態の場合は、長尺の直線状の複数の光源装置を組み合わせて構成されたもので、例えば、X軸方向に延びるように並べられた複数(本実施の形態の場合は4本)の第1光源装置1xと、Y軸方向に延びるように並べられた複数(本実施の形態の場合は4本)の第2光源装置1yとが、交差するように配置されている。
【0048】
ここで、第1及び第2光源装置1x、1yは、ともに上述した収容容器2内に複数の発光ダイオード3を直線状に配列してなるものである。
そして、第1光源装置1xは、Y軸方向に移動可能に構成され、第2光源装置1yは、X軸方向に移動可能に構成されている。
【0049】
本実施の形態において、上述した矩形枠状の封止材11を硬化させる場合には、第1光源装置1xを封止材11のY軸方向部分上に配置するとともに、第2光源装置1yを封止材11のX軸方向部分上に配置する。
そして、第1及び第2光源装置1x、1yの各発光ダイオード3を点灯させることによって封止材11の硬化を行う。
【0050】
このような構成を有する本実施の形態によれば、上記実施の形態と同様の効果に加えて、封止材11の位置、大きさ、形状等に応じて最適の効率で光を照射して硬化させることができる。その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0051】
図7は、図6に示す実施の形態の変形例を示すものである。
本例においては、第1及び第2光源装置1x、1yの各発光ダイオード3が、独立してオン・オフ等を制御するように構成されているものである。
本例では、封止材11の硬化の際に、第1及び第2光源装置1x、1yの発光ダイオード3のうち、封止材11に対応する領域の発光ダイオード3aのみを点灯させるように制御する。
【0052】
このような構成を有する本例によれば、投入電力を減少させることができるとともにより発熱を抑えることが可能になる。その他の構成及び作用効果については上述の実施の形態と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0053】
図8及び図9は、本発明に係る光源装置の使用方法の他の例を示す説明図である。
例えば、照射対象領域7の光硬化材料の角部のような他の部分に比べて硬化しにくい部分に対しては、図8に示すように、照射対象領域7の外側に位置する発光ダイオード3bを併せて点灯させるように制御するとよい。
このような制御を行い光の照射量を増加させることにより、光硬化性材料の硬化しにくい部分を他の部分と同様に均一に硬化させることができる。
【0054】
また、各発光ダイオード3を独立してオン・オフ等を制御するように構成しておく場合には、各発光ダイオード3の点灯のタイミングをずらすことも可能である。
例えば、図9の符号40、41で示すように、照射対象領域7の辺の中央部から角部に向って順次発光ダイオード3を点灯させたり、逆に、図9の符号42、43で示すように、照射対象領域7の角部から中央部に向って順次発光ダイオード3を点灯させることも可能である。
【0055】
さらに、図9の符号44で示すように、例えば、照射対象領域7に沿って時計回り方向(又は反時計回り方向)に順次発光ダイオード3を点灯させることも可能である。
【0056】
このような本実施の形態によれば、貼り合わせ工程の種々の条件に応じて光硬化性材料を硬化させることができるとともに、光硬化性材料硬化時の応力の集中を低減することが可能になる。
【0057】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述した実施の形態では、発光ダイオードを収容容器の収容部内において、1列に配列した例を説明したが、本発明はこれに限られず、同収容部内において発光ダイオードを複数配列することもできる。
【0058】
図10は、発光ダイオードを2列に並べた例を示すものであり、この場合、図11(a)(b)に示すように、発光ダイオード3同士を横方向に整列させて並べることもでき、千鳥足状に並べることもできる。
また、図11(c)に示すように、収容容器2の収容部4内において、発光ダイオード3を3列に並べることもできる。
【0059】
このような発光ダイオードの複数配列は、照射対象領域の全域にわたっていてもよいし、例えば、光硬化材料の硬化しにくい部分のみ発光ダイオードを複数列配列することもできる。
さらに、発光素子としては、発光ピークが同一の発光ダイオードを用いることもできるし、異なる発光ピークを有する発光ダイオードを混在させることもできる。
【0060】
さらにまた、収容容器の形状及び発光素子の配列は照射対象領域に応じて適宜変更することができる。
加えて、本発明は、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイパネル等の種々のフラットパネルディスプレイに好適であるが、それ以外の光硬化性材料を硬化させるための光源装置としても利用することができるものである。
【符号の説明】
【0061】
1…光源装置 2…収容容器 3…発光ダイオード(発光素子) 4…収容部 7…照射対象領域 11…封止材(光硬化材料)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する発光素子を複数備え、当該複数の発光素子により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、
前記複数の発光素子が、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置されるように構成されている光源装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子が、前記照射対象物の照射対象領域に沿って列状に配置されている請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子が、前記照射対象物の照射対象領域に沿って枠状に配列されている請求項1記載の光源装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子が、前記照射対象物に対し、前記照射対象物の照射対象領域に応じて移動するように構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子が、それぞれ独立して動作可能に構成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の光源装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子が、発光ダイオードから構成されている請求項1乃至5のいずれか1項記載の光源装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の光源装置を用いた基板の貼り合わせ方法であって、
一対の基板間の照射対象領域に光硬化性材料を配置した照射対象物を用意し、
前記光源装置の複数の発光素子を、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の前記照射対象領域に応じて配置し、
前記照射対象物を介して前記光硬化性材料に対して光の照射を行う工程を有する基板の貼り合わせ方法。
【請求項8】
前記光硬化性材料の特定の部分の光の照射量が例の部分に比べて相対的に多くなるように光を照射する工程を有する請求項7記載の基板の貼り合わせ方法。
【請求項9】
前記光硬化性材料の特定の部分にのみ光を照射する工程を有する請求項7又は8のいずれか1項記載の基板の貼り合わせ方法。
【請求項10】
前記光硬化性材料の特定の部分を始点として当該光硬化性材料の隣接する領域に対して順次光を照射する工程を有する請求項7乃至9のいずれか1項記載の基板の貼り合わせ方法。
【請求項11】
光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する複数の発光素子が収容容器の収容部内に配列され、当該複数の発光素子により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、
前記収容容器の内面に、450nm以下の光に対する高反射率被膜が施されるとともに、
前記複数の発光素子が、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置され、
冷却した空気を前記収容容器の収容部内に流すように構成されている光源装置。
【請求項1】
光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する発光素子を複数備え、当該複数の発光素子により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、
前記複数の発光素子が、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置されるように構成されている光源装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子が、前記照射対象物の照射対象領域に沿って列状に配置されている請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子が、前記照射対象物の照射対象領域に沿って枠状に配列されている請求項1記載の光源装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子が、前記照射対象物に対し、前記照射対象物の照射対象領域に応じて移動するように構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子が、それぞれ独立して動作可能に構成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の光源装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子が、発光ダイオードから構成されている請求項1乃至5のいずれか1項記載の光源装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の光源装置を用いた基板の貼り合わせ方法であって、
一対の基板間の照射対象領域に光硬化性材料を配置した照射対象物を用意し、
前記光源装置の複数の発光素子を、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の前記照射対象領域に応じて配置し、
前記照射対象物を介して前記光硬化性材料に対して光の照射を行う工程を有する基板の貼り合わせ方法。
【請求項8】
前記光硬化性材料の特定の部分の光の照射量が例の部分に比べて相対的に多くなるように光を照射する工程を有する請求項7記載の基板の貼り合わせ方法。
【請求項9】
前記光硬化性材料の特定の部分にのみ光を照射する工程を有する請求項7又は8のいずれか1項記載の基板の貼り合わせ方法。
【請求項10】
前記光硬化性材料の特定の部分を始点として当該光硬化性材料の隣接する領域に対して順次光を照射する工程を有する請求項7乃至9のいずれか1項記載の基板の貼り合わせ方法。
【請求項11】
光硬化性材料の有効硬化波長に応じた発光ピークを有する複数の発光素子が収容容器の収容部内に配列され、当該複数の発光素子により照射対象物に対して光を照射するための光源装置であって、
前記収容容器の内面に、450nm以下の光に対する高反射率被膜が施されるとともに、
前記複数の発光素子が、前記照射対象物の近傍において当該照射対象物の照射対象領域に応じて配置され、
冷却した空気を前記収容容器の収容部内に流すように構成されている光源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−86576(P2012−86576A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249(P2012−249)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2006−166241(P2006−166241)の分割
【原出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2006−166241(P2006−166241)の分割
【原出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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