説明

光電気混載基板の製造方法

【課題】本発明は、配線基板上に設けられ、光信号の伝送を行う光導波路と、光信号を反射するミラーとを備えた光電気混載基板の製造方法に関し、ミラーによる光信号の伝送損失を低減することのできる光電気混載基板の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】配線基板11と、配線基板11上に設けられ、光信号の伝送を行う光導波路17と、光信号を反射させるミラー14,15と、を備えた光電気混載基板10の製造方法であって、配線基板11上に平滑な傾斜面12A,13Aを有する絶縁部材12,13を形成し、その後、平滑な傾斜面12A,13Aに金属膜を成膜してミラー14,15を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気混載基板の製造方法に係り、特に配線基板上に設けられ、光信号の伝送を行う光導波路と、光信号を反射するミラーとを備えた光電気混載基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信の高速化に伴い、電気信号に変えて光を情報通信の媒体として使用することが行われている。このような光通信分野においては、光信号から電気信号への変換や電気信号から光信号への変換を行う必要や、光通信において光に対して変調等の各種処理を行う必要がある。このため、上記変換処理を行う光電気混載基板の開発が進められている。
【0003】
図1は、従来の光電気混載基板の断面図である。
【0004】
図1に示すように、従来の光電気混載基板200は、配線基板201と、光導波路202と、貫通ビア225と、配線227と、ソルダーレジスト228と、ミラー231,232と、発光素子234と、受光素子235とを有する。
【0005】
配線基板201は、基板本体208と、基板本体208を貫通するビア211と、基板本体208の上面208Aに設けられた上部配線212と、基板本体208の下面208Bに設けられ、ビア211を介して、上部配線212と電気的に接続された下部配線213と、基板本体208の下面208Bに設けられ、下部配線213を保護するソルダーレジスト215と、下部配線213に設けられたはんだボール216とを有する。
【0006】
このような構成とされた配線基板201上には、発光素子234及び受光素子235が配設された光導波路202が接着剤218により接着されている。
【0007】
図2は、図1に示す光導波路をF視した図である。
【0008】
図1及び図2を参照するに、光導波路202は、第1クラッド層221と、コア部222と、第2クラッド層223とを有する。コア部222は、光信号の伝送を行うためのものであり、第1クラッド層221上に形成されている。第2クラッド層223は、コア部222を覆うように第1クラッド層221上に設けられている。コア部222は、第1クラッド層221及び第2クラッド層223よりも屈折率が大きい材料により構成されている。
【0009】
図1を参照するに、貫通ビア225は、光導波路202を貫通するように設けられている。貫通ビア225は、第2クラッド層223上に形成された配線227と配線基板201の上部配線212とを電気的に接続するためのものである。
【0010】
ソルダーレジスト228は、配線227を覆うように第2クラッド層223上に設けられている。ソルダーレジスト228は、発光素子234及び受光素子235が接続される部分の配線227を露出する開口部と、発光素子234からの光信号をコア部222に導入するための光導入口241と、ミラー232に反射された光信号を受光素子235に導入するための光導出口242とを有する。
【0011】
ミラー231,232は、第1クラッド層221側から光導波路202に形成されたV字形状の溝部244,245に設けられている。ミラー231は、発光素子234の発光部246から発信される光信号をコア部222に向かうように反射するためのものである。ミラー232は、コア部222により伝送された光信号を受光素子235の受光部247に向かうように反射させるためのものである。受光素子235に導入された光信号は、光信号から電気信号に変換される。ミラー231,232形成後の溝部には、補強材としてクラッド材249が充填される。
【0012】
図3〜図5は、従来のミラー形成工程を示す図である。
【0013】
図3〜図5を参照して、図1に示したミラー231,232の形成方法について説明する。始めに、図3に示す工程では、周知の手法により、第1クラッド層221と、コア部222と、第2クラッド層223とを順次積層させて、光導波路202を形成する。
【0014】
次いで、図4に示す工程では、第1クラッド層221側からダイサー(ダイシング装置)によりコア部222を分断するV字状の溝部244,245を光導波路202に形成する。この際、溝部244を構成する傾斜面244a,244bは、傾斜面244a,244bと第1クラッド層221の下面221Aとの成す角度θ12,θ13がそれぞれ45度となるように形成する。また、溝部245を構成する傾斜面245a,245bは、傾斜面245a,245bと第1クラッド層221の下面221Aとの成す角度θ14,θ15がそれぞれ45度となるように形成する。
【0015】
次いで、図5に示す工程では、溝部244,245に金属膜を成膜する。これにより、傾斜面244bにミラー231と、傾斜面245aにミラー232とが形成される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−304953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、ダイサー(ダイシング装置)により形成された傾斜面244b,245aは平滑な面でないため、傾斜面244b,245aに形成されるミラー231,232の反射面(光信号を反射する面)に傾斜面244b,245aの形状(具体的には、微細な凹凸)が転写されてしまう。これにより、ミラー231,232に反射される光信号の伝送損失が大きくなってしまうという問題があった。
【0017】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、ミラーによる光信号の伝送損失を低減することのできる光電気混載基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一観点によれば、配線基板と、前記配線基板上に設けられ、光信号の伝送を行う光導波路と、前記光信号を反射させるミラーと、を備えた光電気混載基板の製造方法であって、前記配線基板上に平滑な傾斜面を有した絶縁部材を形成する絶縁部材形成工程と、前記平滑な傾斜面に前記ミラーを形成するミラー形成工程と、を含むことを特徴とする光電気混載基板の製造方法が提供される。
【0019】
本発明によれば、配線基板上に平滑な傾斜面を有した絶縁部材を形成し、その後、平滑な傾斜面にミラーを形成することにより、ミラーの光信号を反射する面を平滑な面にすることが可能となるため、ミラーによる光信号の伝送損失を低減することができる。
【0020】
また、前記絶縁部材形成工程は、前記絶縁部材の形状に対応する溝部を有すると共に、紫外線を透過させる絶縁部材形成用型体を準備する絶縁部材形成用型体準備工程と、前記溝部と前記配線基板とが対向するように絶縁部材形成用型体を前記配線基板に押し当てた後、前記溝部に液状の紫外線硬化樹脂を充填する液状樹脂充填工程と、前記配線基板に押し当てられた前記絶縁部材形成用型体を介して、前記液状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して、前記液状の紫外線硬化樹脂を硬化させる樹脂硬化工程と、前記配線基板から前記絶縁部材形成用型体を取り外す絶縁部材形成用型体取外工程と、を含んでもよい。
【0021】
このように、絶縁部材の形状に対応する溝部を有すると共に、紫外線を透過させる絶縁部材形成用型体を配線基板に押し当てた後、溝部に液状の紫外線硬化樹脂を充填し、その後、配線基板に押し当てられた絶縁部材形成用型体を介して、液状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して液状の紫外線硬化樹脂を硬化させて絶縁部材を形成することにより、ダイサーを用いることなくミラーが形成される傾斜面を形成することが可能となるため、ミラーによる光信号の伝送損失を低減することができる。
【0022】
また、前記配線基板は、前記ミラーの形成領域に対応する部分に段差部を有しており、前記絶縁部材形成工程は、前記絶縁部材の形状に対応する切り欠き部を有すると共に、紫外線を透過させる絶縁部材形成用型体を準備する絶縁部材形成用型体準備工程と、前記切り欠き部が形成された部分の前記絶縁部材形成用型体と前記配線基板の前記段差部とが対向するように、前記絶縁部材形成用型体を前記配線基板に押し当てた後、前記絶縁部材形成用型体と前記段差部とにより形成される空間に液状の紫外線硬化樹脂を充填する液状樹脂充填工程と、前記配線基板に押し当てられた前記絶縁部材形成用型体を介して、前記液状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して、前記液状の紫外線硬化樹脂を硬化させる樹脂硬化工程と、前記配線基板から前記絶縁部材形成用型体を取り外す絶縁部材形成用型体取外工程と、を含んでもよい。
【0023】
このように、絶縁部材の形状に対応する切り欠き部を有すると共に、紫外線を透過させる絶縁部材形成用型体を配線基板に押し当てた後、絶縁部材形成用型体と段差部とにより形成される空間に液状の紫外線硬化樹脂を充填し、その後、配線基板に押し当てられた絶縁部材形成用型体を介して、液状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して液状の紫外線硬化樹脂を硬化させて絶縁部材を形成することにより、ダイサーを用いることなくミラーが形成される傾斜面を形成することが可能となるため、ミラーによる光信号の伝送損失を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ミラーによる光信号の伝送損失を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。
【0027】
図6を参照するに、第1の実施の形態の光電気混載基板10は、配線基板11と、絶縁部材12,13と、ミラー14,15と、光導波路17と、発光素子21と、受光素子22と、はんだ24と、アンダーフィル樹脂25,26とを有する。
【0028】
配線基板11は、コア基板31と、貫通ビア32,33と、配線35,36,38,39と、絶縁層41,42と、ビア44,45,47,48と、配線パターン51,52,54,55と、ソルダーレジスト57,58とを有する。
【0029】
コア基板31は、板状とされており、貫通孔61,62を有する。貫通ビア32は、貫通孔61に設けられている。貫通ビア32の一方の端部は、配線35と接続されており、貫通ビア32の他方の端部は、配線38と接続されている。貫通ビア33は、貫通孔62に設けられている。貫通ビア33の一方の端部は、配線36と接続されており、貫通ビア33の他方の端部は、配線39と接続されている。
【0030】
配線35は、貫通ビア32の形成位置に対応する部分のコア基板31の上面31Aに設けられている。配線35は、貫通ビア32及びビア44と接続されている。配線36は、貫通ビア33の形成位置に対応する部分のコア基板31の上面31Aに設けられている。配線36は、貫通ビア33及びビア45と接続されている。
【0031】
配線38は、貫通ビア32の形成位置に対応する部分のコア基板31の下面31Bに設けられている。配線38は、貫通ビア32及びビア47と接続されている。配線38は、貫通ビア32を介して、配線35と電気的に接続されている。
【0032】
配線39は、貫通ビア33の形成位置に対応する部分のコア基板31の下面31Bに設けられている。配線39は、貫通ビア33及びビア48と接続されている。配線39は、貫通ビア33を介して、配線36と電気的に接続されている。
【0033】
絶縁層41は、配線35,36を覆うようにコア基板31の上面31Aに設けられている。絶縁層41は、配線35の一部を露出する開口部64と、配線36の一部を露出する開口部65とを有する。絶縁層42は、配線38,39を覆うようにコア基板31の下面31Bに設けられている。絶縁層42は、配線38の一部を露出する開口部66と、配線39の一部を露出する開口部67とを有する。
【0034】
ビア44は、開口部64に設けられている。ビア44の一方の端部は、配線35と接続されており、ビア44の他方の端部は、配線パターン51と接続されている。ビア45は、開口部65に設けられている。ビア45の一方の端部は、配線36と接続されており、ビア45の他方の端部は、配線パターン52と接続されている。
【0035】
ビア47は、開口部66に設けられている。ビア47の一方の端部は、配線38と接続されており、ビア47の他方の端部は、配線パターン54と接続されている。ビア48は、開口部67に設けられている。ビア48の一方の端部は、配線39と接続されており、ビア48の他方の端部は、配線パターン55と接続されている。
【0036】
配線パターン51は、ビア44の形成位置に対応する部分の絶縁層41の上面41Aに設けられている。配線パターン51は、発光素子21に設けられたバンプ76が接続される接続部51Aを有する。配線パターン51は、ビア44と接続されている。配線パターン51は、ビア44を介して、配線35と電気的に接続されている。
【0037】
配線パターン52は、ビア45の形成位置に対応する部分の絶縁層41の上面41Aに設けられている。配線パターン52は、受光素子22に設けられたバンプ78が接続される接続部52Aを有する。配線パターン52は、ビア45と接続されている。配線パターン52は、ビア45を介して、配線36と電気的に接続されている。
【0038】
配線パターン54は、ビア47の形成位置に対応する部分の絶縁層42の下面42Aに設けられている。配線パターン54は、図示していないマザーボード等の実装基板と接続される接続部54Aを有する。配線パターン54は、ビア47と接続されている。配線パターン54は、ビア47を介して、配線38と電気的に接続されている。
【0039】
配線パターン55は、ビア48の形成位置に対応する部分の絶縁層42の下面42Aに設けられている。配線パターン55は、図示していないマザーボード等の実装基板と接続される接続部55Aを有する。配線パターン55は、ビア48と接続されている。配線パターン55は、ビア48を介して、配線39と電気的に接続されている。
【0040】
ソルダーレジスト57は、接続部51A,52Aを除いた部分の配線パターン51,52を覆うように絶縁層41の上面41Aに設けられている。ソルダーレジスト57は、接続部51Aを露出する開口部57Aと、接続部52Aを露出する開口部57Bとを有する。
【0041】
ソルダーレジスト58は、接続部54A,55Aを除いた部分の配線パターン54,55を覆うように絶縁層42の下面42Aに設けられている。ソルダーレジスト58は、接続部54Aを露出する開口部58Aと、接続部55Aを露出する開口部58Bとを有する。
【0042】
絶縁部材12は、ソルダーレジスト57の上面57Aに設けられている。絶縁部材12は、ミラー14が形成される傾斜面12Aを有する。傾斜面12Aは、平滑な面とされている。傾斜面12Aとソルダーレジスト57の上面57Aとが成す角度θ1は、ミラー14により発光素子21からの光信号をコア部72に反射可能な角度に設定されている。角度θ1は、例えば、45度とすることができる。絶縁部材12の材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂を用いることができる。紫外線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0043】
絶縁部材13は、ソルダーレジスト57の上面57Aに設けられている。絶縁部材13は、ミラー15が傾斜される傾斜面13Aを有する。傾斜面13Aは、光導波路17を介して、絶縁部材12の傾斜面12Aと対向するように配置されている。傾斜面13Aは、平滑な面とされている。傾斜面13Aとソルダーレジスト57の上面57Aとが成す角度θ2は、コア部72に伝送された光信号をミラー15により受光素子22に向かうように反射可能な角度に設定されている。角度θ2は、例えば、45度とすることができる。絶縁部材13の材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂を用いることができる。紫外線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0044】
ミラー14は、絶縁部材12の平滑な傾斜面12Aに設けられている。ミラー14は、発光素子21から発信された光信号が光導波路17のコア部72に向かうように反射するためのものである。ミラー14としては、例えば、金属膜を用いることができる。ミラー14となる金属膜としては、例えば、Au膜を用いることができる。ミラー14としてAu膜を用いた場合、ミラー14の厚さは、例えば、0.2μm〜1.0μmとすることができる。
【0045】
ミラー15は、絶縁部材13の平滑な傾斜面13Aに設けられている。ミラー15は、光導波路17のコア部72により伝送された光信号が受光素子22の受光部79に向かうように光信号を反射するためのものである。ミラー15としては、例えば、金属膜を用いることができる。ミラー15となる金属膜としては、例えば、Au膜を用いることができる。ミラー15としてAu膜を用いた場合、ミラー15の厚さは、例えば、0.2μm〜1.0μmとすることができる。
【0046】
光導波路17は、ミラー14とミラー15との間に位置するソルダーレジスト57上に配設されている。光導波路17は、第1クラッド層71と、コア部72と、第2クラッド層73とを有する。
【0047】
図7は、図6に示す光導波路のA−A線方向の断面図である。
【0048】
図6及び図7を参照するに、第1クラッド層71は、接着剤74により、ソルダーレジスト57の上面57Aに接着されている。コア部72は、第1クラッド層71上に設けられている。コア部72は、光信号の伝送を行うためのものである。コア部72は、第1クラッド層71及び第2クラッド層73よりも屈折率の大きい材料により構成されている。第2クラッド層73は、コア部72を覆うように第1クラッド層71上に設けられている。
【0049】
発光素子21は、ミラー14及び接続部51Aの上方に設けられている。発光素子21は、バンプ76と接続されている。発光素子21は、バンプ76を介して、接続部51Aと電気的に接続されている。発光素子21は、光信号を発信する発光部77を有する。発光部77は、ミラー14に光信号を照射可能な位置に配置されている。発光素子21としては、例えば、面発光レーザ素子(VCSEL)を用いることができる。
【0050】
受光素子22は、ミラー15及び接続部52Aの上方に設けられている。受光素子22は、バンプ78と接続されている。受光素子22は、バンプ78を介して、接続部52Aと電気的に接続されている。受光素子22は、コア部72により伝送された光信号を受光する受光部77を有する。受光部77は、ミラー15に反射された光信号を受光可能な位置に配置されている。受光素子22としては、例えば、フォトダイオード素子(PD)を用いることができる。
【0051】
はんだ24は、接続部51A,52A上に設けられている。はんだ24は、接続部51A,52Aにバンプ76,78を固定するためのものである。
【0052】
アンダーフィル樹脂25は、発光素子21と配線基板11、ミラー14、及び光導波路17の間に設けられている。アンダーフィル樹脂25は、発光素子21を配線基板11にしっかりと固定するためのものである。アンダーフィル樹脂25としては、例えば、発光素子21からの光信号を透過させることのできる光透過性樹脂を用いる。
【0053】
アンダーフィル樹脂26は、受光素子22と配線基板11、ミラー15、及び光導波路17の間に設けられている。アンダーフィル樹脂26は、受光素子22を配線基板11にしっかりと固定するためのものである。アンダーフィル樹脂26としては、例えば、コア部72により伝送された光信号を透過させることのできる光透過性樹脂を用いる。
【0054】
図8〜図18は、本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図であり、図19は、絶縁部材形成用型体の斜視図である。図8〜図19において、第1の実施の形態の光電気混載基板10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0055】
図8〜図19を参照して、第1の実施の形態の光電気混載基板10の製造方法について説明する。始めに、図8に示す工程では、周知の手法により、配線基板11を製造する。次いで、図9に示す工程では、ソルダーレジスト57の開口部57A,57Bに、はんだ24を形成する。
【0056】
次いで、図10に示す工程では、絶縁部材12を形成する際に用いる絶縁部材形成用型体81と、絶縁部材13を形成する際に用いる絶縁部材形成用型体82とを準備する(絶縁部材形成用型体準備工程)。
【0057】
ここで、絶縁部材形成用型体81,82について説明する。図10及び図19を参照するに、絶縁部材形成用型体81は、絶縁部材12の形状に対応する溝部83を有する。溝部83は、V字形状の溝とされている。溝部83を構成する絶縁部材形成用型体81の傾斜面83A(絶縁部材12の傾斜面12Aを形成する面)と絶縁部材形成用型体81の底面81Aとが成す角度θ3は、絶縁部材12の傾斜面12Aの角度θ1と略等しい。角度θ3は、例えば、45度にすることができる。また、傾斜面83Aは、平滑な面とされている。
【0058】
このように、絶縁部材12の傾斜面12Aを形成する絶縁部材形成用型体81の傾斜面83Aを平滑な面にすることにより、絶縁部材12の傾斜面12Aを平滑な面に形成することが可能となる。これにより、絶縁部材12の傾斜面12Aに形成されるミラー14の反射面(光信号を反射する面)が平滑な面になるため、ミラー14の光信号の伝送損失を低減することができる。
【0059】
絶縁部材形成用型体81は、紫外線を透過することが可能な材料により構成されている。絶縁部材形成用型体81の材料としては、例えば、ガラスを用いることができる。
【0060】
図10を参照するに、絶縁部材形成用型体82は、絶縁部材13の形状に対応する溝部84を有する。溝部84は、V字形状の溝とされている。溝部84を構成する絶縁部材形成用型体82の傾斜面84A(絶縁部材13の傾斜面13Aを形成する面)と絶縁部材形成用型体82の底面82Aとが成す角度θ4は、絶縁部材13の傾斜面13Aの角度θ2と略等しい。角度θ4は、例えば、45度にすることができる。また、傾斜面84Aは、平滑な面とされている。
【0061】
このように、絶縁部材13の傾斜面13Aを形成する絶縁部材形成用型体82の傾斜面84Aを平滑な面にすることにより、絶縁部材13の傾斜面13Aを平滑な面に形成することが可能となる。これにより、絶縁部材13の傾斜面13Aに形成されるミラー15の反射面(光信号を反射する面)が平滑な面になるため、ミラー15の光信号の伝送損失を低減することができる。
【0062】
絶縁部材形成用型体82は、図19に示す絶縁部材形成用型体81と同様な形状とされている。絶縁部材形成用型体82は、紫外線を透過させることが可能な材料により構成されている。絶縁部材形成用型体82の材料としては、例えば、ガラスを用いることができる。
【0063】
次いで、図11に示す工程では、絶縁部材12の形成位置に対応する部分のソルダーレジスト57の上面57Aに絶縁部材形成用型体81の底面81Aを押し当てると共に、絶縁部材13の形成位置に対応する部分のソルダーレジスト57の上面57Aに絶縁部材形成用型体82の底面82Aを押し当てる。
【0064】
次いで、図12に示す工程では、絶縁部材形成用型体81,82の溝部83,84に液状の紫外線硬化樹脂86を充填する(液状樹脂充填工程)。具体的には、毛細管現象により絶縁部材形成用型体81,82の溝部83,84に液状の紫外線硬化樹脂86を充填する。液状の紫外線硬化樹脂86は、後述する図13に示す工程において、硬化されることにより、絶縁部材12,13となる。
【0065】
次いで、図13に示す工程では、配線基板11に押し当てられた絶縁部材形成用型体81,82を介して、液状の紫外線硬化樹脂86に紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂86を硬化させる(樹脂硬化工程)。これにより、絶縁部材形成用型体81の溝部83に平滑な傾斜面12A(ミラー14が形成される面)を有した絶縁部材12が形成されると共に、絶縁部材形成用型体82の溝部84に平滑な傾斜面13A(ミラー15が形成される面)を有した絶縁部材13が形成される(図14参照)。
【0066】
このように、絶縁部材12,13の形状に対応する溝部83,84を有した絶縁部材形成用型体81,82を用いて絶縁部材12,13を形成することにより、ダイサーを用いることなくミラー14,15が形成される傾斜面12A,13Aを形成することが可能となるため、従来の光電気混載基板200と比較して、ミラー14,15による光信号の伝送損失を低減することができる。
【0067】
また、絶縁部材形成用型体81,82の傾斜面83A,84Aを平滑な面とすることにより、絶縁部材12,13の傾斜面12A,13Aを平滑な面にすることが可能となるため、ミラー14,15による光信号の伝送損失をさらに低減することができる。
【0068】
次いで、図14に示す工程では、配線基板11から絶縁部材形成用型体81,82を取り外す(絶縁部材形成用型体取外工程)。
【0069】
次いで、図15に示す工程では、ソルダーレジスト57の上面57A及びはんだ24上に、絶縁部材12,13の傾斜面12A,13Aを露出する開口部を有したレジスト膜88を形成する。なお、図15では、絶縁部材12,13全体を露出するようにレジスト膜88を形成した場合を図示したが、レジスト膜88は、絶縁部材12,13の傾斜面12A,13Aのみを露出するように設けてもよい。
【0070】
次いで、図16に示す工程では、スパッタ法或いは真空蒸着法により、絶縁部材12,13の傾斜面12A,13Aに金属膜91を成膜して、ミラー14,15を形成する(ミラー形成工程)。このとき、レジスト膜88の上面及び側面にも金属膜91が成膜される。金属膜91としては、例えば、Au膜を用いることができる。また、金属膜91としてAu膜を用いた場合、金属膜91の厚さは、例えば、0.2μm〜1.0μmとすることができる。
【0071】
このように、平滑な面とされた傾斜面12A,13Aに金属膜91を成膜してミラー14,15を形成することにより、ミラー14,15の反射面(光信号を反射するミラー14,15の面)が平滑な面となるため、ミラー14,15による光信号の伝送損失を低減することができる。
【0072】
次いで、図17に示す工程では、図16に示すレジスト膜88を除去する。次いで、図18に示す工程では、ミラー14,15間に位置するソルダーレジスト57上に別途作成した光導波路17を接着剤74で接着し、次いで、発光素子21及び受光素子22を配線基板11に実装し、その後、アンダーフィル樹脂25,26を形成する。これにより、光電気混載基板10が製造される。
【0073】
本実施の形態の光電気混載基板の製造方法によれば、絶縁部材12,13の形状に対応する溝部83,84を有すると共に、紫外線を透過させる絶縁部材形成用型体81,82を配線基板11に押し当てた後、溝部83,84を液状の紫外線硬化樹脂86で充填し、次いで、配線基板11に押し当てられた絶縁部材形成用型体81,82を介して、液状の紫外線硬化樹脂86に紫外線を照射して液状の紫外線硬化樹脂86を硬化させて、平滑な傾斜面12A,13Aを有した絶縁部材12,13を形成し、その後、平滑な傾斜面12A,13Aに金属膜19を成膜してミラー14,15を形成することにより、ミラー14,15の反射面(光信号を反射するミラー14,15の面)が平滑な面となるため、ミラー14,15による光信号の伝送損失を低減することができる。
【0074】
(第2の実施の形態)
図20は、本発明の第2の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。図20において、第1の実施の形態の光電気混載基板10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0075】
図20を参照するに、第2の実施の形態の光電気混載基板100は、絶縁部材12と、ミラー14と、光導波路17と、発光素子21と、はんだ24と、アンダーフィル樹脂25と、配線基板101と、光ファイバ103とを有する。
【0076】
配線基板101は、第1の実施の形態で説明した配線基板11のソルダーレジスト57に設けられた開口部57B、及び開口部57Bに配設されたはんだ24が無い以外は、配線基板11と同様に構成される。
【0077】
光ファイバ103は、光信号を伝送するコア部106と、コア部の周囲を覆うクラッド層107とを有する。光ファイバ103は、接着剤104によりソルダーレジスト57の上面57Aに固定されている。光ファイバ103は、コア部106の端面が光導波路17の端面17A(ミラー14と対向しない側の光導波路17の端面)に位置するコア部72と対向するように配置されている。
【0078】
このような構成とされた第2の実施の形態の光電気混載基板100は、第1の実施の形態の光電気混載基板10と同様な手法により製造することができ、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0079】
(第3の実施の形態)
図21は、本発明の第3の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。図21において、第1の実施の形態の光電気混載基板10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0080】
図21を参照するに、第3の実施の形態の光電気混載基板110は、第1の実施の形態の光電気混載基板10に設けられた光導波路17の代わりに光導波路111を設けた以外は光電気混載基板10と同様に構成される。
【0081】
光導波路111は、第1クラッド層112と、第1クラッド層112上に設けられたコア部113と、コア部113を覆うように第1クラッド層112上に設けられた第2クラッド層114とを有する。光導波路111は、接着剤74によりミラー14,15間に位置する部分のソルダーレジスト57上に接着されている。
【0082】
光導波路111は、ミラー14,15と対向する2つの端面は傾斜面とされている。光導波路111の一方の傾斜面は、ミラー14と接触しており、光導波路111の他方の傾斜面は、ミラー15と接触している。光導波路111の2つの傾斜面と第2クラッド層114の上面114Aとが成す角度θ5,θ6は、絶縁部材12,13の傾斜面12A,13Aの角度θ1,θ2と略等しい。角度θ1,θ2が45度の場合、角度θ5,θ6は、例えば、45度にすることができる。
【0083】
このような構成とされた第3の実施の形態の光電気混載基板110は、第1の実施の形態の光電気混載基板10と同様な手法により製造することができ、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0084】
(第4の実施の形態)
図22は、本発明の第4の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。図22において、第3の実施の形態の光電気混載基板110と同一構成部分には同一符号を付す。
【0085】
図22を参照するに、第4の実施の形態の光電気混載基板120は、配線基板11のソルダーレジスト57上に直接、光導波路111を形成した以外は、第3の実施の形態の光電気混載基板110と同様に構成される。光電気混載基板120に設けられた光導波路111は、ミラー14,15を形成後、つまり第1の実施の形態で説明した図17に示す構造体のソルダーレジスト57上に、第1クラッド層112、コア部113、及び第2クラッド層114を順次積層させることで形成する。
【0086】
このように、ミラー14,15が形成された配線基板11上に直接、光導波路111を形成することで、接着剤74により光導波路111を配線基板11上に接着する必要がなくなるため、光電気混載基板120の製造コストを低減することができる。
【0087】
(第5の実施の形態)
図23は、本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。図23において、第1の実施の形態の光電気混載基板と同一構成部分には同一符号を付す。
【0088】
図23を参照するに、第5の実施の形態の光電気混載基板130は、配線基板131と、絶縁部材132,133と、ミラー134,135と、光導波路17とを有する。
【0089】
図24は、図23に示す配線基板の断面図である。
【0090】
図24を参照する、配線基板131は、第1の実施の形態の配線基板11に設けられたソルダーレジスト57に、さらに開口部137を設けた以外は配線基板11と同様に構成される。開口部137は、絶縁層41の上面を露出するように形成されている。このような開口部137をソルダーレジスト57に設けることで、ソルダーレジスト57の上面と絶縁層41の上面41Aとの間に段差部138,139が形成される。段差部139は、段差部138と対向するように形成されている。
【0091】
図23を参照するに、絶縁部材132は、段差部138に設けられている。絶縁部材132は、ミラー134が形成される傾斜面132Aを有する。傾斜面132Aは、平滑な面とされている。傾斜面132Aと絶縁部材132の底面132Bとが成す角度θ7は、例えば、45度にすることができる。絶縁部材132の材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂を用いることができる。紫外線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0092】
絶縁部材133は、段差部139に設けられている。絶縁部材133は、ミラー135が形成される傾斜面133Aを有する。傾斜面133Aは、平滑な面とされている。傾斜面133Aと絶縁部材132の底面133Bとが成す角度θ8は、例えば、45度にすることができる。絶縁部材133の材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂を用いることができる。絶縁部材133の材料となる紫外線硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0093】
ミラー134は、絶縁部材132の平滑な傾斜面132Aに形成されている。ミラー134は、光導波路17のコア部72に向かうように光信号を反射するためのものである。ミラー134としては、例えば、金属膜を用いることができる。金属膜としては、例えば、Au膜を用いることができる。ミラー134としてAu膜を用いた場合、ミラー134の厚さは、例えば、0.2μm〜1.0μmとすることができる。
【0094】
ミラー135は、絶縁部材133の平滑な傾斜面133Aに形成されている。ミラー135は、光導波路17のコア部72により伝送された光信号を所定の方向に反射するためのものである。ミラー135としては、例えば、金属膜を用いることができる。金属膜としては、例えば、Au膜を用いることができる。ミラー135としてAu膜を用いた場合、ミラー135の厚さは、例えば、0.2μm〜1.0μmとすることができる。
【0095】
光導波路17は、接着剤74によりミラー134,135間に位置する絶縁層41上に接着されている。光導波路17の一方の端面に位置するコア部72は、ミラー134と対向しており、光導波路17の他方の端面に位置するコア部72は、ミラー135と対向している。
【0096】
図25〜図34は、本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図であり、図35は、絶縁部材形成用型体の斜視図である。図25〜図34において、第5の実施の形態の光電気混載基板130と同一構成部分には同一符号を付す。
【0097】
図25〜図35を参照して、第5の実施の形態の光電気混載基板130の製造方法について説明する。始めに、図25に示す工程では、周知の手法により、配線基板131を製造し、その後、ソルダーレジスト57の開口部57A,57Bに、はんだ24を形成する。
【0098】
次いで、図26に示す工程では、絶縁部材132を形成する際に用いる絶縁部材形成用型体145と、絶縁部材133を形成する際に用いる絶縁部材形成用型体146とを準備する(絶縁部材形成用型体準備工程)。
【0099】
ここで、絶縁部材形成用型体145,146について説明する。図26及び図33を参照するに、絶縁部材形成用型体145は、絶縁部材132の形状に対応する切り欠き部147を有する。切り欠き部147が形成された部分の絶縁部材形成用型体145には、平滑な面とされた傾斜面145Bが形成されている。絶縁部材形成用型体145の傾斜面145Bは、絶縁部材132の傾斜面132Aを形成するためのものである。絶縁部材形成用型体145の底面145Aと傾斜面145Bとが成す角度θ9は、絶縁部材132の傾斜面132Aの角度θ7と略等しい。角度θ9は、例えば、45度にすることができる。
【0100】
このように、絶縁部材132の形状に対応する切り欠き部147を有した絶縁部材形成用型体145を用いて絶縁部材132を形成することにより、ダイサーを用いることなく、ミラー134が形成される傾斜面132Aを形成することが可能となるため、従来の光電気混載基板200と比較して、ミラー134による光信号の伝送損失を低減することができる。
【0101】
また、絶縁部材形成用型体145の傾斜面145Bを平滑な面とすることにより、絶縁部材132の傾斜面132Aを平滑な面にすることが可能となるため、ミラー134による光信号の伝送損失をさらに低減することができる。
【0102】
絶縁部材形成用型体145の底面145Aは、絶縁部材132を形成する際、絶縁層41の上面41Aと接触する面である。また、絶縁部材形成用型体145の側面145Cは、絶縁部材形成用型体145の底面145Aに対して略直角を成すような面である。絶縁部材形成用型体145の側面145Cの一部は、絶縁部材132を形成する際、ソルダーレジスト57の面57Dと接触する面である。
【0103】
上記構成とされた絶縁部材形成用型体145は、紫外線を透過させることが可能な材料により構成されている。絶縁部材形成用型体145の材料としては、例えば、ガラスを用いることができる。
【0104】
図26を参照するに、絶縁部材形成用型体146は、絶縁部材133の形状に対応する切り欠き部148を有する。切り欠き部148が形成された部分の絶縁部材形成用型体146には、平滑な面とされた傾斜面146Bが形成されている。絶縁部材形成用型体146の底面146Aと傾斜面146Bとが成す角度θ10は、絶縁部材133の傾斜面133Aの角度θ8と略等しい。角度θ10は、例えば、45度にすることができる。
【0105】
このように、絶縁部材133の形状に対応する切り欠き部148を有した絶縁部材形成用型体146を用いて絶縁部材133を形成することにより、ダイサーを用いることなく、ミラー135が形成される傾斜面133Aを形成することが可能となるため、従来の光電気混載基板200と比較して、ミラー135による光信号の伝送損失を低減することができる。
【0106】
また、絶縁部材形成用型体146の傾斜面146Bを平滑な面とすることにより、絶縁部材133の傾斜面133Aを平滑な面にすることが可能となるため、ミラー135による光信号の伝送損失をさらに低減することができる。
【0107】
絶縁部材形成用型体146の底面146Aは、絶縁部材133を形成する際、絶縁層41の上面41Aと接触する面である。また、絶縁部材形成用型体146の側面146Cは、絶縁部材形成用型体146の底面146Aに対して略直角を成すような面である。絶縁部材形成用型体146の側面146Cの一部は、絶縁部材133を形成する際、ソルダーレジスト57の面57Eと接触する面である。
【0108】
上記構成とされた絶縁部材形成用型体146は、紫外線を透過させることが可能な材料により構成されている。絶縁部材形成用型体146の材料としては、例えば、ガラスを用いることができる。
【0109】
次いで、図27に示す工程では、切り欠き部138が形成された部分の絶縁部材形成用型体145と段差部138とが対向するように絶縁部材形成用型体145を配線基板131に押し当てると共に、切り欠き部139が形成された部分の絶縁部材形成用型体146と段差部139とが対向するように絶縁部材形成用型体146を配線基板131に押し当てる。これにより、絶縁部材形成用型体145と段差部138との間に空間Bが形成され、絶縁部材形成用型体146と段差部139との間に空間Cが形成される。空間Bは、絶縁部材132を形成するための空間である。空間Cは、絶縁部材133を形成するための空間である。
【0110】
また、絶縁部材形成用型体145を配線基板131に押し当てる場合には、絶縁部材形成用型体145の底面145Aと絶縁層41の上面41Aとを接触させると共に、絶縁部材形成用型体145の側面145Cの一部とソルダーレジスト57の面57Dとを接触させるとよい。このように、絶縁部材形成用型体145の底面145A及び側面145Cを配線基板131に接触させることにより、配線基板131に対して絶縁部材形成用型体145を安定して押し当てることができる。
【0111】
また、絶縁部材形成用型体146を配線基板131に押し当てる場合には、絶縁部材形成用型体146の底面146Aと絶縁層41の上面41Aとを接触させると共に、絶縁部材形成用型体146の側面146Cの一部とソルダーレジスト57の面57Eとを接触させるとよい。このように、絶縁部材形成用型体146の底面146A及び側面146Cを配線基板131に接触させることにより、配線基板131に対して絶縁部材形成用型体146を安定して押し当てることができる。
【0112】
次いで、図28に示す工程では、空間B,Cに液状の紫外線硬化樹脂151を充填する(液状樹脂充填工程)。具体的には、毛細管現象により空間B,Cに液状の紫外線硬化樹脂151を充填する。空間B,Cに充填された液状の紫外線硬化樹脂151は、後述する図29に示す工程において、硬化されることにより、絶縁部材132,133となる。
【0113】
次いで、図29に示す工程では、配線基板131に押し当てられた絶縁部材形成用型体145,146を介して、液状の紫外線硬化樹脂151に紫外線を照射して、液状の紫外線硬化樹脂151を硬化させる(樹脂硬化工程)。これにより、配線基板131の段差部138に平滑な傾斜面132A(ミラー134が形成される面)を有した絶縁部材132が形成されると共に、配線基板131の段差部139に平滑な傾斜面133A(ミラー135が形成される面)を有した絶縁部材133が形成される(図30参照)。
【0114】
次いで、図30に示す工程では、配線基板131から絶縁部材形成用型体145,146を取り外す(絶縁部材形成用型体取外工程)。
【0115】
次いで、図31に示す工程では、絶縁部材132,133が形成された配線基板131の上面側に、開口部153A,153Bを有したレジスト膜153を形成する。開口部153Aは、絶縁部材132の傾斜面132Aのみを露出するように形成する。また、開口部153Bは、絶縁部材133の傾斜面133Aのみを露出するように形成する。
【0116】
次いで、図32に示す工程では、スパッタ法或いは真空蒸着法により、絶縁部材132,133の傾斜面132A,133Aに金属膜155を成膜して、絶縁部材132,133の傾斜面132A,133Aに金属膜155よりなるミラー134,135を形成する(ミラー形成工程)。このとき、レジスト膜153の上面及び側面にも金属膜155が成膜される。金属膜155としては、例えば、Au膜を用いることができる。また、金属膜155としてAu膜を用いた場合、金属膜155の厚さは、例えば、0.2μm〜1.0μmとすることができる。
【0117】
このように、平滑な面とされた傾斜面132A,133Aに、ミラー134,135を形成することにより、ミラー134,135の反射面(光信号を反射するミラー134,135の面)を平滑な面にすることが可能となるため、ミラー134,135による光信号の伝送損失を低減することができる。
【0118】
次いで、図33に示す工程では、図32に示すレジスト膜153を除去する。次いで、図34に示す工程では、ミラー134,135間に位置する絶縁層41上に別途作成した光導波路17を接着剤74で接着する。これにより、光電気混載基板130が製造される。
【0119】
本実施の形態の光電気混載基板の製造方法によれば、切り欠き部147,148が形成された部分の絶縁部材形成用型体145,146と配線基板131の段差部138,139とが対向するように絶縁部材形成用型体145,146を配線基板131に押し当てた後、絶縁部材形成用型体145,146と配線基板131の段差部138,139とにより形成される空間B,Cに液状の紫外線硬化樹脂155を充填し、その後、配線基板131に押し当てられた絶縁部材形成用型体145,146を介して、液状の紫外線硬化樹脂155に紫外線を照射して、液状の紫外線硬化樹脂155を硬化させて、平滑な傾斜面132A,133Aを有した絶縁部材132,133を形成し、その後、平滑な傾斜面132A,133Aに金属膜155を成膜してミラー134,135を形成することにより、ミラー134,135の反射面(光信号を反射するミラー134,135の面)が平滑な面となるため、ミラー134,135による光信号の伝送損失を低減することができる。
【0120】
図36は、本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の他の製造工程を示す図である。図36において、第5の実施の形態の光電気混載基板130と同一構成部分には同一符号を付す。
【0121】
なお、図36に示すように、絶縁部材形成用型体145,146の底面145A,146Aを絶縁層41の上面41Aと接触させると共に、絶縁部材形成用型体145,146の傾斜面145B,146Bをソルダーレジスト57の角に接触させて、絶縁部材132,133を形成してもよい。
【0122】
また、本実施の形態の光電気混載基板130に設けられた光導波路17の代わりに、図21及び図22に示した光導波路111を設けてもよい。
【0123】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、配線基板上に設けられ、光信号の伝送を行う光導波路と、光信号を反射するミラーとを備えた光電気混載基板に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】従来の光電気混載基板の断面図である。
【図2】図1に示す光導波路をF視した図である。
【図3】従来のミラー形成工程を示す図(その1)である。
【図4】従来のミラー形成工程を示す図(その2)である。
【図5】従来のミラー形成工程を示す図(その3)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。
【図7】図6に示す光導波路のA−A線方向の断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その6)である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その7)である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その8)である。
【図16】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その9)である。
【図17】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その10)である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その11)である。
【図19】絶縁部材形成用型体の斜視図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。
【図22】本発明の第4の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の断面図である。
【図24】図23に示す配線基板の断面図である。
【図25】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図26】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図27】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図28】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図29】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図30】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その6)である。
【図31】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その7)である。
【図32】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その8)である。
【図33】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その9)である。
【図34】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の製造工程を示す図(その10)である。
【図35】絶縁部材形成用型体の斜視図である。
【図36】本発明の第5の実施の形態に係る光電気混載基板の他の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0126】
10,100,110,120,130 光電気混載基板
11,101,131 配線基板
12,13,132,133 絶縁部材
12A,13A,83A,84A,132A,133A,145B,146B 傾斜面
14,15,134,135 ミラー
17,111 光導波路
17A 端面
21 発光素子
22 受光素子
24 はんだ
25,26 アンダーフィル樹脂
31 コア基板
31A,41A,57A,114A 上面
31B,42A 下面
32,33 貫通ビア
35,36,38,39 配線
41,42 絶縁層
44,45,47,48 ビア
51,52,54,55 配線パターン
51A,52A,53A,54A 接続部
57,58 ソルダーレジスト
57D,57E 面
61,62 貫通孔
57A,57B,58A,58B,64〜67,137,153A,153B 開口部
71,112 第1クラッド層
72,106,113 コア部
73,114 第2クラッド層
74,104 接着剤
76,78 バンプ
77 発光部
79 受光部
81,82,145,146 絶縁部材形成用型体
81A,82A,132B,133B,145A,146A 底面
83,84 溝部
86,151 紫外線硬化樹脂
88,153 レジスト膜
91,155 金属膜
103 光ファイバ
107 クラッド層
138,139 段差部
145C,146C 側面
147,148 切り欠き部
B,C 空間
θ1〜θ10 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、前記配線基板上に設けられ、光信号の伝送を行う光導波路と、前記光信号を反射させるミラーと、を備えた光電気混載基板の製造方法であって、
前記配線基板上に平滑な傾斜面を有した絶縁部材を形成する絶縁部材形成工程と、
前記平滑な傾斜面に前記ミラーを形成するミラー形成工程と、を含むことを特徴とする光電気混載基板の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁部材形成工程は、前記絶縁部材の形状に対応する溝部を有すると共に、紫外線を透過させる絶縁部材形成用型体を準備する絶縁部材形成用型体準備工程と、
前記溝部と前記配線基板とが対向するように絶縁部材形成用型体を前記配線基板に押し当てた後、前記溝部に液状の紫外線硬化樹脂を充填する液状樹脂充填工程と、
前記配線基板に押し当てられた前記絶縁部材形成用型体を介して、前記液状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して、前記液状の紫外線硬化樹脂を硬化させる樹脂硬化工程と、
前記配線基板から前記絶縁部材形成用型体を取り外す絶縁部材形成用型体取外工程と、を含むことを特徴とする請求項1記載の光電気混載基板の製造方法。
【請求項3】
前記溝部に対応する部分の前記絶縁部材形成用型体の面は、平滑な面であることを特徴とする請求項2記載の光電気混載基板の製造方法。
【請求項4】
前記配線基板は、前記ミラーの形成領域に対応する部分に段差部を有しており、
前記絶縁部材形成工程は、前記絶縁部材の形状に対応する切り欠き部を有すると共に、紫外線を透過させる絶縁部材形成用型体を準備する絶縁部材形成用型体準備工程と、
前記切り欠き部が形成された部分の前記絶縁部材形成用型体と前記配線基板の前記段差部とが対向するように、前記絶縁部材形成用型体を前記配線基板に押し当てた後、前記絶縁部材形成用型体と前記段差部とにより形成される空間に液状の紫外線硬化樹脂を充填する液状樹脂充填工程と、
前記配線基板に押し当てられた前記絶縁部材形成用型体を介して、前記液状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して、前記液状の紫外線硬化樹脂を硬化させる樹脂硬化工程と、
前記配線基板から前記絶縁部材形成用型体を取り外す絶縁部材形成用型体取外工程と、を含むことを特徴とする請求項1記載の光電気混載基板の製造方法。
【請求項5】
前記切り欠き部に対応する部分の前記絶縁部材形成用型体の面は、平滑な面であることを特徴とする請求項4記載の光電気混載基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate


【公開番号】特開2008−139465(P2008−139465A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324310(P2006−324310)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】