光走査装置および画像形成装置
【課題】走査光学系にプラスティックレンズを用い、マルチビーム光源を用いた場合の光学性能を確保して、高速、高精細な画像形成を行うことができる光走査装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、副走査方向において、複数の発光点からの主光線がプラスティックレンズ付近で交差しており、かつ、プラスティックレンズの主走査方向における中央側光束通過領域と端部側光束通過領域とで、一方ではプラスティックレンズに対して光軸方向で前方位置、他方では後方位置で主光線が交差するように構成する。
【解決手段】結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、副走査方向において、複数の発光点からの主光線がプラスティックレンズ付近で交差しており、かつ、プラスティックレンズの主走査方向における中央側光束通過領域と端部側光束通過領域とで、一方ではプラスティックレンズに対して光軸方向で前方位置、他方では後方位置で主光線が交差するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査装置およびそれを用いた画像形成装置に関し、電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザービームプリンタやデジタル複写機の画像形成装置に用いられている光走査装置は、光源手段から射出された光束を入射光学系により偏向手段としての光偏向器に導光している。そして、光偏向器により偏向走査された光束を、結像光学系により被走査面である感光体ドラム面上にスポット状に結像させ、該光束で感光体ドラム面上を光走査している。
【0003】
光走査装置として、更に、画像の高密度化、操作性を向上させるための高速化を両立させるため、少なくとも副走査方向に複数の光源を等間隔に備えたマルチビームの光走査装置が知られている(特許文献1)。特許文献1では、偏向面で主走査方向に走査される光束を被走査面に結像する結像光学系として、ポリゴンミラー側の走査レンズ11aと、感光体ドラム側の走査レンズ11bを屈折率1.5240のレンズとする。
【0004】
そして、副走査方向において、複数の光源の主光線に関して、走査レンズ11aと、走査レンズ11bの間では複数の光源の副走査方向の主光線を光軸と平行とし、走査レンズ11bの感光体ドラム側の焦点位置で集光させている。即ち、走査レンズ11bの位置と主光線交差位置との光軸方向距離をLsとし、走査レンズ11bの焦点距離をfs2とするとき、Ls=fs2と、主光線交差位置の走査レンズ11bからの離間量を大きくとった構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−268721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のマルチビーム光源を用いた光走査装置では、偏向面で主走査方向に走査される光束を被走査面に結像する結像光学系にプラスティックレンズが用いられる場合に、以下に述べる新たな課題が生ずることが考慮されていなかった。即ち、プラスティックレンズをマルチビームが通過する際にマルチビームが離間していると、プラスティックレンズの成形で発生する複屈折の影響を受け、ビーム毎にスポット径がばらつくという新たな課題があって、この課題が解決されていなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、走査光学系にプラスティックレンズを用い、マルチビーム光源を用いた場合の光学性能を確保して、高速、高精細な画像形成を行うことができる光走査装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の代表的な構成は、少なくとも副走査方向に複数の発光点を有する光源手段と、前記光源手段からの光束を偏向面を備えた偏向手段に入射させる入射光学系と、前記偏向面で偏向走査された光束を被走査面に結像する結像光学系と、を有する光走査装置であって、前記結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、副走査方向において、前記複数の発光点からの主光線が光軸上で前記プラスティックレンズの位置を含む前後の所定範囲内で交差しており、かつ、前記プラスティックレンズの主走査方向における中央側光束通過領域と端部側光束通過領域とで、前記主光線が交差する位置が、一方では前記プラスティックレンズに対して光軸方向で前方位置、他方では前記プラスティックレンズに対して光軸方向で後方位置となっていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の代表的な構成は、少なくとも副走査方向に複数の発光点を有する光源手段と、前記光源手段からの光束を偏向面を備えた偏向手段に入射させる入射光学系と、前記偏向面で偏向走査された前記光源手段からの光束を被走査面に結像する結像光学系と、を有する光走査装置であって、前記結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、副走査方向において、前記複数の発光点からの主光線が光軸上で前記プラスティックレンズの位置を含む前後の所定範囲内で交差しており、前記プラスティックレンズの位置と前記交差する位置との光軸方向の距離をLsとし、前記プラスティックレンズの主走査方向の焦点距離をfs2とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする。
【0010】
|Ls|<0.3×fs2
また、上記光走査装置を備えた画像形成装置も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、走査光学系にプラスティックレンズを用い、マルチビーム光源を用いた場合の光学性能を確保して、高速、高精細な画像形成を行うことができる光走査装置および画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る光走査装置の主走査断面図、(b)は副走査断面図、(c)は副走査断面における主光線の交差を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光走査装置を搭載したカラー画像形成装置の模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る複数の発光点を備えた光源手段の模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の副走査方向の主光線通過位置に関し、(a)は主走査方向における中央側光束通過領域、(b)は主走査方向における端部側光束通過領域を示す図である。
【図5】(a)乃至(e)は、第1の実施形態の光学性能と、比較例の光学性能を示す図である。
【図6】(a)は第1の実施形態の主走査方向のピント位置を示す図、(b)、(c)は夫々15℃昇温した場合の主走査方向のピントずれを示す図、印字位置ずれを示す図である。
【図7】(a)は本発明の第2の実施形態の主走査方向のスポット径を示す図、(b)は副走査方向のスポット径を示す図である。
【図8】(a)は第2の実施形態の主走査方向の波動光学的像面湾曲を示す図、(b)は副走査方向の波動光学的像面湾曲を示す図である。
【図9】第2の実施形態の偏向面が1分倒れたときの被走査面における副走査方向のスポット位置ずれを示す図である。
【図10】(a)は第2の実施形態の15℃昇温した場合の主走査方向のピント位置ずれを示す図、(b)は主走査方向の印字位置ずれを示す図である。
【図11】第2の実施形態の副走査方向の主光線通過位置に関し、(a)は主走査方向における中央側光束通過領域、(b)は主走査方向における端部側光束通過領域を示す図である。
【図12】第3の実施形態の主走査断面図である。
【図13】第3の実施形態の副走査方向の主光線通過位置に関し、(a)は主走査方向における中央側光束通過領域、(b)は主走査方向における端部側光束通過領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本発明の実施形態に係る光走査装置を搭載したカラー画像形成装置の副走査方向の要部断面図である。60はカラー画像形成装置、11、12、13、14は光走査装置、21、22、23、24は各々像担持体としての感光体ドラムである。ここで、光走査装置11、12、13、14は、偏向手段として単一のポリゴンミラーを用い、互いに隣接する異なる偏向面(ミラー面)に、上方側および下方側より斜入射させて反射した夫々の光を夫々の感光体ドラムに導く構成を採るものとする。
【0014】
31、32、33、34は各々現像器、51は搬送ベルトである。図において、カラー画像形成装置60には、パーソナルコンピュータ等の外部機器52からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。装置内のプリンタコントローラ53によって、外部機器52から入力したコードデータが、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像信号(ドットデータ)に変換され、夫々光走査装置11、12、13、14に入力される。
【0015】
そして、これらの光走査装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム41、42、43、44が出射され、これらの光ビームによって感光体ドラム21、22、23、24の感光面が主走査方向に走査される。本実施態様におけるカラー画像形成装置は、上述したように1つのポリゴンミラーから、各C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、B(ブラック)の各色に対応した光線を射出する。
【0016】
このようにして、各々の画像データに基づいた光ビームを用いて、各色の静電潜像を各々対応する感光体ドラム21、22、23、24面上に形成している。そして、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させてトナー像として現像し、更に転写器で現像されたトナー像を被転写材に多重転写する。そして、定着器によって熱及び圧力を与えられ、トナー像が熱定着された後、排紙ローラ(不図示)によって、本体外に排出され、1枚のフルカラー画像を形成している。
【0017】
外部機器52としては、例えばCCDセンサーを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置60とで、カラーデジタル複写機が構成される。
【0018】
(光走査装置)
図1(a)は本実施形態に係る光走査装置の主走査方向要部断面図(主走査断面図)、図1(b)、図1(c)は副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。なお、以下の説明において、主走査方向とは、回転多面鏡の回転軸及び結像光学系の光軸に垂直な方向(回転多面鏡で光束が反射偏向(偏向走査)される方向)である。副走査方向とは、回転多面鏡の回転軸と平行な方向である。また、主走査断面とは、主走査方向と結像光学系の光軸を含む平面である。また副走査断面とは、結像光学系の光軸を含み主走査断面と垂直な断面である。
【0019】
図中、1は光源手段であり、複数の発光点(発光部)を有する面発光レーザー(マルチビーム光源)より成っている。本実施形態の光源手段1は、図3に示すように、半導体レーザーが主走査方向から角度αが7度傾いた状態で32ビームが一次元に配列されており、各々のピッチは50μmである。さらに、各々の発光点は独立変調可能に構成されており、不図示のレーザードライバーにより、発光強度やタイミングが制御される。
【0020】
2は第1の絞りであり、副走査方向の通過光束の光束幅を制限してビーム形状を整形する。第1の絞り2により、副走査方向の射出瞳位置がfθレンズ6b付近に配置され、32ビームの主光線が光軸方向でfθレンズ6bの位置を含む所定範囲内で副走査方向に交差される。3はコリメータレンズで、モールディングプロセスで作製されたガラス製の集光レンズである。コリメータレンズ3は偏向手段側の面が回転対称な非円弧(非球面)になっており、発光点間のスポット径差を低減するとともに、光源手段1から出射された発散光束を平行光束に変換している。
【0021】
コリメータレンズ3は、レンズ光軸から周辺部に向かい凸のパワーが弱くなる非球面が付加された非球面形状を有し、複数の発光点からの光束の被走査面または偏向面での集光位置(ピント位置)を略同一にする。これにより、被走査面での複数光束のスポット径を略同一にすることができる。
【0022】
4は球面レンズで、ガラス製の凸レンズであり、被走査面でのスポット径を調整するためのレンズである。5は、シリンドリカルレンズであり、副走査断面内(副走査方向)にのみパワーを有している。シリンドリカルレンズ5は、コリメータレンズ3、球面レンズ4を通過した光束を副走査断面内で後述する光偏向器10の偏向面(反射面)10aに線像として結像させている。
【0023】
6は第2の絞りで偏向器近傍に配置されており、主走査方向の通過光束の光束幅を制限してビーム形状を整形する。また、第2の絞り6は、偏向面上での各発光点からの光束の主光線を近接させることができるので、マルチビーム時に発生する縦線ゆらぎを低減できる。
【0024】
9は光量検知センサーであり、面発光レーザー1の各ビームが所望の光量で発光させるための光量検知センサーである。面発光レーザーは端面発光型のレーザーと異なり、APC(Auto Power Control)センサーを素子内に配置できないので、レーザーの外部にAPC用センサー9を有している。
【0025】
7は、主走査方向にくさび形状を有するプリズムであり、第2の絞り6とプリズム7の入射面が一致するように配置されている。8は結像レンズであり、プリズム7の入射面で反射した光束を光量検知センサー9に集光するためのレンズである。なお、プリズム7の入射面と出射面は主走査方向に5°の角度を備え、出射面からの反射光がセンサー9に入射しないようにされている。
【0026】
なお、コリメータレンズ3とシリンドリカルレンズ5を1つの光学素子より構成しても良い。また第1の絞り2、コリメータレンズ3、球面レンズ4、シリンドリカルレンズ5、そして第2の絞り6の各要素は入射光学系LAの一要素を構成している。またプリズム7、結像レンズ8、光量検知センサー9は、APC光学系の一要素を構成している。
【0027】
10は偏向手段としての光偏向器であり、5面構成のポリゴンミラー(回転多面鏡)より成っており、モーターの駆動手段(不図示)により図中時計方向に一定速度で回転している。20は集光機能とfθ特性とを有する結像光学系(fθレンズ系)であり、第1、第2の結像レンズ(fθレンズ)20a、20bより成り、20aはガラス製の平凸球面レンズ、20bは主走査面内で非球面形状のアナモフィックレンズより形成されている。
【0028】
結像光学系20は、光偏向器10によって反射偏向された画像情報に基づく光束を被走査面としての感光体ドラム面30に結像させる。更に副走査断面内において光偏向器10の反射面10aと感光体ドラム面30との間を共役関係にすることにより、面倒れ補正を行っている。
【0029】
本実施形態では、fθレンズ20bの出射側レンズ面は、副走査断面の形状が非円弧であり、その非円弧量をfθレンズ20bの長手方向に変化させることにより、副走査方向の波面収差量を変化させ、副走査方向の波動光学的な像面湾曲を低減させている。又、fθレンズ20の副走査近軸像面湾曲を適切に発生させることにより、面倒れが発生した場合の被走査面における副走査スポット位置ずれを低減させ、ピッチムラを低減している。
【0030】
本実施形態において、画像情報に応じて光源手段1から光変調され出射した複数(本実施形態では32本)の光束は、第1の絞り2により副走査方向の光束幅が制限され、コリメータレンズ3と球面レンズ4により平行光束に変換される。そして、シリンドリカルレンズ5に入射した光束のうち、主走査断面内においては、そのままの状態で出射して、第2の絞り6により主走査方向の光束幅が制限される。
【0031】
また副走査断面内においては、収束して第2の絞り6を通過し(主走査方向の光束幅が制限される)、光偏向器10の偏向面10a付近に線像(主走査方向に長手の線像)として結像する。そして、光偏向器10の偏向面10aで反射偏向された複数の光束は各々主に主走査方向に凸のパワーを有するfθレンズ20aに入射し、折り返しミラー21a、で反射され、走査に凸のパワーを有するfθレンズ20bに入射する。fθレンズ20bを通過した光束は、折り返しミラー21b、21cで反射し、感光体ドラム面30上にスポット状に結像する。
【0032】
光偏向器10を時計方向に回転させることによって、感光体ドラム面30上を矢印B方向(主走査方向)に等速度で光走査している。これにより記録媒体である感光体ドラム面30上に複数の走査線を同時に形成し、画像記録を行っている。図1(b)に示すように平面ミラー21a、21b、21cを用いることにより、結像光学系の光路をコンパクトに折りたたむことができ、画像形成装置の幅(図1における横方向)を小型化できる。
【0033】
また、図1(c)に示すように、主走査方向の最軸外の発光点(LD1とLD32)を含む32個の発光点から射出した光束の主光線(図1(c)では、LD1とLD32)は、fθレンズ20b付近で交差するように副走査方向の射出瞳位置が設定されている。また、レーザー光源の組み立て時の取り付け誤差により発生するビーム間隔誤差を調整するために、入射光学系LAに光軸と平行な軸を中心に回転可能に保持されている。
【0034】
本実施形態において、走査光学系は表1のように構成されている。本実施形態において、fθレンズ20bの形状は、光軸との交点を原点とし、以下の関数で表せる。ここで、光軸をX軸、主走査面内において光軸と直交する方向をY軸、副走査面内で光軸と直交する方向をZ軸とする。
【0035】
【数1】
【0036】
【数2】
【0037】
但し、Rは曲率半径、K、B4、B6、B8、B10は非球面係数である。本実施形
では主走査方向の形状を光軸に対し、対称に構成している、つまり走査開始側と走査終了
側の非球面係数を一致させている。
【0038】
またfθレンズ20bは、入射面が副走査断面形状が円弧形状であり、出射面は副走査方向断面形状がZの4次項を有する非円弧形状である。出射面は、非円弧量が長手方向に変化している。さらに、fθレンズ20bの副走査方向の形状は、光軸に対して走査開始側と走査終了側で入射面の副走査断面(光軸を含み主走査面と直交する面)内の曲率1/rと、4次の非球面係数をYの関数とし、レンズの有効部内において連続的に変化させている。
【0039】
副走査方向の形状は、光軸に対して走査開始側と走査終了側で光軸をX軸、主走査面内において光軸と直交する方向をY軸、副走査面内で光軸と直交する方向をZ軸とし、以下の連続関数で表せる。
r3、r4面の副走査方向関数
【0040】
【数3】
【0041】
(r’は副走査方向曲率半径、Djは曲率変化係数、Miは子線非球面係数)
Yのプラス側とマイナス側で係数が異なる場合は、サフィックスsは走査開始側、eは走査終了側を表している。また、副走査方向の曲率半径とは主走査方向の形状(母線)に直交する断面内における曲率半径である。
【0042】
(本実施形態の設計観点)
本実施形態は、以下の設計観点が考慮されている。
【0043】
(1.耐環境性能向上設計)
本実施形態は、主に主走査方向にパワーを有するレンズをガラス製とし、温度が変化した場合の主走査方向の印字位置ずれとピントずれを低減している。図6に本実施形態の主走査方向のピント位置(図6(a))と15℃昇温した場合の主走査ピントずれ(図6(b)と印字位置ずれ(図6(c))を示す。15℃昇温した場合の主走査方向のピント位置ずれ0.1mm以下、印字位置ずれは32μm以下である。これは主走査方向に主たるパワーを有する光学系をガラス製にしたためである。
【0044】
尚、本実施形態で使用したガラスは、15℃昇温した場合の屈折率変動(屈折率の温度依存性と屈折率の波長依存性の和)が−0.00012であり、プラスティック光学系−0.00202の1/17程度になっている。
【0045】
(2.副走査濃度ムラ低減設計)
本実施形態では、プラスティックレンズの子線曲率(副走査曲率)を主走査方向に連続的に変化させる面を2面有し、副走査方向のピント位置とマルチビームの副走査ピッチ間隔一定を両立させている。また、副走査方向の曲率半径を、走査開始側と走査終了側で非対称に変化させることにより、偏向点の非対称性(サグ)によるピントとピッチ間隔の非対称性を補正している。本実施形態では、ピッチ間隔誤差の大きい走査系を用いると画像上での視認性の高い濃度ムラが発生するため、ピッチ間隔誤差は5μm以下、好ましくは1μm以下としている。
【0046】
(3.マルチビームの光学性能劣化低減設計)
本実施形態は、以下の問題を解決するために、主走査方向の光束幅を制限する絞りと異なる位置に副走査絞りを配置し、マルチビームの副走査方向の主光線交差位置(副走査射出瞳位置)をプラスティックレンズ付近になるよう構成している。
【0047】
1)プラスティックレンズの複屈折によるビーム間スポット径ばらつき
2)光線通過位置が副走査にずれた場合の副走査ピッチ間隔ずれ
3)感光体ドラムと結像光学系の光軸方向位置ずれによる副走査ピッチ間隔ずれ
仮に、プラスティックレンズから光軸方向に大きく離間した位置で光線が副走査方向に交差した場合、上記1)の問題として、ビームごとに副走査方向のスポット径が異なってしまい、画像に周期的な濃度ムラが発生する。これは、ガラスレンズに比べプラスティックレンズの複屈折量が大きいためである。
【0048】
また、面倒れ等により設計位置と異なる副走査方向位置をビームが通過する際に、最も副走査方向に離間した位置を通過するビームが面傾きの影響を大きく受け、大きなピッチ間隔ずれが発生するという上記2)の問題も残る。更に副走査交差位置が被走査面に相当近い場合は、走査光学系と被走査面の距離がずれた場合に発生するピッチ間隔変動が大きくなるという上記3)の問題も残る。
【0049】
(4.面倒れピッチムラ低減設計)
偏向手段であるポリゴンミラーは、ポリゴン面の加工誤差や組み立て誤差によって、反射面の副走査方向の角度が所望の値からずれる、所謂面倒れと呼ばれる誤差を有している。図5(a)に示すように、一般的な光走査装置は、副走査方向の結像位置(近軸像面=ガウス像面)が被走査面とほぼ一致するように設計されている。即ち、fθレンズの副走査方向の結像関係は、偏向面近傍に線上に結像している焦線と、被走査面が共役になるような構成になっている。
【0050】
この構成では、面倒れが生じると偏向反射面のサグ(出入り)により、被走査面上の副走査方向の光線到達位置がずれてしまい、所謂、面倒れによるピッチムラが発生する(図5(b))。しかし、本実施形態では、fθレンズの副走査方向の曲率半径を最適に設定し、副走査近軸像面が湾曲するように構成(図5(c))することにより面倒れが1分発生しても、副走査方向のスポット重心位置がずれないようにしている(図5(d))。また、副走査方向に4次の非球面を導入し、副走査方向の波面収差を低減することにより、近軸像面は湾曲させたまま、波動光学的像面位置を非走査面と一致させる構成にしている(図5(e))。
【0051】
ここで、近軸像面とは、レンズの光軸近傍の形状から幾何光学的に決まる像面位置を示し、波動光学的像面位置とは、波面収差が最小になる像面位置を示す。表1に本実施形態の光学系の非球面係数を示す。
【0052】
【表1】
【0053】
ここで「E−x」は「10−x」を示している。R1面はfθレンズ20aの光偏向器10側の面、R2面はfθレンズ20aの被走査面30側の面、R3面はfθレンズ20bの光偏向器10側の面、R4面はfθレンズ20bの被走査面30側の面である。
【0054】
上記のように、fθレンズ20aの入射面は、平面(r=∞)で構成されている。又、fθレンズ20aの出射面は、球面で構成されている。fθレンズ20bの入射面は母線方向が非円弧であり、子線方向の曲率が母線方向に変化しかつ、曲率変化は走査開始側と走査終了側で非対称に変化する子線曲率非対称変化面を有している。fθレンズ20bの出射面は、入射面同様、母線非円弧、子線曲率変化非対称面でかつ、子線方向が非円弧形状を有している。また、子線方向の非球面量を母線方向に変化させることにより、副走査方向の波動光学的な像面湾曲を補正している。
【0055】
(副走査方向における主光線の交差)
図4(a)に、fθレンズ20a、20bの主走査方向における光軸近傍(像高ゼロ)における、32個の発光点の最も端部側のLD1とLD32の主光線通過位置を示す。また、図4(b)は、fθレンズ20a、20bの主走査方向における軸外(Y=170mm像高)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。ここで図4(a)および図4(b)は、図1(c)におけるLD1とLD32の副走査方向位置と対応している。なお、図4における主光線通過位置ゼロは、fθレンズの光軸を示している。
【0056】
図4(a)に示すように、fθレンズの光軸上(Y=0)では、複数ビーム(LD1〜LD32)の主光線が副走査断面において、ガラスのfθレンズ20aで離間させ、プラスティックのfθレンズ20bのR2面より被走査面側でほぼ一致させている。また、図4(b)に示すように、fθレンズの軸外(Y=170mm)では、複数ビーム(LD1〜LD32)の主光線が副走査断面において、ガラスのfθレンズ20aで離間させ、プラスティックのfθレンズ20bのR1面より偏向面側でほぼ一致させている。
【0057】
即ち、副走査方向の主光線の交差位置は、fθレンズ20b方向の中央部側通過域と端部側通過域で、fθレンズ20bに対し、夫々前方、後方と逆の関係とする。これにより、プラスティックのfθレンズ20bの主走査方向全域における副走査方向の光軸離間量を絶対値として低減させることが可能となっている。即ち、軸上(Y−0)では、副走査方向でプラスティックのfθレンズ20bより後方側で光束で主光線を交差させ、軸外(Y=170)ではプラスティックのfθレンズ20bより前方側で主光線を交差させ、光軸離間量を絶対値として低減させている。
【0058】
従って、ガラスのfθレンズ20aでは副走査方向に離間させる一方、プラスティックのfθレンズ20bの主走査方向全域で副走査方向の主光線の光軸離間量(絶対値)を低減させることができる。本実施形態では、主走査方向における軸上(Y=0)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、ガラスのfθレンズ20aで副走査離間量がR1面で41μm、R2面で34μmとなる位置を通過し、20aの後で交差するように設定している。また、プラスティックのfθレンズ20bで、副走査離間量がR1面で8.5μm、R2面で5μmとなる位置を通過し、20bの手前で交差するように設定している。
【0059】
そして、主走査方向における軸外(Y=170)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、ガラスのfθレンズ20aで副走査離間量がR1面で26μm、R2面で23μmとなる位置を通過するするように設定している。また、プラスティックのfθレンズ20bで副走査離間量がR1面で6.4μm、R2面で8.2μmとなる位置を通過するように設定している。
【0060】
従って、G1R2面の端部レーザー(LD1およびLD32))の主光線副走査離間量をZ1、G2R2面の端部レーザーの主光線副走査離間量をZ2としたとき、光線離間量条件式|Z1|>2×|Z2|を満たしている。また、本実施形態の副走査方向の主光線の交差する位置は、主走査方向における軸上(Y=0)で、図4(a)に示すようにG2レンズのR2面から6.34mmの距離(Ls軸上)にある。
【0061】
また、主走査方向における軸外(Y=170mm)で、G2レンズのR2面から−23.37mm(Ls軸外)、G2レンズの焦点距離fs2=102.83で構成し、軸上、軸外とも条件式|Ls|<0.3×fs2を満足するように構成している。ここで、LsはプラスティックのG2レンズの位置と、副走査方向の主光線の交差する位置と、の光軸方向距離であり、fs2はプラスティックのG2レンズの焦点距離である。
【0062】
プラスティックのG2レンズ上で副走査方向の複数ビームが離間していると、プラスティックレンズの成形で発生する複屈折の影響を受けて、ビームごとにスポット径がばらつくが、本実施形態ではこれを防止できる。上述した不等式の条件式を満足しないと、プラスティックレンズ上で光束が副走査方向に分離してしまい、ビームごとにスポット径がばらついてしまう。
【0063】
また、図4に示すように副走査方向の主光線の交差位置から被走査面までの距離L2=211.36、発光点の数であるビーム数N=32とすることにより、条件式L2≧2×(N−1)を満足するように副走査絞り位置を最適化している。これは、被走査面が1mm前後した場合にピッチ間隔ずれを1/4画素以下に抑えるための条件式である。これを満足しないと、組み立て誤差により生じる被走査面位置誤差によりピッチ間隔誤差が大きくなり、画像に周期的なムラが生じ高精細化が困難となる。
【0064】
よって、本条件式を満足することにより、マルチビームが副走査方向に交差する位置(副走査射出瞳位置)を被走査面から遠ざけ、被走査面とfθレンズ20bの間隔がずれた場合に発生するマルチビームの副走査ピッチ間隔誤差を低減することができる。
【0065】
また、本実施形態では、G1レンズの主走査方向パワーΦG=0.00352、fθ光学系全系の主走査方向パワーΦall=0.004、ΦG/Φall=0.88としている。これは、条件式0.6<ΦG/Φall<1を満足させることにより、温度変化による主走査方向のピント位置安定性と主走査方向の印字位置安定性を確保するためである。この条件式を満足しないと主走査方向のピントずれと印字位置ずれが大きくなり、昇温時の色ずれや画像劣化が大きくなるので好ましくない。
【0066】
また、複数ビームの主光線が交差するfθレンズ20b付近で、fθレンズ20bに非円弧面を形成することにより、多ビームの各ビームが、非円弧面を構成しているfθレンズ20b上で光線が副走査方向にずれた場合に発生する性能劣化を低減することができる。また、主走査方向の光束幅が最も狭いfθレンズ20bに副走査非円弧面を用いることにより、ビーム内の副走査曲率変化を低減でき、被走査面のスポット形状劣化を低減させている。本実施形態の副走査方向の非円弧形状は、Zの4次のみで構成したが、6次以上の非円弧を用いてもよい。
【0067】
以上のように、本実施形態では、fθレンズ20aにガラス製のレンズを用いて環境安定性を向上させ、かつ、副走査方向における主光線をプラスティックのfθレンズ20b付近で交差させる。このことにより、高速で高精細な画像形成を行うことができる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を提供できる。なお、本実施形態では結像光学系を2枚のfθレンズで構成しているが、これに限らず、3枚以上で構成しても上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
ここで、本実施形態の全体構成および効果を要約すれば、以下の通りである。
【0069】
1)結像光学系の内、最も主走査方向にパワーを有するfθレンズ20aをガラス製とすること
2)結像光学系の内、少なくとも二面の副走査方向の曲率を主走査方向に変化させること
3)マルチビームのそれぞれの光束の主光線が、プラスティックのfθレンズ20b付近で副走査方向に交差するように、入射光学系の第1絞り2が設定されること
これにより、1)の手段により主走査方向の結像性能劣化を低減し、2)の手段によりマルチビームの副走査方向の間隔を一定とし、3)の手段により副走査方向のスポット径のばらつきを低減し、環境性能と高速、高精細化を両立できる。
【0070】
《第2の実施形態》
本実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、fθレンズ20の構成である。その他の構成、及び光学的作用は第1の実施形態と同様であり、これにより同様な効果を得ている。表2に本実施形態の設計パラメータを示す。
【0071】
本実施形態のfθレンズは、第1の実施形態より小スポット化に対応できるように波面収差を低減している。従って、第1の実施形態より高精細化を達成している。図7に本実施形態のスポット径を示す。図7(a)は主走査方向、図7(b)は副走査方向のスポット径を示す。図中横軸は、被走査面における光軸方向のディフォーカス量を示している。縦軸は、スポット径を示し、被走査面に結像されるスポットのビーム強度の1/e2の直径を示している。
【0072】
本実施形態の光学性能として、図8(a)に主走査方向、図8(b)に副走査方向の波動光学的像面湾曲を示す。図8の像面湾曲はスポット径が50μmになるディフォーカス量の中心値を示している。本実施形態は、第1の実施形態に比べ、スポット径を35μmと微小化しているので、スポット径の均一性を確保するために、レンズ形状とレンズ配置を最適な構成とし、波面収差を良好に補正している。
【0073】
図9に偏向面が1分倒れたときの、被走査面における副走査方向のスポット位置ずれを示す。本実施形態も第1の実施形態と同様、fθレンズの副走査方向の共役関係を偏向反射面と被走査面が主走査方向全域で共役になるようにfθレンズの子線曲率を長手方向に連続的に変化させている。従って、スポット重心位置ずれが偏向面が1分倒れても、0.2μm以下に低減できている。
【0074】
図10に15℃昇温した場合の主走査方向の性能を示す。図10(a)は主走査方向のピント位置ずれを示し、図10(b)は主走査方向の印字位置ずれを示す。図10(a)でピント位置ずれは0.1mm以下に抑えられており、第1の実施形態と同様、環境安定性の高い、光走査装置の提供が可能となっている。また、図10(b)で、主走査方向の印字位置ずれは、40μm以下に抑えられており、これも第1の実施形態と同様、高精細化可能な構成となっている。
【0075】
図11(a)に、fθレンズの主走査方向における光軸近傍(像高ゼロ)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。また、図11(b)に、fθレンズの主走査方向における軸外(Y=170mm像高)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。ここで図11(a)および図11(b)は、図1(c)におけるLD1とLD32の副走査方向位置と対応している。なお、図11における主光線通過位置ゼロは、fθレンズの光軸を示している。
【0076】
図11(a)に示すように、レンズの光軸上(Y=0)では、複数ビーム(LD1〜LD32)の主光線が副走査断面において、ガラスのfθレンズ20aで離間し、プラスティックのfθレンズ20bのR2面より被走査面側でほぼ一致している。また、図11(b)に示すように、fθレンズの軸外(Y=170mm)で、複数ビーム(LD1〜LD32)の主光線が副走査断面において、ガラスのfθレンズ20aで離間し、プラスティックのfθレンズ20bのR1面より逆側の偏向面側でほぼ一致している。
【0077】
これにより、プラスティックレンズの主走査方向全域における副走査方向の光軸離間量を絶対値として低減させることが可能となっている。
【0078】
本実施形態では、主走査方向における軸上(Y=0)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、ガラスのfθレンズ20aで副走査離間量がR1面で43μm、R2面で36μmとなる位置を通過するように設定している。また、プラスティックのfθレンズ20bで、副走査離間量がR1面で7.4μm、R2面で3.8μmとなる位置を通過するように設定している。
【0079】
そして、主走査方向における軸外(Y=170)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、ガラスのfθレンズ20aで副走査離間量がR1面で31μm、R2面で28μmとなる位置で交差するように設定している。また、プラスティックのfθレンズ20bで副走査離間量がR1面で6.1μm、R2面で7.8μmとなる位置で交差するように設定している。
【0080】
従って、G1R2面の端部レーザー(LD1およびLD32))の主光線副走査離間量をZ1、G2R2面の端部レーザーの主光線副走査離間量をZ2としたとき、光線離間量条件式|Z1|>2×|Z2|を満たしている。また、本実施形態の副走査方向の主光線の交差する位置は、主走査方向における軸上(Y=0)で、図4(a)に示すようにG2レンズのR2面から5.2mmの距離(Ls軸上)にある。
【0081】
また、主走査方向における軸外(Y=170mm)で、G2レンズのR2面から−20.8mm(Ls軸外)、G2レンズの焦点距離fs2=107.52で構成し、軸上、軸外とも条件式|Ls|<0.3×fs2を満足するように構成している。また、図11に示すように副走査方向の主光線の交差位置から被走査面までの距離L2=226.62、発光点の数であるビーム数N=32とすることにより、条件式L2≧2×(N−1)を満足するように副走査絞り位置を最適化している。
【0082】
よって被走査面が1mm前後した場合にピッチ間隔ずれを1/4画素以下に抑えるための条件式を満足しており、高精細化可能な構成となっている。条件式を満足しないと組み立て誤差により生じる被走査面位置誤差によりピッチ間隔誤差が大きくなり、画像に周期的なムラが生じ高精細化が困難となる。よって本条件式を満足することによりマルチビームが副走査方向に交差する位置(副走査射出瞳位置)を被走査面から遠ざけ、被走査面と光学系の間隔がずれた場合に発生するマルチビームの副走査ピッチ間隔誤差を低減することができる。
【0083】
また、本実施形態では、G1レンズの主走査方向パワーΦG=0.003、fθ光学系全系の主走査方向パワーΦall=0.0037、ΦG/Φall=0.81としている。これは、条件式0.6<ΦG/Φall<1を満足させることにより、温度変化による主走査方向のピント位置安定性と主走査方向の印字位置安定性を確保するためである。この条件式を満足しないと、主走査方向のピントずれと印字位置ずれが大きくなり、昇温時の色ずれや画像劣化が大きくなるので好ましくない。
【0084】
また、非円弧面を複数ビームの主光線が交差する位置近傍のfθレンズ20bに形成することにより、多ビームの各ビームが、非円弧面を構成している光学素子上で光線が副走査方向にずれた場合に発生する性能劣化を低減することができる。また、主走査方向の光束幅が最も狭いfθレンズ20bに副走査非円弧面を用いることにより、ビーム内の副走査曲率変化を低減でき、被走査面のスポット形状劣化を低減させている。
【0085】
本実施形態の副走査方向の非円弧形状は、Zの4次のみで構成したが、6次以上の非円弧を用いてもよい。また本実施形態では結像光学系を2枚の結像光学素子で構成しているが、これに限らず、3枚以上で構成しても上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
以上のように、fθレンズにガラス製のfθレンズ20aを用いて環境安定性を向上させ、かつ、複数ビームをプラスティック製のfθレンズ20b付近で交差させる。このことにより、微小スポット光学系においてもピッチムラを低減でき、高速で高精細な画像形成を行うことができる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を提供できる。
【0087】
【表2】
【0088】
《第3の実施形態》
本実施形態は、結像光学系がプラスティック製のfθレンズ1枚で構成される点を除き、第1の実施形態と同様である。本実施形態の主走査断面図を図12に示す。また、表3に本実施例の数値パラメータを示す。
本実施形態において、fθレンズ6の形状は、光軸との交点を原点とし、以下の関数で表せる。ここで、光軸をX軸、主走査面内においては、実施例1と同様の関数で表される。具体的には、光軸と直交する方向をY軸、副走査面内で光軸と直交する方向をZ軸とする。
【0089】
【数4】
【0090】
【数5】
【0091】
但し、Rは曲率半径、K、B4、B6、B8、B10は非球面係数である。本実施形
では出射面側の主走査方向の形状を光軸に対し非対称に構成している、つまり走査開始側と走査終了側の非球面係数を異ならせている。
副走査方向の形状は、実施例1と異なり、以下の関数を用い、副走査断面内の曲率半径のをレンズ有効部内で連続的に変化させ、かつ、曲率半径の符号を反転させている。
【0092】
副走査方向の形状は、光軸に対して走査開始側と走査終了側で光軸をX軸、主走査面内において光軸と直交する方向をY軸、副走査面内で光軸と直交する方向をZ軸とし、以下の連続関数で表せる。
【0093】
【数6】
【0094】
(r’は副走査方向曲率半径、Djは曲率変化係数)
Yのプラス側とマイナス側で係数が異なる場合は、サフィックスsは走査開始側、eは走査終了側を表している。また、副走査方向の曲率半径とは主走査方向の形状(母線)に直交する断面内における曲率半径である。また、入射光学系のコリメータレンズ3の出射面の形状をアナモフィック形状とし、主走査方向は弱収束光、副走査方向は、偏向面10a近傍に焦線を結させている。さらに、入射面は、以下の光路差関数で表される回折面を有する構成としている。
【0095】
【数7】
【0096】
但し、mは回折次数(本実施例では1)である。ここで、rは以下の式で表される。
【0097】
【数8】
【0098】
なお、C1からC4は位相係数である。本実施例の入射面は、ブレーズ型の回折面であり、環境変動(温度変化)による光源の発振波長変化と、主にプラスティックレンズの屈折率変化による焦線位置ずれを低減させる効果を有する面で構成されている。
【0099】
【表3】
【0100】
図13(a)にfθレンズの主走査方向における光軸近傍(像高ゼロ)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。また、図13(b)に、fθレンズの主走査方向における軸外(Y=110mm像高)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。ここで図13(a)および図13(b)は、図1(c)におけるLD1とLD32の副走査方向位置と対応している。なお、図13における主光線通過位置ゼロは、fθレンズの光軸を示している。
【0101】
本実施形態では、主走査方向における軸上(Y=0)で、LD1又はLD32の副走査方向の主光線は、fθレンズ6の副走査離間量がR1面でZ方向に29μm、R2面で15μmとなる位置を通過し、fΘレンズより被走査差面側で交差するように設定している。
【0102】
そして、主走査方向における軸外(Y=107)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、fθレンズ6の副走査離間量がR1面で48μm、R2面で58μmとなる位置を通過し、fΘレンズより手間で交差するように設定している。
【0103】
また、本実施形態の副走査方向の主光線の交差する位置は、主走査方向における軸上(Y=0)で、図13(a)に示すようにfΘレンズのR2面から4.5mmの距離(Ls軸上)にある。
【0104】
また、主走査方向における軸外(Y=107mm)で、G2レンズのR1面から−9.2mm(Ls軸外)、fΘレンズの副走査法王焦点距離fs=27.1で構成し、軸上は条件式|Ls|<0.3×fsを満足するように構成している。また、図13に示すように副走査方向の主光線の交差位置から被走査面までの距離L2=116.5、発光点の数であるビーム数N=32とすることにより、条件式L2≧2×(N−1)を満足するように副走査絞り位置を最適化している。
【0105】
よって被走査面が1mm前後した場合にピッチ間隔ずれを1/4画素以下に抑えるための条件式を満足しており、高精細化可能な構成となっている。条件式を満足しないと組み立て誤差により生じる被走査面位置誤差によりピッチ間隔誤差が大きくなり、画像に周期的なムラが生じ高精細化が困難となる。よって本条件式を満足することによりマルチビームが副走査方向に交差する位置(副走査射出瞳位置)を被走査面から遠ざけ、被走査面と光学系の間隔がずれた場合に発生するマルチビームの副走査ピッチ間隔誤差を低減することができる。
【0106】
(変形例1)
上述した実施形態では、2枚レンズで構成する結像光学系を、一方は1枚のガラスレンズ、他方は1枚のプラスティックレンズで構成したが、ガラスレンズをプラスティックレンズに替えて2枚のプラスティックレンズで構成しても良い。この場合、偏向手段(ポリゴンミラー)から遠い側のプラスティックレンズに関し、第1の実施形態で述べたような副走査方向における主光線の交差を行うようにすれば良い。
【0107】
(変形例2)
副走査方向の交差位置をプラスティックレンズの主走査方向における中央側光束通過領域でプラスティックレンズに対して光軸方向で後方位置、端部側光束通過領域でプラスティックレンズに対して光軸方向で前方位置としたが、前方、後方を逆にしても良い。
【0108】
また、主走査方向における中央ではプラスティックレンズの位置とし、中央より少し端部側に離れた位置と、中央より充分離れた端部位置とで、主光線が交差する位置をプラスティックレンズの位置に対して互いに逆方向にずらせた位置としても良い。
【0109】
(変形例3)
上述した実施形態では、光源手段1は、主走査方向から傾いた状態で32ビームが少なくとも副走査方向に一次元に配列されていたが、主走査方向と直交するように副走査方向に一次元に配列されても良い。また発光点の数は、32個に限定されず、任意の複数であれば良い。
【符号の説明】
【0110】
1・・光源手段、2・・第1の絞り(副走査方向)、3・・コリメータレンズ、4・・シリンドリカルレンズ、5・・第2の絞り(主走査方向)、10・・光偏向器、20a、20b・・fθレンズ、30・・感光体ドラム(被走査面)
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査装置およびそれを用いた画像形成装置に関し、電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザービームプリンタやデジタル複写機の画像形成装置に用いられている光走査装置は、光源手段から射出された光束を入射光学系により偏向手段としての光偏向器に導光している。そして、光偏向器により偏向走査された光束を、結像光学系により被走査面である感光体ドラム面上にスポット状に結像させ、該光束で感光体ドラム面上を光走査している。
【0003】
光走査装置として、更に、画像の高密度化、操作性を向上させるための高速化を両立させるため、少なくとも副走査方向に複数の光源を等間隔に備えたマルチビームの光走査装置が知られている(特許文献1)。特許文献1では、偏向面で主走査方向に走査される光束を被走査面に結像する結像光学系として、ポリゴンミラー側の走査レンズ11aと、感光体ドラム側の走査レンズ11bを屈折率1.5240のレンズとする。
【0004】
そして、副走査方向において、複数の光源の主光線に関して、走査レンズ11aと、走査レンズ11bの間では複数の光源の副走査方向の主光線を光軸と平行とし、走査レンズ11bの感光体ドラム側の焦点位置で集光させている。即ち、走査レンズ11bの位置と主光線交差位置との光軸方向距離をLsとし、走査レンズ11bの焦点距離をfs2とするとき、Ls=fs2と、主光線交差位置の走査レンズ11bからの離間量を大きくとった構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−268721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のマルチビーム光源を用いた光走査装置では、偏向面で主走査方向に走査される光束を被走査面に結像する結像光学系にプラスティックレンズが用いられる場合に、以下に述べる新たな課題が生ずることが考慮されていなかった。即ち、プラスティックレンズをマルチビームが通過する際にマルチビームが離間していると、プラスティックレンズの成形で発生する複屈折の影響を受け、ビーム毎にスポット径がばらつくという新たな課題があって、この課題が解決されていなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決し、走査光学系にプラスティックレンズを用い、マルチビーム光源を用いた場合の光学性能を確保して、高速、高精細な画像形成を行うことができる光走査装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の代表的な構成は、少なくとも副走査方向に複数の発光点を有する光源手段と、前記光源手段からの光束を偏向面を備えた偏向手段に入射させる入射光学系と、前記偏向面で偏向走査された光束を被走査面に結像する結像光学系と、を有する光走査装置であって、前記結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、副走査方向において、前記複数の発光点からの主光線が光軸上で前記プラスティックレンズの位置を含む前後の所定範囲内で交差しており、かつ、前記プラスティックレンズの主走査方向における中央側光束通過領域と端部側光束通過領域とで、前記主光線が交差する位置が、一方では前記プラスティックレンズに対して光軸方向で前方位置、他方では前記プラスティックレンズに対して光軸方向で後方位置となっていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の代表的な構成は、少なくとも副走査方向に複数の発光点を有する光源手段と、前記光源手段からの光束を偏向面を備えた偏向手段に入射させる入射光学系と、前記偏向面で偏向走査された前記光源手段からの光束を被走査面に結像する結像光学系と、を有する光走査装置であって、前記結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、副走査方向において、前記複数の発光点からの主光線が光軸上で前記プラスティックレンズの位置を含む前後の所定範囲内で交差しており、前記プラスティックレンズの位置と前記交差する位置との光軸方向の距離をLsとし、前記プラスティックレンズの主走査方向の焦点距離をfs2とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする。
【0010】
|Ls|<0.3×fs2
また、上記光走査装置を備えた画像形成装置も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、走査光学系にプラスティックレンズを用い、マルチビーム光源を用いた場合の光学性能を確保して、高速、高精細な画像形成を行うことができる光走査装置および画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る光走査装置の主走査断面図、(b)は副走査断面図、(c)は副走査断面における主光線の交差を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光走査装置を搭載したカラー画像形成装置の模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る複数の発光点を備えた光源手段の模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の副走査方向の主光線通過位置に関し、(a)は主走査方向における中央側光束通過領域、(b)は主走査方向における端部側光束通過領域を示す図である。
【図5】(a)乃至(e)は、第1の実施形態の光学性能と、比較例の光学性能を示す図である。
【図6】(a)は第1の実施形態の主走査方向のピント位置を示す図、(b)、(c)は夫々15℃昇温した場合の主走査方向のピントずれを示す図、印字位置ずれを示す図である。
【図7】(a)は本発明の第2の実施形態の主走査方向のスポット径を示す図、(b)は副走査方向のスポット径を示す図である。
【図8】(a)は第2の実施形態の主走査方向の波動光学的像面湾曲を示す図、(b)は副走査方向の波動光学的像面湾曲を示す図である。
【図9】第2の実施形態の偏向面が1分倒れたときの被走査面における副走査方向のスポット位置ずれを示す図である。
【図10】(a)は第2の実施形態の15℃昇温した場合の主走査方向のピント位置ずれを示す図、(b)は主走査方向の印字位置ずれを示す図である。
【図11】第2の実施形態の副走査方向の主光線通過位置に関し、(a)は主走査方向における中央側光束通過領域、(b)は主走査方向における端部側光束通過領域を示す図である。
【図12】第3の実施形態の主走査断面図である。
【図13】第3の実施形態の副走査方向の主光線通過位置に関し、(a)は主走査方向における中央側光束通過領域、(b)は主走査方向における端部側光束通過領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図2は、本発明の実施形態に係る光走査装置を搭載したカラー画像形成装置の副走査方向の要部断面図である。60はカラー画像形成装置、11、12、13、14は光走査装置、21、22、23、24は各々像担持体としての感光体ドラムである。ここで、光走査装置11、12、13、14は、偏向手段として単一のポリゴンミラーを用い、互いに隣接する異なる偏向面(ミラー面)に、上方側および下方側より斜入射させて反射した夫々の光を夫々の感光体ドラムに導く構成を採るものとする。
【0014】
31、32、33、34は各々現像器、51は搬送ベルトである。図において、カラー画像形成装置60には、パーソナルコンピュータ等の外部機器52からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。装置内のプリンタコントローラ53によって、外部機器52から入力したコードデータが、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像信号(ドットデータ)に変換され、夫々光走査装置11、12、13、14に入力される。
【0015】
そして、これらの光走査装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム41、42、43、44が出射され、これらの光ビームによって感光体ドラム21、22、23、24の感光面が主走査方向に走査される。本実施態様におけるカラー画像形成装置は、上述したように1つのポリゴンミラーから、各C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、B(ブラック)の各色に対応した光線を射出する。
【0016】
このようにして、各々の画像データに基づいた光ビームを用いて、各色の静電潜像を各々対応する感光体ドラム21、22、23、24面上に形成している。そして、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させてトナー像として現像し、更に転写器で現像されたトナー像を被転写材に多重転写する。そして、定着器によって熱及び圧力を与えられ、トナー像が熱定着された後、排紙ローラ(不図示)によって、本体外に排出され、1枚のフルカラー画像を形成している。
【0017】
外部機器52としては、例えばCCDセンサーを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置60とで、カラーデジタル複写機が構成される。
【0018】
(光走査装置)
図1(a)は本実施形態に係る光走査装置の主走査方向要部断面図(主走査断面図)、図1(b)、図1(c)は副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。なお、以下の説明において、主走査方向とは、回転多面鏡の回転軸及び結像光学系の光軸に垂直な方向(回転多面鏡で光束が反射偏向(偏向走査)される方向)である。副走査方向とは、回転多面鏡の回転軸と平行な方向である。また、主走査断面とは、主走査方向と結像光学系の光軸を含む平面である。また副走査断面とは、結像光学系の光軸を含み主走査断面と垂直な断面である。
【0019】
図中、1は光源手段であり、複数の発光点(発光部)を有する面発光レーザー(マルチビーム光源)より成っている。本実施形態の光源手段1は、図3に示すように、半導体レーザーが主走査方向から角度αが7度傾いた状態で32ビームが一次元に配列されており、各々のピッチは50μmである。さらに、各々の発光点は独立変調可能に構成されており、不図示のレーザードライバーにより、発光強度やタイミングが制御される。
【0020】
2は第1の絞りであり、副走査方向の通過光束の光束幅を制限してビーム形状を整形する。第1の絞り2により、副走査方向の射出瞳位置がfθレンズ6b付近に配置され、32ビームの主光線が光軸方向でfθレンズ6bの位置を含む所定範囲内で副走査方向に交差される。3はコリメータレンズで、モールディングプロセスで作製されたガラス製の集光レンズである。コリメータレンズ3は偏向手段側の面が回転対称な非円弧(非球面)になっており、発光点間のスポット径差を低減するとともに、光源手段1から出射された発散光束を平行光束に変換している。
【0021】
コリメータレンズ3は、レンズ光軸から周辺部に向かい凸のパワーが弱くなる非球面が付加された非球面形状を有し、複数の発光点からの光束の被走査面または偏向面での集光位置(ピント位置)を略同一にする。これにより、被走査面での複数光束のスポット径を略同一にすることができる。
【0022】
4は球面レンズで、ガラス製の凸レンズであり、被走査面でのスポット径を調整するためのレンズである。5は、シリンドリカルレンズであり、副走査断面内(副走査方向)にのみパワーを有している。シリンドリカルレンズ5は、コリメータレンズ3、球面レンズ4を通過した光束を副走査断面内で後述する光偏向器10の偏向面(反射面)10aに線像として結像させている。
【0023】
6は第2の絞りで偏向器近傍に配置されており、主走査方向の通過光束の光束幅を制限してビーム形状を整形する。また、第2の絞り6は、偏向面上での各発光点からの光束の主光線を近接させることができるので、マルチビーム時に発生する縦線ゆらぎを低減できる。
【0024】
9は光量検知センサーであり、面発光レーザー1の各ビームが所望の光量で発光させるための光量検知センサーである。面発光レーザーは端面発光型のレーザーと異なり、APC(Auto Power Control)センサーを素子内に配置できないので、レーザーの外部にAPC用センサー9を有している。
【0025】
7は、主走査方向にくさび形状を有するプリズムであり、第2の絞り6とプリズム7の入射面が一致するように配置されている。8は結像レンズであり、プリズム7の入射面で反射した光束を光量検知センサー9に集光するためのレンズである。なお、プリズム7の入射面と出射面は主走査方向に5°の角度を備え、出射面からの反射光がセンサー9に入射しないようにされている。
【0026】
なお、コリメータレンズ3とシリンドリカルレンズ5を1つの光学素子より構成しても良い。また第1の絞り2、コリメータレンズ3、球面レンズ4、シリンドリカルレンズ5、そして第2の絞り6の各要素は入射光学系LAの一要素を構成している。またプリズム7、結像レンズ8、光量検知センサー9は、APC光学系の一要素を構成している。
【0027】
10は偏向手段としての光偏向器であり、5面構成のポリゴンミラー(回転多面鏡)より成っており、モーターの駆動手段(不図示)により図中時計方向に一定速度で回転している。20は集光機能とfθ特性とを有する結像光学系(fθレンズ系)であり、第1、第2の結像レンズ(fθレンズ)20a、20bより成り、20aはガラス製の平凸球面レンズ、20bは主走査面内で非球面形状のアナモフィックレンズより形成されている。
【0028】
結像光学系20は、光偏向器10によって反射偏向された画像情報に基づく光束を被走査面としての感光体ドラム面30に結像させる。更に副走査断面内において光偏向器10の反射面10aと感光体ドラム面30との間を共役関係にすることにより、面倒れ補正を行っている。
【0029】
本実施形態では、fθレンズ20bの出射側レンズ面は、副走査断面の形状が非円弧であり、その非円弧量をfθレンズ20bの長手方向に変化させることにより、副走査方向の波面収差量を変化させ、副走査方向の波動光学的な像面湾曲を低減させている。又、fθレンズ20の副走査近軸像面湾曲を適切に発生させることにより、面倒れが発生した場合の被走査面における副走査スポット位置ずれを低減させ、ピッチムラを低減している。
【0030】
本実施形態において、画像情報に応じて光源手段1から光変調され出射した複数(本実施形態では32本)の光束は、第1の絞り2により副走査方向の光束幅が制限され、コリメータレンズ3と球面レンズ4により平行光束に変換される。そして、シリンドリカルレンズ5に入射した光束のうち、主走査断面内においては、そのままの状態で出射して、第2の絞り6により主走査方向の光束幅が制限される。
【0031】
また副走査断面内においては、収束して第2の絞り6を通過し(主走査方向の光束幅が制限される)、光偏向器10の偏向面10a付近に線像(主走査方向に長手の線像)として結像する。そして、光偏向器10の偏向面10aで反射偏向された複数の光束は各々主に主走査方向に凸のパワーを有するfθレンズ20aに入射し、折り返しミラー21a、で反射され、走査に凸のパワーを有するfθレンズ20bに入射する。fθレンズ20bを通過した光束は、折り返しミラー21b、21cで反射し、感光体ドラム面30上にスポット状に結像する。
【0032】
光偏向器10を時計方向に回転させることによって、感光体ドラム面30上を矢印B方向(主走査方向)に等速度で光走査している。これにより記録媒体である感光体ドラム面30上に複数の走査線を同時に形成し、画像記録を行っている。図1(b)に示すように平面ミラー21a、21b、21cを用いることにより、結像光学系の光路をコンパクトに折りたたむことができ、画像形成装置の幅(図1における横方向)を小型化できる。
【0033】
また、図1(c)に示すように、主走査方向の最軸外の発光点(LD1とLD32)を含む32個の発光点から射出した光束の主光線(図1(c)では、LD1とLD32)は、fθレンズ20b付近で交差するように副走査方向の射出瞳位置が設定されている。また、レーザー光源の組み立て時の取り付け誤差により発生するビーム間隔誤差を調整するために、入射光学系LAに光軸と平行な軸を中心に回転可能に保持されている。
【0034】
本実施形態において、走査光学系は表1のように構成されている。本実施形態において、fθレンズ20bの形状は、光軸との交点を原点とし、以下の関数で表せる。ここで、光軸をX軸、主走査面内において光軸と直交する方向をY軸、副走査面内で光軸と直交する方向をZ軸とする。
【0035】
【数1】
【0036】
【数2】
【0037】
但し、Rは曲率半径、K、B4、B6、B8、B10は非球面係数である。本実施形
では主走査方向の形状を光軸に対し、対称に構成している、つまり走査開始側と走査終了
側の非球面係数を一致させている。
【0038】
またfθレンズ20bは、入射面が副走査断面形状が円弧形状であり、出射面は副走査方向断面形状がZの4次項を有する非円弧形状である。出射面は、非円弧量が長手方向に変化している。さらに、fθレンズ20bの副走査方向の形状は、光軸に対して走査開始側と走査終了側で入射面の副走査断面(光軸を含み主走査面と直交する面)内の曲率1/rと、4次の非球面係数をYの関数とし、レンズの有効部内において連続的に変化させている。
【0039】
副走査方向の形状は、光軸に対して走査開始側と走査終了側で光軸をX軸、主走査面内において光軸と直交する方向をY軸、副走査面内で光軸と直交する方向をZ軸とし、以下の連続関数で表せる。
r3、r4面の副走査方向関数
【0040】
【数3】
【0041】
(r’は副走査方向曲率半径、Djは曲率変化係数、Miは子線非球面係数)
Yのプラス側とマイナス側で係数が異なる場合は、サフィックスsは走査開始側、eは走査終了側を表している。また、副走査方向の曲率半径とは主走査方向の形状(母線)に直交する断面内における曲率半径である。
【0042】
(本実施形態の設計観点)
本実施形態は、以下の設計観点が考慮されている。
【0043】
(1.耐環境性能向上設計)
本実施形態は、主に主走査方向にパワーを有するレンズをガラス製とし、温度が変化した場合の主走査方向の印字位置ずれとピントずれを低減している。図6に本実施形態の主走査方向のピント位置(図6(a))と15℃昇温した場合の主走査ピントずれ(図6(b)と印字位置ずれ(図6(c))を示す。15℃昇温した場合の主走査方向のピント位置ずれ0.1mm以下、印字位置ずれは32μm以下である。これは主走査方向に主たるパワーを有する光学系をガラス製にしたためである。
【0044】
尚、本実施形態で使用したガラスは、15℃昇温した場合の屈折率変動(屈折率の温度依存性と屈折率の波長依存性の和)が−0.00012であり、プラスティック光学系−0.00202の1/17程度になっている。
【0045】
(2.副走査濃度ムラ低減設計)
本実施形態では、プラスティックレンズの子線曲率(副走査曲率)を主走査方向に連続的に変化させる面を2面有し、副走査方向のピント位置とマルチビームの副走査ピッチ間隔一定を両立させている。また、副走査方向の曲率半径を、走査開始側と走査終了側で非対称に変化させることにより、偏向点の非対称性(サグ)によるピントとピッチ間隔の非対称性を補正している。本実施形態では、ピッチ間隔誤差の大きい走査系を用いると画像上での視認性の高い濃度ムラが発生するため、ピッチ間隔誤差は5μm以下、好ましくは1μm以下としている。
【0046】
(3.マルチビームの光学性能劣化低減設計)
本実施形態は、以下の問題を解決するために、主走査方向の光束幅を制限する絞りと異なる位置に副走査絞りを配置し、マルチビームの副走査方向の主光線交差位置(副走査射出瞳位置)をプラスティックレンズ付近になるよう構成している。
【0047】
1)プラスティックレンズの複屈折によるビーム間スポット径ばらつき
2)光線通過位置が副走査にずれた場合の副走査ピッチ間隔ずれ
3)感光体ドラムと結像光学系の光軸方向位置ずれによる副走査ピッチ間隔ずれ
仮に、プラスティックレンズから光軸方向に大きく離間した位置で光線が副走査方向に交差した場合、上記1)の問題として、ビームごとに副走査方向のスポット径が異なってしまい、画像に周期的な濃度ムラが発生する。これは、ガラスレンズに比べプラスティックレンズの複屈折量が大きいためである。
【0048】
また、面倒れ等により設計位置と異なる副走査方向位置をビームが通過する際に、最も副走査方向に離間した位置を通過するビームが面傾きの影響を大きく受け、大きなピッチ間隔ずれが発生するという上記2)の問題も残る。更に副走査交差位置が被走査面に相当近い場合は、走査光学系と被走査面の距離がずれた場合に発生するピッチ間隔変動が大きくなるという上記3)の問題も残る。
【0049】
(4.面倒れピッチムラ低減設計)
偏向手段であるポリゴンミラーは、ポリゴン面の加工誤差や組み立て誤差によって、反射面の副走査方向の角度が所望の値からずれる、所謂面倒れと呼ばれる誤差を有している。図5(a)に示すように、一般的な光走査装置は、副走査方向の結像位置(近軸像面=ガウス像面)が被走査面とほぼ一致するように設計されている。即ち、fθレンズの副走査方向の結像関係は、偏向面近傍に線上に結像している焦線と、被走査面が共役になるような構成になっている。
【0050】
この構成では、面倒れが生じると偏向反射面のサグ(出入り)により、被走査面上の副走査方向の光線到達位置がずれてしまい、所謂、面倒れによるピッチムラが発生する(図5(b))。しかし、本実施形態では、fθレンズの副走査方向の曲率半径を最適に設定し、副走査近軸像面が湾曲するように構成(図5(c))することにより面倒れが1分発生しても、副走査方向のスポット重心位置がずれないようにしている(図5(d))。また、副走査方向に4次の非球面を導入し、副走査方向の波面収差を低減することにより、近軸像面は湾曲させたまま、波動光学的像面位置を非走査面と一致させる構成にしている(図5(e))。
【0051】
ここで、近軸像面とは、レンズの光軸近傍の形状から幾何光学的に決まる像面位置を示し、波動光学的像面位置とは、波面収差が最小になる像面位置を示す。表1に本実施形態の光学系の非球面係数を示す。
【0052】
【表1】
【0053】
ここで「E−x」は「10−x」を示している。R1面はfθレンズ20aの光偏向器10側の面、R2面はfθレンズ20aの被走査面30側の面、R3面はfθレンズ20bの光偏向器10側の面、R4面はfθレンズ20bの被走査面30側の面である。
【0054】
上記のように、fθレンズ20aの入射面は、平面(r=∞)で構成されている。又、fθレンズ20aの出射面は、球面で構成されている。fθレンズ20bの入射面は母線方向が非円弧であり、子線方向の曲率が母線方向に変化しかつ、曲率変化は走査開始側と走査終了側で非対称に変化する子線曲率非対称変化面を有している。fθレンズ20bの出射面は、入射面同様、母線非円弧、子線曲率変化非対称面でかつ、子線方向が非円弧形状を有している。また、子線方向の非球面量を母線方向に変化させることにより、副走査方向の波動光学的な像面湾曲を補正している。
【0055】
(副走査方向における主光線の交差)
図4(a)に、fθレンズ20a、20bの主走査方向における光軸近傍(像高ゼロ)における、32個の発光点の最も端部側のLD1とLD32の主光線通過位置を示す。また、図4(b)は、fθレンズ20a、20bの主走査方向における軸外(Y=170mm像高)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。ここで図4(a)および図4(b)は、図1(c)におけるLD1とLD32の副走査方向位置と対応している。なお、図4における主光線通過位置ゼロは、fθレンズの光軸を示している。
【0056】
図4(a)に示すように、fθレンズの光軸上(Y=0)では、複数ビーム(LD1〜LD32)の主光線が副走査断面において、ガラスのfθレンズ20aで離間させ、プラスティックのfθレンズ20bのR2面より被走査面側でほぼ一致させている。また、図4(b)に示すように、fθレンズの軸外(Y=170mm)では、複数ビーム(LD1〜LD32)の主光線が副走査断面において、ガラスのfθレンズ20aで離間させ、プラスティックのfθレンズ20bのR1面より偏向面側でほぼ一致させている。
【0057】
即ち、副走査方向の主光線の交差位置は、fθレンズ20b方向の中央部側通過域と端部側通過域で、fθレンズ20bに対し、夫々前方、後方と逆の関係とする。これにより、プラスティックのfθレンズ20bの主走査方向全域における副走査方向の光軸離間量を絶対値として低減させることが可能となっている。即ち、軸上(Y−0)では、副走査方向でプラスティックのfθレンズ20bより後方側で光束で主光線を交差させ、軸外(Y=170)ではプラスティックのfθレンズ20bより前方側で主光線を交差させ、光軸離間量を絶対値として低減させている。
【0058】
従って、ガラスのfθレンズ20aでは副走査方向に離間させる一方、プラスティックのfθレンズ20bの主走査方向全域で副走査方向の主光線の光軸離間量(絶対値)を低減させることができる。本実施形態では、主走査方向における軸上(Y=0)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、ガラスのfθレンズ20aで副走査離間量がR1面で41μm、R2面で34μmとなる位置を通過し、20aの後で交差するように設定している。また、プラスティックのfθレンズ20bで、副走査離間量がR1面で8.5μm、R2面で5μmとなる位置を通過し、20bの手前で交差するように設定している。
【0059】
そして、主走査方向における軸外(Y=170)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、ガラスのfθレンズ20aで副走査離間量がR1面で26μm、R2面で23μmとなる位置を通過するするように設定している。また、プラスティックのfθレンズ20bで副走査離間量がR1面で6.4μm、R2面で8.2μmとなる位置を通過するように設定している。
【0060】
従って、G1R2面の端部レーザー(LD1およびLD32))の主光線副走査離間量をZ1、G2R2面の端部レーザーの主光線副走査離間量をZ2としたとき、光線離間量条件式|Z1|>2×|Z2|を満たしている。また、本実施形態の副走査方向の主光線の交差する位置は、主走査方向における軸上(Y=0)で、図4(a)に示すようにG2レンズのR2面から6.34mmの距離(Ls軸上)にある。
【0061】
また、主走査方向における軸外(Y=170mm)で、G2レンズのR2面から−23.37mm(Ls軸外)、G2レンズの焦点距離fs2=102.83で構成し、軸上、軸外とも条件式|Ls|<0.3×fs2を満足するように構成している。ここで、LsはプラスティックのG2レンズの位置と、副走査方向の主光線の交差する位置と、の光軸方向距離であり、fs2はプラスティックのG2レンズの焦点距離である。
【0062】
プラスティックのG2レンズ上で副走査方向の複数ビームが離間していると、プラスティックレンズの成形で発生する複屈折の影響を受けて、ビームごとにスポット径がばらつくが、本実施形態ではこれを防止できる。上述した不等式の条件式を満足しないと、プラスティックレンズ上で光束が副走査方向に分離してしまい、ビームごとにスポット径がばらついてしまう。
【0063】
また、図4に示すように副走査方向の主光線の交差位置から被走査面までの距離L2=211.36、発光点の数であるビーム数N=32とすることにより、条件式L2≧2×(N−1)を満足するように副走査絞り位置を最適化している。これは、被走査面が1mm前後した場合にピッチ間隔ずれを1/4画素以下に抑えるための条件式である。これを満足しないと、組み立て誤差により生じる被走査面位置誤差によりピッチ間隔誤差が大きくなり、画像に周期的なムラが生じ高精細化が困難となる。
【0064】
よって、本条件式を満足することにより、マルチビームが副走査方向に交差する位置(副走査射出瞳位置)を被走査面から遠ざけ、被走査面とfθレンズ20bの間隔がずれた場合に発生するマルチビームの副走査ピッチ間隔誤差を低減することができる。
【0065】
また、本実施形態では、G1レンズの主走査方向パワーΦG=0.00352、fθ光学系全系の主走査方向パワーΦall=0.004、ΦG/Φall=0.88としている。これは、条件式0.6<ΦG/Φall<1を満足させることにより、温度変化による主走査方向のピント位置安定性と主走査方向の印字位置安定性を確保するためである。この条件式を満足しないと主走査方向のピントずれと印字位置ずれが大きくなり、昇温時の色ずれや画像劣化が大きくなるので好ましくない。
【0066】
また、複数ビームの主光線が交差するfθレンズ20b付近で、fθレンズ20bに非円弧面を形成することにより、多ビームの各ビームが、非円弧面を構成しているfθレンズ20b上で光線が副走査方向にずれた場合に発生する性能劣化を低減することができる。また、主走査方向の光束幅が最も狭いfθレンズ20bに副走査非円弧面を用いることにより、ビーム内の副走査曲率変化を低減でき、被走査面のスポット形状劣化を低減させている。本実施形態の副走査方向の非円弧形状は、Zの4次のみで構成したが、6次以上の非円弧を用いてもよい。
【0067】
以上のように、本実施形態では、fθレンズ20aにガラス製のレンズを用いて環境安定性を向上させ、かつ、副走査方向における主光線をプラスティックのfθレンズ20b付近で交差させる。このことにより、高速で高精細な画像形成を行うことができる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を提供できる。なお、本実施形態では結像光学系を2枚のfθレンズで構成しているが、これに限らず、3枚以上で構成しても上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
ここで、本実施形態の全体構成および効果を要約すれば、以下の通りである。
【0069】
1)結像光学系の内、最も主走査方向にパワーを有するfθレンズ20aをガラス製とすること
2)結像光学系の内、少なくとも二面の副走査方向の曲率を主走査方向に変化させること
3)マルチビームのそれぞれの光束の主光線が、プラスティックのfθレンズ20b付近で副走査方向に交差するように、入射光学系の第1絞り2が設定されること
これにより、1)の手段により主走査方向の結像性能劣化を低減し、2)の手段によりマルチビームの副走査方向の間隔を一定とし、3)の手段により副走査方向のスポット径のばらつきを低減し、環境性能と高速、高精細化を両立できる。
【0070】
《第2の実施形態》
本実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、fθレンズ20の構成である。その他の構成、及び光学的作用は第1の実施形態と同様であり、これにより同様な効果を得ている。表2に本実施形態の設計パラメータを示す。
【0071】
本実施形態のfθレンズは、第1の実施形態より小スポット化に対応できるように波面収差を低減している。従って、第1の実施形態より高精細化を達成している。図7に本実施形態のスポット径を示す。図7(a)は主走査方向、図7(b)は副走査方向のスポット径を示す。図中横軸は、被走査面における光軸方向のディフォーカス量を示している。縦軸は、スポット径を示し、被走査面に結像されるスポットのビーム強度の1/e2の直径を示している。
【0072】
本実施形態の光学性能として、図8(a)に主走査方向、図8(b)に副走査方向の波動光学的像面湾曲を示す。図8の像面湾曲はスポット径が50μmになるディフォーカス量の中心値を示している。本実施形態は、第1の実施形態に比べ、スポット径を35μmと微小化しているので、スポット径の均一性を確保するために、レンズ形状とレンズ配置を最適な構成とし、波面収差を良好に補正している。
【0073】
図9に偏向面が1分倒れたときの、被走査面における副走査方向のスポット位置ずれを示す。本実施形態も第1の実施形態と同様、fθレンズの副走査方向の共役関係を偏向反射面と被走査面が主走査方向全域で共役になるようにfθレンズの子線曲率を長手方向に連続的に変化させている。従って、スポット重心位置ずれが偏向面が1分倒れても、0.2μm以下に低減できている。
【0074】
図10に15℃昇温した場合の主走査方向の性能を示す。図10(a)は主走査方向のピント位置ずれを示し、図10(b)は主走査方向の印字位置ずれを示す。図10(a)でピント位置ずれは0.1mm以下に抑えられており、第1の実施形態と同様、環境安定性の高い、光走査装置の提供が可能となっている。また、図10(b)で、主走査方向の印字位置ずれは、40μm以下に抑えられており、これも第1の実施形態と同様、高精細化可能な構成となっている。
【0075】
図11(a)に、fθレンズの主走査方向における光軸近傍(像高ゼロ)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。また、図11(b)に、fθレンズの主走査方向における軸外(Y=170mm像高)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。ここで図11(a)および図11(b)は、図1(c)におけるLD1とLD32の副走査方向位置と対応している。なお、図11における主光線通過位置ゼロは、fθレンズの光軸を示している。
【0076】
図11(a)に示すように、レンズの光軸上(Y=0)では、複数ビーム(LD1〜LD32)の主光線が副走査断面において、ガラスのfθレンズ20aで離間し、プラスティックのfθレンズ20bのR2面より被走査面側でほぼ一致している。また、図11(b)に示すように、fθレンズの軸外(Y=170mm)で、複数ビーム(LD1〜LD32)の主光線が副走査断面において、ガラスのfθレンズ20aで離間し、プラスティックのfθレンズ20bのR1面より逆側の偏向面側でほぼ一致している。
【0077】
これにより、プラスティックレンズの主走査方向全域における副走査方向の光軸離間量を絶対値として低減させることが可能となっている。
【0078】
本実施形態では、主走査方向における軸上(Y=0)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、ガラスのfθレンズ20aで副走査離間量がR1面で43μm、R2面で36μmとなる位置を通過するように設定している。また、プラスティックのfθレンズ20bで、副走査離間量がR1面で7.4μm、R2面で3.8μmとなる位置を通過するように設定している。
【0079】
そして、主走査方向における軸外(Y=170)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、ガラスのfθレンズ20aで副走査離間量がR1面で31μm、R2面で28μmとなる位置で交差するように設定している。また、プラスティックのfθレンズ20bで副走査離間量がR1面で6.1μm、R2面で7.8μmとなる位置で交差するように設定している。
【0080】
従って、G1R2面の端部レーザー(LD1およびLD32))の主光線副走査離間量をZ1、G2R2面の端部レーザーの主光線副走査離間量をZ2としたとき、光線離間量条件式|Z1|>2×|Z2|を満たしている。また、本実施形態の副走査方向の主光線の交差する位置は、主走査方向における軸上(Y=0)で、図4(a)に示すようにG2レンズのR2面から5.2mmの距離(Ls軸上)にある。
【0081】
また、主走査方向における軸外(Y=170mm)で、G2レンズのR2面から−20.8mm(Ls軸外)、G2レンズの焦点距離fs2=107.52で構成し、軸上、軸外とも条件式|Ls|<0.3×fs2を満足するように構成している。また、図11に示すように副走査方向の主光線の交差位置から被走査面までの距離L2=226.62、発光点の数であるビーム数N=32とすることにより、条件式L2≧2×(N−1)を満足するように副走査絞り位置を最適化している。
【0082】
よって被走査面が1mm前後した場合にピッチ間隔ずれを1/4画素以下に抑えるための条件式を満足しており、高精細化可能な構成となっている。条件式を満足しないと組み立て誤差により生じる被走査面位置誤差によりピッチ間隔誤差が大きくなり、画像に周期的なムラが生じ高精細化が困難となる。よって本条件式を満足することによりマルチビームが副走査方向に交差する位置(副走査射出瞳位置)を被走査面から遠ざけ、被走査面と光学系の間隔がずれた場合に発生するマルチビームの副走査ピッチ間隔誤差を低減することができる。
【0083】
また、本実施形態では、G1レンズの主走査方向パワーΦG=0.003、fθ光学系全系の主走査方向パワーΦall=0.0037、ΦG/Φall=0.81としている。これは、条件式0.6<ΦG/Φall<1を満足させることにより、温度変化による主走査方向のピント位置安定性と主走査方向の印字位置安定性を確保するためである。この条件式を満足しないと、主走査方向のピントずれと印字位置ずれが大きくなり、昇温時の色ずれや画像劣化が大きくなるので好ましくない。
【0084】
また、非円弧面を複数ビームの主光線が交差する位置近傍のfθレンズ20bに形成することにより、多ビームの各ビームが、非円弧面を構成している光学素子上で光線が副走査方向にずれた場合に発生する性能劣化を低減することができる。また、主走査方向の光束幅が最も狭いfθレンズ20bに副走査非円弧面を用いることにより、ビーム内の副走査曲率変化を低減でき、被走査面のスポット形状劣化を低減させている。
【0085】
本実施形態の副走査方向の非円弧形状は、Zの4次のみで構成したが、6次以上の非円弧を用いてもよい。また本実施形態では結像光学系を2枚の結像光学素子で構成しているが、これに限らず、3枚以上で構成しても上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
以上のように、fθレンズにガラス製のfθレンズ20aを用いて環境安定性を向上させ、かつ、複数ビームをプラスティック製のfθレンズ20b付近で交差させる。このことにより、微小スポット光学系においてもピッチムラを低減でき、高速で高精細な画像形成を行うことができる光走査装置及びそれを用いた画像形成装置を提供できる。
【0087】
【表2】
【0088】
《第3の実施形態》
本実施形態は、結像光学系がプラスティック製のfθレンズ1枚で構成される点を除き、第1の実施形態と同様である。本実施形態の主走査断面図を図12に示す。また、表3に本実施例の数値パラメータを示す。
本実施形態において、fθレンズ6の形状は、光軸との交点を原点とし、以下の関数で表せる。ここで、光軸をX軸、主走査面内においては、実施例1と同様の関数で表される。具体的には、光軸と直交する方向をY軸、副走査面内で光軸と直交する方向をZ軸とする。
【0089】
【数4】
【0090】
【数5】
【0091】
但し、Rは曲率半径、K、B4、B6、B8、B10は非球面係数である。本実施形
では出射面側の主走査方向の形状を光軸に対し非対称に構成している、つまり走査開始側と走査終了側の非球面係数を異ならせている。
副走査方向の形状は、実施例1と異なり、以下の関数を用い、副走査断面内の曲率半径のをレンズ有効部内で連続的に変化させ、かつ、曲率半径の符号を反転させている。
【0092】
副走査方向の形状は、光軸に対して走査開始側と走査終了側で光軸をX軸、主走査面内において光軸と直交する方向をY軸、副走査面内で光軸と直交する方向をZ軸とし、以下の連続関数で表せる。
【0093】
【数6】
【0094】
(r’は副走査方向曲率半径、Djは曲率変化係数)
Yのプラス側とマイナス側で係数が異なる場合は、サフィックスsは走査開始側、eは走査終了側を表している。また、副走査方向の曲率半径とは主走査方向の形状(母線)に直交する断面内における曲率半径である。また、入射光学系のコリメータレンズ3の出射面の形状をアナモフィック形状とし、主走査方向は弱収束光、副走査方向は、偏向面10a近傍に焦線を結させている。さらに、入射面は、以下の光路差関数で表される回折面を有する構成としている。
【0095】
【数7】
【0096】
但し、mは回折次数(本実施例では1)である。ここで、rは以下の式で表される。
【0097】
【数8】
【0098】
なお、C1からC4は位相係数である。本実施例の入射面は、ブレーズ型の回折面であり、環境変動(温度変化)による光源の発振波長変化と、主にプラスティックレンズの屈折率変化による焦線位置ずれを低減させる効果を有する面で構成されている。
【0099】
【表3】
【0100】
図13(a)にfθレンズの主走査方向における光軸近傍(像高ゼロ)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。また、図13(b)に、fθレンズの主走査方向における軸外(Y=110mm像高)でのLD1とLD32の主光線通過位置を示す。ここで図13(a)および図13(b)は、図1(c)におけるLD1とLD32の副走査方向位置と対応している。なお、図13における主光線通過位置ゼロは、fθレンズの光軸を示している。
【0101】
本実施形態では、主走査方向における軸上(Y=0)で、LD1又はLD32の副走査方向の主光線は、fθレンズ6の副走査離間量がR1面でZ方向に29μm、R2面で15μmとなる位置を通過し、fΘレンズより被走査差面側で交差するように設定している。
【0102】
そして、主走査方向における軸外(Y=107)で、LD1またはLD32の副走査方向の主光線は、fθレンズ6の副走査離間量がR1面で48μm、R2面で58μmとなる位置を通過し、fΘレンズより手間で交差するように設定している。
【0103】
また、本実施形態の副走査方向の主光線の交差する位置は、主走査方向における軸上(Y=0)で、図13(a)に示すようにfΘレンズのR2面から4.5mmの距離(Ls軸上)にある。
【0104】
また、主走査方向における軸外(Y=107mm)で、G2レンズのR1面から−9.2mm(Ls軸外)、fΘレンズの副走査法王焦点距離fs=27.1で構成し、軸上は条件式|Ls|<0.3×fsを満足するように構成している。また、図13に示すように副走査方向の主光線の交差位置から被走査面までの距離L2=116.5、発光点の数であるビーム数N=32とすることにより、条件式L2≧2×(N−1)を満足するように副走査絞り位置を最適化している。
【0105】
よって被走査面が1mm前後した場合にピッチ間隔ずれを1/4画素以下に抑えるための条件式を満足しており、高精細化可能な構成となっている。条件式を満足しないと組み立て誤差により生じる被走査面位置誤差によりピッチ間隔誤差が大きくなり、画像に周期的なムラが生じ高精細化が困難となる。よって本条件式を満足することによりマルチビームが副走査方向に交差する位置(副走査射出瞳位置)を被走査面から遠ざけ、被走査面と光学系の間隔がずれた場合に発生するマルチビームの副走査ピッチ間隔誤差を低減することができる。
【0106】
(変形例1)
上述した実施形態では、2枚レンズで構成する結像光学系を、一方は1枚のガラスレンズ、他方は1枚のプラスティックレンズで構成したが、ガラスレンズをプラスティックレンズに替えて2枚のプラスティックレンズで構成しても良い。この場合、偏向手段(ポリゴンミラー)から遠い側のプラスティックレンズに関し、第1の実施形態で述べたような副走査方向における主光線の交差を行うようにすれば良い。
【0107】
(変形例2)
副走査方向の交差位置をプラスティックレンズの主走査方向における中央側光束通過領域でプラスティックレンズに対して光軸方向で後方位置、端部側光束通過領域でプラスティックレンズに対して光軸方向で前方位置としたが、前方、後方を逆にしても良い。
【0108】
また、主走査方向における中央ではプラスティックレンズの位置とし、中央より少し端部側に離れた位置と、中央より充分離れた端部位置とで、主光線が交差する位置をプラスティックレンズの位置に対して互いに逆方向にずらせた位置としても良い。
【0109】
(変形例3)
上述した実施形態では、光源手段1は、主走査方向から傾いた状態で32ビームが少なくとも副走査方向に一次元に配列されていたが、主走査方向と直交するように副走査方向に一次元に配列されても良い。また発光点の数は、32個に限定されず、任意の複数であれば良い。
【符号の説明】
【0110】
1・・光源手段、2・・第1の絞り(副走査方向)、3・・コリメータレンズ、4・・シリンドリカルレンズ、5・・第2の絞り(主走査方向)、10・・光偏向器、20a、20b・・fθレンズ、30・・感光体ドラム(被走査面)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも副走査方向に複数の発光点を有する光源手段と、
前記光源手段からの光束を偏向面を備えた偏向手段に入射させる入射光学系と、
前記偏向面で偏向走査された光束を被走査面に結像する結像光学系と、
を有する光走査装置であって、
前記結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、
副走査方向において、前記複数の発光点からの主光線が光軸上で前記プラスティックレンズの位置を含む前後の所定範囲内で交差しており、かつ、
前記プラスティックレンズの主走査方向における中央側光束通過領域と端部側光束通過領域とで、前記主光線が交差する位置が、一方では前記プラスティックレンズに対して光軸方向で前方位置、他方では前記プラスティックレンズに対して光軸方向で後方位置となっていることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
少なくとも副走査方向に複数の発光点を有する光源手段と、
前記光源手段からの光束を偏向面を備えた偏向手段に入射させる入射光学系と、
前記偏向面で偏向走査された前記光源手段からの光束を被走査面に結像する結像光学系と、
を有する光走査装置であって、
前記結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、
副走査方向において、前記複数の発光点からの主光線が光軸上で前記プラスティックレンズの位置を含む前後の所定範囲内で交差しており、
前記プラスティックレンズの位置と前記交差する位置との光軸方向の距離をLsとし、前記プラスティックレンズの主走査方向の焦点距離をfs2とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする光走査装置。
|Ls|<0.3×fs2
【請求項3】
前記プラスティックレンズの位置と前記交差する位置との光軸方向の距離をLsとし、前記プラスティックレンズの主走査方向の焦点距離をfs2とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
|Ls|<0.3×fs2
【請求項4】
前記結像光学系は、前記偏向手段に近い側に設けられる1枚のガラスレンズと、前記偏向手段から遠い側に設けられる1枚のプラスティックレンズで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記結像光学系は、2枚のプラスティックレンズで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記結像光学系は、1枚のプラスティックレンズのみで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記プラスティックレンズを構成するレンズ面の内、少なくとも1面が副走査方向の断面において非円弧面であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光走査装置
【請求項8】
前記プラスティックレンズの入射面及び出射面の副走査方向の曲率が主走査方向に変化していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光走査装置
【請求項9】
前記ガラスレンズは以下を満たすことを特徴とする請求項4記載の光走査装置。
0.6<ΦG/Φall<1
但し、ΦGはガラスレンズの主走査方向パワー、Φallは前記結像光学系の全系の主走査方向パワー
【請求項10】
前記交差する位置から被走査面までの光軸方向の距離をL2とし、Nを前記発光点の数とするとき、以下を満たすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光走査装置。
L2≧2×(N−1)
【請求項11】
前記光源手段は面発光レーザーであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の光走査装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光走査装置と、前記被走査面に配置された感光体と、前記光走査装置で走査された光束によって前記感光体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、前記現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光走査装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に入力せしめるプリンタコントローラとを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
少なくとも副走査方向に複数の発光点を有する光源手段と、
前記光源手段からの光束を偏向面を備えた偏向手段に入射させる入射光学系と、
前記偏向面で偏向走査された光束を被走査面に結像する結像光学系と、
を有する光走査装置であって、
前記結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、
副走査方向において、前記複数の発光点からの主光線が光軸上で前記プラスティックレンズの位置を含む前後の所定範囲内で交差しており、かつ、
前記プラスティックレンズの主走査方向における中央側光束通過領域と端部側光束通過領域とで、前記主光線が交差する位置が、一方では前記プラスティックレンズに対して光軸方向で前方位置、他方では前記プラスティックレンズに対して光軸方向で後方位置となっていることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
少なくとも副走査方向に複数の発光点を有する光源手段と、
前記光源手段からの光束を偏向面を備えた偏向手段に入射させる入射光学系と、
前記偏向面で偏向走査された前記光源手段からの光束を被走査面に結像する結像光学系と、
を有する光走査装置であって、
前記結像光学系は、少なくとも1枚のプラスティックレンズを備え、
副走査方向において、前記複数の発光点からの主光線が光軸上で前記プラスティックレンズの位置を含む前後の所定範囲内で交差しており、
前記プラスティックレンズの位置と前記交差する位置との光軸方向の距離をLsとし、前記プラスティックレンズの主走査方向の焦点距離をfs2とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする光走査装置。
|Ls|<0.3×fs2
【請求項3】
前記プラスティックレンズの位置と前記交差する位置との光軸方向の距離をLsとし、前記プラスティックレンズの主走査方向の焦点距離をfs2とするとき、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
|Ls|<0.3×fs2
【請求項4】
前記結像光学系は、前記偏向手段に近い側に設けられる1枚のガラスレンズと、前記偏向手段から遠い側に設けられる1枚のプラスティックレンズで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記結像光学系は、2枚のプラスティックレンズで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記結像光学系は、1枚のプラスティックレンズのみで構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記プラスティックレンズを構成するレンズ面の内、少なくとも1面が副走査方向の断面において非円弧面であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光走査装置
【請求項8】
前記プラスティックレンズの入射面及び出射面の副走査方向の曲率が主走査方向に変化していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光走査装置
【請求項9】
前記ガラスレンズは以下を満たすことを特徴とする請求項4記載の光走査装置。
0.6<ΦG/Φall<1
但し、ΦGはガラスレンズの主走査方向パワー、Φallは前記結像光学系の全系の主走査方向パワー
【請求項10】
前記交差する位置から被走査面までの光軸方向の距離をL2とし、Nを前記発光点の数とするとき、以下を満たすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光走査装置。
L2≧2×(N−1)
【請求項11】
前記光源手段は面発光レーザーであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の光走査装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光走査装置と、前記被走査面に配置された感光体と、前記光走査装置で走査された光束によって前記感光体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、前記現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の光走査装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記光走査装置に入力せしめるプリンタコントローラとを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−109217(P2013−109217A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255117(P2011−255117)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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