説明

光走査装置及び画像形成装置

【課題】簡単な構成で高品質の画像形成を可能とする。
【解決手段】画像形成装置10では、印刷データを生成する画像処理回路32が設けられた書込み信号生成部14に、レーザ駆動回路34と共にビーム光源部36を設け、光走査部20が設けられる画像書込み部16に光導波素子42が設けられる。また、ビーム光源部の発光素子38が発する光ビームのそれぞれが、光遅延回路52の光ファイバー40を介して光導波素子へ案内され、光導波素子に形成された光射出口のそれぞれから射出され、光走査部20で主走査方向へ偏向される。また、光導波素子には、主走査方向に複数列の光射出口が形成されており、光遅延回路では、光ファイバーの光路長Lを列ごとに設定し、主走査方向の上流側の光射出口からの光ビームの射出が遅延され、下流側の列の光射出口からの光ビームの射出に合わせられるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機、レーザープリンタなどにおいて画像形成装置を構成するメインコントローラ、書込み信号生成部、画像書込み部などのハードウェアは、筐体サイズの制限を受けるために、それぞれが独立して配置され、各ハードウェアの間は、電気ケーブルによって接続されている。この電気ケーブルがアンテナとして機能してしまうと、電磁ノイズを取り込んでしまうことがある。高速化を図るためのデジタル信号の低電圧化が進むことにより、電磁ノイズの影響を受け易くなり、書込み信号生成部と画像書込み部の間は、特に、電磁ノイズの影響を受け易い。
【0003】
ここから、書込み信号生成部と画像書込み部との間を、光ファイバーケーブルで接続する提案がなされている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
一方、画像形成の高速化、高品質化を図る方法として、複数条のレーザービームを同時に走査するときに、複数の光導波路の出力口を狭い間隔で直線状に配置し、それぞれの光導波路の入力口に光ファイバーを接続する提案がなされている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
ところで、画像形成の高速化及び高品質化を図る方法としては、VCSEL(垂直共振面発光レーザ)を用いて複数列分の光ビームを並行して走査する方法がある。このときには、列補正を行うための複雑な構成の列補正回路を用いて、列単位で発光タイミングを補正するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−178557号公報
【特許文献2】特開2001−133712号公報
【特許文献3】特開2000−153635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で複数列の光ビームを用いた画像形成を可能とする光走査装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する請求項1の光走査装置は、複数の発光素子のそれぞれが光ビームを発するビーム光源と、前記発光素子ごとの駆動信号に基づいて前記ビーム光源の発光素子を駆動する駆動手段と、射出面に光ビームの射出口が千鳥状に配置されて形成された射出ヘッドと、前記ビーム光源の前記発光素子と前記射出ヘッドの前記射出口を光学的に接続して前記光ビームを射出口へ案内する光導波路と、前記光導波路に沿って案内されて前記射出ヘッドの前記射出口のそれぞれから射出される前記光ビームを感光体上の主走査方向へ走査しながら照射する走査手段と、前記感光体上に照射される前記光ビームの主走査方向に沿った位置が重なるように一方の光ビームの光路長を他方の光ビームの光路長より長くなるように前記光導波路の長さを設定して形成した光遅延手段と、を含む。
【0009】
また、請求項2の光走査装置は、請求項1において、前記光射出口が前記感光体上の副走査方向に沿う前記射出口が列として、主走査方向が複数列となるように形成され、前記光遅延手段が、前記列単位で前記光路長が設定されている。
【0010】
請求項3の光走査装置は、請求項1又は請求項2の光走査装置において、前記発光素子のそれぞれを駆動する前記駆動信号を生成する信号生成手段を含む信号生成部を有し、前記駆動手段及び前記ビーム光源が前記信号生成部に設けられている。
【0011】
請求項4の光走査装置は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光走査装置において、前記駆動手段に入力される前記発光素子ごとの前記駆動信号が、発光素子ごとに遅延が設定される遅延手段と、含む。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光走査装置と、画像データを受け付ける受付け手段と、を含み、前記画像データに応じた潜像を前記感光体に形成し、該潜像に基づいた画像を画像形成媒体に形成する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明の請求項1及び請求項2の発明によれば、光ビームの光路長を換える簡単な構成で主走査方向に沿った光ビームの照射タイミングを適切に補正することができる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、光遅延手段を設けることにより、ビーム光源部を走査手段から離して設けることができるので、高品質の画像形成が可能となる。
【0015】
さらに、請求項4の発明によれば、光ビームごとに射出タイミングを補正することができるので、画素ずれの生じない高品質の画像形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の要部のブロック図である。
【図2】光走査部の要部を示す斜視図である。
【図3】光導波素子と光ファイバーを示す要部の構成図である。
【図4】(A)は本実施の形態に適用した遅延回路、(B)は(A)の遅延回路でのスイッチング信号に応じた遅延量を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10の要部が示されている。この画像形成装置10としては、プリンタ機能、複写機能、ファクシミリ機能、あるいはこれらのうちの複数の機能を併せ持つ構成など、電子写真プロセスによって記録媒体に画像を形成する任意の構成を適用することができる。
【0018】
この画像形成装置10は、メインコントローラ12、書込み信号生成部14及び画像書込み部16を含んでいる。メインコントローラ12は、画像データが入力されると、この画像データを受付け、画像形成装置10の作動を制御しながら、画像データに基づいた画像を形成する。
【0019】
図1及び図2に示されるように、画像書込み部16には、光ビームを射出する射出ヘッド18及び、射出ヘッド18から射出される光ビームを走査する光走査部20が設けられている。図2に示されるように、画像形成装置10では、感光体として感光ドラム22が用いられており、光走査部20は、この感光ドラム22へ光ビームを走査しながら照射する。なお、ここでは、矢印H方向を主走査方向とし、感光ドラム22の回転を副走査移動として矢印V方向を副走査方向として説明する。
【0020】
射出ヘッド18は、複数条の光ビームを射出する。また、光走査部20には、走査光学系として、副走査方向にパワーを持つコリメータレンズ24、副走査方向に光ビームを絞り込むシリンドリカルレンズ26、回転多面鏡(ポリゴンミラー)28、fθレンズ30を含んでいる。射出ヘッド18から射出された光ビームは、コリメータレンズ24によって平行光とされた後、シリンドリカルレンズ26によって絞りこまれて、回転多面鏡28の反射面へ照射される。
【0021】
回転多面鏡28は、図示しない駆動手段の駆動力によって所定の回転速度で回転され、光ビームは、この回転多面鏡28の反射面で反射されることにより主走査方向へ偏向され、fθレンズ30によって感光ドラム22の周面に照射される。これにより、感光ドラム22は、個々の光ビームがスポット状に結像されて潜像(静電潜像)が形成される。
【0022】
画像形成装置10では、この感光ドラム22に形成される潜像をトナー現像することにより可視像を生成し、生成した可視像を記録紙などの画像形成媒体(図示省略)へ転写することにより、画像形成媒体に画像を形成する。なお、光ビームの走査及び画像形成媒体への画像形成は、一般的構成を適用することができる。
【0023】
図1に示されるように、書込み信号生成部14は、ASICなどを用いて形成された画像処理回路32を備えている。この画像処理回路32では、画像データに対して所定の画像処理を施し、画像データに応じたラスタデータなどの印刷データを生成する(以下、ラスタデータとする)。このときに、画像処理回路32では、例えば、画像データがカラー画像であるときにCMYKの各色成分に分版し、それぞれの色成分のラスタデータを生成する。なお、ここでは、説明を簡略化するために色を区別せずに1色分の画像を生成するものとして説明する。
【0024】
一方、画像形成装置10では、書込み信号生成部14に、レーザ駆動回路34及びレーザ光源部36を設けている。レーザ光源部36は、複数のレーザLEDなどの発光素子38を備え、複数条のレーザービームを並行して発する。
【0025】
レーザ駆動回路34には、画像処理回路32で生成された印刷データに基づいて、レーザ光源部36に設けられている発光素子38のそれぞれを個別に駆動する。これにより、ビーム光源部36では、印刷データに基づいて光ビームが発せられる。
【0026】
また、画像形成装置10では、書込み信号生成部14と画像書込み部16とが、多数条の光ファイバー40によって連結されている。光ファイバー40のそれぞれは、一端が書込み信号生成部14のビーム光源部36の各発光素子38に対向され、それぞれの発光素子38が発する光ビームが入射される。
【0027】
図2及び図3に示されるように、画像形成装置10に用いている射出ヘッド18は、光導波素子42を備えている。この光導波素子42は、基板44の一方の面に、多数の光射出口46が千鳥状に形成されている。
【0028】
また、図3に示されるように、基板44には、射出口46のそれぞれに対応して周縁部に光入射口48が形成され、対となる光射出口46と光入射口48とが、基板44の内部に形成された光導波路50によって連通されている。
【0029】
画像書込み部16では、光ファイバー40の他端が、基板44の光入射口48に連結されている。また、基板44には、光射出口46のそれぞれの内部に反射ミラー(図示省略)が配置されている。
【0030】
レーザ光源部36で発せられる光ビームは、光ファイバー40によって射出ヘッド18の光導波素子42に案内され、光導波素子42の基板44に入射される。また、基板44に入射された光ビームは、光導波路50によって基板44の表面に沿って光射出口46へ案内され、図示しない反射ミラーによって反射されることにより、基板44の表面から射出される。
【0031】
これにより、画像書込み部16では、基板44の表面と交差する方向に沿って多数条の光ビームを射出する面状光源が形成されている(図2参照)。
【0032】
ところで、図3に示されるように、光導波素子42には、主走査方向に沿って複数列分(N列分)の光射出口46が設けられている。また、光射出口46は、それぞれの列で副走査方向に沿って複数行分(M行分)ずつ設けられている。このときに、光射出口46は、副走査方向にずらされて設けられている。
【0033】
これにより、光導波素子42には、M×N(M行N列)の光射出口46が形成され、M×N画素分の光ビームを並行して射出可能となっている。また、図1に示されるように、レーザ光源部36には、光ファイバー40A〜40A、40B〜40B、40C〜40C、40D〜40Dに対応して、画素ごとに発光素子38A〜38A、38B〜38B、38C〜38C、38D〜38Dが設けられている。
【0034】
画像形成装置10では、この光導波素子42を用いて、副走査方向に沿ってM×N画像分の光ビームを射出しながら主走査を行うことができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、一例としてM=8、N=4として、32画素分の光ビームを並行して射出可能となるようにしている。また、光射出口46を列ごとに区別するときには、1列目を46A(46A〜46A)、2列目を46B(46B〜46B)、3列目を46C(46C〜46C)、4列目を46D(46D〜46D)として説明する。
【0036】
一方、図1及び図3に示されるように、画像形成装置10では、光ファイバー40によってビーム光源部36と光導波素子42との間に光遅延回路52を形成している。この光遅延回路52では、同じ列の光射出口46に対しては、光ファイバー40の長さ、すなわち光ビームの光路長Lを同じにしているが、異なる列の光ファイバー40の間では、光路長Lが異なるようにしている。
【0037】
なお、以下では、1列目の光射出口46A(46A〜46A)に対応する光ファイバー40の光ファイバー40A(40A〜40A)、光射出口46B(46B〜46B)、46C(46C〜46C)、46D(46D〜46D)のそれぞれに対応する光ファイバー40を光ファイバー40B(40B〜40B)、40C(40C〜40C)、40D(40D〜40D)として説明する。
【0038】
また、列ごとの光路長Lは、隣接する列との間の光路長の差(光路長差)ΔLとしたときに、この光路長差ΔLを規定することにより設定している。すなわち、1列目の光ファイバー40Aの光路長Lと、2列目の光ファイバー40Bの光路長Lの間では、以下のように設定している。
【0039】
=L+ΔL
すなわち、
=Lk−1+ΔL (ただし、k=2、3、4)
として設定している。主走査方向に沿ったドット間隔Dが一定であるので、1列目と2列目の光路長差ΔL12、2列目と3列目の光路長差ΔL23、3列目と4列目の光路長差ΔL34は同じとしている(ΔL12=ΔL23=Δ34=ΔL)。
【0040】
ここで、光路長差ΔLは、1条の光ビームで1ドット(1画素)を形成するときに、感光ドラム22上(画像形成媒体上)での主走査方向に沿ったドット間の間隔となるドット数D、画像データのクロック周波数C(Hz、1/sec)に基づいて設定されている。
【0041】
具体的には、
ΔL=c×ΔT/n
ここで、cは光速(m/sec)、nは光ファイバ40での光の屈折率、ΔTはドット間の周期(sec)としており、クロック周波数Cであるときの1クロック分の周期を周期Δt(sec)としたときに、ΔT=Δt×Dとしている。なお、光ファイバー40A〜40Dの長さは、基板44の光導波路50の光路長を含めて、所定の光路長L〜Lが得られる長さに設定することがより好ましい。
【0042】
一方、図1に示されるように、書込み信号生成部14には、個別補正用の個別遅延回路54が設けられている。この個別遅延回路54は、ビーム光源部36の発光素子38ごとに設けられて、発光素子38ごとに発光タイミングを補正する。
【0043】
図4(A)は、個別遅延回路54に設ける遅延回路56の一例が示されているが示されている。この遅延回路56では、1個のフリップ−フロップ素子(F−F素子58)とスイッチ素子60(スイッチング素子60A)によって1段目の遅延回路56Aが形成され、2個のF−F素子58とスイッチ素子60(スイッチング素子60B)とによって2段目の遅延回路56Bが形成され、さらに、4個のF−F素子58とスイッチ素子60(スイッチ素子60C)とによって3段目の遅延回路56Cが形成されている。
【0044】
F−F素子58のそれぞれは、クロック信号が入力されることによりオン/オフを切替える。スイッチ素子60(60A〜60C)は、スイッチング信号S(S〜S)に応じて出力を切替える。このときに、スイッチ素子60は、例えば、スイッチング信号Sから「0」が選択されると、F−F素子58を通過しない信号を出力し、スイッチング信号Sから「1」が選択されると、F−F素子58を通過した信号を出力する。
【0045】
ここで、図4(B)には、遅延回路56におけるスイッチ素子60Aのスイッチング信号S、スイッチ素子60Bのスイッチング信号S及びスイッチ素子60Cのスイッチング信号Sに応じた、出力信号の遅延タイミングとする遅延量を示している。なお、図4(B)で遅延量は、発光素子38ごとの印刷データが遅延回路56に入力されてから、遅延回路56から出力されるまでの遅延クロック数を示している。
【0046】
このときに、例えば、スイッチング信号Sが「1」、スイッチング信号Sが「0」、スイッチング信号Sが「1」であると、5周期(5クロック)分だけ送れて印刷データが出力される。
【0047】
このスイッチング信号S〜Sは、光導波素子42の光射出口46のそれぞれに対応するビーム光源部36の発光素子38ごとに設定されている。
【0048】
このように構成されている画像形成装置10では、メインコントローラ12で画像形成処理を行う画像データを受付けると、この画像データが書込み信号生成部14に入力される。書込み信号生成部14では、画像データが入力されると画像処理回路32で所定の画像処理を行う印刷データとするラスタデータを生成する。
【0049】
画像処理回路32で生成された印刷データは、個別遅延回路54を経て、レーザ駆動回路34に入力される。レーザ駆動回路34は入力された印刷データに基づいて、ビーム光源部36の各発光素子38を駆動する駆動信号(駆動電流)を出力する。これにより、ビーム光源部36では、各発光素子38が印刷データに基づいて発光して光ビームを発する。
【0050】
この光ビームは、発光素子38ごとに設けられている光ファイバー40に入射され、この光ファイバー40によって画像書込み部16の光導波素子42へ案内され、光導波素子42の各光射出口46から射出される。
【0051】
また、画像書込み部16では、感光ドラム22及び回転多面鏡28を所定の回転速度で回転する。これにより、光導波素子42から射出される光ビームは、感光ドラム22上に走査されながら照射される。これにより、感光ドラム22の周面に形成される潜像に応じた画像形成が行われる。
【0052】
ところで、光導波素子42には、主走査方向に沿って複数列の光射出口46A〜46Dが形成されており、光射出口46A〜46Dの間で光が射出されるタイミングをずらさないと、感光ドラム22上で光ビームによって形成されるドットの間(主走査方向に沿って隣接するドットの間)で、主走査方向に沿ってドット間隔Dのずれが生じる。
【0053】
このときに、光射出口46A〜46Dの光ファイバー40A〜40Dの間で、光路長差ΔLを設定し、隣接する列ごとの光ファイバー40の間で、光路長差ΔLが得られるように光路長Lを設定している。
【0054】
これにより、画像書込み部16では、光導波素子42の光射出口46A〜46Dの間で、主走査方向の上流側に隣接する列の光射出口46からの光ビームの射出タイミングが下流側に隣接する光射出口46よりも遅れる。すなわち、光射出口46Aと光射出口46Bの間では、光射出口46Bから光ビームが射出されるタイミングが、光射出口46Aから射出されるタイミングよりも遅れる。
【0055】
光遅延回路52では、この遅れがドット間隔Dに相当する遅れとなるように光路長L〜Lが設定されている。これにより、画像形成装置10では、ビーム光源部36の各発光素子38の発光タイミングを主走査方向に沿った列ごとに制御することなく、感光ドラム22上への光ビームの照射タイミングを合わせることができる。
【0056】
このような主走査方向に沿った光ビームの照射タイミングの制御は、電子回路を用いて形成することも可能であるが、光ファイバー40の光路長Lを設定し、ビーム光源部36から発せられた光ビームが、光導波素子42の光射出口46に達するタイミングをずらす構成とすることにより、簡単にかつ低コストで行うことができる。
【0057】
また、画像形成装置10では、ビーム光源部36と光導波素子42との間に光遅延回路を設けることにより、ビーム光源部36を、光走査部20が設けられた画像書込み部16ではなく、レーザ駆動回路34と共に、書込み信号生成部14に設けることができるので、電気信号を伝送する電気ケーブルを長くする必要がなくなるので、電気雑音が重畳されてしまうことがなく、より高品質な画像形成が可能となる。
【0058】
さらに、書込み信号生成部14には、光射出口46のそれぞれに対応するように発光素子38ごとに遅延回路56が設けられており、光射出口46ごとに光ビームの射出タイミング、すなわち、ビーム光源部36の発光素子38ごとに発光タイミングを調整することができる。
【0059】
これにより、例えば、光導波素子42上での光射出口46のずれ、光導波素子42又は光導波素子42が設けられる射出ヘッド18に取り付け誤差が生じても、光ビームが感光ドラム22に照射される主走査方向に沿った位置を適正に揃えることができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、光ファイバー40を用いて光遅延回路52を形成したが、光遅延回路はこれに限らず、例えば、基板上に所定長さ又は長さの異なる光導波路を形成した構成など、所望の光路長の光導波路を形成されるものであれば任意の構成を適用することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、基板44にM行N列で光射出口46が形成された光導波素子42を用いたが、表面に千鳥状に形成された光射出口から光ファイバー40などの光導波路を介して入力される光ビームを射出する任意の構成の面状光源を適用することができる。
【0062】
さらに、本実施の形態では、M行N列で光射出口46を形成して説明したが、本発明は、これに限らず、射出面に千鳥状に光射出口を設けてもよく、このときには、光射出口ごとに光ビームの光路長を設定すればよい。
【0063】
さらに、以上説明した本実施の形態では、電子写真プロセスを適用して画像を形成する画像形成装置10を例に説明したが、本発明はこれに限らず、レーザービームなどの光ビームを走査しながら照射することにより、記録媒体に画像を形成する任意の構成の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 画像形成装置
14 書込み信号生成部
16 画像書込み部
18 射出ヘッド
20 光走査部
22 感光ドラム
32 画像処理回路
34 レーザ駆動回路
36 ビーム光源部
38(38A(38A〜38A)〜38D(38D〜38D)) 発光素子
40(40A(40A〜40A)〜40D(40D〜40D)) 光ファイバー
42 光導波素子
46(46A(46A〜46A)〜46D(46D〜46D)) 光射出口
52 光遅延回路
54 個別遅延回路
56(56A〜56C) 遅延回路
58 F−F素子
60(60A〜60C) スイッチ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子のそれぞれが光ビームを発するビーム光源と、
前記発光素子ごとの駆動信号に基づいて前記ビーム光源の発光素子を駆動する駆動手段と、
射出面に光ビームの射出口が千鳥状に配置されて形成された射出ヘッドと、
前記ビーム光源の前記発光素子と前記射出ヘッドの前記射出口を光学的に接続して前記光ビームを射出口へ案内する光導波路と、
前記光導波路に沿って案内されて前記射出ヘッドの前記射出口のそれぞれから射出される前記光ビームを感光体上の主走査方向へ走査しながら照射する走査手段と、
前記感光体上に照射される前記光ビームの主走査方向に沿った位置が重なるように一方の光ビームの光路長を他方の光ビームの光路長より長くなるように前記光導波路の長さを設定して形成した光遅延手段と、
を含む光走査装置。
【請求項2】
前記光射出口が前記感光体上の副走査方向に沿う前記射出口が列として、主走査方向が複数列となるように形成され、
前記光遅延手段が、前記列単位で前記光路長が設定されている、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記発光素子のそれぞれを駆動する前記駆動信号を生成する信号生成手段を含む信号生成部を有し、前記駆動手段及び前記ビーム光源が前記信号生成部に設けられている、請求項1又は請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記駆動手段に入力される前記発光素子ごとの前記駆動信号が、発光素子ごとに遅延が設定される遅延手段と、含む請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光走査装置と、
画像データを受け付ける受付け手段と、
を含み、前記画像データに応じた潜像を前記感光体に形成し、該潜像に基づいた画像を画像形成媒体に形成する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−211009(P2010−211009A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57826(P2009−57826)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】