光電センサ
【課題】独立する光電センサを複数並べて使用しても、干渉光の影響を最小限に抑えることが可能な光電センサを提供することを目的とする。
【解決手段】光電センサは投光素子10、フォトダイオード20、電流電圧変換回路40、結合コンデンサCo、増幅回路50、CPU60などを備え、更に、電流電圧変換回路と結合コンデンサCoとの間に、アナログスイッチSwを設けている。そして、自投光の信号を読み取る信号読取期間、以外の期間については、アナログスイッチSwをOFFさせて、回路にいかなる信号もとり込ませないように制御している。これにより、光電センサを並べて使用した場合に、自投光の信号を読み取る信号読取期間以外の期間に、隣接する光電センサから出射された光が干渉光として入光したとしても、その影響を排除できる。
【解決手段】光電センサは投光素子10、フォトダイオード20、電流電圧変換回路40、結合コンデンサCo、増幅回路50、CPU60などを備え、更に、電流電圧変換回路と結合コンデンサCoとの間に、アナログスイッチSwを設けている。そして、自投光の信号を読み取る信号読取期間、以外の期間については、アナログスイッチSwをOFFさせて、回路にいかなる信号もとり込ませないように制御している。これにより、光電センサを並べて使用した場合に、自投光の信号を読み取る信号読取期間以外の期間に、隣接する光電センサから出射された光が干渉光として入光したとしても、その影響を排除できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、投光素子と受光素子とを備えた、光電センサが広く知られている。このものは、投光素子から被検出物に向けて光を照射し、被検出物上で反射した光(透過した光でもよい)を受光素子により受光する。そして、受光素子から出力される受光信号の信号レベルに基づいて、被検出物の有無、位置、変位量などを測定するものである。
図9には、投光素子の投光タイミング、並びに受光信号の波形がそれぞれ示されている。このように、受光信号は投光タイミングに対してやや遅れて出力される。また、信号の信号終端にはアンダーシュートが生じているが、これは、回路中に含まれるコンデンサ(例えば、受光信号から直流成分を取り除くためのもの)が信号の通過に伴って、充放電を起こすことに起因する。尚、この種の光電センサの一例として、下記特許文献のものが提案されている。
【特許文献1】特開平10−19673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年では、図10に示すように、上述した光電センサ(それぞれが独立したセンサ)を複数個並べて使用することがある。この例では、投光素子1aと受光素子2a、投光素子1bと受光素子2b、投光素子1cと受光素子2cがそれぞれ対になっており、3つの光電センサが使用されている。
このように光電センサを併設させると、一の光電センサ(投光素子)が検出動作を行なうべく投光した光が、これと隣接する他の光電センサ(受光素子)に干渉光として入光することがあり、これが測定誤差を招く恐れがある。
【0004】
特に、センサ同士の投光タイミングを何らかの方法により、ずらせたとしても、以下の場合には干渉光の影響を受けてしまう。
例えば、図11には、上段に投光素子1bの投光タイミング、受光素子2bの受光信号が示され、下段に、投光素子1aの投光タイミング、受光素子2aの受光信号がそれぞれ示されている。ここで、投光素子1aの投光タイミングは、投光素子1bの投光タイミングに重なっていないが、先にも述べたように、受光信号は投光タイミングからやや遅れて出力され、しかも、終端がアンダーシュートする。従って、投光素子1aから出射された光が受光素子2bに入光(図中に一点鎖線で示す)すると、アンダーシュートが正規受光信号に重なって、正規受光信号の受光レベルを低下させてしまう。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、独立する光電センサを複数並べて使用しても干渉光の影響を最小限に抑えることが可能な光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、被検出物へ向けて所定周期ごとに光を投光する投光素子と、前記投光素子からの光を受光し、受光量に応じた受光信号を出力する受光素子と、前記投光素子の投光タイミングに同期した同期タイミングで前記受光信号を取り込み、その信号レベルに基づいて前記被検出物の検出を行なう受光手段とを備える光電センサにおいて、前記受光手段は、前記同期タイミング以前の所定期間において、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止、或いは信号のレベルを低下させるところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記受光手段は、前記受光信号から所定帯域の周波数成分を取り除くフィルタと、前記フィルタを通過した受光信号のレベルに基づいて、前記被検出物の検出を行なう処理部と、前記フィルタの入力段に設けられるアナログスイッチと、前記同期タイミング以前の所定期間は、前記アナログスイッチを開状態に制御することで、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止する制御部と、を備えるところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記受光手段は、前記同期タイミング直前の干渉光検知期間において、前記受光素子から出力される信号の有無に基づいて干渉光の検出を行なう干渉光検出手段と、前記干渉光検出手段において干渉光が検出されたときには、所定の干渉回避動作を行なう干渉回避手段と、を備え、前記所定期間から前記干渉検知期間を除いた期間について、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止、或いは信号のレベルを低下させるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、同期タイミング以前の所定期間において、干渉光の入光があって受光素子から信号が出力されたとしても、受光手段が同信号の入力を阻止、或いは同信号のレベルを低下させる。このように干渉光による信号については、抑圧する構成としてやれば、必然的に干渉光に起因する信号のアンダーシュートも抑えられるので、対をなす投光素子から出射されて同期タイミングにおいて受光された受光信号のレベルが正しい値に保たれる。これにより、過大な干渉光に対する干渉防止効果や、投光周期が短い場合の干渉防止効果が得られ、信頼性に優れた光電センサの提供が可能となる。尚、過大な干渉光とは、例えば、対をなす投光素子より、隣接された光電センサの投光素子が近くに配置された場合などに起こる。
【0009】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、同期タイミング以前の所定期間は、制御部によりアナログスイッチが開状態に制御される。これにより、干渉光に起因する信号がフィルタ、ひいてはそれ以降の後段の回路に入力されることを阻止出来る。
【0010】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、干渉光検知期間においては、干渉光検出手段により干渉光の検出動作がなされ、干渉光が検出がされたときには、干渉回避手段により所定の干渉回避動作がなされる。これにより、同期タイミングの直前に干渉光の入光があったとしても、その影響を排除できる。また、所定期間から前記干渉検知期間を除いた期間については、受光手段により、信号の入力を阻止、或いは入力された信号のレベルを低下させる処理が行なわれるので、同期間中(所定期間から前記干渉検知期間を除いた期間)に干渉光の入光があったとしても、その影響を排除できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1、図2によって説明する。
図1は、光電センサの電気的構成を示すブロック図であり、同図における符号10は投光素子、符号20は受光素子としてのフォトダイオード、符号30は信号処理部(本発明の受光手段に相当)である。フォトダイオード20は電源ラインVcに対して抵抗Rを介して逆バイアスされた状態で接続されている。
【0012】
信号処理部30は、電流電圧変換回路40、結合コンデンサCo、増幅回路50、CPU60を備えている。そして、電流電圧変換回路40の入力端子がフォトダイオード20のカソード端子Kに接続されている。尚、結合コンデンサCoが本発明の「受光信号から所定帯域の周波数成分を取り除くフィルタ」に相当している。
【0013】
CPU60は光電センサの全体を制御するものであって、投光素子10の投光タイミング、並びにフォトダイオード20から出力される受光信号を読み取るタイミング(以下、同期タイミングとする)を決定する機能を有する。また、電流電圧変換回路40の出力段と、結合コンデンサCoの入力段との間にはアナログスイッチSwが介設されている。このアナログスイッチSwには、CPU60からゲート信号Gが与えられるようになっており、ゲート信号Gが入力されている期間はON動作して結合コンデンサCoに対する信号の入力を許容するが、ゲート信号Gが入力されていない期間はOFF動作して結合コンデンサCoに対する信号の入力を禁止する。
【0014】
尚、CPU60によるアナログスイッチSwの開閉制御機能により、本発明の「前記アナログスイッチを開状態に制御することで、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止する制御部」が実現されている。
【0015】
以下、具体的な検出動作について、説明する。
検出動作が開始されると、CPU60は、図2に示すように、所定周期で繰り返される投光タイミング信号Scを生成し、これを、投光素子10に出力する。これにより、投光素子10からは、所定周期で検出光が出射される。
【0016】
そして、投光素子10から出射された光は、被検出物としてのワークWで反射され、その反射光がフォトダイオード20に入光する。これにより、フォトダイオード20のカソード端子からは受光量に応じた光電流ioが流れ、これが、電流電圧変換回路40により電圧信号(以下、受光信号とする)に変換される。
【0017】
その後、受光信号は結合コンデンサCoによって直流成分が取り除かれる。尚、図2には、受光信号の波形として、図1のa点の波形(結合コンデンサCoから出力された時点の波形)が示してある。同図に示すように、a点の波形(以下、受光信号Sr)には信号終端部分にはアンダーシュートがみられるが、これは、結合コンデンサCoに蓄えられた電荷(受光信号の直流成分)が、信号の通過後に放電されるからである。
【0018】
そして、直流成分が除去された受光信号Srは、その後、増幅回路50へと入力され、そこで増幅された後、CPU60の入力ポート61に入力される。尚、図では省略されているが、CPU60の入力段にはA/D変換器が設けられており、増幅された受光信号Srはディジタル値に変換された後、CPU60に取り込まれるようになっている。
【0019】
そして、CPU60は入力ポート61への読み取り動作を、図2に示すように投光側の投光タイミングに対して受光動作の遅れαだけずらしたタイミング(同期タイミング)から所定期間(以下、信号読取期間と呼ぶ)行なう。
【0020】
これにより、投光側に同期したタイミングで受光信号を取り込むことが出来る。そして、CPU60は取り込まれた受光信号のレベルに基づいてワークの有無等について判定する処理を行なう。そして、一旦、検出が開始されると、係る一連の検出動作が繰り返し行なわれることとなる。尚、以下、フォトダイオード20と対をなす投光素子10より出射された光を自投光と呼ぶ。また、CPU60による判定処理により、本発明の「処理部」の果たす処理機能が実現されている。
【0021】
さて、上述したように、CPU60は投光側の投光タイミングに合わせて受光信号の読み取り動作を行なっている。そのため、光電センサを複数併設させて使用させても、自己の投光タイミングに同期したタイミングで入光した信号のみを受光信号として取り込むことが出来る。
【0022】
しかしながら、例えば、図2の下段に示すように隣接する光電センサが自己の投光タイミングに近いタイミングで投光され、それが干渉光として入光すると、フォトダイオード20から出力される受光信号Szの終端部分(アンダーシュートしたところ)が自投光側の信号読取期間に重なってしまう恐れがある。
【0023】
そこで、本実施形態のものは、自投光側の信号読取期間以外の期間(図2中のF期間)についてはアナログスイッチSwをOFF動作(CPU60によりゲート信号Gの入力を禁止する)させて、アナログスイッチSw以降の後段の回路にいかなる信号も入れない(本発明の「前記受光素子から出力される信号の入力を阻止」に相当)ようにしている。これにより、信号読取期間以外の期間に結合コンデンサCoが充電され、これを、信号読取期間中に放電するといった現象、それ自体が起きない。
【0024】
従って、受光信号Srの信号レベルを本来の値に正しく保つことが可能で、干渉光に起因する測定誤差を排除でき、特に、過大な干渉光に対する干渉防止効果や、投光周期が短い場合の干渉防止効果が得られ、信頼性に優れた光電センサの提供が可能となる。尚、過大な干渉光とは、例えば、対をなす投光素子より、隣接された光電センサの投光素子が近くに配置された場合などに起こる。
【0025】
尚、説明の繰り返しになるが上記効果を得るには、アナログスイッチSwを結合コンデンサCoより前段に設けることが不可欠である。仮に、結合コンデンサCoの後段にアナログスイッチSwを設けてしまうと、アナログスイッチSwがOFFされていても、その期間に信号の入力があれば結合コンデンサCoが充電されてしまう。すると、自投光の受光信号を取り込むべく、アナログスイッチをONさせると、そのときには、結合コンデンサCoが充電された状態にあって電荷の放電を始めるため、自投光の受光信号Srに影響を与えてしまうからである。
【0026】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図3によって説明する。
実施形態2は、実施形態1の光電センサに対して干渉光の検出機能、並びに干渉回避機能を新たに追加したものであり、他の構成については実施形態1と同じである。
【0027】
具体的に説明すると、実施形態1では、図3中のF期間全体について、アナログスイッチSwをOFF動作させたが、実施形態2のものは、各F期間のうち、同期タイミング直前のH期間(本発明の干渉光検知期間に相当)については、アナログスイッチSwをON動作させるととももに、これに合わせて、入力ポート61に対する信号の読み取り動作を、同H期間についてもCPU60により行なうようにしている。
【0028】
このような構成であれば、H期間中において入力ポート61に受光信号の入力があったか、否かを検出(CPU60により検出)することで、自投光に重なるようなタイミング(例えば、図3の下段)で入光する干渉光の有無を判別できる。
【0029】
尚、CPU60によって、H期間中に受光信号の有無を検出する処理により、本発明の「干渉光検出手段の果たす機能が実現されている」。
【0030】
そして、干渉光が検出された場合には、CPU60により投光タイミング信号Scの出力を所定期間停止し、その後、再び、投光タイミング信号Scを出力する遅延処理(干渉回避動作)を行なう。尚、CPU60の遅延処理により、本発明の「干渉回避手段の果たす機能が実現されている」。
【0031】
これにより、自投光が、干渉光に重ならない位置までずらされる。従って、投光タイミングが調整された以降は、干渉光の影響を受けず、ワークWについて検出を行なうことが出来る。
【0032】
尚、先の干渉回避動作により投光タイミングが調整された後についても、干渉光自体がなくなる訳ではないので、F期間のうちH期間を除く部分については、実施形態1と同様にアナログスイッチSwをOFFさせ、結合コンデンサCoに対する信号の入力を規制しておく必要がある。このように、信号処理期間を除く他の期間は、結合コンデンサCoに極力信号を取り込ませなくすることで、結合コンデンサCoの充放電による影響(受光信号Srのレベル低下)を排除できる。
【0033】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図4、図5を参照して説明する。
実施形態3のものは、測定精度の更なる向上を図るべく、外乱光(例えば、高周波点灯されるインバータ方式の蛍光灯の光など)についてのノイズ対策を図ったものである。具体的に言えば、投光素子を外乱光の周波数帯域より更に、高周波のバースト信号によって駆動させることとしている。これにより、受光素子から出力される信号も高周波の信号となる。従って、出力された高周波信号を、阻止域に外乱光の周波数帯域を含むフィルタ(この実施形態では増幅回路120)にかけて外乱光の周波数帯域より更に、高い周波数成分だけを取り出すことで外乱光の成分を抑圧出来る。
【0034】
尚、この実施形態では、投光素子をバースト駆動させることに伴って、信号処理部100の回路構成を実施形態1の構成に対して変えてある。すなわち、信号処理部100を電流電圧変換回路110、結合コンデンサC1、増幅回路120、整流回路130、ローパスフィルタ(本発明の受光信号から所定帯域の周波数成分を取り除くフィルタに相当)140、CPU150により構成している。そして、ローパスフィルタ140の入力段にアナログスイッチSwを設けている(図4参照)。
【0035】
以下、具体的な検出動作について、図4、図5を参照して簡単に説明する。
検出動作が開始されると、CPU150はパルスが連続してなるバースト信号Bにより投光信号Stを生成し、これを投光素子10に出力する。これにより、投光素子10が高周波点灯される。
【0036】
すると、投光素子10から出射された光はワークWで反射された後、フォトダイオード20で受光される。これにより、フォトダイオード20から受光量に応じた光電流が出力される。光電流は電流電圧変換回路110によって電圧信号(受光信号)に変換され、その後、結合コンデンサC1によって直流成分が除去される。
【0037】
その後、受光信号は増幅回路120によって外乱光の周波数帯域より更に、高い周波数成分だけが増幅される。これにより、外乱光が含まれる周波数帯域の信号成分は抑圧される(ノイズ成分の除去)。
【0038】
しかし、増幅回路120から出力された受光信号(図5において、受光信号1として示されている)は、バースト信号Bと同様の高周波信号であるので、そのままCPU150に入力させても、信号のレベルを正しく読み取ることが出来ない。そのため、次の整流回路130によって整流し、その後、更に、ローパスフィルタ140によって高周波成分を除去した上でCPU150に入力させている。
【0039】
また、図5には、ローパスフィルタ140通過後の受光信号の波形(図4中のb点の波形)が整流信号2として示されているが、同信号の終端にはアンダーシュートが見られる。そこで、本実施形態においても、実施形態1と同様に、干渉光の影響を排除するべく、同期タイミング以前の期間については、CPU150によりアナログスイッチSwをOFF動作させることとしている。
【0040】
これにより、例えば、図5の下段に示すタイミングで、隣接する光電センサによりバースト投光が行なわれ、それをフォトダイオード20が受光したとしても、当該受光信号(干渉光を受光して出力された受光信号)がローパスフィルタ140に入力されることがない。
【0041】
尚、図4に示すように、信号処理部100には、結合コンデンサC1も含まれているが、ここを通過する信号は高周波信号なのでアンダーシュート、それ自体が小さく影響も少ない。すなわち、信号終端のアンダーシュートは低周波であるほど大きく現れるので、アナログスイッチSwは、少なくともローパスフィルタ140の入力段より前に設けておけばよい。
【0042】
なお、この実施例では、ローパスフィルタ140の直前にアナログスイッチSwを配置しているが、これは、アナログスイッチSwを開閉する際のスイッチングノイズの影響を極力抑える(仮に、アナログスイッチSwを回路の入力段寄りの位置に設けると増幅回路120等でノイズが増幅されてしまう)ためである。
【0043】
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図6を参照して説明する。
実施形態3では、整流回路130とローパスフィルタ140との間にアナログスイッチSwを設け、同期タイミング以前の所定期間についてはこれをOFF状態とすることで、同期間中についてローパスフィルタ140への信号の入力を規制したが、実施形態4では、アナログスイッチSwのON・OFF制御に変えて、増幅率を制御することで信号それ自体を抑圧する構成をとっている。
【0044】
具体的には、図6における増幅回路160には2種のゲイン設定がされており、その切替をCPU150から出力される制御信号で行なうことが出来る。すなわち、同期タイミング以前の所定期間については増幅率を下げることで、同期タイミング以前に入力される信号(干渉光に起因する信号)を抑圧できる。尚、ゲインの切替を行なう構成の一例として、増幅回路160をエミッタ接地回路により構成している場合には、コレクタ抵抗を可変させてやればよい。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0046】
(1)実施形態1では、アナログスイッチSwのON・OFF制御、実施形態4では増幅回路120のゲインを調整することで、F期間中に入力される信号のレベルを低下させたが、この他にも、フォトダイオード20の逆バイアスのON・OFF(図7参照、F期間は逆バイアスOFF)により信号を低下させることも出来る。すなわち、逆バイアスを外してやれば、逆バイアスがかけられている場合に比べて、フォトダイオード20から出力される信号が小さくなる。
また、実施形態3のように投光素子をバースト投光するものであれば、フィルタの切替により信号のレベルを低下させることも出来る。すなわち、予め、通過域の異なる2種のフィルタを用意しておき、信号を通過させたいときには、同信号の帯域を通過域に含むフィルタを選択し、信号を抑圧したい場合には、同信号の帯域を阻止域に含むフィルタを選択してやればよい。
【0047】
(2)実施形態1では、信号読取期間を除く他の期間(F期間)の全体について、アナログスイッチSwをOFFする構成としたが、干渉光が入光したとしても、影響が小さい部分については、アナログスイッチSwをONしておいてもよい。例えば、図8に示すように、信号読取期間直後の所定期間(図中のJ期間)などである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態1に係る、光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図2】アナログスイッチの動作タイミングを示す図
【図3】実施形態2に係るアナログスイッチの動作タイミングを示す図
【図4】実施形態3に係る、光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図5】ローパスフィルタを通過後に信号の終端にアンダーシュートが生じた状態を示す図
【図6】実施形態4に係る、光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図7】逆バイアスをON・OFFさせる実施例のブロック図
【図8】干渉光が入光したとしても、影響が小さい部分についてはアナログスイッチSwをON動作させた例を示す図
【図9】投光素子の投光タイミング、並びに受光信号の波形を示した図
【図10】光電センサを複数並べて使用した状態を示す図
【図11】干渉光に起因する受光信号と、自投光の受光信号の関係を示す図
【符号の説明】
【0049】
10…光電センサ
20…フォトダイオード(受光素子)
30…信号処理部(受光手段)
50…増幅回路
60…CPU
Sw…アナログスイッチ
Co…結合コンデンサ(フィルタ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、投光素子と受光素子とを備えた、光電センサが広く知られている。このものは、投光素子から被検出物に向けて光を照射し、被検出物上で反射した光(透過した光でもよい)を受光素子により受光する。そして、受光素子から出力される受光信号の信号レベルに基づいて、被検出物の有無、位置、変位量などを測定するものである。
図9には、投光素子の投光タイミング、並びに受光信号の波形がそれぞれ示されている。このように、受光信号は投光タイミングに対してやや遅れて出力される。また、信号の信号終端にはアンダーシュートが生じているが、これは、回路中に含まれるコンデンサ(例えば、受光信号から直流成分を取り除くためのもの)が信号の通過に伴って、充放電を起こすことに起因する。尚、この種の光電センサの一例として、下記特許文献のものが提案されている。
【特許文献1】特開平10−19673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年では、図10に示すように、上述した光電センサ(それぞれが独立したセンサ)を複数個並べて使用することがある。この例では、投光素子1aと受光素子2a、投光素子1bと受光素子2b、投光素子1cと受光素子2cがそれぞれ対になっており、3つの光電センサが使用されている。
このように光電センサを併設させると、一の光電センサ(投光素子)が検出動作を行なうべく投光した光が、これと隣接する他の光電センサ(受光素子)に干渉光として入光することがあり、これが測定誤差を招く恐れがある。
【0004】
特に、センサ同士の投光タイミングを何らかの方法により、ずらせたとしても、以下の場合には干渉光の影響を受けてしまう。
例えば、図11には、上段に投光素子1bの投光タイミング、受光素子2bの受光信号が示され、下段に、投光素子1aの投光タイミング、受光素子2aの受光信号がそれぞれ示されている。ここで、投光素子1aの投光タイミングは、投光素子1bの投光タイミングに重なっていないが、先にも述べたように、受光信号は投光タイミングからやや遅れて出力され、しかも、終端がアンダーシュートする。従って、投光素子1aから出射された光が受光素子2bに入光(図中に一点鎖線で示す)すると、アンダーシュートが正規受光信号に重なって、正規受光信号の受光レベルを低下させてしまう。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、独立する光電センサを複数並べて使用しても干渉光の影響を最小限に抑えることが可能な光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、被検出物へ向けて所定周期ごとに光を投光する投光素子と、前記投光素子からの光を受光し、受光量に応じた受光信号を出力する受光素子と、前記投光素子の投光タイミングに同期した同期タイミングで前記受光信号を取り込み、その信号レベルに基づいて前記被検出物の検出を行なう受光手段とを備える光電センサにおいて、前記受光手段は、前記同期タイミング以前の所定期間において、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止、或いは信号のレベルを低下させるところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記受光手段は、前記受光信号から所定帯域の周波数成分を取り除くフィルタと、前記フィルタを通過した受光信号のレベルに基づいて、前記被検出物の検出を行なう処理部と、前記フィルタの入力段に設けられるアナログスイッチと、前記同期タイミング以前の所定期間は、前記アナログスイッチを開状態に制御することで、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止する制御部と、を備えるところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記受光手段は、前記同期タイミング直前の干渉光検知期間において、前記受光素子から出力される信号の有無に基づいて干渉光の検出を行なう干渉光検出手段と、前記干渉光検出手段において干渉光が検出されたときには、所定の干渉回避動作を行なう干渉回避手段と、を備え、前記所定期間から前記干渉検知期間を除いた期間について、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止、或いは信号のレベルを低下させるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、同期タイミング以前の所定期間において、干渉光の入光があって受光素子から信号が出力されたとしても、受光手段が同信号の入力を阻止、或いは同信号のレベルを低下させる。このように干渉光による信号については、抑圧する構成としてやれば、必然的に干渉光に起因する信号のアンダーシュートも抑えられるので、対をなす投光素子から出射されて同期タイミングにおいて受光された受光信号のレベルが正しい値に保たれる。これにより、過大な干渉光に対する干渉防止効果や、投光周期が短い場合の干渉防止効果が得られ、信頼性に優れた光電センサの提供が可能となる。尚、過大な干渉光とは、例えば、対をなす投光素子より、隣接された光電センサの投光素子が近くに配置された場合などに起こる。
【0009】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、同期タイミング以前の所定期間は、制御部によりアナログスイッチが開状態に制御される。これにより、干渉光に起因する信号がフィルタ、ひいてはそれ以降の後段の回路に入力されることを阻止出来る。
【0010】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、干渉光検知期間においては、干渉光検出手段により干渉光の検出動作がなされ、干渉光が検出がされたときには、干渉回避手段により所定の干渉回避動作がなされる。これにより、同期タイミングの直前に干渉光の入光があったとしても、その影響を排除できる。また、所定期間から前記干渉検知期間を除いた期間については、受光手段により、信号の入力を阻止、或いは入力された信号のレベルを低下させる処理が行なわれるので、同期間中(所定期間から前記干渉検知期間を除いた期間)に干渉光の入光があったとしても、その影響を排除できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1、図2によって説明する。
図1は、光電センサの電気的構成を示すブロック図であり、同図における符号10は投光素子、符号20は受光素子としてのフォトダイオード、符号30は信号処理部(本発明の受光手段に相当)である。フォトダイオード20は電源ラインVcに対して抵抗Rを介して逆バイアスされた状態で接続されている。
【0012】
信号処理部30は、電流電圧変換回路40、結合コンデンサCo、増幅回路50、CPU60を備えている。そして、電流電圧変換回路40の入力端子がフォトダイオード20のカソード端子Kに接続されている。尚、結合コンデンサCoが本発明の「受光信号から所定帯域の周波数成分を取り除くフィルタ」に相当している。
【0013】
CPU60は光電センサの全体を制御するものであって、投光素子10の投光タイミング、並びにフォトダイオード20から出力される受光信号を読み取るタイミング(以下、同期タイミングとする)を決定する機能を有する。また、電流電圧変換回路40の出力段と、結合コンデンサCoの入力段との間にはアナログスイッチSwが介設されている。このアナログスイッチSwには、CPU60からゲート信号Gが与えられるようになっており、ゲート信号Gが入力されている期間はON動作して結合コンデンサCoに対する信号の入力を許容するが、ゲート信号Gが入力されていない期間はOFF動作して結合コンデンサCoに対する信号の入力を禁止する。
【0014】
尚、CPU60によるアナログスイッチSwの開閉制御機能により、本発明の「前記アナログスイッチを開状態に制御することで、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止する制御部」が実現されている。
【0015】
以下、具体的な検出動作について、説明する。
検出動作が開始されると、CPU60は、図2に示すように、所定周期で繰り返される投光タイミング信号Scを生成し、これを、投光素子10に出力する。これにより、投光素子10からは、所定周期で検出光が出射される。
【0016】
そして、投光素子10から出射された光は、被検出物としてのワークWで反射され、その反射光がフォトダイオード20に入光する。これにより、フォトダイオード20のカソード端子からは受光量に応じた光電流ioが流れ、これが、電流電圧変換回路40により電圧信号(以下、受光信号とする)に変換される。
【0017】
その後、受光信号は結合コンデンサCoによって直流成分が取り除かれる。尚、図2には、受光信号の波形として、図1のa点の波形(結合コンデンサCoから出力された時点の波形)が示してある。同図に示すように、a点の波形(以下、受光信号Sr)には信号終端部分にはアンダーシュートがみられるが、これは、結合コンデンサCoに蓄えられた電荷(受光信号の直流成分)が、信号の通過後に放電されるからである。
【0018】
そして、直流成分が除去された受光信号Srは、その後、増幅回路50へと入力され、そこで増幅された後、CPU60の入力ポート61に入力される。尚、図では省略されているが、CPU60の入力段にはA/D変換器が設けられており、増幅された受光信号Srはディジタル値に変換された後、CPU60に取り込まれるようになっている。
【0019】
そして、CPU60は入力ポート61への読み取り動作を、図2に示すように投光側の投光タイミングに対して受光動作の遅れαだけずらしたタイミング(同期タイミング)から所定期間(以下、信号読取期間と呼ぶ)行なう。
【0020】
これにより、投光側に同期したタイミングで受光信号を取り込むことが出来る。そして、CPU60は取り込まれた受光信号のレベルに基づいてワークの有無等について判定する処理を行なう。そして、一旦、検出が開始されると、係る一連の検出動作が繰り返し行なわれることとなる。尚、以下、フォトダイオード20と対をなす投光素子10より出射された光を自投光と呼ぶ。また、CPU60による判定処理により、本発明の「処理部」の果たす処理機能が実現されている。
【0021】
さて、上述したように、CPU60は投光側の投光タイミングに合わせて受光信号の読み取り動作を行なっている。そのため、光電センサを複数併設させて使用させても、自己の投光タイミングに同期したタイミングで入光した信号のみを受光信号として取り込むことが出来る。
【0022】
しかしながら、例えば、図2の下段に示すように隣接する光電センサが自己の投光タイミングに近いタイミングで投光され、それが干渉光として入光すると、フォトダイオード20から出力される受光信号Szの終端部分(アンダーシュートしたところ)が自投光側の信号読取期間に重なってしまう恐れがある。
【0023】
そこで、本実施形態のものは、自投光側の信号読取期間以外の期間(図2中のF期間)についてはアナログスイッチSwをOFF動作(CPU60によりゲート信号Gの入力を禁止する)させて、アナログスイッチSw以降の後段の回路にいかなる信号も入れない(本発明の「前記受光素子から出力される信号の入力を阻止」に相当)ようにしている。これにより、信号読取期間以外の期間に結合コンデンサCoが充電され、これを、信号読取期間中に放電するといった現象、それ自体が起きない。
【0024】
従って、受光信号Srの信号レベルを本来の値に正しく保つことが可能で、干渉光に起因する測定誤差を排除でき、特に、過大な干渉光に対する干渉防止効果や、投光周期が短い場合の干渉防止効果が得られ、信頼性に優れた光電センサの提供が可能となる。尚、過大な干渉光とは、例えば、対をなす投光素子より、隣接された光電センサの投光素子が近くに配置された場合などに起こる。
【0025】
尚、説明の繰り返しになるが上記効果を得るには、アナログスイッチSwを結合コンデンサCoより前段に設けることが不可欠である。仮に、結合コンデンサCoの後段にアナログスイッチSwを設けてしまうと、アナログスイッチSwがOFFされていても、その期間に信号の入力があれば結合コンデンサCoが充電されてしまう。すると、自投光の受光信号を取り込むべく、アナログスイッチをONさせると、そのときには、結合コンデンサCoが充電された状態にあって電荷の放電を始めるため、自投光の受光信号Srに影響を与えてしまうからである。
【0026】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図3によって説明する。
実施形態2は、実施形態1の光電センサに対して干渉光の検出機能、並びに干渉回避機能を新たに追加したものであり、他の構成については実施形態1と同じである。
【0027】
具体的に説明すると、実施形態1では、図3中のF期間全体について、アナログスイッチSwをOFF動作させたが、実施形態2のものは、各F期間のうち、同期タイミング直前のH期間(本発明の干渉光検知期間に相当)については、アナログスイッチSwをON動作させるととももに、これに合わせて、入力ポート61に対する信号の読み取り動作を、同H期間についてもCPU60により行なうようにしている。
【0028】
このような構成であれば、H期間中において入力ポート61に受光信号の入力があったか、否かを検出(CPU60により検出)することで、自投光に重なるようなタイミング(例えば、図3の下段)で入光する干渉光の有無を判別できる。
【0029】
尚、CPU60によって、H期間中に受光信号の有無を検出する処理により、本発明の「干渉光検出手段の果たす機能が実現されている」。
【0030】
そして、干渉光が検出された場合には、CPU60により投光タイミング信号Scの出力を所定期間停止し、その後、再び、投光タイミング信号Scを出力する遅延処理(干渉回避動作)を行なう。尚、CPU60の遅延処理により、本発明の「干渉回避手段の果たす機能が実現されている」。
【0031】
これにより、自投光が、干渉光に重ならない位置までずらされる。従って、投光タイミングが調整された以降は、干渉光の影響を受けず、ワークWについて検出を行なうことが出来る。
【0032】
尚、先の干渉回避動作により投光タイミングが調整された後についても、干渉光自体がなくなる訳ではないので、F期間のうちH期間を除く部分については、実施形態1と同様にアナログスイッチSwをOFFさせ、結合コンデンサCoに対する信号の入力を規制しておく必要がある。このように、信号処理期間を除く他の期間は、結合コンデンサCoに極力信号を取り込ませなくすることで、結合コンデンサCoの充放電による影響(受光信号Srのレベル低下)を排除できる。
【0033】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図4、図5を参照して説明する。
実施形態3のものは、測定精度の更なる向上を図るべく、外乱光(例えば、高周波点灯されるインバータ方式の蛍光灯の光など)についてのノイズ対策を図ったものである。具体的に言えば、投光素子を外乱光の周波数帯域より更に、高周波のバースト信号によって駆動させることとしている。これにより、受光素子から出力される信号も高周波の信号となる。従って、出力された高周波信号を、阻止域に外乱光の周波数帯域を含むフィルタ(この実施形態では増幅回路120)にかけて外乱光の周波数帯域より更に、高い周波数成分だけを取り出すことで外乱光の成分を抑圧出来る。
【0034】
尚、この実施形態では、投光素子をバースト駆動させることに伴って、信号処理部100の回路構成を実施形態1の構成に対して変えてある。すなわち、信号処理部100を電流電圧変換回路110、結合コンデンサC1、増幅回路120、整流回路130、ローパスフィルタ(本発明の受光信号から所定帯域の周波数成分を取り除くフィルタに相当)140、CPU150により構成している。そして、ローパスフィルタ140の入力段にアナログスイッチSwを設けている(図4参照)。
【0035】
以下、具体的な検出動作について、図4、図5を参照して簡単に説明する。
検出動作が開始されると、CPU150はパルスが連続してなるバースト信号Bにより投光信号Stを生成し、これを投光素子10に出力する。これにより、投光素子10が高周波点灯される。
【0036】
すると、投光素子10から出射された光はワークWで反射された後、フォトダイオード20で受光される。これにより、フォトダイオード20から受光量に応じた光電流が出力される。光電流は電流電圧変換回路110によって電圧信号(受光信号)に変換され、その後、結合コンデンサC1によって直流成分が除去される。
【0037】
その後、受光信号は増幅回路120によって外乱光の周波数帯域より更に、高い周波数成分だけが増幅される。これにより、外乱光が含まれる周波数帯域の信号成分は抑圧される(ノイズ成分の除去)。
【0038】
しかし、増幅回路120から出力された受光信号(図5において、受光信号1として示されている)は、バースト信号Bと同様の高周波信号であるので、そのままCPU150に入力させても、信号のレベルを正しく読み取ることが出来ない。そのため、次の整流回路130によって整流し、その後、更に、ローパスフィルタ140によって高周波成分を除去した上でCPU150に入力させている。
【0039】
また、図5には、ローパスフィルタ140通過後の受光信号の波形(図4中のb点の波形)が整流信号2として示されているが、同信号の終端にはアンダーシュートが見られる。そこで、本実施形態においても、実施形態1と同様に、干渉光の影響を排除するべく、同期タイミング以前の期間については、CPU150によりアナログスイッチSwをOFF動作させることとしている。
【0040】
これにより、例えば、図5の下段に示すタイミングで、隣接する光電センサによりバースト投光が行なわれ、それをフォトダイオード20が受光したとしても、当該受光信号(干渉光を受光して出力された受光信号)がローパスフィルタ140に入力されることがない。
【0041】
尚、図4に示すように、信号処理部100には、結合コンデンサC1も含まれているが、ここを通過する信号は高周波信号なのでアンダーシュート、それ自体が小さく影響も少ない。すなわち、信号終端のアンダーシュートは低周波であるほど大きく現れるので、アナログスイッチSwは、少なくともローパスフィルタ140の入力段より前に設けておけばよい。
【0042】
なお、この実施例では、ローパスフィルタ140の直前にアナログスイッチSwを配置しているが、これは、アナログスイッチSwを開閉する際のスイッチングノイズの影響を極力抑える(仮に、アナログスイッチSwを回路の入力段寄りの位置に設けると増幅回路120等でノイズが増幅されてしまう)ためである。
【0043】
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図6を参照して説明する。
実施形態3では、整流回路130とローパスフィルタ140との間にアナログスイッチSwを設け、同期タイミング以前の所定期間についてはこれをOFF状態とすることで、同期間中についてローパスフィルタ140への信号の入力を規制したが、実施形態4では、アナログスイッチSwのON・OFF制御に変えて、増幅率を制御することで信号それ自体を抑圧する構成をとっている。
【0044】
具体的には、図6における増幅回路160には2種のゲイン設定がされており、その切替をCPU150から出力される制御信号で行なうことが出来る。すなわち、同期タイミング以前の所定期間については増幅率を下げることで、同期タイミング以前に入力される信号(干渉光に起因する信号)を抑圧できる。尚、ゲインの切替を行なう構成の一例として、増幅回路160をエミッタ接地回路により構成している場合には、コレクタ抵抗を可変させてやればよい。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0046】
(1)実施形態1では、アナログスイッチSwのON・OFF制御、実施形態4では増幅回路120のゲインを調整することで、F期間中に入力される信号のレベルを低下させたが、この他にも、フォトダイオード20の逆バイアスのON・OFF(図7参照、F期間は逆バイアスOFF)により信号を低下させることも出来る。すなわち、逆バイアスを外してやれば、逆バイアスがかけられている場合に比べて、フォトダイオード20から出力される信号が小さくなる。
また、実施形態3のように投光素子をバースト投光するものであれば、フィルタの切替により信号のレベルを低下させることも出来る。すなわち、予め、通過域の異なる2種のフィルタを用意しておき、信号を通過させたいときには、同信号の帯域を通過域に含むフィルタを選択し、信号を抑圧したい場合には、同信号の帯域を阻止域に含むフィルタを選択してやればよい。
【0047】
(2)実施形態1では、信号読取期間を除く他の期間(F期間)の全体について、アナログスイッチSwをOFFする構成としたが、干渉光が入光したとしても、影響が小さい部分については、アナログスイッチSwをONしておいてもよい。例えば、図8に示すように、信号読取期間直後の所定期間(図中のJ期間)などである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態1に係る、光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図2】アナログスイッチの動作タイミングを示す図
【図3】実施形態2に係るアナログスイッチの動作タイミングを示す図
【図4】実施形態3に係る、光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図5】ローパスフィルタを通過後に信号の終端にアンダーシュートが生じた状態を示す図
【図6】実施形態4に係る、光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図7】逆バイアスをON・OFFさせる実施例のブロック図
【図8】干渉光が入光したとしても、影響が小さい部分についてはアナログスイッチSwをON動作させた例を示す図
【図9】投光素子の投光タイミング、並びに受光信号の波形を示した図
【図10】光電センサを複数並べて使用した状態を示す図
【図11】干渉光に起因する受光信号と、自投光の受光信号の関係を示す図
【符号の説明】
【0049】
10…光電センサ
20…フォトダイオード(受光素子)
30…信号処理部(受光手段)
50…増幅回路
60…CPU
Sw…アナログスイッチ
Co…結合コンデンサ(フィルタ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物へ向けて所定周期ごとに光を投光する投光素子と、
前記投光素子からの光を受光し、受光量に応じた受光信号を出力する受光素子と、
前記投光素子の投光タイミングに同期した同期タイミングで前記受光信号を取り込み、その信号レベルに基づいて前記被検出物の検出を行なう受光手段とを備える光電センサにおいて、
前記受光手段は、
前記同期タイミング以前の所定期間において、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止、或いは信号のレベルを低下させることを特徴とする光電センサ。
【請求項2】
前記受光手段は、
前記受光信号から所定帯域の周波数成分を取り除くフィルタと、
前記フィルタを通過した受光信号のレベルに基づいて、前記被検出物の検出を行なう処理部と、
前記フィルタの入力段に設けられるアナログスイッチと、
前記同期タイミング以前の所定期間は、前記アナログスイッチを開状態に制御することで、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止する制御部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記受光手段は、
前記同期タイミング直前の干渉光検知期間において、前記受光素子から出力される信号の有無に基づいて干渉光の検出を行なう干渉光検出手段と、
前記干渉光検出手段において干渉光が検出されたときには、所定の干渉回避動作を行なう干渉回避手段と、を備え、
前記所定期間から前記干渉検知期間を除いた期間について、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止、或いは信号のレベルを低下させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光電センサ。
【請求項1】
被検出物へ向けて所定周期ごとに光を投光する投光素子と、
前記投光素子からの光を受光し、受光量に応じた受光信号を出力する受光素子と、
前記投光素子の投光タイミングに同期した同期タイミングで前記受光信号を取り込み、その信号レベルに基づいて前記被検出物の検出を行なう受光手段とを備える光電センサにおいて、
前記受光手段は、
前記同期タイミング以前の所定期間において、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止、或いは信号のレベルを低下させることを特徴とする光電センサ。
【請求項2】
前記受光手段は、
前記受光信号から所定帯域の周波数成分を取り除くフィルタと、
前記フィルタを通過した受光信号のレベルに基づいて、前記被検出物の検出を行なう処理部と、
前記フィルタの入力段に設けられるアナログスイッチと、
前記同期タイミング以前の所定期間は、前記アナログスイッチを開状態に制御することで、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止する制御部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記受光手段は、
前記同期タイミング直前の干渉光検知期間において、前記受光素子から出力される信号の有無に基づいて干渉光の検出を行なう干渉光検出手段と、
前記干渉光検出手段において干渉光が検出されたときには、所定の干渉回避動作を行なう干渉回避手段と、を備え、
前記所定期間から前記干渉検知期間を除いた期間について、前記受光素子から出力される信号の入力を阻止、或いは信号のレベルを低下させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光電センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−205775(P2007−205775A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23009(P2006−23009)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
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